説明

筐体用シート

【課題】 外力に対する強度が高く、また、保護部材を配置する際の気遣いも不要。
【解決手段】 底板11と;この底板11の平行な一対の第1辺にそれぞれ連結した第一の側板12と;底板11の前記第1辺とは異なる平行な一対の第2辺にそれぞれ連結した第二の側板13と;第一の側板12に連結した天板14と;第二の側板13の両側方に連結し、折り曲げまたは巻き付けにより筒状を形成し、底板に対し略直交するように第一及び第二の側板12、13が折り曲げられたときに生じる筐体の角部に立設状態で位置する角保護体を構成する角保護体用平板20とが一枚のシートにより構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蛍光灯などの装置を梱包する筐体を作成することができる筐体用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の装置を梱包する筐体においては、角部の強度が重要であり、角部に筐体とは別構成の保護部材を配置して、強度の向上及び角部へのダメージからの保護が図られている。
【0003】
上記のような保護部材及び梱包用筐体はダンボールにより構成され、例えば一枚のダンボールを折り畳んで作成するものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、保護部材は梱包用筐体と別部材であるため、筐体角部に適切に位置付ける必要があり、保護部材の向きなどに気を使う必要があった。また、筐体のつま面(側面)に一体化するような特許文献1の如き構成の保護部材では強度が弱く、梱包された装置の十分な保護を図ることができないという問題があった。
【特許文献1】特開2000−103462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような問題を解決せんとしてなされたもので、その目的は、外部からの力に対する強度が高く、また、保護部材を配置する際の気遣いも不要であり、作業効率を高めることが可能な筐体用シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る筐体用シートは、底板と;この底板の平行な一対の第1辺にそれぞれ連結した第一の側板と;底板の前記第1辺とは異なる平行な一対の第2辺にそれぞれ連結した第二の側板と;第一の側板に連結した天板と;第二の側板の両側方に連結し、折り曲げまたは巻き付けにより筒状を形成し、底板に対し略直交するように第一及び第二の側板が折り曲げられたときに生じる筐体の角部に立設状態で位置する角保護体を構成する角保護体用平板とが一枚のシートにより構成されていることを特徴とする。
【0007】
シートは、ダンボールの紙などであり、装置を梱包する筐体を構成するものであれば特に材料に制限はない。角保護体の形状である筒状とは、通常は角柱状であるが、円柱状を含むものとする。
【0008】
本発明に係る筐体用シートでは、角保護体には、筒状に形成された状態において、筒内へ突出して筒壁に当接し形状を維持するための舌片が備えられていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る筐体用シートは、第二の側板における底板側とは逆側の側部に連結し、第二の側板に対し略直交するように折り曲げられることにより、筒状となった角保護体を覆うと共に、角部において第一の側板側の上下方向の力に抗する強度を有する腕部を備える端部被覆板を更に備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る筐体用シートは、筐体の他の部位と共に角保護体を構成する角保護体用平板が一枚のシートにより構成されているため、折り畳みや巻き付けにより角保護体が所定位置に位置付けられることになり、組立て作業が容易になる。また、角保護体が筐体の角部に立設状態で位置するので、天板及び底板側からの力に強く、梱包された装置の保護に好適である。
【0011】
本発明に係る筐体用シートでは、角保護体には、筒状に形成された状態において、筒内へ突出して筒壁に当接し形状を維持するための舌片が備えられているので、角保護体の形状が安定的に維持され、強度が確保される。
【0012】
本発明に係る筐体用シートでは、筒状となった角保護体を覆うと共に、角部において第一の側板側の上下方向の力に抗する強度を有する腕部を備えるので、角保護体の近傍における上下方向の強度向上が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下添付図面を参照して、本発明に係る筐体用シートの実施例を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図1に、筐体用シートの実施例を示す。この筐体用シートはダンボールであって、破線は折位置を示す線であって、この平面状態において全て内折りにて織り込むことにより梱包用の筐体を完成させることができる。破線により囲まれた部分、または破線と実線により囲まれた部分は、板または面である。更に、筐体用シート内に入り込んでいる実線部分は切れている。また、斜線を施して示した長方形は、筐体用シートが存在しない空間である。
【0014】
上記筐体用シートにより作成される筐体には、図4に示す蛍光灯器具50が梱包される。図においては、手前側の半分程度が示されているが、蛍光灯器具50は、長方形状の器具本体51の表面側に断面が台形状を有する反射板52が備えられ、器具本体51の長手方向における端部に近接する位置において、反射板52の底面からソケット53が突出している。ソケット53には、蛍光管54が装着されている。
【0015】
器具本体51の表面終縁部55には、外側に突出したフランジ56が形成されている。器具本体51における短辺側の側面は、上側が側板57により覆われており、下側は開口部58となっている。器具本体51の内部には、図示しない安定器を含む点灯回路が設けられ、蛍光管54の点灯を行うように構成されている。
【0016】
一方、上記蛍光灯器具50を梱包する筐体用シートは、図1に示す如く中央部に、蛍光灯器具50の大きさに相当する長方形状の底板11が備えられている。この底板11の平行な一対の長辺側である第1辺には、それぞれ第一の側板12が連結している。また、底板11の上記第1辺とは異なる平行な一対の短辺側である第2辺には、それぞれ第二の側板13が連結している。
【0017】
上記第一の側板12には、天板14が連結している。また、第二の側板13の両側方には角保護体用平板20が連結している。更に、第二の側板13における底板11側とは逆側の側部には、端部被覆板30が連結している。
【0018】
上記の角保護体用平板20は、図3及び図4に示される角保護体40を構成するため、第1側板21乃至第5側板25である5枚の側板から成り立っている。第1側板21と第2側板22の境界には、上辺からほぼ1/2の高さまで切り込まれており、上側は舌片26が形成されている。
【0019】
また、第4側板24の上からほぼ1/4が全面に亘って切り取られ、第4側板24と接する位置において第3側板23の上からほぼ1/4が幅の1/2に亘って切り取られ、第4側板24と接する位置において第5側板25の上からほぼ1/4が幅の1/2に亘って切り取られている。この切り取られた部分によって、第1側板21乃至第5側板25が四角筒状の角保護体40が構成された際に、断面L状の受部27が形成される。
【0020】
第1側板21乃至第5側板25を図2に示されるようにして折り込んで、構成された四角筒状の角保護体40においては、第2側板22が第二の側板13に接し、第4側板24が筐体の内側に向かって正面を向き、第2側板22と第4側板24との間を第3側板23と第5側板25とが繋ぐようにして図3に示すごとくの四角筒状の角保護体40が形成される。また、第1側板21は、第5側板25に重なった状態となるので、第1側板21の一部である舌片26を筒内方向へ折り込むことにより、舌片26が筒内へ突出して筒壁に当接し形状を維持するように機能する。
【0021】
上記のように構成され筐体の角部に立設された四角筒状の角保護体40に対しては、断面L状の受部27へ、蛍光灯器具50の器具本体51における四隅に近い部分のフランジ56と側板57によって構成される段部が載置され、この段部より下側の側板57と開口部58とが角保護体40の第4側板24に当接する。器具本体51における強度の高い四隅が、このようにして角保護体40に嵌合したような状態となり、強度の小さなつま面(側部)が筐体の側面から離れた位置に配置され、外部からの衝撃が筐体により吸収される。
【0022】
端部被覆板30は、第二の側板13と隣接する上側板31と、この上側板31の両側部に位置する第1腕部構成板32、第2腕部構成板33とから構成されている。最も外側に存在する第2腕部構成板33を第1腕部構成板32との境界線により内側へ折り込み、第2腕部構成板33と第1腕部構成板32を重ねた状態とする。この状態において、上側板31を隣接する第二の側板13との境界線により内側へ折り込むと図5に示される状態が実現される。
【0023】
即ち、上側板31が天井部分にあり、上側板31の両側に重なった状態の第2腕部構成板33と第1腕部構成板32が上側板31と略直交した状態で底板11まで延びて設けられている。この重なった状態の第2腕部構成板33と第1腕部構成板32は、筐体の角部において第一の側板12側の上下方向の力に抗する強度を有する腕部35を構成している。つまり、二枚重ねにより上下方向の力に抗する強度が高くされている。また、端部被覆板30は、筒状となった角保護体40を覆うことにより角保護体40の保護機能も備えている。
【0024】
図5の状態(蛍光灯器具50が入っている状態)において、更に、第一の側板12を底板11との境界線により内側へ折り込み、第一の側板12が底板11から略直角に立設した状態とし、更に、天板14を第一の側板12との境界線により内側へ折り込むことで、図6に示す筐体10が出来上がる。
【0025】
このような筐体10により、蛍光灯器具50の四隅を角保護体40で押さえて固定し、蛍光灯器具50を保護することができる。この場合、舌片26が角保護体40の形状を安定的に維持し、強度が確保されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る筐体用シートの実施例を示す平面図。
【図2】本発明に係る筐体用シートの実施例において角保護体を作成する過程を示す斜視図。
【図3】本発明に係る筐体用シートの実施例において完成した角保護体の部分を取り出して示した斜視図。
【図4】本発明に係る筐体用シートの実施例において完成した角保護体に対し、蛍光灯を載置する過程を示した斜視図。
【図5】本発明に係る筐体用シートの実施例において角保護体を、端部被覆板によって覆った状態を示す斜視図。
【図6】本発明に係る筐体用シートの実施例を用いて完成した筐体を示す斜視図。
【符号の説明】
【0027】
10 筐体
11 底板
12 側板
13 側板
14 天板
20 角保護体用平板
26 舌片
27 受部
30 端部被覆板
35 腕部
40 角保護体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と;
この底板の平行な一対の第1辺にそれぞれ連結した第一の側板と;
底板の前記第1辺とは異なる平行な一対の第2辺にそれぞれ連結した第二の側板と;
第一の側板に連結した天板と;
第二の側板の両側方に連結し、折り曲げまたは巻き付けにより筒状を形成し、底板に対し略直交するように第一及び第二の側板が折り曲げられたときに生じる筐体の角部に立設状態で位置する角保護体を構成する角保護体用平板と
が一枚のシートにより構成されていることを特徴とする筐体用シート。
【請求項2】
角保護体には、筒状に形成された状態において、筒内へ突出して筒壁に当接し形状を維持するための舌片が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の筐体用シート。
【請求項3】
第二の側板における底板側とは逆側の側部に連結し、第二の側板に対し略直交するように折り曲げられることにより、筒状となった角保護体を覆うと共に、角部において第一の側板側の上下方向の力に抗する強度を有する腕部を備える端部被覆板を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−70257(P2010−70257A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243413(P2008−243413)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】