説明

管を塞ぐためのインプラント

第一及び第二のホルダーに取り付けられるワイヤー状部材を有し、部材を捻らせ、少なくとも1つの固定構造を形成する、ほぼ放射状に延びた複数のループを得るように、これらホルダー間の距離を縮めることができ、それによって拡張し、好ましくは折り曲げられない閉塞体を含む、循環器系で管を閉塞するインプラントが提供される。このインプラントは、少なくとも一部が生分解可能な材料からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体の管(passage)(例えば、心臓の心房の隔膜又は中隔、又は心室の隔膜又は中隔を通る開口)又は体の道を塞ぐためのインプラント装置に関する。特に、閉塞/閉鎖する管の領域の所定の場所で拡張し、固定する、閉塞又は閉鎖体を含むインプラント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、EP−A−0362113は、患者の心臓の管を閉じるための装置を示している。この閉鎖部材は、引っくり返る危険があり、従って、心臓を通過するとき、管の露出を生じる。この不確実な閉鎖能力の原因は、管付近に適用した際の、固定されない閉鎖部材の操作性にあり、その適用は、心臓の管付近で最終的な状態に到着するかなり前の部分を受けている。
【0003】
WO02/38051は、循環器系の管を塞ぐためのインプラントを開示している。このインプラントは、例えば、心臓の心耳の隔膜又は空洞隔膜を通る開口を閉じることができる心臓用のインプラントとして、特別な用途を有する。閉じた傘がその挿入鞘(シース)から取り出されるとすぐに開く、公知の他のインプラント(例えば、いわゆる傘及び帆)とは異なり、これは、体内(例えば、心臓)の所望の位置で展開又は構築される(即ち、組み立てられる)ように構成されている。これは、近位端と遠位端をそれぞれ有する、複数の細いワイヤー状部材を含む。この部材は、屈折できない材料からなる。これら端部を取り付けるための2つのホルダーが設けられている。2つのホルダー間の距離が縮んだとき、屈折できない部材は捻れ、放射状に延びた複数のループを生じ、その状態で固定される。一実施形態では、バルーン状構造が広がる。もう1つの実施形態では、2つのホルダー間の中間に配置された閉塞体が、捻れる部材によって広げられる。WO02/38051は、ワイヤー状部材又は線の材料として、ニチノールの使用を提案している。
【0004】
従って、本発明の目的は、WO02/38051で開示された装置に基づいて、生体、特に人体に、より受け入れ可能な閉塞装置を提供することである。
【発明の開示】
【0005】
上述の目的は、デリバリー機構を通した挿入のために圧縮でき、循環器系で管を閉鎖するために展開することができ、このインプラントの少なくとも一部が、少なくとも生分解可能な材料からなることによって、実質的に特徴付けられる本発明のインプラントにより達成できる。
【0006】
この目的は、さらに、
近位端と遠位端をそれぞれ有する、複数の細く、好ましくは剛い部材と、
前記部材の遠位端が取り付けられる第一のホルダーと、
前記部材の近位端が取り付けられる第二のホルダーと、
前記部材に取り付けられる、拡張可能な、好ましくはたたむことが可能な(foldable)閉塞体と、を有し、
前記複数の部材と閉塞体は、長軸に沿って延びる長形体を形成し、これは挿入状態でデリバリー機構を通す挿入に適し、
前記部材は、前記第一のホルダー及び第二のホルダーに取り付けられ、ホルダー間の距離は減少でき、この減少により、前記軸に対して、前記部材が捻れ、ほぼ放射状に延びたループを生じ、少なくとも1つの固定構造を形成し、それによって閉塞体を拡張し、好ましくは開き(unfolding)、そして、
前記少なくとも1つの固定構造が、最終の閉塞状態にて固定でき、
前記複数の部材、前記第一のホルダー、前記第二のホルダー及び拡張可能な閉塞体の1以上が少なくとも生分解可能な材料からなる
ことによって、実質的に特徴付けられる本発明の装置により達成できる。
【0007】
本発明によるインプラントは、一部又は全部が、単数又は複数の1以上の生分解可能な又は生体吸収可能な材料により形成される。生体は、これを分解又は吸収でき、その結果、生体の免疫系に不順応となる危険性を最小にする。
【0008】
通常、静脈デリバリー機構が使用される。しかしながら、食道を使用したデリバリー機構等、他のデリバリー機構も使用できる。
【0009】
好適な実施形態として、少なくともワイヤー状部材又は線、及び/又は閉塞体は、生分解可能な又は生体吸収可能な材料からなる。
【0010】
本発明によって達成される、これら、並びに他の利点及び目的は、さらに、後述する図面を用いた実施形態の詳細な説明を考慮することによって、正しく認識され、理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の装置はWO02/38051に開示されたインプラントに基づいており、その開示は本明細書に援用される。
【0012】
本装置又はインプラントは、内部の管、例えば、心臓の心耳の隔膜、心室の隔膜又は塞ぐことが求められる所望の体の導管にある開口を、塞ぐためのインプラントとして使用される。閉鎖体は、所定の位置で展開又は開く(unfolded)。特に、閉鎖体は、体の血管を通って挿入された後、意図する閉塞位置で、拡張、好ましくは開くように構成されている。
【0013】
閉鎖体は、例えば、膨らますことができるバルーン、又は拡張できる、好ましくは開くことのできるディスク状部材からなる。閉鎖体は、多数の剛性手段よって、放射状に拡大、膨張又は開くことができるように構成されている。剛性手段は、屈折できない(nonbendable)材料から形成されているので、その固定端間の距離が短くなると捻じれる。固定機構は、このワイヤー状部材を捻じれている状態で固定するために設けられる。固定機構は、好ましくは、互いに嵌合する部材からなる。
【0014】
このインプラントは、細長い装置の形状で適用する場所に運ばれる。その後、拡張又は開いて、固定状態となる。
【0015】
図1−4は、管を塞ぐためのインプラントとして形成された装置101の第一実施形態を開示している。このインプラントは、屈折できない材料が、圧縮されるとき及びその両端を臨界点を過ぎて動かしたときに、回転する性質を使用する。この目的のため、それぞれの端部がバルーンの内側にある材料の内側のコアの周りに取り付けられた細い線がある。遠位及び近位のバルーンは、それらの間が開いている。バルーンの最も小さな部分の直径は、ASDサイズに対応する、即ち、少し大きいが、あまり大きくない。バルーンは対照液によって膨張する。ここで、挿入方向から見て最も遠い線の取付部は、ゆっくりと引き戻され、同時に挿入方向から見て最も近い線の取付部は前方に押出される(即ち、互いの方向に)。臨界位置で、線は側方に捩れ又は螺旋状となり、円形状を維持し、本発明で使用される所望の形状となる。所定の位置で、バルーンは空にされ、線は捩れたスプリングの状態で固定される。
【0016】
インプラントは、閉鎖体106を有し、これは単体又はさらに密閉手段と組み合わせて、放射方向107で管に取付け可能である。これは拡張する補強耐流体性閉鎖体でもある。閉鎖体106は、長手方向150に血管(図示せず)を通って挿入した後、意図する閉塞箇所で状態109となるように構成されている。
【0017】
図3に示すように、多数の線151(示されている実施形態では8本)は、長手方向に圧縮されたときに自動的に側方に捩れ、円又はループ状となる性質を有するような材料で構成されている。そして、2つのチャンバーを互いに連結するように、及び、互いが対向するように、捩れた状態、らせん状又はコイル状で固定される。閉鎖体106は、複数の細い線又はワイヤーで形成され、これらは、それぞれ軸方向150,152で、互いに可動のホルダー核153,154に取り付けられる。線151は同方向の側方に捩れるように構成され、円形の花、プロペラ、又は傘に似た、ほぼ円形状155となり、管を塞ぐのに適した部材とともに構成される。
【0018】
例えば、閉鎖部は、線151に接続される耐水性材料の層より構成されていてもよい。これらの層及び/又は線は、好ましくは、以下の例に示されるような生分解可能な材料からなる。好ましくは、耐水性材料の層及び線が生分解可能な材料からなる。好ましくは、インプラントの全てが生分解可能な材料からなる。
【0019】
図4の例では、線151が、それぞれ別々のホルダー核156,157に対して、異なる傾斜x、yで取り付けられていることが示されている。線151は、共にホルダー核157の方に向けられている。ここから線151は、ホルダー核の中心軸158から測定したときに最も大きい角度yで離れ、他の線151は、同様の角度zで離れる。
【0020】
図5−10は、さらに、本発明の第二実施形態を示す。
図5は、本発明のインプラント200の初期の状態、即ち、この装置が循環器系の管に適用され、開く前の状態を、斜視図で示す。本図では、複数の細くて剛い、ほぼ非伸張性で幾分可撓姓のある部材又はワイヤー202が設けられている。インプラント全体、又は少なくとも部材202は、生分解性であることが好ましい。図では、8本の部材を示しているが、部材の数は変更でき、本発明の精神を変更するものではないと理解されるべきである。
【0021】
本発明の一実施形態では、部材202は、相対的に高い生体適合性を示す高分子からなる、生分解可能な又は生体吸収可能な材料で形成してもよい。これらの材料は、従来、例えば、ステントで使用されている。本発明の生体吸収可能な移植可能な閉塞装置は、完全に又は部分的に、ポリ乳酸[ポリ−L−乳酸(PLLA)、ポリ−D−乳酸(PDLA)]、ポリグリコール酸(PGA)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコネート、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシド共重合体、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ酸無水物、ポリリン酸エステル、ポリ(アミノ酸)等のポリ(α−ヒドロキシ酸)や、関連する共重合材料からなっていてもよい。これら材料は、体内で特有の分解速度を有する。例えば、PGA及びポリジオキサノンは、相対的に生体吸収の速い材料(数週間〜数ヶ月)であり、PLA及びポリカプロラクトンは、相対的に生体吸収の遅い材料(数ヶ月〜数年)である。「固相押出によるポリ乳酸の機械的性質の向上」(W.Weiler and S.Gogolewski,Biomaterials 1996,Vol.17 No.5,529−535頁)、及び「生体吸収可能な血管内のステントの変形特性」(Investigative Radiology,12月,1992,C.Mauli,Agrawal,Ph.D.,P.E.,H.G.Clark Ph.D.,1020−1024頁)が参照される。
【0022】
これら材料の機械的性質は、一般に分子量の増加に伴い向上する。例えば、PLAの強さ及び応力は、一般に、一般に分子量の増加に伴い向上する。分解時間は、一般に、最初の分子量の減少に伴い減少する(即ち、低分子量の高分子からなる網状品は、高分子量の高分子からなる網状品より前に、生体吸収される)。低分子量のPLAは、一般に高分子量のグレードよりも熱酸化分解を受けやすい。そのため、最適な分子量の範囲を選択して、性質、分解時間及び安定性のバランスをとる。一般に、材料の分子量及び機械的性質は、分解の進行と共に低下する。PLAは、一般に1年よりも長い分解時間を有する。エチレンオキサイド(EtO)処理は好ましい滅菌方法である。さらに、PLAは、約60℃のガラス転移温度を有する。そのため、寸法のひずみの可能性、他の分解の影響を避けるために、製品を相当時間、高温雰囲気(60℃を超える温度)に曝さないよう注意しなければならない。
【0023】
PLA,PLLA,PDLA及びPGAは、約40千パウンド/平方インチ(ksi)〜約120ksiの引張強さを有し、80ksiが代表的である。引張強さは、約60ksi〜約120ksiが好ましい。
【0024】
ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン及びポリグルコネートは、約15ksi〜約60ksiの引張強さを有し、35ksiが代表的である。引張強さは、約25ksi〜約45ksiが好ましい。
【0025】
PLA,PLLA,PDLA及びPGAは、約400,000パウンド/平方インチ(psi)〜約2,000,000psiの引張応力を有し、900,000psiが代表的である。引張応力は、約700,000psi〜約1,200,000psiが好ましい。
【0026】
ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン及びポリグルコネートは、約200,000psi〜約700,000psiの引張応力を有し、450,000psiが代表的である。引張応力は、約350,000psi〜約550,000psiが好ましい。
【0027】
PLLAのフィラメントは、例えば、編んで作る網目状装置やエレメントを作製するのに使用できるElgiloy.RTM合金ワイヤーよりも、かなり引張強さ及び引張応力をが低い。PLLAの引張強さは、Elgiloy.RTMの約22%である。PLLAの引張応力は、Elgiloy.RTMの約3%である。機械的性質及び自己伸張は、材料の引張応力に正比例する。その結果、本発明のインプラントと同じ設計で作製された、PLLAのフィラメント、又は編まれた或いは織られた要素は、機械的性質に劣り、機能的ではない恐れがある。重合体の非伸張性部材202は、金属部材と同様の放射強度を有するべきであり、開腔内等の狭窄部を支持することができるように、必要な機械的性質を有するべきである。
【0028】
各部材202には、近位端204と遠位端206がある。近位端204は、使用者の手208に近い位置を示す。一方、遠位端206が、管(図示せず)に最初に入る。実際には、装置が静脈内に導入されるとき、当然、一般に手はさらに遠くにある。非伸張性部材202の遠位端206は、円形ハブやハブフランジのような、リング形状の第一ホルダー210に取り付けられる。非伸張性部材202の近位端204は、第一ホルダー210と同様の第二ホルダー212(即ち、リング形状のホルダー又はハブ)に取り付けられる。
【0029】
第一ホルダー210と第二ホルダー212の間のほぼ中間位置に、拡張できる、好ましくは折り曲げられない閉塞体214が部材202に取り付けられている。閉塞体214は、ほぼ円形のディスク状の部材で、外科的用途に合致する可撓性の織物状材料から作製できる。より好ましくは生分解可能な材料である。閉塞体214は、部材202の遠位端206の方向を向く遠位面216と、部材202の近位端204の方向を向く近位面218を有する。部材202は、肉厚部220を有することが好ましい。部材202は、閉塞部214で穴222を通る。実際は、肉厚部220は、2つの部分220a、220bであり、閉塞体214をその間に捕捉し、取り付ける。
【0030】
第一ホルダー210は、部材202の遠位端206で、キャリアロッド226の第一端224に取り付けられる。第二ホルダー212は、キャリアロッド226に、滑動可能に載っている。図11に示される状態では、部材202は、実質的に等間隔で、キャリアロッド226のまわりに配置され、キャリアロッド226の長軸Aとほぼ並んでいる。閉塞体214は、非伸張性部材の近位端204と遠位端206の中間点で、キャリアロッド226から放射状に広がる。図11に示される構成では、インプラント200は、ほぼ長軸Aに沿って延びる長形の装置又は物品を形成する。細長い形により、インプラント200を密に圧縮し、静脈デリバリー機構によって挿入することが可能となる。示された形状は、挿入状態として参照される。
【0031】
操作するとき、駆動手段228(例えば、プラスチックチューブ)を、第二ホルダー212と接触して、キャリアロッド226上に設置できる。駆動手段228は、キャリアロッド226に沿って、実質的に固定された第一ホルダー210の方へ(即ち、キャリアロッド226の第一端224の方へ)、スライド又は移動する。さらに説明すると、駆動手段228が第一ホルダー210の方へ移動したとき、2つのホルダー210,212が駆動されて、ともに相対的に近づき、インプラント220は開いた状態に変化する。
【0032】
図5−8は、様々な展開の状態にあるインプラント200を斜視図で示す。これらの図で示すように、2つのホルダー210,212をともに動かすと、まず、遠位端で非伸張性部材202は、キャリアロッド226の長軸Aに対して、緩やかに外側へ撓んだ形となる。この外側に撓んだ形は、拡張可能な閉塞体214を引っ張って緊張した放射状のディスク形状にする。
【0033】
さらに、駆動手段228が、キャリアロッド226に沿って、第一ホルダー210の方へ移動すると、第一ホルダー210と閉塞体214の間に位置する非伸張性部材202の第一部230は、より撓み、ほぼ準円形となる。ここで、部材202の遠位端206は、キャリアロッド226の長軸Aに対して、ほぼ垂直方向で第一ホルダー210に接続する。近位端の非伸張性部材202の第二部232は、始めは長軸Aに相対的に並行のままとなっている。
【0034】
図7で非伸張性部材202は、さらなる圧縮により撓んだ状態で示されている。図示されるように、部材202の第一部230は、キャリアロッド226のまわりで、捩れ又はらせん状になり始め、多数のほぼ放射状のループを形成している(キャリアロッドの軸に対して)。続いて、第一部230は臨界点を超えて、部分230の各ワイヤーが嵌って、ほぼ放射状に伸びたループとなり、閉塞体214の遠位側で、幾分窪んだ花びら状の構造となる。さらに第二部232を同様に圧縮すると、閉塞体214の近位側で、同様の花びら状のループが形成される。
【0035】
図8−9は、完全に展開した状態のインプラント200を斜視図で示す。第一部230及び第二部232の両方は、軸方向Aから離れて捩れることによって、圧縮動作に応答する。従って、部材の第一部230は、閉塞体の遠位面216近くで第一の固定構造230’になる。同様に、部材202の第二部232は、閉塞体214の近位面218近くで第二の固定構造232’になる。第一及び第二の固定構造230’、232’の両方が重なり合った螺旋形状は、安定な形状である。この形状は、図11に示すように、駆動部材228により固定ホルダー210,212が一緒に駆動されると、インプラント200を安定な閉塞又は展開した状態に固定する。
【0036】
図10は、閉塞体と部材又はキャリアロッドを除いた、インプラントの部分斜視図を示す。従って、第一又は第二のホルダー又はハブ210,212を、より詳細に見ることができる。第一又は第二のホルダー210,212は、中空の中央シャフト234,236により、キャリアロッド(図示せず)上に配置してもよい。中央シャフト234,236の周りには、部材202の端をきつく受け止めるサイズの複数のスロット又は取付部を有する環状部238,240がある。部材202が長軸方向から放射方向まで動けるように、スロット242は、環状部238,240の周辺244まで延びていてもよい。
【0037】
第一及び第二のホルダー210,212の一方、又は代りにキャリアロッド(図示せず)に、延出歯246を形成し、第一及び第二のホルダー210,212の一方又は両方に形成する対応する窪み(図示せず)と係合させて、固定要素を形成してもよい。この方法では、歯246と窪みの係合によって、駆動手段により駆動されたとき、インプラント200は十分に展開した又は最終の閉塞状態で固定される。
【0038】
上述した実施例により、本発明を詳細に説明した。本発明は上記で説明され図面で示された実施形態に限定されず、本発明の概念から外れないかぎり請求の範囲内で変更できることを明瞭に理解されるべきである。例えば、本発明は他の閉塞体、例えば、US6,623,508、US6,077,291、US6,599,308、US6,506,204、US6,379,368、US2003/0144694に開示されている閉塞体に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態のインプラントの初期状態を示し、インプラントを側面から見た図と、一端から見た図をそれぞれ示す。
【図2】図2は、拡張中の中間状態にある図1のインプラントを示し、インプラントを側面から見た図と、一端から見た図をそれぞれ示す。
【図3】図3は、完全に拡張した状態の図1のインプラントを示し、インプラントを側面から見た図と、一端から見た図をそれぞれ示す。
【図2A】図2Aは、拡張中の図1のインプラントの斜視図を示す。
【図3A】図3Aは、拡張した状態の図1のインプラントの端面図を示す。
【図4】図4は、図1のインプラントのハブとその接続の原理と、インプラントが完全に拡張した最終状態を、側面から見た状態を模式的に示す。
【図5】図5は、本発明の第二実施形態のインプラントの初期状態を斜視図で示す。
【図6】図6は、図5のインプラントの最初の部分的展開状態を斜視図で示す。
【図7】図7は、図5のインプラントの次の部分的展開状態を斜視図で示す。
【図8】図8は、図5のインプラントが十分に展開した状態を斜視図で示す。
【図9】図9は、図5のインプラントが十分に展開した状態を側面図で示す。
【図10】図10は、ロックハブの詳細を示す、図5のインプラントの、膜及びループを除いた部分拡大斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デリバリー機構を通って挿入するために圧縮可能であり、循環器系の管を閉塞するために展開又は拡張できる、循環器系で管を閉塞するインプラントであって、
前記インプラントの少なくとも一部が少なくとも生分解可能な材料からなるインプラント。
【請求項2】
圧縮状態のときは互いにほぼ整列し、展開又は拡張状態では外方へ撓む、細長い部材を有し、
前記部材の少なくとも一部が少なくとも生分解可能な材料からなる請求項1記載のインプラント。
【請求項3】
圧縮状態では圧縮され、好ましくはたたまれ、展開又は拡張状態では拡張する閉塞体を有し、
前記閉塞体の少なくとも一部が少なくとも生分解可能な材料からなる請求項1記載のインプラント。
【請求項4】
圧縮状態のときは互いにほぼ整列し、展開した状態では表面上で撓む、細長い部材と、
圧縮状態では圧縮でき、好ましくは折り曲げられ、展開又は拡張状態では拡張する閉塞体と、を有し、
この閉塞体は、前記長い部材に取り付けられ、
前記長い部材及び前記閉塞体の少なくとも一つが少なくとも生分解可能な材料からなる請求項1記載のインプラント。
【請求項5】
前記閉塞体が、ほぼディスク状の部材である請求項3又は4記載のインプラント。
【請求項6】
循環器系で管を閉塞するインプラントであって、
近位端と遠位端をそれぞれ有する、複数の細く、好ましくは剛い部材と、
前記部材の遠位端に取り付けられる第一のホルダーと、
前記部材の近位端に取り付けられる第二のホルダーと、
前記部材に取り付けられる、延張可能な、好ましくはたたむことが可能な閉塞体と、を有し、
前記複数の部材と閉塞体は、挿入状態でデリバリー機構に挿入するのに適した、長軸に沿って延びる長形体を形成し、
前記部材は、前記第一のホルダー及び第二のホルダーに取り付けられ、ホルダー間の距離は減少でき、前記軸に対して、前記部材が捻れ、ほぼ放射状に延びたループを生じ、少なくとも1つの固定構造を形成し、それによって閉塞体を拡張し、好ましくは開き、そして、
前記少なくとも1つの固定構造が、最後の閉塞状態にて固定でき、
前記複数の剛い部材、前記第一のホルダー、前記第二のホルダー及び拡張可能な閉塞体の少なくとも1つが生分解可能な材料からなるインプラント。
【請求項7】
さらに、
前記第一のホルダーに取り外し可能に取り付けられ、前記第二のホルダーをスライド可能に受けるキャリアロッドと、
前記キャリアロッド上に駆動手段と、を有し、
前記駆動手段が前記第二のホルダーと接触し、前記キャリアロッドに沿って前記第一のホルダーの方へ移動できる請求項6記載のインプラント。
【請求項8】
前記閉塞体が、前記第一のホルダー及び前記第二のホルダーの中間位置に配置され、
前記閉塞体が、遠位面と、近位面とを有する請求項6又は7記載のインプラント。
【請求項9】
前記放射状に延びたループが、前記閉塞体の遠位面近くに第一の固定構造と、前記閉塞体の近位面近くに第二の固定構造とを形成する請求項6〜8のいずれかに記載のインプラント。
【請求項10】
前記複数の部材が、完全に前記生分解可能な材料からなる請求項2〜9のいずれかに記載のインプラント。
【請求項11】
前記複数の部材と拡張可能な閉塞体が、完全に前記生分解可能な材料からなる請求項6〜10のいずれかに記載のインプラント。
【請求項12】
前記生分解可能な材料が、PLLA、PDLA、PGA、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコネート、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシド共重合体、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ酸無水物、ポリリン酸エステル及びポリ(アミノ酸)の1以上である請求項1〜11のいずれかに記載のインプラント。
【請求項13】
さらに、前記駆動手段によって共に駆動されたとき最終の閉塞状態において、第一の固定構造及び第二の固定構造を固定するロック要素を有する請求項6〜12のいずれかに記載のインプラント。
【請求項14】
前記ロック要素が、前記第一及び第二のホルダーの一方に、前記駆動手段によって共に駆動されたとき、前記第一及び第二のホルダーの他方に形成された対応する窪みと係合する延出歯を有する請求項13記載のインプラント。
【請求項15】
前記部材が前記軸に対して、第一の傾斜角で前記第一のホルダーに取り付けられ、
前記部材が前記第一の傾斜角と異なる第二の傾斜角で前記第二のホルダーに取り付けられる請求項6〜14のいずれかに記載のインプラント。
【請求項16】
前記捻る動作が、第一のホルダーに取り付けられた前記部材が、外側に放射状に突出し、次いで、第一のホルダーに面する窪みとともに、前記第一の固定構造の放射状に延びるループのために、凹状の反対状態に嵌める請求項6〜15のいずれかに記載のインプラント。
【請求項17】
前記部材がほぼ非伸張性であり、前記部材を前記拡張可能な閉塞体に取り付ける肉厚部を有する請求項6〜16のいずれかに記載のインプラント。
【請求項18】
前記第一及び第二のホルダーのそれぞれが、中空の中央シャフト部と、中央シャフト部の周りにある環状のハブ部を有する請求項6〜17のいずれかに記載のインプラント。
【請求項19】
前記環状のハブ部のそれぞれが、前記部材の近位端及び遠位端の1つをそれぞれ受けるのに適するスロットを複数有する請求項18に記載のインプラント。
【請求項20】
前記各スロットが、前記第一及び第二のホルダーの前記環状ハブ部の外周に延びて、前記非伸張性部材が、前記長軸とほぼ平行な第一の方向から、前記長軸に対しほぼ放射状な第二の方向まで回転できる請求項19に記載のインプラント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デリバリー機構を通して挿入するために圧縮可能であり、循環器系の管を閉塞するために展開又は拡張できる、循環器系で管を閉塞するインプラントであって、
インプラントが、圧縮状態のときは互いにほぼ整列し、展開又は拡張状態のときは外方へ撓む、細長い部材を含み、
前記細長い部材は、長手方向の圧縮が臨界点を超えることに対応して側方に捻れ、円形状を形成し、
少なくともこれら部材の少なくとも一部が、少なくとも生分解可能な材料からなるインプラント。
【請求項2】
前記インプラントが閉塞体を有し、この閉塞体は、圧縮状態では圧縮され、好ましくはたたまれ、展開又は拡張状態では拡張し、
前記閉塞体の少なくとも一部が少なくとも生分解可能な材料からなる請求項1記載のインプラント。
【請求項3】
さらに、圧縮状態では圧縮され、好ましくはたたまれ、展開又は拡張状態では拡張する閉塞体を有し、
この閉塞体は前記長い部材に取り付けられ、
前記長い部材及び前記閉塞体の少なくとも1つの少なくとも一部が、少なくとも生分解可能な材料からなる請求項1記載のインプラント。
【請求項4】
前記閉塞体が、ほぼディスク状の部材である請求項2又は3記載のインプラント。
【請求項5】
循環器系で管を閉塞するインプラントであって、
近位端と遠位端をそれぞれ有する、複数の細く、好ましくは剛い部材と、
前記部材の遠位端に取り付けられる第一のホルダーと、
前記部材の近位端に取り付けられる第二のホルダーと、
前記部材に取り付けられる、拡張可能な、好ましくはたたむことが可能な閉塞体と、を有し、
前記複数の部材と前記閉塞体は、挿入状態でデリバリー機構に挿入するのに適した、長軸に沿って延びる長形体を形成し、
前記部材は、前記第一のホルダー及び第二のホルダーに取り付けられ、ホルダー間の距離は、臨界点を越えて減少でき、前記細長い部材は、この臨界点を超える距離の減少に対応して側方に捻れ、この軸に対して捻れる動作が、ほぼ放射状に延びたループを生じ、少なくとも1つの固定構造を形成し、それによって閉塞体を拡張し、好ましくは開き、そして、
前記少なくとも1つの固定構造が、最後の閉塞状態にて固定でき、
少なくとも前記複数の部材が、完全に生分解可能な材料からなるインプラント。
【請求項6】
さらに、
前記第一のホルダーに取り外し可能に取り付けられ、前記第二のホルダーをスライド可能に受けるキャリアロッドと、
前記キャリアロッド上に駆動手段と、を有し、
前記駆動手段が前記第二のホルダーと接触し、前記キャリアロッドに沿って前記第一のホルダーの方へ移動できる請求項5記載のインプラント。
【請求項7】
前記閉塞体が、前記第一のホルダー及び前記第二のホルダーの中間位置に配置され、
前記閉塞体が、遠位面と、近位面とを有する請求項5又は6記載のインプラント。
【請求項8】
前記放射状に延びたループが、前記閉塞体の遠位面近くに第一の固定構造と、前記閉塞体の近位面近くに第二の固定構造とを形成する請求項5〜7のいずれかに記載のインプラント。
【請求項9】
前記第一のホルダー、前記第二のホルダー及び前記拡張可能な閉塞体の1つ以上が、少なくとも生分解可能な材料からなる請求項1〜8のいずれかに記載のインプラント。
【請求項10】
前記複数の部材と拡張可能な閉塞体が、完全に前記生分解可能な材料からなる請求項5〜9のいずれかに記載のインプラント。
【請求項11】
前記生分解可能な材料が、PLLA、PDLA、PGA、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコネート、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシド共重合体、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ酸無水物、ポリリン酸エステル及びポリ(アミノ酸)の1以上である請求項1〜10のいずれかに記載のインプラント。
【請求項12】
さらに、前記駆動手段によって共に駆動されたとき、最終の閉塞状態において、第一の固定構造及び第二の固定構造を固定するロック要素を有する請求項5〜11のいずれかに記載のインプラント。
【請求項13】
前記ロック要素が、前記第一及び第二のホルダーの一方に、前記駆動手段によって共に駆動されたとき、前記第一及び第二のホルダーの他方に形成された対応する窪みと係合する延出歯を有する請求項12記載のインプラント。
【請求項14】
前記部材が前記軸に対して、第一の傾斜角で前記第一のホルダーに取り付けられ、
前記部材が前記第一の傾斜角と異なる第二の傾斜角で前記第二のホルダーに取り付けられる請求項5〜13のいずれかに記載のインプラント。
【請求項15】
前記捻る動作が、第一のホルダーに取り付けられた前記部材を、まず外側に放射状に突出し、次いで、第一のホルダーに面する窪みとともに、前記第一の固定構造の放射状に延びるループのために、凹状の反対状態に嵌める請求項5〜14のいずれかに記載のインプラント。
【請求項16】
前記部材がほぼ非伸張性であり、前記部材を前記拡張可能な閉塞体に取り付ける肉厚部を有する請求項5〜15のいずれかに記載のインプラント。
【請求項17】
前記第一及び第二のホルダーのそれぞれが、中空の中央シャフト部と、中央シャフト部の周りにある環状のハブ部を有する請求項5〜16のいずれかに記載のインプラント。
【請求項18】
前記環状のハブ部のそれぞれが、前記部材の近位端及び遠位端の1つをそれぞれ受けるのに適するスロットを複数有する請求項17に記載のインプラント。
【請求項19】
前記各スロットが、前記第一及び第二のホルダーの前記環状ハブ部の外周に延びて、前記非伸張性部材が、前記長軸とほぼ平行な第一の方向から、前記長軸に対しほぼ放射状な第二の方向まで回転できる請求項18に記載のインプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−507863(P2006−507863A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554147(P2004−554147)
【出願日】平成15年11月24日(2003.11.24)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000776
【国際公開番号】WO2004/047649
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(504296275)カラク アーゲー (9)
【Fターム(参考)】