説明

第4級アミノ官能性有機珪素化合物で表面変性されたシリカ粒子を含有する分散液

a)50〜75質量部の水において、b)30〜500m/gのBET表面積を有する25〜50質量部のシリカ粒子と、c)b)の質量部の1種以上のアミノ官能性有機珪素化合物からの100〜300ug/mのBET表面積のシリカ粒子と、を反応させることによって得られる分散液であって、前記アミノ官能性有機珪素化合物は第4級アミノ官能性有機珪素化合物であり、該化合物は成分Aとして少なくとも1種のハロアルキル官能性シランと成分Bとして第3級アミンとを規定された量の水の存在下で反応させて且つ得られた加水分解アルコールを少なくとも部分的にこの系から除去することによって得られる、前記分散液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第4級アミノ官能性有機珪素化合物で表面変性されたシリカ粒子を含有する分散液及びそれを用いて製造され得る塗工液に関する。
【0002】
シリカ含有水性分散液を、インクジェット領域のインク受容層のための塗工液の製造に使用できることが公知である。品質、特に、得られるインク受容層の耐水性及びインク密度を改良するために、EP−A−1013605号、DE−A−10033054号又はEP−A−1331254号では、カチオン性ポリマーをこれらの分散液に添加する。特に、高い充填量を有し且つ得られた塗工液の良好な配合性のために特に望ましい分散液の場合、カチオン性ポリマーの添加は、しかしながら、分散液の貯蔵安定性を低下させ得る。
【0003】
EP−A−1413451号は、インクジェット印刷用途の媒体シートの製造方法において、多孔質の無機マクロ粒子及びオルガノシラン試薬が基材上で反応する、前記製造方法を開示している。無機マクロ粒子はシリカ粒子であってよい。オルガノシラン試薬は、以下の構造
【化1】

(式中、x+y=4であり、R及びRはアミノプロピルであり且つ相対分子量が270〜550である)
のオリゴマーである。この方法は、印刷インクの耐久性の改善を可能にすることが意図されている。
【0004】
従来技術の発展にもかかわらず、使用する分散液の貯蔵安定性及び加工性並びにインクジェット領域の印刷品質は未だパラメータの改良が必要とされている。
【0005】
従って、本発明の技術的な課題は、従来技術の欠陥を有していない分散液を提供することであった。更なる課題は、この分散液から出発する改良された塗工液の提供であった。
【0006】
本発明は、
a)50〜75質量部、好ましくは60〜70質量部の水において
b)30〜500m/gのBET表面積を有する25〜50質量部、好ましくは30〜40質量部のシリカ粒子と、
c)b)の質量部の1種以上のアミノ官能性有機珪素化合物からの100〜300μg/m、好ましくは150〜280μg/m、特に好ましくは200〜250μg/mのBET表面積のシリカ粒子であって、該アミノ官能性有機珪素化合物は第4級アミノ官能性有機珪素化合であり、該化合物は、成分Aとして少なくとも1種のハロアルキル官能性シランと成分Bとして第3級アミンとを規定された量の水の存在下で反応させ且つ得られた加水分解アルコールを少なくとも部分的にこの系から除去することによって得られる前記シリカ粒子と、
を反応させることによって得られる分散液であって、
前記ハロアルキル官能性アルコキシシランが、
(i)一般式I
(RO)3−x−y(RSi[(RCHHal]1+y (I)
(式中、
基Rは同一又は異なり且つRは水素、直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1〜8のアルキル基、アリール、アリールアルキル又はアシル基を表し、
基Rは同一又は異なり且つRは直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1〜8のアルキル基、アリール、アリールアルキル又はアシル基を表し、
基Rは同一又は異なり且つRは直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1〜18のアルキレン基を表し、
nは0又は1であり且つHalは塩素又は臭素を表し、
且つxは0、1又は2であり、yは0、1又は2であり且つ(x+y)は0、1又は2である)
を有するか、又は
(ii)前述の一般式Iの少なくとも1種のアルコキシシランの加水分解生成物又は縮合物であるか又は
(iii)前述の一般式Iの少なくとも1種のアルコキシシランの混合物及び前述の一般式Iの少なくとも1種のアルコキシシランの加水分解生成物及び/又は縮合物であり、且つ
一般式N(R(II)を有する第3級アミンBにおいて、
基Rが同一又は異なり且つRが基(RO)3−x−y(RSi[(RCH−]1+yを表し、ここで、R、R、R、n、x、y及び(x+y)が同様に上述の意味を有するか、又は炭素数1〜30の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基を表し、該基は更に置換された、任意に順に互いに結合されて第3級アミンの窒素と一緒に環を形成する2つの基Rであってよい、分散液に関する。
【0007】
第4級アミノ官能性有機珪素化合物
第4級アミノ官能性有機珪素化合物の製造方法では、式Iのシラン、特にクロロアルキル官能性シラン、任意にその加水分解生成物及び/又は縮合物を、有利には式IIの第3級アミンと混合する。ケイ素原子のモル当たり0.5〜500モルの水の存在下で、窒素原子での四級化、少なくとも部分的な加水分解及び式I及びIIの化合物の任意の縮合をシラノール基の形成と共に行い、その後、Si−O−Si架橋の形成によって縮合を行う。
【0008】
好ましくは、この反応は、「ワンポット反応」の方式で、例えば、バッチ式で行ってよく、加水分解アルコールをその反応自体の間に留去し、更に水をほぼ同時に計測することが可能である。反応容器中の圧力も低下し、その際、反応時間は増加し得る、即ち、揮発性の有機フラクション、特に生成した加水分解アルコールを、減圧蒸留によって少なくとも比例的にこの系から除去することができる。
【0009】
更に、少なくとも1種の更なる加水分解可能な珪素化合物、好ましくは有機アルコキシ官能性珪素化合物、加水分解縮合物、ホモ縮合物、共縮合物又はそれらのブロック共縮合物又はそれらの混合物を、更なる出発成分Cとして成分A及びBを含む反応混合物に添加することができる。
【0010】
従って、この方法は、四級化反応、加水分解及び少なくとも部分的な縮合、例えば、可能なホモ縮合、共縮合、ブロック縮合又はブロック共縮合を含み、且つ少なくとも1つの第4級アルキルアンモニウム官能性ラジカルを有するオリゴマー性及び/又はポリマー性有機珪素化合物をもたらすか又は第4級窒素を有する環状化合物、例えば、N−アルキルピリミジニウム化合物をもたらすと化学的に理解される。
【0011】
少なくとも1種の第4級アミノアルキル官能性有機珪素化合物を得るための成分Aによる式Iの化合物及び成分Bによる式IIの第3級アミンの4級化反応は、モデルに関して以下に記載されており、式I及びIIは上記で規定されている:
(RO)3−x−y(RSi[(RCHHal]1+y(I)+N(R (II)→
(RO)3−x−y(RSi[(RCH−N(RHal1+y (IV)
【0012】
更に、いわゆるオリゴマー性及び/又はポリマー性第4級アミノ官能性有機珪素化合物は、加水分解及び式I、IIの化合物の縮合による反応の間に形成し、及び/又は以下に記載される第4級生成物(IV)が得られる。
【0013】
従って、本発明による反応条件下で、式I及びIIの化合物の反応が、モデルに関して以下に例示する通り、4級化及び少なくとも部分的な加水分解と共に起こることが化学的な知見に基づいて推測される。基Rはアルキル又はアミノアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、N,N−ジメチルアミノエチルを表してよい。
【0014】
4級化及び部分的な又は完全な加水分解:
Cl−(CH)3−Si(OEt)+(R)N+HO →
Cl(R)−(CH−Si(OEt)(OH)+EtOH
Cl−(CH−Si(OEt)+(R)N+2HO →
Cl(R)−(CH−Si(OEt)(OH)+2EtOH
Cl−(CH−Si(OEt)+(R)N+3HO →
Cl(R)−(CH−Si(OH)+3EtOH
【0015】
縮合:
xCl(R)−(CH−Si(OH)
[(HO−)Si(−(CH−N(R))−[O−Si((−(CH−N(R))(OH))]x−2−O−Si(−(CH−N(R))(OH)]・xCl+xH
Cl(R)−(CH−Si(OEt)(OH)+xCl(R)−(CH−Si(OH)
[EtOSi(OH)(−(CH(R))−[O−Si(−(CH(R)(OH))]x−1−O−Si((−(CH(R))(OH))]・(x+1)Cl+(x+1)H
ここで、xは2〜∞の数であってよい。
【0016】
成分A
好ましくは使用してよい式Iのハロアルキルシランの例は以下のものである:
3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシ−シラン、3−クロロプロピルトリプロポキシシラン、クロロプロピルメチル−ジメトキシシラン、クロロプロピルメチルジエトキシシラン、クロロ−プロピルジメチルエトキシシラン、クロロプロピルジメチルメトキシ−シラン、クロロエチルトリメトキシシラン、クロロエチルトリエトキシ−シラン、クロロエチルメチルジメトキシシラン、クロロエチル−メチルジエトキシシラン、クロロエチルジメチルメトキシシラン、クロロエチルジメチルエトキシシラン、クロロメチルトリエトキシ−シラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルメチル−ジメトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロ−メチルジメチルメトキシシラン、クロロメチルジメチルエトキシシラン、2−クロロイソプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3−クロロプロピルシクロヘキシルジエトキシシラン、3−クロロイソブチルトリメトキシシラン、3−クロロイソブチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルシクロヘキシルジメトキシシラン、3−ブロモイソプロピルジエチルシクロヘキシルオキシシラン、3−クロロプロピルシクロペンチルジエンエトキシシラン、3−ブロモイソブチルトリメトキシシラン、3−クロロイソブチルビス(エトキシエトキシ)メチルシラン、4−ブロモ−n−ブチルトリエトキシシラン、4−クロロ−n−ブチルジエトキシシクロペンチルシラン、5−クロロ−n−ペンチルトリ−n−ブトキシシラン、5−ブロモ−n−ペンチルトリエトキシシラン、4−ブロモ−3−メチルブチルジメトキシフェニルシラン、5−ブロモ−n−ペンチルトリ−n−ブトキシシラン、5−クロロ−n−ペンチルトリエトキシシラン、6−クロロ−n−ヘキシルエトキシジメチルシラン、6−ブロモ−n−ヘキシルプロピルジプロポキシシラン、6−クロロ−n−ヘキシルジエトキシエチルシラン、7−クロロ−n−ヘプチルトリエトキシシラン、7−クロロヘプチルジメトキシシクロヘプチルシラン、7−ブロモ−n−ヘプチルジエトキシシクロオクチルシラン、8−クロロ−n−オクチルトリエトキシシラン、8−ブロモ−n−オクチルジメチルシクロヘキシルオキシシラン、3−クロロプロピルジエトキシフェニルシラン、3−クロロプロピルメトキシエトキシベンジルシラン、3−ブロモプロピルジメトキシベンジルシラン及び/又はそれらの加水分解生成物及び/又はホモ縮合物及び/又は共縮合物、又は好都合には1,4−クロロフェニルトリメトキシシラン、1,4−クロロベンジルトリエトキシシラン、クロロメチル−p−メチルフェニルトリメトキシシラン及び/又はそれらの加水分解生成物及び/又はホモ縮合物及び/又は共縮合物。
【0017】
純粋なクロロアルキル置換のアルコキシシランが特に好ましくは本発明による方法において使用される。
【0018】
式IのRは好ましくは直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜18のアルキレン、特にメチレン(−CH−)、エチレン[−(CH−]、プロピレン[−(CH−]、ブチレン[−(CH−又は−(CH)CH(CH)(CH)−]であり、且つn=0且つHalは塩素である。
【0019】
基−[(RCHHal]は、特に好ましくはクロロメチレン、クロロエチレン、3−クロロプロピレン、2−クロロプロピレン、2−クロロイソプロピレン、クロロブチレン、クロロイソブチレン、クロロペンチル、クロロヘキシル、クロロシクロヘキシル、クロロヘプチル、クロロ−n−オクチル又はクロロシクロオクチル基である。好都合には、Halについては対応する臭素置換基又は基−[(RCHL]を使用することも可能であり、その際、脱離基としてのLは、スルホン酸エステル置換基(例えば、トリフラート)又は硝酸又は硫酸エステル置換基を有する。
【0020】
例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルエトキシシラン又は3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン又は上記のアルコキシシランの加水分解生成物又は縮合物からなる系列からの珪素化合物を、有利には成分Aとして使用してよい。
【0021】
成分B
一般に、当業者に公知であり且つ第4級アミノ基を有する全ての化合物を成分Bとして使用してよい。好ましくは85℃を上回る沸点を有するもの、特に好ましくは100℃を上回る又は120℃を上回る沸点を有するものを使用してよい。
【0022】
特に式IIの好適な第3級アミンは、以下の基から選択されるアミンであり、これは式IIa、IIb及び/又はIIc及び/又はIIdのアミン、例えば、一般式IIIのシランの基BとしてIIc又はIIdを有するもの、及び/又はそれらから誘導される化合物を含む。
(R14N[CHCHN(R14)]CHCHN(R14 (IIa)、
[(CH)−(CHp*N(R143−p* (IIb)、
[(CH)(CHN(R15)− (IIc)、
[(CH)(CHN(CHp− (IIc)、
(R14N[(CH(NH)]−(R15)− (IId)、
(CH)(CHN[(CH(NH)]−(CH− (IId
【0023】
式IIaの第3級アミンの場合、R14は独立して直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状のアルキル、アリール、特にベンジル、又は炭素数1〜20のアルキルアリールであり、R14は好ましくはメチル又はエチル、特に好ましくはメチルであり、且つhは0、1、2、3、4、5、6又は7であり、特にhは0、1、2、3又は4であり;好ましくは、IIaはテトラメチルエチレンジアミン又はペンタメチルジエチレントリアミンであり;その際、R14はメチル(CH)であり、IIaは(CHN[CHCHN(CH)]CHCHN(CHであることは事実である。
【0024】
式IIbの第3級アミンの場合、例えば、特にジオクチルメチルアミン、ジ−n−ノニルメチルアミン、ジ−n−デシルメチルアミン、ジ−n−ウンデシルメチルアミン、ジ−n−ドデシルメチルアミン、ジ−n−トリデシルメチルアミン又はジ−n−テトラデシルメチルアミンにおいて、wは2〜20であり、特にwは8〜14であり、R14は上記の意味を有し且つp*は1又は2であることは事実である。
【0025】
更なる代替法によれば、式IIcのラジカルを有するアミノアルキル官能性アルコキシシラン又は加水分解生成物及び/又はそれらの縮合物を、本発明による方法において式IIの第3級アミンとして反応させてよい;例えば、式IIIの基Bは式IIc又はIIcに対応し得るがこれに限定されない。
【0026】
式IIcの第3級アミンの場合、R15が直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜20のアルキレン、アリーレン又はアルキレンアリール基であり、その際、IIc及び/又はIIcにおいて、0≦o≦6であり且つoが独立して0、1、2、3、4、5又は6であり、特にR15が式IIc(式中、0p≦6であり且つpが独立して0、1、2、3、4、5又は6である)に示す通り、−(CH−であってよいことは事実である。
【0027】
式IIdの第3級アミンの場合、IId中のR14及びR15は互いに独立して上述の意味を有し、その際、式IId及び/又はIIdにおいて、0≦g≦6、0≦s≦6であり、即ち、g及び/又はsは独立して0、1、2、3、4、5又は6である及び/又は、式IIdにおいて、R14はCH(CH基を表し且つR15は−(CH基を表し、その際、0≦f≦3;0≦g≦6、0≦s≦6、0≦i≦6であり、即ち、fは0、1又は2であり;g、s及び/又はiは独立して0、1、2、3、4、5又は6であることは事実である。
【0028】
一般式IIの第3級シラン官能化アミンの化合物の例を以下に示すが、該化合物のラジカルはIIc、IIc及びIIIに規定されるように置換されている:
([CH(CHN(R15)−)1+bSi(R(RO)3−a−b
((R14N[(CH(NH)]−(R15)−)1+bSi(R(RO)3−a−b
(式中、aは0、1又は2であり、bは0、1又は2であり且つ(a+b)<3である)。
【0029】
好適なビス(アルコキシシリルアルキル)アミン化合物は、特に、(OR1**b*a*Si−A−SiRa*(OR1**)]b*であり、その際、Si原子当たりa*、b*=0、1、2又は3であり且つa*+b*は3であり、その際、R1**及びR2*は互いに独立して炭素数1〜24のアルキル、好ましくはメチル、エチル及び/又はプロピルである。Aは式Vのビスアミノアルキル官能基を表し、その際、V中のNは式V
−(CHi*−[NR16(CHf*g*16[(CHf*NR16g*−(CHi*− (V)
の第3級の窒素(N)に対応し、
その式中、R16は独立して分枝鎖状、直鎖状及び/又は環状の炭素数1〜20のアルキル、アリール又はアルキルアリール基であってよく、R16は好ましくはメチル又はエチル、特に好ましくはメチルであり、その際、式Vにおいて、i*、f*又はg*は、それぞれの場合に互いに独立して、同一又は異なり、ここで、i*は0〜8に対応し、f*は1、2又は3に対応し、g*は0、1又は2に対応し且つR1**は直鎖状、環状及び/又は分枝鎖状の炭素数1〜4のアルキルラジカルに対応し、i*は特に数1、2、3又は4の内の1つ、好ましくは3に対応し;(HO)Si(CHNCH(CHSi(OCが特に好ましい。
【0030】
特に式VIの、好適なトリス(アルコキシシリルアルキル)アミンは、
N[ZSi(R12Ω(OR133−Ω (VI)
であり、その式中、Zは独立して二価のアルキレンラジカル、特に−CH−、−(CH−、−(CH−又は−[CHCH(CH)CH]−からなる系列を形成し、R12は直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜24、特に炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキルラジカル又はアリールラジカルであり、Ωは独立して0又は1であり、R13は、それぞれの場合に互いに独立して、直鎖状、環状及び/又は分枝鎖状の炭素数1〜24、特に炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキルラジカルである。好ましくは、R13はメチル、エチル又はプロピルラジカルである。ここで、式VIIIの窒素も一般式Vの窒素(N)に対応し、且つ[ZSi(R12Ω(OR133−Ω]はRに対応し得る。トリス(トリ−エトキシシリルプロピル)アミン又はトリス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは好ましくは第3級トリス(トリアルコキシ−シラン)アミンとして使用される。一般に、式VIの化合物、それらの加水分解生成物及び/又はそれらの縮合物は、本発明による方法において第3級アミンとして使用してよい。
【0031】
好ましくは、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタ−メチルジエチレントリアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、オクタ−デシルジメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、ドデシル−ジメチルアミン、デシルジメチルアミン、オクチルジメチルアミン、テトラエチルエチレンジアミン、ペンタエチルジエチレントリアミン、ヘキサデシルジエチルアミン、オクタデシルジエチルアミン、テトラデシル−ジエチルアミン、ドデシルジエチルアミン、デシルジエチルアミン、オクチルジエチルアミン、イソヘキサデシルジメチルアミン、イソオクタデシルジメチルアミン、イソテトラデシルジメチルアミン、イソドデシルジメチルアミン、イソデシルジメチルアミン、イソオクチルジメチルアミン、イソテトラエチルエチレンジアミン、イソペンタエチルジエチレントリアミン、イソヘキサデシルジエチルアミン、イソオクタデシルジエチルアミン、イソテトラデシルジエチルアミン、イソドデシルジエチルアミン、イソデシルジエチルアミン、イソオクチルジエチルアミン、トリス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン及びトリス(トリエトキシシリルメチル)アミンからなる系列から選択される少なくとも1種の第3級アミンを、有利には成分Bとして使用してよい。
【0032】
成分C
その上、更なる有機官能基で官能化された式IIIの少なくとも1種の珪素化合物、それらの加水分解生成物、縮合物又はこれらの混合物が、本発明による方法において成分Cとして、特に反応の間に好適に使用され、
(RO)3−a−b(RSi(B)1+b (III)
その式中、Rは、互いに独立して、水素、直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜8のアルキル基、アリール、アリールアルキル及び/又はアシル、特に好ましくは炭素数1〜5のアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピルであり、且つRは、互いに独立して、直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜24、特に炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基;アリール、アリールアルキル及び/又はアシルであり、且つ
Bは、それぞれの場合に同一又は異なる第2の有機官能基であり、aは0、1又は2であり、bは0、1又は2であり且つa+bは<3である。
【0033】
特に、式IIIの化合物は、以下の化合物から選択される:
− Bが−[(R10]であり、その式中、R10は直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜18のアルキレン及び/又はアルケニレンに対応し、nは0又は1であり且つRは、互いに独立して、非置換又は置換の直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜30のアルキル基に対応し、これは任意に1つ以上の−NR3*、−OR3*及び/又は−SR3*基を有し、その際、R3*は水素であり及び/又はR3*はRであり及び/又はRはヘテロ原子N、S又はOと一緒に炭素数1〜7の環又は芳香族複素環である化合物、
− Bが(R5*0)3−x*(R6*x*Si((R2*)CH−)であり、その式中、R5*は、互いに独立して、水素、直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜8のアルキル基、アリール、アリールアルキル及び/又はアシル、好ましくは炭素数1〜5のアルキル、特に好ましくはメチル、エチル、プロピルであり、R6*は、互いに独立して、直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜24、特に炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、及び/又はアリール、アリールアルキル及び/又はアシルであり、R2*は直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜18のアルキレン及び/又はアルケニレン、好ましくはアルキレンであり、且つx*は0、1又は2である化合物、
− Bが一般式IIIa又はIIIbの第1級、第2級及び/又は第3級アミノ官能性ラジカルであり、
11h*NH(2−h*)[(CH(NH)][(CH(NH)]−(CH− (IIIa)
その式中、0≦h≦6;h*=0、1又は2、j=0、1又は2;0≦l≦6;c=0、1又は2;0≦k≦6であり且つR11はベンジル、アリール、ビニル又はホルミルラジカル及び/又は直鎖状、分枝鎖状及び/又は環状の炭素数1〜8のアルキルラジカルに対応し;kは好ましくは3であり、cは好ましくは1又は2であり、lは好ましくは1、2又は3であり且つjは好ましくは0であり、特に好ましくはkは3であり、cは1又は2であり且つlは(2−アミノエチレン)−3−アミノプロピルラジカルに関して2であるか、又はj=0;c=2且つk=3であるか、又はj=1;c=1且つk=3であり、ここでh=2、l=トリアミノエチレン−3−プロピルラジカルに関して2であり;且つ、式IIIbにおいて
[NH(CHN(CH− (IIIb)
0≦d≦6且つ0≦p≦6であり、好ましくはdは1又は2であり且つpは3である化合物、
− Bが−(CHi*−[NH(CHf*g*NH[(CHf*NH]g*−(CHi*−SiRa*(OR1**b* (IIIc)であり、その際、式IIIcにおいてi*、f*又はg*は、それぞれの場合に互いに独立して、同一又は異なり、ここでi*は0〜8に対応し、f*は1、2又は3に対応し、g*は0、1又は2に対応し且つR1**は直鎖状、環状及び/又は分枝鎖状の炭素数1〜4のアルキルラジカルに対応し、ここでi*は特に数1、2、3又は4の内の1つ、好ましくは3であり、a*、b*は0、1、2又は3であり且つa*+b*は3であり且つR2*は炭素数1〜24のアルキルラジカルである化合物、
− BがラジカルR12−Y−(CH−であり、その式中、R12は炭素数1〜20のモノ、オリゴ又は過フッ化アルキルラジカル又はモノ、オリゴ又は過フッ化アリールラジカルに対応し、その際、更にYは−CH−、−O−、−アリール−又は−S−ラジカルに対応し且つqは0又は1であり且つsは0又は2であり、特にBが炭素数1〜20の過フッ化アルキルラジカルに対応する化合物、
− Bがビニル、アリル又はイソプロピルラジカル、メルカプトアルキルラジカル、スルファンアルキルラジカル、ウレイドアルキルラジカル、アクリロイルオキシアルキルラジカル、メタクリロイルオキシプロピルラジカル又は直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1〜24、特に炭素数1〜16、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシラジカル、特にテトラアルコキシシランであり、その際、式IIIにおいてaは0であり且つbは0、1又は2である化合物、
− Bがヒドロキシアルキル、エポキシ及び/又はエーテルラジカル、特に3−グリシジルオキシアルキル、3−グリシジルオキシプロピル、ジヒドロキシアルキル、エポキシアルキル、エポキシシクロアルキル又はポリアルキルグリコールアルキルラジカル又はポリアルキルグリコール−3−プロピルラジカルである化合物、又は
− 式IIIの1種の化合物又は少なくとも2種の化合物の少なくとも部分的な加水分解生成物及び縮合物。
【0034】
好ましくは、式IIIの少なくとも2種の異なる化合物のホモ縮合物、共縮合物又はブロック共縮合物を、例えば、WO2006/010666号に開示された方法において、オリゴマー性又はポリマー性珪素化合物として使用してよい。
【0035】
例えば、四塩化珪素、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン又はイソブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン又はイソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン又はイソオクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン又はイソオクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2,テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2,テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、1−メルカプトメチルトリメトキシシラン、1−メルカプトメチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシイソブチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシイソブチルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1−アミノメチルトリメトキシシラン、1−アミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、3−アミノイソブチルトリメトキシシラン、3−アミノイソブチルトリエトキシシラン、N−n−ブチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−n−ブチル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−n−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−n−ブチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−n−ブチル−1−アミノメチルトリエトキシシラン、N−n−ブチル−1−アミノメチルメチルジメトキシシラン、N−n−ブチル−1−アミノメチルトリメトキシシラン、N−n−ブチル−1−アミノメチルメチルトリエトキシシラン、ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ベンジル−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ベンジル−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ホルミル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ホルミル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ホルミル−1−アミノメチルメチルジメトキシシラン、N−ホルミル−1−アミノメチルメチルジエトキシシラン、ジアミノエチレン−3−プロピルトリメトキシシラン、ジアミノエチレン−3−プロピルトリエトキシシラン、トリアミノジエチレン−3−プロピルトリメトキシシラン、トリアミノジエチレン−3−プロピルトリエトキシシラン、(2−アミノエチルアミノ)エチルトリメトキシシラン、(2−アミノエチルアミノ)エチルトリエトキシシラン、(1−アミノエチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(1−アミノエチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、トリス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(トリエトキシシリルメチル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(ジメトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)アミン、ビス(トリメトキシシリルメチル)アミン、ビス(ジエトキシメチルシリルメチル)アミン、ビス(ジメトキシメチルシリルメチル)アミン、(HCO)Si(CHNH(CHNH(CHSi(OCH、(HCO)Si(CHNH(CHNH(CHNH(CHSi(OCH、(HCO)(CH)Si(CHNH(CHNH(CHSi(OCH(CH)、(HCO)(CH)Si(CHNH(CHNH(CHNH(CHSi(OCH(CH)からなる系列からの少なくとも1種の珪素化合物、
又は上記の化合物の少なくとも2種の混合物又は上記の化合物の1種の加水分解生成物又は縮合物、又は上記の化合物の少なくとも2種の加水分解生成物、縮合物、共縮合物、ブロック縮合物又はブロック共縮合物を、成分Cとして使用してよい。
【0036】
以下の化合物、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチル−トリエトキシシラン、エチルポリシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラ−n−プロピルオルトシリケート、3−メルカプト−プロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルベンジル−2−アミノエチル−3−アミノプロピルポリシロキサン、任意にメタノールにおいて、及び/又はそれらの加水分解生成物、ホモ縮合物及び/又は共縮合物及び/又はそれらの混合物も、特に成分Cによる有機官能化珪素化合物として使用してよい。
【0037】
特に好ましくは、成分Aの意味での式Iのシランと、成分Bとしての式IIの第3級アミンとの本発明による反応は、任意に反応混合物の成分Cとしての少なくとも1種の式IIIの珪素化合物の存在下にて、もっぱら水分又は水の存在下で本発明による方法において行われ、またII及び任意にIIIの加水分解生成物、ホモ縮合物及び/又は共縮合物も含まれて、且つ珪素1モルにつき好ましくは0.5モル〜500モル、特に好ましくは0.5〜200モルの水が使用されている。
【0038】
ハロアルキル官能性シラン、特に式Iのクロロアルキルシランの反応の場合、好ましくはハロアルキル基対第3級アミン基、特に式II、V及び/又はVIのアミンのモル比が2:1〜1:mに定められ、mは第3級アミン基の数であり;特に、mは1〜100の間の整数である。従って、本発明による方法において、成分A及びBが、式Iの意味での珪素化合物対式IIの意味での第3級アミン化合物のモル比が2:1〜1:mであるような比で使用される場合、mが式IIの第3級アミン基の数を表し且つmが1〜100、好ましくは1〜10の間の整数、特に好ましくは1、2、3、4、5、6又は7、特に1又は2であることが好ましい。
【0039】
加えて、更に以下に詳細に記載される成分A及びCは、有利には1:<4、好ましくは1:0〜2、特に好ましくは1:0.001〜1、特に1:0.1〜0.5のモル比で使用してよい。
【0040】
特に好ましくは、成分Aの意味での式Iのシランと、成分Bとしての式IIの第3級アミンとの本発明による反応は、任意に反応混合物の成分Cとしての少なくとも1種の式IIIの珪素化合物の存在下にて、もっぱら水分又は水の存在下で本発明による方法において行われ、またII及び任意にIIIの加水分解生成物、ホモ縮合物及び/又は共縮合物も含まれて、且つ珪素1モルにつき好ましくは0.5モル〜500モル、特に好ましくは0.5〜200モルの水が使用されている。
【0041】
第4級アミノ官能性有機珪素化合物の製造プロセスは、20〜150℃の間、特に40〜120℃の間、好ましくは60〜100℃の間、特に好ましくは80〜95℃の間の反応温度で行ってよい。反応は好ましくは大気圧で行われる。
【0042】
本発明による分散液の場合、第4級アミノ官能性有機珪素化合物が、クロロプロピルトリエトキシシランとテトラメチルエチレンジアミンとの反応によって得られるならば、インクジェット領域での使用について最良の結果が得られる。ここで、シラン及び第3級アミンが好ましくは等モル量で使用され且つ得られた加水分解アルコールはほぼ実質的に分離される。
【0043】
本発明は更に、
a)50〜75質量部、好ましくは60〜70質量部の水において、
b)30〜500m/gのBET表面積を有する25〜50質量部、好ましくは30〜40質量部のシリカ粒子と、
c)水溶液の形のb)の質量部の1種以上の第4級アミノ官能性有機珪素化合物からの、100〜300ug/m、好ましくは150〜280ug/m、特に好ましくは200〜250ug/mのBET表面積のシリカ粒子と、を反応させて得られる特定の分散液であって、該第4級アミノ官能性有機珪素化合物は、モノマーVII及び/又はVIIIの縮合物、
【化2】

及び縮合物の混合物並びにモノマーVII及びVIII自体の混合物であり、
その際、
及びRは、それぞれの場合に互いに独立して、炭素数2〜4のアルキル基であり、mは2〜5であり且つnは2〜5である、前記分散液に関する。
【0044】
u=v=Me、mが3であり且つnが2である実施態様が特に好ましい。
【0045】
モノマーVII及びVIII及びそれらの縮合物は、例えば、第3級ジアミンRN(CHNR(式中、m、n、u、vは上記の意味を有する)と、クロロアルコキシシランCl(CHSi(OEt)とを水の存在下で反応させることによって得られる。
【0046】
29Si−NMR分光学によれば、第4級アミノ官能性有機珪素化合物は、1〜5%のモノマー構造に加えて、10〜20%のM−構造、40〜60%のD−構造及び25〜35%のT−構造を有する。
【0047】
縮合物が構造VIIの形で75〜95%、特に好ましくは80〜90%の量で、及び構造VIIIの形で5〜25%、特に好ましくは10〜20%の量で存在する実施態様が好ましい。
【0048】
水溶液中の第4級アミノ官能性有機珪素化合物の割合は、好ましくは30〜60質量%、特に好ましくは40〜50質量%である。
【0049】
シリカ粒子
本発明による分散液をベースとするシリカ粒子は非晶質シリカ粒子である。更に、該シリカ粒子は、縮合性基、例えば、OH基をその表面上に有する。成分としてのシリカとの混合酸化物又はシリカ被覆金属酸化物粒子も含まれる。
【0050】
非晶質シリカ粒子は、例えば、電気アーク処理、プラズマ処理、湿式化学処理、例えば、沈殿及びゲル化処理によって、及び熱分解法によって製造してよい。
【0051】
シリカ粒子は好ましくは熱分解により製造された粒子である。
【0052】
熱分解とは、原則として水素と酸素との反応によって生成される、火炎中の気相における珪素化合物の加水分解又は酸化を意味するものと理解されるべきである。第1に、微粉砕された無孔の一次粒子が形成され、これは更なる反応の過程で合体してアグリゲートを形成し且つこれらは更に結合してアグロメレートになり得る。
【0053】
使用されるシリカ粒子のBET表面積は、30〜500m/gの広範囲に変化し得る。しかしながら、200m/g以上のBET表面積を有する熱分解により製造されたシリカ粒子、特に240〜330m/gのBET表面積を有する該シリカ粒子の使用が、インクジェット領域で特に優れた特性を有する分散液をもたらすことが見出された。
【0054】
分散液の更なる成分
本発明による分散液は追加的に1種以上の塩基性物質を含有してよい。原則として、これらはアミン及び/又はその塩であってよい。特に、前記物質は第3級アミン、例えば、構造RN−(CH−NRを有するものであってよい。構造RN−(CH−NRを有する第3級アミンの割合は100個のSiCH基につき15モル%までであってよい。
【0055】
本発明による分散液の安定性を更に改善するために酸を使用してよい。好適な酸は、塩酸、C1−C4−カルボン酸、C1−C4−ヒドロキシカルボン酸又はC1−C4−ジカルボン酸であってよい。最良の結果がギ酸によって得られることが見出された。この理由は知られていない。通常、酸は、2〜6、好ましくは3〜5、特に好ましくは3.5〜4.5のpHが得られるような量で添加される。
【0056】
しかしながら、安定な分散液は酸の添加なしでも得られることが記載されるべきである。
【0057】
本発明による分散液は、更に有機溶媒、殺菌剤及び/又は殺真菌剤を含有してよい。
【0058】
分散液の製造
本発明による分散液の製造は原則して2工程で行われる。まず、予備分散液は、シリカ粒子を、わずかなエネルギー入力で、例えば、溶解機によって、分散液の液体成分に添加する第1工程で製造する。次いで、実際の分散剤を第2工程で行い、その際、エネルギー入力は第1工程よりも高い。好適な分散装置は当業者に公知である。例えば、ロータ−ステータアグリゲートを挙げてよい。
【0059】
塗工液
本発明は更に本発明による分散液及び少なくとも1種の結合剤を含有する塗工液に関する。
【0060】
例えば、以下のものを結合剤として使用してよい:
ポリビニルアルコール、主鎖又は側鎖上に第1級、第2級又は第3級アミノ基又は第3級アンモニウム基を有する部分的又は完全に加水分解した、及びカチオン化したポリビニルアルコール。更に、前記ポリビニルアルコール同士の組合せ及びポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタート、シラン化されたポリビニルアルコール、スチレン/アクリラートラテックス、スチレン/ブタジエンラテックス、メラミン樹脂、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン樹脂、合成樹脂、例えばポリメチルメタクリラート、ポリエステル樹脂(例えば不飽和ポリエステル樹脂)、ポリアクリラート、化工デンプン、カゼイン、ゼラチン及び/又はセルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース)。
【0061】
ポリビニルアルコール又はカチオン化されたポリビニルアルコールを好ましくは使用してよい。
【0062】
更に、塗工液は、1種以上の他の顔料、例えば、炭酸カルシウム、フィロケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、プラスチック顔料(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン)、シリカゲル、アルミニウム化合物(例えば、アルミニウムゾル、コロイド酸化アルミニウム及びそのヒドロキシ化合物、例えば、擬ベーマイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、カオリン、粘土、タルク、硫酸カルシウム、炭酸亜鉛、サチン白、リトポン及びゼオライトも含有してよい。
【0063】
この塗工液は、10〜60質量%の間の含有率の混合酸化物粒子を有してよい。好ましくは、これは15質量%を超えてよく、特に好ましくは25質量%を超えてよい。
【0064】
架橋剤、例えば、酸化ジルコニウム、ホウ酸、メラミン樹脂、グリオキサール及びイソシアナート及び結合剤系相互の分子鎖を結合する他の分子は、結合剤系及び前記被覆の耐水性を高める作用をし得る。
【0065】
更に、助剤、例えば、蛍光増白剤、消泡剤、湿潤剤、pH緩衝剤、UV吸収剤及び粘度助剤を使用してよい。
【0066】
本発明による塗工液は、好ましくは10〜30質量%、特に好ましくは15〜30質量%の固体含有率を有する。
【0067】
本発明は更に、インク受容インクジェット媒体を被覆するための本発明による分散液及び塗工液の使用に関する。
【0068】
実施例
測定方法
加水分解性クロリドは、硝酸銀で電位差滴定する(例えば、指示電極としてMetrohm、682型の銀のロッド及びAg/AgCl参照電極又は他の好適な参照電極)。全塩化物含有率はWurzschmitt法の分解に従う。このために、試料をWurzschmitt法のボンベ中で過酸化ナトリウムで分解させる。硝酸による酸性化後、塩化物を硝酸銀で電位差測定する。
【0069】
クロロアルキル官能基と第3級アミンとの完全な反応において、加水分解性塩化物と全塩化物の分析値は同一であり、従って、反応の完了が測定される。なぜなら、塩状の塩化物(塩酸アミン)及び共有結合された塩化物(クロロアルキル官能基)の合計は全塩化物によって測定され、もっぱら塩状の塩化物又は水によって除去できる塩化物(既存のアミン塩酸塩)は加水分解性塩化物によって測定されるからである。反応の最初に、加水分解性塩化物の値はゼロであり、完全な転換で全塩化物について測定される値まで増加する。
【0070】
加水分解後のアルコール含有率はガスクロマトグラフィーによって測定する。このために、規定量の試料を硫酸で加水分解する(5gの試料、25mlのHSO、w=20%)。75mlの蒸留水を添加する。その後、中和を水酸化ナトリウム溶液を用いて行い且つ蒸気蒸留を実施する。内標準2−ブタノール。有機的に結合された窒素は、ケルダール分解によってアンモニウムに転換し、水酸化ナトリウム溶液の添加後に、アンモニアとして酸定量することができる(DIN1310、DIN32625、DIN32630、DIN EN25663−H11、DIN38409−H12、AN−GAA0629−Buechi322/343も参照のこと)。SiOの測定は、硫酸及びケルダール触媒による分解後に、沈降したSiOの質量を測定することによって行う。
【0071】
粘度は原則としてDIN53015に従って測定する。
【0072】
固体含有率の測定、即ち、水性の溶媒含有配合物中での不揮発性画分の測定は、DIN/EN ISO 3251に従って行い(コーティング、塗料及びコーティング及び塗料用の結合剤の不揮発性画分の測定)、且つ以下のように行う(QM−AA):
【0073】
試料を所定の温度(例えば、125℃)まで加熱して、この方法で試料の揮発性画分を除去する。試料の固体含有率(乾燥残留物)を熱処理後に測定する。約1gの試料を化学天秤上の使い捨ての皿に秤量する(正確さ1mg)。生成物は、簡単に渦巻かせることによって使い捨ての皿に均一に分配させるべきである。この皿を1時間約125℃で乾燥器中に貯蔵する。乾燥プロセスの終了後、皿をデシケーター中で20分間室温まで冷却し且つ1mgの正確さまで化学天秤で重さを再び測る。少なくとも2回の測定を実験毎に行う。
【0074】
固体含有率(%)=最終質量(g)×100/取られた質量(g)
最終質量:処理後の試料質量
取られた質量:処理前の試料質量
【0075】
実施例1:第4級アミノ官能性有機珪素化合物の製造
1547.2gのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を急速に3206.2gのクロロプロピルトリエトキシシランに撹拌しながら添加する。次に最初の水(1603.1g)の添加を、激しく撹拌しながら約20分以内に(体積流量約4.8l/h)行う。ここで底部生成物は実質的に混濁し、還流下での加熱(約87℃)を6時間行う。ここで透明になった底部生成物への第2の水の添加(641.3g)を10分以内に行う(体積流量約3.9l/h)。更に1.5時間の還流下での加熱後に、第3の水の添加(1600.0g)を撹拌しながら行う(20分以内、体積流量約4.8l/h)。
【0076】
49℃〜54℃の底部温度で、加水分解エタノールを真空中(100〜270ミリバール)で留去する。約1700gのエタノール/水混合物を留去した後、327gの水を迅速に量り入れる。加水分解アルコールをほぼ完全に留去するために、(加水分解エタノールの質量を基準として)少なくとも60%の過剰分を留去する。留去した水の量を再び蒸留の最後に添加する。
【0077】
次いで黄色がかった薄曇りの生成物を、0.8バールのゲージ圧力(dfilter=14cm:18l/hでの濾過速度)で圧力濾過器(21)及びSeitz500ディープベッド形濾過器によって濾過する。
【0078】
6521.4gの透明な、わずかに黄色がかった溶液が得られる。
【0079】
溶液の物理化学値を表1に示す。
【表1】

【0080】
13C−NMRによれば、約85%のTMEDA基が、構造IIIaのモノ付加物として存在し、約15%がビス付加物IVaとして存在する。100個のSiCH基につき8モル%の遊離のTMEDAが存在する。
【化3】

【0081】
29Si−NMRによれば、2.5Si−%のモノマー構造、14.6Si−%のM構造、49.7Si−%のD構造及び33.3Si−%のT構造が存在する。
【0082】
実施例2:N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1189)から出発する水性の加水分解産物の製造
脱イオン水181.15g及びギ酸68.10gを最初に撹拌しながら導入し、底部温度が60℃を超えないようにN−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン249.53gを滴加する。添加の終了後、pHは4.0〜5.0の間である。
【0083】
次に撹拌を60℃の底部温度にて行う。メタノールを留去する前に、留去したメタノールが体積について交換されるように水101.9gを添加する。130ミリバールの圧力及び40〜60℃の底部温度で、メタノール/水203.8gを留去する。次いで底部生成物を秤量し、脱イオン水を用いて再び最初の質量499.0gにする。
【0084】
溶液の物理化学値を表2に示す。
【表2】

【0085】
H−NMRによれば、N−ブチルアミノシリルラジカル当たり1.2モルのギ酸及び0.05モルのメタノールが存在する。
【0086】
29Si−NMRによれば、1%のモノマー、5Si−%のM構造、37Si−%のD構造及び57Si−%のT構造が存在する。
【0087】
分散液の調製
実施例D1:AEROSIL(登録商標)300シリカ及びN−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1189)から出発する分散液(比較例)
530gのAEROSIL(登録商標)300を、1500〜4000rpmで溶解機によって1100gの脱イオン水に添加して撹拌し、次いで2000rpmで5分間にわたり更に予備分散にかける。次いで分散を、冷却(<30℃)しながらロータ−ステータ分散装置を用いて15000rpmで10分間行う。
【0088】
次に撹拌を溶解機により2000rpmで再度行い、33gのDynasylan(登録商標)1189、67gのメタノール及び20gのギ酸(50%濃度水溶液)の混合物を添加し、その後、最終的な分散をロータ−ステータ系において5000rpmにて60℃で60分間行う。
【0089】
最終的に、分散液を冷却し且つ500μmの篩いで濾過する。
【0090】
実施例D2:AEROSIL(登録商標)300シリカ及びDynasylan(登録商標)1189−高い割合のDynasylan(登録商標)から出発する分散液(比較例)
実施例D1と同様であるが、高い割合のシラン。
【0091】
40gのDynasylan(登録商標)1189(60gのメタノールに溶解した)を使用する。
【0092】
実施例D3:AEROSIL(登録商標)300シリカ及び実施例2からの溶液から出発する分散液(比較例)
D1と同様であるが、実施例2からの溶液82.5gが使用されることを除く。10gのギ酸(50%濃度水溶液)を使用する。
【0093】
実施例D4:AEROSIL(登録商標)300シリカ及びオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロリドから出発する分散液(比較例)
D1と類似の製造であるが、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロリドを用いる。
【0094】
5〜10質量%の低い固体含有率でさえも、分散液は不安定であり且つ分散液の製造の間に凝集する。高い充填量を有する分散液を製造することは不可能である。
【0095】
実施例D5:酸の添加による、AEROSIL(登録商標)300シリカ及び実施例1からの溶液から出発する、本発明による分散液
530gのAEROSIL(登録商標)300を、溶解機を用いて1500〜5000rpmで1100gの脱イオン水、71.5gの実施例1からの溶液及び20gのギ酸の混合物(50質量%濃度の水溶液)に添加して撹拌し、更に5分間2000rpmで分散を行う。次に分散を15000rpmで10分間ロータ−ステータ分散装置(Kinematica Polytron PT6100)で行う。次いで更なる分散をロータ−ステータ系を用いて5000rpmにて60℃で60分間行う。
【0096】
最終的に、分散液を冷却し且つ500μmの篩いで濾過する。
【0097】
実施例D6:AEROSIL(登録商標)300シリカ及び実施例1からの溶液から出発する、本発明による分散液−酸の添加なし
D5と類似であるが、酸を使用しない。
【表3】

【0098】
本発明による分散液D5が比較例D1〜D3の分散液よりも更に安定であることが見出される。
【0099】
酸を使用しなくても、比較例D1からの分散液よりも貯蔵安定性が高い分散液(D6)を得ることが可能である。
【0100】
酸の不在下での安定化効果は驚くべきものである。これまで当業者は、アミノシランによるシリカ含有分散液の安定化は酸の添加があって初めて可能であると推測していた。
【0101】
本発明による分散液の製造において、最初に液体成分−水、溶液1及び任意に水−を一緒に導入し、次いでAEROSIL(登録商標)300をそこに分散させることが可能である。かかる手順は、AEROSIL(登録商標)300の導入中の粘度が非常に大きく増大して、わずか30質量%未満の固体含有率を達成することができるので、例えば、Dynasylan(登録商標)1189(実施例D1)の使用により、限られた範囲までのみ可能である。
【0102】
塗工液の製造
実施例S1(比較例):12質量%濃度のポリビニルアルコールPVA235の溶液(Kuraray Europe製)を、それぞれの場合に500rpmで溶解機によって分散液D1に添加し且つ10分間撹拌する。22.5質量%の固体含有率(シリカ+PVA)が得られ、シリカ対PVAの比が5:1であるような量でPVA235を添加する。
【0103】
その後、7質量%濃度のホウ酸水溶液を添加する。ホウ酸の量は、ポリビニルアルコールの12質量%の量である。最終的に、Clariant社製のグリオキサール含有組成物「Cartabond TSI」を添加する。この量は、ポリビニルアルコールの量の4.8質量%に相当する。
【0104】
インクジェット塗工液の粘度を、B型粘度計を用いて24時間後に測定する。
【0105】
実施例S2、S3、S5及びS6はS1と同様に製造されるが、それぞれの分散液D2、D3、D5及びD6を使用する。塗工液の固体含有率及び粘度を表4に示す。
【表4】

【0106】
本発明による塗工液S5が塗工液S1よりも実質的に低い粘度を有することが見出された。このことは、従来技術による塗工液に低粘度が要求される場合、水を追加的に希釈に使用しなければならず、且つ乾燥プロセスで再び揮発させなければならないため、製造コストに直鎖影響を与える。
【0107】
塗工液S2が本発明による塗工液S5の粘度と同様に低粘度であっても、この目的のためにS2の場合、実質的に高充填のシリカ粒子が必要である。
【0108】
本発明による塗工液S5及びS6を、形状付けたドクターバーを用いて写真用印画紙原紙(厚さ300μm)の上に放出する。塗工液の湿潤膜厚さは100μmであった。コーティングを8分間にわたり105℃で乾燥させる。23g/mの均一な塗布量が達成される。塗布された紙を、非常に高い解像度でCanon PIXMA iP6600D型のインクジェットプリンタで印刷する。プリンタ結果の評価を表5に示す。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)50〜75質量部の水において
b)30〜500m/gのBET表面積を有する25〜50質量部のシリカ粒子と、
c)b)の質量部の1種以上のアミノ官能性有機珪素化合物からの100〜300μg/mのBET表面積のシリカ粒子であって、前記アミノ官能性有機珪素化合物は第4級アミノ官能性有機珪素化合物であり、該化合物は、成分Aとして少なくとも1種のハロアルキル官能性シランと成分Bとして第4級アミンとを規定された量の水の存在下で反応させ且つ得られた加水分解アルコールを少なくとも部分的にこの系から除去することによって得られる、前記シリカ粒子と、
を反応させることによって得られる分散液であって、
前記ハロアルキル官能性アルコキシシランが、
(i)一般式I
(RO)3−x−y(RSi[(RCHHal]1+y (I)
(式中、
基Rは同一又は異なり且つRは水素、直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1〜8のアルキル基、アリール、アリールアルキル又はアシル基を表し、
基Rは同一又は異なり且つRは直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1〜8のアルキル基、アリール、アリールアルキル又はアシル基を表し、
基Rは同一又は異なり且つRは直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1〜18のアルキレン基を表し、
nは0又は1であり且つHalは塩素又は臭素を表し、
且つxは0、1又は2であり、yは0、1又は2であり且つ(x+y)は0、1又は2である)
を有するか、又は
(ii)前記の一般式Iの少なくとも1種のアルコキシシランの加水分解生成物又は縮合物であるか又は
(iii)前記の一般式Iの少なくとも1種のアルコキシシランの混合物及び前記の一般式Iの少なくとも1種のアルコキシシランの加水分解生成物及び/又は縮合物であり、
一般式N(R(II)を有する前記第3級アミンBにおいて、
基Rが同一又は異なり且つRが基(RO)3−x−y(RSi[(RCH−]1+yを表し、ここで、R、R、R、n、x、y及び(x+y)が同様に前記の意味を有するか、又は炭素数1〜30の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基を表し、該基は更に置換された、任意に順に互いに結合されて第3級アミンの窒素と一緒に環を形成する2つの基Rであってよい、分散液。
【請求項2】
前記第4級アミノ官能性有機珪素化合物がクロロプロピルトリエトキシシランとテトラメチルエチレンジアミンとを反応させることによって得られることを特徴とする、請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
a)50〜75質量部の水において、
b)30〜500m/gのBET表面積を有する25〜50質量部のシリカ粒子と、
c)水溶液の形のb)の質量部の1種以上の第4級アミノ官能性有機珪素化合物からの100〜300ug/mのBET表面積のシリカ粒子と、を反応させることによって得られる分散液であって、
前記第4級アミノ官能性有機珪素化合物は、モノマーVII及び/又はVIIIの縮合物、
【化1】

及び前記縮合物の混合物並びにモノマーVII及びVIII自体の混合物であり、
その際、
及びRは、それぞれの場合に互いに独立して、炭素数2〜4のアルキル基であり、mは2〜5であり且つnは2〜5である、前記分散液。
【請求項4】
前記縮合物が構造VIIの形で75〜95%の量で、且つ構造VIIIの形で5〜25%の量で存在することを特徴とする、請求項3に記載の分散液。
【請求項5】
水溶液中の第4級アミノ官能性有機珪素化合物の割合が30〜60質量%であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の分散液。
【請求項6】
前記シリカ粒子が熱分解法により製造されたシリカ粒子であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項7】
前記シリカ粒子のBET表面積が200m/g以上であることを特徴とする、請求項6に記載の分散液。
【請求項8】
第3級アミン及び/又はその塩を付加的に含有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項9】
酸が付加的に使用されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の分散液及び少なくとも1種の結合剤を含有する塗工液。
【請求項11】
インク受容インクジェット媒体を被覆するための請求項1から9までのいずれか1項に記載の分散液及び請求項10に記載の塗工液の使用。

【公表番号】特表2012−524020(P2012−524020A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506424(P2012−506424)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053797
【国際公開番号】WO2010/121878
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】