説明

立体表示装置

【課題】 立体表示装置において、画像表示の制御が容易であると共に、消費エネルギーを増大させずに高輝度な立体画像を得ること。
【解決手段】 複数の表示画素で構成された画像表示面2を有する液晶ディスプレイ3と、裏面側から表示画素を照明して表示光を出射させる照明機構4と、表示画素から出射する表示光を受光する受光端5a及び出射する出射端5bを有すると共に、受光端5aと出射端5bとの位置関係が回転時の受光端5aが対向する表示画素と出射端5bの回転軌跡との位置関係に応じて設定された複数の光ファイバ5と、光ファイバ5を回転させる回転機構6と、を備え、照明機構4が、照明光の強度分布を光ファイバ5の回転と同期して回転させ、受光端5aに対向する表示画素に対して照射する照明光の画像表示面2における強度を、他の表示画素の照明光よりも常に強くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を表示する立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体画像を表示する立体表示装置として、右目と左目との間に生じる視差を利用するものや立体的なスクリーンに画像を投射するものなどがある。しかし、表示される画像を視認者の好みの方向から視認できないという問題がある。そこで、画像を表する光源を回転させることにより奥行きのある立体画像を形成可能な立体表示装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1記載の立体表示装置は、回転軸を中心として放射状に配置された複数のLED(Light Emitting Diode)を有する表示部が回転軸に沿って複数配置された構成となっている。そして、この立体表示装置では、複数の表示部を回転軸の軸回りで回転させながら、この回転に同期してLEDを点滅させて表示光を出射することにより、立体画像を形成している。
また、特許文献2記載の立体表示装置は、回転軸を中心として出射端の高さが異なる複数のファイバシートを放射状に配置した構成となっている。そして、この立体表示装置では、ファイバシートを回転軸の軸回りで回転させながら、この回転に同期して表示光を出射させることにより、立体画像を形成している。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の立体表示装置では、LEDを回転に同期させて点滅する必要があり、立体画像の表示の制御が複雑であると共にコストが高くなるという問題がある。また、特許文献2記載の立体表示装置では、回転に同期した画像切替処理を行う必要があるため、立体画像の表示の制御が複雑であるという問題がある。
【0005】
これらの問題を解決する技術として、特許文献3には、複数の光ファイバと、これらを支持する支持台と、支持台を軸回りで回転させる回転手段と、各光ファイバの受光端に臨むマトリクス状に配置された複数の表示画素からなる画像表示面を有した液晶ディスプレイと、を備えた立体表示装置が提案されている。
【0006】
この立体表示装置では、各光ファイバの受光端における回転半径と出射端における回転軌跡とが1対1の関係に設定されていると共に、表示画素から対向する光ファイバの受光端に表示光を入射させることで、回転する光ファイバの出射端から表示光を出射させて立体的な画像を表示可能としている。
このように特許文献3に記載の立体表示装置では、受光端と出射端との位置関係が回転時の受光端が対向する表示画素と出射端の回転軌跡との位置関係に応じて設定されているので、光ファイバの回転に同期して光ファイバに入射させる表示光を切り替える必要がなく、立体画像表示の制御が容易となる。
【0007】
【特許文献1】特開平6−342262号公報
【特許文献2】特開昭62−87931号公報
【特許文献3】特許第4110188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の立体表示装置においても、以下の課題が残されている。すなわち、特許文献3に記載の立体表示装置では、液晶表示ディスプレイの発する表示光のうち、光ファイバの受光端に取り込まれる光量は非常に少なく、光ファイバの出射端から出射される光で得られる立体画像が暗くなってしまう不都合があった。このため、液晶表示ディスプレイ自体のバックライト等による全体の照明光を非常に明るくすれば、それなりの輝度の立体画像が得られるが、消費エネルギーが大きく効率が悪くなってしまう。
【0009】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、画像表示の制御が容易であると共に、消費エネルギーを増大させずに高輝度な立体画像を得ることができる立体表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明に係る立体表示装置は、マトリクス状に配置された複数の表示画素で構成され裏面から表面へ照明光が透過可能な画像表示面を有する透過型ディスプレイと、該透過型ディスプレイの裏面側から前記表示画素を照明して前記表示画素から表示光を出射させる照明機構と、前記表示画素から出射する表示光を受光する受光端及び前記表示光を出射する出射端を有する複数の導光部材と、前記複数の導光部材を前記画像表示面に垂直な回転軸の軸回りで回転させる導光部材回転機構と、を備え、前記導光部材の前記受光端と前記出射端との位置関係が、回転時の前記受光端が対向する前記表示画素と前記出射端の回転軌跡との位置関係に応じて設定される立体表示装置であって、前記照明機構が、前記画像表示面における照明光の強度分布を前記導光部材回転機構による前記導光部材の回転と同期して回転させる照明回転手段を備え、前記受光端に対向する前記表示画素に対して照射する照明光の前記画像表示面における強度を、他の前記表示画素の照明光よりも常に強くすることを特徴とする。
【0011】
この立体表示装置では、照明機構が、画像表示面における照明光の強度分布を導光部材回転機構による導光部材の回転と同期して回転させる照明回転手段を備え、受光端に対向する表示画素に対して照射する照明光の画像表示面における強度を、他の表示画素の照明光よりも常に強くするので、実際に受光端に対向している表示画素に対して高い強度で照明光を入射させることができ、全ての表示画素に同様に高い強度の照明光を照射する場合に比べて消費エネルギーが少なく効率良く導光部材に入光させて高輝度な立体画像を得ることができる。
【0012】
また、本発明の立体表示装置は、前記照明機構が、前記透過型ディスプレイの裏面側に設置されて面状の照明光を前記透過型ディスプレイに向けて出射するバックライト部と、前記透過型ディスプレイと前記バックライト部との間に設けられていると共に、前記照明回転手段により前記導光部材と同期して回転させられ、前記バックライト部からの照明光を集光させて前記導光部材の受光端にそれぞれ入射させる複数のレンズ部を有したレンズユニットと、を備えていることを特徴とする。
すなわち、この立体表示装置では、導光部材と同期して回転させられ、バックライト部からの照明光を集光させて導光部材の受光端にそれぞれ入射させる複数のレンズ部を有したレンズユニットを備えているので、導光部材と連動して回転するレンズユニットの各レンズ部によって対応する受光端に照明光を集光させて入射することで、高い強度の光を導光部材に入光させて高輝度の出射光を得ることができる。
【0013】
さらに、本発明の立体表示装置は、前記出射端の回転半径が大きいほど、対応する前記レンズ部で集光して前記受光端に入射させる光の強度が強く設定されていることが好ましい。
すなわち、この立体表示装置では、出射端の回転半径が大きいほど、対応するレンズ部で集光して受光端に入射させる光の強度が強く設定されているので、回転半径の異なる出射端により表示される表示光の輝度をそろえることができ、立体画像の表示品質が向上する。すなわち、出射端の回転半径が大きくなるほど、回転軸の軸回りにおける回転時に出射端が単位時間当たりに移動する距離が大きくなる。そのため、出射端の回転半径が大きくなるほど、出射端から出射する表示光の単位距離当たりの輝度が小さくなる。したがって、回転半径が大きい出射端からより大きな輝度の表示光を出射させることで、各出射端から出射する表示光の輝度が均一になる。
【0014】
また、本発明の立体表示装置は、前記照明機構が、前記透過型ディスプレイの裏面側に設けられていると共に前記照明回転手段により前記導光部材と同期して回転させられ、発光光を前記受光端にそれぞれ入射させる複数の発光デバイスを有した照明部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この立体表示装置では、照明機構が、透過型ディスプレイの裏面側に設けられていると共に照明回転手段により導光部材と同期して回転させられ、発光光を受光端にそれぞれ入射させる複数の発光デバイスを有した照明部を備えているので、導光部材と連動して回転する点光源である各発光デバイスによって対応する受光端にスポット状や線状の照明光を入射することで、高い強度の光を導光部材に入光させて高輝度の出射光を得ることができる。
【0015】
また、本発明の立体表示装置は、前記照明機構が、前記透過型ディスプレイの裏面側に複数の発光デバイスを配列しているものであり、前記照明回転手段が、前記複数の発光デバイスを前記導光部材回転機構の回転と同期してON/OFFすることによって、前記受光端に対向する前記表示画素に対して照射する照明光の前記画像表示面における強度を他の前記表示画素の照明光よりも常に強くすることを特徴とする。すなわち、この立体表示装置では、複数の発光デバイスを導光部材回転機構の回転と同期してON/OFFすることによって、受光端に対向する表示画素に対して照射する照明光の画像表示面における強度を他の表示画素の照明光よりも常に強くするので、発光デバイス自体を機械的に回転させる必要が無く、発光デバイスのON/OFF制御だけで効率的に高輝度の出射光を得ることができる。
【0016】
さらに、本発明の立体表示装置は、前記出射端の回転半径が大きいほど、対応する前記発光デバイスの発光強度が高く設定されていることを特徴とする。
すなわち、この立体表示装置では、出射端の回転半径が大きいほど、対応する発光デバイスの発光強度が高く設定されているので、回転半径の異なる出射端により表示される表示光の輝度をそろえることができ、立体画像の表示品質が向上する。
【0017】
また、本発明の立体表示装置は、前記受光端における回転半径と前記出射端における回転軌跡とが、1対1の関係に設定されていることを特徴とする。
すなわち、この立体表示装置では、受光端における回転半径と前記出射端における回転軌跡とが、1対1の関係に設定されているので、複数の導光部材が表示光を出射させながら回転すると、複数の環状の画像が形成される際に、受光端の回転半径が異れば、出射端の回転軌跡(出射端の高さ座標及び回転半径座標(奥行き座標))も異なり、画像表示面及び受光端の回転半径座標及び回転角座標に対応して光の出射座標が決定されて、出射端の回転領域に立体的な画像が表示される。
このように、同じ表示光位置上を通る導光部材は、必ず同じ座標で同じ表示光を出射するように設定されている。このため、光の出射座標に対応した画像表示面の位置に所定の表示光(色や輝度)を設定することで、表示光を導光部材の回転に応じて切り替えることなく、出射座標位置に応じて異なる色や輝度の立体画像を表示することができる。したがって、立体画像表示の制御が容易となり、製造コストの削減が図れる。
【0018】
また、本発明の立体表示装置は、前記画像表示面には、前記導光部材の回転軸を中心とした円筒座標の所定角度範囲内に設けられた画像表示空間に、前記出射端が配された際、対応する前記受光端に対向し該受光端に向けて表示光を出射する前記表示画素が、複数の前記導光部材に対応して複数形成され、複数の前記導光部材が、前記受光端と前記出射端との前記回転軸から見た角度の差が少なくとも2種類以上に設定されていることを特徴とする。
この立体表示装置では、複数の導光部材が、受光端と出射端との回転軸から見た角度の差が少なくとも2種類以上に設定されていると共にこれらに対応した表示画素を画像表示面に有するので、画像表示空間に多くの出射端を通過させて、より解像度の高い立体画像を画像表示空間に得ることができる。例えば、複数の導光部材を、受光端の直上及び受光端に対して周方向にずらした位置の直上に出射端が配されたものの組合せとする。
すなわち、複数の導光部材が出射端から表示光を出射させながら回転すると、画像表示空間では各受光端で入射された表示光が各出射端から出射され、所望の立体画像が形成される。この際、各出射端が画像表示空間を通過する際に、表示画素が、対応する受光端に向けて所定の表示光を出射するように予め設定しておくことで、各出射端の回転軌跡(出射端の高さ座標及び回転半径座標(奥行き座標)))に応じて出射される表示光の残像によって、所望の立体的な画像が表示される。この画像表示空間を通過する際の出射端は、直下の表示画素から入射した表示光を出射するものだけでなく、周方向にずれた位置にある表示画素から入射した表示光を出射するものも含むので、広い範囲の画像表示面から多くの表示光を集めて出射することができ、高い解像度が得られる。
このように、画像表示空間における光の出射座標に対応した画像表示面の位置に所定の表示光(色や輝度)を出射する表示画素を設定することで、表示光を導光部材の回転に応じて切り替えることなく、出射座標位置に応じて異なる色や輝度の立体画像を画像表示空間に表示することができる。したがって、本発明では、導光部材の回転に同期して導光部材に供給する表示光を切り替える必要がないため、立体画像表示の制御が容易となり、製造コストの削減が図れる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の立体表示装置によれば、照明機構が、受光端に対向する表示画素に対して照射する照明光の強度を導光部材の回転に同期させて他の表示画素の照明光よりも高くするので、実際に受光端に対向している表示画素に対して高い強度で照明光を入射させることができ、全ての表示画素に同様に照明光を照射する場合に比べて消費エネルギーが少なく効率良く導光部材に入光させて高輝度な立体画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明における立体表示装置の第1実施形態を、図1から図3を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0021】
本実施形態における立体表示装置1は、例えばインテリアや住宅などの建築物の立体表示などに用いられる表示装置である。そして、立体表示装置1は、図1及び図2に示すように、マトリクス状に配置された複数の表示画素2aで構成され裏面から表面へ照明光が透過可能な画像表示面2を有する透過型の液晶ディスプレイ(透過型ディスプレイ)3と、該液晶ディスプレイ3の裏面側から表示画素2aを照明して表示画素2aから表示光を出射させる照明機構4と、表示画素2aから出射する表示光を受光する受光端5a及び表示光を出射する出射端5bを有する複数の光ファイバ(導光部材)5と、複数の光ファイバ5を画像表示面2に垂直な回転軸Zの軸回りで回転させる回転機構(導光部材回転機構、照明回転手段)6と、を備えている。
【0022】
上記複数の光ファイバ5は、支持台7により支持されており、上記回転機構6は、支持台7を回転軸Zの軸回りで回転させるように構成されている。なお、ここで、図2に示すように、回転軸Zに対して垂直な面を基準面S0とし、回転軸Zと基準面S0との交点を基準点Pとする。
【0023】
複数の光ファイバ5は、一端が液晶ディスプレイ3に臨んで液晶ディスプレイ3から照射される表示光を受光する受光端5a、他端が表示光を出射する出射端5bとなっている。これら光ファイバ5は、受光端5aと出射端5bとの位置関係が回転時の受光端5aが対向する表示画素2aと出射端5bの回転軌跡との位置関係に応じて設定されている。
すなわち、複数の光ファイバ5は、回転軸Zの軸回りにおける受光端5aの回転半径がそれぞれ異なるように、適宜湾曲などして配置されている。すなわち、複数の光ファイバ5の受光端5aは、回転軸Zの軸回りにおける回転軌跡がそれぞれ異なっている。なお、各受光端5aの回転軌跡は、同一面上となっている。
【0024】
そして、複数の光ファイバ5は、その出射端5bが基準面S0の面方向(回転軸Zに対して垂直な方向)に表示光を出射するように適宜湾曲して配置されていると共に、出射端5bの回転半径及び高さ位置は、それぞれ対応する受光端5aの回転半径によって異なって設定されている。つまり、光ファイバ5の受光端5aにおける回転半径と光ファイバ5の出射端5bにおける回転軌跡とが、1対1の関係に設定されている。これは、画像表示面2中の座標(受光端5aの座標に相当)のうち回転半径rに、出射端5bの回転半径rだけでなく高さzを含めたこれら2つの座標情報を持たせることになり、回転に同期した画像切り替えが不要になる。
【0025】
具体的には、複数の光ファイバ5は、図2に示すように、回転軸Zの軸回りにおける出射端5bの回転半径に応じて複数本ずつ組分けして配置された第1から第3ファイバ群5A〜5Cを構成している。
第1ファイバ群5Aを構成する光ファイバ5は、それぞれの出射端5bが回転軸Zの軸回りにおける回転半径がr1となるように配置されている。そして、各光ファイバ5は、基準面S0に対する出射端5bの高さがそれぞれ異なるように適宜湾曲などして配置されている。したがって、第1ファイバ群5Aを構成する光ファイバ5が回転軸Zの軸回りで回転することにより、半径r1の円柱状の画像が形成される。
【0026】
第2ファイバ群5Bを構成する光ファイバ5は、上述と同様に、それぞれの出射端5bが回転軸Zの軸回りにおける回転半径がr2(r2<r1)となるように配置されている。そして、各光ファイバ5は、それぞれの出射端5bが基準面S0に対して高さを異ならせて配置されている。したがって、第2ファイバ群5Bを構成する光ファイバ5が回転軸Zの軸回りで回転することにより、半径r2の円柱状の画像が形成される。
【0027】
第3ファイバ群5Cを構成する光ファイバ5は、上述と同様に、それぞれの出射端5bが回転軸Zの軸回りにおける回転半径がr3(r3<r2)となるように配置されている。そして、各光ファイバ5は、それぞれの出射端5bが基準面S0に対して高さを異ならせて配置されている。したがって、第3ファイバ群5Cを構成する光ファイバ5が回転軸Zの軸回りで回転することにより、半径r3の円柱状の画像が形成される。
以上より、第1から第3ファイバ群5A〜5Cを構成する複数の光ファイバ5が回転軸Zの軸回りで回転することにより、同心の3つの円柱状画像が形成される。
【0028】
上記液晶ディスプレイ3は、上述したように、複数の光ファイバ5におけるそれぞれの受光端5aに臨む画像表示面2を有しており、この画像表示面2から表示光を複数の光ファイバ5のそれぞれに向けて出射する。そして、画像表示面2には、マトリクス状に配置された複数の表示画素2aを有している。
複数の表示画素2aは、少なくとも複数の光ファイバ5における各受光端5aの回転軌跡に沿って所定の表示光を出射可能にそれぞれ設定されている。そして、表示画素2aは、対向する光ファイバ5の受光端5aに表示光を入射させることで光ファイバ5内に表示光を導光させる。
【0029】
ここで、各表示画素2aは、光ファイバ5の受光端5aがそれぞれ異なる回転軌跡を形成することから、1つの光ファイバ5に対してのみ表示光を出射する構成となっている。また、各表示画素2aは、回転軸Zの軸回りでの回転によって光ファイバ5の受光端5aがこの表示画素2aと対向したときに、この光ファイバ5の出射端5bが臨む位置において表示する画像に対応する表示光を出射する構成となっている。
【0030】
例えば、光ファイバ5の出射端5bの基準点Pに対する位置を円筒座標系(r、φ、z)(rは回転半径、φは回転角、zは基準面S0からの高さ(距離))で表現したときに、各表示画素2aは、回転軸Zの軸回りでの回転によって対向配置される受光端5aを有する光ファイバ5の出射端5bの座標位置(r、φ、z)に対応する画像に応じた表示光を出射する。
【0031】
上記照明機構4は、画像表示面2における照明光の強度分布を光ファイバ5の回転と同期して回転させ、受光端5aに対向する表示画素2aに対して照射する照明光の画像表示面2における強度を、他の表示画素2aの照明光よりも常に強くするように設定されている。
具体的には、照明機構4は、液晶ディスプレイ3の裏面側に設置されて面状の照明光を液晶ディスプレイ3に向けて出射するバックライト部8と、液晶ディスプレイ3とバックライト部8との間に設けられていると共に回転機構6により光ファイバ5と同期して回転させられ、バックライト部8からの照明光を集光させて光ファイバ5の受光端5aにそれぞれ入射させる複数のレンズ部9aを有したレンズユニット9と、を備えている。
【0032】
上記バックライト部8は、例えばLED光源や蛍光管等の光源(図示略)と、これら光源から入射された光を光路変換して上面から面状に照明光として出射する導光板8aと、を備えている。
上記レンズユニット9は、回転軸Zを回転軸として回転可能に支持された円板部材9bに所定形状の複数のレンズ部9aが貫通状態に設置されている。
【0033】
本実施形態では、図3の(a)に示すように、支持台7に支持された第1ファイバ群5A〜第3ファイバ群5Cの各受光端5aに対応して、図3の(b)に示すように、レンズユニット9では、平面視長方形状の複数のレンズ部9aが設けられている。なお、光ファイバ5の出射端5bの回転半径が大きいほど、対応するレンズ部9aで集光して受光端5aに入射させる光の強度が高く設定されている。
【0034】
すなわち、各レンズ部9aは、図3の(c)に示すように、断面凸状に形成され、バックライト部8から入射された照明光を透過した際に、レンズ部9aの中心線9c直上に向けて集光可能になっている。したがって、各レンズ部9aは、中心線9c直上に配列された第1ファイバ群5A〜第3ファイバ群5Cの各受光端5aの列に照明光を集光させて入射させるレンズ形状とされ、外周側ほど集光率が高くなるように幅広とされて広い範囲の照明光を集めて受光端5aに入射させるようになっている。なお、本実施形態では、各光ファイバ5の出射端5bの回転半径は、ファイバ群ごとにほぼ等しく設定されている。
【0035】
上記支持台7は、図1及び図2に示すように、複数の光ファイバ5を回転軸Zの軸回りで回転可能に支持すると共に、画像表示面2から出射する表示光のうち光ファイバ5で受光されない分を遮光する。
上記回転機構6は、例えばモータ及びベアリングなどによって構成されており、支持台7とレンズユニット9とを同期して回転可能に連結する回転軸Z上の連結軸10を備えている。すなわち、回転機構6は、支持台7により支持されている複数の光ファイバ5とレンズユニット9とを同期させて、互いに光ファイバ5の受光端5aと対応するレンズ部9aとがずれないように回転軸Zの軸回りで回転させるようになっている。すなわち、回転機構6は、光ファイバ5を回転させる機構(導光部材回転機構)と光ファイバ5の回転に同期させてレンズユニット9を回転させる機構(照明回転手段)とを兼ね備えている。なお、光ファイバ5を回転させる回転機構と光ファイバ5の回転に同期させてレンズユニット9を回転させる回転機構とを別々の駆動機構として設置しても構わない。
【0036】
次に、第1実施形態の立体表示装置1による立体画像の表示方法について説明する。
【0037】
まず、回転機構6により光ファイバ5とレンズユニット9とを互いに同期させて回転させる。さらに、バックライト部8から照明光を出射させる。このとき、照明光は、各レンズ部9aによって集光されて直上の表示画素2aを通して表示光とされて、対応する直上の受光端5aに向けて出射される。
【0038】
そして、複数の光ファイバ5は、複数の表示画素2aのうち各受光端5aと対向して配置されている表示画素2aから出射された表示光を受光端5aで受光する。そして、光ファイバ5は、光ファイバ5内を導光した表示光を出射端5bから外部に向けて出射する。ここで複数の光ファイバ5は、回転移動による各位置で、受光端5aと対向して配置されている表示画素2aから出射された表示光を受光端5aで受光し、出射端5bから外部に向けて出射する。
【0039】
したがって、光ファイバ5が回転軸Zの軸回りで回転移動すると、出射端5bの回転軌跡に沿って環状の画像が形成される。そして、第1ファイバ群5Aでは、出射端5bの回転軌跡が高さ位置においてそれぞれ異なるので、第1ファイバ群5Aを構成する光ファイバ5によって、図2に示すように、半径r1の円柱状の画像が形成される。同様に、第2ファイバ群5Bを構成する光ファイバ5及び第3ファイバ群5Cを構成する光ファイバ5により、半径r2の円柱状の画像及び半径r3の円柱状の画像がそれぞれ形成される。つまり、第1ファイバ群5A、第2ファイバ群5B及び第3ファイバ群5Cでは、それぞれ出射端5bの回転半径が異なる回転軌跡が得られる。
【0040】
ここで、各表示画素2aは、回転によって光ファイバ5の受光端5aと対向したときに、この光ファイバ5の出射端5bの位置において表示する画像に対応する表示光を出射する。そのため、各光ファイバ5は、回転によって受光端5aを異なる表示画素2aと対向させる毎に異なる表示光を受光して出射端5bから出射することが可能となる。これにより、各光ファイバ5により、さまざまな立体画像が表示される。
【0041】
以上のように、第1実施形態の立体表示装置1では、照明機構4が、受光端5aに対向する表示画素2aに対して照射する照明光の強度を光ファイバ5の回転に同期させて他の表示画素2aの照明光よりも高くするので、実際に受光端5aに対向している表示画素2aに対して高い強度で照明光を入射させることができ、全ての表示画素2aに同様に高い強度の照明光を照射する場合に比べて消費エネルギーが少なく効率良く光ファイバ5に入光させて高輝度な立体画像を得ることができる。
【0042】
すなわち、光ファイバ5と同期して回転させられ、バックライト部8からの照明光を集光させて光ファイバ5の受光端5aにそれぞれ入射させる複数のレンズ部9aを有したレンズユニット9を備えているので、光ファイバ5と連動して回転するレンズユニット9の各レンズ部9aによって対応する受光端5aに照明光を集光させて入射することで、高い強度の光を光ファイバ5に入光させて高輝度の出射光を得ることができる。
また、出射端5bの回転半径が大きいほど、対応するレンズ部9aで集光して受光端5aに入射させる光の強度が高く設定されているので、回転半径の異なる出射端5bにより表示される表示光の輝度をそろえることができ、立体画像の表示品質が向上する。
【0043】
また、光ファイバ5の受光端5aにおける回転半径と出射端5bにおける回転軌跡とが、1対1の関係に設定されているので、受光端5aの回転半径が異れば、出射端5bの回転軌跡(出射端5bの高さ座標及び回転半径座標(奥行き座標))も異なり、画像表示面2及び受光端5aの回転半径座標及び回転角座標に対応して光の出射座標が決定されて、出射端5bの回転領域に立体的な画像が表示される。
【0044】
このように、光の出射座標に対応した画像表示面2の位置に所定の色や輝度の表示光を設定することで、表示光を光ファイバ5の回転に応じて切り替えることなく、出射座標位置に応じて異なる色や輝度の立体画像を表示することができる。したがって、立体画像表示の制御が容易となり、製造コストの削減が図れる。
【0045】
次に、本発明に係る立体表示装置の第2から第6実施形態について、図4から図14を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上記各実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、第1ファイバ群5A〜第3ファイバ群5Cに対応した複数のレンズ部9aを有するレンズユニット9であるのに対し、第2実施形態では、照明機構4が、図4から図6に示すように、光ファイバ5の受光端5aが回転軸Zから放射状に複数列配列されており、各列の受光端5aに対応した複数のレンズ部29aを有するレンズユニット29を備えている点である。
【0047】
すなわち、第2実施形態では、図4の(a)に示すように、支持台7に支持された光ファイバ5の受光端5aが、中心から複数列所定間隔を空けて放射状に配列されているのに対応して、図4の(b)に示すように、レンズユニット29では、中心から放射状に各受光端5aの列に対応した複数のレンズ部29aが設けられている。なお、光ファイバ5の出射端5bの回転半径が大きいほど、対応するレンズ部29aで集光して受光端5aに入射させる光の強度が高く設定されている。
【0048】
上記各レンズ部29aは、回転軸Zに頂部を配した平面視三角形状であって、図4の(c)に示すように、断面凸状に形成され、バックライト部8から入射された照明光を透過した際に、レンズ部29aの中心線29c直上に向けて集光可能になっている。したがって、各レンズ部29aは、中心線29c直上に配列された受光端5aの列に照明光を集光させて入射させるレンズ形状とされ、外周側ほど集光率が高くなるように漸次幅広とされて広い範囲の照明光を集めて受光端5aに入射させるようになっている。なお、本実施形態では、各光ファイバ5の出射端5bの回転半径は、受光端5aの回転半径にほぼ等しく設定されている。
【0049】
上記光ファイバ5は、図5及び図6に示すように、支持台7に放射状に複数列配置されていると共に、列毎に支持台7に立設された支持板27で直立状態に支持されている。なお、図5では、光ファイバ5の図示を省略している。
【0050】
このように第2実施形態においても、照明機構4が、放射状に配された受光端5aに対応したレンズ部29aを有するレンズユニット29を光ファイバ5に同期させて回転させるので、集光した照明光を回転する光ファイバ5の受光端5aに入射させて高輝度な立体画像を得ることができる。
【0051】
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、光ファイバ5の受光端5aにおける回転半径と出射端5bにおける回転軌跡とが、1対1の関係に設定されているのに対し、第3実施形態の立体表示装置30では、図7に示すように、画像表示面2には、光ファイバ35の回転軸Zを中心とした円筒座標の所定角度範囲内に設けられた画像表示空間Sに、出射端5bが配された際、対応する受光端5aに対向し該受光端5aに向けて表示光を出射する表示画素2aが、複数の光ファイバ35に対応して複数形成され、複数の光ファイバ35が、受光端5aと出射端5bとの回転軸Zから見た角度の差が少なくとも2種類以上に設定されている点である。
【0052】
上記画像表示面2には、回転軸Zを中心とした円筒座標(r、φ、z)(rは回転半径、φは回転角、zは高さ(距離))の所定角度範囲(φ1〜φ2,r1〜r2)内に設けられた画像表示空間Sに、出射端5bが配された際、対応する受光端5aに対向し該受光端5aに向けて表示光を出射する表示画素2aが、複数の光ファイバ35に対応して複数形成されている。
【0053】
複数の光ファイバ35は、受光端5aと出射端5bとの回転軸から見た角度の差が少なくとも2種類以上に設定されている。さらに、複数の光ファイバ35は、受光端5aと出射端5bとの回転軸Zの回りに回転する回転半径の差が少なくとも2種類以上に設定されている。本実施形態では、複数の光ファイバ35は、受光端5aの直上、受光端5aに対して回転軸の半径方向にずらした位置の直上及び受光端5aに対して周方向にずらした位置の直上に出射端が配されたものの組合せとされている。例えば、複数の光ファイバ35のうち第1ファイバ群35Aは、受光端5aの直上に出射端5bが配され、第2ファイバ群35Bは、受光端5aに対して周方向にずらした位置の直上に出射端5bが配され、さらに第3ファイバ群35Cは、受光端5aに対して回転軸の半径方向にずらした位置の直上に出射端5bが配されている。
【0054】
上記第1ファイバ群35Aは、図8に示すように、それぞれの受光端5a及び出射端5bが回転半径がr1〜r2の範囲内に互いに異なる位置に配され、同一の高さh1の位置に出射端5bが配置されている。
また、上記第2ファイバ群35Bは、図9に示すように、それぞれの受光端5aが回転半径がr1〜r2の範囲内に配置されているが、回転方向前方の周方向に屈曲又は湾曲して延び、第1ファイバ群35Aの出射端5bよりも高い高さh2の位置に、かつ回転半径がr1〜r2の範囲内の互いに異なる位置に出射端5bが配されている。
【0055】
さらに、上記第3ファイバ群35Cは、図10に示すように、それぞれの受光端5aが回転半径がr2〜r3の範囲内に配置されているが、半径方向外方に屈曲又は湾曲して延び、第2ファイバ群35Bの出射端5bよりも高い高さh3の位置で、かつ回転半径がr1〜r2範囲内に互いに異なる位置に出射端5bが配置されている。
このように、第1ファイバ群35Aから第3ファイバ群35Cは、図11に示すように、群毎にそれぞれ異なる高さ位置に出射端5bが配され、群毎に出射端5bの回転軌跡が同一面上となっている。なお、各受光端5aの回転軌跡は、同一面上となっている。
【0056】
各表示画素2aは、上述したように、画像表示空間Sに出射端5bが配された際、対応する受光端5aに対向し該受光端5aに向けて表示光を出射するように設定されている。すなわち、画像表示空間Sの直下の第1領域31Aの表示画素2aは、第1ファイバ群35Aの受光端5aが直上に来たときに、画像表示空間Sの高さh1にある第1仮想面F1上に配された出射端5bから出射させる表示光を出射する。また、第1領域31Aの回転方向後方にずれた第2領域31Bの表示画素2aは、第2ファイバ群35Bの受光端5aが直上に来たときに、画像表示空間Sの高さh2にある第2仮想面F2上に配された出射端5bから出射させる表示光を出射する。さらに、第1領域31Aの半径方向内方にずれた第3領域31Cの表示画素2aは、第3ファイバ群35Cの受光端5aが直上に来たときに、画像表示空間Sの高さh3にある第3仮想面F3上に配された出射端5bから出射させる表示光を出射する。
【0057】
なお、画像表示空間S以外の外周には、画像表示空間Sに対応した窓部を開けた略円筒形状の遮光壁37が設けられており、画像表示空間S以外では光が外方に漏れないようになっている。
【0058】
次に、本実施形態の立体表示装置による立体画像の表示方法について説明する。
【0059】
まず、第1実施形態と同様に、回転機構6により光ファイバ35とレンズユニット9とを互いに同期させて回転させる。さらに、バックライト部8から照明光を出射させる。この照明光は、各レンズ部9aによって集光されて直上の表示画素2aを通して表示光とされて、対応する直上の受光端5aに向けて出射される。
【0060】
そして、複数の光ファイバ35は、複数の表示画素2aのうち各受光端5aと対向して配置されている表示画素2aから出射された表示光を受光端5aで受光する。そして、光ファイバ35は、光ファイバ35内を導光した表示光を出射端5bから外部に向けて出射する。ここで複数の光ファイバ35は、回転移動による各位置で、受光端5aと対向して配置されている表示画素2aから出射された表示光を受光端5aで受光し、出射端5bから外部に向けて出射する。
【0061】
したがって、光ファイバ35が回転軸Zの軸回りで回転移動すると、複数の出射端5bの回転軌跡に沿って画像表示空間Sにおいて立体的に画像が形成され、画像表示空間Sの半径方向外方から見ることができる。すなわち、第1ファイバ群35Aは、上記第1領域31Aの表示画素2aからの表示光を受けて画像表示空間Sにおける高さh1の平面上で表示光を出射し、第2ファイバ群35Bは、上記第2領域31Bの表示画素2aからの表示光を受けて画像表示空間Sにおける高さh2の平面上で表示光を出射し、さらに第3ファイバ群35Cは、上記第3領域31Cの表示画素2aからの表示光を受けて画像表示空間Sにおける高さh3の平面上で表示光を出射する。
【0062】
このようにファイバ群に応じて画像表示空間Sにおける表示光の出射高さが異なると共に同一ファイバ群内の出射端5bが異なる回転半径の回転軌跡を持って表示光を出射することで、高さと奥行きのある画像の3次元表示が可能になる。
【0063】
以上のように第3実施形態の立体表示装置30では、複数の光ファイバ35が、受光端5aと出射端5bとの回転軸Zから見た角度の差が少なくとも2種類以上に設定されていると共に、受光端5aと出射端5bとの回転軸Zの回りに回転する回転半径の差が少なくとも2種類以上に設定され、これらに対応した表示画素2aを画像表示面2に有するので、画像表示空間Sに多くの出射端5bを通過させて、より解像度の高い立体画像を画像表示空間Sに得ることができる。
【0064】
すなわち、複数の光ファイバ35が出射端5bから表示光を出射させながら回転すると、画像表示空間Sでは各受光端5aで入射された表示光が各出射端5bから出射され、所望の立体画像が形成される。この際、各出射端5bが画像表示空間Sを通過する際に、表示画素2aが、対応する受光端5aに向けて所定の表示光を出射するように予め設定しておくことで、各出射端5bの回転軌跡に応じて出射される表示光の残像によって、所望の立体的な画像が表示される。この画像表示空間Sを通過する際の出射端5bは、直下の表示画素2aから入射した表示光を出射するものだけでなく、半径方向や周方向にずれた位置にある表示画素2aから入射した表示光を出射するものも含むので、広い範囲の画像表示面2から多くの表示光を集めて出射することができ、高い解像度が得られる。
【0065】
このように、画像表示空間Sにおける光の出射座標に対応した画像表示面2の位置に所定の色や輝度の表示光を出射する表示画素2aを設定することで、表示光を光ファイバ35の回転に応じて切り替えることなく、出射座標位置に応じて異なる色や輝度の立体画像を画像表示空間Sに表示することができる。したがって、本実施形態でも、光ファイバ35の回転に同期して光ファイバ35に供給する表示光を切り替える必要がないため、立体画像表示の制御が容易となり、製造コストの削減が図れる。
【0066】
第4実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、照明機構4として、導光板8aを用いたバックライト部8と光ファイバ5と同期して回転するレンズユニット9とを採用しているのに対し、第4実施形態の立体表示装置40では、図12に示すように、照明機構44が、液晶ディスプレイ3の裏面側に設けられていると共に回転機構6により光ファイバ5と同期して回転させられ、発光光を受光端5aにそれぞれ入射させる複数のLED光源(発光デバイス)48aを有したLED照明部(照明部)48を備えている点である。
【0067】
すなわち、第4実施形態のLED照明部48は、複数のLED光源48aと、これらLED光源48aが上面の回路パターン(図示略)に実装された円盤状の実装基板48bと、を備えている。このLED照明部48では、上方の各光ファイバ5の受光端5aに対応してその直下に各LED光源48aが設置されている。そして、各LED光源48aは、上方に向けて発光光を出射可能とされている。
【0068】
なお、LED光源48aは、例えば白色LEDが採用されるが、他の発光色のLED光源を採用しても構わない。また、LED光源48aとして、光の3原色をそれぞれ発光可能な赤色、緑色及び青色の3つのLED素子が内蔵され種々の色の光を出射可能なRGB−LEDを採用しても構わない。さらに、各LED光源48aは、光ファイバ5への入射効率が高くなるように、集光レンズを搭載したものでも構わない。
【0069】
この第4実施形態では、照明機構44が、液晶ディスプレイ3の裏面側に設けられていると共に回転機構6により光ファイバ5と同期して回転させられ、発光光を受光端5aにそれぞれ入射させる複数のLED光源48aを有したLED照明部48を備えているので、光ファイバ5と連動して回転する点光源である各LED光源48aによって対応する受光端5aにスポット状の照明光を入射することで、高い強度の光を光ファイバ5に入光させて高輝度の出射光を得ることができる。
【0070】
第5実施形態と第4実施形態との異なる点は、第4実施形態では、複数のLED光源(発光デバイス)48aを有したLED照明部48が、回転機構6により光ファイバ5と同期して回転させられるのに対し、第5実施形態の立体表示装置では、図13に示すように、照明機構54が、液晶ディスプレイ3の裏面側に複数のLED光源(発光デバイス)58aを配列しているものであり、照明回転手段56が、LED光源58aを回転機構6による光ファイバ5の回転と同期してON/OFFすることによって、受光端5aに対向する表示画素2aに対して照射する照明光の画像表示面2における強度を他の表示画素2aの照明光よりも常に強くする点である。
【0071】
すなわち、第5実施形態では、照明機構54が、液晶ディスプレイ3の裏面側にバックライトとしてLED光源58aをマトリクス状に配列しているLEDパネル57と、各LED光源58aのON/OFFを回転機構6による光ファイバ5の回転と同期して制御する照明回転手段56と、を備えている。この照明回転手段56は、上方で回転する受光端5aに合わせて受光端5aの直下のLED光源58aだけが発光するように各LED光源58aをON/OFFさせる。
【0072】
この第5実施形態では、第2実施形態のように受光端5aが放射状に配列され回転する光ファイバ5に対応して、照明回転手段56によって各LED光源58aの発光が制御される。したがって、発光させるLED光源58aも受光端5aの配置及び回転に同期して放射状の分布のまま発光領域が回転するように制御される。
【0073】
このように第5実施形態では、複数のLED光源58aを回転機構6による光ファイバ5の回転と同期してON/OFFすることによって、受光端5aに対向する表示画素2aに対して照射する照明光の画像表示面2における強度を他の表示画素2aの照明光よりも常に強くするので、LED光源58a自体を機械的に回転させる必要が無く、LED光源58aのON/OFF制御だけで効率的に高輝度の出射光を得ることができる。
【0074】
第6実施形態と第5実施形態との異なる点は、第5実施形態では、発光させたLED光源58aの発光強度はいずれも同様の強度であるのに対し、第6実施形態の立体表示装置では、図14に示すように、出射端5bの回転半径が大きいほど、対応するLED光源58aの発光強度が高く設定されている点である。なお、本実施形態では、各光ファイバ5の出射端5bの回転半径は、受光端5aの回転半径にほぼ等しく設定されている。
【0075】
すなわち、受光端5aの回転中心(LEDパネル57の中心)に近いLED光源58aに比べて外周側(LEDパネル57の外縁部側)のLED光源58aの方が明るく発光するように、照明回転手段56が発光強度をコントロールしている。
このように第6実施形態では、出射端5bの回転半径が大きいほど、対応するLED光源58aの発光強度が高く設定されているので、回転半径の異なる出射端5bにより表示される表示光の輝度をそろえることができ、立体画像の表示品質が向上する。
【0076】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0077】
例えば、上記第1実施形態では、複数の光ファイバにより3つの光ファイバ群が構成されているが、2つや4つ以上の光ファイバ群が構成されてもよい。光ファイバ群をより多数設けることで、奥行きの表示を高精細に行うことができる。また、立体表示装置は、立体画像を表示可能であればよく、受光端及び出射端の回転軌跡が異なる2本を少なくとも有する構成であればよい。
【0078】
また、液晶ディスプレイから出射する表示光を導光できれば、光ファイバに限らず、他の導光部材であってもよい。
そして、上記各実施形態では、液晶ディスプレイを採用しているが、画像が記録されたフィルムでも構わず、照明光を裏面側から透過させることが可能な透過型ディスプレイであれば、他のディスプレイ手段であってもよい。
【0079】
また、出射端の回転半径が大きいほど同一の回転軌跡上を移動する出射端を有する光ファイバを多数配置し、同一の回転軌跡における表示光の輝度の和を大きくすることで、各回転軌跡により形成される画像の輝度を同等としてもよい。この場合、同じ表示画素上を通る光ファイバは、必ず同じ座標で表示光を出射するように設定されている。
【0080】
さらに、複数の光ファイバにより表示される画像は静止画像に限らず、動画像であってもよい。
また、インテリアなどに適用可能としているが、立体表示を行うものであれば、他の用途に用いられてもよい。
また、上記第4実施形態において、LED光源以外の発光デバイスを採用しても構わない。例えば、蛍光管等を発光デバイスとして設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る立体表示装置の第1実施形態において、立体表示装置を示す模式的な断面図である。
【図2】第1実施形態において、立体表示装置の構成を示す概略的な斜視図である。
【図3】第1実施形態において、光ファイバの受光端の配置を示す支持台の裏面図、レンズユニットの平面図及び該平面図におけるレンズ部のA−A線矢視断面図である。
【図4】本発明に係る立体表示装置の第2実施形態において、光ファイバの受光端の配置を示す支持台の裏面図、レンズユニットの平面図及び該平面図におけるレンズ部のB−B線矢視断面図である。
【図5】第2実施形態において、支持台上の支持板を示す模式的な斜視図である。
【図6】第2実施形態において、支持台上の支持板及び光ファイバを示す平面図である。
【図7】本発明に係る立体表示装置の第3実施形態において、立体表示装置の構成を示す概略的な斜視図である。
【図8】第3実施形態において、第1ファイバ群と画像表示面の表示画素と画像表示空間との位置関係を示す説明図である。
【図9】第3実施形態において、第2ファイバ群と画像表示面の表示画素と画像表示空間との位置関係を示す説明図である。
【図10】第3実施形態において、第3ファイバ群と画像表示面の表示画素と画像表示空間との位置関係を示す説明図である。
【図11】第3実施形態において、第1〜第3ファイバ群と画像表示面の表示画素と画像表示空間との位置関係を示す説明図である。
【図12】本発明に係る立体表示装置の第4実施形態において、立体表示装置を示す模式的な断面図である。
【図13】本発明に係る立体表示装置の第5実施形態において、LEDパネルを示す平面図である。
【図14】本発明に係る立体表示装置の第6実施形態において、LEDパネルを示す平面図である。
【符号の説明】
【0082】
1,30,40…立体表示装置、2…画像表示面、2a…表示画素、3…液晶ディスプレイ(透過型ディスプレイ)、4,44,54…照明機構、5,35…光ファイバ(導光部材)、5a…受光端、5b…出射端、6…回転機構(導光部材回転機構、照明回転手段)、8…バックライト部、9,29…レンズユニット、9a,29a…レンズ部、48…LED照明部(照明部)、48a,58a…LED光源(発光デバイス)、56…照明回転手段、Z…回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の表示画素で構成され裏面から表面へ照明光が透過可能な画像表示面を有する透過型ディスプレイと、
該透過型ディスプレイの裏面側から前記表示画素を照明して前記表示画素から表示光を出射させる照明機構と、
前記表示画素から出射する表示光を受光する受光端及び前記表示光を出射する出射端を有する複数の導光部材と、
前記複数の導光部材を前記画像表示面に垂直な回転軸の軸回りで回転させる導光部材回転機構と、を備え、
前記導光部材の前記受光端と前記出射端との位置関係が、回転時の前記受光端が対向する前記表示画素と前記出射端の回転軌跡との位置関係に応じて設定される立体表示装置であって、
前記照明機構が、前記画像表示面における照明光の強度分布を前記導光部材回転機構による前記導光部材の回転と同期して回転させる照明回転手段を備え、前記受光端に対向する前記表示画素に対して照射する照明光の前記画像表示面における強度を、他の前記表示画素の照明光よりも常に強くすることを特徴とする立体表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の立体表示装置において、
前記照明機構が、前記透過型ディスプレイの裏面側に設置されて面状の照明光を前記透過型ディスプレイに向けて出射するバックライト部と、
前記透過型ディスプレイと前記バックライト部との間に設けられていると共に、前記照明回転手段により前記導光部材と同期して回転させられ、前記バックライト部からの照明光を集光させて前記導光部材の受光端にそれぞれ入射させる複数のレンズ部を有したレンズユニットと、を備えていることを特徴とする立体表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の立体表示装置において、
前記出射端の回転半径が大きいほど、対応する前記レンズ部で集光して前記受光端に入射させる光の強度が強く設定されていることを特徴とする立体表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の立体表示装置において、
前記照明機構が、前記透過型ディスプレイの裏面側に設けられていると共に前記照明回転手段により前記導光部材と同期して回転させられ、発光光を前記受光端にそれぞれ入射させる複数の発光デバイスを有した照明部を備えていることを特徴とする立体表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の立体表示装置において、
前記照明機構が、前記透過型ディスプレイの裏面側に複数の発光デバイスを配列しているものであり、
前記照明回転手段が、前記複数の発光デバイスを前記導光部材回転機構の回転と同期してON/OFFすることによって、前記受光端に対向する前記表示画素に対して照射する照明光の前記画像表示面における強度を他の前記表示画素の照明光よりも常に強くすることを特徴とする立体表示装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の立体表示装置において、
前記出射端の回転半径が大きいほど、対応する前記発光デバイスの発光強度が高く設定されていることを特徴とする立体表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の立体表示装置において、
前記受光端における回転半径と前記出射端における回転軌跡とが、1対1の関係に設定されていることを特徴とする立体表示装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の立体表示装置において、
前記画像表示面には、前記導光部材の回転軸を中心とした円筒座標の所定角度範囲内に設けられた画像表示空間に、前記出射端が配された際、対応する前記受光端に対向し該受光端に向けて表示光を出射する前記表示画素が、複数の前記導光部材に対応して複数形成され、
複数の前記導光部材が、前記受光端と前記出射端との前記回転軸から見た角度の差が少なくとも2種類以上に設定されていることを特徴とする立体表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−134055(P2010−134055A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308022(P2008−308022)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(503438539)株式会社テクノベイツ (3)
【Fターム(参考)】