説明

筐体の結合装置及び該装置を用いた情報端末

【課題】携帯電話のような携帯端末において、表示器側筐体を操作キー側筐体からスライド及び回転させることができる簡素な構造の筐体の結合装置を提供する。
【解決手段】2つの筐体1,2を上下にスライド及びT字状迄回転させることが可能な筐体の結合装置10を、ピン13と回転軸14を備えて筐体1に取り付ける第1結合プレート11と、第1結合プレート11の回転軸14に取り付けられるスライド板20を摺動自在に保持する2本の平行なスライドレール21,22と、一方のスライドレール22の外側に位置して2つの筐体1,2のスライド動作及び回転動作時に第1結合プレートのピン13をガイドするガイド溝23を備えて筐体2に取り付ける第2係合部材12とから構成し、ピン13の位置が、2つの筐体1,2が重ねられた状態、及びT字状になった状態の両方において、ガイド溝23の同じ位置になるように、ピン13とガイド溝23を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は筐体の結合装置及び該装置を用いた情報端末に関し、特に、第1の筐体に対して第2の筐体が、スライド或いは回転可能に取り付けられている筐体の結合装置及び該装置を用いた情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータを内蔵する通信装置である情報端末の小型化が進み、携帯電話やPHS電話機等の情報端末を手軽に所持することができるようになった。このような情報端末である携帯電話の初期のものは縦長の一体形状であった。このような携帯電話には、筐体の最上部に受話部があり、その下側に情報のディスプレイがあり、筐体の中央部から下の部分にダイヤルボタンやその他の機能ボタンからなる入力操作部があって、最下部にマイクロフォンが内蔵された送話部が設けられていた。
【0003】
その後、携帯電話の筐体を受話部側と送話部側の2つに分割し、受話部側と送話部側をヒンジ機構で接続して折り畳める形状が主流となった。これは、折り畳める形状の携帯電話は、不使用時には受話部側と送話部側が重ね合わされてコンパクトになるので、持ち運びに便利であるからである。
【0004】
更に近年、情報端末である携帯電話がインターネットに接続できるようになり、ホームページのような画像情報をディスプレイに表示したり、また、ワンセグ放送を受信してテレビ画面をディスプレイに表示することが頻繁に行われるようになった。このような画像情報を見る時には、ディスクプレイを横向きにした方が利便性が増す。このため、通話時には送話部側に対して受話部側をスライドさせて携帯電話を縦長の形状にし、画像情報を見る時には送話部側に対して受話部側を回転させ、かつその全体形状をT字状とする携帯電話が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
ところが、特許文献1〜3に記載の携帯電話では、全体形状をT字状にするためにまず下筐体に対して上筐体をスライドさせ、その後に、上筐体を下筐体に対して90°回転させたL字状の中間形態を経て、上筐体を長手方向にスライドさせてT字状にしていた。即ち、2つの筐体が重なっている状態から全体形状をT字状にするためには、2段階の作業を行わなければならず、操作性が悪かった。
【0006】
そこで、本件出願人は特願2008−105348において、2つの筐体が重なっている状態から、全体形状をT字状にするための操作性を良好にすることが可能な情報端末を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−49294号公報(図1)
【特許文献2】特開2007−71283号公報(図1、図3、図4)
【特許文献3】特開2005−109971号公報(図1〜図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本件出願人が特願2008−105348において提案した情報端末は、並進スライドと回転の双方を複合的に作用させることにより、2つの筐体が重なっている状態から全体形状をT字状にするための操作性を良好にすることが可能となった。しかしながら、この情報端末は、第1の筐体と第2の筐体の相対姿勢を定める係合溝とピンの位置が情報端末の中央部にあるために、係合溝とピンの位置を避けて第1の筐体と第2の筐体との間の信号をやり取りするための配線をしなければならず、配線が困難であった。特に、情報端末の防水機能を実現するためには、信号線間に隙間が存在しないフラットなフレキシブルケーブルが使用できる機構が望ましいが、フレキシブルケーブルの配線が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この出願の筐体の結合装置は、第1の筐体に対して、第2の筐体をスライドさせる、或いは第2の筐体を回転させて全体をT字状とすることが可能な2つの筐体の結合装置であって、第2の筐体の第1の筐体対向面に取付可能であり、この面の一方の長手方向端部に沿う第1のスライドレール、及び他方の長手方向端部から所定距離内側にオフセットされて第1のレールに平行な第2のスライドレールと、2本のスライドレール間をスライド可能であり、第2のスライドレールに近い位置に回転軸を有し、この回転軸が第1の筐体の第2の筐体対抗面を長手方向に二分する中心線上に取り付けられる中間部材と、第1の筐体の第2の筐体対向面に設置可能であり、第1の筐体に第2の筐体が重ねられた状態において、第2のスライドレールの外側に位置する係合突起と、第2の筐体側の第2のスライドレールの外側の位置に設けられ、係合突起が挿入された状態で、第1の筐体に対して第2の筐体がスライド又は回転させられた時に、係合突起を摺動させるガイド部材とを備え、係合突起とガイド部材は、第1の筐体に第2の筐体が重ねられた状態、及びT字状になった状態の両方において、係合突起がガイド部材の同じ部位に位置するように設けたことを特徴とする筐体の結合装置である。
【0010】
また、この出願の情報端末は、操作部が設けられた送話器側筐体に対して、表示部が設けられた受話器側筐体をスライドさせる、或いは受話器側筐体を回転させて全体をT字状とすることが可能な2つの筐体の結合装置を用いた情報端末であって、受話器側筐体の送話器側筐体対向面に取付可能であり、この面の一方の長手方向端部に沿う第1のスライドレール、及び他方の長手方向端部から所定距離内側にオフセットされて第1のレールに平行な第2のスライドレールと、2本のスライドレール間をスライド可能であり、第2のスライドレールに近い位置に回転軸を有し、この回転軸が送話器側筐体の受話器側筐体対抗面を長手方向に二分する中心線上に取り付けられる中間部材と、送話器側筐体に受話器側筐体が重ねられた状態において、送話器側筐体側の受話器側筐体対向面の第2のスライドレールの外側の位置に突設された係合突起と、受話器側筐体側の第2のスライドレールの外側の位置に設けられ、係合突起が挿入された状態で、送話器側筐体に対して受話器側筐体がスライド又は回転させられた時に、係合突起を摺動させるガイド部材とを備え、係合突起とガイド部材は、送話器側筐体に受話器側筐体が重ねられた状態、及びT字状になった状態の両方において、係合突起がガイド部材の同じ部位に位置するように設けたことを特徴とする筐体の結合装置を使用した情報端末である。
【0011】
本出願によれば、2つの筐体が重なっている状態から全体形状をT字状にするための操作性を良好にすることが可能であると共に、第1の筐体と第2の筐体との間の信号をやり取りするためのフレキシブルケーブルの配線が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)はピンが突設された第1の筐体に、ピンの対応位置に係合孔が設けられた第2の筐体を重ね合わせる様子を示す組立斜視図、(b)は(a)のようにして第1の筐体上に第2の筐体が重ね合わされた状態を示す平面図、(c)はピンが突設された第1の筐体に、(a)に示した第2の筐体を右回りに90度回転させて係合孔にピンを挿入して重ね合わせる様子を示す組立斜視図、(d)は(c)のようにして第1の筐体上に第2の筐体を重ね合わせて平面視T字状にした状態を示す平面図である。
【図2】本出願の筐体の結合装置の一実施例の構成を、2つの筐体と共に示す組立斜視図である。
【図3】(a)は図2に示した第1の筐体結合プレートから第2筐体結合フレーム迄を組み立てた状態を示す斜視図、(b)は(a)の平面図、(c)は(b)の要部拡大図である。
【図4】(a)は本出願の筐体の結合装置を用いて第1と第2の筐体を結合して重ね合わせた状態において、ピンを付勢して姿勢を保持する構成を説明する平面図、(b)は本出願の筐体の結合装置を用いて第1と第2の筐体を結合して重ね合わせた後に、第1の筐体を第2の筐体に対して90度回転させてT字状にした状態において、ピンを付勢して姿勢を保持する構成を説明する平面図である。
【図5】図2に示した本出願の筐体の結合装置を先に組み立て、これに2つの筐体を取り付ける様子を示す組立斜視図である。
【図6】(a)は図4に示した筐体の結合装置を用いて第1と第2の筐体を結合した状態を示す平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の状態から第1の筐体を第2の筐体に対して右回りに回転させた状態を示す平面図、(d)は(c)の状態から第1の筐体を第2の筐体に対して更に右回りに回転させて(a)の状態から90度回転させた状態を示す平面図、(e)は(d)の側面図である。
【図7】(a)は本出願の筐体の結合装置を用いて携帯電話の送話器側の筐体と受話器側の筐体を結合して重ね合わせた状態を示す平面図、(b)は(a)の状態から受話器側の筐体を送話器側の筐体に対して上側にスライドさせた状態を示す平面図、(c)は(a)の状態から受話器側の筐体を送話器側の筐体に対して右回りに90度回転させた状態を示す平面図、(d)は(c)の状態から受話器側の筐体を送話器側の筐体に対して右方向にスライドさせた状態を示す平面図である。
【図8】(a)は本出願の回転軸に開けられた貫通孔に第1の筐体と第2の筐体を電気的に接続するフレキシブルケーブルを挿通した状態を示す部分拡大平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は本出願の回転軸に開けられた貫通孔に第1の筐体と第2の筐体を電気的に接続するフレキシブルケーブルを挿通した状態で、第2の筐体が第1の筐体に対して90度回転させられた時のフレキシブルケーブルの動きを示す部分拡大平面図、(d)は(c)の側面図である。
【図9】(a)は本出願の回転軸に開けられた貫通孔に第1の筐体と第2の筐体を電気的に接続するフレキシブルケーブルを弛ませた状態で挿通した状態を示す部分拡大平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の状態から第2の筐体が第1の筐体に対して上方にスライドさせられた時のフレキシブルケーブルの動きを示す部分拡大平面図、(d)は(c)の側面図、(e)は本出願の回転軸に開けられた貫通孔に第1の筐体と第2の筐体を電気的に接続するフレキシブルケーブルを挿通した状態で、第2の筐体が第1の筐体に対して90度回転させられた時のフレキシブルケーブルの動きを示す部分拡大平面図、(f)は(e)の側面図である。
【図10】(a)は図3に示した筐体の結合装置をこの向きにして第1の筐体である送話器側筐体に取り付け、その上に第2の筐体である受話器側筐体を取り付けて携帯電話の一実施例を組み立てる様子を示す組立斜視図、(b)は図3に示した筐体の結合装置を上下逆向きにすると共に中間部材を上側に移動させた状態で第1の筐体である送話器側筐体に取り付け、その上に第2の筐体である受話器側筐体を取り付けて携帯電話の他の実施例を組み立てる様子を示す組立斜視図。
【図11】(a)は図10(b)に示した筐体の結合装置を用いて携帯電話の送話器側の筐体と受話器側の筐体を結合して重ね合わせた状態を示す平面図、(b)は(a)の状態から受話器側の筐体を送話器側の筐体に対して上側にスライドさせた状態を示す平面図、(c)は(b)の状態から受話器側の筐体を送話器側の筐体に対して右回りに90度回転させた状態を示す平面図、(d)は(c)の状態から受話器側の筐体を送話器側の筐体に対して左方向にスライドさせた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を用いて本出願の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明するが、同じ構成部材については同じ符号を付して説明する。
【0014】
本件出願人が特願2008−105348において提案した情報端末では、第2の筐体の第1の筐体に対する移動ガイドとして第1の筐体に設けたピンが第1の筐体を長手方向に二分する中心線上にあった。このため、2つの筐体が重なっている状態と、2つの筐体をT字状に変形した状態とでは、第1の筐体に設けたピンの、第2の筐体に設けたピンのガイド溝における位置が異なっており、ガイド溝の形状が複雑になっていた。
【0015】
この課題に対して、本件出願人は、第1の筐体に設けるピンの位置の見直しを行った。そして、図1(a)〜(d)に示すように、第1の筐体1に設けるピン3の位置を、第1の筐体1を長手方向に二分する中心線上から外した所定位置に定めた。この結果、第2の筐体2に貫通孔4を1つ設けるだけで、2つの筐体1,2が重なっている状態(図1(a)、(b))と、2つの筐体1,2をT字状に変形した状態(図1(c)、(d))とで、貫通孔4の位置をピン3の位置に一致させることができた。
【0016】
即ち、第1の筐体1に設けるピン3の位置を、第1の筐体1の中心線を外した所定位置にすれば、2つの筐体1,2が重なっている状態とT字状に変形した状態とで、第2の筐体に設けたガイド溝におけるピン3の位置を同じにすることができることが分かった。本出願はこの着想に基づいてなされたものである。
【0017】
図2は、本出願の筐体の結合装置10の一実施例の構成を、2つの筐体1,2と共に示すものである。本出願の筐体の結合装置10は、第1の筐体1に対して第2の筐体2をスライドさせる、或いは第1の筐体1に対して第2の筐体2を回転させて全体をT字状とすることを可能にするものである。この実施例の筐体の結合装置10は、第1の筐体1に取り付けられる第1筐体結合プレート11と、第2の筐体2に取り付けられる第2筐体結合フレーム12とを含んで構成されている。
【0018】
第1筐体結合プレート11は、第1の筐体1に設けられた凹部6にはめ込まれるようになっており、プレート上には端部にピン13が突設されており、中央部に中空回転軸14が設けられている。中空回転軸14は貫通孔15を備えた回転軸である。
【0019】
第2筐体結合フレーム12には、2本の平行な縦フレーム12A,12B及び縦フレーム12A,12Bの両端部をそれぞれ連結する横フレーム12C,12Dがある。また、縦フレーム12A,12Bの対向する内周面には第1のスライドレール21と第2のスライドレール22とが形成されており、これらスライドレール21,22に、中間部材であるスライドプレート20が摺動自在に保持される。スライドプレート20は、フレーム12A〜12Dで囲まれる移動スペース25内を移動することができる。更に、第2筐体結合フレーム12の上面には、ビーム31を備えたフレームカバー30が取り付けられる。第2の筐体2はフレームカバー30の上に取り付けられる。
【0020】
縦フレーム12Aの横幅は小さいが、縦フレーム12Bの横幅は大きく、幅広の縦フレーム12Bに、後に詳述するピン係合溝23、カムプレート26、プッシュプレート28、及び圧縮コイルバネ29が設けられる。この図では、構成を明らかにするためにカムプレート26は縦フレーム12Bの上面に置かれているように描かれているが、実際には後述するように、カムプレート26は縦フレーム12Bの上面に設けられた凹部内に取り付けられる。なお、カムプレート26はフレームカバー30の肉厚内であれば、縦フレーム12Bの上面に置くことは可能である。
【0021】
また、スライドプレート20には第1筐体結合プレート11に設けられた中空回転軸14を取り付けるための回転軸取付孔24が開いている。回転軸取付孔24はスライドプレート20の中央部にはなく、第2のスライドレール22側にオフセットされて設けられている。これは、第2のスライドレール22が第2筐体結合フレーム12の端部からオフセットされた位置にあるためであり、スライドプレート20がスライドレール21,22に保持された状態で、回転軸取付孔24は第2筐体結合フレーム12の中心線上に位置するようになる。
【0022】
第1筐体結合プレート11の中空回転軸14にスライドプレート20が固着され、スライドプレート20が第1と第2のスライドレール21,22に保持されると、第1筐体結合プレート11のピン13がピン係合溝23の第1のスライド溝23A内に挿入される。ピン係合溝23はピン13をガイドするガイド部材である。なお、この実施例では、ピン13と中空回転軸14が第1筐体結合プレート11の上に設けられているが、ピン13は直接第1の筐体1に突設し、中空回転軸14はスライドプレート20に固着してこれを第1の筐体1に取り付けるようにすることも可能である。この場合には、第1筐体結合プレート11は不要となる。
【0023】
図3(a)、(b)は、図2に示した第1の筐体結合プレート11から第2筐体結合フレーム12迄を組み立てた状態を示すものであり、(a)が斜視図、(b)が平面図を示している。また、図3(c)はカムプレート26の部分を拡大して示してある。この図では、スライドプレート20が移動スペース25の最上部に位置しており、この状態で、ピン13が第1のスライド溝23Aの上端部に位置している。
【0024】
前述のように、縦フレーム12Bのカムプレート26の周囲には凹部12Eが設けられており、カムプレート26はこの凹部12E内に回転軸27によって回動可能に取り付けられている。カムプレート26の上面は縦フレーム12Bの上面に面一となっている。縦フレーム12Bの凹部12Eに隣接する部分にはプッシュプレート28の移動用溝28Aがあり、この移動用溝28Aに隣接して圧縮コイルバネ29の収容溝29Aがある。プッシュプレート28は移動用溝28A内を往復動可能であるが、通常は圧縮コイルバネ29に付勢されてその先端部がカムプレート26を付勢している。
【0025】
ピン係合溝23は図3(b)に示されるように、第1のスライド溝23Aと第2のスライド溝23Bとから構成される。第1のスライド溝23Aは第1、第2のスライドレール21,22に平行であり、第2のスライド溝23Bは第1のスライド溝23Aに対して交差しており、第2のスライド溝23Bの端部は第1のスライド溝23Aの端部に連通している。スライドプレート20が移動スペース25の最上部に位置している状態では、ピン13は、第1のスライド溝23Aと第2のスライド溝23Bの交差部に位置している。そして、この状態では、カムプレート26が圧縮コイルバネ19に付勢されて図3(c)に矢印で示す方向に回転力を与えられており、カムプレート26のカム面がピン13を付勢してその移動を抑えている。
【0026】
ただし、ピン13に大きな力が加えられてピン13が第1のスライド溝23Aの方向に移動する時、或いは第2のスライド溝23Bの方向に移動する時は、カムプレート26は回転軸27を中心にして回転し、ピン13をその方向に移動させるようになっている。スライドプレート20の下端部には2箇所のスライドアシストバネ取付部33,34があり、ここにトーションバネであるスライドアシストバネ32が取り付けられる。スライドアシストバネ32の自由端は第2のスライドレール22に平行な方向に伸びている。スライドアシストバネ32の自由端は、後述するフレームカバー30のビーム31に取り付けられる。
【0027】
この実施例では縦フレーム12Aの幅が狭く、縦フレーム12Bの幅が広くなっていて、第2のスライドレール22が第2筐体結合プレート12の右側の端部から内側にオフセットされている。一方、縦フレーム12Aの幅を広く、縦フレーム12Bの幅を狭くして、第1のスライドレール21を第2筐体結合プレート12の左側の端部から内側にオフセットすることもできる。この場合には、ピン13、ピン係合溝23(第1のスライド溝23Aと第2のスライド溝23B)を設ける位置を、図3に示した位置と線対称の位置にすれば良く、第1の筐体1に対する第2の筐体2の回転方向も逆の左回転になる。
【0028】
図4(a)、(b)は、圧縮コイルバネ19とカムプレート26の動作を説明するものである。図4(a)は第1の筐体1と第2の筐体2が重なった状態(第1の姿勢)を示しており、図4(b)は、第1の筐体1に対して第2の筐体2が90度回転した時の状態(第2の姿勢)を示している。図4では、図3で説明した筐体の結合装置10の構成部材の、主要な構成部材のみが破線で示してある。ここでは、図3で説明した構成部材と同じ構成部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0029】
図4(a)に示すように、カムプレート26は圧縮コイルバネ19に付勢されてピン13を矢印方向に付勢し、ピン13に姿勢保持力を与えるものである。圧縮コイルバネ19とカムプレート26の設置位置は、この図4(a)に示す位置でも構わない。また、図4(b)に示す第2の姿勢では、ピン係合溝23に対するピン13の位置は、第1の姿勢の時と同じであるので、カムプレート26のピン13に対する付勢方向は同じである。このように、筐体の結合装置10に設けられた姿勢保持機構(圧縮コイルバネ19とカムプレート26)により、筐体の結合装置10によって結合された第1と第2の筐体1,2は、第1の姿勢と第2の姿勢を保持する。
【0030】
筐体の結合装置10に設けられた圧縮コイルバネ19とカムプレート26は、スライドプレート20に設けられた中空回転軸14と重ならない位置にあるので、全体の機構を薄くすることができる。また、圧縮コイルバネ19の代わりに磁石等の付勢手段を用いることも可能である。
【0031】
図5は、図2に示した本出願の筐体の結合装置10を先に組み立て、これに2つの筐体1,2を取り付ける様子を示すものである。第1の筐体1の上面に設けられた凹部5に筐体の結合装置10の第1筐体結合プレート11が取り付けられ、第2の筐体2の下面が筐体の結合装置10のフレームカバー30に取り付けられる。この図に示されるように、スライドアシストバネ32の自由端は、後述するフレームカバー30のビーム31に取り付けられている。また、この図には、後述する第1の筐体1と第2の筐体2との間の信号のやり取りを行うフレキシブルケーブル40が図示されている。フレキシブルケーブル40は、筐体の結合装置10の中空回転軸14に設けられた貫通孔15を通って配線される。その他の部材の構成は図3において説明したので、これ以上の説明を省略する。
【0032】
図6(a)から(e)は、図4に示すように第1の筐体1と第2の筐体2とを筐体の結合装置10で結合した時の、第1の筐体1に対する第2の筐体2の動作を説明するものである。図6(a)は、図4に示した筐体の結合装置10を用いて第1の筐体1と第2の筐体2を重ね合わせた状態(第1の姿勢)を示すものであり、図6(b)は図6(a)の状態を側面から見たものである。なお、図5(a)から(e)には、図4に示した筐体の結合装置10の主要な構成部材のみが示してあり、細かい部品については図示を省略してある。
【0033】
図6(a)、(b)に示す第1の姿勢では、スライドプレート20が第1と第2のスライドレール21,22の最上部に位置している。また、ピン13は、第1のスライド溝23Aと第2のスライド溝23Bの交差部に位置している。
【0034】
そして、図6(a)、(b)に示す第1の姿勢から、第1の筐体1に対して第2の筐体2を右回りに回転させると、スライドプレート20が回転すると共に、スライドプレート20は第1と第2のスライドレール21,22に対して相対的に移動し、第1と第2のスライドレール21,22の最上部の位置から下方に移動する。即ち、スライドプレート20は見掛け上、第1と第2のスライドレール21,22の上をスライドして移動する。この時、ピン13は第2のスライド溝23B内を、第1のスライド溝23Aとの交差部から離れる方向に移動する。
【0035】
図6(c)に示すように、第1の筐体1に対して第2の筐体2を45度回転させた時に、ピン13は第2のスライド溝23Bの端部に達する。また、第1の筐体1に対して第2の筐体2を45度を越えて回転させると、ピン13は第2のスライド溝23B内を第1のスライド溝23Aとの交差部に向かう。この間、スライドプレート20は第1と第2のスライドレール21,22に対して移動を続ける。そして、図6(d)、(e)に示すように、第1の筐体1に対して第2の筐体2が90度回転して全体がT字状になった状態(第2の姿勢)では、ピン13は第2のスライド溝23Bの第1のスライド溝23Aとの交差部に戻る。第2の姿勢では、スライドプレート20は第1と第2のスライドレール21,22の中央部に位置する。
【0036】
このように、第1と第2の筐体1,2を、第1の姿勢から第2の姿勢にする段階で、ピン13は第2のスライド溝23B内を往復動して元の位置に戻る。この結果、第2のスライド溝23Bの全長を短くすることができ、これに伴って機構の剛性を向上させることができる。また、ピン係合溝23の形状をシンプルにできるので、結合装置を防水する場合の構造が簡素になり、装置の防水を容易にすることができる。
【0037】
第2の姿勢から、第1の姿勢に戻す場合は、第1の姿勢から第2の姿勢に移行させる動作と全く逆の動作になる。即ち、第2の姿勢から第1の姿勢に戻す場合は、スライドプレート20が第1と第2のスライドレール21,22の中央部から最上部に戻り、ピン13が第1と第2スライド溝23A、23Bの交差部と第2のスライド溝23Bの先端部の間を往復動する。
【0038】
図7(a)から(d)は、本出願の筐体の結合装置10を携帯電話50に適用した実施例を示すものである。携帯電話50では、図7(b)に示すように、第1の筐体が操作ボタン53を備えた送話器側の筐体51であり、第2の筐体がディスプレイ54を備えた受話器側の筐体52である。なお、図7(a)から(d)においても、図3で説明した筐体の結合装置10の主要な構成部材のみが破線で示してあり、同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図7(a)は携帯電話50の第1の姿勢を示すものである。第1の姿勢では、送話器側の筐体51と受話器側の筐体52とが重なっており、送話器側の筐体51に固着されたピン13は第1のスライド溝23Aと第2のスライド溝23Bの交差部にある。図7(b)は(a)に示した第1の姿勢から、受話器側の筐体52を送話器側の筐体51に対して上方にスライドさせた状態(第3の姿勢)を示すものである。第1の姿勢から第3の姿勢に移行する場合は、ピン13が、受話器側の筐体52に設けられた第1のスライド溝23Aの中を、第1のスライド溝23Aの端部側に相対的に移動する。第3の姿勢から前述の第2の姿勢への移行は直接行うことができない。
【0040】
図7(c)は(a)に示した第1の姿勢から第2の姿勢に移行させた状態を示すものである。第1の姿勢から第2の姿勢に移行させる場合は、送話器側の筐体51に対して受話器側の筐体52を右方向に回転させる。この回転動作では、送話器側の筐体51に固着されたピン13が、移行途中で受話器側の筐体52に設けられた第2のスライド溝23Bの中を相対的に往復動し、第2の姿勢になった時に第1と第2のスライド溝23A、23Bの交差部に戻る。
【0041】
図7(d)は(c)に示した第2の姿勢から、受話器側の筐体52を送話器側の筐体51に対して右方向にスライドさせて全体形状をL字状にした状態(第4の姿勢)を示すものである。第2の姿勢から第4の姿勢に移行させる場合は、送話器側の筐体51に固着されたピン13が、受話器側の筐体52に設けられた第1のスライド溝23Aの中を、第1のスライド溝23Aの端部側に相対的に移動する。このように、図3に示した筐体の結合装置10を使用した携帯電話50では、第1〜第4の4つの姿勢をとることができる。
【0042】
次に、以上説明した本出願の筐体の結合装置10では、結合する第1と第2の筐体1,2の間で信号をやり取りするフレキシブルなフラットケーブル(フレキシブルケーブル)の配線が容易に行えることについて説明する。本出願の筐体の結合装置10では、図2から図5で説明したように、第1の筐体と第2の筐体を回転させるための回転軸が中空回転軸14であり、貫通孔15を備えている。従って、図8(a)、(b)に示すように、フレキシブルケーブル40をこの貫通孔15を通すことができる。この場合、フレキシブルケーブル40は、第1と第2の筐体の途中で折り曲げ、折り曲げ部41が中空回転軸14の貫通孔15の中心部に来るようにする。
【0043】
そして、第1と第2の筐体を第1の姿勢から第2の姿勢に移行させた場合、図8(c)、(d)に示すように、第2の筐体側のフレキシブルケーブル40が矢印で示す方向に回転動作を行う。この場合、フレキシブルケーブル40の折り曲げ部41が、中空回転軸14の貫通孔15の中心部において斜めに折り曲げられるので、フレキシブルケーブル40は、第2の筐体の姿勢変化に対応することができる。即ち、第2の筐体が回転しても、フレキシブルケーブル40に撓みや張りが発生しずらく、フレキシブルケーブル40の動きも非常に少なくて済む。また、中空回転軸14の厚みがフレキシブルケーブル40の折畳みスペースとして利用できるので実装効率が高い。
【0044】
更に、フレキシブルケーブル40は、図9(a)、(b)に示すように折り曲げ部41から所定距離だけ隔たった部位において、固定部42,43によって第1の筐体と第2の筐体に固定される。そして、第2の筐体側のフレキシブルケーブル40は、固定部43において折り返されると共に、弛ませた状で更に折り返し部44において折り返される。折り返し部44は、フレキシブルケーブル40の移動によってその位置を変えることができる。
【0045】
そして、第1と第2の筐体が第1の姿勢から第3の姿勢に移行された場合、図9(c)、(d)に示すように、第2の筐体側のフレキシブルケーブル40は、矢印で示す方向に押し上げられる。この場合、フレキシブルケーブル40の折り返し部44が上方に移動するので、フレキシブルケーブル40は、第2の筐体の姿勢変化に対応することができる。
【0046】
同様に、第1と第2の筐体を第1の姿勢から第2の姿勢に移行させた場合、図9(e)、(f)に示すように、第2の筐体側のフレキシブルケーブル40が矢印で示す方向に回転動作を行う。この場合、フレキシブルケーブル40の折り曲げ部41が、中空回転軸14の貫通孔15の中心部において斜めに折り曲げられるので、フレキシブルケーブル40を、第2の筐体の姿勢変化に対応させることができる。
【0047】
図10(a)は、図3に示した筐体の結合装置10をこの向きのままで、図7(a)に示した携帯電話50を組み立てる様子を示すものである。携帯電話50は、筐体の結合装置10の第1筐体結合プレート11を第1の筐体である送話器側筐体51の凹部56に取り付け、その上に第2の筐体である受話器側筐体52を取り付けて構成される。これに対して、図10(b)に示すように、図3に示した筐体の結合装置10を、その上下を逆にすると共に、スライドプレート20を第1のスライド溝23Aの端部側に移動させた状態で使用した携帯電話60が可能である。携帯電話60は、筐体の結合装置10の第1筐体結合プレート11を第1の筐体である送話器側筐体51の凹部56に取り付け、その上に第2の筐体である受話器側筐体52を取り付けて構成される。
【0048】
図11(a)から(d)は、図10(b)に示した筐体の結合装置10を使用して組み立てた他の実施例の携帯電話60を示すものである。携帯電話60では、図11(b)に示すように、第1の筐体が操作ボタン53を備えた送話器側の筐体51であり、第2の筐体がディスプレイ54を備えた受話器側の筐体52である。なお、図11(a)から(d)においても、図3で説明した筐体の結合装置10の主要な構成部材のみが破線で示してあり、同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0049】
図11(a)は携帯電話60の第1の姿勢を示すものである。第1の姿勢では、送話器側の筐体51と受話器側の筐体52とが重なっており、送話器側の筐体51に固着されたピン13は第1のスライド溝23Aの端部にある。図11(b)は(a)に示した第1の姿勢から、受話器側の筐体52を送話器側の筐体51に対して上側にスライドさせた状態(第3の姿勢)を示すものである。第1の姿勢から第3の姿勢に移行する場合は、ピン13が、受話器側の筐体52に設けられた第1のスライド溝23Aの中を、第2のスライド溝23Bとの交差部側に相対的に移動する。
【0050】
図11(c)は(b)に示した第3の姿勢から第2の姿勢に移行させた状態を示すものである。第3の姿勢から第2の姿勢に移行させる場合は、送話器側の筐体51に対して受話器側の筐体52を右方向に回転させる。この回転動作では、送話器側の筐体51に固着されたピン13が、移行途中で受話器側の筐体52に設けられた第2のスライド溝23Bの中を相対的に往復動し、第2の姿勢になった時に第1と第2のスライド溝23A、23Bの交差部に戻る。第1の姿勢から第2の姿勢への移行は直接行うことができない。
【0051】
図11(d)は(c)に示した第2の姿勢から、受話器側の筐体52を送話器側の筐体51に対して左方向にスライドさせて全体形状をL字状にした状態(第4の姿勢)を示すものである。第2の姿勢から第4の姿勢に移行させる場合は、送話器側の筐体51に固着されたピン13が、受話器側の筐体52に設けられた第1のスライド溝23Aの中を、第2のスライド溝23Bとの交差部側に相対的に移動する。このように、図3に示した筐体の結合装置10を上下逆にして使用した携帯電話60でも、第1〜第4の4つの姿勢をとることができる。
【0052】
以上、本出願を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明した。本出願の容易な理解のために、本出願の具体的な形態を以下に付記する。
【0053】
(付記1) 第1の筐体に対して、第2の筐体をスライドさせる、或いは第2の筐体を回転させて全体をT字状とすることが可能な2つの筐体の結合装置であって、
前記第2の筐体の前記第1の筐体対向面に取付可能であり、前記面の一方の長手方向端部に沿う第1のスライドレール、及び他方の長手方向端部から所定距離内側にオフセットされて前記第1のレールに平行な第2のスライドレールと、
前記2本のスライドレール間をスライド可能であり、前記第2のスライドレールに近い位置に回転軸を有し、この回転軸が前記第1の筐体の前記第2の筐体対抗面を長手方向に二分する中心線上に取り付けられる中間部材と、
前記第1の筐体の前記第2の筐体対向面に設置可能であり、前記第1の筐体に前記第2の筐体が重ねられた状態において、前記第2のスライドレールの外側に位置する係合突起と、
前記第2の筐体側の前記第2のスライドレールの外側の位置に設けられ、前記係合突起が挿入された状態で、前記第1の筐体に対して第2の筐体がスライド又は回転させられた時に、前記係合突起を摺動させるガイド部材とを備え、
前記係合突起と前記ガイド部材は、前記第1の筐体に前記第2の筐体が重ねられた状態、及び前記T字状になった状態の両方において、前記係合突起が前記ガイド部材の同じ部位に位置するように設けたことを特徴とする筐体の結合装置。
(付記2) 前記ガイド部材に、前記スライド方向に延びる第1溝部と、前記スライド方向に交差する方向に前記第1の溝部の端部から外側に延びる第2の溝部とを設け、
前記第1の筐体に対して、前記第2の筐体をスライドさせる状態においては、前記第1の溝部内を前記係合突起が摺動し、
前記第1の筐体に対して、前記第2の筐体を回転させる状態においては、45度回転させるまでの状態で、前記係合突起が前記第2の溝部内をその先端部まで摺動し、45度から90度回転させるまでの状態で、前記係合突起が前記第2の溝部内を前記先端部から前記第1の溝部の端部まで摺動するようにしたことを特徴とする付記1に記載の筐体の結合装置。
(付記3) 前記第1の筐体に対して、前記第2の筐体を右に90度回転させて全体をT字状とした後、更に前記係合突起を前記第1の溝部内を摺動させて全体をL字状とすることができるようにしたことを特徴とする付記2に記載の筐体の結合装置。
(付記4) 前記第2のスライドレールが前記第1の筐体の長手方向の右端部から所定距離内側にオフセットされている場合には、前記第1の筐体に対して前記第2の筐体を右回転させて全体をT字状とし、
前記第2のスライドレールが前記第1の筐体の長手方向の左端部から所定距離内側にオフセットされている場合には、前記第1の筐体に対して前記第2の筐体を左回転させて全体をT字状とすることを特徴とする付記1から3の何れかに記載の筐体の結合装置。
(付記5) 前記ガイド部材に、前記係合突起が前記第2の溝部内にある時に、前記係合突起を前記第1の溝部の端部の方向に付勢する付勢機構を設けたことを特徴とする付記2に記載の筐体の結合装置。
【0054】
(付記6) 前記付勢機構を、前記ガイド部材に回転軸を備え、先端部側に形成されたカムプロフィルが前記係合突起に当接するカムプレートと、このカムプレートを前記圧縮突起方向に付勢する圧縮コイルバネとから構成したことを特徴とする付記5に記載の筐体の結合装置。
(付記7) 前記圧縮コイルバネと前記カムプレートとの間に、前記コイルバネの付勢力を前記カムプレートに伝達するプッシュプレートを設けたことを特徴とする付記6に記載の筐体の結合装置。
(付記8) 前記中間部材と前記第1の筐体との間に、前記中間部材のスライドをアシストする付勢部材を設けたことを特徴とする付記1から7の何れかに記載の筐体の結合装置。
(付記9) 前記付勢部材をトーションバネから構成したことを特徴とする付記8に記載のディスク装置。
(付記10) 前記筐体の結合装置が、前記第1の筐体に取り付けられる第1筐体結合プレートと、前記第2の筐体に取り付けられる第2筐体結合フレームとを備え、
前記第1筐体結合プレートには、前記中間部材に設けられた回転軸の取付部と、前記係合突起とを設け、
前記第2筐体結合フレームには、前記第1と第2のスライドレールと、前記中間部材と、前記ガイド部材とを設けたことを特徴とする付記1から9の何れかに記載の筐体の結合装置。
【0055】
(付記11) 前記第2筐体結合フレームを、前記中間部材のスライド方向に設けられた第1のフレームと、この第1のフレームよりも幅の広い第2のフレームと、前記第1と第2のフレームの両端部で両者を結合する第3と第4のフレームとから構成し、
前記第1と第2のフレームの対向する内面部に前記第1と第2のスライドレールを形成し、
前記第2のフレームに前記第1と第2の溝部、及び前記付勢機構を設けたことを特徴とする付記10に記載の筐体の結合装置。
(付記12) 前記回転軸はその軸心部に貫通孔を有し、この貫通孔に前記第1の筐体と前記第2の筐体の間の信号をやり取りするフラットケーブルを通したことを特徴とする付記1から11の何れかに記載の筐体の結合装置。
(付記13) 前記フラットケーブルは、前記第1と第2の筐体の途中で折り曲げ、この折曲部が前記回転軸の貫通孔の中心部に位置するようにしたことを特徴とする付記12に記載の筐体の結合装置。
(付記14) 前記フラットケーブルは、前記折曲部の両側で、前記折曲部から所定距離だけ離れた部位において配線固定すると共に、前記第2の筐体側の配線固定部と前記フラットケーブルの前記第2の筐体側への接続部の間のフラットケーブルは、ケーブル長に余長を持たせてU字状に折り返し、前記第2の筐体の前記第1の筐体に対するスライド動作に応じて前記折り返し部の位置が変化するようにしたことを特徴とする付記13に記載の筐体の結合装置。
(付記15) 前記第1の筐体が、前記第2の筐体対向面に操作部が設けられた送話器側筐体であり、
前記第2の筐体が、前記第1の筐体対向面と反対側の面に表示部が設けられた受話器側筐体であることを特徴とする付記1から14の何れかに記載の筐体の結合装置を使用した情報端末。
【符号の説明】
【0056】
1 第1の筐体
2 第2の筐体
3 ピン
10 筐体の結合装置
11 第1筐体結合プレート
12 第2筐体結合フレーム
13 ピン
14 中空回転軸
15 貫通孔
20 スライド板(中間部材)
21 第1のスライドレール
22 第2のスライドレール
23 ピン係合溝
23A 第1のスライド溝
23B 第2のスライド溝
24 回転軸取付孔
26 カムプレート
28 プッシュプレート
29 圧縮コイルバネ
30 フレームカバー
32 スライドアシストバネ
40 フレキシブルケーブル
50、60 携帯電話
51 第1の筐体(受話器側筐体)
52 第2の筐体(送話器側筐体)
53 操作ボタン
54 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体に対して、第2の筐体をスライドさせる、或いは第2の筐体を回転させて全体をT字状とすることが可能な2つの筐体の結合装置であって、
前記第2の筐体の前記第1の筐体対向面に取付可能であり、前記面の一方の長手方向端部に沿う第1のスライドレール、及び他方の長手方向端部から所定距離内側にオフセットされて前記第1のレールに平行な第2のスライドレールと、
前記2本のスライドレール間をスライド可能であり、前記第2のスライドレールに近い位置に回転軸を有し、この回転軸が前記第1の筐体の前記第2の筐体対抗面を長手方向に二分する中心線上に取り付けられる中間部材と、
前記第1の筐体の前記第2の筐体対向面に設置可能であり、前記第1の筐体に前記第2の筐体が重ねられた状態において、前記第2のスライドレールの外側に位置する係合突起と、
前記第2の筐体側の前記第2のスライドレールの外側の位置に設けられ、前記係合突起が挿入された状態で、前記第1の筐体に対して第2の筐体がスライド又は回転させられた時に、前記係合突起を摺動させるガイド部材とを備え、
前記係合突起と前記ガイド部材は、前記第1の筐体に前記第2の筐体が重ねられた状態、及び前記T字状になった状態の両方において、前記係合突起が前記ガイド部材の同じ部位に位置するように設けたことを特徴とする筐体の結合装置。
【請求項2】
前記ガイド部材に、前記スライド方向に延びる第1溝部と、前記スライド方向に交差する方向に前記第1の溝部の端部から外側に延びる第2の溝部とを設け、
前記第1の筐体に対して、前記第2の筐体をスライドさせる状態においては、前記第1の溝部内を前記係合突起が摺動し、
前記第1の筐体に対して、前記第2の筐体を回転させる状態においては、45度回転させるまでの状態で、前記係合突起が前記第2の溝部内をその先端部まで摺動し、45度から90度回転させるまでの状態で、前記係合突起が前記第2の溝部内を前記先端部から前記第1の溝部の端部まで摺動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の筐体の結合装置。
【請求項3】
前記ガイド部材に、前記係合突起が前記第2の溝部内にある時に、前記係合突起を前記第1の溝部の端部の方向に付勢する付勢機構を設けたことを特徴とする請求項2に記載の筐体の結合装置。
【請求項4】
前記回転軸はその軸心部に貫通孔を有し、この貫通孔に前記第1の筐体と前記第2の筐体の間の信号をやり取りするフラットケーブルを通したことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の筐体の結合装置。
【請求項5】
前記第1の筐体が、前記第2の筐体対向面に操作部が設けられた送話器側筐体であり、
前記第2の筐体が、前記第1の筐体対向面と反対側の面に表示部が設けられた受話器側筐体であることを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載の筐体の結合装置を使用した情報端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−49956(P2011−49956A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198186(P2009−198186)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】