説明

第四級アンモニウム化合物の合成方法およびその組成物

木材防腐剤配合で用いるに有用であり得る選択したアニオンを有する第四級アンモニウム化合物を製造するに適した新規な製造方法を記述する。この方法は、トリアルキルアミンを臭化アルキルと反応させることで臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を生じさせ、前記臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩をイオン交換樹脂を用いて水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させそして前記水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩をその選択したアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させることを包含する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2004年3月26日付けで出願した同時係属中の米国仮特許出願連続番号60/557,106(本明細書はこれに依存しかつ引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の仮ではない出願でありかつそれの利点を請求するものである。本発明の主題事項は、本出願の出願日と同じ日付で出願した代理人処理番号が23138/09003で表題が「Method of exchanging anions of
tetraalkylammonium salts」の同時係属中の共通譲渡米国特許出願に関係している。
【背景技術】
【0002】
(1)発明の分野
本発明は、第四級アミンを製造する方法、詳細には、選択したアニオンと錯体を形成する第四級アミンを製造する方法に関する。
(2)関連技術の説明
木材は多様な用途、例えば住宅資材、電柱および枕木などで用いられる重要な建築および建設材料である。しかしながら、そのような用途で用いられる木材は頻繁に水および土壌にさらされ、それによって、菌・カビ、細菌および昆虫による劣化および汚れを起こす。木材の処理は歴史的に木材が起こす目障りで破壊的なプロセスを遅らせる化学的殺生物剤(防腐剤)を含有する木材防腐剤を用いて行われてきた。例えば、未処理の木材が地面または水と接触した状態であるとそれが持ちこたえるのは1年から4年間であり得るが、防腐剤で処理しておいた木材は微生物による崩壊および昆虫による攻撃に40年を超える期間に亘って耐えることが知られている。その結果として、木材防腐剤処理産業は現在では1年当たり40億ドルの産業であり、処理された木材が1年当たり約70億ボードフィート生産されている。
【0003】
今日の市場で最も幅広く用いられている3種類の木材防腐剤はクレオソート、無機ヒ素/クロム化合物(CCA)およびペンタクロロフェノールである。
【0004】
現在、米国で用いられている防腐剤処理木材は95パーセント以上がCCA調剤で処理されている。しかしながら、Environmental Protection Agency(EPA)は、新規な代替木材防腐剤を支持して、住宅建材用のCCA防腐剤の使用を段階的に禁止すると言った決定を発表した。EPAは、住宅で用いることを意図した木材(遊び用構造物、デッキ、ピクニック用テーブル、造園材料、住宅用フェンス、パティオおよび歩道/遊歩道で用いられる木材を包含)の実質的に全部に関して木材の処理でCCA製品を2004年1月1日以降に使用することを許可しないであろう。このような決定は新規な木材防腐剤の市場を成長させる必要性を強調するものである。
【0005】
最も幅広く普及している2種類の代替木材防腐剤は第四級アンモニウム化合物(第四級物(quats))および銅アゾールである。市場の傾向は金属含有木材防腐剤を回避する方向にあることから、第四級物を用いることの興味が増してきている。
【0006】
第四級物は、木材防腐剤/殺生物剤産業ばかりでなくまた髪の手入れ製品、洗浄製品、布柔軟剤、薬剤、界面活性剤、脱臭剤、口腔洗浄液、防腐剤、乳化剤、化粧品および鉱物採鉱などの如き産業で用いられる非常に多様な群の化合物である。第四級物は窒素原子が4個の有機基と結合している群の化合物であるとして大まかに定義される。
【0007】
商業的種類の第四級化合物は歴史的にかなり整然とした様式で開発されてきた。一般的
な化合物である塩化アルキルトリメチルアンモニウム(ATMAC)がクラスI型第四級物の代表例である。そのような第四級物は3個のメチル基と1個のアルキル基を包含する置換基を有する窒素で構成されている。クラスIIの第四級化合物の代表例は一般的化合物である塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(ADBAC)、即ち窒素が2個のメチル置換基に加えてアルキル置換基とアルキルアリール置換基を有する化合物である。一般的化合物である塩化アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム(ADEBAC)がクラスIIIの第四級化合物の代表例である。そのような化合物は2個のメチル基と1個のアルキル基と別のアルキルアリール基である(このアルキルはメチル以外である)置換基を有する窒素を含んで成る。最後に、一般的化合物である塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(DADMAC)がクラスIVの第四級化合物の代表例である。このクラスIVの第四級物は典型的に2個のメチル置換基と2個のアルキル置換基を有する窒素を含んで成る。クラスIVの第四級物の1種は鎖長が異なるアルキル置換基を有し、それを「二重尾」(double−tail)第四級物と呼ぶことができるであろう。特別な種類の二重尾第四級物には、アルキル置換基が同じ鎖長を有する第四級物が含まれる。そのような第四級物を「双尾」(twin−tail)第四級物と呼ぶことができるであろう。
【0008】
低級第四級物から高級第四級物に移行するにつれて、表面活性および/または生物学的活性効果がより高い種を消費者に提供することが可能になる。そのような高級第四級物の方がしばしば実際の用途でより高い耐久性または耐失活性を示す。しかしながら、低級第四級物から高級第四級物に移行するとまた結果として活性材料単位当たりのコストも高くなり得る。
【0009】
高級な表面活性第四級物は使用者および配合業者に特別な難題を提起する。高級第四級物が示す水溶性の方が低級同等物が示すそれよりも実質的に低い可能性がある。しかしながら、第四級物と一緒に錯体を形成する対イオン(即ちアニオン)を変えることで溶解性を変えることができる。多くの場合、「より大きい」アニオンを用いることで全体として表面活性を示す構造物をより多く均衡させる(例えば柔らかい酸:柔らかい塩基の組み合わせ)ことができる。それによって一般に水溶液中で向上した溶解性および安定性を示す第四級塩がもたらされる。
【0010】
第四級アンモニウム化合物の製造方法は本技術分野で一般に公知である。基本的化学教科書にアンモニアもしくはアミンとハロゲン化アルキルの反応でもたらされる最終的生成物は第四級アンモニウム塩であることが教示されている(例えば非特許文献1および2を参照)。特別な種類の置換基および特別な対アニオンを有する第四級物を製造する特殊な方法が他のいろいろな出版物、例えば特許文献1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25および26に報告されている。
【0011】
例えば、トリエチルアミンとヨウ化セチルを反応させてセチルトリエチルアンモニウム塩を生じさせることが特許文献27に記述されており、そこには、相当するヨウ化ステアリル、ミリスチルおよびオレイルトリエチルアンモニウムを同様な様式で製造することができることが述べられている。また、臭化アルキルおよび塩化アルキルを用いた同様な反応も報告されている。第四級臭化物と硫酸銀を反応させると第四級硫酸塩および不溶な臭化銀が生じることが記述されている。いろいろなハロゲン化アルキルを逐次的に反応させて個々のアルキル基の各々を窒素に付加させるとより複雑な第四級物が生じる。
【0012】
ケトンの第四級アンモニウム化合物の生成が特許文献28に報告されており、そこには、最初にハロゲン化物の形態の化合物を用意する方が有利であるが、異なるアニオンを複分解またはイオン交換のいずれかで供給することができることが述べられている。その例
には、第四級ハロゲン化物を酸化銀などと反応させることでハロゲン化物塩をヒドロキシル塩に転化させた後に所望アニオンの酸を用いて酸性にすることで前記ヒドロキシルを所望の如何なるアニオン形態にも転化させることが可能であることが含まれる。特許文献28には、そこに記述されている第四級塩のいずれもそれを所望アニオン形態のアニオン交換樹脂と接触させることで他の如何なるアニオン形態に転化させることも可能であると述べられている。イオン交換によるアニオン移動の例は全く示されていない。
【0013】
第四級塩のアニオンを交換する2方法が特許文献29に記述されている。1番目の方法は、第四級物の有機溶液を所望アニオンが入っている水溶液と繰り返し接触させる方法であるとして記述されている。しかしながら、その方法は溶媒の使用量が多量であることから商業的実施には厄介で高価でありかついくらか有害であると記述されている。第四級アニオンを交換する2番目の方法としてイオン交換樹脂の使用が記述されている。そこでは、第四級物を最終的に望まれる第四級アニオンの形態のイオン交換樹脂が入っているカラムの中に通している。あるイオン交換樹脂が特別なアニオンの形態であると述べる場合、これは、その樹脂がそのアニオンと錯体を形成することを意味する。その樹脂が所望のアニオンを放出しかつ出発アニオンを吸収する。特許文献29には、そのような方法は実験室規模で用いるに有用であるが、商業的規模では極めて実行不可能であると記述されておりかつその第四級物の希溶液を用いる必要があることから溶媒を多量に用いる必要があると述べられている。加うるに、特許文献29には、イオン交換樹脂は高価でありかつ定期的に交換する必要があるとも述べられている。樹脂を多量に用いる必要がある理由は、1番目として、交換樹脂が有する固有の能力が低いことと、2番目として、非プロトン溶媒、例えば炭化水素などの使用に付随して移動係数が低いことによる。その上、特許文献29には、非プロトン溶媒を用いると再生が非常に困難であるとも述べられている。特許文献29では、イオン交換樹脂を第四級アニオンの交換で用いるのはあまり経済的ではないと結論付けている。
【0014】
特許文献29には、そのような問題を克服する目的で、揮発性酸、例えば亜硫酸などのアニオンを有する第四級塩を水に不溶な有機溶媒、例えばケロセンなどに溶解させそしてその有機溶液を非揮発性酸、例えば硫酸などの水溶液と接触させる方法が記述されている。その混合物を不活性ガス、例えば空気などでパージ洗浄して前記揮発性酸を除去することで非揮発性酸の第四級塩を残存させている。
【0015】
第三級アミンと炭酸ジエステルを反応させて第四級炭酸塩(quat carbonate)を生じさせそして次に前記第四級炭酸塩を酸と混合しながら二酸化炭素を除去することで前記酸のアニオンの第四級塩を生じさせることを包含する2段階方法で第四級塩を製造することが特許文献30に記述されている。
【0016】
炭酸第四級アンモニウムおよび重炭酸第四級アンモニウムの製造を塩化ジアルキルジメチルアンモニウムと金属の水酸化物を通常のC−Cアルコール溶媒中で反応させて第四級水酸化物(quat hydroxide)を生じさせることを通して実施することが特許文献31に記述されている。次に、その第四級水酸化物を二酸化炭素と反応させることで相当する第四級炭酸塩および第四級重炭酸塩を生じさせている。特許文献31には、イオン交換樹脂を用いて臭化ジデシルジメチルアンモニウムを水酸化ジデシルジメチルアンモニウムに転化させることは従来技術(非特許文献3)に含まれると述べられているが、少量の第四級化合物を転化させるに要する樹脂の量は多量であると記述されている。実際、非特許文献3には、そのような方法は水に不溶な第四級臭化物を相当する第四級水酸化物に転化させる目的で水酸化物イオン交換樹脂を25℃の水中でバッチ様式で用いる方法であるとして記述されている。非特許文献3には、前記第四級水酸化物は水に非常に溶解しかつ自然発生的に安定な気孔(Vesicles)を形成すると報告されている。
【0017】
第四級化合物のアニオンを交換する方法が特許文献32(非電解性アニオン、例えば硫酸塩、重硫酸塩、アルキル硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩および重炭酸塩などの第四級塩の水溶液から第四級水酸化物を電解的に生じさせる方法)、特許文献33(カチオン交換膜で分離されている電解槽を用いて第四級ハロゲン化物から第四級水酸化物を電解的に生じさせる方法)、特許文献34(無機酸の第四級塩に電解を隔膜電解槽内で受けさせることで第四級水酸化物を生じさせる方法)、特許文献35(カチオン交換膜で分離されている陽極室と陰極室を有する槽を用いて第四級重炭酸塩に電解を受けさせることで第四級水酸化物を生じさせる方法)、特許文献36(第四級ハロゲン化物と所望アニオンのアルカリ金属塩が入っている水溶液をこの水溶液と混和せずかつ所望第四級塩の溶媒になる有機液と接触させることでハロゲン化物以外のアニオンを有する第四級アンモニウム塩を生じさせる方法)、および特許文献37(第四級ハロゲン化物を第四級二水素燐酸塩または重硫酸塩に転化させる方法)に記述されている。
【0018】
この上に示した研究がそのように多いことから分かるであろうように、個々の用途に望ましい特性を有する第四級物をもたらす選択したアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩を生じさせる方法が得られたならば、それは非常に望ましいことである。そのような方法を交換を通して当該第四級化合物と一緒に残存するアニオン(前記選択したアニオン以外の)の残存含有量が非常に低くなるように高い転化率で実施することができれば、それは更により有用であろう。そのような方法を高い効率で実施することができれば、それは更により有用である。
【特許文献1】米国特許第4,444,790号
【特許文献2】米国特許第4,450,174号
【特許文献3】米国特許第5,308,363号
【特許文献4】米国特許第5,399,762号
【特許文献5】米国特許第5,438,034号
【特許文献6】米国特許第5,523,487号
【特許文献7】米国特許第5,559,155号
【特許文献8】米国特許第5,641,726号
【特許文献9】米国特許第5,700,841号
【特許文献10】米国特許第5,760,088号
【特許文献11】米国特許第5,833,741号
【特許文献12】米国特許第5,855,817号
【特許文献13】米国特許第5,891,921号
【特許文献14】米国特許第5,944,880号
【特許文献15】米国特許第6,080,789号
【特許文献16】米国特許第6,087,303号
【特許文献17】米国特許第6,090,855号
【特許文献18】米国特許第6,172,117号
【特許文献19】米国特許第6,180,672号
【特許文献20】米国特許第6,362,370号
【特許文献21】米国特許第6,464,764号
【特許文献22】米国特許第6,485,790号
【特許文献23】米国特許第6,784,300号
【特許文献24】米国特許第6,784,317号
【特許文献25】米国特許出願公開US 2003/0023108
【特許文献26】米国特許出願公開US 2004/0162343
【特許文献27】Shelton、米国特許第2,295,504号
【特許文献28】De Benneville、米国特許第2,994,699号
【特許文献29】Swanson、米国特許第3,190,919号
【特許文献30】Mori他、米国特許第4,892,944号
【特許文献31】Walker、米国特許第5,438,034号
【特許文献32】米国特許第3,523,068号
【特許文献33】米国特許第4,394,226号
【特許文献34】米国特許第4,634,509号
【特許文献35】米国特許第4,776,929号
【特許文献36】米国特許第5,705,696号
【特許文献37】米国特許第6,586,632号
【非特許文献1】Noller,C.R.、Textbook of Organic Chemistry、第2版、188頁以降、W.B.Saunders Co.、Philadelphia(1961)
【非特許文献2】March,J.、Advanced Organic Chemistry、第3版、364、365頁、John Wiley & Sons、New York(1985)
【非特許文献3】Talmon他、Science、221:1047(1983)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
従って、本発明は、簡単に述べると、2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩を製造する新規な方法に向けたものであり、この方法は、トリアルキルアミンを臭化アルキルと反応させることで臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を生じさせ、前記臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩と水および極性有機共溶媒を包含する溶媒が入っている溶液を水酸化物形態のイオン交換樹脂と接触させて前記臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させることで水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を溶液の状態で生じさせかつ臭化物形態のイオン交換樹脂を生じさせそして前記水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させることを含んで成る。
【0020】
本発明の1つの態様では、前記水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる段階に前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の溶液を前記2番目のアニオンの形態のイオン交換樹脂と接触させることで前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩を溶液の状態で生じさせかつ水酸化物形態のイオン交換樹脂を生じさせることを含める。
【0021】
本発明の別の態様では、前記水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる段階に前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンの酸と接触させることで前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させることを含める。
【0022】
本発明は、また、水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を炭酸/重炭酸第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる新規な方法にも向けたものであり、この方法は、水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩が水と揮発性極性有機共溶媒を含んで成る溶媒に入っている溶液を蒸留塔の中に適切な地点で供給し、二酸化炭素ガスを前記塔の中にその下部近くで供給し、前記共溶媒を実質的に含有していなくて炭酸/重炭酸第四級テトラアルキルアンモニウム塩を含有する溶液を前記塔の下部から放出させそして前記共溶媒を含んで成る流れを前記塔の上部から放出させることを含んで成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に従い、選択したアニオン(本明細書では以下「2番目のアニオン」と呼ぶことがあり得る)の第四級テトラアルキルアンモニウム塩の製造をトリアルキルアミンを臭化アルキルと反応させて臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を生じさせることを通して実施することができることを見いだした。次に、前記臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩と、水および極性有機共溶媒を包含する溶媒が入っている溶液を水酸化物形態のイオン交換樹脂と接触させることで前記臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる。そのイオン交換接触によって、水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩が溶液の状態で生じかつ臭化物形態のイオン交換樹脂が生じる。最後に、前記水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を選択したアニオンの所望の第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる。
【0024】
本発明の1つの面では、アルキルジメチルアミン(ADMA)化合物、例えばデシルジ
メチルアミンなどから第四級アンモニウム化合物を合成することができかつより高価な化合物、例えばジアルキルメチルアミン(DAMA)などを用いる必要がない。そのような合成経路は費用および柔軟性の点で有意に有利である。例えば、本発明でアルキルジメチルアミン、例えばデシルジメチルアミンなどを用いると最終第四級物に存在するアルキル基の性質および同定に関して対称的または非対称的いずれかの第四級アンモニウム化合物を望まれる種類の第四級物の各々と異なる出発化合物を用いる必要なく製造することできる。
【0025】
他の面において、本発明は、また、合成した第四級物の形態の対イオン(アニオン)を所望特性の第四級塩をもたらすように選択したアニオンと交換することを可能にするものであると言った利点も有する。
【0026】
本方法は第四級アンモニウム化合物の合成を記述するものである。本明細書で用いる如き用語「第四級アンモニウム化合物」または「第四級物」は、少なくとも1個の窒素原子が正味正の電荷が残存するように4個の有機基と結合している化合物を指す。特定の面において、そのような有機基はアルキルまたはアルケニル(不飽和アルキル)基であってもよく、それらは直鎖または分枝、置換もしくは非置換またはこれらの混ぜ合わせである。他の面において、用語「第四級アンモニウム化合物」または「第四級物」にまた2個以上の窒素が4個の有機基と結合している化合物も包含させることを意図する。例えば、第四級物が有する4個の有機基の中の1個が2番目の第四級物と「共有する」基であってもよい。
【0027】
第四級物は、第四級アンモニウム化合物が有する窒素原子が正味正の電荷を有することが理由で、全部が通常は関連対イオン(即ちアニオン)と錯体を形成する。その対イオンが有する結合価電荷に応じて、2個以上の正帯電第四級物が特別な対イオンと錯体を形成する可能性がある。例えば、2個の正帯電第四級物が炭酸塩対イオンと錯体を形成する可能性がある。
【0028】
本方法では、トリアルキルアミンを臭化アルキルと反応させることで臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を生じさせる。ほとんど全てのトリアルキルアミンが使用可能であるが、トリアルキルアミンがアルキルジメチルアミンであるのが好適である。
【0029】
用語「アルキルジメチルアミン」を本明細書で用いる場合、これに窒素原子が2個のメチル基と1個のアルキル基と結合している化合物のいずれも包含させることを意図し、ここで、前記アルキル基はメチル基または分枝もしくは非分枝または置換もしくは非置換のアルキルもしくはアルケニル基であってもよい。本方法では適切な如何なるアルキルジメチルアミン化合物も使用可能であるが、特定の態様ではC−C20アルキルジメチルアミン化合物を用いる。これに関して、そのようなアルキルジメチルアミン化合物が有するアルキル基の炭素数は独立して1から20であってもよい。同様に、そのアルキル基は直鎖もしくは分枝、飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換またはこれらの混ぜ合わせであってもよい。ある態様におけるアルキルジメチルアミンはC−C20アルキルジメチルアミンであり、他の態様におけるアルキルジメチルアミンはC−C20アルキルジメチルアミンであり、そして更に他の態様におけるアルキルジメチルアミンはC−C12アルキルジメチルアミンである。本発明の特定の面におけるアルキルジメチルアミンはデシルジメチルアミンである。
【0030】
用語「臭化アルキル」を本明細書で用いる場合、これに当該アルキルジメチルアミンが有するアルキル基と同じまたは異なるアルキル基もしくはアルケニル基を有していてこれが1個以上のブロマイド基と結合している臭化物化合物のいずれも包含させることを意図する。本発明ではほとんど全ての臭化アルキル化合物を用いることができるが、特定の態
様では臭化C−C20アルキルを用いる。そのような臭化アルキルが有するアルキル基は直鎖もしくは分枝、飽和もしくは不飽和、置換もしくは非置換またはこれらの混ぜ合わせであってもよい。更に他の態様における臭化アルキルは臭化C−C20アルキルであり、他の態様における臭化アルキルは臭化C−C12アルキルであり、そしてある態様における臭化アルキルは臭化デシルである。
【0031】
本発明の特定の面において、そのようなアルキルジメチルアミンおよび/または臭化アルキルが有するアルキル基1個または2個以上の中のいずれか1個以上のいずれかの炭素が場合により所望の置換基のいずれか1個以上で置換されていてもよい。そのような置換基を存在させる場合、それらの各々に独立してアルキル、アリール、複素環、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシおよびオキソから選択した少なくとも1個以上の基を含める。
【0032】
例として、デシルジメチルアミンと臭化デシルの間の反応で生じる生成物は第四級アンモニウム塩、即ち臭化ジデシルジメチルアンモニウムである。
【0033】
トリアルキルアミンと臭化アルキルの間の反応は、反応槽(場合により加熱用マンテルおよび磁気撹拌子を装備しておいてもよい)の中に入れておいたアルキルジメチルアミン溶液に臭化アルキルを添加することを通して実施可能である。反応体を添加する順は本発明の操作可能性にとって重要ではないが、例として、反応量のアルキルジメチルアミン、例えばデシルジメチルアミンなどを場合により真空下で約50℃から65℃またはそれ以上に加熱することで反応槽から酸素を追い出してもよい。その反応全体を不活性気体雰囲気、例えばある程度または完全な窒素雰囲気中などで実施してもよい。反応過程中に反応物の完全な混合を確保する目的で反応物を撹拌してもよい。
【0034】
前記アルキルジメチルアミンを反応槽に添加しそして場合により適切な反応温度に加熱した後、その反応槽に臭化アルキルを添加する。この臭化アルキルを添加する時間は本発明の操作可能性にとって重要ではなく、約5時間以内の時間で実施可能である。例えば、臭化アルキルの添加を約3時間かけてゆっくり実施してもよいか、或は他の態様では、臭化アルキルの全部をアルキルジメチルアミンに一度に添加してもよい。加うるに、アルキルジメチルアミンと臭化アルキルの間の反応は発熱反応であることから、反応物が過熱されないように反応槽に冷却能力を与えるのが適切であり得る。例えば、冷却を行わないと反応物が約140℃から約180℃の範囲の温度に到達する可能性がある。ある場合には、反応物の温度を好適には約120℃以下に維持する。本発明では如何なる冷却方法も使用可能であるが、反応温度を制御するそのような方法の中の2つは下記である:(i)冷却用ジャケット付き反応槽の使用および(ii)メタノールを添加して還流させる方法。
【0035】
反応過程中に臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩が生じている間、その第四級塩が反応物から析出しないようにしかつ粘度を制御する目的で反応槽にC−Cアルコール、特定の態様ではメタノールを少量添加してもよい。いくらか蒸発するメタノールを還流凝縮器経由で反応混合物に戻してもよい。
【0036】
場合により、反応の第一段階が完了する前に反応物にいくらか存在する水を蒸留、真空蒸留またはエタノールを用いた共沸蒸留で除去してもよい。これはエタノールを反応混合物に添加して水/エタノール共沸混合物を蒸留で除去することで達成可能である。
【0037】
一般的には、アルキルジメチルアミンと臭化アルキル反応体をほぼ等モル比で用い、典型的には、臭化アルキルに対するアルキルジメチルアミンの全モル比を少なくとも約1:1にする。しかしながら、本発明の方法に従い、アルキルジメチルアミンまたは臭化アルキルのいずれかをモル過剰量で用いてもよい。ある態様では、アルキルジメチルアミンと
臭化アルキルのモル比が約1.0001:1から約2:1の範囲になるようにアルキルジメチルアミンを過剰量で用いてもよい。好適なトリアルキルアミン:臭化アルキルのモル比は約1.001:1から約1.2:1(即ち、臭化アルキルのモル量に比べたアルキルジメチルアミンのモル過剰量が約0.1%から約20%である)であり、約1.01:1から約1.02:1の範囲のモル比が更により好適である(約1%から約2%のモル過剰量)。特定態様では、臭化アルキルとアルキルジメチルアミンのモル比が約1.001:1から約1.5:1の範囲になるように(即ち、アルキルジメチルアミンのモル量と比較した臭化アルキルのモル過剰量が約0.1%から約50%の範囲、好適には約1%から約30%の範囲になるように)、臭化アルキルを若干過剰量で用いてもよい。例えば、ある態様では臭化アルキルを約1%から約15%のモル過剰度で用いてもよい。
【0038】
臭化アルキルの添加が完了した後、反応を更に約1から24時間延長し、そしてある態様では反応を更に約6から12時間延長する。残存する出発反応体の量が約2重量%(「重量%」)未満またはある態様では約1重量%未満になった時点で反応が完了したと見なす。生じた生成物は臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩であり、これは、アルキルジメチルアミンに由来するアルキル基と2個のメチル基と臭化アルキルに由来する4番目のアルキル基を含有する。典型的な化合物は臭化ジデシルジメチルアンモニウムである。
【0039】
臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を生じさせた場合、この臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩と、水および極性有機共溶媒を包含する溶媒が入っている溶液を水酸化物形態のイオン交換樹脂と接触させることでそれを水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる。そのイオン交換樹脂との接触によって水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩が溶液の状態で生じかつ臭化物形態のイオン交換樹脂が生じる。
【0040】
本方法のイオン交換段階の利点は、これが商業的産業用途に適した第四級物濃度および流量で有効な点にある。本方法では、例えば10重量%以上、または15重量%以上、または25重量%以上でさえある濃度の第四級物を処理することができる。また、この新規な方法を用いると、残存臭化物の濃度が極めて低い第四級水酸化物塩を製造することができる。例えば、臭化物含有量が1000ppm未満、または約300ppm未満またはそれより低い生成物溶液を得ることができる。更により有用な事実は、本発明者らがイオン交換樹脂に再生を頻繁にそれの交換効率も能力も有意に失わせることなく数多くのサイクルに亘って受けさせることができることを見いだしたことにある。
【0041】
前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩が溶液の状態になった時点で、その第四級塩を当該溶媒の溶解度限界までならばほとんど如何なる量でも溶液の状態にすることができる。その溶液の臭化テトラアルキルアンモニウム塩含有量を少なくとも約1重量%にするのが好適であることを見いだした。より効率の良い商業的適用を支援する目的で、その溶液の臭化テトラアルキルアンモニウム塩含有量を少なくとも約5重量%にするのがより好適であり、臭化テトラアルキルアンモニウム塩含有量を少なくとも約10重量%にするのが更により好適であり、臭化テトラアルキルアンモニウム塩含有量を少なくとも約15重量%にするのが更により好適であり、臭化テトラアルキルアンモニウム塩含有量を少なくとも約20重量%、更により好適には少なくとも約25重量%、またはそれ以上の濃度にするのが更により好適である。本発明のある態様では、その溶液の第四級臭化物塩含有量を約10から約30重量%にするのが好適であり、約15%から約25%の範囲にするのが更により好適である。
【0042】
その臭化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液を生じさせる方法は、そのような実施に有効な如何なる方法であってもよい。当該第四級塩を当該溶媒に撹拌しながら加えることで、最終的に、前記第四級塩を溶液の状態にする。役立つならば、前記第四級塩が溶解する速度を速める目的で溶媒をいくらか加熱してもよい。
【0043】
本発明で前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩を溶解させる目的で用いる溶媒は、本方法を成功裏に実施するための特定の基準を満たすべき溶媒である。前記第四級臭化物塩および前記第四級水酸化物塩は現実に通常は両親媒性であり、通常の水性媒体中で示す真の溶解度は非常に低い。興味の持たれる商業的産業規模で交換を実施しようとする時には、通常のイオン交換を実施する時に用いられる通常の溶質濃度に比べて非常に高い溶質濃度で実施すべきである。本ケースにおけるそれは第四級塩の濃度が以下に記述する如き濃度であることを意味する。
【0044】
本イオン交換方法を成功裏に実施するには、それに伴ういろいろな平衡(例えばミセル平衡、樹脂のイオンと溶媒のイオンの平衡など)をイオン交換が高い工程流量で迅速に起こり得るような様式、例えば商業的な半連続型操作を成功裏に行うに必要な如き様式で操作すべきである。その系全体の機構が所望の交換を達成するようにするには、使用する溶媒系が特に重要である。本発明者らは、溶媒の成分をデザインおよび選択する時に下記の特徴を考慮すべきであることを見いだした:
・ 水は単独ではアニオンの充分な移動も次の交換も生じさせない。その理由は関与する種類の両親媒性溶質が水中で確立する分子集合体構造によるものであると考えている。水は第四級物の無機部分にとっては良好な溶媒であるが、ある種の置換基の疎水性アルキル尾にとっては良好な溶媒ではない。
・ 非水性溶媒は典型的に所望のイオン交換に妥当な速度で関与し得る溶媒分離型イオン対を生じさせる能力を持たない。しかしながら、有機溶媒は高級アルキル置換基の疎水性尾の溶媒和を向上させる。
・ 特に二重尾界面活性剤は低い水混和性を示しかつ水のみの環境下ではppm(parts−per−million)濃度からかなり高い濃度(>50%)に至る範囲内の全ての濃度で粘性のある「ゲル」を形成する。
・ 双尾の界面活性剤は「二重尾」ファミリーに入る特殊なケースである傾向がある。そのような特殊な例は典型的にほとんどの溶媒中で高粘度の系を生じる。
【0045】
しかしながら、本方法の多様な要求を満足させかつ所望の交換を迅速かつ完全に進行させることを可能にする溶媒を生じさせることができることを見いだした。本溶媒は、好適には、
(i)前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩が25℃で少なくとも約1重量%の量で溶解し、
(ii)前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が25℃で少なくとも約1重量%の量で溶解し、かつ
(iii)前記臭化物が前記イオン交換樹脂と接触するに有効である、
溶媒である。そのような溶媒の特徴の各々をここに詳細に記述する。
【0046】
ある第四級塩が溶媒に溶解すると述べる場合、これは、その記述する量の第四級塩が当該溶媒にこの溶媒の温度が25℃の時に溶解し得ることを意味する。そのような溶媒は前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩を溶液中に少なくとも約1重量%の量で含有しかつ前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を溶液中に少なくとも約1重量%の量で含有する能力を有する溶媒であるが、そのような溶媒は前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩および前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が好適には少なくとも約5重量%、より好適には少なくとも約10重量%、更により好適には少なくとも約15重量%、更により好適には少なくとも約20重量%、更により好適には少なくとも約25重量%またはそれ以上の量で溶解する溶媒である(ここで、溶解度は全部25℃で測定した溶解度である)。当該溶媒が臭化テトラアルキルアンモニウム塩がある量で溶解しかつ水酸化テトラアルキルアンモニウム塩がある量で溶解する溶媒であると述べる場合、これは、その2種類の第四級塩が同じ体積の溶媒にそのような量で同時に溶解すべきであることを意味するものでないと理解されるべきである。このことは、その2種類の第四級塩の各々が指定量で特定体積の溶媒に個別に溶解すべきであることを意味する。
【0047】
当該溶媒が臭化物アニオンが前記イオン交換樹脂と接触するに有効である溶媒であるべきであると述べる場合、これは、臭化テトラアルキルアンモニウム塩がこの臭化物アニオンと当該イオン交換樹脂の接触を邪魔する分子集合体を形成することはなくかつまた前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩および水酸化物形態のイオン交換樹脂が少なくともある程度ではあるがイオン化することを意味する。
【0048】
本方法で興味の持たれる臭化テトラアルキルアンモニウム塩を水に入れると前記臭化物と当該イオン交換樹脂の接触を邪魔する分子集合体を形成することは公知である。そのような分子集合体には、これらに限定するものでないが、気孔、ミセル、リポソーム、液晶アレー、逆ミセルなどが含まれる。本発明で用いる第四級塩が水中で示す臨界ミセル濃度(CMC)値は非常に低く、10−3から10−9モル規定またはそれよりずっと低い桁であることから、溶媒として水のみを用い、第四級塩の濃度を本方法で興味の持たれる濃度にすると、そのような分子集合体が生じるであろうことはほとんど確実である。
【0049】
水濃度が高い(共溶媒:水の比率が低い)溶媒を用いると、テトラアルキルアンモニウム塩、例えば二重尾第四級物などは折り畳まれることで1番目のアニオンと樹脂の交換をいくらか邪魔する可能性があると考えている。このことを図1に示し、図1中の分子集合体(リポソームとして標識し、これは二重尾の第四級塩、このケースではジデシルジメチルアンモニウム塩で構成されている)がある量の臭化物を遮蔽していることが分かる。その分子集合体が崩壊しない限りかつ崩壊するまでは、その捕捉されている臭化物イオンが樹脂ビードに近づいてその遮蔽されている臭化物がイオン交換を起こすのは不可能である。
【0050】
この上に述べたように、また、そのような溶媒は第四級臭化物塩および水酸化物形態のイオン交換樹脂が少なくともある程度ではあるがイオン化する溶媒であるのも好適である。そのようなアニオンが溶液中に存在すると交換速度が速くなりかつ完全な度合の交換が助長されると考えている。
【0051】
所定の溶媒/第四級塩系に関する臭化物アニオンとイオン樹脂の接触の有効度は容易に測定可能である。それを測定する方法の一例は下記の試験である:
1. 試験を受けさせるべき溶媒に第四級臭化物塩を1モル溶解させた後、それを正確に1リットルにする。前記臭化物アニオンの理論的濃度は1モル/リットルである。
2. 前記溶液に入っている前記臭化物アニオンの指示または有効濃度を適切な任意方法で測定する。例えば、臭化物に特異的なイオン探針を用いてもよい。そのイオンに特異的な探針がモル/リットルを読み取るようにそれに較正を受けさせておいてもよい。
3. 前記臭化物の測定濃度を理論濃度で割った値に100を掛けた値が交換に有効なパーセントに等しい。
4. この試験で測定した時のイオン化パーセントが約10%から100%であることは、臭化物アニオンとイオン交換樹脂の接触に有効な溶媒であることを示す。イオン化パーセントが50%−100%であるのが好適であり、イオン化パーセントが90%−100%であるのが更により好適である。
【0052】
ある溶媒が臭化物とイオン交換樹脂の接触に有効である溶媒であるか否かを決定するに有用な別の試験は下記を包含する:
1. 1番目のアニオンの第四級塩が試験を受けさせるべき溶媒に入っている1モル規定の溶液をこの直ぐ上に記述した試験の1番目の段階に記述したようにして用意する。
2. 当該樹脂に再生を受けさせて2番目のアニオンの形態にした後に前記樹脂の床を生
じさせそして前記溶液を前記樹脂床の中に流すことで、前記溶液と化学量論的過剰量の前記2番目のアニオンの形態のイオン交換樹脂を交換に適した温度で接触させる。前記樹脂床から出る溶液の最初の5体積%からサンプルを採取する。
3. 前記溶液に入っている前記1番目のアニオンの総量を測定する。その測定技術は如何なる形態の1番目のアニオンの量も測定する技術であるべきである。
4. 前記溶液に入っている前記1番目のアニオンの総量の濃度がカラムに供給する供給材料に入っている前記1番目のアニオンの濃度の10%未満であるならば、そのような溶媒は、前記1番目のアニオンと前記イオン交換樹脂の接触に有効な溶媒である。例えば、供給材料の溶液に入っている臭化物の量が臭素として5重量%の場合(それがイオンとして存在するか或は塩として存在するかに拘わらず)、その溶液に入っている臭素の濃度が0.1x5%未満、即ち0.5%未満であるならば、その溶媒は前記1番目のアニオンに有効な溶媒である。好適には、その溶液に入っている前記1番目のアニオンの濃度がカラムに供給する供給材料に入っているそれの約5%未満、より好適には1%未満であるようにする。
【0053】
本発明に好適な溶媒には、水と1種以上の極性有機共溶媒の混合物が含まれる。本明細書で用いる如き「有機」共溶媒は、炭素と水素を含んで成っていて室温で液体である化合物である。また、本明細書で用いる如き「極性」共溶媒は、室温で液体でありかつ25℃で示す誘電率が4以上の液体である。好適な極性共溶媒が25℃で示す比誘電率は6以上であり、より好適な共溶媒が25℃で示す比誘電率は10以上である。
【0054】
その共溶媒がまた関与する(participating)揮発性溶媒であるのも好適である。ある共溶媒が示す沸点が高純度の水が同じ条件下で示す沸点より低いか或はそれがそのような沸点で一定して沸騰する共沸物を形成する場合、それは揮発性溶媒である。例として、当該テトラアルキルアンモニウム塩が二重尾分子、例えばジデシルジメチルアンモニウム塩などである場合にそのような共溶媒はその二重尾分子が水環境に溶解するのを助長しかつ良好な平衡および良好なイオン交換を可能にすることを見いだした。適切な有機共溶媒の例には数種の化合物、例えば
アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、C−Cアルコール、C−Cアルコールなど(メタノールが好適な例である)、
ポリアルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールなど、
エステル、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸エステルなど、
エーテル、例えばメチルt−ブチルエーテル、ジオキサン、グライムなど、および
カルボニル含有溶媒、例えばアセトン、アセトアルデヒドなど
が含まれる。
【0055】
そのような極性有機共溶媒は水相溶性をある程度示すべきである。用いる如何なる有機共溶媒も水と混和する溶媒であるのが好適である。
【0056】
本方法の溶媒に関して、本イオン交換工程が全体として示す効率が実行可能な効率であるには共溶媒と水の比率が重要であることを見いだした。本明細書に記述する条件/制御下では、当該テトラアルキルアンモニウム化合物の同定に依存し、10:90から99:1(共溶媒:水)の範囲が有効であり得る。一般的には、共溶媒:水の重量比を約50:50から約99:1の範囲内にするのが好適であり、約60:40から約99:1がより好適であり、約70:30から約98:2が更により好適であり、約80:20から約95:5が更により好適である。
【0057】
一般に、非常に疎水性のアルキル置換基を有する第四級物、例えばアルキル基がC10−C20である二重尾もしくは双尾第四級物などの場合には水に対する共溶媒の比率を高
くした溶媒が好適である一方、疎水性が低いアルキル置換基を有する第四級物、例えば(C−C)アルキルトリメチルアンモニウム塩などの場合には水に対する共溶媒の比率を低くした溶媒が好適であることを見いだした。
【0058】
本発明の1つの態様における溶媒はアルコールと水の混合物を含んで成る。アルコールと水の混合物を溶媒として用いる時には溶媒がC−Cアルコールと水が10:90から99:1の重量比の混合物を含んで成るのが好適であることを見いだした。更により好適な溶媒は、C−Cアルコールと水が約50:50から約99:1、より好適には約60:40から約99:1、更により好適には約70:30から約98:2、更により好適には約80:20から約95:5の比率の混合物を含んで成る溶媒である。テトラアルキルアンモニウム塩がジデシルジメチルアンモニウム塩である時に本発明で用いるに有用な溶媒の例は、メタノール:水が約85:15の重量比の混合物である。
【0059】
第四級塩を液体成分が2成分の溶媒に添加すると、その混合物は3成分組成物になり、少なくとも3種類の主要な成分は水と共溶媒と第四級塩であると理解されるべきである。例として、メタノール:水が85:15(重量)の混合物で構成させた溶媒に第四級塩を25重量%添加することで生じさせた溶液は第四級塩:メタノール:水が25:64:11(重量で表して)の3成分組成物になるであろう。第四級塩が臭化テトラアルキルアンモニウム塩の場合にそれが本発明でイオン交換樹脂と接触させる好適な溶液の一例である。
【0060】
本方法では、第四級臭化物塩が入っている溶液を水酸化物形態のイオン交換樹脂と接触させる。その樹脂上の活性部位の各々および全てがその明記したアニオンと錯体を形成している必要はないが、水酸化物形態のイオン交換樹脂が有する活性部位の少なくとも主要部分がその水酸化物と錯体を形成しているのが好適である。前記樹脂上の活性部位の少なくとも約75%が水酸化物アニオンと錯体を形成しているのがより好適であり、少なくとも約85%が錯体を形成しているのがより好適であり、少なくとも約90%が錯体を形成しているのが更により好適である。
【0061】
明らかであろうように、本発明のアニオン交換段階中に当該イオン交換樹脂が水酸化物アニオンを供与しかつ臭化物アニオンを取得し、その結果として、ある時点では臭化物アニオンと水酸化物アニオンの両方が前記樹脂上に存在することになるであろう。前記樹脂に前記水酸化物アニオンの実質的に全部が供与されかつそれの活性部位の実質的に全部が臭化物アニオンと錯体を形成した時点で前記臭化物アニオンのブレイクスルー(break through)が起こりかつ交換サイクルが終了する。従って、交換サイクル開始時のイオン交換樹脂は主に水酸化物アニオンの形態でありそして交換サイクル終了時のイオン交換樹脂は主に臭化物アニオンの形態である。その樹脂を再使用または再生させることが望まれる場合、その前に前記樹脂を再生させて水酸化物形態に戻すべきである。
【0062】
本発明ではアニオンを交換するほとんど全ての樹脂を用いることができるが、その樹脂は(タイプ2)の強塩基アニオン交換樹脂であるのが好適である。その樹脂はゲル型樹脂またはマクロ孔質(macroreticular)樹脂のいずれであってもよい。ある用途ではゲル型樹脂が好適であるが、他の用途ではマクロ孔質樹脂が好適である。ある系ではマクロ孔質樹脂の方が優れた交換を示すと思われる。本発明で用いるに有用なイオン交換樹脂の例には、とりわけ、The Dow Chemical Co.(Midland、MI)から入手可能な特定のDowex(商標)樹脂、例えばDowex(商標)Marathon樹脂、Dowex(商標)Upcore樹脂、Dowex(商標)Monosphere樹脂、Dowex(商標)SBR樹脂など、Resintech,Inc.(West Berlin、NJ)から入手可能なSBG、SBM、SBACR樹脂など、Bio−Rad Laboratories,Inc.(Hercules、CA
)から入手可能なAG樹脂、QualiChem,Inc.(Salem、VA)から入手可能なType 2樹脂、Rohn & Haas Company(Philadelphia、PA)から入手可能なAmberlite(商標)IRおよびIRA樹脂、Lanxess CorporationのSybron Chemicals(Pittsburgh、PA)から入手可能なIonac(商標)樹脂、およびSpectrum Chromatography(Houston、TX)から入手可能なSpectra/Gel(商標)アニオン交換樹脂が含まれる。
【0063】
本発明で用いるイオン交換樹脂の調製は、その製造業者が示す指示に従って用いるに適するように実施すべきである。そのような樹脂は一般に塩化物形態で供給され、本方法における2番目のアニオンが塩化物でない時には、その樹脂を本方法で用いることができるようにする前にそれを2番目のアニオン形態に転化させておく必要がある。これを一般的には塩化物形態の樹脂を本方法の2番目のアニオンが入っている溶液と接触させることで実施する。その2番目のアニオンが入っている溶液は酸、塩または塩基であってもよいが、それは2番目のアニオンの源として働くことができるべきである。例えば、本方法における2番目のアニオンが水酸化物の場合には塩化物形態の新しい樹脂を強塩基、例えば水酸化ナトリウムなどと接触させることで、その塩化物形態の樹脂を水酸化物形態の樹脂に転化させてもよい。
【0064】
臭化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液を水酸化物形態のイオン交換樹脂と接触させる様式は本技術分野で公知の如何なる様式であってもよい。その接触の様式はバッチ式または連続流式であってもよい。その接触がバッチ様式であってもよいと述べる場合、これは、ある量の水酸化物形態のイオン交換樹脂をある量の臭化テトラアルキルアンモニウム塩と溶媒中で混合しそしてその混合物をある時間、通常は平衡に到達するまでの時間接触させたままにすることを意味する。次に、前記樹脂と溶液を分離した後、前記第四級水酸化物塩をその溶液から回収してもよい。
【0065】
本方法を商業的規模で用いる場合、通常は、そのイオン交換樹脂を容器、例えばカラムなどの中に入れることで樹脂床を形成させるのが好適である。臭化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液を水酸化物形態のイオン交換樹脂の床が入っている容器の中に送り込んで前記溶液を前記樹脂床の中に通すが、その通す時間の間に、前記臭化物アニオンと前記水酸化物アニオンの交換が起こることで前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩および前記臭化物と錯体を形成したイオン交換樹脂が生じる。適切な溶媒を選択することから、その水酸化テトラアルキルアンモニウム塩は溶液の状態のままであり、それを前記樹脂から分離することができる。前記樹脂床が前記臭化物アニオンで飽和状態になると、その床から出る溶液は前記臭化物の濃度の上昇を示すであろう。その時点をブレイクスルー点と呼び、これが供給段階の終点を示唆し得る。その時点で前記床に再生を以下に考察するようにして受けさせることで、より多くの供給材料を加えるに適するようにそれを調製してもよい。その供給と再生段階が1サイクルの床操作を構成する。
【0066】
そのイオン交換段階を典型的なイオン交換用カラムを用いて実施する場合、そのイオン交換樹脂の床を前記カラムの中に入れそして供給材料の溶液を前記床の上部から前記カラムに供給しそして取り出しを下部で行う(下降流様式)か或はカラムへの供給を下部から行いそして取り出しを上部で行う(上昇流様式)。
【0067】
第四級臭化物塩が溶媒に入っている溶液をイオン交換床に供給する時の供給速度をイオン交換床表面積単位当たりの供給材料の体積/時間単位、即ち床表面1平方フィート当たりのガロン/分(gpm/平方フィート)で表すことができる。これをまた床充填率または充填率と呼ぶこともあり得る。本発明では充填率を約0.1gpm/平方フィートから約5gpm/平方フィートの範囲にするとイオン交換段階を成功裏に実施することができ
ることを見いだし、好適な充填率は約0.3gpm/平方フィートから約3.5gpm/平方フィートの範囲であり、約0.6gpm/平方フィートから約2.5gpm/平方フィートの範囲が更により好適である。
【0068】
供給材料の中の第四級塩の濃度と許容充填率の間にある関係が存在し、その結果として、供給材料の濃度を高くする時には生成物が残存臭化物の量に関して仕様に合致するように最大許容充填率を低くすべきであることを見いだした。床の利用効率が最大限になるように充填率と供給材料の濃度を調整することができる。また、この上で考察したように、最適なイオン交換床操作スキームに到達させようとする時に溶媒の組成もまた1つの要因であることも見いだした。
【0069】
本発明のイオン交換段階の目的は、臭化テトラアルキルアンモニウム塩の水酸化テトラアルキルアンモニウム塩への転化率にある。本方法を実施する目的で起こさせるべき最低転化率は特に存在しないが、転化率を実施可能な限り高くするのが好適である。本方法の1つの態様では、イオン交換樹脂との接触段階で臭化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも90モル%を水酸化テトラアルキルアンモニウム塩に転化させるのが好適であり、臭化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも99モル%を転化させるのがより好適であり、臭化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも99.9モル%を水酸化テトラアルキルアンモニウム塩に転化させるのが更により好適である。
【0070】
イオン交換段階の別の目的は、生成物の溶液に入っている臭化物の濃度を製造すべき個々の生成物にとって受け入れられる濃度にまで低くすることにある。例えば、イオン交換段階の生成物(イオン交換用カラムの流出物)である水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液が含有する臭化物の量が約3000ppm未満であるようにするのが好適である。その臭化物アニオンの濃度をppm(parts per million)で表すとすると、それが意味することは、最終生成物(通常は第四級塩が約50重量%で溶媒、通常は水が約50重量%)100万重量部当たりの臭化物の重量部である。個々の溶液に入っている臭化物が特定量未満であると述べる場合、これは、前記カラムを通す処理を受けさせた溶液の総量中の臭化物の平均濃度を意味する、と言うのは、最後の再生時の量は規定量未満であるからである。言い換えれば、再生直後に樹脂床から出る生成物の溶液に入っている臭化物の濃度の方がブレイクスルー近くの床から出る生成物のそれよりも低い。しかしながら、前記床の中を通した前記溶液の総量中の臭化物の平均は規定量範囲内であり得る。本発明の態様では、イオン交換段階後の水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液が含有する臭化物の量が約1000ppm未満であるようにするのが好適であり、300ppm未満であるようにするのが更により好適である。場合により、イオン交換段階後の水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液が含有する臭化物の量が塩化物として重量で報告して約300ppm未満であるようにするのが好適である。
【0071】
本方法に、場合により、臭化物と錯体を形成しているイオン交換樹脂を再生させそして水酸化物形態のイオン交換樹脂を生じさせる段階を含めてもよい。当該イオン交換樹脂を実際に商業的に用いるには、それに再生を繰り返しサイクルで受けさせることができるべきである。例えば、そのイオン交換樹脂は日に1回またはそれ以上の頻度のベースで交換効率の有意な損失無しに1年間の稼働期間に亘って再生可能であるのが好適である。
【0072】
本方法で用いるに有用なイオン交換樹脂に再生を受けさせる様式は、本技術分野で公知の如何なる様式であってもよい。一般的には、イオン交換樹脂を過剰量の強塩基水酸化物、例えば水酸化ナトリウムなどと接触させることでそれを再生させることができる。その再生用化合物は如何なる液体に入っている溶液であってもよいが、その化合物の水溶液を用いてイオン交換樹脂を再生させるのが典型的である。臭化物形態の樹脂を再生させる時に生じた副生成物である臭化ナトリウム塩が入っている溶液を望まれるならば回収工程に送ってもよく、その工程で水酸化ナトリウムと臭素を回収してもよい。
【0073】
イオン交換樹脂を再生させる目的で水酸化ナトリウムを用いる場合、その樹脂を再生開始時に前記樹脂と錯体を形成している臭化物のモルを基準にしてモル過剰量の水酸化ナトリウムと接触させるのが好適であることを見いだした。例えば、当該樹脂が1モルの臭化物と錯体を形成している場合、その樹脂が水酸化物形態に成功裏に再生されるように前記樹脂に水酸化ナトリウムを約2から約10モル接触させるのが好適である。苛性を前記樹脂上の臭化物アニオン1モル当たり約3から約5モル用いるのがより好適であり、苛性:臭化物のモル比を約4から4.5の範囲にするのが更により好適である。
【0074】
本発明者らは、そのようなイオン交換樹脂系の床を再生させる手順によって本発明の方法の経済性が有意な影響を受けることを見いだした。その再生用溶液に入れる塩基の濃度、再生用溶液の流量および当該樹脂から追い出すべき1番目のアニオンの量を基準にした塩基の総使用量などの如き要因の全部が再生工程の効率の制御に有効であることを見いだした。例えば、図2に、イオン交換床の中点で採取した臭化物濃度のプロファイルのグラフを示す。20%の第四級臭化物の流れを前記床に送ることで水酸化物形態に転化させた。次に、その送り込んだ臭化物1当量当たり4当量の水酸化ナトリウムを用いて前記床を再生させた。再生で用いる水酸化ナトリウムを4%そして次に8%にすることで実験を完了した。4%の水酸化ナトリウムを用いて再生を実施した後のブレイクスルー曲線の方が8%の水酸化ナトリウムを用いて再生を実施した後の曲線よりも急であり、それが起こったのは供給サイクル中の後期である。このことは、再生で用いる苛性の希釈度を高くした方が床能力を有効に高くすることができるか或は8%の時の再生で示される能力に相当する能力にした時に再生に要する苛性の使用量が少なくなり得ることを示している。
【0075】
1番目のアニオンがハロゲン化物でありそして2番目のアニオンが水酸化物の場合、ハロゲン化物形態のイオン交換樹脂の再生にイオン交換樹脂床の中の樹脂を水酸化ナトリウムが少なくとも約1−25重量%入っている水溶液にイオン交換床表面積1平方フィート当たり少なくとも約0.1ガロン/分(gpm/平方フィート)の速度で接触させることを含めるのが好適である。水酸化ナトリウムの希溶液を用いると水酸化物の当量を最も有効に用いることが可能になるが、そのような希流れの体積によってしばしば運転費用がより高くなってしまうことを確認した。経済的均衡として、水酸化物の溶液の濃度を2−12重量%の範囲にするのが好適であり、4−8重量%の範囲の濃度にするのがより好適である。
【0076】
その上、水酸化ナトリウムの水溶液をイオン交換床に少なくとも約0.3gpm/平方フィートの速度で接触させるのが好適であり、水酸化ナトリウムの水溶液をイオン交換床に約0.5から2.5gpm/平方フィートの範囲の速度で接触させるのがより好適であり、水酸化ナトリウムの水溶液をイオン交換床に約0.6から1.5gpm/平方フィートの範囲の速度で接触させるのが更により好適であることを見いだした。
【0077】
供給段階とイオン交換床の再生を上昇流または下降流いずれかの様式で進行させてもよいが、その床が容器またはカラムの中に入っている場合にはその再生用溶液を供給段階で用いる様式とは逆の様式でイオン交換床と接触させるのが好適であることを見いだした。例として、前記床に供給を上昇流様式で受けさせる場合には再生を下降流様式で実施するのが好適であり、その逆も当てはまる。
【0078】
前記イオン交換樹脂を再生させた後、本方法に、場合により、前記水酸化物形態で再生させたイオン交換樹脂の全部または一部を臭化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液と接触させる時に用いる目的で再利用することを含めてもよい。勿論、これを多数
回繰り返してもよい。
【0079】
本方法のいずれかの段階と段階の間でイオン交換樹脂を液体、例えば水などで濯ぐか、溶出させるか或はパージ洗浄してもよいことを注目すべきである。
【0080】
本方法では、水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を2番目(または選択した)アニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる。2番目のアニオンとしてほとんど全てのアニオンを用いることができるが、最終生成物である第四級塩に望ましい特性をもたらす2番目のアニオンを選択するのが好適である。その2番目のアニオンを臭化物からも水酸化物からも異ならせるのが好適である。例として、本発明の2番目のアニオンとして働かせることができる有用なアニオンには、ハロゲン化物、水酸化物、ホウ酸塩、蟻酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、スルホン酸塩、燐酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩素酸塩、酢酸塩およびこれらの混合物が含まれる。
【0081】
前記第四級水酸化物塩を2番目のアニオンの第四級塩に転化させる時に用いる方法は本技術分野で公知の如何なる方法であってもよい。しかしながら、この段階では特に下記の2方法が有用であることが分かった。1番目の方法では、水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる段階に、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液を2番目のアニオンの形態のイオン交換樹脂と接触させることで前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩を溶液の状態で生じさせかつ水酸化物形態のイオン交換樹脂を生じさせることを含める。
【0082】
本発明では、第四級水酸化物塩を2番目のアニオンの第四級塩に転化させる目的で用いる任意のイオン交換段階を本明細書では2番目のイオン交換段階と呼ぶこともあり得る。この2番目のイオン交換段階を好適には前記第四級臭化物を第四級水酸化物に転化させるイオン交換段階(この上で考察した)の様式と同様な様式で実施するが、但し、この上で行った考察では第四級臭化物塩または臭化テトラアルキルアンモニウム塩を言及したが、この2番目のイオン交換段階ではそれぞれ水酸化第四級塩または水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を代わりに用い、そしてこの上で行った考察では水酸化第四級塩または水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を言及したが、この2番目のイオン交換段階ではそれぞれ2番目のアニオンの第四級塩または2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩を代わりに用いることになるであろう。溶媒の選択は同様な決定方法を用いて同様な様式で実施可能であろう。この2番目のイオン交換段階で用いる樹脂は前記1番目の段階で用いた樹脂と同じであるか或は異なってもよい。同様に、この2番目のイオン交換を実施する時に樹脂床を操作する様式もこの上に記述した様式と同様である。この2番目のイオン交換段階で使用済み樹脂床を再生させる時、その使用済み樹脂は水酸化物形態であることから、それを2番目のアニオンの源として働き得る1種以上の再生用溶液と接触させることで前記樹脂を2番目のアニオンの形態の所望のイオン交換樹脂形態に戻してそれを再利用または再使用することができるようにすべきである。
【0083】
この2番目のイオン交換段階を水酸化物アニオンのいくらかが2番目のアニオンと交換を起こす条件下で実施してもよいが、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも90モル%を2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させるのが好適であり、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも99モル%を2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させるのがより好適であり、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも99.9モル%を2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させるのが更により好適である。
【0084】
この2番目のイオン交換段階(即ち、水酸化第四級塩をイオン交換樹脂と接触させることで2番目のアニオンの第四級塩に転化させる段階)を本方法に含める場合、本方法に場合により水酸化物形態のイオン交換樹脂に再生を受けさせることで2番目のアニオンの形態のイオン交換樹脂を生じさせることを含めてもよい。この上に記述したように、そのような再生は、前記樹脂を2番目のアニオンが入っている溶液と接触させることで2番目のアニオンの形態のイオン交換樹脂を生じさせることを含んで成り得る。
【0085】
本方法の特に有用な態様における2番目のアニオンは炭酸塩または炭酸塩と重炭酸塩の混合物である。
【0086】
水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させるに有効であることを確認した代替方法は、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を2番目のアニオンの酸と接触させることで前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させることを含んで成る。
【0087】
このような態様における2番目のアニオンの酸には、臭化物以外のハロゲン化物、ホウ酸塩、蟻酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、スルホン酸塩、燐酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩素酸塩、酢酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種のアニオンをアニオンとして有する酸が含まれる。次に、前記酸と水酸化物形態のイオン交換樹脂を接触させると酸/塩基反応が起こることで、2番目のアニオンの形態の樹脂が残存しかつ水素イオンと水酸化物イオンから水が生じる。
【0088】
例として、そのような酸は、二酸化炭素を水溶液と接触させることで生じさせた炭酸であってもよい。そのような炭酸は水溶液の状態で炭酸塩アニオンまたは炭酸塩アニオンと重炭酸アニオンの混合アニオンを生じ得る。前記水酸化第四級塩と接触させる酸が炭酸の場合には第四級炭酸塩または第四級炭酸塩と第四級重炭酸塩の混合塩が生じる。前記溶液に二酸化炭素をより多い量で添加すると、炭酸塩が重炭酸塩に転化することで重炭酸塩がより多い量で効果的に生じる。従って、第四級水酸化物が入っている溶液と接触させる二酸化炭素の量を制御することで第四級炭酸塩と第四級重炭酸塩の比率を制御することができる。
【0089】
水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を2番目のアニオンの酸と接触させることで前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも一部を前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させる段階は酸と第四級水酸化物塩の混合を可能にする如何なる種類の装置中でも実施可能であるが、この段階を反応蒸留塔を用いて実施するのが有効であることを見いだした。
【0090】
図3に示す如き反応蒸留塔の場合、この塔に水酸化テトラアルキルアンモニウム塩(Q−OH)が入っている溶液を二酸化炭素(CO2)を存在させながら送り込む。その二酸化炭素を前記塔に送り込む地点は、それが塔の中を上方に向かって流れる地点であり、それによって炭酸が生じ、その炭酸が水酸化テトラアルキルアンモニウム塩と反応することで炭酸および/または重炭酸テトラアルキルアンモニウム塩が生じ、それが水溶液の状態で前記塔の下部から出て行く。供給材料の溶液から共溶媒が除去されて前記塔の上部から出て行く。反応蒸留分離の操作に関するさらなる情報を一般にSundmacher,K.およびKienle,A.、Reactive Distillation:Status and Future Directions、Wiley−VCH、(2003)に見ることができる。
【0091】
2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に炭酸ジデシルジメチルアンモニウムと重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムを含める場合に反応蒸留塔の使用が有効であることを見いだした。その上、この態様は、2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に炭酸ジデシルジメチルアンモニウムと重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムを約10:90のモル比で含める場合に有利に使用可能である。
【0092】
本発明は、また、本明細書に記述する方法に従って製造した少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物と場合により他の活性もしくは不活性材料を含有させた組成物も包含する。本明細書に記述する方法に従って製造した第四級アンモニウム化合物を用いて製造可能な具体的な材料には、これらに限定するものでないが、木材防腐剤、界面活性剤、殺虫剤、殺生物剤、消毒剤、織物用化学品、油田用化学品、採鉱用化学品、シャンプー、洗剤、化粧品、湿潤剤、ポリウレタン発泡体用触媒およびエポキシ系硬化剤が含まれる。
【0093】
ある態様において、本発明を用いて生じさせる最終的第四級アンモニウム組成物にいくらか混入しているハロゲン化物の含有量は約100ppm未満である。用語「混入しているハロゲン化物」を本明細書で用いる場合、最終的イオン交換反応後にいくらか残存するハロゲン化物を指す。ある態様における第四級アンモニウム組成物に混入しているハロゲン化物の含有量は約10ppm未満であり、そして他の態様における組成物にいくらか混入しているハロゲン化物の含有量は約5ppm未満である。
【0094】
本発明の他の面では、第四級アニオン種が1種類のみである最終第四級物を生じさせることができる。本発明では、ある場合には、また、本明細書に記述する方法に従って高純度の第四級アンモニウム組成物も生じさせるが、それが含有する単一種の第四級対イオン(アニオン)はほぼ99%またはそれ以上である。例えば、本明細書に示す方法に従って重炭酸塩アニオン形態の第四級物を生じさせる場合、その結果としてもたらされる第四級組成物は重炭酸アニオンを単独で約99%以上含有しかついくらか存在する他のアニオン種の量は約1%未満である。更に他の態様における第四級組成物は、単一種の第四級アニオンを約95%以上含有し、ある態様では、単一種の第四級アニオンを約90%以上含有する。
【0095】
本明細書に記述する方法に従って生じさせた第四級アンモニウム化合物を含有させた組成物をまたこれ自身を木材防腐剤組成物として配合してもよいか或は銅(例えば酸化銅)などの如き化合物と組み合わせて配合することも可能である。劣化および汚染を防止またはそれらの度合を低くする目的で本木材防腐剤組成物を塗布する木材基質は如何なる木材基質であってもよく、例えば硬材または軟材のいずれであってもよい。典型的には、汚染およびカビを予防または制御する目的で、本木材防腐剤組成物を生木に塗布する。用語「生」を本明細書で用いる場合、それは新しく伐採した木材、生乾きの木材などであるとして定義する。適切な木材基質の例には、これらに限定するものでないが、カエデ、オーク、カバ、サクラ、モミなどが含まれる。本木材防腐剤組成物を塗布する木材基質は如何なる基質であってもよいが、それに加圧処理を受けさせるべきである。ある態様における木材基質は軟材、例えばマツ、モミまたはツガなどである。適切なマツ材基質には、これらに限定するものでないが、サザンイエローパイン(southern yellow pine)およびポンデローサマツが含まれる。本発明のある面における木材基質はサザンイエローパインである。
【0096】
本木材防腐剤組成物を塗布する方法には、これらに限定するものでないが、噴霧、浸漬、浸水、真空含浸、加圧処理、ハケ塗りなどが含まれる。1つの態様では、木材基質を本発明の木材防腐剤組成物の中に浸漬するか或は基質に本組成物を用いた加圧処理を受けさせる。
【0097】
本木材防腐剤組成物を木材基質に含有させる場合、一般に、本明細書に記述する方法に従って生じさせた第四級アンモニウム化合物を用いて製造した本木材防腐剤組成物を防腐処理木材基質の総重量100%を基準にして約0.1から約5重量%含有させ、ある態様では、約0.25から約3重量%含有させ、他の態様では約0.5から約2重量%含有させる。他の態様では、本明細書に記述する木材防腐剤組成物を木材基質に立方ボードフィート長(cubic foot of board length)当たり約0.1から約2.5ポンドの防腐剤の量で塗布し、ある態様では、それを約0.26ポンド/平方フィート塗布する。
【0098】
本発明のある面では、本明細書に詳述するようにして生じさせた第四級アンモニウム化合物をアルカリ性銅第四級物(ACQ)型の木材防腐剤を調製する時に用いる。そのような防腐剤は銅(II)イオン、炭酸および/または重炭酸アニオンおよび第四級アンモニウム化合物を含有する。酸化銅:第四級物として表す銅の典型的な比率は約2:1(重量)であり、そしてCOまたはHCO:CuOとして表す重炭酸塩の比率は約0.65:1(重量)である。
【0099】
ある態様では、そのようなACQ型木材防腐剤に下記の組成を持たせる:66.7%が酸化銅(銅)で33.3%が第四級物。ある態様では、前記組成物を最初にエタノールアミンまたはアンモニアに溶解させることを通してpHが8.5から11.5の水溶液を生じさせる。エタノールアミンを用いる場合、そのような処理用溶液中のエタノールアミンの重量を通常は酸化銅の重量の約2.75倍にし、そしてアンモニアを用いる場合、そのような処理用溶液中のアンモニアの重量を通常は酸化銅の重量の少なくとも約1.0倍にする。炭酸塩アニオンの量を典型的には酸化銅の量の少なくとも約0.69倍にする。
【0100】
以下の実施例に本発明のいろいろな態様を記述する。本明細書または本明細書に開示する如き本発明の実施を考慮することで、本発明の範囲内に入る他の態様が本分野の技術者に明らかになるであろう。本明細書に加えて本実施例は本明細書に記述する本発明の範囲および精神を伴う単なる例示であると見なされるべきであることを意図する。本実施例ではあらゆるパーセントを特に明記しない限り重量ベースで示す。
【0101】
一般的手順
本発明の1つの態様の一般的スキームに、式I:
【0102】
【化1】

【0103】
[式中、
は、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換アルケニル(置換されている場合、アリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソから選択される1個以上の置換基を持つ)であるか、或はRは、
【0104】
【化2】

【0105】
であり、
は、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換アルケニル(置換されている場合、アリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソから選択される1個以上の置換基を持つ)であり、
は、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換アルケニル(置換されている場合、アリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソから選択される1個以上の置換基を持つ)であり、
Yは、重炭酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、水酸化物、燐酸塩、塩化物、硫酸塩、しゅう酸塩、硝酸塩、フッ化物、重硫酸塩、酢酸塩、蟻酸塩、ホウ酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される原子価が−1、−2または−3のアニオンであり、
mは、1、2または3である]
に従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を製造する方法を示し、この方法は、
a)式II:
【0106】
【化3】

【0107】
[式中、Rは、この上で定義した通りである]
に従う構造を有するアルキルジメチルアミン化合物と構造:
−ZまたはZ−R−Z
[ここで、
は、この上で定義した通りであり、
Zは、臭化物、塩化物およびヨウ化物から成る群から選択されるハロゲン化物である]
で表されるハロゲン化アルキル化合物を反応させることで式III:
【0108】
【化4】

【0109】
に従う構造を有する第四級化合物である中間体を生じさせ、
b)前記第四級化合物である中間体を水とアルコールの1番目の混合物に溶解させ、そして
c)前記第四級化合物である中間体と錯体を形成しているZとYの交換を前記溶解している第四級化合物である中間体をYを含有するイオン交換樹脂と接触させて起こさせ、そのZとYの交換によって式Iに従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を生じさせる、段階を含んで成る。
【0110】
本明細書で用いる如き用語「アルキル」を単独または他の形態、例えば「ハロアルキル」および「アルキルスルホニル」などの形態の中のいずれかで用いる場合、それに炭素原子を含有する直鎖もしくは分枝基を包含させる。特に明記しない限り、そのような基は炭素原子を好適には2から約20個、好適には炭素原子を6から約18個、より好適には炭素原子を8から約12個含有する。炭素原子数をまた例えば「C−C」として表すこともあり得る。そのような基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチルなどが含まれる。アルキル基、例えば「ブチル」などを用いる場合、そのアルキル基の第一、第二および第三形態の全部をその用語に包含させ、それにn−ブチル、t−ブチル、イソブチルおよびs−ブチルを包含させることを意図する。
【0111】
用語「アルケニル」は、二重結合を少なくとも1個含有することから不飽和の直鎖もしくは分枝非環式炭化水素基を指す。特に明記しない限り、そのような基は炭素原子を好適には2から約20個、好適には炭素原子を6から約18個、より好適には炭素原子を8から約12個含有する。アルケニル基は場合により以下に定義する如き基で置換されていてもよい。適切なアルケニル基の例にはプロペニル、2−クロロプロピレニル、ブテン−1−イル、イソブテニル、ペンテン−1−イル、2−メチルブテン−1−イル、3−メチルブテン−1−イル、ヘキセン−1−イル、3−ヒドロキシヘキセン−1−イル、ヘプテン−1−イル、オクテン−1−イルなどが含まれる。
【0112】
用語「アルコキシ」は、各々が特に明記しない限り炭素原子数が1から約6、好適には炭素原子数が1から約4のアルキル部分を有する直鎖もしくは分枝オキシ含有基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ基などを包含する。
【0113】
用語「ヒドリド」、「−H」または「水素」は、単一の水素原子(H)を表す。このヒドリド基は例えば酸素原子と結合してヒドロキシル基を形成し得るか或は2個のヒドリド基が炭素原子と結合してメチレン(−CH−)基を形成し得る。
【0114】
用語「アリール」は単独または組み合わせで炭素環を含有する炭素環式芳香系を意味するが、前記環はペンダント様式で一緒に結合していてもよいか或は縮合していてもよい。用語「アリール」はフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルなどの如き芳香基を包含する。
【0115】
用語「オキソ」は、単一の二重結合で結合している酸素を意味する。
【0116】
一般的化学構造に関する置換基の命名に関して、当該基の化学成分の命名は、以下に考察するように、特に明記しない限り、典型的に末端基から親化合物に向かう方向に記述する。言い換えれば、最も外側の化学構造を最初に記述した後に直線的に次の構造を記述しそして次の構造を記述する等々(最終的に親構造と連結している構造を記述する)。置換基をまた1個以上の「R」基を言及することで記述することもあり得る。この上に示した構造には、説明として、例えば「−C−C−アルキル−COR」[ここで、Rは−NH−C−C−アルキルアリール−R(ここで、Rはハロを包含すると定義する)を包含すると定義する]などが含まれ得る。このスキームでは、「R」基を有する原子を「R」基が末端基である(即ち親基から最も離れている)として示す。「C(R」などの如き用語では、Rを可能な同定が2つ以上存在すると定義する場合、その2個のR基は同じであってもよいか或は異なってもよいと理解されるべきである。最後に、それらを通る波線を有する結合は、個々の構造が結合している親構造を表す。
【0117】
別の態様において、本発明は、また、式I:
【0118】
【化5】

【0119】
[式中、
は、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換アルケニル(置換されている場合、アリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソから選択される1個以上の置換基を持つ)であり、
は、置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換アルケニル(置換されている場合、アリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソから選択される1個以上の置換基を持つ)であり、
Yは、重炭酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、水酸化物、燐酸塩、塩化物、硫酸塩、しゅう酸塩、硝酸塩、フッ化物、重硫酸塩、酢酸塩、蟻酸塩、ホウ酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される原子価が−1、−2または−3のアニオンであり、
mは、1、2または3である]
に従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を製造する方法も提供し、この方法は、
a)式II:
【0120】
【化6】

【0121】
[式中、Rは、この上で定義した通りである]
に従う構造を有するアルキルジメチルアミン化合物と構造:
−Z
[ここで、
は、この上で定義した通りであり、
Zは、臭化物、塩化物およびヨウ化物から成る群から選択されるハロゲン化物である]
で表されるハロゲン化アルキル化合物を反応させることで式III:
【0122】
【化7】

【0123】
に従う構造を有する第四級化合物である中間体を生じさせ、
b)前記第四級化合物である中間体を水とアルコールの1番目の混合物に溶解させ、そして
c)前記第四級化合物である中間体と錯体を形成しているZとYの交換を前記溶解している第四級化合物である中間体をYを含有するイオン交換樹脂と接触させて起こさせ、そのZとYの交換によって式Iに従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を生じさせる、段階を含んで成る。
【0124】
別の態様において、本発明は、また、式I:
【0125】
【化8】

【0126】
[式中、
は、置換もしくは非置換アルキル(置換されている場合、アリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソから選択される1個以上の置換基を持つ)であり、
は、置換もしくは非置換アルキル(置換されている場合、アリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソから選択される1個以上の置換基を持つ)であり、
Yは、重炭酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、水酸化物、燐酸塩、塩化物、硫酸塩、しゅう酸塩、硝酸塩、フッ化物、重硫酸塩、酢酸塩、蟻酸塩、ホウ酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される原子価が−1、−2または−3のアニオンであり、
mは、1、2または3である]
に従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を製造する方法も提供し、この方法は、
a)式II:
【0127】
【化9】

【0128】
[式中、Rは、この上で定義した通りである]
に従う構造を有するアルキルジメチルアミン化合物と構造:
−Z
[ここで、
は、この上で定義した通りであり、
Zは、臭化物、塩化物およびヨウ化物から成る群から選択されるハロゲン化物である]
で表されるハロゲン化アルキル化合物を反応させることで式III:
【0129】
【化10】

【0130】
に従う構造を有する第四級化合物である中間体を生じさせ、
b)前記第四級化合物である中間体を水とアルコールの1番目の混合物に溶解させ、そして
c)前記第四級化合物である中間体と錯体を形成しているZとYの交換を前記溶解している第四級化合物である中間体をYを含有するイオン交換樹脂と接触させて起こさせ、そのZとYの交換によって式Iに従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を生じさせる、段階を含んで成る。
【0131】
別の態様において、本発明は、また、式I:
【0132】
【化11】

【0133】
[式中、
およびRは、非置換アルキルであり、
Yは、重炭酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、水酸化物、燐酸塩、塩化物、硫酸塩、しゅう酸塩、硝酸塩、フッ化物、重硫酸塩、酢酸塩、蟻酸塩、ホウ酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される原子価が−1、−2または−3のアニオンであり、
mは、1、2または3である]
に従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を製造する方法も提供し、この方法は、
a)式II:
【0134】
【化12】

【0135】
[式中、Rは、この上で定義した通りである]
に従う構造を有するアルキルジメチルアミン化合物と構造:
−Z
[ここで、
は、この上で定義した通りであり、
Zは、臭化物、塩化物およびヨウ化物から成る群から選択されるハロゲン化物である]
で表されるハロゲン化アルキル化合物を反応させることで式III:
【0136】
【化13】

【0137】
に従う構造を有する第四級化合物である中間体を生じさせ、
b)前記第四級化合物である中間体を水とアルコールの1番目の混合物に溶解させ、そして
c)前記第四級化合物である中間体と錯体を形成しているZとYの交換を前記溶解している第四級化合物である中間体をYを含有するイオン交換樹脂と接触させて起こさせ、そのZとYの交換によって式Iに従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を生じさせる、段階を含んで成る。
【0138】
別の態様において、本発明は、また、式I:
【0139】
【化14】

【0140】
[式中、
およびRは、非置換C−C18アルキルであり、
Yは、重炭酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、水酸化物、燐酸塩、塩化物、硫酸塩、しゅう酸塩、硝酸塩、フッ化物、重硫酸塩、酢酸塩、蟻酸塩、ホウ酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択されるアニオンであり、
mは、1、2または3である]
に従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を製造する方法も提供し、この方法は、
a)式II:
【0141】
【化15】

【0142】
[式中、Rは、この上で定義した通りである]
に従う構造を有するC−C18アルキルジメチルアミン化合物と構造:
−Z
[ここで、
は、この上で定義した通りであり、
Zは、臭化物である]
で表されるハロゲン化アルキル化合物を反応させることで式III:
【0143】
【化16】

【0144】
に従う構造を有する第四級化合物である中間体を生じさせ、
b)前記第四級化合物である中間体を水とアルコールの1番目の混合物に溶解させ、そして
c)前記第四級化合物である中間体と錯体を形成しているZとYの交換を前記溶解している第四級化合物である中間体をYを含有するイオン交換樹脂と接触させて起こさせ、そのZとYの交換によって式Iに従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を生じさせる、段階を含んで成る。
【0145】
別の態様において、本発明は、また、式I:
【0146】
【化17】

【0147】
[式中、
およびRは、非置換C−C18アルキルであり、
Yは、重炭酸塩、炭酸塩、水酸化物、塩化物およびこれらの混合物から成る群から選択されるアニオンであり、
mは、1または2である]
に従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を製造する方法も提供し、この方法は、
a)式II:
【0148】
【化18】

【0149】
[式中、Rは、この上で定義した通りである]
に従う構造を有するC−C18アルキルジメチルアミン化合物と構造:
−Z
[ここで、
は、この上で定義した通りであり、
Zは、臭化物である]
で表されるハロゲン化アルキル化合物を反応させることで式III:
【0150】
【化19】

【0151】
に従う構造を有する第四級化合物である中間体を生じさせ、
b)前記第四級化合物である中間体を水とアルコールの1番目の混合物に溶解させ、そして
c)前記第四級化合物である中間体と錯体を形成しているZとYの交換を前記溶解している第四級化合物である中間体をYを含有するイオン交換樹脂と接触させて起こさせ、そのZとYの交換によって式Iに従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を生じさせる、段階を含んで成る。
【0152】
別の態様において、本発明は、また、式I:
【0153】
【化20】

【0154】
[式中、
およびRは、非置換C10アルキルであり、
Yは、重炭酸塩、炭酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択されるアニオンであり、
mは、1または2である]
に従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を製造する方法も提供し、この方法は、
a)式II:
【0155】
【化21】

【0156】
[式中、Rは、この上で定義した通りである]
に従う構造を有するC10アルキルジメチルアミン化合物と構造:
−Z
[ここで、
は、この上で定義した通りであり、
Zは、臭化物である]
で表されるハロゲン化アルキル化合物を反応させることで式III:
【0157】
【化22】

【0158】
に従う構造を有する第四級化合物である中間体を生じさせ、
b)前記第四級化合物である中間体を水とアルコールの1番目の混合物に溶解させ、そして
c)前記第四級化合物である中間体と錯体を形成しているZとYの交換を前記溶解している第四級化合物である中間体をYを含有するイオン交換樹脂と接触させて起こさせ、そのZとYの交換によって式Iに従う構造を有する第四級アンモニウム化合物を生じさせる、段階を含んで成る。
【実施例】
【0159】
実施例1
この実施例に、臭化物対イオンを有する第四級アンモニウム化合物である中間体を生じさせるに適した合成反応を示す。
【0160】
機械的撹拌機、250ミリリットル(ml)の滴下漏斗、温度探針、加熱用マントルおよび水冷全還流凝縮器が備わっている1リットルの折目付き(creased)4つ口丸底Pyrex製フラスコを用いた。前記フラスコに最初にADMA−10[Albemarle Corporation(Baton Rouge、LA)から入手可能なデシルジメチルアミン]を200グラム(1.08モル)仕込んだ後、滴下漏斗に臭化デシルを239グラム(1.08モル)入れた。撹拌機のスイッチを入れた後、反応器を65℃に加熱した。反応器の温度を65℃から142℃に上昇させながら臭化デシルをADMA−10に滴下して加えた。次に、前記滴下漏斗にメタノールを110グラム仕込んだ後、反応器の温度を90℃に降下させながらメタノールを前記溶液に滴下した。全体積のメタノールを前記反応混合物に加えた後、加熱および撹拌を止めて、中間体である第四級アンモニウム(第四級−Br)溶液を冷却した。
【0161】
実施例2−28
これらの実施例に、いろいろな反応条件およびいろいろな反応体を用いたハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム塩の製造を示す。
【0162】
実施例1に記述した反応方法に従って数多くのハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム塩を製造したが、但し、ここでは異なる反応体濃度を用い、反応を異なる大きさの容器の中で実施し、反応中にハロゲン化アルキルをトリアルキルアミンに添加する速度を異ならせかつ添加時間も異ならせ、そして反応終了時に添加する溶媒の量および種類も異ならせた。各実験の条件に加えて生じた生成物が示したいろいろなパラメーターを表1に示す。
【0163】
【表1】

【0164】
【表2】

【0165】
【表3】

【0166】
【表4】

【0167】
【表5】

【0168】
【表6】

【0169】
【表7】

【0170】
【表8】

【0171】
【表9】

【0172】
【表10】

【0173】
【表11】

【0174】
【表12】

【0175】
【表13】

【0176】
【表14】

【0177】
【表15】

【0178】
【表16】

【0179】
注:
a. 前記反応で生じた第四級アンモニウム塩生成物の構造の記述では、各アルキル置換基が有する炭素数を示し(即ち、10:10:1:1はジデシルジメチルを表す)かつ生成物のハロゲン化物形態を示す(即ち、Brは臭化物形態を表す)。
b. 活性第四級物の重量%は、終了時の反応混合物に入っている所望第四級生成物の重
量パーセントを記述する。
c. 遊離アミンの重量%は、終了時の反応混合物に入っている未反応の残存第三級アミンの重量パーセントを記述する。
d. ADMA−(n)(g/モル)は、反応体として用いたアルキルジメチルアミンの種類を記述し、(n)はメチルではないアルキル基の炭素鎖長を表す。用語(g/モル)は、反応器に仕込んだADMAの量をグラムおよびモルで記述する。
e. RBr−(n)(g/モル)は、反応中に反応体として用いたハロゲン化アルキルの種類を記述する[2つのケース(このケースでは塩化物(Cl)であることを注目)を除く全部で臭化物]。用語(g/モル)は、反応槽に仕込んだハロゲン化アルキルの量をグラムおよびモルで記述する。
f. 反応中のトリアルキルアミン:ハロゲン化アルキルのモル比を示す。
g. RBr添加様式は、ハロゲン化アルキルを反応物に添加する様式および時期を記述する。
h. これは反応終了時に反応混合物に添加する溶媒の種類および量を示す。
i. 残存ADMA(ppm)は、反応終了時に反応混合物に残存するトリアルキルアミンの濃度を記述する。
j. Br−ADMA−(n)(ppm)は、反応終了時に反応混合物に入っている少量の分枝第三級アミンの濃度をppm(重量)で記述する。
k. アミン総量(ppm)は、終了時の反応混合物に入っている残存ADMAとBR−ADMAの合計の濃度をppm(重量)で記述する。
l. これは反応終了時に反応混合物に残存する臭化アルキル反応体の濃度[ppm(重量)で表す]を示す。
m. これらの数値は主反応の少量副生成物、即ち1−アルカノール、1−アルケン、他のアルケンおよびアルキルメチルエーテルの濃度[ppm(重量)で表す]を示す。
【0180】
実施例29−39
これらの実施例に、第四級アンモニウム化合物である中間体のハロゲン化物アニオン、例えば臭化物などを別のアニオン、例えば重炭酸塩などと交換する目的で用いるイオン交換手順を記述する。
【0181】
底に綿の詰め物を入れておいた28mmx150mmのガラス製クロマトグラフィーカラムを組み立てた。そのガラス製カラムにAmberlite A−27強塩基/Macroreticular型イオン交換樹脂(Rohm & Haas Companyから入手可能)を40グラム仕込んだ後、50mlの蒸留水(pH7)で洗浄した。30グラムのNaHCOを400mlの蒸留水に入れることで生じさせた溶液を前記カラムの中に通して溶出させることで前記カラムにHCOイオンを仕込んだ。
【0182】
5グラムのメタノールに実施例1に記述した方法で生じさせた如き第四級−Brを5グラム溶解させた。この第四級臭化物溶液を前記樹脂床の上に置き、メタノール:水が2:1の混合物で溶離させた後、下記の表2に示す如き一定分量で集めた。
【0183】
【表17】

【0184】
イオンクロマトグラフィーによる分析で使用前の樹脂に存在する残存塩化物イオンの存在およびHCOイオンの存在を測定する目的でサンプル32,34および36を選択し、それを表3に示す。
【0185】
【表18】

【0186】
実施例37−45
これらの実施例に、抽出を受けさせた樹脂に存在する臭化物イオンを中間体である第四級臭化物から除去した後にその再生させたカラムをイオン交換で用いる目的で、以前に用いたイオン交換カラム、例えば実施例29−39に記述した手順の結果としてもたらされたカラムに受けさせる2段階の再生プロトコルを記述する。
【0187】
以前に用いた樹脂、例えば実施例29−39に記述した樹脂などを200mlの蒸留水で洗浄することでメタノールを追い出す。次に、蒸留水中10%のNaOHを250ml用いてこれをイオン交換床に通して溶出させた後に蒸留水で洗浄することで、前記カラムにOHイオンを仕込んだ。次に、17.47グラムのNaHCOを300mlの蒸留水に溶解させることで生じさせた溶液を前記イオン交換床に通して溶出させることで前記樹脂にHCOイオンを仕込んだ。次に、前記カラムを80mlの蒸留水で洗浄した後、95%メタノール/5%水で洗浄した。
【0188】
次に、5.82グラムのメタノールに実施例1で調製した第四級−Br溶液を14.52グラム溶解させた後、前記仕込みを受けさせておいたカラムに導入した。95%メタノール/5%水の混合物を用いた溶離を実施することで下記の表4に詳述する15ml分量を集めた。
【0189】
【表19】

【0190】
イオンクロマトグラフィーによる分析で残存臭化物イオンの存在およびHCOイオンの存在を測定する目的でサンプル41および42を選択し、それを表5に示す。
【0191】
【表20】

【0192】
実施例46−48
これらの実施例では、直径が2インチのカラムを用いた臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩の臭化物アニオンと2番目のアニオンの交換および前記カラムの再生を説明する。
【0193】
カラムの調製
各々が2”x48”の2本のカラムにDowex Marathon A2樹脂を1500g(約2.69の交換当量/床に相当)充填した。Dow Chemical Co.(Midland、MI)が供給している状態の前記樹脂は塩化物形態である。各々に数リットルの水を用いたフラッシュ洗浄を受けさせた後、それを以下のようにして所望の水酸化物または重炭酸塩形態にした。
【0194】
カラムの再生
水酸化物形態への典型的な再生は、先行する実施の結果としていくらか残存する有機物を除去するに充分な量の水、典型的には数リットルの水を前記カラムの中に流すことを伴う。その後、8重量%の苛性を6リットル以上流した後、追加的水を溶離液が中性になるまで流す。向流再生を実験室で装備として実施するのは困難なことから、カラムを逆さにすることで本質的に向流の再生を実施した。逆さにすると、以前には大部分の苛性が存在しかつ大部分のハロゲン化物が存在しないはずであるカラムの上部がカラムの下部になる。逆さにした後のカラムは使用の準備ができている状態であった。
【0195】
ある場合には、再利用の苛性を再生で用いた。その場合、再生の後期で用いる苛性部分には臭化物がほとんど入っておらず、従って、それを次のカラム再生の最初の苛性部分で用いた。その後、必ず新鮮な苛性を数画分用いた。
【0196】
重炭酸塩形態が望まれる場合には2段階再生を用いた。前記カラムを最初にこの上に示したようにして水酸化物形態にした後、そのカラムの中に水に入れた重炭酸ナトリウム(約8重量%)を2当量通した。次に、追加的水を溶離液が中性になるまで通した。次に、前記カラムを逆さにしたが、それは使用の準備ができている状態であった。
【0197】
典型的なアニオン交換手順
前記カラムに再生を受けさせそしてそれを逆さにした後、空隙容量(カラム容積の約50%)の水を交換で用いるべき溶媒で追い出すべきである。そのカラムに通す所望溶媒の量はおおよそ約1リットルである。次に、供給材料を加えるが、その流量を約20ml/分に調整した。一定分量、この規模では一般に500mlずつを集めた後、分析しそして/または一緒にする。供給材料の全部を前記カラムに置いた後、追加的1から2リットルの溶媒を前記カラムの中に通すことで第四級物の全部を前記カラムから完全にフラッシュ洗浄する。その時点で、そのカラムは水によるフラッシュ洗浄に続いて逆さにして再生を受けさせる準備ができている状態にある。パート2に報告する臭化物値は全部古典的な硝酸銀滴定を用いて測定した値である。
【0198】
実施例46
第四級臭化物から第四級重炭酸塩への転化
この実験では1本のカラムを重炭酸塩形態にして用いた。
【0199】
この実験の供給材料はメタノール中80%の臭化ジデシルジメチルアンモニウムが1365gで追加的メタノールが2457gで水が1638gであった。その結果としてもたらされた第四級臭化物:メタノール:水の比率は20:50:30であった。前記カラムに最初にメタノール/水(体積比62.5:37.5)を700ml通すことで水を追い出しかつ前記カラムを正確なメタノール/水比に条件付けした。供給材料の混合物を前記カラムの上に置いた後、メタノール/水を1リットル置いた。一定分量を集めて分析した結果は表6に示す通りであった。
【0200】
【表21】

【0201】
実施例47
洗練を伴う第四級臭化物から第四級水酸化物への変換
この上に概略を示した標準的手順を用いて2本のカラムに再生を受けさせることでそれらを水酸化物形態にした。
【0202】
この実験で用いた供給材料はメタノール中80%の臭化ジデシルジメチルアンモニウムが1024gで追加的メタノールが1843gで水が1228gであった。その結果としてもたらされた第四級臭化物:メタノール:水の比率は20:50:30であった。前記カラムに最初にメタノール/水(体積比62.5:37.5)を700ml通すことで水を追い出しかつ前記カラムを正確なメタノール/水比に条件付けした。供給材料の混合物を前記カラムの上に置いた後、メタノール/水を置いた。一定分量を集めて分析した結果は以下の表7および8に示す通りであった。
【0203】
【表22】

【0204】
前記1番目のカラムから出てきた溶離液を「洗練用」カラムとしての2番目のカラムに送った後、そのカラムから出てきた液を残存臭化物に関して分析した。
【0205】
【表23】

【0206】
画分1−11の組み合わせに入っている臭化物の含有量はBrが169ppmであった。
【0207】
実施例48
濃度をより高くした時の第四級臭化物から第四級水酸化物への転化
この実験の供給材料はメタノール中80%の臭化ジデシルジメチルアンモニウムが1279.7gで追加的メタノールが1843gで水が1228gであった。その結果としてもたらされた第四級臭化物:メタノール:水の比率は23.5:48.25:28.25であった。未反応の臭化デシルを最小限にする目的でアミンを1%過剰量で用いて供給材料である第四級臭化物の調製を実施した。イオン交換カラムから溶離してくる溶離液中の臭化物濃度を表9に示す。
【0208】
【表24】

【0209】
この実験は、明らかに、カラムに1回通すだけで低い臭化物量を得ることができることを示している。それは、また、実験の終点に向かうにつれて臭化物のブレイクスルーが起こることも明らかに示している。画分11の中の臭化物の量が少ないのは、実験終了時にいくらか残存する第四級物をカラムからフラッシュ洗浄する目的で用いた追加的メタノール/水によって希釈が起こった結果である。
【0210】
本発明の好適な態様を具体的な用語、装置および方法を用いて記述してきたが、そのような記述は単に説明の目的である。用いた言葉は限定ではなく説明の用語である。本分野の通常の技術者は本発明の精神からも範囲からも逸脱することなく変更および変形を成し得ると理解されるべきである。加うるに、いろいろな態様の面は全体または部分的の両方で交換可能であることも理解されるべきである。例えば、第四級アンモニウム化合物の製造方法およびこのような方法に従って生じさせた組成物は例示であると同時に他の使用も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1】図1は、液状溶液の状態でありかつ水酸化物形態のイオン交換樹脂ビードと接触している状態の1番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩(ここでは、臭化ジデシルジメチルアンモニウム塩として示す)で構成されている分子集合体(ここでは、リポソームとして識別)を示す図であり、ここでは、前記分子集合体が特定量の臭化物イオンを包み込んでいることでそれらは水酸化物イオンとの交換で利用不可となることが分かる。
【図2】図2に、Dowex(商標)Marathon A2のタイプ2の強塩基イオン交換樹脂の床の中点から出る溶離液の逐次的サンプルに存在する臭化物の重量を再生で用いた水溶液中の水酸化ナトリウムの濃度の関数として示したグラフを示す(サンプル点を通る臭化物イオンのブレイクスルーを示す)。
【図3】図3に、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を炭酸および/または重炭酸テトラアルキルアンモニウム塩に転化させそしてその第四級テトラアルキルアンモニウム塩の溶液から揮発性有機溶媒を揮散させる本発明の態様で用いるに有用な反応蒸留塔の図式的流れ図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩を製造する方法であって、
トリアルキルアミンを臭化アルキルと反応させることで臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を生じさせ、
前記臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩と、水および極性有機共溶媒を包含する溶媒が入っている溶液を水酸化物形態のイオン交換樹脂と接触させて前記臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させることで水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を溶液の状態で生じさせかつ臭化物形態のイオン交換樹脂を生じさせ、そして
前記水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる、
ことを含んで成る方法。
【請求項2】
前記2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩を回収することも更に含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記トリアルキルアミンがアルキルジメチルアミンである請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記トリアルキルアミンが(C−C20)アルキルジメチルアミンである請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記トリアルキルアミンがデシルジメチルアミンである請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記臭化アルキルが臭化(C−C20)アルキルである請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記臭化アルキルが臭化デシルである請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記トリアルキルアミンがデシルジメチルアミンでありそして前記臭化アルキルが臭化デシルでありそして前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩が臭化ジデシルジメチルアンモニウムである請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記トリアルキルアミンと臭化デシルを前記トリアルキルアミンをモル過剰量で存在させて反応させる請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記トリアルキルアミンと前記臭化アルキルを最初にそれぞれ1.0より高いモル比で存在させる請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記モル比を1.0001:1から2:1の範囲にする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記モル比を1.01:1から1.02:1の範囲にする請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液に入っている臭化物の量が約3000ppm未満である請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液に入っている臭化物の量が約1000ppm未満である請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液に入っている臭化物の量が約300ppm未満である請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液に入っている臭化物の量が塩化物として重量で報告して約300ppm未満である請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記臭化第四級テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液を水酸化物形態のイオン交換樹脂と接触させる接触が前記臭化テトラアルキルアンモニウムが入っている溶液を水酸化物形態の前記イオン交換樹脂の床が入っている槽の中に流し込んで前記溶液を前記樹脂の床の中に通すことで臭化物アニオンと水酸化物アニオンの交換を起こさせて水酸化テトラアルキルアンモニウム塩と臭化物形態のイオン交換樹脂を生じさせることを含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項18】
臭化物形態の前記イオン交換樹脂を水酸化ナトリウムと接触させて臭化ナトリウムと水酸化物形態のイオン交換樹脂を生じさせることでそれを再生させることも更に含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記イオン交換樹脂を槽の中に床の状態で入れそして前記イオン交換樹脂床の中の前記樹脂を水酸化ナトリウムが約1−25重量%の濃度で入っている水溶液にイオン交換床表面積1平方フィート当たり少なくとも約0.1ガロン/分(gpm/平方フィート)の速度で接触させることを含んで成る請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記水溶液に水酸化ナトリウムが約2−12重量%の濃度で入っている請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記水溶液に水酸化ナトリウムが約4−8重量%の濃度で入っている請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記水酸化ナトリウム水溶液を前記イオン交換床に少なくとも約1gpm/平方フィートの速度で接触させる請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記水酸化ナトリウム水溶液を前記イオン交換床に少なくとも約2gpm/平方フィートの速度で接触させる請求項19記載の方法。
【請求項24】
前記水酸化ナトリウム水溶液を前記イオン交換床に前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩溶液を前記床に送り込む時に用いた流れ形態とは逆の流れ形態で接触させる請求項19記載の方法。
【請求項25】
前記臭化ナトリウムから臭化アルキルを生じさせることで前記臭化ナトリウムを回収することも更に含んで成る請求項18記載の方法。
【請求項26】
前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液に入っている前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩の量が少なくとも約1重量%である請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記溶液に入っている前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩の濃度が少なくとも約10重量%以上である請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記溶液に入っている前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩の濃度が少なくとも約20重量%以上である請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記溶媒が
(i)前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩が25℃で少なくとも約1重量%の量で溶
解し、
(ii)前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が25℃で少なくとも約1重量%の量で溶解し、
(iii)前記臭化物が交換に利用できる、
溶媒である請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記溶媒が前記臭化物が交換に利用できる溶媒であり、かつその溶媒が、
前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩および水酸化物形態の前記イオン交換樹脂が少なくともある程度イオン化し、かつ
前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩が前記臭化物と前記イオン交換樹脂の接触を遮蔽する分子集合体を形成することのない、
溶媒である請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記溶媒が前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩と前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の各々が少なくとも約5重量%の量で溶解する溶媒である請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記溶媒が前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩と前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の各々が少なくとも約15重量%の量で溶解する溶媒である請求項1記載の方法。
【請求項33】
前記溶媒が前記臭化テトラアルキルアンモニウム塩と前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の各々が少なくとも約30重量%の量で溶解する溶媒である請求項1記載の方法。
【請求項34】
前記溶媒がアルコールと水の混合物を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒がC−Cアルコールと水が10:90から99:1の重量比の混合物を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項36】
前記溶媒がC−Cアルコールと水が50:50から99:1の重量比の混合物を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項37】
前記溶媒がメタノールと水が70:30から99:1の重量比の混合物を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項38】
前記水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる段階が前記水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩の溶液を前記2番目のアニオンの形態のイオン交換樹脂と接触させることで前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩を溶液の状態で生じさせかつ水酸化物形態のイオン交換樹脂を生じさせることを含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項39】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも90モル%を前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させる請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも99モル%を前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させる請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも99.9モル%を前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させる請求項38記載の方法。
【請求項42】
水酸化物形態の前記イオン交換樹脂を再生させかつ前記2番目のアニオンの形態のイオン交換樹脂を生じさせることも更に含んで成る請求項38記載の方法。
【請求項43】
水酸化物形態の前記イオン交換樹脂を再生させることが前記樹脂を前記2番目のアニオンが入っている溶液と接触させることで前記2番目のアニオンの形態のイオン交換樹脂を生じさせることを含んで成る請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記2番目のアニオンがハロゲン化物、水酸化物、ホウ酸塩、蟻酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、スルホン酸塩、燐酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩素酸塩、酢酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される、臭化物以外の少なくとも1種のアニオンを含んで成る請求項38記載の方法。
【請求項45】
前記2番目のアニオンが炭酸塩または炭酸塩と重炭酸塩の混合物である請求項38記載の方法。
【請求項46】
前記水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンの第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる段階が前記水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンの酸と接触させることで前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させることを含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項47】
前記2番目のアニオンの酸がハロゲン化物、ホウ酸塩、蟻酸塩、カルボン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、スルホン酸塩、燐酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩素酸塩、酢酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される、臭化物以外の少なくとも1種のアニオンをアニオンとして有する酸を含んで成る請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記2番目のアニオンの酸が二酸化炭素を水溶液と接触させて炭酸塩アニオンまたは炭酸塩アニオンと重炭酸塩アニオンの混合物を生じさせることで生じさせた炭酸である請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩を前記2番目のアニオンの酸と接触させることで前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の少なくとも一部を前記2番目のアニオンのテトラアルキルアンモニウム塩に転化させる段階を反応性蒸留塔内で実施する請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記反応性蒸留塔に前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が入っている溶液を供給しかつまた二酸化炭素も前記二酸化炭素が前記塔の中を上方に向かって流れるような地点に供給することで炭酸を生じさせて、前記炭酸を前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩と反応させることで炭酸および/または重炭酸テトラアルキルアンモニウム塩を生じさせ、それを水溶液の状態で前記塔の下部から出させ、そして前記共溶媒を前記供給材料の溶液から揮散させて前記塔の上部から出させる請求項49記載の方法。
【請求項51】
2番目のアニオンの前記テトラアルキルアンモニウム塩が炭酸ジデシルジメチルアンモニウムおよび重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムを含んで成る請求項48記載の方法。
【請求項52】
2番目のアニオンの前記テトラアルキルアンモニウム塩が炭酸ジデシルジメチルアンモニウムと重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムを約10:90のモル比で含んで成る請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記水酸化テトラアルキルアンモニウム塩が水酸化ジデシルジメチルアンモニウム塩で
ありそして前記水酸化ジデシルジメチルアンモニウムが入っている水溶液をモルベースで炭酸ジデシルジメチルアンモニウムが約10%で重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムが約90%の混合物が生じるに充分な量の二酸化炭素と接触させる請求項48記載の方法。
【請求項54】
水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩を炭酸/重炭酸第四級テトラアルキルアンモニウム塩に転化させる方法であって、
水酸化第四級テトラアルキルアンモニウム塩が水と揮発性極性有機共溶媒を含んで成る溶媒に入っている溶液を蒸留塔の中に適切な地点で供給し、
二酸化炭素ガスを前記塔の中にこれの下部近くで供給し、
前記共溶媒を実質的に含有していなくて炭酸/重炭酸第四級テトラアルキルアンモニウム塩を含有する溶液を前記塔の下部から放出させ、そして
前記共溶媒を含んで成る流れを前記塔の上部から放出させる、
ことを含んで成る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−530592(P2007−530592A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505237(P2007−505237)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/010162
【国際公開番号】WO2005/097729
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】