説明

筒状体の搬送方法および筒状体搬送装置

【課題】筒状体の変形を抑制する。
【解決手段】同図(A)の(A1)に示すように支持部材632が基体21の上部に載せられた後、供給チューブ680を通じてエアーが接触部631に供給される。そしてこのエアーは第1押圧機構631Bおよび第2押圧機構631Cの両者に供給される。ここでコイルスプリング113のばね定数の方がコイルスプリング123のばね定数よりも小さく設定されている。このため、同図(A1)、(A2)に示すように、押圧部材112の方が押圧部材122よりも先に基体21に進出し、押圧部材112が押圧部材122よりも先に基体21の内周面に接触する。そしてエアーの供給圧が更に高まると、押圧部材122が押圧部材112間に形成される間隙に向かって進出する(同図(B1)、(B2)参照)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体の搬送方法および筒状体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料が充填される缶本体部は、例えば、金属板を打ち抜きカップ状に成形するカップ成形工程、絞り加工およびしごき加工により有底の円筒体を形成するボディ成形工程、円筒体の上縁部を切り揃えるトリミング工程、円筒体の上端付近を縮径化すると共にフランジ部を形成するネック・フランジ工程により形成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−95231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、摩擦係数が互いに異なる2つの領域が外周面に設けられ飲料が充填される筒状体を搬送するとともに、この外周面に対し接触部材を接触させることにより、筒状体を周方向に回転させ筒状体を一定の姿勢とすることができる。しかしながら、内容物が充填されていない状態の筒状体に対し接触部材を接触させると筒状体が変形するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される筒状体の搬送方法は、外周面に標記が付され、摩擦係数が互いに異なる少なくとも2つの領域を外周面に且つ周方向の異なる位置に有し、開口部を通じて内部に飲料が充填される筒状体を搬送する搬送工程と、搬送工程により搬送される筒状体の外周面に接触部材を接触させる接触工程と、筒状体の開口部を通じて筒状体の内部に駆動部材を配置するとともに駆動部材を駆動させることで筒状体の内周面に駆動部材を接触させ、接触部材が接触する部位を筒状体の内部から支持する支持工程と、を含む筒状体の搬送方法である。
【0006】
ここで、駆動部材は、複数設けられ、支持工程では、駆動部材の各々が筒状体の周方向において互いに隣接するように駆動部材の各々を内周面に接触させることを特徴とすることができる。また、支持工程による支持の後、駆動部材の各々を内周面から離間させる離間工程を更に含み、離間工程では、複数の駆動部材のうちの一部の駆動部材を筒状体の中心部側に向かって移動させ一部の駆動部材を内周面から離間させ、複数の駆動部材のうちの他の駆動部材を中心部側且つ上方又は下方に移動させ他の駆動部材を内周面から離間させることを特徴とすることができる。また、駆動部材は、複数設けられ、複数の駆動部材のうちの一部の駆動部材は、筒状体の内部にて筒状体の中心部側から内周面側に向かうように放射状に配置され、支持工程では互いに間隙を有する状態で内周面に接触し、複数の駆動部材のうちの他の駆動部材は、一部の駆動部材よりも上方又は下方に位置し、支持工程では位置から間隙に向かって移動し内周面に接触することを特徴とすることができる。
【0007】
さらに、駆動部材は、複数設けられ、複数の駆動部材のうちの一部の駆動部材は、支持工程にて内周面に向かって移動するように駆動されることで内周面に接触し、複数の駆動部材のうちの他の駆動部材は、一部の駆動部材の移動により駆動され内周面に接触することを特徴とすることができる。また、支持工程における駆動部材の駆動は、エアーを用いて行われることを特徴とすることができる。さらに、接触工程では、搬送工程により搬送される筒状体を接触部材が設けられた側に傾斜させることで外周面に接触部材を接触させることを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明を筒状体搬送装置と捉えた場合、本発明が適用される筒状体搬送装置は、外周面に標記が付され、摩擦係数が互いに異なる少なくとも2つの領域を外周面に且つ周方向の異なる位置に有し、開口部を通じて内部に飲料が充填される筒状体を搬送する搬送手段と、搬送手段により搬送される筒状体の外周面に接触部材を接触させる接触手段と、筒状体の開口部を通じて筒状体の内部に駆動部材を配置するとともに駆動部材を駆動させることで筒状体の内周面に駆動部材を接触させ、接触部材が接触する部位を筒状体の内部から支持する支持手段と、を含む筒状体搬送装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明を採用しない場合に比べ、筒状体の変形を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る陳列装置の概略構成を示した図である。
【図2】陳列装置の上面図である。
【図3】容器を説明するための図である。
【図4】容器を説明するための図である。
【図5】内部の飲料が飲まれる際の容器の状態を示した図である。
【図6】陳列装置における容器の動作を説明するための図である。
【図7】容器に対して印刷を行う印刷機を示した図である。
【図8】容器の他の形態を示した図である。
【図9】容器の他の形態を説明するための図である。
【図10】飲料の充填工程を説明するための図である。
【図11】回転装置を説明するための図である。
【図12】回転装置の動作を説明するための図である。
【図13】錘部を説明するための図である。
【図14】接触部の動作を説明するための図である。
【図15】基体の外周面が抵抗付与部に接触している際の基体の内部状態を示した図である。
【図16】第2の実施形態における接触部を示した図である。
【図17】エアー供給後の状態を示した図である。
【図18】第3の実施形態における錘部を示した図である。
【図19】第4の実施形態における錘部を示した図である。
【図20】第1押圧機構等を上方から眺めた場合の図である。
【図21】第2押圧機構を説明するための図である。
【図22】第5の実施形態における錘部を示した図である。
【図23】第5の実施形態における錘部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
―第1の実施形態―
以下、添付図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る陳列装置の概略構成を示した図である。
図1(A)に示すように本実施形態における陳列装置30は、缶体として形成され飲料が内部に充填された容器20が載せられる載置部31と、容器20の移動経路を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32とを備えている。また、載置部31の一側辺に沿って配置され、容器20の移動を停止させる規制板34を備えている。ここで、規制板34は、透明に形成することが好ましい。
【0012】
陳列装置30は、同図(B)に示すように、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどに設置される陳列ケース10の内部に収納される。この陳列ケース10は、直方体状に形成されたケース本体部10Aと、このケース本体部10Aに対して開閉可能に設けられたドア10Bとにより主要部が構成されている。
ここで陳列装置30は、陳列ケース10に設けられた棚(不図示)の上に載せられる。この際、陳列装置30は、規制板34が設けられた側がドア10B側に位置するように設置される。また、載置部31は、規制板34が設けられた側が、規制板34が設けられた側とは反対側よりも下方に位置するように配置される。即ち、載置部31は、陳列ケース10の後方側から容器20が取り出される前方側(取り出し部側)に向かって下り傾斜した状態で配置される。
【0013】
ここで本実施形態における陳列ケース10は、後方側にもドアが設けられ(不図示)、後方側も開放可能となっている。そしてこの後方側より陳列装置30に容器20が投入される。即ち、陳列ケース10の後方側および陳列装置30の後方側に容器20の投入部が設けられた構成となっている。そして、投入された容器20は載置部31上をドア10B側に向かって移動する。なお、本明細書では、ドア10B側を前方側(前方)と称しドア10Bとは反対側を後方側(後方)と称する場合がある。また、陳列ケース10の幅方向(容器20が移動する方向に直交する方向)を横方向、幅方向と称する場合がある。
【0014】
陳列装置30についてより詳細に説明する。
図2は、陳列装置30の上面図である。
本実施形態における陳列装置30のガイド32は、容器20の移動経路に沿って配置されている。またガイド32は、容器20の移動経路の両側に設けられている。ここでガイド32は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料などにより形成される。
【0015】
載置部31は、幅方向に傾斜して配置されている。詳細には、一方のガイド32(図中左方のガイド32)側の方が他方のガイド32(図中右方のガイド32)側よりも下方に位置するように傾斜して配置されている。また載置部31は、上記のように前方側の方が後方側よりも下方に位置するように傾斜して配置されている。ここで同図における符号2A,2Bは、載置部31における傾斜の状態を示している。本明細書においては、以下、左方のガイド32を左方側ガイド32と称し右方のガイド32を右方側ガイド32と称する場合がある。
【0016】
さらに載置部31は、容器20が置かれる側の面に、載置部31の幅方向に並列配置された第1ローラ群311、第2ローラ群312、第3ローラ群313を備えている。ここで各ローラ群は、容器20の移動方向に沿った回転が可能であり且つ前後方向に並べられた複数のロール状部材314を有している。
【0017】
さらに本実施形態では、左方側ガイド32に、接触する容器20に対して摺動抵抗(摩擦抵抗)を付与する抵抗付与部33が設けられている。なお、図2(a)は、左方側ガイド32の全長に渡り抵抗付与部33が設けられた場合を例示し、図2(b)は、左方側ガイド32の一部に抵抗付与部33が設けられた場合を例示している。
【0018】
抵抗付与部33は、断面が円形であるほうが好ましい。容器20が前後方向や左右方向に傾いたとしても、抵抗付与部33と容器20との接触面積が変化しにくいためである。また、抵抗付与部33は、例えば、断面が円形の棒状部材に貼付される塩化ビニルなどにより構成されたビニールテープによっても構成することができる。また、抵抗付与部33は、EPDM(エチレン−プロピレンゴム)などのゴム部材によっても構成することができる。さらに、抵抗付与部33は、樹脂材料により形成することもできる。
【0019】
次に容器20について詳細に説明する。
図3および図4は、容器20を説明するための図である。
なお、図3(A)は容器20を一方側から図示したものであり、同図(B)は、容器20を他方側から図示したものである。また、同図(C)は同図(A)のS部における断面を示し、同図(D)は同図(A)のT部における断面を示している。
【0020】
図3に示す容器20は、飲料が充填される基体21と、基体21の上部に取り付けられた蓋部材22とから構成されている。
筒状体の一例としての基体21は、円筒状の側部211を有するとともに、この側部211と一体で形成された底部212を有している。ここで側部211は、上部に、上方に向かうに従い直径が次第に小さくなる縮径部211Aを有している。蓋部材22は、円盤状に形成され、且つ、いわゆる巻き締めにより基体21の上部に固定されている。
【0021】
ここで蓋部材22は、図4に示すように、円形(円盤状)の基板41と、飲み口が形成される際にユーザにより操作され後述する開口予定領域44に開口を形成する開封用タブ42とを備えている。ここで、この開封用タブ42は、開口予定領域44と予め定められた位置関係を有して配置されている。
基板41は、円形の金属板で形成されている。そしてこの基板41は、外周縁がいわゆる巻き締めにより側部211の上縁部に固定されている。また、基板41には、その中心からずれた位置(偏心した位置)に、飲み口が形成される際に開口される開口予定領域(開口領域)44が形成されている。また基板41には、開口予定領域44を囲むスコア(破断予定線)41aが形成されている。
【0022】
開封用タブ42は、基板41の一方の面に対して取り付けられている。また、開封用タブ42は、基板41に沿うように設けられるとともに、基板41と対向する対向面側からこの対向面とは反対側の面側に向けて貫通したリング孔42cを有している。さらに、開封用タブ42は、基板41の中心部から基板41の外周縁側に向かって設けられている。また、開封用タブ42は、剛性のある板状部材であり、基板41の中央部に設けられたリベット43により基板41に固定されている。即ち、開封用タブ42は、リベット43を介して基板41に固定される固定部42aを備えている。また、開封用タブ42は、固定部42aから基板41に沿って延びるリング部42bを備えている。
【0023】
ここで固定部42aは、開口予定領域44にオーバーラップするように配置されている。また、リング部42bは、スコア41aから遠ざかる方向に伸びている。
また本実施形態では、リング部42bが、リベット43が設けられた箇所を基準として容器20の一方側に設けられ、開口予定領域44が、リベット43が設けられた箇所を基準として容器20の他方側に設けられている。さらに説明すれば、開封用タブ42と開口予定領域44とは、同一の線上に配置されている。
【0024】
また、リング部42bは、リング孔42cを有する環状のつまみ部である。そしてリング部42bの先端部に指を掛けて引き起すと、リベット43を支点として、固定部42aの先端部が下方へ移動する。これにより、いわゆる梃子の原理でスコア41aが破断される。この結果、開口予定領域44が開封され、内容物である飲料の注出が可能になる。
【0025】
また本実施形態における容器20では、図3に示すように、基体21の側部211に、文字や図形などを含む図柄が印刷されている。そしてこの図柄には、商品名、商標名など他の商品と識別するための第1識別標記23a、第2識別標記23bが含まれている(なお本明細書においては、以下単に「識別標記23」と称する場合がある。)。ここで、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、容器20の周方向において、位相が180°ずれて配置されている。なお、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、同一の形態でもいいし異なる形態でもよい。
【0026】
次に開口予定領域44と識別標記23との関係を説明する。
本実施形態における容器20では、識別標記23と開口予定領域44は、予め定められた所定の位置関係を有して配置されている。詳細は後述するが、本実施形態では、識別標記23と開口予定領域44とが予め定められた位置関係となるように、基体21および蓋部材22の位置制御がなされている。
【0027】
識別標記23と開口予定領域44との位置関係を具体的に説明すると、本実施形態では、図4に示すように、識別標記23と開口予定領域44とは、容器20の周方向において、位相が90°ずれた状態で配置されている。
また、第1識別標記23aが一方向(図中下方向)を向いている場合に、開口予定領域44がこの一方向と直交する方向(図中左方向)に沿った状態で配置されるように、基体21および蓋部材22は配置されている。また第2識別標記23bが一方向(図中上方向)を向いている場合に、開口予定領域44がこの一方向と直交する方向(図中左方向)に沿った状態で配置されるように、基体21および蓋部材22は配置されている。
【0028】
さらに説明を行うと、容器20の軸心を基準とした場合、開口予定領域44は、この軸心から側部211に向かう一方向に沿って配置されている。その一方で、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、この一方向と直交する方向を向くように配置されている。
【0029】
さらに説明すると、開口予定領域44は、容器20の軸心から側部211に向かう直線上に配置され、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、この直線と直交する直線であって容器20の軸心を通る直線上に配置されている。付言すれば、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、蓋部材22の中心と開口予定領域44とを通る仮想線を想定した場合に、この仮想線と直交する方向を向くように側部211に付されている。
さらに、開口予定領域44および開封用タブ42を通る直線を基準線にした場合に、第1識別標記23aはこの基準線よりも右側の領域に設けられ、第2識別標記23bはこの基準線よりも左側の領域に設けられている。
【0030】
ここで図5は、内部の飲料が飲まれる際の容器20の状態を示した図である。
本実施形態における容器20では、識別標記23と開口予定領域44とが上記のような位置関係を有して配置されている。このため、開口予定領域44に開口が形成され、この開口(飲み口)を通じて飲料が飲まれる際には、同図に示すように第2識別標記23bが側方を向く状態となる。また図示は省略するが、第1識別標記23aも側方を向く状態となる。
【0031】
ここで飲料等の商品の宣伝は通常テレビコマーシャル等により行われることが一般的であるが、飲料が飲まれる際に第三者から見える位置に識別標記23が配置されることによっても宣伝広告効果が生じうる。本実施形態における容器20では、飲料が飲まれる際に、上記のように識別標記23が側方を向き、第三者が認識可能となる位置に識別標記23が配置される。このため、宣伝広告効果を生じさせることができる。付言すれば、飲料を飲む者側に識別標記23が位置せず、第三者から認識可能な位置に識別標記23が位置するため、宣伝広告効果を生じさせることが可能となる。
【0032】
なお上記では識別標記23が側方を向く場合を一例に説明したが、飲料が飲まれる際に、飲料を飲む者側とは反対側に識別標記23が向いていても上記のような宣伝広告効果を生じさせることが可能となる。即ち、識別標記23が開口予定領域44とは反対側、即ちリング部42b側に付されていても宣伝広告効果を生じさせることが可能となる。付言すれば、開口予定領域44が偏心配置されている側とは反対側に識別標記23が付されていても宣伝広告効果を生じさせることが可能となる。また、飲料を飲む者に対しても識別標記23を見せたい場合は、開口予定領域44側とその反対側の両方に識別標記23を付すことができる。
【0033】
ここで容器20は、一般的に右手で持たれることが多い。左利きよりも右利きの方が一般的に多いためである。この結果、識別標記23が側方を向いたとしても、右手で持たれる箇所に付された識別標記23はこの右手によって隠されてしまう場合がある。このため、容器20における識別標記23は、右手で持たれたとしても隠れない位置に設けることがより好ましい。より具体的には、図4における第2識別標記23bの位置に設けることが好ましい。付言すれば、蓋部材22を基体21よりも上方に位置させたうえで(図3の状態)、開口予定領域44が偏心配置されている側(図4の左側)から容器20を眺めた場合に、この容器20の左側の領域に識別標記23を設けることが望ましい。この場合、右手により容器20が持たれたとしても、識別標記23は、右手により隠れず外部に露出する。
【0034】
図3を再度参照し容器20の説明を続ける。
容器20は、同図(A)および(B)に示すように、基体21の外周面に、第1領域R1〜第4領域R4を有している。ここでこれらの領域は、容器20の周方向において、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4の順に設けられている。なお、第1領域R1の表面状態および第3領域R3の表面状態は同様に構成されている。また、第2領域R2の表面状態および第4領域R4の表面状態は同様に構成されている。このため以下の説明では、第1領域R1および第2領域R2を中心に説明する。さらに本実施形態では、表面における摩擦係数は、第1領域R1(第3領域R3)>第2領域R2(第4領域R4)となっている。
【0035】
ここで同図(C)を参照し第2領域R2の表面状態についてまず説明する。
同図(C)に示すように、第2領域R2には、容器本体50の表面にインキ層51が設けられている。また、インキ層51の表面にクレーター状の凹凸を有したトップコート層(最外層)52が設けられている。
【0036】
ここでインキ層51に用いるインキには、例えば金属印刷用のものを用いることができる。ここでインキの顔料(色量)としては、各種の有機顔料や無機顔料が用いられる。また、インキのビヒクルは、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分としている。ここで熱硬化性樹脂としては、アルキッド型又はポリエステル型の樹脂等が用いられる。また、紫外線硬化性樹脂としては、紫外線ラジカル重合型、紫外線カチオン重合型の樹脂等が用いられる。さらに、インキには添加剤が含有されていても良い。添加剤としては、艶消し剤、ワックス類(天然系、石油系、合成系)、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、架橋剤、ゲル化剤、増粘剤、皮張り防止剤、安定剤、消泡剤、光重合開始剤等が用いられる。
【0037】
またインキ層51は、いわゆるはじきインキにより形成されている。即ち、インキ層51は、このインキ層51の表面にトップコート層52を形成する塗料が塗られた場合にこの塗料をはじくインキにより形成されている。ここでトップコート層52における上記凹凸は、トップコート層52を形成する塗料がこのインキ層51によりはじかれることにより形成されたものである。
【0038】
なおトップコート層52を形成する塗料をインキ層51によりはじくためには(上記凹凸を形成するためには)、インキ層51の形成に用いるインキの表面張力を、トップコート層52の形成に用いる塗料の表面張力よりも5mN/m以上低く設定することが望ましい。換言すると、インキの表面張力が塗料の表面張力よりも低く、且つ、インキと塗料との間の表面張力の差が5mN/m以上であることが望ましい。ここでインキの表面張力の低下は、例えば、通常のインキにシリコーンを添加することにより行うことができる。
【0039】
一方、トップコート層52に用いる塗料は、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分とするものであり、必要に応じてワックス成分を含有している。
熱硬化性樹脂としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂(例:ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂等が用いられる。
【0040】
さらに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組成物を用いても良い。この場合、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等が用いられる。これらの樹脂は、単独でも2種以上を組み合わせても使用できる。また、これらの樹脂組成物には、必要に応じて、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の公知の酸触媒が添加されていても良い。酸触媒を用いる場合は、酸触媒は樹脂に対して0.5〜1質量%添加するのが望ましい。また、これらの樹脂のうち、特に、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂と飽和ポリエステル樹脂との組成物や、熱硬化性アクリル樹脂とメラミン−ホルムアルデヒド樹脂との組成物を用いることが塗膜性能面で望ましい。
【0041】
一方、紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン硬化型樹脂、ラジカル硬化型樹脂等が用いられる。カチオン硬化型樹脂としては、紫外線硬化型エポキシ樹脂と光カチオン重合触媒との組成物等が用いられる。
【0042】
また、トップコート層52に用いる塗料において、上記の樹脂に架橋剤や増感剤を必要に応じて添加しても良い。架橋剤としては、種々のポリオール類(例:ε−カプロラクトントリオール)等が用いられる。増感剤としては、チオキサントン誘導体等が用いられる。
さらに、トップコート層52に用いる塗料に、滑りを補うために、ワックス成分として天然系、石油系、合成系のワックス剤を単独で又は複合して添加しても良い。
さらに、トップコート層52の表面のレベリング剤として、あるいは/更に、塗料状態での安定性を高めるためや初期滑り性をトップコート層52に付与するために、各種のシリコーンオイルを添加しても良い。
【0043】
なお、インキ層51およびトップコート層52の組成等の一例を挙げると以下のようになる。
[トップコート層52]
樹脂成分:ポリエステル30%、アクリル13%、アミノ55%、エポキシ2%
ワックス:石油系0.3%、天然系1%、合成系0.2%(樹脂成分に対し)
シリコーンオイル(混合):0.15%(樹脂成分に対し)
表面張力:33mN/m
厚さ:5μm
[インキ層51](はじきインキ)
主樹脂:アルキッド樹脂
顔料:TiO
表面張力:28mN/m
厚さ:2μm
【0044】
なお上記は、第2領域R2の形成方法の一例を説明したものであり、例えば特開2002−361172号公報に開示されている技術を用いて第2領域R2を形成してもよい。即ち、トップコート層52を形成する塗料をインキ層51の表面で斑状に凝集させることで凹凸を形成し第2領域R2を形成してもよい。
【0045】
次いで、同図(D)を参照し第1領域R1の表面状態について説明する。
同図(D)に示すように第1領域R1には、上記と同様、容器本体50の表面にインキ層51が設けられている。また、インキ層51の表面に、上記第2領域R2におけるトップコート層52よりも表面が平滑に形成されたトップコート層(最外層)52が設けられている。
【0046】
ここで第1領域R1におけるインキ層51は、トップコート層52を形成する塗料をはじかないインキ(通常インキ)を用いて形成している。付言すれば、インキ層51を形成するインキは、表面張力がトップコート層52を形成する塗料の表面張力と等しいか又はそれよりも高いインキが用いられている。このため第1領域R1では、トップコート層52を形成する塗料がはじかれず、トップコート層52の表面は、第2領域R2におけるトップコート層52に比べ平滑となる。なお、インキ層51を形成するインキの基本的な組成等は上記と同様である。トップコート層52を形成する塗料の基本的な組成等は上記と同様である。
【0047】
なお、第1識別標記23aは第1領域R1に形成され、第2識別標記23bは第3領域R3に形成されている。また、第1識別標記23aおよび第2識別標記23bは、上記インキ層51により形成されている。
【0048】
次に、陳列装置30における容器20の動作について説明する。
図6は、陳列装置30における容器20の動作を説明するための図である。
載置部31の後方に容器20が置かれると(符号4A参照)、この容器20は左方側ガイド32によって案内されながら前方に向かって移動する。そしてこの際、第1領域R1が抵抗付与部33に接触する状態にあると、第1領域R1と抵抗付与部33との間における滑りが抑制され(第1領域R1に抗力が付与され)、容器20は、時計回りの回転を行いながら前方へ移動する(符号4B参照)。
【0049】
そして符号4Cのように、第2領域R2が抵抗付与部33に接触する状態となると、第2領域R2と抵抗付与部33との間で滑りが生じ、容器20の回転は停止する。その後、容器20は左方側ガイド32により案内されながら前方に向かって移動(スライド)する。これにより、陳列装置30の前方に達した容器20は、第2識別標記23bが前方を向いた状態となる。付言すると、本実施形態では、第2領域R2と第2識別標記23bは、予め定められた所定の位置関係を有して配置されている。より詳細には、第2領域R2が左方側(一方向)を向いている場合に第2識別標記23bが前方(一方向と交差する方向、一方向と直交する方向)を向くように配置されている。このため、第2領域R2が抵抗付与部33に接触した状態となると、第2識別標記23bが前方を向く。
【0050】
なお図6では第1ローラ群311、第2ローラ群312、第3ローラ群313(図2参照)の図示を省略した。ここで、第2領域R2が抵抗付与部33に接触した場合、第2領域R2と抵抗付与部33とは点接触に近い状態で接触する。付言すれば、第2領域R2と抵抗付与部33とは接触面積が低下する状態となる。このため、第2領域R2と抵抗付与部33との間で上記滑りが生じるものと考えられる。
なお識別標記23が前方を向いた後は、左方側ガイド32から容器20へ付与される摺動抵抗を極力小さいものとすることが好ましい。このため、図2(b)では、抵抗付与部33を容器20の移動経路における途中まで配置し、所定位置から容器20の取り出し部にかけては抵抗付与部33を設けない構成としている。
【0051】
また本実施形態では、載置部31に幅方向における傾斜を付与しているが、例えば抵抗付与部33よりも前方は、幅方向における傾斜を付与しない構成とすることもできる。この場合も、左方側ガイド32から容器20に作用する摺動抵抗が低下し容器20が回転しにくくなる。
また上記では載置部31に対し幅方向の傾斜を付与することで容器20を抵抗付与部33に接触させたが、幅方向における傾斜を付与しないでも容器20を抵抗付与部33に接触させることができる。例えば、右方側ガイド32側に板バネ等の付勢部材を設け、この付勢部材を用いて容器20を抵抗付与部33に接触させることができる。
【0052】
ここで第1領域R1〜第4領域R4の形成方法についてより詳細に説明する。第1領域R1〜第4領域R4は、例えば、容器20の製造工程に含まれる印刷工程にて形成することができる。より詳細には、印刷工程に設置された印刷機を用いて形成することができる。
【0053】
ここで図7は、容器20に対して印刷を行う印刷機を示した図である。
同図に示す印刷機500は、いわゆるオフセット印刷を行う印刷機である。印刷機500は、ブランケットシリンダ510、図柄に対応した版を有し上記インキ層51を形成するインキをブランケットシリンダ510に塗布するインキ塗布装置520、支持ロール530、上記トップコート層52を形成する塗料を塗布する塗料塗布装置540を備える。
【0054】
ブランケットシリンダ510は、円盤状に形成されるとともに一方向に回転する。また、ブランケットシリンダ510は、外周面に複数のブランケット(被転写部)511を有している。また、ブランケットシリンダ510は、インキ塗布装置520における上記版からブランケット511に転写されたインキを、転写部Teにて2ピース缶の基体となる素缶体(基体21)に対して転写しこの素缶体に上記識別標記23を含む図柄を形成する。
【0055】
インキ塗布装置520は、ブランケットシリンダ510の周方向に沿って色毎に複数設けられている。各インキ塗布装置520は、ブランケットシリンダ510のブランケット511に接触する印刷用シリンダ522、印刷用シリンダ522の外周面にインキを供給するインキ供給装置521を備えている。ここで印刷用シリンダ522は、外周面に上記版を有しインキ供給装置521により供給されたインキをブランケット511に転写する。
【0056】
これにより、各ブランケット511の表面にインキが載せられる。詳細には、各ブランケット511の表面であって印刷用シリンダ522毎に割り当てられた各領域に、印刷用シリンダ522の各々からインキが順次載せられる。この結果、各ブランケット511の表面には、図柄に対応したインキ像が形成される。そして、このインキ像は、ブランケットシリンダ510の回転に伴い、転写部Teまで移動し、周方向に回転している素缶体の外周面に転写される。これによって上記インキ層51が形成される。
【0057】
支持ロール530は、ブランケットシリンダ510の対向位置に配置されるとともに一方向に回転し、不図示のウォッシャー工程から移動してきた素缶体を上記転写部Teまで搬送する。また支持ロール530は、ウォッシャー工程から移動してきた素缶体を回転させた状態で上記転写部Teまで搬送する。
塗料塗布装置540は、上記インキ像が転写された素缶体(インキ層51が形成された素缶体)の外周面に対して塗料を塗布する。これによって上記トップコート層52が形成される。
【0058】
ここでこのような印刷機500を用いる場合、上記第2領域R2におけるインキ層51を担当する印刷用シリンダ522から塗料をはじく機能を有したインキをブランケット511に載せることにより、第2領域R2と、この第2領域R2に隣り合う第1領域R1、第3領域R3との間に表面の違いを形成することができる。
【0059】
ところで、容器20の外周面における同色の箇所は、通常、共通の(一つの)印刷用シリンダ522からインクが供給される。しかしながら本実施形態では、第1領域R1〜第4領域R4に同色の箇所があったとしても、異なる印刷用シリンダ522からインキの供給が行われる。即ち、第1領域R1、第3領域R3における同色の箇所は、一の印刷用シリンダ522からインキが供給され、第2領域R2、第4領域R4における同色の箇所は、この一の印刷用シリンダ522とは異なる他の印刷用シリンダ522(はじきインキを供給する印刷用シリンダ522)からインキが供給される。
【0060】
また、複数色を用いた模様が容器20の全周に渡り広範囲に存在する場合には、通常の印刷に比べ、印刷用シリンダ522を多数用意する必要がある。即ち、例えば、第1領域R1、第3領域R3における模様を形成するために、まず複数の印刷用シリンダ522を用意する必要がある。そして第2領域R2、第4領域R4における模様を形成するための複数の印刷用シリンダ522をさらに用意する必要がある。
【0061】
ここで上記のような印刷用シリンダ522の増加を防ぐため、図8(容器20の他の形態を示した図)に示すような形態とすることもできる。なお、同図(A)は容器20の正面図を示し、同図(B)は容器20の背面図を示している。
同図に示すように、例えば、第2領域R2および第4領域R4は、容器20の底部側に設けることができる。より詳細には、容器20の周方向に沿い且つ抵抗付与部33の幅よりもわずかに大きい幅を有した帯として形成することができる。さらに詳細に説明すれば、第2領域R2および第4領域R4は、容器20の周方向における長さを、容器20の周長の1/4とすることができる。
【0062】
このような形態とする場合、複数色を用いた模様が容器20の全周に渡り存在していても、第2領域R2、第4領域R4を形成するための一つの印刷用シリンダ522を追加するだけで済む。付言すれば、上記のように多数の印刷用シリンダ522を用意しないで済む。
【0063】
なお上記ではいわゆるはじきインキを用いて、第2領域R2に凹凸を形成したが、例えば発泡剤を含有したいわゆる発泡インキを用いてインキ層51を形成し、第2領域R2に凹凸を形成してもよい。
また上記では、第2領域R2に凹凸を付与することで摺動抵抗を減じたが、フッ素樹脂などを第2領域R2に貼付したり塗布したりして摺動抵抗を減じてもよい。この場合、テフロン(登録商標)加工が施されたテープなどを貼付するとより簡便である。同様に、フッ素系の樹脂(PTFE、PFA、PVDF等)及びそれらのテープ、あるいは、超高分子量ポリエチレンフィルム等の摩擦抵抗の小さいフィルムテープが使用できる。
【0064】
さらに、第2領域R2におけるトップコート層52を形成する塗料をいわゆるマット塗料とすることで第2領域R2に凹凸を付与し、摺動抵抗を減じてもよい。なおこの場合は、塗料の塗り分けが必要となる。即ち、第2領域R2に対してはマット塗料を塗布し、第1領域R1に対してはマット塗料ではない塗料を塗布する必要がある。
また、第2領域R2におけるトップコート層52の表面に更にマット塗料を塗布することで第2領域R2に凹凸を付与し、この領域における摺動抵抗を減じてもよい。
また、第2領域R2におけるインキ層51をはじきインキにより形成するとともに、このインキ層51の表面にマット塗料を用いてトップコート層52を形成してもよい。
【0065】
ここでマット塗料とは、ガラス、シリカ、樹脂等の光を散乱させる粒子が含有され、通常の塗料よりも光沢度が低下する塗料である。マット塗料には、上記のようにガラス、シリカ、樹脂等の粒子が含まれているため、その表面に凹凸が形成される。このためマット塗料を用いた場合にも、左方側ガイド32と第2領域R2との摺動抵抗が小さくなり上記のような滑りを発生させることが可能となる。
【0066】
また例えば、第1領域R1〜第4領域R4におけるトップコート層52をマット塗料により形成した後、第1領域R1および第3領域R3に対して、表面を平滑にする塗料(例えば、上記ガラス等が含まれていない塗料)を塗布してもよい。即ち、マット塗料を塗布することで容器20の全周を滑りやすくした後、第1領域R1および第3領域R3に表面を平滑にする塗料を塗布し、第1領域R1および第3領域R3を滑りにくくしてもよい。
また例えば、第1領域R1〜第4領域R4におけるトップコート層52をマット塗料により形成した後、このトップコート層52よりも摩擦係数の小さな、例えば前掲のテフロン(登録商標)系のテープやシールなどを第2領域R2および第4領域R4に貼付してもよい。
【0067】
また、上記ではいわゆる2ピース缶を例示したが、3ピース缶であっても上記と同様の機能を付与可能である。また、ペットボトルであっても上記と同様の機能が付与可能である。なお、ペットボトルの場合、例えば、外周面に装着されるフィルムに付与される図柄を印刷する際に用いるインキの種類を異ならせたり、フィルムに塗布される塗料の種類を異ならせたりすることで第1領域R1〜第4領域R4を形成することができる。また、例えば、フィルムに孔などを開けてペットボトルの表面を露出させる。そしてこの露出した部位とフィルム面との間で摩擦係数を異ならせ、第1領域R1〜第4領域R4を形成することができる。また、図9(容器20の他の形態を説明するための図)のように、第1領域R1〜第4領域R4が予め形成されたテープTAを、容器20に貼付することによっても、容器20に第1領域R1〜第4領域R4を形成することができる。なお、この場合、第1領域R1〜第4領域R4と識別標記23とが予め定められた位置関係となるように、テープTAを貼付する必要がある。
【0068】
さらに上記では第2領域R2および第4領域R4に凹凸を形成するとともに、第1領域R1および第3領域R3における表面を、第2領域R2および第4領域R4における表面よりも平滑にすることで識別標記23を前方に向けた。ところで容器20の回転/非回転には、例えばトップコート層52を構成する材料なども影響する。このため、第1領域R1および第3領域R3に凹凸が形成され、第2領域R2および第4領域R4が平滑に形成される場合であっても識別標記23を前方に向けることが可能な場合がある。
即ち、本実施形態では、識別標記23が設けられた箇所を平滑にするとともに識別標記23が設けられていない箇所に凹凸を付与したが、このような形態に限られず、摩擦係数の異なる少なくとも2つの領域を識別標記23に対応させて形成しておけば識別標記23を前方に向けることが可能となる。
【0069】
次いで、飲料の充填工程について説明する。
図10は、飲料の充填工程を説明するための図である。
本実施形態における飲料の充填工程には、上流側から搬送されてきた基体21を周方向に回転させ基体21に付された識別標記23を予め定められた方向に向ける回転装置600と、回転装置600により回転された基体21の内部に開口部を通じ飲料を充填する充填装置700とが設けられている。
【0070】
また、蓋部材22を搬送するとともに、充填装置700により飲料が充填された基体21に対してこの蓋部材22を載せる蓋部材搬送装置800、蓋部材搬送装置800によって基体21に載せられた蓋部材22をこの基体21に固定する固定装置900が設けられている。また、回転装置600により回転された基体21を、充填装置700、蓋部材搬送装置800、固定装置900を経由させて搬送する基体搬送装置400が設けられている。また、基体搬送装置400により搬送される基体21が所定位置に到達したことを検知するセンサS1が設けられている。さらに、基体搬送装置400、回転装置600、充填装置700、蓋部材搬送装置800、および固定装置900の各々を制御するとともに、センサS1からの出力を受け付ける制御部100が設けられている。なお、制御部100は、プログラム制御されたCPU(Central Processing Unit)により構成されている。
【0071】
基体搬送装置400は、循環移動可能に設けられるとともに基体21が載せられるベルト部材410と、このベルト部材410を駆動する駆動ロール(不図示)と、駆動ロールを駆動するモータ(不図示)とを備え、基体21を予め定められた経路に沿って一方向に移動させる。
【0072】
回転装置600は、上記のとおり、基体21を周方向に回転させ基体21に付された識別標記23(第1識別標記23aおよび第2識別標記23b)を予め定められた方向に向ける。なお、回転装置600の詳細は後述する。
充填装置700は、既存の技術により構成することができ、例えば、飲料が充填された飲料タンク(不図示)、飲料タンクからの飲料を基体21に注ぐノズル(不図示)により構成することができる。
【0073】
蓋部材搬送装置800は、循環移動が可能に設けられ蓋部材22を一方向に移動させる搬送ベルト810、搬送ベルト810の内側に配置され搬送ベルト810を循環移動させる駆動ロール820と、搬送ベルト810を内側から支持する第1支持ロール830、第2支持ロール840を備えている。また、蓋部材搬送装置800は、不図示のシャッタ機構を備え、開封用タブ42が一定の方向(図中奥側方向)を向いて積載された蓋部材22を搬送ベルト810上に順次供給する供給機構850を備えている。
【0074】
また、蓋部材搬送装置800は、搬送ベルト810により搬送されてきた蓋部材22を基体21に向けて落下させる落下機構870と、落下機構870により落下した蓋部材22のガイドを行うガイド部材880とを備えている。ここで落下機構870は、一端を支点として回転可能に設けられ蓋部材22を下方から支持する第1支持部材871および第2支持部材872を備えている。そして、第1支持部材871および第2支持部材872が回転すると、蓋部材22の下方への落下が行われる。
【0075】
固定装置900は、基体21の上縁部および蓋部材22の外縁部に曲げ加工を施し、基体21と蓋部材22とを固定する。即ち、いわゆる巻き締めにより基体21と蓋部材22とを固定する。
【0076】
ここで、充填工程における一連の動作を説明する。
まず、回転装置600により基体21の回転が行われ、例えば第1識別標記23aが基体21の移動方向上流側を向き、第2識別標記23bが基体21の移動方向下流側を向く。その後、基体21は、基体搬送装置400のベルト部材410に載せられることで充填装置700に到達し、基体21の内部に飲料が充填される。
【0077】
次いで、基体21がセンサS1により検知されると、制御部100により落下機構870が駆動され、向きが揃えられた(予め定められた姿勢にある)蓋部材22が下方へ落下する。これにより、基体21の上部に蓋部材22が載る。そして、蓋部材22が載った基体21は、固定装置900まで搬送され、基体21に対し蓋部材22が固定される。これにより、識別標記23と開口予定領域44とが上記位置関係を有し(図4参照)且つ内部に飲料が充填された容器20が完成する。
【0078】
次いで、回転装置600について詳細に説明する。
図11は、回転装置600を説明するための図である。
回転装置600は、基体21を搬送する搬送手段の一例としての搬送部670を備える。ここで搬送部670は、基体21の搬送経路に沿って設けられた板状のベース671と、ベース671の上面に取り付けられ基体21を搬送する複数の搬送ロール672と、この複数の搬送ロール672を駆動するモータ(不図示)とを備える。また、回転装置600は、搬送部670が基体21を搬送する際の搬送速度と同じ速度で循環移動するベルト部材610と、搬送部670により搬送される基体21の移動経路の側方に配置されるとともにこの移動経路に沿って設けられ、移動する基体21に対して抵抗を付与する抵抗付与部650とを備えている。なお、接触部材の一例としての抵抗付与部650は、陳列装置30に設けられた抵抗付与部33(図1参照)と同様に構成することができる。
【0079】
また、本実施形態では、抵抗付与部650と対峙する領域において、搬送部670のベース671に幅方向の傾斜(図中手前側に向かって下る傾斜)が付与されている。このため、搬送部670上の基体21は、抵抗付与部650と対峙する領域においてこの抵抗付与部650に向かってスライド移動し、外周面が抵抗付与部650に接触するようになる。また、搬送部670上の基体21は、抵抗付与部650と対峙する領域において、抵抗付与部650が設けられた側に傾斜する。なお、搬送部670におけるベース671の上記傾斜は、基体21を接触部材の一例としての抵抗付与部650に接触させる接触手段として捉えることができる。
【0080】
さらに回転装置600は、基体21の外周面と抵抗付与部650との接触圧を高める接触圧増加機構620を複数備えている。接触圧増加機構620の各々は、ベルト部材610に取り付けられるとともに、ベルト部材610の移動方向において、一定の間隔をおいて配置されている。また、接触圧増加機構620の配置間隔は、搬送部670により順次搬送される基体21の配置間隔(搬送間隔)と同じとなっている。
【0081】
接触圧増加機構620の各々は、基体21の重量を増加させる錘部630を備える。また、錘部630を上下方向に移動させることで、基体21に対して錘部630を進出させるとともに錘部630を基体21から退避させる移動機構640を備えている。また接触圧増加機構620の各々は、不図示のコンプレッサーからのエアーを錘部630に対して供給する供給チューブ680を備えている。
【0082】
錘部630は、供給チューブ680から供給されるエアーにより駆動し基体21の内周面に接触する接触部631と、基体21の上部(開口縁)に載せられるとともに接触部631を支持する支持部材632と、接触部631に取り付けられた錘633とを備えている。
【0083】
ここで、錘部630の総重量は、例えば、基体21に充填される飲料の重量が約350g(350ml)である場合、350gであることが最も好ましいが、おおよそ±10%前後の範囲でもよい。
【0084】
移動機構640は、モータ641と、錘部630の支持部材632に接続されたワイヤ643と、モータ641により回転駆動されワイヤ643を巻き取り又はワイヤ643を送り出す回転部材642とを備えている。また、回転部材642と支持部材632の間に配置されワイヤ643の捻れを抑制する捻れ抑制部644を備えている。ここで捻れ抑制部644は、上部側のワイヤ643に接続された第1接続部材644Aと、下部側のワイヤ643に接続された第2接続部材644Bとを備え、第1接続部材644Aに対し第2接続部材644Bが回転(図中矢印参照)することでワイヤ643の捻れを抑制する。
【0085】
次いで、回転装置600の動作について説明する。
図12は、回転装置600の動作を説明するための図である。
制御部100は、接触圧増加機構620が抵抗付与部650の上流側に達するタイミングにて、モータ641を駆動し、ワイヤ643の送り出しを行う。これにより、図12の符号12Aに示すように錘部630が下降するとともに、錘部630の接触部631が、基体21の上部に位置する開口部を通じ基体21の内部に進入する。そして支持部材632が基体21の上部(開口縁)に載せられた状態となると(符号12B参照)、供給チューブ680を通じエアーが接触部631に供給される。これにより接触部631に設けられた押圧部材(後述)が基体21の内周面を押圧する。
【0086】
また基体21が抵抗付与部650の対向位置まで到達すると、傾斜したベース671によって基体21がスライド移動し、基体21の外周面が抵抗付与部650に接触する。また、支持部材632が基体21の上部(開口縁)に載せられた状態となると基体21の重量が増加し、基体21と抵抗付与部650との接触圧が増加する。これにより後述する基体21の回転がより確実に行われるようになる。ここで、基体21の回転とともにワイヤ643が回転しワイヤ643には捻れが生じることとなるが、この捻れの発生は上記捻れ抑制部644により抑制される。
【0087】
ここで符号12Bに示すように、例えば第1識別標記23aが抵抗付与部650が配置された側を向いていると、基体21の回転が行われる。即ち、第1識別標記23aが、抵抗付与部650が配置された側を向いている場合、第1領域R1(図3参照)が抵抗付与部650に接触する状態にあり、基体21は抵抗付与部650から抵抗を受け回転する。
【0088】
そして、符号12Cに示すように、第1識別標記23aが基体21の移動方向上流側を向くと基体21の回転が停止する。即ち、第1識別標記23aが基体21の移動方向上流側を向くと、第4領域R4(図3参照)が、抵抗付与部650に接触する状態となり、基体21と抵抗付与部650との間に滑りが生じ、基体21の回転が停止する。その後、符号12Dに示すように、制御部100によりモータ641が駆動され錘部630が上昇する。
【0089】
図13は、錘部630を説明するための図である。なお同図(A)は錘部630の正面図であり、同図(B)は同図(A)のA−A線における断面図である。
上記のとおり、錘部630は、供給チューブ680から供給されるエアーにより駆動し基体21の内周面に接触する接触部631と、基体21の上部(開口縁)に載せられるとともに接触部631を支持する支持部材632と、接触部631に取り付けられた錘633とを備えている。
【0090】
ここで支持手段の一部として機能する接触部631について詳細に説明すると、接触部631は、支持部材632から下方に向かって延びるように配置されるとともに供給チューブ680からエアーの供給を受けるパイプ631Aと、パイプ631Aから供給されたエアーにより駆動し基体21の内周面を押圧する第1押圧機構631Bと、第1押圧機構631Bよりも上方に設けられパイプ631Aから供給されたエアーにより駆動し基体21の内周面を押圧する第2押圧機構631Cとを備えている。
【0091】
第1押圧機構631Bは、同図(B)に示すように、パイプ631Aの周方向において複数設けられている。また第1押圧機構631Bの各々は、パイプ631Aを中心として放射状に配置されている。また第1押圧機構631Bの各々は、同図(A)に示すように、パイプ631Aと直交する方向に向かって設けられパイプ631Aからのエアーを排出する排出パイプ110と、排出パイプ110の外側に設けられ排出パイプ110の軸方向に沿ってスライド可能なスライドパイプ111と、スライドパイプ111の先端部に取り付けられスライドパイプ111のスライドにより基体21の内周面を押圧する押圧部材112と、スライドパイプ111をパイプ631Aに向けて付勢するコイルスプリング113とを備えている。
【0092】
また第2押圧機構631Cも、同図(B)に示すように、パイプ631Aの周方向において複数設けられている。また第2押圧機構631Cの各々も、パイプ631Aを中心として放射状に配置されている。さらに第2押圧機構631Cの各々は、同図(A)に示すように、パイプ631Aから離れるに従い第1押圧機構631Bに接近するように傾斜して配置された排出パイプ120を備える。この排出パイプ120は、パイプ631Aからのエアーを排出する。また、排出パイプ120の外側に設けられ排出パイプ120の軸方向に沿ってスライド可能なスライドパイプ121、スライドパイプ121の先端部に取り付けられスライドパイプ121のスライドにより基体21の内周面を押圧する押圧部材122、スライドパイプ121をパイプ631Aに向けて付勢するコイルスプリング123を備えている。
【0093】
ここで上記スライドパイプ111および上記押圧部材112は、パイプ631Aから供給されたエアーにより駆動する駆動部材として捉えることができる。また、スライドパイプ121および押圧部材122も、パイプ631Aから供給されたエアーにより駆動する駆動部材として捉えることができる。
【0094】
図14は、接触部631の動作を説明するための図である。
本実施形態では上記のとおり、支持部材632が基体21の上部に載せられると、供給チューブ680を通じてエアーが接触部631に供給される。これによって、押圧部材112,122が基体21の内周面を押圧する。
【0095】
より具体的に説明すると、同図(A)の(A1)に示すように支持部材632が基体21の上部に載せられた後、供給チューブ680を通じてエアーが接触部631に供給される。ここで、このエアーは第1押圧機構631Bおよび第2押圧機構631Cの両者に供給されることとなるが、本実施形態では、コイルスプリング113のばね定数の方がコイルスプリング123のばね定数よりも小さく設定されている。このため、同図(A1)、(A2)に示すように、押圧部材112の方が押圧部材122よりも先に基体21に進出し、押圧部材112が押圧部材122よりも先に基体21の内周面に接触する。なおこのとき、押圧部材112は、基体21の周方向において互いに間隙を有した状態で基体21の内周面に接触する。
【0096】
そしてエアーの供給圧が更に高まると、押圧部材122が押圧部材112間に形成される上記間隙に向かって進出する(同図(B1)、(B2)参照)。そして押圧部材112,122の両者が進出すると、基体21の内周面であって周方向に沿って設けられた所定の帯状領域と押圧部材112,122とが接触するようになる。付言すれば、押圧部材112,122は、基体21の周方向において互いに隣接した状態で基体21の内周面を押圧する。
【0097】
図15は、基体21の外周面が抵抗付与部650に接触している際の基体21の内部状態を示した図である。詳細には、基体21の搬送方向上流側から基体21を眺めた場合の状態を示している。
【0098】
なお、上記では説明を省略したが、搬送部670の搬送ロール672は、基体21の搬送方向において複数設けられるとともにベース671の幅方向において複数(本実施形態では3つ(3列))配置されている。このため、本実施形態では、同図に示すように、ベース671に対して、並列配置された第1ロール列672a、第2ロール列672b、第3ロール列672cが設けられている。そして、本実施形態では、この3つのロール列のうちの真ん中に位置する第2ロール列672bを構成する搬送ロール672が不図示のモータにより駆動されている。即ち、本実施形態では、第2ロール列672bを構成する搬送ロール672によって基体21が搬送される。
【0099】
同図に示すように基体21は、抵抗付与部650と押圧部材112,122とにより挟まれた状態で搬送される。付言すれば、抵抗付与部650と対向する位置に押圧部材112,122が位置し、抵抗付与部650が接触する部位が基体21の内部から支持された状態で基体21は搬送される。この結果、基体21の変形などが抑制される。また、基体21と抵抗付与部650との接触圧が高まり基体21がより確実に回転するようになる。
【0100】
なお本実施形態では、予め定められたタイミングにてエアーの供給が停止され、押圧部材112,122は基体21の内周面から離間する。このとき押圧部材112は基体21の中心部側に向かって移動する。また、押圧部材122は基体21の中心部側且つ上方に向かって移動する。このため、押圧部材112と押圧部材122との干渉が避けられる。なお本実施形態では押圧部材122を上方に移動させる構成としたが押圧部材122を下方に移動させる構成としてもよい。
【0101】
―第2の実施形態―
次いで第2の実施形態における接触部631について説明する。図16は、第2の実施形態における接触部631を示した図である。なお第1の実施形態と同様の機能については、同様の符号を用いここではその説明を省略する。
上面図である同図(A)を参照して説明すると、本実施形態における接触部631は、上記第1の実施形態と同様に、第1押圧機構631Bおよび第2押圧機構631Cを備えている。
【0102】
第1押圧機構631Bは、第1の実施形態と同様に、基体21の内周面を押圧する押圧部材112を備えている。また詳細な図示は省略するが、第1の実施形態と同様、押圧部材112とパイプ631Aとの間に、パイプ631Aからのエアーを排出する排出パイプ、排出パイプの軸方向に沿ってスライド可能なスライドパイプ、スライドパイプをパイプ631Aに向けて付勢するコイルスプリングを備えている。
また第2押圧機構631Cも、第1の実施形態と同様に、基体21の内周面を押圧する押圧部材122を備えている。また詳細な図示は省略するが、第1の実施形態と同様、押圧部材122とパイプ631Aとの間に、パイプ631Aからのエアーを排出する排出パイプ、排出パイプの軸方向に沿ってスライド可能なスライドパイプ、スライドパイプをパイプ631Aに向けて付勢するコイルスプリングを備えている。
【0103】
ここで本実施形態における第2押圧機構631Cは、第1押圧機構631Bと同じ高さ位置に設けられている。さらに、第2押圧機構631Cの押圧部材122は、第1押圧機構631Bの押圧部材112よりも内側に配置されている。また第1押圧機構631Bのスライドパイプと、第2押圧機構631Cの押圧部材122との干渉を避けるため、押圧部材122には、同図(B)に示すように、その両端部に溝122Aが形成されている。
【0104】
第2の実施形態における接触部631に対しても上記と同様、パイプ631Aを通じてエアーが供給される。そしてこの場合も、まず第1押圧機構631Bの押圧部材112が基体21の内周面に進出し且つこの内周面を押圧する。そしてエアーの圧力が更に高まると第2押圧機構631Cの押圧部材122が基体21の内周面に進出し且つ内周面を押圧する。この結果、図17(エアー供給後の状態を示した図)に示すように、基体21の全周に亘って基体21の内周面が押圧部材112,122により押圧される。
【0105】
―第3の実施形態―
次に第3の実施形態について説明する。
図18は、第3の実施形態における錘部630を示した図である。
同図(A)に示すように本実施形態における錘部630においても押圧部材112を備えた第1押圧機構631B、押圧部材122を備えた第2押圧機構631Cが設けられている。
【0106】
ここで押圧部材112は、パイプ631Aの周方向において複数設けられている。また、押圧部材112の各々にはワイヤW1が取り付けられている。さらに本実施形態における第1押圧機構631Bは、パイプ631Aに対してスライド可能に設けられたスライド部材114を備えており、上記ワイヤW1の一端がこのスライド部材114に固定されている。
【0107】
また第1押圧機構631Bは、ワイヤW1の略中央部に一端が取り付けられパイプ631Aに他端が取り付けられた支持柱115を備えている(同図(B)も参照)。さらに本実施形態では、パイプ631Aの内部に設けられパイプ631Aの軸方向にスライド可能なスライド部材116と、このスライド部材116をスライドさせるピニオンギアPG1と、このピニオンギアPG1を回転させる第1モータM1が設けられている。なお、スライド部材114は、スライド部材116に対して固定されスライド部材116のスライドに連動してスライドする。
【0108】
また押圧部材122も、パイプ631Aの周方向において複数設けられている。なお押圧部材122の各々は、周方向において互いに隣接する押圧部材112の間に配置されている。また、押圧部材122の各々にはワイヤW2が取り付けられている。さらに本実施形態における第2押圧機構631Cは、パイプ631Aに対してスライド可能に設けられたスライド部材124を備えており、上記ワイヤW2の一端がこのスライド部材124に固定されている。また第2押圧機構631Cは、ワイヤW2の略中央部に一端が取り付けられパイプ631Aに他端が取り付けられた支持柱125を備えている(同図(B)も参照)。
【0109】
さらに本実施形態では、パイプ631Aの内部に設けられパイプ631Aの軸方向にスライド可能なスライド部材126と、このスライド部材126をスライドさせるピニオンギアPG2と、このピニオンギアPG2を回転させる第2モータM2が設けられている。なお、スライド部材124は、スライド部材126に対して固定されスライド部材126のスライドに連動してスライドする。
【0110】
ここで本実施形態では、基体21に対して支持部材632が載せられた後、まず第1モータM1が駆動される。これにより同図(B)に示すようにスライド部材116が進出する。そしてこの進出に伴いスライド部材114が下方に移動する。この結果、ワイヤW1がパイプ631Aから離れる方向に移動するとともに押圧部材112が基体21の内周面に接触する。
【0111】
その後、本実施形態では、第2モータM2が駆動される。これにより同図(C)に示すようにスライド部材126が進出する。そしてこの進出に伴いスライド部材124が下方に移動する。この結果、ワイヤW2がパイプ631Aから離れる方向に移動するとともに押圧部材122が基体21の内周面に接触する。なお本実施形態では、支持部材632に対し、ワイヤ643(図11参照)が取り付けられる取り付け部632Aを2箇所設けている(図18(A)参照)。
【0112】
―第4の実施形態―
図19は、第4の実施形態における錘部630を示した図である。なお本図では錘633の図示を省略している。
同図(A)に示すように本実施形態における錘部630には、支持部材632から下方に延びる支持柱634が設けられている。そしてこの支持柱634は、長手方向における略中央部に径方向に突出した突出部634Aを有している。また支持柱634の先端部(下端部)には、支持柱634の周方向に沿って設けられたリング部材634Bが取り付けられている。さらに本実施形態では、支持柱634の下端部に取り付けられ支持柱634に対してスライド可能なスライド部材635が設けられている。
【0113】
スライド部材635は、支持柱634が挿入される挿入孔635Aを有するとともに、この挿入孔635Aよりも内部側に、挿入孔635Aの直径よりも直径が大きい空洞635Bを備えている。そして、本実施形態ではこの空洞635B内に上記リング部材634Bが配置されている。なおこのリング部材634Bは、空洞635Bの内周面に接触配置されている。また、空洞635B内であってリング部材634Bの上方には引っ張りばね636が配置されている。
【0114】
また本実施形態では、支持柱634によって第1押圧機構631Bが支持されている。また本図では図示を省略しているが第2押圧機構も設けられている。第1押圧機構631Bは、上記第1の実施形態等と同様に押圧部材112を有している。なおこの押圧部材112は、支持柱634の周方向において複数設けられている。また本実施形態における第1押圧機構631Bは、各押圧部材112と突出部634Aとを接続する第1接続部材117Aと、第1接続部材117Aの中央部とスライド部材635とを接続する第2接続部材117Bとを備えている。
【0115】
ここで錘部630が基体21に挿入されると、同図(B)に示すように、基体21の底面によってスライド部材635が下方から押圧される。これによってスライド部材635と突出部634Aとが互いに接近するとともに、第1接続部材117Aが支持柱634から離れるように移動(回転)する。そしてこの移動によって、押圧部材112が基体21の内周面を押圧する。より詳細に説明すれば、第1接続部材117Aが移動する際、第1接続部材117Aはその先端が円弧を描きながら移動する。このため、押圧部材112は基体21の内周面に向かって移動するとともに基体21の上方に向かって移動し、基体21の内周面に接触する。なおこのとき押圧部材112は、基体21の周方向において互いに間隙を有した状態で基体21の内周面に接触する。
【0116】
図20は、第1押圧機構631B等を上方から眺めた場合の図である。なお同図(A)は錘部630が基体21に挿入される際の状態を示し、同図(B)は錘部630が基体21に挿入された後の状態を示している。なお本図では、支持柱634、スライド部材635などの図示を省略している。
【0117】
同図(A)および上述のとおり、押圧部材112は周方向において複数配置されている。また本実施形態では、押圧部材112の上方に、押圧部材122を備えた第2押圧機構631Cが設けられている。第2押圧機構631Cの押圧部材122は、互いに隣接する押圧部材112の間に配置されるとともに押圧部材112よりも上方に配置されている。
【0118】
ここで本実施形態では、押圧部材112は上記のように上方に向かっての移動も行う。このため本実施形態では、上方に移動するこの押圧部材112によって下方から押圧部材122が押圧され、押圧部材122は上方に移動する。付言すれば、押圧部材122は、移動する押圧部材112により駆動されることで、押圧部材112間に形成される上記間隙に向かって移動する。また押圧部材122は、後述する接続部材127によってガイドされ基体21の内周面に向かって移動する。そして押圧部材122は、基体21の内周面に接触する(同図(B)参照)。
【0119】
押圧部材112等を側方から眺めた同図(C)に示すように、押圧部材112の両端部には斜面112Bが形成され、押圧部材122の両端部にも斜面122Bが形成されている。そして本実施形態では、斜面112Bおよび斜面122B同士を接触させることで、押圧部材112と押圧部材122との間に間隙が形成されることを防止している。
【0120】
図21は、第2押圧機構631Cを説明するための図である。図19では図示を省略した第2押圧機構631Cを本図を用いて説明する。
第2押圧機構631Cにおける押圧部材122は、周方向において複数設けられている。また第2押圧機構631Cには、押圧部材122とスライド部材635とを接続する接続部材127が設けられている。ここで本実施形態における押圧部材122は、上記のとおり、第1押圧機構631Bの押圧部材112により下方から押圧され上方へ移動する(同図(B)参照)。このとき接続部材127がガイドの機能を果たすようになる。即ち、押圧部材122は、第1押圧機構631Bの押圧部材112により上方へ移動しようとするが、この際、接続部材127によりガイドされ、基体21の内周面に向かって移動する。そして押圧部材122は基体21の内周面に接触する。
【0121】
―第5の実施形態―
図22および図23は、第5の実施形態における錘部630を示した図である。なお、図22は、錘部630を上方から眺めた場合の図を示し、図23は錘部630を側方から眺めた場合の図を示している。詳細には、図22(A)は錘部630が基体21に挿入される際の状態を示し、同図(B)は錘部630が基体21に挿入された後の状態を示している。また図23(A)は錘部630を側方から眺めた場合の図であり、同図(B)は同図(A)のA−A線における断面図である。なお本図でも錘633の図示を省略している。
【0122】
図23(A)に示すように、本実施形態における錘部630には、支持部材632(本図では不図示)から下方に延びる円柱状部材638が設けられている。この円柱状部材638は、中空で形成されその内部に不図示のコンプレッサーからエアーが供給されている。また本実施形態では、この円柱状部材638の下端に第1押圧機構631Bが取り付けられている。
【0123】
第1押圧機構631Bは、図22(A)、(C)にも示すように、円柱状部材638からエアーの供給を受ける被供給管118A、被供給管118Aに供給されるエアーにより円柱状部材638から離れる方向に移動する移動部材118B、この移動部材118Bを円柱状部材638に向けて付勢するコイルスプリング118Cを備えている。なお、図22(A)に示すように、被供給管118A、移動部材118B、およびコイルスプリング118Cにより構成される機構は、複数設けられるとともに、放射状に配置されている。また移動部材118Bの先端部には押圧部材112が取り付けられており、移動部材118Bが移動することにより押圧部材112が基体21の内周面に接触する。
【0124】
また本実施形態における錘部630には、図23(A)に示すように、内部に空洞を有した円盤状部材639が設けられている。この円盤状部材639は、円柱状部材638の周囲に設けられるとともに円柱状部材638の軸方向に沿ってスライド可能に設けられている。さらに円盤状部材639をスライドさせるソレノイドS、不図示のコンプレッサーからのエアーを円盤状部材639の内部に供給する第1供給管660、円盤状部材639に接続されるとともに円盤状部材639からのエアーを錘部630の下方に供給する第2供給管661が設けられている。なお第2供給管661は、円盤状部材639に周方向において複数設けられている。
【0125】
第2押圧機構631Cは、図23(A)に示すように、第2供給管661の下端に取り付けられている。第2押圧機構631Cは、第1押圧機構631Bと同様の構成を有しており、図22(D)にも示すように、第2供給管661からエアーの供給を受ける被供給管119A、被供給管119Aに供給されるエアーにより第2供給管661から離れる方向に移動する移動部材119B、移動部材119Bを第2供給管661に向けて付勢するコイルスプリング119Cを備えている。なお図22(A)に示すように、被供給管119A、移動部材119B、およびコイルスプリング119Cにより構成される機構は、複数設けられるとともに、放射状に配置されている。また移動部材119Bの先端部には押圧部材122が取り付けられており、移動部材119Bが移動することにより押圧部材122が基体21の内周面に接触する。
【0126】
図22(B)は、エアーが供給され押圧部材112および押圧部材122が基体21の内周面に接触した状態を示している。円柱状部材638に対してエアーが供給されるとこのエアーの圧力によって上記移動部材118Bが基体21の内周面に向かって移動する。これにより押圧部材112が基体21の内周面に接触する。また、円盤状部材639を介して第2供給管661に対しエアーが供給されるとこのエアーの圧力によって上記移動部材119Bが基体21の内周面に向かって移動する。これにより押圧部材122が基体21の内周面に接触する。
【0127】
ここで錘部630を基体21から出す際にはエアーの供給を停止する。これにより押圧部材112,122が基体21の内周面から離れるとともに錘部630の径が小さくなる。次いで、錘部630を上昇させ錘部630を基体21から出す。
【0128】
ところで本実施形態の構成では、エアーの供給を単に停止しただけでは押圧部材112と押圧部材122とが互いに干渉し、錘部630の径を小さいものにすることが困難となる。そこで本実施形態では、ソレノイドSを駆動することで円盤状部材639を上方へ移動させる。これにより押圧部材122も上方へ移動する。即ち、押圧部材122を、押圧部材112と干渉が生じない位置まで移動させる。その後、エアーの供給を停止する。これにより押圧部材112と押圧部材122との干渉を避けることが可能となり、錘部630の径を縮めることが可能となる。
【0129】
なおエアーの供給を再度行う際には、例えば、円柱状部材638に対してエアーの供給を行う。これにより押圧部材112が基体21の内周面にまず接触する。次いで円盤状部材639を介して第2供給管661にエアーを供給する。これにより、押圧部材122が基体21の内周面に接触する。その後、ソレノイドSを駆動し円盤状部材639を下降させる。これにより隣接する押圧部材112の間(隣接する押圧部材112間に形成される間隙)に押圧部材122が入り込み、基体21の周方向において、押圧部材112および押圧部材122が同一の線状に並ぶことになる。
【0130】
なお、上記回転装置600は、基体21の検査装置の一部として用いることも可能である。例えば基体21を搬送するとともに回転装置600にて基体21を回転させる。そして、識別標記23が基体21の搬送方向上流側や搬送方向下流側に向いたものを合格品とすることができる。即ち、基体21の中には、第1領域R1〜第4領域R4が要求される条件を満たしておらず、陳列装置30にて回転を行うことができないものが含まれる可能性もある。回転装置600を用いて基体21を回転させることで、第1領域R1〜第4領域R4が要求される条件を満たしていない基体21を選別することが可能となる。
【符号の説明】
【0131】
21…基体、23a…第1識別標記、23b…第2識別標記、111…スライドパイプ、112…押圧部材、121…スライドパイプ、122…押圧部材、631…接触部、650…抵抗付与部、670…搬送部、671…ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に標記が付され、摩擦係数が互いに異なる少なくとも2つの領域を当該外周面に且つ周方向の異なる位置に有し、開口部を通じて内部に飲料が充填される筒状体を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程により搬送される前記筒状体の前記外周面に接触部材を接触させる接触工程と、
前記筒状体の前記開口部を通じて当該筒状体の内部に駆動部材を配置するとともに当該駆動部材を駆動させることで当該筒状体の内周面に当該駆動部材を接触させ、前記接触部材が接触する部位を当該筒状体の内部から支持する支持工程と、
を含む筒状体の搬送方法。
【請求項2】
前記駆動部材は、複数設けられ、
前記支持工程では、前記駆動部材の各々が前記筒状体の周方向において互いに隣接するように当該駆動部材の各々を前記内周面に接触させることを特徴とする請求項1記載の筒状体の搬送方法。
【請求項3】
前記支持工程による前記支持の後、前記駆動部材の各々を前記内周面から離間させる離間工程を更に含み、
前記離間工程では、複数の前記駆動部材のうちの一部の駆動部材を前記筒状体の中心部側に向かって移動させ当該一部の駆動部材を前記内周面から離間させ、複数の当該駆動部材のうちの他の駆動部材を当該中心部側且つ上方又は下方に移動させ当該他の駆動部材を当該内周面から離間させることを特徴とする請求項2記載の筒状体の搬送方法。
【請求項4】
前記駆動部材は、複数設けられ、
複数の前記駆動部材のうちの一部の駆動部材は、前記筒状体の内部にて当該筒状体の中心部側から前記内周面側に向かうように放射状に配置され、前記支持工程では互いに間隙を有する状態で当該内周面に接触し、
複数の前記駆動部材のうちの他の駆動部材は、前記一部の駆動部材よりも上方又は下方に位置し、前記支持工程では当該位置から前記間隙に向かって移動し前記内周面に接触することを特徴とする請求項1記載の筒状体の搬送方法。
【請求項5】
前記駆動部材は、複数設けられ、
複数の前記駆動部材のうちの一部の駆動部材は、前記支持工程にて前記内周面に向かって移動するように駆動されることで当該内周面に接触し、
複数の前記駆動部材のうちの他の駆動部材は、前記一部の駆動部材の前記移動により駆動され前記内周面に接触することを特徴とする請求項1記載の筒状体の搬送方法。
【請求項6】
前記支持工程における前記駆動部材の駆動は、エアーを用いて行われることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の筒状体の搬送方法。
【請求項7】
前記接触工程では、前記搬送工程により搬送される前記筒状体を前記接触部材が設けられた側に傾斜させることで前記外周面に当該接触部材を接触させることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の筒状体の搬送方法。
【請求項8】
外周面に標記が付され、摩擦係数が互いに異なる少なくとも2つの領域を当該外周面に且つ周方向の異なる位置に有し、開口部を通じて内部に飲料が充填される筒状体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記筒状体の前記外周面に接触部材を接触させる接触手段と、
前記筒状体の前記開口部を通じて当該筒状体の内部に駆動部材を配置するとともに当該駆動部材を駆動させることで当該筒状体の内周面に当該駆動部材を接触させ、前記接触部材が接触する部位を当該筒状体の内部から支持する支持手段と、
を含む筒状体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−46509(P2011−46509A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198076(P2009−198076)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
【Fターム(参考)】