説明

管理機

【課題】耕耘爪が掻き揚げる耕土が、ロータリカバーに取り付けられるシートとシートの間から外部へ漏れないようにし、かつシートの部品点数が少ない管理機を提供する。
【解決手段】ミッション部と、ロータリフレームと、ロータリフレームの下方に配置され、ミッション部と連動連結されて回転駆動される、耕耘爪を備えた耕耘爪軸と、ロータリフレームの左右に上下回動可能に取り付けられて耕耘爪の回動軌跡の上方を覆うロータリカバー45とを備え、左右のロータリカバー45L・45Rの後部に、耕土の機体後方への飛散を防止する左右のシート80L・80Rを取り付け、左右のシート80L・80Rの機体左右中央側に、複数の連結孔83を開口し、右シート80Rの連結孔83に、シート連結部材82を着脱可能に取り付け、左シート80Lのいずれかの連結孔83に、シート連結部材82を係合可能した管理機1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ耕耘装置を有する管理機に関し、特にロータリ耕耘装置のロータリカバーの後方に配設したシートにより、ロータリ耕耘装置の駆動時に耕土が後方へ飛散することを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリ耕耘装置を有する管理機は公知となっている。このような管理機においては、ロータリ耕耘装置の耕耘爪の上部を覆う左右のロータリカバーと、耕耘爪の後部を覆う左右のシートとが備えられていた。左右のロータリカバーは、ロータリフレームを左右方向で挟んで配置されて、それぞれロータリフレームに対して上下方向に回動可能に支持されていた。一方、左右のシートは、それぞれ左右の各ロータリカバーの後方に配設されていた。
【0003】
例えば、特許文献1の管理機においては、ミッション部と、前記ミッション部に固定して後方へ伸延させたロータリフレームと、前記ロータリフレームの下方で前記ミッション部と連動連結させて配設した耕耘軸に、半径方向外方に向けて放射状に植設した複数の耕耘爪を備える円筒状の爪軸を挿通して形成した耕耘作業部(ロータリ耕耘装置)と、前記耕耘作業部の上方を覆うように配設し、前記ロータリフレームの左右両側で機体の前後方向へ伸延する回転軸周りに回動可能に構成した左右ロータリカバーと、が備えられ、前記左右ロータリカバーの各後部に、矩形状の左右畝立てシートが機体の下部後方へ向けてそれぞれ吊設され、前記ロータリフレームの後端部に、前記左畝立てシート及び右畝立てシートの少なくとも一部を上から覆う状態に配設した中央土分け体が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−252221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、左右畝立てシート及び中央土分け体が、耕耘爪が掻き揚げる耕土の後方への飛散を防止するためのシートとしても機能するようになっている。そして、左右のロータリカバーを上方へ回動して開いた状態においても、耕土の後方への飛散を防止するために、左右畝立てシート及び中央土分け体の左右方向の長さを長くして、ロータリカバーを開いた状態でも中央土分け体の両側が左右畝立てシートの内側と重なるようにしている。
【0006】
しかし、作業時においては、左右畝立てシート又は中央土分け体の両側は、土と接触することで後方へ捲り上がり、左右畝立てシートと中央土分け体との重なり部分において隙間が生じ、当該隙間から耕耘爪が掻き揚げた耕土が漏れるという問題点があった。
また、ロータリカバーは上方に回動可能な構成としているため、ロータリカバーの後部に取り付けるシートは三枚以上に分割しなければならず、部品点数が多くなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、耕耘爪が掻き揚げる耕土が、左右ロータリカバーに取り付けられるシートとシートの間から機体後方へ漏れないようにし、かつシートの部品点数が少ない管理機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、第1の発明に係る管理機は、エンジンからの動力を変速するミッション部と、該ミッション部より後方へ延設されたロータリフレームと、該ロータリフレームの下方に配置され、前記ミッション部と連動連結されて回転駆動される、耕耘爪を備えた耕耘爪軸と、前記ロータリフレームの左右に上下回動可能に取り付けられて、前記耕耘爪の回動軌跡の上方を覆うロータリカバーと、を備える管理機において、前記左右の各ロータリカバーの後部に、耕土の機体後方への飛散を防止するシートを取り付け、前記左右の各シートの機体左右中央側に、複数の連結孔を開口し、前記左右一方のシートの少なくとも一つの連結孔に、シート連結部材を着脱可能に取り付け、前記左右他方のシートのいずれかの連結孔に、前記シート連結部材を係合可能に構成したものである。
【0010】
第2の発明に係る管理機は、第1の発明に係る管理機において、前記左右の各シートの機体左右外側に、係止孔を開口し、前記左右の各ロータリカバーの機体左右外側に、係止部を設け、前記左右のロータリカバーの係止部に、それぞれ前記左右のシートの係止孔を係止可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
第1の発明に係る管理機においては、耕耘爪が掻き揚げる耕土の後方への飛散を防止するためのシートを左右各1枚の合計2枚のシートで構成することが可能となる。従って、耕土の機体後方への漏れをなくしながら、シートの部品点数を減らすことができる。
【0013】
第2の発明に係る管理機においては、左右のシートが左右の各ロータリカバーの機体左右外側から各ロータリカバーに取付けられることになるため、左右のシートと、左右の各ロータリカバーとの間の隙間から耕土が漏れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ロータリカバーを上方へ回動した状態の管理機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】ロータリカバーを上方へ回動した状態で左右シートを連結していない場合における耕耘装置の背面図。
【図3】ロータリカバーを上方へ回動しない状態で左右シートを連結した場合における耕耘装置の後端部の斜視図。
【図4】ロータリカバーを上方へ回動した状態で左右シートを連結した場合における耕耘装置の後端部の斜視図。
【図5】左ロータリカバーの後部側面図。(a)左シートを左ロータリカバーから取り外した場合の図。(b)左シートを左ロータリカバーに取り付けた場合の図。
【図6】左ロータリカバーを上方へ回動した状態で左右シートを連結した場合における耕耘装置の背面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る管理機1について説明する。
【0016】
まず、管理機1の全体的な構成について説明する。
なお、以下の説明では、図1の矢印A方向を管理機1の前方として説明する。
【0017】
管理機1は、歩行型管理機であり、機体に装着した各種の作業装置によって、耕耘作業や中耕除草等の農作業を行うことを可能としたものである。本実施形態の管理機1には、作業装置の一例であるロータリ式耕耘装置4が装着される。
【0018】
図1に示すように、管理機1は、エンジンフレーム2と、エンジン7と、伝動機構20と、ミッションケース10(ミッション部)と、車輪30・30と、ロータリ式耕耘装置4と、操作部材6等を具備する。
【0019】
管理機1の駆動源であるエンジン7は、エンジンフレーム2の前部に搭載される。
ミッションケース10は、エンジン7の後方に配置される。ミッションケース10内には図示しない変速装置が設けられ、エンジン7からの動力を変速するミッション部を形成する。伝動機構20は、エンジン7と、ミッションケース10内の変速装置と、の間に設けられる。
【0020】
エンジン7の動力は、エンジン7の出力軸8から第1プーリ21と、第2プーリ22と、ベルト23等により構成される伝動機構20を介してミッションケース10内の変速装置の入力軸11に伝達される。
【0021】
入力軸11に伝えられた動力は、ミッションケース10内の変速装置、走行側出力軸、及び車軸32を経由して、左右一対の車輪30・30に伝達される。
また、入力軸11に伝えられた動力は、入力軸11からミッションケース10の後方に配置されたチェーンケース46内の伝動機構、ギヤボックス47(図2)、及び耕耘側出力軸を経由して、ロータリ式耕耘装置4の耕耘爪軸44に伝達される。
【0022】
左右の車輪30・30は、それぞれ車軸32の左又は右端部に固定されて、ミッションケース10の下部の側方に配置される。左右の車輪30・30は、エンジン7からの動力を受けて回転駆動する。
【0023】
ロータリ式耕耘装置4は、左右の車輪30・30の後方に配置される。ロータリ式耕耘装置4は、エンジン7からの動力を受けることによって、耕耘爪42・42・・・を回転させ、圃場面を耕耘する。なお、ロータリ式耕耘装置4の詳細については、後述する。
【0024】
操作部材6は、ハンドル62と、各種の操作具と、を備える。ハンドル62は、ミッションケース10上部より後上方にハンドル基部61が延出され、ハンドル基部61の後部にハンドル62の前端が上下回動可能に取り付けられ、該ハンドル62は後部が平面視V字状に形成されて、その後端部に把持部63が形成される。ハンドル62後部には、操作具として、主クラッチレバーやサイドクラッチレバーやハンドル上下操作レバー等が配置される。
【0025】
次に、ロータリ式耕耘装置4について説明する。
【0026】
図1及び図2に示すように、ロータリ式耕耘装置4は、ロータリ駆動パイプ41と、ロータリフレーム43と、耕耘爪軸44と、ロータリカバー45と、ギヤボックス47と、角度調節部55等から構成される。
【0027】
ミッションケース10の後面にはヒッチ19が設けられ、ヒッチ19にロータリフレーム43の前端に設けたヒッチ部40が着脱可能に固定される。
【0028】
ロータリフレーム43は、前後方向に延設される。ロータリフレーム43の前部上にはギヤボックス47が設けられる。ロータリフレーム43の後部には取付固定ボス48が固定される。
取付固定ボス48には、ゲージ輪31の高さを調節するための支持軸49が嵌挿されている。支持軸49の下端部にはゲージ輪31が回転自在に支持される。
【0029】
ギヤボックス47の側面から入力軸が突出される。該入力軸とミッションケース10の側面より突出したPTO軸との間にチェーン伝動機構が配置される。該チェーン伝動機構は、チェーンケース46により覆われる。但し、チェーン伝動機構の代わりにベルト伝動機構等を用いることも可能である。
また、ギヤボックス47より後下方へロータリ駆動パイプ41が突設される。
ロータリ駆動パイプ41内には図示しない伝動軸が支持されている。ロータリ駆動パイプ41の下端部には、耕耘爪軸44が左右方向に軸支されている。
耕耘爪軸44の外周には耕耘爪42・42・・・が所定間隔をあけて、所定角度ずらして植設される。耕耘爪42・42・・・を耕耘爪軸44と一体的に回転させながら、管理機1を走行させることで、圃場を耕耘することが可能となる。
【0030】
図2、図3及び図4に示すように、ロータリカバー45は、ロータリフレーム43の左側に上下回動可能に取り付けられる左ロータリカバー45Lと、ロータリフレーム43の右側に上下回動可能に取り付けられる右ロータリカバー45Rと、から構成されている。
【0031】
左ロータリカバー45L及び右ロータリカバー45Rは、ロータリフレーム43を挟んで左右対称に設けられる。左ロータリカバー45L及び右ロータリカバー45Rは、耕耘爪42・42・・・の軌跡の略上半部を、上方から被覆する。
【0032】
左ロータリカバー45Lは、左上面カバー50Lと、左サイドカバー53Lと、から構成される。さらに、左上面カバー50Lは、左内カバー51Lと、左中カバー52Lと、から構成される。
左内カバー51Lと、左中カバー52Lと、左サイドカバー53Lの各々は、平板状に形成され、長手方向を機体前後方向として配置される。また、左内カバー51Lと、左中カバー52Lと、左サイドカバー53Lは、ロータリフレーム43のある内側から機体幅(左右)方向外側へ向かって順に配置されている。このように、左ロータリカバー45Lは、複数のカバー部材が連結されて形成される。
【0033】
同様に、右ロータリカバー45Rは、右上面カバー50Rと、右サイドカバー53Rと、から構成される。さらに、右上面カバー50Rは、右内カバー51Rと、右中カバー52Rと、から構成される。
右内カバー51Rと、右中カバー52Rと、右サイドカバー53Rの各々は、平板状に形成され、長手方向を機体前後方向として配置されている。また、右内カバー51Rと、右中カバー52Rと、右サイドカバー53Rは、ロータリフレーム43のある内側から機体幅(左右)方向外側へ向かって順に配置されている。このように、右ロータリカバー45Rは、複数のカバー部材が連結されて形成される。
【0034】
左右内カバー51L・51Rは、連結具54・54を介してロータリフレーム43に対して、その左右一端部(機体左右中心側)で機体前後方向の軸心回りに上下回動自在に連結される。また、左右内カバー51L・51Rの左右中途部上面には、角度調節部55の一端が連結されている。
【0035】
角度調節部55は、左ロータリカバー45L及び右ロータリカバー45Rのロータリフレーム43に対する上下方向の角度(開き角度)を調整するものである。図2及び図3に示すように、角度調節部55は、左右枢支部56L・56Rと、左右支軸57L・57Rと、左右スイングアーム58L・58Rと、支持ポスト59と、調節つまみ60等、から構成されている。
【0036】
左枢支部56L・56Lは、左ロータリカバー45Lの左内カバー51Lの左右及び前後中途部上面に突設される。
右枢支部56R・56Rは、右ロータリカバー45Rの右内カバー51Rの左右及び前後中途部上面に突設される。
【0037】
左支軸57Lは、前後一対の左枢支部56L・56L間に前後方向に横架される。
右支軸57Rは、前後一対の右枢支部56R・56R間に前後方向に横架される。
【0038】
左右スイングアーム58L・58Rは左右対称に構成されるため、左スイングアーム58Lについて説明する。左スイングアーム58Lは、後面視略円弧状に構成され、機体左右中央側に外形に沿って長孔58aが開口される。長孔58aの上側内周には複数の凹部が形成される。該凹部には調節つまみ60のネジ部が係止される。左スイングアーム58Lの下部には軸孔が設けられる。そして、左スイングアーム58Lは、左支軸57Lに回転自在に枢支される。
【0039】
支持ポスト59は、ロータリフレーム43の前後中途部の上面に立設される。支持ポスト59の上端部には、調節つまみ60のネジ部が螺挿される。
【0040】
このような構成において、支持ポスト59の上部で、左スイングアーム58Lの長孔58aと、右スイングアーム58Rの長孔58aとが重合するように、左右スイングアーム58L・58Rを交差させ、長孔58a・58aの重合部分に調節つまみ60のネジ部を挿通し、支持ポスト59の上端部に形成されたネジ孔に調節つまみ60のネジ部を螺挿する。
そして、左右の左右内カバー51L・51Rの開き角度を調節する場合には、作業者が調節つまみ60を緩めて、左右内カバー51L・51Rを上又は下方へ連結具54を中心に回動させ、左右スイングアーム58L・58Rが調節つまみ60のネジ部に沿って摺動することになり、左右内カバー51L・51Rの上下方向の角度(開き角度)が所望の位置でネジ部に長孔の凹部を係止し、再度調節つまみ60を締め付けることによって、左右の左右内カバー51L・51Rを所定の角度位置に固定すること可能となる。
【0041】
また、左右内カバー51L・51Rと左右中カバー52L・52Rとの間、及び左右中カバー52L・52Rと左右サイドカバー53L・53Rとの間には、連結機構71・72が介設されている。連結機構71・72は、左右中カバー52L・52Rと左右サイドカバー53L・53Rとを任意の角度まで回動させ、耕耘爪42に対して開閉させたとき、そのまま任意の角度(開き角度)に保持できるように構成されている。なお、本実施形態では、ロータリカバー45は左右略対称であるので、以下の説明では左側の連結機構71・72により説明する。
【0042】
連結機構71は、軸体73と挟持体74とから構成されている。
軸体73は、その長手方向を前後方向として、左中カバー52Lの内側端の前後中途部に設けられている。
挟持体74は、左内カバー51Lの外側端の前後中途部に設けられている。挟持体74は、外端部に軸体73の外周を挟むための湾曲部を互いに対向するように形成した一対の板体を有し、左内カバー51Lの裏面に配置されている。挟持体74は、一対の板体の湾曲部により軸体73を挟んだ状態で、一対の板体をボルト等により左内カバー51Lに締付固定されている。
【0043】
軸体73の外周面と挟持体74の湾曲部の内周面との接触部は、左内カバー51Lと左中カバー52Lとが手動では回動可能であるが、各カバーの自重、及び耕耘作業中の振動や跳ね上がる耕土の衝撃などでは回動不能な大きさの摩擦力が発生するように構成されている。
【0044】
連結機構72は、回動軸75と挟持体76とから構成されている。
回動軸75は、その長手方向を前後方向として、左サイドカバー53Lの内側端の前後中途部に設けられている。
挟持体76は、左中カバー52Lの外側端の前後中途部に設けられている。挟持体76は、挟持体74と略同様に構成され、外端部に回動軸75の外周を挟むための湾曲部を有し、左中カバー52Lの表面に配置されている。挟持体76は、湾曲部により回動軸75を挟んだ状態で、ボルト等により左中カバー52Lに締付固定されている。
【0045】
連結機構71と同様に、回動軸75の外周面と挟持体76の湾曲部の内周面との接触部は、左中カバー52Lと左サイドカバー53Lとが手動では回動可能であるが、各カバーの自重、及び耕耘作業中の振動や跳ね上がる耕土の衝撃などでは回動不能な大きさの摩擦力が発生するように構成されている。
【0046】
また、図2、図3及び図4に示すように、左右中カバー52L・52Rの後端部には、下方に折り曲げ形成された折曲部52a・52aが形成されている。折曲部52a・52aには、後述する左右シート80L・80Rの一端部を係止するための係止部材65を有する。
【0047】
図5に示すように、係止部材65は、折曲部52a・52aの下面(機体左右外側)から突出したフック状の部材である。なお、係止部材65は、フック状の部材に限定されるものではなく、折曲部52a・52aの下面(機体左右外側)において左右シート80L・80Rの一端部を係止できる形状の部材であればよい。
【0048】
次に、左右シート80L・80Rについて説明する。
【0049】
図2、図3及び図4に示すように、左右の各シート80L・80Rは、耕耘爪42が掻き揚げる耕土の機体後方への飛散を防止するシートである。
左シート80Lは、ロータリカバー45の後方左側に配置されて、ロータリカバー45(左上面カバー50L)の後端部に下方へ垂れ下がるように取り付けられる。
右シート80Rは、ロータリカバー45の後方右側に配置されて、ロータリカバー45(右上面カバー50R)の後端部に下方へ垂れ下がるように取り付けられる。
【0050】
左右の各シート80L・80Rは、弾性及び可撓性を有する1枚の板状の部材、例えばゴム板から形成されている。以下では、左右シート80L・80Rは左右対称に形成されるため、主に左シート80Lについて説明する。なお、左シート80Lの形状は、図2に示すように左シート80Lが配置された状態として説明する。
【0051】
左シート80Lは、右上斜辺80aと、右下斜辺80bと、下辺80cと、左下斜辺80dと、左上斜辺80eと、上辺80fとを外周部に有して、略六角形状に形成される。
右上斜辺80aは、左上面カバー50Lの左右長さと略同じ長さを有して、左右方向に延長される。
右下斜辺80bは、右上斜辺80aの右下端から左斜め下方に延長される。
下辺80cは、右下斜辺80bの下端から左方に延長される。
左下斜辺80dは、下辺80cの左端から左斜め上方へ延長される。
左上斜辺80eは、左下斜辺80dの左上端から上方へ延長される。
上辺80fは、左上斜辺80eの上端から右斜め上方へ延長され、右上斜辺80aの左上端に接続される。
【0052】
右上斜辺80aと、左下斜辺80dとは、略左斜め方向で略平行に配設される。また、右上斜辺80aと、右下斜辺80bと、左上斜辺80eとは、下辺80cと左下斜辺80dと上辺80fよりも長く形成される。つまり、図3に示すように、左シート80Lは、左右方向を長手方向とし、上下方向を短手方向として、配置される。
【0053】
そして、左シート80Lは、右上斜辺80aを左上面カバー50Lに沿わせた状態で、板面を前後に向けて左上面カバー50Lよりも下方に配置され、この右上斜辺80aの機体左右中央側で左上面カバー50Lの後部に固定されて、ロータリカバー45に取り付けられる。この取付状態において、左シート80Lは、左下斜辺80dが耕耘爪軸44よりも上方に位置するように、左上面カバー50Lの後端部から下方へ垂れ下がる。
【0054】
このようにロータリカバー45に取り付けられた状態において、左シート80Lは、右下斜辺80bと下辺80cと左下斜辺80dとを含む右側部分が左上面カバー50Lよりも機体中央側(右側)に位置するように配置される。そして、図3、図4及び図6に示すように、左シート80Lの右側部分は、ロータリ式耕耘装置4の左右中央部を後方から覆いながら、右シート80Rの左側部分と前後に重複して配置される。
【0055】
また、左シート80Lは、右上斜辺80aと左上斜辺80eと上辺80fとを含む左側部分が左上面カバー50Lの下方に位置し、左サイドカバー53Lよりも右方に位置するように配置される。
【0056】
さらに、図5に示すように、左シート80Lの上部には、係止孔81aが右上斜辺80aに近接した状態で前後方向に開口される。係止孔81aは、前述の左中カバー52Lに設けられた係止部材65が係止可能とされる。
【0057】
また、図2に示すように、左シート80Lの右側部分の右下部には、複数の連結孔83・83・83・83が右下斜辺80bに沿って所定間隔ごとに前後方向に開口される。そして、右シート80Rの左側部分に、シート連結部材82がいずれか一つの連結孔83を介して取り付けられる。シート連結部材82は、左シート80Lの一つの連結孔83と連結可能とされる。
なお、シート連結部材82は、左右シート80L・80Rのいずれか一方に取り付ければよく、本実施形態においては左シート80Lには取り付けていない。また、本発明に係るシート連結部材82は、本実施形態においては右シート80Rのみに取り付けるものとしているが、左右のシート80L・80Rを連結されることができるものであればよく、左右の両シート80L・80Rに取り付けるものとしてもよい。
【0058】
図2に示すように、シート連結部材82は、略J字状のフック部82aと、フック部82aの基端部に設けられる取付部82bとを有する。取付部82bは、右シート80Rのいずれか一つの連結孔83を介して選択的に着脱可能に嵌合される。フック部82aは、左シート80Lのいずれか一つの連結孔83と係合可能とされる。図4及び図6に示すように、シート連結部材82のフック部82aを左シート80Lのいずれか一つの連結孔83と係合させることによって、左シート80Lと右シート80Rとを連結させる。また、シート連結部材82の取付部82bを別の連結孔83を介して右シート80Rに取り付けることによって、シート連結部材82の右シート80Rにおける位置を変更することができるようになっている。
なお、シート連結部材82のフック部82aは、J字状に限定されるものではなく、連結孔83に係合できる形状の部材であればよい。また、シート連結部材82の取付部82bは、ボルト・ナット等で構成することも可能であり、左右のシート80L・80Rに着脱可能でこれらを連結させることができる構造であればよい。
【0059】
また、左シート80Lの後面には、補強部材84が固定される。補強部材84は、折り曲げ可能な鋼板等で構成した縦プレート84aと、横プレート84bとから構成される。
【0060】
縦プレート84aは、右上斜辺80aに沿って左右方向に延設される。縦プレート84aは、左シート80Lと一体的に左内カバー51Lに固定される。
【0061】
横プレート84bは、縦プレート84aの上端から左斜め下方に延設して、左シート80Lの左右中途部に接した状態に配置される。横プレート84bの右端は、縦プレート84aと一体的に左内カバー51Lに固定される。横プレート84bの左端は、左シート80Lにボルト等により固定される。
【0062】
このように構成することにより、補強部材84が左シート80Lの左右中途部に後側から接するように配置されて、左シート80Lの左右中途部が常に左内カバー51Lから下方へ垂れ下がるように保持されることになる。つまり、左シート80Lをその右側部分で右シート80Rにシート連結部材82により連結した場合や、左シート80Lをその左側部分で左右中カバー52Lに係止孔81aにより引っ掛けた場合等には、左シート80Lは、ロータリカバー45が上方向に開くことで、全体として持ち上げられるが、その左右中途部は横プレート84bにより下方へ抑えられたままとなる。従って、このような場合でも、左シート80Lがロータリ式耕耘装置4を後方から覆った状態となるため、土が後方へ飛散することを防止できる。
【0063】
次に、左右のシート80L・80Rの使用態様について説明する。
【0064】
管理機1が通常の耕耘作業を行う場合、図3に示すように、左ロータリカバー45L及び右ロータリカバー45Rは、その上下方向の角度(開き角度)が角度調節部55により小さく調整されて、ロータリフレーム43に対して下方へ回動された状態に保持される。この際には、左シート80Lは左ロータリカバー45Lから下方へ垂れ下がり、右シート80Rは右ロータリカバー45Rから下方へ垂れ下がる。
【0065】
そして、左右のシート80L・シート80Rは、ゲージ輪31を支持する支持軸49の後方付近において、互いの右側部分で左シート80Lの連結孔83と右シート80Rのシート連結部材82とを係合させることにより連結される。また、左右のシート80L・シート80Rは、各左側部分で係止孔81a(図5)を係止部材65に係止させることにより左右の中カバー52L・52Rに引っ掛けられる。
【0066】
これにより、左右のシート80L・シート80Rが左ロータリカバー45L及び右ロータリカバー45Rの下面(内側)、即ち機体左右外側から左ロータリカバー45L及び右ロータリカバー45Rに取付けられることになる。また、左右のシート80L・シート80Rは、互いの下部が重複し、その重複部分の上方に生じる前後方向の隙間86には支持軸49(取付固定ボス48)が位置するように配置されることになる。さらに、左右のシート80L・シート80Rは、その上部がそれぞれ左中カバー52L・52Rと左サイドカバー53L・53Rとの間に生じる前後方向の隙間85に位置するように配置される。
【0067】
そのため、左右のシート80L・シート80Rは、ロータリ式耕耘装置4の左右中央部を後方から覆うことになる。同時に、左シート80Lは左中カバー52Lと左サイドカバー53Lとの間に生じる前後方向の隙間85を塞ぎ、右シート80Rは右中カバー52Rと右サイドカバー53Rとの間に生じる前後方向の隙間85を塞ぐことになる。従って、耕土がロータリ式耕耘装置4から管理機1の後方へ飛散することを防止することができる。
【0068】
一方、図1、図2、及び図6に示すように、揚土作業状態においては、左上面カバー50L及び右上面カバー50Rは上方に回動した状態で固定されることで、左シート80L及び右シート80Rも上方に回動される。これにより、左シート80Lと右シート80Rとの間に隙間が生じる。そのため、当該隙間から後方へ耕土が飛散してしまう。
【0069】
そこで、左上面カバー50L及びの右上面カバーRの回動角度に応じて、つまり、左シート80Lと右シート80Rの上下方向の開き幅に応じて、シート連結部材82の右シート80Rにおける取付位置、及び、シート連結部材82と連結孔83との係合位置を調節して、左シート80Lと右シート80Rとの間に隙間ができないように、左シート80Lと右シート80Rとを連結する。
【0070】
具体的には、例えば、左上面カバー50L及び右上面カバー50Rを上方へ回動する場合には、左シート80Lと右シート80Rの上下方向の開き幅が広くなる。そのため、この場合には、シート連結部材82を、下辺80c寄りの連結孔83を介して右シート80Rに取り付けて、左シート80Lの下辺80c寄りの連結孔83に係合する。一方、左上面カバー50L及び右上面カバー50Rを下方へ回動する場合には、左シート80Lと右シート80Rの上下方向の開き幅が狭くなる。そのため、この場合には、シート連結部材82を、右上斜辺80a寄りの連結孔83を介して右シート80Rに取り付けて、左シート80Lの右上斜辺80a寄りの連結孔83に係合する。こうして、左シート80Lと右シート80Rとの間に隙間ができないように、左シート80Lと右シート80Rとを連結する。
【0071】
また、図2、図5及び図6に示すように、左右中カバー52L・52Rと、左右サイドカバー53L・53Rとを、左右内カバー51L・51Rの略延長上となるように開いた状態においては、左右中カバー52L・52Rの後部と左右サイドカバー53L・53Rの後部との間には、隙間85が生じる。
【0072】
そこで、図5(b)に示すように、左右中カバー52L・52Rの折曲部52aに設けられる係止部材65を左右シート80L・80Rの係止孔81aに係止して、左右シート80L・80Rの上端部を左右中カバー52L・52R及び左右サイドカバー53L・53Rの下面(機体左右外側)に引っ掛けて取り付けることによって、隙間85を左右シート80L・80Rにより塞ぐ。
【0073】
以上のように、管理機1は、エンジン7からの動力を変速するミッション部(ミッションケース10)と、ミッション部(ミッションケース10)より後方へ延設されたロータリフレーム43と、ロータリフレーム43の下方に配置され、ミッション部(ミッションケース10)と連動連結されて回転駆動される、耕耘爪42を備えた耕耘爪軸44と、ロータリフレーム43の左右に上下回動可能に取り付けられて、耕耘爪42の回動軌跡の上方を覆うロータリカバー45と、を備える管理機1において、左右のロータリカバー45L・45Rの後部に、耕土の機体後方への飛散を防止する左右のシート80L・80Rを取り付け、左右のシート80L・80Rの機体左右中央側に、複数の連結孔83を開口し、右シート80Rの連結孔83に、シート連結部材82を着脱可能に取り付け、左シート80Lのいずれかの連結孔83に、シート連結部材82を係合可能に構成したものである。
【0074】
このように管理機1を構成することにより、耕耘爪42が掻き揚げる耕土の後方への飛散を防止するためのシートを左右各1枚の合計2枚のシートで構成することが可能となる。従って、耕土の機体後方への漏れをなくしながら、シートの部品点数を減らすことができる。
【0075】
また、管理機1は、左右シート80L・80Rの機体左右外側に、係止孔81aを開口し、左右の各ロータリカバー45の機体左右外側に、係止部材65を設け、左右のロータリカバー45の係止部材65に、左右シート80L・80Rの係止孔81aを係止可能に構成したものである。
【0076】
このように管理機1を構成することにより、左右シート80L・80Rが左右の各ロータリカバー45の機体左右外側から各ロータリカバー45に取付けられることになるため、左右シート80L・80Rと、左右の各ロータリカバー45との間の隙間から耕土が漏れることがない。
また、左右の各ロータリカバー45が複数のカバー部材で形成されている場合、各ロータリカバー45を開閉することにより、各ロータリカバー45の隣り合うカバー部材間で隙間85が生じるときに、この隙間85を左右シート80L・80Rで塞ぐことが可能となる。従って、各ロータリカバー45に生じる隙間85から耕土が漏れることがない。
【符号の説明】
【0077】
1 管理機
3 駆動部
7 エンジン
10 ミッションケース(ミッション部)
42 耕耘爪
43 ロータリフレーム
44 耕耘爪軸
45 ロータリカバー
50L 左上面カバー
50R 右上面カバー
52b 係止部
53L 左サイドカバー
53R 右サイドカバー
80L 左シート
80R 右シート
81a 係止孔
82 シート連結部材
83 連結孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンからの動力を変速するミッション部と、
該ミッション部より後方へ延設されたロータリフレームと、
該ロータリフレームの下方に配置され、前記ミッション部と連動連結されて回転駆動される、耕耘爪を備えた耕耘爪軸と、
前記ロータリフレームの左右に上下回動可能に取り付けられて、前記耕耘爪の回動軌跡の上方を覆うロータリカバーと、を備える管理機において、
前記左右の各ロータリカバーの後部に、耕土の機体後方への飛散を防止するシートを取り付け、
前記左右の各シートの機体左右中央側に、複数の連結孔を開口し、
前記左右一方のシートの少なくとも一つの連結孔に、シート連結部材を着脱可能に取り付け、
前記左右他方のシートのいずれかの連結孔に、前記シート連結部材を係合可能に構成したことを特徴とする管理機。
【請求項2】
前記左右の各シートの機体左右外側に、係止孔を開口し、
前記左右の各ロータリカバーの機体左右外側に、係止部を設け、
前記左右のロータリカバーの係止部に、それぞれ前記左右のシートの係止孔を係止可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−188836(P2011−188836A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59828(P2010−59828)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】