説明

立体画像撮影装置

【課題】移動体を撮影して得られる立体画像に含まれる誤り視差を大幅に改善する。
【解決手段】被写体側から到来する光束を集光する対物レンズ光学系1と、光軸a上の位置を中心として所定距離だけ離間して配設され、対物レンズ光学系1を通して到来する光束の一部を通過可能に開口または遮断可能に閉口する第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bと、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bの後段に配設される撮像部6と、画像フレームごとに、画像フレーム有効期間よりも短期間である時間で第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bを択一的に開口させるよう第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bを制御するシャッタ制御部と、撮像部6が画像フレームごとに生成する撮像画像信号に基づいて立体画像信号を生成する画像信号処理部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を単眼の光学系でとらえて撮像し、立体画像を生成する立体画像撮影装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この立体画像撮影装置は、被写体側から到来する光束を撮像板に結像させる光学系と、光学系と撮像板との間、または光学系の中において光軸上の位置を中心として所定距離だけ離して配置され、光学系を通して到来する光束を通過させまたは遮光する複数の円形シャッタとを備えたものである。この立体画像撮影装置は、所定の時間間隔で、複数の円形シャッタのいずれか一つを開口するとともに、残りの円形シャッタを閉口して撮影する。すなわち、この立体画像撮影装置は、入射方向が異なる光束を単一の撮像板で時分割に撮像して左眼用画像と右眼用画像とを得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−271534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、立体画像撮影装置に対する被写体の位置が移動する場合、上記の立体画像撮影装置が撮像して得る立体画像に誤り視差が含まれる場合がある。これは、上記の立体画像撮影装置が左眼用画像と右眼用画像とを時分割に撮影する方式であることによって左眼用画像と右眼用画像との取得タイミングがずれているためであり、特に、撮影の視野内において視差が生じる方向に被写体が移動する場合に、誤り視差が大きくなる。
【0005】
ここで、左眼用画像と右眼用画像との取得タイミングのずれ、およびこの取得タイミングのずれによって生ずる誤り視差について説明する。
図11は、上記従来の立体画像撮影装置における撮像板の動作タイミングの概略を示すタイミングチャートである。ただし、この立体画像撮影装置は、二つの円形シャッタを備えて開口状態と閉口状態との組み合わせを交互に切り替えて動作するものである。同図において、垂直同期信号は、映像のフレーム周期を示す信号であり、垂直ブランキング期間tBLKと画像フレーム有効期間tAIとを撮像板に対して指定する信号である。左眼用シャッタ信号は、画像フレーム有効期間tAIと略同一期間である左眼用シャッタ開口期間tにおいて左眼用シャッタを開口させる信号である。同様に、右眼用シャッタ信号は、画像フレーム有効期間tAIと略同一期間である右眼用シャッタ開口期間tにおいて右眼用シャッタを開口させる信号である。撮像画像信号は、撮像板が出力する左眼用画像信号および右眼用画像信号である。
【0006】
図11のタイミングチャートによれば、撮像板は、画像フレーム有効期間tAI中有効となる左眼用シャッタ開口期間tにおいて、左眼用シャッタを通過して結像された光束を撮像して左眼用画像信号を出力する。また、撮像板は、次画像フレームの画像フレーム有効期間tAI中有効となる右眼用シャッタ開口期間tにおいて、右眼用シャッタを通過して結像された光束を撮像して右眼用画像信号を出力する。
このように、撮像板が、映像のフレーム周期で左眼用画像と右眼用画像とを交互に取得することにより、左眼用画像と右眼用画像との取得タイミングには、1画像フレーム期間分の画像取得時間差tdiffが発生する。この画像取得時間差tdiffが取得タイミングのずれ量である。
【0007】
次に、取得タイミングのずれによって生ずる誤り視差について、図12〜図16を併せ参照して説明する。
図12は、従来の立体画像撮影装置が、合焦位置に静止する被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。なお、同図(図13〜図16も同様)においては、便宜上、被写体点を丸印で図示してある。
図12に示すように、立体画像撮影装置50は、対物レンズ光学系21と、遮光板22と、左眼用シャッタ23aと、右眼用シャッタ23bと、集束レンズ光学系25と、撮像部26とを備える。対物レンズ光学系21および集束レンズ光学系25は、各光軸を立体画像撮影装置50の光軸aに一致させて配設される。遮光板22は、平板面を有し、この平板面を光軸aに対し垂直にして配設される。左眼用シャッタ23aおよび右眼用シャッタ23bは、光軸aに貫かれる遮光板22上の点を中心とし、対物レンズ光学系21を通して到来する光束を受光可能な遮光板22上の位置に相対して遮光板22に設けられる。すなわち、立体画像撮影装置50の構成は、特許文献1に開示された立体画像撮影装置の構成と同様である。
【0008】
図12では、光軸aと交わる原点を有するXY直交軸において、X軸正方向側(同図における下方側)を左側、X軸負方向側(同図における上方側)を右側と定義する。すなわち、ここでの左側および右側は、立体画像撮影装置50の撮影者が被写体を見る状態での左右方向を表している。立体画像撮影装置50は、左眼用シャッタ開口期間tにおいて、左眼用シャッタ23aを開口させるとともに右眼用シャッタ23bを閉口させ、右眼用シャッタ開口期間tにおいて、右眼用シャッタ23bを開口させるとともに左眼用シャッタ23aを閉口させる。よって、撮像部26は、左眼用シャッタ開口期間tにおいて対物レンズ光学系21と左眼用シャッタ23aと集束レンズ光学系25とを通過して到来する第1光束を撮像して左眼用画像信号を生成する。また、撮像部26は、右眼用シャッタ開口期間tにおいて対物レンズ光学系21と右眼用シャッタ23bと集束レンズ光学系25とを通過して到来する第2光束を撮像して右眼用画像信号を生成する。そして、立体画像撮影装置50は、撮像部26が生成した左眼用画像信号および右眼用画像信号を一対の立体画像信号として出力する。
【0009】
図12に示すように、合焦位置Sに静止した状態の被写体点を立体画像撮影装置50が撮影する場合、左眼用シャッタ23aを通過した第1光束と右眼用シャッタ23bを通過した第2光束とは、撮像部26の撮像面上の同一位置にそれぞれ結像される。つまり、この状態においては、左眼用画像と右眼用画像との間には視差が生じない。よって、この状態においては、左眼用画像と右眼用画像との誤り視差が生じない。
【0010】
図13は、立体画像撮影装置50が、立体画像撮影装置50から向かって右側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。同図は、画像取得時間差tdiffの時間をかけて、被写体点が合焦位置Sから合焦位置Sまで右側方向(X軸負方向)に移動する様子を表している。立体画像撮影装置50は、左眼用シャッタ開口期間tにおいて合焦位置Sにある被写体点を撮影して左眼用画像を取得し、右眼用シャッタ開口期間tにおいて合焦位置Sにある被写体点を撮影して右眼用画像を取得する。
同図に示すように、合焦位置Sおよび合焦位置Sにある各被写体点を立体画像撮影装置50が撮影する場合、左眼用シャッタ23aを通過した第1光束と右眼用シャッタ23bを通過した第2光束とは、撮像部26の撮像面上の異なる位置にそれぞれ結像される。具体的には、右眼用画像は左眼用画像の左側、言い換えると、左眼用画像は右眼用画像の右側に位置することとなる。この左眼用画像と右眼用画像との位置ずれが、誤り視差である。
【0011】
立体画像撮影装置50が、右側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影して得た立体画像は、立体画像撮影装置50に対して被写体側の合焦位置よりも遠い位置に静止する被写体点を立体画像撮影装置50が撮影して得た立体画像に類似する。この類似性について図14を参照して説明する。
図14は、立体画像撮影装置50が、立体画像撮影装置50に対して被写体側の合焦位置よりも遠い位置に静止する被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。
同図に示すように、立体画像撮影装置50に対して被写体側の合焦位置よりも遠い位置Sに静止した状態の被写体点を立体画像撮影装置50が撮影する場合、撮像部26側の合焦位置は撮像部26の撮像面に対して集束レンズ光学系25寄りの位置となる。よって、左眼用シャッタ23aを通過した第1光束と右眼用シャッタ23bを通過した第2光束とは、撮像部26の撮像面上の異なる位置にそれぞれ結像される。具体的には、右眼用画像は左眼用画像の左側、言い換えると、左眼用画像は右眼用画像の右側に位置することとなる。
【0012】
したがって、立体画像撮影装置50が右側方向に移動する被写体を撮影して得た立体画像を表示させた場合、観察者には、その被写体が実際よりも遠い位置にあると知覚される。
【0013】
図15は、立体画像撮影装置50が、立体画像撮影装置50から向かって左側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。同図は、画像取得時間差tdiffの時間をかけて、被写体点が合焦位置Sから合焦位置Sまで左側方向(X軸正方向)に移動する様子を表している。立体画像撮影装置50は、左眼用シャッタ開口期間tにおいて合焦位置Sにある被写体点を撮影して左眼用画像を取得し、右眼用シャッタ開口期間tにおいて合焦位置Sにある被写体点を撮影して右眼用画像を取得する。
同図に示すように、合焦位置Sおよび合焦位置Sにある各被写体点を立体画像撮影装置50が撮影する場合、左眼用シャッタ23aを通過した第1光束と右眼用シャッタ23bを通過した第2光束とは、撮像部26の撮像面上の異なる位置にそれぞれ結像される。具体的には、右眼用画像は左眼用画像の右側、言い換えると、左眼用画像は右眼用画像の左側に位置することとなる。この左眼用画像と右眼用画像との位置ずれが、誤り視差である。
【0014】
立体画像撮影装置50が、左側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影して得た立体画像は、立体画像撮影装置50に対して被写体側の合焦位置よりも近い位置に静止する被写体点を立体画像撮影装置50が撮影して得た立体画像に類似する。この類似性について図16を参照して説明する。
図16は、立体画像撮影装置50が、立体画像撮影装置50に対して被写体側の合焦位置よりも近い位置に静止する被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。
同図に示すように、立体画像撮影装置50に対して被写体側の合焦位置よりも近い位置Sに静止した状態の被写体点を立体画像撮影装置50が撮影する場合、撮像部26側の合焦位置は撮像部26の撮像面に対して集束レンズ光学系25と逆側の位置となる。よって、左眼用シャッタ23aを通過した第1光束と右眼用シャッタ23bを通過した第2光束とは、撮像部26の撮像面上の異なる位置にそれぞれ結像される。具体的には、右眼用画像は左眼用画像の右側、言い換えると、左眼用画像は右眼用画像の左側に位置することとなる。
【0015】
したがって、立体画像撮影装置50が左側方向に移動する被写体を撮影して得た立体画像を表示させた場合、観察者には、その被写体が実際よりも近い位置にあると知覚される。
【0016】
上述したように、上記従来の立体画像撮影装置が移動体を撮影して得る立体画像には誤り視差が含まれることがあり、この場合には、移動体の奥行きが正しく知覚できないことになる。
そこで、本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、移動体を撮影して得られる立体画像に含まれる誤り視差を大幅に改善する立体画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である立体画像撮影装置は、被写体側から到来する光束を集光するレンズ光学系と、前記レンズ光学系の光軸に対して垂直方向に所定距離だけ離間して配設され、前記レンズ光学系を通して到来する前記光束の一部を通過可能に開口または遮断可能に閉口する複数のシャッタと、前記複数のシャッタの後段に配設される撮像部と、画像フレームごとに、画像フレーム有効期間よりも短期間である時間で前記複数のシャッタを択一的に開口させるとともに残りのシャッタを閉口させるよう前記複数のシャッタを制御するシャッタ制御部と、前記撮像部が画像フレームごとに生成する複数の撮像画像信号に基づいて立体画像信号を生成する画像信号処理部と、を備えることを特徴とする。
ここで、レンズ光学系は、対物レンズ光学系および集束レンズ光学系のうち少なくとも対物レンズ光学系を含む。
上記構成によれば、本発明の一態様である立体画像撮影装置は、複数のシャッタそれぞれを通した光束の画像取得時間差を、画像フレーム有効期間よりも短時間に抑えることができ、被写体が当該立体画像撮影装置の左右方向に移動した場合の誤り視差を小さく抑えることができる。
[2]上記[1]記載の立体画像撮影装置において、前記シャッタ制御部は、画像フレームごとに、画像フレーム有効期間内に前記複数のシャッタを択一的に複数回開口させるよう前記複数のシャッタを制御し、前記画像信号処理部は、前記撮像部が画像フレームごとに生成する前記複数のシャッタそれぞれに対応する複数の撮像画像信号の全てまたは一部を加算して立体画像信号を生成することを特徴とする。
上記構成によっても、立体画像撮影装置は、複数のシャッタそれぞれを通した光束の画像取得時間差を、画像フレーム有効期間よりも短時間に抑えることができ、被写体が当該立体画像撮影装置の左右方向に移動した場合の誤り視差を小さく抑えることができる。
[3]上記[2]記載の立体画像撮影装置において、前記撮像部の撮像面における被写体像の移動速度に応じて、前記撮像部が画像フレームごとに生成する前記複数のシャッタそれぞれに対応する前記複数の撮像画像信号の一部を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、移動体を撮影して得られる立体画像に含まれる誤り視差を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態である立体画像撮影装置が備える光学系の概略構成を示す断面図である。
【図2】同実施形態において、対物レンズ光学系と、遮光板と、第1シャッタと、第2シャッタとを、立体画像撮影装置の前面側から正対して見た正面図である。
【図3】同実施形態である立体画像撮影装置の、主に電気系の概略構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態である立体画像撮影装置の動作タイミングの概略を示すタイミングチャートである。
【図5】同実施形態である立体画像撮影装置が、当該立体画像撮影装置から向かって右側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。
【図6】本発明の第2実施形態である立体画像撮影装置の、主に電気系の概略構成を示すブロック図である。
【図7】同実施形態である立体画像撮影装置の動作タイミングの概略を示すタイミングチャートである。
【図8】同実施形態である立体画像撮影装置が、当該立体画像撮影装置から向かって右側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。
【図9】本発明のその他の実施形態である立体画像撮影装置が備える光学系の概略構成を示す断面図である。
【図10】その他の実施形態において、対物レンズ光学系と、第1シャッタと、第2シャッタと、第3シャッタと、第4シャッタとを、立体画像撮影装置の前面側から正対して見た正面図である。
【図11】従来の立体画像撮影装置における撮像板の動作タイミングの概略を示すタイミングチャートである。
【図12】従来の立体画像撮影装置が、合焦位置に静止する被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。
【図13】従来の立体画像撮影装置が、当該立体画像撮影装置から向かって右側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。
【図14】従来の立体画像撮影装置が、当該立体画像撮影装置に対して被写体側の合焦位置よりも遠い位置に静止する被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。
【図15】従来の立体画像撮影装置が、当該立体画像撮影装置から向かって左側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。
【図16】従来の立体画像撮影装置が、当該立体画像撮影装置に対して被写体側の合焦位置よりも近い位置に静止する被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1実施形態である立体画像撮影装置が備える光学系の概略構成を示す断面図である。同図に示すように、立体画像撮影装置100は、対物レンズ光学系1と、遮光板2と、第1シャッタ3aと、第2シャッタ3bと、集束レンズ光学系5と、撮像部6とを備える。このうち、遮光板2と、第1シャッタ3aと、第2シャッタ3bとは、露光調節部4を構成する。
同図では、立体画像撮影装置100の光軸aと交わる原点を有するXY直交軸において、X軸正方向側(同図における下方側)を「左側」、X軸負方向側(同図における上方側)を「右側」と定義する。すなわち、ここでの左側および右側は、立体画像撮影装置100の撮影者が被写体を見る状態での左右の向きを表している。
なお、本実施形態における実体配置図の断面図部分は、正確な形状および縮尺を表したものではない。
【0021】
図1に示すように、対物レンズ光学系1および集束レンズ光学系5は、各光軸を光軸aに一致させて配設される。遮光板2は、平板面を有し、この平板面を光軸aに対し垂直にして配設される。第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bは、光軸aに貫かれる遮光板2上の点を中心とし、対物レンズ光学系1を通して到来する光束を受光可能な遮光板2上の位置に配設される。遮光板2における第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bの配置の詳細については後述する。
【0022】
対物レンズ光学系1は、被写体側から到来する光束を集光するレンズを有する。このレンズは、1枚のレンズであってもよいし、複数のレンズを組み合わせたレンズ群であってもよい。
遮光板2は、対物レンズ光学系1と集束レンズ光学系5との間に配設され、被写体側から対物レンズ光学系1を通して到来する光束を遮光する。また、遮光板2には、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bが配設される。
第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bは、対物レンズ光学系1を通して到来する光束を集束レンズ光学系5側に通過させるために開口し、また遮光するために閉口するものであり、電子シャッタまたはメカニカルシャッタにより実現される。詳細は後述するが、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bは、一方が開口するときには他方が閉口するよう制御される。
以下、第1シャッタ3aを通過する光束を第1光束、第2シャッタ3bを通過する光束を第2光束と呼ぶ。
【0023】
集束レンズ光学系5は、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bから到来する第1光束および第2光束を集光するレンズを有する。このレンズは、1枚のレンズであってもよいし、複数のレンズが組み合わされたレンズ群であってもよい。
対物レンズ光学系1と集束レンズ光学系5とは、レンズ光学系である。レンズ光学系と露光調節部4とは、図示しない鏡筒に収納される。
【0024】
撮像部6は、固体撮像素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像部6は、集束レンズ光学系5を通して到来する第1光束および第2光束のいずれかを撮像面に結像させた状態で光電変換し、撮像画像信号として出力する。
【0025】
図2は、対物レンズ光学系1と、遮光板2と、第1シャッタ3aと、第2シャッタ3bとを、立体画像撮影装置100の前面側から正対して見た正面図である。同図におけるXY直交軸は、図1におけるXY直交軸に対応する。図2に示すように、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bの各開閉口は、同一の大きさの略円(真円を含む)の形状を有する。これら第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bは、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bの各中心点がX軸上であって原点Oから等距離となる位置に配設される。
なお、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bの各開閉口の形状は、円形以外にも楕円形や多角形等であってもよい。
【0026】
第1シャッタ3aと第2シャッタ3bとのX軸上の距離が離れるほど、第1シャッタ3aを通過する第1光束と第2シャッタ3bを通過する第2光束とによる各像の視差が大きくなる。また、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bの各開閉口が大きいほど撮像部6で得られる光量が多くなる一方、被写界深度が浅くなるため撮像面における各像の焦点ぼけ量が大きくなる。よって、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bの各開閉口の大きさおよびX軸上の離間距離は、撮像部6における光量、被写界深度、および撮像画像の視差量を考慮して決められる。
【0027】
図3は、立体画像撮影装置100の、主に電気系の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、立体画像撮影装置100は、第1シャッタ3aと、第2シャッタ3bと、撮像部6と、タイミング生成部7と、画像信号処理部8とを、電気系に関係する構成として備える。なお、第1シャッタ3aと、第2シャッタ3bと、撮像部6とは、図1に示す光学系に関係する構成と重複するが、ここでは、電気系に関する説明のみを行う。
【0028】
タイミング生成部7は、立体画像撮影装置100の映像に関するタイミング信号を生成する。具体的には、タイミング生成部7は、垂直同期信号と、第1露光制御信号と、第2露光制御信号と、撮像制御信号と、立体画像出力制御信号とを生成する。垂直同期信号は、立体画像撮影装置100における映像信号のフレーム周期を規定する信号である。第1露光制御信号は、第1シャッタ3aを制御する信号であり、映像のフレーム周期に同期し、1画像フレームあたり一つの第1シャッタ開口期間を示す信号である。第2露光制御信号は、第2シャッタ3bを制御する信号であり、映像のフレーム周期に同期し、前記の第1シャッタ開口期間に重複しない、1画像フレームあたり一つの第2シャッタ開口期間を示す信号である。撮像制御信号は、第1光束および第2光束の撮像タイミングを規定する信号である。立体画像出力制御信号は、映像のフレーム周期に同期し、立体画像撮影装置100からの出力タイミングを規定する信号である。
【0029】
タイミング生成部7は、第1露光制御信号を第1シャッタ3aに供給し、第2露光制御信号を第2シャッタ3bに供給し、撮像制御信号を撮像部6に供給し、立体画像出力制御信号を画像信号処理部8に供給する。
なお、タイミング生成部7において、第1露光制御信号および第2露光制御信号を生成する機能部は、シャッタ制御部である。
【0030】
第1シャッタ3aは、タイミング生成部7から供給される第1露光制御信号を受信して、この第1露光制御信号が示す第1シャッタ開口期間において開口して光束を通過させ、第1シャッタ開口期間を除く期間において閉口して光束を遮断する。
第2シャッタ3bは、タイミング生成部7から供給される第2露光制御信号を受信して、この第2露光制御信号が示す第2シャッタ開口期間において開口して光束を通過させ、第2シャッタ開口期間を除く期間において閉口して光束を遮断する。
【0031】
撮像部6は、タイミング生成部7から供給される撮像制御信号を取り込み、集束レンズ光学系5を通して撮像面に結像される第1光束および第2光束いずれかを撮像制御信号にしたがって撮像し、撮像画像信号を生成する。具体的には、撮像部6は、第1シャッタ3aを通過し集束レンズ光学系5を通して到来する第1光束を、撮像制御信号にしたがって撮像して第1画像信号を生成し、第2シャッタ3bを通過し集束レンズ光学系5を通して到来する第2光束を、撮像制御信号にしたがって撮像して第2画像信号を生成する。撮像部6は、生成した撮像画像信号、すなわち生成した第1画像信号および第2画像信号を画像信号処理部8に供給する。
【0032】
画像信号処理部8は、タイミング生成部7から供給される立体画像出力制御信号を取り込み、また、撮像部6から供給される撮像画像信号を取り込む。そして、画像信号処理部8は、撮像画像信号から左眼用画像信号および右眼用画像信号を生成し、これら左眼用画像信号およびと右眼用画像信号を、立体画像出力制御信号にしたがって映像のフレーム周期に同期させて出力する。具体的には、画像信号処理部8は、撮像部6から供給される撮像画像信号の第1画像信号を左眼用画像信号として立体画像出力制御信号にしたがって出力するとともに、撮像部6から供給される撮像画像信号の第2画像信号を右眼用画像信号として立体画像出力制御信号にしたがって出力する。
【0033】
また、立体画像撮影装置100は、図示しないフォーカス調節部を含む。このフォーカス調節部は、例えば、対物レンズ光学系1および集束レンズ光学系5のうち少なくとも対物レンズ光学系1の位置を光軸aに沿う方向に移動させることによって、撮像部6の撮像面に対する第1光束および第2光束の焦点位置を調節するものである。このフォーカス調節部は、マニュアル方式であってもよいしオートフォーカス方式であってもよい。
【0034】
次に、立体画像撮影装置100が被写体点を撮影する場合を例として、立体画像撮影装置100の動作を説明する。まず、立体画像撮影装置100の動作タイミングについて説明する。
図4は、立体画像撮影装置100の動作タイミングの概略を示すタイミングチャートである。同図において、垂直同期信号は、垂直ブランキング期間tBLKと画像フレーム有効期間tAIとを示す。垂直ブランキング期間tBLKは、垂直帰線期間に相当する期間であり、撮影において画像が有効でない期間である。画像フレーム有効期間tAIは、1画像フレームにおいて撮像可能な期間である。第1露光制御信号は、画像フレーム有効期間tAI中で且つ画像フレーム有効期間tAIよりも短期間である第1シャッタ開口期間tを示す。第2露光制御信号は、第1シャッタ開口期間tの経過後に、画像フレーム有効期間tAI中で且つ画像フレーム有効期間tAIよりも短期間である第2シャッタ開口期間tを示す。第1シャッタ開口期間tと第2シャッタ開口期間tとの時間長は略同一(同一を含む)である。
【0035】
撮像画像信号は、撮像部6が撮像制御信号に基づくタイミングで撮像して生成する信号である。具体的には、撮像画像信号は、撮像部6が、第1シャッタ3aを通過して到来する第1光束を撮像して生成する第1画像信号と、第2シャッタ3bを通過して到来する第2光束を撮像して生成する第2画像信号とを時系列的に含む。第1画像信号および第2画像信号それぞれは、画像フレーム有効期間tAIにおける画像フレームの画像信号である。図4において、1画像フレームにおける第1画像信号1−1および第2画像信号2−1が一対の撮像画像信号である。左眼用画像信号および右眼用画像信号は、画像信号処理部8が立体画像出力制御信号に基づくタイミングで出力する信号である。同図において、左眼用画像信号L−1および右眼用画像信号R−1は、一対の立体画像信号であり、一対の撮像画像信号の有効期間の経過後に画像信号処理部8から出力される。
【0036】
図4に示すタイミングチャートによれば、第1シャッタ3aと第2シャッタ3bとは、画像フレーム有効期間tAIの一部の期間において、時間的に重複することなく連続して開口状態が切り替わる。これにより、撮像部6が生成する一対の第1画像信号および第2画像信号には、第2画像信号を取得する時間分の画像取得時間差tdiffが発生する。この画像取得時間差tdiffは、前述したとおり取得タイミングのずれ量となるが、従来の立体画像撮影装置50において発生する1画像フレーム期間分の画像取得時間差tdiff(図11を参照。)と比較すると短時間である。
【0037】
図5は、立体画像撮影装置100が、立体画像撮影装置100から向かって右側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。同図では、光軸aと交わる原点を有するXY直交軸において、X軸正方向側(同図における下方側)を「左側」、X軸負方向側(同図における上方側)を「右側」と定義する。すなわち、ここでの左側および右側は、立体画像撮影装置100の撮影者が被写体を見る状態での左右の向きを表している。また、同図においては、便宜上、被写体点および被写体点の像を丸印として示す。
同図は、画像取得時間差tdiffの時間をかけて、被写体点が合焦位置Sから合焦位置Sまで右側方向(X軸負方向)に移動する様子を表している。なお、吹き出しbl1は、被写体点の拡大図であり、吹き出しbl2は、撮像面上の像の拡大図である。
【0038】
立体画像撮影装置100の動作は次のとおりである。
立体画像撮影装置100のタイミング生成部7が生成する第1露光制御信号および第2露光制御信号にしたがって、画像フレーム有効期間tAIの一部の期間である第1シャッタ開口期間tにおいて、第1シャッタ3aは開口するとともに第2シャッタ3bは閉口する。そして、第1シャッタ3aのみが、合焦位置Sにある被写体点から対物レンズ光学系1を通して到来する光束を通過させる。第1シャッタ3aを通過した光束は第1光束である。
集束レンズ光学系5は、第1シャッタ3aから到来する第1光束を集光し、撮像部6の撮像面上の位置Iに結像させる。
撮像部6は、タイミング生成部7から供給される撮像制御信号に基づき撮像面上の位置Iに結像された被写体点の像を撮像して第1画像信号を生成し、この第1画像信号を画像信号処理部8に供給する。
画像信号処理部8は、撮像部6から供給される第1画像信号を取り込んで記憶する。
【0039】
次に、上記の第1シャッタ開口期間tの経過後であり且つ画像フレーム有効期間tAIの一部の期間である第2シャッタ開口期間tにおいて、第2シャッタ3bは開口するとともに第1シャッタ3aは閉口する。そして、第2シャッタ3bのみが、合焦位置Sにある被写体点から対物レンズ光学系1を通して到来する光束を通過させる。第2シャッタ3bを通過した光束は第2光束である。
集束レンズ光学系5は、第2シャッタ3bから到来する第2光束を集光し、撮像部6の撮像面上の位置Iとは異なる位置である位置Iに結像させる。
撮像部6は、撮像制御信号に基づき撮像面上の位置Iに結像された被写体点の像を撮像して第2画像信号を生成し、この第2画像信号を画像信号処理部8に供給する。
画像信号処理部8は、撮像部6から供給される第2画像信号を取り込んで記憶する。
【0040】
次に、画像信号処理部8は、タイミング生成部7から供給される立体画像出力制御信号に基づいて、記憶した第1画像信号を左眼用画像信号として出力するとともに、記憶した第2画像信号を右眼用画像信号として出力する。これら左眼用画像信号と右眼用画像信号とは、1画像フレーム期間分の一対の立体画像信号である。
【0041】
図5に示すように、合焦位置Sおよび合焦位置Sにある各被写体点を立体画像撮影装置100が撮影する場合、第1シャッタ3aを通過した第1光束と第2シャッタ3bを通過した第2光束とは、撮像部6の撮像面上の異なる位置にそれぞれ結像される。具体的には、右眼用画像は左眼用画像の左側、言い換えると、左眼用画像は右眼用画像の右側に位置することとなる。ただし、この左眼用画像と右眼用画像との位置ずれ、すなわち誤り視差は、図13に示した従来の立体画像撮影装置50による誤り視差に対して十分小さい。
【0042】
図4のタイミングチャートと関連付けて各部の動作を説明すると、シャッタ制御部は、単一のシャッタの一画像フレームあたりの開口時間の上限が画像フレーム有効期間tAIよりも短い画像取得時間差許容時間内となるように、シャッタの開閉を制御する。撮像部6は、単一のシャッタに関してその画像取得時間差許容時間内の画像を撮像する。そして、画像信号処理部8は、撮像された画像を画像フレーム有効期間tAIの画像として出力する。言い換えると、画像信号処理部8は、画像取得時間差許容時間に撮像された画像を画像有効期間tAIの画像に引き伸ばして出力する。
【0043】
なお、立体画像撮影装置100が、左側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する場合については、上述した、右側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する場合と同様に考えることができる。すなわち、立体画像撮影装置100が、左側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する場合、第1シャッタ3aを通過した第1光束と第2シャッタ3bを通過した第2光束とは、撮像部6の撮像面上の異なる位置にそれぞれ結像される。具体的には、右眼用画像は左眼用画像の右側、言い換えると、左眼用画像は右眼用画像の左側に位置することとなる。ただし、この左眼用画像と右眼用画像との位置ずれ、すなわち誤り視差は、図15に示した従来の立体画像撮影装置50による誤り視差に対して十分小さい。
【0044】
以上説明したとおり、本発明の第1実施形態である立体画像撮影装置100は、画像フレームごとに、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bの開閉を、画像フレーム有効期間tAIの一部の期間において連続して一回だけ切り替えるようにした。つまり、立体画像撮影装置100は、画像フレーム有効期間tAIの一部期間において、第1シャッタ3aの開口期間である第1シャッタ開口期間tと、第2シャッタ3bの開口期間である第2シャッタ開口期間tとを連続させるようにした。そして、立体画像撮影装置100は、第1シャッタ開口期間tと第2シャッタ開口期間tとにおいて、それぞれ第1光束と第2光束とを撮像して第1画像信号と第2画像信号とを取得するようにした。
【0045】
このように構成したことにより、立体画像撮影装置100は、画像取得時間差tdiffを、画像フレーム有効期間tAIよりも短時間である第2画像信号を取得する時間に抑えることができ、被写体が立体画像撮影装置100の左右方向に移動した場合の誤り視差を小さく抑えることができる。
したがって、立体画像撮影装置100が右側方向に移動する被写体を撮影して得た立体画像を表示させた場合、観察者に、その被写体が実際よりも遠い位置にあると誤認識されるおそれが大幅に減少する。また、立体画像撮影装置100が左側方向に移動する被写体を撮影して得た立体画像を表示させた場合、観察者に、その被写体が実際よりも近い位置にあると誤認識されるおそれが大幅に減少する。
【0046】
[第2の実施の形態]
第1実施形態である立体画像撮影装置100は、画像フレームごとに、第1シャッタ3aおよび第2シャッタ3bの開閉を、画像フレーム有効期間tAIの一部の期間において連続して一回だけ切り替えるようにした。
本発明の第2実施形態である立体画像撮影装置は、第1シャッタと第2シャッタとを、1画像フレームにおける画像フレーム有効期間内において、開口状態が時間的に重複しないよう開閉状態を複数回(本実施形態では3回)切り替えるものである。
本実施形態である立体画像撮影装置は、第1実施形態である立体画像撮影装置100に対して、タイミング生成部および画像信号処理部の構成および動作と撮像部の動作とが異なるものである。本実施形態においては、第1実施形態と異なる点についての説明を行い、共通する部分についての説明を省略する。
【0047】
図6は、立体画像撮影装置100aの、主に電気系の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、立体画像撮影装置100aは、立体画像撮影装置100におけるタイミング生成部7および画像信号処理部8が、タイミング生成部7aおよび画像信号処理部8aに変更された構成を有する。
【0048】
タイミング生成部7aは、立体画像撮影装置100aの映像に関するタイミング信号を生成する。具体的には、タイミング生成部7aは、垂直同期信号と、第1露光制御信号と、第2露光制御信号と、撮像制御信号と、立体画像出力制御信号とを生成する。垂直同期信号は、立体画像撮影装置100aにおける映像信号のフレーム周期を規定する信号である。第1露光制御信号は、第1シャッタ3aを制御する信号であり、映像のフレーム周期に同期し、1画像フレームあたり三つの第1シャッタ開口期間を示す信号である。第2露光制御信号は、第2シャッタ3bを制御する信号であり、映像のフレーム周期に同期し、前記の第1シャッタ開口期間に重複しない、1画像フレームあたり三つの第2シャッタ開口期間を示す信号である。撮像制御信号は、第1光束および第2光束の撮像タイミングを規定する信号である。立体画像出力制御信号は、映像のフレーム周期に同期し、立体画像撮影装置100aからの出力タイミングを規定する信号である。
【0049】
タイミング生成部7aは、第1露光制御信号を第1シャッタ3aに供給し、第2露光制御信号を第2シャッタ3bに供給し、撮像制御信号を撮像部6に供給し、立体画像出力制御信号を画像信号処理部8aに供給する。
なお、タイミング生成部7aにおいて、第1露光制御信号および第2露光制御信号を生成する機能部は、シャッタ制御部である。
【0050】
画像信号処理部8aは、タイミング生成部7aから供給される立体画像出力制御信号を取り込み、また、撮像部6から供給される撮像画像信号を取り込む。そして、画像信号処理部8aは、撮像画像信号から左眼用画像信号および右眼用画像信号を生成し、これら左眼用画像信号および右眼用画像信号を立体画像出力制御信号にしたがって映像のフレーム周期に同期させて出力する。具体的には、画像信号処理部8aは、画像合成部81を備える。画像合成部81は、撮像部6から供給される撮像画像信号のうち三つの第1画像信号を加算平均して左眼用画像信号を生成し、また、三つの第2画像信号を加算平均して右眼用画像信号を生成する。そして、画像信号処理8aは、画像合成部81が生成した左眼用画像信号および右眼用画像信号を、立体画像出力制御信号にしたがって出力する。
【0051】
画像信号の加算平均処理において、加算回数をk回(kは2以上の整数)とすると、画像信号に重畳されたノイズ成分は加算平均処理後に(1/√k)倍となる。よって、画像信号処理部8aが出力する左眼用画像信号および右眼用画像信号は、第1実施形態における画像信号処理部8が出力する左眼用画像信号および右眼用画像信号に対して輝度が高く且つS/N(信号対ノイズ)比が高い。
【0052】
次に、立体画像撮影装置100aが被写体点を撮影する場合を例として、立体画像撮影装置100aの動作を説明する。まず、立体画像撮影装置100aの動作タイミングについて説明する。
図7は、立体画像撮影装置100aの動作タイミングの概略を示すタイミングチャートである。同図において、垂直同期信号は、第1実施形態と同様に、垂直ブランキング期間tBLKと画像フレーム有効期間tAIとを示す。第1露光制御信号は、画像フレーム有効期間tAIにおいて周期的な三つの第1シャッタ開口期間tを示す。第2露光制御信号は、画像フレーム有効期間tAIにおいて、第1シャッタ開口期間tに重複しない周期的な三つの第2シャッタ開口期間tを示す。第1シャッタ開口期間tと第2シャッタ開口期間tとの時間長は略同一(同一を含む)である。また、1画像フレームにおいて、三つの第1シャッタ開口期間tと三つの第2シャッタ開口期間tとを合計した期間は、画像フレーム有効期間tAIと略同一(同一を含む)の時間長である。
【0053】
撮像画像信号は、撮像部6が撮像制御信号に基づくタイミングで撮像して生成する信号である。具体的には、撮像画像信号は、撮像部6が、第1シャッタ3aを通過して到来する第1光束を撮像して生成する第1画像信号と、第2シャッタ3bを通過して到来する第2光束を撮像して生成する第2画像信号とを時系列的に含む。第1画像信号および第2画像信号それぞれは、画像フレーム有効期間tAIにおける画像フレームの画像信号である。図7において、1画像フレームにおける、第1画像信号1−1および第2画像信号2−1、第1画像信号1−2および第2画像信号2−2、ならびに、第1画像信号1−3および第2画像信号2−3が、一組の撮像画像信号である。左眼用画像信号および右眼用画像信号は、画像信号処理部8aが立体画像出力制御信号に基づくタイミングで出力する信号である。同図において、左眼用画像信号L−1は、第1画像信号1−1,1−2,1−3全てを加算平均して得られた画像信号であり、右眼用画像信号R−1は、第2画像信号2−1,2−2,2−3全てを加算平均して得られた画像信号である。同図において、左眼用画像信号L−1および右眼用画像信号R−1は、一対の立体画像信号であり、一組の撮像画像信号の有効期間の経過後に画像信号処理部8から出力される。る。
【0054】
図7に示すタイミングチャートによれば、第1シャッタ3aと第2シャッタ3bとは、画像フレーム有効期間tAIにおいて、時間的に重複することなく連続して開口状態が切り替わる。これにより、撮像部6が生成する一組の第1画像信号および第2画像信号には、一つの第2画像信号を取得する時間分の画像取得時間差tdiffが発生する。この画像取得時間差tdiffは、前述したとおり取得タイミングのずれ量となるが、従来の立体画像撮影装置50において発生する1画像フレーム期間分の画像取得時間差tdiff(図11を参照。)と比較すると短時間である。
【0055】
図8は、立体画像撮影装置100aが、立体画像撮影装置100aから向かって右側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する様子を模式的に表す図である。同図では、光軸aと交わる原点を有するXY直交軸において、X軸正方向側(同図における下方側)を左側、X軸負方向側(同図における上方側)を右側と定義する。すなわち、ここでの左側および右側は、立体画像撮影装置100aの撮影者が被写体を見る状態での左右方向を表している。また、同図においては、便宜上、被写体点および被写体点の像を丸印として示す。
同図は、画像フレーム有効期間tAIの時間をかけて、被写体点が合焦位置SS1から合焦位置SE3まで右側方向(X軸負方向)に移動する様子を表している。なお、吹き出しbl3は、被写体点の拡大図であり、吹き出しbl4は、撮像面上の像の拡大図である。
【0056】
立体画像撮影装置100aの動作は次のとおりである。
立体画像撮影装置100aのタイミング生成部7aが生成する第1露光制御信号および第2露光制御信号にしたがって、画像フレーム有効期間tAIの一部の期間である第1の第1シャッタ開口期間tにおいて、第1シャッタ3aは開口するとともに第2シャッタ3bは閉口する。そして、第1シャッタ3aのみが、合焦位置SS1にある被写体点から対物レンズ光学系1を通して到来する光束を通過させる。第1シャッタ3aを通過した光束は第1光束である。
集束レンズ光学系5は、第1シャッタ3aから到来する第1光束を集光し、撮像部6の撮像面上の位置IS1に結像させる。
撮像部6は、タイミング生成部7から供給される撮像制御信号に基づき撮像面上の位置IS1に結像された被写体点の像を撮像して第1の第1画像信号を生成し、この第1の第1画像信号を画像信号処理部8aに供給する。
画像信号処理部8aは、撮像部6から供給される第1の第1画像信号を取り込んで記憶する。
【0057】
次に、上記の第1の第1シャッタ開口期間tの経過後であり且つ画像フレーム有効期間tAIの一部の期間である第1の第2シャッタ開口期間tにおいて、第2シャッタ3bは開口するとともに第1シャッタ3aは閉口する。そして、第2シャッタ3bのみが、合焦位置SE1にある被写体点から対物レンズ光学系1を通して到来する光束を通過させる。第2シャッタ3bを通過した光束は第2光束である。
集束レンズ光学系5は、第2シャッタ3bから到来する第2光束を集光し、撮像部6の撮像面上の位置IS1とは異なる位置である位置IE1に結像させる。
撮像部6は、撮像制御信号に基づき撮像面上の位置IE1に結像された被写体点の像を撮像して第1の第2画像信号を生成し、この第1の第2画像信号を画像信号処理部8aに供給する。
画像信号処理部8aは、撮像部6から供給される第1の第2画像信号を取り込んで記憶する。
【0058】
次に、上記の第1の第2シャッタ開口期間tの経過後であり且つ画像フレーム有効期間tAIの一部の期間である第2の第1シャッタ開口期間tにおいて、第1シャッタ3aは開口するとともに第2シャッタ3bは閉口する。そして、第1シャッタ3aのみが、合焦位置SS2にある被写体点から対物レンズ光学系1を通して到来する光束を通過させる。第1シャッタ3aを通過した光束は第1光束である。
集束レンズ光学系5は、第1シャッタ3aから到来する第1光束を集光し、撮像部6の撮像面上の位置IS2に結像させる。
撮像部6は、撮像制御信号に基づき撮像面上の位置IS2に結像された被写体点の像を撮像して第2の第1画像信号を生成し、この第2の第1画像信号を画像信号処理部8aに供給する。
画像信号処理部8aは、撮像部6から供給される第2の第1画像信号を取り込んで記憶する。
【0059】
次に、上記の第2の第1シャッタ開口期間tの経過後であり且つ画像フレーム有効期間tAIの一部の期間である第2の第2シャッタ開口期間tにおいて、第2シャッタ3bは開口するとともに第1シャッタ3aは閉口する。そして、第2シャッタ3bのみが、合焦位置SE2にある被写体点から対物レンズ光学系1を通して到来する光束を通過させる。第2シャッタ3bを通過した光束は第2光束である。
集束レンズ光学系5は、第2シャッタ3bから到来する第2光束を集光し、撮像部6の撮像面上の位置IS2とは異なる位置である位置IE2に結像させる。
撮像部6は、撮像制御信号に基づき撮像面上の位置IE2に結像された被写体点の像を撮像して第2の第2画像信号を画像信号処理部8aに供給する。
画像信号処理部8aは、撮像部6から供給される第2の第2画像信号を取り込んで記憶する。
【0060】
次に、上記の第2の第2シャッタ開口期間tの後であり且つ画像フレーム有効期間tAIの一部の期間である第3の第1シャッタ開口期間tにおいて、立体画像撮影装置100aの第1シャッタ3aは開口するとともに第2シャッタ3bは閉口する。そして、第1シャッタ3aのみが、合焦位置SS3にある被写体点から対物レンズ光学系1を通して到来する光束を通過させる。第1シャッタ3aを通過した光束は第1光束である。
集束レンズ光学系5は、第1シャッタ3aから到来する第1光束を集光し、撮像部6の撮像面上の位置IS3に結像させる。
撮像部6は、撮像制御信号に基づき撮像面上の位置IS3に結像された被写体点の像を撮像して第3の第1画像信号を生成し、この第3の第1画像信号を画像信号処理部8aに供給する。
画像信号処理部8aは、撮像部6から供給される第3の第1画像信号を取り込んで記憶する。
【0061】
次に、上記の第3の第1シャッタ開口期間tの経過後であり且つ画像フレーム有効期間tAIの一部の期間である第3の第2シャッタ開口期間tにおいて、第2シャッタ3bは開口するとともに第1シャッタ3aは閉口する。そして、第2シャッタ3bのみが、合焦位置SE3にある被写体点から対物レンズ光学系1を通して到来する光束を通過させる。第2シャッタ3bを通過した光束は第2光束である。
集束レンズ光学系5は、第2シャッタ3bから到来する第2光束を集光し、撮像部6の撮像面上の位置IS3とは異なる位置である位置IE3に結像させる。
撮像部6は、撮像制御信号に基づき撮像面上の位置IE3に結像された被写体点の像を撮像して第3の第2画像信号を生成し、この第3の第2画像信号を画像信号処理部8aに供給する。
画像信号処理部8aは、撮像部6から供給される第3の第2画像信号を取り込んで記憶する。
【0062】
図8に示すように、合焦位置SS1〜SS3および合焦位置SE1〜SE3にある各被写体点を立体画像撮影装置100aが撮影する場合、第1シャッタ3aを通過した三つの第1光束と第2シャッタ3bを通過した三つの第2光束とは、撮像部6の撮像面上の異なる位置にそれぞれ結像される。具体的には、右眼用画像は左眼用画像の左側、言い換えると、左眼用画像は右眼用画像の右側に位置することとなる。ただし、この左眼用画像と右眼用画像との位置ずれ、すなわち誤り視差は、図13に示した従来の立体画像撮影装置50による誤り視差に対して十分小さい。
【0063】
次に、画像信号処理部8aは、記憶した第1〜第3の第1画像信号の加算平均を計算し、この計算結果を左眼用画像信号としてタイミング生成部7aから供給される立体画像出力制御信号に基づいて出力するとともに、記憶した第1〜第3の第2画像信号の加算平均を計算し、この計算結果を右眼用画像信号として立体画像出力制御信号に基づいて出力する。これら左眼用画像信号と右眼用画像信号とは、1画像フレーム期間分の一対の立体画像信号である。
【0064】
図7のタイミングチャートと関連付けて各部の動作を説明すると、シャッタ制御部は、単一のシャッタの一画像フレームあたりの開口時間の上限が画像フレーム有効期間tAIよりも短い画像取得時間差許容時間内となるように、シャッタの開閉を制御する。撮像部6は、単一のシャッタに関してその画像取得時間差許容時間内の画像を撮像する。そして、画像信号処理部8aは、撮像された画像を画像フレーム有効期間tAIの画像として出力する。言い換えると、画像信号処理部8aは、画像取得時間差許容時間に撮像された画像を画像有効期間tAIの画像に引き伸ばして出力する。
【0065】
なお、立体画像撮影装置100aが、左側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する場合については、上述した、右側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する場合と同様に考えることができる。すなわち、立体画像撮影装置100aが、左側方向に移動する合焦位置上の被写体点を撮影する場合、第1シャッタ3aを通過した三つの第1光束と第2シャッタ3bを通過した三つの第2光束とは、撮像部6の撮像面上の異なる位置にそれぞれ結像される。具体的には、右眼用画像は左眼用画像の右側、言い換えると、左眼用画像は右眼用画像の左側に位置することとなる。ただし、この左眼用画像と右眼用画像との位置ずれ、すなわち誤り視差は、図15に示した従来の立体画像撮影装置50による誤り視差に対して十分小さい。
【0066】
以上説明したとおり、本発明の第2実施形態である立体画像撮影装置100aは、第1シャッタ3aと第2シャッタ3bとを、1画像フレームにおける画像フレーム有効期間tAIにおいて、開口状態が時間的に重複しないよう開閉状態を3回切り替えるようにした。つまり、立体画像撮影装置100aは、画像フレーム有効期間tAIにおいて、第1シャッタ3aの開口期間である第1シャッタ開口期間tと、第2シャッタ3bの開口期間である第2シャッタ開口期間tとを3回連続させるようにした。そして、立体画像撮影装置100aは、第1〜第3の第1シャッタ開口期間tそれぞれにおいて第1光束を撮像して第1〜第3の第1画像信号を取得し、第1〜第3の第2シャッタ開口期間tそれぞれにおいて第2光束を撮像して第1〜第3の第2画像信号を取得するようにした。そして、立体画像撮影装置100aは、第1〜第3の第1画像信号を加算平均して左眼用画像信号を生成し、第1〜第3の第2画像信号を加算平均して右眼用画像信号を生成するようにした。
【0067】
このように構成したことにより、立体画像撮影装置100aは、画像取得時間差tdiffを、画像フレーム有効期間tAIよりも短時間である第2画像信号を取得する時間に抑えることができ、被写体が立体画像撮影装置100aの左右方向に移動した場合の誤り視差を小さく抑えることができる。
したがって、立体画像撮影装置100aが右側方向に移動する被写体を撮影して得た立体画像を表示させた場合、観察者に、その被写体が実際よりも遠い位置にあると誤認識されるおそれが大幅に減少する。また、立体画像撮影装置100aが左側方向に移動する被写体を撮影して得た立体画像を表示させた場合、観察者に、その被写体が実際よりも近い位置にあると誤認識されるおそれが大幅に減少する。
【0068】
また、立体画像撮影装置100aは、撮像時刻が異なる複数の画像信号を加算平均して最終的な左眼用画像信号および右眼用画像信号を生成するため、第1実施形態における立体画像撮影装置100に対して、輝度が高く且つS/N比が高い左眼用画像信号および右眼用画像信号を得ることができる。
【0069】
[その他の実施形態]
上述した第1実施形態である立体画像撮影装置100と第2実施形態である立体画像撮影装置100aとは、対物レンズ光学系1および集束レンズ光学系5をレンズ光学系として備えたものであった。これら以外にも、立体画像撮影装置100,100aは、例えば集束レンズ光学系5を省略した構成としてもよい。
図9は、その他の実施形態である立体画像撮影装置が備える光学系の概略構成を示す断面図である。同図に示すように、立体画像撮影装置100bは、立体画像撮影装置100,100aから集束レンズ光学系5を削除した構成を有する。立体画像撮影装置100bでも、第1シャッタ3aを通過する第1光束と第2シャッタ3bを通過する第2光束とを択一的に撮像部6の撮像面に結像させることができる。よって、立体画像撮影装置100bの電気系に関係する構成を立体画像撮影装置100,100aと同様とすることにより、立体画像撮影装置100bは、第1実施形態または第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0070】
また、遮光板2に配設されるシャッタの個数は、2個に限らず偶数(ただし、0を除く)としてもよい。具体的に、シャッタの個数を4個とした例について説明する。
図10は、対物レンズ光学系1と、第1シャッタ13aと、第2シャッタ13bと、第3シャッタ13cと、第4シャッタ13dとを、立体画像撮影装置100(立体画像撮影装置100a,100bでも同様)の前面側から正対して見た正面図である。同図に示すように、第1シャッタ13aおよび第3シャッタ13cは、第1シャッタ13aおよび第3シャッタ13cの各中心点がX軸上であって原点Oから等距離となる位置に配設される。同様に、第2シャッタ13bおよび第4シャッタ13dは、第2シャッタ13bおよび第4シャッタ13dの各中心点がY軸上であって原点Oから等距離となる位置に配設される。
これら第1〜第4シャッタ13a,13b,13c,13d全てを備えた立体画像撮影装置は、画像フレームごとに、画像フレーム有効期間tAI内において少なくとも一順するように、第1〜第4シャッタ13a,13b,13c,13dを択一的に(例えば、周方向に順次)開口させて時分割に撮像し視差画像を得る。つまり、第1〜第4シャッタ13a,13b,13c,13d全てを備えた立体画像撮影装置は、いずれかのシャッタを開口させているときは他の三つのシャッタを閉口させるよう制御して時分割に撮像し視差画像を得る。
【0071】
また、第2実施形態では、1画像フレームにおいて、三つの第1シャッタ開口期間tと三つの第2シャッタ開口期間tとを合計した期間は、略画像フレーム有効期間tAIであるとしたが、これら合計期間が画像フレーム有効期間tAI未満となるようにしてもよい。
【0072】
また、第2実施形態では、画像合成部81は、撮像部6から供給される撮像画像信号のうち三つ全ての第1画像信号を加算平均して左眼用画像信号を生成し、三つ全ての第2画像信号を加算平均して右眼用画像信号を生成した。これ以外に、画像合成部81は、画像フレーム有効期間tAIにおける全ての第1画像信号および第2画像信号のうち、一部の第1画像信号および第2画像信号を用いて左眼用画像信号および右眼用画像信号を生成するようにしてもよい。つまり、露光調節部4がn個(nは0を除く偶数)のシャッタを備え、画像フレームごとに、各シャッタが有効画像期間tAI内にm回(mは2以上の整数)開口するように制御された場合、撮像部6は、画像フレームごとに、n×m個の第1画像信号とn×m個の第2画像信号とを生成して画像信号処理部8aに供給する。画像信号処理部8aの画像合成部81は、これらn×m個ずつの第1画像信号および第2画像信号のうち、n×p個(pはm以下の整数)ずつの第1画像信号および第2画像信号を加算平均することにより左眼用画像信号および右眼用画像信号を生成する。
【0073】
なお、値pの決定方法は、撮影者がマニュアルで設定する方法でもよいし、被写体に応じて自動的に設定する方法でもよい。自動的な設定方法としては、例えば、立体画像撮影装置が、撮像部6でとらえた被写体像の移動速度を検出し、この移動速度が大きいほど少なくなるようにpを決定して設定する。具体的には、立体画像撮影装置は、被写体像の移動速度と画像取得時間差tdiffとにより計算される被写体像の撮像面における移動距離(移動画素数)が大きくなるほど小さくなるpを決定して設定する。または、立体画像撮影装置は、被写体像の撮像面における移動距離(移動画素数)が閾値を超える場合に、pを小さくして設定する。このように、被写体の移動速度に応じて加算平均に要する画像信号の個数を決定する方法を用いることにより、画像のぼけを低く抑えた左眼用画像信号および右眼用画像信号を生成することができる。
【0074】
また、第2実施形態では、第1画像信号および第2画像信号それぞれの加算平均処理を画像信号処理部8aが行ったが、これ以外に、撮像部6がこの内部において加算平均処理を行うようにしてもよい。具体的には、撮像部6を、画素ごとに複数コマ分の容量を有するメモリCCDを内蔵した高速度CCDイメージセンサで実現し、第1〜第3の第1画像の電荷と第1〜第3の第2画像の電荷とをメモリCCDに保持させ、電荷の状態で加算平均をとって撮像部6から読み出すようにすればよい。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 対物レンズ光学系
2 遮光板
3a 第1シャッタ
3b 第2シャッタ
4 露光調節部
5 集束レンズ光学系
6 撮像部
7,7a タイミング生成部
8,8a 画像信号処理部
13a 第1シャッタ
13b 第2シャッタ
13c 第3シャッタ
13d 第4シャッタ
81 画像合成部
100,100a,100b 立体画像撮影装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体側から到来する光束を集光するレンズ光学系と、
前記レンズ光学系の光軸に対して垂直方向に所定距離だけ離間して配設され、前記レンズ光学系を通して到来する前記光束の一部を通過可能に開口または遮断可能に閉口する複数のシャッタと、
前記複数のシャッタの後段に配設される撮像部と、
画像フレームごとに、画像フレーム有効期間よりも短期間である時間で前記複数のシャッタを択一的に開口させるとともに残りのシャッタを閉口させるよう前記複数のシャッタを制御するシャッタ制御部と、
前記撮像部が画像フレームごとに生成する複数の撮像画像信号に基づいて立体画像信号を生成する画像信号処理部と、
を備えることを特徴とする立体画像撮影装置。
【請求項2】
前記シャッタ制御部は、画像フレームごとに、画像フレーム有効期間内に前記複数のシャッタを択一的に複数回開口させるよう前記複数のシャッタを制御し、
前記画像信号処理部は、前記撮像部が画像フレームごとに生成する前記複数のシャッタそれぞれに対応する複数の撮像画像信号の全てまたは一部を加算して立体画像信号を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の立体画像撮影装置。
【請求項3】
前記撮像部の撮像面における被写体像の移動速度に応じて、前記撮像部が画像フレームごとに生成する前記複数のシャッタそれぞれに対応する前記複数の撮像画像信号の一部を選択する
ことを特徴とする請求項2記載の立体画像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−203214(P2012−203214A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67879(P2011−67879)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(591053926)財団法人エヌエイチケイエンジニアリングサービス (169)
【Fターム(参考)】