説明

立体形状生成システム及び方法

【課題】デザイナ自身がデザインの製作過程に具体的に関わりながら、三次元の立体モデルを生成し、編集することができるシステムを提供すること。
【解決手段】立体形状生成システム100は、立体形状を表示するモニタ5と、二次元平面の位置を示す位置データを手描き動作に応じて入力するデジタイザ1とを備える。そして、立体形状生成システム100は、デジタイザ1が入力した位置データに基づいてポリラインを作成し、作成した第1のポリラインによって形成される基準外形を横断面とする立体形状を生成し、生成した立体形状をモニタ5に表示させ、表示された立体形状に対して行った手描き動作に基づいて作成したポリラインから立体形状に沿った第2のポリラインを作成し、作成した第2のポリラインに基づいて立体形状を編集すると共に、編集された立体形状をモニタ5に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の工業製品の外観をデザインするときに、デザイナのデザインを支援する立体形状生成システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業製品の開発において、デザイナは、紙に鉛筆やその他の筆記用具を用いて絵(デッサン)を描いて、工業製品の外観を表していた。また、工業製品の開発において、デザイナが描いた絵を元に具体的にイメージするためにコンピュータCADを用いて3次元立体図を作成したり、クレーと呼ばれる粘土や樹脂を使用して原寸から数分の一のサイズのものまでの立体模型を作成したりして、三次元化されたモデルを評価して製品化への開発判断が行われていた。
【0003】
このような工業製品の開発におけるモデルの三次元化において、コンピュータを利用して開発や、設計等を行う形状設計システムとして、特許文献1から特許文献4が知られている。
【0004】
特許文献1は、車両の企画立案及びその評価を効率的かつ効果的に行い、車両の企画を支援するための企画支援システムについての技術を開示している。この企画支援システムは、車両の外形を3次元データで表した外形ベースモデルと、車両内の乗員の姿勢を3次元データで表した乗員ベースモデルとを記憶するデータベースサーバを備えている。そして、このシステムでは、企画車両の諸元値データを入力して設計テーブルを生成し、企画車両に含まれる部品の3次元部品モデルを生成し、外形ベースモデル及び乗員ベースモデルを諸元値データに応じてそれぞれ変形して外形モデル及び乗員モデルを生成し、外形モデル、乗員モデル及び部品モデルを結合して企画車両モデルを生成する。
【0005】
特許文献2は、意匠面のデザインが先行して行われ、構造設計を後に行う製品の設計に対して、設計時間の短縮を可能とする設計支援システムを開示している。この設計支援システムは、ボディ外観面デザイン工程において、デザインされたボディ外観面全体を入力し、構造設計工程において、構造設計を行う際に必要な、例えばガソリン給油ガンの形状情報等を記憶する構造設計基準情報を備え、ボディ外観面全体形状及び構造設計基準情報に基づきボディ外観面全体形状における、例えばガソリン給油蓋の配設可能条件を決定する。
【0006】
特許文献3及び特許文献4は、デザイナの意図やイメージが反映された3次元物体の3次元形状データを生成することができる3次元形状データ作成方法を開示する。この3次元形状データ作成方法は、3次元物体が描かれた複数のスケッチから当該3次元物体の3次元形状データを作成する方法であって、複数のスケッチに基づいて、一旦歪みのある3次元歪空間を定義し、3次元歪空間内にスケッチの線図を定義し、その後3次元歪空間内の線図を3次元直交空間内に変換するものである。具体的には、アングル法又は3点法によりスケッチの三次元での配置位置と視点方向を決定し、更にスケッチに描かれた車両のドア断面とセンター断面との三次元での断面線を求め、得られたドア断面線とセンター断面線とに基づいて、三次元での車両の空間曲線を求め、立体歪みを修正し、曲面を創成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−302672号公報
【特許文献2】特開2005−258673号公報
【特許文献3】特開2004−206262号公報
【特許文献4】特開2007−179452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1は、諸元値データを入力し、入力した諸元値データに応じて車両モデル及び乗員モデルをそれぞれ変形してモデルを生成する。特許文献2は、構造設計を行う際に必要な構造設計基準情報に基づき、デザインされたボディ外観面全体における配設可能条件を決定する。よって、いずれも、デザイナが入力した指示に応じて変形し、デザイナの自由な発想を反映させるような変形をすることはできない。
【0009】
また、特許文献3及び特許文献4は、複数のスケッチに基づいて定義された3次元歪空間での配置位置と視点方向によって、スケッチに描かれた車両のドア等の三次元での車両の空間曲線を求め、立体歪みを修正し、曲面を創成するだけであって、デザイナが3次元歪空間での車両の空間曲線を求め、立体歪みを修正し、具体的にデザインをイメージしながら曲面を創成することはできない。
【0010】
そこで、デザイナがデッサンしたり、クレーを修正して、具体的にイメージしながらデザインを創作するように、デザイナ自身がデザインの製作過程に具体的に関わりながら、三次元の立体モデルを生成することができるシステムが求められている。
【0011】
本発明は、デザイナ自身がデザインの製作過程に具体的に関わりながら、三次元の立体モデルを生成し、編集することができるシステムを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、具体的には次のようなものを提供する。
【0013】
(1)ユーザの手描き動作に応じて、コンピュータによって、三次元の立体形状をデザインする立体形状生成システムであって、前記立体形状を表示する表示手段と、二次元平面の位置を示す位置データを前記手描き動作に応じて入力する入力手段と、前記入力手段が入力した前記位置データに基づいてポリラインを作成するポリライン作成手段と、前記ポリライン作成手段が作成した第1のポリラインによって形成される基準外形を横断面とする前記立体形状を生成する立体形状生成手段と、前記立体形状生成手段が生成した前記立体形状を前記表示手段に表示させ、表示された前記立体形状に対して行った前記手描き動作に基づいて前記ポリライン作成手段が作成した前記ポリラインから前記立体形状に沿った第2のポリラインを作成する立体形状ライン作成手段と、前記第2のポリラインに基づいて前記立体形状を編集すると共に、編集された前記立体形状を前記表示手段に表示する立体形状編集手段と、を備えることを特徴とする立体形状生成システム。
【0014】
(1)の構成によれば、本発明に係る立体形状生成システムは、ユーザの手描き動作に応じて、コンピュータによって、三次元の立体形状をデザインする立体形状生成システムであって、立体形状を表示する表示手段と、二次元平面の位置を示す位置データを手描き動作に応じて入力する入力手段とを備える。そして、本発明に係る立体形状生成システムは、入力手段が入力した位置データに基づいてポリラインを作成し、作成した第1のポリラインによって形成される基準外形を横断面とする立体形状を生成し、生成した立体形状を表示手段に表示させ、表示された立体形状に対して行った手描き動作に基づいて作成したポリラインから立体形状に沿った第2のポリラインを作成し、第2のポリラインに基づいて立体形状を編集すると共に、編集された立体形状を表示手段に表示する。
【0015】
すなわち、本発明に係る立体形状生成システムは、ユーザが手描き入力した基準外形から立体形状を生成し、表示し、表示した立体形状に対してユーザが行った手描き動作に基づいて、立体形状を編集する。したがって、本発明に係る立体形状生成システムは、デザインの生成及び編集に、ユーザであるデザイナ自身が手描き動作によって具体的に関わりながら、デッサンしたり、クレーを修正したりするかのように、三次元の立体モデルを生成し、編集することができる。
【0016】
(2) (1)記載の立体形状生成システムであって、前記立体形状編集手段は、前記立体形状を構成する面を前記第2のポリラインの位置に応じて修正する立体形状面修正手段と、前記立体形状面修正手段が修正した面に基づいて、前記横断面に対して反対側の面を同一の形状にするミラーリング手段と、を更に備えることを特徴とする立体形状生成システム。
【0017】
(2)の構成によれば、(1)に記載の立体形状生成システムは、立体形状を構成する面を第2のポリラインの位置に応じて修正し、修正した面に基づいて、横断面に対して反対側の面を同一の形状にする。したがって、本発明に係る立体形状生成システムは、デザインの生成及び編集に、ユーザであるデザイナ自身がデッサンしたり、クレーを修正したりするかのように、三次元の立体モデルを生成し、編集することができる。
【0018】
(3) (1)又は(2)に記載の立体形状生成システムであって、前記立体形状生成手段は、前記第1のポリラインの内部領域にメッシュを作成するメッシュ作成手段を更に備え、前記立体形状編集手段は、前記メッシュを再構成するリメッシュ手段を更に備える、ことを特徴とする立体形状生成システム。
【0019】
(3)の構成によれば、(1)又は(2)に記載の立体形状生成システムは、第1のポリラインの内部領域にメッシュを作成し、メッシュと、第1のポリラインとに基づいて基本外形となる立体形状を生成し、生成した立体形状のメッシュを再構成する。したがって、本発明に係る立体形状生成システムは、立体形状をメッシュで構成及び再構成をすることにより、デザインの生成及び編集に、ユーザであるデザイナ自身がデッサンしたり、クレーを修正したりするかのように、三次元の立体モデルを生成し、編集することができる。
【0020】
(4) (1)乃至(3)のいずれかに記載の立体形状生成システムであって、前記立体形状に関するデータを記憶する立体形状記憶手段を更に備え、前記立体形状編集手段は、前記編集した前記立体形状を前記立体形状記憶手段に記憶することを特徴とする立体形状生成システム。
【0021】
(4)の構成によれば、(1)乃至(3)のいずれかに記載の立体形状生成システムは、編集した立体形状を立体形状記憶手段に記憶する。したがって、本発明に係る立体形状生成システムは、編集した立体形状を記憶しているので、以前の立体形状に戻って再編集したり、以前の立体形状と比較したりすることによって、三次元の立体モデルを生成し、編集することができる。
【0022】
(5) ユーザの手描き動作に応じて二次元平面の位置を示す位置データを入力する入力手段と、立体形状を表示する表示手段とを有するコンピュータによって、三次元の立体形状をデザインする方法であって、前記入力手段が入力した前記位置データに基づいてポリラインを作成するステップと、前記作成した第1のポリラインによって形成される基準外形を横断面とする前記立体形状を生成するステップと、前記生成した前記立体形状を前記表示手段に表示させ、表示された前記立体形状に対して行った前記手描き動作に基づいて作成した前記ポリラインから前記立体形状に沿った第2のポリラインを作成するステップと、前記第2のポリラインに基づいて前記立体形状を編集すると共に、当該編集された前記立体形状を前記表示手段に表示するステップと、を備えることを特徴とする方法。
【0023】
(5)の構成によれば、本発明に係るデザインする方法は、入力した位置データに基づいてポリラインを作成し、作成した第1のポリラインによって形成される基準外形を横断面とする立体形状を生成し、生成した立体形状を表示手段に表示させ、表示された立体形状に対して行った手描き動作に基づいて作成したポリラインから立体形状に沿った第2のポリラインを作成し、第2のポリラインに基づいて立体形状を編集すると共に、当該編集された立体形状を表示手段に表示する。したがって、本発明に係るデザインする方法は、デザインの生成及び編集に、ユーザであるデザイナ自身が立体形状に対する手描き動作によって具体的に関わりながら、デッサンしたり、クレーを修正したりするかのように、三次元の立体モデルを生成し、編集することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、デザイナ自身がデザインの製作過程に具体的に関わりながら、デザイナ自身がデッサンしたり、クレーを修正したりするかのように、三次元の立体モデルを生成し、編集することができる。
【0025】
更に、本発明によれば、紙にデザインスケッチを描く感覚で三次元の立体製品図形をデザインすることができるので、デザインの精度や多様性、反復性を向上させることができる。また、スケッチデザイナと立体図作成者(CAD操作者)と2工程の分業で実施される工程がスケッチデザイナ一人分の工数で行うことができるため工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係る立体形状生成システム100の特徴を示す図である。
【図2】本実施形態に係る立体形状生成システム100の全体構成及び機能構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係る基準外形の立体形状を生成する処理のフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る立体形状の生成の具体例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る立体形状の編集処理のフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る立体形状の編集の具体例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る立体形状の編集の別の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る立体形状生成システム100の特徴を示す図である。
【0029】
立体形状生成システム100は、平面500上でユーザの手描き動作によって描かれた(例えば、ペン501を用いて描かれた)二次元の形状201である基準外形を横断面とする三次元の立体形状301を生成する。そして、立体形状生成システム100は、生成した三次元の立体形状301に基づいて、二次元の形状202を表示し、表示した二次元の形状202に対するユーザの手描き動作に基づいて三次元の立体形状302を編集する。例えば、二次元の形状202に対し、線を描き入れ、角を取り丸みをつける手描き動作により二次元の形状203で表示されるような三次元の立体形状が編集される。同様に、例えば、二次元の形状203に対し、立体形状を特徴付けるキャラクターラインを調整する手描き動作により二次元の形状204となり、更にキャラクターラインを加え、面の表情をつけることにより二次元の形状205となり、更に車輪を設定することにより、三次元の立体形状302が編集される。
【0030】
[立体形状生成システム100の全体構成及び機能構成]
図2は、本実施形態に係る立体形状生成システム100の全体構成及び機能構成を示す図である。立体形状生成システム100は、入力手段としてデジタイザ1と、表示手段としてモニタ5と、制御部10と、記憶部20とを備えている。立体形状生成システム100は、ユーザの手描き動作、例えば、フリーハンドの手描きライン、に応じて立体形状をデザインする。
【0031】
デジタイザ1と、モニタ5と、制御部10と、記憶部20とは、それぞれ図示しないバスラインを介して接続されている。
【0032】
[デジタイザ1]
デジタイザ1は、入力装置であり、板状部材2と、ペン部材3とを組み合わせた構造である。板状部材2は、モニタ5の中での位置を検出するための板状の装置である。ペン部材3は、モニタ5に対する位置を指示するためのペン型の装置である。デジタイザ1は、モニタ5に対応する板状部材2の上でペン部材3により絶対位置を指定するため、細かい作業に向いている。デジタイザ1は、従来、鉛筆等の筆記用具を使用して紙にデザインしていたユーザが、従来のデザイン作業と同等の感覚でデザイン作業ができることから選択された。デジタイザ1は、ペン部材3の進化に伴って、より紙に描く感じでユーザに作業を行わせることができる。
【0033】
デジタイザ1は、手描き動作に応じた二次元の位置を示す位置データを入力する。すなわち、デジタイザ1は、ペン部材3の手描き動作に応じたX軸、Y軸の位置データを、立体形状生成システム100に入力する。なお、デジタイザ1の他に、位置データを入力する装置、例えば、小型のデジタイザであるタブレットや、タッチパネル式のポインティングデバイス等であってもよい。
【0034】
[モニタ5]
モニタ5は、例えば、デジタイザ1に入力した輪郭線から作成されたポリラインを表示するブラウン管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置である。
【0035】
[制御部10]
制御部10は、情報の演算及び処理を行う情報演算処理装置(CPU)であり、当該立体形状生成システム100の全体を制御するものである。制御部10は、記憶部20に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、立体形状生成システム100のハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0036】
制御部10は、ポリライン作成手段11と、立体形状生成手段12と、メッシュ作成手段121と、立体形状ライン作成手段13と、立体形状編集手段14と、立体形状面修正手段141と、リメッシュ手段142と、ミラーリング手段143とを備える。
【0037】
[制御部10のポリライン作成手段11]
ポリライン作成手段11は、デジタイザ1が入力した位置データに基づいてポリラインを作成する。ポリラインの作成によって、いくつかの線分や円弧で構成される線が一つのポリラインになる。
【0038】
[制御部10の立体形状生成手段12]
立体形状生成手段12は、ポリライン作成手段11が作成したポリラインによって形成される基準外形を横断面とする立体形状を生成する。更に、立体形状生成手段12はメッシュ作成手段121を備え、メッシュ作成手段121は、ポリライン作成手段11が作成したポリラインの内部領域にメッシュを作成する。そして、立体形状生成手段12は、メッシュ作成手段121が作成したメッシュの各頂点の奥行き座標を決めることによって立体形状を生成し、生成した立体形状を示す立体形状データを立体形状記憶部23に記憶する。
【0039】
また、三次元の立体形状の生成は、例えば、Igarashi(1999)らによるアプリケーションのように、ポリラインによる形状の中間線を求め、中間線に対し奥行き形状を構築することによって、立体形状を生成してもよい。
【0040】
すなわち、例えば、立体形状生成手段12は、スケッチモードを設定する。スケッチモードにおいて、立体形状生成手段12は、デジタイザ1から入力した二次元の位置データをスケッチデータとして、ユーザの指定ごとにそれぞれ別々にデザイン記憶部22に記憶する。スケッチデータは、立体形状をユーザが真横から見た形状、いわゆるサイドビューを入力したデータである。ここで、デジタイザ1に手描き操作する場合、入力する線はユーザが紙にスケッチするタッチ(スケッチ入力という)と同様で構わない。例えば、入力する線は、一本の線であってもよいし、複数の短い線(マルチストローク入力による線)であってもよい。複数の短い線の場合は、書き始めの点を基準に、一定距離内の点群の重心位置を求めて、点列を作成し、一本のポリラインを生成する。
【0041】
次に、例えば、立体形状生成手段12は、基準外形生成モードを設定する。基準外形生成モードにおいて、立体形状生成手段12は、スケッチモードにおいて作成したスケッチデータの中から、ユーザによって指定されたスケッチデータを選択し、選択したスケッチデータに基づいて、立体を真横から見た場合の立体の断面の輪郭線を作成する。そして、立体形状生成手段12は、ユーザからの指示によって決定された輪郭線に基づいて、ポリラインを作成し、立体形状を生成する。
【0042】
ここで、立体の断面の輪郭線は、立体形状のサイドビューからの輪郭線であって、立体の中心軸での断面図形を形成する。この輪郭線の入力線は、様々に入力されている状態であっても一つの閉じた線とする。すなわち、1本の線によって閉じた図形が描かれている場合は、描かれている線に基づいてポリラインを生成する。複数の短い線(マルチストローク入力による線)で構成される図形が描かれている場合は、複数の短い線を連続の線とし、閉じていない場合は端点同士を直線で接続して閉じた図形を描く線に基づいてポリラインを生成する。全て手描き入力線を用いて立体を編集できることで、よりユーザの感性が活かせる。手描き入力線は、立体自身の形状情報の一部として随時算出できるセクション線及び輪郭線と、意匠デザインそのものに関与する特徴線(キャラクターライン)に大別される。
【0043】
[制御部10の立体形状ライン作成手段13]
立体形状ライン作成手段13は、立体形状生成手段12が生成した立体形状をモニタ5に表示させ、当該表示した立体形状に対して行った手描き動作に基づいてポリライン作成手段11が作成したポリラインから立体形状に沿ったポリラインを作成する。例えば、立体形状ライン作成手段13は、デジタイザ1により入力された二次元平面の位置データに基づいてポリライン作成手段11が作成したポリラインを、立体形状記憶部23に記憶した三次元の座標データに対応させることにより、立体形状に沿ったポリラインを作成する。すなわち、立体形状ライン作成手段13は、ラインの生成及び編集を行う。
【0044】
[制御部10の立体形状ライン作成手段13(ラインの生成及び編集)]
立体形状ライン作成手段13は、手描き動作によりラインを生成する。ラインのなかで、車両等をデザインする上で、構造上又はデザイン上で特徴のあるラインをキャラクターラインという。ラインは、デジタイザ1のペンを用いて一本の線、又は複数の短い線(マルチストローク入力による線)で手描き入力される。
【0045】
立体形状ライン作成手段13は、手描き動作によりラインの編集をする。ラインの編集には、平滑化処理、延長処理、接続処理、削除処理がある。ラインが複数存在する場合に、編集されるラインは、ユーザの指定によって選択される。また、ラインの編集は、編集のために入力されたラインと、入力されたラインの周辺のラインとの距離を求め、最も近いラインを自動的に編集するとしてもよい。
【0046】
平滑化処理は、ラインをより滑らかにし、該当ラインが接する面のメッシュも含めて平滑化できる。例えば、平滑化処理は、ユーザによって指定されたリッジ範囲について、Taubin‘95のラムダミューアルゴリズムを、変形対象1次元ポリラインの各頂点に適用し、その結果を最終線形状ターゲット曲線として仮決めし、仮決めしたターゲット曲線に対して離散ラプラシアンメッシュスムージングを適用し、周囲メッシュ形状を追従させて全体形状との整合付けをすることによって行うことができる。
【0047】
延長処理は、ラインを好みの方向、長さに延長し、立体形状に反映させる。接続処理は、近接する2つ以上のラインを接続する。削除処理は、例えば、ラインの部分的選択や、個別ライン選択や、複数ラインの一括選択等により選択されたラインを削除する。
【0048】
[制御部10の立体形状編集手段14]
立体形状編集手段14は立体形状ライン作成手段13が作成したポリラインに基づいて立体形状を編集すると共に、当該編集した立体形状をモニタ5に表示する。更に、立体形状編集手段14は、立体形状面修正手段141と、リメッシュ手段142と、ミラーリング手段143とを備え、立体形状面修正手段141は、立体形状ライン作成手段13が作成したポリラインの周囲の面を修正する。リメッシュ手段142は、メッシュを再構成し、ミラーリング手段143は、立体形状面修正手段141が修正した面に基づいて、横断面に対して反対側の面を同一の形状にする。
【0049】
すなわち、例えば、立体形状編集手段14は、形状の編集及び修正、輪郭線の修正、メッシュの再構成、操作に応じた変形、任意の部分の削除、ミラーリング、スケーリング、タイヤ生成、表示方法の設定、形状の設定を行う。
【0050】
[制御部10の立体形状編集手段14(形状の編集及び修正)]
立体形状編集手段14の立体形状面修正手段141は、キャラクターラインの変更、例えば、キャラクターラインの移動、キャラクターラインの修正、キャラクターラインのつまみ出し、キャラクターラインの押し込み、と共にキャラクターラインの周囲の面を合わせて編集、修正することによって、形状の編集及び修正を行う。
【0051】
キャラクターラインの移動は、キャラクターライン全体又は一部分を移動させることにより関連する面の修正も行う。キャラクターラインの修正は、キャラクターラインの修正に伴う関連する面の修正も行う。キャラクターラインのつまみ出しは、任意のキャラクターラインの任意のポイントを指定して面の外側につまみ出すことにより周囲の形状と共に編集する。その影響範囲と修正量においては、スライドバーによって任意に設定できる。キャラクターラインの押し込みは、任意のキャラクターラインの任意のポイントを指定して面の内側に押し込むことにより周囲の形状と共に編集する。その影響範囲と修正量においては、スライドバーによって任意に設定できる。
【0052】
ここで、キャラクターラインのつまみ出し又は押し込むことと共に行う周囲の形状の編集は、例えば、メッシュ表面形状の特徴量である平均曲率を離散ラプラシアン演算子としての微分座標で近似し、位置変化及び微分座標変化を共に最小化するような変形を計算することによって行うことができる。このような計算は、大規模疎行列のデータ構造にCCS(Compressed Column Storage)、CRS(Compressed Row Storage)を用いて高速化することによって、ユーザにインタラクティブで直感的な操作を提供することができる。
【0053】
[制御部10の立体形状編集手段14(輪郭線の修正、セクション線による編集)]
立体形状編集手段14は、輪郭線の修正、セクション線による編集により立体形状の編集を行う。輪郭線は、基準外形立体生成時に設定した輪郭線であるが、編集途中においてもその時点での立体形状の輪郭線を修正することで、立体形状の編集を行うことができる。セクション線は、三次元の立体形状にX軸、Y軸、及びZ軸を設定した場合に、X軸及びY軸を含むXY面、X軸及びZ軸を含むXZ面、又はY軸及びZ軸を含むYZ面のいずれかの面を基準にして、基準面が切る形状の断面の外郭をいう。このセクション線に基づいて、形状編集を行う。セクション線の入力は、スケッチ入力することにより編集できる。輪郭線の修正や、セクション線の修正による立体形状の編集を左側の面に行った場合、デフォルトでは右側も対照的に編集される。
【0054】
[制御部10の立体形状編集手段14(メッシュの再構成、操作に応じた変形)]
立体形状編集手段14のリメッシュ手段142は、メッシュの再構成を行う。メッシュの再構成処理は、例えば、エッジ分割、エッジ除去、エッジフリップ、及び頂点移動の4つの基本位相操作を繰り返すことによって行うことができる。この処理により、リメッシュ手段142は、ポリゴンメッシュの構成要素である個々の三角ポリゴンを高速に再構成し、品質の高い等方的な三角メッシュを維持することができる。
【0055】
立体形状編集手段14は、エアブラシ風の操作による立体形状の変形を行う。エアブラシ風の操作は、ペンにて変形させたい箇所をなぞることにより修正面を選択する。選択した修正面について、面つまみ出し、面の押し込みを行う。面つまみ出し修正は、なぞられた箇所を面の外側につまみ出すように修正する。その影響範囲と修正量はスライドバーにて任意に設定できる。面の押し込み修正は、なぞられた箇所を面の内側に押し込むように修正する。その影響範囲と修正量はスライドバーにて任意に設定できる。立体形状編集手段14は、左側の修正を実施した場合には、対象となる右側も修正する。
【0056】
ここで、立体形状の修正処理は、例えば、修正面であるポリゴンメッシュ形状に適用可能な離散的なラプラシアンオペレータを定義し、形状の高周波ノイズ除去フィルタを実現することにより行うことができる。この処理により、立体形状編集手段14は、形状処理操作の中で発生する、表面形状の細かな高周波の凹凸ノイズを軽減し、ハイクオリティな曲面を保持することができる。
【0057】
[制御部10の立体形状編集手段14(任意の部分の削除)]
立体形状編集手段14は、任意の部分を削除(チョップオフ)する。削除は、任意のカットラインを手描きにより入力することで指定され、指定された任意の部分を削除し、関連する編集をする。
【0058】
[制御部10の立体形状編集手段14(ミラーリング)]
立体形状編集手段14のミラーリング手段143は、立体形状の横断面に対して左右の形状を同一にする(ミラーリング)。すなわち、立体形状の横断面に対して一方の片側面について実施されたラインや形状の修正は、立体形状の横断面に対して他方の片側面についても実施される。車両等は、通常は左右対称形状をしているので、片側への修正が実施され完了することにより、この左右の形状を同一化する処理が自動的にリアルタイムで適用される。この場合において、フロントやリヤの修正時には両方の側面に跨って修正が実施される場合があるが、その場合には中心(y=0)を境にどちらの側面の修正量(範囲)が大きいかを判断して大きいほうの側面を基準にして処理が実行される。
【0059】
ミラーリング処理は、例えば、位相安全なエッジ切り、片側面と同一の形状の複製、複製した形状と元の形状との融合、及び融合面のリメッシュ処理を行うことにより実現することができる。この処理により、ミラーリング手段143は、左右対称形状をリアルタイムで提供することができる。
【0060】
[制御部10の立体形状編集手段14(スケーリング)]
立体形状編集手段14は、スケーリングを行う。スケーリングは、XYZの各軸方向に任意に縮小、拡大する機能である。
【0061】
[制御部10の立体形状編集手段14(タイヤ生成)]
立体形状編集手段14は、タイヤ生成を行う。タイヤ生成は、タイヤコマンドを設定し、まずフロントタイヤを着けたい位置に着けたい大きさで円を描くことにより、一方の片側のフロントタイヤが生成される。他方の片側のフロントタイヤも自動的に生成される。リヤタイヤにおいても同様に生成し、トレッドの修正もする。
【0062】
[制御部10の立体形状編集手段14(表示方法の設定)]
立体形状編集手段14は、立体形状の表示方法の設定を行う。表示方法の設定には、(ア)任意の角度から照射するライト(環境光、拡散光、鏡面光等)の設定(色の反射の変化にも対応)、(イ)生成された形状の色の設定(ソリッドやメタル等の設定も可)、(ウ)見る方向の任意設定、(エ)背景色や形式の設定がある。
【0063】
[制御部10の立体形状編集手段14(形状の設定)]
立体形状編集手段14は、部品ごとの色及び質感の設定を行う。色及び質感の設定は、(ア)ウィンドウ設定として、青(透明)ガラス、シールドガラス(色、反射率)、(イ)ライト(照明)の設定、(ウ)モールの設定等がある。
【0064】
[制御部10の立体形状編集手段14(生成及び編集作業の繰り返し)]
立体形状編集手段14は、各生成及び編集作業を履歴として記憶し、任意の時点(履歴ステータス)の生成及び編集作業を繰り返し実行できる。例えば、立体形状編集手段14は、各生成及び編集作業のデータを立体形状記憶部23に記憶し、記憶したデータをノードとする木構造を構成することにより、任意の時点の生成及び編集作業を繰り返し実行することを実現できる。立体形状編集手段14は、この様に、鉛筆での修正(例えば、消しゴムで消して、また書いて)を繰り返しながら進めていくようなデザイン作業を、効率のよい作業とすることにより、鉛筆と紙でのデザイン以上の質のよいデザインを創出することができる。
【0065】
[記憶部20]
記憶部20は、本発明の処理に必要なコンピュータプログラム21a等を記憶する記憶装置である。記憶部20は、制御部10と組み合わせてプログラムの実行に使用するメモリを含んでよい。
【0066】
記憶部20を実現するものとして、電気的、磁気的、光学的、電磁的に実現するものを含んでよい。より具体的には、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)等を含む半導体記憶装置、磁気ディスク等が含まれる。
【0067】
記憶部20は、プログラム記憶部21と、デザイン記憶部22と、立体形状記憶手段として立体形状記憶部23とを備える。プログラム記憶部21は、本発明の処理を実行するコンピュータプログラム21a等のプログラムを記憶する領域である。デザイン記憶部22は、ユーザがデッサンしたスケッチ図を記憶する。
【0068】
立体形状記憶部23は、制御部10により生成し、編集した立体形状に関するデータを記憶する。立体形状に関するデータには、例えば、三次元の座標データ、ポリライン情報、面情報、材質、色等のデータがある。また、立体形状記憶部23は、各生成及び編集作業の履歴を記憶する。立体形状生成システム100は、立体形状記憶部23に履歴を記憶することにより、任意の立体形状に戻って再編集したり、任意の立体形状と比較したりすることができる。
【0069】
ここで、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいい、立体形状生成システム100は、記憶部20、制御部10等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0070】
なお、立体形状生成システム100を構成するハードウェアの数に制限はなく、必要に応じて1又は複数のハードウェアで構成してよい。また、複数のハードウェアで構成する場合には、通信回線(図示せず)を介して各ハードウェアを接続してもよい。更に、立体形状生成システム100を、例えば、クライアント・サーバ形式にして、入出力のインタフェースをクライアント側で行い、処理をサーバ側で行う構成にしてもよい。
【0071】
[処理フロー]
次に、処理の流れについて説明する。ここでは、車両のデザインに関して、ユーザが車両を真横から見て、XZ平面上に車両のサイドビューをスケッチして、そのスケッチ図を利用して車両の基準外形の立体形状を作成する例を説明する。図3は、本実施形態に係る基準外形の立体形状を生成する処理のフローチャートである。
【0072】
まず、図3のステップS(以下、単にSという。)1では、制御部10は、スケッチモードか否かを判断する。より具体的には、制御部10は、ユーザから指定されたモード、例えば、デジタイザ1から入力したモードに関するデータ、がスケッチモードか否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をS3に移し、NOの場合は、S2に移す。
【0073】
S2において、制御部10は、基準外形生成モードか否かを判断する。より具体的には、制御部10は、ユーザから指定されたモード、例えば、デジタイザ1から入力したモードに関するデータ、が基準外形生成モードか否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をS4に移し、NOの場合は、処理を終了する。
【0074】
S3において、制御部10は、手描き動作によるスケッチデータを生成し、デザイン記憶部22に記憶する。より具体的には、制御部10は、手描き動作によってデジタイザ1から入力したスケッチデータを、スケッチごとに別々のフォルダとし、デザイン記憶部22に記憶する。その後、制御部10は、処理を終了する。
【0075】
S4において、制御部10は、ユーザによって選択されたスケッチデータに基づいて、基準外形の立体形状を生成し、立体形状記憶部23に記憶する。より具体的には、制御部10は、ユーザからの選択を受け付け、S3において作成したスケッチデータの中から選択されたスケッチデータによって形成される基準外形を横断面とする立体形状を生成する。立体形状の生成は、基準外形の内部領域にメッシュを作成し、作成したメッシュの各頂点の奥行き座標を決めることによって生成し、生成した立体形状を示す立体形状データを立体形状記憶部23に記憶する。その後、制御部10は、処理を終了する。
【0076】
図4は、本実施形態に係る立体形状の生成の具体例を示す図である。
【0077】
図4(1)は、デジタイザ1において、ペン部材3を用いて平面である板状部材2上に手描き動作により描いた形状206が、モニタ5に表示形状406として表示されていることを示している。
【0078】
図4(2)は、デジタイザ1において、ペン部材3を用いて平面である板状部材2上に手描き動作により描いた形状206に基づいて、基準外形の立体形状306が生成された例を示している。
【0079】
図5は、本実施形態に係る立体形状の編集処理のフローチャートである。
【0080】
まず、図5のS11において、制御部10は、記憶した立体形状を表示する。より具体的には、制御部10は、ユーザによる立体形状の選択を受け付け、立体形状記憶部23に記憶した立体形状の中から選択された立体形状の立体形状データに基づいて、モニタ5に表示する。
【0081】
S12において、制御部10は、手描き動作を受け付ける。より具体的には、制御部10は、ユーザがデジタイザ1の板状部材2にペン部材3を用いて手描きしたデータを入力する。入力したデータには、手描き動作によるラインのマルチストローク入力や、立体形状の編集に関するコマンドの入力等がある。
【0082】
S13において、制御部10は、処理がライン関係か否かを判断する。より具体的には、制御部10は、デジタイザ1から、例えば処理コマンド等を入力し、入力したコマンドがラインの生成等か否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をS14に移し、NOの場合は、処理をS15に移す。
【0083】
S14において、制御部10は、ラインの生成、延長及び削除等により立体形状を編集する。より具体的には、制御部10は、ラインの生成処理により、デジタイザ1により入力された二次元平面の位置データに基づいて作成したポリラインを、立体形状記憶部23に記憶した三次元の座標データに対応させることにより、立体形状に沿ったポリラインを作成する。制御部10は、ラインの平滑化処理により、ラインを滑らかにし、該当ラインが接する面のメッシュも含めて滑らかにする。制御部10は、ラインの延長処理により、ラインを好みの方向、長さに延長し、立体形状に反映させる。制御部10は、ラインの接続処理により、近接する2つ以上のラインを接続する。制御部10は、ラインの削除処理により、例えば、ラインの部分的選択や、個別ライン選択や、複数ラインの一括選択等により選択されたラインを削除する。その後、制御部10は、処理をS22に移す。
【0084】
S15において、制御部10は、処理が形状関係か否かを判断する。より具体的には、制御部10は、デジタイザ1から、例えば処理コマンド等を入力し、入力したコマンドが形状の修正か否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をS16に移し、NOの場合は、処理をS17に移す。
【0085】
S16において、制御部10は、キャラクターラインの変更、輪郭線の修正、及びセクション線による編集を行い、立体形状を編集する。より具体的には、制御部10は、キャラクターラインの変更としてキャラクターラインの移動、キャラクターラインの修正、キャラクターラインのつまみ出し、キャラクターラインの押し込み、と共に当該キャラクターラインの位置に応じて立体形状を構成する面を合わせて編集、修正する。また、制御部10は、輪郭線の修正による立体形状の編集、セクション線の修正による立体形状の編集を行う。その後、制御部10は、処理をS22に移す。
【0086】
S17において、制御部10は、処理がメッシュ関係か否かを判断する。より具体的には、制御部10は、デジタイザ1から、例えば処理コマンド等を入力し、入力したコマンドがメッシュに関するか否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をS18に移し、NOの場合は、処理をS19に移す。
【0087】
S18において、制御部10は、メッシュの再構成により立体形状を編集する。より具体的には、制御部10は、エッジ分割、エッジ除去、エッジフリップ、及び頂点移動の4つの基本位相操作を繰り返し行うことによるメッシュの再構成を行い、立体形状を編集する。その後、制御部10は、処理をS22に移す。
【0088】
S19において、制御部10は、処理がミラー関係か否かを判断する。より具体的には、制御部10は、デジタイザ1から、例えば処理コマンド等を入力し、入力したコマンドがミラー関係か否かを判断する。この判断がYESの場合は、処理をS20に移し、NOの場合は、処理をS21に移す。
【0089】
S20において、制御部10は、ミラー処理により立体形状を編集する。より具体的には、制御部10は、位相安全なエッジ切り、片側面と同一の形状の複製、複製した形状と元の形状との融合、及び融合面のリメッシュ処理によるミラー処理により立体形状を編集する。その後、制御部10は、処理をS22に移す。
【0090】
S21において、制御部10は、手描き動作に基づいて、立体形状に関するその他の処理を行い、立体形状を編集する。より具体的には、制御部10は、ラインの修正及び形状の修正以外、例えば、光源の設定、タイヤ設定等のコマンドに基づいて処理を実行する。実行する処理は、例えば、光源の設定により立体形状への光源を設定し、設定された光源に基づいて陰影を施す処理、タイヤ設定に基づいて、指定された位置にタイヤを組み合わせ、立体形状を編集する処理等がある。
【0091】
S22において、制御部10は、手描き動作に基づいて編集した立体形状を記憶する。より具体的には、制御部10は、編集した立体形状の立体形状データを立体形状記憶部23に記憶する。その後、制御部10は、処理を終了する。
【0092】
図6は、本実施形態に係る立体形状の編集の具体例を示す図である。
【0093】
図6(1)は、モニタ5に立体形状410が表示され、デジタイザ1において、平面である板状部材2上にペン部材3を用いた手描き動作によりライン修正211と、ライン生成221とを行い、モニタ5に表示411、表示421がされていることを示している。その結果、図6(2)は、三次元の立体形状310において、範囲311のラインが滑らかなラインとなり、範囲321の面がキャラクターラインによって生成されたことを示している。
【0094】
図7は、本実施形態に係る立体形状の編集の別の具体例を示す図である。
【0095】
図7(1)は、モニタ5に立体形状430が拡大されて表示され、デジタイザ1において、平面である板状部材2上にペン部材3を用いた手描き動作によりライン生成231を行い、モニタ5に表示431がされていることを示している。その結果、図7(2)は、三次元の立体形状330において、生成されたライン331の周辺の面が生成されたことを示している。
【0096】
実施例によれば、立体形状生成システム100は、立体形状を表示するモニタ5と、二次元平面の位置を示す位置データを手描き動作に応じて入力するデジタイザ1とを備える。そして、立体形状生成システム100は、デジタイザ1が入力した位置データに基づいてポリラインを作成し、作成した第1のポリラインによって形成される基準外形を横断面とする立体形状を生成し、生成した立体形状をモニタ5に表示させ、当該表示した立体形状に対して行った手描き動作に基づいて作成したポリラインから立体形状に沿った第2のポリラインを作成し、作成した第2のポリラインに基づいて立体形状を編集すると共に、当該編集した立体形状をモニタ5に表示する。
【0097】
更に、立体形状生成システム100は、基本外形となる立体形状の生成を、第1のポリラインの内部領域にメッシュを作成し、メッシュと、第1のポリラインとに基づいて行い、作成した第2のポリラインの位置に応じて立体形状を構成する面を修正し、修正した面に基づいて、横断面に対して反対側の面を同一の形状にし、立体形状のメッシュを再構成し、編集した立体形状を立体形状記憶部23に記憶する。したがって、立体形状生成システム100は、デザインの生成及び編集に、モニタ5に表示した立体形状に対する手描き動作によって具体的に関わりながら、ユーザであるデザイナ自身がデッサンしたり、クレーを修正したりするかのように、三次元の立体モデルを生成し、編集することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 デジタイザ
2 板状部材
3 ペン部材
5 モニタ
10 制御部
11 ポリライン作成手段
12 立体形状生成手段
13 立体形状ライン作成手段
14 立体形状編集手段
20 記憶部
21 プログラム記憶部
21a コンピュータプログラム
22 デザイン記憶部
23 立体形状記憶部
100 立体形状生成システム
121 メッシュ作成手段
141 立体形状面修正手段
142 リメッシュ手段
143 ミラーリング手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの手描き動作に応じて、コンピュータによって、三次元の立体形状をデザインする立体形状生成システムであって、
前記立体形状を表示する表示手段と、
二次元平面の位置を示す位置データを前記手描き動作に応じて入力する入力手段と、
前記入力手段が入力した前記位置データに基づいてポリラインを作成するポリライン作成手段と、
前記ポリライン作成手段が作成した第1のポリラインによって形成される基準外形を横断面とする前記立体形状を生成する立体形状生成手段と、
前記立体形状生成手段が生成した前記立体形状を前記表示手段に表示させ、表示された前記立体形状に対して行った前記手描き動作に基づいて前記ポリライン作成手段が作成した前記ポリラインから前記立体形状に沿った第2のポリラインを作成する立体形状ライン作成手段と、
前記第2のポリラインに基づいて前記立体形状を編集すると共に、編集された前記立体形状を前記表示手段に表示する立体形状編集手段と、
を備えることを特徴とする立体形状生成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の立体形状生成システムであって、
前記立体形状編集手段は、
前記立体形状を構成する面を前記第2のポリラインの位置に応じて修正する立体形状面修正手段と、
前記立体形状面修正手段が修正した面に基づいて、前記横断面に対して反対側の面を同一の形状にするミラーリング手段と、
を更に備えることを特徴とする立体形状生成システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の立体形状生成システムであって、
前記立体形状生成手段は、
前記第1のポリラインの内部領域にメッシュを作成するメッシュ作成手段を更に備え、
前記立体形状編集手段は、
前記メッシュを再構成するリメッシュ手段を更に備える、
ことを特徴とする立体形状生成システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の立体形状生成システムであって、
前記立体形状に関するデータを記憶する立体形状記憶手段を更に備え、
前記立体形状編集手段は、前記編集した前記立体形状を前記立体形状記憶手段に記憶することを特徴とする立体形状生成システム。
【請求項5】
ユーザの手描き動作に応じて二次元平面の位置を示す位置データを入力する入力手段と、立体形状を表示する表示手段とを有するコンピュータによって、三次元の立体形状をデザインする方法であって、
前記入力手段が入力した前記位置データに基づいてポリラインを作成するステップと、
前記作成した第1のポリラインによって形成される基準外形を横断面とする前記立体形状を生成するステップと、
前記生成した前記立体形状を前記表示手段に表示させ、表示された前記立体形状に対して行った前記手描き動作に基づいて作成した前記ポリラインから前記立体形状に沿った第2のポリラインを作成するステップと、
前記第2のポリラインに基づいて前記立体形状を編集すると共に、当該編集された前記立体形状を前記表示手段に表示するステップと、
を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−271828(P2010−271828A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121917(P2009−121917)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】