説明

筒状構造物用内部点検装置の操作装置および操作方法

【課題】 構造が簡単で、その組立ておよび解体が短時間で行える筒状構造物用内部点検装置の操作装置および操作方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 排気筒3の頂部から上方に向けて突出して取り付けられた吊り架構55と、吊り架構55に支持され、吊下げ位置が排気筒3の内部空間上と外部空間上との間で変位可能とされた滑車装置57と、排気筒3に設置され、滑車装置57を介して点検装置19を吊り下げるウインチ53と、が備えられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状構造物用内部点検装置の操作装置および操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筒状構造物の内部点検装置としては、例えば、特許文献1に示されるものが提案されている。
この特許文献1に記載された内部点検装置は発電所の排気筒の内壁面を点検するものである。その概略構成は図16に示されるように、カメラユニット103を搭載したゴンドラ104が、排気筒100頂部のプラットホーム101に設けた揚重アーム107から吊り込みワイヤー102で吊下げられ、先端に重り105を付けたガイドワイヤー109に沿って降下させながら、カメラユニット103で内面を撮影し、その撮影データはキャプタイヤケーブル106を通じて地上のモニター装置108へ送られモニタリングされるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−91512号公報(段落[0006]〜[0009]、および図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排気筒100内には、排気ガスが強く流れていて乱流が起こり易いが、上記例のように、ガイドワイヤー109の先端に付けた重り105により規制するだけでは、この乱流によるカメラユニット103の横揺れを防ぐのは難しく、絶えずカメラユニット103が不安定になって撮影画像が乱れ、正確な点検ができなくなる。さらに、乱流が甚だしい場合には、装置が内壁に衝突する恐れがあるという問題があった。
また、カメラユニット103の排気筒内への設置作業はプラットホーム101上での高所作業となるので、精密機器であり、かつ付属部品を含めると相当の重量となるカメラユニット103を、風の強い環境下、機器に損傷を与えることなく、排気筒内の所定位置に正確に設置するには、大型の揚重設備が必要となる。上記従来例では、プラットホーム101上に、大型の片持ち支持機構の揚重アーム107を使用しているが、この揚重アーム型の揚重設備では、設備組立ておよび解体に多大の時間と費用を要するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、構造が簡単で、その組立ておよび解体が短時間で行える筒状構造物用内部点検装置の操作装置および操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる筒状構造物用内部点検装置の操作装置は、筒状構造物の頂部から上方に向けて突出して取り付けられた吊り架構と、該吊り架構に支持され、吊下げ位置が前記筒状構造物の内部空間上と外部空間上との間で変位可能とされた滑車装置と、前記筒状構造物に設置され、前記滑車装置を介して点検装置を吊り下げるウインチと、が備えられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、筒状構造物の頂部に吊り架構を設置し、この吊り架構に筒状構造物の内部空間上と外部空間上との間で変位できる滑車装置を取付ける。
そして、ウインチから繰り出されたワイヤーを外部空間に位置された滑車装置を経由して吊下げ、ワイヤーの先端部に点検装置を取り付け、ウインチを巻き戻して点検装置を筒状構造物の頂部よりも高い位置に持上げる。
次いで、滑車装置を筒状構造物の内部空間上に移動すると、点検装置は筒状構造物の内部空間の上部に位置させることができる。
この状態で、ウインチを繰り出すと、点検装置が筒状構造物の内部空間内に降下させることができるので、筒状構造物の内部を点検することができる。
このとき、吊り架構には、楊重手段も、旋回手段も必要とされないので、小型、軽量のものとすることができる。
このため、吊り架構および滑車装置の組立、解体が簡単に行えるので、それらの作業時間を短縮でき、点検コストを削減することができる。
【0008】
また、本発明にかかる筒状構造物用内部点検装置の操作装置は、前記吊り架構には、端部が前記筒状構造物の内部空間上と外部空間上とに位置するように延在されたガイド梁が備えられ、前記滑車装置には、前記ガイド梁に固定して設けられた固定滑車と、該固定滑車の前記内部空間側に配置され、前記ガイド梁のガイド面に沿って移動可能に設けられた移動滑車と、が備えられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、移動滑車を固定滑車の近傍に位置させ、ウインチから繰り出されたワイヤーは固定滑車から移動滑車を経由して繰り出し、ワイヤーの先端部に点検装置を取り付け、ウインチを巻き戻して点検装置を筒状構造物の頂部よりも高い位置に持上げる。
次いで、移動滑車を筒状構造物の内部空間上に移動すると、点検装置を筒状構造物の内部空間の上部に位置させることができる。
このとき、ウインチから繰り出されるワイヤーは固定滑車を経由しているので、ワイヤーの繰り出しが常に一定の姿勢で行われる。このため、点検装置の上昇下降が安定して安全に行うことができるので、精度の高い点検を効率的に行うことができる。
【0010】
また、本発明にかかる筒状構造物用点検装置の操作装置は、前記ガイド梁の前記筒状構造物の内部空間側には、前記移動滑車の移動を拘束する位置決め手段が備えられていることを特徴とする。
【0011】
このように、ガイド梁の筒状構造物の内部空間側には、移動滑車の移動を拘束する位置決め手段が備えられているので、点検装置が点検作業を行う時に移動滑車の位置を特定することができる。
また、点検作業中に、移動滑車が移動するのを防止できるので、点検作業の安全性を向上させることができる。
【0012】
また、上記発明では、前記位置決め手段は、前記ガイド梁に着脱自在に装着され、装着時前記移動滑車の移動を拘束するピンを備えていることが好適である。
【0013】
また、上記発明では、前記位置決め手段は、前記ガイド梁の前記ガイド面に前記外部空間側が枢支され上下方向に揺動可能に装着された揺動部材と、該揺動部材を前記ガイド面から上方に突出するように付勢する弾性部材とを備えていることが好適である。
このようにすると、移動滑車はガイド面を内部空間側に移動するとき、揺動部材を押し下げて移動する。移動滑車が揺動部材を通過すると、揺動部材は弾性部材によってガイド面から上方に突出し、移動滑車の外部空間側への移動を制限することになる。
すなわち、移動滑車は、移動するだけで自動的に位置決めされることができる。
【0014】
また、本発明にかかる筒状構造物用内部点検装置の操作装置では、前記点検装置には、前記点検装置を前記筒状構造物の壁面方向に付勢する吸着手段が備えられていることを特徴とする。
【0015】
このように、点検装置には、点検装置を筒状構造物の壁面方向に付勢する吸着手段が備えられているので、点検中に点検装置は吸着手段により壁面方向に付勢されている。
点検装置は吸着手段により壁面に押付けられていると、たとえ装置に向かう流れが乱流であっても姿勢が乱れることなく安定した姿勢を維持できるので、点検装置は一定した姿勢で壁面等の点検が行え、正確で精度の高い点検を行うことができる。
【0016】
本発明にかかる筒状構造物用点検装置の操作方法は、ウインチから繰り出されたワイヤーを筒状構造物の頂部に設置された吊り架構の滑車装置を経由して吊下げ、前記ワイヤーの先端部に点検装置を取り付け、前記ウインチを巻き戻して前記点検装置を前記筒状構造物の頂部よりも高い位置に持上げ、前記点検装置を前記筒状構造物の内部空間の上部に位置させ、前記ウインチを繰り出して前記点検装置を前記内部空間内に降下させることを特徴とする。
【0017】
このように、ウインチから繰り出されたワイヤーを筒状構造物の頂部に設置された吊り架構の滑車装置を経由して吊下げ、ワイヤーの先端部に点検装置を取り付け、ウインチを巻き戻して点検装置を筒状構造物の頂部よりも高い位置に持上げ、点検装置を筒状構造物の内部空間の上部に位置させ、ウインチを繰り出して点検装置を前記内部空間内に降下させて、筒状構造物の内部を点検する。
このとき、吊り架構には、楊重手段も、旋回手段も必要とされないので、小型、軽量のものとすることができる。
このため、吊り架構および滑車装置の組立、解体が簡単に行えるので、それらの作業時間を短縮でき、点検コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、吊り架構、滑車装置およびウインチを用いて点検装置を操作するようにしているので、それらの組立、解体が簡単に行える。したがって、それらの組立、解体作業時間を短縮でき、点検コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態にかかる内部点検装置1について、図1〜図17を用いて説明する。
本実施形態にかかる内部点検装置1は、発電所の排気筒(筒状構造物)3の内部を点検するものである。
図1は、内部点検装置1が排気筒3の内部を点検している状態を示す断面図である。図2は、排気筒3の構成と内部点検装置1の設置設備を示す断面図である。
【0020】
排気筒3の構成について説明する。
排気筒3の外面には、排気筒3を外側から支持する鉄塔5が設けられている。排気筒3の内部には、有毒ガスの漏出等の万一の事態に備えて、応急ガス排出筒7が図示しない支持枠を介して設置されている。支持枠は、全周にわたり壁面9から突起して設けられた段差により補強されている。
排気筒3の頂部外周には、全周にわたる下部プラットホーム11および上部プラットホーム13が設けられている。
【0021】
本実施形態にかかる内部点検装置1には、点検装置19と、点検装置19を操作する操作装置21とが備えられている。
図3は、本実施形態にかかる点検装置19の正面図である。図4は、点検装置19の側面図である。
点検装置19には、フレーム23と、支持手段25と、吸着手段27と、昇降方向修正機構29と、突出量調整機構31と、点検手段33とが備えられている。
【0022】
支持手段25は、一対の車輪35を壁面11に接触させて点検装置19を支持するものである。
吸着手段27は、一対の車輪35の間に配置された磁石37を有し、この磁石37によって車輪35を介して点検装置19を壁面11に向けて付勢するものである。
昇降方向修正装置29は、基部がフレーム23に取り付けられ、先端部が一対の車輪35を支持する支持フレーム39の両端部に接続された一対のアクチュエータ41,41を備えている。
昇降方向修正装置29は、一対のアクチュエータ41,41を操作して、支持フレーム39の方向を変更し、車輪35の進行方向を変更し、フレーム23の昇降方向を調節するものである。
【0023】
突出量調整機構31は、支持手段25の車輪35を進行方向の面内での揺動を許容するように構成されている。すなわち、突出量調整機構31は、車輪35に所定以上の荷重が掛かると、車輪35を上方に逃がし、荷重が元に戻ると元の位置に戻す機能を奏するものである。言い換えると、突出量調整機構31は、車輪35のフレーム23からの突出量を調節し、これにより、壁面11に存在する段差(壁内周の補強板等)を乗り越え得るようにするものである。
【0024】
点検手段33には、壁面点検用カメラ43と、降下時および上昇時にそれぞれ進行方向を撮影するカメラ(図示省略)と、照明装置45とが備えられている。
また、フレーム23の両端には、補助車輪47および補助磁石49を有する一対の補助フレーム51が備えられている。補助磁石49は、点検装置19を壁面11側に付勢するもので、段差を乗り越えた後、吸着手段27、すなわち、車輪35を確実に壁面11に接触させる機能を奏する。
【0025】
次に、図5〜図9により操作装置21の構成について説明する。
操作装置21には、下部プラットホーム13に設けられたウインチ53と、排気筒3の頂部に設けられた吊り架構55と、吊り架構55に取り付けられた滑車装置57と、が備えられている。
また、下部プラットホーム13には、図示を省略しているが、ウインチ53の操作盤と、画像監視装置とが設置されている。
【0026】
下部プラットホーム13の上に、例えばグレーチングで構成されたステージ59が形成されている。
ウインチ53は、ステージ59の上に、固定して取り付けられている。ウインチ53のウイヤー61は、ステージ59の上に取り付けられた固定滑車63を介して繰り出しあるいは巻き戻しされるように構成されている。
【0027】
吊り架構55には、一対の支柱65,65と、複数(例えば、3本)の補強リブ67と、ガイド梁69とが備えられている。
支柱65は、棒状をし、上部が三叉構造とされている。支柱65の下部には、上部プラットホーム15の手すり部に取付けるための取付部71が備えられている。
補強リブ67は、一対の支柱65の三叉部分の各上端部同士を連結するように取り付けられている。したがって、一対の支柱65と補強リブ67とで門型架構を形成している。
ガイド梁69は、H型鋼であり、補強リブ67に略直交する方向に延在して配置されている。ガイド梁69は、一方のフランジ部外面が各補強リブ67の略中央位置に接合されている。
【0028】
滑車装置57には、ガイド梁69の一端(排気筒3の外部側)下部に固定して取り付けられた固定滑車73と、固定滑車の内側でガイド梁69に沿って移動可能に取り付けられた移動滑車75とが備えられている。
移動滑車75は、枠体77と、枠体77の内側上部に対向してそれぞれ回転自在に取り付けられた一対のコロ79と、コロ79の下方位置で枠体77に取り付けられた滑車79とで構成されている。
一対のコロ79は、ガイド梁69の下側のフランジ部(ガイド面)83の上部に係合し、それに沿って回転することによって移動滑車75を移動させるように構成されている。
【0029】
ガイド梁69の所定位置には両方のフランジ部を貫通するピン孔85が設けられている。ピン孔85にピン(位置決め手段)87を挿入することにより、コロ79は移動が規制される。このピン孔85は、移動滑車75が点検装置19を排気筒3内に吊下げる位置にいる時、ピン87が移動滑車の外側への移動を拘束する位置に設けられている。
【0030】
以上説明した、本実施形態にかかる内部点検装置1の操作装置21の操作動作について説明する。
まず、上部プラットホーム15に、固定滑車装置17が取り付けられる。地上に地上ウインチ89が設置される。
地上ウインチ89のワイヤー91が繰り出され、固定滑車装置17を経由して地上まで張設される。
【0031】
この地上ウインチを用いて各資材が楊重される。(図1参照)
まず、グレーチング材を下部プラットホーム13に楊重し、ステージ59を形成する。(図11参照)
次いで、滑車装置57を取り付けた吊り架構55を楊重する。楊重した吊り架構55は、下部の取付部71を上部プラットホーム15の手すりに固定して図12に示されるように設置する。
次いで、点検装置19を楊重し、下部プラットホーム13のステージ59上に載置する。(図12参照)
【0032】
次いで、ウインチ53および固定滑車63が楊重され、それぞれ下部プラットホーム13のステージ59上に設置される。
また下部プラットホーム13上には、図示しないウインチ53の操作盤と、画像監視装置とが設置される。
【0033】
このように全ての機材を楊重すると、排気筒3の内部点検の準備に入る。
まず、ウインチ53からワイヤー61を繰り出し、固定滑車63、吊り架構55の滑車装置57を経由して下部プラットホーム13まで張設する。滑車装置57では図13に示すように、ワイヤー61は固定滑車73から移動滑車75の滑車81を経由するようにしている。
そして、ワイヤー61の先端に点検装置19を接続する。(図5参照)
この状態で、ウインチ53を巻き戻し、点検装置19を図13において二点鎖線で示すように排気筒3の頂部よりも高い位置まで持上げる。
【0034】
その後、ウインチ53によってワイヤー61を繰り出しながら移動滑車75をガイド梁69に沿って移動させる。
移動滑車75が所定の位置(点検位置)に来ると、ピン87をピン孔85に差し込む。これにより、移動滑車75の移動が規制され、その位置に拘束されることになる。
このように、移動滑車75が移動するのを防止できるので、点検作業の安全性を向上させることができる。
この状態で、ウインチ53によってワイヤー61を繰り出すと、点検装置19が下降し、排気筒3内に差し入れられる。
これで、点検準備が完了する。
【0035】
次に、点検作業について説明する。
ワイヤー61を繰り出して点検装置19がある程度排気筒3内に降下したところで、吸着手段27の磁石37に給電すると、磁石37が壁面10に吸着されようとして、点検装置19を壁面11の方向へ付勢する。そして、点検装置19は車輪35が壁面11に接触した状態で壁面11に押付けられる。
【0036】
この状態で、点検装置19に搭載された電力供給装置を投入して、壁面点検用カメラ43、降下時および上昇時にそれぞれ進行方向を撮影するカメラ、照明装置45、収録装置および無線伝送装置を投入する。
次いで、ウインチ53を作動してワイヤー61を繰り出すと、点検装置19は、車輪35が回転して降下して行く。点検装置19は壁面11と車輪35とで接触しているだけである。このため、車輪35の転がり摩擦係数は小さいので、点検装置19は磁石37で壁面11に付勢された状態でも滑らかに移動できる。
【0037】
この点検中に、点検装置19の車輪35が壁面11の段差に突き当たると、車輪35は段差から抵抗を受ける。この場合、突出量調整機構31が車輪35を上方に逃がし、車輪35が段差の高さに見合う位置になると、車輪35は段差の上に乗り上げることになる。
そして、車輪35が段差を乗り越えると、段差からの車輪35への抵抗力がなくなるので、車輪35は、元の位置へ戻る。
【0038】
このように、突出量調整機構31によって段差を乗越えることができる。このため、段差11を考慮することなく点検作業を実施できるので、効率よく点検をおこなうことができる。
【0039】
そして、点検装置19が排気筒3内の壁面11に沿って移動している間に、壁面点検用カメラ43により周囲の壁面11を撮影する。
この撮影したデータは、順次収録装置に収録され、無線伝送装置から図示しないアンテナにより下部プラットホーム13上の画像監視装置へ送られる。下部プラットホーム13では、点検者は、送られた画像を見ながらモニタリングを続行する。
この点検は点検装置19を所定速度で降下あるいは上昇させながら行うが、場合によってはウインチ53を操作し、点検装置19を特定位置に一時停止させ、あるいは一定間隔毎に停止させ、特定壁面を集中的にあるいは壁面全周を撮影して点検するようにしてもよい。
また、昇降方向修正機構29を操作し、車輪35の向きを変更することによって、周方向の位置を変更して点検するようにしてもよい。
【0040】
このように、点検装置19は、磁石37により壁面11方向に付勢された状態で、昇降して点検作業が行われるので、排気筒3内に乱流が生じても、例えば横揺れが生じる等姿勢が乱れることはなく安定した姿勢が維持できる。このため、壁面点検用カメラ43の姿勢が乱れることがないので、正確で精度の高い点検を行うことができる。
【0041】
また、吊り架構55には、楊重手段も、旋回手段も必要とされないので、小型、軽量のものとすることができる。
このため、吊り架構55および滑車装置57の組立、解体が簡単に行えるので、それらの作業時間を短縮でき、点検コストを削減することができる。
【0042】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図18を用いて説明する。
本実施形態にかかる操作装置21は、位置決め手段の構成が前述した第一実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第一実施形態のものと同じであるので、ここではそれらの構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0043】
すなわち、移動滑車75のコロ79が移動するフランジ部83に位置決め治具(位置決め手段)93を設置している。
位置決め治具93には、トリガー(揺動部材)95と、支持板97と、バネ(弾性部材)98と、引き紐99とが備えられている。
トリガー95は、板材で、外側端(外部空間側)が軸96に回動可能に取り付けられている。トリガー95の内側部(内部空間側部分)は、フランジ部83の下面に固定された支持板97との間に介装されたバネ98によって上方に付勢され、常時フランジ面85上に突出させられている。
【0044】
すなわち、トリガー95は、外側端がフランジ面85よりも下方に位置し、内側に向かうに伴い、徐徐にフランジ面85から上方へ突出し、内側端が最もフランジ面85上に突出している。
引き紐99は、一端がトリガー95の内側端部に接続されており、それを引っ張ることによってトリガーの内側端をフランジ面85よりも下方に位置するように引き下げることができる。
【0045】
このように構成された位置決め治具93の動作について説明する。
先端に点検装置19が吊下げられたワイヤー61が巻回した移動滑車75が、点検位置に向かって図18の矢印の方向に移動(図の左側に移動)すると、フランジ面85上を移動するコロ79がトリガー95に当接し、トリガー95をバネ98に抗して押し下げる。
コロ79がトリガー95を通過すると、トリガー95を押し下げる力がなくなるので、トリガー95はバネ98の弾性力によって上方へ揺動し、元の位置、すなわち、内側端がフランジ面85上に突出した状態に戻る。
点検装置19は、点検時、壁面11側に付勢されるので、移動滑車75は外側(図18の右側)へ移動しようとするが、コロ79がフランジ面85から上方へ突出したトリガー内側端に当接し、移動が拘束される。
【0046】
これにより、点検装置19は、点検位置に位置決めされた状態で点検作業が行われる。
そして、点検作業が終了し、移動滑車75を元の位置に移動させる場合には、引き紐99を引っ張ってトリガー95の内側端部をコロ79と接触しない位置まで引き下げる。
トリガー95はコロ79に当接しないようになるので、移動滑車75を元の位置に移動させることができる。
このように、本実施形態では、移動滑車75は、移動するだけで自動的に位置決めされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる内部点検装置が排気筒の内部を点検している状態を示す断面図である。
【図2】本発明を適用する排気筒の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる点検装置の正面図である。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる点検装置の側面図である。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる内部点検装置の点検準備状態を示す部分正面図である。
【図6】図5のX−X断面図である。
【図7】本発明の第一実施形態にかかる吊り架構を示す正面図である。
【図8】本発明の第一実施形態にかかる吊り架構を示す側面図である。
【図9】図5のY−Y断面図である。
【図10】本発明の第一実施形態にかかる内部点検装置の点検準備状態を示す部分正面図である。
【図11】図10のZ−Z断面図である。
【図12】本発明の第一実施形態にかかる内部点検装置の点検準備状態を示す部分正面図である。
【図13】本発明の第一実施形態にかかる内部点検装置の点検準備状態を示す部分正面図である。
【図14】図13のV視図である。
【図15】本発明の第一実施形態にかかる内部点検装置の点検準備状態を示す部分正面図である。
【図16】本発明の第一実施形態にかかる内部点検装置の点検準備状態を示す部分正面図である。
【図17】本発明の第一実施形態にかかる内部点検装置の点検準備状態を示す部分正面図である。
【図18】本発明の第二実施形態にかかる位置決め治具示す部分正面図である。
【図19】従来の内部点検装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 内部点検装置
3 排気筒
11 壁面
19 点検装置
21 操作装置
27 吸着手段
53 ウインチ
55 吊り架構
57 滑車装置
69 ガイド梁
73 固定滑車
75 移動滑車
83 フランジ面
87 ピン
93 位置決め治具
95 トリガー
98 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状構造物の頂部から上方に向けて突出して取り付けられた吊り架構と、
該吊り架構に支持され、吊下げ位置が前記筒状構造物の内部空間上と外部空間上との間で変位可能とされた滑車装置と、
前記筒状構造物に設置され、前記滑車装置を介して点検装置を吊り下げるウインチと、
が備えられていることを特徴とする筒状構造物用内部点検装置の操作装置。
【請求項2】
前記吊り架構には、端部が前記筒状構造物の内部空間上と外部空間上とに位置するように延在されたガイド梁が備えられ、
前記滑車装置には、前記ガイド梁に固定して設けられた固定滑車と、該固定滑車の前記内部空間側に配置され、前記ガイド梁のガイド面に沿って移動可能に設けられた移動滑車と、が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の筒状構造物用内部点検装置の操作装置。
【請求項3】
前記ガイド梁の前記筒状構造物の内部空間側には、前記移動滑車の移動を拘束する位置決め手段が備えられていることを特徴とする請求項2に記載の筒状構造物用内部点検装置の操作装置。
【請求項4】
前記位置決め手段は、前記ガイド梁に着脱自在に装着され、装着時前記移動滑車の移動を拘束するピンを備えていることを特徴とする請求項3に記載の筒状構造物用内部点検装置の操作装置。
【請求項5】
前記位置決め手段は、前記ガイド梁の前記ガイド面に前記外部空間側が枢支され上下方向に揺動可能に装着された揺動部材と、該揺動部材を前記ガイド面から上方に突出するように付勢する弾性部材とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の筒状構造物用内部点検装置の操作装置。
【請求項6】
前記点検装置には、前記点検装置を前記筒状構造物の壁面方向に付勢する吸着手段が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の筒状構造物用内部点検装置の操作装置。
【請求項7】
ウインチから繰り出されたワイヤーを筒状構造物の頂部に設置された吊り架構の滑車装置を経由して吊下げ、
前記ワイヤーの先端部に点検装置を取り付け、
前記ウインチを巻き戻して前記点検装置を前記筒状構造物の頂部よりも高い位置に持上げ、
前記点検装置を前記筒状構造物の内部空間の上部に位置させ、
前記ウインチを繰り出して前記点検装置を前記内部空間内に降下させることを特徴とする筒状構造物用点検装置の操作方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−39424(P2008−39424A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210148(P2006−210148)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】