説明

管ライニング材の管路内への反転挿入方法及び管ライニング材の押圧装置。

【課題】管ライニング材の反転を途中で停止させることなく、管ライニング材を確実にしかも円滑に補修すべき管路に反転挿入することを課題とする。
【解決手段】管ライニング材の一端が反転ノズルに取り付けられ、管ライニング材に流体圧を作用させることにより管ライニング材1が反転してマンホール2内に挿入される。管ライニング材は、第1の押圧装置40により管路3への挿入方向と逆向きに押圧されるとともに、該押圧されて挿入されてくる管ライニング材が、第2の押圧装置50により管路への挿入方向に押圧される。管ライニング材1は、2つの押圧装置による相反する押圧力によりマンホール2から管路3の方向に方向転換され、これにより管ライニング材は円滑に管路内に反転挿入されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽化した管路の内面にライニングを施して該管路を修復する管状の管ライニング材を管路に反転挿入させる管ライニング材の管路内への反転挿入方法並びに該反転挿入時に使用される管ライニング材の押圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された下水管、ガス管、通信ケーブル管、電力ケーブル管等の管路が老朽化した場合、この管路を地中から掘出することなく、その内面にライニングを施して管路を補修する管ライニング工法が提案され、既に実用に供されている。
【0003】
上記管ライニング工法の1つとして、外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材を用いて施工されるものが知られており、この工法においては、ライニング材反転装置を用いて管ライニング材を流体圧によって管路内に反転挿入した後、該管ライニング材を流体圧によって膨張させて管路の内面に押圧した状態で、管ライニング材に含浸された硬化性樹脂を硬化させている。
【0004】
通常、管ライニング材は、平坦状にして折りたたんだ状態で密閉構造の収納容器に収納され、この収納容器に収納された管ライニング材の一端を外側に折り曲げてこれを収納容器に接続された反転ノズルの開口端外周に取り付け、収納容器内に流体圧を作用させて反転させながら管路内に挿入させている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−165158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のライニング材反転装置では、反転前の管ライニング材は折りたたんで収納容器に収納していたために、反転時に引き出す抵抗が大きく、大きな反転圧力が必要になるという欠点があった。
【0006】
また、管ライニング材は折りたたんで収納されているので、引き出し時、引き出し量に応じて折りたたまれた上部の管ライニング材が上下に変動し、引き出しが円滑に行われないという問題があった。
【0007】
また、従来では、既設管路にライニングを施す場合、反転ノズルは垂直方向に取り付けられ、また補修しようとする管路は水平に延びるので、反転ノズルによって反転された管ライニング材は、その方向転換部で屈曲し、そこで大きな摩擦を生じ反転の抵抗となっていた。特に、ライニング材の厚みが増加し大きな反転圧力が必要な場合や、大口径のライニング材で重量が増加した場合には、ライニング材の反転が途中で停止してしまうなどの問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、管ライニング材の反転を途中で停止させることなく、確実にしかも円滑に補修すべき管路に反転挿入することが可能な管ライニング材の管路内への反転挿入方法及びその反転挿入に使用される管ライニング材の押圧装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
反転ノズルを介して反転される硬化性樹脂を含浸した管ライニング材を、反転ノズルの延びる方向に対して屈曲した管路内に反転挿入する方法であって、
管ライニング材の一端を反転ノズルに取り付け、管ライニング材に流体圧を作用させることにより管ライニング材を反転させながら反転ノズルの延びる方向に挿入し、
反転した管ライニング材を管路内に挿入させるとき、管ライニング材を、押圧装置により管路への挿入方向に押圧することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、
反転ノズルを介して反転される硬化性樹脂を含浸した管ライニング材を、反転ノズルの延びる方向に対して屈曲した管路内に反転挿入する方法であって、
管ライニング材の一端を反転ノズルに取り付け、管ライニング材に流体圧を作用させることにより管ライニング材を反転させながら反転ノズルの延びる方向に挿入し、
管ライニング材を第1の押圧装置により管路への挿入方向と逆向きに押圧させるとともに、該押圧されて挿入されてくる管ライニング材を第2の押圧装置により管路への挿入方向に押圧して、管ライニング材を管路に挿入することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、
反転ノズルを介して反転される管ライニング材を、反転ノズルの延びる方向に対して屈曲した管路内に反転挿入するときに管ライニング材を押圧するために使用される押圧装置であって、該押圧装置は、管ライニング材が管路内に屈曲して管路に挿入される前の管ライニング材の側方に配置され、管ライニング材を管路への挿入方向と逆向きに押圧することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、
反転ノズルを介して反転される管ライニング材を、反転ノズルの延びる方向に対して屈曲した管路内に反転挿入するときに管ライニング材を押圧するために使用される押圧装置であって、該押圧装置は、管ライニング材が管路内に屈曲して挿入される管路位置に配置され、管ライニング材を管路への挿入方向に押圧することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反転した管ライニング材を管路内に挿入させるとき、押圧装置により管ライニング材を管路への挿入方向に押圧するようにしているので、管ライニング材を簡単に管路の延びる方向に屈曲させることができ、管ライニング材を円滑に管路内に反転挿入させることが可能になる。
【0014】
また、管ライニング材を第1の押圧装置により管路への挿入方向と逆向きに押圧させるとともに、該押圧されて挿入されてくる管ライニング材を、第2の押圧装置により管路への挿入方向に押圧するようにしているので、2つの押圧装置による互いに逆向きの押圧力が管ライニング材に作用し、管ライニング材をより良好に屈曲させることができ、管ライニング材を円滑に管路内に反転挿入させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1には、管路を更生するための硬化性樹脂を含浸した管ライニング材を反転させる管ライニング材の反転装置の外観が図示されている。符号20で示すものは、管ライニング材を収納する気密な密閉構造の収納容器であり、通常、図示したように、支持板11、12を介してトラックの荷台に取り付けられて、作業現場に移動される。収納容器20の4隅には、上下調節機構13、14(残りの2つは、見ることができないので不図示)が設けられており、それより、収納容器20を水平に保持できるようになっている。
【0017】
収納容器20には、図2に示したように、複数のガイドローラー21を有する導管22並びに取付管60を介して反転ノズル30が着脱可能に取り付けられる。反転ノズル30は、円柱状の先端(下端)が開放したノズル部30aと、ノズル部30aに対して気密に取り付けられる円錐部30bからなり、この円錐部30bには取付管60の一端が同様に気密に取り付けられる。取付管60は、後述するように、管ライニング材1の管路への反転挿入が完了した後、側部からエア供給ホース、エア排出ホース、熱媒の供給ホース、その排出ホースなどを内部に導くことができる構造となっており、各ホースが取付けられる前はホース取付口は密閉されていており、全体として密閉構造となっている。
【0018】
この取付管60には、導管22が気密に取付けられ、導管22の取付管60と反対側端部には、フランジ22aが固定される。フランジ22aと、収納容器20の側方に延びる側管23に取り付けたフランジ23aは、複数のボルトとナットなどの固定手段を介して互いに気密に連結できるようになっており、それにより反転ノズル30、取付管60、導管22、並びに収納容器20がそれぞれ結合されたときの全体は、反転ノズル30の先端(下端)が開放している以外は、気密な密閉構造となっている。
【0019】
また、収納容器20の両側部には、リール24を回転自在に軸承する軸受け部25が取り付けられる。リール24は、管ライニング材1をロール状に巻き取るために使用され、電動モータ(不図示)により、図2で見て時計方向に回転するように駆動され、それにより管ライニング材1はリール24にロール状に巻き取られる。なお、リール24の両側には、複数のスポーク24aを備えた輪24bが取り付けられており、それにより管ライニング材1の巻き取りを確実にしている。
【0020】
また、リール24に巻き取られている管ライニング材1が、後述するように、収納容器20から引き出されて反転される場合には、リール24に作用するトルクによりリール24が逆回転し、電動モータを回転させて発電機として動作させ、管ライニング材の引き出しに制動がかかるようになっている。
【0021】
また、収納容器20には、管ライニング材1を反転させるための流体圧(圧縮空気)を収納容器20に送り込むためのダクト26が取り付けられ、また、収納容器20の下方部には、開閉可能な作業用ドア27が気密に取り付けられており、作業者は、このドア27を取っ手を引くことにより開放して収納容器20の内部を点検することができる。
【0022】
また、リール24に巻き取られる管ライニング材1は、公知の管ライニング材であり、外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸収材に未硬化の液状熱硬化性樹脂を含浸せしめて構成される。尚、プラスチックフィルムとしてはポリエチレン、塩化ビニル、ビニロン、ポリウレタン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ナイロン共重合体等のフィルムが用いられ、管状樹脂吸収材としてはポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン等の不織布が用いられる。又、管状樹脂吸着材に含浸される未硬化の液状硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。なお、管ライニング材1の内面にも、外表面と同様なプラスチックフィルムを気密的に被覆するようにしてもよい。
【0023】
本実施例では、管ライニング材1は、垂直方向に延びるマンホール1から反転挿入されて、マンホール1に対してほぼ直交する方向(水平方向)に延びる管路3内に挿入される。従って、反転ノズル30によって反転された管ライニング材1は、マンホール1の下部でほぼ90度屈曲して管路3内に挿入されるので、その方向転換部で大きな摩擦を生じ反転の抵抗となっていた。そのため、本発明では、押圧装置40と50が用いられ、管ライニング材の方向転換(屈曲)を容易にしている。
【0024】
押圧装置40は、図3(a)、(b)、並びに図4(a)、(b)に示すように、マンホール1の下方部に取り付けられる取付板41と、この取付板41に固定されるネジシャフト42と、このネジシャフト42と螺合する調節棒43a、43bを備えた調節部材43と、この調節部材43に固定された押圧部材44を有し、押圧部材44の固定端と反対側の端部44aは、管ライニング材1を押圧する押圧板46に固定された受け部材45に回転自在に軸受けされる。取付板41は、マンホール1の内面の曲率にほぼ相当する曲率を有する円板として構成され、また押圧板46は、反転され筒状になった管ライニング材1の外面の曲率にほぼ相当する曲率で湾曲した板状部材となっている。
【0025】
図4(a)に示したように、押圧装置40の取付板41をマンホール2の内壁に取り付け、押圧板46を管ライニング材1に押し当て、作業者が調節棒43a、43bを介して調節部材43を時計方向に回転させると、調節部材43が、ネジシャフト42のネジと螺合していることにより、調節部材43並びにそれに固定された押圧部材44は、図4(b)に示したように、水平方向(図3、図4で右方向)に移動する。押圧部材44の端部44aは、押圧板46に固定された受け部材45に回転自在に軸承されていることから、調節部材43を回転させることにより、押圧板46は右方向に移動し、管ライニング材1を右方向に押圧することができる。また、調節部材43を逆方向に回転させることにより、押圧板46を逆方向(左方向)に移動させることができる。
【0026】
押圧装置50は、図5(a)、(b)、並びに図6(a)、(b)に示すように、ピストン52とピストンロッド53を備えたエアシリンダ51と、ピストンロッド53の先端とネジ結合されるネジ受け部材56を取り付けた支持部材54と、この支持部材54に固定された押圧部材55と、支持部材54の下方に支柱57を介して取り付けられたガイドローラー58を有する。押圧部材55は、円錐台を上下逆にし垂直方向に約3分の一の大きさに分割した形状を有し、反転した管ライニング材を包み込むことができるような曲率を有している。そして、押圧部材55を側面から見たときに見える円錐台の母線55aは、所定の角度傾斜していて、管ライニング材を管路の方向に屈曲させるのを容易にしている。
【0027】
このような構成の押圧装置50において、図6(a)に図示したように、反転ノズル30の延びる方向、つまり垂直方向に反転して挿入されてくる管ライニング材1を押圧部材55で包み込めるような位置に、管路3上で押圧装置50を移動させ、この状態で、図6(b)に示したように、右側のシリンダ室に圧縮空気を供給すると、ピストン52並びにピストンロッド53は左方に移動し、支持部材54並びにこれに固定された押圧部材55は、管路3内をガイドローラ58に導かれて、管路3の延びる水平方向に移動し、管ライニング材1を垂直方向から水平方向に屈曲させることができる。また、エアシリンダ51の左側のシリンダ室に圧縮空気を供給すると、押圧部材55は、図6(a)の位置に移動することができる。
【0028】
以下に、管ライニング材を用いて管路をライニングする工程を説明する。
【0029】
反転装置は、通常トラックに積み込まれており、管ライニング材1は、その一端がリール24に固定され、電動モータを駆動してリール24にロール状に巻き取られ、収納容器20に収納される。管ライニング材1の他端1aは、図2に図示したように、反転ノズル30の開口部近くに導びかれ、外側に折り返されて、反転ノズル30の開口端外周にバンドなどによって気密に取り付けられる。そして、反転装置は、トラックにのせたまま反転ノズル30がマンホール2に垂直方向に臨まされる位置に配置され、足場4を組んで反転ノズル30を支持する。
【0030】
続いて、圧縮空気がダクト26を介して収納容器20内に供給され、この流体圧(圧縮空気圧)が管ライニング材1の折り返し端1aに作用することにより、管ライニング材1はリール24から巻き戻されて収納容器20から引き出され、反転ノズル30により反転されてマンホール2内に垂直方向に下方に挿入されていく。このとき、電動モータは発電機として動作し、リール24の逆回転、すなわち、管ライニング材1の引き出しに制動がかかるようになる。
【0031】
反転してマンホール2内に挿入される管ライニング材1は、反転ノズル30の延びる垂直方向に対して水平方向に屈曲した管路3内に挿入される。このマンホール2と管路3が交差する屈曲部では、ライニング材の厚みが大きい場合、あるいは大口径のライニング材で重量が増加した場合には、大きな摩擦を生じ反転の抵抗となるので、本発明では、押圧装置40と押圧装置50を用いて、管ライニング材1の管路3への挿入を確実にする。
【0032】
そのために、押圧装置40は、その取付板41がマンホール2の下方部の内壁に取り付けられ、また、押圧装置50は、エアシリンダ51に圧縮空気を供給するコンプレッサなどを収納したボックス5とともに、図2、図7に示したように、押圧部材55の右上端部がマンホール2の内壁面に近接する管路3内の位置に配置される。
【0033】
作業者は、管ライニング材1がマンホール内に反転して挿入され、押圧装置40の押圧板46の位置に移動したとき、調節部材43を回転させることにより、押圧板46を、図4(b)に示したように、右方向に移動させ、管ライニング材1をマンホール2の右内壁面に押し当てるようにする。
【0034】
このように右方向に寄せられた管ライニング材1は、図7に示したように、押圧装置50の湾曲した押圧部材55の内部に、その母線方向に沿って導かれる。そこで、エアシリンダ51内に圧縮空気を供給し、押圧部材55を左方向に連続的に移動させ、管ライニング材1を管路の挿入方向(水平方向)に押圧する。この押圧により、管ライニング材1は、垂直方向から水平方向に滑らかに屈曲し、管路3内に向きを変えて挿入される。この状態が、図7で、2種類の仮想線で示されている。
【0035】
押圧部材55をエアシリンダにより連続的に移動させるのではなく、段階的に左方向に移動させ、確実に方向転換されたのを確認したあと、押圧部材55の移動を停止させるようにしてもよい。また、押圧装置50だけで、管ライニング材1の方向転換が円滑にできる場合には、押圧装置40の使用を省略することができる。しかし、押圧装置40を用いると、管ライニング材1は、図7で上側の矢印で示したように、屈曲前にその管路への挿入方向と逆向きに押圧されるので、押圧部材55の挿入方向への押圧(下側の矢印)と相まって、管ライニング材の屈曲が円滑かつ確実になる。また、管ライニング材1の厚さ、あるいは直径などに応じて押圧装置40の取付板41の取り付け位置を変え、上下方向にその位置を調節可能にすることにより、逆向きに作用する押圧力の掛かる位置を変えて、方向転換をより確実にすることができる。このような構成により、大口径の管ライニング材(例えば、直径が350mmから800mm)でも円滑に方向転換させることができる。
【0036】
なお、反転した管ライニング材1の外表面(反転前では内面)にプラスチックフィルムが被覆されていない場合で、含浸した硬化性樹脂が露出していて、押圧板46と押圧部材55の内面に、樹脂が付着する恐れがあるときには、押圧板46と押圧部材55の内面に保護カバーを取り外し可能に設け、使用ごとに保護カバーを取り替えるようにする。
【0037】
このようにして、管ライニング材1は、管路3の延びる方向に方向転換したあと、反転しながら管路3内に順次挿入される。なお、必要ならば、押圧板46と押圧部材55は元の位置に戻しておくようにする。
【0038】
管ライニング材1が管路3内に所定の長さに渡って反転挿入されると、反転ノズル30並びに取付管60が、収納容器20(導管22も収納容器20の一部とする)から切り離される。
【0039】
取付管60は、図9、図10に示したように、上下にフランジ60a、60bを備えた円管状の部材で、フランジ60aは、複数のクランプ73を介して気密な圧力蓋80のフランジ80aと気密に取付けられ、また取付管60のフランジ60bは、複数のボルトナット式の固定手段72を介してノズル円錐部30bのフランジ30cと気密に取付けられる。
【0040】
また、取付管60の側部には、熱媒供給ホース70と熱媒排出ホース71を内部に導くことができるダクト61、62が取付けられ、また圧縮空気を供給するエア供給ホース(不図示)を取付ける取付穴63並びにエアを排出するエア排出ホース(不図示)を取付ける取付穴64が形成される。ダクト61、62並びに取付穴63、64は、いずれも各ホースを取付ける前は、キャップなどで気密に密閉される。
【0041】
反転ノズル30並びに取付管60を収納容器20から切り離したあと、圧力蓋80を取付管60の上部に取り付け、内部に圧縮空気を供給する。圧力蓋80、取付管60、反転ノズル30は、全体として密閉構造となっているので、反転ノズル30に取り付けた管ライニング材1は、膨張して管路3の内壁面に押し付けられた状態となる。
【0042】
この状態で、図10に示したように、熱媒供給ホース70と熱媒排出ホース71を、ダクト61、62を介して取付管60の側部からマンホール2並びに管路3内に導入し、熱媒供給ホース70の他端を熱媒供給源(不図示)に接続する。圧力蓋80の上部には、透明なアクリル板82を設けた窓81が取り付けられているので、作業者は、この窓を介して、熱媒供給ホース70、熱媒排出ホース71が反転された管路の管ライニング材内に円滑に導入されていくかどうかを確認する。このとき、各ホース70、71は、上部からではなく、取付管60の側部から内部に導入されるので、窓81を介してのホース導入状態の監視ないし確認が容易になる。
【0043】
各ホース70、71が管路に挿入されたのを確認後、熱媒供給ホース70を介して管ライニング材1に熱媒を供給する。熱媒としては、温水あるいは蒸気があり、図8に示したように、温水あるいは蒸気がホース70に設けられた噴出口70aを介してミスト状態となって反転された管ライニング材1に吹き付けられる。それにより、管ライニング材1は加温され、管ライニング材1に含浸された熱硬化性樹脂が熱によって硬化するため、管路3の内面は、硬化した管ライニング材1によってライニングされて修復される。管ライニング材1が硬化した後は、エアをエア排出ホースを介して外部に排出するようにする。
【0044】
なお、温水の場合は、ミスト状態とするのではなく、シャワリングさせることもでき、また温水又は蒸気は、ミストとして噴出させるのではなく、ホース70の先端から放出させ、管ライニング材の内部に温水あるいは蒸気を満たすようにして、管ライニング材を硬化させることもできる。
【0045】
加熱に使用した温水は、排出ホース71を介して外部に排出され、熱媒供給源に戻し、循環させることができる。
【0046】
また、取付管60には、図9で仮想線で示したように、異なる口径のダクト65、66を取付けて異なる径の熱媒供給(排出)ホースを取付けるようにすることができる。また、取付管60の側部には、複数のエア供給ホース取付穴とエア排出ホース取付穴を設けることもできる。
【0047】
また、上述した実施例で、押圧装置50は、エアシリンダではなく、油圧シリンダとすることもでき、また他の駆動源、例えばモータを利用して押圧部材55を移動させるようにしてもよい。
【0048】
また、管ライニング材を反転挿入させるための圧縮空気は、収納容器20に設けたダクト26から供給するのでなく、取付管60に形成された取付穴63に取り付けられるエア供給ホースを介して供給するようにしてもよい。
【0049】
また、圧力蓋80は、図9に示したようなお椀形ではなく、平坦で透明なアクリル板として、取付管60の上部全体を覆うようにしてもよい。この場合には、大きな透明窓が得られ、ホースなどの導入状態をより良好に観察ないし監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】管ライニング材反転装置をトラックに載せた状態で示した斜視図である。
【図2】管ライニング材をマンホールから管路に反転挿入する状態を示した説明図である。
【図3】(a)は管ライニング材を押圧する押圧装置の平面図、(b)はその側面図である。
【図4】(a),(b)は管ライニング材を押圧する押圧装置の図3(b)のA−A’線に沿った断面図である。
【図5】(a)は管ライニング材を屈曲させる押圧装置の平面図、(b)はその側面図である。
【図6】(a)は管ライニング材を屈曲させる前の押圧装置の側面図、(b)は管ライニング材を屈曲させるために移動したときの押圧装置の側面図である。
【図7】管ライニング材を屈曲させて管路に挿入する工程を示した説明図である。
【図8】管ライニング材の反転挿入が完了した後、管ライニング材を硬化させる工程を示した説明図である。
【図9】取付管と圧力蓋の外観を示す斜視図である。
【図10】取付管と圧力蓋の垂直断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 管ライニング材
2 マンホール
3 管路
20 収納容器
30 反転ノズル
40 押圧装置
50 押圧装置
60 取付管
70 熱媒供給ホース
71 熱媒排出ホース
80 圧力蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転ノズルを介して反転される硬化性樹脂を含浸した管ライニング材を、反転ノズルの延びる方向に対して屈曲した管路内に反転挿入する方法であって、
管ライニング材の一端を反転ノズルに取り付け、管ライニング材に流体圧を作用させることにより管ライニング材を反転させながら反転ノズルの延びる方向に挿入し、
反転した管ライニング材を管路内に挿入させるとき、管ライニング材を、押圧装置により管路への挿入方向に押圧することを特徴とする管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項2】
前記押圧装置は、駆動源の駆動力に駆動され、管ライニング材を管路への挿入方向に押圧することを特徴とする請求項1に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項3】
反転ノズルを介して反転される硬化性樹脂を含浸した管ライニング材を、反転ノズルの延びる方向に対して屈曲した管路内に反転挿入する方法であって、
管ライニング材の一端を反転ノズルに取り付け、管ライニング材に流体圧を作用させることにより管ライニング材を反転させながら反転ノズルの延びる方向に挿入し、
管ライニング材を第1の押圧装置により管路への挿入方向と逆向きに押圧させるとともに、該押圧されて挿入されてくる管ライニング材を第2の押圧装置により管路への挿入方向に押圧して、管ライニング材を管路に挿入することを特徴とする管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項4】
前記第1の押圧装置の設置位置が調節可能であることを特徴とする請求項3に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項5】
前記第2の押圧装置は、駆動源の駆動力に駆動され、管ライニング材を管路への挿入方向に押圧することを特徴とする請求項3又は4に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項6】
管ライニング材の管路への反転挿入が完了したとき、管ライニング材を硬化させるため熱媒を供給するホースを反転ノズルの延びる方向に対して直交する方向から管ライニング材内に導入することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項7】
前記管ライニング材は、収納容器に巻回して収納されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項8】
反転ノズルを介して反転される管ライニング材を、反転ノズルの延びる方向に対して屈曲した管路内に反転挿入するときに管ライニング材を押圧するために使用される押圧装置であって、該押圧装置は、管ライニング材が管路内に屈曲して管路に挿入される前の管ライニング材の側方に配置され、管ライニング材を管路への挿入方向と逆向きに押圧することを特徴とする管ライニング材の押圧装置。
【請求項9】
前記押圧装置の設置位置が調節可能であることを特徴とする請求項8に記載の管ライニング材の押圧装置。
【請求項10】
反転ノズルを介して反転される管ライニング材を、反転ノズルの延びる方向に対して屈曲した管路内に反転挿入するときに管ライニング材を押圧するために使用される押圧装置であって、該押圧装置は、管ライニング材が管路内に屈曲して挿入される管路位置に配置され、管ライニング材を管路への挿入方向に押圧することを特徴とする管ライニング材の押圧装置。
【請求項11】
前記押圧装置は、駆動源の駆動力に駆動され、管ライニング材を管路への挿入方向に押圧することを特徴とする請求項10に記載の管ライニング材の押圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−125701(P2007−125701A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317876(P2005−317876)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(592057385)株式会社湘南合成樹脂製作所 (61)
【Fターム(参考)】