説明

筒形電池

【課題】規格電池に代わって使用しながら、正極端子を正確な位置に位置ずれしないように配置して、実装する回路基板を定位置に配置する。
【解決手段】筒形電池は、素電池10の凸部電極14側の端部に基板組立20を固定している。素電池10は、外装缶12の開口部を封口板13で閉塞して、封口板13に凸部電極14を設けている。基板組立20は、データ処理回路を実装する回路基板21と、通信端子22と、通信端子22を定位置に配置する成形絶縁体23とを備える。基板組立20は、素電池10の凸部電極14を挿通する貫通孔26を中央部に有し、この貫通孔26の周囲で基板組立20の上面にリング状の通信端子22を固定している。素電池10の凸部電極14は、基板組立20の上面から突出する高さを有する。筒形電池は、素電池10に基板組立20を固定して、全体の外形サイズを規格電池の外形としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外形を規格サイズの筒形とする筒形電池に関し、とくにデータ処理回路を内蔵する筒形電池に関する。また、本発明は、電池外形が小さいながら回路基板を内蔵する筒形電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路を実装するパック電池は開発されている。(特許文献1ないし3参照)
これらのパック電池は、電子回路で種々の機能を実現して便利に使用できる。特許文献1のパック電池は、電子回路を電池の充放電を保護する保護回路とする。このパック電池は、保護回路で電池の充放電をコントロールして、電池を保護しながら使用できる。さらに、このパック電池は、金属板からなる外装ケースに円筒形電池を収納する。外装ケースは、開口部に回路基板を配設し、この回路基板に固定する電極を外装ケースの開口部から外部に表出する。回路基板は、外装ケースに内蔵される円筒形電池の正負の電極に接続している。
【0003】
さらに、特許文献2は、電池にセットされる電子回路用ハウジングを記載する。この特許文献は、ハウジングに実装される電子回路でもって、電池の充放電サイクルを検出し、絶縁し、過熱、逆極性、短絡、過電圧、過充電、過放電あるいは電池の寿命を検出すると記載する。したがって、電子回路を実装するパック電池は、これを電源に使用する機器に、電池の寿命などの情報を伝送する。
また、特許文献3には、電池外形を単3サイズとして、保護素子の信号を出力する構造が、開示されている。
【特許文献1】特開平9−63552号公報
【特許文献2】特表2003−516604号公報
【特許文献3】特開2004−265722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のパック電池は、円筒形電池を金属ケースからなる外装ケースに収納し、さらに、この外装ケースの開口部に正極と負極を設けている回路基板を実装するので、外形サイズが外装ケースに収納する単三電池などよりも大きくなる。このため、回路基板を実装する状態では単三電池に代わって使用できず、専用の電池収納部を設ける必要がある。専用の電池収納部を設ける電気機器は、パック電池を使用できないときに、このパック電池に代わって、一般に市販される単三電池を使用できない。このため、常に専用のパック電池を充電して使用することから、ユーザーは、常にパック電池の残容量に注意する必要がある。また、全体の構造が複雑で製造コストが高くなる。単三電池の外装缶と、単三電池を収納する外装ケースからなる二重の金属ケースを必要とし、さらに、外装ケースである金属ケースの開口部を絶縁材のプラスチック蓋で閉塞して、このプラスチック蓋に正極と負極を固定し、この正極と負極を回路基板に接続して、プラスチック蓋の内側に回路基板を配設して、これを電池に接続するからである。
【0005】
また、特許文献2の電子回路用ハウジングも単三電池などの電池にセットして使用することから、これをセットする状態では外形サイズが、たとえば単三形電池規格よりも大きくなる。このため、この構造の電池も、特許文献1と同じように、単三電池に代わって使用できず、専用の電池収納部を設ける必要がある。さらに、この構造の電池も、単三電池などの規格電池にハウジングを連結して使用するので、全体の構造が複雑になると共に、これを規格電池にしっかりと固定するのが難しい。とくに、出力端子となる正極端子をハウジングに固定するので、正極端子がハウジングを介して規格電池に固定される。この構造は、正極端子をしっかりと強靱な構造で固定するために、正極端子をハウジングに強固に固定し、さらにハウジングを規格電池に強固に固定する必要があり、正極端子を正確な位置にしっかりと固定するのに手間がかかる。また、正極端子がハウジングを介して規格電池に連結されることから、正極端子の位置ずれを防止するために、正極端子をハウジングの正確な位置に固定し、さらにハウジングを規格電池の正確な位置に固定する必要がある。このため、正極端子をハウジングに固定するのに高い精度が要求され、またハウジングを規格電池に連結する部分にも高い精度が要求される。正極端子の位置ずれが、電気機器にセットされる状態で接触不良の原因となるからである。構造が複雑で高い加工精度が要求されることは、電子回路を実装するハウジングの製造コストを高くし、安価に多量生産するのを難しくする。
【0006】
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、規格サイズの電池に代わって使用できることに加えて、簡単な構造としながら、正極端子を正確な位置にしっかりと位置ずれしないように配置でき、さらに、正極端子でもって実装する回路基板を定位置に配置できる筒形電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の筒形電池は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
筒形電池は、素電池10の凸部電極14側の端部に基板組立20を固定している。素電池10は、密閉構造の外装ケース11に電極19と電解液を入れてなる構造である。外装ケース11は、筒状の外装缶12の開口部をカシメ加工して封口板13で閉塞して、封口板13の外周縁にはカシメ加工によってカシメ凸条15を設けている。封口板13は、中央部に凸部電極14を設けている。素電池10は、凸部電極14を正極、外装缶12を負極としている。基板組立20は、データ処理回路を実装する回路基板21と、この回路基板21のデータ処理回路に接続してなる通信端子22と、回路基板21を絶縁して通信端子22を定位置に配置している成形絶縁体23とを備える。基板組立20は、素電池10の凸部電極14を挿通する貫通孔26を中央部に有すると共に、この貫通孔26の周囲であって基板組立20の上面にリング状の通信端子22を固定している。さらに、回路基板21に接続する接続タブ17Aを備える接続金属プレート17を封口板13の表面に固定している。筒形電池は、素電池10の凸部電極14を基板組立20の貫通孔26に挿通して、基板組立20を素電池10の凸部電極14側の端部に固定すると共に、接続金属プレート17の接続タブ17Aを回路基板21に接続して、回路基板21を凸部電極14に接続している。さらに、筒形電池は、素電池10の凸部電極14が、固定される基板組立20の上面から突出する高さを有し、素電池10に基板組立20が固定されて、全体の外形サイズを規格電池の外形としている。
【0008】
本発明の請求項2の筒形電池は、請求項1の構成に加えて、全体の外形サイズを単三形電池規格の外形としている。
【0009】
本発明の請求項3の筒形電池は、請求項1または2の構成に加えて、回路基板に実装されるデータ処理回路を、素電池10の正極と負極に接続して、素電池10から電力を供給している。
【0010】
本発明の請求項4の筒形電池は、請求項1または2の構成に加えて、成形絶縁体23が、回路基板21と通信端子22との間に配設される第1の成形絶縁体24と、この第1の成形絶縁体24に連結されて、回路基板21と通信端子22の外周部をカバーする第2の成形絶縁体25とを備えている。
【0011】
本発明の請求項5の筒形電池は、請求項1または2の構成に加えて、第1の成形絶縁体24が、通信端子22を嵌着するリング状の凹部24bを有し、この凹部24bに通信端子22を嵌着している。
【0012】
本発明の請求項6の筒形電池は、請求項1または2の構成に加えて、凸部電極14とカシメ凸条15との間にリング溝16を設けると共に、第1の成形絶縁体24が、回路基板21に設けている位置決め孔21Dに挿通される支え足24aを備え、この支え足24aが回路基板21を貫通してリング溝16に配設されて、第1の成形絶縁体24を素電池10の定位置に固定している。
【0013】
本発明の請求項7の筒形電池は、請求項1または2の構成に加えて、回路基板21が外周縁に切欠部21A、21Bを有し、この切欠部21A、21Bにおいて、回路基板21を素電池10の正極と負極に接続している。
【0014】
本発明の請求項8の筒形電池は、請求項1または2の構成に加えて、回路基板21に接続する接続タブ17Aを外周に備える接続金属プレート17を封口板13の表面に固定し、この接続金属プレート17の接続タブ17Aを回路基板21の切欠部21Aにおいて、回路基板21に接続して、回路基板21を凸部電極14に接続している。
【0015】
本発明の請求項9の筒形電池は、請求項1または2の構成に加えて、回路基板21に実装されるデータ処理回路が、電池の残容量と、電池の劣化度と、電池のメモリ効果のひとつまたは複数の情報を演算して通信端子22から出力する。
【0016】
さらに、本発明の請求項10の筒形電池は、素電池10、30の凸部電極14、34側の端部に基板組立20、40を固定している。素電池10、30は、密閉構造の外装ケース11、31に電極19、39と電解液を入れてなる構造である。外装ケース11、31は、筒状の外装缶12、32の開口部をカシメ加工して封口板13、33で閉塞している。封口板13、33は、中央部に凸部電極14、34を設けている。素電池10、30は、凸部電極14、34を正極、外装缶12、32を負極としている。さらに、基板組立20、40は、電子素子を実装する回路基板21、31と、回路基板21、31を絶縁している成形絶縁体23、43とを備える。さらに、回路基板21に接続する接続タブ17Aを備える接続金属プレート17を封口板13の表面に固定している。筒形電池は、基板組立20、40を素電池10、30の凸部電極14、34側の端部に固定し、接続金属プレート17の接続タブ17Aを回路基板21に接続して、回路基板21を凸部電極14に接続している。さらに、筒形電池は、素電池10、30の凸部電極14、34が、固定される基板組立20、40の上面から突出する高さを有し、全体の外形サイズを規格電池の外形としている。
【0017】
さらに、本発明の請求項11の筒形電池は、外装ケース11、31が、封口板13、33の外周縁にカシメ加工によってカシメ凸条15、35を設けており、回路基板21、41に接続される負極端子27、47をカシメ凸条15、35に接続している。
【0018】
さらに、本発明の請求項12の筒形電池は、基板組立40の回路基板41に、電池の残容量を演算するデータ処理回路を実装している。さらに、本発明の請求項13の筒形電池は、回路基板41に実装されて残容量を演算するデータ処理回路を素電池30から供給される電力で動作させており、残容量を演算するデータ処理回路を作動させるための電源となる素電池30と残容量が演算される素電池30とを同一としている。さらにまた、本発明の請求項14の筒形電池は、基板組立40が、残容量の表示部44と、この表示部44が残容量を表示するスイッチ45とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1の筒形電池は、外形サイズを規格電池の外形とするので、規格電池をセットする電気機器の電池収納部に規格電池に代わって使用でき、さらに、規格電池の封口板に設けている凸部電極の外周部に回路基板と通信端子とを配設する簡単な構造としながら、封口板に固定している凸部電極を外部に突出させて正極端子に使用するので、正極端子を正確な位置にしっかりと位置ずれしないように配置し、また、封口板に固定する凸部電極でもって実装する回路基板を定位置に配置できる特徴がある。それは、この筒形電池が、凸部電極の外周部に、データ処理回路を実装する回路基板を配置すると共に、この回路基板には凸部電極を挿通する貫通孔を中央に設けて、ここに凸部電極を挿通しており、さらに回路基板に絶縁状態で積層するようにリング状の金属板からなる通信端子を配設して、この通信端子を、凸部電極の外側であってカシメ凸条の内側であって、凸部電極の頂上面よりも下がった位置に、封口板と平行な姿勢に配設して、凸部電極と外装缶から絶縁する独特の構造とするからである。
【0020】
さらに、この筒形電池は、接続タブを設けている接続金属プレートを封口板の表面に固定して、この接続金属プレートの接続タブを回路基板に接続して、凸部電極を回路基板に接続するので、正極である封口板を、簡単かつ確実に回路基板に電気接続できる。
【0021】
さらに、本発明の請求項2の筒形電池は、外形サイズを単三形電池規格とするので、汎用性の高い単三電池をセットする電気機器の電池収納部に単三電池に代わって便利に使用できる。
【0022】
さらに、本発明の請求項3の筒形電池は、回路基板に実装されるデータ処理回路を素電池の正極と負極に接続して、素電池から電力を供給するので、電池を外部電子機器に装着しない状態においても、データ処理回路を動作させて電池状態を管理できる。
【0023】
さらに、本発明の請求項4の筒形電池は、成形絶縁体を、回路基板と通信端子との間に配設される第1の成形絶縁体と、この第1の成形絶縁体に連結されて、回路基板と通信端子の外周部をカバーする第2の成形絶縁体とで構成するので、回路基板と通信端子との間に第1の成形絶縁体を配設して、回路基板と通信端子とを絶縁しながら定位置に配置でき、また、第2の成形絶縁体で回路基板と通信端子の外周を絶縁できる。
【0024】
さらに、本発明の請求項5の筒形電池は、第1の成形絶縁体が、通信端子を嵌着するリング状の凹部を有し、この凹部に通信端子を嵌着するので、第1の成形絶縁体でもって、通信端子を回路基板から絶縁して定位置に配置できる。
【0025】
さらにまた、本発明の請求項6の筒形電池は、凸部電極とカシメ凸条との間にリング溝を設けて、このリング溝に、絶縁リングを配設するので、絶縁リングを位置ずれしないように、単三形電池の定位置に配置して、回路基板を絶縁できる。
【0026】
また、本発明の請求項7の筒形電池は、回路基板の外周縁に切欠部を設けて、この切欠部において、回路基板を正極の凸部電極と負極の外装缶に接続している。この構造は、回路基板を封口板の定位置に配置して、回路基板と単三電池とを簡単に電気接続できる特徴がある。
【0027】
さらに、本発明の請求項8の筒形電池は、回路基板に接続する接続タブを外周に設けている接続金属プレートを封口板の表面に固定して、この接続金属プレートの接続タブを回路基板の切欠部に配設して回路基板に接続して、凸部電極を回路基板に接続する。この構造は、正極である封口板を簡単かつ確実に回路基板に電気接続できる。
【0028】
また、本発明の請求項9の筒形電池は、回路基板に実装されるデータ処理回路でもって、電池の残容量と、電池の劣化度と、電池のメモリ効果のひとつまたは複数の情報を演算して通信端子から出力して便利に使用できる。
【0029】
さらに、本発明の請求項10の筒形電池は、基板組立を素電池の凸部電極側の端部に固定すると共に、素電池の凸部電極を、固定される基板組立の上面から突出する高さとしているので、凸部電極側の端部に配置される基板組立に実装される電子素子により、筒形電池を多機能にできる特長がある。とくに、この筒形電池は、基板組立の上面から凸部電極を突出させる状態で、基板組立を素電池の凸部電極側の端部に固定するので、凸部電極の周囲にできるスペースを有効に利用しながら、基板組立を理想的に配置して、しかも基板組立に実装される電子素子の機能により、便利に使用できる。
また、素電池自体は、凸部電極が突出しているだけで、従来技術に利用される素電池自体の密閉構造を採用できるので、簡便な構造であると共に、容易に製造でき、同時に、電解液漏れ防止、電池内部の圧力上昇時の安全弁対策等の信頼性も高い。
さらに、接続タブを設けている接続金属プレートを封口板の表面に固定して、この接続金属プレートの接続タブを回路基板に接続して、凸部電極を回路基板に接続するので、正極である封口板を、簡単かつ確実に回路基板に電気接続できる。
【0030】
さらに、本発明の請求項11の筒形電池は、外装ケースが、封口板の外周縁にカシメ加工によってカシメ凸条を設けており、回路基板に接続される負極端子をカシメ凸条に接続している。この構造は、負極である外装缶を簡単かつ確実に回路基板に電気接続できる。
【0031】
さらに、本発明の請求項12の筒形電池は、基板組立の回路基板に、電池の残容量を演算するデータ処理回路を実装しているので、電池の残容量を表示しながら、全体の外形サイズを規格電池の外形として、規格電池と同じように使用できる。
【0032】
さらにまた、本発明の請求項13の筒形電池は、基板組立の回路基板に実装されて、残容量を演算するデータ処理回路を作動させるための電源となる素電池と残容量判定される電池を同一としているので、簡単な構造としながら電池の残容量を確認できる特徴がある。
【0033】
また、本発明の請求項14の筒形電池は、基板組立が、残容量の表示部と、この表示部が残容量を表示するスイッチとを備えているので、必要なときにスイッチを操作して、電池の残容量を表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための単三形電池を例示するものであって、本発明は単三形電池を以下のものに特定しない。
【0035】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0036】
図1ないし図4に示す筒形電池は、外形サイズを単三形電池規格とする円筒状の単三形電池である。以下、本発明の実施例として、円筒状の単三形電池である筒形電池について詳述する。ただ、本発明は、筒形電池を単三形電池に特定しない。本発明は、規格形状の外形を有する筒形電池であって、その形状を円筒状の単一形電池、単二形電池、単四形電池とすることも、あるいは、角型電池とすることもできる。
【0037】
図1ないし図4に示す筒形電池は、素電池10の凸部電極14側の端部に基板組立20を固定している。素電池10は、図4と図5に示すように、密閉構造の外装ケース11に、電極19と電解液を入れている。外装ケース11は、金属板を円筒状にプレス加工して製作される外装缶12と、この外装缶12の開口部を閉塞する金属板の封口板13からなる。外装缶12は、封口板13の外周縁に沿ってカシメ加工して、開口部を封口板13で密閉している。封口板13の外周縁には、カシメ加工によるカシメ凸条15が設けられる。封口板13と外装缶12は絶縁材18を介してカシメ加工され、周知の技術のように、封口板13は正極の電極に、外装缶12は負極の電極に接続される。封口板13は中央部に凸部電極14を設けて、この凸部電極14とカシメ凸条15との間にリング溝16を設けている。
【0038】
本発明の筒形電池は、素電池10の凸部電極14側に基板組立20を固定する状態で、外形サイズを規格電池の外形としている。したがって、素電池10は、基板組立20を固定しない通常の規格電池に比較すると、基板組立20の大きさに相当して小さくしている。基板組立20は、素電池10の凸部電極14側に固定されるので、この部分を小さく、すなわち、外装缶12の長さをわずかに短くしている。ただ、本発明の筒形電池は、素電池10の凸部電極14を基板組立20から突出させて出力端子の正極に使用することから、凸部電極14の先端から外装缶12の底部までの寸法は、基板組立が固定されない一般的な規格電池の寸法としている。このため、本発明の筒形電池は、素電池10の凸部電極14が封口板13から突出する高さを、一般的な規格電池よりも高くしている。
【0039】
図に示す筒形電池は、素電池10に基板組立20を固定する状態で、外形サイズを単三形電池規格の外形とする。言い換えると、基板組立20の外形は、これを素電池10に固定する状態で、筒形電池の外形が単三形電池規格となる形状に製作される。この基板組立20は、データ処理回路を実装する回路基板21と、データ処理回路から出力される信号を機器に伝送するための通信端子22と、回路基板21を絶縁して通信端子22を定位置に配置するための成形絶縁体23とを備える。図の基板組立20は、成形絶縁体23を、回路基板21と通信端子22との間に配設される第1の成形絶縁体24と、この第1の成形絶縁体24に連結されて、回路基板21と通信端子22の外周部をカバーする第2の成形絶縁体25とに分離している。
【0040】
図の筒形電池は、基板組立20を素電池10の凸部電極14側の端部に固定する状態で、素電池10の凸部電極14を基板組立20から突出させて正極側の出力端子として使用する。このため、基板組立20は、中央部に、素電池10の凸部電極14を挿通する貫通孔26を設けている。この貫通孔26に凸部電極14を挿通して、基板組立20は素電池10の端部の定位置に配置される。
【0041】
ただ、本発明は、基板組立の形状を、素電池の凸部電極を挿通する貫通孔を有するリング形状に特定しない。基板組立は、図示しないが、素電池の凸部電極側の端面に配設できる種々の形状とすることもできる。筒形電池は、たとえば、素電池を円筒形電池とする場合には、基板組立の形状を、円筒形電池の外周に沿う円弧状の外形を有するC字状やおうぎ形状とすることができ、また、素電池を角型電池とする場合には、基板組立の形状を、角型電池の外周に沿う直方体形状とすることもできる。これらの基板組立は、凸部電極の全周に沿って配置することなく、凸部電極の周囲の一部分にのみ配置することもできる。
【0042】
さらに、基板組立20は、貫通孔26の周囲であって基板組立20の上面に円形リング状の通信端子22を固定している。基板組立20は、回路基板21の表面に第1の成形絶縁体24を積層し、さらに、この第1の成形絶縁体24の上に通信端子22を固定している。基板組立20を貫通して設けられる貫通孔26は、回路基板21と成形絶縁体23と通信端子22を貫通して設けられる。図6の回路基板21は、全体の形状を平面視において概略の形状を円形として、中心に基板組立20の貫通孔26を設けている。さらに、この図の回路基板21は、データ処理回路を実現する、COB(CHIP ON BOAD)実装方式のASIC(Application Specific Integrated Circuit)28と、外付け部品29とを実装している。データ処理回路は、電池の残容量を演算し、また電池の劣化度を演算し、さらに電池のメモリ効果を検出して、その演算結果と検出結果を通信端子22から筒形電池を装置する機器に出力する。
【0043】
電池の残容量を演算するデータ処理回路は、電池を充放電する電流を積算して残容量を演算する。すなわち、残容量を演算するデータ処理回路は、充電電流を積算して残容量に加算し、また放電電流を積算して残容量から減算して残容量を演算する。残容量の演算に使用する電池の充放電電流は、電池が装着される電気機器(図示せず)で検出して通信端子22からデータ処理回路に伝送し、あるいはデータ処理回路に電流検出回路を内蔵して充放電電流を検出する。
【0044】
電池の劣化度を検出するデータ処理回路は、電池の充放電サイクルを検出して劣化度を演算し、あるいは充電容量と放電容量のトータル容量から劣化度を演算する。電池は充放電サイクルが多くなると劣化するので、充放電サイクルをカウントして劣化度を検出できる。また、電池は充電量と放電量が多くなるにしたがって劣化するので、充電容量と放電容量のトータル容量から劣化度を演算することができる。
【0045】
さらに、電池のメモリ効果を検出するデータ処理回路は、電池の充放電状態からメモリ効果を検出する。ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池は、浅い充放電を繰り返すとメモリ効果によって、実質的に充放電できる容量が小さくなる。したがって、浅い充放電が繰り返されたことを検出して、メモリ効果によって実質容量が小さくなったことを検出できる。データ処理回路は、電池の実質容量がメモリ効果で小さくなると、このことを示す信号を通信端子22から、電気機器に出力する。電気機器は、電池のメモリ効果を示す信号が入力されると、電池を深く放電した後、満充電してメモリ効果を解消する。
【0046】
以上のデータ処理回路は、電池の残容量と、劣化度と、メモリ効果を検出するが、本発明の筒形電池は、必ずしもこれらの全てを検出する必要はなく、いずれかひとつを検出し、またはふたつを検出し、さらに、残容量と劣化度とメモリ効果以外の特性、たとえば電池の温度による実質容量などを検出して電気機器に出力することもできる。
【0047】
図に示す回路基板21のデータ処理回路は、素電池10から供給される電力で動作する構造としている。したがって、回路基板21は素電池10の正極と負極に接続される。図の回路基板21は、素電池10の正極と負極に接続するために切欠部21A、21Bを設けている。図の回路基板21は、外周にふたつの切欠部21A、21Bを設けている。一方の切欠部21Aは正極用、他方の切欠部21Bは負極用である。
【0048】
図の回路基板21は、接続金属プレート17を介して素電池10の正極に接続される。接続金属プレート17は、回路基板21に接続する接続タブ17Aを外周に突出して設けている金属板で、封口板13の上面に固定している。図4と図5に示す素電池10は、封口板13の上面に固定する接続金属プレート17を、凸部電極14と電気接続し、凸部電極の一部として設けている。これらの図の凸部電極14は、下部の外径を大きくして、二段絞り形状として、下部に段差部14Aを設けている。この凸部電極14は、段差部14Aに回路基板21を載せ、凸部電極14で回路基板21を下面から支持して定位置に配置できる。段差部14Aに支持される回路基板21は、貫通孔26の内径を、段差部14Aの外径よりも小さく、段差部14Aよりも上方における凸部電極14の外径よりも大きくしている。接続金属プレート17はスポット溶接して封口板13に固定される。接続金属プレート17は、接続タブ17Aを上向きに折曲して、回路基板21の切欠部21Aに配置しており、ハンダ付け、スポット溶接、ワイヤボンディング等の方法で回路基板21に接続される。なお、接続金属プレート17は、リング形状を備えているが、封口板13より、電力損失を少なくして電力を伝達できる構造であれば、リング形状以外の形状でもよい。
【0049】
さらに、回路基板21は、図2と図3に示すように、負極端子27を介して素電池10の負極に接続される。回路基板21は、素電池10の負極である外装缶12に接続される負極端子27を固定している。この負極端子27は金属板で、回路基板21の切欠部21Bに位置するように配置されて、ハンダ付け、スポット溶接、ワイヤボンディング等の方法で回路基板21に接続している。切欠部21Bに配置される負極端子27は、スポット溶接等の方法で外装缶12のカシメ凸条15に固定される。
【0050】
以上の回路基板21は、素電池10から電力が供給されるが、本発明の筒形電池は、必ずしも素電池から回路基板に電力を供給する構造とする必要はない。回路基板は、通信端子から電力を供給することもできる。この筒形電池は、たとえば、回路基板の出力側を、電池の負極に接続するが、電池の正極には接続することなく通信端子に接続する。この筒形電池は、外部電子機器(例えば充電器)に接続される状態で、外部電子機器の出力端子に接続される通信端子から電力が供給される。この筒形電池は、通常は、回路を動作させないで、外部電子機器を接続する状態でのみ電力を供給して回路を動作させる構造とすることができる。このデータ処理回路は、たとえば、外部電子機器から提供される各種電池に関する情報を記憶する回路とすることができる。この回路には、現在の満充電時の電池容量、充電回数、メモリー効果を解消するための放電の必要性を表すリフレッシュ要求信号、寿命を表す寿命判定信号等が、電池情報として記憶される。
【0051】
回路基板21は、図6に示すように、通信端子22を接続する2つの通信端子用穴21Cを貫通孔26の対向する位置に設けている。この通信端子用穴21Cは、図7に示す通信端子22の2つの半田端子22Aを挿通できるスリット状である。回路基板21は、このスリットに挿通される通信端子22の半田端子22Aをハンダ付けする導通部(図示せず)を表面に設けている。通信端子用穴21Cに挿通された半田端子22Aは、ハンダ付けして回路基板21に接続される。さらに、回路基板21は、図8と図9に示す第1の成形絶縁体24の支え足24aを挿通する位置決め孔21Dを設けている。位置決め孔21Dは、支え足24aの外径よりもわずかな大きな内径で、ここに支え足24aが挿通されて、回路基板21と第1の成形絶縁体24が定位置に連結される。
【0052】
通信端子22は、図7に示すように、金属板を所定の幅の平面視円形のリング状に裁断して、対向位置に一対の半田端子22Aを設けている。半田端子22Aは下方に折曲されて、先端を回路基板21の通信端子用穴21Cに挿通して回路基板21にハンダ付けして接続される。一対の半田端子22Aは同じ高さで、通信端子22を回路基板21から離して、回路基板21と平行に固定する。この通信端子22は、半田端子22Aの長さで回路基板21との間隔を調整できる。半田端子22Aを長くして、通信端子22と回路基板21との間隔を広く、短くして通信端子22と回路基板21との間隔を狭くできる。リング状の通信端子22は、内径を凸部電極14の外径よりも大きくして、凸部電極14に接触しないようにしている。また、通信端子22の外径は、素電池10の外径よりも小さくして、外周を第2の成形絶縁体25で絶縁している。
【0053】
第1の成形絶縁体24と第2の成形絶縁体25は、プラスチック等の絶縁材を成形して製作される。第1の成形絶縁体24は、回路基板21と通信端子22との間にあって、通信端子22を回路基板21から絶縁する。第2の成形絶縁体25は、基板組立20の外周部をカバーする。
【0054】
第1の成形絶縁体24を上下から見た斜視図を図8と図9に示す。これらの図に示す第1の成形絶縁体24は、全体の形状を円盤状とし、下面に複数の支え足24aを突出する形状にプラスチックを成形している。中心には素電池10の凸部電極14を挿通する貫通孔26を設けて、外径を素電池10の外径よりも小さくしている。貫通孔26は、凸部電極14の外径よりも内径をわずかに大きくして、凸部電極14を狭い隙間で挿入できるようにしている。また、第1の成形絶縁体24は、上面の外周縁に沿って、通信端子22を嵌着する平面視円形のリング状の凹部24bを設けている。通信端子22は凹部24bに嵌着されて、定位置に配置される。図に示す第1の成形絶縁体24は、3組の支え足24aを設けている。各々の支え足24aは、基板組立20を素電池10に固定する状態で、素電池10のリング溝16に案内されて、基板組立20を素電池10の定位置に連結する。したがって、支え足24aは、先端を素電池10のリング溝16の底に当接する状態で、基板組立20を素電池10の定位置に配置する長さと位置に設けられる。さらに、図に示す第1の成形絶縁体24は、第2の成形絶縁体25を定位置に連結するために、外周に位置決め凸部24cを設けている。
【0055】
第2の成形絶縁体25は、第1の成形絶縁体24に連結されて、基板組立20の外周と上面外周部をカバーして絶縁する。第2の成形絶縁体25を上下から見た斜視図を図10と図11に示す。これらの図に示す第2の成形絶縁体25は、全体の形状をリング状として、断面形状をL字状としている。この形状の第2の成形絶縁体25は、基板組立20の外周面をカバーする周壁部25Bと、基板組立20の先端面をカバーする端面カバー部25Aとを連結してL字状としている。端面カバー部25Aは、開口部25aの内径を、通信端子22の外径にほぼ等しく、正確には通信端子22の外径よりもわずかに大きくしている。この形状の第2の成形絶縁体25は、図2の斜視図、図4の断面斜視図に示すように、端面カバー部25Aの開口部25aに通信端子22を配置して、端面カバー部25Aと通信端子22の表面を同一面に配置する。さらに、図に示す第2の成形絶縁体25は、通信端子22の対向位置に折曲して設けられた一対の半田端子22Aを位置決めしながら嵌入する嵌入凹部25bを、開口部25aの内周に設けている。この第2の成形絶縁体25は、通信端子22に設けた一対の半田端子22Aを、開口部25aの嵌入凹部25bに案内する状態で配置されて、通信端子22を開口部25aの定位置に配置する。
【0056】
さらに、図10と図11に示す第2の成形絶縁体25は、開口部25aの内周に、第1の成形絶縁体24の外周に設けた位置決め凸部24cを嵌入する位置決め凹部25cを設けている。第2の成形絶縁体25は、第1の成形絶縁体24に設けた位置決め凸部24cを、開口部25aの位置決め凹部25cに案内する状態で配置されて、第1の成形絶縁体24を開口部25aの定位置に連結する。さらにまた、図11に示す第2の成形絶縁体25は、第1の成形絶縁体24に係止する凸状の3つの係止爪25dを一体的に成形して設けている。この図に示す第2の成形絶縁体25は、端面カバー部25Aの開口部25aの内面に内側に突出して係止爪25dを設けている。この係止爪25dは、図4に示すように、第2の成形絶縁体25のプラスチックで成形されて弾性変形して、第1の成形絶縁体24に係止される。第1の成形絶縁体24は、3つの係止爪25dを係止するために、外周に3つの係止凹部24dを設けている。
【0057】
第2の成形絶縁体25は、図4の断面斜視図に示すように、端面カバー部25Aでもって、回路基板21の表面と、第1の成形絶縁体24の外周面と、通信端子22の外周面をカバーして絶縁し、周壁部25Bでもって、回路基板21の外周をカバーして絶縁する。図4の筒形電池は、第1の成形絶縁体24と通信端子22の外径を同一にして、第1の成形絶縁体24と通信端子22の外周面を同一面に位置させる。同一面に位置する第1の成形絶縁体24と通信端子22の外周面は、第2の成形絶縁体25の端面カバー部25Aの開口部25aの内周面でカバーしている。
【0058】
以上の筒形電池は、以下の工程で組み立てられる。
(1)素電池10の封口板13に接続金属プレート17を、スポット溶接して連結する。
(2)回路基板21にデータ処理回路を実現する電子部品を実装する。
(3)負極端子27を回路基板21の切欠部21Bに位置するように、回路基板21にハンダ付けやスポット溶接等の方法で接続する。
(4)回路基板21の表面に第1の成形絶縁体24を積層して、回路基板21と第1の成形絶縁体24を連結する。第1の成形絶縁体24は、支え足24aを位置決め孔21Dに挿入して、回路基板21の定位置に連結される。
(5)第1の成形絶縁体24の表面に設けている凹部24bに通信端子22を配置し、さらに、通信端子22の半田端子22Aを、回路基板21に設けているスリット状の通信端子用穴21Cに挿入して、その先端部を回路基板21にハンダ付けして連結する。半田端子22Aを介して回路基板21に固定される通信端子22は、第1の成形絶縁体24を挟着して固定する。
(6)図2に示すように、第1の成形絶縁体24と通信端子22を連結してなる回路基板21を、素電池10に連結する。このとき、素電池10の凸部電極14を、第1の成形絶縁体24と回路基板21の貫通孔26に挿通する。回路基板21は、接続金属プレート17の接続タブ17Aを介して電池の正極に、負極端子27を介して電池の負極に接続される。接続金属プレート17の接続タブ17Aは、回路基板21の切欠部21Aに配置されて、回路基板21にハンダ付けやスポット溶接等の方法で接続される。負極端子27は、外装缶12のカシメ凸条15にスポット溶接して接続される。
(7)図3に示すように、第2の成形絶縁体25が第1の成形絶縁体24に連結される。第2の成形絶縁体25は、図4に示すように、係止爪25dを第1の成形絶縁体24の係止凹部14dに引っ掛けて、第1の成形絶縁体24に連結される。
(8)最後に、基板組立20と素電池10の外周面を絶縁チューブ(図示せず)で被覆する。絶縁チューブは熱収縮チューブで、筒形電池の両端面を開口する状態で、外周をカバーして絶縁する。
【0059】
以上の実施例の筒形電池は、基板組立20が、データ処理回路を実装する回路基板21と、この回路基板21のデータ処理回路に接続してなる通信端子22とを備えている。ただ、本発明の筒形電池は、回路基板に実装する回路をデータ処理回路に特定しない。本発明の筒形電池は、基板組立に種々の電子素子を実装して多機能にできる特長がある。この筒形電池は、基板組立に、たとえば、素電池の残容量を表示する回路を実装することができる。この基板組立は、残容量表示回路として、回路基板に、残容量検出回路と作動スイッチと表示部とを実装する。この残容量表示回路は、作動スイッチをオンとする状態で、残容量検出回路が素電池の残容量を検出し、この残容量に応じて表示部で表示することができる。残容量検出回路は、素電池の電圧を検出し、この検出電圧から素電池の残容量を判定する。作動スイッチには押圧スイッチが使用でき、表示部にはLEDが使用できる。この残容量表示回路は、押圧スイッチを押すことにより、素電池の残容量をLEDの点灯状態で表示できる。残容量表示回路は、素電池の残容量に応じて、たとえば、残存量が0〜20%のときにはLEDを消灯し、残存量が20〜80%のときにはLEDを点滅し、残存量が80〜100%のときにはLEDを点灯させて残容量を表示できる。さらに、残容量表示回路は、点灯するLEDの色や、点灯状態を種々に変更して素電池の残容量を段階別に表示することもできる。このように、基板組立に、素電池の残容量表示回路を備える筒形電池は、簡単に電池の残容量をチェックできるので、極めて便利に使用できる。
【0060】
以下、図12ないし図15に、全体の外形サイズを規格電池の外形としてなる筒形電池であって、電池の残容量を表示する機能を備える筒形電池を示す。図に示す筒形電池は、外形サイズを単三形電池規格とする円筒状の単三形電池である。ただ、筒形電池は、単三形電池に特定せず、規格形状の外形を有する筒形電池であって、その形状を円筒状の単一形電池、単二形電池、単四形電池とすることも、あるいは、角型電池とすることもできる。
【0061】
図12ないし図15に示す筒形電池は、素電池30の凸部電極34側の端部に基板組立40を固定している。素電池30は、図15に示すように、密閉構造の外装ケース31に、電極39と電解液を入れている。外装ケース31は、金属板を円筒状にプレス加工して製作される外装缶32と、この外装缶32の開口部を閉塞する金属板の封口板33からなる。外装缶32は、封口板33の外周縁に沿ってカシメ加工して、開口部を封口板33で密閉している。封口板33の外周縁には、カシメ加工によるカシメ凸条35が設けられる。封口板33と外装缶32は絶縁材38を介してカシメ加工され、周知の技術のように、封口板33は正極の電極に、外装缶32は負極の電極に接続される。封口板33は中央部に凸部電極34を設けて、この凸部電極34とカシメ凸条35との間にリング溝36を設けている。
【0062】
筒形電池は、素電池30の凸部電極34側に基板組立40を固定する状態で、外形サイズを規格電池の外形としている。したがって、素電池30は、基板組立40を固定しない通常の規格電池に比較すると、基板組立40の大きさに相当して小さくしている。基板組立40は、素電池40の凸部電極34側に固定されるので、この部分を小さく、すなわち、外装缶32の長さをわずかに短くしている。ただ、本発明の筒形電池は、素電池30の凸部電極34を基板組立40から突出させて出力端子の正極に使用することから、凸部電極34の先端から外装缶32の底部までの寸法は、基板組立が固定されない一般的な規格電池の寸法としている。このため、本発明の筒形電池は、素電池30の凸部電極34が封口板33から突出する高さを、一般的な規格電池よりも高くしている。図に示す筒形電池は、素電池30に基板組立40を固定する状態で、外形サイズを単三形電池規格の外形とする。言い換えると、基板組立40の外形は、これを素電池30に固定する状態で、筒形電池の外形が単三形電池規格となる形状に製作される。
【0063】
基板組立40は、図12ないし図15に示すように、電池の残容量を演算するデータ処理回路(図示せず)を実装する回路基板41と、回路基板41を絶縁しながら定位置に配置するための成形絶縁体43とを備える。成形絶縁体43は、回路基板41の上方であって、素電池30の凸部電極34側に連結されて、回路基板41の全体をカバーしている。
【0064】
図の筒形電池は、基板組立40を素電池30の凸部電極34側の端部に固定する状態で、素電池30の凸部電極34を基板組立40から突出させて正極側の出力端子として使用する。このため、基板組立40は、中央部に、素電池30の凸部電極34を挿通する貫通孔46を設けている。この貫通孔46に凸部電極34を挿通して、基板組立40は素電池30の端部の定位置に配置される。回路基板41は、リング形状とすることで、基板面積を大きく確保できると共に、封口板33の凸部電極34に嵌め込むことで基板固定が容易となる。
【0065】
ただ、本発明は、基板組立の形状を、素電池の凸部電極を挿通する貫通孔を有するリング形状に特定しない。基板組立は、図示しないが、素電池の凸部電極側の端面に配設できる種々の形状とすることもできる。筒形電池は、たとえば、素電池を円筒形電池とする場合には、基板組立の形状を、円筒形電池の外周に沿う円弧状の外形を有するC字状やおうぎ形状とすることができ、また、素電池を角型電池とする場合には、基板組立の形状を、角型電池の外周に沿う直方体形状とすることもできる。これらの基板組立は、凸部電極の全周に沿って配置することなく、凸部電極の周囲の一部分にのみ配置することもできる。
【0066】
図12ないし図15に示す筒形電池は、基板組立40の回路基板41に実装されるデータ処理回路で電池の残容量を検出する。電池の残容量を演算するデータ処理回路は、図示しないが、素電池30の電圧から残容量を演算する残容量判定部を備えている。データ処理回路は、素電池30の電圧を検出する電圧検出回路を備えており、この電圧検出回路で検出される検出電圧から、残容量判定部が素電池30の残容量を判定する。残容量判定部は、たとえば、メモリ等の記憶回路に記憶される基準電圧と検出電圧とを比較して電池の残容量を演算する。
【0067】
さらに、図の基板組立40は、データ処理回路で検出した電池の残容量を表示する表示部44と、この表示部が残容量を表示するスイッチ45とを備えている。図16に示す表示部44とスイッチ45は、回路基板41に固定している。ただ、表示部とスイッチは、成形絶縁体に固定することもできる。
【0068】
図に示す表示部44は、LEDである。LEDである表示部44は、上方をカバーする成形絶縁体43の全体あるいは一部を透光性のあるプラスチック製として、内側に配設されるLEDの光を透過させて外部に照射する。この成形絶縁体43は、表示部44を表出させる開口窓を設けることなく、LEDの発光を透過させて外部に表示できる。ただ、成形絶縁体は、表示部を表出させる開口窓を開口して、この開口窓から表示部を表出させて電池の残容量を外部に表示することもできる。
【0069】
LEDである表示部44は、電池の残容量の程度に応じて点灯状態を変化させて表示する。表示部44は、例えば、電池の残容量に応じて、LEDの色を変化させたり、あるいは点滅パターンを変化させて表示する。表示部が、電池の残容量に応じて、LEDの発光色を変化させる構造は、外観良く、また、残容量を明確に表示できる特徴がある。表示部が、電池の残容量に応じて、LEDの点滅パターンを変化させる構造は、単色のLEDを用いて表示できる。このため、省スペース、低コストに設計できる特徴がある。単色のLEDを使用する表示部は、残容量の程度によってLEDの点滅周期を変更して、残容量の違いを段階的に表示することもできる。表示部は、たとえば、素電池の残容量に応じて、「消灯」「点滅」「点灯」の3種類に区別して表示することができる。LEDの点灯パターンは、データ処理回路のメモリに記憶することができる。ただ、表示部は、必ずしもLEDに特定せず、電池の残容量を外部に表示できる他の全ての構造とすることができる。表示部は、たとえば、液晶ディスプレイ等のように、電池の残容量の程度により表示形式を変えて表示できるものも使用できる。
【0070】
スイッチ45は、外部から操作できるように、成形絶縁体43から表出して配設している。データ処理回路は、このスイッチ45が操作されると、素電池1の残容量を検出して表示する。このデータ処理回路は、スイッチ45が操作されるタイミングにおいて、素電池1の残容量を検出することにより、素電池1の電力が回路に供給され続けて電力が無駄に消費されるのを有効に防止できる。さらに、データ処理回路は、タイマーを設けて、残容量を検出した後、所定の時間だけ表示部44が点灯表示する構造として、素電池30の電力を節約しながら、確実に残容量を表示できる。
【0071】
以上のように、残容量を検出するデータ処理回路を実装する筒形電池は、使用する際や保存する際に、別の機器を使用することなく、簡単に残容量を確認することができ、簡単な構造で製造できる特徴がある。
【0072】
以上の回路基板41のデータ処理回路は、素電池30から供給される電力で動作する構造としている。したがって、回路基板41は素電池30の正極と負極に接続される。図13と図14に示す回路基板41は、素電池30から電力を供給するために、素電池30の正極と負極に接続するための切欠部としての貫通孔41Aと切欠部41Bを設けている。ただ、回路基板は、外周に至るふたつの切欠部を設けて、一方の切欠部を正極用、他方の切欠部を負極用とすることもできる。
【0073】
図の回路基板41は、凸部電極34を介して素電池30の正極に接続している。凸部電極34は、図14と図15に示すように、円形の平面部の中心部に突出部を有する形状に金属板をプレス成形しており、平面部である接続金属プレート37を封口板33の上面に固定して素電池30の正極に接続している。凸部電極34の接続金属プレート37は、スポット溶接して封口板33に固定している。接続金属プレート37は、リング形状を備え、回路基板41に接続する接続タブ37Aを外周部から突出して設けている。接続金属プレート37は、接続タブ37Aを上向きに折曲して、回路基板41の貫通孔41Aに挿通しており、ハンダ付け、スポット溶接、ワイヤボンディング等の方法で回路基板41に接続される。なお、接続金属プレート37は、封口板33より、電力損失を少なくして電力を伝達できる構造であれば、リング形状以外の形状でもよい。
【0074】
さらに、回路基板41は、図13と図14に示すように、負極端子47を介して素電池30の負極に接続している。回路基板41は、素電池30の負極である外装缶32に接続される負極端子47を固定している。この負極端子47は金属板で、回路基板41の切欠部41Bに位置するように配置されて、ハンダ付け、スポット溶接、ワイヤボンディング等の方法で回路基板41に接続している。切欠部41Bに配置される負極端子47は、スポット溶接等の方法で外装缶32のカシメ凸条35に固定される。
【0075】
成形絶縁体23は、プラスチック等の絶縁材を成形して製作される。内側に配設される表示部44であるLEDの光を透過させて外部に照射する成形絶縁体43は、全体あるいは一部を透光性のあるプラスチック製とする。ただ、表示部を表出させる開口窓を開口する成形絶縁体は、非透光性のプラスチックで製作することもできる。
【0076】
成形絶縁体23は、図12ないし図15に示すように、回路基板41の上方をカバーする状態で配設されて、中心部から凸部電極34を突出させる。成形絶縁体23は、図17に示すように、全体の形状をリング状として、断面形状をL字状としている。この形状の成形絶縁体23は、回路基板41の外周面をカバーする周壁部43Bと、回路基板41の上面をカバーする端面カバー部43Aとを連結してL字状としている。
【0077】
周壁部43Bは、下端部の内側に回路基板41を収納できるように、その内径を回路基板の外径とほぼ等しくし、あるいはやや大きくしている。さらに、周壁部43Bは、その外径を素電池30の外径とほぼ等しくしており、筒形電池全体の外観を、規格電池の外観に近似する形状としている。さらに、図に示す周壁部43Bは、回路基板41に固定されたスイッチ45を外部に表出させる開口部43aを開口している。そして、使用者は、開口部43aより、スイッチ45の突出部を押圧することより、スイッチ45を動作させることができる。
【0078】
端面カバー部43Aは、中心部に、素電池30の凸部電極34を挿通する貫通孔46を設けている。貫通孔46は、凸部電極34の外径よりも内径をわずかに大きくして、凸部電極34を狭い隙間で挿入できるようにしている。
【0079】
以上の成形絶縁体23は、素電池30の凸部電極34側の端部に配設されて、図12と図15に示すように、周壁部25Bでもって、回路基板21の外周をカバーして絶縁し、端面カバー部25Aでもって、回路基板21の表面をカバーして絶縁する。この成形絶縁体43は、貫通孔46に凸部電極34を挿通させて、周壁部43Bの下端面を素電池30のカシメ凸条35に当接させると共に、開口部43aからスイッチ45を表出させる姿勢で定位置に配置される。素電池30の端部の定位置に配置される成形絶縁体23は、凸部電極34を端面カバー部43Aから突出させて、凸部電極34の先端を基板組立40の上面よりも突出させている。
【0080】
以上の筒形電池は、以下の工程で組み立てられる。
(1)素電池30の封口板33に凸部電極34を固定する。凸部電極34は、接続金属プレート37を、スポット溶接して封口板33に固定される。
(2)回路基板41に残容量を検出するデータ処理回路を実現する電子部品を実装する。
(3)負極端子47を回路基板41の切欠部41Bに位置するように、回路基板41にハンダ付けやスポット溶接等の方法で接続する。
(4)図14に示すように、回路基板41を、素電池30に連結する。このとき、素電池30の凸部電極34を、回路基板41の貫通孔46に挿通し、接続金属プレート37の接続タブ37Aを貫通孔41Aに挿通する。
(5)図13に示すように、素電池30の定位置に配設された回路基板41を素電池30に電気接続する。回路基板41は、接続金属プレート37の接続タブ37Aを介して電池の正極に、負極端子47を介して電池の負極に接続される。接続金属プレート37の接続タブ37Aは、回路基板41の貫通孔41Aに挿通されて、回路基板41にハンダ付けやスポット溶接等の方法で接続される。負極端子47は、外装缶12のカシ3凸条35にスポット溶接して接続される。
(6)図12に示すように、成形絶縁体43を素電池30の端部に連結する。成形絶縁体43は、貫通孔46に凸部電極34を挿通させて、周壁部43Bの下端面を素電池30のカシメ凸条35に当接させる状態で、回路基板41の外周面に連結される。成形絶縁体43は、接着して、あるいは超音波溶着して、あるいはまた、係止構造で回路基板41に固定される。成形絶縁体43は、開口部43aからスイッチ45を表出させる姿勢で定位置に配置されて、凸部電極34の先端を基板組立40の上面よりも突出させる姿勢で連結される。
(7)最後に、基板組立40と素電池30の外周面を絶縁チューブ(図示せず)で被覆する。絶縁チューブは熱収縮チューブで、筒形電池の両端面を開口する状態で、外周をカバーして絶縁する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施例にかかる筒形電池の凸部電極側を示す斜視図である。
【図2】図1に示す筒形電池の分解斜視図である。
【図3】図2に示す筒形電池の分解斜視図である。
【図4】図1に示す筒形電池の断面斜視図である。
【図5】素電池の凸部電極側を示す斜視図である。
【図6】回路基板の背面斜視図である。
【図7】通信端子の斜視図である。
【図8】第1の成形絶縁体の斜視図である。
【図9】図8に示す第1の成形絶縁体の背面斜視図である。
【図10】第2の成形絶縁体の斜視図である。
【図11】図10に示す第2の成形絶縁体の背面斜視図である。
【図12】本発明の他の実施例にかかる筒形電池の凸部電極側を示す斜視図である。
【図13】図12に示す筒形電池の分解斜視図である。
【図14】図13に示す筒形電池の分解斜視図である。
【図15】図12に示す筒形電池の断面斜視図である。
【図16】回路基板の斜視図である。
【図17】成形絶縁体の斜視図である。
【符号の説明】
【0082】
10…素電池
11…外装ケース
12…外装缶
13…封口板
14…凸部電極 14A…段差部
15…カシメ凸条
16…リング溝
17…接続金属プレート 17A…接続タブ
18…絶縁材
19…電極
20…基板組立
21…回路基板 21A…切欠部
21B…切欠部
21C…通信端子用穴
21D…位置決め孔
22…通信端子 22A…半田端子
23…成形絶縁体
24…第1の成形絶縁体 24a…支え足
24b…凹部
24c…位置決め凸部
24d…係止凹部
25…第2の成形絶縁体 25A…端面カバー部
25B…周壁部
25a…開口部
25b…嵌入凹部
25c…位置決め凹部
25d…係止爪
26…貫通孔
27…負極端子
28…ASIC
29…外付け部品
30…素電池
31…外装ケース
32…外装缶
33…封口板
34…凸部電極
35…カシメ凸条
36…リング溝
37…接続金属プレート 37A…接続タブ
38…絶縁材
39…電極
40…基板組立
41…回路基板 41A…貫通孔
41B…切欠部
43…成形絶縁体 43A…端面カバー部
43B…周壁部
43a…開口部
44…表示部
45…スイッチ
46…貫通孔
47…負極端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素電池(10)の凸部電極(14)側の端部に基板組立(20)を固定してなる筒形電池であって、素電池(10)は、密閉構造の外装ケース(11)に電極(19)と電解液を入れてなる構造であって、この外装ケース(11)は、筒状の外装缶(12)の開口部をカシメ加工して封口板(13)で閉塞して、封口板(13)の外周縁にはカシメ加工によってカシメ凸条(15)を設けており、さらに、封口板(13)は中央部に凸部電極(14)を設けて、凸部電極(14)を正極、外装缶(12)を負極としており、
さらに、前記基板組立(20)は、データ処理回路を実装する回路基板(21)と、この回路基板(21)のデータ処理回路に接続してなる通信端子(22)と、前記回路基板(21)を絶縁して通信端子(22)を定位置に配置している成形絶縁体(23)とを備え、
基板組立(20)は、素電池(10)の凸部電極(14)を挿通する貫通孔(26)を中央部に有すると共に、この貫通孔(26)の周囲であって基板組立(20)の上面にリング状の通信端子(22)を固定しており、
回路基板(21)に接続する接続タブ(17A)を備える接続金属プレート(17)が封口板(13)の表面に固定され、
前記素電池(10)の凸部電極(14)が基板組立(20)の貫通孔(26)に挿通されて、基板組立(20)が素電池(10)の凸部電極(14)側の端部に固定されると共に、前記接続金属プレート(17)の接続タブ(17A)が回路基板(21)に接続されて、回路基板(21)が凸部電極(14)に接続され、さらに、素電池(10)の凸部電極(14)は、固定される基板組立(20)の上面から突出する高さを有し、さらにまた、前記素電池(10)に前記基板組立(20)が固定されて、全体の外形サイズを規格電池の外形としてなる筒形電池。
【請求項2】
全体の外形サイズを単三形電池規格の外形としてなる請求項1に記載される筒形電池。
【請求項3】
回路基板に実装されるデータ処理回路が、素電池(10)の正極と負極に接続されて素電池(10)から電力が供給される請求項1に記載される筒形電池。
【請求項4】
成形絶縁体(23)が、回路基板(21)と通信端子(22)との間に配設される第1の成形絶縁体(24)と、この第1の成形絶縁体(24)に連結されて、回路基板(21)と通信端子(22)の外周部をカバーする第2の成形絶縁体(25)とを備える請求項1または2に記載される筒形電池。
【請求項5】
第1の成形絶縁体(24)が、通信端子(22)を嵌着するリング状の凹部(24b)を有し、この凹部(24b)に通信端子(22)を嵌着している請求項1または2に記載される筒形電池。
【請求項6】
凸部電極(14)とカシメ凸条(15)との間にリング溝(16)を設けると共に、第1の成形絶縁体(24)が、回路基板(21)に設けている位置決め孔(21D)に挿通される支え足(24a)を備え、この支え足(24a)が回路基板(21)を貫通してリング溝(16)に配設されて、第1の成形絶縁体(24)を素電池(10)の定位置に固定している請求項1または2に記載される筒形電池。
【請求項7】
回路基板(21)が外周縁に切欠部(21A)、(21B)を有し、この切欠部(21A)、(21B)において、回路基板(21)が素電池(10)の正極と負極に接続されてなる請求項1または2に記載される筒形電池。
【請求項8】
回路基板(21)に接続する接続タブ(17A)を外周に備える接続金属プレート(17)が封口板(13)の表面に固定され、この接続金属プレート(17)の接続タブ(17A)が回路基板(21)の切欠部(21A)において、回路基板(21)に接続されて、回路基板(21)が凸部電極(14)に接続されてなる請求項7に記載される筒形電池。
【請求項9】
回路基板(21)に実装されるデータ処理回路が、電池の残容量と、電池の劣化度と、電池のメモリ効果のひとつまたは複数の情報を演算して通信端子(22)から出力する請求項1または2に記載される筒形電池。
【請求項10】
素電池(10)、(30)の凸部電極(14)、(34)側の端部に基板組立(20)、(40)を固定してなる筒形電池であって、素電池(10)、(30)は、密閉構造の外装ケース(11)、(31)に電極(19)、(39)と電解液を入れてなる構造であって、この外装ケース(11)、(31)は、筒状の外装缶(12)、(32)の開口部をカシメ加工して封口板(13)、(33)で閉塞して、封口板(13)、(33)は中央部に凸部電極(14)、(34)を設けて、凸部電極(14)、(34)を正極、外装缶(12)、(32)を負極としており、
さらに、前記基板組立(20)、(40)は、電子素子を実装する回路基板(21)、(41)と、前記回路基板(21)、(41)を絶縁している成形絶縁体(23)、(43)とを備え、
回路基板(21)、(41)に接続する接続タブ(17A)、(37A)を備える接続金属プレート(17)、(37)が封口板(13)、(33)の表面に固定され、
基板組立(20)、(40)が素電池(10)、(30)の凸部電極(14)、(34)側の端部に固定されると共に、前記接続金属プレート(17)、(37)の接続タブ(17A)、(37A)が回路基板(21)、(41)に接続されて、回路基板(21)、(41)が凸部電極(14)、(34)に接続され、さらに、素電池(10)、(30)の凸部電極(14)、(34)は、固定される基板組立(20)、(40)の上面から突出する高さを有し、全体の外形サイズを規格電池の外形としてなる筒形電池。
【請求項11】
外装ケース(11)、(31)が、封口板(13)、(33)の外周縁にカシメ加工によってカシメ凸条(15)、(35)を設けており、回路基板(21)、(41)に接続する負極端子(27)、(47)がカシメ凸条(15)、(35)に接続されてなる請求項10に記載される筒形電池。
【請求項12】
前記基板組立(40)の回路基板(41)が残容量を演算するデータ処理回路を実装している請求項10に記載される筒形電池。
【請求項13】
前記回路基板(41)に実装されて残容量を演算するデータ処理回路が素電池(30)から供給される電力で動作し、残容量を演算するデータ処理回路を作動させるための電源となる素電池(30)と残容量が演算される素電池(30)が同一である請求項10に記載される筒形電池。
【請求項14】
前記基板組立(40)が、残容量の表示部(44)と、この表示部(44)が残容量を表示するスイッチ(45)とを備える請求項10に記載される筒形電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−181855(P2008−181855A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239120(P2007−239120)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】