説明

筐体

この発明は、第一筐体部品(20)及び第二筐体部品(1)を備え、その筐体部品が少なくとも一つのヒンジ(14、25)により互いに接続している、電気ケーブル及び/又は電気接続を受容する筐体に関する。そのヒンジは、第一筐体部品及び第二筐体部品が互いに対し旋回することができる回転軸を画定し、ヒンジ(14、25)の第一ヒンジ部が第一筐体部品(20)に固定され、ヒンジ(14、25)の第二ヒンジ部が第二筐体部品(1)に固定される。一方のヒンジ部は回転軸(25)の方向に延びるシャフト(25)である。他方のヒンジ部は、シャフト(25)の周方向に延びる固定部(14)である。一方のヒンジ部に少なくとも一つの凹部(39、42)が配設され、他方のヒンジ部に少なくとも一つの凸部(43)が配設されるので、所定の回転可能な位置及び/又は所定の回転可能な角度範囲内における種々の回転可能な位置で、凸部(43)は凹部(39、42)と係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特許請求の範囲の請求項1の序文に記載されているような電気ケーブル及び/又は電気的接続具を保持する筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
このような筐体は、例えば、産業分野における作業場において壁付アウトレット盤として使用されている。これらは第一筐体部品及び第二筐体部品を具えており、例えば、第一筐体部品は下側部品として壁へと取り付けられており第二筐体部品は、例えば、ヒンジ結合により第一筐体部品に連結している。また、第二筐体部品及び/又は第一筐体部品は一つ又はそれ以上の第一開口部を有し、これを介して電気ケーブルが筐体へと挿入される。更に、第二筐体部品及び/又は第一筐体部品は電気差込口が配設される第二開口部を有する。このとき、差込口は内側から又は外側から、第二開口部の正面に配設される。そして、電気ケーブルは差込口に接続される。次いで、差込口に適当なプラグを取り付けることで電子機器をケーブルに接続することができ、このようにして、例えばデータの受信及び/又は送信が可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、電気的接続及び/又は筐体の内部での接続の作業を容易に行うことができる筐体の提供に関する技術的な問題に基づいてなされた。
【0004】
この技術的な問題は、特には請求項1に記載の特徴部の内容により解決される。この発明の、より一層有利な改良は、従属形式請求項から理解することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、少なくとも一つの凹部を一方のヒンジ部に配設し、少なくとも一つの凸部を他方のヒンジ部に配設することで、特定の回転角度範囲において一つの特定の回転位置及び/又は異なる回転位置で、凸部を凹部へと係合することを提案している。この際、この発明は筐体部品を(他の回転状態に対して)特定の回転位置又は特定の回転角度範囲に好ましく保持できれば、接続すなわち筐体の内部での電気接続する作業が容易になるという発見に基づいている。例えば、筐体が閉じている又は概ね閉じている回転位置が好ましい場合には、(例えば固定螺子を締めたり緩めたりすることにより)筐体を固定する又は固定を解除することは容易である。
【0006】
筐体が開いているような回転位置が好ましい場合には、実際の筐体の内部への取付け作業はより容易に実施できる。筐体部品は、好ましい回転位置へと到達するためには、好ましくは筐体が閉じた状態から少なくとも160°回転しなければならない。好ましい回転位置又は回転角度範囲で開いていることは、初期取付け作業の後の更なる取付け作業に特に有利である。筐体部品は互いに接続されたままである。したがって、例えば、第2筐体部品を、湿気を帯びているかも知れない地面の上に置く必要が無くなる。
【0007】
具体的には、凸部を凹部に掛着することができる。しかし、このことは、特定の(所定の)回転位置が、凹部から凸部を取り出すことによってのみ取り外されるというこの方法により達成されているということを意味するわけではない。実際、凸部は凹部に掛着し、さらに他の回転位置へと移動することが可能である。
【0008】
凹部及び/又は凸部は、直線状に延びる又は直線状縁部を有することが好ましく、その直線は回転軸線に平行に延びる。例えば、凹部は、所定の一定の角度間隔で、夫々が周方向に離間する、二つの縁部を有し、凸部は、直線状に、すなわち周方向の広がりが小さい(例えば2〜6°)状態で延びる。
【0009】
一例として、シャフトの外周面の凸部は、前記したようにして、対応する取付け部の内周面の凹部と相互作用する。
【0010】
この凹部の近くに、少なくとも一つの他の凹部をヒンジ部に配設し、二つ又はそれ以上の回転位置及び/又は回転角度範囲とすることが好ましい。また、少なくとも一つの凹部及び少なくとも一つの凸部を同一のヒンジ部へと配設し、他方のヒンジ部に一つの凸部及び一つの凹部を対応する様式で配設することもできる。これにより、例えば、ヒンジ部の周面上の二ヶ所の異なる位置で掛着することが可能となり、このとき、これら異なる位置は、同一の好ましい回転位置、又は異なる好ましい回転位置及び/又は好ましい回転角度範囲に相当する。代替的に又は付加的に、凸部を有するヒンジ部に、少なくとも一つの他の凸部を配設することができる。これによって、例えば、他のヒンジ部上の単一の凹部(あるいは二つ又はそれ以上の凹部)により、種々の好ましい回転状態(回転位置及び/又は回転角度範囲)とすることができる。例えば、複数の凸部が個々にあるいは同時に同一の凹部へと係合してもよい。例えば、一つの凸部のみが凹部に係合し、同時に第二の凸部がいずれの凹部へも係合しない場合には、「半分好ましい」回転状態まで到達している。すなわち、回転状態の変化から十分に保護された回転状態だけでなく、回転状態の変化に対して固定もされていない回転状態がある。一方、二つ又はそれ以上の凸部が同一の凹部又は異なる凹部に同時に係合する場合には、これが特に好ましい回転状態となる。
【0011】
特には、第一ヒンジ部及び第二ヒンジ部はともに、断面において、本質的に円形線に沿う円周状の表面を有している。この場合、輪状断面を有するこの形状は、シャフトの外周面及び取付け部の内周面と関係する。この場合、凸部及び凹部は厳密な円柱の周面の表面との比較に関係する。
【0012】
第一ヒンジ部はシャフト及び取付け部の両方とすることができる。(存在するならば)シャフトを筐体部品に取り付けることが好ましく、その筐体部品自体を(例えば壁である)他の目的物に堅固に連結する。
【0013】
少なくとも一つのヒンジ部は、例えば射出成形工程を用いて熱可塑的に変形するプラスチックから製造される。また、金属など他の材料を使用することも可能である。
【0014】
一つの特定の改良では、凹部が周方向に沿って延び、凸部は回転角度範囲内にわたって凹部に係合する。このため単一の回転位置だけではなく、回転角度範囲内の全ての回転位置が好ましい。製作公差には悪影響が無く、特には特定の要求されている回転位置が好ましいので、ヒンジを製造する際の利点となる。更に、この改良により、筐体部品が好適な回転角度範囲内で移動することを可能とし、例えば、他の筐体部品と当接する過程で他の筐体部品と接触した場合、筐体部品と接触した後に再び離れる方向に移動することを可能としている。
【0015】
この回転角度範囲は、第一筐体部品と第二筐体部品とが相互に作用することで筐体部品の開口部が閉じる一つの回転位置を有してもよい。この開口部は、例えば、完全な筐体の断面積(例えば、壁に取り付けられる下側部品及び/又は筐体部品を貫いた)と実質的には同一の寸法であり、かかる回転位置で第二筐体部品(カバー)により閉じられる。
【0016】
前記した状況とは代替的に、又は追加的に、筐体は特定の回転位置及び/又は特定の回転角度範囲で開くことができ(つまり筐体の開口部は外側から接触可能である)、凹部の凸部との相互作用により機械抵抗が生じ、筐体の開口部を閉じる回転位置まで第二筐体部品及び第一筐体部品を移動させるためには、かかる抵抗に打ち勝たなければならない。
【0017】
特に、ヒンジを、凹部の一つの縁部が凸部に機械抵抗を生じさせるように設計することができ、凹部を凸部から離すことができるようにするためには、回転動作の際にかかる抵抗に打ち勝つことが必要である。このことは、前記した段落のみに関係するものではない。
【0018】
凹部及び凸部は、回転軸方向において、シャフトの実際の長さの一部にのみ延びていることが好ましいため、凹部の凸部との相互作用により機械抵抗が生じ、これにより、凸部を回転軸方向に向かって移動することによって凹部から離すことが困難又は不可能となる。この改良により、ヒンジ部及び筐体部品を、不注意で互いに引き離すことが防止できるようになった。
【0019】
一つの特定の改良では、少なくとも一つの第一ヒンジ部はいずれの場合でも夫々が第一筐体部品の相互に反対側にある各面(特には外面)に配設されるので、第二ヒンジ部は、一方の又は他方の面にある対応する第一ヒンジ部と任意選択的に結合して(連結して)、ヒンジ結合を形成する。例えば、反対側の面に配設されたヒンジ部を、互いに平行な所定の回転軸とすることができる。例えば、取付け場所にもよるが、このようにヒンジを一方の面又は他方の面に配設すべきかを決めることができる。
【0020】
また、ヒンジは、夫々が離れ、例えば二つ又はそれ以上のヒンジ副領域を有する分割ヒンジとすることもできる。特には、二つ又はそれ以上の第一ヒンジ部及び/又は第二ヒンジ部を設け、所定の回転軸を備えた共通ヒンジが形成される、又はそれらから形成できるように、二つ又はそれ以上の第一ヒンジ部及び第二ヒンジ部が配設することができる。このことにより、空間及び材料を節約することができ、ヒンジ結合も非常に堅固なものとなる。特には、個々のヒンジ副領域はとりわけ機械的に堅固となるように設計することができる。
【0021】
筐体は壁付アウトレット盤形状とし、第一筐体部品を、壁に取り付けることが可能な筐体部品の形状とすることができる。この場合、ヒンジは、回転軸の周りに旋回することで第二筐体部品が回転停止位置に到達するように設計及び/又は配設することができ、第二筐体部品は第一筐体部品及び/又はそれと接続された物体と当接するので、回転停止位置を越えて作用する充分に大きなトルクが発生した場合に、第一ヒンジ部が第二ヒンジ部から取り外されるように設計することができる。
【0022】
筐体は、第二筐体が壁と接触する前に回転停止位置に到達するように、かつトルクが発生した際に第一ヒンジ部が第二ヒンジ部から取り外されるように設計することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
例示的実施態様を参照しつつ、以下の記載によりこの発明をより詳細に説明する。
【0024】
図1は、壁付アウトレット盤の形状とした筐体の第二筐体部品1を示す。しかし、この実施形態の特徴及び特徴の組合せは他の改良として提供することができる。この第二筐体部品1は二つのフラップ2を有しており、これらフラップにより、カバー1の端面の第二開口部3を閉蓋することができる。この図では、右側のフラップ2を閉じ、左側のフラップ2を開いた状態で示している。取付け部4は第二開口部に挿入され、挿入可能なプラグと適合する。後でより詳細に説明するが、コネクタは取付け部4の背面側に配設される。シール部材5は、フラップ2の内面に配置され、閉じた状態では、取付け部4とともに、開口部3を湿気及び埃から密封することで防ぐ。二つの鉛封印フック6は、端面の側部に配設され、フラップ2が閉じた状態では、フラップ2の開口を貫いて突出する。次いで、ワイアを鉛封印フック6内の穴7に通し、鉛封印することができ、不正な接触を困難とし、かつ不正な接触の証拠となる。蓋8を有する銘領域が、第二筐体部品を下側部品に螺着するための穴9とともに、第二筐体部品1の上面に配設される。溝10が、第二筐体部品1の側部のフラップ2の領域内に形成され、フラップ2を開けるための意図的な加圧点として使用される。一方で、フラップ2はばねによる圧縮応力が加えられ、図示してはいないが、第二筐体部品上のラッチ爪及びフラップ上のラッチ溝によって掛着される。このことにより、溝10を介して間接的に力が加えられるので、掛着を解くのが単純となる。
【0025】
図2はカバーを背面から見た図を示している。この場合、シール溝11は、実質的に、カバー1の周囲全体に渡って配設され、ねじ穴12は溝11から離間して配設される。二つの取付け手段14は、フラップ2とは反対側の端面13に配設される。底面部において、取付け手段14は夫々、その機能については後で説明するが、ラッチ爪を有する。同様に、二つの取付け部4が第二筐体部品内に突出していることがわかる。フラップ2に圧縮応力を加えるばね15は、右側の上部にあることがわかる。取付け補助具16も同様に筐体部品1の下面部に取り付けられ、これによって、例えば、電気ケーブルをどのくらいの長さで切断するのか、又は絶縁材をどのくらい剥離させるのかが分かるようになる。
【0026】
図3は、差込口22とケーブル配線部材21が挿入されている壁付アウトレット盤の第一筐体部品20を示している。二つのシャフト25は、二つの端面23及び24夫々に配設され(図5を参照)、そして筐体部品1は、取付け手段14によりシャフト25上にヒンジ結合することができる。シール材40用の溝26は、実質的に、下側部品20の周囲全体に渡って配設される(図4及び5を参照)。端面23上で、下側部品20は電気ケーブル28用の二つの第一開口部27を有し、前記ケーブル28を備えた前記開口部27は、シール部材29により密閉することができる。ケーブル配線部材21は、いずれの場合も、差込口22を保持し固定するために用いられる、二つのU字型リム30を有する。内側を向いたクランプリブ31は、このような目的でリム30の上面に設けられ、そして差込口22の上面を摺動する。第一操作モードでは、ケーブル配線部材21は、U字型リム30が端面24に載るように、下側筐体部品20に挿入される。このことは図3で図示されている。この図では、前記カバー1は取付け手段14により、端面23でシャフト25にヒンジ結合する。このことは、壁付アウトレット盤が壁に取り付けられ、電気ケーブル28が上部から配線されるときに、図示されてはいないが、プラグ25によるタッピングが背面部で起こることを意味している。所定の方法により電気ケーブル28を壁付アウトレット盤内部に配線するために、電気ケーブル28を、開口部27に通し、そして開口部27から第一ケーブル配線経路32を介して差込口22まで通し、これにケーブル28内の電線を接続する。シャフト25は夫々凹部39を有し、好適には幾分偏心して、そして、その長手方向にシャフト25の全長を超えないように配設される。更に、他の凹部42、すなわちラッチ凹部はシャフト25の夫々に配設され、図3に示すようにシャフト25の裏面に位置している。そのラッチ凹部42は図8〜10から詳細に知ることができる。また、ラッチ凹部42はシャフト25の長さの一部だけ延びる。長手方向のラッチ凹部42及び凹部39の長さ及び配置は同一であるため、取付け部14上の対応する凸部43は、その全体の長さによって凹部39内、及びラッチ凹部42内の双方へと掛着される。第二筐体部品1は、筐体の閉じている位置から、例えば160°といった、分割角度を越えて折り曲げられると、取付け部14上の凸部43がラッチ凹部42まで摺動し、不注意で閉じる位置まで回転して戻らないように第二筐体部材1を固定する。
【0027】
ケーブル配線経路32は、カテゴリ6などの高いデータ転送速度用の電気ケーブル28の最小屈曲半径と対応するように設計される。図からわかるように、特に図6においてそうであるが、ケーブル配線経路32の構成により積極的な配線となるため、技術者がケーブル28を最小屈曲半径よりも小さく屈曲したり、ねじったりすることも無くなる。
【0028】
図4及び5は、第二操作モードを示しており、図中、ケーブル配線部材21を下側部品20内で180°回転して配設しているので、U字型リム30は端面23上に配設される。このとき、第二筐体部品1は取付け手段14により、端面24上のヒンジ状シャフト25へとヒンジ結合する。しかし、これには、壁付アウトレット盤内に異なるケーブルの配線を必要とすることとなる。その為、電気ケーブル28は、まず開口部27から、端面23からのケーブル配線経路33(図6を参照)を介して端面24まで通され、そこで曲げられてケーブル配線経路34を介して差込口22へと配線される。
【0029】
したがって、プラグによるタッピングを、二つの端面23、24上に配設されたシャフト25と、着脱可能なケーブル配線部材21によって、端面23又は24上に任意選択的に設けることができる。例えば、壁接続盤が壁に取り付けられ、背面部より電気ケーブル28が配線される場合にも、図4及び5に示すような第二操作モードは、プラグ25によるタッピングを背面部からでも可能とすることを、やはり確実に実行できるようにする。
【0030】
ケーブル配線部材21を図6及び7に詳細に図示する。既に説明してきた部材に加え、好適な集合配線部材21は、第一下側筐体部品20の内面に対して弾性的にケーブル配線部材21を押圧する、一対のばね部材35を有する。ケーブル配線部材21はまた、下側部品の下面に対して弾性的にケーブル配線部材21を支持する、第二ばね部材36を有する。このとき、ばね部材36は、差込口22の高さを整列し、差込口22は主として止縁端37により長手方向に固定される。剛性を増大させるために、ケーブル配線部材21は、さらに、ケーブル配線経路34の領域に強化リブ38を有する。ケーブル配線部材21は、ばね部材35の反対側に、下側部品20の対応する凹部と掛着するような凸部41を有する。
【0031】
図8〜10は、壁付アウトレット盤のヒンジ結合している領域を示しており、第一筐体部品1が第二筐体部品20の端面24上に連結している。断面として部分的に図示(斜線部分)されている取付け部14は、シャフト25を180°より大きな角度範囲にわたって周方向に包囲する。図から分かるように、凹部39は約90°の角度範囲に広がる。これに対し、凹部42は約35°のみの角度範囲に広がる。シャフト25は、(同様に図4で特に良く示されている)多数のウエブ状移行領域45を介して第一筐体部品20に連結されている。特に、第一筐体部品20全体及び第二筐体部品1全体は夫々が射出成形工程により一体的に製造される。
【0032】
取付け部の内面に配設された凸部43は、シャフト25を囲む領域の端部の前方に周方向に短い間隔(3°〜10°)で設けられており、まさにその端部が第二筐体部品と接続される領域である。
【0033】
図10は、壁付アウトレット盤の第一筐体部品及び第二筐体部品が実質的に完全に閉じた状態にある回転位置を示している。図から分かるように、スタッド状の断面を有する凸部43は、凹部39と係合すると同時に、実質的に凹部39の縁部へと載せられる。(図8〜図10では反時計回りの方向に)第二筐体部品1が回転軸の周りを回転すると、筐体は徐々に開き、第一筐体部品20の開口部は徐々に解放される。この過程における、回転位置に到達する直前が図9に示されており、取付け部14が幾分か変形し、凸部43が凹部39から離れることとなる。それゆえ取付け部14は、図9に示されているような回転位置にあり、シャフト25の外面に幾分かクランプ状に載せられている。その締め付けは更なる回転動作に対する幾分かの抵抗力となる。図8に示す回転位置に到達する直前に、凸部43はラッチ凹部42に掛着する。その過程では、取付け部14の材料は応力から開放される。これら掛着過程は、第二筐体部品1が回転して再び壁付アウトレット盤が閉じた位置まで不注意で戻ることを防止する。
【0034】
第二筐体部品1がシャフト25の回転軸の周囲を(この場合は反時計回りの方向に)更に回転すると、取付け部14の縁部44(図2)が移行領域45に当接して、適切な強いトルクが加えられることにより、取付け部14はシャフト25からてこによって離されるので、取付け部14はもはやシャフトを囲まないこととなる。代替的には、第二筐体部品1の他の領域もまた、第一筐体部品に連結された物体、例えばシール部材29と当接し、てこにより開くことができる。
【0035】
図11は図10に示す回転位置の配置を示している。
【0036】
図12は第二筐体部品1を示している。この図は、端面から突出した二つの取付け部14を示しており、自由端46及び取付け部14の夫々の長さの一部にのみ延びた凸部43を備えていることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第二筐体部品(筐体カバー)の斜視図である。
【図2】背面から見た第二筐体部品の斜視図である。
【図3】差込口が第一操作モードにあり、ケーブル配線部材が挿入されている状態の第一筐体部材の斜視図である。
【図4】差込口が第二操作モードにあり、ケーブル配線部材が挿入されている状態の第一筐体部材の斜視図である。
【図5】第一筐体部材の他の斜視図である。
【図6】ケーブル配線部材の斜視図である。
【図7】背面から見たケーブル配線部材の斜視図である。
【図8】種々の回転位置におけるヒンジの部分断面側面図である。
【図9】種々の回転位置におけるヒンジの部分断面側面図である。
【図10】種々の回転位置におけるヒンジの部分断面側面図である。
【図11】閉じた筐体の側面図である。
【図12】第二筐体部品の端面の図である。
【符号の説明】
【0038】
1 第二筐体部品(カバー)
2 フラップ
3 開口部
4 取付け部
5 シール部材
6 鉛封印フック
7 穴
8 蓋
9 穴
10 ラッチ溝
11 シール溝
12 穴
13 端面
14 取付け手段
15 ばね
16 取付け補助具
20 第一筐体部品(下側部品)
21 ケーブル配線部材
22 差込口
23 端面
24 端面
25 ヒンジ状シャフト
26 シール溝
27 開口部
28 ケーブル
29 シール部材
30 U字型リム
31 クランプリブ
32 ケーブル配線経路
33 ケーブル配線経路
34 ケーブル配線経路
35 ばね部材
36 ばね部材
37 止縁端
38 補強リブ
39 ラッチ凹部
40 シール材
41 凸部
42 ラッチ凹部
43 凸部
44 縁部
45 移行領域
46 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのヒンジ(14、15)によって互いに接続される第一筐体部品(20)及び第二筐体部品(1)を備える、電気ケーブルの保持及び/又は接続用筐体であって、該ヒンジ(14、25)は該第一筐体部品(20)及び第二筐体部品(1)を互いに対して旋回可能とする回転軸を画定し、該ヒンジ(14、25)の第一ヒンジ部は該第一筐体部品(20)に取り付けられ、該ヒンジ(14、25)の第二ヒンジ部は該第二筐体部品(1)に取り付けられ、一方のヒンジ部は回転軸方向に延びるシャフト(25)であり、他方のヒンジ部は該シャフト(25)の周方向に延びる取付け部(14)である筐体において、
少なくとも一つの凹部(39、42)が一方のヒンジ部に配設され、少なくとも一つの凸部(43)が他方のヒンジ部に配設され、該凸部(43)は、特定の回転位置及び/又は特定の角度範囲内の種々の回転位置で、該凹部(39、42)に係合することを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記凹部(39、42)は周方向に延びており、前記凸部(43)は回転角度範囲内にわたって前記凹部(39、42)に係合することを特徴とする、請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記回転角度範囲は、前記第二筐体部品(1)と第一筐体部品(20)との相互作用により、筐体の開口部が閉蓋する一つの回転位置を有することを特徴とする、請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記凹部(39、42)の一つの縁部が前記凸部(43)に対する機械抵抗を生じるようにヒンジを設計し、回転運動の過程で該抵抗に打ち勝つことで、該凸部(43)が該凹部(39、42)から離間することが可能となることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項5】
前記筐体は特定の回転位置及び/又は特定の回転角度範囲において開いており、前記凹部(39、42)と前記凸部(43)との相互作用により機械抵抗が加えられ、前記第二筐体部品(1)及び第一筐体部品(20)を開いた筐体が閉じる回転位置まで移動するために前記抵抗に打ち勝たなければならないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項6】
前記凹部(39、42)及び凸部(43)は、回転軸方向に前記シャフト(25)の軸の長さに対し部分的にのみ延びており、凹部(39、42)と凸部(43)との相互作用により機械抵抗が生じ、これによって、凸部(43)を回転軸方向に向かって移動することにより凹部(39、42)から離すことを困難又は不可能とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項7】
少なくとも一つの前記第一ヒンジ部はいずれの場合も夫々が前記第一筐体部品の相互に反対側の面に配設され、一方の又は他方の面にある前記第二ヒンジ部は任意選択的に対応する第一ヒンジ部と連結して、ヒンジ結合を形成することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項8】
二つ又はそれ以上の前記第一ヒンジ部及び/又は第二ヒンジ部を設け、所定の回転軸を備えた共通ヒンジ(14、25)が形成される、又はそれらから形成することができるように、二つ又はそれ以上の第一ヒンジ部及び/又は第二ヒンジ部を配置することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項9】
筐体は壁付アウトレット盤の形状であり、第一筐体部品(20)を壁に取り付けることが可能な筐体部品であり、第二筐体部品(1)が、回転軸の周りを旋回することにより回転停止位置に到達するようにヒンジ(14、25)が設計されており、第二筐体部品(1)は第一筐体部品(20)及び/又はそれと接続された物体(29)と当接し、回転停止位置を越えて作用する充分に大きなトルクが発生した際に、第一ヒンジ部が第二ヒンジ部から取り外されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項10】
前記筐体は、前記第二筐体(1)が壁と接触する前に回転停止位置に到達するように設計されており、かつトルクが発生した際に該第一ヒンジ部が第二ヒンジ部から取り外されることを特徴とする請求項9に記載の筐体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−516370(P2007−516370A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537173(P2006−537173)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012136
【国際公開番号】WO2005/043704
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(506126174)アーデーセー ゲーエムベーハー (4)
【出願人】(506150065)ハーティング エレクトリック ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (2)
【Fターム(参考)】