立体撮影装置、およびそれを備えた電子機器
【課題】 立体像をつくるための視差のある2つの画像を同時に撮像できる立体カメラを実現することを目的とする。
【解決手段】 被写体0の像を取り込む2か所の光入射部10、12と、光入射部10から入射した入射画像と光入射部12から入射した入射画像の同じ偏光成分をP偏光成分とS偏光成分として合成して、カメラ光学系部3に導く偏光合成部2と、合成されて入射した像を所望の倍率で撮像センサ上に結像するように結像画像を出射するカメラ光学系部3とカメラ光学系部3を出射した結像画像を偏光の違いにより2つの撮像センサ(素子)5、6方向に分離する偏光分離部4と分離した像を撮像(光電変換)した後A/D変換して得たデジタル画像データから画像を形成する画像処理装置7とから成る。
【解決手段】 被写体0の像を取り込む2か所の光入射部10、12と、光入射部10から入射した入射画像と光入射部12から入射した入射画像の同じ偏光成分をP偏光成分とS偏光成分として合成して、カメラ光学系部3に導く偏光合成部2と、合成されて入射した像を所望の倍率で撮像センサ上に結像するように結像画像を出射するカメラ光学系部3とカメラ光学系部3を出射した結像画像を偏光の違いにより2つの撮像センサ(素子)5、6方向に分離する偏光分離部4と分離した像を撮像(光電変換)した後A/D変換して得たデジタル画像データから画像を形成する画像処理装置7とから成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止画または動画のステレオ撮影が可能な偏光合成式ステレオカメラ、特に、同一被写体の2つの偏光画像を合成し光学系を通して再び2つの偏光画像を得ることができる偏光合成式ステレオカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を立体的にディスプレイに表示する方法として被写体の画像を異なる2方向から撮影し、ステレオ画像を生成することが提案されている。また、被写体までの距離の測定のための1つの方法としても被写体のステレオ画像を生成し被写体のズレから、三角測量の原理を用いて被写体までの距離を測定することが行われている。
【0003】
このステレオ画像を撮影する一般的な方式としては以下のものがある。
(1)カメラを2台使用するもの。
(2)左右で対となる反射手段を使用してカメラの撮影素子を半分に分けて撮影するもの。
【0004】
(1)のカメラを2台使用する方式では、全く同じ特性のカメラ2台が必要であり、とくに、2台のカメラの取り付け、即ち光軸合わせを精度よく行う必要がある。また、2台のカメラに外部信号に同期させて映像を取り込む機構も必要である。例えば、特許文献1に記載されたものでは、左右カメラに夫々治具上に配置された位置決め装置を備え、この治具と平行に配置された白板に設けた参照点と参照水平線を用いて、カメラの光軸と水平角度を調節するようにしている。
【0005】
また(2)の左右で対となる反射手段を使用して、カメラの撮影素子を半分に分けて左右別々の撮像素子を使用して撮影する方式としては、例えば、2つの被写体光入射窓を持つステレオアダプタをステレオ撮影可能なカメラに取り付け、ステレオフォーマットの画面を2分割して右目用、左目用の写真を並べて露光するもの(特許文献2参照)、或いは、カメラの撮影素子を左右(水平方向)半分に分けて撮像を行った場合、左右の視野が狭くなるため、左右二つの撮影レンズの光路を回転ミラーと湾曲(凸面)ミラーを用いて左右方向に圧縮して撮像した後、画像処理で伸張して撮像素子全体を用いて撮像したときと同じアスペクト比にしたステレオアダプタ及びステレオ画像撮像装置(特許文献3参照)が知られている。
【0006】
ただ、このように撮像素子を左右に分割して使用すると、左右で同じ撮影対象(被写体)を取り込む光軸が異なる(物理的に離れた位置にある)ため、レンズの歪みをうち消すように撮像した左右画像を補正する必要があるだけではなく、撮像画像の左右方向の視野が狭くなるため、これを回避しようとすれば、例えば、特許文献3に記載されているような複雑な補正手段が必要になる。また左右の画像は撮像素子の半分で撮像するため、全体画素を用いて撮像する場合に比して、画像が粗くなるという問題もある。
【0007】
また、それ以外に、特許文献4として、右目用の像としてP偏光像、左目用の像としてS偏光像とし、偏光の違いにより撮像することも考えられるが、S偏光は反射しやすく、水面やガラス窓を写すと反射光がよく写り、P偏光は反射光が写りにくいため、P偏光像とS偏光像では同じ像を写しても見え方に違いが発生し左右の像が異なり、2つの像を合成しても立体像としては認識しにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−229736号公報
【特許文献2】特開平7−77747号公報
【特許文献3】特開2003−140280号公報
【特許文献4】特開昭64−54438公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ステレオ画像を撮影するための従来の方式の問題を解消するためなされたものであって、その目的は、一旦ステレオアダプタで左右に分けた画像を、カメラの撮像画素全体で撮像して1枚の画像を形成することで従来の撮像画素を左右に分けた場合の問題を解決し、また、そこから左右画像を容易に分割できるようにすることで、従来のように光学系の補正や撮像画像の補正を必要とすることなく、ぶれや歪みのないステレオ画像を容易に得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本課題を解決するために本発明の立体撮像装置は、同一被写体像からそれぞれ異なる視差の偏光画像光線を取り出して、異なる偏光成分を分離する偏光分離膜を備えた第1のプリズムにより同一光軸上に合成画像光線を形成する偏光合成部と、前記偏光合成部で形成される合成画像光線を後記する複数の撮像素子に結像するカメラ光学系部と、第2のプリズムにより前記合成画像光線から異なる光軸方向に偏光画像光線を分離して複数の撮像素子に結像させる偏光分離部と、を有する。
【0011】
上記構成によれば、1台のカメラでぶれのない視差を持った立体画像を得ることができ、左右の撮像画像に歪みが発生することもないため、歪み補正のための装置や画像処理も必要としない。
【0012】
また、本発明の立体撮像装置は、前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線を、同一偏光成分とする。
【0013】
上記構成によれば、偏光の違いによる像の見え方の違いも解消でき、2つの画像を使って良好な立体画像が得られる。
【0014】
また、本発明の立体撮像装置は、前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線が、前記第1のプリズムを出射するまでの光路中に、位相を1/2λずらす手段が設けられている。
【0015】
上記構成によれば、前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線を、同一偏光成分とすることができる。
【0016】
また、本発明の立体撮像装置は、前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線は、S偏光成分の偏光であることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、反射の影響を反映した撮像画像が得られる。
【0018】
また、本発明の立体撮像装置の前記偏光合成部は、画像を結像するための2つのレンズと、一方の偏光を反射し、他方の偏光を透過する偏光分離膜が形成された第1のプリズムと、反射された一方の偏光に対して直交する面に配置したλ/4膜と、λ/4膜に平行に配置された反射面で構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、薄型でコンパクトな記偏光合成部が得られる。
【0020】
また、本発明の立体撮像装置の前記偏光合成部は、光入射部からカメラ光学系部への光出射部までの異なる画像の光路長が同じであることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、シンプルな構成で歪の無い撮像画像が得られる。
【0022】
また、本発明の偏光合成部は、前記2つのレンズの入射側または出射側に特定の偏光成分を透過するための偏光シートを備えることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、違和感のない立体像を得られる。
【0024】
また、本発明の立体撮像装置の前記偏光合成部は、前記カメラ光学系部は像の結像倍率を変更できるズーム光学系からなることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、ズーミングの可能な立体撮像装置が得られる。
【0026】
また、本発明の偏光合成部は、偏光の偏りを補正するための偏光補正シートを備えることを特徴とする。
【0027】
位相差シートを配置することで、偏光による偏りのある画像が偏りのない自然な画像にすることができる。位相差シートの配置位置は第1プリズムの偏光合成部の前段であれば良い。
【0028】
また、本発明の立体撮像装置は、前記偏光分離部は、一方の偏光画像と他方の偏光画像とを分離し、分離した一方の偏光画像を対応する撮像素子に結像させ、分離した他方の偏光画像を他方の対応する撮像素子に結像させるプリズムで構成されていることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の立体撮像装置は、前記第2のプリズムと前記複数の撮像素子の間には、偏光分離時のクロストークを低減するための偏光シートが配置されていることを特徴とする。
【0030】
上記構成によれば、偏光分離時のクロストークを低減することができる。
【0031】
また、本発明の立体撮像装置搭載した電子機器は1台のカメラでぶれのない視差を持った立体画像を得ることができる。
【0032】
また、本発明の立体撮像装置において、分離した二枚の画像に基づき被写体までの距離を算出する距離測定手段を有することにより、三角測量の原理に基づき、画像上に区切った小領域毎演算処理を施すことで、その小領域に含まれる物体までの距離を求めることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、1台のカメラでぶれのない視差を持った立体画像を得ることができるため、従来のように2台のカメラを用いた場合のように、全く同じ特性のカメラを2台用意する必要がなく、2台のカメラの取り付け、即ち光軸合わせ等の調整作業や、2台のカメラの同期機構等を必要としない。
【0034】
また、左右の撮像画像に歪みが発生することがないから、歪み補正のための装置や画像処理も必要としない。したがって、本発明によれば、コストだけではなくステレオ画像を得るための設備や処理負担も大幅に軽減できる。
【0035】
また、本発明によれば、二つの光入射部の距離に応じた視差を備えた同一被写体の同一偏光の画像光線を、一方の視差の画像光線の位相をλ/2ずらすことで、異なる偏光の画像光線として合成し、この合成画像光線を偏光分離素子で、互いに異なる偏光の画像光線に分離し、それぞれに対応した撮像素子に結像するため、偏光の違いによる像の見え方の違いも解消でき、2つの画像を使って良好な立体画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る立体撮影装置の概略図である。
【図2(a)】本発明の実施形態に係る立体撮影装置を説明する平面図である。
【図2(b)】本発明の実施形態に係る立体撮影装置を説明する斜視図である。
【図3】本発明の他の立体撮影装置の斜視図である。
【図4】本発明の他の偏光分離部の図である。
【図5】本発明の他の偏光分離部の図である。
【図6】本発明の他の偏光分離部の図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る立体撮影装置の概略図である。
【図8】本発明の他の偏光合成部の図である。
【図9】本発明の他の偏光合成部の図である。
【図10】本発明の他の偏光合成部の図である。
【図11】本発明の他の偏光合成部の図である。
【図12】画像処理装置の構造を説明するブロック図である。
【図13】本発明の実施形態に係る立体撮影装置を電子機器に搭載した実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<実施の形態1>
本発明の1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る立体撮影装置は、二つの入射面の距離の差に応じた視差を備えた同一被写体の同一偏光の画像光線を、一方の視差の画像光線の位相をλ/2ずらすことで、異なる偏光の画像光線として合成し、1つのカメラ光学系で撮影し、再び偏光の違いにより2つの画像光線に分離しそれぞれに対応した撮像素子に結像させ、左右2枚の画像を形成するものである。以下、その構成について具体的に説明する。
【0038】
図1は、本発明の実施形態に係る偏光合成式立体撮影装置を概略的に示す概念図である。即ち、偏光合成式立体撮影装置は、概略的には被写体0の像を、光線α1、α2としてそれぞれ異なる視差で取り込む2か所の光入射部10、12と、光入射部10から入射した画像光線α1のS偏光成分と、光入射部12から入射した画像光線α2のS偏光成分の位相をλ/2ずらしてP偏光とした後で合成して、光線α1と光線α2の光軸が一致するようにカメラ光学系3に導く偏光合成部2と、合成されて入射した画像光線を所望の倍率で撮像センサ上に結像するように結像画像を出射するカメラ光学系3と、カメラ光学系3を出射した結像画像を偏光の違いにより2つの撮像センサ(素子)5、6の方向に分離する偏光分離部4と分離した像を撮像(光電変換)した後A/D変換して得たデジタル画像データから画像を形成する画像処理装置7とから成っている。
【0039】
上記実施の形態では、反射光の影響を考慮して、光入射部10から入射した画像光線α1のS偏光成分と、光入射部12から入射した画像光線α2のS偏光成分の位相をλ/2ずらしてP偏光として合成したが、反射光の影響を抑圧する場合には、光入射部10から入射した画像光線α1のP偏光成分、光入射部12から入射した画像光線α2のP偏光成分の位相をλ/2ずらしてS偏光成分として合成してもよい。その場合、図2に記載する偏光合成部2に位置する第1の偏光分離膜13’は、P偏光を反射し、S偏光を透過して使用することになる。
【0040】
図2は、偏光合成式立体撮影装置1の具体的な実施形態を模式的に示した図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は斜視図を表す。偏光合成部2は、光の入射側からみて、光入射部であるレンズ10、12と、第1のプリズム13とからなっている。
【0041】
第1のプリズム13は、レンズから入射した画像を折り曲げ、伝搬させるプリズム部と、一方の偏光を反射し、他方の偏光を透過(例えば、S偏光を反射し、P偏光を透過)する第1の偏光分離膜13’からなる。また、カメラ光学系部3と対向する側の反対面側にλ/4膜(λ/4シート、λ/4位相差シート)17(λは可視波長域としλ=450nm〜700nm)と画像を反射する反射面として反射ミラー18が配置されている。
【0042】
次に画像光線α1とα2について、図2(a)を用いて説明する。画像光線α1は実線、α2は破線でそれぞれ記載している。Z方向からレンズ10、12に入射した光線α1、α2はその下のプリズム部で第1の偏光分離膜13’の方向に反射する。ここで第1の偏光分離膜13’は、S偏光を反射し、P偏光を透過する偏光分離膜とした場合について説明する。レンズ10側から第1の偏光分離膜13’に入射する光線α1のうちS偏光成分からなる偏光画像光線は、反射して―Y方向のカメラ光学系部3の方向に向かう。一方、光線α2のうちP偏光成分からなる偏光画像光線に関しては、第1の偏光分離膜13’を透過し、カメラ光学系部3の方向に向かわず結像に寄与しない。つまり、実線で示した光線α1は、レンズ10から偏光分離膜13’まではP偏光とS偏光からなるが、偏光分離膜13’からカメラ光学系部3へは、光線α1はS偏光のみからなる。
【0043】
また、レンズ12側から第1の偏光分離膜13’に入射する光線α2のうちS偏光成分からなる偏光画像光線は、Y方向に反射してλ/4シート17を透過することで、たとえば右回り円偏光に変換され、さらに反射ミラー18で反射することで左回り円偏光になり、再びλ/4シート17を透過することでP偏光になる。P偏光になった偏光画像光線は、第1の偏光分離膜13’を透過し、カメラ光学系部3の方向に出射する。
【0044】
レンズ12側から第1の偏光分離膜13’に入射する画像光線のうちP偏光成分からなる偏光画像光線は、第1の偏光分離膜13’を透過し、カメラ光学系部3の方向に向かわず結像に寄与しない。つまり、破線で示した光線α2は、レンズ12から偏光分離膜13’まではP偏光とS偏光からなり、偏光分離膜13’で反射されたS偏光はλ/4シート17を透過し、反射ミラー18で反射し、再びλ/4シート17を透過することでP偏光となって偏光分離膜13’を透過し、偏光分離膜13’からカメラ光学系部3へは、光線α2はP偏光のみからなる。
【0045】
また、光学特性上、レンズ10側からカメラ光学系部3の方向に出射する画像光線とレンズ12側からカメラ光学系部3の方向に出射する画像光線の光路長を同一にすることが望ましく、レンズ10側のプリズム長をレンズ12側に比べて長くし光路長をそろえている。つまり、レンズ12側から入射した画像光線α2のうちS偏光が偏光分離膜13’で反射されてから、λ/4シート17、反射ミラー18を経てP偏光となって反射分離膜13’を透過するまでの間の光路長の分だけ、レンズ10側のプリズム長を長くしている。
【0046】
図2(a)の立体撮影装置では、画像光線α2のS偏光をP偏光とするためにレンズ12側にλ/4シート17および反射ミラー18を設けた構成とした。別の構成としては、偏光分離膜13’がP偏光を反射し、S偏光を透過する構成とし、レンズ10側の画像光線α1のS偏光をP偏光とするλ/2シートを偏光分離膜13’の手前に設けることで、画像光線α1のP偏光となった偏光画像光線が偏光分離膜13’で反射されカメラ光学系部3に向かい、一方、レンズ12側の画像光線α2を反射ミラー18の方向からカメラ光学系部3に入射させ、偏光分離膜13’でP偏光を反射してカメラ光学系部3の方向と異なる方向に向かわすと共に、S偏光をカメラ光学系部3に向かう構成としても構わない。
【0047】
これまでに説明したP偏光とS偏光との関係は、偏光分離膜13’等の構成も含めてP偏光とS偏光を逆としても良い。また、光入射部のレンズ10、12は後述するカメラ光学系部3の光学特性を得やすく、あるいは偏光合成部2を伝搬する光束径を小さくすることができる効果があるが、組立性を良くする、部品削減によるコスト削減、装置厚みを薄くするために光入射部であるレンズ10、12をなくすこともできる。
【0048】
上記の方法にて、レンズ10側とレンズ12側から取り込んだ2つの像を1つの光軸上に合成してカメラ光学系部3に出射することができる。また、像の合成にはP偏光とS偏光の違いを利用しているが、取り込んでいる像はいずれもS偏光像であり、そのうち一方のS偏光像を装置内部で位相を1/2λずらして、P偏光に変換しているだけであるため、たとえば水面、ガラスの反射光、液晶の表示画面等2つの像間で偏光の違いによる像の違いが発生せず、後述の立体像を生成した場合にも違和感のない像が得られる。
【0049】
第1の偏光分離膜13’の特性としては、可視光波長帯域λ(450nm〜700nm)を用い、第1の偏光分離膜13’への入射角45±10度の範囲でP偏光透過率80%以上、S偏光反射率80%以上が望ましい。
【0050】
また、カメラ光学系部3に出射するP偏光をさらに除去するため、図3に示すように、レンズ10、12の前後どちらかに偏光シート9を配置しても良い。図3(a)はレンズ10、12の前に偏光シート9を配置したもので、図3(b)はレンズ10、12の後に偏光シート9を配置したものである。これにより、第1のプリズム13に入射する段階で、P偏光像を除去し、S偏光像の比率を高くすることができるため、偏光の違いによる像の違いが発生せず、立体像を生成した場合により違和感のない像を得られる。なお、レンズ10、12の後に偏光シート9を配置するほうが、光線がレンズにより集光され、偏光シート9への光線の入射角を狭くすることができるため、偏光シート9の性能をより発揮することができ、より高い効果を得られる。
【0051】
また更に、被写体像取込部のレンズ10、12の前後に偏光補正シート11を配置しても良い。偏光補正シート11は、S偏光成分あるいはP偏光成分の偏り成分(特に水面、ガラスの反射光、液晶の表示画面など)を含む直線偏光成分の位相をλ/4ずらして円偏光成分に変換し、偏光の偏りによる見え方の違いを補正する機能を有する。さらにその後ろに偏光合成時のクロストークを減らすためにS偏光のみを透過させる偏光シート9を付加してもよい。これにより後段の偏光分離膜13’の変更分離特性が十分でない場合でも偏光合成時にα1からの光がP偏光、α2からの光がS偏光として混じってしまいクロストークとして3D像を劣化させることを防止できる。
【0052】
また、3D像を劣化させる迷光を抑制するために、光線α1、α2が通る部分を除く第1のプリズム13の表面への墨塗りや、すりガラス加工を行うことも良い。レンズの縁や反射面での散乱等によって生じる迷光が、カメラ光学系部3に出射し、撮像センサ5、6に結像すると、3D像を劣化させてしまうが、上記の方法によれば、光線α1、α2以外の迷光を抑制することができる。その他には、レンズ10、12とカメラ光学系部3間のX方向の距離を広げることで、レンズを通ってカメラ光学系部3へ侵入する迷光を抑制できる。
【0053】
次に、カメラ光学系部3は、複数のレンズ群8から構成されており、これらのレンズ群8の一部が駆動することにより焦点距離を変更できるズーム光学系となっている。このため入力された2種類の偏光像はこの1組のズームレンズユニットで同時にズーミング、フォーカシングが行われるとともに、光学系のもつ収差の影響は2つの像に対して同じように働くため、2つの像間の画像の違いが発生せず、さらに、撮像系として最もコストがかかり、サイズアップの影響があるカメラ光学系部分に対してコストダウンとサイズの最小化の効果が大きいこととなる。
【0054】
カメラ光学系部3から出射した2種類の偏光像光線は偏光分離部4に入射し、第2のプリズム4’(例えば、PBS 偏光ビームスプリッタ Polarizing Beam Splitter)で元のP偏光像とS偏光像に分離され撮像センサ5に結像する。このとき第2のプリズム4’の特性は可視光波長帯域λ(450nm〜700nm)、第2の偏光分離膜4”への入射角45±10度の範囲でP偏光透過率80%以上、S偏光反射率80%以上が望ましい。また、第2の偏光分離膜4”と撮像センサ5、6の間に偏光シート9を配置することにより、偏光分離時のクロストークを低減することができる。
【0055】
図4は、偏光分離時のクロストークを低減するために、第2の偏光分離膜4”と撮像センサ5、6の間に偏光シート9を配置したものである。例えば、偏光分離膜4”と撮像センサ5の間にS偏光を透過させる偏光シート9を配置し、偏光分離膜4”と撮像センサ6の間にP偏光を透過させる偏光シート9を配置することで、迷光を遮断することができ、各レンズ10、13から入射した光線をきれいに再分割して各センサに結像することができる。
【0056】
撮像センサ5の間隔を広げ、配置しやすくなるレイアウトの偏光分離部4の他の実施例として図5(a)〜(e)がある。図5(a)〜(c)は第2のプリズム4’の形状を異型にし、第2の偏光分離膜4”への光の入射角を45度より小さくすることで撮像センサ5の間隔を広げたものである。図5(d)の第2のプリズム4’はS偏光反射、P偏光透過する第2の偏光分離膜4”とカメラ光学系部3方向と対向する側にλ/4シート17と反射ミラー18に配置されている。カメラ光学系部3方向から入射した画像のうちS偏光成分は第2の偏光分離膜4”で反射して撮像センサ5に向かい、P偏光成分は第2の偏光分離膜4”を透過してλ/4シートを透過することで、たとえば右回り円偏光に変換され、さらに反射ミラー18で反射することで左回り円偏光になり、再びλ/4シートを透過することでS偏光になる。S偏光になった画像は偏光分離膜4”を反射し、撮像センサ6に入射する。また、光学特性上、撮像センサ5、6に入射する画像の光路長を同一にすることが望ましく、撮像センサ5側の第2のプリズム4’を長くし光路長を揃えている。
【0057】
図5(e)の第2のプリズム4’はS偏光反射、P偏光透過する第2の偏光分離膜4”とカメラ光学系部3方向と直交する側にλ/4シート17と反射ミラー18に配置されている。カメラ光学系部3方向から入射した画像のうちP偏光成分は第2の偏光分離膜4”を透過して撮像センサ6に向かい、S偏光成分は第2の偏光分離膜4”を反射してλ/4シートを透過することで、たとえば右回り円偏光に変換され、さらに反射ミラー18で反射することで左回り円偏光になり、再びλ/4シートを透過することでP偏光になる。P偏光になった画像は第2の偏光分離膜4”を透過し、撮像センサ5に入射する。また、光学特性上、撮像センサ5、6に入射する画像の光路長を同一にすることが望ましく、撮像センサ6側の第2のプリズム4’を長くし光路長を揃えている。
【0058】
また偏光分離部4の他の実施例として図6に示すように、撮像センサ6の各画素21に対応した位置にP偏光透過の偏光素子20とS偏光透過の変更素子が交互に配置された偏光板22を構成することでカメラ光学系部3からのP,S偏光を分離するようにしている。これにより撮像センサ6は1個しか使用する必要がなくなり、組立性が向上し、コスト削減が可能となるとともに、プリズムのような大きな光学素子が不要となり、装置の小型化が可能となると共に、光学性能の改善が図られる効果がある。
【0059】
撮像センサ5、6は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子(センサ)、サンプルホールド回路、A/D変換器等を備えており、上記P偏光及びS偏光の分離画像に基づく撮像素子の出力に基づいて画像データを生成する。また、カメラ装置は、自身が撮影した画像に関する情報を記録する内蔵メモリを有し、双方向パラレルインターフェースやSCSIインターフェース等の、高速で画像転送可能な汎用インターフェースやUSB(Universal Series Bus)によって画像処理装置7のコンピュータに接続される。
【0060】
<実施の形態2>
次に、本発明の立体撮影装置に関わる実施の形態2を図7〜図11を用いて説明する。実施の形態1では、S偏光像のうち一方のS偏光像を偏光合成部によってP偏光に変換するための手段として、λ/4シートと反射ミラーを用いた構成について説明したが、本実施の形態2では、λ/4シートと反射ミラーを用いない構成である。その他の構成については実施の形態1と同一であるため、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0061】
図7は、偏光合成部2の他の実施例である。偏光合成部2は、画像の入射側からみて光入射部であるレンズ10、12と、第1のプリズム13とからなっている。ここでは、偏光補正シート11を設けない構成として説明する。
【0062】
第1のプリズム13は、レンズ10、12から入射した画像を折り曲げ、伝搬させるプリズム部と、一方の偏光を反射し、他方の偏光を透過する第1の偏光分離膜13’から構成されている。以下は、第1の偏光分離膜13’として、S偏光を反射し、P偏光を透過する場合について説明する。レンズ10側の画像光線α1のS偏光は偏光分離膜13’で反射されカメラ光学系部3に向かうと共に、P偏光は偏光分離膜13’を透過してカメラ光学系部3の方向と異なる方向に向かう。一方、レンズ12側の画像光線α2は、カメラ光学系部3と対向した方向から第1のプリズム13へ入射させ、S偏光は偏光分離膜13’反射してカメラ光学系部3の方向と異なる方向に向かわすと共に、P偏光をカメラ光学系部3に向かう。つまり、ここでの偏光合成部2は、画像光線α1のS偏光と画像光線α2のP偏光の光軸が一致するようにカメラ光学系部3へ導かれることとなる。
【0063】
これまでに説明したP偏光とS偏光との関係は、偏光分離膜13’等の構成も含めてP偏光とS偏光を逆としても良い。また、光入射部のレンズ10、12は後述するカメラ光学系部3の光学特性を得やすく、あるいは偏光合成部2を伝搬する光束径を小さくすることができる効果があるが、組立性を良くする、部品削減によるコスト削減、装置厚みを薄くするために光入射部であるレンズ10、12をなくすこともできる。
【0064】
次に、偏光合成時のクロストークを減らすために偏光補正シート(λ/4位相差シート)11をレンズ10、12の前に設けた場合について説明する。偏光補正シート11は、偏光分離膜13’までの偏光合成部2であれば、何れに設けても良い。このときレンズ10、12から入射した画像は、偏光補正シート11(λ/4位相差シート)によりS偏光成分あるいはP偏光成分の偏り成分(特に水面、ガラスの反射光、液晶の表示画面など)が円偏光成分に変換され、偏光の偏りが補正された均一な画像になる。なおこの偏光補正シート11はλ/4位相差シートに限るものではなく、λ/2位相差シートで後段の偏光分離膜13’のP偏光あるいはS偏光の偏光方向に対して45度偏光を回転するシートであってもよく、この場合、偏光分離膜13’の偏光分離膜面に対して光入射時にS偏光成分だった光の偏光方向が45度回転することによりP偏光成分50%、S偏光成分50%に変換され、同様に光入射時にP偏光成分だった光が45度回転することによりP偏光成分50%、S偏光成分50%に変換される。その結果、偏光分離膜13’の偏光分離膜面で反射するS偏光は光入射時S偏光だった光の50%と光入射時P偏光だった光の50%分からなり、入射光の偏光の偏り(P偏光だけ、あるいはS偏光だけ)がなく取り込むことができる。偏光補正シート11は、被写体の偏光の偏りが気にならない場合にはコスト削減のため省いても良い。
【0065】
次に偏光の偏りが補正された均一な画像は、レンズ10、12から入射した画像を折り曲げ、伝搬させるプリズム部で90度光軸が曲げられ、一方の偏光を透過し、他方の偏光を反射するプリズム部(例えば、PBS 偏光ビームスプリッタ Polarizing Beam Splitter、以下PBSと表記する。)に入射する。PBSの特性としては可視光波長帯域λ(450nm〜700nm)、第1の偏光分離膜13’への入射角45±10度の範囲でP偏光透過率80%以上、S偏光反射率80%以上が望ましい。
【0066】
また更に偏光合成時のクロストークを減らすためにλ/4位相差シート11と第1の偏光分離膜13’の間に偏光シート9を配置しても良い。このときレンズ10側からの画像のうちS偏光成分は、第1のプリズム13で反射してカメラ光学系部3方向に進み、レンズ12側からの画像はλ/4位相差シートによりS偏光成分あるいはP偏光成分の偏り成分(特に水面、ガラスの反射光、液晶の表示画面など)が円偏光成分に変換され、偏光の偏りが補正され均一になった画像のうちP偏光成分は、第1のプリズム13を透過しカメラ光学系部3方向に進む。これによりカメラ光学系部3に対してレンズ10側からのS偏光像とレンズ12側からのP偏光像が偏光合成部2で合成され、光軸が一致して入力される。
【0067】
偏光合成部2の更に他の実施例として図8(a)〜(b)のような構成にするとレンズ10、12が図面X方向にならび、偏光合成光は−Y方向に出射するため、装置に無駄なスペースができずに、小型化が図れる。さらに図8(c)〜(f)のようなレイアウトをとるとレンズ10と12の間隔(基線長)が長くとることができ、立体像を生成した場合、より立体感のある像をつくることができる。また図8(d)〜(f)のようなレイアウトの場合、カメラ光学部もX方向に配置できるため、Y方向の長さをより短縮できる装置が実現可能となる。
【0068】
また、図9は、偏光合成部2の第1のプリズム13を分割構造にしたものである。これにより基線長を長くとることができ、立体像を生成した場合、より立体感のある像をつくることができる。また、図9(b)のように、分割させたレンズ側のプリズムにあおりの機能を追加することで、生成する立体像の立体感を調整することができる。立体感を決める要素は、2つの光線α1、α2の光軸が交差してできる輻輳角θであり、被写体0が遠いと輻輳角θは小さくなり、近いと大きくなる。このように輻輳角θの大きさにより、被写体0の立体感を調整できるため、分割させたプリズムにあおりを加えて輻輳角θを調整することで、立体像の立体感を調整することができる装置が実現可能となる。また、分割させて空いた隙間に偏光シート9を追加してもよい。
【0069】
さらに、基線長を長くとりながら、プリズムの大きさをできるだけ小さくする実施例として図10のような構成も可能となる。図10ではZ方向からレンズ10、12に入射した画像はλ/4位相差シート11によりS偏光成分あるいはP偏光成分の偏り成分(特に水面、ガラスの反射光、液晶の表示画面など)が円偏光成分に変換され、偏光の偏りが補正されその下のプリズム14でプリズム方向に反射する。この時、プリズムはS偏光反射、P偏光透過する偏光膜15とS偏光透過、P偏光反射する偏光膜16から形成されているクロスプリズムの構造を有する。これにより、レンズ10側からプリズムに入射する画像のうちS偏光成分は偏光膜16を透過し、偏光膜15で反射して―Y方向のカメラ光学系部方向に向かい、レンズ12側からプリズムに入射する画像のうちP偏光成分は偏光膜15を透過し、偏光膜16で反射して―Y方向のカメラ光学系部方向に向かう。このような構成にすることにより、より小型化された立体撮影装置を提供できる。
【0070】
図11(a)〜(b)はプリズムの形状を異型にし、偏光膜15への画像の入射角を45度より小さくすることでプリズムの大きさを比較的小さくしながらレンズ10,12の間隔を広げ、その間隔である基線長を大きくすることができる。
【0071】
<実施の形態3>
次に、本発明の立体撮影装置を搭載した電子機器について、図12、図13を用いて説明する。立体撮影装置の構成については実施の形態1または実施の形態2と同一であるため、同一の符号を付してその詳細な説明および図面を省略する。図12は画像処理装置7の構造を説明するブロック図である。
【0072】
画像処理装置7は、演算処理を実行し命令を出力する等の機能を備えたCPU71と、画像処理のための手順をCPU71に実行させるためのプログラム等を格納したROM72と、CPUの処理動作のために、ROM72から読み出した上記プログラムや、CPUの処理のために必要なデータ等を一時的に格納しておくRAM73からなるコンピュータ70と、データやコマンド等を入力するための入力部74と、CPUの出力を表示するための表示部75、更に必要に応じて画像データを収納するための記憶手段(図示せず)を備えている。
【0073】
以上の構成において、各光入射部10及び12を通った入射画像α1及びα2は、それぞれ偏光合成部2、カメラ光学系部3、偏光分離部4を通して、その撮像センサ上にそれぞれP偏光及びS偏光に分離した画像を結像する。このP、S偏光画像は上記光入射部10及び12の視差に応じてそれぞれ互いに僅かにずれている。
【0074】
画像は撮像センサで電気信号に変換されて、A/D変換した後、内蔵の画像信号処理回路に入りシェーディング補正やγ補正等の処理を行った後、その内蔵メモリに記録される。この内蔵メモリに記録された画像データは、画像処理装置3からの画像データ要求に応じて画像処理装置7に入力される。画像処理装置7に入力された画像データは、そのコンピュータ70で画像2枚のステレオ画像に形成される。画像処理装置7のコンピュータ70はこのようにして得られた2つの画像から、例えば被写体までの距離を演算し、図示しない出力装置に出力することもできる。
【0075】
図13は、本発明の偏光合成式立体撮影装置1を携帯電話あるいはポケットムービー、デジカメの等の電子機器の筐体に組み込んだときの実施例である。図13(a)の電子機器は、図6の実施例の立体撮影装置のように、光入射部10,12が、偏光合成部2、カメラ光学系部3、偏光分離部4から成る平面に直交する側に配置されている場合の搭載例を表したものであり、図13(b)の電子機器は、図1のように光入射部10,12が、偏光合成部2、カメラ光学系部3、偏光分離部4から成る平面方向に配置されている場合の搭載例を表したものである。
【0076】
また、本発明の立体撮影装置は、距離測定に必要な構成をさらに設け電子機器に搭載することにより距離測定を可能にすることが出来る。偏光合成式ステレオカメラによる距離計測は、既に知られた三角測量の原理に基づいて行う。画像上に区切った小領域毎に三角測量の原理に基づく演算処理を施すことで、その小領域に含まれる物体までの距離を求めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る立体撮影装置は、デジタルスチルカメラなどの撮影機器全般に広く適用することができる。また、携帯に適した小型の撮影装置に適用することができる。具体的には、携帯型情報端末または携帯電話に搭載される。
【符号の説明】
【0078】
1 偏光合成式立体撮影装置
2 偏光合成部
3 カメラ光学系部
4 偏光分離部
4’ 第2のプリズム
4’’ 偏光分離膜
5,6 撮像センサ
7 画像処理装置
9 偏光シート
70 コンピュータ
71 CPU
72 ROM
73 RAM
74 入力部
75 表示部
10、12 光入射部
11 偏光補正シート
13 第1のプリズム
13' 偏光分離膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止画または動画のステレオ撮影が可能な偏光合成式ステレオカメラ、特に、同一被写体の2つの偏光画像を合成し光学系を通して再び2つの偏光画像を得ることができる偏光合成式ステレオカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を立体的にディスプレイに表示する方法として被写体の画像を異なる2方向から撮影し、ステレオ画像を生成することが提案されている。また、被写体までの距離の測定のための1つの方法としても被写体のステレオ画像を生成し被写体のズレから、三角測量の原理を用いて被写体までの距離を測定することが行われている。
【0003】
このステレオ画像を撮影する一般的な方式としては以下のものがある。
(1)カメラを2台使用するもの。
(2)左右で対となる反射手段を使用してカメラの撮影素子を半分に分けて撮影するもの。
【0004】
(1)のカメラを2台使用する方式では、全く同じ特性のカメラ2台が必要であり、とくに、2台のカメラの取り付け、即ち光軸合わせを精度よく行う必要がある。また、2台のカメラに外部信号に同期させて映像を取り込む機構も必要である。例えば、特許文献1に記載されたものでは、左右カメラに夫々治具上に配置された位置決め装置を備え、この治具と平行に配置された白板に設けた参照点と参照水平線を用いて、カメラの光軸と水平角度を調節するようにしている。
【0005】
また(2)の左右で対となる反射手段を使用して、カメラの撮影素子を半分に分けて左右別々の撮像素子を使用して撮影する方式としては、例えば、2つの被写体光入射窓を持つステレオアダプタをステレオ撮影可能なカメラに取り付け、ステレオフォーマットの画面を2分割して右目用、左目用の写真を並べて露光するもの(特許文献2参照)、或いは、カメラの撮影素子を左右(水平方向)半分に分けて撮像を行った場合、左右の視野が狭くなるため、左右二つの撮影レンズの光路を回転ミラーと湾曲(凸面)ミラーを用いて左右方向に圧縮して撮像した後、画像処理で伸張して撮像素子全体を用いて撮像したときと同じアスペクト比にしたステレオアダプタ及びステレオ画像撮像装置(特許文献3参照)が知られている。
【0006】
ただ、このように撮像素子を左右に分割して使用すると、左右で同じ撮影対象(被写体)を取り込む光軸が異なる(物理的に離れた位置にある)ため、レンズの歪みをうち消すように撮像した左右画像を補正する必要があるだけではなく、撮像画像の左右方向の視野が狭くなるため、これを回避しようとすれば、例えば、特許文献3に記載されているような複雑な補正手段が必要になる。また左右の画像は撮像素子の半分で撮像するため、全体画素を用いて撮像する場合に比して、画像が粗くなるという問題もある。
【0007】
また、それ以外に、特許文献4として、右目用の像としてP偏光像、左目用の像としてS偏光像とし、偏光の違いにより撮像することも考えられるが、S偏光は反射しやすく、水面やガラス窓を写すと反射光がよく写り、P偏光は反射光が写りにくいため、P偏光像とS偏光像では同じ像を写しても見え方に違いが発生し左右の像が異なり、2つの像を合成しても立体像としては認識しにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−229736号公報
【特許文献2】特開平7−77747号公報
【特許文献3】特開2003−140280号公報
【特許文献4】特開昭64−54438公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ステレオ画像を撮影するための従来の方式の問題を解消するためなされたものであって、その目的は、一旦ステレオアダプタで左右に分けた画像を、カメラの撮像画素全体で撮像して1枚の画像を形成することで従来の撮像画素を左右に分けた場合の問題を解決し、また、そこから左右画像を容易に分割できるようにすることで、従来のように光学系の補正や撮像画像の補正を必要とすることなく、ぶれや歪みのないステレオ画像を容易に得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本課題を解決するために本発明の立体撮像装置は、同一被写体像からそれぞれ異なる視差の偏光画像光線を取り出して、異なる偏光成分を分離する偏光分離膜を備えた第1のプリズムにより同一光軸上に合成画像光線を形成する偏光合成部と、前記偏光合成部で形成される合成画像光線を後記する複数の撮像素子に結像するカメラ光学系部と、第2のプリズムにより前記合成画像光線から異なる光軸方向に偏光画像光線を分離して複数の撮像素子に結像させる偏光分離部と、を有する。
【0011】
上記構成によれば、1台のカメラでぶれのない視差を持った立体画像を得ることができ、左右の撮像画像に歪みが発生することもないため、歪み補正のための装置や画像処理も必要としない。
【0012】
また、本発明の立体撮像装置は、前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線を、同一偏光成分とする。
【0013】
上記構成によれば、偏光の違いによる像の見え方の違いも解消でき、2つの画像を使って良好な立体画像が得られる。
【0014】
また、本発明の立体撮像装置は、前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線が、前記第1のプリズムを出射するまでの光路中に、位相を1/2λずらす手段が設けられている。
【0015】
上記構成によれば、前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線を、同一偏光成分とすることができる。
【0016】
また、本発明の立体撮像装置は、前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線は、S偏光成分の偏光であることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、反射の影響を反映した撮像画像が得られる。
【0018】
また、本発明の立体撮像装置の前記偏光合成部は、画像を結像するための2つのレンズと、一方の偏光を反射し、他方の偏光を透過する偏光分離膜が形成された第1のプリズムと、反射された一方の偏光に対して直交する面に配置したλ/4膜と、λ/4膜に平行に配置された反射面で構成されていることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、薄型でコンパクトな記偏光合成部が得られる。
【0020】
また、本発明の立体撮像装置の前記偏光合成部は、光入射部からカメラ光学系部への光出射部までの異なる画像の光路長が同じであることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、シンプルな構成で歪の無い撮像画像が得られる。
【0022】
また、本発明の偏光合成部は、前記2つのレンズの入射側または出射側に特定の偏光成分を透過するための偏光シートを備えることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、違和感のない立体像を得られる。
【0024】
また、本発明の立体撮像装置の前記偏光合成部は、前記カメラ光学系部は像の結像倍率を変更できるズーム光学系からなることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、ズーミングの可能な立体撮像装置が得られる。
【0026】
また、本発明の偏光合成部は、偏光の偏りを補正するための偏光補正シートを備えることを特徴とする。
【0027】
位相差シートを配置することで、偏光による偏りのある画像が偏りのない自然な画像にすることができる。位相差シートの配置位置は第1プリズムの偏光合成部の前段であれば良い。
【0028】
また、本発明の立体撮像装置は、前記偏光分離部は、一方の偏光画像と他方の偏光画像とを分離し、分離した一方の偏光画像を対応する撮像素子に結像させ、分離した他方の偏光画像を他方の対応する撮像素子に結像させるプリズムで構成されていることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の立体撮像装置は、前記第2のプリズムと前記複数の撮像素子の間には、偏光分離時のクロストークを低減するための偏光シートが配置されていることを特徴とする。
【0030】
上記構成によれば、偏光分離時のクロストークを低減することができる。
【0031】
また、本発明の立体撮像装置搭載した電子機器は1台のカメラでぶれのない視差を持った立体画像を得ることができる。
【0032】
また、本発明の立体撮像装置において、分離した二枚の画像に基づき被写体までの距離を算出する距離測定手段を有することにより、三角測量の原理に基づき、画像上に区切った小領域毎演算処理を施すことで、その小領域に含まれる物体までの距離を求めることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、1台のカメラでぶれのない視差を持った立体画像を得ることができるため、従来のように2台のカメラを用いた場合のように、全く同じ特性のカメラを2台用意する必要がなく、2台のカメラの取り付け、即ち光軸合わせ等の調整作業や、2台のカメラの同期機構等を必要としない。
【0034】
また、左右の撮像画像に歪みが発生することがないから、歪み補正のための装置や画像処理も必要としない。したがって、本発明によれば、コストだけではなくステレオ画像を得るための設備や処理負担も大幅に軽減できる。
【0035】
また、本発明によれば、二つの光入射部の距離に応じた視差を備えた同一被写体の同一偏光の画像光線を、一方の視差の画像光線の位相をλ/2ずらすことで、異なる偏光の画像光線として合成し、この合成画像光線を偏光分離素子で、互いに異なる偏光の画像光線に分離し、それぞれに対応した撮像素子に結像するため、偏光の違いによる像の見え方の違いも解消でき、2つの画像を使って良好な立体画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る立体撮影装置の概略図である。
【図2(a)】本発明の実施形態に係る立体撮影装置を説明する平面図である。
【図2(b)】本発明の実施形態に係る立体撮影装置を説明する斜視図である。
【図3】本発明の他の立体撮影装置の斜視図である。
【図4】本発明の他の偏光分離部の図である。
【図5】本発明の他の偏光分離部の図である。
【図6】本発明の他の偏光分離部の図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る立体撮影装置の概略図である。
【図8】本発明の他の偏光合成部の図である。
【図9】本発明の他の偏光合成部の図である。
【図10】本発明の他の偏光合成部の図である。
【図11】本発明の他の偏光合成部の図である。
【図12】画像処理装置の構造を説明するブロック図である。
【図13】本発明の実施形態に係る立体撮影装置を電子機器に搭載した実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<実施の形態1>
本発明の1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る立体撮影装置は、二つの入射面の距離の差に応じた視差を備えた同一被写体の同一偏光の画像光線を、一方の視差の画像光線の位相をλ/2ずらすことで、異なる偏光の画像光線として合成し、1つのカメラ光学系で撮影し、再び偏光の違いにより2つの画像光線に分離しそれぞれに対応した撮像素子に結像させ、左右2枚の画像を形成するものである。以下、その構成について具体的に説明する。
【0038】
図1は、本発明の実施形態に係る偏光合成式立体撮影装置を概略的に示す概念図である。即ち、偏光合成式立体撮影装置は、概略的には被写体0の像を、光線α1、α2としてそれぞれ異なる視差で取り込む2か所の光入射部10、12と、光入射部10から入射した画像光線α1のS偏光成分と、光入射部12から入射した画像光線α2のS偏光成分の位相をλ/2ずらしてP偏光とした後で合成して、光線α1と光線α2の光軸が一致するようにカメラ光学系3に導く偏光合成部2と、合成されて入射した画像光線を所望の倍率で撮像センサ上に結像するように結像画像を出射するカメラ光学系3と、カメラ光学系3を出射した結像画像を偏光の違いにより2つの撮像センサ(素子)5、6の方向に分離する偏光分離部4と分離した像を撮像(光電変換)した後A/D変換して得たデジタル画像データから画像を形成する画像処理装置7とから成っている。
【0039】
上記実施の形態では、反射光の影響を考慮して、光入射部10から入射した画像光線α1のS偏光成分と、光入射部12から入射した画像光線α2のS偏光成分の位相をλ/2ずらしてP偏光として合成したが、反射光の影響を抑圧する場合には、光入射部10から入射した画像光線α1のP偏光成分、光入射部12から入射した画像光線α2のP偏光成分の位相をλ/2ずらしてS偏光成分として合成してもよい。その場合、図2に記載する偏光合成部2に位置する第1の偏光分離膜13’は、P偏光を反射し、S偏光を透過して使用することになる。
【0040】
図2は、偏光合成式立体撮影装置1の具体的な実施形態を模式的に示した図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は斜視図を表す。偏光合成部2は、光の入射側からみて、光入射部であるレンズ10、12と、第1のプリズム13とからなっている。
【0041】
第1のプリズム13は、レンズから入射した画像を折り曲げ、伝搬させるプリズム部と、一方の偏光を反射し、他方の偏光を透過(例えば、S偏光を反射し、P偏光を透過)する第1の偏光分離膜13’からなる。また、カメラ光学系部3と対向する側の反対面側にλ/4膜(λ/4シート、λ/4位相差シート)17(λは可視波長域としλ=450nm〜700nm)と画像を反射する反射面として反射ミラー18が配置されている。
【0042】
次に画像光線α1とα2について、図2(a)を用いて説明する。画像光線α1は実線、α2は破線でそれぞれ記載している。Z方向からレンズ10、12に入射した光線α1、α2はその下のプリズム部で第1の偏光分離膜13’の方向に反射する。ここで第1の偏光分離膜13’は、S偏光を反射し、P偏光を透過する偏光分離膜とした場合について説明する。レンズ10側から第1の偏光分離膜13’に入射する光線α1のうちS偏光成分からなる偏光画像光線は、反射して―Y方向のカメラ光学系部3の方向に向かう。一方、光線α2のうちP偏光成分からなる偏光画像光線に関しては、第1の偏光分離膜13’を透過し、カメラ光学系部3の方向に向かわず結像に寄与しない。つまり、実線で示した光線α1は、レンズ10から偏光分離膜13’まではP偏光とS偏光からなるが、偏光分離膜13’からカメラ光学系部3へは、光線α1はS偏光のみからなる。
【0043】
また、レンズ12側から第1の偏光分離膜13’に入射する光線α2のうちS偏光成分からなる偏光画像光線は、Y方向に反射してλ/4シート17を透過することで、たとえば右回り円偏光に変換され、さらに反射ミラー18で反射することで左回り円偏光になり、再びλ/4シート17を透過することでP偏光になる。P偏光になった偏光画像光線は、第1の偏光分離膜13’を透過し、カメラ光学系部3の方向に出射する。
【0044】
レンズ12側から第1の偏光分離膜13’に入射する画像光線のうちP偏光成分からなる偏光画像光線は、第1の偏光分離膜13’を透過し、カメラ光学系部3の方向に向かわず結像に寄与しない。つまり、破線で示した光線α2は、レンズ12から偏光分離膜13’まではP偏光とS偏光からなり、偏光分離膜13’で反射されたS偏光はλ/4シート17を透過し、反射ミラー18で反射し、再びλ/4シート17を透過することでP偏光となって偏光分離膜13’を透過し、偏光分離膜13’からカメラ光学系部3へは、光線α2はP偏光のみからなる。
【0045】
また、光学特性上、レンズ10側からカメラ光学系部3の方向に出射する画像光線とレンズ12側からカメラ光学系部3の方向に出射する画像光線の光路長を同一にすることが望ましく、レンズ10側のプリズム長をレンズ12側に比べて長くし光路長をそろえている。つまり、レンズ12側から入射した画像光線α2のうちS偏光が偏光分離膜13’で反射されてから、λ/4シート17、反射ミラー18を経てP偏光となって反射分離膜13’を透過するまでの間の光路長の分だけ、レンズ10側のプリズム長を長くしている。
【0046】
図2(a)の立体撮影装置では、画像光線α2のS偏光をP偏光とするためにレンズ12側にλ/4シート17および反射ミラー18を設けた構成とした。別の構成としては、偏光分離膜13’がP偏光を反射し、S偏光を透過する構成とし、レンズ10側の画像光線α1のS偏光をP偏光とするλ/2シートを偏光分離膜13’の手前に設けることで、画像光線α1のP偏光となった偏光画像光線が偏光分離膜13’で反射されカメラ光学系部3に向かい、一方、レンズ12側の画像光線α2を反射ミラー18の方向からカメラ光学系部3に入射させ、偏光分離膜13’でP偏光を反射してカメラ光学系部3の方向と異なる方向に向かわすと共に、S偏光をカメラ光学系部3に向かう構成としても構わない。
【0047】
これまでに説明したP偏光とS偏光との関係は、偏光分離膜13’等の構成も含めてP偏光とS偏光を逆としても良い。また、光入射部のレンズ10、12は後述するカメラ光学系部3の光学特性を得やすく、あるいは偏光合成部2を伝搬する光束径を小さくすることができる効果があるが、組立性を良くする、部品削減によるコスト削減、装置厚みを薄くするために光入射部であるレンズ10、12をなくすこともできる。
【0048】
上記の方法にて、レンズ10側とレンズ12側から取り込んだ2つの像を1つの光軸上に合成してカメラ光学系部3に出射することができる。また、像の合成にはP偏光とS偏光の違いを利用しているが、取り込んでいる像はいずれもS偏光像であり、そのうち一方のS偏光像を装置内部で位相を1/2λずらして、P偏光に変換しているだけであるため、たとえば水面、ガラスの反射光、液晶の表示画面等2つの像間で偏光の違いによる像の違いが発生せず、後述の立体像を生成した場合にも違和感のない像が得られる。
【0049】
第1の偏光分離膜13’の特性としては、可視光波長帯域λ(450nm〜700nm)を用い、第1の偏光分離膜13’への入射角45±10度の範囲でP偏光透過率80%以上、S偏光反射率80%以上が望ましい。
【0050】
また、カメラ光学系部3に出射するP偏光をさらに除去するため、図3に示すように、レンズ10、12の前後どちらかに偏光シート9を配置しても良い。図3(a)はレンズ10、12の前に偏光シート9を配置したもので、図3(b)はレンズ10、12の後に偏光シート9を配置したものである。これにより、第1のプリズム13に入射する段階で、P偏光像を除去し、S偏光像の比率を高くすることができるため、偏光の違いによる像の違いが発生せず、立体像を生成した場合により違和感のない像を得られる。なお、レンズ10、12の後に偏光シート9を配置するほうが、光線がレンズにより集光され、偏光シート9への光線の入射角を狭くすることができるため、偏光シート9の性能をより発揮することができ、より高い効果を得られる。
【0051】
また更に、被写体像取込部のレンズ10、12の前後に偏光補正シート11を配置しても良い。偏光補正シート11は、S偏光成分あるいはP偏光成分の偏り成分(特に水面、ガラスの反射光、液晶の表示画面など)を含む直線偏光成分の位相をλ/4ずらして円偏光成分に変換し、偏光の偏りによる見え方の違いを補正する機能を有する。さらにその後ろに偏光合成時のクロストークを減らすためにS偏光のみを透過させる偏光シート9を付加してもよい。これにより後段の偏光分離膜13’の変更分離特性が十分でない場合でも偏光合成時にα1からの光がP偏光、α2からの光がS偏光として混じってしまいクロストークとして3D像を劣化させることを防止できる。
【0052】
また、3D像を劣化させる迷光を抑制するために、光線α1、α2が通る部分を除く第1のプリズム13の表面への墨塗りや、すりガラス加工を行うことも良い。レンズの縁や反射面での散乱等によって生じる迷光が、カメラ光学系部3に出射し、撮像センサ5、6に結像すると、3D像を劣化させてしまうが、上記の方法によれば、光線α1、α2以外の迷光を抑制することができる。その他には、レンズ10、12とカメラ光学系部3間のX方向の距離を広げることで、レンズを通ってカメラ光学系部3へ侵入する迷光を抑制できる。
【0053】
次に、カメラ光学系部3は、複数のレンズ群8から構成されており、これらのレンズ群8の一部が駆動することにより焦点距離を変更できるズーム光学系となっている。このため入力された2種類の偏光像はこの1組のズームレンズユニットで同時にズーミング、フォーカシングが行われるとともに、光学系のもつ収差の影響は2つの像に対して同じように働くため、2つの像間の画像の違いが発生せず、さらに、撮像系として最もコストがかかり、サイズアップの影響があるカメラ光学系部分に対してコストダウンとサイズの最小化の効果が大きいこととなる。
【0054】
カメラ光学系部3から出射した2種類の偏光像光線は偏光分離部4に入射し、第2のプリズム4’(例えば、PBS 偏光ビームスプリッタ Polarizing Beam Splitter)で元のP偏光像とS偏光像に分離され撮像センサ5に結像する。このとき第2のプリズム4’の特性は可視光波長帯域λ(450nm〜700nm)、第2の偏光分離膜4”への入射角45±10度の範囲でP偏光透過率80%以上、S偏光反射率80%以上が望ましい。また、第2の偏光分離膜4”と撮像センサ5、6の間に偏光シート9を配置することにより、偏光分離時のクロストークを低減することができる。
【0055】
図4は、偏光分離時のクロストークを低減するために、第2の偏光分離膜4”と撮像センサ5、6の間に偏光シート9を配置したものである。例えば、偏光分離膜4”と撮像センサ5の間にS偏光を透過させる偏光シート9を配置し、偏光分離膜4”と撮像センサ6の間にP偏光を透過させる偏光シート9を配置することで、迷光を遮断することができ、各レンズ10、13から入射した光線をきれいに再分割して各センサに結像することができる。
【0056】
撮像センサ5の間隔を広げ、配置しやすくなるレイアウトの偏光分離部4の他の実施例として図5(a)〜(e)がある。図5(a)〜(c)は第2のプリズム4’の形状を異型にし、第2の偏光分離膜4”への光の入射角を45度より小さくすることで撮像センサ5の間隔を広げたものである。図5(d)の第2のプリズム4’はS偏光反射、P偏光透過する第2の偏光分離膜4”とカメラ光学系部3方向と対向する側にλ/4シート17と反射ミラー18に配置されている。カメラ光学系部3方向から入射した画像のうちS偏光成分は第2の偏光分離膜4”で反射して撮像センサ5に向かい、P偏光成分は第2の偏光分離膜4”を透過してλ/4シートを透過することで、たとえば右回り円偏光に変換され、さらに反射ミラー18で反射することで左回り円偏光になり、再びλ/4シートを透過することでS偏光になる。S偏光になった画像は偏光分離膜4”を反射し、撮像センサ6に入射する。また、光学特性上、撮像センサ5、6に入射する画像の光路長を同一にすることが望ましく、撮像センサ5側の第2のプリズム4’を長くし光路長を揃えている。
【0057】
図5(e)の第2のプリズム4’はS偏光反射、P偏光透過する第2の偏光分離膜4”とカメラ光学系部3方向と直交する側にλ/4シート17と反射ミラー18に配置されている。カメラ光学系部3方向から入射した画像のうちP偏光成分は第2の偏光分離膜4”を透過して撮像センサ6に向かい、S偏光成分は第2の偏光分離膜4”を反射してλ/4シートを透過することで、たとえば右回り円偏光に変換され、さらに反射ミラー18で反射することで左回り円偏光になり、再びλ/4シートを透過することでP偏光になる。P偏光になった画像は第2の偏光分離膜4”を透過し、撮像センサ5に入射する。また、光学特性上、撮像センサ5、6に入射する画像の光路長を同一にすることが望ましく、撮像センサ6側の第2のプリズム4’を長くし光路長を揃えている。
【0058】
また偏光分離部4の他の実施例として図6に示すように、撮像センサ6の各画素21に対応した位置にP偏光透過の偏光素子20とS偏光透過の変更素子が交互に配置された偏光板22を構成することでカメラ光学系部3からのP,S偏光を分離するようにしている。これにより撮像センサ6は1個しか使用する必要がなくなり、組立性が向上し、コスト削減が可能となるとともに、プリズムのような大きな光学素子が不要となり、装置の小型化が可能となると共に、光学性能の改善が図られる効果がある。
【0059】
撮像センサ5、6は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子(センサ)、サンプルホールド回路、A/D変換器等を備えており、上記P偏光及びS偏光の分離画像に基づく撮像素子の出力に基づいて画像データを生成する。また、カメラ装置は、自身が撮影した画像に関する情報を記録する内蔵メモリを有し、双方向パラレルインターフェースやSCSIインターフェース等の、高速で画像転送可能な汎用インターフェースやUSB(Universal Series Bus)によって画像処理装置7のコンピュータに接続される。
【0060】
<実施の形態2>
次に、本発明の立体撮影装置に関わる実施の形態2を図7〜図11を用いて説明する。実施の形態1では、S偏光像のうち一方のS偏光像を偏光合成部によってP偏光に変換するための手段として、λ/4シートと反射ミラーを用いた構成について説明したが、本実施の形態2では、λ/4シートと反射ミラーを用いない構成である。その他の構成については実施の形態1と同一であるため、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0061】
図7は、偏光合成部2の他の実施例である。偏光合成部2は、画像の入射側からみて光入射部であるレンズ10、12と、第1のプリズム13とからなっている。ここでは、偏光補正シート11を設けない構成として説明する。
【0062】
第1のプリズム13は、レンズ10、12から入射した画像を折り曲げ、伝搬させるプリズム部と、一方の偏光を反射し、他方の偏光を透過する第1の偏光分離膜13’から構成されている。以下は、第1の偏光分離膜13’として、S偏光を反射し、P偏光を透過する場合について説明する。レンズ10側の画像光線α1のS偏光は偏光分離膜13’で反射されカメラ光学系部3に向かうと共に、P偏光は偏光分離膜13’を透過してカメラ光学系部3の方向と異なる方向に向かう。一方、レンズ12側の画像光線α2は、カメラ光学系部3と対向した方向から第1のプリズム13へ入射させ、S偏光は偏光分離膜13’反射してカメラ光学系部3の方向と異なる方向に向かわすと共に、P偏光をカメラ光学系部3に向かう。つまり、ここでの偏光合成部2は、画像光線α1のS偏光と画像光線α2のP偏光の光軸が一致するようにカメラ光学系部3へ導かれることとなる。
【0063】
これまでに説明したP偏光とS偏光との関係は、偏光分離膜13’等の構成も含めてP偏光とS偏光を逆としても良い。また、光入射部のレンズ10、12は後述するカメラ光学系部3の光学特性を得やすく、あるいは偏光合成部2を伝搬する光束径を小さくすることができる効果があるが、組立性を良くする、部品削減によるコスト削減、装置厚みを薄くするために光入射部であるレンズ10、12をなくすこともできる。
【0064】
次に、偏光合成時のクロストークを減らすために偏光補正シート(λ/4位相差シート)11をレンズ10、12の前に設けた場合について説明する。偏光補正シート11は、偏光分離膜13’までの偏光合成部2であれば、何れに設けても良い。このときレンズ10、12から入射した画像は、偏光補正シート11(λ/4位相差シート)によりS偏光成分あるいはP偏光成分の偏り成分(特に水面、ガラスの反射光、液晶の表示画面など)が円偏光成分に変換され、偏光の偏りが補正された均一な画像になる。なおこの偏光補正シート11はλ/4位相差シートに限るものではなく、λ/2位相差シートで後段の偏光分離膜13’のP偏光あるいはS偏光の偏光方向に対して45度偏光を回転するシートであってもよく、この場合、偏光分離膜13’の偏光分離膜面に対して光入射時にS偏光成分だった光の偏光方向が45度回転することによりP偏光成分50%、S偏光成分50%に変換され、同様に光入射時にP偏光成分だった光が45度回転することによりP偏光成分50%、S偏光成分50%に変換される。その結果、偏光分離膜13’の偏光分離膜面で反射するS偏光は光入射時S偏光だった光の50%と光入射時P偏光だった光の50%分からなり、入射光の偏光の偏り(P偏光だけ、あるいはS偏光だけ)がなく取り込むことができる。偏光補正シート11は、被写体の偏光の偏りが気にならない場合にはコスト削減のため省いても良い。
【0065】
次に偏光の偏りが補正された均一な画像は、レンズ10、12から入射した画像を折り曲げ、伝搬させるプリズム部で90度光軸が曲げられ、一方の偏光を透過し、他方の偏光を反射するプリズム部(例えば、PBS 偏光ビームスプリッタ Polarizing Beam Splitter、以下PBSと表記する。)に入射する。PBSの特性としては可視光波長帯域λ(450nm〜700nm)、第1の偏光分離膜13’への入射角45±10度の範囲でP偏光透過率80%以上、S偏光反射率80%以上が望ましい。
【0066】
また更に偏光合成時のクロストークを減らすためにλ/4位相差シート11と第1の偏光分離膜13’の間に偏光シート9を配置しても良い。このときレンズ10側からの画像のうちS偏光成分は、第1のプリズム13で反射してカメラ光学系部3方向に進み、レンズ12側からの画像はλ/4位相差シートによりS偏光成分あるいはP偏光成分の偏り成分(特に水面、ガラスの反射光、液晶の表示画面など)が円偏光成分に変換され、偏光の偏りが補正され均一になった画像のうちP偏光成分は、第1のプリズム13を透過しカメラ光学系部3方向に進む。これによりカメラ光学系部3に対してレンズ10側からのS偏光像とレンズ12側からのP偏光像が偏光合成部2で合成され、光軸が一致して入力される。
【0067】
偏光合成部2の更に他の実施例として図8(a)〜(b)のような構成にするとレンズ10、12が図面X方向にならび、偏光合成光は−Y方向に出射するため、装置に無駄なスペースができずに、小型化が図れる。さらに図8(c)〜(f)のようなレイアウトをとるとレンズ10と12の間隔(基線長)が長くとることができ、立体像を生成した場合、より立体感のある像をつくることができる。また図8(d)〜(f)のようなレイアウトの場合、カメラ光学部もX方向に配置できるため、Y方向の長さをより短縮できる装置が実現可能となる。
【0068】
また、図9は、偏光合成部2の第1のプリズム13を分割構造にしたものである。これにより基線長を長くとることができ、立体像を生成した場合、より立体感のある像をつくることができる。また、図9(b)のように、分割させたレンズ側のプリズムにあおりの機能を追加することで、生成する立体像の立体感を調整することができる。立体感を決める要素は、2つの光線α1、α2の光軸が交差してできる輻輳角θであり、被写体0が遠いと輻輳角θは小さくなり、近いと大きくなる。このように輻輳角θの大きさにより、被写体0の立体感を調整できるため、分割させたプリズムにあおりを加えて輻輳角θを調整することで、立体像の立体感を調整することができる装置が実現可能となる。また、分割させて空いた隙間に偏光シート9を追加してもよい。
【0069】
さらに、基線長を長くとりながら、プリズムの大きさをできるだけ小さくする実施例として図10のような構成も可能となる。図10ではZ方向からレンズ10、12に入射した画像はλ/4位相差シート11によりS偏光成分あるいはP偏光成分の偏り成分(特に水面、ガラスの反射光、液晶の表示画面など)が円偏光成分に変換され、偏光の偏りが補正されその下のプリズム14でプリズム方向に反射する。この時、プリズムはS偏光反射、P偏光透過する偏光膜15とS偏光透過、P偏光反射する偏光膜16から形成されているクロスプリズムの構造を有する。これにより、レンズ10側からプリズムに入射する画像のうちS偏光成分は偏光膜16を透過し、偏光膜15で反射して―Y方向のカメラ光学系部方向に向かい、レンズ12側からプリズムに入射する画像のうちP偏光成分は偏光膜15を透過し、偏光膜16で反射して―Y方向のカメラ光学系部方向に向かう。このような構成にすることにより、より小型化された立体撮影装置を提供できる。
【0070】
図11(a)〜(b)はプリズムの形状を異型にし、偏光膜15への画像の入射角を45度より小さくすることでプリズムの大きさを比較的小さくしながらレンズ10,12の間隔を広げ、その間隔である基線長を大きくすることができる。
【0071】
<実施の形態3>
次に、本発明の立体撮影装置を搭載した電子機器について、図12、図13を用いて説明する。立体撮影装置の構成については実施の形態1または実施の形態2と同一であるため、同一の符号を付してその詳細な説明および図面を省略する。図12は画像処理装置7の構造を説明するブロック図である。
【0072】
画像処理装置7は、演算処理を実行し命令を出力する等の機能を備えたCPU71と、画像処理のための手順をCPU71に実行させるためのプログラム等を格納したROM72と、CPUの処理動作のために、ROM72から読み出した上記プログラムや、CPUの処理のために必要なデータ等を一時的に格納しておくRAM73からなるコンピュータ70と、データやコマンド等を入力するための入力部74と、CPUの出力を表示するための表示部75、更に必要に応じて画像データを収納するための記憶手段(図示せず)を備えている。
【0073】
以上の構成において、各光入射部10及び12を通った入射画像α1及びα2は、それぞれ偏光合成部2、カメラ光学系部3、偏光分離部4を通して、その撮像センサ上にそれぞれP偏光及びS偏光に分離した画像を結像する。このP、S偏光画像は上記光入射部10及び12の視差に応じてそれぞれ互いに僅かにずれている。
【0074】
画像は撮像センサで電気信号に変換されて、A/D変換した後、内蔵の画像信号処理回路に入りシェーディング補正やγ補正等の処理を行った後、その内蔵メモリに記録される。この内蔵メモリに記録された画像データは、画像処理装置3からの画像データ要求に応じて画像処理装置7に入力される。画像処理装置7に入力された画像データは、そのコンピュータ70で画像2枚のステレオ画像に形成される。画像処理装置7のコンピュータ70はこのようにして得られた2つの画像から、例えば被写体までの距離を演算し、図示しない出力装置に出力することもできる。
【0075】
図13は、本発明の偏光合成式立体撮影装置1を携帯電話あるいはポケットムービー、デジカメの等の電子機器の筐体に組み込んだときの実施例である。図13(a)の電子機器は、図6の実施例の立体撮影装置のように、光入射部10,12が、偏光合成部2、カメラ光学系部3、偏光分離部4から成る平面に直交する側に配置されている場合の搭載例を表したものであり、図13(b)の電子機器は、図1のように光入射部10,12が、偏光合成部2、カメラ光学系部3、偏光分離部4から成る平面方向に配置されている場合の搭載例を表したものである。
【0076】
また、本発明の立体撮影装置は、距離測定に必要な構成をさらに設け電子機器に搭載することにより距離測定を可能にすることが出来る。偏光合成式ステレオカメラによる距離計測は、既に知られた三角測量の原理に基づいて行う。画像上に区切った小領域毎に三角測量の原理に基づく演算処理を施すことで、その小領域に含まれる物体までの距離を求めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る立体撮影装置は、デジタルスチルカメラなどの撮影機器全般に広く適用することができる。また、携帯に適した小型の撮影装置に適用することができる。具体的には、携帯型情報端末または携帯電話に搭載される。
【符号の説明】
【0078】
1 偏光合成式立体撮影装置
2 偏光合成部
3 カメラ光学系部
4 偏光分離部
4’ 第2のプリズム
4’’ 偏光分離膜
5,6 撮像センサ
7 画像処理装置
9 偏光シート
70 コンピュータ
71 CPU
72 ROM
73 RAM
74 入力部
75 表示部
10、12 光入射部
11 偏光補正シート
13 第1のプリズム
13' 偏光分離膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一被写体像からそれぞれ異なる視差の偏光画像光線を取り出して第1のプリズムにより同一光軸上に合成画像光線を形成する偏光合成部と、前記偏光合成部で形成される合成画像光線を結像するカメラ光学系部と、第2のプリズムにより前記合成画像光線から異なる光軸方向に偏光画像光線を分離して複数の撮像素子に結像させる偏光分離部とを有することを特徴とする立体撮影装置。
【請求項2】
前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線は、同一偏光成分であることを特徴とする請求項1記載の立体撮影装置。
【請求項3】
前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線が、前記第1のプリズムを出射するまでの光路中に、位相をλ/2ずらす手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の立体撮影装置。
【請求項4】
前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線は、S偏光成分の偏光であることを特徴とする請求項1記載の立体撮影装置。
【請求項5】
前記偏光合成部は、光入射部を成し画像を結像するための2つのレンズと、一方の偏光を反射し、他方の偏光を透過する偏光分離膜が形成された第1のプリズムと、反射された一方の偏光に対して直交する面に配置したλ/4膜と、λ/4膜に平行に配置された反射面で構成されていることを特徴とする請求項1記載の立体撮影装置。
【請求項6】
前記偏光合成部の光入射部からカメラ光学系部への光出射部までの異なる画像の光路長が同じであることを特徴とする請求項1記載の立体撮影装置。
【請求項7】
前記偏光合成部は、前記2つのレンズの入射側または出射側に特定の偏光成分を透過するための偏光シートを備えることを特徴とする請求項5記載の立体撮影装置。
【請求項8】
前記カメラ光学系部は、像の結像倍率を変更できるズーム光学系からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5記載の立体撮影装置。
【請求項9】
前記偏光合成部は、偏光の偏りを補正するための偏光補正シートを備えることを特徴とする請求項1に記載の立体撮影装置。
【請求項10】
前記偏光分離部は、一方の偏光画像と他方の偏光画像とを分離し、分離した一方の偏光画像を対応する撮像素子に結像させ、分離した他方の偏光画像を他方の対応する撮像素子に結像させるプリズムで構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6記載の立体撮影装置。
【請求項11】
前記第2のプリズム及び前記複数の撮像素子の間には、偏光分離時のクロストークを低減するための偏光シートが配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6記載の立体撮影装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項6記載の立体撮影装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項1ないし請求項6記載の立体撮影装置において、分離した二枚の画像に基づき被写体までの距離を算出する距離測定手段を有することを特徴とする立体撮影装置。
【請求項1】
同一被写体像からそれぞれ異なる視差の偏光画像光線を取り出して第1のプリズムにより同一光軸上に合成画像光線を形成する偏光合成部と、前記偏光合成部で形成される合成画像光線を結像するカメラ光学系部と、第2のプリズムにより前記合成画像光線から異なる光軸方向に偏光画像光線を分離して複数の撮像素子に結像させる偏光分離部とを有することを特徴とする立体撮影装置。
【請求項2】
前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線は、同一偏光成分であることを特徴とする請求項1記載の立体撮影装置。
【請求項3】
前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線が、前記第1のプリズムを出射するまでの光路中に、位相をλ/2ずらす手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の立体撮影装置。
【請求項4】
前記同一被写体像から取り出される異なる視差の偏光画像光線は、S偏光成分の偏光であることを特徴とする請求項1記載の立体撮影装置。
【請求項5】
前記偏光合成部は、光入射部を成し画像を結像するための2つのレンズと、一方の偏光を反射し、他方の偏光を透過する偏光分離膜が形成された第1のプリズムと、反射された一方の偏光に対して直交する面に配置したλ/4膜と、λ/4膜に平行に配置された反射面で構成されていることを特徴とする請求項1記載の立体撮影装置。
【請求項6】
前記偏光合成部の光入射部からカメラ光学系部への光出射部までの異なる画像の光路長が同じであることを特徴とする請求項1記載の立体撮影装置。
【請求項7】
前記偏光合成部は、前記2つのレンズの入射側または出射側に特定の偏光成分を透過するための偏光シートを備えることを特徴とする請求項5記載の立体撮影装置。
【請求項8】
前記カメラ光学系部は、像の結像倍率を変更できるズーム光学系からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5記載の立体撮影装置。
【請求項9】
前記偏光合成部は、偏光の偏りを補正するための偏光補正シートを備えることを特徴とする請求項1に記載の立体撮影装置。
【請求項10】
前記偏光分離部は、一方の偏光画像と他方の偏光画像とを分離し、分離した一方の偏光画像を対応する撮像素子に結像させ、分離した他方の偏光画像を他方の対応する撮像素子に結像させるプリズムで構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6記載の立体撮影装置。
【請求項11】
前記第2のプリズム及び前記複数の撮像素子の間には、偏光分離時のクロストークを低減するための偏光シートが配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6記載の立体撮影装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項6記載の立体撮影装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項1ないし請求項6記載の立体撮影装置において、分離した二枚の画像に基づき被写体までの距離を算出する距離測定手段を有することを特徴とする立体撮影装置。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−133311(P2012−133311A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143911(P2011−143911)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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