管継手
【課題】流体の漏れの原因となる管のよじれや弾性シール部材の損傷を招くことなく管及び被接続箇所に対する接続作業性を高めることができる管継手を提供する。
【解決手段】管継手10は、内筒体14と、内筒体14の径方向外側に配置され、内筒体14との間に管Pを挿入可能なスペースSを形成する外筒体15と、内筒体14の基端側に相対回転可能に設けられ、被接続箇所U1に螺合されるネジ部28を有しているネジ筒16と、スペースSに挿入された管Pの基端側への移動を許容しつつ先端側への移動を規制することによって管Pを保持する保持機構47と、内筒体14に設けられ、スペースSに挿入された管Pの周面に密着する弾性シール部材36とを備える。内筒体14は、ネジ筒16に対して基端側から先端側に向けて挿入され、ネジ筒16には、内筒体14の先端側への移動を規制しかつ管Pの軸方向への通過を許容する位置規制部29が設けられる。
【解決手段】管継手10は、内筒体14と、内筒体14の径方向外側に配置され、内筒体14との間に管Pを挿入可能なスペースSを形成する外筒体15と、内筒体14の基端側に相対回転可能に設けられ、被接続箇所U1に螺合されるネジ部28を有しているネジ筒16と、スペースSに挿入された管Pの基端側への移動を許容しつつ先端側への移動を規制することによって管Pを保持する保持機構47と、内筒体14に設けられ、スペースSに挿入された管Pの周面に密着する弾性シール部材36とを備える。内筒体14は、ネジ筒16に対して基端側から先端側に向けて挿入され、ネジ筒16には、内筒体14の先端側への移動を規制しかつ管Pの軸方向への通過を許容する位置規制部29が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に配慮したクリーンな給湯システムとしてヒートポンプ式給湯装置が普及してきている。ヒートポンプ式給湯装置は、冷凍サイクルにより温水を生成する冷媒回路を内蔵したヒートポンプユニットと、ヒートポンプユニットで生成された温水を貯水する貯水ユニットとを備えている。また、ヒートポンプ式給湯装置においては、現地据付工事に際して、ヒートポンプユニットと貯水ユニットとの間で温水を循環させるための連絡配管や、貯水ユニットから浴槽等の温水利用機器に温水を供給するための連絡配管が引き回され、各ユニットや温水利用機器に接続される。
【0003】
一般に、各ユニットや温水利用機器に連絡配管を接続するためには、管継手が用いられている。従来の管継手には、例えば図21に示されるように、内筒体114と、この内筒体114の径方向外側に配置され、当該内筒体114との間に連絡配管を挿入するためのスペースを形成する外筒体115と、内筒体114の基端部側に設けられた雄ネジを有するネジ筒116と、内筒体114の外周面に装着された弾性シール部材136と、外筒体115の内周面に装着された保持環142と、を備えたものがある。内筒体114とネジ筒116とは一体形成され、外筒体115は内筒体114の基端側にネジ結合されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来、図22に示される管継手210も知られている。この管継手210は、内筒体214と、この内筒体214の径方向外側に一体的にねじ結合された外筒体215と、内筒体214の基端側(図の右側)に相対回転可能に連結されたナット216とを備えている。内筒体214の外周面には弾性シール部材236が装着され、外筒体215の内周面には保持環242が装着されている。内筒体214の基端部は、ナット216の先端側(図の左側)に挿入されるとともに、ナット216の内周面に形成した溝219にCリング等の抜け止め部材220を圧入することによってナット216に対して抜け止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−138378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図21に示されている管継手110を連絡配管と給湯ユニット等の被接続箇所とに接続するには、通常、管継手110のネジ筒116を被接続箇所に螺合して取り付け、その後、内筒体114と外筒体115との間に形成されたスペースSに連絡配管を挿入する。しかし、据付環境によっては先に連絡配管に管継手110を装着してから、当該管継手を被接続箇所に接続することが望ましい場合もある。
このような場合、特許文献1の管継手は、内筒体114、外筒体115、及びネジ筒116が一体化されているので、管継手110を連絡配管に接続した状態で当該管継手110のネジ筒を被接続箇所に螺合しようとすると、内筒体114及び外筒体115とともに連絡配管が回ってよじれてしまったり、連絡配管の内周面に弾性シール部材136が擦れたりしてシール性能が低下し、流体の漏れが発生する可能性が高くなる。
【0007】
一方、図22に示されている管継手210は、内筒体214に対してナット216が相対回転可能に結合されているので、管継手210を先に連絡配管に接続しても、ナット216を単独で回転させて被接続箇所に螺合することができる。しかし、この管継手210は、ナット216に対して抜け止め用のCリング220を組み込む必要があるため、部品点数が多くなるとともに組立て作業が煩雑となり、製造コストの増大を招くものであった。
【0008】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、流体の漏れの原因となる管のよじれや弾性シール部材の損傷を招くことなく管及び被接続箇所に対する接続作業性を高めることができる管継手を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る管継手は、
軸方向の先端側が管に接続され、かつ軸方向の基端側が被接続箇所に接続される管継手であって、
内筒体と、
この内筒体の径方向外側に配置され、当該内筒体との間に管を挿入可能なスペースを形成する外筒体と、
前記内筒体の基端側に当該内筒体に対して相対回転可能に設けられ、被接続箇所に螺合されるネジ部を有しているネジ筒と、
前記スペースに挿入された管の前記基端側への移動を許容しつつ前記先端側への移動を規制することによって当該管を保持する保持機構と、
前記内筒体に設けられ、前記スペースに挿入された管の周面に密着する弾性シール部材と、を備えており、
前記内筒体は、前記ネジ筒の筒内に対して前記基端側から前記先端側に向けて挿入され、
前記ネジ筒には、前記内筒体の前記先端側への移動を規制するとともに、前記管の軸方向への通過を許容する位置規制部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、内筒体がネジ筒に対して相対回転自在に設けられるので、管に管継手を接続した状態でネジ筒を被接続箇所に螺合しても、内筒体及び管は停止した状態を保つことができる。このため、管がよじれたり、内筒体に設けられた弾性シール部材が管の周面で擦れて損傷を受けたりすることはほとんどなく、シール性能が低下してしまうこともない。
また、内筒体は、ネジ筒の筒内に対して基端側から先端側へ挿入され、ネジ筒には、当該ネジ筒に対する内筒体の先端側への移動を規制する位置規制部が設けられているので、ネジ筒と内筒体とを容易に抜け止めした状態で連結することができ、抜け止め用のバネリング等が不要となるので、製造コストの低減を図ることができる。
また、位置規制部は、管の軸方向への通過を許容するように構成されているので、外筒体と内筒体との間のスペースに管を挿入したあと、管を取り外す必要が生じた場合には、管と内筒体の双方をネジ筒に対して基端側へ抜き取ることができる。すなわち、内筒体と外筒体との間のスペースに挿入された管は、保持機構によって先端側への移動が規制されるので、もはや先端側へ抜き取ることができなくなるが、本発明では、ネジ筒に対して内筒体を基端側へ抜き取れば、管も基端側へ抜き取ることが可能となり、一旦接続した管を簡単に管継手から取り外し、当該管継手を再利用することができる。
【0011】
上記構成において、前記内筒体には、前記管の外周面よりも径方向外方へ突出する被規制部が形成され、
前記位置規制部は、前記管の外周面よりも径方向外側において前記被規制部の前記先端側への移動を規制する規制面を有していることが好ましい。
この構成によれば、位置規制部の規制面によって、ネジ筒に対する内筒体の先端側への移動を規制することができ、さらに規制面よりも径方向内側において管を軸方向に通過させることができる。
【0012】
前記保持機構は、前記外筒体の内周面に設けられ、かつ前記管の外周面に係止する保持環を備えていてもよい。
このように外筒体の内周面に保持環が設けられている場合、内筒体と管とをネジ筒に対して基端側へ抜き取ることができ、その後、内筒体から管を容易に抜き取ることができる。
【0013】
前記保持機構は、前記内筒体の外周面に設けられ、かつ前記管の内周面に係止する保持環を備えていてもよい。
このように内筒体の外周面に保持環が設けられている場合であっても、内筒体と管とをネジ筒に対して基端側へ抜き取ることができる。管には内筒体に設けられた保持環が係止されるので、そのままでは内筒体から管を先端側に抜き取ることができないが、管をネジ筒から抜き取った段階で管の外周面は開放された状態となるので、管を切断等することによって容易に内筒体から取り外すことが可能となる。
【0014】
前記外筒体と前記ネジ筒とは、一体回転可能に構成されていてもよいし、相対回転可能に設けられていてもよい。
後者の場合、外筒体は、前記ネジ筒に対して相対回転可能に設けられるとともに、前記ネジ筒に対して前記基端側から前記先端側に向けて挿入され、かつ前記位置規制部によって前記内筒体とともに前記先端側への移動が制限されていることが好ましい。
この構成によれば、ネジ筒を内筒体及び外筒体とは関係なく単独で回すことができ、内筒体と外筒体との間のスペースに挿入した管と内筒体及び外筒体との間に擦れ等が生じることがない。また、内筒体と外筒体との間のスペースに挿入した管を抜き取る場合には、内筒体及び管とともに外筒体もネジ筒から取り外し、その後、管の外周から外筒体を抜き取ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、流体の漏れの原因となる管のよじれや弾性シール部材の損傷を招くことなく管及び被接続箇所に対する接続作業性を高めることができる。また、内筒体と外筒体との間のスペースに挿入した管を容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る管継手を示す斜視図である。
【図2】図1に示される管継手の断面図である。
【図3】図2の一部を拡大して示す断面図である。
【図4】管継手における弾性シール部材及び保持環の装着部分を拡大して示す断面図である。
【図5】(a)は保持環の断面図、(b)は保持環の正面図である。
【図6】管継手のネジ筒から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る管継手を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る管継手を示す斜視図である。
【図9】管継手のネジ筒及び外筒体から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る管継手を示す断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る管継手を示す断面図である。
【図12】第1参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図13】同管継手のネジ筒及び外筒体から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
【図14】第2参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図15】同管継手のネジ筒及び内筒体から外筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
【図16】第3参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図17】同管継手のネジ筒から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
【図18】第4参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図19】第5参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図20】第6参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図21】従来技術に係る管継手を示す断面図である。
【図22】他の従来技術に係る管継手を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る管継手10を示す斜視図である。
本実施の形態の管継手10は、液体や気体等の流体が流れる管Pと、この流体を利用する各種の機器Uとを接続するために用いられるものであり、その軸方向の先端部が管Pの端部に接続され、軸方向の基端部が機器Uに接続される。したがって、管継手10の軸方向先端側には、管Pを挿入するための挿入口11が形成され、軸方向基端側には、機器U側の配管(被接続箇所)U1の端部に設けられた雄ネジに螺合する、ネジ筒としてのナット16が設けられている。
【0018】
なお、本実施の形態の管継手10は、主として常温(例えば、5℃〜35℃)において相変化をしない水、海水、薬品、ブライン等の液体を扱う管Pと機器Uとの接続のために好適に使用される。特に、給湯装置、空気調和装置、及び床暖房装置等における熱源ユニットと配管との接続等に好適に使用される。また、管Pは、耐食性や耐熱性が良好な架橋ポリエチレン管やボリブデン管等の硬質樹脂管や、アルミニウム等の金属管の内面及び外面を樹脂材で被覆した三層管等の金属強化樹脂管が使用される。硬質樹脂管や三層管は、耐熱性が高いため、例えば、CO2冷媒を使用した熱源ユニットのように90℃以上の非常に高温の温水を生成するシステムで好適に使用される。
【0019】
図2は、図1に示される管継手10の断面図である。なお、この図に示される管継手10は、管Pが接続される先端部が図における左側に示され、機器Uの被接続箇所U1に接続される基端部が図における右側に示されている。
管継手10は、主として内筒体14と、外筒体15と、ナット16とから構成されている。内筒体14、外筒体15、及びナット16は、脱鉛青銅、砲金等の金属材料や硬質の樹脂材料からなる。内筒体14は、円筒形状に形成され、その先端部の外周面には環状の切欠溝17が形成され、この切欠溝17よりも基端側(図2の右側)には、弾性シール部材36を装着するための環状の装着溝(シール装着部)18が軸方向に間隔をあけて二箇所に形成されている。内筒体14の基端部の内周面は、基端側へ向かうに従って内径が拡大するテーパー面19に形成されている。
【0020】
図3は、図2の一部を拡大して示す断面図である。
内筒体14の基端には、径方向外方に突出する環状の第1突条部(被規制部)21が形成されている。また、第1突条部21の先端側(図3の左側)に隣接した位置には、当該第1突条部21よりも小さい突出量で径方向外方へ突出する環状の第2突条部22が形成されている。
【0021】
外筒体15は、図2に示されるように、円筒形状に形成され、内筒体14の径方向外側に、当該内筒体14と同心状に配置されている。そして、この外筒体15の内周面と内筒体14の外周面との間には、管Pを挿入することができるスペース(以下、「挿入スペース」ともいう)Sが形成されている。外筒体15の先端部の外周面は、基端側に向かうに従って外径が大きくなるテーパー面24に形成されている。外筒体15の先端部の内周面には、後述する保持環42を収容するための環状の保持凹部25が形成されている。この保持凹部25は、内筒体14に形成された切欠溝17と装着溝18の径方向外側に重複した位置に配置されている。
【0022】
ナット(ネジ筒)16は、外筒体15の基端部に一体に形成されている。つまり、ナット16と外筒体15とは、一つの素材を機械加工することによって単一の部品で構成されている。このナット16の外周面27は、スパナ等の工具を嵌合させることが可能な六角形状に形成され、内周面には雌ネジ28が形成されている。なお、ネジ筒16は、機器U側の被接続箇所U1の形状に応じて、外周面に雄ネジを有する形態とすることも可能である。
【0023】
図2及び図3に示されるように、ナット16の先端側には、径方向内方に突出する環状の第3突条部(位置規制部)29が形成されている。
内筒体14は、ナット16の基端側(図2の右側)からナット16の内部に挿入され、さらにナット16よりも先端側(図2の左側)へ突出して外筒体15の内部に配置される。この際、図3に示されるように、内筒体14の第1突条部21がナット16の第3突条部29の軸方向後端面(規制面)29aに当接することによって、ナット16に対する内筒体14の先端側への移動が制限されている。すなわち、第3突条部29は、ナット16に対する内筒体14の先端側への移動を規制する位置規制部を構成し、第1突条部29は、位置規制部29によって移動が規制される被規制部を構成している。
【0024】
内筒体14に形成された第2突条部22は、挿入スペースSに対する管Pの挿入限界を設定するストッパとしての機能を有している。
また、ナット16の内部には、環状のパッキン33が設けられており、このパッキン33は、内筒体14の基端面と、機器U側の被接続箇所U1の先端面との間に挟まれ、両者の間からの流体の漏れを防止している。また、管継手10の不使用時や、管継手10に管Pのみを接続した状態では、ナット16に対する内筒体14の基端側への移動が制限されないため、ナット16には、内筒体14の基端側への移動を制限するキャップ(図示略)が適宜螺合される。
【0025】
図2に示されるように、内筒体14に形成された2箇所の装着溝18には、環状の弾性シール部材36が装着されている。この弾性シール部材36は、弾性変形可能な素材、例えばニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、フッ素系ゴム等によって形成されている。弾性シール部材36の軸方向幅は、装着溝18の軸方向幅と同じかやや小さく形成されている。弾性シール部材36の軸方向両端部の内周側は円弧状に面取りされている。
【0026】
図4は、管継手における弾性シール部材及び保持環の装着部分を拡大して示す断面図である。弾性シール部材36の外周面には、径方向外方へ円弧状に膨出する2つの環状のシール部38a,38bが軸方向に並べて形成されている。これらシール部38a,38bは、装着溝18に挿入された状態で内筒体14の内周面よりも径方向外方へ突出している。そして、これらシール部38a,38bは、挿入スペースS内に挿入された管Pの内周面に密着することによって、内筒体14と管Pとの間の流体の漏れを防止する機能を有している。
【0027】
弾性シール部材36の基端側(図4の右側)には、中心軸線Oに略平行な平坦面40が形成されている。この平坦面40は、装着溝18に対する弾性シール部材36の装着方向を示す目印となる。具体的に、本実施の形態では、平坦面40が基端側に位置するように弾性シール部材36が装着溝18に装着されている。
【0028】
本実施の形態の弾性シール部材36は、軸方向に2つのシール部38a,38bを一体に備えた構成となっているが、2つのシール部38a,38bが別体に形成され、互いに独立した構成とされていてもよい。例えば、弾性シール部材36は、1つのシール部を構成するOリング等を軸方向に2つ並設することによって構成されていてもよい。さらにシール部は1つのみであってもよい。また、図2に示されるように、内筒体14の軸方向の2箇所に設けられた弾性シール部材36は互いに同一の形状とされているが、異なる形状とされていてもよい。例えば、基端側の弾性シール部材は、単なるOリングを用いてもよい。また、弾性シール部材は、一箇所のみに設けられていてもよい。
【0029】
図5(a)は保持環42の断面図、図5(b)は保持環42の正面図である。
図4及び図5に示されるように、外筒体15の内周面に形成された保持凹部25内には保持環42が収容されている。この保持環42は、周方向の一部分43が欠落したC字形状に形成されており、この欠落した部分43の間隔を狭めるように弾性変形させることによって径方向寸法を縮小できるようになっている。また、保持環42は、径方向寸法を縮小させた状態で外筒体15の先端開口から挿入されることによって保持凹部25に装着することが可能となっている。
【0030】
図4に示されるように、保持環42の内周面における軸方向先端部(左端部)には、径方向内方に突出する第1爪部(第1保持部)46が形成され、軸方向基端部(右端部)には、径方向内方に突出する第2爪部(第2保持部)45が形成されている。この第1爪部46と第2爪部45とは、保持環42の径方向寸法を縮小させることによって管Pの外周面に強く押し付けられて食い込み、管Pを強固に保持する機能を有している。
【0031】
保持環42の外周面における軸方向先端部には、基端側(図4の右側)に向かうにしたがって外径が大きくなるように傾斜する第1傾斜面49が形成されている。また、この第1傾斜面49よりも基端側には、基端側に向かうにしたがって外径が大きくなるように傾斜する第2傾斜面48が形成されている。したがって、第1,第2傾斜面49,48は、挿入スペースS内に挿入された管Pの外周面に対して、先端側ほど径方向の間隔が狭くなるように形成されている。また、第1傾斜面49と第2傾斜面48との間には第1段差面50が形成されており、この第1段差面50は、中心軸線Oに略平行に形成されている。
【0032】
第1傾斜面49と第2傾斜面48とは、互いに略同一の傾斜角度に形成されている。また、第1傾斜面49と第2傾斜面48とは、第1段差面50を間に挟んで軸方向に離れて配置されている。なお、保持環42の外周面における第2傾斜面48よりもさらに基端側は、基端側ほど外径が小さくなるような傾斜面52とされている。この傾斜面52によって、保持環42の基端側の外径が小さくなるので、外筒体15の先端開口から保持環42を挿入しやすくなり、保持凹部25への装着を容易に行うことができるようになる。
【0033】
外筒体15に形成された保持凹部25の底面は、保持環42の第1傾斜面49と略同一の角度で傾斜し、当該第1傾斜面49に当接する第3傾斜面54と、保持環42の第2傾斜面48と略同一の角度で傾斜し、当該第2傾斜面48に当接する第4傾斜面53とを有している。また、第3傾斜面54と第4傾斜面53との間には中心軸線Oに略平行な第2段差面55が形成されている。
【0034】
外筒体15と内筒体14との間の挿入スペースS内に管Pが挿入され、管Pの内部を流れる流体の圧力等によって管Pに挿入スペースSから離脱する方向(矢印X)への力が作用すると、保持環42は、管Pとともに先端側へ移動するとともに、第1〜第4傾斜面49,48,54,53の作用で外筒体15によって径方向内方へ押され、径方向寸法が縮小する。そして、保持環42の径方向寸法が縮小することによって、第1爪部46及び第2爪部45がより強く管Pの外周面に押し付けられ、挿入スペースSからの管Pの離脱が確実に防止される。特に、保持環42は、軸方向両側の第1,第2傾斜面49,48の2箇所において径方向内方に押されるため、保持環42を軸方向の略全体の範囲で管Pの周面に強く押し付けることができる。
【0035】
ここに、第1〜第4傾斜面49,48,54,53は、管Pの離脱方向(先端側)Xへの移動により保持環42の径方向寸法を縮小させる作用部を構成し、この作用部と保持環42とで、挿入スペースSに挿入された管Pを保持する保持機構47が構成されている。また、作用部は、第1傾斜面49と第3傾斜面54との組によって構成された第1作用面と、第2傾斜面48と第4傾斜面53との組によって構成された第2作用面とからなる。
【0036】
なお、作用部を構成する傾斜面は、外筒体15と保持環42との双方に形成されていなくてもよく、いずれか一方に形成されていればよい。例えば、作用部は、保持環42に形成された第1傾斜面(第1作用面)49と第2傾斜面(第2作用面)48のみによって構成されていてもよく、この場合、保持凹部25の底面には、第1傾斜面49及び第2傾斜面48に当接する部分(例えば角部)が存在していればよい。逆に、作用部は、第3傾斜面(第1作用面)54及び第4傾斜面(第2作用面)53のみによって構成されていてもよく、この場合、保持環42の外周面には、第3傾斜面54及び第4傾斜面53にそれぞれ当接する部分(例えば角部)が存在していればよい。
【0037】
管Pは、長期の使用で強度が劣化すると挿入スペースSから離脱しやすくなっていくが、上記のように挿入スペースSから離脱する方向Xへの管Pの移動によって保持環42が管Pを強固に保持するため、管Pの離脱は確実に防止される。
また、弾性シール部材36は、長期の使用で劣化し、弾性力の低下とともに永久歪が生じるようになっている。この永久歪は、管Pの内周面に対する弾性シール部材36の面圧の低下を招き、流体の漏れの原因となる。この問題に対して、本実施の形態では、保持環42の第2爪部45が弾性シール部材36の径方向外側に対向する位置に配置されているので、保持環42の径方向寸法が縮小して第2爪部45が管Pの外周面に強く押し付けられると、管Pの内周面が弾性シール部材36に強く押し付けられ、弾性シール部材36によるシール面圧が高められる。そのため、弾性シール部材36に永久歪が生じたとしても弾性シール部材36の機能を維持することができる。
【0038】
また、保持環42の第1爪部46は、内筒体14の切欠溝17の径方向外側に略対向する位置に配置されている。このため、保持環42の径方向寸法が縮小して第1爪部46が管Pの外周面に強く押し付けられると、管Pの内周面が切欠溝17の端縁(係止部)56に強く押し付けられ、当該端縁56が管Pの内周面に食い込んで係止する。これによって、保持環42による管Pの保持力が増大し、挿入スペースSからの管Pの離脱がより確実に防止されるようになっている。
【0039】
以上に説明した管継手10は、挿入口11から挿入スペースS内に管Pを差し込むとともに、ナット16を機器Uの被接続箇所U1に螺合することによって管Pと機器Uとを接続する。この際、管継手10を先に管Pに接続してもよいし、先に機器Uに接続してもよい。
前者の場合、例えば図2に示されるように、管継手10の挿入スペースSに管Pを差し込んだ状態で、機器Uとの接続にためにナット16を回転させると、ナット16と一体に形成された外筒体15も連れ回りする。一方、内筒体14は、ナット16及び外筒体15に対して位置規制部29によって先端側への移動が制限されるのみであり、ナット16及び外筒体15に対して相対回転可能であるので、ナット16の回転に連れ回りすることなく停止した状態を維持することになる。
【0040】
また、管Pに押し付けられている保持環42は、外筒体15の保持凹部25の底面に当接しているだけであるため、外筒体15がナット16と共に回転しても、保持環42は保持凹部25の底面上を滑って連れ回りせず、管Pも停止した状態を維持することになる。したがって、ナット16とともに回転するのは外筒体15のみとなり、ナット16の回転に伴って管Pがよじれたり、弾性シール部材36が管Pに過度に擦れて損傷を受けたりすることはない。そのため、弾性シール部材36によるシール性能を好適に維持することができる。
【0041】
後者の場合は、管継手10のナット16を機器U側の被接続箇所U1に螺合するときは勿論のこと、その後、管継手10の挿入スペースSに管Pを差し込むときにも、管Pがよじれたり弾性シール部材36が管Pに擦れて損傷を受けたりすることはほとんどない。したがって、なんら問題なく管Pと機器Uとを接続することができる。
【0042】
本実施の形態の管継手10は、ナット16の筒内に対して基端側から先端側へ向けて内筒体14を挿入し、外筒体15の内部に配置することによって組み立てられる。そして、ナット16の第3突条部29と内筒体14の第1突条部21とを軸方向に当接させることによって、ナット16に対する内筒体14の先端側への移動が制限される。したがって、図22に示される従来技術のように抜け止め用のCリング220が不要であり、管継手22の組立てを非常に簡単に行うことができるとともに、部品点数の削減を図ることができる。
【0043】
図3に示されるように、保持環42に形成された第1,第2傾斜面49,48、及び保持凹部25に形成された第3,第4傾斜面54,53は、いずれも間に第1,第2段差面50,55が介在している。これにより、次のような利点がある。
例えば、第1段差面50を省略し、第1傾斜面49をそのまま基端側に延長して第2傾斜面48に連続させると、当該第1,第2傾斜面49,48は径方向外側に大きく拡がり、保持環42が径方向に分厚く形成されることになる。そして、保持環42が径方向に分厚く形成されると、重量が増大するとともに剛性も高くなり、保持凹部25への装着が困難になるという欠点がある。同様に、保持凹部25の第2段差面55を省略し、第3傾斜面54をそのまま基端側に延長して第4傾斜面53に連続させると、保持凹部25は、径方向外方へ深く形成されることになる。その分、外筒体15の径方向寸法を大きくしなければならず、管継手10が大型化する。また、保持凹部25が深くなると、当然に保持環42も径方向に分厚く形成しなければならない。
【0044】
この点、本実施の形態では、第1傾斜面49と第2傾斜面48との間には第1段差面50が形成され、第3傾斜面54と第4傾斜面53との間には第2段差面55が形成されているので、保持環42の径方向の厚みをそれほど大きくすることなく、また、保持凹部25をそれほど深く形成することなく、保持環42を軸方向の広い範囲で管Pの外周面に強く押し付けることができる。
なお、第1,第2段差面50,55は、管継手10の中心軸線Oに平行な面とするに限らず、第1〜第4傾斜面49,48,54,53よりも緩やかな角度でこれらと同じ向き傾斜する面や、第1〜第4傾斜面49,48,54,53とは逆向きに傾斜する面とすることができる。
【0045】
図2に示されるように、内筒体14と外筒体15との間の挿入スペースSに管Pを挿入すると、管Pは、保持機構47によって先端側(矢印X方向)への移動が規制される。そのため、施工現場等において管Pの接続を誤っても管継手10から管Pを先端側へ抜き取ることができない。そのため、本実施の形態の管継手10では、管Pを先端側へ抜き取るのではなく、基端側へ抜き取ることができるように構成されている。
【0046】
具体的に、本実施の形態の管継手10は、内筒体14のナット16に対する先端側への移動を規制する第3突条部29(規制面29a)が、管Pの外周面よりも径方向外側に形成されており、この第3突条部29によって管Pの基端側への移動が制限されないようになっている。また、保持環42は、挿入スペースSに挿入された管Pが先端側へ抜ける方向への移動を規制しているが、基端側への移動は許容している。すなわち、保持環42は、管Pとともに基端側へ移動することで第3,第4傾斜面54,53による押圧作用が解かれ、弾性復元力によって径方向に拡径し、管Pに対する第1爪部46及び第2爪部45の食い込みが解除される。また、第1爪部46及び第2爪部45は、管Pの基端側への移動によって保持環42を径方向外側へ拡径させるように作用する傾斜面46a,45aを有している。
【0047】
したがって、図2に示されるように、例えば管Pを2点鎖線Aの位置で切断し、内筒体14及び管Pをナット16に対して基端側へ移動させれば、図6に示されるように、ナット16から内筒体14及び管Pを抜き取ることが可能となっている。
そして、管Pは、内筒体14に対して弾性シール部材36を介して接触しているだけであるので、内筒体14から容易に抜き取ることができる。したがって、内筒体14を再びナット16に挿入することによって、管継手10を再利用することができる。
【0048】
<第2の実施の形態>
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る管継手10の断面図である。
本実施の形態の管継手10は、外筒体15とナット16とが別体で形成され、互いに結合されることによって一体回転可能に構成されている。具体的に、本実施の形態のナット16の先端側(図7の左側)の外周面には雄ネジ16aが形成され、外筒体15の基端側(図7の右側)の内周面には雌ネジ15aが形成され、この雄ネジ16aと雌ネジ15aとを螺合することによってナット16と外筒体15とが一体的に結合されている。本実施の形態の管継手10におけるその他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、したがって、本実施の形態の管継手10においても第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。なお、外筒体15とナット16とは、雄ネジ16aと雌ネジ15aとの螺合による結合に限らず、圧入等の他の手段により結合されていてもよい。
【0049】
また、本実施の形態において、挿入スペースSに挿入した管Pを管継手10から取り外すには、第1の実施の形態で説明したように、管Pを線Aで切断した後、内筒体14とともに管Pを基端側へ抜き取る方法に加え、雄ネジ16aと雌ネジ15aとの螺合を解いて外筒体15をナット16から取り外し、管Pを先端側へ引き抜くことも可能である。
【0050】
<第3の実施の形態>
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る管継手10の断面図である。
本実施の形態の管継手10は、保持環42と切欠溝17の配置が第1の実施の形態の管継手10と異なっている。具体的には、内筒体14の外周面であって、装着溝18よりも基端側には保持凹部25が形成されており、この保持凹部25内に保持環42が収容されている。そして、保持環42は、その外周面に第1爪部46と第2爪部45とを備えており、挿入スペースSから離脱する方向Xへの管Pの移動により保持凹部25の底面で径方向外側へ押されることで径方向寸法が拡大し、第1爪部46と第2爪部45とが管Pの内周面に押し付けられることで管Pを強固に保持するように構成されている。
【0051】
外筒体15の内周面には切欠溝17が形成されている。この切欠溝17は、保持環42の第1爪部46の径方向外側に略対向する位置に形成されている。このため、保持環42の径方向寸法が拡大して第1爪部46が管Pの内周面に強く押し付けられると、管Pの外周面が切欠溝17の端縁(係止部)56に強く押し付けられ、当該端縁56が管Pの内周面に食い込んで係止する。これによって、保持環42による管Pの保持力が増大し、挿入スペースSからの管Pの離脱がより確実に防止される。
ただし、本実施の形態では、保持環42が弾性シール部材36とともに内筒体14に設けられているので、第1の実施の形態の管継手10のように、保持環42が管Pに押し付けられることによって弾性シール部材36の面圧を高めるという作用効果を奏することができない。したがって、この点においては本実施の形態よりも第1の実施の形態の方が有利である。
【0052】
また、本実施の形態において、挿入スペースSに挿入した管Pを管継手10から取り外すには、線Aにおいて管Pを切断した後、内筒体14とともに管Pを基端側へ抜き取ればよい(図9参照)。そして、この状態では、保持環42が管Pに食い込んだままであるため、内筒体14から管Pを先端側へ抜き取ることはできないが、管Pは、ナット16から抜き取った時点で外周面が開放されるので、例えば管Pの外周面を軸方向に切断することで管Pを内筒体14から容易に取り外すことができる。
【0053】
<第4の実施の形態>
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る管継手10の断面図である。
本実施の形態の管継手10は、外筒体15とナット16とが別体に形成され、互いに一体回転可能に結合されている点で、上記第2の実施の形態(図7参照)と同様であり、また、保持環42が内筒体14に設けられ、切欠溝17が外筒体15に設けられている点で第3の実施の形態(図8参照)と同様である。したがって、本実施の形態と第2,第3の実施の形態との共通する構成に関しては、同様の作用効果を奏する。
【0054】
<第5の実施の形態>
図11は、本発明の第5の実施の形態に係る管継手10の断面図である。
本実施の形態の管継手10は、上述の第1〜第4の実施の形態のように外筒体15とナット16とが一体回転可能に構成されているのではなく、外筒体15とナット16とが相対回転可能に構成されたものである。
より具体的には、外筒体15は、ナット16に対して基端側から先端側へ向けて挿入されている。また、外筒体15の基端部には、径方向外方に突出する環状の第4突条部30が形成されており、この第4突条部30が、第3突条部29の規制面29aに当接し、先端側への移動が規制されている。また、内筒体14は、第2突条部22が外筒体15の径方向内側に挿入され、第1突条部21が第4突条部30の後端面に当接することによって、外筒体15とともに第3突条部29の規制面29aによって先端側への移動が規制されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0055】
本実施の形態において、挿入スペースSに挿入された管Pを管継手10から取り外すには、第1の実施の形態と同様に、ナット16に対して内筒体14とともに管Pを基端側へ引き抜けばよい。この際、内筒体14及び管Pと一緒に外筒体15をナット16から基端側へ抜き取ることも可能である。
また、管継手10を管Pに接続し、その後、機器Uの被接続箇所U1に接続する場合、ナット16は、内筒体14及び外筒体15に相対して単独で回転可能であるので、挿入スペースSに挿入した管Pがよじれたり、弾性シール部材36が管Pとの間で擦れて損傷を受けたりすることはなく、管Pと機器Uとを適切に接続することができる。
【0056】
また、内筒体14及び外筒体15は、ナット16に対して基端側から挿入され、第3突条部29によってナット16に対する内筒体14及び外筒体15の先端側への移動が制限されているので、ナットを単独で回転させることができる図22の従来技術に係る管継手よりも組立てが容易になるとともに、抜け止め用のCリング等が不要であるため、部品点数の削減を図ることができる。
【0057】
以下、本発明の管継手10に関連する参考例について図12〜図20を参照して説明する。なお、以下の参考例の管継手についても、使用される管Pや機器Uの構成及び種類等は、本発明の実施の形態と同様である。
<第1の参考例>
図12は第1の参考例に係る管継手を示す断面図、図13は、同管継手のネジ筒及び外筒体から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
第1の参考例に係る管継手310は、外筒体15とナット16とが一体に形成され、内筒体14がナット16に対して基端側から先端側に挿入され、第1突条部21が第3突条部29に当接することによって内筒体14の先端側への移動が規制されている点で、本発明の第1の実施の形態と同様である。しかしながら、第1の参考例では、第3突条部29が管Pの外周面よりも径方向内方へ突出しているため、管Pを基端側へ通過させることができず、内筒体14とともに管Pを基端側へ抜き取ることができない。また、保持環42は、内筒体14の外周面に設けられている。
【0058】
一方、第1の参考例では、内筒体14が、第1,第2突条部21,22と、内筒体本体14aとから分割して形成され、内筒体本体14aの外周面に形成された雄ネジ部14cと、第1,第2突条部21,22の内周面に形成された雌ネジ部14bとが螺合されることによって、内筒体本体14aと第1,第2突条部21,22とが分解可能に一体化されている。
【0059】
また、雄ネジ部14cの外径は、管Pの内径よりもやや小さく形成されている。また、雄ネジ部14cの外径及び雌ネジ部14bの内径は、パッキン33の内径よりも大きく、パッキン33の外径よりも小さく形成されている。したがって、雄ネジ部14cと雌ネジ部14bの螺合部分がパッキン33によって封止され、当該螺合部分への流体の漏れが防止されている。
【0060】
この第1の参考例において、挿入スペースSに挿入された管Pを管継手310から取り外すには、管Pを線Aで切断するとともに、雄ネジ部14cと雌ネジ部14bの螺合を解き、外筒体15から管P及び内筒体本体14aを先端側へ抜き取り(図13参照)、さらに内筒体14から管Pを基端側へ抜き取ることができる。
【0061】
<第2の参考例>
図14は、第2の参考例に係る管継手を示す断面図、図15は、同管継手のネジ筒及び内筒体から外筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
第2の参考例に係る管継手310は、外筒体15とナット16とが別体で形成され、これらが雄ネジ部16a及び雌ネジ部15aによって結合されている点で、本発明の第2の実施の形態(図7参照)と同様である。しかしながら、第2の参考例では、第3突条部29が管Pの外周面よりも径方向内方へ突出しているため、管Pを基端側へ通過させることができず、内筒体14とともに管Pを基端側へ抜き取ることができない。
【0062】
この第2の参考例において、挿入スペースSに挿入された管Pを管継手310から取り外すには、第2の実施の形態において説明した方法と同様に、管Pを線Aで切断するとともに、雌ネジ15aと雄ネジ16aとの螺合を解き、外筒体15とともに管Pを先端側へ抜き取ったのち、外筒体15から管Pを抜き取ればよい。
【0063】
<第3の参考例>
図16は、第3の参考例に係る管継手を示す断面図、図17は、同管継手のネジ筒から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
第3の参考例の管継手310は、外筒体がなく、内筒体14及びナット16によって構成されている。内筒体14は、第1の参考例と同様に、内筒体本体14aと第1,第2突条部21,22とから分割して形成され、雄ネジ部14cと雌ネジ部14bとが螺合されることによって内筒体本体14aと第1,第2突条部21,22とが一体的に結合されている。
【0064】
したがって、この第3の参考例において、管Pを管継手310から取り外すには、管Pを線Aで切断するとともに、雄ネジ部14cと雌ネジ部14bとの螺合を解き、管P及び内筒体本体14aを先端側へ取り外し(図17参照)、さらに内筒体14から管Pを基端側へ抜き取ればよい。
【0065】
<第4の参考例>
図18は、第4の参考例に係る管継手を示す断面図である。
第4の参考例に係る管継手310は、外筒体15とナット16とが一体形成されており、さらにナット16の先端側には径方向内方に突出する環状の第5突条部31が形成されている。そして、内筒体14の基端側の外周面には、雄ネジ部14cが形成され、第5突条部31の内周面には雌ネジ部31aが形成され、雄ネジ部14cと雌ネジ部31aとが螺合されることによって、内筒体14と外筒体15及びナット16とが一体化されている。雄ネジ部14cの外径は管Pの内径よりもやや小さく形成されている。
【0066】
したがって、第4の参考例において、挿入スペースSに挿入された管Pを管継手310から取り外すには、管Pを線Aで切断するとともに、雄ネジ部14cと雌ネジ部31aとの螺合を解き、内筒体14及び管Pを先端側へ抜き取り、さらに内筒体14から管Pを基端側へ抜き取ればよい。
【0067】
<第5の参考例>
図19は、第5の参考例に係る管継手を示す断面図である。
第5の参考例に係る管継手310は、外筒体がない点を除いて図8に示す本発明の第3の実施の形態の管継手10と同様の構成を有している。すなわち、管継手310は、内筒体14及びナット16によって構成されている。内筒体14の外周面には弾性シール部材36を装着するための装着溝18が形成され、この装着溝18よりも基端側には保持凹部25が形成されており、この保持凹部25内に保持環42が収容されている。この保持環42は、その外周面に第1爪部46と第2爪部45とを備えており、内筒体14から離脱する方向Xへの管Pの移動により保持凹部25の底面で径方向外側へ押されることで径方向寸法が拡大し、第1爪部46と第2爪部45とが管Pの内周面に押し付けられることで管Pを強固に保持するように構成されている。
【0068】
ナット16の先端側には、径方向内方に突出する環状の第3突条部(位置規制部)29が形成されている。一方、内筒体14の基端には、径方向外方に突出する環状の第1突条部21が形成され、この第1突条部21の先端側に隣接した位置には、第1突条部21よりも小さい突出量で径方向外方へ突出する第2突条部22が形成されている。
【0069】
内筒体14は、ナット16の基端側(図19の右側)からナット16の内部に挿入され、さらにナット16よりも先端側(図19の左側)へ突出される。この際、内筒体14の第1突条部21がナット16の第3突条部29の軸方向後端面(規制面)29aに当接することによって、ナット16に対する内筒体14の先端側への移動が制限されている。
また、第3突条部29(規制面29a)は、管Pの外周面よりも径方向外側に形成されており、この第3突条部29によって管Pの基端側への移動が制限されないようになっている。
【0070】
以上より、本参考例の管継手310は、次の構成を有している。
すなわち、軸方向の先端側が管Pに接続され、かつ軸方向の基端側が被接続箇所U1に接続される管継手310であって、管Pに挿入して接続される内筒体14と、前記内筒体14の基端側に当該内筒体14に対して相対回転可能に設けられ、被接続箇所U1に螺合される雌ネジ(ネジ部)28を有しているナット(ネジ筒)16と、内筒体14に対する管Pの基端側への移動を許容しつつ先端側への移動を規制することによって当該管を保持する保持環42(保持機構47)と、内筒体14に設けられ、内筒体14を挿入した管Pの周面に密着する弾性シール部材36と、を備えており、内筒体14は、前記ナット16の筒内に対して基端側から先端側に向けて挿入され、ナット16には、内筒体14の先端側への移動を規制するとともに、前記管Pを軸方向への通過を許容する第3突条部(位置規制部)29が設けられている。
【0071】
本参考例の管継手310は、ナット16の筒内に対して基端側から先端側へ向けて内筒体14を挿入することによって組み立てられる。そして、ナット16の第3突条部29と内筒体14の第1突条部21とを軸方向に当接させることによって、ナット16に対する内筒体14の先端側への移動が制限される。したがって、図22に示される従来技術のように抜け止め用のCリング220が不要であり、管継手22の組立てを非常に簡単に行うことができるとともに、部品点数の削減を図ることができる。
【0072】
本参考例の管継手310は、内筒体14の外周部に管Pを装着するとともに、ナット16を機器Uの被接続箇所U1に螺合することによって管Pと機器Uとを接続する。この際、管継手310を先に管Pに接続してもよいし、先に機器Uに接続してもよい。
前者の場合、内筒体14に管Pを装着した状態で、機器Uとの接続にためにナット16を回転させると、内筒体14は、ナット16に対して第3突条部29によって先端側への移動が制限されるのみであり、ナット16に対して相対回転可能であるので、ナット16の回転に連れ回りすることなく停止した状態を維持することになる。したがって、ナット16の回転に伴って管Pがよじれたり、弾性シール部材36が管Pに過度に擦れて損傷を受けたりすることはない。そのため、弾性シール部材36によるシール性能を好適に維持することができる。
【0073】
後者の場合は、管継手310のナット16を機器U側の被接続箇所U1に螺合するときは勿論のこと、その後、管継手310の挿入スペースSに管Pを差し込むときにも、管Pがよじれたり弾性シール部材36が管Pに擦れて損傷を受けたりすることはほとんどない。したがって、なんら問題なく管Pと機器Uとを接続することができる。
【0074】
本参考例において、内筒体14に装着した管Pを取り外すには、管Pを2点鎖線Aで切断し、さらに管Pを軸方向に切断することで内筒体14から管Pを取り外すことが可能である。しかしながら、管Pは、ナット16の第3突条部29によって基端側への移動が制限されないので、2点鎖線Aで切断した後、内筒体14とともにナット16から基端側へ抜き取ることができる。このようにナット16から内筒体14及び管Pを抜き取り、その後に、管Pを軸方向に切断することによって、より簡単に内筒体14から管Pを取り外すことができる。
【0075】
<第6の参考例>
図20は、第6の参考例に係る管継手を示す断面図である。本参考例は、ナット16の先端側に形成された第3突条部29が管Pの外周面よりも径方向内側へ突出している点で第5の参考例と異なっている。したがって、本参考例の管継手310は、以下の構成を有している。
【0076】
すなわち、軸方向の先端側が管Pに接続され、かつ軸方向の基端側が被接続箇所U1に接続される管継手であって、管Pに挿入して接続される内筒体14と、前記内筒体14の基端側に当該内筒体14に対して相対回転可能に設けられ、被接続箇所U1に螺合される雌ネジ(ネジ部)28を有しているナット(ネジ筒)16と、内筒体14に対する管Pの基端側への移動を許容しつつ先端側への移動を規制することによって当該管Pを保持する保持環42(保持機構47)と、内筒体14に設けられ、内筒体14を挿入した管Pの周面に密着する弾性シール部材36と、を備えており、内筒体14は、前記ナット16の筒内に対して基端側から先端側に向けて挿入され、ナット16には、内筒体14の先端側への移動を規制する第3突条部(位置規制部)29が設けられている。
【0077】
本参考例では、第3突条部29が管Pの外周面よりも径方向内側へ突出しているので、内筒体14とともに管Pをナット16から基端側へ抜き取ることができないが、内筒体14に装着された管Pの外周面が開放されているため、管Pを2点鎖線で切断し、さらに管Pを軸方向に切断することで内筒体14から取り外すことができる。
その他の構成は、第5の参考例と同様であり、上述した第5の参考例と略同様の作用効果を奏する。
【0078】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更できるものである。
例えば、保持機構47を構成する保持環42は、第1爪部(第1保持部)46と第2爪部(第2保持部)45とを別体に備えていてもよい。つまり、第1爪部46を有する第1の保持環と、第2爪部45を有する第2の保持環とによって本発明の保持環42が構成されていてもよい。
本発明の管継手10は、液体だけでなく気体を扱う管Pと機器Uとを接続するために用いることができる。
【符号の説明】
【0079】
10: 管継手
14: 内筒体
15: 外筒体
16: ナット(ネジ筒)
21: 第1突条部(被規制部)
29: 第3突条部(位置規制部)
29a: 規制面
36: 弾性シール部材
42: 保持環
47: 保持機構
P: 管
U1:被接続箇所
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に配慮したクリーンな給湯システムとしてヒートポンプ式給湯装置が普及してきている。ヒートポンプ式給湯装置は、冷凍サイクルにより温水を生成する冷媒回路を内蔵したヒートポンプユニットと、ヒートポンプユニットで生成された温水を貯水する貯水ユニットとを備えている。また、ヒートポンプ式給湯装置においては、現地据付工事に際して、ヒートポンプユニットと貯水ユニットとの間で温水を循環させるための連絡配管や、貯水ユニットから浴槽等の温水利用機器に温水を供給するための連絡配管が引き回され、各ユニットや温水利用機器に接続される。
【0003】
一般に、各ユニットや温水利用機器に連絡配管を接続するためには、管継手が用いられている。従来の管継手には、例えば図21に示されるように、内筒体114と、この内筒体114の径方向外側に配置され、当該内筒体114との間に連絡配管を挿入するためのスペースを形成する外筒体115と、内筒体114の基端部側に設けられた雄ネジを有するネジ筒116と、内筒体114の外周面に装着された弾性シール部材136と、外筒体115の内周面に装着された保持環142と、を備えたものがある。内筒体114とネジ筒116とは一体形成され、外筒体115は内筒体114の基端側にネジ結合されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来、図22に示される管継手210も知られている。この管継手210は、内筒体214と、この内筒体214の径方向外側に一体的にねじ結合された外筒体215と、内筒体214の基端側(図の右側)に相対回転可能に連結されたナット216とを備えている。内筒体214の外周面には弾性シール部材236が装着され、外筒体215の内周面には保持環242が装着されている。内筒体214の基端部は、ナット216の先端側(図の左側)に挿入されるとともに、ナット216の内周面に形成した溝219にCリング等の抜け止め部材220を圧入することによってナット216に対して抜け止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−138378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図21に示されている管継手110を連絡配管と給湯ユニット等の被接続箇所とに接続するには、通常、管継手110のネジ筒116を被接続箇所に螺合して取り付け、その後、内筒体114と外筒体115との間に形成されたスペースSに連絡配管を挿入する。しかし、据付環境によっては先に連絡配管に管継手110を装着してから、当該管継手を被接続箇所に接続することが望ましい場合もある。
このような場合、特許文献1の管継手は、内筒体114、外筒体115、及びネジ筒116が一体化されているので、管継手110を連絡配管に接続した状態で当該管継手110のネジ筒を被接続箇所に螺合しようとすると、内筒体114及び外筒体115とともに連絡配管が回ってよじれてしまったり、連絡配管の内周面に弾性シール部材136が擦れたりしてシール性能が低下し、流体の漏れが発生する可能性が高くなる。
【0007】
一方、図22に示されている管継手210は、内筒体214に対してナット216が相対回転可能に結合されているので、管継手210を先に連絡配管に接続しても、ナット216を単独で回転させて被接続箇所に螺合することができる。しかし、この管継手210は、ナット216に対して抜け止め用のCリング220を組み込む必要があるため、部品点数が多くなるとともに組立て作業が煩雑となり、製造コストの増大を招くものであった。
【0008】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、流体の漏れの原因となる管のよじれや弾性シール部材の損傷を招くことなく管及び被接続箇所に対する接続作業性を高めることができる管継手を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る管継手は、
軸方向の先端側が管に接続され、かつ軸方向の基端側が被接続箇所に接続される管継手であって、
内筒体と、
この内筒体の径方向外側に配置され、当該内筒体との間に管を挿入可能なスペースを形成する外筒体と、
前記内筒体の基端側に当該内筒体に対して相対回転可能に設けられ、被接続箇所に螺合されるネジ部を有しているネジ筒と、
前記スペースに挿入された管の前記基端側への移動を許容しつつ前記先端側への移動を規制することによって当該管を保持する保持機構と、
前記内筒体に設けられ、前記スペースに挿入された管の周面に密着する弾性シール部材と、を備えており、
前記内筒体は、前記ネジ筒の筒内に対して前記基端側から前記先端側に向けて挿入され、
前記ネジ筒には、前記内筒体の前記先端側への移動を規制するとともに、前記管の軸方向への通過を許容する位置規制部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、内筒体がネジ筒に対して相対回転自在に設けられるので、管に管継手を接続した状態でネジ筒を被接続箇所に螺合しても、内筒体及び管は停止した状態を保つことができる。このため、管がよじれたり、内筒体に設けられた弾性シール部材が管の周面で擦れて損傷を受けたりすることはほとんどなく、シール性能が低下してしまうこともない。
また、内筒体は、ネジ筒の筒内に対して基端側から先端側へ挿入され、ネジ筒には、当該ネジ筒に対する内筒体の先端側への移動を規制する位置規制部が設けられているので、ネジ筒と内筒体とを容易に抜け止めした状態で連結することができ、抜け止め用のバネリング等が不要となるので、製造コストの低減を図ることができる。
また、位置規制部は、管の軸方向への通過を許容するように構成されているので、外筒体と内筒体との間のスペースに管を挿入したあと、管を取り外す必要が生じた場合には、管と内筒体の双方をネジ筒に対して基端側へ抜き取ることができる。すなわち、内筒体と外筒体との間のスペースに挿入された管は、保持機構によって先端側への移動が規制されるので、もはや先端側へ抜き取ることができなくなるが、本発明では、ネジ筒に対して内筒体を基端側へ抜き取れば、管も基端側へ抜き取ることが可能となり、一旦接続した管を簡単に管継手から取り外し、当該管継手を再利用することができる。
【0011】
上記構成において、前記内筒体には、前記管の外周面よりも径方向外方へ突出する被規制部が形成され、
前記位置規制部は、前記管の外周面よりも径方向外側において前記被規制部の前記先端側への移動を規制する規制面を有していることが好ましい。
この構成によれば、位置規制部の規制面によって、ネジ筒に対する内筒体の先端側への移動を規制することができ、さらに規制面よりも径方向内側において管を軸方向に通過させることができる。
【0012】
前記保持機構は、前記外筒体の内周面に設けられ、かつ前記管の外周面に係止する保持環を備えていてもよい。
このように外筒体の内周面に保持環が設けられている場合、内筒体と管とをネジ筒に対して基端側へ抜き取ることができ、その後、内筒体から管を容易に抜き取ることができる。
【0013】
前記保持機構は、前記内筒体の外周面に設けられ、かつ前記管の内周面に係止する保持環を備えていてもよい。
このように内筒体の外周面に保持環が設けられている場合であっても、内筒体と管とをネジ筒に対して基端側へ抜き取ることができる。管には内筒体に設けられた保持環が係止されるので、そのままでは内筒体から管を先端側に抜き取ることができないが、管をネジ筒から抜き取った段階で管の外周面は開放された状態となるので、管を切断等することによって容易に内筒体から取り外すことが可能となる。
【0014】
前記外筒体と前記ネジ筒とは、一体回転可能に構成されていてもよいし、相対回転可能に設けられていてもよい。
後者の場合、外筒体は、前記ネジ筒に対して相対回転可能に設けられるとともに、前記ネジ筒に対して前記基端側から前記先端側に向けて挿入され、かつ前記位置規制部によって前記内筒体とともに前記先端側への移動が制限されていることが好ましい。
この構成によれば、ネジ筒を内筒体及び外筒体とは関係なく単独で回すことができ、内筒体と外筒体との間のスペースに挿入した管と内筒体及び外筒体との間に擦れ等が生じることがない。また、内筒体と外筒体との間のスペースに挿入した管を抜き取る場合には、内筒体及び管とともに外筒体もネジ筒から取り外し、その後、管の外周から外筒体を抜き取ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、流体の漏れの原因となる管のよじれや弾性シール部材の損傷を招くことなく管及び被接続箇所に対する接続作業性を高めることができる。また、内筒体と外筒体との間のスペースに挿入した管を容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る管継手を示す斜視図である。
【図2】図1に示される管継手の断面図である。
【図3】図2の一部を拡大して示す断面図である。
【図4】管継手における弾性シール部材及び保持環の装着部分を拡大して示す断面図である。
【図5】(a)は保持環の断面図、(b)は保持環の正面図である。
【図6】管継手のネジ筒から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る管継手を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る管継手を示す斜視図である。
【図9】管継手のネジ筒及び外筒体から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る管継手を示す断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る管継手を示す断面図である。
【図12】第1参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図13】同管継手のネジ筒及び外筒体から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
【図14】第2参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図15】同管継手のネジ筒及び内筒体から外筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
【図16】第3参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図17】同管継手のネジ筒から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
【図18】第4参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図19】第5参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図20】第6参考例に係る管継手を示す断面図である。
【図21】従来技術に係る管継手を示す断面図である。
【図22】他の従来技術に係る管継手を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る管継手10を示す斜視図である。
本実施の形態の管継手10は、液体や気体等の流体が流れる管Pと、この流体を利用する各種の機器Uとを接続するために用いられるものであり、その軸方向の先端部が管Pの端部に接続され、軸方向の基端部が機器Uに接続される。したがって、管継手10の軸方向先端側には、管Pを挿入するための挿入口11が形成され、軸方向基端側には、機器U側の配管(被接続箇所)U1の端部に設けられた雄ネジに螺合する、ネジ筒としてのナット16が設けられている。
【0018】
なお、本実施の形態の管継手10は、主として常温(例えば、5℃〜35℃)において相変化をしない水、海水、薬品、ブライン等の液体を扱う管Pと機器Uとの接続のために好適に使用される。特に、給湯装置、空気調和装置、及び床暖房装置等における熱源ユニットと配管との接続等に好適に使用される。また、管Pは、耐食性や耐熱性が良好な架橋ポリエチレン管やボリブデン管等の硬質樹脂管や、アルミニウム等の金属管の内面及び外面を樹脂材で被覆した三層管等の金属強化樹脂管が使用される。硬質樹脂管や三層管は、耐熱性が高いため、例えば、CO2冷媒を使用した熱源ユニットのように90℃以上の非常に高温の温水を生成するシステムで好適に使用される。
【0019】
図2は、図1に示される管継手10の断面図である。なお、この図に示される管継手10は、管Pが接続される先端部が図における左側に示され、機器Uの被接続箇所U1に接続される基端部が図における右側に示されている。
管継手10は、主として内筒体14と、外筒体15と、ナット16とから構成されている。内筒体14、外筒体15、及びナット16は、脱鉛青銅、砲金等の金属材料や硬質の樹脂材料からなる。内筒体14は、円筒形状に形成され、その先端部の外周面には環状の切欠溝17が形成され、この切欠溝17よりも基端側(図2の右側)には、弾性シール部材36を装着するための環状の装着溝(シール装着部)18が軸方向に間隔をあけて二箇所に形成されている。内筒体14の基端部の内周面は、基端側へ向かうに従って内径が拡大するテーパー面19に形成されている。
【0020】
図3は、図2の一部を拡大して示す断面図である。
内筒体14の基端には、径方向外方に突出する環状の第1突条部(被規制部)21が形成されている。また、第1突条部21の先端側(図3の左側)に隣接した位置には、当該第1突条部21よりも小さい突出量で径方向外方へ突出する環状の第2突条部22が形成されている。
【0021】
外筒体15は、図2に示されるように、円筒形状に形成され、内筒体14の径方向外側に、当該内筒体14と同心状に配置されている。そして、この外筒体15の内周面と内筒体14の外周面との間には、管Pを挿入することができるスペース(以下、「挿入スペース」ともいう)Sが形成されている。外筒体15の先端部の外周面は、基端側に向かうに従って外径が大きくなるテーパー面24に形成されている。外筒体15の先端部の内周面には、後述する保持環42を収容するための環状の保持凹部25が形成されている。この保持凹部25は、内筒体14に形成された切欠溝17と装着溝18の径方向外側に重複した位置に配置されている。
【0022】
ナット(ネジ筒)16は、外筒体15の基端部に一体に形成されている。つまり、ナット16と外筒体15とは、一つの素材を機械加工することによって単一の部品で構成されている。このナット16の外周面27は、スパナ等の工具を嵌合させることが可能な六角形状に形成され、内周面には雌ネジ28が形成されている。なお、ネジ筒16は、機器U側の被接続箇所U1の形状に応じて、外周面に雄ネジを有する形態とすることも可能である。
【0023】
図2及び図3に示されるように、ナット16の先端側には、径方向内方に突出する環状の第3突条部(位置規制部)29が形成されている。
内筒体14は、ナット16の基端側(図2の右側)からナット16の内部に挿入され、さらにナット16よりも先端側(図2の左側)へ突出して外筒体15の内部に配置される。この際、図3に示されるように、内筒体14の第1突条部21がナット16の第3突条部29の軸方向後端面(規制面)29aに当接することによって、ナット16に対する内筒体14の先端側への移動が制限されている。すなわち、第3突条部29は、ナット16に対する内筒体14の先端側への移動を規制する位置規制部を構成し、第1突条部29は、位置規制部29によって移動が規制される被規制部を構成している。
【0024】
内筒体14に形成された第2突条部22は、挿入スペースSに対する管Pの挿入限界を設定するストッパとしての機能を有している。
また、ナット16の内部には、環状のパッキン33が設けられており、このパッキン33は、内筒体14の基端面と、機器U側の被接続箇所U1の先端面との間に挟まれ、両者の間からの流体の漏れを防止している。また、管継手10の不使用時や、管継手10に管Pのみを接続した状態では、ナット16に対する内筒体14の基端側への移動が制限されないため、ナット16には、内筒体14の基端側への移動を制限するキャップ(図示略)が適宜螺合される。
【0025】
図2に示されるように、内筒体14に形成された2箇所の装着溝18には、環状の弾性シール部材36が装着されている。この弾性シール部材36は、弾性変形可能な素材、例えばニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、フッ素系ゴム等によって形成されている。弾性シール部材36の軸方向幅は、装着溝18の軸方向幅と同じかやや小さく形成されている。弾性シール部材36の軸方向両端部の内周側は円弧状に面取りされている。
【0026】
図4は、管継手における弾性シール部材及び保持環の装着部分を拡大して示す断面図である。弾性シール部材36の外周面には、径方向外方へ円弧状に膨出する2つの環状のシール部38a,38bが軸方向に並べて形成されている。これらシール部38a,38bは、装着溝18に挿入された状態で内筒体14の内周面よりも径方向外方へ突出している。そして、これらシール部38a,38bは、挿入スペースS内に挿入された管Pの内周面に密着することによって、内筒体14と管Pとの間の流体の漏れを防止する機能を有している。
【0027】
弾性シール部材36の基端側(図4の右側)には、中心軸線Oに略平行な平坦面40が形成されている。この平坦面40は、装着溝18に対する弾性シール部材36の装着方向を示す目印となる。具体的に、本実施の形態では、平坦面40が基端側に位置するように弾性シール部材36が装着溝18に装着されている。
【0028】
本実施の形態の弾性シール部材36は、軸方向に2つのシール部38a,38bを一体に備えた構成となっているが、2つのシール部38a,38bが別体に形成され、互いに独立した構成とされていてもよい。例えば、弾性シール部材36は、1つのシール部を構成するOリング等を軸方向に2つ並設することによって構成されていてもよい。さらにシール部は1つのみであってもよい。また、図2に示されるように、内筒体14の軸方向の2箇所に設けられた弾性シール部材36は互いに同一の形状とされているが、異なる形状とされていてもよい。例えば、基端側の弾性シール部材は、単なるOリングを用いてもよい。また、弾性シール部材は、一箇所のみに設けられていてもよい。
【0029】
図5(a)は保持環42の断面図、図5(b)は保持環42の正面図である。
図4及び図5に示されるように、外筒体15の内周面に形成された保持凹部25内には保持環42が収容されている。この保持環42は、周方向の一部分43が欠落したC字形状に形成されており、この欠落した部分43の間隔を狭めるように弾性変形させることによって径方向寸法を縮小できるようになっている。また、保持環42は、径方向寸法を縮小させた状態で外筒体15の先端開口から挿入されることによって保持凹部25に装着することが可能となっている。
【0030】
図4に示されるように、保持環42の内周面における軸方向先端部(左端部)には、径方向内方に突出する第1爪部(第1保持部)46が形成され、軸方向基端部(右端部)には、径方向内方に突出する第2爪部(第2保持部)45が形成されている。この第1爪部46と第2爪部45とは、保持環42の径方向寸法を縮小させることによって管Pの外周面に強く押し付けられて食い込み、管Pを強固に保持する機能を有している。
【0031】
保持環42の外周面における軸方向先端部には、基端側(図4の右側)に向かうにしたがって外径が大きくなるように傾斜する第1傾斜面49が形成されている。また、この第1傾斜面49よりも基端側には、基端側に向かうにしたがって外径が大きくなるように傾斜する第2傾斜面48が形成されている。したがって、第1,第2傾斜面49,48は、挿入スペースS内に挿入された管Pの外周面に対して、先端側ほど径方向の間隔が狭くなるように形成されている。また、第1傾斜面49と第2傾斜面48との間には第1段差面50が形成されており、この第1段差面50は、中心軸線Oに略平行に形成されている。
【0032】
第1傾斜面49と第2傾斜面48とは、互いに略同一の傾斜角度に形成されている。また、第1傾斜面49と第2傾斜面48とは、第1段差面50を間に挟んで軸方向に離れて配置されている。なお、保持環42の外周面における第2傾斜面48よりもさらに基端側は、基端側ほど外径が小さくなるような傾斜面52とされている。この傾斜面52によって、保持環42の基端側の外径が小さくなるので、外筒体15の先端開口から保持環42を挿入しやすくなり、保持凹部25への装着を容易に行うことができるようになる。
【0033】
外筒体15に形成された保持凹部25の底面は、保持環42の第1傾斜面49と略同一の角度で傾斜し、当該第1傾斜面49に当接する第3傾斜面54と、保持環42の第2傾斜面48と略同一の角度で傾斜し、当該第2傾斜面48に当接する第4傾斜面53とを有している。また、第3傾斜面54と第4傾斜面53との間には中心軸線Oに略平行な第2段差面55が形成されている。
【0034】
外筒体15と内筒体14との間の挿入スペースS内に管Pが挿入され、管Pの内部を流れる流体の圧力等によって管Pに挿入スペースSから離脱する方向(矢印X)への力が作用すると、保持環42は、管Pとともに先端側へ移動するとともに、第1〜第4傾斜面49,48,54,53の作用で外筒体15によって径方向内方へ押され、径方向寸法が縮小する。そして、保持環42の径方向寸法が縮小することによって、第1爪部46及び第2爪部45がより強く管Pの外周面に押し付けられ、挿入スペースSからの管Pの離脱が確実に防止される。特に、保持環42は、軸方向両側の第1,第2傾斜面49,48の2箇所において径方向内方に押されるため、保持環42を軸方向の略全体の範囲で管Pの周面に強く押し付けることができる。
【0035】
ここに、第1〜第4傾斜面49,48,54,53は、管Pの離脱方向(先端側)Xへの移動により保持環42の径方向寸法を縮小させる作用部を構成し、この作用部と保持環42とで、挿入スペースSに挿入された管Pを保持する保持機構47が構成されている。また、作用部は、第1傾斜面49と第3傾斜面54との組によって構成された第1作用面と、第2傾斜面48と第4傾斜面53との組によって構成された第2作用面とからなる。
【0036】
なお、作用部を構成する傾斜面は、外筒体15と保持環42との双方に形成されていなくてもよく、いずれか一方に形成されていればよい。例えば、作用部は、保持環42に形成された第1傾斜面(第1作用面)49と第2傾斜面(第2作用面)48のみによって構成されていてもよく、この場合、保持凹部25の底面には、第1傾斜面49及び第2傾斜面48に当接する部分(例えば角部)が存在していればよい。逆に、作用部は、第3傾斜面(第1作用面)54及び第4傾斜面(第2作用面)53のみによって構成されていてもよく、この場合、保持環42の外周面には、第3傾斜面54及び第4傾斜面53にそれぞれ当接する部分(例えば角部)が存在していればよい。
【0037】
管Pは、長期の使用で強度が劣化すると挿入スペースSから離脱しやすくなっていくが、上記のように挿入スペースSから離脱する方向Xへの管Pの移動によって保持環42が管Pを強固に保持するため、管Pの離脱は確実に防止される。
また、弾性シール部材36は、長期の使用で劣化し、弾性力の低下とともに永久歪が生じるようになっている。この永久歪は、管Pの内周面に対する弾性シール部材36の面圧の低下を招き、流体の漏れの原因となる。この問題に対して、本実施の形態では、保持環42の第2爪部45が弾性シール部材36の径方向外側に対向する位置に配置されているので、保持環42の径方向寸法が縮小して第2爪部45が管Pの外周面に強く押し付けられると、管Pの内周面が弾性シール部材36に強く押し付けられ、弾性シール部材36によるシール面圧が高められる。そのため、弾性シール部材36に永久歪が生じたとしても弾性シール部材36の機能を維持することができる。
【0038】
また、保持環42の第1爪部46は、内筒体14の切欠溝17の径方向外側に略対向する位置に配置されている。このため、保持環42の径方向寸法が縮小して第1爪部46が管Pの外周面に強く押し付けられると、管Pの内周面が切欠溝17の端縁(係止部)56に強く押し付けられ、当該端縁56が管Pの内周面に食い込んで係止する。これによって、保持環42による管Pの保持力が増大し、挿入スペースSからの管Pの離脱がより確実に防止されるようになっている。
【0039】
以上に説明した管継手10は、挿入口11から挿入スペースS内に管Pを差し込むとともに、ナット16を機器Uの被接続箇所U1に螺合することによって管Pと機器Uとを接続する。この際、管継手10を先に管Pに接続してもよいし、先に機器Uに接続してもよい。
前者の場合、例えば図2に示されるように、管継手10の挿入スペースSに管Pを差し込んだ状態で、機器Uとの接続にためにナット16を回転させると、ナット16と一体に形成された外筒体15も連れ回りする。一方、内筒体14は、ナット16及び外筒体15に対して位置規制部29によって先端側への移動が制限されるのみであり、ナット16及び外筒体15に対して相対回転可能であるので、ナット16の回転に連れ回りすることなく停止した状態を維持することになる。
【0040】
また、管Pに押し付けられている保持環42は、外筒体15の保持凹部25の底面に当接しているだけであるため、外筒体15がナット16と共に回転しても、保持環42は保持凹部25の底面上を滑って連れ回りせず、管Pも停止した状態を維持することになる。したがって、ナット16とともに回転するのは外筒体15のみとなり、ナット16の回転に伴って管Pがよじれたり、弾性シール部材36が管Pに過度に擦れて損傷を受けたりすることはない。そのため、弾性シール部材36によるシール性能を好適に維持することができる。
【0041】
後者の場合は、管継手10のナット16を機器U側の被接続箇所U1に螺合するときは勿論のこと、その後、管継手10の挿入スペースSに管Pを差し込むときにも、管Pがよじれたり弾性シール部材36が管Pに擦れて損傷を受けたりすることはほとんどない。したがって、なんら問題なく管Pと機器Uとを接続することができる。
【0042】
本実施の形態の管継手10は、ナット16の筒内に対して基端側から先端側へ向けて内筒体14を挿入し、外筒体15の内部に配置することによって組み立てられる。そして、ナット16の第3突条部29と内筒体14の第1突条部21とを軸方向に当接させることによって、ナット16に対する内筒体14の先端側への移動が制限される。したがって、図22に示される従来技術のように抜け止め用のCリング220が不要であり、管継手22の組立てを非常に簡単に行うことができるとともに、部品点数の削減を図ることができる。
【0043】
図3に示されるように、保持環42に形成された第1,第2傾斜面49,48、及び保持凹部25に形成された第3,第4傾斜面54,53は、いずれも間に第1,第2段差面50,55が介在している。これにより、次のような利点がある。
例えば、第1段差面50を省略し、第1傾斜面49をそのまま基端側に延長して第2傾斜面48に連続させると、当該第1,第2傾斜面49,48は径方向外側に大きく拡がり、保持環42が径方向に分厚く形成されることになる。そして、保持環42が径方向に分厚く形成されると、重量が増大するとともに剛性も高くなり、保持凹部25への装着が困難になるという欠点がある。同様に、保持凹部25の第2段差面55を省略し、第3傾斜面54をそのまま基端側に延長して第4傾斜面53に連続させると、保持凹部25は、径方向外方へ深く形成されることになる。その分、外筒体15の径方向寸法を大きくしなければならず、管継手10が大型化する。また、保持凹部25が深くなると、当然に保持環42も径方向に分厚く形成しなければならない。
【0044】
この点、本実施の形態では、第1傾斜面49と第2傾斜面48との間には第1段差面50が形成され、第3傾斜面54と第4傾斜面53との間には第2段差面55が形成されているので、保持環42の径方向の厚みをそれほど大きくすることなく、また、保持凹部25をそれほど深く形成することなく、保持環42を軸方向の広い範囲で管Pの外周面に強く押し付けることができる。
なお、第1,第2段差面50,55は、管継手10の中心軸線Oに平行な面とするに限らず、第1〜第4傾斜面49,48,54,53よりも緩やかな角度でこれらと同じ向き傾斜する面や、第1〜第4傾斜面49,48,54,53とは逆向きに傾斜する面とすることができる。
【0045】
図2に示されるように、内筒体14と外筒体15との間の挿入スペースSに管Pを挿入すると、管Pは、保持機構47によって先端側(矢印X方向)への移動が規制される。そのため、施工現場等において管Pの接続を誤っても管継手10から管Pを先端側へ抜き取ることができない。そのため、本実施の形態の管継手10では、管Pを先端側へ抜き取るのではなく、基端側へ抜き取ることができるように構成されている。
【0046】
具体的に、本実施の形態の管継手10は、内筒体14のナット16に対する先端側への移動を規制する第3突条部29(規制面29a)が、管Pの外周面よりも径方向外側に形成されており、この第3突条部29によって管Pの基端側への移動が制限されないようになっている。また、保持環42は、挿入スペースSに挿入された管Pが先端側へ抜ける方向への移動を規制しているが、基端側への移動は許容している。すなわち、保持環42は、管Pとともに基端側へ移動することで第3,第4傾斜面54,53による押圧作用が解かれ、弾性復元力によって径方向に拡径し、管Pに対する第1爪部46及び第2爪部45の食い込みが解除される。また、第1爪部46及び第2爪部45は、管Pの基端側への移動によって保持環42を径方向外側へ拡径させるように作用する傾斜面46a,45aを有している。
【0047】
したがって、図2に示されるように、例えば管Pを2点鎖線Aの位置で切断し、内筒体14及び管Pをナット16に対して基端側へ移動させれば、図6に示されるように、ナット16から内筒体14及び管Pを抜き取ることが可能となっている。
そして、管Pは、内筒体14に対して弾性シール部材36を介して接触しているだけであるので、内筒体14から容易に抜き取ることができる。したがって、内筒体14を再びナット16に挿入することによって、管継手10を再利用することができる。
【0048】
<第2の実施の形態>
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る管継手10の断面図である。
本実施の形態の管継手10は、外筒体15とナット16とが別体で形成され、互いに結合されることによって一体回転可能に構成されている。具体的に、本実施の形態のナット16の先端側(図7の左側)の外周面には雄ネジ16aが形成され、外筒体15の基端側(図7の右側)の内周面には雌ネジ15aが形成され、この雄ネジ16aと雌ネジ15aとを螺合することによってナット16と外筒体15とが一体的に結合されている。本実施の形態の管継手10におけるその他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、したがって、本実施の形態の管継手10においても第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。なお、外筒体15とナット16とは、雄ネジ16aと雌ネジ15aとの螺合による結合に限らず、圧入等の他の手段により結合されていてもよい。
【0049】
また、本実施の形態において、挿入スペースSに挿入した管Pを管継手10から取り外すには、第1の実施の形態で説明したように、管Pを線Aで切断した後、内筒体14とともに管Pを基端側へ抜き取る方法に加え、雄ネジ16aと雌ネジ15aとの螺合を解いて外筒体15をナット16から取り外し、管Pを先端側へ引き抜くことも可能である。
【0050】
<第3の実施の形態>
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る管継手10の断面図である。
本実施の形態の管継手10は、保持環42と切欠溝17の配置が第1の実施の形態の管継手10と異なっている。具体的には、内筒体14の外周面であって、装着溝18よりも基端側には保持凹部25が形成されており、この保持凹部25内に保持環42が収容されている。そして、保持環42は、その外周面に第1爪部46と第2爪部45とを備えており、挿入スペースSから離脱する方向Xへの管Pの移動により保持凹部25の底面で径方向外側へ押されることで径方向寸法が拡大し、第1爪部46と第2爪部45とが管Pの内周面に押し付けられることで管Pを強固に保持するように構成されている。
【0051】
外筒体15の内周面には切欠溝17が形成されている。この切欠溝17は、保持環42の第1爪部46の径方向外側に略対向する位置に形成されている。このため、保持環42の径方向寸法が拡大して第1爪部46が管Pの内周面に強く押し付けられると、管Pの外周面が切欠溝17の端縁(係止部)56に強く押し付けられ、当該端縁56が管Pの内周面に食い込んで係止する。これによって、保持環42による管Pの保持力が増大し、挿入スペースSからの管Pの離脱がより確実に防止される。
ただし、本実施の形態では、保持環42が弾性シール部材36とともに内筒体14に設けられているので、第1の実施の形態の管継手10のように、保持環42が管Pに押し付けられることによって弾性シール部材36の面圧を高めるという作用効果を奏することができない。したがって、この点においては本実施の形態よりも第1の実施の形態の方が有利である。
【0052】
また、本実施の形態において、挿入スペースSに挿入した管Pを管継手10から取り外すには、線Aにおいて管Pを切断した後、内筒体14とともに管Pを基端側へ抜き取ればよい(図9参照)。そして、この状態では、保持環42が管Pに食い込んだままであるため、内筒体14から管Pを先端側へ抜き取ることはできないが、管Pは、ナット16から抜き取った時点で外周面が開放されるので、例えば管Pの外周面を軸方向に切断することで管Pを内筒体14から容易に取り外すことができる。
【0053】
<第4の実施の形態>
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る管継手10の断面図である。
本実施の形態の管継手10は、外筒体15とナット16とが別体に形成され、互いに一体回転可能に結合されている点で、上記第2の実施の形態(図7参照)と同様であり、また、保持環42が内筒体14に設けられ、切欠溝17が外筒体15に設けられている点で第3の実施の形態(図8参照)と同様である。したがって、本実施の形態と第2,第3の実施の形態との共通する構成に関しては、同様の作用効果を奏する。
【0054】
<第5の実施の形態>
図11は、本発明の第5の実施の形態に係る管継手10の断面図である。
本実施の形態の管継手10は、上述の第1〜第4の実施の形態のように外筒体15とナット16とが一体回転可能に構成されているのではなく、外筒体15とナット16とが相対回転可能に構成されたものである。
より具体的には、外筒体15は、ナット16に対して基端側から先端側へ向けて挿入されている。また、外筒体15の基端部には、径方向外方に突出する環状の第4突条部30が形成されており、この第4突条部30が、第3突条部29の規制面29aに当接し、先端側への移動が規制されている。また、内筒体14は、第2突条部22が外筒体15の径方向内側に挿入され、第1突条部21が第4突条部30の後端面に当接することによって、外筒体15とともに第3突条部29の規制面29aによって先端側への移動が規制されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0055】
本実施の形態において、挿入スペースSに挿入された管Pを管継手10から取り外すには、第1の実施の形態と同様に、ナット16に対して内筒体14とともに管Pを基端側へ引き抜けばよい。この際、内筒体14及び管Pと一緒に外筒体15をナット16から基端側へ抜き取ることも可能である。
また、管継手10を管Pに接続し、その後、機器Uの被接続箇所U1に接続する場合、ナット16は、内筒体14及び外筒体15に相対して単独で回転可能であるので、挿入スペースSに挿入した管Pがよじれたり、弾性シール部材36が管Pとの間で擦れて損傷を受けたりすることはなく、管Pと機器Uとを適切に接続することができる。
【0056】
また、内筒体14及び外筒体15は、ナット16に対して基端側から挿入され、第3突条部29によってナット16に対する内筒体14及び外筒体15の先端側への移動が制限されているので、ナットを単独で回転させることができる図22の従来技術に係る管継手よりも組立てが容易になるとともに、抜け止め用のCリング等が不要であるため、部品点数の削減を図ることができる。
【0057】
以下、本発明の管継手10に関連する参考例について図12〜図20を参照して説明する。なお、以下の参考例の管継手についても、使用される管Pや機器Uの構成及び種類等は、本発明の実施の形態と同様である。
<第1の参考例>
図12は第1の参考例に係る管継手を示す断面図、図13は、同管継手のネジ筒及び外筒体から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
第1の参考例に係る管継手310は、外筒体15とナット16とが一体に形成され、内筒体14がナット16に対して基端側から先端側に挿入され、第1突条部21が第3突条部29に当接することによって内筒体14の先端側への移動が規制されている点で、本発明の第1の実施の形態と同様である。しかしながら、第1の参考例では、第3突条部29が管Pの外周面よりも径方向内方へ突出しているため、管Pを基端側へ通過させることができず、内筒体14とともに管Pを基端側へ抜き取ることができない。また、保持環42は、内筒体14の外周面に設けられている。
【0058】
一方、第1の参考例では、内筒体14が、第1,第2突条部21,22と、内筒体本体14aとから分割して形成され、内筒体本体14aの外周面に形成された雄ネジ部14cと、第1,第2突条部21,22の内周面に形成された雌ネジ部14bとが螺合されることによって、内筒体本体14aと第1,第2突条部21,22とが分解可能に一体化されている。
【0059】
また、雄ネジ部14cの外径は、管Pの内径よりもやや小さく形成されている。また、雄ネジ部14cの外径及び雌ネジ部14bの内径は、パッキン33の内径よりも大きく、パッキン33の外径よりも小さく形成されている。したがって、雄ネジ部14cと雌ネジ部14bの螺合部分がパッキン33によって封止され、当該螺合部分への流体の漏れが防止されている。
【0060】
この第1の参考例において、挿入スペースSに挿入された管Pを管継手310から取り外すには、管Pを線Aで切断するとともに、雄ネジ部14cと雌ネジ部14bの螺合を解き、外筒体15から管P及び内筒体本体14aを先端側へ抜き取り(図13参照)、さらに内筒体14から管Pを基端側へ抜き取ることができる。
【0061】
<第2の参考例>
図14は、第2の参考例に係る管継手を示す断面図、図15は、同管継手のネジ筒及び内筒体から外筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
第2の参考例に係る管継手310は、外筒体15とナット16とが別体で形成され、これらが雄ネジ部16a及び雌ネジ部15aによって結合されている点で、本発明の第2の実施の形態(図7参照)と同様である。しかしながら、第2の参考例では、第3突条部29が管Pの外周面よりも径方向内方へ突出しているため、管Pを基端側へ通過させることができず、内筒体14とともに管Pを基端側へ抜き取ることができない。
【0062】
この第2の参考例において、挿入スペースSに挿入された管Pを管継手310から取り外すには、第2の実施の形態において説明した方法と同様に、管Pを線Aで切断するとともに、雌ネジ15aと雄ネジ16aとの螺合を解き、外筒体15とともに管Pを先端側へ抜き取ったのち、外筒体15から管Pを抜き取ればよい。
【0063】
<第3の参考例>
図16は、第3の参考例に係る管継手を示す断面図、図17は、同管継手のネジ筒から内筒体及び管を取り外した状態を示す断面図である。
第3の参考例の管継手310は、外筒体がなく、内筒体14及びナット16によって構成されている。内筒体14は、第1の参考例と同様に、内筒体本体14aと第1,第2突条部21,22とから分割して形成され、雄ネジ部14cと雌ネジ部14bとが螺合されることによって内筒体本体14aと第1,第2突条部21,22とが一体的に結合されている。
【0064】
したがって、この第3の参考例において、管Pを管継手310から取り外すには、管Pを線Aで切断するとともに、雄ネジ部14cと雌ネジ部14bとの螺合を解き、管P及び内筒体本体14aを先端側へ取り外し(図17参照)、さらに内筒体14から管Pを基端側へ抜き取ればよい。
【0065】
<第4の参考例>
図18は、第4の参考例に係る管継手を示す断面図である。
第4の参考例に係る管継手310は、外筒体15とナット16とが一体形成されており、さらにナット16の先端側には径方向内方に突出する環状の第5突条部31が形成されている。そして、内筒体14の基端側の外周面には、雄ネジ部14cが形成され、第5突条部31の内周面には雌ネジ部31aが形成され、雄ネジ部14cと雌ネジ部31aとが螺合されることによって、内筒体14と外筒体15及びナット16とが一体化されている。雄ネジ部14cの外径は管Pの内径よりもやや小さく形成されている。
【0066】
したがって、第4の参考例において、挿入スペースSに挿入された管Pを管継手310から取り外すには、管Pを線Aで切断するとともに、雄ネジ部14cと雌ネジ部31aとの螺合を解き、内筒体14及び管Pを先端側へ抜き取り、さらに内筒体14から管Pを基端側へ抜き取ればよい。
【0067】
<第5の参考例>
図19は、第5の参考例に係る管継手を示す断面図である。
第5の参考例に係る管継手310は、外筒体がない点を除いて図8に示す本発明の第3の実施の形態の管継手10と同様の構成を有している。すなわち、管継手310は、内筒体14及びナット16によって構成されている。内筒体14の外周面には弾性シール部材36を装着するための装着溝18が形成され、この装着溝18よりも基端側には保持凹部25が形成されており、この保持凹部25内に保持環42が収容されている。この保持環42は、その外周面に第1爪部46と第2爪部45とを備えており、内筒体14から離脱する方向Xへの管Pの移動により保持凹部25の底面で径方向外側へ押されることで径方向寸法が拡大し、第1爪部46と第2爪部45とが管Pの内周面に押し付けられることで管Pを強固に保持するように構成されている。
【0068】
ナット16の先端側には、径方向内方に突出する環状の第3突条部(位置規制部)29が形成されている。一方、内筒体14の基端には、径方向外方に突出する環状の第1突条部21が形成され、この第1突条部21の先端側に隣接した位置には、第1突条部21よりも小さい突出量で径方向外方へ突出する第2突条部22が形成されている。
【0069】
内筒体14は、ナット16の基端側(図19の右側)からナット16の内部に挿入され、さらにナット16よりも先端側(図19の左側)へ突出される。この際、内筒体14の第1突条部21がナット16の第3突条部29の軸方向後端面(規制面)29aに当接することによって、ナット16に対する内筒体14の先端側への移動が制限されている。
また、第3突条部29(規制面29a)は、管Pの外周面よりも径方向外側に形成されており、この第3突条部29によって管Pの基端側への移動が制限されないようになっている。
【0070】
以上より、本参考例の管継手310は、次の構成を有している。
すなわち、軸方向の先端側が管Pに接続され、かつ軸方向の基端側が被接続箇所U1に接続される管継手310であって、管Pに挿入して接続される内筒体14と、前記内筒体14の基端側に当該内筒体14に対して相対回転可能に設けられ、被接続箇所U1に螺合される雌ネジ(ネジ部)28を有しているナット(ネジ筒)16と、内筒体14に対する管Pの基端側への移動を許容しつつ先端側への移動を規制することによって当該管を保持する保持環42(保持機構47)と、内筒体14に設けられ、内筒体14を挿入した管Pの周面に密着する弾性シール部材36と、を備えており、内筒体14は、前記ナット16の筒内に対して基端側から先端側に向けて挿入され、ナット16には、内筒体14の先端側への移動を規制するとともに、前記管Pを軸方向への通過を許容する第3突条部(位置規制部)29が設けられている。
【0071】
本参考例の管継手310は、ナット16の筒内に対して基端側から先端側へ向けて内筒体14を挿入することによって組み立てられる。そして、ナット16の第3突条部29と内筒体14の第1突条部21とを軸方向に当接させることによって、ナット16に対する内筒体14の先端側への移動が制限される。したがって、図22に示される従来技術のように抜け止め用のCリング220が不要であり、管継手22の組立てを非常に簡単に行うことができるとともに、部品点数の削減を図ることができる。
【0072】
本参考例の管継手310は、内筒体14の外周部に管Pを装着するとともに、ナット16を機器Uの被接続箇所U1に螺合することによって管Pと機器Uとを接続する。この際、管継手310を先に管Pに接続してもよいし、先に機器Uに接続してもよい。
前者の場合、内筒体14に管Pを装着した状態で、機器Uとの接続にためにナット16を回転させると、内筒体14は、ナット16に対して第3突条部29によって先端側への移動が制限されるのみであり、ナット16に対して相対回転可能であるので、ナット16の回転に連れ回りすることなく停止した状態を維持することになる。したがって、ナット16の回転に伴って管Pがよじれたり、弾性シール部材36が管Pに過度に擦れて損傷を受けたりすることはない。そのため、弾性シール部材36によるシール性能を好適に維持することができる。
【0073】
後者の場合は、管継手310のナット16を機器U側の被接続箇所U1に螺合するときは勿論のこと、その後、管継手310の挿入スペースSに管Pを差し込むときにも、管Pがよじれたり弾性シール部材36が管Pに擦れて損傷を受けたりすることはほとんどない。したがって、なんら問題なく管Pと機器Uとを接続することができる。
【0074】
本参考例において、内筒体14に装着した管Pを取り外すには、管Pを2点鎖線Aで切断し、さらに管Pを軸方向に切断することで内筒体14から管Pを取り外すことが可能である。しかしながら、管Pは、ナット16の第3突条部29によって基端側への移動が制限されないので、2点鎖線Aで切断した後、内筒体14とともにナット16から基端側へ抜き取ることができる。このようにナット16から内筒体14及び管Pを抜き取り、その後に、管Pを軸方向に切断することによって、より簡単に内筒体14から管Pを取り外すことができる。
【0075】
<第6の参考例>
図20は、第6の参考例に係る管継手を示す断面図である。本参考例は、ナット16の先端側に形成された第3突条部29が管Pの外周面よりも径方向内側へ突出している点で第5の参考例と異なっている。したがって、本参考例の管継手310は、以下の構成を有している。
【0076】
すなわち、軸方向の先端側が管Pに接続され、かつ軸方向の基端側が被接続箇所U1に接続される管継手であって、管Pに挿入して接続される内筒体14と、前記内筒体14の基端側に当該内筒体14に対して相対回転可能に設けられ、被接続箇所U1に螺合される雌ネジ(ネジ部)28を有しているナット(ネジ筒)16と、内筒体14に対する管Pの基端側への移動を許容しつつ先端側への移動を規制することによって当該管Pを保持する保持環42(保持機構47)と、内筒体14に設けられ、内筒体14を挿入した管Pの周面に密着する弾性シール部材36と、を備えており、内筒体14は、前記ナット16の筒内に対して基端側から先端側に向けて挿入され、ナット16には、内筒体14の先端側への移動を規制する第3突条部(位置規制部)29が設けられている。
【0077】
本参考例では、第3突条部29が管Pの外周面よりも径方向内側へ突出しているので、内筒体14とともに管Pをナット16から基端側へ抜き取ることができないが、内筒体14に装着された管Pの外周面が開放されているため、管Pを2点鎖線で切断し、さらに管Pを軸方向に切断することで内筒体14から取り外すことができる。
その他の構成は、第5の参考例と同様であり、上述した第5の参考例と略同様の作用効果を奏する。
【0078】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更できるものである。
例えば、保持機構47を構成する保持環42は、第1爪部(第1保持部)46と第2爪部(第2保持部)45とを別体に備えていてもよい。つまり、第1爪部46を有する第1の保持環と、第2爪部45を有する第2の保持環とによって本発明の保持環42が構成されていてもよい。
本発明の管継手10は、液体だけでなく気体を扱う管Pと機器Uとを接続するために用いることができる。
【符号の説明】
【0079】
10: 管継手
14: 内筒体
15: 外筒体
16: ナット(ネジ筒)
21: 第1突条部(被規制部)
29: 第3突条部(位置規制部)
29a: 規制面
36: 弾性シール部材
42: 保持環
47: 保持機構
P: 管
U1:被接続箇所
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の先端側が管(P)に接続され、かつ軸方向の基端側が被接続箇所(U1)に接続される管継手であって、
内筒体(14)と、
この内筒体(14)の径方向外側に配置され、当該内筒体(14)との間に管(P)を挿入可能なスペース(S)を形成する外筒体(15)と、
前記内筒体(14)の基端側に当該内筒体(14)に対して相対回転可能に設けられ、被接続箇所(U1)に螺合されるネジ部(28)を有しているネジ筒(16)と、
前記スペース(S)に挿入された管(P)の前記基端側への移動を許容しつつ前記先端側への移動を規制することによって当該管を保持する保持機構(47)と、
前記内筒体(14)に設けられ、前記スペース(S)に挿入された管(P)の周面に密着する弾性シール部材(36)と、を備えており、
前記内筒体(14)は、前記ネジ筒(16)の筒内に対して前記基端側から前記先端側に向けて挿入され、
前記ネジ筒(16)には、前記内筒体(14)の前記先端側への移動を規制するとともに、前記管(P)を軸方向への通過を許容する位置規制部(29)が設けられていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記内筒体(14)には、前記管(P)の外周面よりも径方向外方へ突出する被規制部(21)が形成され、
前記位置規制部(29)は、前記管(P)の外周面よりも径方向外側において前記被規制部(21)の前記先端側への移動を規制する規制面(29)を有している請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記保持機構(47)が、前記外筒体(15)の内周面に設けられ、かつ前記管(P)の外周面に係止する保持環(42)を備えている請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項4】
前記保持機構(47)が、前記内筒体(15)の外周面に設けられ、かつ前記管(P)の内周面に係止する保持環(42)を備えている請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項5】
前記外筒体(15)と前記ネジ筒(16)とが一体回転可能に構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の管継手。
【請求項6】
前記外筒体(15)が、前記ネジ筒(16)に対して相対回転可能に設けられるとともに、前記ネジ筒(16)に対して前記基端側から前記先端側に向けて挿入され、かつ前記位置規制部(29)によって前記内筒体(14)とともに前記先端側への移動が規制されている請求項1〜4のいずれかに記載の管継手。
【請求項1】
軸方向の先端側が管(P)に接続され、かつ軸方向の基端側が被接続箇所(U1)に接続される管継手であって、
内筒体(14)と、
この内筒体(14)の径方向外側に配置され、当該内筒体(14)との間に管(P)を挿入可能なスペース(S)を形成する外筒体(15)と、
前記内筒体(14)の基端側に当該内筒体(14)に対して相対回転可能に設けられ、被接続箇所(U1)に螺合されるネジ部(28)を有しているネジ筒(16)と、
前記スペース(S)に挿入された管(P)の前記基端側への移動を許容しつつ前記先端側への移動を規制することによって当該管を保持する保持機構(47)と、
前記内筒体(14)に設けられ、前記スペース(S)に挿入された管(P)の周面に密着する弾性シール部材(36)と、を備えており、
前記内筒体(14)は、前記ネジ筒(16)の筒内に対して前記基端側から前記先端側に向けて挿入され、
前記ネジ筒(16)には、前記内筒体(14)の前記先端側への移動を規制するとともに、前記管(P)を軸方向への通過を許容する位置規制部(29)が設けられていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記内筒体(14)には、前記管(P)の外周面よりも径方向外方へ突出する被規制部(21)が形成され、
前記位置規制部(29)は、前記管(P)の外周面よりも径方向外側において前記被規制部(21)の前記先端側への移動を規制する規制面(29)を有している請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記保持機構(47)が、前記外筒体(15)の内周面に設けられ、かつ前記管(P)の外周面に係止する保持環(42)を備えている請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項4】
前記保持機構(47)が、前記内筒体(15)の外周面に設けられ、かつ前記管(P)の内周面に係止する保持環(42)を備えている請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項5】
前記外筒体(15)と前記ネジ筒(16)とが一体回転可能に構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の管継手。
【請求項6】
前記外筒体(15)が、前記ネジ筒(16)に対して相対回転可能に設けられるとともに、前記ネジ筒(16)に対して前記基端側から前記先端側に向けて挿入され、かつ前記位置規制部(29)によって前記内筒体(14)とともに前記先端側への移動が規制されている請求項1〜4のいずれかに記載の管継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図16】
【図17】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−19492(P2013−19492A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153987(P2011−153987)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(393024717)オーケー器材株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(393024717)オーケー器材株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
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