説明

粉体分散装置および粉体処理設備ならびにトナーの製造方法

【課題】 粉体中に含まれる粉体凝集物を充分に分散させることができる粉体分散装置を提供する。
【解決手段】 粉体3が供給される供給口部4および粉体3を排出する排出口部5が形成され、供給口部4から排出口部5に粉体が流下する流路6が形成される粉体分散容器2内に、網状に形成され、粉体分散容器2内に設けられ、流路断面6aの少なくとも一部領域に配置される網状部材7が設けられるので、供給口部4から供給されて排出口部5に流下する粉体3が網状部材7に衝突するときの粉体3と網状部材7との衝突力によって、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを充分に分散させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体分散装置および粉体処理設備ならびにトナーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有する組成物である。結着樹脂は、それ自身では成型できない着色剤を結着樹脂中に分散させて成型するための樹脂である。着色剤は、有機または無機顔料もしくは染料などの色材である。トナーには、結着樹脂および着色剤の他に、ワックスおよび帯電制御剤などの添加剤が含有されてもよい。トナーは、たとえば粉砕法、懸濁重合法または乳化重合法などの製造方法によって製造される。これらのトナーの製造方法の中でも、製造コストなどの点から粉砕法が特に好ましい。
【0003】
粉砕法を用いるトナーの製造は、たとえば次のようにして行なわれる。ミキサーなどの混合機を用いて結着樹脂、着色剤および添加剤を含む原料を混合した後、原料が結着樹脂の軟化点以上の温度となるように保持しながら混練し、着色剤および添加剤を軟化または溶融した結着樹脂中に分散させる溶融混練工程を行なう。溶融混練工程によって得られる溶融混練物は、次の粉砕工程において粉砕される。粉砕工程では、まず溶融混練物の固化物をハンマー式の粉砕機などで粗粉砕し、100μm〜5mm程度の粒径を有する粗粉砕物とする。次いで、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機または高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナー)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いて、5μm〜15μm程度の粒径の樹脂粒子からなる粉体を生成する。粉砕工程で生成される粉体は、分離工程においてたとえば粒径の違いなどに応じて分離され、分離される所望の粒径の範囲に含まれる粉体を、トナー粒子として得る。
【0004】
このようにして得られるトナー粒子としては、形成される画像の高精細化を目的として、一層粒径の小さいトナー粒子、たとえば粒径が8.0μm以下の小粒径のトナー粒子が求められている。トナー粒子の粒径が小さくなると、トナー粒子同士に働く静電気力および分子間力がトナー粒子に働く重力および慣性力に比べて大きくなること、またトナー粒子の比表面積が大きくなり付着力が増大することなどによって、トナー粒子同士の凝集が起こりやすくなる。
【0005】
またカラートナーを製造する場合、結着樹脂として透光性および光沢性を有する樹脂であって、黒色トナーに用いる結着樹脂よりも軟化点の低い結着樹脂が用いられる。軟化点の低い結着樹脂を用いると、トナー粒子同士の摩擦で発生する摩擦熱によって結着樹脂が軟化し、トナー粒子同士が付着しやすくなる。したがって、カラートナーを製造する場合、トナー粒子同士の凝集が特に生じやすくなる。
【0006】
このようなトナー粒子同士の凝集は、溶融混練工程で得られる溶融混練物を粉砕する粉砕工程を終えてから、分離工程を開始するまでの間にも生じる。分離工程とは、たとえば上記のような溶融混練工程と粉砕工程とを含む粉体生成工程で生成された樹脂粒子を、所望の性質を有する粒子群と、所望の性質を有しない粒子群とに分離する工程である。分離工程とは、たとえば、粉体生成工程で生成された樹脂粒子を所望の粒径の範囲に含まれる粒子群と所望の粒径の範囲に含まれない粒子群とに分級する分級工程である。粉体生成工程にて得られた粉体中の樹脂粒子同士が凝集すると、粉体生成工程後に行われる分離工程が正しく行なわれないという問題が発生する。
【0007】
粉体中の樹脂粒子同士が凝集する状態で分離工程、たとえば粒径の違いによって粉体を分離する分級工程が行なわれると、具体的には次のような問題が生じる。たとえば、粉体に含まれる所望の粒径の範囲よりも小さい樹脂粒子が凝集し、樹脂粒子同士の凝集によって生じる粉体凝集物が1個の樹脂粒子としてみなされると、1個の樹脂粒子としてみなされた粉体凝集物が製品としてのトナーに含まれることとなる。このような粉体凝集物がトナー中に含まれると、トナー粒子同士の摩擦によって粉体凝集物が分散されて所望の粒径よりも小さい微粉粒子の含有率が高くなるので、トナーの帯電不均一性を招来し、画像かぶりの発生など形成画像への悪影響が生じる。
【0008】
また粉体に含まれる所望の粒径の範囲に含まれる樹脂粒子が凝集し、粉体凝集物が1個の樹脂粒子としてみなされると、本来トナーに含まれるべき粒径を有する樹脂粒子を含む粉体凝集物が所望の粒径よりも大きい粗粉として扱われることとなり、廃棄されるかまたは分級工程の前の工程、たとえば溶融混練物の固化物とともに粉砕され樹脂粒子の生成が行なわれる粉砕工程に戻される。これによって、粉体生成工程において得られる粉体の量よりも、分級工程後に得られるトナーの量が著しく少なくなり、粉体生成工程において得られる粉体の重量に対する分級工程後に得られるトナーの重量の比率であるトナーの収率が低下する。
【0009】
またトナーの製造においては、単位時間当りに得られるトナーの量を増加させること、すなわちトナーの製造効率を高めることが求められている。分級工程では、樹脂粒子同士の凝集の発生を防止するために、分級装置に投入する単位時間当りの粉体投入量が定められている。トナーの製造効率を高めるためには単位時間当りの粉体投入量を増加させることが必要であるけれども、単位時間当りの粉体投入量を増加させることは、粉体に含まれる樹脂粒子同士の接触回数を増加させ、樹脂粒子同士の凝集を一層発生しやすくする。したがって、単位時間当りの粉体投入量を増加させてトナーの製造効率を高めることは困難である。
【0010】
このような問題は、粉体生成工程と分級工程との間で凝集する粉体を、充分に分散させた状態、すなわち粉体凝集物の含有率が低減された状態で分級装置に導入することによって解決できると考えられる。またこれによって、トナーの収率および製造効率を向上させるとともに、所望の粒径よりも小さい微粉の含有率が低いトナーを得ることができると考えられる。
【0011】
凝集する粉体を充分に分散させた状態で分級を行なう分級装置としては、気流を利用して粉体を粒度に応じて分離する気流式の分級装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の分級装置は、粉体を分級するための旋回分級室であって、該分級室の下部に形成されて粉体凝集物および所定の粒径よりも大きい粒子を該分級室の外部に排出する粗粉排出口、粗粉排出口の上方に回転自在に支持されて外部から該分級室に供給される粉体をその側面に衝突させて粉体に含まれる粉体凝集物を分散させる回転部材、回転部材の上方に設けられて該分級室内部に浮遊する粉体凝集物を回収して該分級室の外部に排出する粗粉回収口、ならびに該分級室の上部であって、回転部材の上方に形成されて分散された微粉を外部に排出する微粉排出口を有する旋回分級室と、回転部材と同じ高さの旋回分級室側面に設けられて、分級処理されるべき粉体を回転部材に向けて回転部材の回転方向と同じ方向に気流噴射する粉体供給ノズルと、回転部材と同じ高さの旋回分級室側面の粉体供給ノズルと対向する位置に設けられて、粉体凝集物を回転部材の側面に向けて回転部材の回転方向と同じ方向に気流噴射する粗粉供給ノズルと、粗粉排出口および粗粉回収口から排出される粉体凝集物を粗粉供給ノズルに搬送する粉体凝集物搬送手段とを含んで構成される。
【0012】
このような分級装置によれば、粉体供給ノズルから粉体を気流噴射して回転部材に衝突させて粉体に含まれる粉体凝集物を分散させる。分散された粉体中の微粉は気流に乗って旋回分級室内部を上昇し、微粉排出口から排出される。分散が充分に行なわれなかった粉体凝集物および所定の粒径よりも大きい粒子も気流に乗ってある程度までは旋回分級室内部を上昇するけれども、自重によって下降し、粗粉排出口および粗粉回収口から外部に排出されて粗粉供給ノズルに搬送され、再び回転部材に向けて気流噴射されて分散される。粉体凝集物については、分散されて所望の粒径を有する粒子になるまで、同じサイクルが繰返し実行される。このようにして、製品として粒度分布の狭いトナー粒子を得ることができる。
【0013】
特許文献1に開示される分級装置では、粉体生成工程と分級工程との間に粉体の凝集が生じても、粉体凝集物を回転部材に衝突させるときの衝突力によって粉体凝集物を分散させることができることが期待されるけれども、粉体を充分に分散させ、粉体中の粉体凝集物の含有率を低減することは困難である。
【0014】
特許文献1に開示される分散装置では、搬送手段によって搬送される粉体凝集物に対して略水平に気流を噴射して粉体凝集物の運動方向を気流噴射方向とし、該気流噴射方向と同方向に回転する回転部材に対して、気流の風圧力によって粉体凝集物を衝突させる。このようにして粉体凝集物と回転部材とを衝突させる特許文献1に開示の分級装置では、粉体凝集物の運動方向と回転部材の回転方向とが略同じ方向となるので、粉体凝集物と回転部材との衝突力を、粉体凝集物の凝集を充分に解消できるほど大きなものにすることができない。粉体凝集物と回転部材との衝突力を大きくするために回転部材の回転する方向を気流噴射方向と反対にすると、回転部材の回転による遠心力と気流による風圧力とが打ち消しあい、重力とのバランスがとれなくなることによって分級を行なうことが困難となる。
【0015】
したがって、特許文献1に開示される分級装置では、粉体生成工程と分級工程との間で凝集する粉体を、充分に分散させた状態、すなわち粉体凝集物の含有率が低減された状態で旋回分級室に導入することが困難であるので、トナーの収率および製造効率を向上させることが困難であるとともに、分級工程後の粉体として、所望の粒径よりも小さい微粉の含有率を低減させたものを得ることができない。
【0016】
【特許文献1】実開平1−65652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、粉体中に含まれる粉体凝集物の含有率を低減することができる粉体分散装置および粉体処理設備を提供することである。また本発明の目的は、粉体処理設備を用いてトナーの製造効率を向上させるとともに、分離すべき粒子よりも小さい粒子のトナー中の含有率を低減できるトナーの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、粉体が供給される供給口部および粉体を排出する排出口部が形成され、供給口部から排出口部に粉体が流下する流路が形成される粉体分散容器と、
網状に形成される網状部材であって、粉体分散容器内に設けられ、流路断面の少なくとも一部領域に配置される網状部材とを含むことを特徴とする粉体分散装置である。
【0019】
また本発明は、粉体の通過を阻止する粉体衝突面を有する衝突部材であって、粉体分散容器内に設けられ、流路断面の一部領域に配置される衝突部材をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
また本発明は、衝突部材の粉体衝突面は、
粉体の流下方向上流側に向けて先細状であり、かつ尖頭状に形成されることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、投入口部から投入される粉体を粒径、密度または形状の違いによって分離する分離装置の投入口部に、排出口部が装着されることを特徴とする。
【0022】
また本発明は、粉体分散容器内で粉体の流下速度を増加させる増速手段を含むことを特徴とする。
また本発明は、増速手段は、気体を噴射する気体噴射手段であることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記本発明の粉体分散装置と、
粉体分散装置によって分散された粉体を粒径、密度または形状の違いによって分離する分離装置とを含むことを特徴とする粉体処理設備である。
【0024】
また本発明は、結着樹脂および着色剤を含む樹脂粉体を生成する粉体生成工程と、
前記本発明の粉体処理設備を用いて、粉体生成工程で生成される樹脂粉体を処理してトナーを得る粉体処理工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、供給口部から供給されて排出口部に流下する粉体を、粉体分散容器内の粉体が流下する流路断面の少なくとも一部領域に配置される網状部材に衝突させ、粉体と網状部材との衝突力によって粉体に含まれる粉体凝集物を分散させることができる。粉体を衝突させる対象として網状部材を用いることによって、衝突され分散された粉体を速やかに排出口部に移動させることができるので、粉体が粉体分散容器内で再度凝集することを防止できる。これによって、粉体中の粉体凝集物の含有率を低減し、良好な分散状態の粉体を得ることができる。またこのような良好な分散状態の粉体が得られるので、粉体を分離するときに粉体凝集物が1個の粒子とみなされて分離工程が行なわれることが防止され、分離精度の向上を図ることができる。
【0026】
また本発明によれば、粉体の通過を阻止する粉体衝突面を有し、粉体分散容器内に設けられ、流路断面の一部領域に配置される衝突部材が設けられるので、供給口部から排出口部に流下する粉体に含まれる粉体凝集物のうち、流路断面の一部領域に存在する粉体凝集物については確実に衝突部材の粉体衝突面に衝突させることができる。これによって、流路断面の一部領域に存在する粉体凝集物については一層確実に分散させることができ、粉体に含まれる粉体凝集物の含有率を一層低減することができる。
【0027】
また本発明によれば、衝突部材の粉体衝突面が粉体の流下方向上流側に向けて先細状であり、かつ尖頭状に形成されるので、衝突部材の粉体衝突面に衝突する粉体が、衝突部材の粉体衝突面に残留することなく、粉体衝突面に沿って粉体の流下方向下流側に導かれる。これによって、衝突部材に衝突するように粉体分散容器内で流下する粉体中の粒子が、衝突部材の粉体衝突面上に残留した粉体の粒子に接触して凝集することを防止できるので、粉体の再凝集の発生を防止することができる。また粉体凝集物を含む粉体と衝突部材とが衝突する面積を充分に確保することができるので、粉体凝集物を一層確実に分散させることができる。
【0028】
また本発明によれば、投入口部から投入される粉体を、粒径、密度または形状の違いによって分離する分離装置の投入口部に排出口部が装着されるので、粉体分散装置で分散させた直後の良好な分散状態にある粉体を、分離装置内に迅速に投入することができる。したがって粉体分散装置で粉体が分散された後、分散された粉体が放置されて分離すべき粉体が再度凝集するのを防止でき、粉体凝集物が1個の粒子とみなされて分離工程が行なわれることが防止されるので、分離精度の向上を図ることができる。
【0029】
また本発明によれば、増速手段によって粉体分散容器内で粉体の流下速度を増加させることができるので、粉体分散容器内に設けられる網状部材に対する粉体の衝突力および衝突部材が設けられる場合、衝突部材に対する粉体の衝突力を増大させることができるので、凝集力の大きい粉体凝集物を含む粉体についても充分に粉体凝集物を分散させることができる。
【0030】
また本発明によれば、増速手段として粉体に対して気体を噴射する気体噴射手段が用いられるので、粉体に対して気体を噴射することによって粉体の流下速度を増加させることができる。これによって粉体の流下速度を増加することができるとともに粉体分散容器内における粉体に含まれる粒子同士の接触を防止することができるので、粉体中の粒子同士が再凝集を防止できる。
【0031】
また本発明によれば、前記本発明の粉体分散装置によって分散され、粉体凝集物の含有率が低減された粉体を粒径、密度または形状の違いによって分離することができる。これによって、粉体凝集物の含有率の低い粉体から所望の密度または形状の粉体を分離することができるので、凝集した複数の粒子が1つの粒子としてみなされて分離が行なわれることが防止され、粉体の分離精度の向上を図ることができる。
【0032】
また本発明によれば、粉体生成工程で生成され、結着樹脂および着色剤を含む樹脂粉体を、前記本発明の粉体処理設備を用いて処理する粉体処理工程が行なわれるので、粉体処理工程において樹脂粉体中に含まれる粉体凝集物の含有率の低減が図られるとともに、該粉体凝集物の含有率が低減された樹脂粉体を分離することができる。したがって、製造されたトナーは、粉体凝集物の含有率の低い粉体が粒径、密度または形状の違いによって分離されて得られる。これによって、所望の性質を有するトナーを得ることができ、たとえば粉体を粒径の違いによって分離する場合、トナー中の微粉の含有率が低減されたトナーを得ることができる。トナー中に微粉の含有率が低減されたトナーは、帯電均一性に優れるので、画像かぶりなどの発生を抑制し、優れた画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、本発明の実施の一形態である粉体分散装置1の構成を概略的に示す断面斜視図である。図1は、粉体分散装置1の粉体分散容器2を断面で示す。粉体分散装置1は、粉体3が供給される供給口部4および粉体3を排出する排出口部5が形成され、供給口部4から排出口部5に粉体3が流下する流路6が形成される粉体分散容器2と、網状に形成される網状部材7であって、粉体分散容器2内に設けられ、流路断面6aの少なくとも一部領域に配置される網状部材7とを含んで構成される。ここで粉体3とは、粒子3aの集合体を意味し、粉体凝集物3bとは複数の粒子3aが凝集した凝集粉を意味する。粉体3は、凝集した複数の粒子である粉体凝集物3bと凝集していない粒子3aとから構成される。
【0034】
粉体分散容器2は、粉体分散容器2内の流路断面6aの少なくとも一部領域に網状部材7が設けられる略円筒形状の容器である。粉体分散容器2の軸線方向における一方の端部には、粉体原料から粉体3を生成する粉体生成装置からの粉体凝集物3bを含む粉体3が供給される供給口部4が形成される。粉体分散容器2は、供給口部4が形成される部分での内径をD1とするとき、供給口部4から供給された粉体3が流下する方向である粉体流下方向8の供給口部4よりも下流側における内径D2が、D1よりも大きくなるように形成される。また粉体分散容器2は、排出口部5が形成される部分での内径をD3とするとき、供給口部4から供給された粉体3が流下する方向である粉体流下方向8の供給口部4よりも下流側における内径D2が、D3よりも大きくなるように形成される。このように粉体分散容器2の軸線2a方向中央部での流路が大きく形成されることによって、後述のように圧縮空気で供給される粉体3に含まれる粒子3a同士が接触して凝集することを防止できる。
【0035】
粉体生成装置によって造粒される粉体3が供給される供給口部4には、粉体供給手段9が接続される。粉体供給手段9は、粉体生成装置によって造粒される粉体3を一時的に貯留する貯留容器およびスクリューフィーダを備える粉体供給部と、粉体3を圧送するための気体源である圧縮空気導入ノズルと、粉体供給部中の粉体3を粉体分散装置1の供給口部4に導入するための輸送管とを含んで構成される。輸送管は圧縮空気導入ノズルに接続され、圧縮空気導入ノズルによって導入される空気導入方向の圧縮空気導入ノズルよりも下流側に、粉体供給部および粉体分散装置1の供給口部4がこの順番で輸送管に接続される。粉体供給部は、上記の構成に限定されることなく、たとえばスクリューフィーダの代わりに振動フィーダを備える構成などであってもよい。
【0036】
粉体供給手段9によれば、圧縮空気導入ノズルから輸送管内に圧縮空気を導入するとともに、粉体供給部の貯留容器内に貯留される粉体3を、スクリューフィーダによって貯留容器から輸送管内に供給する。輸送管内に供給される粉体3は、圧縮空気導入ノズルから導入される圧縮空気によって圧送され、輸送管の空気導入方向下流側に接続される粉体分散装置1の供給口部4から粉体分散容器2内に導入される。
【0037】
粉体供給手段9によって粉体3を導入するときの圧縮空気の圧力と粉体分散容器2内の気体の圧力との差(以後、単に圧縮空気の圧力と称する)としては、単位時間当りに供給する粉体3の量にもよるけれども、たとえば、毎時30kg以上50kg以下の粉体3を供給する場合、0.1MPa以上0.6MPa以下であることが好ましい。
【0038】
圧縮空気の圧力が上記範囲にあると、供給口部4から粉体分散容器2内への粉体3の導入を一定の供給量で安定して行なうことができる。また粉体3の輸送管内での流速が小さくなり過ぎることがないので、網状部材7と粉体3との衝突力が小さくならない。圧縮空気の圧力が0.1MPa未満であると、粉体供給部から輸送管内に供給される粉体3に付与する圧送力が小さく、供給口部4から網状部材7に向かう粉体3の流下速度が低減されるので、粉体3と網状部材7との衝突力が小さくなるおそれがある。圧縮空気の圧力が0.6MPaを超えると、粉体3が輸送管内で飛散し、粉体3を一定の供給量で粉体分散容器2内に安定して導入することが困難となるおそれがある。
【0039】
粉体分散容器2の供給口部4が形成される側と反対側の端部には、分散された粉体3を分級装置10に供給するための排出口部5が形成される。
【0040】
図2は、粉体分散装置1の粉体分散容器2内に設けられる網状部材7を拡大して示す平面図である。網状部材7としては、たとえばステンレス鋼などの金属材料からなる複数の線状体を交差させて網目状に形成した平板状の編組体などを用いることができる。
【0041】
本実施形態の網状部材7は、図2において紙面の上下方向に延びる縦線状体11aと紙面の左右方向に延びる横線状体11bとを1本ずつ交互に交差させて縦および横の長さ寸法がXである正方形の開口が形成される編組体である。以後、縦線状体11aと横線状体11bとを合わせて線状体11と称する。
【0042】
網状部材7は、供給口部4から排出口部5に流下する粉体3の流下方向8に対して傾斜するように、粉体分散容器2内に設けられる。本実施形態では、網状部材7は、複数の線状体11を含む仮想平面が、供給口部4から排出口部5に流下する粉体3の流下方向8に対して垂直となるように設けられる。
【0043】
網状部材7は、粉体分散容器2内の、流路断面6aの少なくとも一部領域に配置される。網状部材7の配置される領域の面積は流路断面6aの面積の70%以上であることが好ましく、網状部材7の配置される領域の面積と、流路断面6aの面積とが等しくなることがさらに好ましい。本実施形態では、網状部材7の配置される領域の面積は、流路断面6aの面積と等しい。
【0044】
網状部材7の配置される領域の面積が流路断面6aの面積の70%以上であると、網状部材7の配置される領域の面積が大きく、供給された粉体3が網状部材7の配置される領域以外の領域に導かれることを防止できる。また網状部材7の配置される領域の面積と、流路断面6aの面積とが等しいと、供給された粉体3を網状部材7の配置される領域に確実に導くことができる。網状部材7の配置される領域の面積が流路断面6aの面積の70%未満であると、網状部材7の配置される領域の面積が小さく、供給された粉体3が網状部材7の配置される領域以外の領域に導かれ、粉体凝集物3bを分散させることができないまま排出口部5から排出されるおそれがある。
【0045】
本発明では、粉体3を衝突させる対象として開口が形成される網状部材7が用いられるので、衝突され分散された粉体3を速やかに排出口部5に移動させることができる。これによって、粉体3が粉体分散容器2内で再度凝集することを防止でき、粉体3中の粉体凝集物3bの含有率が低減され、良好な分散状態の粉体3を得ることができる。
【0046】
網状部材7の線状体11によって形成される正方形の開口の縦および横の長さ寸法である目開きXは、2mm以上5mm以下であることが好ましい。粉体3は、粉体3を構成する粒子3aの材料、大きさ、温度、湿度などの環境条件などにもよるけれども、たとえば、粉体3を構成する粒子3aが結着樹脂および着色剤を含む粒径8μm程度の樹脂粒子である場合、20〜100μmの大きさに凝集する。網状部材7の目開きXが上記のような範囲であると、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを線状体11に衝突させて分散させることがより確実に行なえる。網状部材7の目開きXが2mm未満であると、供給口部4から供給される粉体3に含まれる粉体凝集物3bが、網状部材7の線状体11の粉体流下方向8上流側に残留するおそれがある。網状部材7の目開きXが5mmを超えると、粉体3が網状部材7の線状体11に衝突する確率が低くなり、粉体3を分散させることができなくなるおそれがある。
【0047】
網状部材7の線状体11の幅Wは、0.2mm以上2mm以下であることが好ましい。線状体11の幅Wがこのような範囲であると、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを線状体11に衝突させることが容易であるとともに、線状体11の粉体流下方向8上流側に粉体3が残留するおそれを低減することができる。線状体11の幅Wが0.2mm未満であると、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを線状体11に衝突させることが困難となるおそれがある。線状体11の幅Wが2mmを超えると、線状体11の粉体流下方向8上流側に粉体3が残留するおそれがある。
【0048】
また網状部材7の線状体11は、その断面形状が粉体流下方向8上流側に、粉体流下方向8に対して垂直な平面を含まない形状、たとえば線状体11の延びる方向に垂直な平面で切断したときの断面形状が円形状などであることが好ましい。網状部材7の線状体11がこのような形状であると、線状体11の粉体流下方向8上流側における粉体3の残留をさらに防止することができる。本実施形態の網状部材7は、線状体11の延びる方向に垂直な平面で切断したときの断面形状が円形状である線状体11によって構成される。
【0049】
また網状部材7の開孔率は40%以上であることが好ましく、45%以上70%以下であることがさらに好ましい。網状部材7の開孔率とは、粉体3の流下方向8に垂直な仮想平面での網状部材7の設けられる部分の投影面積に対する図2において斜線で示す部分である網状部材7の開口部分(目開き部分)Sの粉体3の流下方向8に垂直な仮想平面での投影面積の合計との比率(目開き部分Sの投影面積の合計/網状部材7の設けられる部分の投影面積)である。網状部材7の開孔率が上記好適な範囲であると、網状部材7に粉体凝集物3bを衝突させて分散させることが容易に行なえるとともに、粉体3が線状体11の粉体流下方向8上流側に残留することを防止できる。網状部材7の開孔率が40%未満であると、粉体3が線状体11の粉体流下方向8上流側に残留するおそれがある。また粉体3を供給するときの圧縮空気による送圧力に対して網状部材7の抵抗が大きく、網状部材7または粉体分散容器2が破損するおそれがある。網状部材7の開孔率が70%を超えると、粉体3を線状体11に対して衝突させ難くなり、粉体凝集物3bを分散させることができないおそれがある。
【0050】
また本実施形態では、網状部材7は供給口部4よりも粉体分散容器2の粉体流下方向8下流側に、かつ排出口部5よりも粉体分散容器2の粉体流下方向8上流側に設けられ、さらに供給口部4よりも排出口部5寄りに設けられる。円筒形状の粉体分散容器2の軸線方向において網状部材7の設けられる位置は、粉体供給手段から付与される圧縮空気の粉体3に対する圧送力などに応じて定められることが好ましい。
【0051】
粉体分散装置1では、まず、粉体生成装置によって造粒され、粉体凝集物3bを含む粉体3が粉体供給手段9から供給口部4を介して粉体分散容器2内に導入される。供給口部4から供給される粉体凝集物3bを含む粉体3は、粉体供給手段の圧縮空気導入ノズルからの空気の圧送力によって網状部材7側に向かい、網状部材7の線状体11に衝突するので、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを、網状部材7の線状体11との衝突力によって分散させることができる。これによって、粉体3中に含まれる粉体凝集物3bの含有率を低減することができる。網状部材7の線状体11との衝突によって分散される粉体3は、網状部材7の目開き部分から排出口部5側にさらに圧送され、排出口部5から排出される。
【0052】
このような粉体分散装置1は、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。たとえば、網状部材7としては、図2において紙面の上下方向に延びる縦線状体11aと紙面の左右方向に延びる横線状体11bとを1本ずつ交互に交差させて正方形の開口が形成される編組体に限定されることなく、複数本の線状体によって多角形が形成されるものであればどのようなものであってもよい。また網状部材は必ずしも複数の方向に延びる線状体を含む部材であることに限定されず、同一方向に延びる複数の線状体を備える部材であってもよい。同一方向に延びる複数の線状体を備える部材を網状部材として用いる場合、該網状部材は複数が設けられることが好ましく、同一方向に延びる複数の線状体を備える網状部材が複数設けられる場合、複数の網状部材の線状体の延びる方向が異なるように各網状部材が配置されることが好ましい。
【0053】
網状部材の線状体によって正方形以外の多角形の開口が形成される場合、開口の面積が4mm以上25mm以下であることが好ましい。また同一方向に延びる複数の線状体を備える部材を網状部材として用いる場合、複数の線状体の設けられる間隔が2mm以上5mm以下であることが好ましい。このような網状部材であっても、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを線状体11に衝突させて分散させることが容易に行なえる。
【0054】
このような粉体分散装置1は、たとえば、結着樹脂および着色剤を含む画像形成用のトナーの製造などに用いられる。
【0055】
図3は、図1に示す粉体分散装置1が設けられるトナー製造装置12の回路図である。トナー製造装置12は、結着樹脂および着色剤を含む樹脂粉体3(以後、単に粉体とも呼ぶ)を生成する粉体生成装置13と、本実施形態の粉体分散装置1と、粉体分散装置1によって分散された粉体3を粒径の違いによって分離する分離装置である分級装置10とを含んで構成される。粉体分散装置1と、分級装置10とは、粉体処理設備14を構成する。
【0056】
本実施形態の粉体分散装置1は、粉体生成装置13にて造粒された樹脂粉体3を粒径の違いによって分離(以後、分級とも呼ぶ)する分級装置10との間に設けられる。また少なくとも分級装置10は粉体分散装置1に連なるように設けられる。トナー製造装置12を用いるトナーの製造方法については後述する。
【0057】
粉体分散装置1に連なるように設けられる分級装置10は、粉体分散装置1によって分散される粉体3を分級する分級手段と、粉体分散装置1の排出口部5から排出される粉体3が投入される投入口を有する粉体分級容器とを含む。
【0058】
本実施形態では、投入口から投入される密度が等しい粒子3aから構成される粉体3を、粒径の違いによって分級する気流式分級装置を用いる。気流式分級装置は、粉体分級容器内に羽根車型の分級ロータを備え、該分級ロータの回転によって粉体分級容器内に気流を発生し、該気流によって粉体3に付与される遠心力が重量の違いによって異なることを利用して、導入される粉体3を、相対的に粒径が大きく重量の大きい粉体3と、相対的に粒径が小さく重量の小さい粉体3とに分級する。粒径の大きい粉体3は、作用する遠心力が粒径の小さい粉体3に作用する遠心力よりも大きいことによって、粉体分級容器内の外周寄りの部分で旋回する。また粒径の小さい粉体3は、作用する遠心力が粒径の大きい粉体3に作用する遠心力よりも小さいことによって、粉体分級容器内の中央寄りの部分で旋回する。粉体分級容器の下部には、粉体分級容器中央部付近に存在する粉体3を排出する微粉排出管と、粉体分級容器外周付近の粉体3を排出する粗粉排出管とが設けられ、各排出管にはそれぞれの排出管から排出される粉体3を回収する回収容器が備えられる。
【0059】
分級装置10による分級は、次のようにして行なわれる。まず、分級ロータが回転している状態で粉体分散装置1によって分散された粉体3が投入される。投入される粉体3は、分級ロータの回転による遠心力によって、粒径が大きい粒子3aおよび粉体凝集物3bは粉体分級容器内の外周寄りの部分を旋回し、粒径が小さい粒子3aは粉体分級容器内の中央寄りの部分を旋回するようにして分離される。このようにして分離される粉体3は重力によってそれぞれ下降する。重力によって下降する粉体3のうち、粉体分級容器内の外周寄りの部分を旋回する粉体3、すなわち相対的に粒径の大きい粒子3aおよび粉体凝集物3bは、粗粉排出管から排出され回収される。また、重力によって下降する粉体3のうち、粉体分級容器内の中央寄りの部分を旋回する粉体3、すなわち相対的に粒径の小さい粒子3aは、微粉排出管から排出され回収される。このようにして、粉体3の分級が行なわれる。
【0060】
粉体処理設備14では、粉体分散装置1によって分散される粉体凝集物3bの含有率の低い粉体3を分級装置10によって分級することができる。したがって、分級装置10では、粉体分散装置で分散された粉体3が分級されるので、所望の粒径未満の粒子3a同士が凝集した粉体凝集物3bが所望の粒径を有する粒子群に含まれること、および所望の粒径である粒子3a同士が凝集した粉体凝集物3bが所望の粒径を有する粒子群から外れることを防止することができるので、分級精度の向上を図ることができる。また分級装置10に粉体3を投入するとき、投入量が多くなっても粉体3を充分に分散させることができ、粉体3の再凝集を防止できる。これによって、単位時間当りの粉体投入量を増加させることができるので、トナーの製造効率が向上する。
【0061】
分級装置10としては、上記の構成に限定されることなく、たとえば篩式の分級装置を用いるなど、種々の変更が可能である。また粒径の違いによって粉体3を分離する分級装置10に代えて、密度または形状の違いによって粉体3を分離する分離装置などを用いることもできる。たとえば、粒径が似ているけれども密度が異なる粒子を含む粉体を密度の違いによって分離する分離装置としては、粉体3に付与される遠心力を用いて分離をする装置などを用いることができる。また粒子の重量が似ているけれども形状が異なる粒子を含む粉体を形状の違いによって分離する分離装置としては、篩などによって分離する分離装置などを用いることができる。このような分離装置を用いる場合にも、粉体凝集物3bの含有率の低い粉体3から所望の密度または形状の粉体3を分離することができるので、複数の粒子が凝集した粉体凝集物3bが1つの粒子としてみなされることを防止でき、粉体3の分離精度の向上を図ることができる。
【0062】
図4は、本発明の実施の第2形態である粉体分散装置21の構成を概略的に示す断面図である。本実施形態の粉体分散装置21は、前述の第1実施形態の粉体分散装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略するとともに、全体の構成図を省略する。
【0063】
本実施形態の粉体分散装置は、網状部材22が粉体3の流下方向8に対して90°よりも小さい角度θで傾斜して設けられることを特徴とする。網状部材22は、粉体3の流下方向8に対して90°よりも小さい角度θで傾斜して設けられること以外は前述の第1実施形態の網状部材7と同じであるので説明を省略する。
【0064】
網状部材22が粉体流下方向8に対して90°よりも小さい角度で傾斜して設けられると、粉体3が線状体の粉体流下方向8上流側に残留しても、矢符23で示す圧縮空気導入ノズルからの空気の圧送力によって、残留する粉体3が矢符24で示す網状部材22の傾斜方向に移動する。これによって、粉体3の線状体への残留を防止することができ、残留する粉体3を網状部材22の目開き部分に移動させて該目開き部分から排出口部5側に粉体3を導くことが容易となる。
【0065】
図5は、本発明の実施の第3形態である粉体分散装置31の構成を概略的に示す断面図である。粉体分散装置31は、前述の第1実施形態の粉体分散装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。また輸送管38は、粉体供給手段9に含まれるけれども、理解を容易にするために粉体供給手段9とは別に記載する。図5において、紙面の上下方向が鉛直方向である。
【0066】
本実施形態の粉体分散装置31は、粉体3の通過を阻止する粉体衝突面を有する衝突部材32であって、粉体分散容器33内に設けられ、流路断面6aの一部領域に配置される衝突部材32をさらに含むことを特徴とする。また本実施形態の粉体分散装置31は、粉体分散容器33内で粉体3の流下速度を増加させる増速手段として、気体を噴射する気体噴射手段34を含むことを特徴とする。また本実施形態の粉体分散装置31は、排出口部35が、分級装置10の投入口部36に装着されることを特徴とする。
【0067】
本実施形態の粉体分散装置31の粉体分散容器33は、前述の第1実施形態の粉体分散容器2と同様に、その内部空間に網状部材7が設けられる略円筒形状の容器である。粉体分散容器33には、略円筒形状の軸線33a方向における一方の側に粉体原料から粉体3を生成する粉体生成装置からの粉体凝集物3bを含む粉体3の供給を受ける供給口部37が形成され、他方の側に粉体3を排出する排出口部35が形成される。
【0068】
本実施形態の粉体分散装置31は、供給口部37が粉体分散容器33の上部に形成され、排出口部35が粉体分散容器33の下部に形成される。また粉体分散装置31は、供給口部37と排出口部35とが、供給口部37から排出口部35に向かう方向、すなわち粉体流下方向が鉛直方向下向きとなるように設けられる。これによって、供給口部37から供給される粉体凝集物3bを含む粉体3を、圧縮空気導入ノズルからの空気の圧送力だけでなく重力によっても網状部材7に向かう側に移動させることができるので、粉体流下方向が鉛直方向下向きでない場合に比べて網状部材7に対する粉体3の衝突力を大きくすることができる。
【0069】
粉体生成装置によって造粒される粉体3が供給される供給口部37には、前述の第1実施形態と同様に粉体供給手段が接続される。粉体供給手段の輸送管38は、粉体分散容器33内部に粉体3を供給するように、供給口部37を形成する。粉体生成装置からの粉体凝集物3bを含む粉体3は、供給口に挿通される輸送管38を介して供給口部37から粉体分散容器33内に供給される。
【0070】
粉体分散容器33の内部空間には、衝突部材32が設けられる。衝突部材32は、粉体3の通過を阻止する粉体衝突面を有し、粉体分散容器33内の流路断面6aの一部領域に配置され、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを衝突させて分散させる。このような衝突部材32としては、粉体衝突面が、粉体3の流下方向上流側に向けて先細状であり、かつ尖頭状に形成されることが好ましく、たとえば円錐形状、多角錐形状などの形状であることが好ましい。本実施形態では、衝突部材32は、供給口部37を臨む側に頂点を有する円錐形状の金属製部材であり、円錐の頂点を通る中心線32aと、円筒形状の粉体分散容器33の軸線33aとが一致するように配置される。図5においては、円錐の頂点を通る中心線32aと、円筒形状の粉体分散容器33の軸線33aとをずらして記載している。衝突部材32は、網状部材7の上に固定されて設けられる。
【0071】
衝突部材32の粉体衝突面が、粉体3の流下方向上流側に向けて先細状であり、かつ尖頭状に形成されると、粉体分散容器33の上部に設けられる供給口部37から供給される粉体3が衝突部材32上に残留することがなく、かつ粉体凝集物3bを含む粉体3と衝突部材32とが衝突する面積を充分に確保することができるので、粉体凝集物3bを一層容易に分散させることができる。衝突部材32には排出口部35側の面である底部32bに台座が設けられてもよい。
【0072】
衝突部材32として円錐形状または多角錐形状の部材を用いる場合、衝突部材32の底面もしくは台座の底面の面積は、衝突部材32の底面を含む仮想平面における粉体分散容器33の断面の面積に対して10%以上40%以下の大きさであることが好ましい。衝突部材32の底面の面積が10%未満であると、衝突部材32の大きさが粉体分散容器33に比べて小さくなり過ぎ、粉体凝集物3bを含む粉体3が衝突部材32に衝突しない可能性が高くなり、衝突部材32を設けることによって粉体凝集物3bを一層確実に分散させる効果が得られないおそれがある。衝突部材32の底面の面積が40%を超えると、衝突部材32に衝突して分散された粉体3が排出口部35側に移動するときに通路となる衝突部材32と粉体分散容器33の側壁との間の空間が小さくなり、粉体3に含まれる粒子3a同士の接触回数が増加して粉体3の再凝集が発生し、網状部材7への衝突だけでは充分に粉体3を分散させることができなくなるおそれがある。
【0073】
気体噴射手段34は、網状部材7よりも粉体流下方向上流側に設けられ、供給口部37から供給される粉体3に対して網状部材7に向かう方向と略平行に気体を噴射する。気体噴射手段34としては、たとえば、空気を噴射する噴射孔が形成される噴射ノズルと、圧縮空気を生成し、生成される圧縮空気を噴射ノズルに供給するポンプと、噴射ノズルとポンプとが接続される配管とを備える手段を用いることができる。
【0074】
気体噴射手段34は、略円筒形状の粉体分散容器33の側壁33bに、輸送管38の粉体排出部38aよりも供給口部37寄りに設けられ、矢符39に示すように、粉体分散容器33の半径方向内方に気体を噴射する。気体噴射手段34から粉体分散容器33の半径方向内方に向かう方向に噴射された気体は、粉体分散容器33の内壁および輸送管38で反発されることによって、その流れが矢符40に示すように粉体分散容器33の内壁の延びる方向および輸送管38の延びる方向である網状部材7に向かう方向と略平行となる。このように、噴射された気体の流れが網状部材7および衝突部材32に向かう方向と略平行となることによって、輸送管38の粉体排出部38aから粉体分散容器33内に排出された粉体3を、気体噴射手段34から噴射される気体の風圧力によって網状部材7または衝突部材32に向かう方向に圧送することができる。
【0075】
気体噴射手段34から噴射される気体の圧力としては、単位時間当りに供給される粉体3の重量、粉体分散容器33の容積などにもよるけれども、たとえば、毎時30kg以上50kg以下の粉体3を供給する場合、0.4MPa以上であることが好ましく、0.4MPa以上0.8MPa以下であることがさらに好ましい。気体噴射手段34から噴射される気体の圧力がこのような範囲であると、気体を噴射することによって粉体3に付与する風圧力を大きくすることができ、粉体3と網状部材7との衝突力および粉体3と衝突部材32との衝突力を増大させて粉体3に含まれる粉体凝集物3bを充分に分散させることができる。
【0076】
圧力が0.4MPa未満であると、気体を噴射することによって粉体3に付与される風圧力が小さく、粉体3と網状部材7との衝突力および粉体3と衝突部材32との衝突力が小さくなるので、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを充分に分散できなくなるおそれがある。圧力が0.8MPaを超えると、粉体3が一部分に集合しやすくなり、網状部材7の目開き部分に目詰まりが生じるおそれがある。
【0077】
本実施形態の粉体分散装置31によれば、前述の第1実施形態と同様に、供給口部37から供給される粉体3を網状部材7に衝突させ、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを分散させることができる。さらに本実施形態では、衝突部材32が設けられることによって、供給口部37から排出口部35に流下する粉体3に含まれる粉体凝集物3bを、衝突部材32の粉体衝突面に衝突させて分散させることができる。このような粉体衝突面を有する衝突部材32が設けられると、網状部材7に衝突せず、網状部材7の目開き部分を通り抜ける程度に小さい粉体凝集物3bについても、衝突部材32の粉体衝突面に衝突させて分散させることができるので、粉体3に含まれる粉体凝集物3bの量を一層低減することができる。
【0078】
また増速手段として気体を噴射する気体噴射手段34を用いることによって、供給口部37から供給される粉体凝集物3bを含む粉体3に対して気体噴射手段34から気体を噴射し、粉体分散容器33内での粉体3の流下速度を増加させることができる。これによって、粉体分散容器33内に設けられる網状部材7および衝突部材32に対する粉体3の衝突力を増大させることができ、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを一層確実に分散させることができる。さらに増速手段として粉体3に対して気体を噴射する気体噴射手段34が用いられると、粉体3の流下速度を増加することができるとともに、風圧力によって粉体分散容器33内における粉体3に含まれる粒子3a同士の接触を防止することができるので、粉体3中の粒子3a同士が粉体分散容器33内で凝集することを防止できる。
【0079】
また本実施形態の粉体分散装置31は、前述のように排出口を形成する排出口部35が、分級装置10の投入口部36に装着されるので、排出口部35から排出される粉体分散装置31で分散させた直後の極めて良好な分散状態にある粉体3を、投入口部36から分級装置10内に迅速に導入することができる。したがって、粉体分散装置31で粉体3が分散された後、該分散された粉体3が放置されて分離すべき粉体3が再度凝集することを防止できるので、分級精度の向上を図ることができる。また単位時間当りの粉体投入量をさらに増加させることができるので、トナーの製造効率を一層向上させることができる。
【0080】
このような粉体分散装置31についても、上記の構成に限定されることなく、種々の変更が可能である。たとえば、気体噴射手段34は、前述のように、粉体分散容器33の中心に向かう方向に気体を噴射し、粉体分散容器33の内壁および輸送管38で反発させることによって粉体流下方向と略平行に気体の流れが変化するように気体を噴射する手段に限定されることなく、粉体分散容器33の内壁および輸送管38で反発させずに、粉体流下方向と略平行に気体を直接噴射する手段であってもよい。
【0081】
粉体分散容器33の内壁および輸送管38で反発させずに、粉体流下方向と略平行に気体を噴射する手段を用いる場合、たとえば粉体分散容器33の上面部材の供給口部37の周囲に気体噴射手段の噴射ノズルを設ける。このとき、略円筒形状の粉体分散容器33の半径方向における気体の風圧力が、粉体分散容器33内において均一になるように、気体噴射手段の噴射ノズルは供給口部37の周囲に等間隔で複数設けられることが好ましい。
【0082】
本実施形態の粉体分散容器33の内壁および輸送管38で反発させることによって網状部材7に向かう方向と略平行となるように気体の流れが変化するように気体を噴射する気体噴射手段34は、粉体分散容器33の内壁および輸送管38での反発によって粉体分散容器33内における気体の風圧力が均一になるので、複数の噴射ノズルを設ける必要がなく好ましい。
【0083】
また気体噴射手段34は、粉体流下方向と平行に気体を噴射する手段に限定されることなく、二点鎖線で示すように配置され、供給口から供給される粉体3に対して衝突部材32に向う方向に気体を噴射する噴射ノズル41を有する気体噴射手段であってもよい。
【0084】
二点鎖線で示す気体噴射手段の噴射ノズル41は、粉体分散容器33の側壁に設けられる噴射ノズルであって、供給口部37から供給される粉体3に対して衝突部材32に向う方向である矢符42方向に気体を噴射する。噴射ノズル41は、分散させるべき粉体3の単位時間当りの供給量、粉体分散容器33の大きさなどに応じて、複数個が適宜設けられる。
【0085】
たとえば、噴射ノズル41は図示しない噴射ノズルも含めて6個が設けられ、各噴射ノズル41は粉体分散容器33の円周方向に等間隔で配置される。また、噴射ノズル41は、噴射ノズル41に形成される噴射孔が網状部材7および衝突部材32よりも供給口部37側に配置されるように設けられる。これによって供給口部37から供給される粉体3に対して衝突部材32よりも上方から衝突部材32に向う方向に圧縮空気を噴射する。
【0086】
噴射ノズル41から噴射される気体の圧力としては、単位時間当りに供給される粉体3の重量、粉体分散容器33の容積などにもよるけれども、たとえば、毎時30kg以上50kg以下の粉体3を供給する場合、0.4MPa以上0.8MPa以下であることが好ましい。圧力が0.4MPa未満であると、気体を噴射することによって粉体3に付与される風圧力が小さく、粉体3と衝突部材32との衝突力が小さくなるので、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを一層確実に分散させる効果が得られなくなるおそれがある。圧力が0.8MPaを超えると、粉体分散容器33に導入される粉体3が粉体分散容器33の中央付近に圧送されて集合することによって新たな粉体3の凝集を招くおそれがある。
【0087】
また粉体分散容器内で粉体3の流下速度を増加させる増速手段として用いることはできないけれども、噴射ノズル41からの気体噴射方向42を、たとえば、粉体分散容器33の中央部付近に向う水平方向などに設定してもよい。このような方向に気体が噴射されることによって、粉体3を一層確実に衝突部材32に衝突させることができる。
【0088】
また粉体分散容器内で粉体3の流下速度を増加させる増速手段として用いるとともに、粉体3を一層確実に衝突部材32に衝突させるために、粉体3の流下方向が鉛直下向きである場合、水平方向よりも鉛直方向下方に傾斜されて気体が噴射する気体噴射手段を用いることも好ましい。
【0089】
粉体3に対して衝突部材32に向う方向に気体を噴射する噴射ノズル41を含む気体噴射手段が設けられると、粉体3の衝突部材32に向かう流下速度を増大させることができ、粉体3と衝突部材32との衝突力を増大させることができる。これによって、粉体3に含まれる粉体凝集物3bを一層容易に分散させることができる。また衝突部材32と衝突されなかった粉体3については、網状部材7の線状体11と衝突させることによって、分散させることができる。
【0090】
以上のような粉体分散装置を含む粉体処理設備は、前述のように、たとえばトナーの製造方法などに好ましく用いられる。本発明の粉体分散装置を含む粉体処理設備を用いて製造されるトナーは、たとえば、電子写真法による画像形成に用いられる。
【0091】
電子写真法による画像形成は、導電性支持体の表面に光導電性物質を含む感光層が形成される電子写真感光体(以後、感光体とも称する)を用い、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程、クリーニング工程および除電工程などの工程を経て行なわれる。帯電工程では、感光体の表面を均一に帯電する。露光工程では、帯電した感光体を露光して感光体の表面に静電荷像を形成する。現像工程では、感光体表面に形成された静電荷像をトナーで現像することによってトナー像を形成する。転写工程では、トナーと逆極性の電荷を記録媒体に付与してトナー像を記録媒体に転写させる。定着工程では、加熱および加圧などによって記録媒体に転写された可視像を定着する。クリーニング工程では、記録媒体に転写されずに感光体の表面に残ったトナーを回収して感光体を清浄化する。除電工程では、感光体を除電する。以上のような工程によって、記録媒体に画像が形成される。
【0092】
このようにして画像を形成するトナーの製造方法は、大略、結着樹脂および着色剤を含む樹脂粉体を生成する粉体生成工程と、本発明の粉体処理設備を用いて、粉体生成工程で生成される樹脂粉体を処理してトナーを得る粉体処理工程とを含む。
【0093】
粉体生成工程は、たとえば、結着樹脂および着色剤を溶融混練する溶融混練工程と、溶融混練工程で得られる溶融混練物を粉砕し、樹脂粉体を生成する粉砕工程とを含む。粉体処理工程は、粉体生成工程で得られる樹脂粉体を粉体処理設備に含まれる分散装置によって分散する分散工程と、分散工程で分散される樹脂粉体を粉体処理設備に含まれる分級装置などの分離装置で分離し、トナーを得る分離工程とを含む。本実施形態では、樹脂粉体の分離は粒径の違いによって行なう。したがって分離工程および分離装置を分級工程および分級装置とそれぞれ呼ぶことがある。
【0094】
まず、トナーの構成材料について説明する。トナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含む。結着樹脂は、それ自身では成型できない着色剤を結着樹脂中に分散させて成型するための樹脂である。着色剤は、有機または無機顔料もしくは染料などの色材である。
【0095】
結着樹脂としては、たとえば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0096】
着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、鉄黒、ニグロシン、ベンジジンブルー、キナクリドン、ローダミンB、フタロシアニンブルーなどが挙げられる。着色剤は、結着樹脂100重量部に対して3重量部以上12重量部以下の割合で含まれることが好ましい。着色剤の使用割合が上記範囲に含まれると、充分な着色力を有するトナーを得ることができる。着色剤の使用割合が3重量部未満であると、充分な着色力が得られず、所望の画像濃度を有する画像を形成するのに要するトナー量が増加し、トナーの消費量が増大するおそれがある。着色剤の使用割合が12重量部を超えると、樹脂混練物中における着色剤の分散性が低下し、均一な着色力を有するトナーが得られないおそれがある。
【0097】
結着樹脂および着色剤以外にも、オフセット防止効果を高める目的で一般的な離型剤であるワックスを用いることが好ましい。ワックスとしては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチレンアクリレート共重合体などが挙げられる。これらは単独で使用しても、あるいは2種以上を併用してもよい。ワックスの配合量は特に限定されないけれども、結着樹脂100重量部に対して2重量部以上8重量部以下の割合で含まれることが好ましい。ワックスの使用割合が2重量部未満であると、高温オフセットが発生するおそれがある。ワックスの使用割合が8重量部を超えると、感光体表面にトナーが付着して薄い膜を形成するフィルミングを発生するおそれがある。
【0098】
またトナーには、結着樹脂、着色剤、ワックスのほかに、好ましい特性を損なわない範囲で帯電制御剤などの添加剤を含有してもよい。帯電制御剤の添加によって、トナーの摩擦帯電量を好適にすることができる。帯電制御剤としては、たとえば、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸およびその塩、サリチル酸、ナフトエ酸およびジカルボン酸のコバルト、クロム、鉄などの金属錯体アミノ化合物、第4級アンモニウム化合物などが挙げられ、これらを単独で、もしくは2種以上を併用して使用することができる。帯電制御剤の配合量は特に限定されないけれども、結着樹脂100重量部に対して、0.05重量部以上10重量部以下である。帯電制御剤がこのような範囲で含まれることによって、環境変動によるトナーの帯電量変化を防止する帯電量安定制御を行うことができる。帯電制御剤が0.05重量部未満であると、トナーに帯電安定性を付与することができないおそれがある。また帯電制御剤が10重量部を超えると、帯電制御剤を結着樹脂中に均一に分散させることが困難になるおそれがある。
【0099】
またトナーを1成分系の磁性トナーとして用いる場合、原料に磁性粉を含有させる。磁性粉としては、磁場の中に置かれて磁化される物質を用いることができ、たとえば、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属の粉末、マグネタイト、鉄以外の金属元素を含むフェライトの粉末などが挙げられる。磁性粉は、結着樹脂100重量部に対して40重量部以上150重量部以下の割合で含まれることが好ましい。なお、トナーを2成分系の現像剤として用いる場合には磁性粉は含有されない。
【0100】
以上のような結着樹脂および着色剤と、必要に応じて添加されるワックス、帯電制御剤などとを含む原料を、溶融混練する溶融混練工程を行なう。溶融混練工程では、結着樹脂を溶融または軟化させ(以後、溶融も含めて軟化と称する)、軟化する結着樹脂中に結着樹脂以外の原料を分散させる。
【0101】
溶融混練工程を行なう前に、結着樹脂および着色剤と、必要に応じて添加されるワックス、帯電制御剤などとを含む原料を、混合装置を用いて予備的に混合してもよい。混合装置としては特に限定されるものではなく、たとえば、ダブルコンミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサーなどの高速攪拌型混合装置が挙げられる。混合された原料混合物は、溶融混練工程にて溶融混練される。
【0102】
溶融混練工程に用いられる装置としては、特に限定されるものではなく、たとえば、二軸押出機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−30、PCM−65/87(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダー、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機などが挙げられる
次いで、溶融混練工程で得られる溶融混練物を粉砕し、樹脂粉体を生成する粉砕工程を行なう。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどを用いて、溶融混練工程で得られる溶融混練物を100μmから5mm程度の粗粉砕物に粗粉砕する。そして、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナー)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いて、粗粉砕物を所望の粒径、たとえば8μm以下にまで粉砕する。
【0103】
粉体生成工程は、以上のような溶融混練工程および粉砕工程を含む工程から樹脂粉体を生成する工程に限定されない。粉体生成工程では、たとえば、懸濁重合法、乳化重合法などの湿式法を用いる工程を経て樹脂粉体が生成されてもよい。粉体生成工程によって生成される樹脂粉体は、樹脂粉体を構成する粒子同士の静電気力、分子間力などの付着力によって、粉体凝集物を発生する。またカラートナーを製造する場合、結着樹脂として透光性および光沢性を有する樹脂を用いることが必須であり、透光性および光沢性を有する樹脂として、たとえばポリエステル樹脂などの軟化点の低い結着樹脂が用いられる。軟化点の低い結着樹脂を用いると、トナー粒子同士の摩擦で発生する摩擦熱によって結着樹脂が軟化し、トナー粒子同士が付着しやすくなり、さらに粉体凝集物が発生しやすくなる。
【0104】
本発明のトナーの製造方法では、このような樹脂粉体中に含まれる粉体凝集物を分散させるために、本発明の粉体処理設備に含まれる粉体分散装置によって粉体中に含まれる粉体凝集物を分散させる分散工程を行なう。
【0105】
本発明の粉体分散装置によって粉体中に含まれる粉体凝集物が分散されると、粉体処理設備に含まれる分級装置によって粉体をその粒径の違いによって分級する分級工程を分散工程と連続的に行なう。分級工程では、所望の粒径範囲に含まれる粒子群が得られるまで、分散工程を含む同じサイクルが繰返し実行される。このようにして、所望の粒径範囲に含まれる粒子群から構成されるトナーを得ることができる。
【0106】
上記の分散工程および分級工程を含む粉体処理工程を経て得られるトナーは、体積平均粒径が5.0μm以上8.0μm以下であるものが好ましい。トナーの体積平均粒径がこのような範囲であると、高精細な画像を長期にわたって安定して形成することができる。トナーの体積平均粒径が5.0μm未満であると、トナー粒径が小さくなり過ぎ、高帯電化、現像剤の低流動化が起こり、感光体にトナーを安定して供給することができないので、画像かぶり、画像濃度の低下などを引起こすおそれがある。トナーの体積平均粒径が8.0μmを超えると、トナーの粒径が大きいので、高精細な画像を得ることができず、またトナーの帯電量が小さくなることによってトナーの感光体への供給安定性を失い、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。
【0107】
また上記のような体積平均粒径であるトナーの中でも、粒径が4.00μm以下の粒子の含有率が30個数%未満であることが好ましい。また粒径が4.00μm以下の粒子の含有率が30個数%未満であり、かつ3.17μm以下の粒子の含有率が20個数%未満であるものがさらに好ましい。このような所望の粒径よりも小さい粒径の粒子である微粉の含有率が低いトナーは、粒子の凝集を生じにくく、帯電性能にばらつきが少ないので、感光体に安定してトナーを供給することができる。粒径が4μm以下の粒子の含有率が30個数%以上であると、微粉の含有率が高くなり、高帯電化、現像剤の低流動化が起こり、感光体にトナーを安定して供給することができないので、画像かぶり、画像濃度の低下などを引起こすおそれがある。粒径が3.17μm以下の粒子の含有率が20個数%以上である場合においても、高帯電化、現像剤の低流動化の問題が生じるおそれがある。
【0108】
このようにして得られたトナーに、たとえば、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性、長期保存性改善、クリーニング特性改善、感光体表面磨耗特性制御などの機能を担う外添剤を混合してもよい。外添剤としては、たとえば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。外添剤の添加量としては、トナーに必要な帯電量、外添剤を添加することによる感光体の摩耗に対する影響、トナーの環境特性などを考慮して、トナー100重量部に対し1重量部以下が好適である。
【0109】
以上のようにして製造されるトナーは、そのままで1成分系の現像剤として用いることができるけれども、さらにトナーにキャリアを混合し、2成分系の現像剤としてもよい。2成分系の現像剤に用いられるキャリアとしては、たとえば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉、磁性分含有樹脂キャリアなどの磁性を有する粉体およびガラスビーズなど、ならびにこれらの表面を樹脂などで被覆したものが挙げられる。磁性を有する粉体の被覆に使用できる樹脂としては、たとえば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
【0110】
本発明の粉体分散装置を含む粉体処理設備を用いるトナーの製造方法では、粉体生成工程によって結着樹脂および着色剤を含む樹脂粉体を生成した後、粉体生成工程で生成される樹脂粉体を処理してトナーを得る粉体処理工程が行なわれる。この粉体処理工程では、分散工程を経て分級工程が行なわれるので、分級工程において分級すべき樹脂粉体における粉体凝集物の含有率が低い状態で樹脂粉体を分級することができる。したがって、分級工程において所望の粒径よりも大きい粒子を除去するときに、所望の粒径の範囲内である粒子を含む粉体凝集物が所望の粒径よりも大きい粗粉として扱われて除去されることが防止できるので、分級工程後に得られるトナーの量と粉体生成工程において製造される粉体の量との比であるトナーの収率を向上させることができる。
【0111】
また、分級工程において所望の粒径よりも小さい粒子を除去するときに、粉体に含まれる所望の粒径範囲よりも小さい粒子の凝集物が1個の粒子としてみなされて製品としてのトナーに含まれることが防止されるので、トナー中に含まれる所望の粒径よりも小さい微粉の含有率を低減することができる。トナー中に微粉の含有率が低減されたトナーは、帯電均一性に優れるので、画像かぶりなどの生じない、優れた画像を形成することができる。
【実施例】
【0112】
以下本発明の実施例について説明する。実施例および比較例では、次のようにしてトナーを製造した。
【0113】
〔実施例1〕
以下に示すトナー原料をスーパーミキサー(商品名:SMV−20、株式会社カワタ製)で充分に混合し、得られた混合物を二軸混練機(商品名:PCM−30、株式会社池貝製)によって溶融混練する溶融混練工程を行なった。
【0114】
(トナー原料)
結着樹脂:ポリエステル樹脂(酸価:21mgKOH/g)
芳香族系アルコール成分:ビスフェノールAプロピレンオキサイド、ビスフェノールAエチレンオキサイド
酸成分:フマル酸、無水トリメリット酸 87.5重量部
着色剤:C.I.Pigment Blue 15:1 5.0重量部
ワックス:無極性パラフィンワックス (DSCピーク78℃)6.0重量部
帯電制御剤:サリチル酸の亜鉛化合物 1.5重量部
【0115】
結着樹脂の酸価は次のようにして測定した。ポリエステル樹脂1gをテトラヒドロフランに溶解し、指示薬にフェノールフタレイン、滴定液に0.1N(0.1g/L)水酸化カリウム(化学式:KOH)エタノール溶液を用いて、自動滴定装置(商品名:AT−510、京都電子工業株式会社製)によって電位差滴定を行なった。この電位差滴定において、中和するために使用した水酸化カリウムのmg数を、酸価として固形分換算で算出した。
【0116】
また、ワックスのDSCピーク温度は、セイコーインスルメンツ株式会社製のDSC200(商品名)を用いて次のようにして測定した。サンプルおよび基準物質を入れた装置の電気炉内の雰囲気(不活性ガス)温度を20℃から200℃まで1分間当たり10℃の割合で昇温させた後、200℃から20℃まで降温させる過程を2回繰り返して、2回目の昇温時のサンプル温度を測定した。そして、このサンプル温度と基準物質の温度との差によって吸熱ピークを検出し、吸熱ピーク時の温度をDSCピーク温度とした。
【0117】
次いで、溶融混練工程で得られた溶融混練物を粗粉砕し、ジェット式粉砕機(商品名:IDS−2、日本ニューマチック工業株式会社製)によって粉砕し、樹脂粉体を生成する粉砕工程を行なった。このような溶融混練工程と粉砕工程とを含む粉体生成工程後、得られた樹脂粉体を、図5に示す粉体分散装置31および分級装置(商品名:315−TSPの改造機、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、体積平均粒径が6.0μm以上7.5μm以下の範囲となるまで分散および分級する分散工程および分級工程を連続的に繰返し行なった。粉体分散装置1による分散条件は以下の通りである。
【0118】
粉体分散容器としては、最大内径10.5cm、供給口部から排出口部までの長さ26.7cm、容積1965cmの略円筒形状容器を用いた。ただし気体噴射手段から気体を噴射しなかった。網状部材としては、図2に示すような、目開きXが3.43mm、線状体の幅Wが0.8mm、開孔率が65.8%の網状体を用い、排出口部より粉体流下方向の1.5cm上流側に設置した。粉体分散容器内への粉体供給手段からの粉体の供給は0.15MPaの圧縮空気によって行ない、毎時30kgの粉体を粉体分散容器内に供給した。粉体分散容器内での分散工程終了後、排出口部から収集タンクに粉体を収集し、分級装置で分級工程を行なうバッチ処理を行なった。以上のようにして、実施例1のトナーを製造した。
【0119】
〔実施例2〕
粉体分散容器内に、底面が直径4.0cmの円形状であり、高さが6.5cmの円錐形状の衝突部材を、衝突部材の底面が粉体分散装置の排出口部より粉体流下方向の1.5cm上流側に位置するようにさらに設置したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のトナーを製造した。
【0120】
〔実施例3〕
粉体分散容器内に、底面が直径4.0cmの円形状であり、高さが6.5cmの円錐形状の衝突部材を、衝突部材の底面が粉体分散装置の排出口部より粉体流下方向の1.5cm上流側に位置するように設置し、排出口部と分級装置(商品名:315−TSPの改造機、ホソカワミクロン株式会社製)の投入口部とを装着し、粉体分散装置と分級装置とを連なるようにして設けたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のトナーを製造した。
【0121】
〔実施例4〕
粉体分散容器内に、底面が直径4.0cmの円形状であり、高さが6.5cmの円錐形状の衝突部材を、衝突部材の底面が粉体分散装置の排出口部より粉体流下方向の1.5cm上流側に位置するように設置し、排出口部と分級装置(商品名:315−TSPの改造機、ホソカワミクロン株式会社製)の投入口部とを装着し、粉体分散装置と分級装置とを連なるようにして設けるとともに、図5に示す気体噴射手段24から気体を噴射したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4のトナーを製造した。気体噴射手段から樹脂粉体に対して噴射した空気の圧力は、0.6MPaであった。
【0122】
〔比較例1〕
粉体生成工程後、得られた樹脂粉体を分散させることなく、0.15MPaの圧縮空気によって分級装置(商品名:315−TSPの改造機、ホソカワミクロン株式会社製)に粉体を毎時30kgで供給し、体積平均粒径が6.0μm以上7.5μm以下の範囲となるまで分級工程を行なったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のトナーを製造した。
【0123】
以上のようにして実施例および比較例のトナーの製造における分散工程および分級工程での各条件を表1に示す。
【0124】
【表1】

【0125】
以上のようにして製造した実施例および比較例のトナーの体積平均粒径を測定するとともに、トナー中に含まれる微粉の含有率を求め、評価した。体積平均粒径および微粉の含有率は、コールターマルチサイザーIII(商品名、コールター株式会社(現ベックマン・コールター株式会社)製)によって得られた粒度分布から算出した。なお、微粉の含有率としては、粒径が4.00μm以下の粒子の含有率および粒径が3.17μm以下の粒子の含有率を求めた。
【0126】
微粉の含有率についての評価は、粒径が4.00μm以下の粒子については、25.00個数%未満であるものを○(良好)、25.00個数%以上30.00個数%未満であるものを△(可)、30.00個数%以上であるものを×(不可)とした。粒径が3.17μm以下の粒子については、15.00個数%未満であるものを○(良好)、15.00個数%以上20.00個数%未満であるものを△(可)、20.00個数%以上であるものを×(不可)とした。
【0127】
また実施例および比較例で製造したトナーの収率について評価した。トナーの収率とは、粉体生成工程において製造される粉体の重量に対する分級工程後に得られるトナーの重量の比率(分級工程後に得られるトナーの重量/粉体生成工程において製造される粉体の重量)である。トナーの収率の評価は、65.0%以上であるものを○(良好)、60.0%以上65.0%未満であるものを△(可)、60.0%未満であるものを×(不可)とした。
【0128】
さらに微粉の含有率およびトナーの収率の評価結果から、総合判定を行なった。総合判定では、評価に×および△がなく、特に良好なものを◎、評価に×がなく、△が2つ以内であり良好なものを○、評価に×がなく、△が3つであり実使用上は問題がないものを△、評価に×が1つあり実使用が不可能であるものを×、評価に×が2つ以上あり非常に悪いものを××として評価した。
【0129】
実施例および比較例で製造したトナーの体積平均粒径、微粉の含有率およびトナーの収率についての評価ならびに総合評価を表2に示す。
【0130】
【表2】

【0131】
表2に示すように、本発明の粉体分散装置によって分散工程を行なわなかったトナー(比較例1)は、微粉の含有率が高く、収率も低いものであった。
【0132】
これに対して、本発明の粉体分散装置を含む粉体処理設備を用いて粉体処理工程を行なったトナー(実施例1〜4)は、微粉の含有率が低く、高い収率でトナーを製造することができた。これらの中でも、網状部材に加えて円錐形状の衝突部材をさらに設けた粉体分散装置を用いて製造されたトナー(実施例2〜4)は、微粉の含有率およびトナーの収率の点においてさらに優れるものであった。また粉体分散装置と分級装置とが連結されない粉体処理設備によって製造されたトナー(実施例1および2)では、分散工程を行なうことによって粉体が粉砕工程直後の粉体に比べて球形に近くなり、表面積が小さくなったので、バッチ処理によっても充分に粉体凝集物の発生を防止することができた。さらに粉体分散装置と分級装置とが連結される粉体処理設備によって製造されたトナー(実施例3および4)は、微粉の含有率を一層低減することができた。また気体噴射手段から気体を噴射する粉体分散装置によって分散工程が行なわれたトナー(実施例4)は、微粉の含有率をさらに低減することができるとともに、トナーの収率もさらに高いものであった。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の実施の一形態である粉体分散装置1の構成を概略的に示す断面斜視図である。
【図2】粉体分散装置1の粉体分散容器2内に設けられる網状部材7を拡大して示す平面図である。
【図3】図1に示す粉体分散装置1が設けられるトナー製造装置12の回路図である。
【図4】本発明の実施の第2形態である粉体分散装置21の構成を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施の第3形態である粉体分散装置31の構成を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0134】
1,21,31 粉体分散装置
2,33 粉体分散容器
3 粉体
3a 粒子
3b 粉体凝集物
4,37 供給口部
5,35 排出口部
6 流路
6a 流路断面
7,22 網状部材
8 粉体流下方向
9 粉体供給手段
10 分級装置
11a 縦線状体
11b 横線状体
12 トナー製造装置
13 粉体生成装置
14 粉体処理設備
23 圧縮空気導入方向
24 網状部材傾斜方向
32 衝突部材
34 気体噴射手段
36 投入口部
38 輸送管
41 噴射ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が供給される供給口部および粉体を排出する排出口部が形成され、供給口部から排出口部に粉体が流下する流路が形成される粉体分散容器と、
網状に形成される網状部材であって、粉体分散容器内に設けられ、流路断面の少なくとも一部領域に配置される網状部材とを含むことを特徴とする粉体分散装置。
【請求項2】
粉体の通過を阻止する粉体衝突面を有する衝突部材であって、粉体分散容器内に設けられ、流路断面の一部領域に配置される衝突部材をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の粉体分散装置。
【請求項3】
衝突部材の粉体衝突面は、
粉体の流下方向上流側に向けて先細状であり、かつ尖頭状に形成されることを特徴とする請求項2記載の粉体分散装置。
【請求項4】
投入口部から投入される粉体を粒径、密度または形状の違いによって分離する分離装置の投入口部に、排出口部が装着されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の粉体分散装置。
【請求項5】
粉体分散容器内で粉体の流下速度を増加させる増速手段を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の粉体分散装置。
【請求項6】
増速手段は、気体を噴射する気体噴射手段であることを特徴とする請求項5記載の粉体分散装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の粉体分散装置と、
粉体分散装置によって分散された粉体を粒径、密度または形状の違いによって分離する分離装置とを含むことを特徴とする粉体処理設備。
【請求項8】
結着樹脂および着色剤を含む樹脂粉体を生成する粉体生成工程と、
請求項7記載の粉体処理設備を用いて、粉体生成工程で生成される樹脂粉体を処理してトナーを得る粉体処理工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−185564(P2007−185564A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3748(P2006−3748)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】