説明

筒状シュリンクラベル、筒状シュリンクラベル付き容器およびこれらの製造方法

【課題】着色フィルムや厚手フィルムを超音波溶着してなる生産性に優れる筒状シュリンクラベルを提供する。
【解決手段】縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを延伸方向の所定サイズに切断してラベルを切り出し、前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、前記重ね部を超音波で溶着することを特徴とする。熱収縮率および接着強度に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延伸方向で切断したラベルの両端を筒状に重ねた後に超音波で溶着してなる筒状シュリンクラベル、該筒状シュリンクラベルを装着した容器およびこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲料などの容器に全周にわたる筒状シュリンクラベルが使用され、このようなシュリンクラベルを装着した容器として、予め筒状のシュリンクラベルを調製し、これを容器外周に外嵌し、ついで熱処理してシュリンク形成するものがある(特許文献1)。該特許文献1では、筒状シュリンクラベルを製造する際に、シュリンクラベルの両端部にホットメルト型接着剤を貼付し、このホットメルト型接着剤を介してラベル両端を筒状に張り合わせている。
【0003】
また、筒状にシュリンクラベルを接着する際に、レーザー光によって溶着し、得られた筒状シュリンクラベルを容器に外嵌装着する方法もある(特許文献2)。前記特許文献2で使用するラベルは、印刷が施された合成樹脂製フィルムの両端部を重ね合わせてレーザー光の照射によって溶着して筒状に形成したラベルであって、基材と、該基材の両面側に積層された表面層とを備え、該表面層は、前記基材よりも融点の低い材料からなり、前記両端部の溶着面は、印刷が施されていない無印刷部に形成されている、というものである。
【0004】
また、石油樹脂を含有するポリプロピレン系樹脂からなる表面層および中間層とを含む多層構造の熱収縮フィルムを、その熱収縮方向の両端部同士を相互に重ね合わせて筒状に形成し、その重ね合わせ部分の内周面側に、前記熱収縮フィルムの熱収縮方向に延びる多数の突条を備えたローレットを圧接し、前記重ね合わせ部分の外周面側から超音波シールしてなる筒状シュリンクラベルもある(特許文献3)。多層の熱収縮フィルムの端面が開放された状態であると、熱収縮処理やその後のレトルト殺菌処理によって各層が個別に収縮するため開放端部分で層間のズレが生じ外観を損ねる場合がある。しかしながら、前記多数の突条を備えたローレットを使用すると、その突条に対応して加振子に接触している外側の熱収縮フィルムが溶融され、その溶融部分が突条と加振子とによって圧接されて潰されるため、外側の熱収縮フィルムの表面層のみならず中間層が内側の熱収縮フィルムの表面層に溶着されるので、この筒状シュリンクラベルをガラス瓶に装着した状態でレトルト殺菌処理した場合でも、レトルト殺菌に伴う加熱によって表面層が熱収縮を起こすことがなく、表面層がずれて外観を損ねるといった問題が生じない、という。
【0005】
また、筒状シュリンクラベルの製造方法として、検出マークが印刷されたシュリンクラベル用ロールを切断マーク位置で切断した後に筒状に成形してなる筒状シュリンクラベルもある(特許文献4)。長尺の熱収縮性のフィルム基材には、所定間隔ごとに検出マークが印刷され、該検出マークをセンサで検出することによりラベルの位置合わせなどを行うが、前記検出マークを熱収縮時の熱で消去可能なインキで印刷することで、別途特別な加熱工程を経ることなく検出マークを目立たなくすることができ、各ラベル及びフィルムに施したデザイン等の所定の表示の邪魔になるのを防止できる、という。特許文献4では、熱収縮フィルムの熱収縮方向の両端部を接着して筒状に成形するため、熱収縮フィルムを切断した後に切断ラベルを90度回転させ、ラベル両端を筒状に接着している。
【特許文献1】特開2006−117269号公報
【特許文献2】特開2000−141469号公報
【特許文献3】特開平10−291252号公報
【特許文献4】特開2003−43922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の筒状シュリンクラベルは、ホットメルト型接着剤によって容器と筒状シュリンクラベルとを接着する方法であるため、接着後に容器が高温条件下にある場合には、ホットメルト型接着剤が溶融し外観を損なう場合がある。特に、該容器の内容物が加温製品の場合には、内容物の保管温度によって移送中や販売期間内にホットメルト型接着剤が溶融する恐れがあり、シュリンクラベルの場合には熱収縮処理を行う際にホットメルト型接着剤が溶け出す場合がある。加えて、反応性ホットメルト型接着剤を使用すると、硬化後に熱に対する耐性を有するが、反応時間が長いために生産性が低下する。
【0007】
また、特許文献2記載のラベルは、レーザー光によって筒状ラベルとしたものであるが、レーザーでの接着性を確保するため、使用するラベルの層構成が複雑となる場合がある。同様に、特許文献3記載のラベルも、本来石油樹脂の含有量の異なるポリプロピレン系樹脂を積層したラベルを使用するものであり、従来のラベルを筒状シュリンクラベルとして使用できる、というものではない。また、超音波シールには、特殊なロートレットが必要であり、装置が複雑である。
【0008】
シュリンクラベルは延伸方向に熱収縮するため、延伸方向と胴巻き方向とを一致させて容器に装着する。従来は、横一軸延伸フィルムを使用し、例えば特許文献4の図3に示すように、所定ラベル長さに切断した後に切断ラベルを90度回転させた後に筒状に成形し、直立する容器の上部から筒状ラベルを鉛直方向に装着していた。すなわち、シュリンクラベル用ロールの切断面を接着部として使用できないため、筒状に接着する際にラベルを90度回転させる工程が必要となっている。しかしながら、このような工程をなくすことができれば、筒状シュリンクラベルの製造がより簡単な工程で製造できる。
【0009】
更に、シュリンクラベルには、美粧性を確保したり製品内容を表示する目的で印刷層が形成され、またラベル装着位置を特定するために検出マークなどが印刷されるが、レーザー光は印刷層を透過できないため、レーザー溶着を行うことができず、接着部の近傍には印刷層を形成することができない場合がある。しかしながら、印刷層であっても接着方法があれば、より消費者のニーズに適する筒状シュリンクラベルを提供することができる。
【0010】
上記現状に鑑み、本発明は、接着剤を使用することなく製造される筒状シュリンクラベルを提供するものである。
【0011】
また本発明は、凹凸が際立つ容器にも装着することができ、容器形状の多様化、消費者の購買意欲を満たしうる、熱収縮率に優れる筒状シュリンクラベルを提供するものである。
【0012】
また本発明は、このような筒状シュリンクラベルを装着した容器を提供するものである。
【0013】
更に本発明は、簡便な工程で迅速に、生産効率に優れる筒状シュリンクラベルの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、筒状シュリンクラベルについて詳細に検討した結果、熱収縮率に優れる縦一軸延伸フィルムを使用して筒状シュリンクラベルを製造すれば、延伸方向と移送方向とを同方向にできるため、フィルムを所定のラベル長に切断した後に切断面を溶着部として筒状に形成でき、ラベルを90度回転する工程を省略できること、ラベル重ね部を超音波で溶着すれば接着剤の使用を行うことなく、かつ短時間で効率的に溶着することができること、および超音波によれば、印刷層を有する部分でも溶着でき、従来から溶着が困難であった発泡白色フィルムもシュリンクラベルとして使用できることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち本発明は、熱収縮性基材フィルムの延伸方向にあるラベル両端を溶着してなる筒状シュリンクラベルであって、縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを延伸方向の所定サイズに切断してラベルを切り出し、前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、前記重ね部を超音波で溶着することを特徴とする、筒状シュリンクラベルを提供するものである。
【0016】
また、前記筒状シュリンクラベルを装着し、熱収縮処理してなる筒状シュリンクラベル付き容器を提供するものである。
【0017】
また、縦一軸延伸してなる熱収縮性基材フィルムを延伸方向に搬送し、前記フィルムを延伸方向の所定ラベル長に切断し、前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、前記重ね部を超音波で溶着することを特徴とする、筒状シュリンクラベルの製造方法を提供するものである。
【0018】
さらに、縦一軸延伸してなる熱収縮性基材フィルムを延伸方向に搬送し、前記フィルムを延伸方向の所定ラベル長に切断し、前記ラベルを鉛直に配置されたシリンダにまき付けて前記切断端を重ね、前記重ね部を超音波で溶着して筒状シュリンクラベルを成形し、前記筒状シュリンクラベルの下部側または上部側から前記シリンダを抜き出し、かつラベルの上部側または下部側から容器を挿入して前記容器に筒状シュリンクラベルを装着し、ついで熱収縮処理することを特徴とする、筒状シュリンクラベル付き容器の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の筒状シュリンクラベルは接着剤を使用しないため、生産工程を簡略化することができ、コストも低下させることができる。また、ホットメルト型接着剤を使用する場合と比較して、広い温度幅の環境で保管、流通させることができる。
【0020】
本発明の筒状シュリンクレベルは超音波によって溶着するため、発泡白色シュリンクフィルムをシュリンクラベルとして使用することができ、また、発泡ポリオレフィン系フィルムなど厚みのあるフィルムに適し、シュリンクラベルの範囲を拡げることができる。
【0021】
本発明の筒状シュリンクレベルは、超音波で筒状に溶着するため、外観に優れるシュリンクラベル付き容器を提供することができると共に、短時間で溶着しうるため生産効率に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の第一は、熱収縮性基材フィルムの延伸方向にあるラベル両端を溶着してなる筒状シュリンクラベルであって、縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを延伸方向の所定サイズに切断してラベルを切り出し、前記ラベルの切断した両端を筒状に重ね、重ね部を超音波で溶着したことを特徴とする、筒状シュリンクラベルである。
【0023】
縦一軸延伸基材フィルムを使用することで、延伸方向にフィルムを移送して切断し、切断面を筒状に重ねて溶着することで筒状シュリンクラベルを製造することができ、このため溶着の際にラベル方向を90度回転させる必要がなく、従来よりもラベラーの構造を簡略化することができる。また、超音波で溶着するため不透明の発泡基材フィルムや印刷でも溶着することができる。以下、本発明の筒状シュリンクラベル、筒状シュリンクラベル付き容器、筒状シュリンクラベルの製造方法について説明する。
【0024】
(1)筒状シュリンクラベルの構成
本発明の筒状シュリンクラベルは、縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを延伸方向の所定サイズに切断し、前記ラベルの切断した両端を筒状に重ね、重ね部を超音波で溶着して調製される。従って、図1に示すように、得られた筒状シュリンクラベル(100)は、ラベル(30)の両端の重ね部(37)に超音波シール部(35)が形成されたものであり、円周方向と二重矢印で示すラベル延伸方向とが同方向となっている。
【0025】
筒状シュリンクラベルの長さや太さは、装着する容器の形状や装着の態様に応じて適宜選択することができる。一方、超音波シール(35)の幅は、0.5〜15mmであることが好ましく、より好ましくは3〜13mm、特に好ましくは5〜10mmである。この範囲で、十分な溶着強度を確保することができる。
【0026】
また、超音波シールのための筒状シュリンクラベルの溶着部の重ね部(37)の幅は、5〜25mmであることが好ましく、より好ましくは5〜20mmである。この範囲であれば、上記超音波シール幅を十分に確保することができ、かつラベルの美粧性を確保することができる。
【0027】
本発明の筒状シュリンクラベル(100)は、熱収縮性基材フィルムのラベル最内層または最外層にデザイン印刷層を有するものであってもよい。レーザー光による溶着の場合には、印刷層がレーザー光の吸収を阻害するため、溶着部に印刷層を形成することができなかった。しかしながら、本発明では超音波振動によって溶着するものであり、溶着部分は印刷層の有無を問わず溶着することができる。
【0028】
なお、前記重ね部の溶着部と平行に、1以上のミシン目列が形成されていてもよい。使用後の容器からラベルを離脱することが容易だからである。
【0029】
(i)熱収縮性基材フィルム
本発明の筒状シュリンクラベルは、縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを使用する。
【0030】
熱収縮性基材フィルムとしては、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、発泡ポリエステル系フィルム、発泡ポリスチレン系フィルム、およびこれらのフィルムの2種以上の積層フィルムであって、縦一軸延伸したものを好適に使用することができる。より好ましくは、前記ポリオレフィン系フィルムが縦一軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、前記ポリエステル系フィルムが縦一軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムであり、前記発泡ポリオレフィン系フィルムが発泡縦一軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、発泡ポリエステル系フィルムが、発泡縦一軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリエステル−ポリスチレン共押出しフィルムの縦一軸延伸フィルムなどである。従来から、縦一軸延伸フィルムは存在したが、縦一軸延伸フィルムをシュリンクラベルとして使用することはなかった。しかしながら、本発明では縦一軸延伸フィルムを使用することで製造工程を簡略化できることを見出し、特に縦一軸延伸フィルムに限定して使用することにした。
【0031】
一般には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂の1種または2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて単層で製膜化したもの、または2種以上の樹脂を使用して共押し出しなどで多層製膜したもの、または2種以上の樹脂を混合使用して製膜したものを使用することができ、テンター方式やチューブラー方式等で縦一軸延伸してなる各種の延伸フィルムを使用することができる。
【0032】
本発明において、熱収縮性基材フィルムの厚みは特に限定されないが、耐熱性、剛性、機械適性、外観等を損なわない範囲で適宜選択され、非発泡性縦一軸延伸フィルムの場合には15〜50μmである。また、発泡縦一軸延伸フィルムの場合には、50〜200μmである。上記範囲であれば、容器に装着して使用する際に、十分な機械的強度を確保しうると共に、超音波による溶着強度に優れるからである。特に、本発明では超音波によりラベル端部を溶着するため、従来よりも厚みのあるラベルでも、実用的な強度に溶着することができる。なお、前記ラベル厚は、熱収縮前の層厚である。
【0033】
上記の熱収縮性基材フィルムには、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤が添加されたものであってもよい。また、熱収縮性基材フィルムの表面には、印刷性を向上させるためにコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などの慣用の表面処理を施してもよい。
【0034】
本発明では、上記熱収縮性基材フィルムとして、縦方向の熱収縮率が温度95℃で5〜85%、より好ましくは15〜50%のものを好適に使用することができる。熱収縮率に優れるため凹部を有する容器にも好適に使用することができる。なお、本発明における熱収縮率とは、100℃の温水による熱収縮率であって、延伸方向の熱収縮率が下記式に従うものとする。従って、縦一軸延伸フィルムの場合には、収縮方向は、フィルム流れ方向であるため、流れ方向に対する熱収縮率が5〜85%である。
【0035】
【数1】

本発明の筒状シュリンクラベルのサイズは、貼付対象の容器のサイズに応じて適宜選択することができる。同様に、溶着部のサイズも、例えばラベル貼付装置の使用態様などに応じて適宜選択することができる。
【0036】
本発明では、熱収縮性基材フィルムとして市販のフィルムを使用してもよい。このようなフィルムとしてPET縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;100℃、10秒、50%、)、ポリプロピレン縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;80℃、10秒;10%、100℃、10秒、25%)、ポリサックプラスチックインダストリーリミテッド(Polysack Plastic Industries Ltd.)の商品名「ポリファンFIT ST(Polyphane FIT ST)」などの100℃での縦方向最大収縮率19%、130℃で70%の縦一軸延伸ポリスチレンフィルム、エクロンモービル社製、商品名「Label−Lyte−Roll−On−Shink−on LR210」、縦方向最大収縮率18%などの縦一軸延伸ポリプロピレンフィルム、日生工業社製の縦一軸延伸白色ポリプロピレンフィルム、発泡ポリプロピレン縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;120℃、10秒、40%)、商品名「サニパール」などの縦一軸延伸白色発泡ポリプロピレンフィルム、縦一軸延伸PLA系フィルムなどを好適に使用することができる。
【0037】
なお、本発明において「シュリンクラベル」とは、熱処理によって収縮しうるラベルであるが熱収縮の有無は問わない。従って、熱収縮前後のいずれにおいても、シュリンクラベルである。
【0038】
(ii)デザイン印刷層
本発明の筒状シュリンクラベルは、熱収縮性基材フィルムの内側や外側に印刷層が積層されていてもよい。この際、熱収縮性基材フィルムのラベル内側とは、熱収縮性基材フィルムに接して形成される場合に限定されない。また、本発明では、筒状シュリンクラベルの溶着部にデザイン印刷層を設けなくてもよいが、全長に亘って印刷層を形成してもよい。レーザー溶着と相違して、超音波振動によって溶着する場合にはフィルムに印刷層が設けられていても溶着できるからである。
【0039】
印刷方法に限定はなく、例えばグラビア印刷で印刷層を形成することができる。印刷層としては、樹脂と溶媒から通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を調製し、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の助剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。
【0040】
このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。インクビヒクルは、版から被印刷物に着色剤を運び、被膜として固着させる働きをする。
【0041】
また、溶剤によってインキの乾燥性が異なる。印刷インキに使用される主な溶剤は、トルエン、MEK、酢酸エチル、IPAであり、速く乾燥させるために沸点の低い溶剤を用いるが、乾燥が速すぎると印刷物がかすれたり、うまく印刷できない場合があり、沸点の高い溶剤を適宜混合することができる。これによって、細かい文字もきれいに印刷できるようになる。着色剤には、溶剤に溶ける染料と、溶剤には溶けない顔料とがあり、グラビアインキでは顔料を使用する。顔料は無機顔料と有機顔料に分けられ、無機顔料としては酸化チタン(白色)、カーボンブラック(黒色)、アルミ粉末(金銀色)などがあり、有機顔料としてはアゾ系のものを好適に使用することができる。
【0042】
上記は、グラビア印刷で説明したが、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。また、印刷は、裏印刷でも、表印刷でもよい。
【0043】
(iii)外層
本発明の筒状シュリンクラベルは、前記熱収縮性基材フィルムの表面側に更に外層を設けてもよい。このような外層としては、筒状シュリンクラベルの用途や意匠性などによって適宜選択することができ、ラベル表面の滑り性を付与する場合にはOPニスを、ラベルを触ったときの触感を付与する場合にはスエードインキによる印刷層を、マット感を付与する場合にはマットOPなどを使用することが好ましい。なお、外層は、2層以上の積層とすることができ、外層にデザイン印刷層を形成してもよい。
【0044】
(2)容器
本発明の筒状シュリンクラベルを添付しうる容器としては、ガラス容器;PETなどの合成樹脂性容器;セラミックボトルなどの無機物容器;アルミや鉄、SUSなどの金属製容器;ガラス、合成樹脂、セラミック、金属、紙などを含む複合材からなる容器に好適に装着することができる。
【0045】
一方、前記容器が合成樹脂製容器である場合には、該容器を構成する熱可塑性樹脂層としては、PETなどのポリエステル樹脂、PPなどのポリオレフィン系樹脂を使用することが、軽量で、機械的強度、耐熱性、ガス遮断性、耐薬品性、保香性、衛生性等に優れるため好ましい。容器は、ポリエステル樹脂やポリオレフィン系樹脂を射出成形、真空成形、圧空成形等することにより製造することができる。
【0046】
容器の形状としては、筒状シュリンクラベルが装着される容器の横断面が丸型に限定されず、四角、八角などの多角型であってもよい。また、筒状シュリンクラベルが装着される容器胴部は、胴部の全長に亘って同一径である場合に限定されず、容器の胴部縦断面が四角である以外に、たとえばひょうたん型などであってもよい。むしろ、本発明では、熱収縮率に優れる縦一軸延伸フィルムを使用するため、容器が凹凸のある形状であっても好適に装着することができる。従って、図2に示すように、容器の筒状シュリンクラベル装着部の最大周径に対する最小周径(最小周径×100/最大周径(%))が50〜100%、より好ましくは70〜90%、特に好ましくは75〜85%のものを好適に使用することができる。
【0047】
本発明の筒状シュリンクラベルを図2の容器に装着し、熱収縮処理した後の筒状シュリンクラベル付き容器を図3に示す。
【0048】
(3)筒状シュリンクラベルの製造方法
本発明の筒状シュリンクラベルは、上記構成となるのであれば従来公知の方法で製造することができる。一方、縦一軸延伸してなる熱収縮性基材フィルムを延伸方向に搬送し、前記フィルムを延伸方向の所定ラベル長に切断し、前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、この重ね部を超音波で溶着することで筒状シュリンクラベルを製造することができる。この方法によれば、フィルム搬送方向と延伸方向とが同方向であるから、切断したラベルを筒状に成形して切断端を重ねると延伸方向の両端部を溶着することができる。すなわち、フィルムを水平方向に移動させるだけでフィルム切断、ラベル筒状溶着を行うことができるために、横一軸延伸フィルムを使用する場合のように、ラベルを90度回転させる工程が不要となる。また、超音波で溶着するため、接着剤を使用することなく接着でき、短時間で効率的な溶着が行え、溶着部に印刷層を有する場合でも確実に溶着することができる。更に、超音波シールによれば、重ね合わせ部分を少なくすることができ、デザイン印刷部分を隠蔽する部分を少なくすることができる。また、容器リサイクル時にラベルを剥がした際、接着剤で接着する場合と相違して、溶着部分が汚れることがなくリサイクル性に優れる。
【0049】
本発明の筒状シュリンクラベルは、図4に示すように、鉛直に配置されたシリンダ(20)にまきつけるように前記熱収縮性基材フィルム(10)を繰り出し、所定のラベル長に切断し、シリンダ(20)にまきつけたラベル(30)の前記切断端を重ね、前記重ね部(35)を超音波で溶着し、超音波シール(37)部を幅0.5〜15mmで形成し、筒状シュリンクラベル(100)を製造してもよい。使用するシリンダ(20)は、その表面に空気を吸引しまたは排出する空気孔(25)が多数設けられたものであれば、切断されたラベル(30)を前記シリンダ表面で吸引しながら安定してまき付けることができる。その際、シリンダ(20)を鉛直方向を軸として回転させればラベル(30)のまき付けが容易となる。切断端を5〜25mmで重ね、重ね部(37)を超音波で熱溶着する。超音波シールは、溶着の際にシール部(35)の加圧が必要であるため、前記重ね部(37)をシリンダ(20)と超音波振動発生装置(40)とではさみ、所定の溶着圧で接触させると、簡便かつ確実に超音波シールを行うことができる。
【0050】
超音波振動発生装置(40)としては、例えば、電圧を加えると伸びたり縮んだりするピエゾ素子と呼ばれるセラミックの一種を、金属でできたホーンAとホーンBで挟み込み固定し、ピエゾ素子とホーンとの間に駆動端子とアース端子を設け、この端子に交流電圧を加えてホーンAの先端部分を高速振動させたものを使用することができる。ホーンAの先端部分をラベル接着部として超音波振動を発生させれば、超音波シーラとして使用することができる。ピエゾ素子の形態にも種々あるが、20kHz以上の超音波振動を発生し、シュリンクラベルを熱溶着できるものであれば、特に限定はない。なお、超音波振動発生装置は上記に限定されるものでない。
【0051】
前記したように、超音波シールの際には、前記ホーンのラベル接触面をシール部に接触し、及び加圧し、前記ラベル接触面から超音波振動を発生させて溶着部を溶融し、加圧によって上下のシュリンクラベルを接着させる。超音波振動発生装置(40)の形状としては特に限定はないが、例えば、図5(a)に示すように少なくとも超音波振動を発生および伝播するラベル接触面(45)を有し、ラベルを加圧できる形状であればよく、より好ましくは、前記ラベル接触面(45)が超音波シール幅と同幅であり、かつ図5(b)に示すように、所定のピッチ幅(W)のダイヤカット状の溶着目を有するものを好適に使用することができる。ピッチ幅(W)は、好ましくは0.5〜4mmであり、超音波の周波数やラベル接触面への圧力、ラベル基材の厚さや種類などに応じて適宜選択することができる。
【0052】
超音波処理は、使用するラベルの熱収縮性基材フィルムの種類、ラベル厚さ、筒状シュリンクラベルのサイズ、超音波振動の周波数などによって適宜選択することができるが、例えば、加工幅(超音波振動発生装置のラベル接触面幅)10mm、ラベル接触面(45)が、前記ピッチ幅(W)が1.0mm、高さ0.5mmのピラミッド型を有する超音波振動発生装置(40)を使用した場合には、発振時間0.1〜2.0秒、接触圧200〜500Nで十分である。
【0053】
前記したように、超音波シール幅は好ましくは0.5〜15mmであり、また、超音波シールのための筒状シュリンクラベルの溶着部の重ね合わせ幅は5〜25mmである。上記超音波シールによれば、上記範囲の超音波シール幅で実際の使用に十分な溶着強度を確保することができる。
【0054】
重ね部に超音波シール部を形成すれば、筒状シュリンクラベルが製造される。
【0055】
(4)筒状シュリンクラベル付き容器の製造方法
本発明の筒状シュリンクラベル付き容器は、上記で製造した筒状シュリンクラベルに、ラベルの上部から容器を挿入して容器に筒状シュリンクラベルを装着し、ついで熱収縮処理することで製造することができる。
【0056】
例えば、図6、図7に示すように、(a)ラベル(30)をシリンダ(20)にまき付け、(b)ラベル切断端の重ね部(37)を形成し、(c)重ね部(37)に超音波シール部(35)を形成して筒状に溶着する。次いで、(d)シリンダ(20)を下方から引き抜く。具体的には、シリンダ(20)には多数の空気孔(25)が設けられており、超音波溶着後にシリンダ(20)の前記空気孔(25)から空気を排出させると、シリンダ(20)とラベル(30)との間に空気を送り込むことができる。この状態で、シリンダ(20)をラベルの下端から下方に移動させると、容易に筒状シュリンクラベルからシリンダ(20)を引き抜くことができる。(e)これにより筒状シュリンクラベル(100)を鉛直した状態で製造することができる。
【0057】
次いで、(f)筒状シュリンクラベルの上部から容器(90)を降下させ、(g)筒状シュリンクラベル(100)を容器(90)に装着し、次いで(h)熱収縮処理を順次行う。熱収縮処理は、ラベルの熱収縮性基材フィルムの種類や厚さ、延伸率などによって適宜選択することができ、例えば、60〜230℃の熱風や、水蒸気及び水蒸気が結露した湯気により加熱するスチームや、赤外線等の輻射熱を作用させてシュリンクラベルを周方向に高収縮させ、容器の胴部をシュリンクラベルで被覆することができる。なお、上記は、シリンダ(20)を、筒状シュリンクラベルの下部側から引き抜き、上部側から容器を挿入する態様を示したが、筒状シュリンクラベルの上部側から引き抜き、下部側から容器を挿入する態様であってもよい。
【0058】
本発明では、前記したように、フィルムを水平方向に移動するだけでフィルムの切断、ラベルの筒状溶着を行うことができるため、鉛直に配置されたシリンダにまきつければラベルの筒状化を円滑かつ容易に行うことができ、シリンダに超音波振動発生装置を接触させることで、簡便かつ確実に超音波シールを行うことができる。
【0059】
なお、重ね部(37)に超音波振動発生装置のラベル接触面を接触させて超音波シールする際には、ラベル端部を図8(c)に示すように、二枚のラベル重ね部(37)に超音波振動発生装置のラベル接触面を押しあて、これを加工幅として超音波シールすることができる。一方、重ね部(37)に超音波振動発生装置のラベル接触面を接触させて超音波シールする際に、ラベル端部を図8(a)に示すように、上前を内側に折り曲げてから超音波振動発生装置のラベル接触面を押しあて、この加工幅に超音波シールを行ってもよい。ラベルの硬度が高い場合や熱収縮後に硬度が増す場合に、切断端によって手を切る恐れを回避することができる。また、重ね部と超音波振動発生装置のラベル接触面との位置を、例えば、図8(b)に示すように上前の切断端が前記加工幅(ラベル接触面の幅)に収まるようにして超音波シールしても、切断端が溶着されるため切断端によって手を切る恐れや、熱収縮後に切断端が立ち上がるのを回避し、筒状シュリンクラベルの外観を向上させることができる。
【0060】
(5)筒状シュリンクラベル付き容器
本発明の筒状シュリンクラベル付き容器は、上記筒状シュリンクラベル(100)が容器(90)の全長に亘って被覆するように装着されたものでもよく、容器(90)の上部のみ、下部のみ、蓋部のみ、など容器の一部のみに装着してもよい。更に、容器底部を包み込むように熱収縮させたり、容器蓋部から底部の全体に筒状シュリンクラベルを装着し、熱収縮させて、全面被覆することもできる。
【実施例】
【0061】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0062】
(実施例1)
760mm巾、フィルム厚さが190μmの発泡白色ポリプロピレン縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;120℃、10秒、40%)を使用し、ラベルの両端を除いてラベルデザイン印刷を表刷りした後、72mm巾で10列のラベルをスリットして延伸方向に巻き取った。
【0063】
ラベラーに上記幅72mmの印刷ロールラベルをセット、延伸方向に繰り出してロータリーカッター部分で238mmの長さにカットして枚葉ラベルとした。
【0064】
前記枚葉ラベルの切断した両端が溶着部となるように前記シリンダにエアーで吸引しながら巻きつけ、ラベル両端部に重なりを設けた。重ね部は、外側からシリンダに向けて、発泡PP/発泡PPとなる。
【0065】
次いで、前記両端部を超音波シールした。超音波発生装置としてブランソン2000Xを使用し、振幅20kHzで、10×76mmのラベル接触面で、図5(b)に示すように、1mmのピッチ幅で、先端が高さ0.5mmのピラミッド状にカットされたものを実行圧210Nで0.2秒発振して溶着した後、0.2秒冷却し、筒状シュリンクラベルを調製した。
【0066】
次いで、前記筒状シュリンクラベルを500mLの変形PETボトルの上部から装着し、熱風式シュリンクトンネルで120℃×10秒加熱してラベルを収縮させた。
【0067】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表1に示す。
【0068】
(実施例2)
超音波溶着を、実行圧470Nで行った以外は、実施例1と同様に操作した。
【0069】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

(実施例3)
115mm巾、フィルム厚さが25μmのPET縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;100℃、10秒、50%)を使用し、ラベルの両端部をのぞいた内面に藍格子のラベルデザイン印刷を行い、延伸方向に巻き取った。
【0071】
ラベラーに上記印刷ロールラベルをセット、延伸方向に繰り出してロータリーカッター部分で238mmの長さにカットして枚葉ラベルとした。
【0072】
前記枚葉ラベルの切断した両端が溶着部となるように前記シリンダにエアーで吸引しながら巻きつけ、ラベル両端部に重なりを設けた。重ね部は、外側からシリンダに向けて、PET/PETとなる。
【0073】
次いで、前記両端部を超音波シールした。超音波発生装置としてブランソン2000Xを使用し、振幅20kHzで、10×76mmのラベル接触面で、図5(b)に示すように、1mmのピッチ幅で、先端が高さ0.5mmのピラミッド状にカットされたものを実行圧460Nで0.2秒発振して溶着した後、0.2秒冷却し、筒状シュリンクラベルを調製した。
【0074】
次いで、前記筒状シュリンクラベルを500mLの変形PETボトルの上部から装着し、熱風式シュリンクトンネルで95℃×10秒加熱してラベルを収縮させた。
【0075】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表2に示す。
【0076】
(実施例4)
実施例3の藍格子の印刷層に代えて、ラベルの後端部を除いて白ベタ印刷を行い、筒状シュリンクラベルの外側から内側に向けて、PET/PET/白ベタ印刷と重ね、PET側から超音波溶着処理を行った。
【0077】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表2に示す。
【0078】
(実施例5)
実施例3の藍格子の印刷層に代えて、ラベルの前端部を除いて白ベタ印刷を行い、筒状シュリンクラベルの外側から内側に向けて、PET/白ベタ印刷/PETと重ね、PET側から超音波溶着処理を行った。
【0079】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表2に示す。
【0080】
【表2】

(実施例6)
115mm巾、フィルム厚さが50μmのポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム(熱収縮率;80℃、10秒;10%、100℃、10秒、25%)を使用し、ラベルの両端をのぞいた内面にラベルデザイン印刷を行い、延伸方向に巻き取った。
【0081】
ラベラーに上記印刷ロールラベルをセット、延伸方向に繰り出してロータリーカッター部分で238mmの長さにカットして枚葉ラベルとした。
【0082】
前記枚葉ラベルの切断した両端が溶着部となるように前記シリンダにエアーで吸引しながら巻きつけ、ラベル両端部に重なりを設けた。重ね部はPP/PPとなり、PP側から超音波溶着処理を行った。
【0083】
次いで、前記両端部を超音波シールした。超音波発生装置としてブランソン2000Xを使用し、振幅20kHzで、10×76mmのラベル接触面で、図5(b)に示すように、1mmのピッチ幅で、先端が高さ0.5mmのピラミッド状にカットされたものを実行圧210Nで0.2秒発振して溶着した後、0.2秒冷却し、筒状シュリンクラベルを調製した。
【0084】
次いで、前記筒状シュリンクラベルを500mLの変形PETボトルの上部から装着し、熱風式シュリンクトンネルで120℃×10秒加熱してラベルを収縮させた。
【0085】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表3に示す。
【0086】
(実施例7)
フィルム厚さが50μmのポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムに代えた以外は実施例6と同様に操作して、筒状シュリンクラベルおよびラベル付容器を製造した。
【0087】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表3に示す。
【0088】
(実施例8)
フィルム厚さを25μmに代えた以外は実施例6と同様に操作して、筒状シュリンクラベルおよびラベル付容器を製造した。
【0089】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】

(実施例9)
フィルム厚さを50μmとし、印刷層なしのフィルムを使用した以外は実施例3と同様に操作して、筒状シュリンクラベルおよびラベル付容器を製造した。
【0091】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表4に示す。
【0092】
(実施例10)
ラベル接触面が、1mmのピッチ幅で、先端が高さ0.5mmのピラミッド状にカットされたものに代えて、斜線1mm巾シール、空隙0.7mmのものを使用した以外は実施例3と同様に操作して、筒状シュリンクラベルおよびラベル付容器を製造した。
【0093】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表4に示す。
【0094】
【表4】

(実施例11)
超音波発生装置としてブランソン2000aedを使用し、振幅20kHzで、ラベル接触面が直径0.5mmの丸点形状からなるホーンを使用し、振幅70(%)、加工速度300mm/秒、ホーンと受けのクリアラス30μm、加工幅2.5mmで加工した以外は、実施例3と同様に操作した。
【0095】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表5に示す。
【0096】
(実施例12)
超音波発生装置としてブランソン2000dを使用し、振幅40kHzで、振幅100(%)、加工速度500mm/秒、ホーンと受けのクリアラス30μm、加工幅2.5mmで加工した以外は、実施例3と同様に操作した。
【0097】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表5に示す。
【0098】
(実施例13)
シリンダに枚葉ラベルを巻きつける際に、図8(a)に示すようにラベル後端の1mmをラベル内側に折込んだ後に、ラベル前端部の上に重ねて、PET三枚重ねの重ね部を形成し、加工幅を3mmとした以外は実施例11と同様に操作した。
【0099】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表5に示す。
【0100】
(実施例14)
シリンダに枚葉ラベルを巻きつける際に、図8(a)に示すようにラベル後端の1mmをラベル内側に折込んだ後に、ラベル前端部の上に重ねて、PET三枚重ねの重ね部を形成し、加工幅を3mmとした以外は実施例12と同様に操作した。
【0101】
得られた筒状シュリンクラベルは、熱収縮時にも溶着部分が剥がれることなかった。また、得られたシュリンクラベル装着容器は、50cmの高さから落下してもラベルの脱落がなく、十分な溶着強度を有していた。結果を表5に示す。
【0102】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係る筒状シュリンクラベルは、超音波振動によりラベルを筒状に成形するものであり、従来困難であった厚手のラベルや接着部に印刷層を有するラベルでも溶着することができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は、本発明の筒状シュリンクラベルを説明する斜視図である。
【図2】図2は、本発明で使用しうる容器であって、胴部のラベル溶着部における最大周径に対する最小周径(最小周径×100/最大周径(%))が、50〜100%の凹部を有するものを説明する図である。
【図3】図3は、本発明の筒状シュリンクラベル付き容器の好ましい態様の一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の筒状シュリンクラベルを製造する工程を説明する図である。
【図5】図5は、本発明で使用できる超音波振動発生装置を説明する図である。
【図6】図6は、本発明の筒状シュリンクラベル付き容器を製造する工程のうち、(a)ラベルのシリンダへのまき付け、(b)切断端の重ね、(c)重ね部の超音波シール、(d)シリンダの下方への移動を説明する図である。
【図7】図7は、本発明の筒状シュリンクラベル付き容器を製造する工程のうち、(e)筒状シュリンクラベルの鉛直、(f)容器の降下、(g)筒状シュリンクラベルの容器への装着、(h)熱収縮処理した筒状シュリンクラベル付き容器を説明する図である。
【図8】図8は、重ね部と超音波照射幅との関係を示す図であり、図8(a)は実施例13、実施例14で製造した筒状シュリンクラベルの重ね部の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
10・・・熱収縮性基材フィルム、
20・・・シリンダ、
25・・・空気孔、
30・・・ラベル、
35・・・超音波シール部、
37・・・ラベル重ね部、
40・・・超音波振動発生装置、
45・・・超音波振動発生装置のラベル接触面、
90・・・容器、
100・・・筒状シュリンクラベル、
W・・・超音波振動発生装置のラベル接触面のピッチ幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性基材フィルムの延伸方向にあるラベル両端を溶着してなる筒状シュリンクラベルであって、
縦一軸延伸した熱収縮性基材フィルムを延伸方向の所定サイズに切断してラベルを切り出し、
前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、
前記重ね部を超音波で溶着することを特徴とする、筒状シュリンクラベル。
【請求項2】
前記熱収縮性基材フィルムが、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、発泡ポリエステル系フィルム、発泡ポリスチレン系フィルム、およびこれらのフィルムの2種以上の積層フィルムであって、縦方向の熱収縮率が温度100℃で5〜85%である、請求項1記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項3】
前記ポリオレフィン系フィルムが縦一軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、前記ポリエステル系フィルムが縦一軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムであり、前記発泡ポリオレフィン系フィルムが発泡縦一軸延伸ポリプロピレン系フィルムであり、発泡ポリエステル系フィルムが、発泡縦一軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルムである、請求項2記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項4】
前記筒状シュリンクラベルは、熱収縮性基材フィルムのラベル最内層または最外層にデザイン印刷層を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項5】
前記重ね部に設けた超音波シール幅は、0.5〜15mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の筒状シュリンクラベル。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載の筒状シュリンクラベルを装着し、熱収縮処理してなる筒状シュリンクラベル付き容器。
【請求項7】
前記容器は、容器の筒状シュリンクラベル装着部の最大周径に対する最小周径(最小周径×100/最大周径(%))が50〜100%の凹部を有することを特徴とする、請求項6記載の筒状シュリンクラベル付き容器。
【請求項8】
縦一軸延伸してなる熱収縮性基材フィルムを延伸方向に搬送し、
前記フィルムを延伸方向の所定ラベル長に切断し、
前記ラベルを筒状に成形して前記切断した両端を重ね、
前記重ね部を超音波で溶着することを特徴とする、筒状シュリンクラベルの製造方法。
【請求項9】
縦一軸延伸してなる熱収縮性基材フィルムを延伸方向に搬送し、
前記フィルムを延伸方向の所定ラベル長に切断し、
前記ラベルを鉛直に配置されたシリンダにまき付けて前記切断端を重ね、
前記重ね部を超音波で溶着して筒状シュリンクラベルを成形し、
前記筒状シュリンクラベルの下部側または上部側から前記シリンダを抜き出し、かつラベルの上部側または下部側から容器を挿入して前記容器に筒状シュリンクラベルを装着し、
ついで熱収縮処理することを特徴とする、筒状シュリンクラベル付き容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−12779(P2009−12779A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173315(P2007−173315)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】