説明

竹の皮の真空包装パックと真空包装方法

【課題】 衛生的で輸送時等にも破損が発生せず、使用するにあたり柔軟化や殺菌といった前処理などを必要とせず手軽に使用可能な竹の皮の真空包装パックと真空包装方法を提供する。
【解決手段】 加熱殺菌された竹の皮4を、水分量を20%〜40%の間に保湿した状態で気密性の袋6内に包装して成る。殺菌は、竹の皮4を真空包装して密封状態で加熱し、殺菌する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品用材料などを真空状態に包装する真空包装パックと真空方法に関する。
【背景技術】
【0002】
古くから竹の皮は、お菓子やおにぎりなどの食品を包む包装材料として使用されている。このような食品の包装に使用する竹の皮の加工方法は、竹から剥がされた皮を洗浄した後、乾燥させ、束ねて包装材料として梱包するのが一般的であった。
【0003】
また、特許文献1に開示されているように、竹の皮を包装材料として用いるために、澱粉糊を塗布し水分を加えて加熱成形する容器も提案されている。
【特許文献1】特開2001−30207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術の場合、竹の子等の竹から剥がされた竹の皮を大きさごとに揃えて、乾燥して束ねただけであるため、乾燥が不十分な場合や梅雨時にはカビが発生する問題があった。しかも竹の皮は、季節のものであり一年に一回採取し、乾燥して保管しておくものであるが、食品包装の用途としては通年の需要があり、長期間の保存が不可欠であり、この点からも、梅雨期のカビ等による品質低下が問題であった。従って、十分に乾燥させることが重要であるが、竹の皮は乾燥しすぎるともろくなり、梱包や輸送中等に破損して商品価値が落ちてしまうという相反する問題があった。
【0005】
さらに、竹の皮には細菌が付着しやすく、食品の包装に使用する際には消毒剤等による殺菌の必要があった。さらに、消毒剤を使用しても殺菌が不十分な場合や消毒剤の毒性等により、衛生面や安全性に問題があり、梱包、輸送の途中に細菌が付着することもしばしばある。
【0006】
一方、乾燥した竹の皮を包装材として使用するためには柔軟性が必要であり、乾燥した竹の皮を再び軟化させる必要がある。しかし、この作業は蒸気により柔らかくなるまで、通常は約一晩中蒸して使用するため、手間が掛かるものであった。
【0007】
また、特許文献1に開示された容器は、竹の皮をそのまま用いるものではなく、一旦成型しなければないものであり、形が限られ、自然な風合いも損なわれている。
【0008】
この発明は、上記従来技術の問題に鑑みて成されたもので、衛生的で輸送時等にも破損が発生せず、使用するにあたり柔軟化や殺菌といった前処理などを必要とせず手軽に使用可能な竹の皮の真空包装パックと真空包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、竹の皮の水分量を20%〜40%の間に保湿した状態で包装して成る竹の皮の真空包装パックである。前記竹の皮は、加熱殺菌されている。
【0010】
またこの発明は、竹の皮の水分量を20%〜40%の間に保湿した状態で気密性の袋に収容し、真空包装して密封し、包装後に加熱殺菌する竹の皮の真空包装方法である。前記殺菌は、竹の皮を真空包装して密封状態で加熱し、殺菌するものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の竹の皮の真空包装パックと真空包装方法によれば、柔軟性を維持した状態で、長期間の保存が可能であり、衛生的で輸送時に破損などが発生しない食品包装用の竹の皮を提供することができる。そして、使用する際には軟化や消毒といった前処理などを必要とせず、手軽に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の竹の皮の真空包装パックと真空包装方法の一実施形態について、図1、図2を基にして説明する。この実施形態の竹の皮の真空包装パック2は、竹の皮4を複数枚束ねて包装したものであり、この竹の皮4は、水分量を20%〜40%の間に保湿した状態で包装され、食品の包装などに使用される。この実施形態の竹の皮の真空包装パック2は、図1に示すように、複数枚の竹の皮4を束ねたものを、透明なビニールなどの樹脂で出来た袋6に入れて、袋の中の空気を抜いて真空状態に包装され、殺菌状態で密封されている。
【0013】
次に、この実施形態の竹の皮の真空包装パック2の製作工程を図2に基づいて説明する。
【0014】
先ず、竹から剥がされた竹の皮4を、防カビ処理後乾燥させる。次に、図2の(a)に示すように、噴霧または湿った布で拭くなどにより、適宜な水分を与える。この際に、与える水分量は竹の皮4の重量に対して20%〜40%の間である。そして、図2の(b)に示すように、複数の竹の皮4を束ねる。束ねる枚数は、おおよそ30枚にする。束ねた竹の皮4は、紐8などで括り、図2の(c)に示すように、ビニール樹脂などの透明な袋6に挿入する。
【0015】
次に、図2の(d)に示すように、図示しない真空ポンプなどにより、竹の皮4の束が入れられた袋6から空気を吸引し、袋6の内部を真空に近い状態とする。そして、図示しない袋の溶着装置などにより、袋6内に空気が入らないように袋の口10を封止する。このようにして、図2の(e)に示すように、束にした竹の皮4の真空包装パック2が出来る。最後に、真空包装パック包装された竹の皮4を袋6ごと、100℃のお湯に入れて90分間煮沸し殺菌消毒し、お湯から取り出し冷まして竹の皮の真空包装パック2が完成となる。
【0016】
この実施形態の竹の皮の真空包装パック2によれば、包装された竹の皮4は、殺菌済みのため、長期保存にも耐え、袋6を開封し使用するたびに殺菌作業が不要となるものである。
【0017】
さらに、皮の水分量が20%〜40%の適宜な保湿状態で包装されているため、適度な軟性があり、竹の皮4の模様も変質により変化することもない。そして、袋6を開封後はそのまま使用できるため、食品などを包装する際に、蒸気で蒸す軟化作業が不要であり、手間がかからず効率がよい。また、輸送中に皮の破損や裂け等が起こらないため、輸送も容易である。
【0018】
なお、この発明の竹の皮の真空包装パックは上記実施形態に限定されるものではなく、竹の皮に水分を含ませる方法は、霧吹きなどを使用してもよい。このとき、皮の水分量は、20%〜40%になるようにする。
【0019】
また、竹の皮を束にして形成されていればよいため、竹の皮の形状等は適宜変更可能なものである。また、竹の皮の束を挿入する袋は、真空状態に密閉できればよいため、透明で無くてもよく、また、ラミネートパック等適宜の密封包装可能なものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態の竹の皮の真空包装パックを示す概略図である。
【図2】この実施形態の竹の皮の真空包装パックを製作する工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0021】
2 真空包装パック
4 竹の皮
6 袋
8 紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹の皮の水分量を、20%〜40%の間に保湿した状態で包装して成ることを特徴とする竹の皮の真空包装パック。
【請求項2】
前記竹の皮は、加熱殺菌されていることを特徴とする請求項1記載の竹の皮の真空包装パック。
【請求項3】
竹の皮の水分量を20%〜40%の間に保湿した状態で気密性の袋に収容し、真空包装して密封し、包装後に加熱殺菌することを特徴とする竹の皮の真空包装方法。
【請求項4】
前記殺菌は、竹の皮を真空包装して密封状態で加熱し、殺菌するものであることを特徴とする請求項3記載の竹の皮の真空包装方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−1629(P2006−1629A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182388(P2004−182388)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(501339908)デスタン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】