説明

粉体と液体の混合方法及びその装置

【課題】粉体と液体の混合を均一に、かつ、連続的に行う。
【解決手段】液体投入管から圧送された液体wを水平渦巻き流12にする縦置渦巻き発生器1と、該縦置渦巻き発生器1内に同心状に配設された粉体投入管3と、該縦置渦巻き発生器1の上部側に連通するオーバーフロー管10と、該縦置渦巻き発生器1の上壁部に設けられ、前記粉体投入管3の上端に連結されたロータリーバルブ5と、前記縦置渦巻き発生器1の下端部にV字管路2を介して連続するT字管路7と、該T字管路7の水平管部7bにおける交差部Mの上流側に設けられ、圧送された液体wを垂直渦巻き流13にする横置渦巻き発生器8と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料製造プラントにおける粉体と液体との混合、特に、多量の液体に微量の粉体(例えば、全体の2〜3%)を定量で混合する場合に、粉体と液体に対して均一に、しかも連続して混合することの出来る、粉体と液体の混合方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料製造プラント、例えば、牛乳(液体)にコーヒー粉末(粉体)を混合してコーヒー牛乳を製造するプラント、では、粉体を液体に対して定量づつ連続的に混合しているが、「だま」や「ままこ」といった未溶解物が発生し、粉体を液体に対して均一に混合することが出来なかった。そのため、前記未溶解物によって混合精度が一定にならず、問題となっていた。
【0003】
そこで、この問題を解決するため、次のような混合装置が開発されている。
(1)粉体を内筒状容器内の中心部領域に対して連続的に定量自由落下させ、円筒状容器の下端円筒部においてその周方向に沿って設けた吹出孔から液体を噴出させ、落下途中の粉体を噴射流で混合する混合装置(例えば、特許文献1、参照)。
【0004】
(2)空気輸送で粉体を送出する粉体供給管と、液体を噴出する液体供給管と、粉体供給管及び液体供給管が同じ開放端に挿入される筒状の混合管とを有し、混合管が粉体供給管の先端より噴出される空気―粉体混合体の輸送流路を変更せしめる屈曲部を有し、さらに前記液体供給管より噴出された液体と前記屈曲部で流路を変更された粉体とが交差するように前記液体供給管が配置されている混合装置(例えば、特許文献2、参照)。
【0005】
(3)一端が閉口し他端が開口する吐出管と、該吐出管の閉塞する端部に取り付けられていてこの吐出管の軸方向に向かって開口する液体の噴射ノズルと、前記吐出管と交差する方向に延長するとともに、前記閉塞する側の端部近傍において前記吐出管の周面に一端が開口連通する粉体の供給管と、前記吐出管を通過しつつ混合された粉体と液体との混合流体の一部を、前記供給管に返送する返送手段とからなる混合装置(例えば、特許文献3、参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−340253号公報
【特許文献2】特開平08−112519号公報
【特許文献3】特開平09−313909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来例には、次のような問題がある。
特許文献1(特開2003−340253号公報)では、落下する粉体にジェツト水流を激突させ、ジェツト水流が管路の壁に衝突し、水滴が周囲に飛散してスリットに付着する。そのため、定量の粉体と液体の連続混合が出来ず、スリットに目詰まりを発生させてしまう危険性があった。
【0008】
特許文献2(特開平08−112519号公報)では、液体供給管で渦巻き流を発生させ、粉体供給管の側面を渦巻き流が巻き込み粉体と接触した状態で混合されて、渦巻き流を大気側で開放している霧状の中心円状の薄膜状に粉体が混合される。そのため、粉体と液体の混合部で粉体が飛散し、粉体が薄膜状に巻かれて混合を良好に行うことが出来ない。
【0009】
特許文献3(特開平09−313909号公報)では、一次攪拌容器に混合流体を渦巻きが発生する方向に液体を注入し、その渦巻き流体中に粉体を落下させ混合された流体は、別の流体によりジェツト流として引き出され、液体と再度混合されているが、粉体供給装置と混合流体の注入位置の高さにより、液体ジェツト水流の変化で粉体供給装置のスクリューフィダーまで水没させてスクリューフィダーを閉塞させたり、又、水没により「だま」、「なまこ」が発生したりする。三方弁の切替えによる循環混合を可能にしているが、ジェツト水流の制御により一次攪拌容器が、粉体の「だま」で閉塞されることがある。ノズルからの噴射される液体との混合が、均一に行われ難くなっている。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、未溶解物が発生することなく、液体と粉体との混合を行なうとともに、均一に混合することを目的とする。他の目的は、混合粉体連続定量供給手段が水流の変化で水没するのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、液体投入管から圧送された液体を水平渦巻き流にする縦置渦巻き発生器と、該縦置渦巻き発生器内に同心状に配設された粉体投入管と、該縦置渦巻き発生器の上部に連通するオーバーフロー管と、該縦置渦巻き発生器の上壁部に設けられ、前記粉体投入管の上端に連結された粉体連続定量供給手段と、前記縦置渦巻き発生器の下端部に連続するT字管路と、該T字管路の水平管部の混合部上流側に設けられ、圧送された液体を垂直渦巻き流にする横置渦巻き発生器と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明は、前記T字管路の水平管部における交差部の下流側に、攪拌混合手段が設けられていることを特徴とする。この発明は、前記攪拌混合手段が、パイプミキサであることを特徴とする。この発明は、前記粉体連続定量供給手段が、ロータリーバルブ、又は、テーブルフイダーであることを特徴とする。この発明は、前記縦置渦巻き発生器の下端部が、V字管路を介してT字管路に連続していることを特徴とする。
【0013】
この発明は、液体投入管から縦置渦巻き発生器内に液体を圧送して水平渦巻き流を発生せしめる行程と、前記水平渦巻き流の中心部に、粉体投入管の下端部から粉体を連続定量ずつ投入して混合し、混合水平渦巻き流を形成する行程と、横置渦巻き発生器内に液体を圧送して垂直渦巻き流を形成し、該垂直渦巻き流を前記水平渦巻き流に衝突させて攪拌する再混合行程と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
この発明は、前記再混合行程で混合された混合流体を、更に攪拌混合すること特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上の様に構成したので、未溶解物が発生することなく、且つ、均一に液体と粉体との混合を行なうことができるとともに、粉体連続定量供給手段が水流の変化で水没するのを防止することができる。
【0016】
更に述べると、前記粉体連続定量供給手段から、縦置渦巻き発生器と同心の中心軸を有する粉体投入管に粉体を供給し、該粉体を前記粉体投入管の先端部の渦巻き水流面に連続的に定量自由落下させるので、「だま」を発生させることなく、液体と混合することができる。
【0017】
オーバーフロー管を設けたので、渦巻き水流を前記粉体投入管の長さまでの水頭圧までの逆流水が上昇しようとする場合には、該オーバーフロー管から排水されるので、該前記粉体連続定量供給手段の水没を防止することができる。
【0018】
粉体投入管が、所定の長さを備えているので、粉体投入管の下端に落下する粉体を渦巻き水流面に均一に接触させて混合率をアップさせることができるとともに、渦巻き水流が直接粉体連続定量供給手段に接触することを避けることができる。
【0019】
縦置渦巻き発生器と横置渦巻き発生器とを備えているので、粉体を粉体連続定量供給手段により粉体投入管に連続的に定量ずつ投入すると、該粉体は、縦置渦巻き発生器内で発生している水平渦巻き流に巻き込まれて混合水平渦巻き流になり、該混合水平渦巻き流は横置渦巻き発生器の垂直渦巻き流に衝突して切り回され、再混合流となる。そのため、液体と粉体は、均一に混合される。
【0020】
液体の量と連続的に自由落下させる粉体の量を調整すれば、所望の濃度の混合液を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
液体と粉体の混合装置は、横置渦巻き発生器1と、該発生器1の下端部にV字管路2を介して連結されているT字管路7と、を備えている。
【0022】
前記発生器1は、垂直状の軸心1を中心とする旋回流12(「水平渦巻き流」という)を形成するもので、上壁中央部には、粉体投入管3が同心状に垂設されている。この粉体投入管3は、細管であり、その直径は、例えば、前記発生器1本体の直径の1/6の大きさに形成され、その下端部3aは、該発生器1の下端部近傍まで延びている。
【0023】
前記横置渦巻き発生器1の上端部側には、オーバーフロー10が設けられ、その下端部側には流体投入管4が設けられている。前記液体投入管4は、円筒状の横置渦巻き発生器1本体に対して接線方向に設けられている。
【0024】
V字管路2は、前記発生器1に接続された直筒部と、該直筒部の下端に連続する漏斗部と、を備えている。前記漏斗部の下端は、T字管路7の垂直管部7aに連結されている。前記垂直管部7aは交差部Mにおいて水平管部7bと直交している。
【0025】
前記水平管部7bにおける交差部Mの一方側には、横置渦巻き発生器8が設けられて、その他方側には混合手段であるパイプミキサ9が設けられている。
前記横置渦巻き器8はT字管路7の水平管部7bの中心軸7c周りの旋回流13(「垂直渦巻き流」という)を形成するものであるが、この垂直渦巻き流13は、前記水平渦巻き流12に対し、90°変位している。又、パイプミキサ9は、液体wと粉体6の混合流14を更に攪拌混合するものであるが、このパイプミキサ9は、補助的に設けられるもので、場合により省略することも可能である。
【0026】
次に、本実施の形態の作動について説明する。
液体と気体の混合装置の起動スイッチをオンにする。
そうすると、液体、例えば、水wが液体投入管4から横置渦巻き発生器1内に圧送され、水平渦巻き流12(旋回流)となりながら下降する。
【0027】
ホッパHに充填されている粉体6は、ロータリーバルブ5の回転により連続定量ずつ粉体投入管6に供給され、該粉体投入管6内を自由落下しながら水平渦巻き流12の中心部に投入される。そして、前記粉体6は、前記水平渦巻き流12に乗りながらv字管路2内で液体wと混合され混合水平渦巻き流12aとなる。
【0028】
該混合水平渦巻き流12aは、T字管路7の垂直管部7aを通って交差部Mに流入する。この時、横置渦巻き発生器8の駆動により、T字管部7の水平管部7b内には垂直渦巻き流13が送出されているので、前記混合水平渦巻き流12aは、前記垂直渦巻き流13に切られるようにしながら攪拌され、均一に混合されて混合流14となる。この混合流14はパイプミキサ9を通りながら更に攪拌混合された後、機外に排出される。
【0029】
液体投入管1からの液体の供給量が多すぎたり、又は、v字管路2で絞られ円滑に流下しないときには、水平渦巻き流12が上昇することがあるが、このような場合には、オーバーフロー管10から排水されるので、粉体投入管3内を液体wが上昇することがない。従って、該粉体投入管3の上端に連結されているローターバルブ5は、水没することはない。
【0030】
粉体投入管3を設けているので、ロータリーバルブ5から連続定量供給される粉体6は、該粉体投入管3内を自由落下しながら渦巻き流面2aに均一に接触して混合される。
【実施例】
【0031】
本発明の実施例について説明する。
前記液体と粉体の混合装置のロータリーバルブから重炭酸ソーダ粉体80kgを30分かけて粉体投入管に微量定量連続投入し、自由落下させるとともに、80℃の水3000リットルに定量混合した。この時、重炭酸ソーダーを完全に溶解し、均一に混合することが出来た。
【0032】
この発明の実施例は、上記に限定されるものではなく、例えば、連続定量供給手段として、ロータリーバルブのほか、テーブルフイダーなどを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態を示す正面縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0034】
1 縦置渦巻き発生器
2 V字管路
3 粉体投入管
4 液体投入管
5 ロータリーバルブ
6 粉体
7 T字管路
8 横置渦巻き発生器
9 パイプミキサ
10 オーバーフロー管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体投入管から圧送された液体を水平渦巻き流にする縦置渦巻き発生器と、
該縦置渦巻き発生器内に同心状に配設された粉体投入管と、
該縦置渦巻き発生器の上部に連通するオーバーフロー管と、
該縦置渦巻き発生器の上壁部に設けられ、前記粉体投入管の上端に連結された粉体連続定量供給手段と、
前記縦置渦巻き発生器の下端部に連続するT字管路と、
該T字管路の水平管部の混合部上流側に設けられ、圧送された液体を垂直渦巻き流にする横置渦巻き発生器と、
を備えたことを特徴とする液体と粉体の混合装置。
【請求項2】
前記T字管路の水平管部における交差部の下流側に、攪拌混合手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体と粉体の混合装置。
【請求項3】
前記攪拌混合手段が、パイプミキサであることを特徴とする請求項2記載の液体と粉体の混合装置。
【請求項4】
前記粉体連続定量供給手段が、ロータリーバルブ、又は、テーブルフイダーであることを特徴とする請求項1記載の液体と粉体の混合装置。
【請求項5】
前記縦置渦巻き発生器の下端部が、V字管路を介してT字管路に連続していることを特徴とする請求項1記載の液体と粉体の混合装置。
【請求項6】
液体投入管から縦置渦巻き発生器内に液体を圧送して水平渦巻き流を発生せしめる行程と、
前記水平渦巻き流の中心部に、粉体投入管の下端部から粉体を連続定量ずつ投入して混合し、混合水平渦巻き流を形成する行程と、
横置渦巻き発生器内に液体を圧送して垂直渦巻き流を形成し、該垂直渦巻き流を前記水平渦巻き流に衝突させて攪拌する再混合行程と、
を備えていることを特徴とする液体と粉体との混合方法。
【請求項7】
前記再混合行程で混合された混合流体を、更に攪拌混合すること特徴とする請求項6記載の液体と粉体との混合方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−168263(P2008−168263A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5908(P2007−5908)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(504113237)和泉工商株式会社 (4)
【Fターム(参考)】