説明

箱詰機

【課題】缶詰、瓶詰等の物品を段ボール箱等の箱に詰める作業を自動化した箱詰機を提供する。
【解決手段】整列された複数の物品23を周囲から支える支持装置21と、空気の注入により膨張可能なチューブの両端をそれぞれ支持体に密嵌して取り付け、該支持体にはチューブ内へ空気を注入するための空気通路を備えさせてなるつかみ装置25とを備え、当該複数の物品を該支持装置により周囲から支えさせると共に該物品と物品との間の隙間に前記つかみ装置におけるチューブを挿入し該チューブを膨張させることにより該物品を該支持装置とつかみ装置とにより保持させた状態で、該支持装置とつかみ装置とを移動させて箱27内に該物品を詰めるようにしたことを特徴とする箱詰機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶詰、瓶詰等の物品を段ボール箱等の箱に詰めるための箱詰機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品を段ボール箱等の箱に詰める作業は、従来より一般に人手により行なわれている。
【0003】
しかるに、人手による箱詰作業は、作業者に過度の負担を強いる非能率的な作業であり、人件費の増大をもたらすことになる。
【0004】
一方、特開昭62−297083号公報は、部品等のつかみ装置(以下「従来のつかみ装置」という。)を開示している。
【0005】
従来のつかみ装置は、空気の注入により膨張可能なチューブの両端をそれぞれ支持体に密嵌して取り付け、該支持体にはチューブ内へ空気を注入するための空気通路を備えさせてなるものである。
【0006】
すなわち、図5に示す事例においては、空気の注入により膨張可能なチューブ1の両端1a、1bをそれぞれ硬質の支持体3の基端部5と先端部7とに密嵌して取り付ける。チューブ1の一端1aは、かしめリング9により支持体3の基端部5に固定される。チューブ1の他端1bは、折り返した状態でかしめリング11により支持体3の先端部7に固定される。支持体3にはチューブ1内へ空気を注入するための空気通路13を備えさせる。
【0007】
従来のつかみ装置は、先端部7を部品等に形成された孔又は溝内へ挿入した状態で空気通路13を介してチューブ1内へ空気を送入することによりチューブ1を膨張させて部品等をつかむようにしたものである。
【特許文献1】特開昭62−297083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、缶詰、瓶詰等の物品を段ボール箱等の箱に詰める作業を自動化した箱詰機を提供し、特に、従来のつかみ装置を利用することにより箱詰作業を自動化した箱詰機を提供しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は下記の箱詰機を提供する。
【0010】
(1)整列された複数の物品を周囲から支える支持装置と、空気の注入により膨張可能なチューブの両端をそれぞれ支持体に密嵌して取り付け、該支持体にはチューブ内へ空気を注入するための空気通路を備えさせてなるつかみ装置とを備え、
当該複数の物品を該支持装置により周囲から支えさせると共に該物品と物品との間の隙間に前記つかみ装置におけるチューブを挿入し該チューブを膨張させることにより該物品を該支持装置とつかみ装置とにより保持させた状態で、該支持装置とつかみ装置とを移動させて箱内に該物品を詰めるようにしたことを特徴とする箱詰機(請求項1)。
【0011】
(2)物品を整列させた状態で送るコンベヤと、コンベヤ端にて該コンベヤ上の物品を停止させるストッパーと、該コンベヤから物品を整列させた状態で受け取るフリーローラーを有するスライドテーブルと、該フリーローラー上の物品を前後左右の四方向から支える支持装置と、空気の注入により膨張可能なチューブの両端をそれぞれ支持体に密嵌して取り付け、該支持体にはチューブ内へ空気を注入するための空気通路を備えさせてなるつかみ装置とを備え、
前記スライドテーブルは水平方向に進退自在であり、
前記支持装置は前後左右の四つのガイドを備え、これら四つのガイドは昇降自在であり、これらのガイドのうち少なくとも三つのガイドは前記フリーローラー上の物品に対し水平方向に接離自在であり、
前記フリーローラー上の物品を前記四つのガイドにより支えさせると共にフリーローラー上の物品と物品との間の隙間に前記つかみ装置におけるチューブを挿入し該チューブを膨張させることにより該物品を前記四つのガイドとつかみ装置とにより保持させた状態で、スライドテーブルを水平方向に移動させ、四つのガイドとつかみ装置とを下降させて箱内に該物品を詰めるようにしたことを特徴とする箱詰機(請求項2)。
【0012】
(3)前記スライドテーブルは、前記コンベヤからフリーローラー上に物品を受け取った後、水平方向に移動することにより、該フリーローラー上の物品をコンベヤ上の物品から分離する(請求項3)。
【0013】
(4)箱内に物品を詰めた後、該箱内の物品上に中仕切板を載置し、該中仕切板上に更に物品を詰める(請求項4)。
【発明の効果】
【0014】
[請求項1の発明]
整列された複数の物品を支持装置により周囲から支えさせると共に該物品と物品との間の隙間につかみ装置におけるチューブを挿入し該チューブを膨張させることにより当該複数の物品を支持装置とつかみ装置とにより確実に保持させることができる。しがたって、複数の物品を支持装置とつかみ装置とにより保持させた状態で該支持装置とつかみ装置とを移動させて箱内に当該複数の物品を一挙に詰めることができる。
【0015】
[請求項2の発明]
物品を箱に詰める箱詰作業を自動化することができる。したがって、箱詰作業の能率は著しく向上し、箱詰作業に要する人件費を大幅に節約することができる。
【0016】
[請求項3の発明]
フリーローラー上の物品はコンベヤ上に残存する物品から分離されるため、以後の箱詰作業は確実、かつ、円滑に行なわれる。
【0017】
[請求項4の発明]
箱内に物品を詰めた後、該箱内の物品上に中仕切板を載置し、該中仕切板上に更に物品を詰めるようにしたため、箱内に物品を多段に詰めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
符号21に示すものは、整列された缶詰、瓶詰等の複数の物品23、23・・・を周囲から支える支持装置である。
【0019】
支持装置21は、好ましくは、複数の物品23、23・・・を前後左右の四方向から支えるものとするが、支持装置21は、必ずしも複数の物品23、23・・・を前後左右の四方向から支えるものである必要はなく、例えば複数の物品23、23・・・を環状に支えるものであっても差し支えない。
【0020】
符号25に示すものは、つかみ装置である。つかみ装置25は、エアシリンダ等の駆動手段24により昇降自在である。
【0021】
つかみ装置25は、前記図5に示すつかみ装置と同様のものであって、空気の注入により膨張可能なチューブ1の両端1a、1bをそれぞれ支持体3に密嵌して取り付け、該支持体3にはチューブ内へ空気を注入するための空気通路13を備えさせてなるものである。
【0022】
この事例においては、当該複数の物品23、23・・・を支持装置21により周囲から支えさせると共に該物品23と物品23との間の隙間26に前記つかみ装置25におけるチューブ1を挿入し該チューブ1を膨張させることにより該物品23、23・・・を支持装置21とつかみ装置25とにより保持させた状態(図6、図7参照)で、該支持装置21とつかみ装置25とを例えば下方に移動させて段ボール箱等の箱27内に該物品23、23・・・を詰めるようになす。なお、箱27内に物品23、23・・・を詰めた後、支持装置21とつかみ装置25とは物品23、23・・・の保持を解除し、元の位置に戻る。
【0023】
図1〜図4に示す箱詰機は、物品23、23・・・を整列させた状態で送るコンベヤ31と、該コンベヤ31端にて該コンベヤ31上の物品23、23・・・を停止させるストッパー33と、該コンベヤ31から物品23、23・・・を整列させた状態で受け取る回転自在のフリーローラー35を有するスライドテーブル37と、該フリーローラー35上の物品23、23・・・を前後左右の四方向から支える支持装置21と、前記つかみ装置25とを備えている。
【0024】
コンベヤ31は、一例として、ローラー式アキュームコンベヤとする。図示の事例においては、コンベヤ31は複数段に積み重ねた物品23、23・・・を複数列に整列させた状態で送っているが、物品23、23・・・の整列状態は如何なるものであってもよい。
【0025】
コンベヤ31端にて該コンベヤ31上の物品23、23・・・を停止させるストッパー33は、一例として、エアシリンダ等の駆動手段36により昇降自在であり、下降したときにコンベヤ31上の物品23、23・・・に当接して該物品23、23・・・を停止させる。
【0026】
コンベヤ31から物品23、23・・・を整列させた状態で受け取るフリーローラー35を有する前記スライドテーブル37は、水平方向に進退自在である。
【0027】
すなわち、スライドテーブル37は、一例として、物品23、23・・・の送り方向(前後方向)に配設されたレール41に摺動自在に支持され、エアシリンダ等の駆動手段43により前後方向に進退自在である。
【0028】
図示の事例における支持装置21は、整列された複数の物品23、23・・・を前後左右の四方向から支えるものであり、前後左右の四つのガイド、すなわち、物品23、23・・・の送り方向(前後方向)に対して前側ガイド45と、後側ガイド47と、右側ガイド49と、左側ガイド51とを備えている。なお、図1〜図4においては、図面を見やすくするために、左側ガイド51は図示されていない。
【0029】
前側ガイド45と、後側ガイド47と、右側ガイド49と、左側ガイド51とは、それぞれ物品23、23・・・の形状に適合する当接体45a、47a、49a、51aを備えている。図6参照。
【0030】
前側ガイド45と、後側ガイド47と、右側ガイド49と、左側ガイド51とは、昇降自在である。
【0031】
すなわち、前側ガイド45と、後側ガイド47と、右側ガイド49と、左側ガイド51とは、一例として、それぞれ各別のエアシリンダ等の駆動手段(後側ガイド47の駆動手段53のみ図示。)により昇降するようにしてもよいが、共通のエアシリンダ等の駆動手段(図示せず。)により昇降するようにしてもよい。
【0032】
これら四つのガイド(前側ガイド45と、後側ガイド47と、右側ガイド49と、左側ガイド51)のうち少なくとも三つのガイドは前記フリーローラー35上の物品23、23・・・に対し水平方向に接離自在である。
【0033】
図示の事例においては、前側ガイド45は水平方向には移動不能であるが、他の三つのガイド(後側ガイド47と、右側ガイド49と、左側ガイド51)はフリーローラー35上の物品23、23・・・に対しエアシリンダ等の駆動手段により水平方向に接離自在である。すなわち、フリーローラー35がコンベヤ31から物品23、23・・・を受け取ったときに、該物品23、23・・・が前側ガイド45に当接し、後側ガイド47と、右側ガイド49と、左側ガイド51とが物品23、23・・・方向に進んで該物品23、23・・・に当接する。
【0034】
図1〜図4においては、後側ガイド47を水平方向に接離自在ならしめるための駆動手段55と、右側ガイド49を水平方向に接離自在ならしめるための駆動手段57のみを示し、左側ガイド51を水平方向に接離自在ならしめるための駆動手段59は図示を省略した。
【0035】
前記フリーローラー35上の物品23、23・・・を前記四つのガイド(前側ガイド45と、後側ガイド47と、右側ガイド49と、左側ガイド51)により支えさせると共にフリーローラー35上の物品23と物品23との間の隙間26に前記つかみ装置25におけるチューブ1を挿入し該チューブ1を膨張させることにより該物品23、23・・・を前記四つのガイド45、47、49、51とつかみ装置25とにより保持させた状態で、スライドテーブル37を水平方向に移動させ、当該四つのガイド45、47、49、51とつかみ装置25とを下降させて箱27内に該物品23、23・・・を詰めるようになす。
【0036】
箱27内に物品23、23・・・を詰めた後、前記四つのガイド45、47、49、51とつかみ装置25は、物品23、23・・・の保持を解除した後、上昇して元の位置に戻り、以後、同様にして箱27内に物品23、23・・・を詰める作業が行なわれる。
【0037】
前記スライドテーブル37は、前記コンベヤ31からフリーローラー35上に物品23、23・・・を受け取った後、水平方向に移動することにより、該フリーローラー35上の物品23、23・・・をコンベヤ31上の物品23、23・・・から分離する。このとき、コンベヤ31端にて該コンベヤ31上の物品23、23・・・を停止させるストッパー33が下降し、コンベヤ31上の物品23、23・・・に当接してコンベヤ31上の該物品23、23・・・を停止させる。また、エアシリンダ等の駆動手段により昇降するストッパー(図示せず。)をフリーローラー35上に押圧することにより、フリーローラー35の回転を停止させる。
【0038】
箱27内に物品23、23・・・を詰めた後、該箱27内の物品23、23・・・上に中仕切板61を載置し、該中仕切板61上に更に物品23、23・・・を詰める。図8参照。
【0039】
図3、図4に示す事例においては、ストック位置63にストックされた中仕切板61は、吸着パッド65により吸着され、中間位置67に運ばれる。中間位置67の中仕切板61は、待機位置69までスライドする。待機位置69の中仕切板61は、吸着パッド71により吸着され、箱27内の物品23、23・・・上に載置される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による箱詰機の動作を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明による箱詰機の次の動作を概略的に示す斜視図である。
【図3】本発明による箱詰機の更に次の動作を概略的に示す斜視図である。
【図4】本発明による箱詰機の更に次の動作を概略的に示す斜視図である。
【図5】つかみ装置を示す断面図である。
【図6】物品を支持装置とつかみ装置とにより保持させた状態を示す平面図である。
【図7】物品と物品との間の隙間につかみ装置におけるチューブを挿入し該チューブを膨張させた状態を示す平面図である。
【図8】箱内の物品と中仕切板とを示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 チューブ
1a 端
1b 端
3 支持体
5 基端部
7 先端部
9 かしめリング
11 かしめリング
13 空気通路
21 支持装置
23 物品
24 駆動手段
25 つかみ装置
26 隙間
27 箱
31 コンベヤ
33 ストッパー
35 フリーローラー
36 駆動手段
37 スライドテーブル
41 レール
43 駆動手段
45 前側ガイド
45a 当接体
47 後側ガイド
47a 当接体
49 右側ガイド
49a 当接体
51 左側ガイド
51a 当接体
53 駆動手段
55 駆動手段
57 駆動手段
59 駆動手段
61 中仕切板
63 ストック位置
65 吸着パッド
67 中間位置
69 待機位置
71 吸着パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整列された複数の物品を周囲から支える支持装置と、空気の注入により膨張可能なチューブの両端をそれぞれ支持体に密嵌して取り付け、該支持体にはチューブ内へ空気を注入するための空気通路を備えさせてなるつかみ装置とを備え、
当該複数の物品を該支持装置により周囲から支えさせると共に該物品と物品との間の隙間に前記つかみ装置におけるチューブを挿入し該チューブを膨張させることにより該物品を該支持装置とつかみ装置とにより保持させた状態で、該支持装置とつかみ装置とを移動させて箱内に該物品を詰めるようにしたことを特徴とする箱詰機。
【請求項2】
物品を整列させた状態で送るコンベヤと、コンベヤ端にて該コンベヤ上の物品を停止させるストッパーと、該コンベヤから物品を整列させた状態で受け取るフリーローラーを有するスライドテーブルと、該フリーローラー上の物品を前後左右の四方向から支える支持装置と、空気の注入により膨張可能なチューブの両端をそれぞれ支持体に密嵌して取り付け、該支持体にはチューブ内へ空気を注入するための空気通路を備えさせてなるつかみ装置とを備え、
前記スライドテーブルは水平方向に進退自在であり、
前記支持装置は前後左右の四つのガイドを備え、これら四つのガイドは昇降自在であり、これらのガイドのうち少なくとも三つのガイドは前記フリーローラー上の物品に対し水平方向に接離自在であり、
前記フリーローラー上の物品を前記四つのガイドにより支えさせると共にフリーローラー上の物品と物品との間の隙間に前記つかみ装置におけるチューブを挿入し該チューブを膨張させることにより該物品を前記四つのガイドとつかみ装置とにより保持させた状態で、スライドテーブルを水平方向に移動させ、四つのガイドとつかみ装置とを下降させて箱内に該物品を詰めるようにしたことを特徴とする箱詰機。
【請求項3】
前記スライドテーブルは、前記コンベヤからフリーローラー上に物品を受け取った後、水平方向に移動することにより、該フリーローラー上の物品をコンベヤ上の物品から分離することを特徴とする請求項2に記載の箱詰機。
【請求項4】
箱内に物品を詰めた後、該箱内の物品上に中仕切板を載置し、該中仕切板上に更に物品を詰めることを特徴とする請求項2又は3に記載の箱詰機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−222279(P2008−222279A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64592(P2007−64592)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(592209755)金城機工株式会社 (5)
【Fターム(参考)】