説明

粉体トナーの供給方法及び画像形成装置

【課題】 トナー収納容器からのトナー搬出に先立ってトナー収納容器内の下方からエアの流入をさせ、エアの流入の開始後に流入によって流動化されたトナーを吸引型の粉体ポンプによって画像形成装置へトナーを供給する方法においては、特別に高流動性を示すトナーでなければ、安定したトナー供給ができなかった。本発明では特別に高流動性を示すトナー以外でも供給を可能とすることを目的としている。
【解決手段】 トナー収容容器内のトナーを吸引型の粉体ポンプによって現像装置に供給する方法であって、前記トナー収容容器内にイオン化したエアを流入させることを特徴とする粉体トナーの供給方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成又は処理で用いられる粉体の供給方法及び装置、特に、電子写真方式の画像形成装置において使用する粉体トナーを供給する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、現像装置を有するユニット内もしくはその近傍にトナーボトルやカートリッジ等のトナー収納容器を配置し、そのトナー収納容器から直接またはトナーホッパを介して使用により消費されたトナー量を現像装置内へ補給するように構成おり、トナー収納部から現像装置へのトナーの移送・補給はスクリューやバドル等の機械的オーガ手段によって行っていた例が多かった。
【0003】
しかしながら、機械的オーガ手段によってトナー補給する場合、スクリューがほぼ直線状にしか配置し難い等により、トナー収納部やトナー補給装置は現像装置と一体または非常に近接した位置に設置せざるを得ず、トナー補給装置の構成が複雑となり、コスト高、低生産性、機械メンテナンス性を阻害し、なおかつユーザーのトナー収納容器交換作業の操作性にも難があった。また、外添剤を含むトナーを、機械的攪拌手段を用いて搬送すると、トナーに、不所望な物理的ストレスを与え、トナーに要請される諸特性のうちの少なくとも一部を損なう危険性が多かった。
【0004】
このため、我々は、空気により、トナー容器中からトナーをニューマチック供給するための多くの技術を提案(例えば特許文献1の特許第3523129号公報、特許文献2の特許第3741599号公報、特許文献3の特許第4074736号公報、特許文献4の特許第4088629号公報、特許文献5の特許第4132412号公報、特許文献6の特開2001−281976号公報、特許文献7の特許第3957033号公報、特許文献8の特開2001−222155号公報、特許文献9の特開2002−6539号公報、特許文献10の特開2006−119668号公報等)してきた。
また、特許文献11や特許文献12に示されるように、トナー収納容器からのトナー搬出に先立ってトナー収納容器内の下方からエアの流入をさせ、エアの流入の開始後に流入によって流動化されたトナーを吸引型の粉体ポンプによって画像形成装置へトナーを供給する装置が提案されている。この装置はトナー収納部を自由に配置でき、またユーザーの収納容器交換作業の操作性も著しい向上があったものの、例えば特許文献13や特許文献14、特許文献15(特許文献15には、図7に示されるように、感光体(1)上の静電潜像を現像するため、トナーを現像装置(5)に自動的に供給するロータ(141)を有する粉体ポンプ(140)と、このポンプ手段(140)に連結して設けられたトナー収納容器(121)と、このトナー収納容器(121)に収納されているトナーを流動化させるためのエアポンプ(130)とを備え、エア供給のタイミング及びトナー移送のタイミングを共に自動調節可能なトナー補給装置(120)が開示されている。)に示すような、添加剤の被覆率が高く、球形度が高く、凝集度が小さい、いわゆる流動性の高いトナーしか使用できないという課題があった。
【特許文献1】特許第3523129号公報
【特許文献2】特許第3741599号公報
【特許文献3】特許第4074736号公報
【特許文献4】特許第4088629号公報
【特許文献5】特許第4132412号公報
【特許文献6】特開2001−281976号公報
【特許文献7】特許第3957033号公報
【特許文献8】特開2001−222155号公報
【特許文献9】特開2002−6539号公報
【特許文献10】特開2006−119668号公報
【特許文献11】特許第3993939号公報
【特許文献12】特許第3872231号公報
【特許文献13】特許第3957034号公報
【特許文献14】特開2002−278242号公報
【特許文献15】特開2003−043795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、トナー収納容器からのトナー搬出に先立ってトナー収納容器内の下方からエアの流入をさせ、エアの流入の開始後に流入によって流動化されたトナーを吸引型の粉体ポンプによって画像形成装置へトナーを供給する方法においては、特別に高流動性を示すトナーでなければ、安定したトナー供給ができなかった。本発明では特別に高流動性を示すトナー以外でも供給を可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記(1)〜(4)によって解決される。
(1)トナー収容容器内のトナーを吸引型の粉体ポンプによって現像装置に供給する方法であって、前記トナー収容容器内にイオン化したエアを流入させることを特徴とする粉体トナーの供給方法。
(2)下記A〜Cのいずれか1つ以上のイオン化手段により前記イオン化したエアを発生させることを特徴とする前記(1)項に記載のトナーの供給方法。
A.導電性基板の表面に共有結合性材料あるいはイオン結合性材料のいずれかが層形成され、該導電性基板に正あるいは負の直流電圧を印加する手段
B.静電霧化を用いる手段
C.コロナ帯電を用いる手段
(3)導電性基板の表面に共有結合性材料あるいはイオン結合性材料のいずれかが層形成され、該導電性基板に正あるいは負の直流電圧を印加するイオン化手段により前記イオン化したエアを発生させることを特徴とする前記(1)項に記載のトナーの供給方法。
(4)トナー収容容器内のトナーを吸引型の粉体ポンプによって現像装置に供給する機構を備える画像形成装置であって、前記トナー収容容器内にエアを流入させる手段と前記エアをイオン化する手段をさらに備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0007】
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明を用いることにより、トナーを吸引型の粉体ポンプによって画像形成装置へトナーを供給する方法において、流動性の高いトナー以外でも使用が可能となり、トナー収納部を自由に配置でき、またユーザーの収納容器交換作業の操作性を向上させる本補給方法の利点を活かしつつ、球形度が高い場合の問題点であるクリーニング不良による縦すじや、高流動性のトナーを用いた場合の文字ちりや経時での画像ぼけや地汚れの発生しない画像を得ることができた。特に、導電性基板の表面に共有結合性材料あるいはイオン結合性材料のいずれかが層形成され、導電性基板に正あるいは負の直流電圧を印加して流動化のために送風するエアをイオン化する方法においては、オゾン臭がなく上記効果を得られるという極めて優れた効果が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、イオン化したエアをトナー収納容器に流入させると、イオン化したエアに接触したトナーは、トナーが高流動性でない場合においても良好な流動性を示す。これは、トナーがわずかに帯電することにより、トナー間でクーロン斥力が生じるためと推定される。本発明では、イオン化したエアをトナーに効果的に接触させることにより、接触部分から次第に流動性が高まり、これにエアによる攪拌効果も加わることで、トナー残量が減少した場合でも、充分な流動性を確保することが可能となり、またこれにより、トナー収納容器中へのトナー残量が非常に少なく、また配管中にトナーが詰まることもなくなった。
【0009】
ここで、イオン化したエアを作成するためには、導電性基板の表面に、共有結合性材料あるいはイオン結合性材料のいずれかを層形成し、導電性基板に正あるいは負の直流電圧を印加することにより発生したクラスターイオンを発生させる方法や、コロナ帯電を用い帯電器周囲のエアをイオン化する方法、静電霧化を応用する方法等があり、いずれの方法でも実施は可能であるが、コロナ放電を用いる方法はオゾンが発生する、静電霧化を用いる方法は装置が大きくなるため、クラスターイオンを作成する方法が好適である。
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
図1は、本発明に係るトナー移送装置の一例として現像装置にトナーを補給するトナー補給装置の構成図、図2はトナーの送り先である現像装置の一部を示す断面図である。
【0011】
図1において、本実施形態のトナー補給装置は現像装置(10)にトナーを補給するものであって、エア供給手段(60)とエアをイオン化する手段(50)、トナーを収納したトナー収納容器(20)、該トナー収納手段に収納されたトナーを、該容器から搬出する手段、かつ現像装置(10)に移動する手段を有し、吸引手段としての粉体ポンプ手段(40)を具備している。この粉体ポンプ手段(40)は、トナー収納容器(20)からトナーを搬出する手段のための吸引手段と、容器から搬出されたトナーを現像装置(10)へ移動する手段のための吸引手段を兼ねている。
【0012】
エア供給手段(60)としては、一般にエアポンプが使われる。このエアポンプは、毎分1〜3L程度の流量を発生するものが用いられ、エアポンプが作動すると、該ポンプからエア移送パイプ(48)を介してイオン化手段(50)に送られ、イオン化手段(50)中でエアはイオン化する。さらに、エア移送パイプ(48)を介してイオン化したエアはトナー収納容器(20)内に噴出し、収納されたトナー層を通過することによりトナーを攪拌しながら流動化させる。
【0013】
エアをイオン化する手段(50)としては、導電性基板表面に、共有結合性材料あるいはイオン結合性材料のいずれかが層形成され、導電性基板に正あるいは負の直流電圧を印加することにより発生したクラスターイオンを発生させる方法や、コロナ帯電を用い帯電器周囲のエアをイオン化する方法、静電霧化を応用する方法等があり、この例では、エア供給手段(60)とトナー収納容器(20)との間に配置されている(本発明では、イオン化手段がエア供給手段に一体化されているものであってもよく、さらには、イオン化手段の下流に、トナー容器へのエア導入を補助する第2のエア供給手段を設けられているものであってもよい)。
【0014】
クラスターイオンを発生させる方法としては、例えば図3に示すように、高圧電源(51)を用い、導電性基盤を管状にした導電性管(52)の内表面に共有結合性材料あるいはイオン結合性材料のいずれかの誘電性のイオン放出層(52a)が形成されている部材に高圧を印加、図示していないエアポンプから管(48)を介してエアが供給され導電性管(52)内を通過することによってエアがイオン化するものである。安全のため導電性管(52)は絶縁性カバー(53)で覆われていることが好ましい。
【0015】
導電性管(52)には、Cu、Ni、Ti、Co、Cr、Mo、Nb、Mn、Si、Fe、Alなどの金属及びそれらを含む合金を利用することができる。また、ガラスやセラミックスなどの表面に金属や導電性物質を担持させたものでも良い。導電性物質の代表例としては、ITO、ZnO、SnO、TiOなどの金属酸化物や炭素化合物が挙げられる。
【0016】
ここで、共有結合性材料とは、化学結合様式が専ら共有結合である材料一般を示す。即ち、低分子有機化合物、高分子有機化合物、無機化合物であり、これらの化学結合様式であれば、例外なくイオン放出現象を発生させることができる。確認した中で、特にイオン放出現象が顕著な代表的化合物として、低分子有機化合物であればトリフェニルアミン、長鎖アルキル化合物、高分子有機化合物であればポリスチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリオール、ポリカーボネート、PTFEの如きフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、セルロースなどが挙げられる。無機化合物の例としては、6方晶窒化ホウ素に代表されるホウ素化合物、窒素化合物、リン化合物などが挙げられる。これらの材料を導電性基板に層形成する方法はどのような方法でも良い。可溶な溶媒に溶解した後に、塗布し乾燥する方法が簡便であるが、ポリマーであれば熱溶融して塗布することも可能である。低分子有機化合物や無機物を薄膜形成する場合は蒸着を有効に利用することができる。層の厚みは、導電性基板に直流電圧を印加した場合に、イオン放出面に同極の電荷が誘起される厚みであれば特に限定されない。絶縁性材料の場合は余り層が厚いと、誘起されなくなるため100μm以下にすることが望ましく、20μm以下がより好ましい。
【0017】
イオン結合性材料とは、化学結合様式が専らイオン結合である材料一般を示す。即ち、珪酸ガラス、アルミナ、塩化カルシウムなどの無機化合物が例示される。中でも、塩構造をとるもののイオン放出が顕著である。この場合も蒸着が利用できるほか、ゾルゲル法による薄膜層形成も有効である。水に可溶な塩の場合は、水に溶解後に導電性基板上に塗布し、これを乾燥するだけで良い。この場合も先ほどと同様に、層厚は導電性基板に直流電圧を印加した場合に、イオン放出面に同極の電荷が誘起される厚みであれば特に限定されない。ガラスのような絶縁性材料の場合は層があまり厚いと、電荷が誘起されなくなるため30μm以下にすることが望ましく、更に2μm以下がより好ましい。塩のようなイオン導電性材料の場合は厚みの影響は殆どない。
【0018】
共有結合性材料の中にイオン結合性材料を分散する方法は、どのような方法でも良いが、例えばポリマーを熱溶融したあとに、イオン結合性材料を添加、混練してイオン結合性材料を微細化し、均一分散させる方法が好ましい。あるいは、共有結合性材料はポリビニルアルコールのような常温液体であっても良いため、イオン結合性材料を細かく砕いた後に、ポリビニルアルコールに分散し、分散液を導電性基板に塗布するだけでも良い。
本発明におけるこのようなイオン化手段(50)に印加される電圧は通常0.5KV〜6.0KV、好ましくは0.5KV〜1.5KVである。電流量は極く少なくてよい。
またこのようなイオン化手段(50)に導かれ処理されるエア量は好ましくは常圧常温で1L/min〜3L/minである。
【0019】
図4には静電霧化を用いエアをイオン化する装置を示す。水(55)の入った導電性容器(54)に高圧電源(51)から電圧を印加するもので、印加電圧が高く容器下部に形成される水柱の表面電荷密度が高い場合は、クーロン力により水柱先端から水滴となり、さらに水滴が微細化することによってイオン化したエアが得られるものである。
【0020】
図5にはコロナ帯電を用い帯電器周囲のエアをイオン化する方法を示す。針電極(55)に高圧電源(51)から電圧を印加して、コロナ放電を起こし周囲のエアをイオン化するものである。
【0021】
この例における現像装置(10)には、図1および図2に示すように、感光体(1)に対向配置された現像スリーブ(11)と、第1攪拌スクリュー(12)、第2攪拌スクリュー(13)とが備えられている。
現像装置(10)内での現像トナーは、第1攪拌スクリュー(12)によって図2の左から右へ反時計回りに搬送され、第2攪拌スクリュー(13)によって右から左へ搬送されるようにして循環される。この循環の間に搬送路の途中で現像スリーブ(11)に移送されたトナーにより感光体(1)上に形成された静電潜像を現像する。この現像装置(10)には、図2に明示するように、装置の手前側端部において第1攪拌スクリュー(12)と対応する位置にトナー受け入れ口(14)が設けられ、トナー受け入れ口(14)には接続部材(15)が取り付けられ、この接続部材(15)に移送部材としてのチューブ(16)が脱着可能に連結されている。接続部材(15)の一部にはエアフィルター(17)が設けられ、トナーとエア流の混合気中のエアのみを現像装置から脱気してトナー補給時の接続部材(15)および現像装置(10)からのトナー飛散を防止している。なお、トナーの補給位置は現像装置(10)の片側端部に限らず任意であり、特に制約を受けることはない。また、現像装置(10)も図示する例に限定されず、トナー補給を必要とする種々の形式のものあってもよい。
【0022】
この例におけるトナー収納容器(20)は、現像装置(10)と別体のユニットとして構成されていて、画像形成装置本体の適宜な位置に配設することができる。したがって、トナー収納容器(20)は画像形成装置本体の内部勿論のこと、その装置本体の外壁側に配置することも可能である。また、トナー収納容器(20)から現像装置(10)までの間に設けられている粉体ポンプ手段(40)は、現像装置(10)の間では移送部材としてのチューブ(16)によって連結され、トナー収納容器(20)との間では移送部材としてのチューブ(26)によって連結されている。
【0023】
図6は、粉体ポンプ手段(40)例の断面図であり、この粉体ポンプ手段(40)は従来公知で通称モーノポンプと呼ばれる吸い込み型の1軸偏芯粉体ポンプ(41)を有している。粉体ポンプ(41)の構成は、金属などの剛性をもつ材料で偏芯したスクリュー形状に作られたロータ(42)と、ゴム等の弾性体で作られた2条スクリュー形状に作られたステータ(43)と、これらを包み、かつ粉体の搬送路を形成する樹脂材料などで作られたホルダ(44)とを有し、ステータ(43)はホルダ(44)に固定設置される。上記ロータ(42)は、図示していない駆動源と駆動連結された歯車(45)、そして軸継ぎ手(46)を介して回転駆動される。
【0024】
このように構成された粉体ポンプ(41)は、ロータ(42)が回転されることにより、ポンプに強い自吸力が生じ,ホルダ(44)先端の吸い込み部からトナーを吸い込み、吸い込んだトナーを軸継ぎ手(46)の近傍の排出部から送り出すことが可能となる。また、粉体ポンプ手段(40)には図示していないエアポンプから管(48)を介してエアが供給され、そのエアにより送り出すトナーの流動化が促進され、粉体ポンプ(41)によるトナー移送が確実なものとなる。なお、吸引型粉体ポンプ(41)は専用モータもしくは画像形成装置内のメインモータとクラッチ(図示せず)を介してその駆動が上記歯車(45)に伝達して作動され、そしてその駆動が制御される。
【0025】
この1軸偏芯粉体ポンプ(41)は、高い固気比で連続定量移送が可能であって、ロータ(42)の回転数に比例した正確なトナーの移送量が得られることが知られている。したがって、トナーの移送量の制御は粉体ポンプの駆動時間を制御すればよい。また、1軸偏芯粉体ポンプ(41)の排出部に接続したチューブ(16)および吸い込み部に接続したチューブ(26)は例えば直径4〜10mmのフレキシブルなチューブで、耐トナー性に優れたゴム材料(例えば、ポリウレタン、ニトリル、EPDM、シリコン等)から作られているものを用いることがきわめて有効であり、フレキシブルなチューブを用いれば、トナーを高位置や上下左右の任意方向へ自由に移送することができる。しかも、粉体ポンプ(41)は移送するトナーに無用なストレスを与えることがなく、これから使用するトナーの移送にきわめて有利なものである。なお、粉体ポンプ手段(40)はユニット化することが有利であり、ユニット化された粉体ポンプ手段(40)は生産、機械メンテナンスが容易になる。
【0026】
このように構成されたトナー収納容器(20)を用いる補給装置は、例えば二成分現像の場合、トナーの使用に伴いトナーとキャリアの混合比が小さくなると、粉体ポンプ(41)およびエアポンプを駆動してトナー収納容器(20)のトナー現像装置(10)に移送する。トナーとキャリアの混合比は、現像装置(10)の一部に設けられた従来周知の透磁率検出器(図示せず)で検知する方法、感光体(1)上に特定トナーパターンを形成しその濃度からトナー量を算出する方法、形成した画像面積から消費トナー量を算出する方法、これらを組合せて算出する方法等があげられる。
本発明に使われるトナーとしては、添加剤の被覆率が高く、球形度が高く、凝集度が小さい、いわゆる流動性の高いトナーしか使用できないという制約がなくなるだけで、公知のトナーを使うことができる。
【0027】
以下に本発明の実施について概説する。
【0028】
まず評価に用いたトナーの製造例を示す。本発明で用いるトナーは、これらの例に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
[トナー製造例1]
イエロートナー処方:
ポリオール樹脂1 100部
(Mn:4200、Mw/Mn:6.2、Tg:61℃、
軟化点:120℃、エポキシ当量:20000以上)
カルナウバワックス(エステルワックス、融点:約82℃) 3部
黄色顔料(東洋インキ製造社製リオノールイエローFGN−T) 5部
オリエント化学工業社製E−84 4部
マゼンタトナー処方:
ポリオール樹脂1 100部
カルナウバワックス 3部
赤色顔料(東洋インキ製造社製リオノゲンマゼンタR) 5部
オリエント化学工業社製E−84 2部
シアントナー処方:
ポリオール樹脂1 100部
カルナウバワックス 3部
青色顔料(東洋インキ製造社製リオノールブルーFG−7351) 2部
オリエント化学工業社製E−84 2部
ブラックトナー処方:
ポリオール樹脂1 100部
カルナウバワックス 3部
黒色顔料(三菱化学社製MA60) 4.5部
オリエント化学工業社製E−84 2部
【0030】
上記材料をミキサーで混合後、2軸押し出し混練機で溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後粉砕分級を行って、重量平均粒径7μmの4色の着色粒子を得た。各色の着色粒子100部に対し、表面に疎水化処理を施したシリカ粒子(HDK2000H、クラリアント社製)を0.3部と表面を疎水化処理したチタニア粒子(MT−100T、テイカ社製)0.25部を添加した後、ミキサーで混合して各々トナー1イエロー、トナー1マゼンタ、トナー1シアン、トナー1ブラックを得た。ここで各トナーの円形度は0.92であった。
【0031】
[トナー製造例2]
トナー製造例1と同様に得た着色粒子を、サーフュージョンシステム(日本ニューマチック社製)を用い、熱処理温度250℃熱風風量1000L/分、供給風量100L/分の条件で2パスさせ球形化処理を行なった。各色の着色粒子100部に対し、表面に疎水化処理を施したシリカ粒子(HDK2000H、クラリアント社製)を0.3部と表面を疎水化処理したチタニア粒子(MT−100T、テイカ社製)0.2部を添加した後、ミキサーで混合して各々トナー2イエロー、トナー2マゼンタ、トナー2シアン、トナー2ブラックを得た。ここで各トナーの円形度は0.98であった。
【0032】
[トナー製造例3]
トナー製造例1と同様に得た各色の着色粒子100部に対し、表面に疎水化処理を施したシリカ粒子(HDK2000H、クラリアント社製)を0.8部と表面を疎水化処理したチタニア粒子(MT−100T、テイカ社製)0.5部を添加した後、ミキサーで混合して各々トナー3イエロー、トナー3マゼンタ、トナー3シアン、トナー3ブラックを得た。ここで各トナーの円形度は0.92であった。
また、各トナーの流動性は、トナー1<トナー3≒トナー2であった。
【0033】
次に、評価に用いたキャリアの具体的な作製例について説明する。本発明で用いるキャリアは、これらの例に限定されるものではない。
【0034】
[キャリア製造例1]
アクリル樹脂溶液(固形分50wt%) 21.0部
グアナミン溶液(固形分70wt%) 6.4部
アルミナ粒子[0.3μm、固有抵抗1014(Ω・cm)] 7.6部
シリコン樹脂溶液 65.0部
[固形分23wt%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
アミノシラン 1.0部
[固形分100wt%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
トルエン 60部
ブチルセロソルブ 60部
をホモミキサーで10分間分散し、アルミナ粒子を含むアクリル樹脂及びシリコン樹脂のブレンド被覆膜形成溶液を得た。芯材として焼成フェライト粉[(MgO)1.8(MnO)49.5(Fe2O3)48.0:平均粒径;35μm]を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き106μmの篩を用いて解砕し、キャリアを得た。結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。こうして、重量平均粒径35μmのキャリアを得た。得られたキャリア100重量部とトナー5部をターブラーミキサーにて10分混合して各現像剤を調整した。
【0035】
[評価装置1]
タンデム型カラープリンター(Ipsio CX9000、株式会社リコー製)のトナー供給用の気流供給手段(60)であるエアポンプとトナー収納容器(20)をつなぐ配管の途中に図3の装置を組込み改造装置1(評価装置1)とした。ここで、導電性管(52)として外径10φの銅管を用い内表面にフッ素樹脂(ルミフロン LF−200、旭硝子(株)製)を塗工した。また、導電性管(52)には外部から高圧電源を用い1.2kV印加して実験に供した。改造装置1のエア移送パイプの管径は10mmである(以降の改造装置2、3の場合も同様)。
【0036】
[評価装置2、3]
同様に図4の装置を組込み改造装置2(評価装置2)、図5の装置を組込み改造装置3(評価装置3)とした。ここで、各装置での印加電圧は、改造装置2及び改造装置3とも2.4kVであった。
【0037】
各装置に得られた現像剤を現像機内に入れトナー収納容器にトナーを充填し、複写紙(TYPE6000、株式会社リコー製)に各トナーの付着量が1.00±0.05mg/cm2のチャート面積を5%の画像を形成した。該画像の形成を20℃60%RHの環境下で、前記複写紙10,000枚に対して、繰り返し画像形成を行ったのち、画像品質の評価を行った。その後、同様な手順で10℃30%RH環境下、30℃90%RH環境下においても連続5,000枚繰り返し画像形成を行ったのち、画像品質の評価を行った。
【0038】
画像評価としては、地汚れと画像ぼけ、縦すじ、文字ちりについて目視で観察評価した。
地汚れ&画像ぼけ、縦すじ、文字ちりとも観察された場合は×、極軽微な発生の場合は△、発生がない場合は○とした。ここで、地汚れと画像ぼけ、縦すじは画像全体から、文字ちりは赤の文字部で判定した。
【0039】
初期及び20℃60%RH環境下で10,000枚耐久後、10℃30%RH環境下で5,000枚耐久後(累計1,5000枚耐久後)、30℃90%RH環境下で5,000枚耐久後(累計20,000枚耐久後)について、画像品質の評価結果を表1に示す。
【0040】
<トナーの補給性>
トナー容器から現像部へのトナーの補給性は、各々のトナーをトナー容器に充填し機械にセット、上記画像を形成している間(累計20,000枚耐久中)の、トナーの補給状況を、下記基準に基づいて評価した。
【0041】
〔評価基準〕
○:累計20,000枚耐久中補給異常が認められなかった。
×:トナーがトナー容器に入っているのに関わらずトナーエンド検知が点灯し、機械が停止した。
【0042】
測定結果を表1に示す。なお、トナーがトナー容器に入っているのに関わらずトナーエンド検知が点灯し機械が停止した時点で試験は中断とした。
【0043】
【表1】

【0044】
ここで、トナー1を用いた未改造のIpsio CX9000を用いた評価では、375枚通紙した時点でトナーエンド検知が点灯した。また、評価後に機械の前カバーを開けたところ改造装置2及び3においては若干オゾン臭が感じられた。
【0045】
以下に本発明の実施に際し示したパラメーターの計測方法について述べる
(1)粒径及び粒径分布
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子またはトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の体積平均粒径(Dv)及び個数分布から求めた個数平均粒径(Dn)とその比Dv/Dnを求めた。
【0046】
(2)円形度
形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.960以上のトナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに有効であることが判明した。より好ましくは、平均円形度が0.980〜1.000である。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000により平均円形度として計測した値である。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の構成の一例を説明するための説明図。
【図2】現像装置例のトナー受入部を示す断面図。
【図3】本発明のイオン化手段の一例を示す断面図。
【図4】本発明のイオン化手段の一例を示す断面図。
【図5】本発明のイオン化手段の一例を示す断面図。
【図6】粉体ポンプ手段の一例の断面図。
【図7】従来のトナー収納容器からのエア利用のトナー供給装置例を示す図。
【符号の説明】
【0048】
1 感光体ドラム
10 現像装置
11 現像スリーブ
12 第1攪拌スクリュー
13 第2攪拌スクリュー
14 トナー受け入れ口
15 接続部材
16 チューブ
20 トナー収納容器
26 チューブ
40 粉体ポンプ手段
41 粉体ポンプ
42 ロータ
43 ステータ
44 ホルダ
45 歯車
46 軸継ぎ手
48 エア移送パイプ
50 エア供給手段
51 高圧電源
52 導電性管
53 絶縁性カバー
54 導電性容器
55 水
60 イオン化手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー収容容器内のトナーを吸引型の粉体ポンプによって現像装置に供給する方法であって、前記トナー収容容器内にイオン化したエアを流入させることを特徴とする粉体トナーの供給方法。
【請求項2】
下記(A)〜(C)のいずれか1つ以上のイオン化手段により前記イオン化したエアを発生させることを特徴とする請求項1に記載のトナーの供給方法。
(A)導電性基板の表面に共有結合性材料あるいはイオン結合性材料のいずれかが層形成され、該導電性基板に正あるいは負の直流電圧を印加する手段
(B)静電霧化を用いる手段
(C)コロナ帯電を用いる手段
【請求項3】
導電性基板の表面に共有結合性材料あるいはイオン結合性材料のいずれかが層形成され、該導電性基板に正あるいは負の直流電圧を印加するイオン化手段により前記イオン化したエアを発生させることを特徴とする請求項1に記載のトナーの供給方法。
【請求項4】
トナー収容容器内のトナーを吸引型の粉体ポンプによって現像装置に供給する機構を備える画像形成装置であって、前記トナー収容容器内にエアを流入させる手段と前記エアをイオン化する手段をさらに備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−128153(P2010−128153A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302373(P2008−302373)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】