説明

端末位置推定方法、測位データ処理方法、プロセッサ及びコンピュータ読み取り可能な媒体

少なくとも1つの固定ノードを有する無線ネットワークのカバレッジエリア内の端末の位置を推定する方法は、端末と固定ノードの何れかとの間の無線チャネルの複素周波数応答を測定し、測定された複素周波数応答の第1メトリックを表現するデータと、複数の保存されているメトリックを表現するデータとを比較することに少なくとも基づいて、端末の位置を推定するステップを有し、複数の保存されているメトリックの各々は、無線ネットワーク内の複数の異なる位置の何れかに関連し、保存されているメトリックの各々は、固定ノードの何れかとメトリックが関連している無線ネットワーク内の位置との間で測定された複素周波数応答である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に無線ネットワークに関連し、特に無線ネットワークのカバレッジ領域内に在圏する端末の位置を推定する方法及び装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
データ通信ネットワークは無線リンクで接続された要素をしばしば含む。典型的には、アクセスポイントのような多数の静的又は固定的な無線ノードがローカルゾーン内に配備され、その無線ノードに対して移動装置は無線接続を形成し、その無線接続は一般的には例えばIEEE802.11aのようなIEEE802.11標準仕様のような工業規格に準拠している。好ましくは、無線アクセスポイントは、対象とするカバレッジエリア、ゾーン又は領域内で有効なカバレッジを与えるように配置され、有線又は無線のリンクによりデータネットワークに接続されている。
【0003】
移動端末の位置を知る必要がある多くのアプリケーションが存在し、無線周波数の伝搬状況を測定することに基づいて端末の位置を推定する様々なシステムが提案及び実現されている。既存のシステムは、無線周波数環境の測定を実行する必要性の有無に応じて分類できる。
【0004】
そのような測定を要しない位置推定システムは、例えば、アクセスポイントや基地局のようなネットワーク内の固定ノードに送信した又はそこから送信された無線信号の相対的な到着時間によって位置を推定する処理を含む。無線信号はアップリンク又はダウンリンクにおけるものであり、従って、到着時間は、複数の固定ノードから送信された信号により端末で測定されてもよいし、或いは端末から送信された信号が複数の固定局で測定されてもよい。或いは、固定ノードにおいて端末から受信した又は端末において複数の固定ノードから受信した信号強度に基づいて、位置を推定する技術も知られている。複数の固定ノードに対する又はそこからの到着時間及び/又は受信信号強度に基づく測位システムは、マルチラテレーション(multilateration)システムと言及されてもよい。
【0005】
無線信号の到来角度の測定値に基づいて位置が推定される技術も知られており、これは三角法(triangulation)と言及される。
【0006】
そのような測定を要しない測位システム及び方法は、典型的には、無線周波数の伝搬状況に関する或る仮定又は想定を当てにしており、例えば、無線チャネルは直接的な見通し経路に沿っていることや、信号は障害物によって減水していないこと等を当てにしている。これは多くの通信環境において合理的な仮定であるかもしれないが、一般的なオフィス又は商用店舗のような屋内通信環境は、マルチパス、障害物及び見通し線ではない等の深刻な伝搬環境を含んでいるかもしれず、そのような場合の測位システムの精度は極めて劣化してしまう。
【0007】
GPSのような衛星ナビゲーションシステムは屋外の測位に使用されているが、そのようなシステムは、衛星から送信された信号を受信することの困難性に起因して屋内ではほとんど有用でない傾向がある。
【0008】
典型的には屋内である予測不可能な無線伝搬特性を有する環境の中で測位推定を可能にするために、複数のアクセスポイントから端末が受信した信号強度の観点から、無線周波数環境を測定することに基づくシステムを実現することが知られている。位置は、測定された受信信号強度を、アクセスポイントからの受信信号強度のデータベースと共に比較することで推定され、そのデータベースは、ネットワークのカバレッジ領域全体を通じて多数の様々な場所において過去に測定された値を格納している。受信信号強度の測定値はネットワークにおける位置の「軌跡又はフィンガープリント(finger print)」を表現し、すなわち位置に関する無線周波数環境における特徴的な測定値を表現する。しかしながら、この方法による測位は、同様なフィンガープリントがいくつかの場所で生じるおそれがあるという曖昧性又は不明確性(ambiguity)による影響を受けてしまう。従ってシステムの精度は制限されてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題はこれらの問題点に対処するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例による方法は、
少なくとも1つの固定ノードを有する無線ネットワークのカバレッジエリア内の端末の位置を推定する方法であって、
前記端末と前記固定ノードの何れかとの間の無線チャネルの複素周波数応答を測定するステップと、
測定された前記複素周波数応答の第1メトリックを表現するデータと、複数の保存されているメトリックを表現するデータとを比較することに少なくとも基づいて、前記端末の位置を推定するステップと
を有し、前記複数の保存されているメトリックの各々は、前記無線ネットワーク内の複数の異なる位置の何れかに関連し、保存されているメトリックの各々は、前記固定ノードの何れかと該メトリックが関連している前記無線ネットワーク内の位置との間で測定された複素周波数応答である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例による無線ネットワークを示す概略図。
【図2】3つの例示的な複合的チャネル応答の振幅を示す図。
【図3】本発明の一形態による3つの例示的な周波数コヒーレンス関数の振幅を示す図。
【図4a】送信されるOFDMシンボルを示す概略図。
【図4b】受信されたOFDMシンボルを示す概略図。
【図4c】OFDMシンボルのパイロットトーンから導出されたチャネルの複素周波数応答の振幅を示す概略図。
【図5】本発明の実施例において周波数コヒーレンス関数を導出するOFDM受信機の順処理部を示す概略図。
【図6】本発明の一実施例において固定ノードが端末から受信した信号に基づいて、端末の位置を推定するシステムを示す様子を示す概略図。
【図7】本発明の一実施例において複数の固定ノードが端末から受信した信号に基づいて、端末の位置を推定するシステムを示す様子を示す概略図。
【図8】本発明の一実施例において複数の固定ノードが端末から受信した信号に基づいて、端末の位置を推定するシステムを示す様子を示す概略図。
【図9】本発明の一実施例において複数の固定ノードが端末から受信した信号に基づいて、端末の位置を推定する方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の形態によれば、少なくとも1つの固定ノードを有する無線ネットワークのカバレッジエリア内の端末の位置を推定する方法が提供され、当該方法は、
端末と何れかの固定ノードとの間の無線チャネルの複素周波数応答(complex frequency response)を推定するステップと、
測定された前記複素周波数応答の第1メトリックを表現するデータと、複数の保存されたメトリックを表現するデータとを比較することに少なくとも基づいて、前記端末の位置を推定するステップと
を有し、前記複数の保存されたメトリックの各々は、前記無線ネットワーク内の複数の異なる位置の何れかに関連し、保存されているメトリックの各々は、前記何れかの固定ノードと前記メトリックが関連している前記無線ネットワーク内の位置との間で測定された複素周波数応答である。
【0013】
複素周波数応答に基づいて位置を推定することの利点は、複素周波数応答が複数の成分を伴うベクトルであるので、その測定値は例えば受信電力の単独の測定値よりも多くの情報を包含することである。従って測定値は曖昧性の影響(異なる場所で同一の値が得られてしまう影響)を被りにくくなる。
【0014】
複数の保存されたメトリック(複数の保存されたメトリックの各々は、ネットワーク内の複数の様々な地点の何れかに関連している)を表す第1メトリックデータとの間の比較に基づいて位置を推定することの利点は、本方法が、無線伝搬の性質に関する仮定を当てにしていた従来法よりも正確なことである。これは強いマルチパス伝搬特性又は見通し外の伝搬特性を示す無線環境において特に重要であり、従来の無線環境に対する仮定は不正確なものとなってしまう。保存されたメトリックは、例えば2次元又は3次元的な無線ネットワークのカバレッジエリア内に分散した地点で過去に行われた測定によって判定されてもよい。
【0015】
好ましくは、第1メトリック及び複数の保存されたメトリックは自己相関関数値(auto correlation function)である。複素周波数応答の自己相関関数に基づいて位置を推定することの利点は、そのような自己相関値は、位置が変化した際に複素周波数応答自体よりも緩やかにしか変化しない点にある。従ってこれはロバスト的な測定値となり、保存されたメトリックを生成するのに使用される位置の誤差に対して耐性があり、無線伝搬環境において僅かしか変化しない。更に、このロバスト性及び比較的緩やかな変動の性質は、保存されるメトリックの場所の間に過剰に小さな間隔を要することなく、測定値を保存されている値と照合する処理に非常に適している。
【0016】
有利なことに、第1メトリック及び複数の保存されたメトリックは周波数コヒーレンス関数(frequency coherence function)でもよい。周波数コヒーレンス関数は位置及びロバスト性に依存する緩やかな変動特性を示す。
【0017】
有利なことに、第1メトリック及び複数の保存されたメトリックは規格化又は正規化された周波数コヒーレンス関数でもよい。周波数コヒーレンス関数を規格化することの利点は、そのメトリックが受信電力に依存せずに、従って送信機の電力に依存せずに又は未知の若しくは較正されていないアンテナゲイン等に依存せずに生成されることである。これは機器の出力電力の変動に対するメトリックのロバスト性を改善する際に有用であり、例えば、端末は、保存されたメトリックを生成するのに使用された機器と同じ出力電力に設定されることを要しない。
【0018】
好ましくは、送信機及び何れかの固定ノード間の無線チャネルの複素周波数応答の測定は、選択された何れかの端末から送信された信号及び何れかの固定ノードに送信された信号に基づいて実行され、その信号は他の端末及び何れかの固定ノードにより受信される。測定は、端末から固定ノードへ又はその逆方向に伝搬して受信された信号に関して実行される。一般的には無線チャネルの双方向的な(reciprocal)伝搬特性に起因して、伝搬しているのがどの方向であるかによらず、同じ複素チャネル応答が得られ、キャリア周波数が同じであることを示す。
【0019】
有利なことに、信号は直交周波数分割多重方式のシンボルをなす。直交周波数分割多重変調方式を使用する無線システムは、複素チャネル応答及び周波数コヒーレンス関数を生成するのに特に適している。なぜなら、受信信号は標準的なOFDM受信機において何れにせよ周波数領域に変換されるからであり、また、複素チャネル応答の生成はOFDM信号フォーマットの標準的なパイロットトーンを用いて標準的な受信プロセスで本来行われているからである。
【0020】
有利なことに、第1メトリック及び保存されたメトリック各々の間の差分の測定が行われ、端末の位置は、その差分の測定値が最小になる保存メトリックに関する位置に基づいて推定される。すなわち、第1メトリックはフィンガープリントとして使用され、測定の最中に、様々な位置でなされた多数の保存されたフィンガープリントと照合される。
【0021】
好ましくは、フィンガープリントは端末と2以上の固定ノードとの間のチャネル応答に関する一群のメトリックにより形成され、同様に保存されたメトリックは、いくつかの固定ノードへ又はそこからのチャネル応答に関連する。一群の測定されたメトリック及び一群の保存されたメトリックの間の照合は、測定値群及び保存された値の群の間の二乗平均差分のような差分測定値に基づいてなされてもよい。2以上の固定ノードに関するメトリックを用いることの利点は、1つのメトリックしか使用されていない従来の場合よりも大幅に高精度に位置を推定できることである。
【0022】
本発明の第2の実施形態によれば、少なくとも1つの固定ノードを有する無線ネットワークのカバレッジエリア内の端末の位置を推定するのに使用する測定データを処理する方法が提供され、本方法は、
前記無線ネットワーク内の複数の異なる場所に位置する固定ノードの内の何れかと測定ノードとの間の無線チャネルの複素周波数応答を測定するステップと、
前記複数の異なる位置の各々に関する測定された複素周波数応答各々のメトリックを表現するデータを導出するステップと、
前記複数の異なる位置の各々に関して導出したデータを、前記メトリックが関連する前記無線ネットワーク内の位置の指標と共に保存するステップとを有する。
【0023】
本発明の第3の実施形態によれば、少なくとも1つの固定ノードを有する無線ネットワークのカバレッジエリア内の端末の位置を推定するプロセッサが提供され、
該プロセッサは、前記端末と前記固定ノードの何れかとの間の無線チャネルの複素周波数応答の測定値を受信し、
前記プロセッサは、測定された複素周波数応答の第1メトリックを表すデータと、複数の保存されたメトリックを表すデータとの間の比較に少なくとも基づいて、前記端末の位置を推定し、
前記複数の保存されたメトリックの各々は、前記無線ネットワーク内の複数の異なる位置の何れかに関連し、保存されているメトリックの各々は、前記何れかの固定ノードと前記メトリックが関連している前記無線ネットワーク内の位置との間で測定された複素周波数応答である。
【0024】
本発明の第4の実施形態によれば、少なくとも1つの固定ノードを有する無線ネットワークのカバレッジエリア内の端末の位置を推定する方法をプロセッサに実行させるコンピュータにより実行可能な命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な媒体が提供され、該方法は、
前記端末と前記固定ノードの何れかとの間の無線チャネルの複素周波数応答の測定値を受信するステップと、
測定された複素周波数応答の第1メトリックを表すデータと、複数の保存されたメトリックを表すデータとの間の比較に少なくとも基づいて、前記端末の位置を推定するステップと
を有し、前記複数の保存されたメトリックの各々は、前記無線ネットワーク内の複数の異なる位置の何れかに関連し、保存されているメトリックの各々は、前記何れかの固定ノードと前記メトリックが関連している前記無線ネットワーク内の位置との間で測定された複素周波数応答である。
【0025】
本発明に関する更なる特徴及び利点は、単なる一例として示されているに過ぎない本発明の好適実施例に関する以下の説明から明らかになる。
【実施例1】
【0026】
概して、本発明は、無線ネットワークのカバレッジエリアに在圏している端末の位置を推定する方法及び装置に関連する。
【0027】
一例として、本発明の実施例は商用の店舗のようなゾーン又は領域内にあるWiFiネットワークの観点から説明され、そのネットワークは、コネクションポイント、接続ポイント又は基地局と言及されてもよい無線アクセスポイントを使用し、その無線アクセスポイントと共に1つ以上のユーザ装置が無線接続又はワイヤレスコネクションを確立する。アクセスポンとは、一般的には、データネットワークの別の部分に対する無線接続及び有線接続に相応しいトランシーバを有し、データネットワークは他のロケーションにあるデータセンタを含む企業ネットワークでもよいし、或いはインターネットとの接続を含んでいてもよい。無線トランシーバに備わっている様々なタイプの装置は、パーソナルコンピュータ(PC)やモバイルデータ装置(例えば、PDA(パーソナルディジタルアシスタント))のような接続ポイントを介してネットワークに接続可能であり、それはアクセスポイントの無線カバレッジゾーンの中で及び商用店舗内のアクセスポイント同士の間で移動可能である。
【0028】
本発明は、例えばディジタル的にエンコードされた音声信号、オーディオ信号、画像及びビデオストリーム等を含む任意のタイプのデータと通信するのに使用されるデータネットワークニ適用可能であるが、これらに限定されない。無線信号はIEEE802.11WiFiのような工業規格に準拠していてもよいが、LTE又はWiMax等のようなセルラ無線標準仕様、ウルトラワイドバンド無線のような他の工業規格、プロプライエタリスタンダード(proprietary standard)に準拠していてもよく、本発明は特定の標準仕様に特化したものではない。
【0029】
図1は本発明の一実施例を示す。3つの固定ノード4a、4b、4cはアクセスポイントでもよく、無線ネットワークのカバレッジ2のエリア内にあるように示されている。アクセスポイントは典型的には有線リンクによりネットワーク11に接続されており、そのネットワーク11は私的な(プライベート)ネットワークでもよいし、或いは公の(パブリック)ネットワークでもよい。位置推定プロセッサ12もネットワーク11に接続されている。
【0030】
端末6は無線ネットワークのカバレッジ2のエリア内に在圏しており、アクセスポイント4a、4b及び4cと通信している。
【0031】
本発明による実施例は、無線周波数(RF)フィンガープリント技法を用いて無線ネットワーク内の端末6の位置を推定する方法に関連する。RFフィンガープリントは無線環境に関する特徴的な測定値(characteristic measure)である。本発明の好適実施例において、RFフィンガープリントは、端末と1つ以上のアクセスポイントとの間の無線チャネルの応答又は複素周波数応答の周波数コヒーレンス関数である。RFフィンガープリントを測定し、測定されたフィンガープリットと既知の場所に関する保存された一群のフィンガープリントとを比較することで、端末の位置が推定される。
【0032】
典型的には、保存されている一群のフィンガープリントは、カバレッジエリアの至る所に分散した地点における測定の際に事前に取得されている。図1に示す例の場合、カバレッジ2の領域は、十字の印で示されているグリッド地点10a,10b等の各地点においてRFフィンガープリントを測定することで、事前に調査されている。典型的には、グリッド地点の各々は2.4GHz又は5GHzで動作するシステムの場合、約2mの間を隔てている。この図は単なる一例に過ぎず、より大きな又はより小さな値のグリッド間隔が使用されてもよい。調査又は測定の際にカバレッジエリアの全域を網羅することは必須ではなく、関心のある領域だけがカバーされてもよいし、四角形のグリッドパターンが形成されることも必須でない。
【0033】
双方向矢印8a,8b,8cは端末及びアクセスポイント間の無線チャネルを表す。概して、無線リンクは双方向的(reciprocal)であり、8a、8b、8cにより表現されている無線チャネルの複素周波数応答は、何れかの方向に伝搬する信号によって測定することが可能である。しかしながら、実際には端末を送信機として使用しアクセスポイントを受信機として使用することが一般的には有用である。なぜならその場合は明らかに、端末が修正を要しない形式で使用され、アクセスポイントを修正して、位置推定に使用されるメトリック又は一群のメトリック(すなわち、フィンガープリント)を生成すればよいからである。一般に、端末は様々な従来の要素として選択され、有利なことに、端末の位置は変更を要することなく発見される。本発明は、位置推定の際に端末が送信機であり固定ノード又はノード群が受信機として使用される例を参照しながら主に説明されているが、逆方向の信号の流れと共に位置推定を実行することも当然に可能である。
【0034】
上述したように、本発明の実施例において、複素チャネル応答から導出される周波数コヒーレンス関数は、無線環境の特徴的な測定値として使用される。図2は、3つの近接した場所(約10cm間隔)に関する3つの複素周波数応答(簡明化ため振幅のみが示されている)14a、14b、14cを示す。図3は、同じ3つの場所に関する等価的な周波数コヒーレンス関数(ここでも簡明化のため振幅のみが示されている)16a、16b、16cを示す。複素周波数応答は(所与の周波数において)小さな動きに対して増加するように変化しているが、周波数コヒーレンス関数は小さな動きに対して減少するように変化していることが、曲線の比較から分かる。一般に、RF環境の特徴を表す測定値として使用することに関し、周波数コヒーレンス関数は複素周波数応答よりも優れた測定値であることが分かる。なぜならそれは再現性が有る結果を得るために平均化を一切又はほとんど必要としないほどロバスト性に優れているからである。
【0035】
周波数コヒーレンス関数(Frequency Coherence Function: FCF)は次式のように表現できる:
【0036】
【数1】

ここで、Nはチャネル応答サンプル点の数であり、mはサンプル地点における周波数オフセットであり、サンプル地点における周波数であり、Hは複素チャネル応答であり、H*は推定されたチャネル応答の複素共役を示す。従ってFCFはm個の項を有する複素ベクトルである。FCFは推定された複素チャネル応答の自己相関(autocorrelation)の形式を有することが分かる。特に、真のチャネル応答Hは未知であり、推定されたチャネル応答しか分からない。推定されたチャネル応答のことを「チャネル応答」と言及することが一般的である。なぜなら、測定されるものは推定値であることを要すると理解されるからである。同様に、周波数コヒーレンス関数Rは厳密には既知ではなく、推定された周波数応答関数である。数式(1)におけるR及びHの上に付されているハット(hat)の記号は推定値であることを示す。
【0037】
図4a、4b及び4cは、チャネルの複素周波数応答を導出するために直交周波数分割多重システムにおいてパイロットトーンを使用する場合の様子を示す。
【0038】
OFDMを使用することは現在の無線標準仕様において増えつつあり、特に802.11a、802.11g、WiMax及びLTEにおいて使用されている。OFDMを使用するシステムは本発明の実施例で使用する際に特に適している。なぜなら、OFDM方式は、復調処理の本来的な処理として複素チャネル応答推定値を求めており、この機能が比較的少ない変更と共にFCFを求めるのに使用可能だからである。
【0039】
図4a、4b及び4cは、チャネルの複素周波数応答を導出するために直交周波数分割多重システムにおいてパイロットトーンを使用する場合の様子を示す。図4aは周波数領域に示されているOFDMシンボル18を示す。所定の振幅及び位相で送信されるパイロットトーン20a、20bと、データを運ぶために変調されているデータトーン22とを含む多数のサブキャリアが存在していることが分かる。
【0040】
図4bはチャネルを通じて送信された後に受信されたOFDMシンボル18を示す。振幅特性はチャネル応答によって変化していることが分かる(図示されてはいないが、位相も影響を受ける)。
【0041】
図4cはパイロットトーン値24a、24bから導出された複素チャネル応答14の振幅を示す。
【0042】
ある送信フォーマットは、全てのサブキャリアが既知の振幅及び位相で送信されるOFDMシンボルを含み、受信したシンボルからチャネル応答が推定できるようにする。そのような既知のシンボルは典型的にはプリアンブル内にある。他のシンボル(特に、ペイロードデータを搬送するシンボル)は、典型的には、パイロットトーンとして予約されている一群のサブキャリア(パイロットトーンの実際の数を表現しているわけではないが、図4aに概略的に示されている)を含み、大多数のサブキャリアはデータを搬送するために使用される。一般に、これらのパイロットトーンは時間と共に変化するチャネル応答を構築するのに使用される。チャネル推定の自己相関、すなわち複素チャネル応答の推定値の自己相関は、FCFの基礎として使用可能である。全ての位置のサブキャリアすなわちチャネル推定値がパイロットシンボルから直接的に導出されることは必須ではなく、その代わりにパイロットシンボル同士の間の補間により導出されてもよいことが理解される。
【0043】
以下の説明で導出される数式は、全てのサブキャリアが既知の送信状態のパイロットトーンである場合に基づいているが、上述したように、その具体例は有用ではあるが必須ではないことが明らかである。
【0044】
Skが位置又は場所(x,y)におけるk番目の周波数で受信された信号の複素振幅であり、
Dkがk番目の周波数における既知のパイロットシンボルであり、
Zkがk番目の周波数におけるノイズ項であったとすると、
Sk(x,y)=Hk(x,y)Dk+Zk(x,y) ・・・(2)
である。チャネルは次式により推定できる:
【0045】
【数2】

Hの推定値は数式(1)を用いて周波数コヒーレンス関数を導出するのに使用されてもよい。
【0046】
周波数コヒーレンス関数は受信信号の電力遅延プロファイルのフーリエ変換から導出されてもよいことに留意を要する。
【0047】
図5は本発明の実施例により周波数コヒーレンス関数を導出するように形成されたOFDM受信機の受信処理部を概略的に示す。以下の要素は通常のOFDM受信機を構成していることに留意を要する:低雑音増幅器28、ダウンコンバージョン処理部30、自動利得制御部32、アナログディジタル変換部34、シリアルパラレル変換部(直並列変換部)36、サイクリックプレフィックス除去部38、高速フーリエ変換部40、パラレルシリアル変換部(並直列変換部)42、チャネル補償部44及びQAM復調部46。
【0048】
チャネル補償部44は推定値、すなわちOFDM送信機及び受信機間の複素チャネル応答の測定値を提供する。複素チャネル応答はチャネル補償部4から取得され、本発明の実施例により、周波数コヒーレンス関数を求めるように形成された自己相関処理部48に与えられる。それは、電力正規化処理部50により電力を正規化し、正規化された周波数コヒーレンス関数を生成する。
【0049】
図6は本発明の実施例に従って位置推定システムがどのように実現されるかを示し、端末6は送信機として使用され、アクセスポイントは受信機4として使用されている。端末6及びアクセスポイント4の間の無線チャネル8に関する複素チャネル応答が推定される、すなわちアクセスポイント4の複素周波数応答推定部により測定される。
【0050】
複素周波数応答測定値は適切なリンクを介して位置推定プロセッサ12に送信され、位置推定プロセッサは例えばパーソナルコンピュータ上に実現されてもよいし、或いは無線ネットワークコントローラの一部として実現されてもよい。
【0051】
複素周波数応答を受信すると、位置推定プロセッサは自己相関関数を計算し、測定された周波数コヒーレンス関数を生成する。測定された周波数コヒーレンス関数は、周波数コヒーレンス関数値のデータベース内の値(コンテンツ)と比較され、データベース内のコンテンツは、典型的には、アクセスポイントのカバレッジエリア内の多数の様々な場所におけるRF測定(調査)の一部分として、予め測定されていたものである。
【0052】
この比較は、例えば、周波数コヒーレンス関数の対応する周波数オフセット成分間の二乗平均差分(mean squared difference)に基づいていてもよい。最小の二乗平均差分と共に保存された周波数コヒーレンス関数は、測定された周波数コヒーレンス関数に最も合致するものとして宣言され、それが測定された場所は、端末の位置の推定値として使用される。
【0053】
複素周波数応答を位置推定プロセッサに送るデータとしているのは単なる一例に過ぎず、当然に、周波数コヒーレンス関数はアクセスポイントで計算されてもよく、ロケーション推定プロセッサはアクセスポイントの場所に存在してもよいことに、留意を要する。
【0054】
図7は本発明の実施例として位置推定システムがどのように実現されるかを示し、端末6は送信機として使用され、3つのアクセスポイント4a、4b、4cは受信機として使用されている。端末6とアクセスポイント4a、4b、4cとの間の無線チャネル8a、8b、8cに関する複素チャネル応答が、アクセスポイント4a、4b、4cの中で計算される。そして、複素周波数応答測定値が適切なリンクを介して位置推定プロセッサ12に送られ、位置推定プロセッサは例えばパーソナルコンピュータ上で又は無線ネットワークコントローラの一部として実現されてもよい。上述したように、物理エンティティ(機能要素)同士の間の役割分担は例示に過ぎず、原則として、信号を受信した後の任意の機能は、アクセスポイント、位置推定プロセッサ、又は異なるプロセッサやネットワークノードにおいて実行されてもよい。
【0055】
複素周波数応答を受信すると(ステップS6.01)、位置推定プロセッサは複素周波数応答の各々について自己相関を計算し(ステップS6.02)、それら各々についての測定された周波数コヒーレンス関数を計算し、一群の周波数コヒーレンス関数(すなわち、チャネル周波数応答各々のメトリックを含む一群の計算結果)を求める。一群の計算結果はRFフィンガープリントと言及されてもよい。
【0056】
RFフィンガープリント(すなわち、一群の測定された周波数コヒーレンス関数)は、RFフィンガープリントのデータベースの中身(コンテンツ)と比較され(ステップS6.03)、データベースのコンテンツは、典型的には、アクセスポイントのカバレッジエリア内の多数の様々な場所で事前に行われたRF測定調査の一環として得られている。
【0057】
比較は、例えば、対応する周波数コヒーレンス関数の対応する周波数オフセット成分同士の間の二乗平均差分に基づいていてもよい(すなわち、同じアクセスポイントにおける測定値に対する周波数コヒーレンス関数が使用されてもよい)。二乗平均差分が最小である保存されている周波数コヒーレンス関数は、測定された周波数コヒーレンス関数に最も近いものと判断され、その保存されている値が測定された場所は端末の推定位置とされる。これはハード判定(硬判定)と言及されてもよい。
【0058】
端末の位置はいわゆるソフト判定(軟判定)により推定されてもよく、位置の推定は、調査の測定地点間の値を使用してもよい。その場合、測定されたフィンガープリントから、最小の差分又は最小の二乗平均差分を伴う2以上の測定位置が選択され、それらの場所の間を補間することで位置が推定される。ソフト判定に関する利点は測位精度を改善できることである。
【0059】
図8は、3つのアクセスポイント4a、4b、4cが送信機として使用され、端末6が受信機として使用される形態を示す。この場合、端末がアクセスポイントから送信されたビーコン信号又はフレームを受信し、それらを周波数コヒーレンス関数の計算の基礎として使用することが有用である。しかしながら、端末が送信機として使用されている場合と同様に、従来のOFDMシンボルのような他の送信信号が使用されてもよいことに留意を要する。ビーコンフレームは、プリアンブル及びOFDMシンボルを構成するので、任意の他のフレームと同様に使用可能である。唯一の本質的な相違はそれらがペイロードデータを搬送せず、それらがアクセスポイントに関する情報(例えば、識別子及び能力等を示す情報)を搬送していることである。
【0060】
図9は図7の例を使用した測位方法に含まれる処理ステップを示す。ステップS7.01において、アクセスポイント4a、4b、4cの各々からのビーコン信号が受信される。ステップS7.02において、受信したビーコン信号各々について複素周波数応答が測定される。ステップS7.03において、複素周波数応答各々について自己相関が計算され、一群の周波数コヒーレンス関数(すなわち、RFフィンガープリント)を算出する。そして、RFフィンガープリントは保存されている一群のRFフィンガープリントと比較される。上述したように、最もよく合致するRFフィンガープリントが、ハード判定結果として端末の推定位置を示すために使用されてもよいし、或いは2つ以上のよく合致しているものの間を補間し、ソフト判定結果として、補間された推定位置を算出してもよい。
【0061】
上記の実施例は本発明の例示的な具体例として理解される必要がある。任意の実施形態に関して説明された任意の特徴は、単独で使用されてもよいし、説明された他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせて使用されてもよいし、或いは任意の他の実施形態との任意の組み合わせにより使用されてもよいことが、理解される必要がある。更に、明示的には説明されていない均等物及び変形例が、添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲から逸脱することなく使用されてもよい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0062】
【非特許文献1】IEEE802.11に関する標準仕様。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの固定ノードを有する無線ネットワークのカバレッジエリア内の端末の位置を推定する方法であって、
前記端末と前記固定ノードの何れかとの間の無線チャネルの複素周波数応答を測定するステップと、
測定された前記複素周波数応答の第1メトリックを表現するデータと、複数の保存されているメトリックを表現するデータとを比較することに少なくとも基づいて、前記端末の位置を推定するステップと
を有し、前記複数の保存されているメトリックの各々は、前記無線ネットワーク内の複数の異なる位置の何れかに関連し、保存されているメトリックの各々は、前記固定ノードの何れかと該メトリックが関連している前記無線ネットワーク内の位置との間で測定された複素周波数応答である、方法。
【請求項2】
前記第1メトリック及び複数の保存されているメトリックは自己相関関数である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1メトリック及び複数の保存されているメトリックは周波数コヒーレンス関数である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1メトリック及び複数の保存されているメトリックは正規化された周波数コヒーレンス関数である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記端末と前記固定ノードの何れかとの間の無線チャネルの複素周波数応答を測定する前記ステップが、選択された何れかの端末から送信された信号及び前記固定ノードの何れかに送信された信号に基づいて実行され、該送信された信号は、他の端末及び何れかの固定ノードによって受信される、請求項1-4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記信号が直交周波数分割多重シンボルを形成し、前記測定するステップが、
前記直交周波数分割多重シンボルのパイロットトーンを受信し、
受信した前記パイロットトーンに基づいて前記無線チャネルの前記複素周波数応答を推定し、
推定した前記複素周波数応答の自己相関関数に基づいて前記第1メトリックを算出するステップを有する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記端末の位置を推定する前記ステップが、
前記第1メトリック及び前記保存されているメトリック各々の間の差分の測定値を算出し、
差分について算出された測定値が最小である保存されているメトリックの位置に基づいて、前記端末の位置を推定するステップ
を有する請求項1-6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記無線ネットワークが複数の固定ノードを有し、当該方法は、
前記複数の固定ノードの2つ以上の内の各々と前記端末との間の無線チャネルに関する一群の複素周波数応答を測定するステップと、
一群の第1メトリックを判定するステップであって、該第1メトリックの各々は測定された一群の複素周波数応答の内の何れかに対応している、ステップと、
前記一群の第1メトリックにおける各々の第1メトリックと保存されている複数のメトリック群における対応するメトリックとの間の比較に基づいて、前記端末の位置を推定するステップと、
保存されている一群のメトリックの各々は、前記無線ネットワーク内の複数の異なる位置の何れかに関連し、保存されているメトリック群の各々は、前記複数の固定ノードの内の2つ以上の各々と前記保存されているメトリックが関連している前記無線ネットワーク内の位置との間で測定された複素周波数応答に関して保存されたメトリックである、請求項1-7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記端末の位置を推定する前記ステップが、
前記一群の第1メトリックに属する第1メトリックの各々と、前記保存されている複数のメトリック群の各々に対応するメトリックとの間の差分の測定値を算出し、
算出された該測定値に基づいて、前記一群の第1メトリック及び保存されているメトリック群の各々の間の二乗平均差分を計算し、
計算された二乗平均差分が最小である前記複数の位置の内の何れかに基づいて、前記端末の位置を推定するステップを有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記端末の位置を推定する前記ステップが、
前記一群の第1メトリックに属する第1メトリックの各々と、前記保存されている複数のメトリック群の各々に対応するメトリックとの間の差分の測定値を算出し、
算出された該測定値に基づいて、前記一群の第1メトリック及び保存されているメトリック群の各々の間の二乗平均差分を計算し、
算出された二乗平均差分が他の位置よりも低い2つ以上の位置を、複数の位置の中から選択し、
選択された複数の位置の間を補間することで、前記端末の位置を推定するステップを有する、請求項8記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの固定ノードを有する無線ネットワークのカバレッジエリア内の端末の位置を推定するのに使用する測定データを処理する方法であって、
前記無線ネットワーク内の複数の異なる場所に位置する固定ノードの内の何れかと測定ノードとの間の無線チャネルの複素周波数応答を測定するステップと、
前記複数の異なる位置の各々に関する測定された複素周波数応答各々のメトリックを表現するデータを導出するステップと、
前記複数の異なる位置の各々に関して導出したデータを、前記メトリックが関連する前記無線ネットワーク内の位置の指標と共に保存するステップと
を有する方法。
【請求項12】
前記第1メトリック及び複数の保存されているメトリックは自己相関関数である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第1メトリック及び複数の保存されているメトリックは周波数コヒーレンス関数である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記第1メトリック及び複数の保存されているメトリックは正規化された周波数コヒーレンス関数である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記固定ノードの内の何れかと測定ノードとの間の無線チャネルの複素周波数応答を測定する前記ステップが、選択された何れかの測定ノードから送信された信号及び前記固定ノードの何れかに送信された信号に基づいて実行され、該送信された信号は、他の測定ノード及び何れかの固定ノードによって受信される、請求項11-14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの固定ノードを有する無線ネットワークのカバレッジエリア内の端末の位置を推定するためのプロセッサであって、
当該プロセッサは、前記端末と前記固定ノードの何れかとの間の無線チャネルの複素周波数応答の測定値を受信し、
当該プロセッサは、測定された複素周波数応答の第1メトリックを表すデータと、複数の保存されたメトリックを表すデータとの間の比較に少なくとも基づいて、前記端末の位置を推定し、
前記複数の保存されたメトリックの各々は、前記無線ネットワーク内の複数の異なる位置の何れかに関連し、保存されているメトリックの各々は、前記何れかの固定ノードと前記メトリックが関連している前記無線ネットワーク内の位置との間で測定された複素周波数応答である、プロセッサ。
【請求項17】
前記第1メトリック及び複数の保存されているメトリックは自己相関関数である、請求項16記載のプロセッサ。
【請求項18】
前記第1メトリック及び複数の保存されているメトリックは周波数コヒーレンス関数である、請求項17記載のプロセッサ。
【請求項19】
前記第1メトリック及び複数の保存されているメトリックは正規化された周波数コヒーレンス関数である、請求項18記載のプロセッサ。
【請求項20】
前記固定ノードの内の何れかと測定ノードとの間の無線チャネルの複素周波数応答を測定する処理が、選択された何れかの測定ノードから送信された信号及び前記固定ノードの何れかに送信された信号に基づいて実行され、該送信された信号は、他の測定ノード及び何れかの固定ノードによって受信される、請求項16-19の何れか1項に記載のプロセッサ。
【請求項21】
少なくとも1つの固定ノードを有する無線ネットワークのカバレッジエリア内の端末の位置を推定する方法をプロセッサに実行させるコンピュータ実行可能な命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記方法は、
前記端末と前記固定ノードの何れかとの間の無線チャネルの複素周波数応答の測定値を受信するステップと、
測定された複素周波数応答の第1メトリックを表すデータと、複数の保存されたメトリックを表すデータとの間の比較に少なくとも基づいて、前記端末の位置を推定するステップと
を有し、前記複数の保存されたメトリックの各々は、前記無線ネットワーク内の複数の異なる位置の何れかに関連し、保存されているメトリックの各々は、前記何れかの固定ノードと前記メトリックが関連している前記無線ネットワーク内の位置との間で測定された複素周波数応答である、媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−529822(P2012−529822A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514451(P2012−514451)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058028
【国際公開番号】WO2010/142692
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(390023157)ノーテル・ネットワークス・リミテッド (153)
【Fターム(参考)】