説明

管理機

【課題】本発明は、安価で簡易な構成により、管理機による作業効率を向上させることを目的とする。
【解決手段】推進機体(10)の前方または後方に2基以上のロータリー部(4)を左右に並べて配置し、これらのロータリー部(4)を連結フレーム(20)に一体的に連結する。この連結フレーム(20)は、推進機体の中心で軸心が前後方向に沿った取付け軸(18)に連結して、これにより取付け軸を支点に、ロータリー部を推進機体に対し上下動自在に連結する。この連結フレームには軸心が左右方向に沿った中間軸(25)を取付け、中間軸に備える受動プーリ(26)を取付け軸の上方に位置させると共に、この受動プーリと推進機体側に備える駆動プーリ(17)との間にベルト(27)を掛け渡し、推進機体に搭載したエンジン(12)の動力を前記ベルトにより中間軸を経てロータリー部に伝動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進行方向と直交する方向に複数の耕耘作業部を並べた管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
管理機は、進行方向と直交する耕耘軸に耕耘爪を取り付けたロータリー部を備えている。このロータリー部で畝間を耕耘することにより、土壌の通気性や排水性を向上して雑草を防除する中耕除草作業や、畝溝の土を畝側に寄せて立毛する作物の根本に土をかける土寄せ作業、また、ロータリー部の後方に培土板を取り付けて、耕耘爪により膨軟にした土壌を培土板によって左右に寄せて畝を形成する畝立て作業などの各種の作業を行うことができる。このように各種の作業を行うことができることから、管理機は頻繁に使用されている。
【0003】
従来の管理機は、畝間を進行すると共に、当該畝間の土作業を行うものだったため、作業の効率性に限界があった。作業効率を向上するためにロータリー部の数を増やしたとしても、各ロータリー部が進行する畝溝の深さの違いに対応できず、左右の畝溝の深さが異なると一方のロータリー部が浮いてしまうという問題があった。
【0004】
ロータリー部が浮いてしまうと、中耕除草作業では充分な除草効果が得られないという不都合が生じ、土寄せ作業においては確実に土寄せすることができず作物に充分に土がかからないという不都合が生じ、また、畝立て作業では土壌を充分に耕耘できず所望の畝を形成できないという不都合が生じる。
【0005】
さらに、それぞれのロータリー部に高さ位置の制御機構を取り付けるとなると、構造が複雑となって故障などの不具合等のリスクが増加するうえに、コスト高となって充分な競争力が得られない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、安価で簡易な構成により、管理機による作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、2基以上のロータリー部を左右に並べて連結フレームに一体的に連結し、この連結フレームを、推進機体の中心で軸心が前後方向に沿った取付け軸に連結すると共に、左右方向に沿った中間軸に備える受動プーリを取付け軸の上方に位置させ、推進機体に備える駆動プーリと受動プーリとの間にベルトを架け渡して、ベルトと中間軸を介してロータリー部を駆動することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、左右に設けたロータリー部が進行する畝溝の深さが異なっていても、耕耘作業部が取付け軸に揺動自在に支持されて、この取付け軸の回りにローリングすることで、左右のロータリー部が畝溝の深さによって自在に上下動し、確実に耕耘して所望の作業効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る管理機について、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本発明に係る管理機の側面視構成図である。
【0010】
管理機1は、畝間を進行する推進機体10の前方に耕耘作業部2を連結してなる。推進機体10は、車体ケース11にエンジン12を搭載し、操向用のハンドル13と、畝間を転動する左右の車輪14、14とを有している。
【0011】
車体ケース11は、破線で示した前側部分と実線で示した後側部分とからなる。この前側部分は後側部分とは別体に構成されており、図1においては、当該前側部分を取り外した状態を示している。車輪14は、左右の車輪14、14の間隔と車体ケース11の高さとをそれぞれ調節するための調節具15を介して車体ケース11に取り付けられている。
【0012】
推進機体10には不図示のトランスミッションが設けられ、このトランスミッションを介してりエンジン12の動力を車輪14、14や、車体ケース11内に配置された回転軸16に伝達する。回転軸16には駆動プーリ17を取り付ける。この駆動プーリ17は、推進機体10の左右方向略中央に配置する。また、駆動プーリ17の下方に、車体ケース11から前後方向に伸びる取付け軸18を突設している。
【0013】
この取付け軸18に耕耘作業部2の連結フレーム20を取り付ける。連結フレーム20は、図2に示すごとく、中央の筒部21と左右に張り出した台部22、22とにより構成されている。車体ケース11の前側部分は、この連結フレーム20に着脱自在に取り付けられる。図2は、連結フレームと推進機体との連結部を示す平面視構成図である。
【0014】
筒部21に取付け軸18が挿通されて、連結フレーム20が取付け軸18の回りに旋回自在に軸支され、耕耘作業部2がローリング可能となる。筒部21に挿通した取付け軸18の、連結フレーム20を貫通した先端には、抜止め棒19が取り付けられる。
【0015】
また、推進機体10には、連結フレーム20の旋回角度を規制するストッパ3を設けている。本実施形態のストッパ3はボルト状で、車体ケース11に設けられた縦向きのねじ穴(特に図示しない)に螺合されており、ストッパ3を螺回することにより連結フレーム20のローリングの傾きを調節可能に構成されている。
【0016】
本実施形態においてはストッパ3は連結フレーム20の上方に設けているが、ストッパ3を連結フレーム20の下方に設けて、連結フレーム20の旋回角度を規制する構成としてもよい。または、ストッパを連結フレーム20に設け、このストッパを車体ケース11に当接させることで、連結フレーム20のローリングの傾きを調節するように構成してもよい。
【0017】
連結フレーム20の台部22、22には、ベアリングを備える軸支体23及び固定具24を設置する。軸支体23は台部22、22に固着する。また、台部22には複数のボルト孔220、220、・・・を形成し、このボルト孔220とボルト221によって固定具24を台部22に固定する。固定具24は、ボルト孔220への取付位置を変えることで左右位置を調節可能に構成する。
【0018】
この左右の軸支体23、23及び固定具24、24によって、図3に示すごとく、六角柱形状の中間軸25を軸支すると共に、軸支体23、23に挟まれた連結フレーム20の略中央に受動プーリ26を取り付ける。図3は、耕耘作業部の正面視構成図である。この受動プーリ26と、推進機体10の駆動プーリ17とに無端帯であるベルト27を巻き回して、エンジン12の動力を中間軸25に伝達する。
【0019】
本実施形態においては中間軸を六角柱形状に形成しているが、中間軸25は断面非円形であればよく、四角柱などの多角柱形状や楕円形状などでもよい。
また、無端帯として、本実施形態においてはベルトを用いているが、チェーンを用いてもよい。チェーンを用いる場合には、プーリに代えてスプロケットを使用する。
【0020】
中間軸25には左右にギアボックス28、28を設け、それぞれのギアボックス28、28から前下方に伝動軸29を延出して、この伝動軸29の先端にロータリー部4を取り付ける。このギアボックス28は連結フレーム20の固定具24に取り付けられる。左右のロータリー部4、4は、耕耘作業部2の旋回によって上下動し、ストッパ3によって旋回角度が規制される。
【0021】
図4に示すように、ギアボックス28にはベベルギア28a、28bを配置する。図4は、耕耘作業部への伝動機構を示す構成図である。ベベルギア28aと中間軸25とはスプライン結合し、ベベルギア28bに伝動軸29を接続する。このベベルギア28aは、六角柱形状の中間軸25の回転により動力を得て、ベベルギア28bを介して伝動軸29を駆動し、伝動軸29の先端のロータリー部4に伝動する。
【0022】
ベベルギア28aと中間軸25とをスプライン結合していることにより、ギアボックス28は中間軸25に沿って移動可能に構成され、固定具24の左右位置を調節することによって、ギアボックス28が左右に移動し、左右のロータリー部4、4の作業幅が調節可能となっている。
【0023】
ロータリー部4は、耕耘装置40と、耕耘深さを調節するための転輪41を有している。耕耘装置40は、横向きの耕耘軸42と、この耕耘軸に取り付けられる複数の耕耘爪43を備えている。
【0024】
本実施形態において、中間軸25から伝動軸29への伝動にはベベルギアを用いているが、ベベルギア以外の斜交軸歯車を用いて伝動するように構成してもよい。
【0025】
次に、図5を参照して本発明に係る管理機の作用について説明する。図5は、耕耘作業部を正面から見た作用図である。
【0026】
図5は、左側の畝溝Lに対して右側の畝溝Rの方が深くなった状態を示している。左右の畝溝LRの深さが均一な場所では耕耘作業部2は水平位置を維持し(破線図示)ているが、図5に示したごとく左右の畝溝LRの深さが異なる場合、左右の畝溝LRの深さの変化に従って全体が取付け軸18の回りにローリングし、ロータリー部4の転輪41が浮き上がることなく畝間を転動して、一定の耕耘深さにより作業を行うことができる。
【0027】
上記のごとく構成した管理機の効果について説明する。
耕耘作業部2がローリングすることにより、左右の畝溝LRの深さの違いや、畝溝の進行方向の深さの違いの影響を受けずに、一定の耕耘深さで安定して確実な耕耘をすることができる。
【0028】
また、耕耘作業部2がローリングして傾いても、駆動プーリ17と受動プーリ26との間に架け渡されたベルト27により推進機体10から耕耘作業部2へ伝動することができる。さらに、ベルト27の張力によって傾いた耕耘作業部2を水平に戻す方向に力が働くため、左右のロータリー部4、4によりバランスよく耕耘することができる。
【0029】
また、耕耘作業部2のローリングの傾きを規制するストッパ3を設けたことにより、耕耘作業部2のローリングにより駆動プーリ17と受動プーリ26との間に架け渡されたベルト27が外れてしまうことがない。
【0030】
また、管理機1は左右の車輪14、14とロータリー部4、4の4点で接地しているため、左右にぶれることがなく作業時の安定性に優れ、作業速度を大幅に向上することができる。
【0031】
また、左右2条を同時に耕耘するため、圃場の往復回数が減って労力を軽減できるうえに、枕地での旋回回数が少なく済むため、作業時間を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】管理機の側面視構成図
【図2】連結フレームと推進機体との連結部を示す平面視構成図
【図3】耕耘作業部の正面視構成図
【図4】耕耘作業部への伝動を示す構成図
【図5】管理機の作用図
【符号の説明】
【0033】
1 管理機
10 推進機体
11 車体ケース
12 エンジン
13 ハンドル
14 車輪
15 調節具
16 回転軸
17 駆動プーリ
18 取付け軸
19 抜止め棒
2 耕耘作業部
20 連結フレーム
21 筒部
22 台部
220 ボルト孔
221 ボルト
23 軸支体
24 固定具
25 中間軸
26 受動プーリ
27 ベルト
28 ギアボックス
29 伝動軸
3 ストッパ
4 ロータリー部
40 カバー
41 転輪
L、R 畝溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進機体の前方または後方に2基以上のロータリー部を左右に並べて配置し、
これらのロータリー部を一体的に連結する連結フレームを、推進機体の中心で軸心が前後方向に沿った取付け軸に旋回自在に軸支し、これにより取付け軸を支点に、ロータリー部を推進機体に対し上下動自在に連結し、
そして軸心が左右方向に沿った中間軸を前記連結フレームに取付け、中間軸に備える受動プーリを前記取付け軸の上方に位置させると共に、推進機体側に備える駆動プーリと受動プーリの間にベルトを掛け渡し、推進機体に搭載したエンジンの動力を前記ベルトにより中間軸を経てロータリー部に伝動することを特徴とする管理機。
【請求項2】
前記連結フレームの旋回角度を規制するストッパを設けたことを特徴とする請求項1記載の管理機。
【請求項3】
前記中間軸にスプライン結合したベベルギアを介して中間軸と直交する伝動軸に伝動し、伝動軸の先端に連結したロータリー部を駆動すると共に、前記中間軸に沿って前記ベベルギアを移動してロータリー部の取付け位置を左右に調節可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−306984(P2008−306984A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157944(P2007−157944)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000113816)マメトラ農機株式会社 (25)
【Fターム(参考)】