説明

筆記具用可逆熱変色性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具

【課題】 インキのpHに左右されることなく、一度凍結したインキが再度解凍された後でも、マイクロカプセル顔料の分散不良や凝集を抑制し、インキ粘度の上昇やそれに伴う筆跡カスレ等の筆記不良の発生を防止できる筆記具用可逆熱変色性インキ組成物とそれを内蔵した筆記具を提供する。
【解決手段】 (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及び/又はその塩と、水とからなる筆記具用可逆熱変色性インキ組成物。前記筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を内蔵してなる筆記具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筆記具用可逆熱変色性インキ組成物とそれを内蔵した筆記具に関する。更には、吐出安定性に優れた筆記具用可逆熱変色性インキ組成物とそれを内蔵した筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度変化により色調が変化する筆跡を形成できる可逆熱変色性水性インキを収容した中詰式筆記具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記筆記具を車内等の高温状態に放置した場合、収容するインキが消色(変色)してしまうことがある。その場合、前記筆記具を冷凍庫等で冷却し、消色したインキを通常使用する状態(着色状態)に戻すことが行われる。その際、冷凍庫内で長時間放置してしまうと収容するインキ(水媒体)が凍結するため、該凍結したインキを解凍して再度筆記できる状態に戻す必要がある。
しかしながら、一度凍結したインキを解凍した場合、解凍時にマイクロカプセル顔料の分散不良が生じてインキ粘度が上昇するために、筆跡カスレ等の筆記不良を生じてしまう。
そこで前記問題を解消するために、インキ組成物のpHを3〜7の範囲に調整した可逆熱変色性インキ組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−335613号公報
【特許文献2】特開2006−117805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献2の可逆熱変色性インキ組成物は、軸筒内にインキ吸蔵体を収容した、所謂中詰式筆記具に有用なインキであり、インキ吸蔵体中で凍結したインキが解凍された際に有用なものである。前記インキでは、pH7を超えるアルカリ領域で解凍時にマイクロカプセル顔料が凝集し易く、pH7までの酸性領域で凝集し難いという特性を有するためにpHを3〜7の範囲に調整している。
また、前記インキ中のマイクロカプセル顔料はインキ吸蔵体の繊維間(毛管状間隙)で保持されるため、凍結解凍後も比較的分散状態を維持し易いものであるが、該インキを直接収容するタイプ(直詰タイプ)の筆記具に適用した場合には、繊維間等で保持されることがないために、凍結したインキを再び解凍する過程でマイクロカプセル顔料が凝集し、インキ流出性が損なわれることがあった。
更に、前記直詰タイプの筆記具としてレフィル式等のボールペンを適用した場合、チップ等に金属部材が使用されるため、前記酸性領域のインキが金属部材を腐食させたり、配合される添加剤が特殊なものに限定される等の不具合が生じることがある。
【0005】
本発明は、インキのpHに左右されることなくアルカリ領域でも適用でき、一度凍結したインキが再度解凍された後でも、マイクロカプセル顔料の分散不良や凝集を抑制し、インキ粘度の上昇やそれに伴う筆跡カスレ等の筆記不良の発生を防止できる筆記具用可逆熱変色性インキ組成物とそれを内蔵した筆記具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及び/又はその塩と、水とからなる筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を要件とする。
更に、前記2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及び/又はその塩がインキ組成物全量中に0.05〜5重量%の範囲で含まれること、前記インキ組成物中に分子量160以上のチオールが添加されてなること、前記インキ組成物中に剪断減粘性付与剤が添加されてなること、前記インキ組成物のpHが6〜10の範囲にあることを要件とする。
更には、前記いずれかの筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を内蔵してなる筆記具を要件とし、前記筆記具がボールペンであることを要件とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、インキのpHを酸性領域に限定することなくアルカリ領域であっても、一度凍結したインキが再度解凍された後に生じるマイクロカプセル顔料の分散不良や凝集を抑制できる。そのため、インキ粘度の上昇やそれに伴う筆跡カスレや淡色化等がない良好な筆記性能を示す筆記具用可逆熱変色性インキ組成物とそれを内蔵した筆記具を提供できる。
また、筆記具の形態に合わせてインキのpHを任意に調整できるため、可逆熱変色性インキをボールペン等に用いても酸性領域で生じる金属部材の腐食等の弊害が発生することなく、解凍後のマイクロカプセル顔料の分散不良や凝集を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に用いられる可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前記筆記具用可逆熱変色性インキ組成物は、水性媒体中に(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及び/又はその塩を少なくとも含むものである。
【0010】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、(イ)、(ロ)、(ハ)の三成分から少なくともなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた顔料である。
前記可逆熱変色性組成物のうち、加熱により消色する組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する組成物を例示できる。
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報、特開2005−1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜70℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態が、特定温度域で記憶保持できる可逆熱変色性組成物を用いることもできる。
【0011】
前記組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について詳しく説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する最低温度T(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全発色状態を保持できる最高温度T(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる最低温度T(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する最高温度T(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記TとT間の温度域であり、第1色相と第2色相の両相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるTとTの間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0012】
前記した組成物のうち、色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を用いることにより、有色から無色に色彩を簡易に変色させることができ、常態と異なる色彩を互変的に視覚させることができる。
具体的には、完全発色温度Tを冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−30〜10℃、好ましくは−30〜0℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度Tを摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち30〜80℃、好ましくは50〜80℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜60℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
【0013】
以下に前記(イ)、(ロ)、(ハ)の各成分について具体的に化合物を例示する。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、従来公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
【0014】
成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
【0015】
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
尚、前記フェノール性水酸基を有する化合物として、少なくとも3以上のベンゼン環を有し、且つ、分子量が250以上、好ましくは分子量が250乃至500のフェノール性水酸基を有する化合物、又は、一般式(COH)S(式中、Rは炭素数1乃至8のアルキル基を示し、Rは水素又は炭素数1乃至8のアルキル基を示す。)で示されるフェノール性水酸基を有する化合物を用いると、消色状態から発色状態に移行する際の変色感度をより鋭敏にすることができる。具体的には、図2に示すように完全消色状態を示す温度(T)から発色を開始する温度(T)を経て完全発色温度を示す温度(T)に達する際の変色挙動において、発色を開始する温度(T)が高温側にシフトして徐々に発色する挙動を示さず、図1のように発色を開始する温度(T)と完全発色温度を示す温度(T)の温度差が小さく、消色状態から発色状態に鋭敏に移行する挙動を示し易くなる。
前記少なくとも3以上のベンゼン環を有し、且つ、分子量が250以上のフェノール性水酸基を有する化合物としては、
4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、
2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェノール)メチル〕−4−メチルフェノール、
4,4′−〔1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン〕ビスフェノール、
4,4′,4″−エチリデントリス〔2−メチルフェノール〕、
4,4′−〔(2−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス[2,3,6−トリフェニルフェノール]、
2,2−メチレンビス[6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、
2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)1,3−ベンゼンジオール、
4,4′,4″−エチリデントリスフェノール、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル]メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
2,4−ビス[(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、
4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェノール)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]、
4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,3−ベンゼンジオール、
4,4′−[(3,4−ジ−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、
5,5′−(1−メチルエチリデン)ビス[1−フェニル−2−オール]、
4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、
4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、
4,4′−(フェニルメチレン)ビスフェノール、
4,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[2−メチルフェノール]、
5,5′−(1,1−シクロヘキシリデン)ビス−[1−ビフェニル−2−オール]等が挙げられる。
前記一般式(COH)Sで示されるフェノール性水酸基を有する化合物としては、
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジプロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ペンチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヘプチル−4−ヒドキシフェニル)スルフィド、ビス(5−オクチル−2−ヒドロキシフェニル)スルフィド等が挙げられる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0016】
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
【0017】
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等が挙げられる。
【0018】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0019】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0020】
更に、前記(ハ)成分としてより好適には、特開2006−137886号公報に記載される化合物や、特開2006−188660号公報に記載される化合物が用いられる。
【0021】
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも重量部である)。
ここで、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料中、或いは、インキ中に非熱変色性の染料、顔料等の着色剤を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈することもできる。
【0022】
また、前記加熱消色タイプ以外に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物(特開平11−129623号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステル(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル(特開2003−253149号公報)等を用いた加熱発色型のマイクロカプセル顔料を適用することもできる。
【0023】
本発明に適用されるマイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態のものの適用を拒まないが、非円形断面の形態が効果的である。
筆記により形成される可逆熱変色性筆跡は、前記マイクロカプセル顔料が被筆記面に対して長径側(最大外径側)を密接させて濃密に配向、固着されており、高濃度の発色性を示すと共に、前記筆跡をゴム等の摩擦体による擦過等による外力に対して、前記マイクロカプセル顔料は外力を緩和する形状に微妙に弾性変形し、マイクロカプセルの壁膜の破壊が抑制され、熱変色機能を損なうことなく有効に発現させることができる。
ここで、前記非円形断面形状のマイクロカプセル顔料は、最大外径の平均値が0.5〜5.0μmの範囲にあり、且つ、可逆熱変色性組成物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲を満たしていることが好ましい。
前記マイクロカプセル顔料(円形断面形状のものを含む)は、最大外径の平均値が、5.0μmを越える系では、毛細間隙からの流出性の低下を来し、一方、最大外径の平均値が、0.5μm以下の系では高濃度の発色性を示し難く、好ましくは、最大外径の平均値が、1〜4μmの範囲、当該マイクロカプセルの平均粒子径〔(最大外径+中央部の最小外径)/2〕が1〜3μmの範囲が好適である。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を起こし、逆に、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、可逆熱変色性組成物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
【0024】
前記可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、コアセルベート法等の公知の手段が適用できるが、本発明の前記した要件を満たす粒子径範囲の、非円形断面形状のマイクロカプセル顔料を得るためには、凝集、合一化が生じ難い界面重合法又は界面重縮合法の適用が効果的である。
【0025】
前記マイクロカプセル顔料は、インキ組成物全量に対し、2〜50重量%(好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは、4〜30重量%)配合することができる。2重量%未満では発色濃度が不充分であり、50重量%を越えるとインキ流出性が低下し、筆記性が阻害される虞がある。
【0026】
前記2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩を水性インキ中に添加することで、凍結解凍後のマイクロカプセル顔料の凝集を抑制できる。
前記塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩、マグネシウム、アルミニウム等の金属塩、アルカノールアミンやアンモニア等のアミン塩等が例示できる。
【0027】
前記2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩は、インキ組成中0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%添加することができる。
0.05重量%以下では解凍時の顔料凝集抑制効果を得ることは困難であり、また、5重量%を越えて配合しても更なる効果は得られないので、これ以上の添加を要しない。
【0028】
前記チアジアゾールを筆跡消色タイプのインキに添加した場合、経時によってマイクロカプセル顔料消色時に残色を生じることがある。前記現象はチアジアゾールの添加量の増加に伴って発生し、特に、0.7重量%以上添加されると残色が明瞭に確認される。
前記残色は、分子量160以上のチオールをインキ中に添加することで抑制できる。分子量が160より小さいものであっても残色抑制効果を発現できるものの、臭気が強いため実用的ではない。
前記分子量160以上のチオールとしては、チオール基を1以上備えた水溶性化合物であれば汎用のものが適用でき、互変性を有するものであっても使用できる。特に好ましい化合物としては、α−リポ酸(分子量:206)、β−リポ酸(分子量:222)、ジヒドロリポ酸(分子量:208)、ビスノルリポ酸(分子量:178)、ビスノルジヒドロリポ酸(分子量:180)、グルタチオン(分子量:307)等が挙げられる。
【0029】
前記チオールは、インキ組成中0.1〜3重量%の範囲で添加することができる。
0.1重量%以下では残色抑制効果を得ることは困難であり、また、3重量%を越えて配合しても更なる効果は得られないので、これ以上の添加を要しない。
【0030】
また、インキ中には剪断減粘性付与剤を添加することができ、添加によってマイクロカプセル顔料の凝集・沈降を抑えると共に、筆跡の滲みを抑制できるため、紙面は勿論、浸透性の高い布帛等の繊維材料に筆記しても筆跡が滲むことなく、良好な筆跡を形成できる。
更に、前記インキを充填する筆記具がボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
尚、前記剪断減粘性付与剤を添加したインキの粘度は、20℃でのE型回転粘度計による3.84S−1の剪断速度におけるインキ粘度が20〜300mPa・sを示し、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.9を示すことが好ましい。
前記した粘度範囲及び剪断減粘指数を示すことによって、更にインキ漏れだし、インキの逆流を防止することができる。
尚、剪断減粘指数(n)は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式T=Kj(Kは非ニュートン粘性係数)にあてはめることによって計算される値である。
【0031】
前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類。N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
【0032】
また、水溶性高分子凝集剤を添加して、凝集剤がマイクロカプセル顔料粒子間のゆるい橋かけ作用を生じさせ、ゆるい凝集状態とすることができる。このようなゆるい凝集状態を示すインキはマイクロカプセル顔料の分離を抑制できる。
前記水溶性高分子凝集剤としては、非イオン性水溶性高分子化合物が好適に用いられ、具体的にはポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類、非イオン性水溶性セルロース誘導体等が挙げられる。このうち水溶性多糖類の具体例としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリンが挙げられ、また非イオン性水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
前記可逆熱変色性インキ中において顔料粒子間の緩い橋架け作用を示す水溶性高分子であればすべて適用することができるが、中でも前記の非イオン性水溶性セルロース誘導体が最も有効に作用する。
前記高分子凝集剤は、インキ組成物全量に対し、0.05〜20重量%配合することができる。
【0033】
インキ中に水と共に水溶性有機溶剤を添加することもでき、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0034】
また、本発明のインキをボールペンに充填して用いる場合は、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加してボール受け座の摩耗防止効果を付与することが好ましい。
【0035】
その他、必要に応じてアクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルローズ誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の樹脂を添加して紙面への固着性や粘性を付与することもできる。
また、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。
更に、アスコルビン酸類、エリソルビン酸類、α−トコフェロール、カテキン類、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α−グルコシルルチン、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素等を添加して化学的に気泡を除去することもできる。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
【0036】
前記可逆熱変色性インキ組成物は汎用の筆記具で使用可能なpHに調製して実用に供される。具体的には、pH3〜10の酸性からアルカリ性領域、好ましくは6〜10の弱酸性からアルカリ領域、より好ましくは6〜9の弱酸性から弱アルカリ領域に調整される。
本願においては、インキのpHに左右されることなく凍結解凍時のマイクロカプセル顔料の凝集や分散不良を抑制できるため、アルカリ性領域(pH7〜10)への調製が可能となる。
【0037】
前記筆記具用可逆熱変色性インキ組成物は、マーキングペンチップやボールペンチップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペン等の筆記具に充填して実用に供される。
【0038】
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に剪断減粘性インキを充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
【0039】
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.2〜3.0mm、好ましくは0.3〜1.5mm、より好ましくは0.3〜1.0mm径程度のものが適用できる。
尚、本発明のインキを充填する筆記具は、ボールと同様の転動作用により筆跡を形成させる、転動機構を筆記先端部に備えたものを含む。
【0040】
前記インキを収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0041】
前記インキ収容管に収容したインキの後端にはインキ逆流防止体が充填される。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
【0042】
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0043】
また、マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された繊維加工体からなるペン先を直接或いは中継部材を介して軸筒に装着してなり、前記インキ吸蔵体とペン先が連結されてなるマーキングペンの前記インキ吸蔵体に凝集性インキを含浸させたマーキングペンや、ペン先の押圧により開放する弁体を介してペン先とインキ収容管とを配置し、該インキ収容管内にインキを直接収容させたマーキングペン等を例示できる。
【0044】
前記ペン先は、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来汎用の気孔率が概ね30〜70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材であり、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
前記チゼル形状のペン体にあっては、筆記面への当接位置を変えることにより細書き用、或いは太書き用として、更には一定線幅のマークを形成できる多用途性を有し、多様な熱変色性の筆跡を形成できる利便性に優れた筆記具を構成できる。
前記インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40〜90%の範囲に調整して構成される。
また、前記弁体は、従来汎用のポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
【0045】
更に、前記ボールペンやマーキングペンの形態は前述したものに限らず、相異なる形態のペン先を装着させたり、相異なる色調のインキを導出させるペン先を装着させた複合筆記具(両頭式やペン先繰り出し式等)であってもよい。
特に、キャップ式や出没式のいずれの形態も適用でき、出没式の出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
【0046】
前記筆記具より形成される筆跡は、指による擦過や加熱又は冷熱具の適用により変色させることができる。
前記加熱手段としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として擦過部材が用いられる。
前記擦過部材としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適であるが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛であってもよい。
なお、消しゴムを使用して筆跡を擦過することもできるが、擦過時に消しカスが発生するため、好ましくは前述のような擦過部材が用いられる。
前記擦過部材の材質としては、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)等が好適に用いられるが、シリコーン樹脂は擦過により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれることがあるため、SBS樹脂やSEBS樹脂がより好適に用いられる。また、前記擦過部材としては、JIS K6253Aにおけるショア硬度Aが55度以上のものがより好適である。
前記擦過部材は筆記具と別体の任意形状の部材であってもよいが、筆記具に固着させることにより、携帯性に優れる。
前記擦過部材を固着する箇所は、キャップ先端部(頂部)、或いは、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)等が挙げられる。
更に、キャップの一部、或いは軸筒の一部に任意形象の小突部を設けて擦過部材とすることもできる。
冷却手段としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
【実施例】
【0047】
以下の表に実施例及び比較例の筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:−20℃、T:−9℃、T:40℃、T:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、黒色から無色に色変化する)
(2)(イ)成分として3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド2.0部、(ロ)成分としてビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド8.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:−14℃、T:−6℃、T:48℃、T:60℃、ΔH:64℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、青色から無色に色変化する)
(3)(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:−20℃、T:−9℃、T:40℃、T:58℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.3μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、橙色から無色に色変化する)
(4)三晶(株)製、商品名:レオザン
(5)三晶(株)製、商品名:ケルザン
(6)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(7)日本ルーブリゾール(株)製、商品名:ソルスパース43000
(8)北興化学工業(株)製、商品名:ホクサイド369
(9)2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
(10)2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのナトリウム塩
【0050】
インキの調製
前記実施例と比較例の組成物において、水に剪断減粘性付与剤以外の成分を添加し、混合攪拌した後、剪断減粘性付与剤を含むものはこれを添加して、25℃で、ディスパーにて400rpm、1時間攪拌し、濾過することで各インキを調製した。
【0051】
インキ逆流防止体の調製
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
【0052】
ボールペンの作製
前記実施例1〜3、5〜6及び比較例1〜3のインキ組成物を、直径0.5mmの超硬ボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィルに充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを外軸(キャップ式)に組み込み、試料ボールペンを作製した。
前記外軸後端部には摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
【0053】
マーキングペンの作製
前記実施例4及び比較例4のインキ組成物を、ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、軸筒先端部に装着させたポリエステル繊維の樹脂加工ペン体(チゼル型)と接続状態に組み立て、キャップを装着して試料マーキングペンを得た。
前記軸筒後端部には摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
【0054】
得られたボールペンとマーキングペンを用いて以下の試験を行った。
凍結解凍試験
筆記可能であることを確認した各筆記具を−36℃の冷凍庫で24時間放置(凍結)した後、冷凍庫から筆記具を取り出して室温で解凍した。解凍後の各筆記具を旧JIS P3201筆記用紙Aに手書きで螺旋状の丸を連続筆記した際の筆跡状態を目視により確認し、初期の筆跡(凍結前)と比較した。
【0055】
試験結果を以下の表に示す。
【表2】

【0056】
尚、表中の記号に関する評価は以下の通りである。
○:初期と解凍後の筆跡で濃度変化やカスレは見られない。
△:解凍後の筆跡(発色状態)に若干の淡色化が見られる。
×:顔料が凝集してしまい解凍後の筆跡(発色状態)が淡色化し、カスレが生じている。
【0057】
残色試験
更に、実施例で作成した筆記具(未試験品)を用いて、旧JIS P3201筆記用紙Aに手書きで螺旋状の丸を連続筆記した後、該用紙を室温で60日間放置した。経時後、前記筆跡をドライヤーで加温してマイクロカプセル顔料を消色状態(筆跡消去状態)とした状態で筆跡が形成された部分を目視により確認した。
試験結果を以下の表に示す。尚、表中の記号に関する評価は以下の通りである。
○:筆跡消色時の残色は生じない。
×:筆跡部分に残色が生じる。
【表3】

【符号の説明】
【0058】
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及び/又はその塩と、水とからなる筆記具用可逆熱変色性インキ組成物。
【請求項2】
前記2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及び/又はその塩がインキ組成物全量中に0.05〜5重量%の範囲で含まれる請求項1記載の筆記具用可逆熱変色性インキ組成物。
【請求項3】
分子量160以上のチオールが添加されてなる請求項1又は2に記載の筆記具用可逆熱変色性インキ組成物。
【請求項4】
前記インキ組成物中に剪断減粘性付与剤が添加されてなる請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記具用可逆熱変色性インキ組成物。
【請求項5】
前記インキ組成物のpHが6〜10の範囲にある請求項1乃至4のいずれかに記載の筆記具用可逆熱変色性インキ組成物。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれかに記載の筆記具用可逆熱変色性インキ組成物を内蔵してなる筆記具。
【請求項7】
ボールペンである請求項6記載の筆記具。

【図1】
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【公開番号】特開2010−132882(P2010−132882A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246225(P2009−246225)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】