説明

筋肉由来の新規タンパク質

【課題】筋肉組織由来の新規な分子および該分子の特異的検出方法を見出すことを目的とする。
【解決手段】本発明は、哺乳動物筋肉組織において特異的な局在を示す、ジヒドロリポアミド・スクシニル転移酵素の選択的スプライシング変異体である新規ポリペプチド、該ポリペプチドをコードするDNA、および該ポリペプチドの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な筋肉由来タンパク質、それをコードするDNA、および該タンパク質を筋肉組織から精製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトを含む哺乳動物の骨格筋を構成する組織は、筋線維とも称される細長い筋細胞の集合である。筋細胞の細胞質中には、筋細胞の長軸方向に平行に延びる筋原線維が束のような状態で存在する。筋原線維には光の屈折率の異なる部分が周期的に繰り返されて存在し、それらの部分はA帯(暗帯とも呼ばれる)、I帯(明帯とも呼ばれる)、Z線(Z盤とも呼ばれる)と称される。より詳細には、筋原線維の長軸方向に沿ってA帯とI帯が交互に出現し、Z線はI帯の中央に位置する。これらの筋原線維の各部分は、筋線維中の筋原線維の束においては横並びとなっており、それにより筋線維は縞状に見える。これまでの研究により、筋原線維のA帯にはミオシン線維が長軸方向に配置され、I帯にはアクチン線維が長軸方向に配置され、これらの線維同士が滑り運動を行うことにより筋肉の収縮が起きることが明らかになっている。また、Z線はI帯を構成するアクチン線維を固定する部分であることが明らかになっている(非特許文献1および2)。
【0003】
【非特許文献1】Albertsら、細胞の分子生物学・第4版,ニュートンプレス(2004),961−964
【非特許文献2】廣川タンパク質化学(第6巻、細胞骨格と筋肉のタンパク質)、矢原一郎(編集)、廣川書店、平成9年5月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筋肉の収縮運動は動物が正常な活動を行うにあたって必須の現象である。また、ある種の重篤な疾患においては筋力の低下が引き起こされ、健常な動物においても老化に伴って筋力が低下し、それにより正常な生命活動が損なわれる場合がある。したがって、正常な生命活動と疾患における筋肉収縮という現象の重要性を考えれば、筋肉に存在する新規なタンパク質を特定し、その機能を明らかにする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、筋肉の作動メカニズムとはまったく異なるアプローチから特定されたポリペプチドが、哺乳動物の骨格筋に存在し、当該ポリペプチドが他のタンパク質と高度に絡まり易い性質を有すること、および筋線維内で特異的な局在を示すことを明らかにする。また、哺乳動物骨格筋から当該ポリペプチドを精製する方法を提供する。
【0006】
より詳細には、本発明は、以下の特徴を有する。
(1) 以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチド:
(a) 配列番号2または4のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b) 配列番号2または4のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c) 配列番号2または4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失または付加を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(2) 以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチド:
(a) 配列番号6または8のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b) 配列番号6または8のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c) 配列番号6または8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失または付加を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(3) 筋肉組織由来である、上記(1)または(2)に記載のポリペプチド。
(4) 哺乳動物由来である、上記(3)に記載のポリペプチド。
(5) 哺乳動物がラットである、上記(4)に記載のポリペプチド。
(6) 哺乳動物がヒトである、上記(4)に記載のポリペプチド。
(7) 以下の(a)〜(c)のいずれかのDNA:
(a) 配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列からなるDNA、
(b) 配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなるDNA、
(c) 配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列において、1もしくは数個のヌクレオチドの置換、欠失または付加を含む塩基配列からなるDNA。
(8) 以下の(a)〜(c)のいずれかのDNA:
(a) 配列番号3の塩基配列の521−1330位の塩基配列からなるDNA、
(b) 配列番号3の塩基配列の521−1330位の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなるDNA、
(c) 配列番号3の塩基配列の521−1330位の塩基配列において、1もしくは数個のヌクレオチドの置換、欠失または付加を含む塩基配列からなるDNA。
(9)以下の(a)〜(c)のいずれかのDNA:
(a) 配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列からなるDNA、
(b) 配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなるDNA、
(c) 配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列において、1もしくは数個のヌクレオチドの置換、欠失または付加を含む塩基配列からなるDNA。
(10)以下の(a)〜(c)のいずれかのDNA:
(a) 配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列からなるDNA、
(b) 配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなるDNA、
(c) 配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列において、1もしくは数個のヌクレオチドの置換、欠失または付加を含む塩基配列からなるDNA。
(11) 上記(7)〜(10)のいずれか1つに記載のDNAを含むベクター。
(12) 上記(7)〜(10)のいずれか1つに記載のDNAを含む形質転換宿主細胞。
(13) 以下のステップ:
(i) 哺乳動物筋肉組織から筋原線維を調製し、これをピロリン酸を含有する溶液中でインキュベートするステップ、
(ii) (i)の可溶性画分から、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリペプチドを回収するステップ、
を含む、筋肉組織から該ポリペプチドを取得する方法。
(14) ピロリン酸の濃度が15mM〜50mMである、上記(13)に記載の方法。
(15) 以下のステップ:
(i) 上記(12)に記載の形質転換宿主細胞を培地中で培養するステップ、
(ii) 該宿主細胞または培地から、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリペプチドを回収するステップ
を含む、該ポリペプチドの製造方法。
(16) 配列番号18〜25の塩基配列を有するプライマーのうち1つ以上を用いる、配列番号1、3、5または7の塩基配列を有するDNAの検出方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、筋肉組織の構造的強度を高める働きを有すると考えられる新規なポリペプチドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明者らは、ラット骨格筋に、ミトコンドリアマトリックスにおいてTCA回路を担う酵素群の一員であるDLST(ジヒドロリポアミド・スクシニル転移酵素)に対する抗体と免疫反応性のタンパク質が存在することを見出し、これをPCP(Protein Clinging to the other Proteins)およびPCP−2と名付けた。
【0009】
PCPおよびPCP−2は、以下に詳細に説明するように、筋肉の筋原線維に強固に結合しており、また、酵素的に分解されにくいという特徴を有する。
【0010】
DLSTはα−ケトグルタル酸脱水素酵素複合体を構成するメンバーであり、ミトコンドリアマトリックスに局在し、α−リポ酸を補酵素として用いる(Nakanoら(1991), Journal of Biol. Chem. 266(28), 19013-19017;Nakanoら(1994), Eur. J. Biochem. 244, 179-189)。
【0011】
本発明者らは、ミトコンドリア膜間に、DLSTのC末端側のポリペプチドに相当するタンパク質が存在することを明らかにし、これをMIRTD(Mitochondrial Respiration generator of Truncated DLST)と名付けた。このタンパク質は、DLST遺伝子のイントロン7から転写されるmRNAの翻訳産物であることが示された(Kanamoriら(2003), EMBO Journal, vol.22, 2913-2923)。これは、細胞内局在などから、本発明のポリペプチドとは異なるものである。
【0012】
また、本発明者らは、骨格筋から筋原線維を除いた可溶性画分において、抗DLST抗体に反応性の約20kDaのポリペプチドが検出されたことを報告している(Matsudaら(1997), Biochem. Biophys. Res. Commun. 241, 151-156)。これはDLSTの分解産物であると考えられ、生化学的性質から判断して、筋原線維より単離された本発明のポリペプチドとは異なるものである。
【0013】
本発明のPCPは、DLST遺伝子の転写産物の選択的スプライシングにより、そのmRNAにおいてDLST遺伝子のエキソン2および3が欠落し、その結果、エキソン8から翻訳が開始されるものである。
【0014】
また、本発明のPCP−2は、上記PCPの同定の過程で発見された、PCPよりも分子量の大きなタンパク質である。PCP−2は、DLST遺伝子の転写産物の選択的スプライシングにより、そのmRNAにおいてDLST遺伝子のエキソン2、3および6が欠落し、その結果、エキソン5から翻訳が開始されるものである。
【0015】
上記のとおり、DLST遺伝子の選択的スプライシング変異体であるPCPおよびPCP−2では、DLST遺伝子のエキソン2および3、またはエキソン2、3および6が欠落している。本発明者らは、DLST遺伝子のイントロン1および4の塩基配列が動物種間で保存されていることを報告している(Nakanoら(2002), DNA Sequence, 13(6), 363-367)。このことは、DLST遺伝子のイントロン1および4が、該遺伝子の選択的スプライシングの調節において重要な役割を果たしていることを示唆している。したがって、上記PCPおよびPCP−2の発現量は、DLST遺伝子のイントロン1および4の塩基配列に関連してその発現量が調節されていることが予想される。
【0016】
以下に説明する、筋肉組織を強化するというPCPおよびPCP−2の機能から、これらのタンパク質mRNAの翻訳領域での塩基配列の改変(アミノ酸配列の改変)または非翻訳領域での塩基配列変異による発現量の変化が、特に現在原因不明とされている筋肉疾患および心筋疾患をはじめとする、疾患の病因に関与している可能性がある。特に、DLST遺伝子のエキソン領域での変異、およびイントロン1および4での変異による選択的スプライシング変異体の発現量の変化が、特に筋肉疾患の病因に関与していることが考えられる。
【0017】
免疫組織化学により、PCPおよびPCP−2はラット下肢筋において筋原線維のI−Z−I帯に局在することが示された。さらに、これも免疫組織化学的検討から、PCPおよびPCP−2は心筋にも存在することが明らかになった。また、当該タンパク質は、筋肉組織からの精製過程で筋肉組織の他のタンパク質と絡む性質が強く、精製が非常に困難である。このタンパク質が他のタンパク質と絡んだ状態で精製されることは、SDS−PAGEでの電気泳動像から判断することができる。そのような事実から、当該タンパク質が筋肉組織の他のタンパク質(例えばアクチン、トロポミオシン、α−アクチニン、ミオシン等)と絡まり易い性質を有していることが明らかになった。これらのことから、本発明のPCPおよびPCP−2は、アクチン線維をZ盤に固定すること、すなわちZ盤に存在するα−アクチニン等と協働してアクチン線維をZ盤に結合させること等、筋肉組織において重要な働きを有していることが示唆される。さらに、I−Z−I帯は筋収縮において物理的な力がかかる部位であると考えられるため、上記のような予想されるPCPおよびPCP−2の機能は、筋肉の強靭さにも関与していると考えられる。
【0018】
また、これに関して、本発明者らは、PCP−2は若齢で発現し、老化に伴ってその発現が低下することを確認した。
【0019】
一態様において、本発明は、PCPポリペプチドおよびPCP−2ポリペプチドを提供する。本明細書中、PCPおよびPCP−2は、横紋筋においてI−Z−I帯に局在し、他のタンパク質と絡まり易い性質を有する、DLSTの選択的スプライシング変異体である。
【0020】
本発明のPCPポリペプチドまたはPCP−2ポリペプチドは、好ましくは筋肉組織由来のPCPまたはPCP−2のアミノ酸配列を有し、さらに好ましくは哺乳動物由来のPCPまたはPCP−2のアミノ酸配列を有する。より好ましくは、本発明のPCPまたはPCP−2は、ラットまたはヒト由来のアミノ酸配列を有する。
【0021】
本発明のPCPポリペプチドは、ラットまたはヒト由来のそれぞれ配列番号2または4のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。本発明のPCP−2ポリペプチドは、ラットまたはヒト由来のそれぞれ配列番号6または8のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。PCPおよびPCP−2には、配列番号2もしくは4または配列番号6もしくは8のアミノ酸配列からなるポリペプチドと機能的に同等のポリペプチドが包含される。「機能的に同等」とは、対象となるポリペプチドが、配列番号2もしくは4または配列番号6もしくは8のアミノ酸配列からなるポリペプチドと同等の生物学的特性、すなわち筋肉組織の他のタンパク質(例えばアクチン、トロポミオシン、α−アクチニン、ミオシン等)と絡まり易い性質を有することを指す。ここで、「絡まり易い性質」とは、生理的条件下で筋肉組織を形成する他のタンパク質と非共有的に結合し、容易に結合がはずれない性質を意味する。換言すれば、PCPおよびPCP−2はタンパク質−タンパク質間を接着させ、タンパク質−タンパク質の結合を強固にする性質を有するので、このタンパク質の性質をタンパク質接着剤と特定できる。
【0022】
配列番号2もしくは4または配列番号6もしくは8のアミノ酸配列からなるポリペプチドと機能的に同等のポリペプチドには、配列番号2もしくは4または配列番号6もしくは8のアミノ酸配列において、1または複数、好ましくは1または数個のアミノ酸が欠失、付加または置換されたアミノ酸配列からなるポリペプチドが含まれる。当該ポリペプチドは、上記のPCPおよびPCP−2の特性を有する。
【0023】
ここで、数個とは、通常2〜15個、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜9、2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、2〜4個、または2〜3個である。
【0024】
また本発明においてPCPには、配列番号2または4のアミノ酸配列と好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95、96、97、98%の同一性、さらに好ましくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドも包含される。
【0025】
本発明においてPCP−2には、配列番号6または8のアミノ酸配列と好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95、96、97、98%の同一性、さらに好ましくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドも包含される。
【0026】
2つのアミノ酸配列または塩基配列の%同一性を決定するためには、最適な比較がなされるように配列をアライメントする。2つの配列間の%同一性は、配列が共有する同一な位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一な位置の数/位置(例えば、一部重複する位置)の総数×100)。1つの態様において、比較対象の2つの配列は同じ長さである。2つの配列間の%同一性は、ギャップを許容する場合、許容しない場合の両方で、以下に述べるものに類似した方法を用いて決定し得る。%同一性の算出に関しては、一般的に、厳密に一致するもののみを算定する。
【0027】
2つの配列間の%同一性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列の比較に用いられる数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873-5877において改変された、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 2264のアルゴリズムである。この種のアルゴリズムは、Altschulら, (1990) J. Mol. Biol., 215, 403のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。本発明のポリペプチドの変異体を得るには、BLASTのタンパク質検索を、スコア=30、ワード長(wordlength)=3としたXBLASTプログラムを用いて実行するとよい。本発明のDNAの変異体を得るためには、BLASTヌクレオチド検索を、スコア=100、ワード長=12としたNBLASTプログラムを用いて実行するとよい。比較用のギャップが入ったアライメントを得るためには、Altschulら, (1997) Nucleic Acid Res., 25, 3389に記載されたGapped BLASTを用いるとよい。
【0028】
本発明のポリペプチドについては、その配列を基に当業者に公知の手法、例えば、アミノ酸1つ1つを化学的に重合してポリペプチドを合成する方法(固相ペプチド合成法)に従って調製することができる。さらに、PCPまたはPCP−2をコードする塩基配列からなるDNAを含む組換えベクターを作製し、該ベクターを適切な宿主細胞中に導入して得られる形質転換宿主細胞を培地中で培養し、その培養細胞または培地から回収することによっても本発明のポリペプチドを得ることができる。ここで使用する組換えベクター、宿主細胞、培地、各操作法および条件等については、当業者に公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができる。
【0029】
配列番号2もしくは4または配列番号6もしくは8のアミノ酸配列における、1または複数のアミノ酸の欠失、付加または置換は、常用される技術、例えば、部位特異的変異誘発法(Zollerら、Nucleic Acids Res. 10 6478-6500, 1982)、変異を導入したプライマーを用いる公知のPCR法(Sambrook, Jら, Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58, Cold Spring Harbor Lab.press (1989)等)により、配列番号2もしくは4または配列番号6もしくは8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNAの配列(例えば、配列番号1もしくは3または配列番号5もしくは7の塩基配列)を改変することにより実施することができる。
【0030】
ここで、アミノ酸の置換に関して、アミノ酸の側鎖は、疎水性、電荷などの化学的性質または構造的性質においてそれぞれ異なるものであるが、実質的にポリペプチド全体の3次元構造(立体構造とも言う)に影響を与えないという意味で保存性の高い幾つかの関係が、経験的にまた物理化学的な実測により知られている。本発明のアミノ酸間の置換は、化学的または構造的性質の類似したアミノ酸間の保存的置換でもよいし、あるいは、そのような性質の異なるアミノ酸間の非保存的置換でもよい。化学的または構造的性質の類似したアミノ酸は次のように分類することができる。
【0031】
疎水性アミノ酸群には、アラニン(Ala)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、バリン(Val)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)が含まれる。
極性アミノ酸群には、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、グリシン(Gly)、グルタミン(Gln)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)が含まれる。
芳香族アミノ酸群には、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)が含まれる。
酸性アミノ酸群には、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン酸(Asp)が含まれる。
塩基性アミノ酸群には、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)が含まれる。
【0032】
例えば、保存的置換の例としては、グリシン(Gly)とプロリン(Pro)、グリシンとアラニン(Ala)またはバリン(Val)、ロイシン(Leu)とイソロイシン(Ile)、グルタミン酸(Glu)とアスパラギン酸(Asp)、グルタミン(Gln)とアスパラギン(Asn)、システイン(Cys)とスレオニン(Thr)、スレオニンとセリン(Ser)またはアラニン、リジン(Lys)とアルギニン(Arg)等のアミノ酸の間での置換が含まれる。
【0033】
本発明はまた、PCPまたはPCP−2をコードするDNAを提供する。PCPをコードするDNAの具体例としては、配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列からなるDNA、または配列番号3の塩基配列の521−1330位の塩基配列からなるDNAが挙げられる。PCP−2をコードするDNAの具体例としては、配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列からなるDNA、または配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列からなるDNAが挙げられる。本発明のDNAにはまた、配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列からなるDNA、配列番号3の塩基配列の521−1330位の塩基配列からなるDNA、配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列からなるDNA、または配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列からなるDNAと機能的に同等のDNAが包含される。ここで「機能的に同等」とは、対象となるDNAによってコードされるポリペプチドが、上記のPCPおよびPCP−2の特性、すなわち筋肉組織の他のタンパク質と絡まり易い性質を有することを指す。
【0034】
あるポリペプチドと機能的に同等のポリペプチドをコードするDNAを調製する当業者によく知られた方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Sambrook, Jら, Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58, Cold Spring Harbor Lab.press (1989))を利用する方法が挙げられる。
【0035】
配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列からなるDNA、配列番号3の塩基配列の521−1330位の配列からなるDNA、配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列からなるDNA、または配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列からなるDNAと機能的に同等のDNAとしては、配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列、配列番号3の塩基配列の521−1330位の塩基配列配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列、または配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列と少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95、96、97、98%の同一性、さらに好ましくは少なくとも99%の同一性を有する塩基配列からなるDNA、あるいは上記各塩基配列において1もしくは数個のヌクレオチドの置換、欠失または付加を含む塩基配列からなるDNAが挙げられる。当該DNAによってコードされるポリペプチドは、上記のPCPおよびPCP−2の特性を有する。
【0036】
上記の機能的に同等のDNAは、上記塩基配列からなるDNAまたは少なくとも30塩基、少なくとも50塩基、または少なくとも100塩基のその断片をプローブとして用いるストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションによって、ラットまたはヒト以外の哺乳動物の筋肉組織から得ることができる。
【0037】
ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、低ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件が挙げられるが、高ストリンジェントな条件が好ましい。低ストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、例えば42℃、5×SSC、0.1%SDSで洗浄する条件であり、好ましくは50℃、5×SSC、0.1%SDSで洗浄する条件である。高ストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、例えば65℃、0.1×SSC及び0.1%SDSで洗浄する条件である。
【0038】
あるいは、配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列、配列番号3の塩基配列の521−1330位の塩基配列、配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列、または配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列全長において、種々の人為的処理、例えば部位特異的変異導入、変異剤処理によるランダム変異、制限酵素切断によるDNA断片の変異、欠失、連結等により、部分的にその配列が変化したものであっても、これらの変異型DNAが配列番号1の塩基配列の489−1298位の配列、配列番号3の塩基配列の521−1330位の配列、配列番号5の塩基配列の196−1242位の配列、または配列番号7の塩基配列の179−1225位の配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、上記PCPおよびPCP−2の特性を有するポリペプチドをコードするDNAであれば、配列番号1の塩基配列の489−1298位の配列、配列番号3の塩基配列の521−1330位の配列、配列番号5の塩基配列の196−1242位の配列、または配列番号7の塩基配列の179−1225位の配列と相違する塩基配列も、本発明のPCPまたはPCP−2をコードするDNAに含まれる。
【0039】
本発明はまた、PCPまたはPCP−2をコードするDNAを含むベクターを提供する。本発明のベクターは、本発明のDNAを、一般的な遺伝子組み換え技術(例えば、Sambrookら、上掲)に従って適当なベクターに挿入することにより得ることができる。
【0040】
本発明のDNAを挿入する適当なベクターとしては、宿主細胞中で複製可能なものであれば特に限定されないが、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322、pUC118他)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110、pC194他)、酵母由来のプラスミド(例、pSH19他)、さらにバクテリオファージやレトロウィルスやワクシニアウィルス等の動物ウィルス等が利用できる。
【0041】
また、挿入した遺伝子が確実に発現されるようにするため、該遺伝子の上流に適当な発現プロモーターを接続する。使用する発現プロモーターは、宿主に応じて当業者が適宜選択すればよく、例えば宿主が大腸菌である場合には、T7プロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、λ−PLプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合にはSPO系プロモーター等が、宿主が酵母である場合にはPHO5プロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター等が、宿主が動物細胞である場合にはSV40由来プロモーター、レトロウィルスプロモーター等が、それぞれ使用できるが、これらに限定されない。
【0042】
本発明のベクターには更に、所望により、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合部位、複製開始点、ターミネーター等を挿入してもよい。
【0043】
本発明はまた、PCPまたはPCP−2をコードするDNAを含む形質転換宿主細胞を提供する。本発明の形質転換宿主細胞は、前記ベクターを、常法または各宿主に対して一般に用いられる形質転換方法に従って、PCPまたはPCP−2が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。
【0044】
本発明のベクターの宿主細胞への導入は、限定するものではないが、例えばカルシウムイオン法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、スフェロプラスト法、マイクロインジェクション等を用いて実施することができる。
【0045】
宿主としては、限定するものではないが、エシェリヒア属菌であるEscherichia coliの各種菌株、バチルス属菌であるBacillus subtilisの各種菌株、酵母としてはSaccharomyces cerevisiaeの各種菌株、動物細胞としてはCOS−7細胞、CHO細胞、HEK293細胞、L6細胞、C2C12細胞、NIH3T3細胞およびSH−SY5Y細胞等が利用できる。
【0046】
本発明のポリペプチドは、前記形質転換宿主細胞を、当業者に公知の通常の方法に従って培養し、当該培養細胞または培地から本発明のポリペプチドを回収することにより製造できる。培養細胞から、当該細胞の破砕後、遠心分離等の分離操作により可溶性画分を得、この画分からポリペプチドを回収することができる。
【0047】
本発明のポリペプチドはまた、他のポリペプチド(例、グルタチオンSトランスフェラーゼ、プロテインAその他)との融合型ポリペプチドとして発現させてもよい。このようにして発現させた融合型ポリペプチドは、適当なプロテアーゼ(例、トロンビンその他)を用いて切り出すことができる。
【0048】
本発明者らはさらに、筋肉組織からPCPおよびPCP−2を精製する際に、ピロリン酸を添加することにより他のタンパク質からのPCPおよびPCP−2の分離を良好にし得ることを見出した(実施例1;図1および2)。
【0049】
したがって、本発明は、哺乳動物筋肉組織から筋原線維を調製し、これをピロリン酸を含有する溶液中でインキュベートするステップ、遠心分離後に可溶性画分から本発明のポリペプチドを回収するステップを含む、該ポリペプチドの取得方法を提供する。ピロリン酸を添加することによって他のタンパク質と絡まり易い性質を有するタンパク質を精製し得るようになることは、本発明者らの知り得る限り、当業者に知られていない。用いるピロリン酸の濃度は、好ましくは15mM以上、より好ましくは15〜50mMである。
【0050】
本発明のポリペプチドは、慣用の精製技術を組み合わせて単離することができる。そのような技術には、硫安分画、有機溶媒処理、遠心分離、限外濾過、各種クロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー等)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、電気泳動等を含む。
【0051】
本発明のポリペプチドは、抗原抗体反応を利用する方法等により、特異的に検出することができる。
【0052】
本発明者らは、特異的なプライマーを設計することにより、混合cDNAからPCPおよびPCP−2の存在を特異的に検出することに成功した。したがって、本発明は、DNAサンプル中のPCP配列およびPCP−2配列の特異的検出方法を提供する。
【0053】
さらに、上記の通り、PCPおよびPCP−2はアクチン、ミオシン等の筋肉組織に存在するタンパク質を接着する性質を有することから、筋原線維を強固にする上で重要な構造タンパク質である。このことから、PCPおよびPCP−2の欠損、発現低下等が骨格筋および心筋の疾患に結びつくものであることが示唆される。したがって、本発明のPCPおよびPCP−2は、筋疾患および心疾患の診断および/または治療において応用することができるものと考えられる。
【0054】
以下に実施例を示すことにより本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0055】
ラット下肢筋組織からのPCPの精製
(1)ラット下肢筋組織を、以下の組成を有するホモジナイズ液:0.15M NaCl、20mM Tris−HCl(pH7.4)中でホモジナイズし(図1:サンプル1)、ガーゼで濾過した。濾液に最終濃度1%となるようにTritonX−100を添加し、氷中にて20分間攪拌した後、5,000rpmで15分間遠心した。沈殿を回収し、新たなホモジナイズ液に懸濁し、5,000rpmで15分間遠心し、沈殿を回収した。このステップを遠心後の沈殿が白くなるまで繰り返すことにより、筋原線維を調製した(図1:サンプル2)。
【0056】
(2)得られた筋原線維を、以下の組成を有するA液:0.4M NaCl、5mMピロリン酸、20mM Tris−HCl(pH7.8)に加え、氷中にて20分間攪拌した後、13,000rpmで15分間遠心した。沈殿を回収し(上清=図1:サンプル3)、新たなA液中に懸濁し、遠心後、沈殿を回収した。このステップを3回繰り返した。
【0057】
(3)得られた沈殿を0.6M NaCl、15mMピロリン酸、20mM Tris−HCl(pH7.8)中に懸濁し、氷中にて30分間攪拌した。懸濁液を13,000rpmで15分間遠心し、上清を回収した(沈殿=図1:サンプル4;上清=図1:サンプル5)。得られた上清を、1mMピロリン酸、5mMリン酸カリウム(pH6.5)に対して透析し、13,000rpmで15分間遠心し、上清を回収した(沈殿=図1:サンプル6;上清=図1:サンプル7)。
【0058】
(4)得られた上清に、0.33飽和まで硫酸アンモニウムを添加し、氷中にて30分間攪拌した。13,000rpmで15分間遠心し、上清を回収した(沈殿=図1:サンプル8)。得られた上清に0.6飽和まで硫酸アンモニウムを添加し、氷中にて30分間攪拌した。13,000rpmで15分間遠心し、沈殿を回収した(沈殿=図1:サンプル9)。
【0059】
(5)得られた沈殿を、1mMピロリン酸、5mMリン酸カリウム(pH6.5)に対して透析し、13,000rpmで15分間遠心し、上清を回収した(上清=図1:サンプル10;沈殿=図1:サンプル11)。
【0060】
(6)精製の各ステップで得たサンプルについてSDS−PAGEを行い、クーマシーブルーを用いてタンパク質染色した(図1A)。また、同じサンプルについて抗DLST抗体を用いてウエスタンブロット解析を行った(図1B)。27kDa付近にPCPに対応するバンドが見られる(図1:*印)。
【0061】
なお、図1では、ウエスタンブロットにおいて近い位置に2本のバンドが存在するが(図1B、*印参照)、上記手順のうちステップ(3)で用いる懸濁用の溶液を1M NaCl、50mMピロリン酸、20mM Tris−HCl(pH7.8)とすることにより、当該位置に存在するバンドは下側の1本のみとなる。
【0062】
また、上記手順のうちステップ(3)で用いる懸濁用の溶液にピロリン酸を加えずに同様の手順により処理した場合、硫酸アンモニウム沈殿により得られたサンプル(図2:サンプル1、2および3;それぞれ図1のサンプル1、9および10に対応)は、ピロリン酸存在下で精製した場合と比較して、PCPが他のタンパク質と結合した形で精製されているのがわかる。
【実施例2】
【0063】
アミノ酸配列解析用PCPサンプルの調製
(1)実施例1のSDS−PAGEにより得られたクーマシーブルー染色ゲルから、PCPに対応するバンド(図1A:*印)を切り出し、ウルトラタラックス(IKA(登録商標)製)を用いて蒸留水中でホモジナイズし、遠心して沈殿を回収した。得られた沈殿を100%メタノール中に懸濁し、30分間静置した後、遠心して沈殿を回収した。このステップをもう一度繰り返した。得られた沈殿を風乾し、SDSサンプルバッファー中に懸濁し、30分間静置した。
【0064】
(2)得られたサンプルについてSDS−PAGEを行った。ゲルをクーマシーブルーで染色すると、2本のバンドが現れた(図3A:aおよびb)。それぞれのバンドを切り出し、上記ステップ(1)と同様にサンプルを調製し、抗DLST抗体を用いてウエスタンブロット解析を行った(図3B)。2本のバンドのうち、aのみが抗DLST抗体により認識された。
【実施例3】
【0065】
ラットPCPのアミノ酸配列決定
上記バンドaから調製したサンプルについてのSDS−PAGEおよびクーマシーブル染色を行い、ゲルからバンドを切り出し、エドマン法により部分アミノ酸配列を決定した。その結果、PCPのN末端付近のアミノ酸配列と、5種類の鎖内アミノ酸配列を特定することができた(表1)。
【0066】
【表1】

【0067】
これらの配列から、PCPは、DLST遺伝子のエキソン8に存在する開始コドンから翻訳が開始され、N末端でプロセシングを受けることにより成熟タンパク質となっていることが示唆された。
【実施例4】
【0068】
ラットPCPのcDNA配列決定
実施例3から示唆されたことを基に、ラット筋肉Cap site cDNAライブラリー(日本ジーン株式会社)よりPCPのcDNAをクローニングした。5’側プライマーとしてはライブラリーの供給元により指定された配列を用い(5’−caaggtacgccacagcgtatg−3’(配列番号9)および5’−gtacgccacagcgtatgatgc−3’(配列番号10))、3’側プライマーにはDLST遺伝子のエキソン15内の3’非翻訳領域の配列を用いた(5’−gttgcacgggctagaagactgg−3’(配列番号11))。
【0069】
特定されたcDNAクローンの塩基配列(配列番号1)および予測されるアミノ酸配列(配列番号2)を図4に示す。アミノ酸配列中、二重下線はエドマン法により決定されたN末端配列、一重下線はエドマン法により決定された鎖内配列を示す。
【0070】
DLST遺伝子の構造およびDLST cDNAの構造の模式図を図5Aに示し、特定された塩基配列より明らかになったPCP cDNAの構造の模式図を図5Bに示す。PCP cDNAでは、選択的スプライシングによりDLST遺伝子のエキソン2および3が欠落し、それによりエキソン8内の開始コドンから翻訳が開始される。その結果、DLST遺伝子のエキソン6にあたる配列中に存在するα−リポ酸結合部位が失われている。ここで、PCPの翻訳開始部位であるエキソン8の開始コドン付近の塩基配列は、公知のKozak配列(Kozak (1999), Gene, 234, 187-208)と矛盾しない。
【実施例5】
【0071】
抗DLST抗体によるラット下肢筋の免疫組織化学
ウサギ抗DLSTポリクローナル抗体を用いてラット下肢筋から作製した切片に対して免疫染色を行い、筋線維でのPCPおよびPCP−2の局在について調べた。ここで用いた抗DLST抗体は、ラットDLST遺伝子のエキソン8中の開始コドンから始まる塩基配列を用いて組換え的に生成させたDLST部分ペプチドを抗原として、ウサギを免疫して得たものである。抗DLST抗体はラットの骨格筋を縞状に染色した。α−アクチニン(Z線に局在)およびリアノジン受容体(I帯とA帯の境界部に局在)との二重免疫染色から、PCPおよびPCP−2はI−Z−I帯に選択的に存在していることが明らかになった。さらに、同様の免疫組織化学的検討から、PCPおよびPCP−2はラットの心筋にも存在していることが示された(データは示していない)。また、ヒト筋肉組織も抗DLST抗体により免疫組織化学的に染色されるため、ヒトにおいても筋肉組織にPCPおよびPCP−2に相当するタンパク質が存在することが示された(データは示していない)。
【実施例6】
【0072】
ヒトPCPのcDNA塩基配列およびアミノ酸配列決定
ヒトPCP cDNAは、市販のヒト筋肉cDNAライブラリー(タカラバイオ株式会社製)を鋳型として、5’側プライマー(5’−acaggcgggcgggagccg−3’(配列番号12))およびヒトDLST遺伝子のエキソン15の3’非翻訳領域内に設定した3’側プライマー(5’−ggacagggagaagactgg−3’(配列番号13))を用いてPCRにより取得した(配列番号3)。ヒトにおいても、PCP cDNAではDLST遺伝子のエキソン2および3が欠落しており、DLST遺伝子からの選択的スプライシングにより生じたものであることが予想された。得られたcDNA配列中の予想されるコード領域から翻訳されるアミノ酸配列(配列番号4)は、ラットから得られたものと約95%の同一性を有していた。
【実施例7】
【0073】
ラットおよびヒトPCPアミノ酸配列から予測される凝集性
上記のように決定したラットおよびヒトのPCPのアミノ酸配列について凝集性の予測を行った。予測はSerranoらのグループにより開発されたTANGOポリペプチド鎖凝集性予測アルゴリズム(http://tango.emble.de;Fernandez-Escamillaら(2004), Nature Biotech 22, 1302-1306)を用いて行った。結果を図7A(ラット)および図7B(ヒト)に示す。C末端近傍に高い凝集性が予測される配列があることが明らかとなった。これらの配列はラットおよびヒトPCPアミノ酸配列232−240位に保存されている、MMYVALTYDの配列である。
【実施例8】
【0074】
ラット下肢筋組織からのPCP−2の精製
上記PCPについての解析の過程で、筋組織からPCPと同様に精製されるタンパク質の存在が示唆されたため、これについても解析した。
(1)上記実施例1と同様に、筋原線維を調製した。
【0075】
(2)得られた筋原線維を、以下の組成を有するA液:0.6M KCl、0.6M KI、15mMピロリン酸、20mM Tris−HCl(pH7.8)に加え、氷中にて1時間攪拌した後、13,000rpmで15分間遠心し、上清を回収した。得られた上清を、1mMピロリン酸、5mMリン酸カリウム(pH6.5)に対して透析し、13,000rpmで15分間遠心し、上清を回収した。
【0076】
(3)得られた上清に、0.35飽和まで硫酸アンモニウムを添加し、氷中にて20分間攪拌した。13,000rpmで15分間遠心し、沈殿を回収した。
【0077】
(4)得られた沈殿を、1mMピロリン酸、5mMリン酸カリウム(pH6.5)に対して透析し、13,000rpmで15分間遠心し、上清を回収した。
【0078】
(5)ステップ4で得られた上清についてSDS−PAGEを行い、抗DLST抗体を用いてウエスタンブロット解析を行った(図8)。30kDa付近にPCPに対応するバンドが見られ、40kDa付近にPCP−2に対応するバンドが見られる。
【実施例9】
【0079】
ラットPCP−2のアミノ酸配列決定
上記実施例2と同様に、SDS−PAGEでのPCP−2のバンドから調製したサンプルについて、SDS−PAGEおよびクーマシーブル染色を行い、ゲルからバンドを切り出し、エドマン法により部分アミノ酸配列を決定した。その結果、PCP−2の1種類の鎖内アミノ酸配列を特定することができた。配列を以下に示す:
AAPEAPAAPP
この配列は、以下の実施例10で決定されたラットPCP−2のcDNA配列のうち、DLST遺伝子のエキソン8に含まれる配列によりコードされる部分である(図9;一重下線部)。
【実施例10】
【0080】
ラットPCP−2のcDNA配列決定
実施例9から示唆されたことを基に、ラット筋肉Cap site cDNAライブラリー(日本ジーン株式会社)よりPCPのcDNAをクローニングした。5’側プライマーとしてはライブラリーの供給元により指定された配列を用い(5’−caaggtacgccacagcgtatg−3’(配列番号9)および5’−gtacgccacagcgtatgatgc−3’(配列番号10))、3’側プライマーにはDLST遺伝子のエキソン15内の3’非翻訳領域の配列を用いた(第1PCR:5’−gttgcacgggctagaagactgg−3’(配列番号11);第2PCR:5’−gatcagtaggtaggc−3’(配列番号14))。
【0081】
特定されたcDNAクローンの塩基配列(配列番号5)および予測されるアミノ酸配列(配列番号6)を図9に示す。アミノ酸配列中、一重下線はエドマン法により決定された鎖内配列を示す。二重下線は、DLSTポリペプチドには存在しない、PCP−2に特異的な6残基のアミノ酸配列を示す。なお、cDNA配列中、139および140位の「AG」は、解析するサンプルによっては欠落している場合もあった。この部分は、DLST遺伝子のエキソン5の5’末端に相当する。
【0082】
特定された塩基配列より明らかになったPCP−2 cDNAの構造の模式図を図11に示す。PCP−2 cDNAでは、選択的スプライシングによりDLST遺伝子(図5A参照)のエキソン2、3および6が欠落し、それによりエキソン5内の開始コドンから翻訳が開始される。その結果、DLST遺伝子のエキソン6にあたる配列中に存在するα−リポ酸結合部位が失われている。
【実施例11】
【0083】
ヒトPCP−2のcDNA塩基配列およびアミノ酸配列決定
ヒトPCP−2 cDNAは、市販のヒト筋肉cDNAライブラリー(タカラバイオ株式会社製)を鋳型として、5’側プライマー(第1PCR:5’−tgtccgcccgccctcggc−3’(配列番号15);第2PCR:5’−gccgtgatgctgtcccg−3’(配列番号16))およびヒトDLST遺伝子のエキソン15の3’非翻訳領域内に設定した3’側プライマー(第1PCR:5’−ggacagggagaagactgg−3’(配列番号13);第2PCR:5’−cctgcatgatcaacttg−3’(配列番号17))を用いてPCRにより取得した(配列番号7)。
【0084】
特定されたcDNAクローンの塩基配列(配列番号7)および予測されるアミノ酸配列(配列番号8)を図10に示す。アミノ酸配列中、一重下線はラットについてエドマン法により決定された鎖内配列を示す。二重下線は、DLSTポリペプチドには存在しない、PCP−2に特異的な6残基のアミノ酸配列を示す。なお、cDNA配列中、122および123位の「AG」は、解析するサンプルによっては欠落している場合もあった。この部分は、DLST遺伝子のエキソン5の5’末端に相当する。ヒトにおいても、PCP−2 cDNAではDLST遺伝子のエキソン2、3および6が欠落しており、DLST遺伝子からの選択的スプライシングにより生じたものであることが予想された。得られたcDNA配列中の予想されるコード領域から翻訳されるアミノ酸配列(配列番号8)は、ラットから得られたものと約94%の同一性を有していた。
【実施例12】
【0085】
PCPおよびPCP−2の検出方法
まず、ヒトおよびラットのそれぞれについて、PCPまたはPCP−2に特異的な5’側プライマーを設計した。
【0086】
PCP特異的5’プライマー
ヒト1:5’−tccgccttccagaagcat−3’(配列番号18)
ヒト2:5’−tccgccttccagaagcatt−3’(配列番号19)
ラット1:5’−tctgccttccagaagcat−3’(配列番号20)
ラット2:5’−tctgccttccagaagcatt−3’(配列番号21)
上記のプライマー配列のうち、下線部はそれぞれヒトまたはラットのDLST遺伝子のエキソン1の3’末端側の配列であり、残りはそれぞれヒトまたはラットのエキソン4の5’末端の3または4塩基である。
【0087】
PCP−2特異的5’プライマー
ヒト1:5’−ggagatgtcaggtgggagaaagaca−3’(配列番号22)
ヒト2:5’−ggagatgtcaggtgggagaaagacat−3’(配列番号23)
ラット1:5’−ggagatgtcaggtgggagaaagact−3’(配列番号24)
ラット2:5’−ggagatgtcaggtgggagaaagactt−3’(配列番号25)
上記のプライマー配列のうち、下線部はそれぞれヒトまたはラットのDLST遺伝子のエキソン5の3’末端側の配列であり、残りはそれぞれヒトまたはラットのエキソン7の5’末端の3または塩基である。
【0088】
3’側プライマーとしては、PCPおよびPCP−2ともに、以下のDLST遺伝子のエキソン15内の3’非翻訳領域の配列を用いた。
ヒト:第1PCR:5’−ggacagggagaagactgg−3’(配列番号13)
第2PCR:5’−cctgcatgatcaacttg−3’(配列番号17)
ラット:第1PCR:5’−gttgcacgggctagaagactgg−3’(配列番号11)
第2PCR:5’−gatcagtaggtaggc−3’(配列番号14)
鋳型としてそれぞれヒトまたはラットcDNAライブラリーを用いて、実施例4、6、10または11と同様にして1回目のPCRを行った。得られた増幅産物を鋳型として用い、上記のPCPまたはPCP−2特異的5’プライマーを5’側プライマーとして用いて、2回目のPCRを行った。
【0089】
増幅産物の電気泳動の結果を図12(PCP)および図13(PCP−2)に示す。それぞれ、Mは分子量マーカー、レーン1はヒトcDNAからの増幅産物、2はラットcDNAからの増幅産物を示す。これらの結果は、特異的プライマーとして、上記のヒト1またはラット1を用いた場合の結果である。それぞれのレーンで、PCPまたはPCP−2が特異的に検出されている。
【0090】
PCPではエキソン4に対応する配列、PCP−2ではエキソン7に対応する配列が、上記の特異的プライマーでは3塩基または4塩基となっている。この配列が、それよりも長い(例えば、5塩基または6塩基)プライマー、またはそれよりも短い(例えば、1塩基または2塩基)プライマーでは、図に示されるような特異的な検出は達成することができなかった。
【0091】
この方法は、血液または生検サンプルなどの患者サンプルにおいて、PCPおよびPCP−2を特異的に検出するために用いることができる。
【実施例13】
【0092】
ヒト骨格筋トータルRNA中のPCPおよびPCP−2 mRNAの検出
ヒト骨格筋トータルRNA(Clontech社)について、Prime ScriptTMRT−PCRキット(タカラバイオ社)を用いてRT−PCRを行った。逆転写にはオリゴdTプライマーを使用した。得られたcDNAを鋳型として用いるPCRには、5’側プライマーとして上記のヒトPCPまたはPCP−2特異的5’プライマー(それぞれ配列番号18または20)、3’側プライマーとして以下の配列を有するプライマーを用いた。
エキソン7プライマー:5’−tcacgccatttgctggtgatgg−3’(配列番号26)
エキソン8プライマー:5’−ttcagccggcttggccttagc−3’(配列番号27)
【0093】
増幅産物の電気泳動の結果を図14に示す。Mは分子量マーカー、レーン1および2はPCP特異的5’プライマーとエキソン7プライマーとの組み合わせ、レーン3および4はPCP特異的5’プライマーとエキソン8プライマーとの組み合わせ、レーン5および6はPCP−2特異的5’プライマーとエキソン7プライマーとの組み合わせを用いて行ったPCRの増幅産物を示す。それぞれのレーンで、PCPまたはPCP−2の特異的なバンドが検出された。
【0094】
これにより、ヒト骨格筋RNA中に、PCPおよびPCP−2のmRNAが存在することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のポリペプチドおよびDNAは、哺乳動物の健康科学および病理学的適用において有用である。特に、筋肉構造を強化するというPCPおよびPCP−2の筋肉組織における働きから、当該タンパク質は、筋肉の老化や弱体化に伴う筋疾患および心疾患の診断および治療に利用できると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】ラット筋原線維からのPCPの精製を表す図である。図1AはSDS−PAGE後のゲルをクーマシーブルーにより染色したものを示す。図1BはAと同様のゲルからの抗DLST抗体を用いたウエスタンブロットを示す。
【図2】ピロリン酸を用いなかった以外は図1と同様に行ったPCPの精製を示す。図2AはSDS−PAGE後のゲルをクーマシーブルーにより染色したものを示す。図2BはAと同様のゲルからの抗DLST抗体を用いたウエスタンブロットを示す。
【図3】アミノ酸配列決定のためのサンプルを取得するための、PCPのさらなる分離を示す図である。図3AはSDS−PAGE後のゲルをクーマシーブルーにより染色したものを示す。図3BはAのゲルからの抽出したサンプルについての抗DLST抗体を用いたウエスタンブロットを示す。
【図4−1】ラット筋肉由来のPCP cDNAの塩基配列およびアミノ酸配列を示す。下線はアミノ酸シーケンシングにより特定された配列を示す。
【図4−2】ラット筋肉由来のPCP cDNAの塩基配列およびアミノ酸配列を示す。下線はアミノ酸シーケンシングにより特定された配列を示す。
【図5A】DLST遺伝子およびmRNAの構造を示す模式図である。
【図5B】PCP mRNAの構造を示す模式図である。
【図6】ラット下肢筋組織切片についての、DLST(PCP)とリアノジン受容体(上段パネル)およびα−アクチニン(下段パネル)の二重染色像を示す。
【図7A】ラットPCPポリペプチドの凝集性解析を示す図である。
【図7B】ヒトPCPポリペプチドの凝集性解析を示す図である。
【図8】ラット筋原線維抽出物についての、抗DLST抗体を用いたウエスタンブロットを示す。
【図9−1】ラット筋肉由来のPCP−2 cDNAの塩基配列およびアミノ酸配列を示す。
【図9−2】ラット筋肉由来のPCP−2 cDNAの塩基配列およびアミノ酸配列を示す。
【図10−1】ヒト筋肉由来のPCP−2 cDNAの塩基配列およびアミノ酸配列を示す。
【図10−2】ヒト筋肉由来のPCP−2 cDNAの塩基配列およびアミノ酸配列を示す。
【図11】PCP−2 mRNAの構造を示す模式図である。
【図12】cDNAライブラリーにおけるPCPの特異的検出を表す電気泳動像である。
【図13】cDNAライブラリーにおけるPCP−2の特異的検出を表す電気泳動像である。
【図14】ヒトトータルRNAにおけるPCPおよびPCP−2の特異的検出を表す電気泳動像である。
【配列表フリーテキスト】
【0097】
配列番号9〜27:プライマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチド:
(a) 配列番号2または4のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b) 配列番号2または4のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c) 配列番号2または4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失または付加を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項2】
以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチド:
(a) 配列番号6または8のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b) 配列番号6または8のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c) 配列番号6または8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸の置換、欠失または付加を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項3】
筋肉組織由来である、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
哺乳動物由来である、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
哺乳動物がラットである、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
哺乳動物がヒトである、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項7】
以下の(a)〜(c)のいずれかのDNA:
(a) 配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列からなるDNA、
(b) 配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなるDNA、
(c) 配列番号1の塩基配列の489−1298位の塩基配列において、1もしくは数個のヌクレオチドの置換、欠失または付加を含む塩基配列からなるDNA。
【請求項8】
以下の(a)〜(c)のいずれかのDNA:
(a) 配列番号3の塩基配列の521−1330位の塩基配列からなるDNA、
(b) 配列番号3の塩基配列の521−1330位の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなるDNA、
(c) 配列番号3の塩基配列の521−1330位の塩基配列において、1もしくは数個のヌクレオチドの置換、欠失または付加を含む塩基配列からなるDNA。
【請求項9】
以下の(a)〜(c)のいずれかのDNA:
(a) 配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列からなるDNA、
(b) 配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなるDNA、
(c) 配列番号5の塩基配列の196−1242位の塩基配列において、1もしくは数個のヌクレオチドの置換、欠失または付加を含む塩基配列からなるDNA。
【請求項10】
以下の(a)〜(c)のいずれかのDNA:
(a) 配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列からなるDNA、
(b) 配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列と少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなるDNA、
(c) 配列番号7の塩基配列の179−1225位の塩基配列において、1もしくは数個のヌクレオチドの置換、欠失または付加を含む塩基配列からなるDNA。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項に記載のDNAを含むベクター。
【請求項12】
請求項7〜10のいずれか1項に記載のDNAを含む形質転換宿主細胞。
【請求項13】
以下のステップ:
(i) 哺乳動物筋肉組織から筋原線維を調製し、これをピロリン酸を含有する溶液中でインキュベートするステップ、
(ii) (i)の可溶性画分から、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドを回収するステップ、
を含む、筋肉組織から該ポリペプチドを取得する方法。
【請求項14】
ピロリン酸の濃度が15mM〜50mMである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
以下のステップ:
(i) 請求項12に記載の形質転換宿主細胞を培地中で培養するステップ、
(ii) 該宿主細胞または培地から、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドを回収するステップ
を含む、該ポリペプチドの製造方法。
【請求項16】
配列番号18〜25の塩基配列を有するプライマーのうち1つ以上を用いる、配列番号1、3、5または7の塩基配列を有するDNAの検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−263976(P2008−263976A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84516(P2008−84516)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(505425328)国立大学法人鹿屋体育大学 (9)
【Fターム(参考)】