立体視画像表示処理装置、立体視画像表示処理方法及びプログラム
【課題】表示手段に二次元画像のステレオペア画像が表示されることにより二次元画像の立体視が可能であるうえ、操作手段を用いてステレオペア画像に立体視可能に描画することができる立体視画像表示処理装置、立体視画像表示処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ステレオペア画像表示処理装置100は、モニタ95にステレオペア画像を表示する。操作部94の操作でステレオペア画像を構成する一組の画像のうち一方に描画されると、各演算部23〜25がインデックスデータIDの三次元座標を参照して、他方の画像上の対応位置を演算する。各部27〜29は、その対応位置に描画内容を重畳させる。このため、他方の画像には、一方の描画内容と立体視可能な関係にある描画内容が描画される。
【解決手段】ステレオペア画像表示処理装置100は、モニタ95にステレオペア画像を表示する。操作部94の操作でステレオペア画像を構成する一組の画像のうち一方に描画されると、各演算部23〜25がインデックスデータIDの三次元座標を参照して、他方の画像上の対応位置を演算する。各部27〜29は、その対応位置に描画内容を重畳させる。このため、他方の画像には、一方の描画内容と立体視可能な関係にある描画内容が描画される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図又は写真の二次元画像を、平行法や交差法などにより裸眼で立体視が可能なステレオペア画像を表示する立体視画像表示処理装置、立体視画像表示処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ステレオペアをなす2枚の航空写真を並べて、平行法又は交差法などにより裸眼で航空写真を立体視(実体視)し、地滑りや活断層等を判読することが行われている。しかしながら、森林部においては植生下の地形を見ることができないため判読が困難である。例えば、規模の小さな地滑りでは、森林植生の下にあり、その変動量も小さいことから、現地における確認の有無や判読者の経験により精度が大きく異なる。また、航空写真に記載した判読結果を地図に書き写す作業(移写)においては、書き写しの際に位置を誤ったり、形状が変わったりする問題があった。また、写真の影の部分の判読が困難という問題もあった。
【0003】
一方、航空レーザ測量は植生下の地形精度が良く、微地形の判読に有効な地形画像データを提供する。例えば地形の起伏などを紙面上に表現できるように、等高線や、標高に応じた段彩、凹凸に応じた陰影などの加工を施すことにより、等高線図、カラー段彩画像、陰影画像、傾斜勾配画像、赤色立体画像などの立体化させた地形画像(地形起伏図)も知られている(例えば特許文献1〜4等)。判読者に提供される地形画像データは正斜投影であり、判読結果は画像をトレースすることで地図へ直接移写することができる。
【0004】
しかし、加工されたデータは平面的なもの(2.5次元ともいえる)であり、起伏や傾斜などの高さ情報については、等高線や断面図より断片的に引用する必要があり、判読においては空間的な起伏把握能力が必要であり熟練を要していた。
【0005】
例えば特許文献5には、ステレオ写真方式で必要な一対の段彩地図(ステレオペア画像)を表示し、判読者が平行法又は交差法による裸眼で画面上の段彩地図を立体視できる立体視地図表示装置が開示されている。詳しくは、第1の地図情報と、第1の地図情報を地物標高に応じて偏移させ、第1の地図情報との間で視差が生じるようにした第2の地図情報とを表示させる。画面に表示された表示窓中の第1の地図情報において指定手段でクリックした部分に対応する第2の地図情報の一部が、その表示窓の隣に出現した表示窓に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/042675号パンフレット
【特許文献2】特開2006−72857号公報
【特許文献3】特開2007−48185号公報
【特許文献4】特開2008−242298号公報
【特許文献5】特開2004−333993号公報(例えば明細書段落[0014]−[0018][0027][0033]等、図12、図15等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献5の立体視地図表示装置では、画面上で地図や地形図を立体視して地滑りや活断層などの判読結果を得ることができるものの、その判読結果は平面(2次元)の地図上に移写する必要は依然としてある。このため、判読結果の位置又は形状を間違って移写してしまう虞がある。もちろん、画面に表示されたステレオペア画像(地図)上に線などを描画できる描画機能を加えても、マウスなどを用いてカーソルを移動させて描画するので、ステレオペア画像のうち一方の画像(地図)にしか判読結果の線などを描画させることができない。この場合、平行法や交差法により裸眼で地図を立体視しながらその地図上に描画した線などは立体視できないという問題があった。そのため、地図を立体視しながら描画した場合、その描画した線が見えにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題に着目してなされたものであって、その目的の一つは、表示手段に二次元画像のステレオペア画像が表示されることにより二次元画像の立体視が可能であるうえ、操作手段を用いてステレオペア画像に立体視可能に描画することができる立体視画像表示処理装置、立体視画像表示処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、図又は写真の二次元画像を立体視可能なステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理装置であって、表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示手段と、前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理手段と、前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理手段と、を備えたことを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、表示手段に二次元画像のステレオペア画像が表示されることにより二次元画像の立体視が可能であるうえ、操作手段を用いてステレオペア画像に立体視可能に描画することができる。
【0011】
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記基準画像に前記描画内容として描画された描画線で規定される計測情報を取得する計測情報取得手段と、前記計測情報を前記第1画像と前記第2画像における立体視可能な各表示位置にそれぞれ表示させる第1表示処理手段とを更に備えていることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、操作手段で描画した描画線で規定される計測情報を、ステレオペア画像(第1画像と第2画像)に立体視可能に表示させることができる。
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記操作手段により前記描画線の節として指定された点の座標に対応する標高値を取得し、前記標高値に基づき前記描画線で切断した断面形状を表示させる第2表示処理手段を更に備えていることが好ましい。この発明によれば、操作手段で描画線を描画すれば、その描画線で切断した断面形状を表示させることができる。
【0013】
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記描画線の三次元座標データを出力する出力手段を更に備えていることが好ましい。この発明によれば、操作手段で描画した描画線の三次元座標データを取得できる。
【0014】
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記表示手段に前記ステレオペア画像として表示される二次元画像の種類を切り替える切替手段を更に備えたことが好ましい。
この発明によれば、表示手段にステレオペア画像として表示される二次元画像の種類を切り替えることができる。例えば、二次元画像の種類を切り替え、複数種の二次元画像を立体視することにより、適切な判読結果が取得し易くなる。
【0015】
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記基準画像を表示するための基準画像データと、前記基準画像データの画像座標と対応する三次元座標が規定された三次元座標データとを格納する格納手段を更に備え、前記第2の表示処理手段は、前記操作手段により前記基準画像において指定された点の画像座標に対応する三次元座標を、前記三次元座標データを参照して取得し、当該三次元座標に対応する前記相対画像における画像座標を求め、前記相対画像における当該画像座標に描画することが好ましい。
【0016】
この発明によれば、基準画像で指定された画像座標と対応する相対画像における画像座標を、三次元座標データを介して求めれば、その相対画像の画像座標を立体視可能な関係にある画像座標として比較的簡単に求めることができる。
【0017】
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記三次元座標データは前記基準画像の表示エリア毎に分けて格納されており、前記三次元座標データを用いて前記基準画像の画像解像度に等しい解像度の三次元地形座標データを再生する再生手段を更に備えたことが好ましい。この発明によれば、三次元座標データを用いて、簡易的に三次元地形座標データを再生できる。
【0018】
本発明は、図又は写真の二次元画像を立体視可能なステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理方法であって、表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示段階と、前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理段階と、前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理段階と、を備えたことを要旨とする。この発明によれば、上記立体視画像表示処理装置に係る発明と同様の効果を得ることができる。
【0019】
本発明は、図又は写真の二次元画像を立体視可能なステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータに、表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示段階と、前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理段階と、前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理段階と、を実行させるためのプログラムである。この発明によれば、上記立体視画像表示処理装置に係る発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表示手段に二次元画像のステレオペア画像が表示されることにより二次元画像の立体視が可能であるうえ、操作手段を用いてステレオペア画像に立体視可能に描画することができる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ステレオペア画像表示処理装置を備えたパーソナルコンピュータの模式図。
【図2】航空レーザ測量の方法を説明する模式図。
【図3】ステレオペア画像作成装置とステレオペア画像表示処理装置との各機能構成を示すブロック図。
【図4】ステレオペア画像作成装置の具体的な機能構成を示すブロック図。
【図5】中心投影を説明する模式斜視図。
【図6】(a)〜(c)3種類のステレオペア画像データと三次元座標インデックスデータとを示す模式図。
【図7】地形起伏図のステレオペア画像が表示された画面図。
【図8】写真地図のステレオペア画像が表示された画面図。
【図9】画像座標演算部及び三次元座標抽出部の処理内容を説明するブロック図。
【図10】立体視自動描画機能を実現するための処理を説明するブロック図。
【図11】標高がステレオペア画像上に表示された画面図。
【図12】計測線やポリゴンの立体視自動描画機能を説明するブロック図。
【図13】立体視自動描画処理を示すフローチャート。
【図14】モードに応じた処理を示すフローチャート。
【図15】計測線と計測情報がステレオペア画像に重畳表示された画面図。
【図16】ポリゴンがステレオペア画像に重畳表示された画面図。
【図17】ポリゴンデータに基づくポリゴンが、CAD装置の地図画像に重畳表示された画面図。
【図18】プロファイラモードで断面線が描画された画面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図18に基づいて説明する。
図1は、立体視画像表示処理装置の一例としてのステレオペア画像表示処理装置を備えたパーソナルコンピュータを示す。図1に示すように、パーソナルコンピュータ(以下、「PC90」という)は、本体91と、キーボード92及びマウス93よりなる操作部94と、表示手段の一例としてのモニタ95(表示装置)とを備えている。PC90の本体91には、図1に示すステレオペア画像表示処理装置100が内蔵されている。ステレオペア画像表示処理装置100は、モニタ95に交差法又は平行法による立体視(実体視)が可能な左右一対の画像(ステレオ画像)からなるステレオペア画像SG(図7,図8参照)を表示する。本体91内のマイクロコンピュータ(以下、単に「コンピュータ96」という)は、CPU97(中央処理装置)、RAM98及び記憶装置99を備えている。記憶装置99には、ステレオペア画像表示処理用のプログラムPRが記憶されている。本実施形態では、CPU97がこのプログラムPRを実行することにより、本体91内にステレオペア画像表示処理装置100が構築される。なお、プログラムPRは、CD−ROMやDVD等の記憶媒体からの読み込み、あるいはインターネット経由によるサーバ(図示せず)からのダウンロードにより、PC90にインストールされている。
【0023】
図3は、ステレオペア画像作成装置とステレオペア画像表示処理装置との各機能構成を示すブロック図である。ステレオペア画像作成装置10は、PC90以外の他のPC内に設けられる。ステレオペア画像作成装置10は、ステレオペア画像表示処理装置100で使用されるステレオペア画像データSD及び三次元座標インデックスデータID(以下、単に「インデックスデータID」ともいう)を作成するためのものである。
【0024】
図3に示すステレオペア画像作成装置10は、一例として、数値標高データD1(例えばDEM(Digital Elevation Model)等)、写真地図データD2及び地理情報データD3等を基に、ステレオペア画像データSD及びインデックスデータIDを生成する。本実施形態のステレオペア画像作成装置10は、ステレオペア画像データSDとして、地形起伏図のステレオペア画像データSD1、写真地図のステレオペア画像データSD2及び地理情報のステレオペア画像データSD3の3種類を生成する。これら各データSD1,SD2,SD3を含むステレオペア画像データSD及びインデックスデータIDは、ステレオペア画像表示処理装置100に入力され、ステレオペア画像表示処理装置100内のバッファー20に格納(記憶)されている。そして、ステレオペア画像表示処理装置100は、図の一例である地形起伏図及び地理情報、写真の一例である写真地図などの二次元画像のステレオペア画像を表示する機能を有する。
【0025】
ここで、ステレオペア画像作成装置10に入力されるデータD1〜D3等について説明する。数値標高データD1は、例えば図2に示すような航空レーザ測量を利用して取得される。図2に示すように、レーザ測量器201を搭載した航空機202により測量対象エリアの上空を飛行しながらレーザを地上へ発信するレーザスキャンを行い、その反射パルスを計測して航空レーザ測量データを取得する。航空機202はGPS衛星203から受信するGPS信号に基づく現在の測量位置の緯度・経度と、そのときの反射レーザの計測値に基づく標高Zとを取得し、緯度・経度に標高が対応付けられた三次元の航空レーザ測量データを取得する。この航空レーザ測量データから必要に応じて建物や樹木、車両等の地形形状を表さない地物を分離処理し、さらにモデリングして発生させたTIN(三角形網:Triangle Irregular Network)等から、所定距離(例えば0.1m〜50mの範囲内の所定値)メッシュの交点の標高Zを読み取って、数値標高データD1は生成される。もちろん、数値標高データD1は、空中写真測量、衛星画像による測量、レーダによる測量等から取得することもできる。
【0026】
このレーザ測量の際、航空機202はレーザスキャンを行いながらカメラ204により一定間隔(距離)毎に測量対象エリアのカラー写真を撮影する。このカラー写真データが写真地図データD2となる。このため、数値標高データD1と写真地図データD2はそれぞれエリアが対応関係にある。また、地理情報データD3は、地滑りや活断層などの地理情報がカラー表現された画像データである。
【0027】
図4は、ステレオペア画像作成装置の具体的な機能構成を示す。図4に示すように、ステレオペア画像作成装置10は、第1作成部11、第2作成部12、中心投影変換部13、画像座標変換部14及びラスターデータ変換部15を備えている。
【0028】
第1作成部11は、数値標高データD1を基に、標高に応じて地形の起伏状態が段彩表現(カラー表現)された地形起伏図の数値標高データD4を作成する。詳しくは、第1作成部11は、数値標高データD1に、標高Zに応じた色相を付与する段彩処理を施すと共に、凹凸度に応じた陰影(例えばグレイスケール)を施すことにより、数値標高座標(X,Y,Z)と色座標(R,G,B)とを含む地形起伏図の数値標高データD4を作成する。
【0029】
第2作成部12は、数値標高データD1に、写真地図データD2から取得した色情報(RGB)を付与し、数値標高座標(X,Y,Z)と色座標(R,G,B)とを含むカラー写真地図の数値標高データD5を作成する。また、第2作成部12は、数値標高データD1に、地理情報データD3から取得した色情報(RGB)を付与し、数値標高座標(X,Y,Z)と色座標(R,G,B)とを含むカラー地理情報の数値標高データD6を作成する。すなわち、第2作成部12は、色情報を有しない三次元座標(X,Y,Z)で表現される数値標高データD1の各格子点に、カラー画像データD2,D3から抽出した各格子点の色情報(RGB値)を付加して、カラー写真地図やカラー地理情報の色付き数値標高データD5,D6を作成する。このように数値標高データD4,D5,D6は、6次元座標(X,Y,Z,R,G,B)の画像データである。
【0030】
中心投影変換部13、画像座標変換部14及びラスターデータ変換部15は、RGB情報を有する6次元の数値標高データD4,D5,D6を基に、それぞれのステレオペア画像データSD1,SD2,SD3を生成する。すなわち、数値標高データD1から地形起伏図のステレオペア画像データSD1を生成し、写真地図データD2から写真地図のステレオペア画像データSD2を生成し、地理情報データD3から地理情報のステレオペア画像データSD3を生成する。ステレオペア画像データSD1,SD2,SD3は、それぞれ左目用ステレオ画像データLDと右目用ステレオ画像データRDの一対からなる。一対のステレオ画像データLD,RDは、所定割合(例えば50〜100%の範囲内の所定値)で重複(ラップ)する2つのエリアの画像が、表示対象エリア全域に亘って用意されている。2つのエリアの画像は、一方が左目の視線方向の角度から見た画像、他方が右目の視線方向の角度から見た画像となっている。
【0031】
まず中心投影変換部13は、撮影基準位置を中心に左目用の対象エリアを中心投影し、その対象エリアを左目で見た画像に変換する。同様に、中心投影変換部13は、撮影基準位置を中心に右目用の対象エリアを中心投影し、その対象エリアを右目で見た画像に変換する。
【0032】
図5は中心投影を説明する模式斜視図である。航空機202は、異なる二つの撮影位置でカメラ204(図2参照)により直下の地形を撮影する。このときの撮影位置が撮影基準位置SP1,SP2となる。
【0033】
数値標高データD4,D5,D6において図5に示す2つエリアA1,A2を一部重複(ラップ)するように選択する。図5に示すように、エリアA1は四角形ABCDの矩形エリアであり、エリアA2はエリアA1に一部重複(ラップ)する四角形EFGHの矩形エリアである。撮影基準位置SP1を中心にエリアA1を右目視方向へ中心投影する演算を行って、右目用ステレオ画像データRD(図5における四角形abcd)を生成する。また、撮影基準位置SP2を中心にエリアA2を左目視方向へ中心投影する演算を行って、左目用ステレオ画像データLD(図5における四角形efgh)を生成する。これら右目用ステレオ画像RGと左目用ステレオ画像LGの重複範囲(範囲e’f’cdと範囲efc’d’)が、平行法(又は交差法)で立体視可能な範囲となる。
【0034】
図4に示す中心投影変換部13は、数値標高データD4,D5,D6から選択された図5に示す2つのエリアA1,A2をそれぞれ右目用と左目用に中心投影する公知の演算を行って、右目用ステレオ画像データRDと左目用ステレオ画像データLDとを含む3種類のステレオペア画像データD7,D8,D9を生成する。このステレオペア画像データD7,D8,D9は、色座標(R,G,B)と数値標高座標(X,Y,Z)とを含む6次元データからなる。
【0035】
画像座標変換部14は、ステレオペア画像データD7,D8,D9を、数値標高座標(X,Y,Z)で示される三次元座標系からモニタ表示用の画像座標系へ座標変換し、RGB画像データからなるステレオペア画像データD10,D11,D12を生成する。また、画像座標変換部14は、ステレオペア画像データD10,D11,D12の画像座標と対応する東西座標X(例えば経度)、南北座標Y(例えば緯度)及び標高値Zをそれぞれ生成する。
【0036】
ラスターデータ変換部15は、ステレオペア画像データD10,D11,D12、東西座標、南北座標、標高値を、ラスターデータに変換する。こうして地形起伏図と写真地図と地理情報の各ステレオペア画像データSD1,SD2,SD3が生成される。また、ラスターデータ変換部15は、ラスター変換後の東西座標データED、南北座標データND、標高データZDを含む三次元座標インデックスデータIDを生成する。
【0037】
図6は、3種類のステレオペア画像データと三次元座標インデックスデータとを示す。図6(a)は、地形起伏図のステレオペア画像データSD1と、これに対応する三次元座標インデックスデータID1である。地形起伏図のステレオペア画像データSD1は、左目用ステレオ画像データLDと右目用ステレオ画像データRDとの一対からなる。三次元座標インデックスデータID1は、一対のステレオ画像のうち基準画像となる左目用ステレオ画像データLDの画像座標と座標が対応付けられた東西座標データED、南北座標データND、標高データZDを含む。このため、ステレオ画像データLD中の座標が指定されると、東西座標データED中のその指定座標と対応する座標の値から経度Xを取得でき、南北座標データND中のその指定座標と対応する座標の値から緯度Yを取得でき、さらに標高データZD中のその指定座標と対応する座標の値から標高Zを取得できる。
【0038】
また、図6(b)は、写真地図のステレオペア画像データSD2と、これに対応する三次元座標インデックスデータID2であり、図6(c)は、地理情報のステレオペア画像データSD3と、これに対応する三次元座標インデックスデータID3である。写真地図及び地理情報の各ステレオペア画像データSD2,SD3は、それぞれ左目用ステレオ画像データLDと右目用ステレオ画像データRDとの一対からなる。また、三次元座標インデックスデータID2,ID3は、それぞれの左目用ステレオ画像データLDの画像座標と座標が対応付けられた東西座標データED、南北座標データND、標高データZDを含む。このため、ステレオ画像データLD中の画像座標が指定されると、インデックスデータID2,ID3を参照することで、その指定座標に対応する経度X・緯度Y・標高Zを取得できるようになっている。もちろん、右目用ステレオ画像を基準画像とし、これと各データED,ND,ZDの座標とを対応付けてもよい。さらに左目用と右目用の各ステレオ画像データにそれぞれ対応する一対のインデックスデータIDを設け、どちらのステレオ画像上で位置を指定しても、その指定点に対応する三次元座標(X,Y,Z)を取得できるようにしてもよい。また、ステレオペア画像データSD1,SD2,SD3に共通の1つのインデックスデータIDのみとし、小さなデータ量としてもよい。
【0039】
次に、ステレオペア画像表示処理装置100についてその詳細を説明する。図3に示すように、ステレオペア画像表示処理装置100は、主制御部21、画像切替え部22、画像座標演算部23、三次元座標抽出部24、ステレオ用画像座標演算部25、計測情報演算部26、ベクトル生成部27、重畳処理部28、表示処理部29、ベクトル化部30、出力部31、断面線演算部32、三次元再生部33及び印刷出力部34を備えている。
【0040】
ステレオペア画像表示処理装置100は、バッファー20(メモリー)に記憶された画面表示用画像データGD(図示省略)とステレオペア画像データSDとを基に、図7に示すステレオペア画像表示用の画面40をモニタ95に表示する(ステレオペア画像表示機能)。詳しくは、主制御部21がデータGD,SDを基に生成した画面用の画像データを表示処理部29へ送り、表示処理部29にこの画像データに基づく画面40を表示させる。
【0041】
ここで、画面40の詳細を説明する。図7に示すように、画面40の中央やや左寄りの位置には、左目用ステレオ画像データLDに基づく左目用ステレオ画像LGが表示される第1表示領域41と、右目用ステレオ画像データRDに基づく右目用ステレオ画像RGが表示される第2表示領域42とが左右に並んで配置されている。画面40において各表示領域41,42の下側位置には、カーソル位置に相当する点の画像座標(x、y)と測地座標(X,Y,Z)とが表示される。なお、本実施形態では、一例として、左目用ステレオ画像LGが第1画像(基準位置)に相当し、右目用ステレオ画像RGが第2画像(相対画像)に相当する。なお、本実施形態では、主制御部21が、画面40を表示させることにより、ステレオペア画像SGを構成する左目用ステレオ画像LGと右目用ステレオ画像RGとを並べて表示させる処理が、画像表示段階に相当する。
【0042】
画面40の上部に設けられたチェックボックス43〜46の選択によって、「連動ロック」、「地形スナップ」、「計測」、「ポリゴン描画」の各モードが選択される。また、画面40中には、描画データや計測データなどのデータの保存先を指定する保存先指定部47、ステレオペア画像SGの種類を変更する(切り替える)ための画像変更ボタン48、表示領域41,42内のステレオ画像LG,RGを上下左右に移動させるための移動ボタン49が設けられている。移動ボタン49は、本例では、上ボタン49A、下ボタン49B、前ボタン49C(左ボタン)及び次ボタン49D(右ボタン)が備えられ、ステレオ画像LG,RGを上下左右4方向へ移動させることが可能となっている。また、画面40中には確定や終了の指示を行うための確定ボタン50(終了ボタン)、ステレオ画像LG,RGを拡大させるための拡大ボタン51、ステレオ画像LG,RGを縮小させるための縮小ボタン52が設けられている。さらに画面40には、インデックスデータIDから簡易の数値標高データ(三次元地形座標データ)を再生して出力させる「簡易3Dデータ」出力ボタン(以下、単に「出力ボタン53」と称す)が設けられている。また、画面40の下部には、プロファイラモードを選択するためのチェックボックス54が設けられている。
【0043】
ここで、各種のモードについて説明する。「連動ロック」モードとは、左右のステレオ画像LG,RGを連動させるモードである。「地形スナップ」モードとは、カーソル近くの地形特徴点(山頂や谷底など)にカーソルを自動で移動させるモードである。「計測」モードとは、カーソルを移動させて地形起伏図や写真地図などのステレオ画像上に描画した線分の両端二点間の累積距離L、高度差H、方位角α、傾斜角θ(傾斜度)、さらに描画した領域の面積Sなどを含む計測値(計測情報)を表示させるモードである(図15参照)。「ポリゴン描画」モードとは、複数点を指定して経路線や多角形などを含むポリゴンをステレオ画像上に描画させるモードである。このモードでポリゴンを描画すれば、そのポリゴンデータのファイルの出力が可能である。また、「プロファイラ」モードとは、ステレオ画像上で描画した線に沿って切断した断面図(地形の断面線56)を、別表示領域(プロファイラ表示領域55)に表示させるモードである(図18参照)。
【0044】
本実施形態では、左目用ステレオ画像LGが基準画像であり、「計測」・「ポリゴン描画」などの描画が可能なモードにおいて、マウス93を操作して基準画像上で移動させたカーソルの移動軌跡に沿った線やポリゴンなどの図形要素を描画することが可能になっている。そして、一方のステレオ画像(例えば左目用ステレオ画像LG)上に図形要素を描画すると、他方のステレオ画像(例えば右目用ステレオ画像RG)上にそれと同じ図形要素が立体視可能な表示位置に自動描画されるようになっている(立体視自動描画機能)(図15、図16、図18参照)。なお、左目用ステレオ画像LGにはマウス93で指定したカーソル位置に十字マークが表示され、これと同様の十字マークが、右目用ステレオ画像RGにおける立体視可能な位置に表示されるようになっている(図11等参照)。
【0045】
また、計測モードにおいて、ステレオ画像上のカーソル位置や、描画した線分(計測線)の近傍位置に計測情報が表示されるようになっている(計測表示機能)。この計測情報の文字列は、両ステレオ画像LG,RGに立体視可能な表示位置に表示される。さらに、ポリゴン描画モードで描画したポリゴン(点や線も含む)の三次元座標情報を出力するデータ出力機能(三次元データ出力機能)も設けられている。また、インデックスデータIDから簡易な数値標高データ(三次元地形座標データ)を再生して出力する三次元データ再生機能も設けられている。
【0046】
上記のステレオペア画像表示機能、立体視自動描画機能、計測表示機能、データ出力機能は、図3に示すステレオペア画像表示処理装置100内の各部により実現される。以下、ステレオペア画像表示処理装置100内の各部について詳細に説明する。
【0047】
主制御部21は、各部22〜33を統括制御する。主制御部21は、チェックボックス43〜46,54のチェック内容に応じてモードを切り換え、そのときのモードに応じた指示を各部22〜33に与える。
【0048】
画像切替え部22は、画面40に表示されるステレオペア画像SGを切替える処理を行う。本例では、画像切替え部22は、地形起伏図、写真地図、地理情報の少なくとも3種類のうち1種類のステレオペア画像SGが表示された状態で、画像変更ボタン48が操作されると、両表示領域41,42のステレオペア画像SG(ステレオ画像LG,RG)を他の種類のものに切替える。例えば図7の画面40で、画像変更ボタン48が操作されると、画像切替え部22は、バッファー20から次のステレオペア画像データSD2を読み出し、各表示領域41,42に表示されていた地形起伏図のステレオペア画像SG1(ステレオ画像LG,RG)を、図8に示す写真地図のステレオペア画像SG2(ステレオ画像LG,RG)に切り替える。画像切替え部22は、画像変更ボタン48の操作信号を入力する度に、例えば地形起伏図→写真地図→地理情報→…の順番に、表示させるべきステレオペア画像SGを切り替える。
【0049】
画像座標演算部23は、操作部94(例えばマウス93)により指定されたステレオ画像LG上の指定位置(カーソル位置)の画像座標(j,k)を演算する。
三次元座標抽出部24は、画像座標(j,k)から三次元座標(X,Y,Z)を抽出する。この抽出は、三次元座標インデックスデータIDを参照して行われる。
【0050】
図9は、画像座標演算部23及び三次元座標抽出部24の処理内容を説明するブロック図である。図9に示すように、画像座標演算部23は、ステレオ画像データLDにおける操作部94による指定位置に対応する画像座標(j,k)を演算する。この画像座標(j,k)のデータは三次元座標抽出部24に送られる。
【0051】
三次元座標抽出部24は、インデックスデータIDを構成する各データED,ND,ZDにおいて画像座標(j,k)と対応する値X,Y,Zを取得する。具体的には、三次元座標抽出部24は、データEDにおける画像座標(j,k)と対応する経度X(=E(j,k))、データNDにおける画像座標(j,k)と対応する緯度Y(=N(j,k))、標高データZDにおける画像座標(j,k)と対応する標高Z(=El(j,k))を取得する。そして、三次元座標抽出部24は、三次元座標情報(X,Y,Z)を出力する。
【0052】
図3に示すように、三次元座標抽出部24から出力された三次元座標情報(X,Y,Z)は、ステレオ用画像座標演算部25へ送られる。また、計測モードのときには、三次元座標情報(X,Y,Z)は計測情報演算部26にも送られる。
【0053】
図3に示すステレオ用画像座標演算部25は、ステレオ画像LG上の指定位置(カーソル位置)の画像座標(j,k)に対して、立体視可能な位置関係にあるステレオ画像RG上の表示位置の画像座標(p,q)を演算する。
【0054】
図10は、ステレオ画像LG上にマウス93の操作で描画した内容を、立体視可能に表示させる立体視自動描画機能(処理)を説明するブロック図である。図10を参照して、ステレオ用画像座標演算部25の処理を説明する。ステレオ用画像座標演算部25は、画像座標演算部23により演算された画像座標(j,k)を基に三次元座標抽出部24がインデックスデータIDを参照して取得した三次元座標情報(X,Y,Z)を三次元座標抽出部24から受け取ると、その三次元座標(X,Y,Z)に対応する右目用ステレオ画像RG上の点の画像座標(p,q)を演算する。よって、三次元座標(X,Y,Z)の左目用ステレオ画像LG上の画像座標(j,k)と、この三次元座標(X,Y,Z)の右目用ステレオ画像RG上の画像座標(p,q)とが決まる。この画像座標(p,q)は、左目用ステレオ画像LG上の指定位置(カーソル位置)の画像座標(j,k)に対して立体視が可能な右目用ステレオ画像RG上の表示位置を示す。画像座標(p,q)は、対象エリアの撮影基準位置情報SPを用いて、三次元座標(X,Y,Z)を三次元座標系から右目画像座標系へ座標変換すれば求まるので、比較的簡単な演算で立体視可能な表示位置(画像座標)を取得できる。
【0055】
例えば図11の画面40に示すような地形スナップモードでは、マウス93により左目用ステレオ画像LG上で指定した位置(カーソル位置)の標高Zが、ステレオ画像LG,RG上に立体視可能な文字列(計測情報)として自動表示される。図10に示す重畳処理部28は、少なくとも標高値Zを三次元座標抽出部24から入力し、その標高値Zの文字列画像データを生成する。重畳処理部28は、左目用ステレオ画像データLDに文字列画像データを重畳させる第1重畳処理部28Aと、右目用ステレオ画像データRDに文字列画像データを重畳させる第2重畳処理部28Bとを備える。第1重畳処理部28Aは、指定位置の画像座標(j,k)に対して近傍所定位置を文字列画像の表示座標として演算し、左目用ステレオ画像データLD上のその表示座標に相当する位置に文字列画像データを重畳させる。一方、第2重畳処理部28Bは、指定位置の画像座標(p,q)に対して近傍所定位置を文字列画像の表示座標として演算し、右目用ステレオ画像データRD上のその表示座標に相当する位置に文字列画像データを重畳させる。そして、文字列画像が重畳されたステレオ画像データLD,RDに基づく各ステレオ画像が、表示処理部29により画面40の各表示領域41,42に表示されることで、図11の画面40に示すように、各ステレオ画像LG,RGにはカーソル位置の近傍位置に標高値Zの文字列が立体視可能に表示される。
【0056】
図3に示す計測情報演算部26は、計測モード又はポリゴン描画モードにおいて、マウス93の操作でステレオ画像上に描画した経路の両端二点間について、その間の距離(累積距離L)、高度差H、傾斜角θ、方位角αを演算するとともに、閉じた経路を描画した場合にはその経路で囲まれた領域(ポリゴン領域)の面積Sを演算する。このために計測情報演算部26は、累積距離Lを演算する距離演算部26A、高度差Hを演算する高度差演算部26B、傾斜角θを演算する傾斜角演算部26C、方位角αを演算する方位角演算部26D及び面積Sを演算する面積演算部26Eを備えている。
【0057】
ベクトル生成部27と重畳処理部28は、計測モード又はポリゴン描画モードにおいて、ステレオ画像上に計測線やポリゴンを描画するための画像生成処理を行う。図12は、描画した計測線やポリゴンをステレオペア画像SG上に立体視可能に表示させる立体視自動描画機能(処理)を説明するブロック図である。計測モードでは、マウス93の操作でステレオ画像LG上に始点と終点の二点を指定して計測線(図15参照)を描画する。また、ポリゴン描画モードでは、マウス93の操作で複数点を指定してポリゴン(図16参照)を描画する。
【0058】
以下、図12を参照しつつ、ベクトル生成部27と重畳処理部28が行う各処理を説明する。マウス93で描画する際に複数点(m点)の指定位置Pn(但しn=1,…m(mはm≧2の自然数))が指定される場合、画像座標演算部23は、二点目以降の位置指定において、前回の指定位置Pn-1の画像座標(jn-1,kn-1)と、今回の指定位置Pnの画像座標(jn,kn)とを演算する。三次元座標抽出部24は、前回と今回の各画像座標(jn-1,kn-1)、(jn,kn)を基に、インデックスデータIDを参照して、前回の指定位置Pn-1の三次元座標(Xn-1,Yn-1,Zn-1)と、今回の指定位置Pnの三次元座標(Xn,Yn,Zn)とを演算する。そして、ステレオ用画像座標演算部25は、各三次元座標(Xn-1,Yn-1,Zn-1)、(Xn,Yn,Zn)を基に、右目用ステレオ画像RG上における前回の指定位置に相当する画像座標(pn-1,qn-1)と、今回の指定位置に相当する画像座標(pn,qn)とを演算する。
【0059】
図3に示すベクトル生成部27は、ステレオ画像上で指定された二点間の経路(線)を立体視可能に描画する画像を生成するため、その二点を始点と終点とするベクトルを生成する。詳しくは、ベクトル生成部27は、図12に示すように、左目用ステレオ画像LG上で指定された二点間の経路を規定するベクトルを生成する第1ベクトル生成部27Aと、その指定された二点に相当する右目用ステレオ画像RG上における二点の間の経路を規定するベクトルを生成する第2ベクトル生成部27Bとを備える。第1ベクトル生成部27Aは、左目用ステレオ画像LG上でカーソルにより指定された二点の画像座標(jn-1,kn-1)、(jn,kn)をそれぞれ始点・終点とするベクトルを生成する。一方、第2ベクトル生成部27Bは、左目用ステレオ画像LG上のその二点と立体視可能な関係にある右目用ステレオ画像RG上の二点を示す各画像座標(pn-1,qn-1)、(pn,qn)を求め、それぞれを始点・終点とするベクトルを生成する。そして、複数点の指定位置Pnが指定されることにより、それら複数点のうちの各二点を始点・終点とする1つ又は複数のベクトルが、左目用ステレオ画像の画像座標系と右目用ステレオ画像の画像座標系とのそれぞれで生成される。
【0060】
重畳処理部28は、ベクトルで規定される計測線やポリゴンなどの表示要素の画像(以下「部品画像」ともいう)を左目用と右目用のそれぞれで生成し、左目用と右目用の各部品画像データをそれぞれ各ステレオ画像データLD,RDに重畳させる重畳処理を行う。ここで、表示要素とは、前述した標高値Z等の文字列(図11参照)の他、例えばマウス93により一方のステレオ画像上に描画された点、線、ポリゴンと、他方のステレオ画像上に立体視可能に自動描画される点、線、ポリゴンなどの図形要素を指す。また、累積距離L、高度差H、傾斜角θ、方位角α、面積Sなどの計測結果の文字列なども表示要素に含まれる。もちろん、地図や気象等に係る記号やマーク等の他の図形要素も採用できる。
【0061】
図12に示す第1重畳処理部28Aが、左目用ステレオ画像と左目用部品画像との重畳処理を行い、第2重畳処理部28Bが、右目用ステレオ画像と右目用部品画像との重畳処理を行う。詳細には、第1重畳処理部28Aは、バッファー20から左目用ステレオ画像データLDを読み込むとともに第1ベクトル生成部27Aから左目用のベクトルを入力する。このとき計測モードであれば、第1重畳処理部28Aは計測情報も読み込む。第1重畳処理部28Aは、左目用のベクトルを基にそのベクトルで規定される計測線やポリゴンなどの部品画像を生成し、計測モードなど計測情報を表示するモードであれば、さらに計測情報の文字画像データ(以下「計測情報画像データ」ともいう)を生成する。そして、第1重畳処理部28Aは、部品画像データと、必要に応じて計測情報画像データとを、左目用ステレオ画像データLDに重畳させる。
【0062】
第2重畳処理部28Bは、バッファー20から右目用ステレオ画像データRDを読み込むとともに第2ベクトル生成部27Bから右目用のベクトルを入力する。このとき計測モードであれば、第2重畳処理部28Bはステレオ用画像座標演算部25から計測情報も読み込む。ここで、ステレオ用画像座標演算部25は、計測モードでは、計測情報演算部26から計測情報と共に左目用ステレオ画像の画像座標系における計測情報の表示位置(画像座標)を取得している。ステレオ用画像座標演算部25は、三次元座標抽出部24と同機能の三次元座標抽出部を内蔵し、計測情報の画像座標に対応する三次元座標を抽出する。そして、抽出した三次元座標を基に、撮影基準位置情報SPを用いて右目用ステレオ画像の画像座標系における計測情報の表示位置(画像座標)を演算する。こうして演算された計測情報の表示位置(画像座標)がステレオ用画像座標演算部25から第2重畳処理部28Bへ送られる。
【0063】
第2重畳処理部28Bは、右目用のベクトルを基にそのベクトルで規定される計測線やポリゴンなどの部品画像を生成し、計測モードなど計測情報を表示するモードであれば、さらに計測情報の文字画像データ(以下「計測情報画像データ」ともいう)を生成する。そして、第2重畳処理部28Bは、部品画像データと、必要に応じて計測情報画像データとを、右目用ステレオ画像データRDに重畳させる。このとき、第2重畳処理部28Bは、計測モードであれば、計測情報画像データを、ステレオ用画像座標演算部25から取得した画像座標で規定される表示位置に重畳させる。
【0064】
表示処理部29は、第1重畳処理部28Aが生成した重畳処理後の左目用ステレオ画像データLDに基づく左目用ステレオ画像LGを第1表示領域41に表示させるとともに、第2重畳処理部28Bが生成した重畳処理後の右目用ステレオ画像データRDに基づく右目用ステレオ画像RGを第2表示領域42に表示させる表示処理を行う。表示処理部29は、不図示の表示ドライバーへ画像データを出力することで、モニタ95に、表示要素が重畳された一対のステレオ画像LG,RGを含む画面40(図11、図14、図16、図18を参照)を表示させる。この結果、各表示要素が重畳させた一対のステレオ画像LG,RGが、モニタ95に表示された画面40中の各表示領域41,42に表示される。
【0065】
次にポリゴン描画モードにおけるポリゴンデータ出力処理について説明する。図3、図12に示すベクトル化部30は、ステレオ画像上で描画されたポリゴンを示す三次元座標データ(三次元座標情報)を三次元座標抽出部24から取得し、その取得した三次元座標データをベクター形式のデータ(ポリゴンデータPD)に変換する。このポリゴンデータPDは、ベクターデータなので、CAD装置80(図17参照)に表示させた地図画像にポリゴンを重ねて表示可能である。
【0066】
図3、図12に示す出力部31は、計測情報として得られたデータL,H,θ,α,S、及びポリゴンデータPDを出力する。この結果、計測情報データやポリゴンデータPDは、ステレオペア画像表示処理装置100の外部へ出力され、保存先として指定された記憶装置99(例えばハードディスク)の所定記憶領域にファイルとして保存される。
【0067】
ポリゴンデータPDのファイルは、PC90から例えば記憶媒体へ取り出され、CAD装置80に読み込ませる。CAD装置80のモニタ81に表示させた地図上にポリゴンデータPD(ファイル)に基づくポリゴンPGの重畳表示が可能である。つまり、ポリゴンデータPDに基づくポリゴンPGを、CAD装置80がモニタ81の地図画像と別レイヤで表示させることにより、ポリゴンPGの地図上への移写が可能となっている。
【0068】
図3に示す断面線演算部32は、プロファイラモードのときに起動される。断面線演算部32は、ステレオ画像上で描画した経路に沿って切断した地形断面線(地形表面線)を演算する。演算された断面線は表示処理部29により、図18に示す画面40の下部のプロファイラ表示領域55に表示される。このプロファイラ表示領域55には横軸調整倍率と縦軸調整倍率を入力設定可能な入力欄が設けられている。断面線演算部32は、入力設定された横軸調整倍率と縦軸調整倍率に従って、描画した経路を通る各点の画像座標を基に、インデックスデータIDを参照して、各点(画像座標)の標高Znを演算する。そして、前回の指定点の標高Zn-1と今回の指定点の標高Znとをそれぞれ始点と終点とするベクトルを順次生成する。そして、ベクトルで規定される線分(経路)の画像を順次描画させることにより、プロファイラ表示領域55に断面線56を表示(自動描画)する。
【0069】
図3に示す三次元再生部33は、出力ボタン53が操作された際に起動され、インデックスデータIDから簡易の数値標高データ(三次元地形座標データ)を再生する。このため、比較的膨大なデータ量の数値標高データD1をPC90に記憶させなくても、ステレオペア画像表示処理用に保存されている比較的データ量の小さなインデックスデータIDを用いて、簡易的に数値標高データの再生が可能である。この数値標高データは出力部31から出力される。
【0070】
印刷出力部34は、ステレオペア画像や計測情報などを印刷させる印刷実行操作時に起動される。印刷出力部34は、印刷すべきデータを不図示の印刷ドライバーを介して印刷装置70へ出力する。このため、計測線及び計測情報を重畳させた地形起伏図、写真地図及び地理情報の印刷や、ポリゴンを重畳させた地形起伏図、写真地図及び地理情報の印刷、さらには計測情報のみの印刷などが可能である。
【0071】
次にステレオペア画像表示処理装置100が各モードで行う処理を、図13、図14に示すフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートはプログラムPRの一部を構成している。図13、図14は、計測モード、ポリゴン描画モード、プロファイラモードの処理を説明するものである。CPU97はプログラムPRを構成するこのフローチャートを実行することにより各モードの処理を行う。
【0072】
まずステップS10では、左目用ステレオ画像データLD、右目用ステレオ画像データRD、三次元座標インデックスデータID及び撮影基準位置情報SPを取得する。
ステップS20では、節数Nの初期値(N=1)を設定する。ここで、節数Nとは、各モードにおいてマウス93の操作で描画した線の節の数(つまり線が通る点の数)を指す。ステップS30では、位置指定があったか否かを判断する。位置指定がなければステップS150に進んで、確定ボタン50による終了操作(確定操作)があったか否かを判断し、終了操作がなければステップS30に戻る。
【0073】
そして、例えば判読者がマウス93を操作して描画のためステレオ画像LG上で最初の位置(始点)を指定する。すると、ステップS30において位置指定ありと判断し、ステップS40に進む。
【0074】
ステップS40では、指定位置の左目用画像座標(jn,kn)を演算する。詳しくは、画像座標演算部23が指定位置の左目用画像座標(jn,kn)を演算する。このとき始点であるので、画像座標(j1,k1)が演算される。
【0075】
ステップS50では、インデックスデータIDを参照して、画像座標(jn,kn)に対応する三次元座標(Xn,Yn,Zn)を抽出する。
ステップS60では、撮影基準位置情報SPを用いて、三次元座標(Xn,Yn,Zn)に対応する右目用画像座標(pn,qn)を演算する。
【0076】
次のステップS70では、節数N≧2であるか否かを判断する。今回は、最初の始点を指定した場合であるので、節数N=1であり、否定判定となるので、ステップS80に進んで、節数Nをインクリメントする(N=N+1)。つまり、節数N≧2のときにはじめて二点間を結ぶ線の描画が可能になるので、その二点が揃うまでは描画処理(ステップS90〜S130)(図13の一点鎖線枠内の処理)へは進まない。
【0077】
そして、判読者が描画するためにマウス93の操作で次の点を位置指定すると、ステップS30において位置指定ありと判断し、この指定された位置の左目用画像座標(jn,kn)(例えば(j2,k2))を演算し(S40)、この画像座標(jn,kn)に対応する三次元座標(Xn,Yn,Zn)(例えば(X2,Y2,Z2))を抽出し(S50)、さらに三次元座標(Xn,Yn,Zn)に対応する右目用画像座標(pn,qn)(例えば(p2,q2))を演算する(S60)。こうして二点が揃うと、ステップS70において節数N≧2が成立したと判断し、描画処理(S90)へ移行する。
【0078】
描画処理では、まずステップS90において、左目用の画像座標(jn-1,kn-1)、(jn,kn)の二点間を結ぶベクトルを生成する。このベクトル生成処理は、詳しくは第1ベクトル生成部27Aが行う。
【0079】
次のステップS100では、左目用ステレオ画像と、ベクトルに基づく経路(線)との重畳処理を行う。詳しくは、第1重畳処理部28Aは、左目用のベクトルを基にそのベクトルで規定される計測線又はポリゴンの一線分を描画するための画像である経路データ(線図データ)を生成し、左目用ステレオ画像データLDと経路データとを重畳させる。
【0080】
また、ステップS110では、右目用ステレオ画像と、ベクトルに基づく経路(線)との重畳処理を行う。詳しくは、第2重畳処理部28Bは、右目用のベクトルを基にそのベクトルで規定される計測線又はポリゴンの一線分を描画するための画像である経路データ(線図データ)を生成し、右目用ステレオ画像データRDと経路データとを重畳させる。こうして判読者がマウス93で指定した二点間の経路が重畳された左目用ステレオ画像データLDと、その経路が重畳された右目用ステレオ画像データRDとが生成される。
【0081】
そして、ステップS130において、ステレオペア画像SGを表示する。すなわち、表示処理部29は、経路が重畳された左目用ステレオ画像データLDに基づく左目用ステレオ画像LGを第1表示領域41に表示させるとともに、その経路が重畳された右目用ステレオ画像データRDに基づく右目用ステレオ画像RGを第2表示領域42に表示させる。
【0082】
この結果、例えば計測モードであれば、図15の左目用ステレオ画像LG上にマウス操作(カーソル操作)に基づく計測線(直線)が描画されるとともに、右目用ステレオ画像RG上に左目用ステレオ画像LG上の計測線(直線)と対応する立体視可能な計測線が右目用ステレオ画像上に自動描画される。このため、判読者は、ステレオ画像LG,RGを立体視したときに計測線も立体視できる。なお、本実施形態では、ステップS40,S90,S100,S130の処理が、第1の描画処理段階に相当する。また、ステップS50,S60,S110,S120,S130の処理が、第2の描画処理段階に相当する。
【0083】
さらに次のステップS140では、モードに応じた処理を行う。この処理は、CPU97が図14に示すサブルーチンを実行することにより行われる。
まずステップS210では、モードを判定する。この例では、「計測モード」、「ポリゴン描画モード」、「プロファイラモード」のうちいずれのモードが指定されているかを判定する。
【0084】
例えば図15の画面40に示すように、計測のチェックボックス45が選択されている計測モードであれば、ステップS220に進む。
ステップS220では、三次元座標(X1,Y1,Z1)〜(Xn,Yn,Zn)を基に、累積距離L、高度差H、方位角α、傾斜角θ、面積Sを計算・出力する。ここで、二点間の計測線を描画する場合、終点(Xn,Yn,Zn)は(X2,Y2,Z2)となる。この場合、計測情報演算部26が、計測線の始点と終点の座標を基に、各データL,H,α,θを演算する。また、閉じた経路を描画した場合、計測情報演算部26(詳しくは面積演算部26E)は、その閉じた経路の節となる各点の座標を基に面積Sを演算する。これらの各データL,H,α,θ,S(計測情報)は、計測情報の文字列の描画処理(図14において一点鎖線枠内のステップS230〜S260の処理)を行うため、及び外部へのデータ出力のために出力される。
【0085】
ステップS230では、データL,H,α,θ,Sの文字列の左目用表示位置(画像座標)を演算する。
ステップS240では、経路が重畳された左目用ステレオ画像データLDと、データL,H,α,θの文字列とを重畳させる。この重畳処理では、左目用ステレオ画像データLDにおける左目用表示位置に、データL,H,α,θ,Sの文字列を重畳させる。この左目用ステレオ画像における重畳処理は、第1重畳処理部28Aが行う。
【0086】
また、ステップS250では、データL,H,α,θ,Sの文字列の右目用表示位置(画像座標)を演算する。
ステップS260では、経路が重畳された右目用ステレオ画像データRDと、データL,H,α,θ,Sの文字列とを重畳させる。すなわち、第2重畳処理部28Bが、データL,H,α,θの文字列を、右目用ステレオ画像データRDにおける右目用表示位置に重畳させる。
【0087】
ステップS270では、ステレオペア画像SGを表示する。すなわち、表示処理部29は、経路及び計測情報の文字列が重畳された左目用ステレオ画像データLDに基づく左目用ステレオ画像LGを第1表示領域41に表示させるとともに、経路及び計測情報の文字列が重畳された右目用ステレオ画像データRDに基づく右目用ステレオ画像RGを第2表示領域42に表示させる。
【0088】
この結果、例えば計測モードであれば、図15の左目用ステレオ画像LG上にマウス操作(カーソル操作)に基づく計測線(直線)とデータL,H,α,θの文字列が左目用ステレオ画像LG上に描画されるとともに、左目用ステレオ画像LG上の計測線及び文字列に対し立体視可能な計測線(直線)とデータL,H,α,θの文字列が右目用ステレオ画像上に自動描画される。また、閉じた経路(多角形)が描画された場合は、その閉じた経路で囲まれた領域(ポリゴン領域)の面積が面積演算部26Eにより計算され、その計算結果である面積Sの文字列が、両ステレオ画像LG,RGに重畳表示される。このため、判読者は、ステレオ画像LG,RGを立体視したときに計測線及び文字列も立体視できる。なお、このフローチャートでは、計測線と文字列を別々に重畳処理したが、一緒に重畳処理する構成も採用できる。
【0089】
また、例えば図16の画面40に示すように、ポリゴン描画のチェックボックス46が選択されているポリゴン描画モードであれば、ステップS210のモード判定の結果、ステップS280に進む。
【0090】
ステップS280では、三次元座標(Xn,Yn,Zn)のベクトル化を行う。この処理は、ベクトル化部30が行う。ベクトル化部30は、ステレオ画像上で描画中のポリゴンを構成する節(点)の三次元座標(Xn,Yn,Zn)を三次元座標抽出部24から取得し、その取得した三次元座標(Xn,Yn,Zn)をベクター形式のデータ(ポリゴンデータPD)に変換する。
【0091】
ステップS290では、ベクター形式の三次元座標データを出力する。
こうして、マウス93の操作でポリゴンの節を指定する度に、その節(指定位置)の三次元座標(Xn,Yn,Zn)のデータがベクトル化され(S280)、ベクター形式のデータが出力される(S290)。この結果、図17に示すようなポリゴンデータPDが生成され、保存先指定部47で指定した保存先にファイルとして保存される。このポリゴンデータPDは、CAD装置80に読み込ませることにより、図17に示すように、CAD装置80のモニタ81に表示させた地図画像MP上にポリゴンデータPDに基づくポリゴンPGを移写することができる。このため、ポリゴンPGを地図画像MP上に正確に移写できる。
【0092】
一方、例えば図18の画面40に示すように、プロファイラのチェックボックス54が選択されているプロファイラモードであれば、ステップS210のモード判定の結果、ステップS300に進む。
【0093】
ステップS300では、標高Zn-1,Znの二点間のベクトルを生成する。詳しくは、断面線演算部32が、指定位置の画像座標(jn-1,kn-1)、(jn,kn)を基に、インデックスデータIDを参照して、標高Zn-1,Znを演算する。そして、標高Zn-1,Znをそれぞれ始点・終点とするベクトルを生成する。このとき、判読者が入力指定した横軸調整倍率と縦軸調整倍率に従って、標高Zn-1,Zn及び横軸上のプロット間隔を適宜変倍することで、ベクトルを生成する。
【0094】
次のステップS310では、ベクトルに基づく断面線を表示する。詳しくは、表示処理部29は、ベクトルで規定される線分を、図18に示す画面40のプロファイラ表示領域55に表示させる。
【0095】
こうして、プロファイラモードでは、左目用と右目用の各ステレオ画像LG,RG上に経路が立体視可能な表示位置に描画される。そして、プロファイラ表示領域55には、ステレオ画像LG上で描画した経路における断面線56が自動描画される。
【0096】
以上詳述したようにこの実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)一方のステレオ画像(基準画像)上で指定された指定位置の画像座標から三次元座標を抽出し、抽出された三次元座標を他方のステレオ画像(相対画像)の画像座標系に座標変換して他方のステレオ画像上における立体視可能な対応する表示位置の画像座標を取得する。そして、一方のステレオ画像上にマウス93の操作で描画された線、文字、ポリゴン等の図形要素を、他方のステレオ画像における立体視画像な表示位置に自動描画する。これにより、ステレオペア画像SGを立体視しながら、一方のステレオ画像LGに描画した線、文字、ポリゴン等の図形要素を立体視することができるため、地形起伏図や写真地図等の背景画像を立体視したまま移写等を目的とする描画や計測などの作業を行うことができる。
【0097】
(2)ステレオペア画像SGを構成する一方のステレオ画像の画像座標系と同じ画像座標系を有し、座標値としてそれぞれX、Y、Zの各値を有する3種類の座標データED,ND,ZDからなるインデックスデータIDを用意した。よって、指定された点の画像座標からインデックスデータIDを参照することにより、その点の三次元座標を簡単に抽出することができる。そして、抽出された三次元座標を座標変換する比較的簡単な演算処理によって、他方のステレオ画像における立体視可能な表示位置座標を取得することができる。よって、描画や計測などの実行時は比較的演算が少なく、表示や操作に必要なデータへのアクセスも少なくできる。その結果、ロースペックのパソコンやネットワーク上での操作が可能となる。
【0098】
(3)ステレオペア画像SGで描画された図形要素(点、線分、多角形、文字等)を、もとの三次元座標系における図形要素として取得できる。例えば、図形要素の三次元座標データをポリゴンデータPDとして出力させ、CAD装置に表示させた地図画像上の対応位置に図形要素を表示させることができる。このため、ステレオペア画像SGを立体視しながら描画した図形要素を、CAD装置のモニタ上の地図に正確に移写することができる。
【0099】
(4)ステレオペア画像SG上でマウス操作により計測線やポリゴンを描画するだけで、その描画した計測線の始点と終点の間の累積距離L、高度差H、傾斜角θ、方位角α、面積S等の計測情報を算出できる。また、その計測情報を、立体視している地形起伏図などの背景画像に重畳させてステレオ表示することができる。
【0100】
(5)ステレオペア画像SGを作成する際の背景画像(色付き画像)として、例えば地形起伏図、写真地図、地理情報などの複数意し、同じ立体視空間で、表示すべき背景画像を切り替えることができる。よって、背景画像を立体視しながら、同じ場所の背景画像を、地形起伏図、写真地図、地理情報などの間で所望に応じて切り替えることにより、地滑りや活断層など移写すべき対象を一層正確に把握し易くなる。
【0101】
(6)ステレオペア画像SGで指定した経路(線分又はカーソル移動位置)における三次元座標を抽出し、その経路で切った断面線(断面形状)を表示することができる。よって、地形の断面情報を取得できるうえ、断面情報を参考にして計測箇所や移写の対象が正しいかどうかを確認できる。
【0102】
(7)三次元座標データ(数値標高データ)からステレオペア画像SGを作成するとともに、そのうちの一方のステレオ画像LGだけからもとの三次元座標を抽出する機能に適したインデックスデータID(三次元座標データ)を作成する。このため、数値標高データに比べデータ量の小さな三次元座標データで済む。
【0103】
(8)数値標高情報(三次元座標データ)を基に作成した立体視可能なステレオペア画像(右目用、左目用)及びインデックスデータIDを用いて、モニタ95にステレオ画像LG,RGを表示しながら、マウス93等のカーソル手段により、もとの三次元座標データと同じ座標空間における単点計測、ベクトル計測、面積測定、ポリゴン作成、断面計測を、高性能なシステムを必要とせず行うことができる。
【0104】
(9)地滑りや活断層などの地形判読において、航空レーザ測量成果により得られた数値地形データを立体視することで起伏を明瞭に可視化できる。従来の航空写真判読や航空レーザ測量による二次元的な出力図(等高線図、段彩陰影図等)に比べて質の高い判読を行うことができる。また、立体視をしながら測定(計測)や判読結果のデータ記録を行うことができ、同時に元の三次元座標空間における図形要素(例えばポリゴンデータPD)を取得することができる。このため、従来の写真判読で行われてきた判読結果の移写を不要にすることができる。さらに、拡大、縮小や画像の切り替えなども立体視したまま行うことができ、判読の精度向上や周辺状況との関連性についての情報を得ることができる。
【0105】
(10)インデックスデータIDから簡易な数値標高データ(三次元地形座標データ)を再生して出力することができる。このため、ステレオペア画像表示用のPC90に、膨大な数値標高データを記憶させなくても、必要になればインデックスデータIDから簡易ではあるものの数値標高データを取得することができる。
【0106】
前記実施形態は上記に限定されず、以下の態様に変更することもできる。
・描画内容は、点、線分(ベクトル)やポリゴンに限定されず、領域(例えば内部に色を施した領域)や、地図記号等の記号でもよい。
【0107】
・ステレオペア画像に用いる背景画像は、地形起伏図、写真地図、地理情報などの地形に関する画像(地理画像)に限定されない。顕微鏡画像(微視空間画像)や天体望遠鏡画像(天体地図)などでもよい。また、写真などの場合、建物等の地物を含んでもよい。
【0108】
・計測情報は、指定点の標高Z、描画線(計測線)の累積距離(二点間距離又は経路長)、高度差H(高低差)、傾斜角θ、方位角α及び面積Sのうちの少なくとも一つを採用できる。例えば距離、経路長、高度差、傾斜角、方位及び面積のうち1つのみを表示させる構成でもよい。この場合、計測情報の表示は、必ずしも立体視可能である必要はない。
【0109】
・画像切替え部22によるステレオペア画像SGの切替え機能を無くした構成も実施できる。例えば一種類のステレオペア画像のみを表示する構成でもよい。
・三次元座標データは、DEMに限らず、TIN(triangulated irregular network,不整三角形網)でもよい。さらには、オルソ画像、DTM(Digital Terrain Model:数値地形モデル)、DSM(Digital Surface Model:数値表層モデル)でもよい。
【0110】
・画面40におけるフォームの配置や操作の流れは適宜変更できる。
【符号の説明】
【0111】
10…ステレオペア画像作成装置、11…第1作成部、12…第2作成部、13…中心投影変換部、14…画像座標変換部、15…ラスターデータ変換部、20…格納手段の一例であるバッファー、21…画像表示手段を構成する主制御部、22…切替手段の一例である画像切替え部、23…第1の描画処理手段を構成する画像座標演算部、24…第2の描画処理手段を構成する三次元座標抽出部、25…第2の描画処理手段を構成するステレオ用画像座標演算部、26…計測情報取得手段の一例である計測情報演算部、27…ベクトル生成部、28…第1表示処理手段の一例を構成する重畳処理部、28A…第1の描画処理手段を構成する第1重畳処理部、28B…第2重畳処理部、29…画像表示手段、第1表示処理手段の一例を構成する表示処理部、30…ベクトル化部、31…出力手段の一例である出力部、32…第2表示処理手段の一例である断面線演算部、33…再生手段の一例である三次元再生部、34…印刷出力部、40…画面、41…第1表示領域、42…第2表示領域、48…画像変更ボタン、49…移動ボタン、50…確定ボタン、53…出力ボタン、55…プロファイラ表示領域、56…断面線、80…CAD装置、81…モニタ、90…パーソナルコンピュータ、91…本体、92…操作手段の一例を構成するキーボード、93…操作手段の一例を構成するマウス、94…操作手段の一例を構成する操作部、95…表示手段の一例であるモニタ、96…コンピュータ、97…CPU、98…RAM、99…記憶装置、100…立体視画像表示処理装置の一例であるステレオペア画像表示処理装置、PR…プログラム、SD…ステレオペア画像データ、SD1…図の一例である地形起伏図のステレオペア画像データ、SD2…写真の一例である写真地図のステレオペア画像データ、SD3…図の一例である地理情報のステレオペア画像データ、LD…基準画像データの一例である左目用ステレオ画像データ、RD…相対画像データの一例である右目用ステレオ画像データ、SG,SG1,SG2…ステレオペア画像、LG…第1画像の一例である左目用ステレオ画像、RG…第2画像の一例である右目用ステレオ画像、ID…三次元座標インデックスデータ、L…累積距離、H…高度差、α…方位角、θ…傾斜角、S…面積、PD…ポリゴンデータ、MP…地図画像、PG…ポリゴン、Z…標高値。
【技術分野】
【0001】
本発明は、図又は写真の二次元画像を、平行法や交差法などにより裸眼で立体視が可能なステレオペア画像を表示する立体視画像表示処理装置、立体視画像表示処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ステレオペアをなす2枚の航空写真を並べて、平行法又は交差法などにより裸眼で航空写真を立体視(実体視)し、地滑りや活断層等を判読することが行われている。しかしながら、森林部においては植生下の地形を見ることができないため判読が困難である。例えば、規模の小さな地滑りでは、森林植生の下にあり、その変動量も小さいことから、現地における確認の有無や判読者の経験により精度が大きく異なる。また、航空写真に記載した判読結果を地図に書き写す作業(移写)においては、書き写しの際に位置を誤ったり、形状が変わったりする問題があった。また、写真の影の部分の判読が困難という問題もあった。
【0003】
一方、航空レーザ測量は植生下の地形精度が良く、微地形の判読に有効な地形画像データを提供する。例えば地形の起伏などを紙面上に表現できるように、等高線や、標高に応じた段彩、凹凸に応じた陰影などの加工を施すことにより、等高線図、カラー段彩画像、陰影画像、傾斜勾配画像、赤色立体画像などの立体化させた地形画像(地形起伏図)も知られている(例えば特許文献1〜4等)。判読者に提供される地形画像データは正斜投影であり、判読結果は画像をトレースすることで地図へ直接移写することができる。
【0004】
しかし、加工されたデータは平面的なもの(2.5次元ともいえる)であり、起伏や傾斜などの高さ情報については、等高線や断面図より断片的に引用する必要があり、判読においては空間的な起伏把握能力が必要であり熟練を要していた。
【0005】
例えば特許文献5には、ステレオ写真方式で必要な一対の段彩地図(ステレオペア画像)を表示し、判読者が平行法又は交差法による裸眼で画面上の段彩地図を立体視できる立体視地図表示装置が開示されている。詳しくは、第1の地図情報と、第1の地図情報を地物標高に応じて偏移させ、第1の地図情報との間で視差が生じるようにした第2の地図情報とを表示させる。画面に表示された表示窓中の第1の地図情報において指定手段でクリックした部分に対応する第2の地図情報の一部が、その表示窓の隣に出現した表示窓に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/042675号パンフレット
【特許文献2】特開2006−72857号公報
【特許文献3】特開2007−48185号公報
【特許文献4】特開2008−242298号公報
【特許文献5】特開2004−333993号公報(例えば明細書段落[0014]−[0018][0027][0033]等、図12、図15等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献5の立体視地図表示装置では、画面上で地図や地形図を立体視して地滑りや活断層などの判読結果を得ることができるものの、その判読結果は平面(2次元)の地図上に移写する必要は依然としてある。このため、判読結果の位置又は形状を間違って移写してしまう虞がある。もちろん、画面に表示されたステレオペア画像(地図)上に線などを描画できる描画機能を加えても、マウスなどを用いてカーソルを移動させて描画するので、ステレオペア画像のうち一方の画像(地図)にしか判読結果の線などを描画させることができない。この場合、平行法や交差法により裸眼で地図を立体視しながらその地図上に描画した線などは立体視できないという問題があった。そのため、地図を立体視しながら描画した場合、その描画した線が見えにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題に着目してなされたものであって、その目的の一つは、表示手段に二次元画像のステレオペア画像が表示されることにより二次元画像の立体視が可能であるうえ、操作手段を用いてステレオペア画像に立体視可能に描画することができる立体視画像表示処理装置、立体視画像表示処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、図又は写真の二次元画像を立体視可能なステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理装置であって、表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示手段と、前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理手段と、前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理手段と、を備えたことを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、表示手段に二次元画像のステレオペア画像が表示されることにより二次元画像の立体視が可能であるうえ、操作手段を用いてステレオペア画像に立体視可能に描画することができる。
【0011】
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記基準画像に前記描画内容として描画された描画線で規定される計測情報を取得する計測情報取得手段と、前記計測情報を前記第1画像と前記第2画像における立体視可能な各表示位置にそれぞれ表示させる第1表示処理手段とを更に備えていることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、操作手段で描画した描画線で規定される計測情報を、ステレオペア画像(第1画像と第2画像)に立体視可能に表示させることができる。
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記操作手段により前記描画線の節として指定された点の座標に対応する標高値を取得し、前記標高値に基づき前記描画線で切断した断面形状を表示させる第2表示処理手段を更に備えていることが好ましい。この発明によれば、操作手段で描画線を描画すれば、その描画線で切断した断面形状を表示させることができる。
【0013】
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記描画線の三次元座標データを出力する出力手段を更に備えていることが好ましい。この発明によれば、操作手段で描画した描画線の三次元座標データを取得できる。
【0014】
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記表示手段に前記ステレオペア画像として表示される二次元画像の種類を切り替える切替手段を更に備えたことが好ましい。
この発明によれば、表示手段にステレオペア画像として表示される二次元画像の種類を切り替えることができる。例えば、二次元画像の種類を切り替え、複数種の二次元画像を立体視することにより、適切な判読結果が取得し易くなる。
【0015】
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記基準画像を表示するための基準画像データと、前記基準画像データの画像座標と対応する三次元座標が規定された三次元座標データとを格納する格納手段を更に備え、前記第2の表示処理手段は、前記操作手段により前記基準画像において指定された点の画像座標に対応する三次元座標を、前記三次元座標データを参照して取得し、当該三次元座標に対応する前記相対画像における画像座標を求め、前記相対画像における当該画像座標に描画することが好ましい。
【0016】
この発明によれば、基準画像で指定された画像座標と対応する相対画像における画像座標を、三次元座標データを介して求めれば、その相対画像の画像座標を立体視可能な関係にある画像座標として比較的簡単に求めることができる。
【0017】
本発明の立体視画像表示処理装置では、前記三次元座標データは前記基準画像の表示エリア毎に分けて格納されており、前記三次元座標データを用いて前記基準画像の画像解像度に等しい解像度の三次元地形座標データを再生する再生手段を更に備えたことが好ましい。この発明によれば、三次元座標データを用いて、簡易的に三次元地形座標データを再生できる。
【0018】
本発明は、図又は写真の二次元画像を立体視可能なステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理方法であって、表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示段階と、前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理段階と、前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理段階と、を備えたことを要旨とする。この発明によれば、上記立体視画像表示処理装置に係る発明と同様の効果を得ることができる。
【0019】
本発明は、図又は写真の二次元画像を立体視可能なステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータに、表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示段階と、前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理段階と、前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理段階と、を実行させるためのプログラムである。この発明によれば、上記立体視画像表示処理装置に係る発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表示手段に二次元画像のステレオペア画像が表示されることにより二次元画像の立体視が可能であるうえ、操作手段を用いてステレオペア画像に立体視可能に描画することができる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ステレオペア画像表示処理装置を備えたパーソナルコンピュータの模式図。
【図2】航空レーザ測量の方法を説明する模式図。
【図3】ステレオペア画像作成装置とステレオペア画像表示処理装置との各機能構成を示すブロック図。
【図4】ステレオペア画像作成装置の具体的な機能構成を示すブロック図。
【図5】中心投影を説明する模式斜視図。
【図6】(a)〜(c)3種類のステレオペア画像データと三次元座標インデックスデータとを示す模式図。
【図7】地形起伏図のステレオペア画像が表示された画面図。
【図8】写真地図のステレオペア画像が表示された画面図。
【図9】画像座標演算部及び三次元座標抽出部の処理内容を説明するブロック図。
【図10】立体視自動描画機能を実現するための処理を説明するブロック図。
【図11】標高がステレオペア画像上に表示された画面図。
【図12】計測線やポリゴンの立体視自動描画機能を説明するブロック図。
【図13】立体視自動描画処理を示すフローチャート。
【図14】モードに応じた処理を示すフローチャート。
【図15】計測線と計測情報がステレオペア画像に重畳表示された画面図。
【図16】ポリゴンがステレオペア画像に重畳表示された画面図。
【図17】ポリゴンデータに基づくポリゴンが、CAD装置の地図画像に重畳表示された画面図。
【図18】プロファイラモードで断面線が描画された画面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図18に基づいて説明する。
図1は、立体視画像表示処理装置の一例としてのステレオペア画像表示処理装置を備えたパーソナルコンピュータを示す。図1に示すように、パーソナルコンピュータ(以下、「PC90」という)は、本体91と、キーボード92及びマウス93よりなる操作部94と、表示手段の一例としてのモニタ95(表示装置)とを備えている。PC90の本体91には、図1に示すステレオペア画像表示処理装置100が内蔵されている。ステレオペア画像表示処理装置100は、モニタ95に交差法又は平行法による立体視(実体視)が可能な左右一対の画像(ステレオ画像)からなるステレオペア画像SG(図7,図8参照)を表示する。本体91内のマイクロコンピュータ(以下、単に「コンピュータ96」という)は、CPU97(中央処理装置)、RAM98及び記憶装置99を備えている。記憶装置99には、ステレオペア画像表示処理用のプログラムPRが記憶されている。本実施形態では、CPU97がこのプログラムPRを実行することにより、本体91内にステレオペア画像表示処理装置100が構築される。なお、プログラムPRは、CD−ROMやDVD等の記憶媒体からの読み込み、あるいはインターネット経由によるサーバ(図示せず)からのダウンロードにより、PC90にインストールされている。
【0023】
図3は、ステレオペア画像作成装置とステレオペア画像表示処理装置との各機能構成を示すブロック図である。ステレオペア画像作成装置10は、PC90以外の他のPC内に設けられる。ステレオペア画像作成装置10は、ステレオペア画像表示処理装置100で使用されるステレオペア画像データSD及び三次元座標インデックスデータID(以下、単に「インデックスデータID」ともいう)を作成するためのものである。
【0024】
図3に示すステレオペア画像作成装置10は、一例として、数値標高データD1(例えばDEM(Digital Elevation Model)等)、写真地図データD2及び地理情報データD3等を基に、ステレオペア画像データSD及びインデックスデータIDを生成する。本実施形態のステレオペア画像作成装置10は、ステレオペア画像データSDとして、地形起伏図のステレオペア画像データSD1、写真地図のステレオペア画像データSD2及び地理情報のステレオペア画像データSD3の3種類を生成する。これら各データSD1,SD2,SD3を含むステレオペア画像データSD及びインデックスデータIDは、ステレオペア画像表示処理装置100に入力され、ステレオペア画像表示処理装置100内のバッファー20に格納(記憶)されている。そして、ステレオペア画像表示処理装置100は、図の一例である地形起伏図及び地理情報、写真の一例である写真地図などの二次元画像のステレオペア画像を表示する機能を有する。
【0025】
ここで、ステレオペア画像作成装置10に入力されるデータD1〜D3等について説明する。数値標高データD1は、例えば図2に示すような航空レーザ測量を利用して取得される。図2に示すように、レーザ測量器201を搭載した航空機202により測量対象エリアの上空を飛行しながらレーザを地上へ発信するレーザスキャンを行い、その反射パルスを計測して航空レーザ測量データを取得する。航空機202はGPS衛星203から受信するGPS信号に基づく現在の測量位置の緯度・経度と、そのときの反射レーザの計測値に基づく標高Zとを取得し、緯度・経度に標高が対応付けられた三次元の航空レーザ測量データを取得する。この航空レーザ測量データから必要に応じて建物や樹木、車両等の地形形状を表さない地物を分離処理し、さらにモデリングして発生させたTIN(三角形網:Triangle Irregular Network)等から、所定距離(例えば0.1m〜50mの範囲内の所定値)メッシュの交点の標高Zを読み取って、数値標高データD1は生成される。もちろん、数値標高データD1は、空中写真測量、衛星画像による測量、レーダによる測量等から取得することもできる。
【0026】
このレーザ測量の際、航空機202はレーザスキャンを行いながらカメラ204により一定間隔(距離)毎に測量対象エリアのカラー写真を撮影する。このカラー写真データが写真地図データD2となる。このため、数値標高データD1と写真地図データD2はそれぞれエリアが対応関係にある。また、地理情報データD3は、地滑りや活断層などの地理情報がカラー表現された画像データである。
【0027】
図4は、ステレオペア画像作成装置の具体的な機能構成を示す。図4に示すように、ステレオペア画像作成装置10は、第1作成部11、第2作成部12、中心投影変換部13、画像座標変換部14及びラスターデータ変換部15を備えている。
【0028】
第1作成部11は、数値標高データD1を基に、標高に応じて地形の起伏状態が段彩表現(カラー表現)された地形起伏図の数値標高データD4を作成する。詳しくは、第1作成部11は、数値標高データD1に、標高Zに応じた色相を付与する段彩処理を施すと共に、凹凸度に応じた陰影(例えばグレイスケール)を施すことにより、数値標高座標(X,Y,Z)と色座標(R,G,B)とを含む地形起伏図の数値標高データD4を作成する。
【0029】
第2作成部12は、数値標高データD1に、写真地図データD2から取得した色情報(RGB)を付与し、数値標高座標(X,Y,Z)と色座標(R,G,B)とを含むカラー写真地図の数値標高データD5を作成する。また、第2作成部12は、数値標高データD1に、地理情報データD3から取得した色情報(RGB)を付与し、数値標高座標(X,Y,Z)と色座標(R,G,B)とを含むカラー地理情報の数値標高データD6を作成する。すなわち、第2作成部12は、色情報を有しない三次元座標(X,Y,Z)で表現される数値標高データD1の各格子点に、カラー画像データD2,D3から抽出した各格子点の色情報(RGB値)を付加して、カラー写真地図やカラー地理情報の色付き数値標高データD5,D6を作成する。このように数値標高データD4,D5,D6は、6次元座標(X,Y,Z,R,G,B)の画像データである。
【0030】
中心投影変換部13、画像座標変換部14及びラスターデータ変換部15は、RGB情報を有する6次元の数値標高データD4,D5,D6を基に、それぞれのステレオペア画像データSD1,SD2,SD3を生成する。すなわち、数値標高データD1から地形起伏図のステレオペア画像データSD1を生成し、写真地図データD2から写真地図のステレオペア画像データSD2を生成し、地理情報データD3から地理情報のステレオペア画像データSD3を生成する。ステレオペア画像データSD1,SD2,SD3は、それぞれ左目用ステレオ画像データLDと右目用ステレオ画像データRDの一対からなる。一対のステレオ画像データLD,RDは、所定割合(例えば50〜100%の範囲内の所定値)で重複(ラップ)する2つのエリアの画像が、表示対象エリア全域に亘って用意されている。2つのエリアの画像は、一方が左目の視線方向の角度から見た画像、他方が右目の視線方向の角度から見た画像となっている。
【0031】
まず中心投影変換部13は、撮影基準位置を中心に左目用の対象エリアを中心投影し、その対象エリアを左目で見た画像に変換する。同様に、中心投影変換部13は、撮影基準位置を中心に右目用の対象エリアを中心投影し、その対象エリアを右目で見た画像に変換する。
【0032】
図5は中心投影を説明する模式斜視図である。航空機202は、異なる二つの撮影位置でカメラ204(図2参照)により直下の地形を撮影する。このときの撮影位置が撮影基準位置SP1,SP2となる。
【0033】
数値標高データD4,D5,D6において図5に示す2つエリアA1,A2を一部重複(ラップ)するように選択する。図5に示すように、エリアA1は四角形ABCDの矩形エリアであり、エリアA2はエリアA1に一部重複(ラップ)する四角形EFGHの矩形エリアである。撮影基準位置SP1を中心にエリアA1を右目視方向へ中心投影する演算を行って、右目用ステレオ画像データRD(図5における四角形abcd)を生成する。また、撮影基準位置SP2を中心にエリアA2を左目視方向へ中心投影する演算を行って、左目用ステレオ画像データLD(図5における四角形efgh)を生成する。これら右目用ステレオ画像RGと左目用ステレオ画像LGの重複範囲(範囲e’f’cdと範囲efc’d’)が、平行法(又は交差法)で立体視可能な範囲となる。
【0034】
図4に示す中心投影変換部13は、数値標高データD4,D5,D6から選択された図5に示す2つのエリアA1,A2をそれぞれ右目用と左目用に中心投影する公知の演算を行って、右目用ステレオ画像データRDと左目用ステレオ画像データLDとを含む3種類のステレオペア画像データD7,D8,D9を生成する。このステレオペア画像データD7,D8,D9は、色座標(R,G,B)と数値標高座標(X,Y,Z)とを含む6次元データからなる。
【0035】
画像座標変換部14は、ステレオペア画像データD7,D8,D9を、数値標高座標(X,Y,Z)で示される三次元座標系からモニタ表示用の画像座標系へ座標変換し、RGB画像データからなるステレオペア画像データD10,D11,D12を生成する。また、画像座標変換部14は、ステレオペア画像データD10,D11,D12の画像座標と対応する東西座標X(例えば経度)、南北座標Y(例えば緯度)及び標高値Zをそれぞれ生成する。
【0036】
ラスターデータ変換部15は、ステレオペア画像データD10,D11,D12、東西座標、南北座標、標高値を、ラスターデータに変換する。こうして地形起伏図と写真地図と地理情報の各ステレオペア画像データSD1,SD2,SD3が生成される。また、ラスターデータ変換部15は、ラスター変換後の東西座標データED、南北座標データND、標高データZDを含む三次元座標インデックスデータIDを生成する。
【0037】
図6は、3種類のステレオペア画像データと三次元座標インデックスデータとを示す。図6(a)は、地形起伏図のステレオペア画像データSD1と、これに対応する三次元座標インデックスデータID1である。地形起伏図のステレオペア画像データSD1は、左目用ステレオ画像データLDと右目用ステレオ画像データRDとの一対からなる。三次元座標インデックスデータID1は、一対のステレオ画像のうち基準画像となる左目用ステレオ画像データLDの画像座標と座標が対応付けられた東西座標データED、南北座標データND、標高データZDを含む。このため、ステレオ画像データLD中の座標が指定されると、東西座標データED中のその指定座標と対応する座標の値から経度Xを取得でき、南北座標データND中のその指定座標と対応する座標の値から緯度Yを取得でき、さらに標高データZD中のその指定座標と対応する座標の値から標高Zを取得できる。
【0038】
また、図6(b)は、写真地図のステレオペア画像データSD2と、これに対応する三次元座標インデックスデータID2であり、図6(c)は、地理情報のステレオペア画像データSD3と、これに対応する三次元座標インデックスデータID3である。写真地図及び地理情報の各ステレオペア画像データSD2,SD3は、それぞれ左目用ステレオ画像データLDと右目用ステレオ画像データRDとの一対からなる。また、三次元座標インデックスデータID2,ID3は、それぞれの左目用ステレオ画像データLDの画像座標と座標が対応付けられた東西座標データED、南北座標データND、標高データZDを含む。このため、ステレオ画像データLD中の画像座標が指定されると、インデックスデータID2,ID3を参照することで、その指定座標に対応する経度X・緯度Y・標高Zを取得できるようになっている。もちろん、右目用ステレオ画像を基準画像とし、これと各データED,ND,ZDの座標とを対応付けてもよい。さらに左目用と右目用の各ステレオ画像データにそれぞれ対応する一対のインデックスデータIDを設け、どちらのステレオ画像上で位置を指定しても、その指定点に対応する三次元座標(X,Y,Z)を取得できるようにしてもよい。また、ステレオペア画像データSD1,SD2,SD3に共通の1つのインデックスデータIDのみとし、小さなデータ量としてもよい。
【0039】
次に、ステレオペア画像表示処理装置100についてその詳細を説明する。図3に示すように、ステレオペア画像表示処理装置100は、主制御部21、画像切替え部22、画像座標演算部23、三次元座標抽出部24、ステレオ用画像座標演算部25、計測情報演算部26、ベクトル生成部27、重畳処理部28、表示処理部29、ベクトル化部30、出力部31、断面線演算部32、三次元再生部33及び印刷出力部34を備えている。
【0040】
ステレオペア画像表示処理装置100は、バッファー20(メモリー)に記憶された画面表示用画像データGD(図示省略)とステレオペア画像データSDとを基に、図7に示すステレオペア画像表示用の画面40をモニタ95に表示する(ステレオペア画像表示機能)。詳しくは、主制御部21がデータGD,SDを基に生成した画面用の画像データを表示処理部29へ送り、表示処理部29にこの画像データに基づく画面40を表示させる。
【0041】
ここで、画面40の詳細を説明する。図7に示すように、画面40の中央やや左寄りの位置には、左目用ステレオ画像データLDに基づく左目用ステレオ画像LGが表示される第1表示領域41と、右目用ステレオ画像データRDに基づく右目用ステレオ画像RGが表示される第2表示領域42とが左右に並んで配置されている。画面40において各表示領域41,42の下側位置には、カーソル位置に相当する点の画像座標(x、y)と測地座標(X,Y,Z)とが表示される。なお、本実施形態では、一例として、左目用ステレオ画像LGが第1画像(基準位置)に相当し、右目用ステレオ画像RGが第2画像(相対画像)に相当する。なお、本実施形態では、主制御部21が、画面40を表示させることにより、ステレオペア画像SGを構成する左目用ステレオ画像LGと右目用ステレオ画像RGとを並べて表示させる処理が、画像表示段階に相当する。
【0042】
画面40の上部に設けられたチェックボックス43〜46の選択によって、「連動ロック」、「地形スナップ」、「計測」、「ポリゴン描画」の各モードが選択される。また、画面40中には、描画データや計測データなどのデータの保存先を指定する保存先指定部47、ステレオペア画像SGの種類を変更する(切り替える)ための画像変更ボタン48、表示領域41,42内のステレオ画像LG,RGを上下左右に移動させるための移動ボタン49が設けられている。移動ボタン49は、本例では、上ボタン49A、下ボタン49B、前ボタン49C(左ボタン)及び次ボタン49D(右ボタン)が備えられ、ステレオ画像LG,RGを上下左右4方向へ移動させることが可能となっている。また、画面40中には確定や終了の指示を行うための確定ボタン50(終了ボタン)、ステレオ画像LG,RGを拡大させるための拡大ボタン51、ステレオ画像LG,RGを縮小させるための縮小ボタン52が設けられている。さらに画面40には、インデックスデータIDから簡易の数値標高データ(三次元地形座標データ)を再生して出力させる「簡易3Dデータ」出力ボタン(以下、単に「出力ボタン53」と称す)が設けられている。また、画面40の下部には、プロファイラモードを選択するためのチェックボックス54が設けられている。
【0043】
ここで、各種のモードについて説明する。「連動ロック」モードとは、左右のステレオ画像LG,RGを連動させるモードである。「地形スナップ」モードとは、カーソル近くの地形特徴点(山頂や谷底など)にカーソルを自動で移動させるモードである。「計測」モードとは、カーソルを移動させて地形起伏図や写真地図などのステレオ画像上に描画した線分の両端二点間の累積距離L、高度差H、方位角α、傾斜角θ(傾斜度)、さらに描画した領域の面積Sなどを含む計測値(計測情報)を表示させるモードである(図15参照)。「ポリゴン描画」モードとは、複数点を指定して経路線や多角形などを含むポリゴンをステレオ画像上に描画させるモードである。このモードでポリゴンを描画すれば、そのポリゴンデータのファイルの出力が可能である。また、「プロファイラ」モードとは、ステレオ画像上で描画した線に沿って切断した断面図(地形の断面線56)を、別表示領域(プロファイラ表示領域55)に表示させるモードである(図18参照)。
【0044】
本実施形態では、左目用ステレオ画像LGが基準画像であり、「計測」・「ポリゴン描画」などの描画が可能なモードにおいて、マウス93を操作して基準画像上で移動させたカーソルの移動軌跡に沿った線やポリゴンなどの図形要素を描画することが可能になっている。そして、一方のステレオ画像(例えば左目用ステレオ画像LG)上に図形要素を描画すると、他方のステレオ画像(例えば右目用ステレオ画像RG)上にそれと同じ図形要素が立体視可能な表示位置に自動描画されるようになっている(立体視自動描画機能)(図15、図16、図18参照)。なお、左目用ステレオ画像LGにはマウス93で指定したカーソル位置に十字マークが表示され、これと同様の十字マークが、右目用ステレオ画像RGにおける立体視可能な位置に表示されるようになっている(図11等参照)。
【0045】
また、計測モードにおいて、ステレオ画像上のカーソル位置や、描画した線分(計測線)の近傍位置に計測情報が表示されるようになっている(計測表示機能)。この計測情報の文字列は、両ステレオ画像LG,RGに立体視可能な表示位置に表示される。さらに、ポリゴン描画モードで描画したポリゴン(点や線も含む)の三次元座標情報を出力するデータ出力機能(三次元データ出力機能)も設けられている。また、インデックスデータIDから簡易な数値標高データ(三次元地形座標データ)を再生して出力する三次元データ再生機能も設けられている。
【0046】
上記のステレオペア画像表示機能、立体視自動描画機能、計測表示機能、データ出力機能は、図3に示すステレオペア画像表示処理装置100内の各部により実現される。以下、ステレオペア画像表示処理装置100内の各部について詳細に説明する。
【0047】
主制御部21は、各部22〜33を統括制御する。主制御部21は、チェックボックス43〜46,54のチェック内容に応じてモードを切り換え、そのときのモードに応じた指示を各部22〜33に与える。
【0048】
画像切替え部22は、画面40に表示されるステレオペア画像SGを切替える処理を行う。本例では、画像切替え部22は、地形起伏図、写真地図、地理情報の少なくとも3種類のうち1種類のステレオペア画像SGが表示された状態で、画像変更ボタン48が操作されると、両表示領域41,42のステレオペア画像SG(ステレオ画像LG,RG)を他の種類のものに切替える。例えば図7の画面40で、画像変更ボタン48が操作されると、画像切替え部22は、バッファー20から次のステレオペア画像データSD2を読み出し、各表示領域41,42に表示されていた地形起伏図のステレオペア画像SG1(ステレオ画像LG,RG)を、図8に示す写真地図のステレオペア画像SG2(ステレオ画像LG,RG)に切り替える。画像切替え部22は、画像変更ボタン48の操作信号を入力する度に、例えば地形起伏図→写真地図→地理情報→…の順番に、表示させるべきステレオペア画像SGを切り替える。
【0049】
画像座標演算部23は、操作部94(例えばマウス93)により指定されたステレオ画像LG上の指定位置(カーソル位置)の画像座標(j,k)を演算する。
三次元座標抽出部24は、画像座標(j,k)から三次元座標(X,Y,Z)を抽出する。この抽出は、三次元座標インデックスデータIDを参照して行われる。
【0050】
図9は、画像座標演算部23及び三次元座標抽出部24の処理内容を説明するブロック図である。図9に示すように、画像座標演算部23は、ステレオ画像データLDにおける操作部94による指定位置に対応する画像座標(j,k)を演算する。この画像座標(j,k)のデータは三次元座標抽出部24に送られる。
【0051】
三次元座標抽出部24は、インデックスデータIDを構成する各データED,ND,ZDにおいて画像座標(j,k)と対応する値X,Y,Zを取得する。具体的には、三次元座標抽出部24は、データEDにおける画像座標(j,k)と対応する経度X(=E(j,k))、データNDにおける画像座標(j,k)と対応する緯度Y(=N(j,k))、標高データZDにおける画像座標(j,k)と対応する標高Z(=El(j,k))を取得する。そして、三次元座標抽出部24は、三次元座標情報(X,Y,Z)を出力する。
【0052】
図3に示すように、三次元座標抽出部24から出力された三次元座標情報(X,Y,Z)は、ステレオ用画像座標演算部25へ送られる。また、計測モードのときには、三次元座標情報(X,Y,Z)は計測情報演算部26にも送られる。
【0053】
図3に示すステレオ用画像座標演算部25は、ステレオ画像LG上の指定位置(カーソル位置)の画像座標(j,k)に対して、立体視可能な位置関係にあるステレオ画像RG上の表示位置の画像座標(p,q)を演算する。
【0054】
図10は、ステレオ画像LG上にマウス93の操作で描画した内容を、立体視可能に表示させる立体視自動描画機能(処理)を説明するブロック図である。図10を参照して、ステレオ用画像座標演算部25の処理を説明する。ステレオ用画像座標演算部25は、画像座標演算部23により演算された画像座標(j,k)を基に三次元座標抽出部24がインデックスデータIDを参照して取得した三次元座標情報(X,Y,Z)を三次元座標抽出部24から受け取ると、その三次元座標(X,Y,Z)に対応する右目用ステレオ画像RG上の点の画像座標(p,q)を演算する。よって、三次元座標(X,Y,Z)の左目用ステレオ画像LG上の画像座標(j,k)と、この三次元座標(X,Y,Z)の右目用ステレオ画像RG上の画像座標(p,q)とが決まる。この画像座標(p,q)は、左目用ステレオ画像LG上の指定位置(カーソル位置)の画像座標(j,k)に対して立体視が可能な右目用ステレオ画像RG上の表示位置を示す。画像座標(p,q)は、対象エリアの撮影基準位置情報SPを用いて、三次元座標(X,Y,Z)を三次元座標系から右目画像座標系へ座標変換すれば求まるので、比較的簡単な演算で立体視可能な表示位置(画像座標)を取得できる。
【0055】
例えば図11の画面40に示すような地形スナップモードでは、マウス93により左目用ステレオ画像LG上で指定した位置(カーソル位置)の標高Zが、ステレオ画像LG,RG上に立体視可能な文字列(計測情報)として自動表示される。図10に示す重畳処理部28は、少なくとも標高値Zを三次元座標抽出部24から入力し、その標高値Zの文字列画像データを生成する。重畳処理部28は、左目用ステレオ画像データLDに文字列画像データを重畳させる第1重畳処理部28Aと、右目用ステレオ画像データRDに文字列画像データを重畳させる第2重畳処理部28Bとを備える。第1重畳処理部28Aは、指定位置の画像座標(j,k)に対して近傍所定位置を文字列画像の表示座標として演算し、左目用ステレオ画像データLD上のその表示座標に相当する位置に文字列画像データを重畳させる。一方、第2重畳処理部28Bは、指定位置の画像座標(p,q)に対して近傍所定位置を文字列画像の表示座標として演算し、右目用ステレオ画像データRD上のその表示座標に相当する位置に文字列画像データを重畳させる。そして、文字列画像が重畳されたステレオ画像データLD,RDに基づく各ステレオ画像が、表示処理部29により画面40の各表示領域41,42に表示されることで、図11の画面40に示すように、各ステレオ画像LG,RGにはカーソル位置の近傍位置に標高値Zの文字列が立体視可能に表示される。
【0056】
図3に示す計測情報演算部26は、計測モード又はポリゴン描画モードにおいて、マウス93の操作でステレオ画像上に描画した経路の両端二点間について、その間の距離(累積距離L)、高度差H、傾斜角θ、方位角αを演算するとともに、閉じた経路を描画した場合にはその経路で囲まれた領域(ポリゴン領域)の面積Sを演算する。このために計測情報演算部26は、累積距離Lを演算する距離演算部26A、高度差Hを演算する高度差演算部26B、傾斜角θを演算する傾斜角演算部26C、方位角αを演算する方位角演算部26D及び面積Sを演算する面積演算部26Eを備えている。
【0057】
ベクトル生成部27と重畳処理部28は、計測モード又はポリゴン描画モードにおいて、ステレオ画像上に計測線やポリゴンを描画するための画像生成処理を行う。図12は、描画した計測線やポリゴンをステレオペア画像SG上に立体視可能に表示させる立体視自動描画機能(処理)を説明するブロック図である。計測モードでは、マウス93の操作でステレオ画像LG上に始点と終点の二点を指定して計測線(図15参照)を描画する。また、ポリゴン描画モードでは、マウス93の操作で複数点を指定してポリゴン(図16参照)を描画する。
【0058】
以下、図12を参照しつつ、ベクトル生成部27と重畳処理部28が行う各処理を説明する。マウス93で描画する際に複数点(m点)の指定位置Pn(但しn=1,…m(mはm≧2の自然数))が指定される場合、画像座標演算部23は、二点目以降の位置指定において、前回の指定位置Pn-1の画像座標(jn-1,kn-1)と、今回の指定位置Pnの画像座標(jn,kn)とを演算する。三次元座標抽出部24は、前回と今回の各画像座標(jn-1,kn-1)、(jn,kn)を基に、インデックスデータIDを参照して、前回の指定位置Pn-1の三次元座標(Xn-1,Yn-1,Zn-1)と、今回の指定位置Pnの三次元座標(Xn,Yn,Zn)とを演算する。そして、ステレオ用画像座標演算部25は、各三次元座標(Xn-1,Yn-1,Zn-1)、(Xn,Yn,Zn)を基に、右目用ステレオ画像RG上における前回の指定位置に相当する画像座標(pn-1,qn-1)と、今回の指定位置に相当する画像座標(pn,qn)とを演算する。
【0059】
図3に示すベクトル生成部27は、ステレオ画像上で指定された二点間の経路(線)を立体視可能に描画する画像を生成するため、その二点を始点と終点とするベクトルを生成する。詳しくは、ベクトル生成部27は、図12に示すように、左目用ステレオ画像LG上で指定された二点間の経路を規定するベクトルを生成する第1ベクトル生成部27Aと、その指定された二点に相当する右目用ステレオ画像RG上における二点の間の経路を規定するベクトルを生成する第2ベクトル生成部27Bとを備える。第1ベクトル生成部27Aは、左目用ステレオ画像LG上でカーソルにより指定された二点の画像座標(jn-1,kn-1)、(jn,kn)をそれぞれ始点・終点とするベクトルを生成する。一方、第2ベクトル生成部27Bは、左目用ステレオ画像LG上のその二点と立体視可能な関係にある右目用ステレオ画像RG上の二点を示す各画像座標(pn-1,qn-1)、(pn,qn)を求め、それぞれを始点・終点とするベクトルを生成する。そして、複数点の指定位置Pnが指定されることにより、それら複数点のうちの各二点を始点・終点とする1つ又は複数のベクトルが、左目用ステレオ画像の画像座標系と右目用ステレオ画像の画像座標系とのそれぞれで生成される。
【0060】
重畳処理部28は、ベクトルで規定される計測線やポリゴンなどの表示要素の画像(以下「部品画像」ともいう)を左目用と右目用のそれぞれで生成し、左目用と右目用の各部品画像データをそれぞれ各ステレオ画像データLD,RDに重畳させる重畳処理を行う。ここで、表示要素とは、前述した標高値Z等の文字列(図11参照)の他、例えばマウス93により一方のステレオ画像上に描画された点、線、ポリゴンと、他方のステレオ画像上に立体視可能に自動描画される点、線、ポリゴンなどの図形要素を指す。また、累積距離L、高度差H、傾斜角θ、方位角α、面積Sなどの計測結果の文字列なども表示要素に含まれる。もちろん、地図や気象等に係る記号やマーク等の他の図形要素も採用できる。
【0061】
図12に示す第1重畳処理部28Aが、左目用ステレオ画像と左目用部品画像との重畳処理を行い、第2重畳処理部28Bが、右目用ステレオ画像と右目用部品画像との重畳処理を行う。詳細には、第1重畳処理部28Aは、バッファー20から左目用ステレオ画像データLDを読み込むとともに第1ベクトル生成部27Aから左目用のベクトルを入力する。このとき計測モードであれば、第1重畳処理部28Aは計測情報も読み込む。第1重畳処理部28Aは、左目用のベクトルを基にそのベクトルで規定される計測線やポリゴンなどの部品画像を生成し、計測モードなど計測情報を表示するモードであれば、さらに計測情報の文字画像データ(以下「計測情報画像データ」ともいう)を生成する。そして、第1重畳処理部28Aは、部品画像データと、必要に応じて計測情報画像データとを、左目用ステレオ画像データLDに重畳させる。
【0062】
第2重畳処理部28Bは、バッファー20から右目用ステレオ画像データRDを読み込むとともに第2ベクトル生成部27Bから右目用のベクトルを入力する。このとき計測モードであれば、第2重畳処理部28Bはステレオ用画像座標演算部25から計測情報も読み込む。ここで、ステレオ用画像座標演算部25は、計測モードでは、計測情報演算部26から計測情報と共に左目用ステレオ画像の画像座標系における計測情報の表示位置(画像座標)を取得している。ステレオ用画像座標演算部25は、三次元座標抽出部24と同機能の三次元座標抽出部を内蔵し、計測情報の画像座標に対応する三次元座標を抽出する。そして、抽出した三次元座標を基に、撮影基準位置情報SPを用いて右目用ステレオ画像の画像座標系における計測情報の表示位置(画像座標)を演算する。こうして演算された計測情報の表示位置(画像座標)がステレオ用画像座標演算部25から第2重畳処理部28Bへ送られる。
【0063】
第2重畳処理部28Bは、右目用のベクトルを基にそのベクトルで規定される計測線やポリゴンなどの部品画像を生成し、計測モードなど計測情報を表示するモードであれば、さらに計測情報の文字画像データ(以下「計測情報画像データ」ともいう)を生成する。そして、第2重畳処理部28Bは、部品画像データと、必要に応じて計測情報画像データとを、右目用ステレオ画像データRDに重畳させる。このとき、第2重畳処理部28Bは、計測モードであれば、計測情報画像データを、ステレオ用画像座標演算部25から取得した画像座標で規定される表示位置に重畳させる。
【0064】
表示処理部29は、第1重畳処理部28Aが生成した重畳処理後の左目用ステレオ画像データLDに基づく左目用ステレオ画像LGを第1表示領域41に表示させるとともに、第2重畳処理部28Bが生成した重畳処理後の右目用ステレオ画像データRDに基づく右目用ステレオ画像RGを第2表示領域42に表示させる表示処理を行う。表示処理部29は、不図示の表示ドライバーへ画像データを出力することで、モニタ95に、表示要素が重畳された一対のステレオ画像LG,RGを含む画面40(図11、図14、図16、図18を参照)を表示させる。この結果、各表示要素が重畳させた一対のステレオ画像LG,RGが、モニタ95に表示された画面40中の各表示領域41,42に表示される。
【0065】
次にポリゴン描画モードにおけるポリゴンデータ出力処理について説明する。図3、図12に示すベクトル化部30は、ステレオ画像上で描画されたポリゴンを示す三次元座標データ(三次元座標情報)を三次元座標抽出部24から取得し、その取得した三次元座標データをベクター形式のデータ(ポリゴンデータPD)に変換する。このポリゴンデータPDは、ベクターデータなので、CAD装置80(図17参照)に表示させた地図画像にポリゴンを重ねて表示可能である。
【0066】
図3、図12に示す出力部31は、計測情報として得られたデータL,H,θ,α,S、及びポリゴンデータPDを出力する。この結果、計測情報データやポリゴンデータPDは、ステレオペア画像表示処理装置100の外部へ出力され、保存先として指定された記憶装置99(例えばハードディスク)の所定記憶領域にファイルとして保存される。
【0067】
ポリゴンデータPDのファイルは、PC90から例えば記憶媒体へ取り出され、CAD装置80に読み込ませる。CAD装置80のモニタ81に表示させた地図上にポリゴンデータPD(ファイル)に基づくポリゴンPGの重畳表示が可能である。つまり、ポリゴンデータPDに基づくポリゴンPGを、CAD装置80がモニタ81の地図画像と別レイヤで表示させることにより、ポリゴンPGの地図上への移写が可能となっている。
【0068】
図3に示す断面線演算部32は、プロファイラモードのときに起動される。断面線演算部32は、ステレオ画像上で描画した経路に沿って切断した地形断面線(地形表面線)を演算する。演算された断面線は表示処理部29により、図18に示す画面40の下部のプロファイラ表示領域55に表示される。このプロファイラ表示領域55には横軸調整倍率と縦軸調整倍率を入力設定可能な入力欄が設けられている。断面線演算部32は、入力設定された横軸調整倍率と縦軸調整倍率に従って、描画した経路を通る各点の画像座標を基に、インデックスデータIDを参照して、各点(画像座標)の標高Znを演算する。そして、前回の指定点の標高Zn-1と今回の指定点の標高Znとをそれぞれ始点と終点とするベクトルを順次生成する。そして、ベクトルで規定される線分(経路)の画像を順次描画させることにより、プロファイラ表示領域55に断面線56を表示(自動描画)する。
【0069】
図3に示す三次元再生部33は、出力ボタン53が操作された際に起動され、インデックスデータIDから簡易の数値標高データ(三次元地形座標データ)を再生する。このため、比較的膨大なデータ量の数値標高データD1をPC90に記憶させなくても、ステレオペア画像表示処理用に保存されている比較的データ量の小さなインデックスデータIDを用いて、簡易的に数値標高データの再生が可能である。この数値標高データは出力部31から出力される。
【0070】
印刷出力部34は、ステレオペア画像や計測情報などを印刷させる印刷実行操作時に起動される。印刷出力部34は、印刷すべきデータを不図示の印刷ドライバーを介して印刷装置70へ出力する。このため、計測線及び計測情報を重畳させた地形起伏図、写真地図及び地理情報の印刷や、ポリゴンを重畳させた地形起伏図、写真地図及び地理情報の印刷、さらには計測情報のみの印刷などが可能である。
【0071】
次にステレオペア画像表示処理装置100が各モードで行う処理を、図13、図14に示すフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートはプログラムPRの一部を構成している。図13、図14は、計測モード、ポリゴン描画モード、プロファイラモードの処理を説明するものである。CPU97はプログラムPRを構成するこのフローチャートを実行することにより各モードの処理を行う。
【0072】
まずステップS10では、左目用ステレオ画像データLD、右目用ステレオ画像データRD、三次元座標インデックスデータID及び撮影基準位置情報SPを取得する。
ステップS20では、節数Nの初期値(N=1)を設定する。ここで、節数Nとは、各モードにおいてマウス93の操作で描画した線の節の数(つまり線が通る点の数)を指す。ステップS30では、位置指定があったか否かを判断する。位置指定がなければステップS150に進んで、確定ボタン50による終了操作(確定操作)があったか否かを判断し、終了操作がなければステップS30に戻る。
【0073】
そして、例えば判読者がマウス93を操作して描画のためステレオ画像LG上で最初の位置(始点)を指定する。すると、ステップS30において位置指定ありと判断し、ステップS40に進む。
【0074】
ステップS40では、指定位置の左目用画像座標(jn,kn)を演算する。詳しくは、画像座標演算部23が指定位置の左目用画像座標(jn,kn)を演算する。このとき始点であるので、画像座標(j1,k1)が演算される。
【0075】
ステップS50では、インデックスデータIDを参照して、画像座標(jn,kn)に対応する三次元座標(Xn,Yn,Zn)を抽出する。
ステップS60では、撮影基準位置情報SPを用いて、三次元座標(Xn,Yn,Zn)に対応する右目用画像座標(pn,qn)を演算する。
【0076】
次のステップS70では、節数N≧2であるか否かを判断する。今回は、最初の始点を指定した場合であるので、節数N=1であり、否定判定となるので、ステップS80に進んで、節数Nをインクリメントする(N=N+1)。つまり、節数N≧2のときにはじめて二点間を結ぶ線の描画が可能になるので、その二点が揃うまでは描画処理(ステップS90〜S130)(図13の一点鎖線枠内の処理)へは進まない。
【0077】
そして、判読者が描画するためにマウス93の操作で次の点を位置指定すると、ステップS30において位置指定ありと判断し、この指定された位置の左目用画像座標(jn,kn)(例えば(j2,k2))を演算し(S40)、この画像座標(jn,kn)に対応する三次元座標(Xn,Yn,Zn)(例えば(X2,Y2,Z2))を抽出し(S50)、さらに三次元座標(Xn,Yn,Zn)に対応する右目用画像座標(pn,qn)(例えば(p2,q2))を演算する(S60)。こうして二点が揃うと、ステップS70において節数N≧2が成立したと判断し、描画処理(S90)へ移行する。
【0078】
描画処理では、まずステップS90において、左目用の画像座標(jn-1,kn-1)、(jn,kn)の二点間を結ぶベクトルを生成する。このベクトル生成処理は、詳しくは第1ベクトル生成部27Aが行う。
【0079】
次のステップS100では、左目用ステレオ画像と、ベクトルに基づく経路(線)との重畳処理を行う。詳しくは、第1重畳処理部28Aは、左目用のベクトルを基にそのベクトルで規定される計測線又はポリゴンの一線分を描画するための画像である経路データ(線図データ)を生成し、左目用ステレオ画像データLDと経路データとを重畳させる。
【0080】
また、ステップS110では、右目用ステレオ画像と、ベクトルに基づく経路(線)との重畳処理を行う。詳しくは、第2重畳処理部28Bは、右目用のベクトルを基にそのベクトルで規定される計測線又はポリゴンの一線分を描画するための画像である経路データ(線図データ)を生成し、右目用ステレオ画像データRDと経路データとを重畳させる。こうして判読者がマウス93で指定した二点間の経路が重畳された左目用ステレオ画像データLDと、その経路が重畳された右目用ステレオ画像データRDとが生成される。
【0081】
そして、ステップS130において、ステレオペア画像SGを表示する。すなわち、表示処理部29は、経路が重畳された左目用ステレオ画像データLDに基づく左目用ステレオ画像LGを第1表示領域41に表示させるとともに、その経路が重畳された右目用ステレオ画像データRDに基づく右目用ステレオ画像RGを第2表示領域42に表示させる。
【0082】
この結果、例えば計測モードであれば、図15の左目用ステレオ画像LG上にマウス操作(カーソル操作)に基づく計測線(直線)が描画されるとともに、右目用ステレオ画像RG上に左目用ステレオ画像LG上の計測線(直線)と対応する立体視可能な計測線が右目用ステレオ画像上に自動描画される。このため、判読者は、ステレオ画像LG,RGを立体視したときに計測線も立体視できる。なお、本実施形態では、ステップS40,S90,S100,S130の処理が、第1の描画処理段階に相当する。また、ステップS50,S60,S110,S120,S130の処理が、第2の描画処理段階に相当する。
【0083】
さらに次のステップS140では、モードに応じた処理を行う。この処理は、CPU97が図14に示すサブルーチンを実行することにより行われる。
まずステップS210では、モードを判定する。この例では、「計測モード」、「ポリゴン描画モード」、「プロファイラモード」のうちいずれのモードが指定されているかを判定する。
【0084】
例えば図15の画面40に示すように、計測のチェックボックス45が選択されている計測モードであれば、ステップS220に進む。
ステップS220では、三次元座標(X1,Y1,Z1)〜(Xn,Yn,Zn)を基に、累積距離L、高度差H、方位角α、傾斜角θ、面積Sを計算・出力する。ここで、二点間の計測線を描画する場合、終点(Xn,Yn,Zn)は(X2,Y2,Z2)となる。この場合、計測情報演算部26が、計測線の始点と終点の座標を基に、各データL,H,α,θを演算する。また、閉じた経路を描画した場合、計測情報演算部26(詳しくは面積演算部26E)は、その閉じた経路の節となる各点の座標を基に面積Sを演算する。これらの各データL,H,α,θ,S(計測情報)は、計測情報の文字列の描画処理(図14において一点鎖線枠内のステップS230〜S260の処理)を行うため、及び外部へのデータ出力のために出力される。
【0085】
ステップS230では、データL,H,α,θ,Sの文字列の左目用表示位置(画像座標)を演算する。
ステップS240では、経路が重畳された左目用ステレオ画像データLDと、データL,H,α,θの文字列とを重畳させる。この重畳処理では、左目用ステレオ画像データLDにおける左目用表示位置に、データL,H,α,θ,Sの文字列を重畳させる。この左目用ステレオ画像における重畳処理は、第1重畳処理部28Aが行う。
【0086】
また、ステップS250では、データL,H,α,θ,Sの文字列の右目用表示位置(画像座標)を演算する。
ステップS260では、経路が重畳された右目用ステレオ画像データRDと、データL,H,α,θ,Sの文字列とを重畳させる。すなわち、第2重畳処理部28Bが、データL,H,α,θの文字列を、右目用ステレオ画像データRDにおける右目用表示位置に重畳させる。
【0087】
ステップS270では、ステレオペア画像SGを表示する。すなわち、表示処理部29は、経路及び計測情報の文字列が重畳された左目用ステレオ画像データLDに基づく左目用ステレオ画像LGを第1表示領域41に表示させるとともに、経路及び計測情報の文字列が重畳された右目用ステレオ画像データRDに基づく右目用ステレオ画像RGを第2表示領域42に表示させる。
【0088】
この結果、例えば計測モードであれば、図15の左目用ステレオ画像LG上にマウス操作(カーソル操作)に基づく計測線(直線)とデータL,H,α,θの文字列が左目用ステレオ画像LG上に描画されるとともに、左目用ステレオ画像LG上の計測線及び文字列に対し立体視可能な計測線(直線)とデータL,H,α,θの文字列が右目用ステレオ画像上に自動描画される。また、閉じた経路(多角形)が描画された場合は、その閉じた経路で囲まれた領域(ポリゴン領域)の面積が面積演算部26Eにより計算され、その計算結果である面積Sの文字列が、両ステレオ画像LG,RGに重畳表示される。このため、判読者は、ステレオ画像LG,RGを立体視したときに計測線及び文字列も立体視できる。なお、このフローチャートでは、計測線と文字列を別々に重畳処理したが、一緒に重畳処理する構成も採用できる。
【0089】
また、例えば図16の画面40に示すように、ポリゴン描画のチェックボックス46が選択されているポリゴン描画モードであれば、ステップS210のモード判定の結果、ステップS280に進む。
【0090】
ステップS280では、三次元座標(Xn,Yn,Zn)のベクトル化を行う。この処理は、ベクトル化部30が行う。ベクトル化部30は、ステレオ画像上で描画中のポリゴンを構成する節(点)の三次元座標(Xn,Yn,Zn)を三次元座標抽出部24から取得し、その取得した三次元座標(Xn,Yn,Zn)をベクター形式のデータ(ポリゴンデータPD)に変換する。
【0091】
ステップS290では、ベクター形式の三次元座標データを出力する。
こうして、マウス93の操作でポリゴンの節を指定する度に、その節(指定位置)の三次元座標(Xn,Yn,Zn)のデータがベクトル化され(S280)、ベクター形式のデータが出力される(S290)。この結果、図17に示すようなポリゴンデータPDが生成され、保存先指定部47で指定した保存先にファイルとして保存される。このポリゴンデータPDは、CAD装置80に読み込ませることにより、図17に示すように、CAD装置80のモニタ81に表示させた地図画像MP上にポリゴンデータPDに基づくポリゴンPGを移写することができる。このため、ポリゴンPGを地図画像MP上に正確に移写できる。
【0092】
一方、例えば図18の画面40に示すように、プロファイラのチェックボックス54が選択されているプロファイラモードであれば、ステップS210のモード判定の結果、ステップS300に進む。
【0093】
ステップS300では、標高Zn-1,Znの二点間のベクトルを生成する。詳しくは、断面線演算部32が、指定位置の画像座標(jn-1,kn-1)、(jn,kn)を基に、インデックスデータIDを参照して、標高Zn-1,Znを演算する。そして、標高Zn-1,Znをそれぞれ始点・終点とするベクトルを生成する。このとき、判読者が入力指定した横軸調整倍率と縦軸調整倍率に従って、標高Zn-1,Zn及び横軸上のプロット間隔を適宜変倍することで、ベクトルを生成する。
【0094】
次のステップS310では、ベクトルに基づく断面線を表示する。詳しくは、表示処理部29は、ベクトルで規定される線分を、図18に示す画面40のプロファイラ表示領域55に表示させる。
【0095】
こうして、プロファイラモードでは、左目用と右目用の各ステレオ画像LG,RG上に経路が立体視可能な表示位置に描画される。そして、プロファイラ表示領域55には、ステレオ画像LG上で描画した経路における断面線56が自動描画される。
【0096】
以上詳述したようにこの実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)一方のステレオ画像(基準画像)上で指定された指定位置の画像座標から三次元座標を抽出し、抽出された三次元座標を他方のステレオ画像(相対画像)の画像座標系に座標変換して他方のステレオ画像上における立体視可能な対応する表示位置の画像座標を取得する。そして、一方のステレオ画像上にマウス93の操作で描画された線、文字、ポリゴン等の図形要素を、他方のステレオ画像における立体視画像な表示位置に自動描画する。これにより、ステレオペア画像SGを立体視しながら、一方のステレオ画像LGに描画した線、文字、ポリゴン等の図形要素を立体視することができるため、地形起伏図や写真地図等の背景画像を立体視したまま移写等を目的とする描画や計測などの作業を行うことができる。
【0097】
(2)ステレオペア画像SGを構成する一方のステレオ画像の画像座標系と同じ画像座標系を有し、座標値としてそれぞれX、Y、Zの各値を有する3種類の座標データED,ND,ZDからなるインデックスデータIDを用意した。よって、指定された点の画像座標からインデックスデータIDを参照することにより、その点の三次元座標を簡単に抽出することができる。そして、抽出された三次元座標を座標変換する比較的簡単な演算処理によって、他方のステレオ画像における立体視可能な表示位置座標を取得することができる。よって、描画や計測などの実行時は比較的演算が少なく、表示や操作に必要なデータへのアクセスも少なくできる。その結果、ロースペックのパソコンやネットワーク上での操作が可能となる。
【0098】
(3)ステレオペア画像SGで描画された図形要素(点、線分、多角形、文字等)を、もとの三次元座標系における図形要素として取得できる。例えば、図形要素の三次元座標データをポリゴンデータPDとして出力させ、CAD装置に表示させた地図画像上の対応位置に図形要素を表示させることができる。このため、ステレオペア画像SGを立体視しながら描画した図形要素を、CAD装置のモニタ上の地図に正確に移写することができる。
【0099】
(4)ステレオペア画像SG上でマウス操作により計測線やポリゴンを描画するだけで、その描画した計測線の始点と終点の間の累積距離L、高度差H、傾斜角θ、方位角α、面積S等の計測情報を算出できる。また、その計測情報を、立体視している地形起伏図などの背景画像に重畳させてステレオ表示することができる。
【0100】
(5)ステレオペア画像SGを作成する際の背景画像(色付き画像)として、例えば地形起伏図、写真地図、地理情報などの複数意し、同じ立体視空間で、表示すべき背景画像を切り替えることができる。よって、背景画像を立体視しながら、同じ場所の背景画像を、地形起伏図、写真地図、地理情報などの間で所望に応じて切り替えることにより、地滑りや活断層など移写すべき対象を一層正確に把握し易くなる。
【0101】
(6)ステレオペア画像SGで指定した経路(線分又はカーソル移動位置)における三次元座標を抽出し、その経路で切った断面線(断面形状)を表示することができる。よって、地形の断面情報を取得できるうえ、断面情報を参考にして計測箇所や移写の対象が正しいかどうかを確認できる。
【0102】
(7)三次元座標データ(数値標高データ)からステレオペア画像SGを作成するとともに、そのうちの一方のステレオ画像LGだけからもとの三次元座標を抽出する機能に適したインデックスデータID(三次元座標データ)を作成する。このため、数値標高データに比べデータ量の小さな三次元座標データで済む。
【0103】
(8)数値標高情報(三次元座標データ)を基に作成した立体視可能なステレオペア画像(右目用、左目用)及びインデックスデータIDを用いて、モニタ95にステレオ画像LG,RGを表示しながら、マウス93等のカーソル手段により、もとの三次元座標データと同じ座標空間における単点計測、ベクトル計測、面積測定、ポリゴン作成、断面計測を、高性能なシステムを必要とせず行うことができる。
【0104】
(9)地滑りや活断層などの地形判読において、航空レーザ測量成果により得られた数値地形データを立体視することで起伏を明瞭に可視化できる。従来の航空写真判読や航空レーザ測量による二次元的な出力図(等高線図、段彩陰影図等)に比べて質の高い判読を行うことができる。また、立体視をしながら測定(計測)や判読結果のデータ記録を行うことができ、同時に元の三次元座標空間における図形要素(例えばポリゴンデータPD)を取得することができる。このため、従来の写真判読で行われてきた判読結果の移写を不要にすることができる。さらに、拡大、縮小や画像の切り替えなども立体視したまま行うことができ、判読の精度向上や周辺状況との関連性についての情報を得ることができる。
【0105】
(10)インデックスデータIDから簡易な数値標高データ(三次元地形座標データ)を再生して出力することができる。このため、ステレオペア画像表示用のPC90に、膨大な数値標高データを記憶させなくても、必要になればインデックスデータIDから簡易ではあるものの数値標高データを取得することができる。
【0106】
前記実施形態は上記に限定されず、以下の態様に変更することもできる。
・描画内容は、点、線分(ベクトル)やポリゴンに限定されず、領域(例えば内部に色を施した領域)や、地図記号等の記号でもよい。
【0107】
・ステレオペア画像に用いる背景画像は、地形起伏図、写真地図、地理情報などの地形に関する画像(地理画像)に限定されない。顕微鏡画像(微視空間画像)や天体望遠鏡画像(天体地図)などでもよい。また、写真などの場合、建物等の地物を含んでもよい。
【0108】
・計測情報は、指定点の標高Z、描画線(計測線)の累積距離(二点間距離又は経路長)、高度差H(高低差)、傾斜角θ、方位角α及び面積Sのうちの少なくとも一つを採用できる。例えば距離、経路長、高度差、傾斜角、方位及び面積のうち1つのみを表示させる構成でもよい。この場合、計測情報の表示は、必ずしも立体視可能である必要はない。
【0109】
・画像切替え部22によるステレオペア画像SGの切替え機能を無くした構成も実施できる。例えば一種類のステレオペア画像のみを表示する構成でもよい。
・三次元座標データは、DEMに限らず、TIN(triangulated irregular network,不整三角形網)でもよい。さらには、オルソ画像、DTM(Digital Terrain Model:数値地形モデル)、DSM(Digital Surface Model:数値表層モデル)でもよい。
【0110】
・画面40におけるフォームの配置や操作の流れは適宜変更できる。
【符号の説明】
【0111】
10…ステレオペア画像作成装置、11…第1作成部、12…第2作成部、13…中心投影変換部、14…画像座標変換部、15…ラスターデータ変換部、20…格納手段の一例であるバッファー、21…画像表示手段を構成する主制御部、22…切替手段の一例である画像切替え部、23…第1の描画処理手段を構成する画像座標演算部、24…第2の描画処理手段を構成する三次元座標抽出部、25…第2の描画処理手段を構成するステレオ用画像座標演算部、26…計測情報取得手段の一例である計測情報演算部、27…ベクトル生成部、28…第1表示処理手段の一例を構成する重畳処理部、28A…第1の描画処理手段を構成する第1重畳処理部、28B…第2重畳処理部、29…画像表示手段、第1表示処理手段の一例を構成する表示処理部、30…ベクトル化部、31…出力手段の一例である出力部、32…第2表示処理手段の一例である断面線演算部、33…再生手段の一例である三次元再生部、34…印刷出力部、40…画面、41…第1表示領域、42…第2表示領域、48…画像変更ボタン、49…移動ボタン、50…確定ボタン、53…出力ボタン、55…プロファイラ表示領域、56…断面線、80…CAD装置、81…モニタ、90…パーソナルコンピュータ、91…本体、92…操作手段の一例を構成するキーボード、93…操作手段の一例を構成するマウス、94…操作手段の一例を構成する操作部、95…表示手段の一例であるモニタ、96…コンピュータ、97…CPU、98…RAM、99…記憶装置、100…立体視画像表示処理装置の一例であるステレオペア画像表示処理装置、PR…プログラム、SD…ステレオペア画像データ、SD1…図の一例である地形起伏図のステレオペア画像データ、SD2…写真の一例である写真地図のステレオペア画像データ、SD3…図の一例である地理情報のステレオペア画像データ、LD…基準画像データの一例である左目用ステレオ画像データ、RD…相対画像データの一例である右目用ステレオ画像データ、SG,SG1,SG2…ステレオペア画像、LG…第1画像の一例である左目用ステレオ画像、RG…第2画像の一例である右目用ステレオ画像、ID…三次元座標インデックスデータ、L…累積距離、H…高度差、α…方位角、θ…傾斜角、S…面積、PD…ポリゴンデータ、MP…地図画像、PG…ポリゴン、Z…標高値。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図又は写真の二次元画像を立体視可能なステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理装置であって、
表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示手段と、
前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理手段と、
前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理手段と、
を備えたことを特徴とする立体視画像表示処理装置。
【請求項2】
前記基準画像に前記描画内容として描画された描画線で規定される計測情報を取得する計測情報取得手段と、
前記計測情報を前記第1画像と前記第2画像における立体視可能な各表示位置にそれぞれ表示させる第1表示処理手段と
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項3】
前記操作手段により前記描画線の節として指定された点の座標に対応する標高値を取得し、前記標高値に基づき前記描画線で切断した断面形状を表示させる第2表示処理手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項4】
前記描画線の三次元座標データを出力する出力手段を更に備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項5】
前記表示手段に前記ステレオペア画像として表示される二次元画像の種類を切り替える切替手段を更に備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項6】
前記基準画像を表示するための基準画像データと、前記基準画像データの画像座標と対応する三次元座標が規定された三次元座標データとを格納する格納手段を更に備え、
前記第2の描画処理手段は、前記操作手段により前記基準画像において指定された点の画像座標に対応する三次元座標を、前記三次元座標データを参照して取得し、当該三次元座標に対応する前記相対画像における画像座標を求め、前記相対画像における当該画像座標に描画することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項7】
前記三次元座標データは前記基準画像の表示エリア毎に分けて格納されており、前記三次元座標データを用いて前記基準画像の画像解像度に等しい解像度の三次元地形座標データを再生する再生手段を更に備えたことを特徴とする請求項6に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項8】
図又は写真の二次元画像を立体視可能なステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理方法であって、
表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示段階と、
前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理段階と、
前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理段階と、
を備えたことを特徴とする立体視画像表示処理方法。
【請求項9】
図又は写真の二次元画像のステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
コンピュータに、
表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示段階と、
前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理段階と、
前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理段階と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
図又は写真の二次元画像を立体視可能なステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理装置であって、
表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示手段と、
前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理手段と、
前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理手段と、
を備えたことを特徴とする立体視画像表示処理装置。
【請求項2】
前記基準画像に前記描画内容として描画された描画線で規定される計測情報を取得する計測情報取得手段と、
前記計測情報を前記第1画像と前記第2画像における立体視可能な各表示位置にそれぞれ表示させる第1表示処理手段と
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項3】
前記操作手段により前記描画線の節として指定された点の座標に対応する標高値を取得し、前記標高値に基づき前記描画線で切断した断面形状を表示させる第2表示処理手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項4】
前記描画線の三次元座標データを出力する出力手段を更に備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項5】
前記表示手段に前記ステレオペア画像として表示される二次元画像の種類を切り替える切替手段を更に備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項6】
前記基準画像を表示するための基準画像データと、前記基準画像データの画像座標と対応する三次元座標が規定された三次元座標データとを格納する格納手段を更に備え、
前記第2の描画処理手段は、前記操作手段により前記基準画像において指定された点の画像座標に対応する三次元座標を、前記三次元座標データを参照して取得し、当該三次元座標に対応する前記相対画像における画像座標を求め、前記相対画像における当該画像座標に描画することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項7】
前記三次元座標データは前記基準画像の表示エリア毎に分けて格納されており、前記三次元座標データを用いて前記基準画像の画像解像度に等しい解像度の三次元地形座標データを再生する再生手段を更に備えたことを特徴とする請求項6に記載の立体視画像表示処理装置。
【請求項8】
図又は写真の二次元画像を立体視可能なステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理方法であって、
表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示段階と、
前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理段階と、
前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理段階と、
を備えたことを特徴とする立体視画像表示処理方法。
【請求項9】
図又は写真の二次元画像のステレオペア画像を表示手段に表示させる立体視画像表示処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
コンピュータに、
表示手段にステレオペア画像を構成する第1画像と第2画像とを並べて表示させる画像表示段階と、
前記第1画像と前記第2画像のうち操作手段の操作で位置が指定される一方を基準画像、他方を相対画像とした場合、前記操作手段の操作で指定された第1の表示位置に描画する第1の描画処理段階と、
前記基準画像の前記第1の表示位置と立体視可能な関係にある前記相対画像における第2の表示位置を求め、当該第2の表示位置に、前記第1の表示位置における描画内容に対応する描画内容を描画する第2の描画処理段階と、
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図11】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−73520(P2012−73520A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219787(P2010−219787)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(593026959)中日本航空株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(593026959)中日本航空株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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