説明

立体映像表示システム及び立体映像表示方法並びに立体映像表示装置、照明装置

【課題】立体映像表示システムにおいて,視聴者が感じる表示映像の明るさを向上する。
【解決手段】表示パネル150での左眼用映像と右眼用映像との表示切換タイミングと、シャッタメガネ190による左眼への入射光と右眼への入射光との遮光切換タイミングと、照明制御回路200による照明装置210の輝度変更タイミングとを同期して制御する。これにより、立体映像にクロストークやフリッカーを発生することなく、また照明装置210の照明によるテレビ155の周囲の明るさを暗くすることなく、視聴者が感じる表示映像の見かけの明るさが向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタメガネを用いて立体映像を表示する立体映像表示システム及び立体映像表示方法並びに立体映像表示装置、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体映像(以下、3D映像とも表記する)を表示可能な3Dテレビや、3Dコンテンツを再生可能なBlu−rayディスクプレーヤーが市場に投入され、更に3D映像を撮影可能なビデオカメラや3D対応のゲームソフトも順次発表されており、一般家庭において3D映像を鑑賞する環境が整いつつある。
【0003】
現在、3D映像の表示方法としては、主に、フレームシーケンシャル方式が採用されている。この方式は、左眼用映像と右眼用映像とを1フレーム毎に交互に表示し、液晶シャッタ付きメガネの左右のシャッタを、左眼用及び右眼用の各映像に同期させて開閉することにより、3D映像を表示するものである。
【0004】
このような技術に関連して、従来、特許文献1には、一度表示された映像が次の映像で上書きされるまで表示し続けるホールド式のディスプレイと、電子シャッタ付きメガネとで3D映像を表示する方法が開示されている。この3D映像表示方法は、ホールド式のディスプレイ上に左眼用及び右眼用の両映像が同時に混在する期間では、左右両眼の電子シャッタを一時的に同時に閉じ、これにより、ホールド式のディスプレイ上に左右の映像が同時混在する表示状態を視聴者が視聴できないように対策して、3D映像のクロストークを防止している。
【0005】
以下、従来の3D映像表示におけるクロストーク対策の2つの具体例について図13及び図14を参照して説明する。
【0006】
図13は従来の3D映像表示におけるクロストーク対策の第1例を示したものである。120Hzの入力映像信号に対して液晶パネルを倍の240Hzで駆動し、左眼用映像と右眼用映像に対して、各々同一フレームを2枚連続で表示する。左眼用映像と右眼用映像とが混在しない期間では、LEDバックライトを点灯し、メガネの左眼用シャッタ又は右眼用シャッタを開き、左眼用映像と右眼用映像とが混在する期間では、LEDバックライトを消灯し、メガネの左眼用シャッタ及び右眼用シャッタを閉じる。
【0007】
図14は従来の3D映像表示におけるクロストーク対策の第2例を示したものである。120Hzの入力映像信号に対して液晶パネルを倍の240Hzで駆動し、左眼用映像と右眼用映像とに対して、黒画面を挿入する。左眼用映像又は右眼用映像が順次書き込まれるタイミングに合わせてLEDバックライトを点灯し、黒画面が順次書き込まれるタイミングに合わせてLEDバックライトを消灯する。また、左眼用映像を表示する期間では、メガネの左眼の液晶シャッタを開き、右眼用映像を表示する期間では、メガネの右眼の液晶シャッタを開く。
【0008】
更に、従来では、前記クロストーク対策と合わせて、LEDバックライトの発光効率を高めて、輝度の向上を図ることが非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−110683号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】佐伯真也著「3Dで再燃するテレビの高画質化競争」、日経エレクトロニクス、2010年8月23日号 P83−93
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来の方式では、クロストーク防止のために、電子シャッタ付きメガネの液晶シャッタを両眼共に閉じる期間や、LEDバックライトを消灯する期間が必要であり、このため、LEDバックライトの発光効率を高めても、視聴者の感じる映像の明るさ(brightness)は、LEDバックライトを常時点燈する通常映像(2D映像)の視聴時に比べて、3D映像の視聴時の方が低下してしまうという課題があった。
【0012】
また、従来の方式では、視聴空間に存在する蛍光灯などの照明装置の下で3D映像を視聴すると、表示画面にちらつき(フリッカー)が発生する課題があった。例えば、東日本の50Hz地域において照明装置としてグロー管式の蛍光灯を使用する場合に、クロストーク防止対策としてLEDバックライトを例えば240Hzで点滅させると、照明装置の蛍光灯は100Hzで点滅し、その点滅周期が細かく変動するため、その周期変動に応じて両者の点滅周期間にズレが頻繁に生じて、フリッカーが顕著に発生する欠点があった。
【0013】
前記の諸点に鑑み、本発明の目的は、3D映像のクロストークや表示画面上のフリッカーを発生することなく、視聴者が感じる3D表示映像の明るさの向上を図った立体映像表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明では、3D映像のクロストーク防止対策として表示画面への左眼映像及び右眼映像の表示に合わせて電子シャッタ付きメガネの液晶シャッタを開閉させると共に、3D映像の視聴空間に存在する照明装置の輝度を、前記メガネの液晶シャッタの開閉に同期させて、変更する構成を採用する。
【0015】
具体的に、請求項1記載の発明の立体映像表示システムは、左眼用映像と右眼用映像とを交互に表示する映像表示手段と、左眼への入射光と右眼への入射光とを別々に遮光可能な遮光手段と、前記映像表示手段の周囲の空間を照らす照明装置の輝度を制御する照明制御手段と、前記映像表示手段での左眼用映像と右眼用映像との表示切換タイミングと、前記遮光手段による遮光切換タイミングと、前記照明制御手段による照明装置の輝度変更タイミングとを同期して制御する同期制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、前記同期制御手段は、前記遮光手段が左眼又は右眼への入射光を遮光しない期間では、前記照明装置の輝度を下げるよう前記照明制御手段を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、前記同期制御手段は、前記遮光手段が左眼への入射光と右眼への入射光とを同時に遮光する期間では、前記照明装置の輝度を上げるよう前記照明制御手段を制御することを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明は、前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、前記映像表示手段の表示映像の輝度を変更する映像輝度変更手段を備え、前記同期制御手段は、前記遮光手段による遮光切換タイミングと、前記映像輝度変更手段による表示映像の輝度変更タイミングとを同期して制御することを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明は、前記請求項4記載の立体映像表示システムにおいて、前記同期制御手段は、前記遮光手段が左眼又は右眼への入射光を遮光しない期間では、前記表示映像の輝度を上げるよう前記映像輝度変更手段を制御することを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明は、前記請求項4記載の立体映像表示システムにおいて、前記同期制御手段は、前記遮光手段が左眼への入射光と右眼への入射光とを同時に遮光する期間では、前記表示映像の輝度を下げるよう前記映像輝度変更手段を制御することを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明は、前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、前記照明制御手段は、前記遮光手段による遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その平均輝度が設定基準輝度と等しくなるように、前記照明装置の輝度を変更することを特徴とする。
【0022】
請求項8記載の発明は、前記請求項7記載の立体映像表示システムにおいて、前記照明制御手段は、前記照明装置の輝度を下げる期間の時間と前記設定基準輝度からの減少量との積と、前記照明装置の輝度を上げる期間の時間と前記設定基準輝度からの増加量との積とが等しくなるように、前記減少量と前記増加量とを決定することを特徴とする。
【0023】
請求項9記載の発明は、前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、前記照明制御手段は、前記遮光手段による遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その輝度の高低差を所定の閾値に制限することを特徴とする。
【0024】
請求項10記載の発明は、前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、前記照明制御手段は、前記遮光手段による遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その変更する高輝度と低輝度との間を時間当りの所定の輝度変更量に従って変更することを特徴とする。
【0025】
請求項11記載の発明は、前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、前記映像表示手段の表示映像の輝度を変更する映像輝度変更手段と、前記映像表示手段の周囲の照度を計測する照度計測手段とを備え、前記映像輝度変更手段は、前記遮光手段が左眼又は右眼を遮光しない期間に前記照度計測手段が計測した照度に応じて、前記映像表示手段の表示映像の輝度を変更することを特徴とする。
【0026】
請求項12記載の発明は、前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、前記映像表示手段の表示映像の視聴、未視聴を判定する視聴判定手段を備え、前記遮光手段は、前記視聴判定手段が視聴中ではないと判定したとき、左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光しないことを特徴とする。
【0027】
請求項13記載の発明は、前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、前記映像表示手段の表示映像の視聴、未視聴を判定する視聴判定手段を備え、前記遮光手段は、前記視聴判定手段が視聴中ではないと判定したとき、前記照明装置の輝度を下げる期間では左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光し、前記照明装置の輝度を上げる期間では左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光しないことを特徴とする。
【0028】
請求項14記載の発明の立体映像表示方法は、左眼用映像と右眼用映像とを交互に映像表示パネルに表示すると共に、前記左眼用映像と右眼用映像との表示切換タイミングに同期して、シャッタメガネの左眼への入射光と右眼への入射光とを切り換えると共に、前記シャッタメガネの左眼への入射光と右眼への入射光との遮光切換タイミングに同期して、前記映像表示パネルの周囲の空間を照らす照明装置の輝度を変更することを特徴とする。
【0029】
請求項15記載の発明は、前記請求項14記載の立体映像表示方法において、前記シャッタメガネが左眼又は右眼への入射光を遮光しない期間では、前記照明装置の輝度を下げるよう制御することを特徴とする。
【0030】
請求項16記載の発明は、前記請求項14記載の立体映像表示方法において、前記シャッタメガネが左眼への入射光と右眼への入射光とを同時に遮光する期間では、前記照明装置の輝度を上げるよう制御することを特徴とする。
【0031】
請求項17記載の発明は、前記請求項14記載の立体映像表示方法において、前記シャッタメガネの遮光切換タイミングに同期して、前記映像表示パネルの表示映像の輝度を変更することを特徴とする。
【0032】
請求項18記載の発明は、前記請求項17記載の立体映像表示方法において、前記シャッタメガネが左眼又は右眼への入射光を遮光しない期間では、前記映像表示パネルの表示映像の輝度を上げることを特徴とする。
【0033】
請求項19記載の発明は、前記請求項17記載の立体映像表示方法において、前記シャッタメガネが左眼への入射光と右眼への入射光とを同時に遮光する期間では、前記映像表示パネルの表示映像の輝度を下げることを特徴とする。
【0034】
請求項20記載の発明は、前記請求項14記載の立体映像表示方法において、前記シャッタメガネによる遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その平均輝度が設定基準輝度と等しくなるように、前記照明装置の輝度を変更することを特徴とする。
【0035】
請求項21記載の発明は、前記請求項20記載の立体映像表示方法において、前記照明装置の輝度を下げる期間の時間と前記設定基準輝度からの減少量との積と、前記照明装置の輝度を上げる期間の時間と前記設定基準輝度からの増加量との積とが等しくなるように、前記減少量と前記増加量とを決定することを特徴とする。
【0036】
請求項22記載の発明は、前記請求項14記載の立体映像表示方法において、前記シャッタメガネによる遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その輝度の高低差を所定の閾値に制限することを特徴とする。
【0037】
請求項23記載の発明は、前記請求項14記載の立体映像表示方法において、前記シャッタメガネによる遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その変更する高輝度と低輝度との間を時間当りの所定の輝度変更量に従って変更することを特徴とする。
【0038】
請求項24記載の発明は、前記請求項14記載の立体映像表示方法において、前記映像表示パネルの周囲の照度を計測し、前記シャッタメガネが左眼又は右眼を遮光しない期間では、前記計測した映像表示パネルの周囲の照度に応じて、前記映像表示パネルの表示映像の輝度を変更することを特徴とする。
【0039】
請求項25記載の発明は、前記請求項14記載の立体映像表示方法において、前記映像表示パネルの表示映像の視聴、未視聴を判定し、前記表示映像の視聴中ではないと判定したとき、シャッタメガネの左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光しないことを特徴とする。
【0040】
請求項26記載の発明は、前記請求項14記載の立体映像表示方法において、前記映像表示パネルの表示映像の視聴、未視聴を判定し、前記表示映像の視聴中ではないと判定したとき、前記照明装置の輝度を下げる期間ではシャッタメガネの左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光し、前記照明装置の輝度を上げる期間ではシャッタメガネの左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光しないことを特徴とする。
【0041】
請求項27記載の発明の立体映像表示装置は、左眼用映像と右眼用映像とを交互に表示する映像表示手段を有する立体映像表示装置であって、前記映像表示手段の周囲の空間を照らす照明装置の輝度を制御する照明制御手段を備えたことを特徴とする。
【0042】
請求項28記載の発明の照明装置は、左眼用映像と右眼用映像とを交互に表示して得られる立体映像の視聴空間を照らすための照明装置であって、前記左眼用映像と右眼用映像との表示切換タイミングに同期して、輝度を変化させることを特徴とする。
【0043】
以上により、請求項1〜28記載の発明では、左眼用映像と右眼用映像とが混在する表示期間では、遮光手段が両眼への入射光を遮光するので、3D映像のクロストークが防止される。更に、左眼用映像又は右眼用映像のみの表示期間では、照明の輝度が低く変更されるので、照明による視聴空間の明るさに対する映像表示画面での3D映像の視聴者の感じる相対的な明るさが向上して、視聴者の感じる3D映像の明るさを2D映像の視聴時と同様に高めることが可能である。加えて、遮光手段の遮光動作と照明の輝度変更とが常に同期しているので、3D表示画面にフリッカが発生することはない。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように、請求項1〜28記載の発明の立体映像表示システムによれば、3D映像視聴時に、表示映像にクロストークやフリッカーが発生することを防止しつつ、視聴者が感じる3D表示映像の明るさの向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態1の立体映像表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同立体映像表示システムの全体概略構成を示す図である。
【図3】同立体映像表示システムに備える照明の構成図である。
【図4】同立体映像表示システムの動作説明図である。
【図5】本発明の実施形態2の立体映像表示システムの第1の動作例を示す図である。
【図6】同立体映像表示システムの第2の動作例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態3の立体映像表示システムの動作例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態4の立体映像表示システムの動作例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態5の立体映像表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図10】同立体映像表示システムの動作例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態6の立体映像表示システムの動作例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態7の立体映像表示システムの動作例を示す図である。
【図13】従来の立体映像表示におけるクロストーク対策を説明した図である。
【図14】他の従来の立体映像表示におけるクロストーク対策を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態における立体映像表示システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0047】
(実施形態1)
図1は、本発明に係る立体映像表示システムの実施形態1の構成を示す図である。
【0048】
図1において、立体映像表示システム100は、映像入力回路110、左眼映像記憶部120及び右眼映像記憶部130、映像表示制御回路140、表示パネル(映像表示手段)150、バックライト駆動回路(映像輝度変更手段)160、バックライト170、シャッタメガネ駆動回路180、シャッタメガネ(遮光手段)190、照明制御回路(照明制御手段)200、照明(照明装置)210、同期制御回路(同期制御手段)220により構成される。
【0049】
前記照明210は、図2に示すように、表示パネル150を有する例えばテレビ(立体映像表示装置)155の周囲で視聴者(同図では2人A、Bを記載)が表示映像を視聴する空間(視聴空間)を照らすものであり、本実施形態では高速な点灯、消灯が可能なLED照明を使用する。
【0050】
また、シャッタメガネ190は前記視聴者A、Bが装着する。図1に示したように、前記照明210及びシャッタメガネ190以外の映像入力回路110、同期制御回路220、照明制御回路200などは前記テレビ155に内蔵される。
【0051】
図1において、前記映像入力回路110には、3D映像フォーマットの映像信号(3D映像信号)が入力され、その映像信号を左眼映像と右眼映像とに分離して出力する。また、左眼映像記憶部120及び右眼映像記憶部130はバッファメモリより成り、各々、1フレームの左眼用映像データ及び右眼用映像データを一時的に記憶する。
【0052】
更に、同期制御回路220は、映像のクロストークを抑制するために、3D映像信号の入力フレームレート、例えば120Hzに対して、その2倍以上の整数倍の周期である240Hz又は360Hzの同期信号Vを生成する。また、同期制御回路220は、同期信号Vと同時に、左眼映像と右眼映像の表示及び書き込みを識別するための制御信号と、バックライト170の点灯又は消灯を識別するための制御信号と、左眼と右眼との各遮光状態を識別するための制御信号と、照明210の点灯又は消灯を識別するための制御信号と4つの制御信号を、以下に示す(1)〜(4)の組み合わせで、(1)〜(4)の順番で繰り返して生成する。
(1)左眼映像を表示、バックライト170は点灯、シャッタメガネ190は左眼を透過、右眼を遮光、照明210は消灯
(2)右眼映像を書き込み、バックライト170は消灯、シャッタメガネ190は左眼も右眼も遮光、照明210は点灯
(3)右眼映像を表示し、バックライト170は点灯、シャッタメガネ190は左眼を遮光、右眼を透過、照明210は消灯
(4)左眼映像を書き込み、バックライト170は消灯、シャッタメガネ190は左眼も右眼も遮光、照明210は点灯
前記映像表示制御回路140は、前記同期制御回路220からの同期信号Vのタイミングに同期して制御信号を取得し、その制御信号に従って、前記左眼映像記憶部120と右眼映像記憶部130とから映像の表示順に、各々上部のラインから映像データを読み出して、表示パネル150の上部から書き込む。
【0053】
また、バックライト駆動回路160は、前記同期制御回路220からの同期信号Vのタイミングに同期して制御信号を取得し、その制御信号に従って、バックライト170を点灯又は消灯させる。
【0054】
前記シャッタメガネ駆動回路180は、同様に前記同期制御回路220からの同期信号Vのタイミングに同期して制御信号を取得し、その制御信号に従って、左眼又は右眼を示す左右識別信号とシャッタの開閉を示す開閉識別信号とをシャッタメガネ190に送信する。シャッタメガネ190は、前記シャッタメガネ駆動回路180から受信した左右識別信号及び開閉識別信号に同期して、それ等信号が右眼の開を示していれば右眼のシャッタを開き、それ等信号が右眼の閉を示していれば右眼のシャッタを閉じ、左眼の開を示していれば左眼のシャッタを開き、左眼の閉を示していれば左眼のシャッタを閉じる。
【0055】
更に、前記照明制御回路200は、前記同期制御回路220からの同期信号Vのタイミングに同期して制御信号を取得し、その制御信号に従って、照明210の輝度(luminance、輝きの度合い)を制御するための照明制御信号を照明210に送信する。照明210は、前記照明制御回路200から受信した照明制御信号に従って、照明210を点灯又は消灯する。
【0056】
図3は、前記照明210の内部構成図を示す。この照明210は、商用交流電源Vsと、前記商用交流電源Vsを整流した直流電源を出力するための整流器DBと、複数のLEDと、電流制限用の抵抗Rと、前記LEDに流れる電流をON/OFF制御可能なトランジスタTrと、前記トランジスタTrのON/OFFを制御する輝度制御回路215と、コントローラ216と、受信回路217とから構成される。
【0057】
前記受信回路217は、前記テレビ155内の照明制御回路200から送信される照明制御信号を受信して輝度制御回路215に通知すると共に、図2に示すように、操作者Cがリモコン211を操作した照明210の点灯/消灯を示す操作信号を受信する。前記コントローラ216は、前記受信回路217を介して前記操作信号を受け、その操作信号に応じた制御信号を輝度制御回路215に通知する。前記輝度制御回路215は、前記操作信号が照明210の点灯を示し、照明制御回路200からの照明制御信号も点灯を示していれば、トランジスタTrをON制御して照明を点灯する。それ以外の場合は、トランジスタTrをOFF制御して照明210を消灯する。
【0058】
尚、テレビ155内のシャッタメガネ駆動回路180からシャッタメガネ190への信号送信、及び照明制御回路200から照明210への信号送信の手段として、赤外線通信、bluetoothなどの無線通信又は有線通信などを適宜選択すれば良い。
【0059】
図4は、本実施形態の立体映像表示システム100の動作タイミングを説明した図である。
【0060】
同図において、T1期間では、前記同期制御回路220の同期信号Vの同期タイミングV1に同期して、表示パネル150は左眼映像を表示し、バックライト170は点灯し、シャッタメガネ190は左眼を透過、右眼を遮光し、照明210は消灯する。
【0061】
次のT2期間では、同期信号Vの同期タイミングV2に同期して、表示パネル150は右眼映像を書き込み、バックライト170は消灯し、シャッタメガネ190は左眼も右眼も遮光し、照明210は点灯する。
【0062】
次のT3期間では、同期タイミングV3に同期して、表示パネル150は右眼映像を表示し、バックライト170は点灯し、シャッタメガネ190は左眼を遮光、右眼を透過し、照明210は消灯する。
【0063】
次のT4期間では、同期タイミングV4に同期して、表示パネル150は左眼映像を書き込み、バックライト170は消灯し、シャッタメガネ190は左眼も右眼も遮光し、照明210は点灯する。
【0064】
以降、前記T1期間、T2期間、T3期間、T4期間の動作を繰り返す。
【0065】
以上のように、同期制御回路220の制御によって、映像更新期間であるT2期間及びT4期間では、シャッタメガネ190は左眼も右眼も遮光するので、表示3D映像のクロストークが有効に抑制される。更に、映像表示期間であるT1期間及びT3期間では、バックライト170は点灯する一方、照明210が消灯するので、表示映像の明るさ(brightness)は照明210の明るさ(輝度)に対して相対的に明るくなる。従って、視聴者A、Bが感じる表示3D映像の見かけの明るさは向上することになる。しかも、バックライト170の点滅周期とシャッタメガネ190の開閉周期と照明210の点滅周期とが同期制御回路220によって同期しているので、表示3D映像にフリッカが生じることが抑制される。
【0066】
(実施形態2)
次に、本発明に係る立体映像表示システムの実施形態2について説明する。
【0067】
前記実施形態では、3D映像の視聴時には、照明210をシャッタメガネ190の開閉に同期して点滅させたので、照明210を常時点灯する2D映像の視聴時に比べて、照明210の平均輝度が低下することになるため、本実施形態では、表示映像が2D映像と3D映像との何れであっても、その双方で、照明210の明るさ(輝度)を一定に保ったまま、3D映像の視聴時に視聴者が感じる表示映像の明るさを向上させるものである。
【0068】
本実施形態の立体映像表示システムの全体構成は実施形態1と同一であるので、その説明は省略する。
【0069】
照明210は、図2に示した操作者Cがリモコン211を操作して図3に示すコントローラ216がその操作信号に応じて照明210の明るさ(輝度)が調整される。いま、コントローラ216により設定される輝度を通常輝度(設定基準輝度)としてLと表記する。照明210内の輝度制御回路215は、前記コントローラ216から通常輝度Lを受ける。
【0070】
照明制御回路200は、輝度モードとして、3D映像を視聴していない場合の通常輝度モードと、3D映像の視聴時にシャッタメガネ190の左眼又は右眼の開期間に対応した低輝度モードと、3D映像の視聴時にシャッタメガネ190の両眼の閉期間に対応した高輝度モードとの3つの輝度モードを指定する。更に、照明制御回路200は、照明210へ送信する照明制御信号として、同期信号Vと、前記3種の輝度モード信号に加えて、前記低輝度モードの期間Tと、高輝度モードの期間Tとの両信号を生成する。
【0071】
また、前記照明210内の輝度制御回路215は、例えば周波数100kHzのDuty信号を生成し、そのON−OFF比を変更することにより、照明210の輝度を制御するPWM制御方式を採用する。
【0072】
そして、前記輝度制御回路215は、コントローラ216からの通常輝度Lと、前記照明制御回路200からの照明制御信号とを受信すると、以下の計算式で得られる輝度Lに対応するDuty信号を生成する。ここで、照明210の輝度は0〜255段階で調整可能とする。
<1>通常輝度モード時
L=L …(1)
<2>低輝度モード時
L=Max(L−(255−L)/R,0)…(2)
<3>高輝度モード時
L=Min(255,L×(1+R))…(3)
尚、前記式(2)及び(3)において、RはT/Tである。
【0073】
前記通常輝度モード<1>では、照明210の輝度Lは通常輝度Lである。低輝度モード<2>及び高輝度モード<3>は共に3D映像の視聴時に交互に通知され、この一連の期間で照明210の平均輝度が通常輝度モード時の輝度Lから変化がなく、また調整の範囲内で可能な限り低輝度モード時の輝度Lを下げることを意図した計算式である。以下、この計算式の導出を説明すると、次の通りである。
【0074】
3D映像の視聴中も照明210の平均輝度を通常輝度Lに保つには、低輝度モードの期間Tでの輝度の減少を高輝度モードの期間Tでの輝度の増分で補えば良く、以下の式を満たせば良い。Lは低輝度モード時の輝度値、Lは高輝度モード時の輝度値である。
【0075】
(L−L)×T=(L−L)×T…(4)
低輝度モード時の輝度値Lの最小値を求めるためには、先ず、高輝度モード時の輝度値Lを最大輝度の255と仮定し、前記式を変形すると、
=L−(255−L)/R
となる。但し、輝度の最小値は0であるので、
=Max(L−(255−L)/R,0)
となり、前記式(2)が得られる。
【0076】
高輝度モード時の輝度値Lは、前記式(4)に前記式(2)を代入して、以下のように式を変形すると、
=(L−L)×T/T+L
=L×(1+R)−L×R
=L×(1+R)−Max(L−(255−L)/R,0)×R
=L×(1+R)−Max(L(1+R)−255、0)
=L×(1+R)+Min(−L(1+R)+255、0)
=Min(255、L×(1+R))
となり、前記式(3)が得られる。
【0077】
従って、上述のように、照明210の輝度制御回路215が前記低輝度モード時<2>の輝度Lを前記式(2)に基づいて演算し、高輝度モード時<3>の輝度Lを前記式(3)に基づいて演算して、それ等輝度になるように照明210の輝度を交互に制御する。ここで、照明210の輝度変化は、人が感知可能な周波数の限界とされる50Hzを上回る周波数、例えば120Hzで行えば、トールボットの法則により、人が感じる照明の明るさは一定に保たれる。よって、本実施形態では、視聴映像が2D映像であっても3D映像であっても、照明210の明るさを一定に保ったまま、3D映像視聴時において視聴者が感じる表示映像の明るさを最大にすることが可能である。
【0078】
以下、具体例を示して本実施形態の動作を説明する。
【0079】
(実施形態2の具体例1)
本具体例では、3D映像信号を120Hzで入力し、表示パネル150、バックライト170、シャッタメガネ190及び照明210を各々240Hzで制御する立体映像表示システムの場合を説明する。この場合の動作タイミングを図5に示す。同図から判るように、映像表示期間と映像更新期間との時間割合は一致し、低輝度モードと高輝度モードとの時間比率は1となる。また、照明210の通常輝度は100で動作しているものとする。
【0080】
この場合、前記式(2)及び式(3)より、低輝度モード時の輝度Lは0、高輝度モード時の輝度Lは200と算出される。低輝度モード時の輝度Lと高輝度モード時の輝度Lとから逆に平均輝度を求めると、100となり、3D映像を視聴しているときと、3D映像を視聴していないときで、照明210の輝度は保たれている。
【0081】
(実施形態2の具体例2)
本具体例では、3D映像を120Hzで入力し、表示パネル150、バックライト170、シャッタメガネ190及び照明210を各々360Hzで制御する立体映像表示システムの場合を説明する。この場合の動作タイミングを図6に示す。同図から判るように、映像表示期間と映像更新期間との時間比は2:1となり、低輝度モードと高輝度モードとの時間比率は2となる。また、照明210の通常輝度Lは151で動作しているものとする。
【0082】
この場合、前記式(2)及び式(3)より、低輝度モード時の輝度Lは99、高輝度モード時の輝度Lは255と算出される。低輝度モード時の輝度Lと高輝度モード時の輝度Lとから逆に平均輝度を求めると、
(99×T+255×T)/(T+T
=(99×R+255)/(R+1)
=(99×2+255)/(2+1)
=151
となり、3D映像を視聴しているときと、3D映像を視聴していないときとの双方で、照明210の輝度は同一に保たれている。
【0083】
以上のように本実施形態では、輝度の計算を照明210内の輝度制御回路215で行うようにしたが、照明制御回路220で行っても良い。その場合、照明制御回路220は、照明210と双方向の通信を行うことにより、先ず、照明210の現在の輝度Lと、照明210の輝度の調整範囲の情報を受信して、前記式(2)及び式(3)に基づいた輝度計算を行い、その計算結果の輝度値を照明210に送信することにより、この機能を実現しても良い。
【0084】
尚、照明210は、低輝度モード又は高輝度モードでの動作中に照明制御回路200からの同期信号Vが途絶えたとしても、予め定めた一定期間は、直前に受信した低輝度モードの時間Tと高輝度モードの時間Tとに従って低輝度モードの輝度設定と高輝度モードの輝度設定とを自動的に繰り返し、その後、通常の輝度設定を行い、これにより照明210の平均輝度が一定値に保たれるように制御するようにしても良い。
【0085】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3を説明する。
【0086】
本実施形態の立体映像表示システムは、高輝度モード時の輝度値と低輝度モード時の輝度値との差が予め設定した閾値Lを超えないように制限して、照明210の輝度変化を抑制した実施形態である。
【0087】
前記実施形態2の式(2)及び式(3)で得られる低輝度モード時の輝度値Lと高輝度モード時の輝度値Lとの差分(L−L)が閾値Lよりも大きい場合には、それに代えて、以下の式で得られる輝度値を各々低輝度モード時の輝度値と高輝度モード時の輝度値とに変更する。
<1>低輝度モード時
L=L−L/(1+R) …(5)
<2>高輝度モード時
L=L+L×R/(1+R) …(6)
前記式(5)及び式(6)は、前記式(4)に、L−L=Lを代入することで得られる。
【0088】
(実施形態3の具体例)
本具体例では、3D映像信号を120Hzで入力し、表示パネル150、バックライト170、シャッタメガネ190及び照明210を各々240Hzで制御する立体映像表示システムの場合を説明する。この場合の動作タイミングを図7に示す。同図から判るように、映像表示期間と映像更新期間との時間割合は一致し、低輝度モードと高輝度モードとの時間比率は1となる。また、照明210の通常輝度Lは100で動作しているものとする。更に、低輝度モード時と高輝度モード時との照明210の輝度の差分の閾値を160とする。
【0089】
この場合、前記(2)及び式(3)に基づいた場合には、低輝度モード時の輝度Lは0、高輝度モード時の輝度Lは200と算出されるが、輝度値の差分は200となり、閾値160を超えているため、前記式(5)及び式(6)により補正して、図7に示したように、低輝度モード時の輝度はLは20、高輝度モード時の輝度Lは180となる。
【0090】
(実施形態4)
続いて、本発明の実施形態4を説明する。
【0091】
本実施形態4の立体映像表示システムは、低輝度モードから高輝度モードへの遷移又は高輝度モードから低輝度モードへの遷移における照明210の輝度変更を瞬時に行わずに、予め設定しておいた時間当りの輝度変更量に従って輝度を制御するようにしたものである。
【0092】
輝度を増加する場合の時間当りの輝度変化量をDL、輝度を減少する場合の時間当りの輝度変化量をDLとして、低輝度モードと高輝度モードとの切り換わり時刻で輝度が(L−L)となるように輝度の変化開始時刻を設定する。これは、輝度を瞬時に切り替える前記実施形態2の場合と比較して、高輝度モードにおける輝度の減少分を低輝度モードの輝度増加分で補うことを意図したものであり、この制御により平均輝度をLに保つことができる。
【0093】
低輝度モードから高輝度モードへの遷移において、輝度の増加開始時刻と終了時刻は、低輝度モードの終了時刻Tを基準にして、各々、
−(L+L)/(2×DL) …(7)
+(L+L)/(2×DL) …(8)
と表せる。同様に、高輝度モードから低輝度モードへの遷移において、輝度の減少開始時刻と終了時刻は、低輝度モードの終了時刻Tを基準にして、各々、
−(L+L)/(2×DL) …(9)
+(L+L)/(2×DL) …(10)
と表せる。
【0094】
更に、同期制御回路220は、同期信号Vとは別に、照明用同期信号Vlを生成して、照明制御回路200に通知し、その照明同期信号Vlとして、3D映像を表示していないときには同期信号Vと同一の信号を、3D映像を表示しているときには同期信号Vに対して前記式(7)及び式(9)により得られた時間だけずらした信号を生成する。
【0095】
また、前記照明制御回路200は、前記同期制御回路220からの照明用同期信号Vlのタイミングに同期して制御信号を取得し、その制御信号に従って、照明210の輝度を制御するための照明制御信号を照明210に送信する。
【0096】
(実施形態4の具体例)
本具体例は、前記実施形態2の具体例1と同様に、3D映像信号を120Hzで入力し、表示パネル150、バックライト170、シャッタメガネ190、照明210を各々240Hzで制御する立体映像表示システムの場合を説明する。また、輝度を増加する場合の1ミリ秒当りの輝度変更量を200、輝度を減少する場合の1ミリ秒当りの輝度変化量を150とする。
【0097】
前記式(2)及び式(3)により、低輝度モード時の輝度Lは0、高輝度モード時の輝度Lは200と算出される。
【0098】
前記式(7)及び式(8)より、低輝度モードから高輝度モードへの遷移において、輝度の増加開始時刻と終了時刻は、低輝度モードの終了時刻Tを基準にして、各々、−0.5ミリ秒、+0.5ミリ秒となる。一方、前記式(9)及び式(10)より、高輝度モードから低輝度モードへの遷移において、輝度の減少開始時刻と終了時刻は、低輝度モードの終了時刻Tを基準にして、各々、−0.67ミリ秒、+0.67ミリ秒となる。本具体例の動作タイミングを図8に示す。
【0099】
(実施形態5)
図9は、本発明の第5の実施形態の立体映像表示システムを示すブロック構成を示す。尚、図1と同一部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0100】
一般に、視聴者が感じる3D表示映像の明るさは、その3D映像の明るさが一定でも、視聴空間の明るさが明るければ暗く、暗ければ明るく感じるものである。従って、照明210による視聴空間の明るさに対する3D映像の相対的な明るさが、視聴者には3D映像の明るさとして感じられる。本実施形態では、この相対的に感じる3D映像の明るさが一定となるように、照明210による視聴空間の明るさが変更されれば、その変更に応じてバックライト170の輝度を動的に制御し、これにより、視聴者が感じる3D表示映像の明るさを一定に保つことを目的とする。
【0101】
従って、本実施形態では、前記実施形態2に対して、視聴空間の照度(illuminance、照らされた面の明るさ)を計測する照度計測回路(照度計測手段)230が追加される。この照度計測回路230は、図9ではテレビ115内に配置されるが、その他、例えば表示パネル150やシャッタメガネ190、又は、照明210の照度を図2のリモコン211(操作者Cが操作するリモコン)に配置しても良い。前記照度計測回路230による照度の計測結果はバックライト制御回路160に通知される。バックライト制御回路160は、シャッタメガネ190の右眼又は左眼が開いている状態、つまり左眼用又は右眼用の映像を表示している期間に計測された照度を使用して、バックライト190の輝度を決定する。
【0102】
以下、具体例を示して本実施形態の動作を説明する。
【0103】
(実施形態5の具体例1)
例えば、3D映像の視聴時に、図10に示すように、照明210の通常輝度Lの設定が100から150に上昇変更されたときには、低輝度モードの輝度Lは0から45に上昇するため、視聴者が感じる3D映像の明るさは一時的に低下する。しかし、低輝度モード時に照度計測回路230が計測した照度がバックライト駆動回路160に通知され、バックライト駆動回路160は次のフレームからバックライト170の輝度を上げるよう制御する。その結果、視聴者の感じる3D映像の明るさは、照明210の輝度変更前と同じにすることができる。
【0104】
(実施形態5の具体例2)
逆に、3D映像の視聴時に、照明210の通常輝度Lの設定が150から100に低下したときには、図示しないが、低輝度モードの輝度Lは45から0に低下するため、視聴者が感じる映像の明るさは一時的に上昇する。しかし、低輝度モード時に照度計測回路230が計測した照度がバックライト駆動回路160に通知され、バックライト駆動回路160は次のフレームからバックライト170の輝度を下げるよう制御する。その結果、視聴者の感じる3D映像の明るさは、照明210の輝度変更前と同じにすることができる。この制御は消費電力の削減にも効果的である。
【0105】
(実施形態6)
次に、本発明の実施形態6の立体映像表示システムについて説明する。本実施形態の立体映像表示システムの構成は前記実施形態5と同じである。
【0106】
本実施形態は、図2において、例えば2人の視聴者A、Bのうち一人Bが表示パネル150から視線を逸らして手元の本を見るなどした際に、その視聴者Bのシャッタメガネ190がシャッタメガネ駆動回路180から出力される開閉識別信号を受信したときの受信強度が予め指定した閾値より小さくなる。シャッタメガネ190はこの状態を検知する回路(視聴判定手段)(図示せず)を内蔵し、この状態を視聴者Bのシャッタメガネ190が検知すると、シャッタメガネ190は3D映像未視聴状態であると判定して、図11に示すように、その3D映像未視聴状態の期間は開閉識別信号の指示には従わずに、両眼のシャッタを開けるように、制御を切り替えるようにしたものである。
【0107】
前記の制御により、視聴者Bが表示画面から視線を逸らすと、周囲の視聴空間は明るく、表示パネル150の画面は暗く見えるようになる。視聴者Bが再び画面に視線を戻すと、そのシャッタメガネ190の開閉制御が3D映像の視聴時に戻って、表示画面は明るく、周囲の視聴空間は暗く見えるようになる。このように、視聴者Bは違和感無く視線を移動することが可能となる。
【0108】
(実施形態7)
続いて、本発明の実施形態7に係る立体映像表示システムについて説明する。本実施形態は、前記実施形態6を変形したものである。立体映像表示システムの構成は前記実施形態5と同じである。
【0109】
本実施形態は、視聴者Bが表示画面から視線を逸らして、そのシャッタメガネ190がシャッタメガネ駆動回路180から出力される開閉識別信号を受信したときの受信強度が予め指定した閾値より小さくなると、そのシャッタメガネ190は、その状態を検知して、3D映像未視聴状態であると判定し、その3D映像未視聴期間では、照明210が低輝度の期間、つまり開閉識別信号が左眼又は右眼を開けるように指示している期間では両眼を閉じ、照明210が高輝度の期間、つまり開閉識別信号が両眼を閉じるように指示している期間では両眼のシャッタを開けるように、そのシャッタメガネ190の制御を切り換えるようにしたものである。
【0110】
本実施形態の動作タイミングを図12に示す。同図において、照明210の輝度を下げる期間T1及び期間T3では、表示パネル150の周辺に位置して光を反射し易い物体には表示パネル150の表示映像が映り込んでしまうため、図11の期間T4’以降で常にシャッタを開ける前記実施形態6の制御では、これ等の物体の色が不自然に見えてしまう。しかし、本実施形態の制御では、3D映像未視聴状態では、照明210が低輝度Lの期間T3’及び期間T1’には両眼のシャッタを閉じ、照明210が高輝度Lの期間T4’及び期間T2’には両眼のシャッタを開けるので、照明210に照らされた期間のみこれらの物体を見ることになり、色が不自然に見えることはない。
【0111】
尚、本実施形態では、開閉識別信号から自動的に3D視聴/未視聴状態を判別するようにしたが、シャッタメガネ190にボタンを設けて、手動で3D/視聴未視聴状態を切り換えるようにしても良い。
【0112】
また、シャッタメガネ駆動回路180とシャッタメガネ190との間に双方向の通信機能を設けて、全てのシャッタメガネ190が表示画面から視線を逸らしたことをシャッタメガネ駆動回路180が検出すると、照明210の輝度モードを通常輝度モードに変更するように制御しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上説明したように、本発明は、3D映像視聴時に、表示映像にクロストークやフリッカーが発生することを防止しつつ、視聴者が感じる表示映像の明るさの向上を図ることが可能であるので、立体映像を表示する3Dテレビ、3Dプロジェクタ、3Dシアターシステム、映画館での3D表示等に有用である。
【符号の説明】
【0114】
110 映像入力回路
120 左眼映像記憶部
130 右眼映像記憶部
140 映像表示制御回路
150 表示パネル(映像表示手段)
155 テレビ(立体映像表示装置)
160 バックライト駆動回路(映像輝度変更手段)
170 バックライト
180 シャッタメガネ駆動回路
190 シャッタメガネ(遮光手段)
200 照明制御回路(照明制御手段)
210 照明(照明装置)
220 同期制御回路(同期制御手段)
230 照度計測回路(照度計測手段)
通常輝度(設定基準輝度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼用映像と右眼用映像とを交互に表示する映像表示手段と、
左眼への入射光と右眼への入射光とを別々に遮光可能な遮光手段と、
前記映像表示手段の周囲の空間を照らす照明装置の輝度を制御する照明制御手段と、
前記映像表示手段での左眼用映像と右眼用映像との表示切換タイミングと、前記遮光手段による遮光切換タイミングと、前記照明制御手段による照明装置の輝度変更タイミングとを同期して制御する同期制御手段とを備えた
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項2】
前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、
前記同期制御手段は、
前記遮光手段が左眼又は右眼への入射光を遮光しない期間では、前記照明装置の輝度を下げるよう前記照明制御手段を制御する
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項3】
前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、
前記同期制御手段は、
前記遮光手段が左眼への入射光と右眼への入射光とを同時に遮光する期間では、前記照明装置の輝度を上げるよう前記照明制御手段を制御する
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項4】
前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、
前記映像表示手段の表示映像の輝度を変更する映像輝度変更手段を備え、
前記同期制御手段は、
前記遮光手段による遮光切換タイミングと、前記映像輝度変更手段による表示映像の輝度変更タイミングとを同期して制御する
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項5】
前記請求項4記載の立体映像表示システムにおいて、
前記同期制御手段は、
前記遮光手段が左眼又は右眼への入射光を遮光しない期間では、前記表示映像の輝度を上げるよう前記映像輝度変更手段を制御する
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項6】
前記請求項4記載の立体映像表示システムにおいて、
前記同期制御手段は、
前記遮光手段が左眼への入射光と右眼への入射光とを同時に遮光する期間では、前記表示映像の輝度を下げるよう前記映像輝度変更手段を制御する
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項7】
前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、
前記照明制御手段は、
前記遮光手段による遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その平均輝度が設定基準輝度と等しくなるように、前記照明装置の輝度を変更する
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項8】
前記請求項7記載の立体映像表示システムにおいて、
前記照明制御手段は、
前記照明装置の輝度を下げる期間の時間と前記設定基準輝度からの減少量との積と、前記照明装置の輝度を上げる期間の時間と前記設定基準輝度からの増加量との積とが等しくなるように、前記減少量と前記増加量とを決定する
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項9】
前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、
前記照明制御手段は、
前記遮光手段による遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その輝度の高低差を所定の閾値に制限する
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項10】
前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、
前記照明制御手段は、
前記遮光手段による遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その変更する高輝度と低輝度との間を時間当りの所定の輝度変更量に従って変更する
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項11】
前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、
前記映像表示手段の表示映像の輝度を変更する映像輝度変更手段と、
前記映像表示手段の周囲の照度を計測する照度計測手段とを備え、
前記映像輝度変更手段は、
前記遮光手段が左眼又は右眼を遮光しない期間に前記照度計測手段が計測した照度に応じて、前記映像表示手段の表示映像の輝度を変更する
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項12】
前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、
前記映像表示手段の表示映像の視聴、未視聴を判定する視聴判定手段を備え、
前記遮光手段は、
前記視聴判定手段が視聴中ではないと判定したとき、左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光しない
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項13】
前記請求項1記載の立体映像表示システムにおいて、
前記映像表示手段の表示映像の視聴、未視聴を判定する視聴判定手段を備え、
前記遮光手段は、
前記視聴判定手段が視聴中ではないと判定したとき、前記照明装置の輝度を下げる期間では左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光し、前記照明装置の輝度を上げる期間では左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光しない
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項14】
左眼用映像と右眼用映像とを交互に映像表示パネルに表示すると共に、
前記左眼用映像と右眼用映像との表示切換タイミングに同期して、シャッタメガネの左眼への入射光と右眼への入射光とを切り換えると共に、
前記シャッタメガネの左眼への入射光と右眼への入射光との遮光切換タイミングに同期して、前記映像表示パネルの周囲の空間を照らす照明装置の輝度を変更する
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項15】
前記請求項14記載の立体映像表示方法において、
前記シャッタメガネが左眼又は右眼への入射光を遮光しない期間では、前記照明装置の輝度を下げるよう制御する
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項16】
前記請求項14記載の立体映像表示方法において、
前記シャッタメガネが左眼への入射光と右眼への入射光とを同時に遮光する期間では、前記照明装置の輝度を上げるよう制御する
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項17】
前記請求項14記載の立体映像表示方法において、
前記シャッタメガネの遮光切換タイミングに同期して、前記映像表示パネルの表示映像の輝度を変更する
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項18】
前記請求項17記載の立体映像表示方法において、
前記シャッタメガネが左眼又は右眼への入射光を遮光しない期間では、前記映像表示パネルの表示映像の輝度を上げる
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項19】
前記請求項17記載の立体映像表示方法において、
前記シャッタメガネが左眼への入射光と右眼への入射光とを同時に遮光する期間では、前記映像表示パネルの表示映像の輝度を下げる
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項20】
前記請求項14記載の立体映像表示方法において、
前記シャッタメガネによる遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その平均輝度が設定基準輝度と等しくなるように、前記照明装置の輝度を変更する
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項21】
前記請求項20記載の立体映像表示方法において、
前記照明装置の輝度を下げる期間の時間と前記設定基準輝度からの減少量との積と、前記照明装置の輝度を上げる期間の時間と前記設定基準輝度からの増加量との積とが等しくなるように、前記減少量と前記増加量とを決定する
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項22】
前記請求項14記載の立体映像表示方法において、
前記シャッタメガネによる遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その輝度の高低差を所定の閾値に制限する
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項23】
前記請求項14記載の立体映像表示方法において、
前記シャッタメガネによる遮光切換タイミングに同期して照明装置の輝度を変更している期間では、その変更する高輝度と低輝度との間を時間当りの所定の輝度変更量に従って変更する
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項24】
前記請求項14記載の立体映像表示方法において、
前記映像表示パネルの周囲の照度を計測し、
前記シャッタメガネが左眼又は右眼を遮光しない期間では、前記計測した映像表示パネルの周囲の照度に応じて、前記映像表示パネルの表示映像の輝度を変更する
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項25】
前記請求項14記載の立体映像表示方法において、
前記映像表示パネルの表示映像の視聴、未視聴を判定し、
前記表示映像の視聴中ではないと判定したとき、シャッタメガネの左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光しない
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項26】
前記請求項14記載の立体映像表示方法において、
前記映像表示パネルの表示映像の視聴、未視聴を判定し、
前記表示映像の視聴中ではないと判定したとき、前記照明装置の輝度を下げる期間ではシャッタメガネの左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光し、前記照明装置の輝度を上げる期間ではシャッタメガネの左眼への入射光と右眼への入射光とを共に遮光しない
ことを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項27】
左眼用映像と右眼用映像とを交互に表示する映像表示手段を有する立体映像表示装置であって、
前記映像表示手段の周囲の空間を照らす照明装置の輝度を制御する照明制御手段を備えた
ことを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項28】
左眼用映像と右眼用映像とを交互に表示して得られる立体映像の視聴空間を照らすための照明装置であって、
前記左眼用映像と右眼用映像との表示切換タイミングに同期して、輝度を変化させる
ことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−147142(P2012−147142A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2706(P2011−2706)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】