説明

米粉組成物

約3.5〜約9の吸水指数及び約130RVU〜約900RVUのピーク粘度を有する米粉を含む米粉組成物。ドライブレンド、生地、製造方法、及び前記米粉組成物から作製される加工チップス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉組成物及び米粉組成物を含む食品に関し、特に米粉組成物を含む加工スナック製品に関する。
【背景技術】
【0002】
デンプン系材料を含む生地から調製される加工スナック製品は当該技術分野において周知である。これらの生地は、典型的に、脱水されたポテトのフレーク、顆粒、及び/又はフラニュールのような脱水ポテト製品を含む。生地は、小麦、トウモロコシ、米、タピオカ、大麦、キャッサバ、オート麦、サゴ、及びポテトのデンプン及び粉のような多数の他のデンプン系成分も含んでもよい。これらの他のデンプン系成分は、典型的に、脱水ポテト製品よりも少ない量が生地に含まれる。
【0003】
こうした食品、例えばポテトスナックを、薄切りされた丸ごとのポテトからでなく生地から調製する利点としては、最終食品に均質性及び一様性があること、並びに当該食品の調製に関係する別個の工程をより厳密に制御できることが挙げられる。更に、生地から加工スナック製品を調製することは、原材料の入手可能性並びに種々の質感及び風味に対する消費者の要望に従ってこうした製品を配合するための柔軟性を提供する。
【0004】
米粉は世界中で入手できる材料である。その特徴的な風味は、不純物のない及び中立のと説明することができ、それを、トウモロコシ、ポテト、米、及び他のスナックにおいて使用するのに適したものとする。更に、米粉は、ハーブ風味又は甘い風味等の低強度に風味付けされたスナックに加えて、高強度に風味付けされた調味スナックを製造するための主な成分として使用するのに好適であるが、その理由は、米粉の中立な風味が調味料の風味と競合しないためである。
【0005】
また、米は、様々なプロセスを用いることによって部分的に又は完全に糊化される柔軟性を提供する。これら様々なプロセスの幾つかは、パーボイリング、蒸し調理、急速プロセス、押出成形、並びにこれらの組み合わせ及び混合が挙げられる。
【0006】
米粉を加工スナック生地に含んでもよいが、米粉を含むことによって、容易には解決されない加工及び製品品質上の問題を引き起こす恐れがある。例えば、米粉の添加によって、水和、調理、乾燥、圧延又は油ちょうが困難な弾性のない生地が生じる恐れがある。更に、これらの生地から得られる加工スナック製品は、柔らかすぎたり、クラッカー様の質感を有したり、望ましくない生物の味を有したり、固すぎ及び濃すぎることがあり得る。これらの特徴は、一部には、米デンプンがスナックに使用するために入手できるデンプンの間で最も高い糊化温度の1つ(72℃)を有するために、米粉の調理が困難であることによって引き起こされる。つまり、こうした高い糊化温度が、生っぽい味及び得られる製品の「歯への詰まり」を避けるために米粉中のデンプンを完全に調理するのを妨げている可能性がある。
【0007】
固定した状態で焼成又は油ちょうすることによって製品の膨張を制御できない場合、米の特性を用いて製品を一貫して均一に膨張させることができる。典型的に、パーボイルド調理された米粉は、早炊きプロセスで調理された米又は予め糊化された米粉とは異なる機能性を示す。予め糊化された米粉で作製された生地から得られる加工スナック製品は、油ちょう又は焼成が半固定システムにおいて行われるときでさえも、一貫した製品膨張を示すことができる。
【0008】
油ちょうスナック製品中の米粉の量を増やすことによって、実質的な利益が得られる可能性がある。驚くべきことに、米粉の生地は、油ちょうする際に、ポテト及び他の粉の生地よりも、吸収する油脂が少ないことが見出された。しかし、この利益は、使用される米粉の量と必ずしも比例している訳ではない。その上、世界のほとんどの地域では、米粉は、ポテト粉よりも、より容易に入手可能であり、かつ安価である。また、特定の機能性を有する米粉のブレンドは、生地作製プロセス間に吸収し得る水分含有量が著しくより低く、その結果として完成製品の油脂含有量も減少することも見出された。同様に、米デンプンの特定の化学修飾は、スナックの配合において独自の機能性を有し、更なる製品のパリパリ感を提供し、生地作製プロセスを容易にすることも見出された。これらの利点により、米成分は、スナックの製造のために望ましい原材料となり得る。
【0009】
しかし、生地中の標準米粉の濃度が上昇するにつれて、米粉に関連する加工上の問題も劇的に増加する可能性がある。加工上の問題としては、加工するために多くの水量を必要とする弱くて乾燥した生地が挙げられる。生地の水分含有量が上昇すると、完成製品の油脂含有量が上昇し得る。10〜20重量%の標準米粉をポテト粉系の生地に添加すると、許容できるスナック製品を作製するために、特定の程度のプロセス操作が必要となる。米粉が、例えば、70〜90重量%に増加すると、加工上の問題は大幅に増加し、生地を形成するために必要な水を低減することが非常に難しくなる可能性がある。そして、標準米粉がこのように大量に使用されると、得られるスナック製品は、ポテト系スナックと比較して、実質的に密集した質感、及び劣った口触りを有する恐れがある。より具体的には、ポテト系スナック製品は、溶けが早く、軽くパリパリとした質感を生み出すが、米系スナック製品は、溶けが遅く、煎餅に見られるようなガラス質の硬い質感、又は餅に見られるような柔らかくかみごたえのある歯に詰まる質感のいずれかを有する。消費者は、ポテト、トウモロコシ、及び小麦系スナックのパリパリとした質感及び食感品質に慣れており、その確立された一般的な感覚から抜け出すのは困難である可能性がある。
【0010】
また、米粉の特定の調理及び/又はプロセス条件によって、例えば、半固定油ちょう又は焼成の場合等、加工スナックに独特な機能性が生じる可能性があることが見出されている。
【0011】
米国特許出願公開第2005−0053715号及び同第2006−0286271号に開示されているもの等の、発展途上国用の加工スナックを製造するために市販されている現在の技術の一例である、機械的強度が制限されている圧延ロール及びミキサ、並びに半固定油ちょう機を用いた加工ラインにおける米粉の使用は、加工上の課題及び製品の課題に関して、大きな課題を提示する場合がある。米国特許出願公開第2005−0053715号及び同第2006−0286271号に開示されている組成を有する米粉からは、圧延ロールの機械部品の破損等、設備の損傷を引き起こす可能性のある噛み切れない生地シートが得られる場合がある。これらの問題は、ミキサが低速で稼働するとき、混合中にデンプンが適切に水和できないことに起因している可能性がある。半固定油ちょう機(単一成形型)等の商業的に用いられている加工スナックチップスの製造ラインにおいて既存の米粉を使用すると、不均一な膨張等、製品に悪影響を与える場合もあり、これは、並べたり(積み重ねるために揃える)、整然と積み重ねて包装したりすることができない等の更なる加工上の問題を生じさせる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005−0053715号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006−0286271号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、消費者が好む特定の質感品質を維持しつつ、比較的高濃度の米粉を含む加工スナック製品を作製するための成分、配合及び方法が必要とされている。そして、生地のシートから作製され又は押出成形され、次いで油ちょう、部分的に油ちょうされ、次いで焼成又は焼成された米のバリバリした製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、加工スナック製品の作製での使用に適した米粉組成物を提供する。1つの実施形態では、米粉を含む米粉組成物が開示される。前記米粉組成物は、約3.5〜約9の吸水指数及び約130RVU〜約900RVUのピーク粘度を有することができる。
【0015】
加工スナック製品を製造するためのドライブレンドも開示される。前記ドライブレンドは、約3.5〜約9の吸水指数及び約130RVU〜約900RVUのピーク粘度を有する米粉を含む米粉組成物を約2%〜約100%含み得る。前記ドライブレンドは、更に、ポテトフレークを含む他のデンプン材料を約0%〜約85%含んでもよい。前記ドライブレンドは、約75RVU〜約400RVUのピーク粘度及び約3〜約9の吸水指数(WAI)を有し得る。
【0016】
工程も開示される。前記方法は、前記ドライブレンドを水と混合して生地を形成することを含み得る。前記方法は、油中で前記生地を油ちょうして、チップス28グラム当たり約0グラム〜約11グラムの油脂を含有する加工スナックチップスを製造することを更に含み得る。
【0017】
生地も開示される。前記生地は、a)約3.5〜約9の吸水指数及び約130RVU〜約900RVUのピーク粘度を有する米粉組成物を少なくとも約15%、並びにデンプン材料を約85%以下とを、含む約50%〜約85%のドライブレンドと、b)約15%〜約50%の添加水と、を含み得る。前記生地は、調理されて、約0.98N(100gf)〜約8.83N(900gf)の硬度及び約0.3〜約0.8g/ccの密度を有する加工スナックチップスを製造することができる。
【0018】
粉組成物も開示される。前記粉は、米、トウモロコシ、大麦、ソルガム、小麦、キノア、アマランス、並びにこれらの組み合わせ及び混合物からなる群より選択される穀物を穀物源として有し得る。前記粉組成物は、約3.5〜約9の吸水指数及び約130RVU〜約900RVUのピーク粘度を有し得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.定義
本明細書で使用するとき、「米の破片」は、全米粒の4分の3未満の米粒を指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、「糊化された」は、完全糊化、部分的糊化、及び予め糊化されたデンプンを含む、任意の種類の糊化を含む。糊化された米粉としては、パーボイル、調理、部分的調理、及び押出成形された米粉を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書で使用するとき、「予め糊化された米粉」は、実質的にデンプンを膨潤させることによって実質的に糊化されたデンプンを含有する米粉を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、「米」は、白米、玄米、黒米、及びワイルドライスが挙げられるが、これらに限定されない任意の品種又は型の米を含む。また、「米」は、任意の天然又は栄養強化成分を含有する任意の米を含む。
【0023】
本明細書で使用するとき、「押出成形された米」は、押出成形機を通過した米を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、「調理米」は、粉に粉砕される前又は粉砕された後に、パーボイルド調理又は別の方法で調理された若しくは部分的に調理された米を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、「パーボイルド米」は、もみ殻を除去する前に調理プロセスを経た米を指す。パーボイルド米は、デンプンを含有し、高濃度の糊化デンプンを含む。
【0026】
本明細書で使用するとき、「未調理の米」は、いかなる方法によっても調理されていない米を指す。
【0027】
本明細書で使用するとき、「短粒米」は、長さが幅の約1〜約2倍の範囲であり、総アミロース含有量が約0%〜約13%の範囲である、短く、丸々とした、円様の粒を有する米を指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、「中粒米」は、長さが幅の約2〜約3倍の範囲であり、アミロース含有量が約14%〜約19%の範囲である米を指す。
【0029】
本明細書で使用するとき、「長粒米」は、長さが幅の約3.5〜約5倍の範囲であり、総アミロース含有量が約20%〜約25%の範囲である、長く、細い粒を有する米を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「加工された」は、塊茎、粒、豆果、穀物又はこれらの混合物に由来するもののような、粉、粗びき粉及び/又はデンプンを含む生地から作製される食品を指す。
【0031】
本明細書で使用するとき、「天然デンプン」とは、いかなる方法でも前処理又は調理されていないデンプンを指し、ハイブリッドデンプンが挙げられるが、これに限定されない。
【0032】
本明細書で使用するとき、「脱水ポテト製品」としては、ポテトフレーク、ポテトフラニュール、ポテト顆粒、ポテト粒塊、任意の他の脱水されたポテト材料及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で使用するとき、「シート化可能な生地」は、滑らかな表面上に置いて、破れたり又は穴があいたりせずに所望の最終的な厚さにローラーで伸ばすことのできる凝集性生地である。またシート化可能な生地は、押出成形プロセスを通じてシート状に形成できる生地を含んでもよい。
【0034】
本明細書で使用するとき、「デンプン」は、これらに限定されないが小麦、トウモロコシ、タピオカ、サゴ、米、ポテト、オート麦、大麦、及びアマランスのような材料に由来する繰り返し無水グルコース単位を有する天然又は未変性の炭水化物ポリマーを指し、また、マルトデキストリンのような加水分解デンプン、高アミローストウモロコシ、高アミロペクチントウモロコシ、純アミロース、化学的に置換されたデンプン、架橋デンプン、及び化学的変性、物理的変性、熱的変性、又は酵素的変性のような他の変性が挙げられるがこれらに限定されない加工デンプン、並びにこれらの混合物をも指す。
【0035】
本明細書で使用するとき、「デンプン系粉」は、天然、脱水(例えば、フレーク、顆粒、粗びき粉)又は粉の形態の、グルコピラノース単位から構成される高重合炭化水素を指す。デンプン系粉としては、ポテト粉、ポテト顆粒、ポテトフラニュール、ポテトフレーク、トウモロコシ粉、マサトウモロコシ粉、コーングリッツ、コーンミール、米粉、そば粉、オート麦粉、豆粉、大麦粉、タピオカ、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、デンプン系粉は、塊茎、豆果、粒、又はこれらの混合物に由来してもよい。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「添加水」は、乾燥生地成分に添加された水を指す。粉及びデンプンの供給源の場合のような、乾燥生地成分中に本来存在する水は、「添加水」には含まれない。
【0037】
本明細書で使用するとき、「乳化剤」という用語は、生地成分に添加された乳化剤を指す。ポテトフレーク(製造中に乳化剤が加工助剤として使用される)の場合のような、生地成分中に本来存在する乳化剤は、用語「乳化剤」には含まれない。
【0038】
本明細書で使用するとき、「迅速粘度単位」(RVU)は、本明細書のRVA分析法を用いて測定したとき、センチポアズにほぼ一致する粘度測定値の任意の単位である(12RVUが約1センチポアズに等しい)。
【0039】
用語「油脂(fat)」及び「油(oil)」は、特に指定のない限り、本明細書では互換的に使用される。用語「油脂」又は「油」は、一般的な意味の食用脂肪質物質を指し、例えば、部分的に若しくは完全に水素添加されるか又はその他の方法で変性されていてもよい、大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、パーム油、ココヤシ油、キャノーラ油、魚油、ラード、及び獣脂のような本質的にトリグリセリドから成る天然又は合成の油脂及び油に加えて、本明細書では非消化性油脂と呼ばれる、部分的に又は完全に非消化性であってもよい、トリグリセリドに類似の特性を有する非毒性の脂肪質物質が挙げられる。カロリーが低減された油脂、及び食用の非消化性油脂、油、又は油脂代替品も、この用語に包含される。
【0040】
用語「非消化性油脂」は、部分的に又は完全に消化できない食用脂肪質物質、例えば、OLEAN(商標)のようなポリオール脂肪酸ポリエステルを指す。好ましい非消化性油脂は、スクロースポリエステルのような、トリグリセリドに類似の特性を有する脂肪質物質である。これらの好ましい非消化性油脂は、米国特許第5,085,884号(Youngら、1992年2月4日発行)、及び同第5,422,131号(Elsenら、1995年6月6日発行)に記載されている。非消化性油脂の特に好ましい銘柄は、OLEAN(商標)の商標名で販売されている。
【0041】
用語「ドライブレンド」は、本明細書において、そのように混合される材料の加工前に混合された乾燥原材料を意味する。
【0042】
下記供給源、成分、及び構成成分の一覧は、これらの組み合わせ及び混合物も想到され、本発明の範囲内であるように列記される。
【0043】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載される最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載される数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0044】
本開示において利用する様々な成分を包含する構成要素の商標名が本明細書で参照され得る。本発明者らは、本明細書における特定の商標名の物質により限定されることを意図していない。商品名により参照されているものと同等の物質(例えば、異なる名称又は参照番号で異なる供給源から得られるもの)は、本明細書の記載において置き換えられて使用されてもよい。
【0045】
本開示の様々な実施形態の記述において、様々な実施形態又は個別の特徴が開示される。当業者には明らかなように、このような実施形態及び特徴の全ての組み合わせが可能であり、そして本開示の好ましい実施態様とすることができる。本発明の様々な実施形態及び個々の特徴を説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正が可能である。これも明らかになるであろうが、先行する開示で教示された実施形態及び特徴のあらゆる組み合わせが可能であり、本発明の好ましい実施となり得る。
【0046】
B.米粉組成物
本発明の1つの実施形態は、加工スナック製品の作製での使用に適した米粉組成物を提供する。米粉組成物は、加工スナック生地に使用するとき、所望のレベルの弾性を有する凝集性生地、及び所望の感覚刺激特性を有する完成加工スナック製品をもたらす。
【0047】
長粒、中粒、短粒、及びもち米は、全て米粉にすることができる。更に、米粉は、米の破片又は全粒から作ることができる。これらの異なる種類の米から作られた米粉は、吸水指数、ピーク粘度、最終粘度、及び総アミロース含有量が異なる。更に、米が、米粉に加工される前、又は加工された後に、部分的に若しくは完全に事前調理、パーボイルド、又はあらゆる他の方法で予め糊化される場合、該米粉の特性を更に変性することができる。
【0048】
1つの実施形態において、組成物は、長粒米粉、中粒米粉、短粒米粉又はこれらの組み合わせを含む。更に、組成物は、部分的に又は完全に糊化した米粉を含むことができる。例えば、米粉は、米粉内での所望のデンプン分解を達成するために、糊化、部分的糊化、部分的事前調理、事前調理、パーボイルド、押出成形、又はこれらの組み合わせがなされることができる。
【0049】
所望の量の種々の米粉を一緒に混合することを用いて、所望の米粉組成物を作製することができる。この混合は、これらに限定されないが、製粉前に米粒を混合するか又は製粉後に粉を一緒に混合すること等の、任意の好適な手段によって達成することができる。
【0050】
1つの態様では、米粉が本明細書に記載されているが、穀物源に由来する他の粉組成物も記載され、当業者に既知のものと同様に調製できることを理解すべきである。例えば、トウモロコシの全穀粒は、本明細書に記載されているのと同様に調製することができ、又は1つの実施形態では、先ず穀粒を水和させ、膨潤させた後、乾燥及び粉砕することによって調製できる。別の態様では、穀粒を、水和前に部分的に粉砕してもよい。したがって、理論に縛られるものではないが、非限定的な例としてトウモロコシ、大麦、ソルガム、小麦、キノア、アマランス、並びにこれらの組み合わせ及び混合物を挙げることができる他の穀物源を本明細書に開示されているのと同様に加工及び処理によって、類似の機能性を有する予め糊化された粉を得ることができる。
【0051】
本明細書に記載される米粉組成物を用いて、食品を製造することができる。食品の非限定的な例としては、加工スナック製品、押出成形製品、焼成スナック、トルティーア系スナック、ソース、食品用コーティング、ドッグフード、犬用ビスケット、ベビーフード、及びパンを挙げることができる。この粉の組成物は、トウモロコシ、大麦、ソルガム、小麦、キノア、及びアマランス等の他の穀物から得ることもできる。
【0052】
本発明の1つの実施形態は、約3.5〜約9、又は約4.5〜約8、又は約5.5〜約8、又は約6.0〜約7.5、及びこれらの間の全ての範囲の吸水指数(WAI)を有することができる米粉を含む米粉組成物を提供する。別の実施形態では、米粉は、約130RVU〜約900RVU、又は約250RVU〜約700RVU、約350RVU〜約500RVU、又は約400RVU〜約450RVU、及びこれらの間の全ての範囲のピーク粘度(迅速粘度単位、RVU)を有し得る。他の実施形態では、米粉は、本明細書に記載の吸水指数とピーク粘度とを両方有し得る。
【0053】
1つの実施形態では、米粉組成物は、本明細書に記載の通り100%米粉であってもよい。1つの実施形態では、米粉は、本明細書に記載の通り予め糊化された米粉であってもよい。
【0054】
本発明の更に別の実施形態では、ドライブレンドが提供される。1つの実施形態では、ドライブレンドは、加工スナック製品を製造するために用いることができる。1つの実施形態では、ドライブレンドは、本明細書に記載の通り米粉組成物を含み得る。前記ドライブレンドは、約2%〜約100%の米粉組成物、又は約15%〜約100%の米粉組成物、又は約20%〜約85%の米粉組成物、及びこれらの間の全ての範囲を含み得る。前記ドライブレンドは、少なくとも約15%の米粉組成物、又は約15%〜約50%の米粉組成物、又は約20%〜約45%の米粉組成物、及びこれらの間の全ての範囲を含み得る。
【0055】
ドライブレンドは、例えば、約1.96N(200gf)〜約5.88N(600gf)及びこれらの間の全ての範囲のシート強度を有するシートに巻くことができる生地を作製するために用いることができる。1つの実施形態では、ドライブレンドは、本明細書に記載される米粉組成物、及び本明細書に記載される他の成分を含んでもよく、約3〜約9、又は約3.5〜約8、又は約4〜約7、及びこれらの間の全ての範囲の吸水指数(WAI)を有し得る。1つの実施形態では、ドライブレンドは、約75RVU〜約400RVU、又は約75RVU〜約350RVU、又は約80RVU〜約220RVU、及びこれらの間の全ての範囲のピーク粘度を有し得る。別の実施形態では、ドライブレンドは、約90RVU〜約300RVU、又は約100RVU〜約250RVU、又は約100RVU〜約200RVU、及びこれらの間の全ての範囲の最終粘度を有し得る。吸水指数(WAI)、ピーク粘度、及び/又は最終粘度の全ての組み合わせも想定される。
【0056】
本明細書における1つの実施形態では、米粉組成物は、約16%〜約25%の総アミロース含量を有し得る。長粒米粉を含む実施形態では、米粉組成物は、約20%〜約25%の総アミロース含量を有し得る。中粒米粉を含む実施形態では、組成物は、約16%〜約19%の総アミロース含量を有し得る。
【0057】
1つの実施形態では、米粉組成物は、予め糊化された米粉を含み得る。1つの実施形態では、組成物は、予め糊化された米粉、及び様々な程度糊化されている1つ以上の米粉のブレンドを含み得る。例えば、糊化された米粉は、完全に調理された米、部分的に調理された米、パーボイルド米、押出成形米、並びにこれらの組み合わせ及び混合物を含むことができる。1つの実施形態では、完全に調理された糊化米粉は、約75%〜約100%、及びこれらの間の全ての範囲が糊化されてもよく、部分的に調理された米粉は、約25%〜約100%、及びこれらの間の全ての範囲が糊化されてもよく、パーボイルド米粉は、約75%〜約100%、及びこれらの間の全ての範囲が糊化されてもよい。これらの米粉の混合物及び組み合わせを用いてもよい。
【0058】
1つの実施形態では、押出成形を用いて糊化米粉を加工してもよい。押出成形は、米粉のデンプンを完全に調理するのに必要な調理条件を提供し、デンプンの完全な糊化及び高レベルのデキストリン化、すなわち、デンプン分解をもたらす。本発明の実施形態の米粉の調製に押出成形を使用することにより、生っぽいデンプンの味又は粉っぽいデンプンの後味を取り除き、完成製品において制御されない過度の膨張が生じないように補助することができる。
【0059】
1つの実施形態では、糊化された米粉は、部分的に事前調理された長粒米粉、完全に調理された長粒米粉、完全に調理された中粒米粉、パーボイルド米粉、及びこれらの混合物から成る群から選択することができる。別の実施形態において、糊化された米粉は、糊化された長粒米粒の破片から作製される。
【0060】
1つの実施形態では、調理及び/又は製粉中に生成される遊離アミロースを複合体化するため、糊化された米粉に、乳化剤を加工助剤として添加することができる。例えば、モノグリセリドは、(乾燥固体基準で)約0.2〜約0.7%、好ましくは約0.3%〜約0.5%の範囲の量で添加できる。
【0061】
1つの実施形態では、米粒を粉に粉砕し、水に分散させるか又は水と混合し、ドラム乾燥させ、そこで糊化又は調理の大部分を行うことができる。乾燥後、予め糊化された米粉を粉砕し、特定のサイズ分布に篩い分けてもよい。別の実施形態では、全粒米粉を用いてもよい。
【0062】
したがって、1つの実施形態では、米粒は、典型的に、洗浄され、米粉にされ得る。次に、米粉を水と混合してもよい。完全に水和させるのに十分な水を米に添加してもよく、1つの実施形態では、その結果、本明細書に記載される通り、加熱中に米の実質的な糊化が生じる。水が米中のデンプンの表面に到達したとき、水和が生じ得る。1つの実施形態では、水の重量によって約25%〜約80%、又は約40%〜約70%、又は約55%〜約65%、又は約60%の水を米に添加して、脱水のためのスラリーを形成することができる。1つの実施形態では、水は約40℃〜約70℃の温度であってもよい。屈折率(Brumeスケール)を用いて、間接的に濃度を測定することができる。1つの実施形態では、米粒は、上記の通りバッチプロセスで水と混合してもよく、前記混合は、約1〜約60分間、又は約10〜約40分間、又は約15〜約30分間、又は約20分間行ってもよい。1つの実施形態では、スラリーを形成してもよい。1つの実施形態では、次いで、スラリーをドラム乾燥機で乾燥させて、次いで、予め糊化された粉に粉砕してもよい。スラリーの乾燥の他の非限定的な例は、噴霧乾燥、エアリフト乾燥機、又は蒸し調理器であってもよい。次いで、スラリーの乾燥を実施してもよい。乾燥を実施して、重量によって5〜15%、又は約6%〜約12%、又は8%〜約10%が水である予め糊化された米粉組成物を得ることができる。1つの実施形態では、ドラム乾燥機を用いてもよい。スラリーをドラム乾燥機に添加してもよく、前記ドラム乾燥機の温度は約180℃であってもよい。1つの実施形態では、本明細書に記載される水含量に達するために、当業者に理解される通りかつ当業者の知見の範囲内でドラム乾燥機の速度及び圧力を調整してもよい。
【0063】
乾燥後、当業者に既知であるように、乾燥した米粉を粉砕してもよい。米粉は、広範な粒径分布に粉砕することができる。1つの実施形態において、米粉は、粉の約35%がUS100番メッシュ上に残るような粒径分布を有し得る。別の実施形態では、米粉は、約5%〜約30%が60メッシュスクリーン上に残るか、約15%〜約50%が100メッシュスクリーン上に残るか、又は約20%〜約60%が200メッシュスクリーン上に残る粒径分布を有し得る。1つの実施形態では、米粉の粒径分布は、混合中に確実に適切な水和が行われるのを補助することができる。また、この粒径分布は、質感に影響を与える場合があり、米粉中の大きい粒子は、遅い溶け及び歯への詰まりの一因となる場合もある。
【0064】
C.加工スナック製品の調製
米粉組成物の使用を、主として加工スナック製品に関して記載するが、本発明の米粉組成物をいかなる好適な食品の製造にも使用できることは当業者であれば容易に理解するはずである。例えば、米粉組成物は、押出成形された製品、パン、ソース、クラッカー、油ちょうスナック、果物及び野菜スナック、焼成又は乾燥スナック、油ちょうされた食品用コーティング、ベビーフード、ドッグフード、犬用ビスケット、及びあらゆる他の好適な食品のような食品を製造するために使用されることができる。加工スナック製品の製造は、本発明の1つの実施形態について以下に詳細に記載される。
【0065】
1.生地形成
本発明の実施形態の生地の配合は、ドライブレンド及び添加水を含む。生地は、約50%〜約85%のドライブレンド、及び約15%〜約50%の添加水を含んでもよい。生地は、さらに任意成分を含むことができる。
【0066】
a.ドライブレンド
本発明の実施形態の生地は、約50%〜約85%のドライブレンド、又は約60%〜約75%のドライブレンド、及びこれらの間の全ての範囲のドライブレンドを含み得る。
【0067】
ドライブレンドは、本明細書に記載の通り米粉組成物を含み得る。1つの実施形態では、ドライブレンドは、約15%超、又は約2%〜約100%、又は約15%〜約50%、又は更には約20%〜約45%、及びこれらの間の全ての範囲の上記米粉組成物を含み、残部は、デンプン及び/又は粉等の他のデンプン材料等の他の成分である。他のデンプン材料の好適な源としては、タピオカ、オート麦、小麦、ライ麦、大麦、トウモロコシ、マーサ、ヤポン、非マーサトウモロコシ、ピーナッツ、脱水ポテト産物、並びにこれらの組み合わせ及び混合物が挙げられる。非限定的な例としては、脱水ポテトフレーク、ポテト顆粒、ポテトフラニュール、マッシュポテト材料、乾燥ポテト産物、アセチル化米、パーボイルド米、コーンミール、加工デンプン、加水分解デンプン、小麦デンプン、並びにこれらの組み合わせ及び混合物が挙げられる。これらの他のデンプン材料は、異なる組成、質感、及び風味のスナックを作製するために、ブレンドされることができる。更に、ドライブレンドの残部は、これらに限定されないが、タンパク質源、繊維、ミネラル、ビタミン、着色剤、香味料、果物、野菜、種子、ハーブ、及び/又はスパイスを含む1以上の構成要素を含むことができる。
【0068】
1つの実施形態では、米粉組成物及び他の成分を含むドライブレンドは、約3〜約9、又は約3.5〜約8、又は約4〜約7、及びこれらの間の全ての範囲の吸水指数(WAI)を有し得る。ドライブレンドの吸水率は、1つの実施形態では、半固定油ちょう又は焼成システムにおいて均一に包装することを可能にする完成製品の一貫した膨張に対応する。1つの実施形態では、米粉組成物及び他の成分を含むドライブレンドは、約75RVU〜約400RVU、又は約75RVU〜約350RVU、又は約80RVU〜約220RVUのピーク粘度を有し得る。1つの実施形態では、ドライブレンドは、約90RVU〜約300RVU、又は約100RVU〜約250RVU、又は約100RVU〜約200RVU、及びこれらの間の全ての範囲の最終粘度を有し得る。吸水指数(WAI)、ピーク粘度、及び/又は最終ピーク粘度の全ての組み合わせも想定される。
【0069】
b.添加水
本発明の実施形態の生地組成物は、約15%〜約50%の添加水、又は約20%〜約40%、又は約30%〜約40%、及びこれらの間の全ての範囲の添加水を含むことができる。マルトデキストリン又は固形コーンシロップ、ジュース、濃縮物のような任意成分が溶液又はシロップとして添加される場合、該シロップ又は溶液中の水は添加水として包含される。また、添加水の量には、成分を溶解又は分散するために使用されるいかなる水も包含される。
【0070】
c.任意成分
あらゆる好適な任意成分を本発明の生地に添加してもよい。このような任意成分としては、ガム、還元糖、乳化剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意成分は、重量により生地中に約0%〜約50%、又は約0%〜約40%、及びこれらの間の全ての範囲の濃度含まれ得る。好適なガムの例は、米国特許第6,558,730号(Gizawら、2003年5月6日発行)に見ることができる。
【0071】
1つの実施形態では、還元糖を生地に添加してもよい。還元糖の含有量は、脱水ポテト製品の調製に用いられるポテトの含有量に依存し得るが、加工スナック製品中の還元糖の量は、好適な量のマルトース、ラクトース、デキストロース、又はこれらの混合物のような還元糖を生地に添加することによって制御できる。本発明のドライブレンドは、重量により0%〜約20%、又は0%〜約10%、又は0%〜約7.5%、及びこれらの間の全ての範囲のマルトデキストリンを含有し得る。
【0072】
1つの実施形態では、加工性を補助するために生地に添加できる成分は、乳化剤である。乳化剤は、生地をシート状にする前に生地組成物に添加してよい。乳化剤は、Olean(商標)等の油脂又はポリオール脂肪酸ポリエステルに溶解することができる。好適な乳化剤としては、レシチン、モノ−及びジグリセリド、ジアセチル酒石酸エステル、及びプロピレングリコールモノ−及びジエステル、並びにポリグリセロールエステルが挙げられる。ヘキサグリセロールのモノエステル等のポリグリセロール乳化剤を使用してもよい。用いることができる特定のモノグリセリドの実施形態は、Danisco(登録商標)(New Century,Kansas)より入手可能なDimodanの商標名で、またArcher Daniels Midlands Company(Decatur,Illinois)より入手可能なDMG 70の商標名で販売されている。
【0073】
本発明による任意成分の量を計算するとき、米粉及び脱水ポテト製品に内在する可能性のある任意成分の量は含まれない。米粉中に本来存在する濃度を超えて添加される材料の濃度は、計算において用いられる。
【0074】
2.生地の調製
本発明の生地は、シート化可能な生地を形成するためのいかなる好適な方法によっても調製することができる。1つの実施形態では、従来型ミキサを用いて成分を一緒に十分に混合することにより、ほぐれた乾燥した生地を調製することができる。1つの実施形態では、例えば、添加水等の湿潤成分のプレブレンド、及びドライブレンド等の乾燥成分のプレブレンドを調製することができ、次いで、前記湿潤プレブレンド及び乾燥プレブレンドを共に混合して生地を形成することができる。1つの実施形態では、Hobart(登録商標)ミキサをバッチ運転で用いることができる。1つの実施形態では、Turbulizer(登録商標)ミキサを連続混合運転で用いることができる。あるいは、押出成形機を使用して、生地を混合し、シート又は成形片を形成することもできる。
【0075】
a.シート化
生地は、一旦調製した後、比較的平坦な薄いシートに成形することができる。デンプン系生地からこのようなシートを形成するのに好適ないかなる方法をも使用することができる。例えば、シートを2つの逆回転円筒形ローラーの間で伸ばして、均一な比較的薄い生地材料のシートを得ることができる。従来の任意のシート形成装置、圧延装置及び検量装置を使用することができる。圧延ロールは、約32℃(90°F)〜約57℃(135°F)に加熱してもよい。1つの実施形態では、圧延ロールは、フロントローラーがバックローラーよりも高温である、2つの異なる温度に保持され得る。生地は、押出成形によってシートに成形することもできる。
【0076】
本発明の実施形態の生地は、約0.038〜約0.25cm(約0.015〜約0.10インチ)、又は約0.048〜約0.127cm(約0.019〜約0.05インチ)、又は更には約0.051〜0.076cm(0.02インチ〜約0.03インチ)の範囲の厚さを有するシートに成形され得る。
【0077】
本発明の実施形態の生地シートは、約1.77N(180gf)〜約5.88N(600gf)、又は約1.96N(200gf)〜約4.41N(450gf)、又は約2.45N(250gf)〜約3.43N(350gf)のシート強度を有し得る。更に、本発明の実施形態の生地は、非常に薄いシート状になったときでさえも、非常に高い強度を有し得る。この高いシート強度のために、本米粉組成物は、生地中の食品片、例えば、果物、野菜、全穀粒、ナッツ等の破片にとって優れた担体であり得る。
【0078】
次に、生地シートを、所定の寸法及び形状のスナック片に成形することができる。該スナックは、任意の好適な打抜き又は切断装置を使用して成形することができる。該スナックは、様々な形状へと成形することができる。例えば、スナック片を、楕円形、正方形、円形、蝶ネクタイ形、星形車形、又は風車形にすることができる。1996年1月25日に国際公開第96/01572号として公開された国際特許出願第PCT/US95/07610号(Dawesら)に記載のように、破片に刻み目をつけて波形チップスを作製することができる。
【0079】
b.調理
スナック片を成形した後、これをパリパリとするまで調理して加工スナック製品を形成することができる。スナック片は、例えば消化性油脂、非消化性油脂、又はこれらの混合物を含む油脂組成物中で油ちょうすることができる。最良の結果を得るには、きれいな揚げ油を使用してもよい。油の酸化速度を低下させるために、油の遊離脂肪酸含有量を約1%未満、又は更には約0.3%未満に維持することができる。高温押出成形、焼成、マイクロ波加熱、又は組み合わせのような、生地を調理又は乾燥させるための他のいかなる方法も、許容可能である。
【0080】
本発明の1つの実施形態では、揚げ油は、約30%未満、又は約25%未満、又は約20%未満の飽和油脂を有し得る。この種類の油は、完成加工スナック製品の潤滑性を改善することができるので、完成加工スナック製品は、増強された風味ディスプレイを有する。また、これらの油は融点が低いため、油の風味プロファイルが、局所的に調味された製品の風味プロファイルを強化することができる。かかる油の非限定的な例としては、中〜高濃度のオレイン酸を含有するヒマワリ油が挙げられる。
【0081】
本発明の別の実施形態では、スナック片は、非消化性油脂と消化性油脂とのブレンドで油ちょうされ得る。1つの実施形態では、ブレンドは、約20%〜約90%の非消化性油脂と約10%〜約80%の消化性油脂、又は約50%〜約90%の非消化性油脂と約10%〜約50%の消化性油脂、又は約70%〜約85%の非消化性油脂と約15%〜約30%の消化性油脂を含んでいてもよい。また、TBHQのような酸化防止剤、トコフェロール、アスコルビン酸、クエン酸のようなキレート化剤、ジメチルポリシロキサンのような消泡剤を含む、当該技術分野において既知の他の成分を食用油脂及び油に添加してもよい。
【0082】
1つの実施形態では、スナック片は、約135℃(275°F)〜約215℃(420°F)、又は約149℃(300°F)〜約210℃(410°F)、又は約177℃(350°F)〜約204℃(400°F)の温度で、水分量約6%以下、又は水分量約0.5%〜約4%、又は水分量約1%〜約3%の製品を形成するのに十分な時間油ちょうすることができる。油ちょう時間は、油ちょうする油脂の温度及び生地の初期水分含量により制御することができ、これらは当業者が決定することができる。
【0083】
1つの実施形態では、スナック片は、連続油ちょう法を用いて油中で油ちょうすることができ、油ちょう中、固定又は半固定されてもよい。この固定油ちょう方法及び装置は、米国特許第3,626,466号(Liepa、1971年12月7日発行)に記載されている。成形され、固定又は半固定されたスナック片は、最終水分含量が約0.5%〜約4%、又は約1%〜約2.5%のパリパリとした状態に油ちょうされるまで、油ちょう媒質を通過し得る。
【0084】
固定式ではない、スナック片の連続油ちょう方法又はバッチ油ちょう方法のような他のいかなる油ちょう方法も許容可能である。例えば、スナック片を移動ベルト又はバスケット上で油ちょう油脂に浸漬することができる。同様に、油ちょうは、半固定プロセスで行うことができる。例えば、加工スナック片を、油中で油ちょうする間、2つのベルトの間に保持することができる。
【0085】
油ちょう後に、特徴的な風味を有する油又は高度に不飽和の油を、加工スナック製品上に噴霧したり、混転させたり、他の方法で塗布したりすることができる。1つの実施形態では、トリグリセリド油及び非消化性油脂は、風味を分散させるために担体として使用でき、加工スナック製品に局所的に添加されてもよい。これらには、バター風味油、天然又は人工風味油、ハーブ油、及びポテト、ニンニク又はタマネギ風味を加えた油が含まれるが、これらに限定されない。この局所的な添加により、油ちょう中にフレーバが褐変反応を受けることなく、様々な風味を導入することができる。この方法を使用して、スナックを油ちょうするのに必要な加熱時に通常は重合又は酸化を受ける油を導入することができる。
【0086】
本発明の実施形態の完成製品は、配合中に添加される米粉に起因して、一般的なポテトスナックよりも軽くパリパリとした質感を有することができる。米粉は、膨張が制御された軽い質感を作るために用いることができ、これは、幾つかの実施形態において、チップスの表面に外部の泡が存在せず小さい内部の泡のみであることを意味する。これらの内部の泡は、ポテトクリスプと比較してチップスの密度を減少させることができる。1つの実施形態では、本発明の完成チップスの油脂含量は、チップス1食28グラム当たり約0グラム〜約11グラムの範囲である。1つの実施形態では、スナックチップスの油脂含有量は、チップス1食28グラム当たり約5g未満である。この油脂含有量は、ポテト粉を含むことを除いて同様の条件下で加工したチップスの油脂含有量が1食28g当たり典型的には11gであるのに比較して、油脂含有量が約20〜50%減少していることを表す。
【0087】
完成製品の1つの実施形態は、ポテト及びトルティーヤスナックと同様の密度を有するが、より膨張した質感を有し、かつより速く溶けることができる(低い吸水指数により示されるように)。本発明の実施形態の製品は、トルティーヤ又はポテトスナックに由来する望ましい特質をもたらす独自のパリパリ感及び食感品質、並びに軽いザクザク感及びより穏やかな風味を有することができる。本発明の実施形態の製品は、また、典型的な米スナックに比べてより滑らかな食感品質を有することができる。本発明の実施形態の製品の密度は、約0.3〜約0.8g/cc、又は約0.35〜約0.7g/cc、又は約0.4〜約0.7、又は約0.45〜約0.55g/cc、及びこれらの間の全ての範囲であり得る。密度は、本明細書に開示の通り測定することができる。
【0088】
本発明の実施形態の完成製品は、高い破壊強度又は硬度値を有すると共に、軽い質感及び低い油脂含有量を有することができる。本発明の実施形態の製品は、ポテトスナック製品よりも高い破壊強度を有することができる。本発明の実施形態は、約0.98N(100gf)〜約8.83N(900gf)、又は約0.98N(100gf)〜約750gf、又は約0.98N(100gf)〜約5.88N(600gf)、又は約0.98N(100gf)〜約2.94N(300gf)、又は約1.77〜約2.75N(約180〜約280gf)、又は約1.96〜約2.45N(約200〜約250gf)、及びこれらの間の全ての範囲の破壊強度(グラム重量)を有し得る。
【0089】
D.製品特徴及び分析方法
1.吸水指数(WAI)
乾燥成分及び粉ブレンド:
一般に、「吸水指数」及び「WAI」という用語は、調理プロセスの結果としての炭水化物系材料の水保持能力の測定値を指す(例えば、R.A.Andersonら、「Gelatinization of Corn Grits By Roll− and Extrusion−Cooking」,14(1):4 CEREAL SCIENCE TODAY(1969)を参照のこと。)チップスの吸水指数(WAI)は、チップの溶解/分解にどれだけの水が必要かを意味し、更にチップスの質感及び食感品質の間接的指標である。この用途では、スナック製品の幾つかの実施形態は、高い吸水指数(WAI)を有し得、これは、一貫した製品膨張と相関し、チップスの内側に小さく均一な気泡を有する製品として記載することができる。半固定油ちょうの1つの実施形態では、吸水指数(WAI)の低い米粉の使用は、ランダムな膨張をもたらし、これは、異なる大きさ及び深さの表面気泡を有する製品として記載することができる。このランダムな膨張は、油ちょう機を通して移動させ、カン又はトレー等の均一なパッケージに包装することが困難である場合がある製品を生み出す恐れがある。
【0090】
更に、本発明の高い吸水指数(WAI)ブレンドからは、圧延ロールに機械的損傷を与えることなく薄く伸ばすことが容易な生地が得られる。
【0091】
完成製品の吸水指数(WAI)測定
1.完成製品の試料10グラムを、Cuisinart(Mini−Mate)を使用して粉砕し、該試料の粒径を小さくする。
2.粉砕した試料をUS# 20ふるいを使ってふるいにかけ、この粉砕した試料2グラムを計量する。
【0092】
乾燥材料についての計算を含む、試料調製、水和、上清測定方法について、同じ手順に従う。
【0093】
参照
American Association of Cereal Chemists,Eighth Edition,Method 56I−20,「Hydration Capacity of Pre−gelatinized Cereal Products」(初承認4−4−68、改訂10−27−82)。
【0094】
原理
ゲル化した部分が液体から分離するように、微粒径の試料を水和し、遠心分離する。可溶性デンプンを含有する液体を捨て、ゲル化した部分を計量し、最初の試料重量に対するゲル重量の指標として表す。
【0095】
範囲
本試験方法は、予め糊化されたデンプン及び予め糊化されたデンプンを含有する穀物製品の水分保持の測定を網羅する。それは、遠心力により適用される機械的手段のみによって、完全に湿った試料から除去できない水分量の測定をすることを目的としている。
【0096】
設備/試薬/装置
遠心分離器 ALC(Apparecchi per Laboratori Chimici)、型式4235 DiRuscio Associates、Manchester,Missouri Vel Laboratory Supplies,Louvain,Belgium
45°固定アングルローター ALC、カタログ番号5233(サンプルホルダー6個)
チューブキャリア ALC、カタログ番号5011(必要数6)
チューブアダプター ALC、カタログ番号5721(必要数6)
遠心管 VWRカタログ番号21010−818(50mLの丸底ポリプロピレンチューブ、105mm×28.5mm)
残部 0.01gまでの精度
水浴 30℃(±1.0)の一定温度に維持する
温度計 VWRカタログ番号71740−188
小型金属スパチュラ VWRカタログ番号57949−022
ポリエチレン洗浄瓶 VWRカタログ番号16651−987
試験管立て VWRカタログ番号60917−512
ビーカー VWRカタログ番号13910−201(250mL)
タイマー VWRカタログ番号62344−586
水 蒸留水及び脱イオン水
【0097】
手順
サンプルの調製
(注記:当遠心分離器は、同時に最大6サンプルを分析することができる。この最大試料ロードは、3つの分析をそれぞれデュープリケートで行うことを意味する。)
1.試料が均質になるまで振盪する。
2.フェルトペンを使って、各遠心管の一番上から18mm下に水平線を引く。
3.フェルトペンを使って、必要数の洗浄し乾燥させた50mL遠心管にラベルする。
4.遠心管の番号及び重量を小数点以下0.01の単位まで記録する(注記:略同じ重量の遠心管を使用する)。
5.原材料2±0.05gを、ラベルした遠心管に量り入れる。
6.加えた試料の重量を記録する。
7.各試料をデュープリケートで分析する。
8.各試料について、工程4〜7を繰り返す。
【0098】
試料の水和:
1.各遠心管に、30℃の蒸留水30mLを加える。
2.小さな金属製のスパチュラを用いて、混合物を30回穏やかに撹拌して、サンプルを均質に水和させる(注意:激しく撹拌するとこぼれるので、サンプルをもう一度作製しなくてはならなくなる)。
3.撹拌棒を取り外す前に、30℃の蒸留水にてそれを洗浄し、除去される試料の量を最小にする。また、試験管の側壁を適切にすすぐ。
4.各試料について、工程2〜3を繰り返す。
5.遠心管(最大6個)を、30℃(86°F±2°)の蒸留水の水浴中に30分間置く。攪拌操作を、下記に述べる様に10、20及び30分間隔で繰り返す。
【0099】
【表1】

6.試料を30分間加熱後、水浴から遠心管を取り出す。各チューブを紙タオルで乾燥させて、それらを試験管立てに差し込む。
7.水を充填線まで加える。
【0100】
遠心分離:
1.重力F=1257gを生成するのに必要な角速度(RPM)を計算するために、次式を用いる:
n=(1.125×109÷r)1/2
n=rpm
r=回転中心から試料チューブ末端までのラジアル距離(mm)
実施例:
【0101】
【数1】

注記:計算したRPMは、器具を検証するための出発点として使用されなければならない。十分に特徴付けられた原材料及び検証された器具からのデータを使って、rpmは、前に確認された遠心分離器と同じ結果を提供するように更に調整される必要がある可能性がある。
2.RPMの設定を、計算された角速度に調整する。
3.チューブを遠心分離機に移す(注記:サンプルによる負荷のバランスをとるために偶数個のサンプルを分析しなければならない)。
4.計算した角速度にて、15分間、チューブを遠心分離する。
5.15分後、遠心分離機を惰力運転させて完全に停止させる(注意:遠心分離機を制動すると誤った結果が導かれる)。
【0102】
上清の測定:
1.遠心管を遠心分離機から直ちに取り外し、各チューブから上清を素早くデカントする。
【0103】
ゲル状のペレットを不注意で乱したり除去したりしてしまった場合は、分析をやり直さなければならないことに留意すべきである。
【0104】
2.チューブ及び内容物の重量を、±0.01単位で正確に測定し、記録する。
【0105】
計算
【0106】
【数2】

【0107】
各質量は、±0.01g単位で測定する。各吸水指数(WAI)値、トリプリケートで測定した試料の平均及び標準偏差を記録する。
【0108】
2.ラピッドビスコアナライザー(RVA)を使用したレオロジー的特性
参照
Applications Manual for the Rapid Visco Analyser,Version 1,Newport Scientific,1998。
【0109】
American Association of Cereal Chemists(AACC),1995。Determination of the pasting properties of rice with the Rapid Visco−Analyser。AACC Method 61−02,First Approval 10−26−94,Approved Methods of Analysis,9th Edition,Amer.Assoc.Cereal.Chem.,St.Paul MN.。
【0110】
原理
高速粘度分析器(RVA)は、熱サイクルを受けた試料の粘度プロファイルを測定する。マサのような顆粒デンプン試料の温度が上昇すると、前記顆粒は水を吸収して、当初の大きさの多数倍に膨潤する。デンプンの膨潤は、試料の粘度の増加を伴う。温度の関数としての粘度の挙動は、物質の特性であり、デンプンの調理の程度と相関することが多い。
【0111】
既知の水分量の試料は、水と混合され、粘度プロファイルは、温度プログラムの関数として測定される。RVAの出力は、粘度−時間曲線である。ピーク粘度、最終粘度、及び糊化温度についてのRVA結果を、各試料について記録する。試料は、デュープリケートで分析されなければならず、結果が平均化される。
【0112】
【表2】

【0113】
RVA条件
RVA温度特性は以下のとおりである:
【0114】
【表3】

【0115】
試料の重量測定
一定の乾燥重量が得られるよう、試料及び水の重量を、試料の水分含有量に対して補正すべきである。試料の水分含有量は、オーブン水分標準法又はメトラー水分法のどちらかにて、測定しなければならない(10g、120℃、10分間)。
【0116】
各試料について、補正された試料質量(s)と補正された水質量(w)を求めるために、次の式が使用される。
【0117】
【数3】

式中、S=補正されたデンプン重量(g)
C=乾燥デンプン濃度(%)
M=デンプンの実際の水分含有量(%)
W=補正された水の重量(g)
【0118】
これらの式を使用して試料(S)及び水(W)の量を決定し、分析用に計量する。
【0119】
サンプルの調製
1.上の試料重量測定のセクションを使用して分析を行なうために必要な水(W)及び試料(S)の量を決定する。
2.清潔なキャニスターに所望の量の水を0.01g単位で量り取る。
3.試料を確実に均質に混合する。秤量紙上に所望の量のサンプルを0.01g単位で量りとる(注記:方法誤差を最小限にするためには、正確な量のサンプルを量りとることが重要である)。
4.試料を秤量紙上に残さないように、試料をキャニスターへ慎重に注ぐ。一旦試料が水に入ったら、分析を40秒以内に実施しなければならない。
5.キャニスターに清潔な乾燥したコルクをかぶせ、手で激しく10秒間振盪する。
6.慎重にキャニスターのスライドストッパーを外し、全てのサンプル及び水をコルクからキャニスターに移し、次いで、パドルブレードでキャニスターの壁からサンプルを擦り取る(注記:方法誤差を最小限にするためには、サンプル全てをキャニスターに移すことが重要である)。
7.パドルをキャニスター内に置き、パドルをRVA上に固定し、キャニスターの基部を加熱チャンバ上にて中央に置き、タワーを引き下げ、試験を始める。
8.分析後、タワーが持ち上がる。この試験を現在の分析セッションに加えるために「Yes」を押す。パドル及びキャニスターを除去し、廃棄する。注記:使用の合間に完全に洗浄し乾燥させる場合は、RVAキャニスター及びパドルは、最高3回しか使用することはできない。
9.次の試料について実行するために、RVA準備下で、工程4から始めてこのプロセスを繰り返す。
【0120】
データ分析
ペースト粘度−対−時間のグラフから、標準プロファイルの加熱及び保持サイクル間に得られた最大粘度を読み取る(標準方法)。この最大粘度が試料のピーク粘度になる。
【0121】
ペースト粘度−対−時間のグラフから、冷却後、試験終了時に得られた粘度を読み取る。前記粘度が最終粘度になる。
【0122】
3.アミロース%
AACC方法61−03、1〜4頁に従って、製粉された米のアミロース含有量を決定する。
【0123】
4.チップスの密度試験手順
スナックの密度は、スナックの質感及び食感品質に関連し得る。製品の密度が低くなると、製品の質感及び食感品質は軽くなる。押出成形されたスナックのような低密度製品は、溶けが遅い食感品質及びあるレベルの歯への詰まりを有し得る。ポテト及びトルティーヤスナックのような製品は、高密度を有し、特徴のあるザクザクとした質感及び溶けが速い食感品質を有する。以下の通り密度を測定することができる。
【0124】
密度測定
機器
1.破損していないスナック片を入れるのに十分な大きさの開口部を有するメスシリンダー。
2.はかり。
3.グリセリン(P&G Chemicals,Cincinnati,OH)。
【0125】
手順
1.メスシリンダーの風袋を計る。
2.メスシリンダーに、最上部の目盛り線までグリセリンを満たす。満たされたメスシリンダーに気泡が含有されないようにする。
3.グリセリンが満たされたメスシリンダーを計量し、グリセリンが満たされたメスシリンダーの質量を100分の1グラム単位で記録する。これが、メスシリンダー内のグリセリンの質量である=mク゛リセリン
4.メスシリンダーからグリセリンをあけて空にして、空にしたメスシリンダーを洗浄する。
5.上の工程4で得られる清潔なメスシリンダーの風袋を計る。
6.約20グラムの破損していない試験製品をメスシリンダーに入れる。
7.試験製品を含有するメスシリンダーを計量し、その質量を100分の1グラム単位で記録する。これが、メスシリンダー内の試験製品の質量である=m試験製品
8.試験製品を含有するメスシリンダーに、最上部の目盛り線までグリセリンを満たす。満たされたメスシリンダーに気泡が含有されないようにする。
9.上の工程8を実施してから5分以内に、試験製品及びグリセリンを含有するメスシリンダーを計量し、試験製品及びグリセリンを含有するメスシリンダーの質量を100分の1グラム単位で記録する。この質量が、メスシリンダー内の試験製品及びグリセリンの質量である(=m試験製品+ク゛リセリン)。
10.工程9のメスシリンダーを空にし、洗浄する。
11.新しいグリセリン及び試験製品を使用して、上の工程1〜10を更に2回繰り返し、試料毎に合計3つの測定値を得る。
12.試料の3つの測定値を平均して、次を得る:
●平均m1ク゛リセリン
●平均m試験製品
●平均m試験製品+ク゛リセリン
【0126】
計算
ρク゛リセリン=1.2613gm/mL(グリセリンの密度、文献値)
平均V1ク゛リセリン=(平均m1ク゛リセリン)/(ρク゛リセリン)=シリンダーの容積
平均m2ク゛リセリン=平均m試験製品+ク゛リセリン−平均m試験製品
平均V2ク゛リセリン=(平均m2ク゛リセリン)/(ρク゛リセリン
平均V試験製品=平均V1ク゛リセリン−平均V2ク゛リセリン
SV試験製品=(平均V試験製品)/(平均m試験製品
ρ試験製品=1/SV試験製品
【0127】
5.油脂%分析
チップ中の総油脂の百分率は、食品業者に既知の標準的な手順により測定できる。油脂の合計は、酸加水分解により測定することができる。特に、酸加水分解により総油脂を測定するための方法は、AOAC International(2000)17th edition AOAC International,Gaithersburg,MD,USA,Official Methods 922.06,954.02に見出すことができる。
【0128】
6.チップスの破壊強度/硬度
破壊強度又は硬度は、チップスを破壊するのに必要な力の測定値である。破壊強度は、スナックの強度、及び食感品質に関係する。破壊強度が高いほど、チップスのザクザク感及びパリパリ感も高くなる。
【0129】
破壊強度は、以下の方法で測定することができる。
【0130】
3ピン三脚基部をテキスチャー・アナライザー(TA)の基部に取り付ける。円筒形のプローブをTAの力アームに取り付ける。試験チップを三脚基部の上に等距離で配置する。三脚基部によってチップを完全に支持することができ、分析時における任意のロッキング運動又は無駄な動きをなくす。力アームが降下して、円筒形プローブとチップスを接触させ、破壊が記録されるまで、チップスに力を印加する。続いて、力アームは元の位置に戻る。
【0131】
【表4】

【0132】
三脚基部及びプローブの寸法は、下記に見出すことができる。
【0133】
手順:
この方法は、チップスの破壊、より具体的には、チップスの硬度の測定において用いられる特定の変数を設定するためのものである。分析者が、テキスチャーアナライザー、及び関連ソフトウェアの一般的な使用について訓練を受けており、かつプロジェクト/プログラムの設定に熟練していることが必須条件である。訓練は、Texture Technologies Corpで受けることができる。
【0134】
設定:
●取っ手付きスクリューを用いて三脚基部をTAの基部に取り付ける。
●1.3cm(1/2インチ)の円筒形のプローブを力アームに取り付ける。
●T.A.を較正する:最上部のツールバーから「T.A.」を選択する。
−カーソルを「較正」に移動させる。
○「力の較正」をクリックする。
□「ユーザ」を選択する。
□次へをクリックする。
□較正重量を2000gと入力する。
□2000gの較正重量を力アーム上の較正プラットフォームに置く。
●おもりを取り扱うときは手袋を使用する。
●機器をおもりで均衡化させるために5〜10秒間必要である。
●次へをクリックする。
●終了をクリックする。
●OKをクリックする。
●TAシーケンス情報を入力する:プロジェクトタブをクリックする。
−TA設定をクリックする。
−以下のTAシーケンス情報を入力する:
【0135】
【表5】

●サンプルの識別情報を入力する。
○「試験構成」をクリックする。
−ファイルIDを入力する(サンプル情報、実験ノート、日付等)。
−ファイル番号を入力する(最初に1を入力した場合、前の操作から試験を続ける場合、次のファイル番号を入力する)。
−「自動保存」ボックスをクリックする。
−メニューの右側の矢印ボックスをクリックして、ファイルを保存する場所及びフォルダを選択する。
−試験のタイトル情報を入力する。
−バッチがファイルIDと同一である場合、「ファイルIDを使用する」にチェックを入れる。バッチがファイルIDと異なる場合、「ファイルIDを使用する」にはチェックせず、バッチ情報を入力する。
−「適用」をクリックする。
−「OK」をクリックする。
【0136】
サンプルの実行:
●TAの前側パネルの上向き矢印を使用して、チップを三脚上に置くために適切な高さに力アームを移動させる。
●チップを三脚のピンの中央に置く。
●力アームをチップ表面の約3〜5mm上に再配置する。
−プローブがサンプルと接触し、トリガー力に達するまで、機器はデータの記録を始めないように試験が設計されているので、サンプル上のプローブの高さは、完璧に較正されている必要はない。各試験が終わると、サンプル上の元の開始位置にプローブが戻る。
●最上ツールバーから「T.A.」を選択する。
−試験を実行するをクリックする。
−情報及びファイル番号を検証する。
−試験を実行するをクリックする。
−試験のこのバッチに含まれる更なるサンプルは、コマンド「Crtl+Q」を用いて信号を送り実行することができる。
●合計10個のチップサンプルを実行する。
【0137】
データの解析:
●各サンプルの最高ピーク破壊力を求める。注記:データの入手を促進するためにソフトウェアを用いてマクロを作成してもよい。
●このデータセットにQ検定分析を適用して、90%の信頼水準で何らかのデータ外れ値が存在するか判定し、存在する場合には、1つの観測結果を分析から外すことができる。
【0138】
外れ値及びQ検定に関する理論
物理的又は化学的品質の一連の反復測定では、得られた値の1つ以上が、残りの大部分とかなり異なる場合がある。この場合、異常値を排除し、これをその後のいかなる計算(例えば、平均値及び/又は標準偏差の計算)にも含めないという、強い動機が存在する場合がある。この動機は、疑わしい値を「論理的に」外れ値として特徴付けることができる場合のみに、認められる。通常、外れ値は、データの主な「集団」とは異なるモデル又は異なる分布から生じる観測結果として定義される。この定義は、観察結果の範囲内のいずれにも外れ値が存在する場合があることを暗に示しているが、考えうる外れ値として極値のみを疑って調べるのが自然である。疑わしい観測結果の排除は、主観的又は直感的根拠ではなく、客観的基準のみに基づかなければならない。この排除は、「外れ値の検出」のための統計的に信頼できる試験を用いることによって達成することができる。
【0139】
DixonのQ検定は、この種の検定のうちのより簡素な試験であり、通常、分析化学の教科書のデータ処理の章に記載されている唯一の試験である。この試験は、規模の小さい一連の反復観測結果(典型的には3〜10個)のうちの1つ(及び唯一)の観測結果を、「論理的に」排除できるか否かを調べることができる。
【0140】
Q検定は、同じ正規母集団から選ばれた、秩序データ試料の「小領域比」の統計的分布に基づいている。したがって、このテストを適用すればいつでも、データの正規(ガウス)分布が推測される。外れ値の検出及び排除の場合には、Q検定は、一連の残りの観測結果に再び適用することはできない。
【0141】
Q検定の適用法
適用される例は、以下の通りである。
(1)調査中の一連の観測結果を含むN個の値を以下のように小さい順に並べる。
1<x2<...<xN
(2)統計的実験値であるQ値(Qexp)を計算する。この値は、疑わしい値と、その値に最も近い値との差を、値域(Q:排除指数)で除したものとして定義される比である。したがって、x1又はxN(予想される外れ値)を試験する際には、以下のQexp値を用いる。
【数4】

(3)得られたQexp値を、表に示されている臨界Q値(Qcrit)と比較する。この臨界値は、この試験を行うために定められた信頼水準(CL)に対応していなければならない(通常CL=95%)。
(4)Qexp>Qcritである場合、疑わしい値は、外れ値として特徴付けることができ、この値を排除することができ、そうでない場合には、疑わしい値を保持して、後に行われる全ての計算で使用しなければならない。
【0142】
Q検定と関連付けられる帰無仮説は次の通りである。「疑わしい値と残りの値との間に有意差が存在しなければ、いずれの差も、単に、確率的誤差に起因するはずである。」
【0143】
CL 90%、95%、及び99%、並びにN=3〜10の場合における臨界Q値を含む表を以下に示す(出展:D.B.Rorabacher,Anal.Chem.63(1991)139)。
【0144】
【表6】

【0145】
典型例:
以下の反復観察結果は、測定中に得られ、昇順で配置される:
4.85、6.18、6.28、6.49、6.69。
【0146】
これらの値は、以下のドットプロットにより表すことができる。
【0147】

【0148】
観察結果4.85を95%信頼区間において外れ値として拒否できるか?
【0149】
解答:対応するQexp値は、Qexp=(6.18−4.85)/(6.69−4.85)=0.722である。Qexpは、Qcrit値(=0.710、CL:95%、N=5)よりも大きい。したがって、4.85を拒否することができ、帰無仮説の誤った拒否(1型エラー)の可能性(p)は0.05未満であると確認される。
【0150】
注記:信頼区間99%では、疑わしい観察結果を拒否することはできないので、誤った拒否の可能性は0.01を超える。
【0151】
データ結果:
●Q検定の適用後、残りの観察結果を平均し、サンプルのチップス破壊力としてgf(グラム重量)で記録する。
【0152】
三脚基部及び円筒プローブの概略:
三脚基部
【0153】

【0154】

【0155】
7.シート強度試験
引張り試験は、生地シートの引張り強度を測定する機械的応力−歪み試験である。生地細片を、その端部で試験機械上に取り付ける。生地細片を、生地が破断するまで一定速度で伸長させる。生地が破断するときの力(g)が、生地の引張り強度である。引張り試験の出力を、力/荷重VS距離/時間として記録する。シート強度は、次の方法により測定することができる。
【0156】
機器
4.Stable Micro Systems製テキスチャーアナライザーTA−XT2又はTA−XT2i(25kgのロードセル能、Texture Expert Exceed Software及び5kgの較正重量)。
5.以下の交換部品を有するInstron Elastomeric Grips(カタログ番号2713−001):
a.)内部スプリング(Instron部品番号66−1−50)を直径0.5842mmのワイヤから作製されたスプリングに交換する。交換用スプリングは、長さが3.81cm、内径が0.635cm、係数Kが0.228N/mmでなければならない。該交換用スプリングは、Jones Spring Company(Wilder,Kentucky U.S.A.)から入手することができ、
b)Instron部品番号T2−322を、図8及び図9に示すような変形ローラー・プレーンで置き換える。該変形ローラープレーンは、該ローラープレーンの外表面上に、長さ4.412cm、幅0.9525cmの平らな側部を有するように機械加工された、インストロンストック(Instron Stock)部品番号T2−322である。前記平らの側部を、アームストロング自己接着式テープ#Tap18230で覆い、グリップのクランプフレーム下降装置(Instron部品番号A2−1030)の試料側に平行に置く。Instron弾性グリップは、テキスチャーアナライザーの上面と底に固定される。
【0157】
サンプルの調製
1.0.38mm〜2.50mmの範囲の均一な厚さ、及び少なくとも20cmの長さを有する生地シートを収集する。
2.生地シートからサンプルを切断して、幅2.5cm、長さ15cmの生地ストリップを形成する。ストリップの長さ15cmは、生地の機械方向に一致すべきである。全細片を連続的に切断する。
3.試料を気密容器内に置くことによって、試料から水分が失われるのを防ぐ。試料が新鮮な間に確実に分析されるように、収集後10分以内に試料を分析しなければならない。
【0158】
【表7】

【0159】
データ分析
試料のシート引張り強度とは、試料が破断する前の最大力である。生地のシート引張り強度は、5つの試料のシート強度の平均値である。
【実施例】
【0160】
本発明の特定の実施形態を以下の非限定例によって説明する。
【0161】
(実施例1、2)
以下の例は、本発明の米粉組成物の物理的特性を説明する。
【0162】
【表8】

*40個のチップを垂直に積み重ねた高さ(mm)
【0163】
生地組成物を、表1に示されたドライブレンドから調製する。実施例1及び2の生地組成物は、65%のドライブレンド及び35%の添加水を含む。全成分をTurbulizer(登録商標)ミキサでブレンドし、ほぐれた乾燥生地を形成する。実施例1は、既知の米粉を用いる米粉組成物を表すが、実施例2は、本発明の実施形態にかかる米粉組成物を用いる。
【0164】
1対のシート化ロールに連続的に送り込むことによって生地をシート状にし、小さな穴のない、弾性連続シートを形成する。シートの厚さを、約0.05cm(0.02インチ)に制御する。バックロールを約32℃(90°F)に加熱し、フロントロールを約57℃(135°F)に加熱する。
【0165】
その後、生地シートを楕円形片に切り、半固定油ちょう型内で、約204℃(400゜F)で、又は望ましい仕上がりが得られるまで、約8秒間揚げる。油ちょうされた切片は、約20〜25%の油脂を含有する。表1に示すように、実施例1は、吸水指数(WAI)4.1及びピーク粘度37RVUの予め糊化された米粉組成物を用いるが、実施例2は、吸水指数(WAI)6.9及びピーク粘度189RVUの予め糊化された米粉組成物を用いる。
【0166】
これらの製品はパリパリとした質感を有し、口の中ですぐ溶け、中立の風味である。
【0167】
(実施例3、4、5)
生地組成物は、以下の表に説明される実施例3、4、及び5のドライブレンドから調製される。生地組成物は、65%のドライブレンドと35%の添加水を含む。全ての成分を連続式Exact又は類似の設計のミキサでブレンドして、ほぐれて、乾燥した生地を形成する。実施例3は、既知の米粉を用いる米粉組成物を表すが、一方、実施例4及び5は、本発明の実施形態にかかる米粉組成物を用いる。
【0168】
1対のシート化ロールに連続的に送り込むことによって生地をシート状にし、小さな穴のない、弾性連続シートを形成する。シートの厚さを、約0.064cm(0.025インチ)に制御する。バックロールを約18℃(64°F)に加熱し、フロントロールを約11℃(52°F)に加熱する。
【0169】
その後、生地シートを楕円形片に切り、半固定油ちょう型内で、約170℃(338゜F)で、又は望ましい仕上がりが得られるまで、約20秒間揚げる。揚げ油は、RBDパーム−オレインである。油ちょうされた切片は、約25〜30%の油脂を含有する。
【0170】
これらの製品はパリパリとした質感を有し、口の中ですぐ溶け、不純物のない風味である。
【0171】
【表9】

【0172】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0173】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0174】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米粉を含む米粉組成物であって、
a)約3.5〜約9の吸水指数と、
b)約130RVU〜約900RVUのピーク粘度と、
を有する、米粉組成物。
【請求項2】
前記組成物が、中粒米粉、長粒米粉、及びこれらの混合物からなる群から選択される米粉を含む、請求項1に記載の米粉組成物。
【請求項3】
前記米粉が予め糊化された米粉を含む、請求項1又は2に記載の米粉組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の米粉組成物を約2%〜約100%含む、加工スナック製品を作製するためのドライブレンド。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の米粉組成物を少なくとも約15%含む、加工スナック製品を作製するためのドライブレンド。
【請求項6】
前記ドライブレンドが更に他のデンプン材料を約0%〜約85%含む、請求項4又は5に記載のドライブレンド。
【請求項7】
前記他のデンプン材料がポテトフレークを含む、請求項4〜6のいずれか一項に記載のドライブレンド。
【請求項8】
前記他のデンプン材料が、加工デンプン、アセチル化米、トウモロコシ、タピオカ、並びにこれらの組み合わせ及び混合物からなる群より選択される材料を更に含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載のドライブレンド。
【請求項9】
前記ドライブレンドが、約75RVU〜約400RVUのピーク粘度と約3〜約9の吸水指数(WAI)とを有する、請求項4〜8のいずれか一項に記載のドライブレンド。
【請求項10】
約0重量%〜約20重量%のマルトデキストリンを更に含む、請求項4〜9のいずれか一項に記載のドライブレンド。
【請求項11】
a)
1)約3.5〜約9の吸水指数及び約130RVU〜約900RVUのピーク粘度を有する米粉組成物を少なくとも約15%と、
2)デンプン材料を約85%以下とを、
含む約50%〜約85%のドライブレンドと、
b)約15%〜約50%の添加水と、
を含む生地。
【請求項12】
前記デンプン材料がポテトフレークを含む、請求項11に記載の生地。

【公表番号】特表2013−500014(P2013−500014A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521772(P2012−521772)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/042848
【国際公開番号】WO2011/011571
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】