説明

端末装置、それと無線通信を行う無線基地局、およびそれらを備える無線通信システム

【課題】ウェイクアップIDの誤検知率を抑制可能な端末装置を提供する。
【解決手段】端末装置は、ウェイクアップID(=10010011)をフレーム長によって変調してウェイクアップIDを構成する複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を生成する。そして、端末装置は、2つの無線LANフレーム間の間隔がSIFSになるように複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を時間方向に連続して送信する。無線基地局は、端末装置から送信された複数の無線フレームFL2,FL1,FL0,FL3を受信し、その受信した複数の無線フレームFL2,FL1,FL0,FL3に基づいてウェイクアップIDのマッチングを判定し、ウェイクアップIDがマッチングするとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線基地局、およびそれらを備える無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)が普及するとともに、多くのAP(Access Point)が配置される。これらのAPは、通常、パワーがオンされたまま使用される。
【0003】
しかし、“つけっぱなし”になっているAPが過半数の時間で無線通信に用いられていないため、電力が無駄に消費される。
【0004】
端末がウェイクアップレシーバを用いて通信が必要となっているときだけ、APを起こす方法が提案されている(非特許文献1,2)。
【0005】
非特許文献1では、無線LANカードよりも低い電力を消費するIEEE802.15.4 sensor motesを用いて同じ周波数である無線LANチャネルを観測し、送信元からの電波を検知すると、自端末の無線LANカードをウェイクアップさせる。
【0006】
また、非特許文献2では、端末が無線LANフレーム長からなるウェイクアップ信号を作成し、その作成したウェイクアップ信号をAPへ送信してAPをウェイクアップさせる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Nilesh Mishra, Kameswari Chebrolu, Bhaskaran Raman, Abhinav Pathak, WakeonWLAN, WWW2006.
【非特許文献2】近藤 良久,四方 博之,湯 素華,岩井 優仁,田中 利康,筒井 英夫,小花 貞夫,“無線LAN信号を用いたオンデマンドウェイクアップ方式”,信学技報,NS2010−185,vol.110,No.448,pp.123−128,2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、非特許文献1に開示されたウェイクアップ方法では、IDを識別しないので、アクセスポイントが誤って起動する誤検知確率が高いという問題がある。また、非特許文献2に開示されたウェイクアップ方法では、ウェイクアップ信号を構成する無線LANフレームを送信中に、隣接する無線装置は、フレーム間のスペースがDIFS(Distributed Interframe Space)よりも長い場合、割り込んで他の無線フレームを送信するため、受信側では、ウェイクアップIDの誤検知率が大きくなるという問題がある。更に、無線フレームの長さを正しく検知する確率が低くなり、ウェイクアップIDの誤検知率が大きくなる1つの要因となる。
【0009】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ウェイクアップIDの誤検知率を抑制可能な端末装置を提供することである。
【0010】
また、この発明の別の目的は、ウェイクアップIDの誤検知率を抑制可能な無線基地局を提供することである。
【0011】
更に、この発明の別の目的は、ウェイクアップIDの誤検知率を抑制可能な無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の実施の形態によれば、端末装置は、生成手段と、送信手段とを備える。生成手段は、起動させる無線基地局を示すウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを無線フレーム長に変調してウェイクアップIDを示す複数の無線フレームを生成する。送信手段は、2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように複数の無線フレームを時間方向に連続して送信する。
【0013】
また、この発明の実施の形態によれば、無線基地局は、受信手段と、検出手段と、判定手段と、起動手段と、メイン装置とを備える。受信手段は、起動させる無線基地局を示すウェイクアップIDを無線フレーム長に変調して生成され、かつ、2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように送信された複数の無線フレームを受信する。検出手段は、受信手段によって受信された複数の無線フレームを包絡線検波して包絡線を検出し、その検出した包絡線をサンプリング周期でサンプリングして複数の無線フレームの受信信号を検出する。判定手段は、当該無線基地局のウェイクアップIDを無線フレーム長と複数の無線フレームのうちの2つの無線フレーム間の間隔とを用いて変調して生成された等価ウェイクアップIDと、受信信号とが一致するか否かを判定する。起動手段は、判定手段によって等価ウェイクアップIDが受信信号に一致すると判定されたとき、ウェイクアップ指示を生成する。メイン装置は、起動状態であるとき、端末装置と無線通信を行うとともにネットワークを介して通信装置と通信を行い、スリープ状態であるとき、ウェイクアップ指示を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0014】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線基地局は、受信手段と、検出手段と、判定手段と、起動手段と、メイン装置とを備える。受信手段は、起動させる無線基地局を示すウェイクアップIDを無線フレーム長に変調して生成され、かつ、2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように送信された複数の無線フレームを受信する。検出手段は、受信手段によって受信された複数の無線フレームを包絡線検波して包絡線を検出し、その検出した包絡線をサンプリング周期でサンプリングして複数の無線フレームの受信信号を検出する。判定手段は、当該無線基地局のウェイクアップIDを無線フレーム長と複数の無線フレームのうちの2つの無線フレーム間の間隔とを用いて変調して生成された等価ウェイクアップIDを作成し、その作成した等価ウェイクアップIDと同じ長さを有する相関窓を作成し、その作成した相関窓が1である部分窓において等価ウェイクアップIDと受信信号との相関を演算して複数の無線フレームの各無線フレームの両端の位置を検出し、その検出した両端の位置に基づいて複数の無線フレームの複数の長さを検出し、その検出した複数の長さを第1のウェイクアップIDへ復調し、その復調した第1のウェイクアップIDが当該無線基地局で生成された第2のウェイクアップIDに一致するか否かを判定する。起動手段は、判定手段によって第1のウェイクアップIDが第2のウェイクアップIDに一致すると判定されたとき、ウェイクアップ指示を生成する。メイン装置は、起動状態であるとき、端末装置と無線通信を行うとともにネットワークを介して通信装置と通信を行い、スリープ状態であるとき、ウェイクアップ指示を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0015】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、端末装置と、無線基地局とを備える。端末装置は、ウェイクアップIDを無線フレーム長に変調して複数の無線フレームを生成し、2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように、生成した複数の無線フレームを時間方向に連続して送信する。スリープ中の無線基地局は、端末装置から送信されたウェイクアップIDが自己のウェイクアップIDに一致するとスリープ状態から起動状態へ移行する。そして、端末装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端末装置からなり、無線基地局は、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の無線基地局からなる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の実施の形態による端末装置は、2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように複数の無線フレームを時間方向に連続して送信する。その結果、他の端末装置および無線基地局は、複数の無線フレームが連続して送信されている間、無線通信を行わないので、他の無線フレームが複数の無線フレームに割り込むことがない。
【0017】
従って、無線基地局は、他の無線フレームの割込みが無い複数の無線フレームを受信するので、複数の無線フレームの各々のフレーム長を正確に検知できる。つまり、無線フレームの長さによって表されたウェイクアップIDの誤検知率を抑制できる。
【0018】
また、この発明の実施の形態による無線基地局は、起動させる無線基地局を示すウェイクアップIDを無線フレーム長に変調して生成され、かつ、2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように送信された複数の無線フレームを受信し、その受信した複数の無線フレームから受信信号を検出し、その検出した受信信号が等価ウェイクアップIDに一致するとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、無線基地局は、他の無線フレームが割り込むことがない複数の無線フレームを受信して受信信号を検出するので、フレーム長が正確である複数の無線フレームに基づいて受信信号を検出する。その結果、無線基地局は、フレーム長が正確に反映された受信信号を得る。
【0019】
従って、無線フレームの長さによって表されたウェイクアップIDの誤検知率を抑制できる。
【0020】
更に、この発明の実施の形態による無線基地局は、起動させる無線基地局を示すウェイクアップIDを無線フレーム長に変調して生成され、かつ、2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように送信された複数の無線フレームを受信し、その受信した複数の無線フレームから受信信号を検出し、その検出した受信信号に基づいて、各無線フレームの両端を検出し、その検出した各無線フレームの両端から複数の無線フレームの複数のフレーム長を検出する。そして、無線基地局は、その検出した複数のフレーム長をウェイクアップIDに復調し、その復調したウェイクアップIDが、自己が算出したウェイクアップIDに一致するとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。この場合、無線基地局は、他の無線フレームが割り込むことがない複数の無線フレームに基づいて、複数のフレーム長を検出する。
【0021】
従って、複数のフレーム長によって表されたウェイクアップIDの誤検知率を抑制できる。
【0022】
更に、この発明の実施の形態による無線通信システムにおいては、端末装置は、2つの無線フレーム間の間隔が無線通信方式に応じて決定された固定長になるように複数の無線フレームを時間方向に連続して送信し、無線基地局は、端末装置から送信された複数の無線フレームを干渉信号が割り込まない状態で受信し、その受信した複数の無線フレームに基づいてウェイクアップIDのマッチングを判定し、ウェイクアップIDがマッチングするとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。その結果、無線基地局は、ウェイクアップIDを表す複数の無線フレームの長さを端末装置から正確に検知する。
【0023】
従って、無線フレームの長さによって表されたウェイクアップIDの誤検知率を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す端末装置の構成を示す概略図である。
【図3】図1に示す無線基地局の構成を示す概略図である。
【図4】ビット値をフレーム長に変調するためのマップを示す概念図である。
【図5】ウェイクアップ信号の送信方法の概念図である。
【図6】ウェイクアップ信号を送信する動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】ウェイクアップIDを等価ウェイクアップIDに変調するためのマップを示す概念図である。
【図8】ウェイクアップ信号の受信処理を示す概念図である。
【図9】ウェイクアップIDのマッチングを判定する他の方法を説明するための概念図である。
【図10】ウェイクアップ信号を送受信する動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】ウェイクアップ信号を送受信する他の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0026】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム10は、端末装置1と、無線基地局2とを備える。
【0027】
端末装置1および無線基地局2は、無線通信空間に配置される。端末装置1は、スリープ状態にある無線基地局2と無線通信を開始する場合、後述する方法によって、ウェイクアップ信号WKEを生成し、その生成したウェイクアップ信号WKEを2.4GHz帯の周波数チャネルで無線基地局2へ送信する。
【0028】
そして、端末装置1は、無線基地局2がスリープ状態から起動状態へ移行すると、無線基地局2との間で無線リンクを確立し、無線基地局2と無線通信を行う。
【0029】
無線基地局2は、有線ケーブル20を介してネットワーク30に接続される。無線基地局2は、端末装置1と無線通信を行う起動状態と、端末装置1と無線通信(=データの送受信)を行うことができないスリープ状態とを有する。そして、無線基地局2は、起動状態へ移行すると、端末装置1を管理するためのビーコンフレームBeaconを定期的に送信する。
【0030】
無線基地局2は、一定の期間、端末装置1と無線通信を行わなかったとき、スリープ状態へ移行したことを示す通知SLPを生成して端末装置1へ送信してから、または自己に帰属する端末装置が存在しないとき、起動状態からスリープ状態へ移行する。
【0031】
無線基地局2は、スリープ状態において、端末装置1から自己を起動させるためのウェイクアップ信号WKEを受信すると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、無線基地局2は、端末装置1と2.4GHz帯の周波数チャネルで無線通信を行うとともに、有線ケーブル20およびネットワーク30を介して他の通信装置と通信を行う。
【0032】
図2は、図1に示す端末装置1の構成を示す概略図である。図2を参照して、端末装置1は、アンテナ11と、無線LANカード12と、CPU(Central Processing Unit)13と、電源14とを含む。
【0033】
無線LANカード12は、アンテナ11に接続される。また、無線LANカード12は、電源14から電力を供給されると、その供給された電力によって駆動する。
【0034】
無線LANカード12は、アンテナ11を介して無線基地局2から通知SLPを受信し、その受信した通知SLPをCPU13へ出力する。
【0035】
また、無線LANカード12は、無線LANフレームを一斉に送信するためのバーストモードへの移行を指示する指示信号BURSTをCPU13から受けると、バーストモードへ移行する。
【0036】
その後、無線LANカード12は、ウェイクアップIDを構成する無線LANフレームをCPU13から受けると、その受けた無線LANフレームを2.4GHz帯の周波数チャネルにおいてアンテナ11を介してバーストモードで一斉に送信する。そして、無線LANカード12は、無線LANフレームを一斉に送信した後、通常の通信モードへ移行する。
【0037】
無線LANカード12は、通常の通信モードにおいては、ビーコンフレームBeaconを無線基地局2から受信し、その受信したビーコンフレームBeaconをCPU13へ出力する。そして、無線LANカード12は、従来、公知の方法によって無線基地局2との間で無線リンクを確立する。引き続いて、無線LANカード12は、CPU13からデータを受けると、その受けたデータを含むパケットを生成し、その生成したパケットを所望の無線通信方式によって変調し、その変調したパケットを2.4GHz帯の周波数チャネルでアンテナ11を介して無線基地局2へ送信する。
【0038】
更に、無線LANカード12は、アンテナ11を介して2.4GHz帯の周波数チャネルで無線基地局2からパケットを受信し、その受信したパケットを復調し、その復調したパケットからデータを取り出してCPU13へ出力する。
【0039】
CPU13は、電源14から電力を供給されると、その供給された電力によって駆動する。
【0040】
CPU13は、通知SLPを無線LANカード12から受け、無線基地局2が起動状態からスリープ状態へ移行したことを検知する。そして、CPU13は、無線基地局2がスリープ状態にあるときに無線基地局2と無線通信を開始するとき、後述する方法によって、無線基地局2を起動させるためのウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを構成する無線LANフレームを作成する。
【0041】
その後、CPU13は、指示信号BURSTを生成して無線LANカード12へ出力し、その後、無線LANフレームを無線LANカード12へ出力する。
【0042】
また、CPU13は、無線LANカード12がアンテナ11を介して無線基地局2から受信したビーコンフレームBeaconを無線LANカード12から受ける。そして、CPU13は、その受けたビーコンフレームBeaconに含まれるESSIDまたはBSSIDを取り出して管理するとともに、ESSIDまたはBSSIDに基づいて、端末装置1が帰属する無線基地局2を管理する。
【0043】
更に、CPU13は、無線LANカード12からデータを受けるとともに、データを生成して無線LANカード12へ出力する。
【0044】
電源14は、無線LANカード12およびCPU13へ電力を供給する。
【0045】
図3は、図1に示す無線基地局2の構成を示す概略図である。図3を参照して、無線基地局2は、アンテナ21と、ウェイクアップ信号受信機22と、電源23,27と、無線LANカード24と、CPU25と、ネットワーク接続カード26とを含む。
【0046】
ウェイクアップ信号受信機22は、アンテナ21に接続される。また、ウェイクアップ信号受信機22は、電源23から電力を供給されると、その供給された電力によって駆動する。
【0047】
ウェイクアップ信号受信機22は、無線基地局2がスリープ状態にあるときに、アンテナ21を介して2.4GHz帯の周波数チャネルで端末装置1からウェイクアップIDを構成する無線LANフレームを受信し、その受信した無線LANフレームに基づいて、後述する方法によってウェイクアップIDのマッチングを判定する。そして、ウェイクアップ信号受信機22は、ウェイクアップIDがマッチングすると判定したとき、起動信号DRV1を生成して電源27へ出力する。
【0048】
なお、ウェイクアップ信号受信機22は、ウェイクアップIDを構成する無線LANフレームを受信する機能のみを有し、パケットを送信する機能を有しない。
【0049】
電源23は、電力をウェイクアップ信号受信機22へ供給する。この場合、電源23は、例えば、100μWの電力をウェイクアップ信号受信機22へ供給する。
【0050】
無線LANカード24は、アンテナ21に接続される。また、無線LANカード24は、電源27から電力を供給されると、その供給された電力によって駆動する。
【0051】
無線LANカード24は、通知SLPをCPU25から受け、その受けた通知SLPをアンテナ21を介して端末装置1へ送信する。
【0052】
また、無線LANカード24は、CPU25からビーコンフレームBeaconを定期的に受け、その受けたビーコンフレームBeaconをアンテナ21を介して2.4GHz帯の周波数チャネルで送信する。そして、無線LANカード24は、端末装置1との間で無線リンクを確立する。
【0053】
その後、無線LANカード24は、CPU25からデータを受けると、その受けたデータを含むパケットを生成する。そして、無線LANカード24は、その生成したパケットを所望の無線通信方式によって変調し、その変調したパケットをアンテナ21を介して2.4GHz帯の周波数チャネルで端末装置1へ送信する。
【0054】
また、無線LANカード24は、アンテナ21を介して2.4GHz帯の周波数チャネルで端末装置1からパケットを受信し、その受信したパケットを復調する。そして、無線LANカード24は、その復調したパケットからデータを取り出してCPU25へ出力する。
【0055】
更に、無線LANカード24は、電源27からの電力の供給が停止されると、起動状態からスリープ状態へ移行する。
【0056】
CPU25は、電源27から電力を供給されると、その供給された電力によって駆動する。そして、CPU25は、ビーコンフレームBeaconを定期的に生成し、その生成したビーコンフレームBeaconを無線LANカード24へ出力する。
【0057】
また、CPU25は、ネットワーク接続カード26からデータを受けると、その受けたデータを無線LANカード24へ出力する。
【0058】
更に、CPU25は、無線LANカード24からデータを受け、その受けたデータをネットワーク接続カード26へ出力する。
【0059】
更に、CPU25は、無線基地局2に帰属する端末装置1を管理する。
【0060】
更に、CPU25は、一定の期間、無線LANカード24からデータを受けないとき、通知SLPを生成して無線LANカード24へ出力してから、または端末装置1が無線基地局2に帰属していないとき、電力の供給を停止することを指示する指示信号STPを生成し、その生成した指示信号STPを電源27へ出力する。
【0061】
更に、CPU25は、電源27からの電力の供給が停止されると、起動状態からスリープ状態へ移行する。
【0062】
ネットワーク接続カード26は、有線ケーブル20を介してネットワーク30に接続される。また、ネットワーク接続カード26は、電源27から電力を供給されると、その供給された電力によって駆動する。
【0063】
そして、ネットワーク接続カード26は、ネットワーク30および有線ケーブル20を介して他の通信装置からパケットを受信し、その受信したパケットからデータを取り出してCPU25へ出力する。
【0064】
また、ネットワーク接続カード26は、CPU25からデータを受け、その受けたデータを含むパケットを生成する。そして、ネットワーク接続カード26は、その生成したパケットを有線ケーブル20およびネットワーク30を介して他の通信装置へ送信する。
【0065】
更に、ネットワーク接続カード26は、電源27からの電力の供給が停止されると、起動状態からスリープ状態へ移行する。
【0066】
電源27は、ウェイクアップ信号受信機22から起動信号DRV1を受けると、無線LANカード24、CPU25およびネットワーク接続カード26へ電力を供給する。また、電源27は、CPU25から指示信号STPを受けると、無線LANカード24、CPU25およびネットワーク接続カード26への電力の供給を停止する。
【0067】
端末装置1におけるウェイクアップ信号WKEの送信方法について説明する。図4は、ビット値をフレーム長に変調するためのマップを示す概念図である。また、図5は、ウェイクアップ信号WKEの送信方法の概念図である。
【0068】
図4を参照して、マップMAP1は、ビット値00,01,11,10と無線LANフレームFL0,FL1,FL3,FL2との対応関係からなる。そして、48μsの長さを有する無線LANフレームFL0は、“00”のビット値に対応し、52μsの長さを有する無線LANフレームFL1は、“01”のビット値に対応し、56μsの長さを有する無線LANフレームFL3は、“11”のビット値に対応し、60μsの長さを有する無線LANフレームFL2は、“10”のビット値に対応する。
【0069】
端末装置1のCPU13は、ウェイクアップさせる無線基地局2のIDを予め保持している。そして、CPU13は、スリープ状態である無線基地局2と無線通信を開始する場合、無線基地局2のIDから公知のハッシュ関数を用いてウェイクアップIDを算出する。この場合、ハッシュ関数は、どのようなハッシュ関数であってもよい。
【0070】
そして、CPU13は、その算出したウェイクアップIDをフレーム長変調方式を用いて変調し、ウェイクアップIDを構成する無線LANフレーム(=ウェイクアップ信号WKE)を作成する。
【0071】
そうすると、CPU13は、その作成した無線LANフレームを無線LANカード12へ出力し、無線LANカード12は、CPU13から受けた無線LANフレームをバーストモードで一斉に送信する。
【0072】
より具体的に説明する。CPU13は、例えば、“10,01,00,11”からなるウェイクアップIDを算出する。そして、CPU13は、マップMAP1を保持しており、その保持しているマップMAP1を参照して、“00”を48μsのフレーム長を有する無線LANフレームFL0に変調し、“01”を52μsのフレーム長を有する無線LANフレームFL1に変調し、“11”を56μsのフレーム長を有する無線LANフレームFL3に変調し、“10”を60μsのフレーム長を有する無線LANフレームFL2に変調する。即ち、CPU13は、“10,01,00,11”からなるウェイクアップIDを4個の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3に変調する。
【0073】
そして、CPU13は、指示信号BURSTを無線LANカード12へ出力した後、4個の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を無線LANカード12へ出力する。
【0074】
無線LANフレーム12は、指示信号BURSTに応じてバーストモードへ移行し、4個の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3をCPU13から受けると、その受けた4個の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を既定の間隔でバースト的に送信する。無線LANカード12は、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3の送信中、ACKを受信しないので、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3の送信先は、ブロードキャストアドレスである。
【0075】
より具体的には、無線LANカード12は、次の方法によって、4個の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を送信する。無線LANカード12は、まず、無線LANフレームFL2を送信する。そして、無線LANカード12は、SIFS(Short Inter Frame Space)が経過した後、無線LANフレームFL1を送信する。更に、無線LANカード12は、無線LANフレームFL1の送信後、SIFSが経過すると、無線LANフレームFL0を送信する。更に、無線LANカード12は、無線LANフレームFL0の送信後、SIFSが経過すると、無線LANフレームFL3を送信する(図5参照)。
【0076】
このように、無線LANカード12は、2つの無線LANフレーム間の間隔がSIFSの間隔(=既定の間隔)になるように4個の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を時間方向に連続(バースト的に)して送信する。この場合、無線LANカード12は、IEEE802.11gのOFDMフレームを送信するので、SIFSは、16μsの長さを有する。
【0077】
無線LANフレームFL2は、“10”を表し、無線LANフレームFL1は、“01”を表し、無線LANフレームFL0は、“00”を表し、無線LANフレームFL3は、“11”を表す。
【0078】
従って、無線LANカード12は、4個の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3をSIFSの間隔でバースト的に送信することによって“10010011”からなるウェイクアップIDを送信する。
【0079】
その結果、端末装置1以外の端末装置および無線基地局は、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3が連続して送信されている間、無線通信を行わない。即ち、端末装置1以外の端末装置および無線基地局は、キャリアセンスにおいて、SIFSの間、チャネルがビジーであると扱うので、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3がSIFSの間隔で連続して送信されている間、キャリアセンスによってチャネルがビジーであることを検知し、無線LANフレームを送信しない。よって、他の無線LANフレームが無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3に割り込むのを防止できる。
【0080】
図6は、ウェイクアップ信号WKEを送信する動作を説明するためのフローチャートである。
【0081】
図6を参照して、ウェイクアップ信号WKEを送信する動作が開始されると、端末装置1のCPU13は、無線基地局2のIDからハッシュ関数を用いてウェイクアップIDを算出する(ステップS1)。
【0082】
そして、CPU13は、マップMAP1を参照して、上述した方法によって、ウェイクアップIDをフレーム長変調方式によって変調し、ウェイクアップIDを構成する無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を作成する(ステップS2)。
【0083】
その後、CPU13は、指示信号BURSTを生成して無線LANカード12へ出力し、無線LANカード12のバーストモードを設定する(ステップS3)。
【0084】
そして、CPU13は、作成した無線LANフレームを一斉に無線LANカード12へ出力する(ステップS4)。
【0085】
無線LANカード12は、指示信号BURSTに応じてバーストモードへ移行し、CPU13から無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を受けると、その受けた無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を上述した方法によって既定の間隔でバースト的に送信する(ステップS5)。これによって、ウェイクアップ信号WKEの送信動作が終了する。
【0086】
このように、端末装置1は、1つの無線LANフレームを送信した後、既定の間隔であるSIFSが経過すると、次の無線LANフレームを送信することを繰り返し行い、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を送信する。
【0087】
その結果、他の端末装置および無線基地局は、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3が連続して送信されている間、無線LANフレームを送信しないので、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3に他の無線LANフレームが割り込むことがない。
【0088】
従って、無線基地局2は、他の無線LANフレームの割込みが無い無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を受信するので、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3の各々のフレーム長を正確に検知できる。その結果、フレーム長で表されたウェイクアップIDの誤検知率を抑制できる。
【0089】
図7は、ウェイクアップIDを等価ウェイクアップIDに変調するためのマップを示す概念図である。
【0090】
図7を参照して、マップMAP2は、ビット値00,01,11,10と、ビットストリームBS0,BS1,BS3,BS2との対応関係からなる。ビットストリームBS0は、ビット値00に対応付けられ、ビットストリームBS1は、ビット値01に対応付けられ、ビットストリームBS3は、ビット値11に対応付けられ、ビットストリームBS2は、ビット値10に対応付けられる。
【0091】
ビットストリームBS0は、“0011111111111100”からなり、ビットストリームBS1は、“00111111111111100”からなり、ビットストリームBS3は、“001111111111111100”からなり、ビットストリームBS2は、“0011111111111111100”からなる。
【0092】
図8は、ウェイクアップ信号WKEの受信処理を示す概念図である。図8を参照して、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、ウェイクアップIDを構成する無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3(=ウェイクアップ信号WKE)をアンテナ21を介して受信し、その受信した無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3をウェイクアップ信号WKEの周波数を中心にしてバンドパスフィルタに掛け、信号を抽出する。そして、ウェイクアップ信号受信機22は、その抽出した信号に対して包絡線検波を行い、包絡線を検出する。
【0093】
その後、ウェイクアップ信号受信機22は、包絡線をサンプリング周期でサンプリングしてアナログ信号からデジタル信号に変換し、受信信号rを得る(図8のrを参照)。この場合、サンプリング周期は、4μsである。また、サンプリングする時点の包絡線値は、図8における黒丸によって表される。One bitのA/D変換を用いる場合、サンプリングする時点の包絡線値をある閾値(例えば、0.5)と比較して、受信信号rは、0,1のビットシーケンスになる。
【0094】
ウェイクアップ信号受信機22は、無線基地局2のIDを保持しており、その保持している無線基地局2のIDからハッシュ関数を用いてウェイクアップIDを算出する。即ち、ウェイクアップ信号受信機22は、端末装置1のCPU13と同じ方法によってウェイクアップIDを算出する。
【0095】
その後、ウェイクアップ信号受信機22は、その算出したウェイクアップIDのビット列を2ビットづつに区切り、その区切った各2ビットのビット値をマップMAP2を参照してビットストリーム(BS0〜BS3のいずれか)に変換し、ウェイクアップIDを等価ウェイクアップIDに変調する。
【0096】
この場合、ウェイクアップIDは、“10010011”からなるので、ウェイクアップ信号受信機22は、マップMAP2を参照して、“10”,“01”,“00”,“11”をそれぞれビットストリームBS2,BS1,BS0,BS3に変換し、ウェイクアップID=“10010011”を等価ウェイクアップID(E)=BS2|BS1|BS0|BS3に変調する(図8のEを参照)。
【0097】
そして、ウェイクアップ信号受信機22は、等価ウェイクアップID(E)と同じ長さを有する相関窓Wを作成する。より具体的には、ウェイクアップ信号受信機22は、等価ウェイクアップID(E)の“00”に対応する部分と、“00”に隣接する“11”に対応する部分とが“1”からなり、それ以外の部分が“0”からなるように相関窓Wを作成する(図8のWを参照)。
【0098】
そうすると、ウェイクアップ信号受信機22は、受信信号r、等価ウェイクアップID(E)および相関窓Wを用いて後述する方法によってウェイクアップIDのマッチングを行う。そして、ウェイクアップ信号受信機22は、ウェイクアップIDがマッチングする場合、起動信号DRV1を生成して電源27へ出力し、ウェイクアップIDがマッチングしない場合、電源27へ何も出力しない。
【0099】
上述したように、無線LANフレームFL0,FL1,FL3,FL2は、それぞれ、48μs,52μs,56μs,60μsのフレーム長を有し、SIFSは、16μsの長さを有し、サンプリング周期は、4μsである。
【0100】
従って、この発明の実施の形態においては、複数の無線LANフレームFL0,FL1,FL3,FL2の各々におけるフレーム長と、2つの無線LANフレーム間の間隔(=SIFS)とがサンプリング周期の整数倍に設定される。
【0101】
その結果、SIFSを4ビットで表現できる。
【0102】
また、ビットストリームBS2中の“1”の個数(=15個)に4μsを乗算すれば、無線LANフレームFL2のフレーム長(=60μs)になり、ビットストリームBS1中の“1”の個数(=13個)に4μsを乗算すれば、無線LANフレームFL1のフレーム長(=52μs)になり、ビットストリームBS0中の“1”の個数(=12個)に4μsを乗算すれば、無線LANフレームFL0のフレーム長(=48μs)になり、ビットストリームBS3中の“1”の個数(=14個)に4μsを乗算すれば、無線LANフレームFL3のフレーム長(=56μs)になる。
【0103】
その結果、ビットストリームBS0〜BS3に含まれる“1”の個数にサンプリング周期(=4μs)を乗算することによって無線LANフレームFL0〜FL3のフレーム長を容易に検出できる。
【0104】
更に、ビットストリームBS2は、無線LANフレームFL2の両端にSIFSを構成する2ビットの“00”を付加した構成からなり、ビットストリームBS1は、無線LANフレームFL1の両端にSIFSを構成する2ビットの“00”を付加した構成からなり、ビットストリームBS0は、無線LANフレームFL0の両端にSIFSを構成する2ビットの“00”を付加した構成からなり、ビットストリームBS3は、無線LANフレームFL3の両端にSIFSを構成する2ビットの“00”を付加した構成からなる。つまり、SIFSは、両側に位置するビットストリームBS2,BS1;BS1,BS0;BS0,BS3の一部を構成する。従って、等価ウェイクアップID(E)は、ウェイクアップIDを無線LANフレームFL0〜FL3のフレーム長とSIFSとを用いて変調された構成からなる。
【0105】
その結果、ビットストリームBS0〜BS3をBS2|BS1|BS0|BS3のように配列することによって(図8参照)、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3およびSIFSを表現できる。つまり、受信信号rの比較対象である等価ウェイクアップID(E)を容易に作成でき、後述するウェイクアップIDのマッチングを容易に判定できる。
【0106】
ウェイクアップIDがマッチングするか否かを判定する方法について説明する。
【0107】
(方法1)
ウェイクアップIDを構成する無線LANフレームのフレーム長およびフレーム間スペース(=SIFS)が正確である場合、即ち、ウェイクアップIDを構成する無線LANフレームが上述したフレーム長を有し、かつ、SIFSの間隔で正確に送信されている場合、ウェイクアップ信号受信機22は、次式を用いて部分相関corrを直接算出する。
【0108】
【数1】

【0109】
なお、式(1)において、(r==E)は、rがEと同じであれば、(r==E)が“1”になり、rがEと異なれば、(r==E)が“0”になることを意味する。また、Wが“1”であれば、(r==E)・Wは、(r==E)になり、Wが“0”であれば、(r==E)・Wが“0”になることを意味する。式(1)においては、まず、(r==E)が演算され、次に、(r==E)・Wが演算される。
【0110】
そして、ウェイクアップ信号受信機22は、部分相関corrが閾値(=例えば、29)以上であれば、ウェイクアップIDがマッチングすると判定し、部分相関corrが閾値(=例えば、29)よりも小さければ、ウェイクアップIDがマッチングしないと判定する。
【0111】
図8に示す相関窓Wが“1”である部分窓W1(=1111)において、受信信号rは、“0011”であり、等価ウェイクアップID(E)は、“0011”である。その結果、(r==E)は、部分窓W1において“1111”となる。従って、(r==E)・Wは、部分窓W1において、“1111”となる。
【0112】
また、相関窓Wが“1”である部分窓W2(=11111111)において、受信信号rは、“11000011”であり、等価ウェイクアップID(E)は、“11000011”である。その結果、(r==E)は、部分窓W2において“11111111”となる。従って、(r==E)・Wは、部分窓W2において、“11111111”となる。
【0113】
同様にして、相関窓Wが“1”である部分窓W3(=11111111)において、(r==E)・Wは、“11111111”となり、相関窓Wが“1”である部分窓W4(=11111111)において、(r==E)・Wは、“11111111”となり、相関窓Wが“1”である部分窓W5(=1111)において、(r==E)・Wは、“1111”となる。
【0114】
相関窓Wは、部分窓W1〜W5以外においては、“0”からなるので、(r==E)・Wは、部分窓W1〜W5以外において、“0”になる。
【0115】
従って、部分相関corrは、部分窓W1における4個の“1”(=“1111”)と、部分窓W2における8個の“1”(=“11111111”)と、部分窓W3における8個の“1”(=“11111111”)と、部分窓W4における8個の“1”(=“11111111”)と、部分窓W5における4個の“1”(=“1111”)とを加算した“32”になる。
【0116】
このように、受信信号rに誤りが無ければ、部分相関corrは、“32”になる。そして、閾値を“29”に設定するのは、受信信号rの誤りを3ビットまで許容するためである。
【0117】
ウェイクアップ信号受信機22は、次式を用いて部分相関corrを算出してもよい。
【0118】
【数2】

【0119】
式(2)の右辺は、式(1)の右辺を相関窓Wの和で除算したものに等しい。従って、式(2)を用いて算出した部分相関corrは、受信信号rに誤りが無ければ、32/32=1となる。受信信号rの誤りは、式(2)の右辺の分子に反映されるので、受信信号rの誤りを3ビットまで許容する場合、式(2)を用いて算出した部分相関corrの閾値は、29/32に設定される。
【0120】
ウェイクアップ信号受信機22は、式(2)を用いて部分相関corrを算出し、その算出した部分相関corrが閾値(=29/32)以上であれば、ウェイクアップIDがマッチングすると判定し、部分相関corrが閾値(=29/32)よりも小さければ、ウェイクアップIDがマッチングしないと判定する。
【0121】
このように、ウェイクアップIDのマッチングを判定する方法1においては、ビットストリームBS2,BS1,BS0,BS3の両端部を相関窓Wによって検出し、その検出した両端部において受信信号rが等価ウェイクアップID(E)に一致するビット数が閾値以上であれば、ウェイクアップIDがマッチングすると判定し、ビットストリームBS2,BS1,BS0,BS3の両端部において受信信号rが等価ウェイクアップID(E)に一致するビット数が閾値よりも小さければ、ウェイクアップIDがマッチングしないと判定する。つまり、受信信号rの無線LANフレームに相当する部分の両端部が等価ウェイクアップID(E)に一致する割合が閾値以上であれば、ウェイクアップIDがマッチングすると判定し、受信信号rの無線LANフレームに相当する部分の両端部が等価ウェイクアップID(E)に一致する割合が閾値よりも小さければ、ウェイクアップIDがマッチングしないと判定する。
【0122】
そして、受信信号rは、ウェイクアップIDを無線LANフレームのフレーム長によって変調された構成からなり、等価ウェイクアップID(E)も、ウェイクアップIDを無線LANフレームのフレーム長によって変調された構成からなり、ウェイクアップIDのマッチングを判定する方法1は、受信信号rが等価ウェイクアップID(E)に一致するか否かを判定することによってウェイクアップIDのマッチングを判定する。従って、ウェイクアップIDのマッチングを判定する方法1は、端末装置1で算出されたウェイクアップIDと無線基地局2で算出されたウェイクアップIDとのマッチングを無線LANフレームを用いて判定する方法である。
【0123】
上述したように、端末装置1は、複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3をSIFSの間隔で時間方向に連続して送信するので、他の無線LANフレームが複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3に割り込むことがない。その結果、無線基地局2は、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3のフレーム長が正確に反映された受信信号rを検出できる。即ち、無線基地局2は、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3によって表されたウェイクアップIDの誤検知率を抑制できる。
【0124】
なお、閾値は、“29”に限らず、他の値に設定されてもよく、一般的には、許容誤数に応じて決定される。即ち、閾値は、許容誤数が相対的に多ければ、相対的に小さい値に設定され、許容誤数が相対的に少なければ、相対的に大きい値に設定される。
【0125】
(方法2)
図9は、ウェイクアップIDのマッチングを判定する他の方法を説明するための概念図である。
【0126】
この方法2は、ウェイクアップIDを構成する無線LANフレームのフレーム長およびフレーム間スペース(=SIFS)が正確でない場合に用いられる。
【0127】
ウェイクアップ信号受信機22は、上述したように、包絡線ENVを検出し、その検出した包絡線ENVをサンプリング周期tsamplingでサンプリングし、デジタル信号からなる受信信号rを得る。
【0128】
その後、ウェイクアップ信号受信機22は、等価ウェイクアップID(E)と相関窓Wとを時間軸上において移動させながら(図9の紙面において等価ウェイクアップID(E)と相関窓Wとを左右に移動させながら)、相関窓Wが“0”でない部分、即ち、相関窓Wが“1”である部分窓において、それぞれ局所相関(r==E)を演算する。
【0129】
そして、ウェイクアップ信号受信機22は、その演算した複数の局所相関のうち、最大の相関値に対応する位置から各無線LANフレームの左右の端の位置を検出する。
【0130】
より具体的には、ウェイクアップ信号受信機22は、等価ウェイクアップID(E)と相関窓Wとを時間軸上において移動させながら、相関窓Wが“1”である部分窓W1において、複数の局所相関(r==E)を演算する。そして、ウェイクアップ信号受信機22は、その演算した複数の局所相関のうち、最大の相関値に対応する位置から無線LANフレームFL_1の左端の位置L1を検出する。
【0131】
また、ウェイクアップ信号受信機22は、等価ウェイクアップID(E)と相関窓Wとを時間軸上において移動させながら、相関窓Wが“1”である部分窓W2において、複数の局所相関(r==E)を演算する。そして、ウェイクアップ信号受信機22は、その演算した複数の局所相関のうち、最大の相関値に対応する位置から無線LANフレームFL_1の右端の位置R1と無線LANフレームFL_2の左端の位置L2とを検出する。
【0132】
以下、同様にして、ウェイクアップ信号受信機22は、相関窓Wが“1”である部分窓W3において、無線LANフレームFL_2の右端の位置R2と無線LANフレームFL_3の左端の位置L3とを検出する。また、ウェイクアップ信号受信機22は、相関窓Wが“1”である部分窓W4において、無線LANフレームFL_3の右端の位置R3を検出する。
【0133】
そうすると、ウェイクアップ信号受信機22は、その検出した位置L1,R1,L2,R2,L3,R3に基づいて、無線LANフレームFL_1〜FL_3のフレーム長FLEN1〜FLEN3を求め、その求めたフレーム長FLEN1〜FLEN3をマップMAP1を参照してビット値に変換してウェイクアップIDを復調する。
【0134】
そして、ウェイクアップ信号受信機22は、その復調したウェイクアップID(=IDm)と、自己が演算したウェイクアップID(=IDo)との相関を((IDm)==(IDo))によって演算する。
【0135】
その後、ウェイクアップ信号受信機22は、その演算した相関値が閾値以上であれば、ウェイクアップID(=IDm)がウェイクアップID(=IDo)にマッチングすると判定し、その演算した相関値が閾値よりも小さければ、ウェイクアップID(=IDm)がウェイクアップID(=IDo)にマッチングしないと判定する。
【0136】
この場合、閾値は、ウェイクアップIDのビット数Nから許容誤数xを減算したN−xに設定される。
【0137】
このように、ウェイクアップIDのマッチングを判定する方法2においては、受信信号rの無線LANフレームに相当する部分の両端部を検出し、その検出した両端部から無線LANフレームのフレーム長を検出してウェイクアップIDを復調し、その復調したウェイクアップIDが無線基地局2で算出されたウェイクアップIDに一致する割合が閾値以上であるとき、ウェイクアップIDがマッチングすると判定し、復調したウェイクアップIDが無線基地局2で算出されたウェイクアップIDに一致する割合が閾値よりも小さいとき、ウェイクアップIDがマッチングしないと判定する。
【0138】
(方法3)
方法3は、上述した方法1と同じように、ウェイクアップIDを構成する無線LANフレームのフレーム長およびフレーム間スペース(=SIFS)が正確である場合に用いられる。
【0139】
図8において説明したように、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、受信信号rを検出し、等価ウェイクアップID(E)を作成する。そして、ウェイクアップ信号受信機22は、次式を用いて受信信号rと等価ウェイクアップID(E)との全相関corr_totalを演算する。
【0140】
【数3】

【0141】
全相関corr_totalは、式(1)において、相関窓Wが受信信号rの全区間において“1”である場合の受信信号rと等価ウェイクアップID(E)との相関である。
【0142】
ウェイクアップ信号受信機22は、式(3)を用いて全相関corr_totalを演算すると、その演算した全相関corr_totalを閾値と比較する。この場合は、閾値は、例えば、“67”に設定される。図8に示すビットストリームBS2,BS1,BS0,BS3の合計ビット数は、70ビットであるので、3ビットの誤りを許容する場合、閾値は、“67”になるからである。
【0143】
そして、ウェイクアップ信号受信機22は、全相関corr_totalが閾値(=67)以上であるとき、ウェイクアップIDがマッチングしたと判定し、全相関corr_totalが閾値(=67)よりも小さいとき、ウェイクアップIDがマッチングしないと判定する。
【0144】
また、ウェイクアップ信号受信機22は、方法3を用いる場合、次式によって、全相関corr_totalを演算してもよい。
【0145】
【数4】

【0146】
式(4)を用いて全相関corr_totalを演算する場合、相関窓Wは、受信信号rの全区間において“1”に設定される。従って、式(4)の右辺の分母は、“70”になる。
【0147】
ウェイクアップ信号受信機22は、式(4)を用いて全相関corr_totalを演算すると、その演算した全相関corr_totalを閾値と比較する。この場合は、閾値は、例えば、“(67/70)”に設定される。図8に示すビットストリームBS2,BS1,BS0,BS3の合計ビット数は、70ビットであり、式(4)の右辺の分母は、“70”であるので、3ビットの誤りを許容する場合、閾値は、“(67/70)”になるからである。
【0148】
そして、ウェイクアップ信号受信機22は、全相関corr_totalが閾値(=67/70)以上であるとき、ウェイクアップIDがマッチングしたと判定し、全相関corr_totalが閾値(=67/70)よりも小さいとき、ウェイクアップIDがマッチングしないと判定する。
【0149】
このように、方法3は、受信信号rと等価ウェイクアップID(E)との全相関corr_totalを演算することによって、ウェイクアップIDのマッチングを判定する方法である。
【0150】
上述したように、ウェイクアップIDのマッチングを判定する方法1,2は、部分窓W1〜W4を用いて部分相関corrまたは局所相関を演算してウェイクアップIDのマッチングを判定する。従って、ウェイクアップIDのマッチングを判定する方法1,2は、部分窓を用いて無線LANフレームの両端部を検出することによってウェイクアップIDのマッチングを判定する方法である。
【0151】
また、ウェイクアップIDのマッチングを判定する方法3は、相関窓Wの全区間を用いて全相関を演算してウェイクアップIDのマッチングを判定する。従って、ウェイクアップIDのマッチングを判定する方法3は、相関窓Wの全区間を用いて無線LANフレームの両端部を検出することによってウェイクアップIDのマッチングを判定する方法である。
【0152】
図10は、ウェイクアップ信号WKEを送受信する動作を説明するためのフローチャートである。
【0153】
図10を参照して、一連の動作が開始されると、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、上述した方法によって、ウェイクアップIDを算出し(ステップS11)、その算出したウェイクアップIDを上述した方法によって等価ウェイクアップID(Equivalent ID)へ変調する(ステップS12)。そして、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、等価ウェイクアップIDを用いて上述した方法によって相関窓Wを作成する(ステップS13)。
【0154】
一方、端末装置1のCPU13は、上述した方法によって、ウェイクアップIDを算出し(ステップS14)、その算出したウェイクアップIDを上述した方法によって無線LANのフレーム長へ変調し(ステップS15)、無線LANのフレーム長を用いてブロードキャストフレーム(=無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3)を作成する(ステップS16)。
【0155】
そして、端末装置1のCPU13は、指示信号BURSTを生成して無線LANカード12へ出力し、バーストモードを設定する(ステップS17)。その後、端末装置1のCPU13は、その作成した無線LANフレームを一斉に無線LANカード12へ出力する(ステップS18)。
【0156】
端末装置1の無線LANカード12は、CPU13からの指示信号BURSTに応じてバーストモードへ移行し、CPU13から受けた無線LANフレームを上述した方法によってバースト的に送信する(ステップS19)。
【0157】
無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、アンテナ21を介して電波を受信し(ステップS20)、その受信した電波をウェイクアップ信号WKEの周波数を中心にしてバンドパスフィルタに掛ける(ステップS21)。
【0158】
そして、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、バンドパスフィルタに掛けた信号を包絡線検波し(ステップS22)、包絡線を検出する。その後、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、包絡線をサンプリング周期でサンプリングしてアナログ信号からデジタル信号に変換する(ステップS23)。これによって、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、受信信号rを得る。
【0159】
そうすると、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、受信信号r、等価ウェイクアップID(E)および相関窓Wを式(1)(または式(2))に代入して部分相関corrを算出する(ステップS24)。
【0160】
そして、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、その算出した部分相関corrが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0161】
ステップS25において、相関corrが閾値以上であると判定されたとき、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、起動信号DRV1を生成して電源27へ出力する。即ち、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、ウェイクアップ指示を出す(ステップS26)。
【0162】
そして、ステップS25において、相関corrが閾値よりも小さいと判定されたとき、またはステップS26の後、一連の動作が終了する。
【0163】
このように、図10に示すフローチャートにおいては、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、上述した方法1を用いてウェイクアップIDがマッチングするか否かを判定し、ウェイクアップIDがマッチングする場合、ウェイクアップ指示を出す。
【0164】
図11は、ウェイクアップ信号WKEを送受信する他の動作を説明するためのフローチャートである。
【0165】
図11に示すフローチャートは、図10に示すフローチャートのステップS24をステップS24A,S24Bに代えたものであり、その他は、図10に示すフローチャートと同じである。
【0166】
図11を参照して、一連の動作が開始されると、上述したステップS11〜S23が実行される。そして、ステップS12,S13,S23の後、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、受信信号r、等価ウェイクアップID(E)および相関窓Wに基づいて、上述した方法によって、無線LANフレームの端を検知し、フレーム長を算出する(ステップS24A)。
【0167】
そして、無線基地局2のウェイクアップ信号受信機22は、その検出したフレーム長をマップMAP1を参照してウェイクアップIDへ復調し、その復調したウェイクアップIDと、ステップS11において算出したウェイクアップIDとの相関を算出算する。
【0168】
その後、上述したステップS25,S26が実行され、一連の動作が終了する。
【0169】
なお、図10および図11に示すフローチャートにおいては、部分相関を用いてウェイクアップIDのマッチングが判定される。しかし、この発明の実施の形態においては、全相関を用いてウェイクアップIDのマッチングが判定されてもよい。この場合、図10に示すステップS24において、上述した方法によって全相関corr_totalが演算される。
【0170】
上述したように、この発明の実施の形態においては、端末装置1は、ウェイクアップIDを無線LANフレームのフレーム長に変調してウェイクアップIDを示す複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を生成し、その生成した複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を2つの無線LANフレーム間の間隔がSIFSになるように時間方向に連続して送信する。そして、無線基地局2は、端末装置1から送信された複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を受信し、その受信した複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3の受信信号に基づいて、端末装置1が算出したウェイクアップIDと、自己が算出したウェイクアップIDとが一致すると判定したとき、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0171】
その結果、端末装置1以外の端末装置は、端末装置1が複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を送信中、無線通信を行わないので、他の無線LANフレームが複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3に割り込むことがない。
【0172】
従って、無線基地局2は、複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3のフレーム長を正確に検知でき、フレーム長によって表されたウェイクアップIDの誤検知率を抑制できる。
【0173】
図10または図11に示すフローチャートに従って、ウェイクアップ信号受信機22は、ウェイクアップ指示を電源27へ出力し、電源27は、ウェイクアップ指示に応じて、電力を無線LANカード24、CPU25およびネットワーク接続カード26へ供給する。そして、無線LANカード24、CPU25およびネットワーク接続カード26は、電源27からの電力によって駆動される。無線LANカード24は、駆動後、ビーコンフレームBeaconをCPU25から定期的に受けて端末装置1へ送信し、端末装置1と無線リンクを確立する。
【0174】
そうすると、無線LANカード24は、端末装置1からのパケットをアンテナ21を介して受信し、その受信したパケットを復調してデータを取り出し、その取り出したデータをCPU25へ出力する。また、無線LANカード24は、CPU25からデータを受け、その受けたデータを含むパケットを生成し、その生成したパケットを変調して端末装置1へ送信する。
【0175】
また、ネットワーク接続カード26は、有線ケーブル20およびネットワーク30を介してパケットを受信し、その受信したパケットからデータを取り出してCPU25へ出力するとともに、CPU25からデータを受けると、その受けたデータを含むパケットを生成して有線ケーブル20およびネットワーク30を介して送信する。
【0176】
更に、CPU25は、無線LANカード24とネットワーク接続カード26との間でデータをやり取りする。
【0177】
このように、無線基地局2は、起動状態へ移行すると、端末装置1と無線通信を行うとともに、他の通信装置と有線ケーブル20およびネットワーク30を介して通信を行う。
【0178】
なお、上記においては、端末装置1は、2つの無線LANフレーム間の間隔がSIFSになるように複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を連続して送信すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、端末装置1は、2つの無線LANフレーム間の間隔がDIFSまたはPIFS(PCF Interframe Space)になるように複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を連続して送信してもよい。PIFSは、DIFSよりも短く、端末装置および無線基地局は、DIFSの長さ以下の長さを有する固定長の間、チャネルがビジーであると扱うので、複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3が連続して送信されている間、無線LANフレームを送信しない。従って、他の無線LANフレームが複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3に割り込むことがなく、フレーム長によって表されたウェイクアップIDの誤検知率を抑制できる。
【0179】
そして、端末装置1は、一般的には、2つの無線LANフレーム間の間隔が無線通信方式に応じて決定された固定長(=キャリアセンスによってチャネルがビジーであると検知される固定長)になるように複数の無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を連続して送信してもよい。
【0180】
この場合、複数の無線LANフレームの各々のフレーム長と、固定長とがサンプリング周期の整数倍になり、固定長の一部がビットストリームBS0〜BS3を構成する。また、ウェイクアップIDを複数の無線LANフレームと固定長とによって変調して等価ウェイクアップIDが作成される。
【0181】
また、この発明の実施の形態においては、無線LANカード12は、「送信手段」を構成し、ウェイクアップIDを構成する無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を生成するCPU13は、「生成手段」を構成する。
【0182】
更に、この発明の実施の形態においては、無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3を受信するウェイクアップ信号受信機22は、「受信手段」を構成する。
【0183】
更に、この発明の実施の形態においては、受信された無線LANフレームFL2,FL1,FL0,FL3に基づいて受信信号rを検出するウェイクアップ信号受信機22は、「検出手段」を構成する。
【0184】
更に、この発明の実施の形態においては、上述した方法1または方法2を用いてウェイクアップIDのマッチングを判定するウェイクアップ信号受信機22は、「判定手段」を構成する。
【0185】
更に、この発明の実施の形態においては、ウェイクアップIDがマッチングするとき、起動信号DRV1を生成するウェイクアップ信号受信機22は、「起動手段」を構成する。
【0186】
更に、この発明の実施の形態においては、無線LANカード24、CPU25およびネットワーク接続カード26は、「メイン装置」を構成する。
【0187】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0188】
この発明は、端末装置、それと無線通信を行う無線基地局、およびそれらを備える無線通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0189】
1 端末装置、2 無線基地局、10 無線通信システム、11,21 アンテナ、12,24 無線LANカード、13,25 CPU、14,23,27 電源、20 有線ケーブル、22 ウェイクアップ信号受信機、26 ネットワーク接続カード、30 ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動させる無線基地局を示すウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを無線フレーム長に変調して前記ウェイクアップIDを示す複数の無線フレームを生成する生成手段と、
2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように前記複数の無線フレームを時間方向に連続して送信する送信手段とを備える端末装置。
【請求項2】
前記複数の無線フレームの各々におけるフレーム長と前記2つの無線フレーム間の間隔とが前記複数のフレームの受信信号をサンプリングするときのサンプリング周期の整数倍である、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記2つの無線フレーム間の間隔は、前記無線基地局で生成されたウェイクアップIDと前記生成手段によって生成されたウェイクアップIDとが一致するか否かを判定するときに前記無線基地局において生成される等価ウェイクアップIDの一部分である、請求項1または請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
起動させる無線基地局を示すウェイクアップIDを無線フレーム長に変調して生成され、かつ、2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように送信された複数の無線フレームを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された複数の無線フレームを包絡線検波して包絡線を検出し、その検出した包絡線をサンプリング周期でサンプリングして前記複数の無線フレームの受信信号を検出する検出手段と、
当該無線基地局のウェイクアップIDを無線フレーム長と前記複数の無線フレームのうちの2つの無線フレーム間の間隔とを用いて変調して生成された等価ウェイクアップIDと、前記受信信号とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記等価ウェイクアップIDが前記受信信号に一致すると判定されたとき、ウェイクアップ指示を生成する起動手段と、
起動状態であるとき、端末装置と無線通信を行うとともにネットワークを介して通信装置と通信を行い、スリープ状態であるとき、前記ウェイクアップ指示を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行するメイン装置とを備える無線基地局。
【請求項5】
前記判定手段は、前記等価ウェイクアップIDと同じ長さを有する相関窓を作成し、その作成した相関窓を用いて前記等価ウェイクアップIDと前記受信信号との相関を演算し、その演算した相関が閾値よりも大きいとき、前記等価ウェイクアップIDが前記受信信号に一致すると判定する、請求項4に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記判定手段は、前記等価ウェイクアップIDと前記受信信号との相関を演算し、その演算した相関が閾値よりも大きいとき、前記等価ウェイクアップIDが前記受信信号に一致すると判定する、請求項4に記載の無線基地局。
【請求項7】
起動させる無線基地局を示すウェイクアップIDを無線フレーム長に変調して生成され、かつ、2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように送信された複数の無線フレームを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された複数の無線フレームを包絡線検波して包絡線を検出し、その検出した包絡線をサンプリング周期でサンプリングして前記複数の無線フレームの受信信号を検出する検出手段と、
当該無線基地局のウェイクアップIDを無線フレーム長と前記複数の無線フレームのうちの2つの無線フレーム間の間隔とを用いて変調して生成された等価ウェイクアップIDを作成し、その作成した等価ウェイクアップIDと同じ長さを有する相関窓を作成し、その作成した相関窓が1である部分窓において前記等価ウェイクアップIDと前記受信信号との相関を演算して前記複数の無線フレームの各無線フレームの両端の位置を検出し、その検出した両端の位置に基づいて前記複数の無線フレームの複数の長さを検出し、その検出した複数の長さを第1のウェイクアップIDへ復調し、その復調した第1のウェイクアップIDが当該無線基地局で生成された第2のウェイクアップIDに一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記第1のウェイクアップIDが前記第2のウェイクアップIDに一致すると判定されたとき、ウェイクアップ指示を生成する起動手段と、
起動状態であるとき、端末装置と無線通信を行うとともにネットワークを介して通信装置と通信を行い、スリープ状態であるとき、前記ウェイクアップ指示を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行するメイン装置とを備える無線基地局。
【請求項8】
前記判定手段は、前記第1のウェイクアップIDと前記第2のウェイクアップIDとの相関を演算し、その演算した相関が閾値よりも大きいとき、前記第1のウェイクアップIDが前記第2のウェイクアップIDに一致すると判定する、請求項7に記載の無線基地局。
【請求項9】
ウェイクアップIDを無線フレーム長に変調して複数の無線フレームを生成し、2つの無線フレーム間の間隔がチャネルがビジーであると扱われる固定長になるように前記生成した複数の無線フレームを時間方向に連続して送信する端末装置と、
起動状態であるとき、前記端末装置と無線通信を行い、スリープ状態であるとき、前記端末装置から送信されたウェイクアップIDが自己のウェイクアップIDに一致するとスリープ状態から起動状態へ移行する無線基地局とを備え、
前記端末装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端末装置からなり、
前記無線基地局は、請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の無線基地局からなる、無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−85087(P2013−85087A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223109(P2011−223109)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「無駄な消費電力量を削減するRadio On Demand Networksの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】