説明

管の非開削敷設方法

【課題】難しい地層において張力に耐えられる長い大口径のパイプラインを確実かつ有効に敷設する。
【解決手段】管の非開削敷設方法において、まず制御された先導体推進により発進点(1)から到達点(6)までドリル掘削作業(5)を実施する。次に、ドリルヘッド(3)を先導管(4)から取外し、先導管系統を特殊な接続管により製品管系統(9)に接続する。製品管系統(9)は到達点(6)で地上に予め作られている。その後、先導管(4)をドリル穴を通して発進点(1)に引戻し、製品管系統(9)を同時にドリル穴に引込む。この方法は特に、他の敷設方法に適していない土壌、または条件つきで他の敷設方法が適用される土壌(例えば砂利、砕けた石、岩)に大口径の、張力に耐えられる圧力パイプライン(例えば鋼鉄またはポリエチレン製)を敷設するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中にパイプラインを非開削敷設する方法、およびその方法に使用できる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、溝を用いずに地中にパイプラインを敷設するための多くの方法と装置が開発されてきた。これは、開放された管溝への敷設が技術的理由、環境上の理由、法的理由または経済的理由で不可能または得策でないと思われた、土地表面の影響を受けやすい地域の下にパイプラインを通すためであった。例えば、建設用重機械が敷設地域の表面上に移動できない場合(例えば、荒れ野、水域)、またはエコロジー的観点から建設作業の許可が下りない場合(例えば、自然保護区)、または従来の敷設技術を用いると費用がかかりすぎる場合(例えば、敷設深さが大きく、地下水の水位が高い場合)が該当するであろう。
【0003】
非特許文献1には、既に用いられ、試された敷設方法についての広範な研究が述べられている。これらの研究では、このような方法は制御可能性(制御された方法/制御されない方法)、土壌の取り扱い(土壌の移動/土壌の除去)、土壌の輸送(機械式、液圧式)、および作業工程数(パイロットドリル掘削、拡張ドリル掘削、引込または押込作業)に基づき区分されるのが最良であると判明している。いっそうの区分を行うための特徴は、例えば、ドリル掘削軸の基礎的な幾何学的形状(直線状、曲線状)、およびそれぞれの方法により敷設される管材料(例えば、コンクリート、PE、鋳鉄、鋼鉄等)である。さらに、達成可能なドリル掘削寸法(長さ、直径、体積)は、同一の方法または様々な方法を特定の諸方法に振り分けるのに適した規準の中に既に含まれている。
【0004】
また、特定の種類の土壌(粒径、粒形、凝集成分、抵抗力等)に対する各種方法の適性にも特に注意しなければならない。何故なら、ほとんどの方法は、或る土壌において、また或る地下水位でのみ(乾性、地中水分による湿性、水分飽和)使用可能であるか、または或る地下水位より下方では機能しないからである。さらに、これらの方法は発進点または到達点の場所(立抗、根切り穴、土地表面)によっても区別されることがある。
【0005】
本発明に係る方法について、従来技術は、いわゆるパイロット先導体推進、マイクロトンネリング(マイクロトンネル作成、制御された先導体推進)、および制御された水平ドリル掘削技術(フラッシュドリル掘削法、水平傾斜掘り(HDD))により最もよく表される。
【0006】
パイロット先導体推進の場合、敷設は2または3段階の作業段階で行われ、比較的小さい直径の制御されたパイロット内腔が常に最初に作られ、次の工程でこのパイロット内腔が最終直径まで広げられ、製品管が同時に押し込まれるか、または引き込まれる。この場合、敷設は発進立抗から到達立抗まで行われる。
【0007】
これらの方法により達成できるドリル掘削長さは、一般的に100m未満であり、敷設できる管の直径は約100mm〜1,000mmである。ドリル掘削(したがって、管敷設)は一般的に直線状に行われる。すなわち、パイロット内腔が、できるだけ直線状に(例えば、重力線に沿って)管を敷設するという目的だけを果たすように制御して行われる。この方法により、ドリル掘削を行いながら、または個々の管(先導体、おそらく当座の管または一時的に導入された管、製品管)を敷設しながら、管系統を順次嵌める。これらの方法のいっそうの特徴は、これらの方法が或る土壌特性(変位性、水位等)の影響を比較的受けやすいので、例えば、比較的長い、大口径の鋼鉄パイプラインを敷設する場合や、岩の多い土壌に敷設する場合には、これらの方法は考慮に入れない。
【0008】
マイクロトンネリング(MT)の場合、制御された、時として曲線状の内腔を発進立抗または発進根切り穴から到達立抗または到達根切り穴まで作る。これらの方法に特有なのは、パイロットドリル掘削、拡張ドリル掘削、および管の押込み作業を単一の作業工程で行うことである。この複合作業工程は原則的に発進立抗または発進根切り穴から押込み式または強制的に実施され、張力に耐えられるような方式で互いに接続されたものではない先導管は、敷設される製品管に相当する。
【0009】
この方法では、500mまでのドリル掘削長さと、2000mmより大きいドリル穴直径を達成できる。さらに、マイクロトンネリングは、事実上全種類の土壌(ぐらぐらした、または堅固な岩)でも、また、水圧(3バールまで、おそらくそれ以上)がかかっている事実上全ての地下水位の場合でも使用できる。
【0010】
例えば鋼鉄またはPE管の使用は原則的に可能であるが、技術的な難点を伴うので、異例である。PE管は例えば圧縮強さが極めて低いので(約10N/mm2)、可能な敷設範囲を大いに制限する。鋼鉄管は高い軸方向荷重を受ける可能性があるが、これらの鋼鉄管は発進領域で管ごとに同様に嵌合されなければならず、工程中で互いに溶接されなければならない。実用上、これは直ちに幾つかの不利益をもたらす。一方では、大きな鋼鉄管の溶接は時間がかかる複雑な仕事であり(厳密な位置合わせと心出しが要求される)、この際、実際のドリル掘削作業を中断しなければならない。他方、敷設前に溶接接合部を圧力検査にかけるのは不可能であるが、この圧力検査は、例えば高圧ガス管路または油管路を敷設するときには、絶対必要である。何故なら、障害物がある状態で敷設後の補修は事実上不可能であるからである。
【0011】
いっそうの不利益は以下の事実に見ることができる:すなわち、鋼鉄管系統は多大の困難を伴って始めて制御できるので、そのような管の先導推進は一般的に真直ぐな敷設方式に従うことが必要であるという事実、管の外被(地中の鋼鉄を腐食から護るためのもの)はドリル穴の壁と直接接触して先導推進中にかなりの荷重を受けることにより、損傷を受けるという事実である。
【0012】
最後に、次のことも指摘しておく必要がある:すなわち、圧力管路と指定されている鋼鉄またはPE管を用いると、先導推進中に管の外被を潤滑する(例えば、ベントナイト懸濁液で)ことができないので、外被の摩擦が著明に増大し、その結果、達成可能なドリル掘削長さに悪影響を与える。
【0013】
したがって、ここで該当するパイプライン(鋼鉄、PE等の圧力パイプライン)は、マイクロトンネリングにより間接的に敷設できるだけである。マイクロトンネリングでは、従来、通常の先導管(コンクリート、ポリクリート等)の比較的大きな保護管列が敷設され、その後、ここに実際の製品管系統が引き込まれるか、または押込まれる。この手順がもたらす不利益は明白である。すなわち、現実に大きすぎるドリル穴直径の形成(保護管のため)、地中に残る保護管の費用、製品管系統をその後に引き込むための追加操作、例えばウインチ等のいっそうの設備にかかる費用である。
【0014】
これら全ての不利益にかかわらず、上記の方法(マイクロトンネリング)は、以下に説明する制御可能な水平ドリル掘削技術(非特許文献2参照)に適した土壌に圧力パイプラインを敷設する従来技術を表すものである。
【0015】
ここに説明する文脈で述べる第3の敷設方法は、制御可能な水平ドリル掘削技術(水平傾斜掘り、“HDD”と省略)である。この3段階の方法(パイロットドリル掘削、拡張ドリル掘削、引込作業)では、張力に耐えられるパイプライン(例えば鋼鉄、PEまたは鋳鉄製)だけが敷設できる。幾何学的敷設容量は、達成可能な長さ(>2000m)の場合にはマイクロトンネリングのそれより優れているが、達成可能な管直径(最大約1400mm)の場合にはそれより劣っている。
【0016】
HDDの最大の不利益は、現場で遭遇する地面の状況に大きく影響を受けることである。特に、凝集性の少ない成分を含む、砂利の多い、または火打石からなる、または石だらけの土壌では、引込作業前に比較的大きい直径(>800mm)を持つドリル穴を作らなければならない場合、ほとんど常に問題が起きる。
【0017】
これらの難点の主な理由は、HDDの場合、上記方法に起因して、ドリル穴はポンプ注入したドリル掘削液だけで支えられる(すなわち、当座の管は嵌められていない)ことである。しかしながら、不安定な土地形状や大きいドリル穴直径の場合には、必要とされる安定性を達成することは不可能なことが多い。かえって、当初に作ったドリル穴は、或る時間経過後に再び崩れる地域もある。その結果、パイプラインが引き込まれることは事実上常に不可能となり、HDDによる敷設は失敗する(非特許文献2参照)。
【0018】
さらにHDD法の難点として、例えば、管を引き込んでいる間にドリル穴の壁と管系統との間に石が詰まるか、または石がこの壁を損傷すること、また、大きいドリル穴直径の場合(例えば、硬い岩にドリル掘削する場合)時として極めて高いトルクが発生し、このトルクが比較的細いドリル心棒を介してドリルヘッドに必然的に伝えられ、心棒の破断をもたらすことは珍しくないこと、がついでながら言及すべき事柄である。同様に、HDD技術を用いる場合、上記方法に起因し、ドリル穴直径は製品管系統の直径より約1.3〜1.5倍大きくしなければならないという事実がある(さもないと、ドリル穴に崩れや堆積ができるので、焼付きの危険がある)。この側面は、技術的、経済的観点から不利とみなされよう。
【0019】
【非特許文献1】Stein, D., Grabenloser Leitungsbau [trenchless line construction], 2003 Ernst & Sohn Verlag fur Architektur und technische Wissenschaften GmbH & Co. KG, Berlin, ISBN 3-433-01778-6
【非特許文献2】Tunnels & Tunneling International, March 2005, pages 18-21
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
これまでに得られた結論をまとめると、上記の敷設方法はいずれも、難しい地層において張力に耐えられる長い大口径のパイプラインを確実かつ有効に敷設することはできないと言える。
【0021】
したがって、本発明は、経済的条件下で厄介な種類の土壌(例えば砂利、砕けた石、岩等)において比較的大きな直径(例えば約800mm〜1400mm)の、適切に製造され検査された、張力に耐えられるパイプラインの非開削敷設を比較的大きい敷設長さ(例えば約250m〜750m)にわたり可能にするという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的は、請求項1の構成を有する管敷設方法により達成される。本発明の有益な改良点は、従属請求項により提供される。請求項16は、本発明に係る方法に使用される先導管に関する。
【0023】
本発明に係る方法の好適な実施形態の場合、制御された先導体推進は発進点から障害物の下方を到達点まで導かれ、ドリル穴は既に最初の作業工程で最終直径まで広げられている。ドリル掘削作業中にドリルヘッドにより緩められた土壌は、液圧でドリル穴から運び出す。到達点に到達したら、ドリルヘッドを一番目の先導管から取外し、到達点で一番目の先導管を接続管に連結する。接続管は反対側で、土地表面上で一体構成で用意された製品管系統に接続する。この製品管系統をドリル穴に嵌め込む。この際、張力に耐えられるように互いに接続された先導管同士に押圧装置が引込力を及ぼし、これにより先導管同士は順次に発進点まで引込まれる。一方、張力に耐えられるように先導管に接続された接続管と、張力に耐えられるように接続管に接続された製品管系統は、同時にドリル穴に引込まれる。したがって、製品管系統は非開削状態で敷設される。
【0024】
これらの構成の組み合わせは、既存の方法のいずれによっても得られない。
本発明に係る方法は制御可能な方法であり、事前に組み立てられた(ドリル掘削の長さで)耐張力材料(例えば鋼鉄、PE等)の管(例えば約800mm〜1400mmの直径)は、この方法により事実上全種類の土壌において大きな敷設長さ(約250m〜750m)にわたる湾曲したドリル穴に引込むことができる。ドリルヘッドで緩められた土壌は除去され、液圧で運び出される(すなわち、土壌変位はない)。この場合、ドリル掘削の発進点は、土地表面近くの根切り穴の中と、立抗内にあることがあり、到達点は一般的に土地表面近くの根切り穴内にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を例示のための実施形態に基づき以下により詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る方法が原則的に使用可能な考えられる形態の概略図を示し、厳密には、
(a)は、根切り穴から障害物の下方を通り根切り穴までのドリル掘削ラインを示し、
(b)は、発進立抗から障害物の下方を通り根切り穴までのドリル掘削ラインを示し、
(c)は、根切り穴から障害物の下方を通り中間立抗まで、さらに中間立抗からいっそうの障害物の下方を通り根切り穴までのドリル掘削ラインを示し、
(d)は、発進立抗から障害物の下方を通り中間立抗まで、さらに中間立抗からいっそうの障害物の下方を通り根切り穴までのドリル掘削ラインを示す。
図2は、発進立抗から障害物の下方を通り根切り穴までのドリル掘削ラインの場合における、本発明に係る方法の基本図を示し、厳密には、
(a)は、発進状況の基本図を示し、
(b)は、ドリル穴の作成の基本図を示し、
(c)は、製品管系統の引込みの用意の基本図を示し、
(d)は、製品管系統の引込みの基本図を示し、
(e)は、完全に引込まれた製品管系統を隣接のパイプラインに統合した状態の基本図を示す。
図3は、発進立抗から障害物の下方を通り中間立抗まで、さらに中間立抗からいっそうの障害物の下方を通り根切り穴までのドリル掘削ラインの場合における、本発明に係る方法の基本図を示し、厳密には、
(a)は、発進状況の基本図を示し、
(b)は、ドリル穴の作成の基本図を示し、
(c)は、製品管系統の引込みの用意の基本図を示し、
(d)は、製品管系統の引込みの基本図を示し、
(e)は、完全に引込まれた製品管系統を隣接のパイプラインに統合した状態の基本図を示す。
図4は、先導管内に位置する引込装置、および押圧部と製品管系統と引込装置との接続の基本図を示す。
図5は、内管と、これに適合する直径の囲みとからなる二部構成の先導管の基本図を示す。
図6は、マイクロトンネリング、水平ドリル掘削技術、および本発明に係る方法といった敷設方法において必要なドリル穴断面の例示のための図を示し、1130mmの外径(1100mmの内径)を持つ製品管系統を示したものである。
図7は、先導管同士の系統に組込まれた中間押圧部の基本図を示す。
【0027】
本発明に係る方法について、2つの基本設計は互いに区別できる。
第1の設計(図1(a)、図1(b))において、本発明に係る方法は、発進点1から障害物7または多くの障害物7a、7b等の下方を通り到達点6まで行われ、発進点は根切り穴16aまたは発進立抗14内の土地17の表面上または土地17の表面の直近に位置することができ、到達点6は常に根切り穴16b内の土地17の表面上または土地17の表面の直近に位置している。
【0028】
第2の設計(図1(c)、図1(d))においては、中間立抗15、または多くの中間立抗15a、15b等は発進点1と到達点6との間に位置してよい。発進点1と到達点6との間には、一般的に、その下方を通らなければならない障害物7があるか、その下方を通らなければならない多くの障害物7a、7b等がある。
【0029】
本発明に係る方法、およびこの方法に使用できる装置を実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
実施例1(図2(a)〜2(e)参照)において、発進点1は発進立抗14内にあり、到達点6は土地17の表面に近い根切り穴16b内にある。
【0031】
まず、押圧装置2、押圧リング18、ドリルヘッド3、および先導管類4といった部品(とりわけこれらの部品であるが、これらに限らない)からなるドリル掘削装置を用意し、発進立抗14内に設置する。このドリル掘削装置は、実質的に慣用のマイクロトンネリング用ドリル掘削装置または先導体推進装置(図2(a))である。
【0032】
このドリル掘削装置を用いて、所定のドリル掘削ライン5に沿って、制御された先導体推進下に該当する技術的規則にしたがい内腔を掘進して行く。この際、ドリルヘッド3は、押圧リング18と先導管類4を介して押圧装置2によりドリル掘削作業に必要な押圧力に付される。さらに、先導管類4はドリル掘削路を安定にするので、不安定な地層であってもドリル穴の崩落は無くなる。同様に、ドリルヘッド3の位置の測定と、所定のドリル掘削ライン5に沿ったドリルヘッド3の制御は、制御された先導体推進の該当する技術にしたがい行われる(図2(b))。
【0033】
ドリルヘッド3が根切り穴16b内の到達点6に到達すると、ドリルヘッド3は先導管4から分離される。その後、先頭の先導管4は、ドリル掘削長さで用意された製品管系統9に張力に耐えられるような方式で接続管8により接続される(図2(c))。
【0034】
次の作業工程では、張力に耐えられる接続形態で互いに連結された先導管群4は、引抜リング19によりドリル穴を通して押圧装置2で引戻される。やがて、引抜リング19は押圧装置2のところに位置した押圧リング18に取って代わっている。接続管8と製品管系統9も同時にドリル掘削ライン5に沿って発進点の方向に移動する。発進立抗14において、個々の先導管は順次に取外され、発進立抗14から取除かれる。この場合、ドリル掘削が行われている間、ドリルヘッドに電力エネルギーおよび/または流体エネルギーと制御信号を供給すると共に、ドリル掘削流体の供給と処分を可能とする、もはや必要でなくなった接続管路(輸送および送給管路)は、先導管4の連結箇所で分離され、同様に立抗14から取除かれる。この操作は、接続管8と製品管系統9の始部が発進立抗14に到達するまで続けられる(図2(d))。
【0035】
その後、接続管8を製品管系統9から分離し、発進立抗14から取除く。押圧装置2と引抜リング19も取外し、発進立抗14から取除く。最後に、製品管系統9をパイプライン12aおよび12bに接続することができ、発進立抗14を埋め、元の状態に戻すことができる(図2(e))。
【実施例2】
【0036】
実施例2(図3(a)〜3(e)参照)において、発進点1は同様に発進立抗14内にあるが、発進点1と到達点6との間に中間立抗15がある。この状況は、発進点1と到達点6との間の距離が大きすぎて1回のドリル掘削操作でカバーできない場合(図3(a))に必要となることがある。
【0037】
好適な用途では、2つの別個のドリル掘削装置で2回のドリル掘削作業を同時に行う。上述のように、これらのドリル掘削装置は特に、押圧装置2a、2b、押圧リング18a、18b、ドリルヘッド3a、3b、および先導管4a、4bといった部品からなる。この場合、一方のドリル掘削作業は発進立抗14と中間立抗15との間で行い、他方のドリル掘削作業は中間立抗15と到達点6との間で行う。それぞれ所定のドリル掘削ライン5に沿って行われる(図3(b))。
【0038】
両方のドリル掘削作業がそれぞれの到達点に到達すると、ドリルヘッド3a、3bは先導管4a、4bから取外される。同時に、先導管4aと4bとは中間立抗において追加の先導管により互いに接続され、中間立抗の領域において特殊なガイド装置13により座屈から護られる。この場合、ガイド装置13の内部領域には潤滑剤(例えばベントナイト懸濁液)を充填してもよく、これにより引込作業中の摩擦力を減少できる。その後、先頭の先導管4bは、ドリル掘削長さで用意された製品管系統9に張力に耐えられるような方式で接続管8により接続される(図3(c))。
【0039】
次の作業工程では、張力に耐えられる接続形態で互いに連結された先導管4aと4bとは、引抜リング19によりドリル穴を通して押圧装置2aで引戻される。やがて、引抜リング19は押圧装置2aのところに位置した押圧リング18aに取って代わっており、接続管8と製品管系統9も同時にドリル掘削ライン5に沿って発進点の方向に移動される。発進立抗14において、個々の先導管は順次に取外され、発進立抗14から取除かれる。この場合、ドリル掘削が行われている間、ドリルヘッド3aに電力エネルギーおよび/または流体エネルギーと制御信号を供給すると共に、ドリル掘削流体の供給と処分を可能とする、もはや必要でなくなった接続管路(輸送および送給管路)は、先導管4aの連結箇所で分離され、同様に立抗14から取除かれる。この操作は、接続管8と製品管系統9の始部が発進立抗14に到達するまで続けられる(図3(d))。
【0040】
その後、接続管8を製品管系統9から分離し、発進立抗14から取除く。次に、押圧装置2aと引抜リング19も取外し、発進立抗14から取除く。最後に、製品管系統9をパイプライン12aおよび12bに接続でき、発進立抗14と中間立抗15を埋め、元の状態に戻すことができる(図3(e))。
【実施例3】
【0041】
さらに好適な用途(図4参照)は例えば、従来の先導管群4、すなわち、圧縮に耐えられるように接続されてはいるが、張力に耐えられるように接続されてはいない先導管群により、当初は内腔を掘進する場合である。
【0042】
この用途においては、必要とされる引込力を押圧装置2と介在された引抜リング19から、先導管内に位置する引込装置11を介して接続管8に伝えることが想定される。この場合、接続管8は次に先導管4に圧縮力を及ぼし、同時に製品管系統9に引込力を及ぼす(図4)。
【0043】
先導管8への引込装置11の嵌合は、内腔の作成中の先導管4の嵌合と同時に、またはその後に行われることがある。但し、これはドリルヘッド3が到達点6で取除かれた後である。
【0044】
さらに好適な用途においては、ドリル掘削流体回路用に必要とされる管路(輸送管路と送給管路)は、引込作業中に引込装置11として用いられる。この目的で、それぞれの管路は、引込作業の開始前に発進点1で引抜リング19と、到達点6で接続管8と接続しなければならない。
【実施例4】
【0045】
先導管4は必要により2つの部分からなる形態でもよい(図5参照)。この場合、好適な形状変更例では、敷設する製品管系統9の外径に応じて比較的小さい直径(例えば600mm)の内管を用い、その回りに囲み20aまたは20bを嵌めることが考えられる。
【0046】
その結果、同一の比較的複雑に構成された内管―この中には、例えばドリルヘッドを供給し制御するための供給/接続管路22が既に組込まれている―を様々な外径の製品管系統9に用いることが可能となり、それに釣り合う囲み20a、20b等を嵌める。
【0047】
さらに、先導管4の好適な形状変更例では抑止手段23が考えられ、これにより、ドリル掘削がなされている間または引き込み作業の間、先導管同士が互いに対してねじれることが防止される。
【実施例5】
【0048】
考えられる手順の結果として、必要なドリル穴を、最適にはその直径を、製品管系統9の直径に設定することが可能となる。その結果、必要なドリル穴容積は最小になり、特に、建設計画の技術的リスクが減り、同時に建設コストが削減される。
【0049】
この状況は、1130mmの外径を持つ製品管系統について図6に例示のため示されており、様々な方法によるそれぞれのドリル穴直径が当業界の認識された諸規則にしたがい規定されている。
【実施例6】
【0050】
ドリル掘削ライン5に沿った内腔の形成中に先導体推進力がたまたま押圧装置2の能力または先導管4の強度を超える場合、マイクロトンネリングの場合の操作との類似により、先導管系統にいわゆる中間押圧または延長部24を組込むことが可能である(図7参照)。
【0051】
これらの押圧部24は実質的に、先導管4に類似した仕方で管に嵌められる押圧装置である。
【0052】
しかしながら、マイクロトンネリングにおける用途との相違として、本発明に係る方法の場合には両側に作用する装置が設けられる。すなわち、中間押圧部によりその両側に隣接する先導管4、4に対し圧縮力と引込力の両方を及ぼすことができる。
【0053】
一般的に、内腔そのものの作成中に必要とされる力は製品管系統9の引込中に必要とされる力より高いことが予想できる。何故なら、引込中は、例えばドリルヘッド3に対する押圧力が消失し、特に、パイプ外被の摩擦はドリル掘削作業中そのものの摩擦より少ないからである。これは、環状の隙間を必要であればより大きくなるように選択できることと、ドリル掘削作業中にドリル穴の壁の“モデル化”を達成でき、それにより潤滑皮膜を形成できることに由来する。これらの理由から、実際の引込操作は押圧部2のみによりなされることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る方法が原則的に使用可能な考えられる形態の概略図を示す。
【図2】発進立抗から障害物の下方を通り根切り穴までのドリル掘削ラインの場合における、本発明に係る方法の基本図を示す。
【図3】発進立抗から障害物の下方を通り中間立抗まで、さらに中間立抗からいっそうの障害物の下方を通り根切り穴までのドリル掘削ラインの場合における、本発明に係る方法の基本図を示す。
【図4】先導管内に位置する引込装置、および押圧部と製品管系統と引込装置との接続の基本図を示す。
【図5】内管と、これに適合する直径の囲みとからなる二部構成の先導管の基本図を示す。
【図6】マイクロトンネリング、水平ドリル掘削技術、および本発明に係る方法といった敷設方法において必要なドリル穴断面の例示のための図を示し、1130mmの外径(1100mmの内径)を持つ製品管系統を示す。
【図7】先導管同士の系統に組込まれた中間押圧部の基本図を示す。
【符号の説明】
【0055】
1 発進点
2 押圧装置(a、b等)
3 ドリルヘッド(a、b等)
4 先導管(a、b等)
5 ドリル掘削ライン
6 到達点
7 障害物(a、b等)
8 接続管
9 製品管系統
10 ローラコンベヤ
11 引込装置
12 パイプライン(a、b)
13 中間立抗内のガイド装置
14 発進立抗
15 中間立抗(a、b等)
16 根切り穴(a、b)
17 土地表面
18 押圧リング(a、b等)
19 引抜リング
20 囲み(a、b等)
21 内管
22 接続/供給管路
23 抑止手段
24 延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御された先導体推進が発進点(1)から障害物(7a、7b)の下方を通り到達点(6)まで実施され、先導体推進中にドリルヘッド(3;3a、3b)によりドリル穴が作成され、上記ドリルヘッド(3;3a、3b)は先導管(4;4a、4b)から構成された先導体推進系統にわたり押圧装置(2;2a、2b)により押し進められる、管敷設方法において、
―上記ドリル穴は既に最初の作業工程において最終直径に広げられ、
―ドリル掘削作業中に上記ドリルヘッド(3;3a、3b)により緩められた土壌は除去され、好ましくは液圧により上記ドリル穴から運び出され、
―上記到達点(6)に到達後、好ましくは一体構成で土地表面上に用意されており、張力に耐えられるように互いに接続された製品管同士を有する製品管系統(9)が連結され、
―上記先導管(4;4a、4b)は順次に上記発進点に引戻され、上記製品管系統(9)は同時に上記先導管(4;4a、4b)の後に上記ドリル穴に引込まれるので、非開削的に敷設され、
―必要であれば少なくとも一つの中間立抗(15)が上記発進点(1)と上記到達点(6)との間に設けられる、
ことを特徴とする管敷設方法。
【請求項2】
―上記ドリル穴は既に上記最初の作業工程において最終直径に広げられ、
―上記ドリル掘削作業中に上記ドリルヘッド(3;3a、3b)により緩められた土壌は除去され、液圧により上記ドリル穴から運び出され、
―上記到達点(6)に到達後、上記ドリルヘッド(3;3b)は一番目の先導管(4;4b)から取外され、
―上記一番目の先導管(4;4b)は上記到達点(6)で接続管装置(8)と連結され、
―上記接続管装置(8)は上記一番目の先導管(4;4b)と反対側の端部で製品管系統(9)と張力に耐えられるように接続され、上記製品管系統(9)は一体構成で土地表面に用意されており、張力に耐えられるように互いに接続された製品管同士を有しており、
―上記製品管系統(9)は上記ドリル穴に挿入され、この際、押圧装置(2、2a)が上記先導管(4;4a、4b)に力を及ぼし、その結果、上記先導管(4;4a、4b)は順次に上記発進点(1)に引かれ、上記接続管装置(8)と上記接続管装置(8)に接続された上記製品管系統(9)とは上記先導管(4;4a、4b)の後に上記ドリル穴に同時に引込まれるので、上記製品管系統(9)は非開削的に敷設される、
ことを特徴とする請求項1記載の管敷設方法。
【請求項3】
―中間立抗(15)が上記発進点(1)と上記到達点(6)との間に設置され、
―上記発進点(1)から上記中間立抗(15)まで内腔が掘進され、ほぼ同時に上記中間立抗(15)から上記到達点(6)まで内腔が掘進され、この際、好ましくは別個のドリル掘削装置が使用され、
―ドリル掘削作業中にそれぞれのドリルヘッド(3a、3b)により緩められた土壌は除去され、液圧により各々のドリル穴から運び出され、
―上記中間立抗(15)または上記到達点(6)に到達後、上記ドリルヘッド(3a、3b)はそれぞれの一番目の先導管(4a、4b)から取外され、
―それぞれの個々の内腔の先導管(4a、4b)は上記中間立抗(15)において互いに接続され、
―上記中間立抗(15)の領域において上記先導管(4a、4b)用のガイド(13)が作られ、
―上記一番目の先導管(4b)は上記到達点(6)で接続管装置(8)と連結され、
―上記接続管装置(8)は反対側で、一体構成で土地表面上に用意された上記製品管系統(9)と接続され、
―上記製品管系統(9)は上記ドリル穴に嵌合され、この際、発進点(1)に位置する上記押圧装置(2a)が互いに接続された上記先導管(4a、4b)に力を及ぼし、その結果、上記先導管(4a、4b)は順次に上記発進点(1)に引かれ、上記先導管(4a、4b)に接続された上記接続管装置(8)と上記接続管装置(8)に接続された上記製品管系統(9)とは上記先導管(4a、4b)の後に上記ドリル穴に同時に引込まれるので、上記製品管系統(9)は非開削的に敷設される、
ことを特徴とする請求項2記載の管敷設方法。
【請求項4】
1つより多い中間立抗が上記発進点(1)と上記到達点(6)との間に設置される、
ことを特徴とする請求項3記載の管敷設方法。
【請求項5】
中間立抗(15)内の上記ガイド(13)で、上記ガイド(13)と上記先導管(4a、4b)または製品管系統(9)との間の環状空間に潤滑剤が送り込まれる、
ことを特徴とする請求項3又は4記載の管敷設方法。
【請求項6】
上記発進点(1)と上記到達点(6)とは開放根切り穴(16a、16b)内に位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の管敷設方法。
【請求項7】
上記発進点(1)は立抗(14)内にあり、上記到達点(6)は開放根切り穴(16b)内に位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の管敷設方法。
【請求項8】
先導管同士(4;4a、4b)は張力に耐えられるように互いに接続され、一番目の先導管(4;4b)は上記到達点(6)で上記接続管装置(8)と張力に耐えられるように接続される、
ことを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一つに記載の管敷設方法。
【請求項9】
上記引込作業に必要とされる引込力は、上記先導管(4)同士の内部に位置する引込装置(11)により引抜リング(19)を介して上記押圧装置(2)から上記接続管装置(8)に伝達される、
ことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一つに記載の管敷設方法。
【請求項10】
上記先導管(4;4a、4b)は上記製品管系統(9)より大きい外径を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の管敷設方法。
【請求項11】
上記先導管(4;4a、4b)は、上記ドリル穴における上記先導管(4;4a、4b)の捩れを防止する抑止手段(23)を接続面に有する、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の管敷設方法。
【請求項12】
先導管(4;4a、4b)において、上記先導管(4;4a、4b)と上記ドリル穴の壁との間の環状空間に潤滑剤を送り込む装置が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載の管敷設方法。
【請求項13】
上記製品管系統(9)と上記ドリル穴の壁との間の環状空間は、好ましくは上記接続管装置(8)に組み込まれた装置により、上記引込作業中に潤滑される、
ことを特徴とする請求項2乃至12のいずれか一つに記載の管敷設方法。
【請求項14】
上記ドリル穴への引込中に生じる摩擦力を低下させる振動が上記接続管装置(8)に配置された振動装置により上記製品管系統(9)に及ぼされる、
ことを特徴とする請求項2乃至13のいずれか一つに記載の管敷設方法。
【請求項15】
両側に作用し、圧縮に耐えられ、張力に耐えられるように隣接する先導管(4)に接続される少なくとも1つの中間押圧部(24)が上記先導体系統内に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一つに記載の管敷設方法。
【請求項16】
生じる力を受入れ、上記ドリルヘッド(3;3a、3b)に伝えると共に、上記ドリルヘッド(3;3a、3b)に対する例えば電力ケーブル用の必要な接続管路(22)および/または空管を受入れるために設置された内管(21)と、
敷設される製品管系統(9)上に嵌合でき、直径が上記製品管系統(9)に適合できる外囲み(20a、20b)と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一つに記載の管敷設方法に使用される先導管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−540876(P2008−540876A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510417(P2008−510417)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009397
【国際公開番号】WO2006/119797
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507369224)マイヤー&ヨーン ゲー・エム・ベー・ハー&コムパニーケー・ゲー (1)
【Fターム(参考)】