粉体化装置、及び、処理システム
【課題】対象物を効率よく粉体化できる粉体化装置を提供する。
【解決手段】中心軸X回りに回転される内筒10と、内筒10と略同軸に配置されて内筒10を取り囲む外筒30と、内筒10の外周面12上に設けられた打撃部材50と、を備える。内筒10の軸方向両端が閉じられ、かつ、内筒10の外周面12は、内筒10の中心軸Xよりも外筒30の内周面32に近い位置に配置される。
【解決手段】中心軸X回りに回転される内筒10と、内筒10と略同軸に配置されて内筒10を取り囲む外筒30と、内筒10の外周面12上に設けられた打撃部材50と、を備える。内筒10の軸方向両端が閉じられ、かつ、内筒10の外周面12は、内筒10の中心軸Xよりも外筒30の内周面32に近い位置に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を粉体化する粉体化装置及び処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のリサイクル機運の高まりと共に、塩ビ等の樹脂層と裏打ち紙(パルプ繊維層)とを張り合わせた樹脂壁紙や、塩ビ等の樹脂層とナイロンやポリエステル製の繊維層とを張り合わせた、又は、樹脂層間に繊維層を挟み込んだ、又は、繊維層に樹脂を含浸させた、タイルカーペット、防音シート、防水シート、工事用安全ネット等の異種材料からなる複合材料や単一素材からなる材料を効率よくリサイクルすることが求められている。複合材料をリサイクルするためには複合材料を粉体化し、粉体を材料毎に、例えば、樹脂粉と、繊維とに分離することが必要である。また、単一素材からなる材料をリサイクルする場合でも、材料を極めて微細に粉体化するとリサイクル処理が容易となって好ましい。
【0003】
対象物を効率よく粉体化する方法として、特許文献1に記載されたような切削法、特許文献2に記載されたようなシュレッダー法、特許文献3〜4に記載されたような剪断法及び回転ハンマ法等が知られている。また、コンクリート廃棄物等のより硬い材料を破砕する装置として、特許文献5〜6等のチェーン回転型の破砕方法等が知られている。
【特許文献1】特開2003−88772号公報
【特許文献2】特開2003−24817号公報
【特許文献3】特開2003−127140号公報
【特許文献4】特開2003−320532号公報
【特許文献5】特開2006−619898号公報
【特許文献6】特開2000−189823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、従来の方法では対象物を100μm程度以下まで効率良く粉体化することができず、したがって、複合材料を構成素材ごと、例えば、樹脂粉と繊維とに機械的に分離することが困難であった。
【0005】
本発明者らが検討したところ、筒状容器内で打撃部材を固定した回転軸を極めて高速、たとえば、打撃部材の周速が100m/s以上となるように回転させると、各種材料を100μm以下に迅速かつ容易に粉体化できることが判明した。しかしながら、従来の回転型の装置では、このような高速回転を行うと、粉体化対象物の投入や粉体化された粉体化物の排出が困難となると共に、粉体化処理量も十分でなく、さらに電力コストも高かった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、粉体化対象物の投入や粉体化物の排出が容易であり、十分な粉体化処理量が実現でき、さらに、電力使用量の削減も可能な粉体化装置及び処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る粉体化装置は、中心軸回りに回転される内筒と、内筒と略同軸に配置されて前記内筒を取り囲む外筒と、内筒の外周面上に設けられた打撃部材と、を備える。そして、内筒の軸方向両端が閉じられ、かつ、内筒の外周面は、内筒の中心軸よりも外筒の内周面に近い位置に配置されている。
【0008】
本発明によれば、内筒を回転させて粉体化対象物を粉体化する際に、内筒の軸方向両端が閉じられかつ内筒の外周面が軸中心から離れて外筒の内周面に近い位置に配置されているので、外筒内における粉体化対象物及び粉体化物が存在しうる空間の容積を、外筒の径がたとえ同じであっても従来に比して極めて薄く小さく、しかも、この空間を、外筒内において、回転半径方向の内側部分よりも打撃部材の周速が速くなる回転半径方向の外側部分のみとすることができる。したがって、この空間に粉体化対象物や粉体化物が高濃度で存在することとなって、高速に回転する打撃部材により極めて効率よく粉体化対象物の粉体化が行える。また、外筒内から外にガスを排出させることによりこのガスに同伴させて粉体化物を排出させる際に、外筒内のガスが流通し得る容積を少なくすることにより、効率のよい吸排気が可能となり、粉体化対象物の供給及び粉体化物の排出がスムーズに行え、粉体化処理量の増加が可能となる。
【0009】
また、打撃部材の長さを十分に短くでき、空気抵抗が低減して内筒の高速回転に必要な電力が削減される。
【0010】
ここで、外筒における内筒の周面と対向する位置に、外筒内に粉体化対象物を供給する入口をさらに備えることが好ましい。
【0011】
これによれば、粉体化対象物や粉体化物が存在しうる厚みの薄い空間に、きわめて効率よく粉体化対象物を供給することができる。
【0012】
また、外筒の軸方向両端は閉じられており、外筒の軸方向端でありかつ内筒の軸方向端と対向する部分には、外筒内から粉体化物をガスと共に排出させる側面出口が設けられることが好ましい。
【0013】
これにより、複合材料を粉体化した際には、軽質粉及び重質粉からなる粉体化物の内の軽質粉が遠心分離作用により回転半径方向内側に、すなわち、外筒の軸方向端と内筒の軸方向端との間に偏析するので、軽質粉を選択的に排出させることができる。また、単一材料を粉体化した際にも、半径方向内側に偏析するもののは、粉体化されていない粉体化対象物でなく、粒径の小さくなった粉体化物であるので、粉体化物を効率よく排出させることができる。
【0014】
また、外筒における内筒の周面と対向する位置に、外筒内から粉体化物をガスと共に排出させる周面出口が設けられ、周面出口には網又はスリットが設けられることが好ましい。
【0015】
これによれば、複合材料を粉体化した際には、軽質粉及び重質粉からなる粉体化物の内の重質粉が遠心分離作用により回転半径方向外側に偏析するので、網により粉体化対象物を除きつつ、粉体化物の内の重質粉を選択的に排出させることができる。また、単一材料を粉体化した際にも、網により粉体化対象物を除きつつ、粉体化物を選択的に排出させることができる。
【0016】
また、外筒における内筒の周面と対向する位置に、外筒内の蓄積物を外部に排出させる開閉弁が設けられることが好ましい。
【0017】
粉体化対象物が繊維を含んでいる場合等には、粉体化と共に繊維の塊等の大きな蓄積物が形成される場合がある。開閉弁を設けることによりこのような蓄積物を容易に排出させることができる。
【0018】
また、内筒は、打撃部材の先端の周速が100m/s以上となるように回転されることが好ましい。
【0019】
特に、打撃部材の先端の周速が100m/s以上、特に120m/s以上であると、100μm以下への粉体化がきわめて迅速かつ容易である。
【0020】
本発明に係る処理システムは、上記のいずれかの粉体化装置と、この粉体化装置から排出されるガス及び粉体化物の混合物から粉体化物を捕集する捕集装置と、この捕集装置により捕集された粉体化物に対して水分を添加して圧縮するする圧縮装置と、を有する。
【0021】
粉体化された粉体は、発塵しやすく、静電気も帯びやすく,ハンドリングが困難であるが、捕集された粉体化物に対して水分を添加して圧縮することにより、発塵や静電気の発生を抑制することができ、粉体化物の後処理が容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、粉体化対象物の投入や粉体化物の排出が容易であり、十分な粉体化処理量が実現でき、さらに、電力使用量の削減も可能な粉体化装置及び処理システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第一実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。本実施形態に係る粉体化装置1は、主として、内筒10、外筒30、及び、打撃部材50等を備える。
【0024】
外筒30は、略水平方向に伸びる円筒状の筒体である。図2に示すように、外筒30は中空のジャケット構造33を有しており、ジャケット構造33内部を水等の冷媒が流通可能となっている。ジャケット構造33にはラインL1を介して、図示しない冷媒供給装置から冷媒が供給される。
【0025】
なお、外筒30がジャケット構造33を有さない場合には、外筒30の外面に水等を滴下して冷却しても良い。また、外筒30は、メンテナンス性を考慮して、上下方向及び/又は左右方向等に分割可能とされていても良い。図1に示すように、外筒30の軸方向の両端は、円板31でそれぞれ閉じられている。
【0026】
回転軸5は、外筒30の両方の円板31を貫通するように、かつ、外筒30の軸と同軸に配置されている。円板31において回転軸5が貫通する部分には、それぞれ、ガスや粉塵のシールが可能な例えばラビリンス型等のシール6が設けられている。
【0027】
また、回転軸5は、外筒30の両外側にそれぞれ配置された軸受7により軸周りに回転可能に支持されている。軸受7は架台2に支持されている。さらに、回転軸5の端部には、連結器8を介してモータ9が接続されており、回転軸5を高速に回転可能となっている。モータ9も架台2に支持されている。回転軸5の回転方向は、図2の矢印Aの方向である。回転軸5の回転速度は、たとえば、後述する打撃部材50の先端の周速、すなわち、打撃部材50の最大回転半径における線速が100m/s以上、より好ましくは120m/s以上、更に好ましくは150m/s以上となる速度であることが好ましい。100m/s以上でないと、迅速かつ十分な粉体化対象物の100μm以下への粉体化は困難であり、この値は臨界値ともいえる。そして、100μm以下にまで粉体化しないと、異種素材の機械的分離が困難であり、また、単一素材であっても、100μm以下のほうが再利用性は高い。
【0028】
外筒30内において、回転軸5には、内筒10が固定されている。内筒10は、図2に示すように中空構造の円筒体であり、外周面12を有すると共に、図1に示すように、その軸方向の両端は円板11によりそれぞれ閉じられている。
【0029】
より具体的には、内筒10は、図3に示すように、複数の筒状部13を、間に円板11を介して配置し、さらに、両端に円板11を配し、これらを軸方向に伸びるロッド14で固定した形態をとる。各筒状部13には、その外周面12に窪み部15が周方向に複数形成されている。各ロッド14は、この窪み部15を通過するように配置されている。図4(a)に示すように、各円板11間に、スペーサ52を介して、複数枚の板状の打撃部材50が、ロッド14を軸として軸周りに回動可能に固定されている。この打撃部材50は、図4(b)や図4(c)に示すように、一端部にロッド14が貫通する貫通孔50aが形成されている。また、この打撃部材50は板状であり、図3及び図4(a)に示すように、厚み方向が回転軸5と平行な方向に配置されている。打撃部材50の厚みは、例えば、1mmとすることができる。
【0030】
また、図2に示すように、窪み部15は、各ロッド14よりも回転方向Aに対して後ろ側に形成されており、必要に応じて、回動する打撃部材50が回転方向Aと反対側に倒れたときに、窪み部15が打撃部材50を収容可能となっている。これにより、打撃部材50と粉体化対象物とが衝突する際の打撃部材50にかかる衝撃を低減でき、また、繊維の無用な切断を軽減でき、打撃部材50の寿命が延びる。なお、内筒10が回転する際には、遠心力により打撃部材50は、回転半径方向外側を向くように配置される。なお、打撃部材50の先端部と、外筒30の内周面32との間隔(図2参照)は、1〜20mm程度とすることが好ましい。打撃部材50や内筒10や外筒30の材料としては、例えば、ステンレス等の金属材料が挙げられる。
【0031】
このような窪み部15、ロッド14、スペーサ52及び打撃部材50の組み合わせは、内筒10の外周面12上に、周方向にほぼ等間隔で複数、例えば、8個設けられている。
【0032】
さらに、図2に示すように、内筒10の外周面12は、回転軸5の中心軸Xよりも外筒30の内周面32に近くなるように配置されている。すなわち、内筒10の外径は、外筒30の内径の50%超であり、80%超であることが好ましい。
【0033】
図1及び図2に示すように、外筒30の上部でかつ内筒10の外周面12と対向する位置に、開口35aを有する筒状の入口35が形成されており、この入口35の上には、粉体化対象物を貯留するホッパ40が設けられている。入口35の回転方向Aの前側においては、その内壁が接線方向とほぼ一致するように傾斜しており、粉体化対象物の外筒30内への引き込みを容易としている。また、図1に示すように、入口35の開口35aにおける回転軸5の軸方向についての長さは、外筒30の内部の軸方向長さとほぼ同一とされている。
【0034】
ホッパ40内に供給される粉体化対象物としては、特に限定されないが、異種の材料を含む複合材料、たとえば、塩ビ等の樹脂層と裏打ち紙(パルプ繊維層)とを張り合わせた樹脂壁紙や、塩ビ等の樹脂層とナイロンやポリエステル製の繊維層とを張り合わせた、又は、樹脂層間に繊維層を挟み込んだ、又は、繊維層に樹脂を含浸させた、タイルカーペット、防音シート、防水シート、工事用安全ネット等の複合樹脂材料が挙げられる。特に、繊維と樹脂層とを含む複合材料が好ましい。さらに、トナー印刷済みの紙等を粉体化することもできる。また、単一組成の材料を粉体化することもできる。また、医薬品、食品等の原料、例えば、乾燥した昆布、きのこ等を粉体化することもできる。
【0035】
ここで、ホッパ40内に供給される粉体化対象物は、事前に100mm以下、好ましくは10mm以下に粗破砕されていることが好ましい。なお、対象物の形状は特に限定されず、粒状でもよく、チップ上、シート状でもよい。また、対象物は含水していてもよい。
【0036】
図1に示すように、外筒30の円板31には、内筒10の円板11に対向する開口36aを有した側面出口36が、軸方向の両側に設けられている。各側面出口36は、ラインL2を介してバグフィルタ等の集塵器70及び外筒30からガスを吸い出すブロア75に接続されている。
【0037】
図2に示すように、外筒30の周面における下部かつ内筒10の外周面12と対向する位置には開口37aを有する筒状の出口37が形成されている。出口37内において、開口37aには、開口37aを開閉可能な開閉弁37bが設けられている。この開閉弁37bは、外筒30の下端に取り付けられた軸37cにより、揺動自在に外筒30に固定されており、図示しないアクチュエータにより、図2の実線のように、開口37aを塞ぐ閉状態と、図2の2点鎖線のように、開口を開く開状態とを切り替え可能となっている。出口37には、ラインL3を介して、バグフィルタ等の集塵器71、ブロア76が接続されている。
【0038】
外筒30の周面における側部かつ内筒10の外周面12と対向する位置には、開口38aを有する周面出口38が設けられている。開口38aには、外筒30の内周面32に沿って、水平方向に伸びる複数のサポート79によって、外側から支持された網78が張られている。網の目開きは特に限定されないが、例えば、粉体されていない粉体化対象物の通過を抑制し、十分に粉体化された粉体化物の通過を可能とすべく、100〜1000μmが好ましい。周面出口38には、ラインL4を介して、バグフィルタ等の集塵器72、ブロア77が接続されている。なお、網78に代えて、スリット板でも構わない。
【0039】
続いて、本実施形態にかかる粉体化装置1を用いた粉体化方法について説明する。
【0040】
まず、回転軸5を回転させる。ここでは、上述のように打撃部材50の先端の周速が上述の所定の速度となるようにする。続いて、ブロア75及びブロア77を駆動し、外筒30内からガスを吸引し排気する。開閉弁37bは、開口37を閉じる閉状態とする。
【0041】
これにより、ホッパ40を介して空気等のガスが開口35aを介して外筒30内に供給され、このガスの流れに同伴されて、ホッパ内の粉体化対象物が開口35aからの外筒30内に供給される。続いて、粉体化対象物は高速回転する打撃部材50によって外筒30内を回転され、遠心力によって外筒30の内面上を回転運動する。このとき、粉体化対象物は打撃部材50との衝突や外筒30の内壁との衝突や摩擦、あるいは、粉体化対象物同士の衝突や摩擦等により迅速に粉体化される。
【0042】
特に、本実施形態によれば、内筒10を回転させて粉体化対象物を粉体化する際に、内筒10の軸方向両端が円板11により閉じられかつ内筒10の外周面12が中心軸Xから離れて外筒30の内周面32に近い位置に配置されている。したがって、外筒30内における粉体化対象物及び粉体化物が存在しうる空間V(図2参照)の容積を、外筒30の内径がたとえ同じであっても従来に比して極めて薄く小さく、しかも、この空間Vを、外筒30内において、回転半径方向の内側部分よりも打撃部材50の周速が速くなる回転半径方向の外側の部分のみとすることができる。したがって、この空間に粉体化対象物や粉体化物が高濃度で存在することとなって、高速に回転する打撃部材により極めて効率よく粉体化対象物の粉体化が行える。また、粉体化対象物が繊維等を含む場合であっても、低速で回転する半径方向内側の部分に繊維等が入り込むことも無いのでここに繊維等が絡むこともない。
【0043】
また、外筒30内からガスを吸引することによりこのガスに同伴させて粉体化物を外部に排出させる際に、外筒30内のガスが流通しうる空間Vの容積を少なくすることにより、効率のよい吸排気が可能となり、粉体化対象物の供給及び粉体化物の排出がスムーズに行え、粉体化処理量の増加が可能となる。
【0044】
さらに、打撃部材50の長さを十分に短くでき、空気抵抗が低減して内筒10の高速回転に必要な電力が削減される。
【0045】
このようにして粉体化された粉体化物は、側面出口36及び周面出口38からガスに同伴されて排出され、バグフィルタ等の集塵器70、72に回収される。
【0046】
さらに、本実施形態では、外筒30における内筒10の外周面12と対向する位置に、外筒30内に粉体化対象物を供給する入口35をさらに備えているので、極めて薄く小さくされた、粉体化対象物及び粉体化物が存在しうる空間Vに、きわめて効率よく粉体化対象物を供給することができる。特に、打撃部材50の先端部の周速が120m/s以上では、軸方向側からの粉体化対象物の供給は、風によるカーテン効果により事実上不可能である。
【0047】
また、図1に示すように、外筒30の軸方向両端が円板31により閉じられており、外筒30の円板31における内筒10の円板11と対向する部分に、外筒30内から粉体化物をガスと共に排出させる側面出口36が設けられている。そして、複合材料を粉体化した際には、これを粉体化してなる軽質粉及び重質粉からなる粉体化物の内の軽質粉が遠心分離作用により回転半径方向内側、すなわち、外筒30の円板31と、内筒10の円板11との間に偏析するので、この側面出口36から軽質粉を選択的に排出させることができる。また、単一材料を粉体化した際にも、半径方向内側に偏析するものは、粉体化されていない粉体化対象物では無く、粒径の小さくなった粉体化物であるので、粉体化物を効率よく排出させることができる。
【0048】
また、図2に示すように、外筒30における内筒10の外周面12と対向する位置に、外筒30内から粉体化物をガスと共に排出させる周面出口38が設けられ、周面出口38には網78が設けられている。したがって、複合材料を粉体化した際には、軽質粉及び重質粉からなる粉体化物の内の重質粉が遠心分離作用により回転半径方向外側に偏析し、網78により粒径の大きな粉体化対象物を除外しつつ、粉体化物の内の重質粉を選択的に外部に排出させることができる。したがって、集塵器72には、主として重質粉が捕集される。また、単一材料を粉体化した際にも、網78により粒径の大きな粉体化対象物を除外しつつ、粉体化物を選択的に排出させることができる。
【0049】
さらに、外筒30における内筒10の周面と対向する位置に、外筒30内の蓄積物を外部に排出させる開閉弁37bが設けられている。例えば、粉体化対象物が繊維を含んでいる場合等には、粉体化を長時間行っていると繊維の塊等の大きな蓄積物が外筒30内に形成される場合がある。このような塊は、側面出口36や周面出口38から排出させることは困難である。そこで開閉弁37bを、間歇的に開放すると共にブロア76を駆動ことによって、必要に応じてこのような蓄積物を容易に外部に排出させ、集塵器71に捕集することができる。
【0050】
さらに、このような粉体化装置1は、打撃部材50の先端の周速が100m/s以上となると、それ未満の周速に比べて、粉体化対象物の100μm以下への粉体化がきわめて迅速かつ容易になされる。100m/s未満では、100μm以下への粉体化は困難である。そして、このような高速回転により、異なる材質を複合した複合材料を100μm以下に粉体化した場合には、各材質ごと、例えば、樹脂粉と繊維とに物理的に分離することができる。また、対象物が、紙、繊維等の繊維材料を含む場合には、外筒30内において繊維の解きほぐしもなされる。また、単一材料からなる粉体化対象物であっても、同様の効果がある。このように、打撃部材50の先端の周速を100m/s以上にすることの効果は、本発明者等が新しく見出した知見である。
【0051】
この様にして粉体化された重質粉、例えば、塩ビ樹脂粉は、再生塩ビコンパウンド等の再生塩ビ材料として好適に利用でき、また、軽質粉も、例えば、パルプはフリース壁紙の材料や、土壌改良剤等として、繊維は、再生樹脂原料としてそれぞれ利用できる。
【0052】
特に複合樹脂廃材、たとえば、塩ビ壁紙(塩ビ樹脂及び可塑剤約40wt%、充填材約20wt%、裏打ち紙約40wt%)において、年間総排出量約10万トンのうち再資源化されているのはわずか1000トンであり、建設系廃棄物の中でももっとも再資源化が困難なものである。しかしながら、上述の装置及び方法によれば、100μm以下程度まで微粉化が行われ、塩ビ樹脂+可塑剤+充填剤からなる樹脂コンパウンド粉と繊維粉とに分離された粉を得ることができる。また、遠心力によって、重質粉(例えば、塩ビ樹脂+可塑剤+充填剤からなる樹脂コンパウンド粉)と、軽質粉(裏打ち紙由来のパルプ)とに分離されるので、再利用も容易となる。
【0053】
また、トナー印刷済みの紙を粉体化すると、パルプとトナーとに、乾式において離解することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、さまざまな変形態様が可能である。
【0055】
例えば、粉体化装置1の回転軸5は水平方向に配置されなくても良く、例えば、30°程度傾斜していても良く、鉛直方向に配置されていてもよい。また、外筒30は、テーパ形状であっても良い。
【0056】
また、打撃部材50を固定するロッド14も、窪み部15内に配置されていなくてもよく、例えば、窪み部15が形成されていない場合には、ロッド14が内筒10の表面から突出するように設けられていてもよい。また、ロッド14を介さずに、打撃部材50が直接内筒10の外表面に溶接等により固定されていても実施は可能である。
【0057】
また、打撃部材としては、図4の(b)のような矩形板形状でなくても構わず、例えば、図4の(c)のように先端の幅が細くなったものでも構わず、例えば、回転方向側の端面に刃が形成されたものでもよい。
【0058】
また、外筒30内に静電気除去用のイオンを供給することも可能である。また、外筒30の内周面にはセラミックコーティングを行っても良く、凹凸をつけても良い。また図5の(a)に示すように、金属等の板80bの表面に多数の突起80aを設けた突起板80を、外筒30の内面32に沿って配置してもよい。この場合、突起80aとの衝突により、粉体化対象物の粉体化がより効率よく行われる。
【0059】
また、図2の周面出口38の機能を、出口37に合体させた図6の(a),(b)のような態様も可能である。すなわち、図6においては、出口37における、外筒30の開口37aを覆う筒状の出口37は、開口37aをはさんで互いに対向する方向に開口する2つの開口37e,37fを有している。開口37eは、外筒30の開口37aにおける打撃部材50の回転方向の前側に開口しており、開口37fは、その後ろ側に開口している。
【0060】
また、開閉弁37bは、閉状態のときに、板の代わりに網78で開口37aを覆うようにされている。そして、図6の(a)のように、開閉弁37bが閉状態のときには、開口37fが図示しないブロア等により吸引され、網78を通過した粉体化物が選択的に外筒30から排出される。一方、開閉弁37bが、開状態のときには、図6の(b)のように、開口37eが図示しないブロア等により吸引され、外筒30内に蓄積した繊維の塊等が、開口37aから排出される。
【0061】
また、図1における、入口35の開口35aの回転軸5の軸方向の長さは、特に制限されず、例えば、図7に示すように、外筒30の内部の軸方向長さより狭くてもよい。いずれにしても、開口35aが内筒10の外周面12と対向していることが好ましい。これにより、吸引された粉体化対象物が効率よく引き込まれ、打撃部材50によって粉体化される。
【0062】
また、周面出口38は、図8に示すように、複数、例えば、回転軸5をはさんで左右一対設けても構わない。
【0063】
また、図9に示すように、1つの回転軸5に対して、内筒10及び外筒30の組み合わせを複数設けてもよい。
【0064】
さらに、上記実施形態では、出口からブロア等によりガスを吸引することにより、入口35からガスを外筒30内に供給しているが、ブロアやコンプレッサでホッパ40を介して入口35から外筒30内にガスを供給してもよい。
【0065】
さらに、上記実施形態では、内筒10は複数の円筒部13により形成されているが、1つの円筒部13から形成されていてもよい。
【0066】
さらに、外筒30内に水を添加するノズルを外筒30に設けてもよい。これにより、静電気の発生を抑制でき、防爆性能を高めることができる。また、得られる粉体化物の発塵も抑制でき、ハンドリング性がよい。
【0067】
(第二実施形態)
続いて、特に、シュレッダー処理がなされた、或いは、10〜30mm角程度に細片化処理された紙の粉体化処理に特に好適な処理システム200について図10を参照して説明する。
【0068】
処理システム200は、第一実施形態にて説明したのとほぼ同様の粉体化装置1を備えている。この粉体化装置1は、ホッパ40を有しておらず、入口35は、ラインL10を介して、シュレッダー等により細片化された紙片100を貯留する容器102内に挿入されている。
【0069】
紙片100の大きさは特に限定されないが、例えば、紙片の幅は例えば、2〜10mmである。
【0070】
この粉体化装置1の周面出口38に接続されたラインL4及び図示しない側面出口36に接続されたラインL2は、いずれもバグフィルタ(捕集装置)70に接続されている。また、粉塵爆発等を防止するために、外筒30には、外筒30内に水をミスト等として添加する水添加ノズル105が設けられている。添加量は、5〜10重量%程度とすることが好ましい。
【0071】
バグフィルタ70は、筒状の容器70aを備え、容器70aの内部に濾布70bが張られている。容器70aの下部は先細りのホッパ70eとされている。容器70aにおける濾布70bよりも下部に設けられたフランジ70cに対して、ラインL2及びラインL4が接続されている。また、濾布70bを通過したガスは、容器70aにおける濾布70bよりも上部に設けられたフランジ70dを介して、ブロア75に接続されている。また、容器70aの上部には、逆洗用のパルス状の圧縮空気を間歇的に供給する逆洗器70gが接続されている。ホッパ70eの下部には、ホッパ内に捕集された粉体化物を送り出すロータリーバルブ70fが設けられている。
【0072】
さらに、ホッパ70eの下端には、粉体圧縮用の圧縮機(圧縮装置)120が設けられている。圧縮機120は、上部がホッパ70eと連通し、ホッパ70eからの粉体を受け入れると共に、水平方向に伸びているシリンダ122、シリンダ122の開口の一端から送入されるピストン124、及び、ピストン124をシリンダ122の軸方向に沿って押圧するプレス部126、シリンダ122内の粉体化物に対して水をミスト等として供給する水ノズル128、シリンダ122のプレス部126とは反対側の端部を閉じることができる蓋部材130、蓋部材130をシリンダ122の軸方向に押圧し及びシリンダ122から離れる方向に後退させたりする蓋部材駆動部132、シリンダ122の端部で固形化物をカットするカッタ134を備える。
【0073】
この圧縮機120は、図10の(a)に示すようにシリンダ122内に粉体化物がある程度蓄積されると、この粉体化物に対して水を添加して粉体化物に付着力を生じさせ、続いて、図10の(b)に示すように、蓋部材130によりシリンダ122の端部(図10の左側)をふさいだ状態で、ピストン124を押し込むことによって、粉体化物の圧縮された固形化物Qを形成する。そして、図10の(c)に示すように、さらに、同様の操作を行って、固形化物Qを大きくした後、図10の(d)に示すように、蓋部材130をすこし後退させて固形化物Qの一部をシリンダ122から突出させ、さらに、図10の(e)に示すように、更に水を添加した粉体化物の固形化を進め、その後、固形化物を更に押し出して所定の押出長さとする。その後、固形化物Qを、シリンダ122の端面でカッタ134によりカットする(図10(f)参照)。なお、水の添加量は、固形化物Qの水分濃度が10〜15重量%程度となるようにすることが好ましい。特に、紙を粉体化したパルプを主として含む粉体化物は、水の添加により、水素結合により比較的大きな付着力が生じ、保形性のよいレンガ状の固形化物が得られる。
【0074】
このようにして得られた固形化物は、発塵せずにハンドリング性に優れ、また、密度も高くなって輸送コストの低減もできる。さらに、粉体化装置1において、打撃部材50の先端の周速を100m/s以上とした場合には、紙がファイバー状にまで、叩解、或いは、ほぐされるため、トナーとパルプとが物理的に離解される。そして、このようなパルプ及びトナーの混合物は、その後の湿式法による公知の脱墨工程が、極めて迅速に軽負荷で行える。
【0075】
なお、本実施形態では、集塵器としてバグフィルタを採用しているが、これ以外でもよく、たとえば、サイクロン等でも構わない。
【実施例】
【0076】
(実施例A1)
図1に示す装置により1000kgの塩ビ壁紙(塩ビ樹脂及び可塑剤及び充填材からなる樹脂コンパウンド約60wt%、裏打ち紙約40wt%)を粉体化した。打撃部材の先端の周速は150m/sとした。外筒30の内径は500mm、内筒10の外径は392mmとし、内筒10の軸方向長さは33mm×3とした。また、打撃部材50の長さは60mmとし、108個取り付けた。
【0077】
その結果、塩ビ壁紙は50〜500μm程度にまで粉体化がなされた。集塵器72に回収された粉体は550kgであり、その組成は塩ビ樹脂+可塑剤+充填材からなる樹脂コンパウンド粉が90wt%、パルプが10wt%であった。集塵器70に回収された粉体は450kgであり、その組成は塩ビ樹脂+可塑剤+充填材からなる樹脂コンパウンド粉が20wt%、パルプが80wt%であった。これらパルプと塩ビ樹脂コンパウンド粉とは既に機械的に分離されており、篩等を利用したさらなる精密分離と分級処理により樹脂コンパウンド粉及び繊維長1〜3mmのパルプファイバを99.5%以上の分離度で得ることができた。樹脂コンパウンド粉全体における100μm以下の粒子の重量割合は約50%であった。
【0078】
(実施例A2)
打撃部材の先端の周速を120m/sとした。樹脂コンパウンド粉及び繊維長1〜3mmのパルプファイバを98%以上の分離度で得ることができた。樹脂コンパウンド粉の100μm以下の粒子の重量割合は40%であった。
【0079】
(実施例A3)
打撃部材の先端の周速を100m/sとした。樹脂コンパウンド粉及び繊維長1〜3mmのパルプフィラメントを95%以上の分離度で得ることができた。樹脂コンパウンド粉の100μm以下の粒子の重量割合は20%であった。
【0080】
(実施例A4)
打撃部材の先端の周速を80m/sとした。樹脂コンパウンド粉及び繊維長1〜3mmのパルプフィラメントを65%以上の分離度で得ることができた。樹脂コンパウンド粉の100μm以下の粒子の重量割合は10%であった。
【0081】
(実施例B1)
図1に示す装置により100kgのシュレッダー処理されたトナー印刷済みの上質紙を、叩解し、粉体化した。打撃部材の先端の周速は150m/sとした。その結果、シュレッダー処理された上質紙はパルプファイバー化され、繊維長5〜10mm、繊維径5〜10μmとなり、再生可能な形状となった。また、トナーとパルプとは離解され、トナーはパルプファイバ中に分散し、文字等の判読は全く不可能となっていた。
【0082】
(実施例B2)
打撃部材の先端の周速を100m/sとした。パルプファイバは実施例B1と同様であり、トナーは、実施例B1と同じくパルプより離解していた。これらの結果は、各種印刷装置等により作成された機密文書の安全でかつ完全な処理が極めて経済的に可能となることを示している。
【0083】
(実施例C1)
図1に示す粉体化装置により粉体化対象物を供給することなく、打撃部材50の先端の周速を変え、必要な電流値を測定した。
【0084】
(比較例C2)
図1に示す装置において、内筒10を用いる代わりに、回転軸5に対して、回転軸5を取り囲む円環状の固定部材を軸方向に複数設け、回転軸5から離れて外筒30の内周面32に近い位置に回転軸5と略平行に複数のロッドを、円環状の固定部材をそれぞれ貫通するように設け、これら複数のロッドに打撃部材50を回動可能に固定した。そして、実施例C1と同様にして、粉体化対象物を供給することなく、打撃部材50の先端の周速を変え、必要な電流値を測定した。
【0085】
(比較例C3)
図1に示す装置において、内筒10を用いる代わりに、回転軸5に対して複数のベルトを、ベルトの幅方向が軸方向と平行となるように、回転軸5の周方向及び軸方向にそれぞれ設け、各ベルトの先端に打撃部材50を設けた。そして、実施例C1と同様にして、粉体化対象物を供給することなく、打撃部材50の先端の周速を変え、必要な電流値を測定した。
【0086】
その結果を図11に示す。実施例C1では、周速度を十分高めるのに必要な電流値が十分低くなっている。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、第1実施形態に係る粉体化装置の軸方向部分断面を説明する模式図である。
【図2】図2は、図1の粉体化装置の外筒付近の軸方向に垂直な断面を説明する模式図である。
【図3】図3は、図1の粉体化装置の内筒10の斜視図である。
【図4】図4(a)は図3の内筒10のIVa−IVa矢視図、図4(b)及び(c)は、打撃部材の種々の形態を示す正面図である。
【図5】図5(a)は、外筒30の内周面32上に設けられるヤスリ状の複数の突起80aを有する板80を示す斜視図であり、図5(b)は、板80が外筒30の内周面32上に設けられた状態を示す断面図である。
【図6】図6は、外筒30の出口37の他の実施形態を示す断面図であり、(a)は開閉弁37bが閉状態である場合、(b)は開閉弁37bが買い状態である場合である。
【図7】図7は、入口35の他の実施形態を説明する粉体化装置の円筒付近の軸方向断面を説明する模式図である。
【図8】図8は、周面出口38の他の実施形態を説明する粉体化装置の外筒付近の軸方向に垂直な断面を説明する模式図である。
【図9】図9は、他の実施形態に係る粉体化装置の軸方向部分断面を説明する模式図である。
【図10】図10は、第二実施形態に係る処理システムを示す概略断面模式図である。
【図11】図11は、実施例C1、比較例C2,比較例C3のそれぞれの粉体化装置において、打撃部材の先端の周速と、必要な電力量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0088】
1…粉体化装置、10…外筒、30…内筒、38…周面出口、35…入口、36…側面出口、5…回転軸、14…ロッド、50…打撃部材、37b…開閉弁、70…バグフィルタ(捕集装置)、120…圧縮装置、200…処理システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を粉体化する粉体化装置及び処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のリサイクル機運の高まりと共に、塩ビ等の樹脂層と裏打ち紙(パルプ繊維層)とを張り合わせた樹脂壁紙や、塩ビ等の樹脂層とナイロンやポリエステル製の繊維層とを張り合わせた、又は、樹脂層間に繊維層を挟み込んだ、又は、繊維層に樹脂を含浸させた、タイルカーペット、防音シート、防水シート、工事用安全ネット等の異種材料からなる複合材料や単一素材からなる材料を効率よくリサイクルすることが求められている。複合材料をリサイクルするためには複合材料を粉体化し、粉体を材料毎に、例えば、樹脂粉と、繊維とに分離することが必要である。また、単一素材からなる材料をリサイクルする場合でも、材料を極めて微細に粉体化するとリサイクル処理が容易となって好ましい。
【0003】
対象物を効率よく粉体化する方法として、特許文献1に記載されたような切削法、特許文献2に記載されたようなシュレッダー法、特許文献3〜4に記載されたような剪断法及び回転ハンマ法等が知られている。また、コンクリート廃棄物等のより硬い材料を破砕する装置として、特許文献5〜6等のチェーン回転型の破砕方法等が知られている。
【特許文献1】特開2003−88772号公報
【特許文献2】特開2003−24817号公報
【特許文献3】特開2003−127140号公報
【特許文献4】特開2003−320532号公報
【特許文献5】特開2006−619898号公報
【特許文献6】特開2000−189823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、従来の方法では対象物を100μm程度以下まで効率良く粉体化することができず、したがって、複合材料を構成素材ごと、例えば、樹脂粉と繊維とに機械的に分離することが困難であった。
【0005】
本発明者らが検討したところ、筒状容器内で打撃部材を固定した回転軸を極めて高速、たとえば、打撃部材の周速が100m/s以上となるように回転させると、各種材料を100μm以下に迅速かつ容易に粉体化できることが判明した。しかしながら、従来の回転型の装置では、このような高速回転を行うと、粉体化対象物の投入や粉体化された粉体化物の排出が困難となると共に、粉体化処理量も十分でなく、さらに電力コストも高かった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、粉体化対象物の投入や粉体化物の排出が容易であり、十分な粉体化処理量が実現でき、さらに、電力使用量の削減も可能な粉体化装置及び処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る粉体化装置は、中心軸回りに回転される内筒と、内筒と略同軸に配置されて前記内筒を取り囲む外筒と、内筒の外周面上に設けられた打撃部材と、を備える。そして、内筒の軸方向両端が閉じられ、かつ、内筒の外周面は、内筒の中心軸よりも外筒の内周面に近い位置に配置されている。
【0008】
本発明によれば、内筒を回転させて粉体化対象物を粉体化する際に、内筒の軸方向両端が閉じられかつ内筒の外周面が軸中心から離れて外筒の内周面に近い位置に配置されているので、外筒内における粉体化対象物及び粉体化物が存在しうる空間の容積を、外筒の径がたとえ同じであっても従来に比して極めて薄く小さく、しかも、この空間を、外筒内において、回転半径方向の内側部分よりも打撃部材の周速が速くなる回転半径方向の外側部分のみとすることができる。したがって、この空間に粉体化対象物や粉体化物が高濃度で存在することとなって、高速に回転する打撃部材により極めて効率よく粉体化対象物の粉体化が行える。また、外筒内から外にガスを排出させることによりこのガスに同伴させて粉体化物を排出させる際に、外筒内のガスが流通し得る容積を少なくすることにより、効率のよい吸排気が可能となり、粉体化対象物の供給及び粉体化物の排出がスムーズに行え、粉体化処理量の増加が可能となる。
【0009】
また、打撃部材の長さを十分に短くでき、空気抵抗が低減して内筒の高速回転に必要な電力が削減される。
【0010】
ここで、外筒における内筒の周面と対向する位置に、外筒内に粉体化対象物を供給する入口をさらに備えることが好ましい。
【0011】
これによれば、粉体化対象物や粉体化物が存在しうる厚みの薄い空間に、きわめて効率よく粉体化対象物を供給することができる。
【0012】
また、外筒の軸方向両端は閉じられており、外筒の軸方向端でありかつ内筒の軸方向端と対向する部分には、外筒内から粉体化物をガスと共に排出させる側面出口が設けられることが好ましい。
【0013】
これにより、複合材料を粉体化した際には、軽質粉及び重質粉からなる粉体化物の内の軽質粉が遠心分離作用により回転半径方向内側に、すなわち、外筒の軸方向端と内筒の軸方向端との間に偏析するので、軽質粉を選択的に排出させることができる。また、単一材料を粉体化した際にも、半径方向内側に偏析するもののは、粉体化されていない粉体化対象物でなく、粒径の小さくなった粉体化物であるので、粉体化物を効率よく排出させることができる。
【0014】
また、外筒における内筒の周面と対向する位置に、外筒内から粉体化物をガスと共に排出させる周面出口が設けられ、周面出口には網又はスリットが設けられることが好ましい。
【0015】
これによれば、複合材料を粉体化した際には、軽質粉及び重質粉からなる粉体化物の内の重質粉が遠心分離作用により回転半径方向外側に偏析するので、網により粉体化対象物を除きつつ、粉体化物の内の重質粉を選択的に排出させることができる。また、単一材料を粉体化した際にも、網により粉体化対象物を除きつつ、粉体化物を選択的に排出させることができる。
【0016】
また、外筒における内筒の周面と対向する位置に、外筒内の蓄積物を外部に排出させる開閉弁が設けられることが好ましい。
【0017】
粉体化対象物が繊維を含んでいる場合等には、粉体化と共に繊維の塊等の大きな蓄積物が形成される場合がある。開閉弁を設けることによりこのような蓄積物を容易に排出させることができる。
【0018】
また、内筒は、打撃部材の先端の周速が100m/s以上となるように回転されることが好ましい。
【0019】
特に、打撃部材の先端の周速が100m/s以上、特に120m/s以上であると、100μm以下への粉体化がきわめて迅速かつ容易である。
【0020】
本発明に係る処理システムは、上記のいずれかの粉体化装置と、この粉体化装置から排出されるガス及び粉体化物の混合物から粉体化物を捕集する捕集装置と、この捕集装置により捕集された粉体化物に対して水分を添加して圧縮するする圧縮装置と、を有する。
【0021】
粉体化された粉体は、発塵しやすく、静電気も帯びやすく,ハンドリングが困難であるが、捕集された粉体化物に対して水分を添加して圧縮することにより、発塵や静電気の発生を抑制することができ、粉体化物の後処理が容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、粉体化対象物の投入や粉体化物の排出が容易であり、十分な粉体化処理量が実現でき、さらに、電力使用量の削減も可能な粉体化装置及び処理システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第一実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。本実施形態に係る粉体化装置1は、主として、内筒10、外筒30、及び、打撃部材50等を備える。
【0024】
外筒30は、略水平方向に伸びる円筒状の筒体である。図2に示すように、外筒30は中空のジャケット構造33を有しており、ジャケット構造33内部を水等の冷媒が流通可能となっている。ジャケット構造33にはラインL1を介して、図示しない冷媒供給装置から冷媒が供給される。
【0025】
なお、外筒30がジャケット構造33を有さない場合には、外筒30の外面に水等を滴下して冷却しても良い。また、外筒30は、メンテナンス性を考慮して、上下方向及び/又は左右方向等に分割可能とされていても良い。図1に示すように、外筒30の軸方向の両端は、円板31でそれぞれ閉じられている。
【0026】
回転軸5は、外筒30の両方の円板31を貫通するように、かつ、外筒30の軸と同軸に配置されている。円板31において回転軸5が貫通する部分には、それぞれ、ガスや粉塵のシールが可能な例えばラビリンス型等のシール6が設けられている。
【0027】
また、回転軸5は、外筒30の両外側にそれぞれ配置された軸受7により軸周りに回転可能に支持されている。軸受7は架台2に支持されている。さらに、回転軸5の端部には、連結器8を介してモータ9が接続されており、回転軸5を高速に回転可能となっている。モータ9も架台2に支持されている。回転軸5の回転方向は、図2の矢印Aの方向である。回転軸5の回転速度は、たとえば、後述する打撃部材50の先端の周速、すなわち、打撃部材50の最大回転半径における線速が100m/s以上、より好ましくは120m/s以上、更に好ましくは150m/s以上となる速度であることが好ましい。100m/s以上でないと、迅速かつ十分な粉体化対象物の100μm以下への粉体化は困難であり、この値は臨界値ともいえる。そして、100μm以下にまで粉体化しないと、異種素材の機械的分離が困難であり、また、単一素材であっても、100μm以下のほうが再利用性は高い。
【0028】
外筒30内において、回転軸5には、内筒10が固定されている。内筒10は、図2に示すように中空構造の円筒体であり、外周面12を有すると共に、図1に示すように、その軸方向の両端は円板11によりそれぞれ閉じられている。
【0029】
より具体的には、内筒10は、図3に示すように、複数の筒状部13を、間に円板11を介して配置し、さらに、両端に円板11を配し、これらを軸方向に伸びるロッド14で固定した形態をとる。各筒状部13には、その外周面12に窪み部15が周方向に複数形成されている。各ロッド14は、この窪み部15を通過するように配置されている。図4(a)に示すように、各円板11間に、スペーサ52を介して、複数枚の板状の打撃部材50が、ロッド14を軸として軸周りに回動可能に固定されている。この打撃部材50は、図4(b)や図4(c)に示すように、一端部にロッド14が貫通する貫通孔50aが形成されている。また、この打撃部材50は板状であり、図3及び図4(a)に示すように、厚み方向が回転軸5と平行な方向に配置されている。打撃部材50の厚みは、例えば、1mmとすることができる。
【0030】
また、図2に示すように、窪み部15は、各ロッド14よりも回転方向Aに対して後ろ側に形成されており、必要に応じて、回動する打撃部材50が回転方向Aと反対側に倒れたときに、窪み部15が打撃部材50を収容可能となっている。これにより、打撃部材50と粉体化対象物とが衝突する際の打撃部材50にかかる衝撃を低減でき、また、繊維の無用な切断を軽減でき、打撃部材50の寿命が延びる。なお、内筒10が回転する際には、遠心力により打撃部材50は、回転半径方向外側を向くように配置される。なお、打撃部材50の先端部と、外筒30の内周面32との間隔(図2参照)は、1〜20mm程度とすることが好ましい。打撃部材50や内筒10や外筒30の材料としては、例えば、ステンレス等の金属材料が挙げられる。
【0031】
このような窪み部15、ロッド14、スペーサ52及び打撃部材50の組み合わせは、内筒10の外周面12上に、周方向にほぼ等間隔で複数、例えば、8個設けられている。
【0032】
さらに、図2に示すように、内筒10の外周面12は、回転軸5の中心軸Xよりも外筒30の内周面32に近くなるように配置されている。すなわち、内筒10の外径は、外筒30の内径の50%超であり、80%超であることが好ましい。
【0033】
図1及び図2に示すように、外筒30の上部でかつ内筒10の外周面12と対向する位置に、開口35aを有する筒状の入口35が形成されており、この入口35の上には、粉体化対象物を貯留するホッパ40が設けられている。入口35の回転方向Aの前側においては、その内壁が接線方向とほぼ一致するように傾斜しており、粉体化対象物の外筒30内への引き込みを容易としている。また、図1に示すように、入口35の開口35aにおける回転軸5の軸方向についての長さは、外筒30の内部の軸方向長さとほぼ同一とされている。
【0034】
ホッパ40内に供給される粉体化対象物としては、特に限定されないが、異種の材料を含む複合材料、たとえば、塩ビ等の樹脂層と裏打ち紙(パルプ繊維層)とを張り合わせた樹脂壁紙や、塩ビ等の樹脂層とナイロンやポリエステル製の繊維層とを張り合わせた、又は、樹脂層間に繊維層を挟み込んだ、又は、繊維層に樹脂を含浸させた、タイルカーペット、防音シート、防水シート、工事用安全ネット等の複合樹脂材料が挙げられる。特に、繊維と樹脂層とを含む複合材料が好ましい。さらに、トナー印刷済みの紙等を粉体化することもできる。また、単一組成の材料を粉体化することもできる。また、医薬品、食品等の原料、例えば、乾燥した昆布、きのこ等を粉体化することもできる。
【0035】
ここで、ホッパ40内に供給される粉体化対象物は、事前に100mm以下、好ましくは10mm以下に粗破砕されていることが好ましい。なお、対象物の形状は特に限定されず、粒状でもよく、チップ上、シート状でもよい。また、対象物は含水していてもよい。
【0036】
図1に示すように、外筒30の円板31には、内筒10の円板11に対向する開口36aを有した側面出口36が、軸方向の両側に設けられている。各側面出口36は、ラインL2を介してバグフィルタ等の集塵器70及び外筒30からガスを吸い出すブロア75に接続されている。
【0037】
図2に示すように、外筒30の周面における下部かつ内筒10の外周面12と対向する位置には開口37aを有する筒状の出口37が形成されている。出口37内において、開口37aには、開口37aを開閉可能な開閉弁37bが設けられている。この開閉弁37bは、外筒30の下端に取り付けられた軸37cにより、揺動自在に外筒30に固定されており、図示しないアクチュエータにより、図2の実線のように、開口37aを塞ぐ閉状態と、図2の2点鎖線のように、開口を開く開状態とを切り替え可能となっている。出口37には、ラインL3を介して、バグフィルタ等の集塵器71、ブロア76が接続されている。
【0038】
外筒30の周面における側部かつ内筒10の外周面12と対向する位置には、開口38aを有する周面出口38が設けられている。開口38aには、外筒30の内周面32に沿って、水平方向に伸びる複数のサポート79によって、外側から支持された網78が張られている。網の目開きは特に限定されないが、例えば、粉体されていない粉体化対象物の通過を抑制し、十分に粉体化された粉体化物の通過を可能とすべく、100〜1000μmが好ましい。周面出口38には、ラインL4を介して、バグフィルタ等の集塵器72、ブロア77が接続されている。なお、網78に代えて、スリット板でも構わない。
【0039】
続いて、本実施形態にかかる粉体化装置1を用いた粉体化方法について説明する。
【0040】
まず、回転軸5を回転させる。ここでは、上述のように打撃部材50の先端の周速が上述の所定の速度となるようにする。続いて、ブロア75及びブロア77を駆動し、外筒30内からガスを吸引し排気する。開閉弁37bは、開口37を閉じる閉状態とする。
【0041】
これにより、ホッパ40を介して空気等のガスが開口35aを介して外筒30内に供給され、このガスの流れに同伴されて、ホッパ内の粉体化対象物が開口35aからの外筒30内に供給される。続いて、粉体化対象物は高速回転する打撃部材50によって外筒30内を回転され、遠心力によって外筒30の内面上を回転運動する。このとき、粉体化対象物は打撃部材50との衝突や外筒30の内壁との衝突や摩擦、あるいは、粉体化対象物同士の衝突や摩擦等により迅速に粉体化される。
【0042】
特に、本実施形態によれば、内筒10を回転させて粉体化対象物を粉体化する際に、内筒10の軸方向両端が円板11により閉じられかつ内筒10の外周面12が中心軸Xから離れて外筒30の内周面32に近い位置に配置されている。したがって、外筒30内における粉体化対象物及び粉体化物が存在しうる空間V(図2参照)の容積を、外筒30の内径がたとえ同じであっても従来に比して極めて薄く小さく、しかも、この空間Vを、外筒30内において、回転半径方向の内側部分よりも打撃部材50の周速が速くなる回転半径方向の外側の部分のみとすることができる。したがって、この空間に粉体化対象物や粉体化物が高濃度で存在することとなって、高速に回転する打撃部材により極めて効率よく粉体化対象物の粉体化が行える。また、粉体化対象物が繊維等を含む場合であっても、低速で回転する半径方向内側の部分に繊維等が入り込むことも無いのでここに繊維等が絡むこともない。
【0043】
また、外筒30内からガスを吸引することによりこのガスに同伴させて粉体化物を外部に排出させる際に、外筒30内のガスが流通しうる空間Vの容積を少なくすることにより、効率のよい吸排気が可能となり、粉体化対象物の供給及び粉体化物の排出がスムーズに行え、粉体化処理量の増加が可能となる。
【0044】
さらに、打撃部材50の長さを十分に短くでき、空気抵抗が低減して内筒10の高速回転に必要な電力が削減される。
【0045】
このようにして粉体化された粉体化物は、側面出口36及び周面出口38からガスに同伴されて排出され、バグフィルタ等の集塵器70、72に回収される。
【0046】
さらに、本実施形態では、外筒30における内筒10の外周面12と対向する位置に、外筒30内に粉体化対象物を供給する入口35をさらに備えているので、極めて薄く小さくされた、粉体化対象物及び粉体化物が存在しうる空間Vに、きわめて効率よく粉体化対象物を供給することができる。特に、打撃部材50の先端部の周速が120m/s以上では、軸方向側からの粉体化対象物の供給は、風によるカーテン効果により事実上不可能である。
【0047】
また、図1に示すように、外筒30の軸方向両端が円板31により閉じられており、外筒30の円板31における内筒10の円板11と対向する部分に、外筒30内から粉体化物をガスと共に排出させる側面出口36が設けられている。そして、複合材料を粉体化した際には、これを粉体化してなる軽質粉及び重質粉からなる粉体化物の内の軽質粉が遠心分離作用により回転半径方向内側、すなわち、外筒30の円板31と、内筒10の円板11との間に偏析するので、この側面出口36から軽質粉を選択的に排出させることができる。また、単一材料を粉体化した際にも、半径方向内側に偏析するものは、粉体化されていない粉体化対象物では無く、粒径の小さくなった粉体化物であるので、粉体化物を効率よく排出させることができる。
【0048】
また、図2に示すように、外筒30における内筒10の外周面12と対向する位置に、外筒30内から粉体化物をガスと共に排出させる周面出口38が設けられ、周面出口38には網78が設けられている。したがって、複合材料を粉体化した際には、軽質粉及び重質粉からなる粉体化物の内の重質粉が遠心分離作用により回転半径方向外側に偏析し、網78により粒径の大きな粉体化対象物を除外しつつ、粉体化物の内の重質粉を選択的に外部に排出させることができる。したがって、集塵器72には、主として重質粉が捕集される。また、単一材料を粉体化した際にも、網78により粒径の大きな粉体化対象物を除外しつつ、粉体化物を選択的に排出させることができる。
【0049】
さらに、外筒30における内筒10の周面と対向する位置に、外筒30内の蓄積物を外部に排出させる開閉弁37bが設けられている。例えば、粉体化対象物が繊維を含んでいる場合等には、粉体化を長時間行っていると繊維の塊等の大きな蓄積物が外筒30内に形成される場合がある。このような塊は、側面出口36や周面出口38から排出させることは困難である。そこで開閉弁37bを、間歇的に開放すると共にブロア76を駆動ことによって、必要に応じてこのような蓄積物を容易に外部に排出させ、集塵器71に捕集することができる。
【0050】
さらに、このような粉体化装置1は、打撃部材50の先端の周速が100m/s以上となると、それ未満の周速に比べて、粉体化対象物の100μm以下への粉体化がきわめて迅速かつ容易になされる。100m/s未満では、100μm以下への粉体化は困難である。そして、このような高速回転により、異なる材質を複合した複合材料を100μm以下に粉体化した場合には、各材質ごと、例えば、樹脂粉と繊維とに物理的に分離することができる。また、対象物が、紙、繊維等の繊維材料を含む場合には、外筒30内において繊維の解きほぐしもなされる。また、単一材料からなる粉体化対象物であっても、同様の効果がある。このように、打撃部材50の先端の周速を100m/s以上にすることの効果は、本発明者等が新しく見出した知見である。
【0051】
この様にして粉体化された重質粉、例えば、塩ビ樹脂粉は、再生塩ビコンパウンド等の再生塩ビ材料として好適に利用でき、また、軽質粉も、例えば、パルプはフリース壁紙の材料や、土壌改良剤等として、繊維は、再生樹脂原料としてそれぞれ利用できる。
【0052】
特に複合樹脂廃材、たとえば、塩ビ壁紙(塩ビ樹脂及び可塑剤約40wt%、充填材約20wt%、裏打ち紙約40wt%)において、年間総排出量約10万トンのうち再資源化されているのはわずか1000トンであり、建設系廃棄物の中でももっとも再資源化が困難なものである。しかしながら、上述の装置及び方法によれば、100μm以下程度まで微粉化が行われ、塩ビ樹脂+可塑剤+充填剤からなる樹脂コンパウンド粉と繊維粉とに分離された粉を得ることができる。また、遠心力によって、重質粉(例えば、塩ビ樹脂+可塑剤+充填剤からなる樹脂コンパウンド粉)と、軽質粉(裏打ち紙由来のパルプ)とに分離されるので、再利用も容易となる。
【0053】
また、トナー印刷済みの紙を粉体化すると、パルプとトナーとに、乾式において離解することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、さまざまな変形態様が可能である。
【0055】
例えば、粉体化装置1の回転軸5は水平方向に配置されなくても良く、例えば、30°程度傾斜していても良く、鉛直方向に配置されていてもよい。また、外筒30は、テーパ形状であっても良い。
【0056】
また、打撃部材50を固定するロッド14も、窪み部15内に配置されていなくてもよく、例えば、窪み部15が形成されていない場合には、ロッド14が内筒10の表面から突出するように設けられていてもよい。また、ロッド14を介さずに、打撃部材50が直接内筒10の外表面に溶接等により固定されていても実施は可能である。
【0057】
また、打撃部材としては、図4の(b)のような矩形板形状でなくても構わず、例えば、図4の(c)のように先端の幅が細くなったものでも構わず、例えば、回転方向側の端面に刃が形成されたものでもよい。
【0058】
また、外筒30内に静電気除去用のイオンを供給することも可能である。また、外筒30の内周面にはセラミックコーティングを行っても良く、凹凸をつけても良い。また図5の(a)に示すように、金属等の板80bの表面に多数の突起80aを設けた突起板80を、外筒30の内面32に沿って配置してもよい。この場合、突起80aとの衝突により、粉体化対象物の粉体化がより効率よく行われる。
【0059】
また、図2の周面出口38の機能を、出口37に合体させた図6の(a),(b)のような態様も可能である。すなわち、図6においては、出口37における、外筒30の開口37aを覆う筒状の出口37は、開口37aをはさんで互いに対向する方向に開口する2つの開口37e,37fを有している。開口37eは、外筒30の開口37aにおける打撃部材50の回転方向の前側に開口しており、開口37fは、その後ろ側に開口している。
【0060】
また、開閉弁37bは、閉状態のときに、板の代わりに網78で開口37aを覆うようにされている。そして、図6の(a)のように、開閉弁37bが閉状態のときには、開口37fが図示しないブロア等により吸引され、網78を通過した粉体化物が選択的に外筒30から排出される。一方、開閉弁37bが、開状態のときには、図6の(b)のように、開口37eが図示しないブロア等により吸引され、外筒30内に蓄積した繊維の塊等が、開口37aから排出される。
【0061】
また、図1における、入口35の開口35aの回転軸5の軸方向の長さは、特に制限されず、例えば、図7に示すように、外筒30の内部の軸方向長さより狭くてもよい。いずれにしても、開口35aが内筒10の外周面12と対向していることが好ましい。これにより、吸引された粉体化対象物が効率よく引き込まれ、打撃部材50によって粉体化される。
【0062】
また、周面出口38は、図8に示すように、複数、例えば、回転軸5をはさんで左右一対設けても構わない。
【0063】
また、図9に示すように、1つの回転軸5に対して、内筒10及び外筒30の組み合わせを複数設けてもよい。
【0064】
さらに、上記実施形態では、出口からブロア等によりガスを吸引することにより、入口35からガスを外筒30内に供給しているが、ブロアやコンプレッサでホッパ40を介して入口35から外筒30内にガスを供給してもよい。
【0065】
さらに、上記実施形態では、内筒10は複数の円筒部13により形成されているが、1つの円筒部13から形成されていてもよい。
【0066】
さらに、外筒30内に水を添加するノズルを外筒30に設けてもよい。これにより、静電気の発生を抑制でき、防爆性能を高めることができる。また、得られる粉体化物の発塵も抑制でき、ハンドリング性がよい。
【0067】
(第二実施形態)
続いて、特に、シュレッダー処理がなされた、或いは、10〜30mm角程度に細片化処理された紙の粉体化処理に特に好適な処理システム200について図10を参照して説明する。
【0068】
処理システム200は、第一実施形態にて説明したのとほぼ同様の粉体化装置1を備えている。この粉体化装置1は、ホッパ40を有しておらず、入口35は、ラインL10を介して、シュレッダー等により細片化された紙片100を貯留する容器102内に挿入されている。
【0069】
紙片100の大きさは特に限定されないが、例えば、紙片の幅は例えば、2〜10mmである。
【0070】
この粉体化装置1の周面出口38に接続されたラインL4及び図示しない側面出口36に接続されたラインL2は、いずれもバグフィルタ(捕集装置)70に接続されている。また、粉塵爆発等を防止するために、外筒30には、外筒30内に水をミスト等として添加する水添加ノズル105が設けられている。添加量は、5〜10重量%程度とすることが好ましい。
【0071】
バグフィルタ70は、筒状の容器70aを備え、容器70aの内部に濾布70bが張られている。容器70aの下部は先細りのホッパ70eとされている。容器70aにおける濾布70bよりも下部に設けられたフランジ70cに対して、ラインL2及びラインL4が接続されている。また、濾布70bを通過したガスは、容器70aにおける濾布70bよりも上部に設けられたフランジ70dを介して、ブロア75に接続されている。また、容器70aの上部には、逆洗用のパルス状の圧縮空気を間歇的に供給する逆洗器70gが接続されている。ホッパ70eの下部には、ホッパ内に捕集された粉体化物を送り出すロータリーバルブ70fが設けられている。
【0072】
さらに、ホッパ70eの下端には、粉体圧縮用の圧縮機(圧縮装置)120が設けられている。圧縮機120は、上部がホッパ70eと連通し、ホッパ70eからの粉体を受け入れると共に、水平方向に伸びているシリンダ122、シリンダ122の開口の一端から送入されるピストン124、及び、ピストン124をシリンダ122の軸方向に沿って押圧するプレス部126、シリンダ122内の粉体化物に対して水をミスト等として供給する水ノズル128、シリンダ122のプレス部126とは反対側の端部を閉じることができる蓋部材130、蓋部材130をシリンダ122の軸方向に押圧し及びシリンダ122から離れる方向に後退させたりする蓋部材駆動部132、シリンダ122の端部で固形化物をカットするカッタ134を備える。
【0073】
この圧縮機120は、図10の(a)に示すようにシリンダ122内に粉体化物がある程度蓄積されると、この粉体化物に対して水を添加して粉体化物に付着力を生じさせ、続いて、図10の(b)に示すように、蓋部材130によりシリンダ122の端部(図10の左側)をふさいだ状態で、ピストン124を押し込むことによって、粉体化物の圧縮された固形化物Qを形成する。そして、図10の(c)に示すように、さらに、同様の操作を行って、固形化物Qを大きくした後、図10の(d)に示すように、蓋部材130をすこし後退させて固形化物Qの一部をシリンダ122から突出させ、さらに、図10の(e)に示すように、更に水を添加した粉体化物の固形化を進め、その後、固形化物を更に押し出して所定の押出長さとする。その後、固形化物Qを、シリンダ122の端面でカッタ134によりカットする(図10(f)参照)。なお、水の添加量は、固形化物Qの水分濃度が10〜15重量%程度となるようにすることが好ましい。特に、紙を粉体化したパルプを主として含む粉体化物は、水の添加により、水素結合により比較的大きな付着力が生じ、保形性のよいレンガ状の固形化物が得られる。
【0074】
このようにして得られた固形化物は、発塵せずにハンドリング性に優れ、また、密度も高くなって輸送コストの低減もできる。さらに、粉体化装置1において、打撃部材50の先端の周速を100m/s以上とした場合には、紙がファイバー状にまで、叩解、或いは、ほぐされるため、トナーとパルプとが物理的に離解される。そして、このようなパルプ及びトナーの混合物は、その後の湿式法による公知の脱墨工程が、極めて迅速に軽負荷で行える。
【0075】
なお、本実施形態では、集塵器としてバグフィルタを採用しているが、これ以外でもよく、たとえば、サイクロン等でも構わない。
【実施例】
【0076】
(実施例A1)
図1に示す装置により1000kgの塩ビ壁紙(塩ビ樹脂及び可塑剤及び充填材からなる樹脂コンパウンド約60wt%、裏打ち紙約40wt%)を粉体化した。打撃部材の先端の周速は150m/sとした。外筒30の内径は500mm、内筒10の外径は392mmとし、内筒10の軸方向長さは33mm×3とした。また、打撃部材50の長さは60mmとし、108個取り付けた。
【0077】
その結果、塩ビ壁紙は50〜500μm程度にまで粉体化がなされた。集塵器72に回収された粉体は550kgであり、その組成は塩ビ樹脂+可塑剤+充填材からなる樹脂コンパウンド粉が90wt%、パルプが10wt%であった。集塵器70に回収された粉体は450kgであり、その組成は塩ビ樹脂+可塑剤+充填材からなる樹脂コンパウンド粉が20wt%、パルプが80wt%であった。これらパルプと塩ビ樹脂コンパウンド粉とは既に機械的に分離されており、篩等を利用したさらなる精密分離と分級処理により樹脂コンパウンド粉及び繊維長1〜3mmのパルプファイバを99.5%以上の分離度で得ることができた。樹脂コンパウンド粉全体における100μm以下の粒子の重量割合は約50%であった。
【0078】
(実施例A2)
打撃部材の先端の周速を120m/sとした。樹脂コンパウンド粉及び繊維長1〜3mmのパルプファイバを98%以上の分離度で得ることができた。樹脂コンパウンド粉の100μm以下の粒子の重量割合は40%であった。
【0079】
(実施例A3)
打撃部材の先端の周速を100m/sとした。樹脂コンパウンド粉及び繊維長1〜3mmのパルプフィラメントを95%以上の分離度で得ることができた。樹脂コンパウンド粉の100μm以下の粒子の重量割合は20%であった。
【0080】
(実施例A4)
打撃部材の先端の周速を80m/sとした。樹脂コンパウンド粉及び繊維長1〜3mmのパルプフィラメントを65%以上の分離度で得ることができた。樹脂コンパウンド粉の100μm以下の粒子の重量割合は10%であった。
【0081】
(実施例B1)
図1に示す装置により100kgのシュレッダー処理されたトナー印刷済みの上質紙を、叩解し、粉体化した。打撃部材の先端の周速は150m/sとした。その結果、シュレッダー処理された上質紙はパルプファイバー化され、繊維長5〜10mm、繊維径5〜10μmとなり、再生可能な形状となった。また、トナーとパルプとは離解され、トナーはパルプファイバ中に分散し、文字等の判読は全く不可能となっていた。
【0082】
(実施例B2)
打撃部材の先端の周速を100m/sとした。パルプファイバは実施例B1と同様であり、トナーは、実施例B1と同じくパルプより離解していた。これらの結果は、各種印刷装置等により作成された機密文書の安全でかつ完全な処理が極めて経済的に可能となることを示している。
【0083】
(実施例C1)
図1に示す粉体化装置により粉体化対象物を供給することなく、打撃部材50の先端の周速を変え、必要な電流値を測定した。
【0084】
(比較例C2)
図1に示す装置において、内筒10を用いる代わりに、回転軸5に対して、回転軸5を取り囲む円環状の固定部材を軸方向に複数設け、回転軸5から離れて外筒30の内周面32に近い位置に回転軸5と略平行に複数のロッドを、円環状の固定部材をそれぞれ貫通するように設け、これら複数のロッドに打撃部材50を回動可能に固定した。そして、実施例C1と同様にして、粉体化対象物を供給することなく、打撃部材50の先端の周速を変え、必要な電流値を測定した。
【0085】
(比較例C3)
図1に示す装置において、内筒10を用いる代わりに、回転軸5に対して複数のベルトを、ベルトの幅方向が軸方向と平行となるように、回転軸5の周方向及び軸方向にそれぞれ設け、各ベルトの先端に打撃部材50を設けた。そして、実施例C1と同様にして、粉体化対象物を供給することなく、打撃部材50の先端の周速を変え、必要な電流値を測定した。
【0086】
その結果を図11に示す。実施例C1では、周速度を十分高めるのに必要な電流値が十分低くなっている。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、第1実施形態に係る粉体化装置の軸方向部分断面を説明する模式図である。
【図2】図2は、図1の粉体化装置の外筒付近の軸方向に垂直な断面を説明する模式図である。
【図3】図3は、図1の粉体化装置の内筒10の斜視図である。
【図4】図4(a)は図3の内筒10のIVa−IVa矢視図、図4(b)及び(c)は、打撃部材の種々の形態を示す正面図である。
【図5】図5(a)は、外筒30の内周面32上に設けられるヤスリ状の複数の突起80aを有する板80を示す斜視図であり、図5(b)は、板80が外筒30の内周面32上に設けられた状態を示す断面図である。
【図6】図6は、外筒30の出口37の他の実施形態を示す断面図であり、(a)は開閉弁37bが閉状態である場合、(b)は開閉弁37bが買い状態である場合である。
【図7】図7は、入口35の他の実施形態を説明する粉体化装置の円筒付近の軸方向断面を説明する模式図である。
【図8】図8は、周面出口38の他の実施形態を説明する粉体化装置の外筒付近の軸方向に垂直な断面を説明する模式図である。
【図9】図9は、他の実施形態に係る粉体化装置の軸方向部分断面を説明する模式図である。
【図10】図10は、第二実施形態に係る処理システムを示す概略断面模式図である。
【図11】図11は、実施例C1、比較例C2,比較例C3のそれぞれの粉体化装置において、打撃部材の先端の周速と、必要な電力量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0088】
1…粉体化装置、10…外筒、30…内筒、38…周面出口、35…入口、36…側面出口、5…回転軸、14…ロッド、50…打撃部材、37b…開閉弁、70…バグフィルタ(捕集装置)、120…圧縮装置、200…処理システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸回りに回転される内筒と、
前記内筒と略同軸に配置されて前記内筒を取り囲む外筒と、
前記内筒の外周面上に設けられた打撃部材と、
を備え、
前記内筒の軸方向両端が閉じられ、かつ、前記内筒の外周面は、前記内筒の中心軸よりも前記外筒の内周面に近い位置に配置された粉体化装置。
【請求項2】
前記外筒における前記内筒の周面と対向する位置に、前記外筒内に粉体化対象物を供給する入口をさらに備えた請求項1記載の粉体化装置。
【請求項3】
前記外筒の軸方向両端は閉じられており、前記外筒の軸方向端でありかつ前記内筒の軸方向端と対向する部分には、前記外筒内から粉体化物をガスと共に排出させる側面出口が設けられた請求項1又は2に記載の粉体化装置。
【請求項4】
前記外筒における前記内筒の周面と対向する位置に、前記外筒内から粉体化物をガスと共に排出させる周面出口が設けられ、前記周面出口には網又はスリットが設けられた請求項1〜3の何れか一項に記載の粉体化装置。
【請求項5】
前記外筒における前記内筒の周面と対向する位置に、前記外筒内の蓄積物を外部に排出させる開閉弁が設けられた請求項1〜4の何れか一項に記載の粉体化装置。
【請求項6】
前記内筒は、前記打撃部材の先端の周速が100m/s以上となるように回転される請求項1〜5のいずれかに記載の粉体化装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの粉体化装置と、前記粉体化装置から排出されるガス及び粉体化物の混合物から粉体化物を捕集する捕集装置と、前記捕集装置により捕集された粉体化物に対して水分を添加して圧縮する圧縮装置と、を有する、処理システム。
【請求項1】
中心軸回りに回転される内筒と、
前記内筒と略同軸に配置されて前記内筒を取り囲む外筒と、
前記内筒の外周面上に設けられた打撃部材と、
を備え、
前記内筒の軸方向両端が閉じられ、かつ、前記内筒の外周面は、前記内筒の中心軸よりも前記外筒の内周面に近い位置に配置された粉体化装置。
【請求項2】
前記外筒における前記内筒の周面と対向する位置に、前記外筒内に粉体化対象物を供給する入口をさらに備えた請求項1記載の粉体化装置。
【請求項3】
前記外筒の軸方向両端は閉じられており、前記外筒の軸方向端でありかつ前記内筒の軸方向端と対向する部分には、前記外筒内から粉体化物をガスと共に排出させる側面出口が設けられた請求項1又は2に記載の粉体化装置。
【請求項4】
前記外筒における前記内筒の周面と対向する位置に、前記外筒内から粉体化物をガスと共に排出させる周面出口が設けられ、前記周面出口には網又はスリットが設けられた請求項1〜3の何れか一項に記載の粉体化装置。
【請求項5】
前記外筒における前記内筒の周面と対向する位置に、前記外筒内の蓄積物を外部に排出させる開閉弁が設けられた請求項1〜4の何れか一項に記載の粉体化装置。
【請求項6】
前記内筒は、前記打撃部材の先端の周速が100m/s以上となるように回転される請求項1〜5のいずれかに記載の粉体化装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの粉体化装置と、前記粉体化装置から排出されるガス及び粉体化物の混合物から粉体化物を捕集する捕集装置と、前記捕集装置により捕集された粉体化物に対して水分を添加して圧縮する圧縮装置と、を有する、処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−50757(P2009−50757A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217441(P2007−217441)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(502278976)アールインバーサテック株式会社 (5)
【出願人】(591275469)三喜産業株式会社 (6)
【出願人】(306016877)信和テック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(502278976)アールインバーサテック株式会社 (5)
【出願人】(591275469)三喜産業株式会社 (6)
【出願人】(306016877)信和テック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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