説明

簡易ガス洗浄方法および装置

【課題】本願の目的は、ガス洗浄ろ過薄膜のための改良された方法及び装置を提供することである。
【解決手段】本願は、薄膜の表面を通過するように気泡を流し、前記薄膜(6)の表面から堆積物を洗い流すことによって、薄膜ろ過システム内の薄膜(6)を洗浄する方法である。その洗浄方法は、ガスの供給部を通過する液体を流す工程と;前記液体流れ内で減圧を生み出し、ガスの供給部(9)からのガスの流れを前記液体流れ内に生じさせ、該液体流れ内に気泡を形成する工程と;前記薄膜の表面を通過するように、前記気泡を含んだ前記液体を流し、前記薄膜(6)の表面を洗い流す工程と、を含んでいる。その方法を実行するための装置も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜ろ過システムに関し、より具体的には、ガス洗浄ろ過薄膜のための改良された方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス洗浄システムは薄膜ろ過システムと共に使用され、薄膜を洗浄して、通常の逆洗浄または高い逆洗浄効率の必要を減らして、長期間に渡ってそのようなシステムを効果的に操作することを可能にしている。一般的にそのようなシステムは、送風機またはポンプによって生成した加圧ガスを採用して気泡を発生させており、該気泡は、薄膜の表面に沿って流れ、堆積物および不純物を薄膜の表面から洗い流す。ガスの加圧源のために必要なものは、通常は高価なポンプおよび動力源を要求する。このことは大規模な商業システムに関係することではない一方で、ガス供給のコストは、そのような洗浄方法をより小さなシステム、例えば家庭用ろ過システムに提供可能にするためには不利に見られる。そのような利点は、遠隔領域内(農場、遠く離れた村、遠征地)での活用に見られ、そのような場所では、電気や圧縮空気を得ることが困難であるが、十分な水圧(50〜400kPa)はシステムを操作するために利用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、加圧ガス供給の必要としないで運転するガス洗浄システムを提供することを狙いとしている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一の態様によると、本発明は、薄膜の表面を通過する気泡を流し、前記薄膜の表面から堆積物を洗い流すことによって、薄膜ろ過システム中の薄膜を洗浄する方法であって、該洗浄方法は:
a)ガスの供給部を通過する液体を流す工程と;
b)前記液体流れ内で減圧を生み出し、前記ガスの供給部からのガスの流れを前記液体流れ内に生じさせ、該液体流れ内に気泡を形成する工程と;
c)前記気泡を含んだ前記液体を、前記薄膜の表面を通過するように流し、前記薄膜の表面を洗い流す工程と、
を含んでいる。
【0005】
好ましくは、該減圧は、エゼクター(eductor)またはベンチュリ装置内で作り出されている。
【0006】
好ましくは、その液体は、前記薄膜ろ過システムに供給された供給液体を含んでいる。
【0007】
本発明の好適な実施形態が、添付した図面を参照して、一例として記載されているであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一の実施形態による薄膜ろ過システムの概略図を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、このシステムは、それに取り付けられた複数の薄膜6を有する薄膜ろ過モジュール5を備えている。供給ライン7は、バルブV1とエゼクター/ベンチュリ装置8とを通じて、薄膜ろ過モジュール5に未処理水を供給する。ガス、一般的に空気は、ガスライン9とチェックバルブV5とを通じてエゼクター8に供給される。ろ過液は、ろ過液バルブV4によって制御されたろ過液ライン10を通じて、薄膜6から回収される。薄膜ろ過モジュール5には、それぞれ上部排液バルブV3および下部排液バルブV2によって制御された、上部排液ライン11および下部排液ライン12が設けられている。上部排液ライン11と下部排液ライン12とは、排液槽13に排出する。
【0010】
使用時には、未処理水は、バルブV1とエゼクター8とを通じて、薄膜ろ過モジュール5内に入る。通常操作状態では、下部排液バルブV2と上部排液バルブV3とは閉じられている。処理水(ろ過液)が必要とされる場合、ろ過液バルブV4(タップ)は開かれ、水圧は薄膜6を通じてろ過液側に水を押し、ろ過液はろ過液バルブ4とろ過液ライン10とを通じて流れを作り出す。流速が薄膜の抵抗で制限されるため、エゼクター8内で流れる水の速度は、空気を水流中に吸い込むほどには高くない。その代わりに、水圧はチェックバルブV5を閉じさせるであろう。もし必要ならば、流速は、ろ過液バルブV4、バルブV1、またはろ過液V4とモジュールとの間に設置された付加的な流れ制御バルブによって、さらに制御されることが可能である。薄膜が閉塞し始めた場合、次工程が薄膜を洗浄するために利用される:
a)ろ過液バルブV4は閉じ続け、排液バルブV3が開かれる。このことは、バルブV1を通じて、エゼクター8および薄膜モジュール5を通じて、水を高い流速で流させる。水は、上部排液バルブV3を通じて排出され、さらなる洗浄などに使用するために、付加的に排液槽13に集められることが可能である。水が、薄膜6によって拘束されることなく薄膜モジュールに沿って通過することができるので、エゼクター/ベンチュリ装置8内での流速は、吸気圧力を生み出すほどに高い。このことは、空気がチェックバルブV5を通じて、及びエゼクターを通じて給水流内に入らせており、該エゼクターを通る給水流内に気泡を作り出している。強い水流と組み合わさった気泡は、薄膜からのあらゆる汚物層を洗い流し、ろ過液バルブV4を通じて除去された懸濁物を流し出す。
b)より強力な洗浄作用が要求される場合は、一部のまたはいくつかの後に続く工程が付加されることが可能である:
i)上部排液バルブV3を閉じる。このことは、システム内における水圧の形成に導き、モジュールハウジング内に閉じ込められた空気を圧縮する。供給バルブV1を閉じた後、下部排液バルブV2が開かれる。このことは、空気を膨張させ、且つ残存している液体部分を一掃し(sweep)、より多くの懸濁物を外部に運搬する。さらに、圧縮された空気は時々容器の適用を必要とし、モジュールから液体の除去を補助する。
ii)もし必要ならば、薄膜モジュール5が完全に排水されるまで、追加の一掃ステップ(sweeping step)は、上部排液バルブV3を開いたことによって後に続くことが可能である。
iii)バルブV2およびバルブV3は閉じられる。バルブV1を開くことで水圧がかけられ、フィルタハウジング内の空気が圧縮される。給水は、空気の圧縮によって利用可能にされた空間を獲得する。i)およびii)のステップを繰り返すことは、薄膜6に付加的な洗浄を付与する。
iv)バルブV2およびバルブV3は閉じられる。バルブV1を開くことは、水が薄膜モジュール5内に入ることを可能にする。バルブV3を通して入念に清浄化することは、混入した空気が除去されることを可能にしている。その後、バルブV3は閉じられて、システムは再び接続され、通常のろ過が再開する。
【0011】
多様なバルブの順序制御(sequencing)が、所望の結果を達成するために使用されることができるということは、薄膜ろ過の当業者によって認識されるであろう。
【0012】
エゼクター8は設備の一部分であり、水の動的流れを利用し、空気を水流内に取り込ませる部分的な真空状態を作り出している。一般的に、これはベンチュリ管またはある種のノズルである。
【0013】
もし、薄膜の化学洗浄が必要とされる場合には、エゼクター8への付加的な液体接続は、洗浄中に液流内に任意の洗浄薬を吸い込むために使用されてもよい。その短い時間の後、液流は、洗浄薬を節約するためにバルブV1を閉じることによって止められ、薄膜が洗浄薬の溶液内に浸されることを可能にする。
【0014】
その洗浄システムは、ファイバ、フラットシート、螺旋巻き、平板または板状を含む任意の薄膜の形態に適用されてもよい。
【0015】
そのろ過システムは、活性炭フィルタまたは味やにおいを除去するようなものと適切に組み合わされてもよい。
【0016】
本発明のさらなる実施形態および適用例が、記載された本発明の思想または技術的範囲から逸脱することなく可能であることは、認識されるであろう。
【符号の説明】
【0017】
5 薄膜ろ過モジュール
6 薄膜
7 供給ライン
8 エゼクター/ベンチュリ装置
9 ガスライン
10 ろ過液ライン
11、12 排液ライン
13 排液槽
V1 バルブ
V2、V3 排液バルブ
V4 ろ過液バルブ
V5 チェックバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜の表面を通過するように気泡を流し、前記薄膜の表面から堆積物を洗い流すことによって、薄膜ろ過システム内の薄膜を操作し、且つ洗浄する方法であって、該洗浄方法は:
a)ガスの供給部を通過する供給液体流れを提供する工程と;
b)ベンチュリ装置を通じて前記供給液体流れを通過させることによって、前記供給液体流れ内の減圧を生じさせ、前記ガスの供給部からのガスの流れを前記供給液体流れ内に生じさせ、該供給液体流れ内に気泡を形成する工程と;
c)前記気泡を含んだ前記液体を前記薄膜の表面を通過するように流し、前記薄膜の表面を洗い流す工程と、
d)その間に前記供給液体のろ過が生じる第1の動作モードを提供するために、且つ前記気泡を含んでいる液体の供給によって前記薄膜が洗い流される第2の動作モードを提供するために、前記ガスの供給部を通過するように前記供給液体流れの流速を変える工程であって、前記第2の動作モードが前記薄膜の抵抗の増加に応じて選択される、前記供給液体流れの流速を変える工程と、
を含むことを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
前記第1の動作モードにおいて、前記ベンチュリ装置を通過した供給液体流れの流速は、その中の気泡の生成を最小限にするために、発生した圧力降下が最小になるように選択されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記供給液体流れの流速を増加させるために、前記薄膜の抵抗に応じて動作可能であるバルブ手段が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の動作モード中にガスの導入を防止するために、且つ前記第2の動作モード中にガスの導入を可能にするために、前記ベンチュリ装置を介して前記供給液体流れへの前記ガスの流れを制御するように、ガスインレットバルブを提供する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガスインレットバルブは、前記流速に応答していることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記供給液体流れの流速を増加させるための前記バルブ手段は、前記薄膜を含んでいるエンクロージャーからのアウトレットを開くことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
化学洗浄流体の供給部を通過するように前記供給液体を流す工程を備えており、それによって、前記供給液体流れ内の前記減圧が、前記化学洗浄流体の供給部からの前記化学洗浄流体の流れを前記供給液体流れ内に生じさせることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
薄膜と、前記薄膜の表面に気泡を流し、前記薄膜の表面から堆積物を洗い流すことによって、薄膜ろ過システム内の薄膜を洗浄する装置と、を備えている薄膜ろ過システムであって、該洗浄する装置は:
a)ガスの供給部を通過する供給液体を流す手段と;
b)前記供給液体流れ内の減圧を生み出すために前記薄膜の抵抗の増加に応答する手段であって、該応答する手段が、前記ガスの供給部からのガスの流れを前記供給液体流れ内に生じさせ、該供給液体流れ内に気泡を形成しており、それを通じて流れている供給液体を有するエゼクター又はベンチュリ装置を備えている、前記薄膜の抵抗の増加に応答する手段と;
c)前記気泡を含んだ前記液体を、前記薄膜の表面を通過するように流し、前記薄膜の表面を洗い流す手段と、
d)その間に供給液体のろ過が生じる第1の動作モードを提供するために、且つ前記薄膜が前記気泡を含んでいる液体の供給によって洗い流される第2の動作モードするために、前記ガスの供給部を通過する前記供給液体流れの流速を変えるための手段であって、前記第2の動作モードを選択するように、前記薄膜の抵抗の増加に応答している、前記供給液体流れの流速を変えるための手段と、
を含んでいることを特徴とする薄膜ろ過システム。
【請求項9】
前記供給液体流れの流速を増加させるために、前記薄膜の抵抗の増加に応答するバルブ手段をさらに含んでいることを特徴とする、請求項8に記載の薄膜ろ過システム。
【請求項10】
前記薄膜ろ過システムの前記第1の動作モード中に、前記供給液体流れの流速は最小限の圧力減少が発生するように選択されていることを特徴とする、請求項8に記載の薄膜ろ過システム。
【請求項11】
前記第1の動作モード中に前記供給液体流れ内へのガスの流れを防止するために、さらなるバルブ手段を含んでいることを特徴とする、請求項10に記載の薄膜ろ過システム。
【請求項12】
前記さらなるバルブ手段は、前記供給液体流れの前記流速に応答していることを特徴とする、請求項11に記載の薄膜ろ過システム。
【請求項13】
前記供給液体流れの流速を増加させるための前記バルブは、前記薄膜を含んでいるエンクロージャーからのアウトレットを開くことを特徴とする、請求項8に記載の薄膜ろ過システム。
【請求項14】
化学洗浄流体の供給部を通過するように前記供給液体を流す手段をさらに含み、それによって、前記供給液体流れ内の前記減圧が、前記化学洗浄流体の供給部からの前記化学洗浄流体の流れを前記供給液体流れ内に生じさせることを特徴とする、請求項8に記載の薄膜ろ過システム。

【図1】
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【公開番号】特開2012−55890(P2012−55890A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−237202(P2011−237202)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【分割の表示】特願2007−547100(P2007−547100)の分割
【原出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(507058144)シーメンス・ウォーター・テクノロジーズ・コーポレーション (23)
【Fターム(参考)】