説明

端子台構造とこれを備えたスイッチ

【課題】固定端子に連設された端子接続部に外部配線を、端子ネジを介して接続するよう構成した端子台構造において、サイズの異なる端子ネジに安価に対応することができるようにする。
【解決手段】端子接続部18a,19aに端子ネジ25より大径の透孔26を形成するとともに、端子接続部18a,19aの背部におけるケース部位に端子ネジ25が螺入されるナット28を回動不能に位置決め配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のスイッチなどに利用される端子台構造、および、端子台を備えたスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、リミットスイッチにおいては、操作レバーによって回動される操作軸の回動をプランジャの直線変位に変換して内蔵したスイッチング機構を切換え操作するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−135780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スイッチング機構を支持したケースの前面には、スイッチング機構の固定端子に外部配線を接続する端子台が配備されており、固定端子に連設された端子接続部に外部配線を、端子ネジを介して接続するよう構成されている。
【0004】
かかる端子台では、例えば、図11に示すように、各固定端子35,36に連設された端子接続部35a,36aにはバーリング加工によってねじ込みボス部35b、36bが背部に向けて突設されて、端子ネジ37のねじ込み強度を確保するに足りるネジ込み長さを得られるようにしている。
【0005】
しかし、使用される端子ネジにはM3〜M6の各種サイズがあり、使用する端子ネジのサイズに応じたネジ孔を持った端子接続部に固定端子を加工することになり、サイズに対応してバーリング加工用金型を変更したり、サイズごとの固定端子加工ラインを利用しなければならず、固定端子の加工コストが高くつくものとなっていた。
【0006】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、サイズの異なる端子ネジに安価に対応することができる端子台構造、および、これを備えたスイッチを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の端子台構造は、固定端子に連設された端子接続部に外部配線を、端子ネジを介して接続する端子台構造であって、前記端子接続部に前記端子ネジより大径の透孔を形成するとともに、端子接続部の背部におけるケース部位に、前記端子ネジが螺入されるナットを回動不能に位置決め配置している。
【0008】
本発明によると、固定端子の端子接続部に形成する透孔を、使用する最大サイズの端子ネジの径より大径に形成し、ケースに挿入支持するナットを、使用する端子ネジに対応したネジ孔を備えたものにすることで、端子ネジに対応した径のバーリング加工およびネジ孔加工を端子接続部に施す必要はなく、各種サイズの端子ネジに対して共用することができる固定端子を単なる打ち抜きプレス加工だけで安価に製作することができる。
【0009】
(2)本発明の端子台構造の一つの実施形態では、前記端子接続部の背部におけるケース部位に、端子接続部の前記透孔に臨む凹部を形成し、この凹部に前記ナットを挿入している。
【0010】
この実施形態によると、一旦組み付けたナットを取外すことも可能であり、必要によっては異なったサイズのネジ孔を備えたナットに組み換えすることも可能となる。
【0011】
(3)本発明の端子台構造の他の実施形態では、前記透孔の軸心方向と直交する側方から前記ナットを前記凹部に挿入している。
【0012】
この実施形態によると、ケースへの固定端子の組み付け前、あるいは、組み付け後にナットを装着することができるので、部品組み付け手順の自由度が高いものとなり、組み付けラインの設定が容易となる。
【0013】
(4)上記(2)または(3)の実施形態では、前記凹部を、前記透孔の軸心方向に一定形状の直線状凹部に形成してもよい。
【0014】
この実施形態によると、凹部に装着されたナットに端子ネジがねじ込まれてナットにねじ込み方向と逆方向への引き寄せ力が強く働くと、ナットは端子接続部の背面に受け止められる一定位置まで移動されることになり、ナットの挿入位置が透孔軸心方向に多少ずれていても強力なねじ締めにより外部配線を連結することができる。
【0015】
(5)本発明の端子台構造の他の実施形態では、前記ナットを四角形に形成された角ナットとしてもよい。
【0016】
この実施形態によると、市販品を安価に入手できるとともに、パーツフィーダなどでの取り扱いが容易となり、自動組み付けを能率よく行う上で有効となる。
【0017】
(6)本発明のスイッチは、スイッチング機構における固定端子に端子接続部を連設し、この端子接続部に外部配線を、端子ネジを介して接続するよう構成した端子台を備えたスイッチであって、前記端子接続部に前記端子ネジより大径の透孔を形成するとともに、端子接続部の背部におけるケース部位に前記端子ネジが螺入されるナットを配置保持している。
【0018】
本発明によると、固定端子の端子接続部に形成する透孔を、使用する最大サイズの端子ネジの径より大径に形成し、ケースに挿入支持するナットを、使用する端子ネジに対応したネジ孔を備えたものにすることで、端子ネジに対応した径のバーリング加工およびネジ孔加工を端子接続部に施す必要はなく、各種サイズの端子ネジに対して共用することができる固定端子を単なる打ち抜きプレス加工だけで安価に製作することができ、固定端子を数多く用いるスイッチのコスト低減に有効となる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、サイズの異なる端子ネジに安価に対応することができる端子台構造、および、これを備えたスイッチを構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に、本発明に係る端子台構造を備えたスイッチの一例であるリミットスイッチAの外観図が、図2にその正面図が、また、図3にその縦断した側面図がそれぞれ示されている。
【0022】
このリミットスイッチAは、スイッチ本体1を内装してネジ連結したスイッチケース2の上端に、操作レバー3を左右に揺動操作可能に備えたヘッドケース4を連結して構成されている。
【0023】
前記スイッチケース2は、前面が開放されるとともに、下端からコード引出し可能に構成された箱形に形成され、前面開口から組み込んだスイッチ本体1をケース内奥面にネジ止め固定するよう構成されるとともに、その前面開口が脱着可能な前カバー5で閉塞されるようになっている。
【0024】
前記ヘッドケース4には、回動操作軸6が前後向き軸心周りに回動可能に防水支承され、この回動操作軸6の前方突出端に前記操作レバー3が締付けボルト7で連結固定されている。操作レバー3の先端部には、機械装置に備えられたドグやカムなどに当接するローラ8が装備されている。
【0025】
前記回動操作軸6のケース内部分は、上下に向かう扁平カム部6aが切欠き形成され、この扁平カム部6aの上面に圧縮コイルバネ9で圧接される押圧部材10が上下スライド可能にヘッドケース4に装備されている。操作レバー3に操作外力が作用しない状態では、図示のように、押圧部材10の扁平下端面が扁平カム部6aの上面に全面的に押圧当接されることで、扁平カム部6aが水平姿勢となる所定の初期位相に回動操作軸6が安定保持され、操作レバー3を介して回動操作軸6に正方向あるいは逆方向への回動操作力が作用すると、水平姿勢から正方向あるいは逆方向に傾斜回動する扁平カム部6aによって押圧部材10を圧縮コイルバネ9に抗して押し上げながら回動操作軸6が回動し、その回動操作力が消滅すると押圧部材10による押圧によって回動操作軸6が元の初期位相まで復帰回動するようになっている。
【0026】
スッチケース2の上端部には、スイッチ操作用のプランジャ11が上下動可能に防水支持されている。このプランジャ11の上端に取り付けられた操作片12が回動操作軸6における前記扁平カム6aの下面に弾性圧接されており、回動操作軸が初期位相から正方向あるいは逆方向に回動されて扁平カム部6aが傾斜回動してプランジャ11が下方に押し込み操作されるようになっている。
【0027】
図4はスイッチ本体1の正面図であり、図5は端子台構造を示す斜視図であり、図6はその縦断側面図である。
【0028】
スイッチ本体1は、ケース15に組み込んだスイッチング機構16をアクチュエータ17の上下変位によって切換え作動させるよう構成されており、このアクチュエータ17がスイッチケース2に支持された前記プランジャ11の上下作動によって当接操作されるようになっている。
【0029】
スイッチング機構16には、常開端子としてケース上部に圧入固定された左右一対の固定端子18と、常閉端子としてケース下部に圧入固定された左右一対の固定端子19と、上下の固定端子18,19の間において前記アクチュエータ13に外挿された横長の可動端子20と、板バネ材を屈曲してなる左右一対のスナップバネ21と、アクチュエータ17を上方に復帰付勢するようケース下部に配備された復帰バネ22が備えられている。可動端子20の左右箇所には、舌片20aが上方に切り出し突設されるとともに、アクチュエータ17の左右側面にはノッチ23が形成され、これら舌片20aとノッチ23に亘って前記スナップバネ21が弾性屈曲変形された状態で係止されている。
【0030】
上記構成のスイッチング機構16によると、アクチュエータ17にプランジャ11からの押し込み外力が作用していない中立状態では、上限位置にあるアクチュエータ17のノッチ23が舌片20aのバネ係止点より高い位置にあるので、スナップバネ21の弾性復元力が舌片20aに斜め下方に向けて作用し、係止可動端子20は下方に弾性押圧されて固定端子19に受け止められ、左右の固定端子19が導通接続された状態となる。
【0031】
プランジャ11を介してアクチュエータ17に押し込み力が作用すると、アクチュエータ17は復帰バネ22に抗して下方に変位し、ノッチ23が舌片20aのバネ係止点を下方に越えたとたん、舌片20aに作用するスナップバネの弾力復元力が斜め上向きに反転し、可動端子20は瞬時に上方変位して上方の固定接点18に受け止められ、下方の固定端子19同士の導通が断たれるとともに、上方の固定端子18同士が導通接続される。そして、アクチュエータ17への押し込み操作が解除されると、復帰バネ22によってアクチュエータ17が上方に復帰変位するとともに、可動端子20に作用するスナップバネ21の弾性復元力が上向きから下向きに切換わって、上方の固定端子18同士の導通を断って下方の固定端子19同士を導通する元の状態に戻される。
【0032】
スイッチ本体1におけるケースの前面には、各固定端子18,19を外部装置の回路に配線接続するための端子台24が備えられている。
【0033】
各固定端子18,19には端子接続部18a,19aが屈曲連設されて端子台24の前面に露出配備されるとともに、各端子接続部18a,19aには端子ネジ25より大径の透孔26が形成されている。ケース15には各端子接続部18a,19aの背部に臨むとともに、図7および図8に示すように、横側方にも開放された凹部27が形成され、各凹部27に四角形に形成されたナット28が側方から挿入保持されている。
【0034】
前記凹部27は、ナット28の外形幅と同じ、あるいは、若干小さい上下幅を持ち、透孔26の軸心方向に一定形状に形成された直線状凹部に形成されており、ナット28は凹部27に側方から挿入されて回動不能に位置決め保持される。
【0035】
外部回路との接続に際しては、前カバー5を外して端子台24を露出させ、図6中の上半部に示すように、外部配線29の端部にカシメ付けた接続金具30を端子接続部18a,19aと角座金31との間に挟み込んで端子ネジ25を装着し、端子ネジ25をナット28にねじ込むことで固定端子18,19に外部配線29を接続する。
【0036】
すなわち、端子ネジ25のねじ込みによってナット28は端子接続部18a,19aの背面に受け止められるまで引き寄せられることになる。
【0037】
前記ナット28は市販されている角ナットを利用することができ、端子ネジ25のサイズに対応したネジ孔28aを備えたナット28を任意に使用することができる。
【0038】
〔他の実施例〕
(1)図9に示すように、前記凹部27を段付きに形成して、ナット28を透孔26の軸心方向に位置決めして側方から挿入支持するように構成して、端子ネジ25のねじ込みによってもナット28が移動しない形態で実施することもできる。
【0039】
(2)図10に示すように、前記凹部27を端子接続部18a,19aの受け止め面に開口した段付きの角穴に構成して、固定端子18,19を組み込む前にナット28を凹部27に前面から落とし込み挿入する形態で実施することもできる。
【0040】
(3)前記ナット28として六角ナットを用いることもできる。
【0041】
(4)本発明は、リミットスイッチなどのスイッチのみならず端子台を備えた制御器や配電盤などの各種電気機器に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、各種のスイッチなどとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】リミットスイッチの外観斜視図である。
【図2】リミットスイッチの前カバーを取外した状態の正面図である。
【図3】リミットスイッチの縦断側面図である。
【図4】スイッチ本体の正面図である。
【図5】端子台構造を示す斜視図である。
【図6】端子台構造の要部を示す縦断側面図である。
【図7】端子台構造の一部を示す斜視図である。
【図8】端子台構造の一部を示す分解斜視図である。
【図9】ナット装着構造の他の実施例を示す要部の分解斜視図である。
【図10】ナット装着構造の更に別の実施例を示す要部の分解斜視図である。
【図11】従来の端子台構造の要部を示す縦断側面図である
【符号の説明】
【0044】
18 固定端子
18a 端子接続部
19 固定端子
19a 端子接続部
25 端子ネジ
26 透孔
27 凹部
28 ナット
29 外部配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端子に連設された端子接続部に外部配線を、端子ネジを介して接続する端子台構造であって、
前記端子接続部に前記端子ネジより大径の透孔を形成するとともに、端子接続部の背部におけるケース部位に、前記端子ネジが螺入されるナットを回動不能に位置決め配置してあることを特徴とする端子台構造。
【請求項2】
前記端子接続部の背部におけるケース部位に、端子接続部の前記透孔に臨む凹部を形成し、この凹部に前記ナットを挿入してある請求項1記載の端子台構造。
【請求項3】
前記透孔の軸心方向と直交する側方から前記ナットを前記凹部に挿入してある請求項2記載の端子台構造。
【請求項4】
前記凹部を、前記透孔の軸心方向に一定形状の直線状凹部に形成してある請求項2または3に記載の端子台構造。
【請求項5】
前記ナットを四角形に形成された角ナットとしてある請求項1ないし4のいずれかに記載の端子台構造。
【請求項6】
スイッチング機構における固定端子に端子接続部を連設し、この端子接続部に外部配線を、端子ネジを介して接続するよう構成した端子台を備えたスイッチであって、
前記端子接続部に前記端子ネジより大径の透孔を形成するとともに、端子接続部の背部におけるケース部位に前記端子ネジが螺入されるナットを配置保持してあることを特徴とするスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−211898(P2009−211898A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52845(P2008−52845)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】