説明

端子付き電気化学セル

【課題】表面実装後の端子付き電気化学セルに振動等の負荷が加わっても、第2端子の実装部の下面の接続に劣化を生じることを防止できる端子付き電気化学セルを提供する。
【解決手段】端子付き電気化学セル20の第2端子23は電気化学セル21に外接する外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されていると共に、該第2端子23の実装部23cの一部(1つの三角形領域)は外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、残部(2つの三角形領域)は該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン型或いはコイン型の電気化学セルに表面実装用の一対の端子を設けて構成された端子付き電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第4570902号公報)には、回路基板に表面実装するときの実装面積低減を図った端子付き電気化学セルが開示されている。図1(A)〜図1(C)は特許文献1に開示された端子付き電気化学セルを示すもので、該端子付き電気化学セル10は、ボタン型或いはコイン型の電気化学セル11に表面実装用の第1端子12及び第2端子13を設けて構成されている。因みに、図1(A)及び図1(B)に記した+印は電気化学セル11の中心を示し、二点鎖線の正方形は電気化学セル11に外接する外接正方形IQを示し、一点鎖線の直線は外接正方形IQの一対角線DLを示す。
【0003】
電気化学セル11は、底を有する円筒形状のセルケース11aと、セルケース11aの開口に配置されたセルキャップ11bと、セルケース11aとセルキャップ11bの間に介装された密封用のガスケット11cと、セルケース11aとセルキャップ11bの内側に封入された発電素子または蓄電素子(図示省略)とを有している。この電気化学セル11は所定の外径及び厚さを有しており、セルケース11aとセルキャップ11bの一方は正極として使用され他方は負極として使用される。
【0004】
第1端子12は、矩形状で所定厚さの金属板を異なる位置で二度折り曲げることによって形成されており、矩形状の固定部12aと、固定部12aの端縁から下側に斜めに折れ曲がる段差部12bと、段差部12bの端縁から外側に向かって延びる矩形状の実装部12cとを連続して有している。
【0005】
この第1端子12は、固定部12aの上面一部をセルキャップ11bの円形平面に溶接等によって固着されている。実装部12cの下面は、電気化学セル11をその厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ11bの円形平面)が回路基板(図示省略)の被実装面と向き合った姿勢で表面実装するときに該回路基板のパッドに接続される実装面となっている。
【0006】
図1(B)から分かるように、第1端子12の実装部12cの下面の形状は、該実装部12cと段差部12bとの境界線(符号無し)と同じ寸法の2つの長辺と該長辺よりも短い寸法の2つの短辺とで囲まれ、且つ、該境界線が該2つの長辺の一方として用いられた長方形(図1(B)の網掛けを参照)を成しており、該実装部12cの下面(長方形面)は外接正方形IQの内側に位置している。
【0007】
第2端子13は、略矩形状で所定厚さの金属板を異なる位置で二度折り曲げることによって形成されており、略矩形状の固定部13aと、固定部13aよりも幅が小さく、且つ、固定部13aの端縁から下側に直角に折れ曲がる矩形状の脚部13b(13b1は固定部13aとの境界線を示す)と、脚部13bの端縁から外側に直角に折れ曲がる三角形状の実装部13c(13c1は脚部13bとの境界線を示す)とを連続して有している。
【0008】
この第2端子13は、外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置され、且つ、固定部13aの下面一部をセルケース11aの円形平面に溶接等によって固着されている。脚部13bは、固定部13aと実装部13cとの間に電気化学セル11の厚さに対応する高さを確保する部分となっており、実装部13cの下面は、電気化学セル11をその厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ11bの円形平面)が回路基板(図示省略)の被実装面と向き合った姿勢で表面実装するときに該回路基板のパッドに接続される実装面となっている。
【0009】
図1(B)から分かるように、第2端子13の実装部13cの下面の形状は、境界線13c1と同じ寸法の底辺と2つの辺とで囲まれ、且つ、該境界線13c1が該底辺として用いられた三角形(図1(B)の網掛けを参照)を成しており、該実装部13cの下面(三角形面)はその頂角を形成する2つの辺が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺に沿うように該一角の内側に位置している。
【0010】
前記端子付き電気化学セル10は、第1端子12の実装部12cの下面(長方形面)と第2端子13の実装部13cの下面(三角形面)をハンダ等の接合材を介して回路基板のパッドに接続することによって、電気化学セル11の厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ11bの円形平面)が回路基板の被実装面と向き合った姿勢で表面実装される。
【0011】
ところで、前記端子付き電気化学セル10にあっては、第2端子13の実装部13cの下面(三角形面)の面積が第1端子12の実装部12cの下面(長方形面)の面積よりも小さいため、表面実装後の端子付き電気化学セル10に振動等の負荷が加わったときに、第1端子12の実装部12cの下面よりも第2端子13の実装部13cの下面に大きな応力が生じる現象、即ち、応力偏りが生じる恐れがあり、該応力偏りを原因として第2端子13の実装部13cの下面の接続に劣化が生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4570902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、表面実装後の端子付き電気化学セルに振動等の負荷が加わっても、第2端子の実装部の下面の接続に劣化を生じることを防止できる端子付き電気化学セルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、本発明は、正極と負極の一方として使用されるセルケースと他方として使用されるセルキャップとの内側に発電素子または蓄電素子が封入されたボタン型或いはコイン型の電気化学セルと、固定部と実装部とを連続して有し該固定部を前記セルケースと前記セルキャップの一方に固着された第1端子と、固定部と高さ確保用脚部と実装部とを連続して有し該固定部を前記セルケースと前記セルキャップの他方に固着された第2端子とを備え、前記電気化学セルをその厚さ方向の一面が回路基板の被実装面と向き合った姿勢で表面実装するときに前記第1端子の実装部の下面と前記第2端子の実装部の下面が該回路基板のパッドに接続される実装面となっている端子付き電気化学セルにおいて、前記第2端子は前記電気化学セルに外接する外接正方形の一対角線の方向に配置されていると共に、該第2端子の実装部の下面の一部は前記外接正方形の一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部の下面の残部は前記外接正方形の一角を形成する2つの辺から外側に突出している、ことをその特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第2端子が外接正方形の一対角線の方向に配置されていると共に、該第2端子の実装部の下面の一部が外接正方形の一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部の下面の残部は外接正方形の一角を形成する2つの辺から外側に突出していることから、第2端子の実装部の下面の面積を増加させて第1端子の実装部の下面の面積との格差を小さくできるため、表面実装後の端子付き電気化学セルに振動等の負荷が加わっても、第2端子の実装部の下面に第1端子の実装部の下面よりも大きな応力が生じることを抑制して該実装部の下面の接続に劣化を生じることを防止できる。
【0016】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1(A)は従来の端子付き電気化学セルの上面図、図1(B)は図1(A)に示した端子付き電気化学セルの下面図、図1(C)は図1(A)に示した端子付き電気化学セルをC方向から見た側面図である。
【図2】図2(A)は本発明を適用した端子付き電気化学セル(第1実施形態)の上面図、図2(B)は図2(A)に示した端子付き電気化学セルの下面図、図2(C)は図2(A)に示した端子付き電気化学セルをC方向から見た側面図、図2(D)は図2(B)の要部拡大図である。
【図3】図3(A)は本発明を適用した端子付き電気化学セル(第2実施形態)の上面図、図3(B)は図3(A)に示した端子付き電気化学セルの下面図、図3(C)は図3(A)に示した端子付き電気化学セルをC方向から見た側面図、図3(D)は図3(B)の要部拡大図である。
【図4】図4(A)は本発明を適用した端子付き電気化学セル(第3実施形態)の上面図、図4(B)は図4(A)に示した端子付き電気化学セルの下面図、図4(C)は図4(A)に示した端子付き電気化学セルをC方向から見た側面図、図4(D)は図4(B)の要部拡大図である。
【図5】図5(A)と図5(B)は図4(A)〜図4(D)に示した端子付き電気化学セル(第3実施形態)の第2端子の形状変形例をそれぞれ示す図4(D)対応の要部拡大図である。
【図6】図6(A)は本発明を適用した端子付き電気化学セル(第4実施形態)の上面図、図6(B)は図6(A)に示した端子付き電気化学セルの下面図、図6(C)は図6(A)に示した端子付き電気化学セルをC方向から見た側面図、図6(D)は図6(B)の要部拡大図である。
【図7】図7(A)は本発明を適用した端子付き電気化学セル(第5実施形態)の上面図、図7(B)は図7(A)に示した端子付き電気化学セルの下面図、図7(C)は図7(A)に示した端子付き電気化学セルをC方向から見た側面図、図7(D)は図7(B)の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
図2(A)〜図2(D)は本発明を適用した端子付き電気化学セル(第1実施形態)を示すもので、該端子付き電気化学セル20は、ボタン型或いはコイン型の電気化学セル21に表面実装用の第1端子22及び第2端子23を設けて構成されている。因みに、図2(A)、図2(B)及び図2(D)に記した+印は電気化学セル21の中心を示し、二点鎖線の正方形は電気化学セル21に外接する外接正方形IQを示し、一点鎖線の直線は外接正方形IQの一対角線DLを示す。
【0019】
以下、端子付き電気化学セル20の全体構造について説明し、該説明に続けて端子付き電気化学セル20に依る効果について説明し、該説明に続いて第2端子23の形状変形例等について説明する。
【0020】
電気化学セル21は、底を有する円筒形状のセルケース21aと、セルケース21aの開口に配置されたセルキャップ21bと、セルケース21aとセルキャップ21bの間に介装された密封用のガスケット21cと、セルケース21aとセルキャップ21bの内側に封入された発電素子または蓄電素子(図示省略)とを有している。この電気化学セル21は所定の外径及び厚さを有しており、セルケース21aとセルキャップ21bの一方は正極として使用され他方は負極として使用される。
【0021】
発電素子には電気化学セル21を公知の各種電池、例えば、アルカリ電池やリチウム電池やリチウムイオン電池等として機能させるのに適したものが適宜利用でき、また、蓄電素子には電気化学セル21を公知の各種キャパシタ、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等として機能させるのに適したものが適宜利用できるため、ここでの説明を省略する。
【0022】
第1端子22は、ニッケルやステンレスやニッケル−鉄合金等から成る矩形状で所定厚さの金属板を異なる位置で二度折り曲げることによって形成されており、矩形状の固定部22aと、固定部22aの端縁から下側に斜めに折れ曲がる段差部22bと、段差部22bの端縁から外側に向かって延びる矩形状の実装部22cとを連続して有している。また、固定部22aの一角(第2端子23の実装部23cに近い方の一角)には切り欠き22dが形成されている。
【0023】
この第1端子22は、固定部22aの上面一部をセルキャップ21bの円形平面にレーザー溶接や抵抗溶接や超音波溶接等の接合手法によって固着されている。実装部22cの下面は、電気化学セル21をその厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ21bの円形平面)が回路基板(図示省略)の被実装面と向き合った姿勢で表面実装するときに該回路基板のパッドに接続される実装面となっている。
【0024】
図2(B)から分かるように、第1端子22の実装部22cの下面の形状は、該実装部22cと段差部22bとの境界線(符号無し)と同じ寸法の2つの長辺と該長辺よりも短い寸法の2つの短辺とで囲まれ、且つ、該境界線が該2つの長辺の一方として用いられた長方形(図2(B)の網掛けを参照)を成しており、4つの角の角度は90度である。この実装部22cの下面(長方形面)は、長方形の一角を形成する2つの辺が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺に重なるように位置しており、該長方形の一角が該外接正方形の一角に位置している。
【0025】
要するに、第1端子22の実装部22cの下面は外接正方形IQから外側に突出していない。
【0026】
第2端子23は、ニッケルやステンレスやニッケル−鉄合金等から成る略矩形状で所定厚さの金属板を異なる位置で二度折り曲げることによって形成されており、略矩形状の固定部23aと、固定部23aよりも幅が小さく、且つ、固定部23aの端縁から下側に直角に折れ曲がる矩形状の脚部23b(23b1は固定部23aとの境界線を示す)と、脚部23bの端縁から外側に直角に折れ曲がる矩形状の実装部23c(23c1は脚部23bとの境界線を示す)とを連続して有している。
【0027】
この第2端子23は外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されており、レーザー溶接や抵抗溶接や超音波溶接等の接合手法によって固定部23aの下面一部をセルケース21aの円形平面に固着されている。脚部23bは、固定部23aと実装部23cとの間に電気化学セル21の厚さに対応する高さを確保する部分となっており、実装部23cの下面は、電気化学セル21をその厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ21bの円形平面)が回路基板(図示省略)の被実装面と向き合った姿勢で表面実装するときに該回路基板のパッドに接続される実装面となっている。
【0028】
図2(B)及び図2(D)から分かるように、第2端子23の実装部23cの下面の形状は、境界線23c1と同じ寸法L1の2つの長辺と該長辺よりも小さい寸法L2の2つの短辺とで囲まれ、且つ、該境界線23c1が該2つの長辺の一方として用いられた長方形(図2(B)の網掛けを参照)を成しており、4つの角の角度は90度である。この実装部23cの下面(長方形面)は、該下面を形成する境界線23c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置しており、長方形の2つの長辺の中心が一対角線DL上に位置している。また、長方形の2つの短辺の寸法L2が境界線23c1の寸法L1の1/2となっているため、外側の長辺の中心が外接正方形IQの一角に位置している。
【0029】
要するに、第2端子23の実装部23cの下面(長方形面)の一部(1つの三角形領域)は外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部23cの下面(長方形面)の残部(2つの三角形領域)は該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。また、第2端子23の実装部23cの下面(長方形面)はその面積が一対角線DLによって二等分されているため、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの三角形領域)の面積は一対角線DLの両側において同じになっている。
【0030】
前記端子付き電気化学セル20は、第1端子22の実装部22cの下面(長方形面)と第2端子23の実装部23cの下面(長方形面)をハンダ等の接合材を介して回路基板のパッドに接続することによって、電気化学セル21の厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ21bの円形平面)が回路基板の被実装面と向き合った姿勢で表面実装される。
【0031】
前述の端子付き電気化学セル20にあっては、第2端子23が外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されていると共に、該第2端子23の実装部23cの下面(長方形面)の一部(1つの三角形領域)が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部23cの下面(長方形面)の残部(2つの三角形領域)が該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。つまり、第2端子23の実装部23cの下面の面積を増加させて第1端子22の実装部22cの下面の面積との格差を小さくできるため、表面実装後の端子付き電気化学セル20に振動等の負荷が加わっても、第2端子23の実装部23cの下面に第1端子22の実装部22cの下面よりも大きな応力が偏って生じることを抑制して該実装部23cの下面の接続に劣化を生じることを防止できる。
【0032】
また、前述の端子付き電気化学セル20にあっては、第2端子23の実装部23cの下面(長方形面)が該下面の面積を一対角線DLによって二等分される形状を成していて、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの三角形領域)の面積が該一対角線DLの両側において同じになっている。つまり、第2端子23の実装部23cの下面の面積を増加させる場合でも、表面実装後の端子付き電気化学セル20に振動等の負荷が加わったときに第2端子23の実装部23cの下面に生じた応力を一対角線DLの両側で均等になるようにして、前記の接続劣化の防止に貢献できる。
【0033】
さらに、前述の端子付き電気化学セル20にあっては、第2端子23の実装部23cの下面の形状が、該実装部23cと脚部23bとの境界線23c1と同じ寸法の2つの長辺と該長辺よりも小さい寸法の2つの短辺とで囲まれた長方形であり、且つ、該境界線23c1が該2つの長辺の一方として用いられている。つまり、第2端子23の実装部23cの下面(長方形面)の脚部23b側の2つの角の角度が90度であり他の2つの角の角度も90度であるため、表面実装後の端子付き電気化学セル20に振動等の負荷が加わったときに第2端子23の実装部23cの下面に生じた応力が脚部23b側の2つの角に集中することを抑制して、前記の接続劣化の防止に貢献できる。これに対し、図1(A)〜図1(C)に示した従来の端子付き電気化学セル10にあっては、第2端子13の実装部13cの下面(三角形面)の脚部13b側の2つの角の角度が45度であり他の1つの角の角度が90度であるため、該実装部13cの下面に生じた応力が小角度である脚部13b側の2つの角に集中し易い。
【0034】
さらに、前述の端子付き電気化学セル20にあっては、第2端子23の実装部23cの下面を形成する境界線23c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置していて、前記長方形の2つの短辺の寸法L2が該境界線23c1の寸法L1の1/2となっている。つまり、第2端子23の実装部23cの下面の面積を増加させる場合でも、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの三角形領域)の面積を極力低減して、端子付き電気化学セル20を回路基板に表面実装するときの実装面積が必要以上に増加してしまうことを防止できる。
【0035】
さらに、前述の端子付き電気化学セル20にあっては、外接正方形IQの一角に第2端子23の実装部23cの下面が存し、該外接正方形IQの一角と隣接する一角に第1端子22の実装部22cの下面の一部が存する態様を有し、該端子付き電気化学セル20を下から見たときに第2端子23の実装部23cの下面の全部が電気化学セル21から外側に突出し、且つ、該実装部23cの下面面積に匹敵する面積をもって第1端子22の実装部22cの下面の一部が電気化学セル21から外側に突出している。つまり、端子付き電気化学セル20をリフローハンダ付けによって回路基板に表面実装するときに、ハンダ付け不良、例えば第2端子23の実装部23cが浮き上がる現象、所謂、マンハッタン現象が生じることを抑制できる。
【0036】
尚、図2(A)〜図2(D)には、第2端子23の実装部23cの下面が該下面の面積を一対角線DLによって「二等分」される形状を成していて、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの三角形領域)の面積が該一対角線DLの両側において「同じ」になっている態様を示したが、部品公差や組立公差や組立後の変形等を考慮すると「二等分」をその意味通りにすることや「同じ」をその意味通りにすることは実際上難しいことから、「二等分」は「正確に二等分」の他に「略二等分」をその意味として含み、「同じ」は「正確に同じ」の他に「略同じ」をその意味として含む。
【0037】
また、図2(A)〜図2(D)には、第2端子23の実装部23cの下面の形状として4つの角全ての角度が「90度」である「長方形」を示したが、該「長方形」は、4つの角のうちの外側2つの角に丸み付けが施された形や、長方形の4つの角の角度が正確に90度になっていない形、即ち、長方形と実質的に同一視できる形であれば適宜利用でき、前記同様の効果を発揮できる。加えて、前記「90度」は、前記「長方形」が正確な長方形であることを前提としたものであるが、該「長方形」が長方形と実質的に同一視できる種々の形を含むことからして90度に限定されない。
【0038】
さらに、図2(A)〜図2(D)には、第2端子23の実装部23cの下面を形成する境界線23c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する「2つの辺上にそれぞれ位置」していて、長方形の2つの短辺の寸法L2が該境界線23c1の寸法L1の「1/2」となっている態様を示したが、部品公差や組立公差や組立後の変形等を考慮すると「2つの辺上にそれぞれ位置」をその意味通りにすることや「1/2」をその意味通りにすることは実際上難しいことから、「2つの辺上にそれぞれ位置」は「2つの辺上にそれぞれ正確に位置」の他に「2つの辺上にそれぞれ略位置」をその意味として含み、「1/2」は「正確に1/2」の他に「約1/2」をその意味として含む。
【0039】
さらに、図2(A)〜図2(D)には、第2端子23の実装部23cの下面を形成する境界線23c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する「2つの辺上にそれぞれ位置」した態様を示したが、該境界線23c1の両端は必ずしも「2つの辺上にそれぞれ位置」させる必要は無く、例えば、境界線23c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺よりも僅かに内側に位置する態様や、該境界線23c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺よりも僅かに外側に位置する態様等を採用しても、前記同様の効果を発揮できる。
【0040】
さらに、図2(A)〜図2(D)には、前記長方形の2つの短辺の寸法L2が境界線23c1の寸法L1の「1/2」となっている態様を示したが、該寸法L2は必ずしも境界線23c1の寸法L1の「1/2」とする必要は無く、例えば、寸法L2が境界線23c1の寸法L1の1/2よりも僅かに小さい態様や、寸法L2が境界線23c1の寸法L1の1/2よりも僅かに大きい態様等を採用しても、前記同様の効果を発揮できる。
【0041】
さらに、図2(A)〜図2(D)には、第2端子23として脚部23bの幅が固定部23aの幅よりも小さいものを示したが、該脚部23bの幅を固定部23aの幅と同じにしても、逆に、該固定部23aの幅を脚部23bの幅と同じにしても、前記同様の効果を発揮できる。
【0042】
[第2実施形態]
図3(A)〜図3(D)は本発明を適用した端子付き電気化学セル(第2実施形態)を示すもので、該端子付き電気化学セル30は、ボタン型或いはコイン型の電気化学セル31に表面実装用の第1端子32及び第2端子33を設けて構成されている。因みに、図3(A)、図3(B)及び図3(D)に記した+印は電気化学セル31の中心を示し、二点鎖線の正方形は電気化学セル31に外接する外接正方形IQを示し、一点鎖線の直線は外接正方形IQの一対角線DLを示す。
【0043】
図3(A)〜図3(D)には、前記端子付き電気化学セル20(第1実施形態)と区別するために30番台の符号を用いて端子付き電気化学セル30を示したが、該端子付き電気化学セル30の第2端子33を除く構成は前記端子付き電気化学セル20(第1実施形態)と同じであるため、ここでは第2端子33の態様についてのみ説明し、該説明に続けて端子付き電気化学セル30に依る効果について説明し、該説明に続いて第2端子33の形状変形例等について説明する。
【0044】
第2端子33は、ニッケルやステンレスやニッケル−鉄合金等から成る略矩形状で所定厚さの金属板を異なる位置で二度折り曲げることによって形成されており、略矩形状の固定部33aと、固定部33aよりも幅が小さく、且つ、固定部33aの端縁から下側に直角に折れ曲がる矩形状の脚部33b(33b1は固定部33aとの境界線を示す)と、脚部33bの端縁から外側に直角に折れ曲がるU字形状の実装部33c(33c1は脚部33bとの境界線を示す)とを連続して有している。
【0045】
この第2端子33は外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されており、レーザー溶接や抵抗溶接や超音波溶接等の接合手法によって固定部33aの下面一部をセルケース31aの円形平面に固着されている。脚部33bは、固定部33aと実装部33cとの間に電気化学セル31の厚さに対応する高さを確保する部分となっており、実装部33cの下面は、電気化学セル31をその厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ31bの円形平面)が回路基板(図示省略)の被実装面と向き合った姿勢で表面実装するときに該回路基板のパッドに接続される実装面となっている。
【0046】
図3(B)及び図3(D)から分かるように、第2端子33の実装部33cの下面の形状は、境界線33c1と同じ寸法L1の1つの線分と1つの湾曲線(図面では半円弧)とで囲まれ、且つ、該境界線33c1が該線分として用いられたU字形(図面では半円形、図3(B)の網掛けを参照)を成しており、脚部33b側の2つの角の角度(前記湾曲線の前記線分との交点における接線が前記線分と成す角度であり、図3(D)のθで表される)は90度である。この実装部33cの下面(U字形面)は、該下面を形成する境界線33c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置しており、U字形を形成する線分及び湾曲線の中心が一対角線DL上に位置している。また、U字形の高さに当たる寸法L3が境界線33c1の寸法L1の1/2となっているため、湾曲線の中心が外接正方形IQの一角に位置している。
【0047】
要するに、第2端子33の実装部33cの下面(U字形面)の一部(1つの三角形領域)は外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部33cの下面(U字形面)の残部(2つの弓形領域)は該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。また、第2端子33の実装部33cの下面(U字形面)はその面積が一対角線DLによって二等分されているため、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの弓形領域)の面積は一対角線DLの両側において同じになっている。
【0048】
前記端子付き電気化学セル30は、第1端子32の実装部32cの下面(長方形面)と第2端子33の実装部33cの下面(U字形面)をハンダ等の接合材を介して回路基板のパッドに接続することによって、電気化学セル31の厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ31bの円形平面)が回路基板の被実装面と向き合った姿勢で表面実装される。
【0049】
前述の端子付き電気化学セル30にあっては、第2端子33が外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されていると共に、該第2端子33の実装部33cの下面(U字形面)の一部(1つの三角形領域)が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部33cの下面(U字形面)の残部(2つの弓形領域)が該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。つまり、第2端子33の実装部33cの下面の面積を増加させて第1端子32の実装部32cの下面の面積との格差を小さくできるため、表面実装後の端子付き電気化学セル30に振動等の負荷が加わっても、第2端子33の実装部33cの下面に第1端子32の実装部32cの下面よりも大きな応力が偏って生じることを抑制して該実装部33cの下面の接続に劣化を生じることを防止できる。
【0050】
また、前述の端子付き電気化学セル30にあっては、第2端子33の実装部33cの下面(U字形面)が該下面の面積を一対角線DLによって二等分される形状を成していて、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの弓形領域)の面積が該一対角線DLの両側において同じになっている。つまり、第2端子33の実装部33cの下面の面積を増加させる場合でも、表面実装後の端子付き電気化学セル30に振動等の負荷が加わったときに第2端子33の実装部33cの下面に生じた応力を一対角線DLの両側で均等になるようにして、前記の接続劣化の防止に貢献できる。
【0051】
さらに、前述の端子付き電気化学セル30にあっては、第2端子33の実装部33cの下面の形状が、該実装部33cと脚部33bとの境界線33c1と同じ寸法L1の1つの線分と1つの湾曲線(図面では半円弧)とで囲まれたU字形であり、且つ、該境界線33c1が該線分として用いられている。つまり、第2端子33の実装部33cの下面(U字形面)の脚部33b側の2つの角の角度が90度であり他に角が存在しないため、表面実装後の端子付き電気化学セル30に振動等の負荷が加わったときに第2端子33の実装部33cの下面に生じた応力が脚部33b側の2つの角に集中することを抑制して、前記の接続劣化の防止に貢献できる。これに対し、図1(A)〜図1(C)に示した従来の端子付き電気化学セル10にあっては、第2端子13の実装部13cの下面(三角形面)の脚部13b側の2つの角の角度が45度であり他の1つの角の角度が90度であるため、該実装部13cの下面に生じた応力が小角度である脚部13b側の2つの角に集中し易い。
【0052】
さらに、前述の端子付き電気化学セル30にあっては、第2端子33の実装部33cの下面を形成する境界線33c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置していて、前記U字形の高さに当たる寸法L3が境界線33c1の寸法L1の1/2となっている。つまり、第2端子33の実装部33cの下面の面積を増加させる場合でも、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの弓形領域)の面積を極力低減して、端子付き電気化学セル30を回路基板に表面実装するときの実装面積が必要以上に増加してしまうことを防止できる。
【0053】
さらに、前述の端子付き電気化学セル30にあっては、外接正方形IQの一角に第2端子33の実装部33cの下面が存し、該外接正方形IQの一角と隣接する一角に第1端子32の実装部32cの下面の一部が存する態様を有し、該端子付き電気化学セル30を下から見たときに第2端子33の実装部33cの下面の全部が電気化学セル31から外側に突出し、且つ、該実装部33cの下面面積に匹敵する面積をもって第1端子32の実装部32cの一部が電気化学セル31から外側に突出している。つまり、端子付き電気化学セル30をリフローハンダ付けによって回路基板に表面実装するときに、ハンダ付け不良、例えば第2端子33の実装部33cが浮き上がる現象、所謂、マンハッタン現象が生じることを抑制できる。
【0054】
尚、図3(A)〜図3(D)には、第2端子33の実装部33cの下面が該下面の面積を一対角線DLによって「二等分」される形状を成していて、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの弓形領域)の面積が該一対角線DLの両側において「同じ」になっている態様を示したが、部品公差や組立公差や組立後の変形等を考慮すると「二等分」をその意味通りにすることや「同じ」をその意味通りにすることは実際上難しいことから、「二等分」は「正確に二等分」の他に「略二等分」をその意味として含み、「同じ」は「正確に同じ」の他に「略同じ」をその意味として含む。
【0055】
また、図3(A)〜図3(D)には、第2端子33の実装部33cの下面の形状として脚部33b側の2つの角の角度が「90度」である「U字形」を示したが、該「U字形」は、図面に示した半円形の他、円弧角度が90度に満たない弓形や、円弧角度が90度を越える弓形や、前記湾曲線として楕円の一部等の曲率半径が一定でない曲線を利用した形、即ち、Uに近い形であれば適宜利用でき、前記同様の効果を発揮できる。加えて、前記「90度」は、前記「U字形」が半円形であることを前提としたものであるが、該「U字形」がUに近い種々の形を含むことからして90度には限定されない。
【0056】
さらに、図3(A)〜図3(D)には、第2端子33の実装部33cの下面を形成する境界線33c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する「2つの辺上にそれぞれ位置」していて、U字形の高さに当たる寸法L3が該境界線33c1の寸法L1の「1/2」となっている態様を示したが、部品公差や組立公差や組立後の変形等を考慮すると「2つの辺上にそれぞれ位置」をその意味通りにすることや「1/2」をその意味通りにすることは実際上難しいことから、「2つの辺上にそれぞれ位置」は「2つの辺上にそれぞれ正確に位置」の他に「2つの辺上にそれぞれ略位置」をその意味として含み、「1/2」は「正確に1/2」の他に「約1/2」をその意味として含む。
【0057】
さらに、図3(A)〜図3(D)には、第2端子33の実装部33cの下面を形成する境界線33c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する「2つの辺上にそれぞれ位置」した態様を示したが、該境界線33c1の両端は必ずしも「2つの辺上にそれぞれ位置」させる必要は無く、例えば、境界線33c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺よりも僅かに内側に位置する態様や、該境界線33c1の両端が外接正方形IQ一角を形成する2つの辺よりも僅かに外側に位置する態様を採用しても、前記同様の効果を発揮できる。
【0058】
さらに、図3(A)〜図3(D)には、前記U字形の高さに当たる寸法L3が境界線33c1の寸法L1の「1/2」となっている態様を示したが、該寸法L3は必ずしも境界線33c1の寸法L1の「1/2」とする必要は無く、例えば、寸法L3が境界線33c1の寸法L1の1/2よりも僅かに小さい態様や、寸法L3が境界線33c1の寸法L1の1/2よりも僅かに大きい態様等を採用しても、前記同様の効果を発揮できる。
【0059】
さらに、図3(A)〜図3(D)には、第2端子33として脚部33bの幅が固定部33aの幅よりも小さいものを示したが、該脚部33bの幅を固定部33aの幅と同じにしても、逆に、該固定部33aの幅を脚部33bの幅と同じにしても、前記同様の効果を発揮できる。
【0060】
[第3実施形態]
図4(A)〜図4(D)は本発明を適用した端子付き電気化学セル(第3実施形態)を示すもので、該端子付き電気化学セル40は、ボタン型或いはコイン型の電気化学セル41に表面実装用の第1端子42及び第2端子43を設けて構成されている。因みに、図4(A)、図4(B)及び図4(D)に記した+印は電気化学セル41の中心を示し、二点鎖線の正方形は電気化学セル41に外接する外接正方形IQを示し、一点鎖線の直線は外接正方形IQの一対角線DLを示す。
【0061】
図4(A)〜図4(D)には、前記端子付き電気化学セル20(第1実施形態)と区別するために40番台の符号を用いて端子付き電気化学セル40を示したが、該端子付き電気化学セル40の第2端子43を除く構成は前記端子付き電気化学セル20(第1実施形態)と同じであるため、ここでは第2端子43の態様についてのみ説明し、該説明に続けて端子付き電気化学セル40に依る効果について説明し、該説明に続いて第2端子43の形状変形例等について説明する。
【0062】
第2端子43は、ニッケルやステンレスやニッケル−鉄合金等から成る略矩形状で所定厚さの金属板を異なる位置で二度折り曲げることによって形成されており、略矩形状の固定部43aと、固定部43aよりも幅が小さく、且つ、固定部43aの端縁から下側に直角に折れ曲がる矩形状の脚部43b(43b1は固定部43aとの境界線を示す)と、脚部43bの端縁から外側に直角に折れ曲がる台形状の実装部43c(43c1は脚部43bとの境界線を示す)とを連続して有している。
【0063】
この第2端子43は外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されており、レーザー溶接や抵抗溶接や超音波溶接等の接合手法によって固定部43aの下面一部をセルケース41aの円形平面に固着されている。脚部43bは、固定部43aと実装部43cとの間に電気化学セル41の厚さに対応する高さを確保する部分となっており、実装部43cの下面は、電気化学セル41をその厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ41bの円形平面)が回路基板(図示省略)の被実装面と向き合った姿勢で表面実装するときに該回路基板のパッドに接続される実装面となっている。
【0064】
図4(B)及び図4(D)から分かるように、第2端子43の実装部43cの下面の形状は、境界線43c1と同じ寸法L1の下底と該下底よりも小さい寸法L5の上底と該下底と75度の角度θを成す2つの辺とで囲まれ、且つ、該境界線43c1が該下底として用いられた台形(図4(B)の網掛けを参照)を成しており、脚部43b側の2つの角の角度は75度である。この実装部43cの下面の下面(台形面)は、該下面を形成する境界線43c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置しており、台形の下底及び上底の中心は一対角線DL上に位置している。また、台形の高さに当たる寸法L4が境界線43c1の寸法L1の1/2となっているため、上底の中心が外接正方形IQの一角に位置している。
【0065】
要するに、第2端子43の実装部43cの下面(台形面)の一部(1つの三角形領域)は外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部43cの下面(台形面)の残部(2つの三角形領域)は該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。また、第2端子43の実装部43cの下面(台形面)はその面積が一対角線DLによって二等分されているため、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの三角形領域)の面積は一対角線DLの両側において同じになっている。
【0066】
前記端子付き電気化学セル40は、第1端子42の実装部42cの下面(長方形面)と第2端子43の実装部43cの下面(台形面)をハンダ等の接合材を介して回路基板のパッドに接続することによって、電気化学セル41の厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ41bの円形平面)が回路基板の被実装面と向き合った姿勢で表面実装される。
【0067】
前述の端子付き電気化学セル40にあっては、第2端子43が外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されていると共に、該第2端子43の実装部43cの下面(台形面)の一部(1つの三角形領域)が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部43cの下面(台形面)の残部(2つの三角形領域)が該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。つまり、第2端子43の実装部43cの下面の面積を増加させて第1端子42の実装部42cの下面の面積との格差を小さくできるため、表面実装後の端子付き電気化学セル40に振動等の負荷が加わっても、第2端子43の実装部43cの下面に第1端子42の実装部42cの下面よりも大きな応力が偏って生じることを抑制して該実装部43cの下面の接続に劣化を生じることを防止できる。
【0068】
また、前述の端子付き電気化学セル40にあっては、第2端子43の実装部43cの下面(台形面)が該下面の面積を一対角線DLによって二等分される形状を成していて、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの三角形領域)の面積が該一対角線DLの両側において同じになっている。つまり、第2端子43の実装部43cの下面の面積を増加させる場合でも、表面実装後の端子付き電気化学セル40に振動等の負荷が加わったときに第2端子43の実装部43cの下面に生じた応力を一対角線DLの両側で均等になるようにして、前記の接続劣化の防止に貢献できる。
【0069】
さらに、前述の端子付き電気化学セル40にあっては、第2端子43の実装部43cの下面の形状が、該実装部43cと脚部43bとの境界線43c1と同じ寸法L1の下底と該下底よりも小さい寸法L5の上底と該下底と75度の角度θを成す2つの辺とで囲まれた台形であり、且つ、該境界線43c1が該下底として用いられている。つまり、第2端子43の実装部43cの下面(台形面)の脚部43b側の2つの角の角度が75度であり他の2つの角の角度が105度であるため、表面実装後の端子付き電気化学セル40に振動等の負荷が加わったときに第2端子43の実装部43cの下面に生じた応力が脚部43b側の2つの角に集中することを抑制して、前記の接続劣化の防止に貢献できる。これに対し、図1(A)〜図1(C)に示した従来の端子付き電気化学セル10にあっては、第2端子13の実装部13cの下面(三角形面)の脚部13b側の2つの角の角度が45度であり他の1つの角の角度が90度であるため、該実装部13cの下面に生じた応力が小角度である脚部13b側の2つの角に集中し易い。
【0070】
さらに、前述の端子付き電気化学セル40にあっては、第2端子43の実装部43cの下面を形成する境界線43c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置していて、前記台形の高さに当たる寸法L4が境界線43c1の寸法L1の1/2となっている。つまり、第2端子43の実装部43cの下面の面積を増加させる場合でも、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの三角形領域)の面積を極力低減して、端子付き電気化学セル40を回路基板に表面実装するときの実装面積が必要以上に増加してしまうことを防止できる。
【0071】
さらに、前述の端子付き電気化学セル40にあっては、外接正方形IQの一角に第2端子43の実装部43cの下面が存し、該外接正方形IQの一角と隣接する一角に第1端子42の実装部42cの下面の一部が存する態様を有し、該端子付き電気化学セル40を下から見たときに第2端子43の実装部43cの下面の全部が電気化学セル41から外側に突出し、且つ、該実装部43cの下面面積に匹敵する面積をもって第1端子42の実装部42cの一部が電気化学セル41から外側に突出している。つまり、端子付き電気化学セル40をリフローハンダ付けによって回路基板に表面実装するときに、ハンダ付け不良、例えば第2端子43の実装部43cが浮き上がる現象、所謂、マンハッタン現象が生じることを抑制できる。
【0072】
図5(A)と図5(B)は前記実装部43cの形状変形例を示すもので、図5(A)に示した実装部43cの下面の形状は、該実装部43cと脚部43bとの境界線43c1と同じ寸法L1の下底と該下底よりも大きい寸法L5の上底と該下底と105度の角度θを成す2つの辺とで囲まれた台形を成している。また、図5(B)に示した実装部43cの下面の形状は、該実装部43cと脚部43bとの境界線43c1と同じ寸法L1の下底と該下底よりも大きい寸法L5の上底と該下底と135度の角度θを成す2つの辺とで囲まれた台形を成している。前記実装部43cの形状を図5(A)と図5(B)に示した実装部43cのように変えても、前記と同様の効果を発揮できる。
【0073】
尚、図4(A)〜図4(D)と図5(A)と図5(B)には、第2端子43の実装部43cの下面が該下面の面積を一対角線DLによって「二等分」される形状を成していて、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの三角形領域)の面積が該一対角線DLの両側において「同じ」になっている態様を示したが、部品公差や組立公差や組立後の変形等を考慮すると「二等分」をその意味通りにすることや「同じ」をその意味通りにすることは実際上難しいことから、「二等分」は「正確に二等分」の他に「略二等分」をその意味として含み、「同じ」は「正確に同じ」の他に「略同じ」をその意味として含む。
【0074】
また、図4(A)〜図4(D)と図5(A)と図5(B)には、第2端子43の実装部43cの下面の形状として脚部43b側の2つの角の角度が「75度」、「105度」または「135度」である「台形」を示したが、該「台形」は、4つの角のうちの外側2つの角に丸み付けが施された形や、下底と上底が正確に平行になっていない形、即ち、台形と実質的に同一視できる形であれば適宜利用でき、前記同様の効果を発揮できる。加えて、前記「75度」、「105度」または「135度」は、前記「台形」の下底と上底との長さ関係に応じて変化するものであり、該「台形」が台形と実質的に同一視できる種々の形を含むことからこれら角度には限定されない。
【0075】
さらに、図4(A)〜図4(D)と図5(A)と図5(B)には、第2端子43の実装部43cの下面を形成する境界線43c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する「2つの辺上にそれぞれ位置」していて、台形の高さに当たる寸法L4が該境界線43c1の寸法L1の「1/2」となっている態様を示したが、部品公差や組立公差や組立後の変形等を考慮すると「2つの辺上にそれぞれ位置」をその意味通りにすることや「1/2」をその意味通りにすることは実際上難しいことから、「2つの辺上にそれぞれ位置」は「2つの辺上にそれぞれ正確に位置」の他に「2つの辺上にそれぞれ略位置」をその意味として含み、「1/2」は「正確に1/2」の他に「約1/2」をその意味として含む。
【0076】
さらに、図4(A)〜図4(D)と図5(A)と図5(B)には、第2端子43の実装部43cの下面を形成する境界線43c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する「2つの辺上にそれぞれ位置」した態様を示したが、該境界線43c1の両端は必ずしも「2つの辺上にそれぞれ位置」させる必要は無く、例えば、境界線43c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺よりも僅かに内側に位置する態様や、該境界線43c1の両端が外接正方形IQ一角を形成する2つの辺よりも僅かに外側に位置する態様を採用しても、前記同様の効果を発揮できる。
【0077】
さらに、図4(A)〜図4(D)と図5(A)と図5(B)には、前記台形の高さに当たる寸法L4が境界線43c1の寸法L1の「1/2」となっている態様を示したが、該寸法L4は必ずしも境界線43c1の寸法L1の「1/2」とする必要は無く、例えば、寸法L4が境界線43c1の寸法L1の1/2よりも僅かに小さい態様や、寸法L3が境界線43c1の寸法L1の1/2よりも僅かに大きい態様等を採用しても、前記同様の効果を発揮できる。
【0078】
さらに、図4(A)〜図4(D)と図5(A)と図5(B)には、第2端子43として脚部43bの幅が固定部43aの幅よりも小さいものを示したが、該脚部43bの幅を固定部43aの幅と同じにしても、逆に、該固定部43aの幅を脚部43bの幅と同じにしても、前記同様の効果を発揮できる。
【0079】
[第4実施形態]
図6(A)〜図6(D)は本発明を適用した端子付き電気化学セル(第4実施形態)を示すもので、該端子付き電気化学セル50は、ボタン型或いはコイン型の電気化学セル51に表面実装用の第1端子52及び第2端子53を設けて構成されている。因みに、図6(A)、図6(B)及び図6(D)に記した+印は電気化学セル51の中心を示し、二点鎖線の正方形は電気化学セル51に外接する外接正方形IQを示し、一点鎖線の直線は外接正方形IQの一対角線DLを示す。
【0080】
図6(A)〜図6(D)には、前記端子付き電気化学セル20(第1実施形態)と区別するために50番台の符号を用いて端子付き電気化学セル50を示したが、該端子付き電気化学セル50の第2端子53を除く構成は前記端子付き電気化学セル20(第1実施形態)と同じであるため、ここでは第2端子53の態様についてのみ説明し、該説明に続けて端子付き電気化学セル50に依る効果について説明し、該説明に続いて第2端子53の形状変形例等について説明する。
【0081】
第2端子53は、ニッケルやステンレスやニッケル−鉄合金等から成る略矩形状で所定厚さの金属板を異なる位置で二度折り曲げることによって形成されており、略矩形状の固定部53aと、固定部53aよりも幅が小さく、且つ、固定部53aの端縁から下側に直角に折れ曲がる矩形状の脚部53b(53b1は固定部53aとの境界線を示す)と、脚部53bの端縁から外側に直角に折れ曲がる三角形状の実装部53c(53c1は脚部53bとの境界線を示す)とを連続して有している。
【0082】
この第2端子53は外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されており、レーザー溶接や抵抗溶接や超音波溶接等の接合手法によって固定部53aの下面一部をセルケース51aの円形平面に固着されている。脚部53bは、固定部53aと実装部53cとの間に電気化学セル51の厚さに対応する高さを確保する部分となっており、実装部53cの下面は、電気化学セル51をその厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ51bの円形平面)が回路基板(図示省略)の被実装面と向き合った姿勢で表面実装するときに該回路基板のパッドに接続される実装面となっている。
【0083】
図6(B)及び図6(D)から分かるように、第2端子53の実装部53cの下面の形状は、境界線53c1と同じ寸法L1の底辺と該底辺と60度の角度θを成す2つの辺とで囲まれ、且つ、該境界線53c1が該底辺として用いられた三角形(図面では正三角形、図6(B)の網掛けを参照)を成しており、脚部53b側の2つの角の角度は60度である。この実装部53cの下面(三角形面)は、該下面を形成する境界線53c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置しており、三角形の底辺の中心と頂角が一対角線DL上に位置している。また、三角形の高さに当たる寸法L6が境界線53c1の寸法L1の1/2よりも大きくなっているため、頂点は外接正方形IQの一角の外側に位置している。
【0084】
要するに、第2端子53の実装部53cの下面(三角形面)の一部(1つの三角形領域)は外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部53cの下面(三角形面)の残部(1つのV状領域)は該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。また、第2端子53の実装部53cの下面(三角形面)はその面積が一対角線DLによって二等分されているため、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(1つのV状領域)の面積は一対角線DLの両側において同じになっている。
【0085】
前記端子付き電気化学セル50は、第1端子52の実装部52cの下面(長方形面)と第2端子53の実装部53cの下面(三角形面)をハンダ等の接合材を介して回路基板のパッドに接続することによって、電気化学セル51の厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ51bの円形平面)が回路基板の被実装面と向き合った姿勢で表面実装される。
【0086】
前述の端子付き電気化学セル50にあっては、第2端子53が外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されていると共に、該第2端子53の実装部53cの下面(三角形面)の一部(1つの三角形領域)が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部53cの下面(三角形面)の残部(1つのV状領域)が該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。つまり、第2端子53の実装部53cの下面の面積を増加させて第1端子52の実装部52cの下面の面積との格差を小さくできるため、表面実装後の端子付き電気化学セル50に振動等の負荷が加わっても、第2端子53の実装部53cの下面に第1端子52の実装部52cの下面よりも大きな応力が偏って生じることを抑制して該実装部53cの下面の接続に劣化を生じることを防止できる。
【0087】
また、前述の端子付き電気化学セル50にあっては、第2端子53の実装部53cの下面(三角形面)が該下面の面積を一対角線DLによって二等分される形状を成していて、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(1つのV状領域)の面積が該一対角線DLの両側において同じになっている。つまり、第2端子53の実装部53cの下面の面積を増加させる場合でも、表面実装後の端子付き電気化学セル50に振動等の負荷が加わったときに第2端子53の実装部53cの下面に生じた応力を一対角線DLの両側で均等になるようにして、前記の接続劣化の防止に貢献できる。
【0088】
さらに、前述の端子付き電気化学セル50にあっては、第2端子53の実装部53cの下面の形状が、該実装部53cと脚部53bとの境界線53c1と同じ寸法L1の底辺と該底辺と60度の角度θを成す2つの辺とで囲まれた三角形であり、且つ、該境界線53c1が該底辺として用いられている。つまり、第2端子53の実装部53cの下面(三角形面)の脚部53b側の2つの角の角度が60度であり他の1つの角の角度も60度であるため、表面実装後の端子付き電気化学セル50に振動等の負荷が加わったときに第2端子53の実装部53cの下面に生じた応力が脚部53b側の2つの角に集中することを抑制して、前記の接続劣化の防止に貢献できる。これに対し、図1(A)〜図1(C)に示した従来の端子付き電気化学セル10にあっては、第2端子13の実装部13cの下面(三角形面)の脚部13b側の2つの角の角度が45度であり他の1つの角の角度が90度であるため、該実装部13cの下面に生じた応力が小角度である脚部13b側の2つの角に集中し易い。
【0089】
さらに、前述の端子付き電気化学セル50にあっては、第2端子53の実装部53cの下面を形成する境界線53c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置していて、前記三角形の高さに当たる寸法L6が境界線53c1の寸法L1の1/2よりも大きくなっている。つまり、第2端子53の実装部53cの下面の面積を増加させる場合でも、寸法L6が極端に大きくならないように調整すれば、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(1つのV状領域)の面積を極力低減して、端子付き電気化学セル50を回路基板に表面実装するときの実装面積が必要以上に増加してしまうことを防止できる。
【0090】
さらに、前述の端子付き電気化学セル50にあっては、外接正方形IQの一角に第2端子53の実装部53cの下面が存し、該外接正方形IQの一角と隣接する一角に第1端子52の実装部52cの下面の一部が存する態様を有し、該端子付き電気化学セル50を下から見たときに第2端子53の実装部53cの下面の全部が電気化学セル51から外側に突出し、且つ、該実装部53cの下面面積に匹敵する面積をもって第1端子52の実装部52cの一部が電気化学セル51から外側に突出している。つまり、端子付き電気化学セル50をリフローハンダ付けによって回路基板に表面実装するときに、ハンダ付け不良、例えば第2端子53の実装部53cが浮き上がる現象、所謂、マンハッタン現象が生じることを抑制できる。
【0091】
尚、図6(A)〜図6(D)には、第2端子53の実装部53cの下面が該下面の面積を一対角線DLによって「二等分」される形状を成していて、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(1つのV状領域)の面積が該一対角線DLの両側において「同じ」になっている態様を示したが、部品公差や組立公差や組立後の変形等を考慮すると「二等分」をその意味通りにすることや「同じ」をその意味通りにすることは実際上難しいことから、「二等分」は「正確に二等分」の他に「略二等分」をその意味として含み、「同じ」は「正確に同じ」の他に「略同じ」をその意味として含む。
【0092】
また、図6(A)〜図6(D)には、第2端子53の実装部53cの下面の形状として脚部53b側の2つの角の角度が「60度」である「三角形」を示したが、該「三角形」は、図面に示した正三角形の他、二等辺三角形や、2つの底角の角度が正確に同じになっていない形や、頂角に丸み付けが施された形、即ち、三角形と実質的に同一視できる形であれば適宜利用でき、前記同様の効果を発揮できる。加えて、前記「60度」は、前記「三角形」が正三角形であることを前提としたものであるが、該「三角形」が三角形と実質的に同一視できる種々の形を含むことからして60度には限定されない。
【0093】
さらに、図6(A)〜図6(D)には、第2端子53の実装部53cの下面を形成する境界線53c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する「2つの辺上にそれぞれ位置」している態様を示したが、部品公差や組立公差や組立後の変形等を考慮すると「2つの辺上にそれぞれ位置」をその意味通りにすることは実際上難しいことから、「2つの辺上にそれぞれ位置」は「2つの辺上にそれぞれ正確に位置」の他に「2つの辺上にそれぞれ略位置」をその意味として含む。
【0094】
さらに、図6(A)〜図6(D)には、第2端子53の実装部53cの下面を形成する境界線53c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する「2つの辺上にそれぞれ位置」した態様を示したが、該境界線53c1の両端は必ずしも「2つの辺上にそれぞれ位置」させる必要は無く、例えば、境界線53c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺よりも僅かに内側に位置する態様や、該境界線53c1の両端が外接正方形IQ一角を形成する2つの辺よりも僅かに外側に位置する態様を採用しても、前記同様の効果を発揮できる。
【0095】
さらに、図6(A)〜図6(D)には、第2端子53として脚部53bの幅が固定部53aの幅よりも小さいものを示したが、該脚部53bの幅を固定部53aの幅と同じにしても、逆に、該固定部53aの幅を脚部53bの幅と同じにしても、前記同様の効果を発揮できる。
【0096】
[第5実施形態]
図7(A)〜図7(D)は本発明を適用した端子付き電気化学セル(第5実施形態)を示すもので、該端子付き電気化学セル60は、ボタン型或いはコイン型の電気化学セル61に表面実装用の第1端子62及び第2端子63を設けて構成されている。因みに、図7(A)、図7(B)及び図7(D)に記した+印は電気化学セル61の中心を示し、二点鎖線の正方形は電気化学セル61に外接する外接正方形IQを示し、一点鎖線の直線は外接正方形IQの一対角線DLを示す。
【0097】
図7(A)〜図7(D)には、前記端子付き電気化学セル20(第1実施形態)と区別するために60番台の符号を用いて端子付き電気化学セル60を示したが、該端子付き電気化学セル60の第2端子63を除く構成は前記端子付き電気化学セル20(第1実施形態)と同じであるため、ここでは第2端子63の態様についてのみ説明し、該説明に続けて端子付き電気化学セル60に依る効果について説明し、該説明に続いて第2端子63の形状変形例等について説明する。
【0098】
第2端子63は、ニッケルやステンレスやニッケル−鉄合金等から成る略矩形状で所定厚さの金属板を異なる位置で二度折り曲げることによって形成されており、略矩形状の固定部63aと、固定部63aよりも幅が小さく、且つ、固定部63aの端縁から下側に直角に折れ曲がる矩形状の脚部63b(63b1は固定部63aとの境界線を示す)と、脚部63bの端縁から外側に直角に折れ曲がる矩形状の実装部63c(63c1は脚部63bとの境界線を示す)とを連続して有している。
【0099】
この第2端子63は外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されており、レーザー溶接や抵抗溶接や超音波溶接等の接合手法によって固定部63aの下面一部をセルケース61aの円形平面に固着されている。脚部63bは、固定部63aと実装部63cとの間に電気化学セル61の厚さに対応する高さを確保する部分となっており、実装部63cの下面は、電気化学セル61をその厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ61bの円形平面)が回路基板(図示省略)の被実装面と向き合った姿勢で表面実装するときに該回路基板のパッドに接続される実装面となっている。
【0100】
図7(B)及び図7(D)から分かるように、第2端子63の実装部63cの下面の形状は、境界線63c1よりも大きな寸法L8の2つの長辺と該長辺よりも小さい寸法L7の2つの短辺とで囲まれ、且つ、該境界線63c1が該2つの長辺の一方の一部として用いられた長方形(図7(B)の網掛けを参照)を成しており、4つの角の角度は90度である。この実装部63cの下面(長方形面)は、該下面を形成する境界線63c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置しており、長方形の2つの長辺の中心が一対角線DL上に位置している。また、長方形の2つの短辺の寸法L7が境界線63c1の寸法L1の1/2となっているため、外側の長辺の中心が外接正方形IQの一角に位置している。
【0101】
要するに、第2端子63の実装部63cの下面(長方形面)の一部(1つの三角形領域)は外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部63cの下面(長方形面)の残部(2つの台形領域)は該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。また、第2端子63の実装部63cの下面(長方形面)はその面積が一対角線DLによって二等分されているため、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの台形領域)の面積は一対角線DLの両側において同じになっている。
【0102】
前記端子付き電気化学セル60は、第1端子62の実装部62cの下面(長方形面)と第2端子63の実装部63cの下面(長方形面)をハンダ等の接合材を介して回路基板のパッドに接続することによって、電気化学セル61の厚さ方向の一面(図面ではセルキャップ61bの円形平面)が回路基板の被実装面と向き合った姿勢で表面実装される。
【0103】
前述の端子付き電気化学セル60にあっては、第2端子63が外接正方形IQの一対角線DLの方向に配置されていると共に、該第2端子63の実装部63cの下面(長方形面)の一部(1つの三角形領域)が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部63cの下面(長方形面)の残部(2つの台形領域)が該外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出している。つまり、第2端子63の実装部23cの下面の面積を増加させて第1端子62の実装部62cの下面の面積との格差を小さくできるため、表面実装後の端子付き電気化学セル60に振動等の負荷が加わっても、第2端子63の実装部63cの下面に第1端子62の実装部62cの下面よりも大きな応力が偏って生じることを抑制して該実装部63cの下面の接続に劣化を生じることを防止できる。
【0104】
また、前述の端子付き電気化学セル60にあっては、第2端子63の実装部63cの下面(長方形面)が該下面の面積を一対角線DLによって二等分される形状を成していて、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの台形領域)の面積が該一対角線DLの両側において同じになっている。つまり、第2端子63の実装部63cの下面の面積を増加させる場合でも、表面実装後の端子付き電気化学セル60に振動等の負荷が加わったときに第2端子63の実装部63cの下面に生じた応力を一対角線DLの両側で均等になるようにして、前記の接続劣化の防止に貢献できる。
【0105】
さらに、前述の端子付き電気化学セル60にあっては、第2端子63の実装部63cの下面の形状が、該実装部63cと脚部63bとの境界線63c1よりも大きな寸法L8の2つの長辺と該長辺よりも小さい寸法L7の2つの短辺とで囲まれた長方形であり、且つ、該境界線63c1が該2つの長辺の一方の一部として用いられている。つまり、第2端子63の実装部63cの下面(長方形面)の脚部63b側の2つの角の角度が90度であり他の2つの角の角度も90度であるため、表面実装後の端子付き電気化学セル60に振動等の負荷が加わったときに第2端子63の実装部63cの下面に生じた応力が脚部63b側の2つの角に集中することを抑制して、前記の接続劣化の防止に貢献できる。これに対し、図1(A)〜図1(C)に示した従来の端子付き電気化学セル10にあっては、第2端子13の実装部13cの下面(三角形面)の脚部13b側の2つの角の角度が45度であり他の1つの角の角度が90度であるため、該実装部13cの下面に生じた応力が小角度である脚部13b側の2つの角に集中し易い。
【0106】
さらに、前述の端子付き電気化学セル60にあっては、第2端子63の実装部63cの下面を形成する境界線63c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置していて、前記長方形の2つの短辺の寸法L7が該境界線23c1の寸法L1の1/2となっている。つまり、第2端子63の実装部63cの下面の面積を増加させる場合でも、寸法L8が極端に大きくならないように調整すれば、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの台形領域)の面積を極力低減して、端子付き電気化学セル60を回路基板に表面実装するときの実装面積が必要以上に増加してしまうことを防止できる。
【0107】
さらに、前述の端子付き電気化学セル60にあっては、外接正方形IQの一角に第2端子63の実装部63cの下面が存し、該外接正方形IQの一角と隣接する一角に第1端子62の実装部62cの下面の一部が存する態様を有し、該端子付き電気化学セル60を下から見たときに第2端子63の実装部63cの下面の全部が電気化学セル61から外側に突出し、且つ、該実装部63cの下面面積に匹敵する面積をもって第1端子62の実装部62cの下面の一部が電気化学セル61から外側に突出している。つまり、端子付き電気化学セル60をリフローハンダ付けによって回路基板に表面実装するときに、ハンダ付け不良、例えば第2端子63の実装部63cが浮き上がる現象、所謂、マンハッタン現象が生じることを抑制できる。
【0108】
尚、図7(A)〜図7(D)には、第2端子63の実装部63cの下面が該下面の面積を一対角線DLによって「二等分」される形状を成していて、外接正方形IQの一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部(2つの台形領域)の面積が該一対角線DLの両側において「同じ」になっている態様を示したが、部品公差や組立公差や組立後の変形等を考慮すると「二等分」をその意味通りにすることや「同じ」をその意味通りにすることは実際上難しいことから、「二等分」は「正確に二等分」の他に「略二等分」をその意味として含み、「同じ」は「正確に同じ」の他に「略同じ」をその意味として含む。
【0109】
また、図7(A)〜図7(D)には、第2端子63の実装部63cの下面の形状として4つの角全ての角度が「90度」である「長方形」を示したが、該「長方形」は、4つの角のうちの外側2つの角に丸み付けが施された形や、長方形の4つの角の角度が正確に90度になっていない形、即ち、長方形と実質的に同一視できる形であれば適宜利用でき、前記同様の効果を発揮できる。加えて、前記「90度」は、前記「長方形」が正確な長方形であることを前提としたものであるが、該「長方形」が長方形と実質的に同一視できる種々の形を含むことからして90度に限定されない。
【0110】
さらに、図7(A)〜図7(D)には、第2端子63の実装部63cの下面を形成する境界線63c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する「2つの辺上にそれぞれ位置」していて、長方形の2つの短辺の寸法L7が該境界線63c1の寸法L1の「1/2」となっている態様を示したが、部品公差や組立公差や組立後の変形等を考慮すると「2つの辺上にそれぞれ位置」をその意味通りにすることや「1/2」をその意味通りにすることは実際上難しいことから、「2つの辺上にそれぞれ位置」は「2つの辺上にそれぞれ正確に位置」の他に「2つの辺上にそれぞれ略位置」をその意味として含み、「1/2」は「正確に1/2」の他に「約1/2」をその意味として含む。
【0111】
さらに、図7(A)〜図7(D)には、第2端子63の実装部63cの下面を形成する境界線63c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する「2つの辺上にそれぞれ位置」した態様を示したが、該境界線63c1の両端は必ずしも「2つの辺上にそれぞれ位置」させる必要は無く、例えば、境界線63c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺よりも僅かに内側に位置する態様や、該境界線63c1の両端が外接正方形IQの一角を形成する2つの辺よりも僅かに外側に位置する態様等を採用しても、前記同様の効果を発揮できる。
【0112】
さらに、図7(A)〜図7(D)には、前記長方形の2つの短辺の寸法L7が境界線63c1の寸法L1の「1/2」となっている態様を示したが、該寸法L7は必ずしも境界線63c1の寸法L1の「1/2」とする必要は無く、例えば、寸法L7が境界線63c1の寸法L1の1/2よりも僅かに小さい態様や、寸法L7が境界線63c1の寸法L1の1/2よりも僅かに大きい態様等を採用しても、前記同様の効果を発揮できる。
【0113】
さらに、図7(A)〜図7(D)には、第2端子63として脚部63bの幅が固定部63aの幅よりも小さいものを示したが、該脚部63bの幅を固定部63aの幅と同じにしても、逆に、該固定部63aの幅を脚部63bの幅と同じにしても、前記同様の効果を発揮できる。
【符号の説明】
【0114】
20,30,40,50,60…端子付き電気化学セル、21,31,41,51,61…電気化学セル、21a,31a,41a,51a,61a…セルケース、21b,31b,41b,51b,61b…セルキャップ、22,32,42,52,62…第1端子、22a,32a,42a,52a,62a…固定部、22c,32c,42c,52c,62c…実装部、23,33,43,53,63…第2端子、23a,33a,43a,53a,63a…固定部、23b,33b,43b,53b,63b…脚部、23c,33c,43c,53c,63c…実装部、IQ…外接正方形、DL…外接正方形の一対角線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極の一方として使用されるセルケースと他方として使用されるセルキャップとの内側に発電素子または蓄電素子が封入されたボタン型或いはコイン型の電気化学セルと、固定部と実装部とを連続して有し該固定部を前記セルケースと前記セルキャップの一方に固着された第1端子と、固定部と高さ確保用脚部と実装部とを連続して有し該固定部を前記セルケースと前記セルキャップの他方に固着された第2端子とを備え、前記電気化学セルをその厚さ方向の一面が回路基板の被実装面と向き合った姿勢で表面実装するときに前記第1端子の実装部の下面と前記第2端子の実装部の下面が該回路基板のパッドに接続される実装面となっている端子付き電気化学セルにおいて、
前記第2端子は前記電気化学セルに外接する外接正方形の一対角線の方向に配置されていると共に、該第2端子の実装部の下面の一部は前記外接正方形の一角を形成する2つの辺から外側に突出しておらず、且つ、該実装部の下面の残部は前記外接正方形の一角を形成する2つの辺から外側に突出している、
ことを特徴とする端子付き電気化学セル。
【請求項2】
前記第2端子の実装部の下面は該下面の面積が前記一対角線によって二等分される形状を成していて、前記外接正方形の一角を形成する2つの辺から外側に突出する前記残部の面積は前記一対角線の両側において同じになっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の端子付き電気化学セル。
【請求項3】
前記第2端子の実装部の下面の形状が、該実装部と前記脚部との境界線と同じ寸法の2つの長辺と該長辺よりも小さい寸法の2つの短辺とで囲まれた長方形であり、且つ、前記境界線が前記2つの長辺の一方として用いられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の端子付き電気化学セル。
【請求項4】
前記第2端子の実装部の下面を形成する前記境界線の両端は前記外接正方形の一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置していて、前記長方形の2つの短辺の寸法は前記境界線の寸法の1/2となっている、
ことを特徴とする請求項3に記載の端子付き電気化学セル。
【請求項5】
前記第2端子の実装部の下面の形状が、該実装部と前記脚部との境界線と同じ寸法の1つの線分と1つの湾曲線とで囲まれたU字形であり、且つ、前記境界線が前記線分として用いられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の端子付き電気化学セル。
【請求項6】
前記第2端子の実装部の下面を形成する前記境界線の両端は前記外接正方形の一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置していて、前記U字形の高さに当たる寸法は前記境界線の寸法の1/2となっている、
ことを特徴とする請求項5に記載の端子付き電気化学セル。
【請求項7】
前記第2端子の実装部の下面の形状が、該実装部と前記脚部との境界線と同じ寸法の下底と該下底と寸法が異なる上底と2つの辺とで囲まれた台形であり、且つ、前記境界線が前記下底として用いられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の端子付き電気化学セル。
【請求項8】
前記第2端子の実装部の下面を形成する前記境界線の両端は前記外接正方形の一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置していて、前記台形の高さに当たる寸法は前記境界線の寸法の1/2となっている、
ことを特徴とする請求項7に記載の端子付き電気化学セル。
【請求項9】
前記第2端子の実装部の下面の形状が、該実装部と前記脚部との境界線と同じ寸法の底辺と2つの辺とで囲まれた三角形であり、且つ、前記境界線が前記底辺として用いられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の端子付き電気化学セル。
【請求項10】
前記第2端子の実装部の下面を形成する前記境界線の両端は前記外接正方形の一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置していて、前記三角形の高さに当たる寸法は前記境界線の寸法の1/2よりも大きい、
ことを特徴とする請求項9に記載の端子付き電気化学セル。
【請求項11】
前記第2端子の実装部の下面の形状は、該実装部と前記脚部との境界線よりも大きな寸法の2つの長辺と該長辺よりも小さい寸法の2つの短辺とで囲まれた長方形であり、且つ、前記境界線が前記2つの長辺の一方の一部として用いられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の端子付き電気化学セル。
【請求項12】
前記第2端子の実装部の下面を形成する前記境界線の両端は前記外接正方形の一角を形成する2つの辺上にそれぞれ位置していて、前記長方形の2つの短辺の寸法は前記境界線の寸法の1/2となっている、
ことを特徴とする請求項11に記載の端子付き電気化学セル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−195202(P2012−195202A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59141(P2011−59141)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】