説明

籾摺選別機の作業終了装置

【課題】籾摺選別機を利用してセンサを少なくしながら自動停止のできる麦選別装置を提供する。
【解決手段】籾摺選別機駆動用の主モータ(42)と、籾摺作業か麦選別作業かを選択する籾/麦設定スイッチ(72)と、籾摺部(1)の籾摺作業時初期調節設定手段と、籾摺部(1)の麦選別作業時初期調節設定手段と、主モータ(42)の負荷電流値の増減により籾摺部(1)の籾摺作業状態と非籾摺作業状態とを判定する籾摺作業判定手段(43)と、麦選別作業時間を設定する麦選別作業時間設定手段(73)と、前記籾摺作業判定手段(43)の作業終了判定により作動を開始する籾摺作業自動終了手段(41,62)と、前記麦選別作業時間設定手段(73)で設定された麦選別作業時間が前記コントローラ(41)のタイマ機能との対比により終了すると作動する麦選別作業自動終了手段(41,62)とから作業終了装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、籾摺選別機の作業終了装置、更に詳しくは、籾摺選別機における籾摺作業及び麦選別作業の終了装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
籾摺選別機を利用して麦選別をするにあたり、籾ホッパに設けた粒種判定センサにより籾・麦の判定をし、粒種が麦の場合には、籾摺ロールのロール間隙を拡開調節し、揺動選別装置の揺動回転数を増加調節し麦選別をするものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−61331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、籾摺選別機を利用して籾摺作業及び麦選別作業をするにあたり、センサを少なくしながら作業終了時に自動終了処理を円滑に実行しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記問題点を解決するために、この発明は次のような技術的手段を講じた。
請求項1の発明は、籾摺部(1)、摺落米風選部(2)、揺動選別板型の混合米選別部(3)及びコントローラ(41)を具備する籾摺選別機において、籾摺選別機駆動用の主モータ(42)と、籾摺作業か麦選別作業かを選択する作業選択手段(72)と、籾摺部(1)の籾摺作業時初期調節設定手段(41,43,61,62)と、籾摺部(1)の麦
選別作業時初期調節設定手段(41,43,61,62)と、前記主モータ(42)の負荷電流値の増減により前記籾摺部(1)の籾摺作業状態か非籾摺作業状態かを判定する籾摺作業判定手段(43)と、麦選別作業時間を設定する麦選別作業時間設定手段(73)と、前記籾摺作業判定手段(43)の作業終了判定により作動を開始する籾摺作業自動終
了手段(41,62)と、前記麦選別作業時間設定手段(73)で設定された麦選別作業時間が前記コントローラ(41)のタイマ機能との対比により終了すると作動する麦選別作業自動終了手段(41,62)と、からなる籾摺選別機の作業終了装置とする。
【0005】
前記構成によると、作業選択手段(72)により籾摺作業が選択されると、主モータ(42)が駆動され、籾摺作業時初期調節設定手段が作動し、例えば、籾摺部(1)の籾摺ロール(8,8)のロール間隙が初期調節設定され、籾供給調節弁(7a)が標準開度に開調節され籾摺作業が開始される。また、籾摺作業中は籾摺作業判定手段(43)が作動して主モータ(42)の負荷電流値が非作業状態か否かのを判定し、非作業状態になると籾摺作業自動終了手段が作動し、籾供給調節弁(7a)を閉鎖し籾摺作業を終了する。
【0006】
また、作業選択手段(72)により麦選別作業が選択されると、主モータ(42)が駆動され、麦選別作業の初期調節設定手段が作動して、例えば、籾摺部(1)の籾摺ロール(8,8)のロール間隙が拡開調節され、籾供給調節弁(7a)が標準開度に調節され麦選別作業が開始される。そして、麦選別作業中には麦選別作業時間設定手段(73)で設
定された麦選別作業時間が終了したか否かをコントローラ(41)のタイマ機能との対比により判定し、設定麦選別作業時間が終了すると、麦選別作業の自動終了手段が作動し、籾供給調節弁(7a)が閉鎖され麦選別作業を終了する。
【0007】
請求項2の発明は、主モータ(42)の負荷電流値の増減により籾摺部(1)の作業状態か非作業状態か判定する籾摺作業判定手段(43)の判定基準値を籾摺選別機の空運転時の負荷電流値に所定値を加えた値とすることを特徴とする請求項1記載の籾摺選別機の作業終了装置とする。
【0008】
前記構成によると、請求項1の発明の前記作用に加えて、籾摺作業判定手段(43)により籾摺部(1)の非作業状態を判定するにあたり、主モータ(42)の検出負荷電流値が籾摺選別機の空運転時の負荷電流値に所定値を加えた値より低くなると、籾摺作業の終了と判定する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明は、籾摺選別機駆動用の主モータ42の負荷電流値により籾摺作業の有無を判定し、検出手段の数を少なくしながら籾摺選別機における籾摺作業終了時の自動停止をすることができる。
【0010】
請求項2の発明は、籾摺作業判定手段(43)により籾摺部(1)の作業状態及び非作業状態を判定するにあたり、主モータ(42)における籾摺選別機の空運転時の負荷電流値に所定値を加えた値を基準値とするので、籾摺選別機の非作業状態の判定を正確に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
まず、図1に基づきこの発明を具備する籾摺選別機の全体構成について説明する。図1は籾摺選別機の切断側面図である。
【0012】
籾摺選別機は、機体の前側(図1では左側)に籾摺部1を配置し、籾摺部1の後側に摺落米風選部2を配置し、摺落米風選部2の後側に混合米選別部3を配置し、摺落米風選部2の例えば右側に配置した混合米揚穀機4により、摺落米風選部2から摺落米を混合米選別部3に揚穀移送し、混合米選別部3の後側に配置した玄米揚穀機6により選別玄米を機
外に取り出すように構成している。
【0013】
籾摺部1は例えば籾摺ロール型で、籾ホッパ7と、籾摺ロール8,8の内装されている籾摺室9と、籾摺室9載置用の籾摺ボックス11と、籾摺ボックス11内上部に設けられている振動型の摺落米移送棚12等により構成されている。
【0014】
前記構成により、籾ホッパ7の籾は籾摺ロール8,8に供給されて籾摺され、摺落米は摺落米移送棚12に落下供給され、振動している摺落米移送棚12により後側に移送されて、摺落米供給口13から摺落米風選部2に供給される。
【0015】
次に、図1により摺落米風選部2について説明する。
摺落米選別箱体16内には、摺落米選別風路17の選別始端側を下方に配置し、選別終端側を上方に配置して選別風路を上下方向に沿うように配設し、摺落米選別風路17の中途部を後側の混合米選別部3側に屈曲する中途屈曲部17aに構成し、また、摺落米選別風路17の選別始端側から選別中途部の中途屈曲部17aまでを選別風路の断面積が順次
拡大するように、また、中途部から終端側にかけて選別風路の断面積が順次狭くなるように構成している。
【0016】
そして、摺落米選別風路17の始端部下方に摺落米受樋18を設け、摺落米選別風路17の中途屈曲部17a下方に粃受樋20を配設し、摺落米選別風路17の終端部に吸引ファン19の左右の吸引部を接続し、吸引ファン19の排出部に排塵筒21を接続している。
【0017】
前記構成により、吸引ファン19が回転すると、摺落米選別風路17の始端側では強い選別風が流れ、中途部では弱く、終端側ではまた強くなるように選別風が流れる。そして、摺落米移送棚12を経由して選摺落米供給口13から摺落米が摺落米選別風路17に供給されると、比重の重い玄米及び籾の混合米は、選別風路の始端側の強い選別風にさらされて中途部まで上昇し、次いで、中途屈曲部17aの弱い選別風により混合米と籾殻類とに分離選別され、上昇旋回が弱まった混合米は下方の摺落米受樋18に落下選別される。
【0018】
また、比較的比重の軽い粃は、摺落米選別風路17の始端側の強い選別風により中途屈曲部17aまで上昇し、次いで、中途屈曲部17aの弱い選別風により籾殻類と分離選別されて上昇移動が弱まりながら中途屈曲部17aの後側部に流れて粃受樋20に落下選別される。
【0019】
また、比重の軽い籾殻類は選別風により摺落米選別風路17の始端側から中途屈曲部17aまで上昇し、次いで、中途屈曲部17aから強くなる選別風により終端側に上昇し、吸引ファン19を経て機外に排出される。
【0020】
次に、図1により揺動選別板型の混合米選別部3について説明する。
多段の揺動選別板22,…には、板面に選別用の凹凸が形成されていて、穀粒の流下方向である縦方向(紙面に直交する方向)の始端側を高い供給側、終端側を低い排出側とし、選別方向である横方向(図面の左右方向)の一方側を高い揺上側、他側を低い揺下側として、揺動選別板22,…の縦方向及び横方向を共に傾斜した構成とし、揺動アーム,揺動リンク等から構成されている揺動装置(図示省略)により、横方向斜め上下に往復揺動するように構成している。
【0021】
この揺動選別板22,…の供給側の例えば揺下側に供給口が構成されていて、混合米揚穀機4から揚穀された混合米が、混合米タンク23、分配供給樋24及び分配ケース25を経由して各揺動選別板22,…に供給される。揺動選別板22,…の排出側に対向して、選別玄米と選別混合米を仕切る玄米仕切板26、及び、選別混合米と選別籾を仕切る籾仕切板27を横方向に調節自在に設けている。
【0022】
また、揺動選別板22,…の揺下側側壁22aの排出側には、籾取出口(図示省略)を設けて選別籾を籾取出流路28に取り出し可能に構成し、籾取出流路28の下方に設けた籾還元ホッパ29に供給するように構成している。また、籾仕切板27の下方には籾案内樋27aを設けて選別籾を籾還元ホッパ29に供給するように構成し、籾取出流路28及
び籾仕切板27から取り出された選別籾は、籾還元ホッパ29を経て籾揚穀機30に流下して揚穀され籾摺部1に還元されるように構成している。
【0023】
前記構成により、揺動選別板22,…に供給された混合米は、粒形の大小,比重の大小,摩擦係数の大小等の関係で、比重の重い小形の玄米は揺上側に偏流分布し、玄米に比較して大きく比重の軽い籾は揺下側に偏流分布し、その中間部には分離されない籾・玄米の混合米が偏流分布し選別される。
【0024】
そして、揺動選別板22,…の排出側の揺上側に偏流分布している選別玄米は玄米仕切板26により仕切られて取り出され、玄米流下板41、玄米取出樋42、玄米揚穀機6を経て機外に取り出される。また、中間部に偏流分布している選別混合米は玄米仕切板26及び籾仕切板27により仕切られて取り出され、混合米流下板43を経て摺落米受樋18に供給され、更に、混合米揚穀機4、混合米タンク23、分配供給樋24、分配ケース25を経て揺動選別板22,…に供給されて再選別される。
【0025】
また、揺動選別板22,…の揺下側に偏流分布した選別籾は、揺下側側壁22aに沿って排出側に流下し、排出側終端部に到達する前に籾取出口(図示省略)から籾取出流路28に取り出されて籾還元ホッパ29に流下し、また、揺動選別板22,…揺下側の排出側終端部に偏流した選別籾は籾仕切板27に仕切られて取り出され、籾案内樋27aを経て籾還元ホッパ29に送られる。これらの選別籾は更に籾揚穀機30を経て籾ホッパ7に揚穀還元され再度の籾摺がなされる。
【0026】
次に、図2に基づきコントローラ41のブロック構成について説明する。
CPUを内臓したコントローラ41の入力側には、入力インターフェイスを介してセンサ類及びスイッチ類を接続している。即ち、籾摺選別機駆動用の主モータ42の負荷電流値を検出する負荷電流センサ43、元電源電圧を検出する電源電圧センサ44、揺動選別板22の揺動回転数を検出する揺動回転数センサ45、ロール間隙初期設定スイッチ51、運転/停止スイッチ52、脱ぷ率下げ調節スイッチ53、脱ぷ率上げ調節スイッチ54、自動運転の入/切をする自動/手動切換スイッチ55、表示切換スイッチ56、籾摺作業及び麦選別作業の設定をする籾/麦設定スイッチ72、及び、麦選別作業時間設定スイッチ73を接続している。
【0027】
また、コントローラ41の出力側には、出力インタ−フエイス、駆動回路を経由して籾摺選別機駆動用の主モータ42、籾摺ロール8,8のロール間隙調節用のロール間隙調節モータ61、シャッタ46a調節用の弁開度調節モータ62、表示部63、モータ負荷表示部67及び脱ぷ率調整表示部69を接続している。
【0028】
次に、図3及び図4に基づきコントローラ41の籾摺作業制御について説明する。
この実施例では、籾ホッパ7の籾有無の判定を負荷電流センサ43の検出負荷電流値により判定し、その判定基準値を次のように設定している。図4に示すように、主モータ42の起動時におけるシャッタ46a閉鎖状態の空運転時の負荷電流値を「I0」とし、籾摺作業の最低能率の負荷電流値を「Imin」とし、籾摺作業の最大能率の負荷電流値を「Imax」とすると、空転時の負荷電流値に所定値を加えた「I0+α」を非作業基準値としている。
【0029】
制御を開始すると、主モータ42が起動されているかを判定し(ステップS1)、主モータ42が起動されていると、籾摺ロール8,8のロール間隙初期調節設定を実行する。ロール間隙初期調節設定は例えば次のような手順でなされる。
【0030】
即ち、籾摺ロール8,8のロール間隙を開調節しながら負荷電流センサ43により負荷電流値を検出し、検出負荷電流値が変化しなくなると、籾摺ロール8,8の非接触状態と判定し、ロール間隙の開調節を停止する(ステップS2)。次いで、籾摺ロール8,8のロール間隙を閉調節しながら負荷電流センサ43により負荷電流値を検出し、負荷電流値の増加を検出すると籾摺ロール8,8の微接触と判定し、ロール間隙の閉調節を停止する(ステップS3)。次いで、籾摺ロール8,8のロール間隙を所定時間(例えば8秒)にわたり開調節し、所定の初期ロール間隙(例えば、0.8mm)に調節設定する(ステップS4)。
【0031】
次いで、籾ホッパ7のシャッタ46aを標準開度に開調節し籾摺作業を開始し(ステップS5)、次いで、負荷電流センサ53により所定時間毎に検出負荷電流値(I1)を検出し(ステップS6)、籾切れ基準値(I0+α)と検出負荷電流値(I1)を比較し、検出負荷電流値(I1)≦籾切れ基準値(I0+α)の場合には、籾切れの非籾摺作業
と判定し(ステップS8)、また、検出負荷電流値(I1)>籾切れ基準値(I0+α)の場合には、籾有りの籾摺作業中と判定する(ステップS9)。次いで、主モータ42がONであると、前記ステップS5に戻り(ステップS10)、主モータ42が停止であると制御は終了する(ステップS10)。
【0032】
前記構成によると、負荷電流センサ43により主モータ42の負荷電流値を検出することにより、籾ホッパ7の籾の有無を判定し籾摺作業中か否かを判定することができ、籾センサを省略できてコストの低減を図ることができる。また、籾切れ判定の基準値を、主モータ42の起動時における空運転時の負荷電流値「I0」に所定値を加えた「I0+α」に設定することにより、機械負荷のバラツキや経年変化にも対応できて籾切れ検出の精度向上を図ることができる。
【0033】
次に、図5に基づき籾摺ロール8,8のロール間隙初期調節設定の他の実施例について説明する。
この実施例は再開籾摺作業時のロール間隙の初期調節設定を円滑に実行しようとするものである。摺落米風選部2の選別粃や混合米選別部3の選別籾を籾摺部1に還元し再度籾摺する籾摺選別機にあっては、再開籾摺作業の開始時には主モータ42の起動と同時に籾摺ロール8,8上に残留している粃が籾摺ロール8,8を通過する。従って、再開籾摺作
業の開始時におけるロール間隙の初期調節設定に際し、残留穀粒により籾摺ロール8,8の接触判定に誤りが生じ、通常よりも広くロール間隙を設定する不具合が生じることがある。この実施例ではこのような不具合を解消しようとするものである。
【0034】
制御を開始すると、主モータ42の起動か否かを判定する(ステップS1)。なお、この実施例では主モータ42の起動の有無の判定にあたり、負荷電流センサ43の負荷電流値が所定値(例えば2.5アンペア以上)であると、主モータ42ONと判定している。主モータ42がONであると、籾摺ロール8,8のロール間隙の初期調節設定を実行する。即ち、籾摺ロール8,8のロール間隙を開調節しながら負荷電流センサ43により負荷電流値を検出し、検出負荷電流値が変化しなくなったときの負荷電流値を無負荷電流値(I0)として、籾摺ロール8,8の非接触と判定しロール間隙の開調節を停止する(ステップS2)。次いで、所定時間経過したか否かの判定をし(ステップS3)、所定時間が経過すると、次いで、ロール間隙を閉調節しながら負荷電流センサ43により負荷電流値を検出し、検出負荷電流値が「前記無負荷電流値(I0)+0.7アンペア」以上になると、籾摺ロール8,8の微接触と判定し、ロール間隙の閉調節を停止する(ステップS4)。次いで、ロール間隙を所定時間(N秒)にわたり開調節し、所定の初期ロール間隙(例えば、0.8mm)に調節設定し(ステップS5)、ロール間隙の初期調節設定を終了する。
【0035】
なお、ステップS3の所定時間は、主モータ42の起動開始時における摺出米風選部2からの選別粃及び混合米選別部3の選別籾が籾摺ロール8,8を通過するのに要する時間で、例えば約10秒程度である。
【0036】
前記構成とすることにより、再開籾摺作業時におけるロール間隙の初期調節設定の前記不具合を解消し、籾摺ロール8,8のロール間隙の初期調節設定を適正に実行することができる。
【0037】
なお、ロール間隙の初期調節設定にあたり、図5のステップS2の負荷電流センサ43により負荷電流値を検出するよりも前のステップで、所定時間の経過を判定するステップを設けても、同様に適正なロール間隙の初期調節設定をすることができる。
【0038】
次に、図6に基づき籾摺選別機の脱ぷ率調整構成について説明する。
籾摺選別機の操作パネル66には、運転/停止スイッチ52、主モータ42の負荷電流値を表示する主モータ負荷電流表示部67、籾摺ロール8,8のロール間隙及び電源電圧を表示する表示部63、表示切換スイッチ56、脱ぷ率調整表示部69、脱ぷ率調整表示部69の左側に位置する脱ぷ率下げ調節スイッチ53、脱ぷ率調整表示部69の右側に位
置する脱ぷ率上げ調節スイッチ54、自動/手動切換スイッチ55を設けている。また、脱ぷ率調整表示部69には、低目〜標準〜高目の表示LED69a,69b,69c,69d,69e,69f,69gを設けている。
【0039】
また、コントローラ41に電源を投入すると、脱ぷ率調整表示部69には現在のロール間隙の初期調節設定状態を表示する当該表示LEDが点灯するように構成している。そして、例えば、表示切換スイッチ56及び自動/手動切換スイッチ55を同時にONしシステム設定モードを選択すると、脱ぷ率上げ調節スイッチ54を押す毎に前記ロール間隙初
期調節設定におけるロール間隙開調節時間が1秒づつ短縮し、該当する表示LEDが順次点灯し、且つ、表示部63には調節ロール間隙寸法(例えば、0.7mm)を表示するように構成している。
【0040】
また、脱ぷ率下げ調節スイッチ53を押す毎に同様に1秒づつロール間隙開調節時間が長くなって該当する表示LEDが点灯し、且つ、表示部63には調節ロール間隙寸法(例えば、0.9mm)を表示するように構成し、また、ロール間隙の初期調節設定を標準に設定すると、これに関連して籾供給調節弁の開調節度合いを標準に設定するように構成し
ている。
【0041】
また、例えば、表示切換スイッチ56及び自動/手動切換スイッチ55を同時に再度ONすると、システム設定モードから通常作業モードに復帰する。また、通常作業モードでは、脱ぷ率上げ調節スイッチ54を押す毎に、ロール間隙調節モータ61を所定時間正回転させてロール間隙を所定間隙づつ閉調節し、また、脱ぷ率下げ調節スイッチ53を押す
毎に同様にロール間隙を開調節するように構成している。
【0042】
また、脱ぷ率調整表示部69の表示LED69a,69b,69c,69d,69e,69f,69gの点灯表示位置により、籾摺作業の終了動作の内容を変更するように構成してもよい。即ち、標準表示LED69dよりもロール間隙を低目に選択している場合、即ち、表示LED69a,69b,69cを選択している場合には、作業終了動作のロー
ル間隙拡開調節を省略するように構成してもよい。前記構成とすることにより、籾摺ロール8,8の変形を防止しながら、作業終了動作を早く終了することができる。
【0043】
また、再開籾摺作業開始時のロール間隙制御を次のように実行してもよい。即ち、籾摺作業時におけるロール間隙の初期調節設定内容を表示LEDの点灯表示により記憶しておき、籾摺作業終了時にロール間隙の拡開調節を実行した場合には、再開籾摺作業開始時にロール間隙の初期調節設定を実行しその後に籾摺作業を開始する。また、籾摺作業終了時
にロール間隙の拡開調節を実行していないときには、前回籾摺作業終了時における表示LEDの点灯表示内容となるように再開籾摺作業時においてロール間隙調節指令を出力し、ロール間隙を前回作業時のロール間隙に調節設定し籾摺作業を開始するようにする。
【0044】
前記構成によると、再開籾摺作業時に前回作業と同様なロール間隙に迅速に設定することができ、籾摺作業を円滑に再開することができる。
次に、籾摺選別機を利用した籾摺作業時の自動停止制御及び麦選別作業時の自動停止制御について説明する。
【0045】
籾/麦設定スイッチ72を籾摺作業に選択し、自動/手動切換スイッチ55を自動に選択し、運転/停止スイッチ52をONすると、籾摺自動運転が開始される。すると、コントローラ41の籾摺指令出力により主モータ41が駆動されて籾摺選別機の回転各部が駆動され、次いで、籾摺ロール8,8のロール間隙初期調節設定が実行され、次いで、籾ホ
ッパ7の籾供給調節弁7aの初期開調節工程に移行し、籾供給調節弁7aが自動的に開調節され籾摺作業が開始される。
【0046】
次いで、例えば、籾摺ロール8,8のロール間隙を所定時間毎に所定間隔狭める自動運転に移行し、ロール間隙を自動調節しながら自動籾摺運転が実行される。また、自動運転中には、負荷電流センサ43により所定時間毎に主モータ42の負荷電流値が検出され、検出負荷電流値(I1)と籾切れ基準値(I0+α)を比較し、検出負荷電流値(I1)
が籾切れ基準値以下になると籾切れによる作業終了と判定し、所定時間の籾摺作業終了運転に移行し、所定時間が終了すると、主モータ42を停止し、籾供給調節弁46aを閉鎖し籾摺作業を終了する。
【0047】
また、籾/麦設定スイッチ72を麦選別作業に選択し、麦選別作業時間設定スイッチ73により麦選別作業時間を設定し、自動/手動切換スイッチ55を自動に選択し、運転/停止スイッチ52をONすると、麦選別作業の自動運転が開始される。すると、コントローラ41の麦選別作業指令出力により主モータ41が駆動されて籾摺選別機の回転各部が駆動され、次いで、籾摺ロール8,8の拡開調節(ロール間隙調節モータ61によりロール間隙の閉調節をし、籾摺ロール8,8の微接触を負荷電流センサ43で検出すると、例えば、20秒ロール間隙の開調節をしロール間隙を拡開調節する)が実行されロール間隙が拡開調節され、次いで、籾ホッパ7の籾供給調節弁7aの初期開度調節工程に移行し、籾供給調節弁7aが自動的に開調節され、麦選別作業が開始される。
【0048】
しかして、麦選別作業中は、摺落米風選部2の風選作用により麦粒から軽い藁屑類が除去され、混合米選別部3の揺動選別板22あるいは分配供給樋24により麦粒から重い穀稈切れが除去される。
【0049】
また、麦選別作業中にはコントローラ41の計時機能により設定麦選別作業時間が終了したか否かの判定をし、設定麦選別作業時間が終了すると、籾供給調節弁7aを閉鎖し、籾摺ロール8,8のロール間隙を籾摺作業運転の標準初期調節開度に復帰させて麦選別作業を終了する。
【0050】
また、麦選別作業時間を次のように設定してもよい。即ち、例えば、表示切換スイッチ56及び自動/手動切換スイッチ55を同時にONしてシステム設定モードを選択する。すると、表示部63に設定事項が表示され、表示切換スイッチ56を押すと、複数の設定事項が順次切り替わり表示され、麦選別作業が表示されると、例えば、自動/手動切換ス
イッチ55を押し麦選別作業時間設定モードを確定する。すると、表示部63に標準麦選別作業時間(例えば、3時間)が表示され、脱ぷ率上げ調節スイッチ54を押す毎に麦選別作業時間が所定時間づつ増加しながら表示部63に表示され、また、脱ぷ率下げ調節スイッチ53を押す毎に所定時間づつ麦選別作業時間が減少しながら表示部63に表示され、自動/手動切換スイッチ55を押し、麦選別作業時間を確定する。このように構成することにより、操作スイッチを少なくしながら、好みの麦選別作業時間を設定することができる。
【0051】
また、籾/麦設定スイッチ72を図7に示すように構成してもよい。即ち、籾/麦設定スイッチ72には、運転の自動停止をしないOFF操作位置A、籾摺作業の自動停止をする籾操作位置B、麦選別作業の自動停止をする麦操作位置Cの操作部を設ける。
【0052】
しかして、麦操作位置Cに操作すると、標準時間の麦選別作業が選択され、コントローラ41の計時機能が標準時間の終了を検知すると、自動的に麦選別作業の終了工程に移行し、所定の終了動作を実行した後に主モータ42を停止し作業を終了するものである。また、籾操作位置Bに操作すると、前記実施例と同様に初期動作を実行して籾摺作業を開始
し、負荷電流センサ53の検出負荷電流値により籾ホッパ7の籾なしを判定すると、籾摺作業の所定の終了工程を実行し主モータ42を停止し籾摺作業の自動運転を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】籾摺選別機全体の切断側面図
【図2】制御ブロック図
【図3】フローチャート
【図4】主モータの負荷電流値を示すグラフ
【図5】制御フローチャート
【図6】操作パネルの正面図
【図7】籾/麦設定スイッチの正面図
【符号の説明】
【0054】
1 籾摺部
2 摺落米風選部
3 混合米選別部
4 混合米揚穀機
5 玄米揚穀機
6 籾ホッパ
7 籾摺ロール
41 コントローラ
41 麦選別作業時初期調節設定手段(コントローラ)
41 籾摺作業時初期調節設定手段(コントローラ)
41 籾摺作業自動終了手段(コントローラ)
41 麦選別作業自動終了手段(コントローラ)
42 主モータ
43 負荷電流センサ
43 籾摺作業判定手段(負荷電流センサ)
61 ロール間隙調節モータ
62 弁開度調節モータ
72 作業選択手段(籾/麦設定スイッチ)
73 麦選別作業時間設定手段(麦選別作業時間設定スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺部(1)、摺落米風選部(2)、揺動選別板型の混合米選別部(3)及びコントローラ(41)を具備する籾摺選別機において、籾摺選別機駆動用の主モータ(42)と、籾摺作業か麦選別作業かを選択する作業選択手段(72)と、籾摺部(1)の籾摺作業時初期調節設定手段(41,43,61,62)と、籾摺部(1)の麦選別作業時初期調節設定手段(41,43,61,62)と、前記主モータ(42)の負荷電流値の増減により前記籾摺部(1)の籾摺作業状態か非籾摺作業状態かを判定する籾摺作業判定手段(43)と、麦選別作業時間を設定する麦選別作業時間設定手段(73)と、前記籾摺作業判定手段(43)の作業終了判定により作動を開始する籾摺作業自動終了手段(41,62)と、前記麦選別作業時間設定手段(73)で設定された麦選別作業時間が前記コントローラ(41)のタイマ機能との対比により終了すると作動する麦選別作業自動終了手段(41,62)と、からなる籾摺選別機の作業終了装置。
【請求項2】
主モータ(42)の負荷電流値の増減により籾摺部(1)の作業状態か非作業状態か判定する籾摺作業判定手段(43)の判定基準値を籾摺選別機の空運転時の負荷電流値に所定値を加えた値とすることを特徴とする請求項1記載の籾摺選別機の作業終了装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−117800(P2007−117800A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309871(P2005−309871)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】