説明

粉末焼結積層造形装置及び粉末焼結積層造形方法

【課題】粉末材料の薄層を形成するのに常に十分な量の粉末材料を造形用容器に供給することができるようにするとともに、粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料によりその残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内が十分に広い範囲にわたり粉末材料で埋められるようにすること。
【解決手段】底板13bが上下に移動する第1の粉末材料容器12aと、底板13aが上下に移動する造形用容器11と、底板13cが上下に移動する第2の粉末材料容器12bと、第1又は第2の粉末材料容器12a、12bから粉末材料16を運び出し、造形用容器11に粉末材料16を運び入れ、造形用容器11の底板13a上に粉末材料の薄層16aを形成し、さらに粉末材料の薄層16aを形成した後の残余の粉末材料16を、第2又は第1の粉末材料容器12b、12aに表面を均しながら運び入れる粉末材料運搬手段15と、残余の粉末材料16の量を検出する手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末焼結積層造形装置及び粉末焼結積層造形方法に関し、パートテーブル上に複数の焼結薄層を積層して3次元造形物を作製する粉末焼結積層造形装置及び粉末焼結積層造形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機能試験用試作部品や少量多品種の製品に使用される部品等を造形することができる造形装置への要望が増えてきつつある。
【0003】
この要求を満たすものとして、光造形装置や粉末焼結積層造形装置などがある。なかでも、粉末焼結積層造形装置は、紫外線硬化性樹脂を使用した造形装置(以下「光造形装置」)と異なり、多種類かつ強靭な材料が使用できることが大きな特徴の一つであり、市場での認知度も向上し、さまざまな用途で使用されはじめている。
【0004】
従来市販されている粉末焼結積層造形装置は、レーザ光出射部と、造形部と、制御装置とから構成されている。図11(a)、(b)はそれぞれ、従来市販されている粉末焼結積層造形装置のうち造形部の上面図及び断面図である。なお、図11(a)、(b)において、レーザ光出射部及び制御装置は図示されていないが、レーザ光出射部は、造形部の上方に設置されている。
【0005】
レーザ光出射部においては、レーザ光の光源とレーザ光の照射方向を制御するミラーとが設けられている。
【0006】
造形部101においては、図11(a)、(b)に示すように、中央部に設置された造形用容器1と、その両側に設置された粉末材料容器2a、2bと、粉末材料容器2a、2bの各端部に設置された供給過剰粉末材料7cの収納容器3a、3bとを備えている。造形用容器1では、パートテーブル4a上に形成した粉末材料の薄層7aをレーザ光の照射により焼結させて焼結薄層7bが形成され、パートテーブル4aを下方に移動させて焼結薄層7bが順次積層され、3次元造形物が作製される。造形用容器1の上部開口面を造形領域と称する。粉末材料容器2a、2bでは、フィードテーブル4b、4c上に粉末材料7が収納され、フィードテーブル4b、4cが上方に移動して粉末材料7が供給される。粉末材料容器2a、2bの上部開口面を粉末材料収納領域と称する。
【0007】
また、粉末材料容器2a、2bの上方には収納された粉末材料7の予備加熱のため図示しない赤外線ヒータが設けられ、造形用容器1の上方には粉末材料の薄層7aの予備加熱のため図示しない赤外線ヒータが設けられている。予備加熱で粉末材料などの温度を予めその融点近くまで上昇させておき、レーザ照射により粉末材料の薄層7aの温度を素早く上昇させて粉末材料の薄層7aを均一に焼結するために行われる。
【0008】
制御装置は、パートテーブル4aを薄層一層分降下させ、左側のフィードテーブル4bを上昇させて粉末材料容器2aの表面から粉末材料7を突出させ、リコータ5によって粉末材料容器2aから粉末材料7を運び出させ、パートテーブル4a上に粉末材料7を供給させて粉末材料の薄層7aを形成させる。次いで、レーザ光及び制御ミラーによって作製すべき3次元造形物のスライスデータ(描画パターン)に基づき粉末材料の薄層7aを選択的に加熱して焼結させ、焼結薄層7bを形成させる。次に、パートテーブル4aを薄層一層分降下させ、右側のフィードテーブル4cを上昇させて粉末材料容器2bの表面から粉末材料7を突出させる。次いで、リコータ5によって粉末材料容器2bから粉末材料7を運び出させ、パートテーブル4a上の焼結薄層7bの上に粉末材料7を供給させて粉末材料の薄層7aを形成する。次に、粉末材料の薄層7aを選択的に加熱して焼結させ、焼結薄層7bを形成させる。これらの動作を繰り返させて焼結薄層7bを積層し、3次元造形物を形成させる。最後に、3次元造形物を冷却させる。
【特許文献1】特許第2620353号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の粉末焼結積層造形装置では、造形用容器1内のパートテーブル4a上に形成された粉末材料の薄層7aに選択的にレーザ光を照射し焼結すると、焼結した部分が溶融して体積が減少するため、最低でもパートテーブル4aが下がった分の体積と、焼結により減少した分の体積を補うだけの粉末材料を供給する必要がある。
【0010】
しかし、パートテーブル4aが下がった分の体積が一定であるのに対して、焼結により減少した部分の体積は、各層の焼結部の断面積や、断面位置の偏りにより一部分のみ多く減少するなど予測がしにくい。
【0011】
この場合、最悪、粉末材料7の供給不足だけは防止しなくてはならないため、常に多めに粉末材料7を供給する必要がある。しかし、造形領域が大きくて焼結領域(焼結薄層7の表面)が小さい場合には、真に必要な補給量は少なくてよいのであるが、フィードテーブル4b、4c全体が上昇するため、体積が減少していない部分にも粉末材料7が余分に供給されてしまう。このような場合、各層ごとに、過剰な粉末材料7の量が多くなり、造形用容器1から溢れる粉末材料7が生じてしまう。そこで、従来の装置では、フィードテーブル4b又は4cを降下させて粉末材料容器2a又は2b内上部に収納部を形成し、その収納部に供給過剰の粉末材料7を運び入れるとともに、図11(a)、(b)に示すような収納容器3a、3bを設け、そこにさらに供給過剰の粉末材料7cを落とし込むなどの対策を採っている。
【0012】
しかしながら、供給過剰の粉末材料7cがあまり多く生じると供給すべき粉末材料7が不足して造形物を完成できなくなる事態も生じてくる。これを防ぐため、粉末材料容器2a、2bを大きくする必要があるが、その場合装置を大きくする必要があり、好ましくない。
【0013】
一方で、多くの供給過剰が出ないように、粉末材料7の供給不足を防止するには十分であるが、少なめに粉末材料7を供給すると、上記したような収納部を形成した粉末材料容器2a、2b内に残余の粉末材料7を運び入れたとき、その収納部が半分程度しか埋まらず、凸凹が生じる。このため、予備加熱のための赤外線ヒータによる粉末材料7の加熱むらが生じてしまう。これは、造形領域における粉末材料の薄層7aの焼結に不均一を引き起こす恐れがある。
【0014】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、粉末材料の薄層を形成するのに常に十分な量の粉末材料を造形用容器に供給することができるようにするとともに、粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料によりその残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内が十分に広い範囲にわたり粉末材料で埋められるようにすることができる粉末焼結積層造形装置及びその使用方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明は、粉末焼結積層造形装置に係り、粉末材料の薄層を形成し、レーザ光を照射して前記粉末材料の薄層を焼結させ、複数の焼結薄層を積層して3次元造形物を作製する粉末焼結積層造形装置であって、底板が上下に移動する第1の粉末材料容器と、前記第1の粉末材料容器と連結部を介して連結された、底板が上下に移動する造形用容器と、前記造形用容器と連結部を介して連結された、底板が上下に移動する第2の粉末材料容器と、前記第1又は第2の粉末材料容器から粉末材料を運び出し、前記造形用容器に前記粉末材料を運び入れ、前記造形用容器の底板上に前記粉末材料の薄層を形成し、さらに前記粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、前記第2又は第1の粉末材料容器に表面を均しながら運び入れる粉末材料運搬手段と、前記残余の粉末材料の量を検出する手段とを有することを特徴とし、
本発明は、上記粉末焼結積層造形装置に係り、前記残余の粉末材料の量を検出する手段は、前記残余の粉末材料を前記第2又は第1の粉末材料容器内に表面を均しながら運び入れている間に、運搬中の前記残余の粉末材料の量が規定量より少なくなった時点の前記粉末材料運搬手段の位置又は移動距離を検出する手段であることを特徴とし、
本発明は、上記粉末焼結積層造形装置に係り、(i)前記第1の粉末材料容器の底板を上昇させて前記第1の粉末材料容器の表面よりも上に前記粉末材料を突出させ、かつ前記第2の粉末材料容器の底板を降下させるとともに、前記造形用容器の底板を降下させ、その状態で、前記粉末材料運搬手段を移動させて、前記第1の粉末材料容器から前記粉末材料を運び出し、前記造形用容器に前記粉末材料を運び入れ、前記造形用容器の底板上に前記粉末材料の薄層を形成し、さらに該粉末材料の薄層を形成した後の残余の前記粉末材料を前記第2の粉末材料容器内に運び入れ、(ii)次に、前記第2の粉末材料容器の底板を上昇させて前記第2の粉末材料容器の表面よりも上に前記粉末材料を突出させ、かつ前記第1の粉末材料容器の底板を降下させるとともに、前記造形用容器の底板を降下させ、その状態で、前記粉末材料運搬手段を移動させて、前記第2の粉末材料容器から前記粉末材料を運び出し、前記造形用容器に前記粉末材料を運び入れ、前記造形用容器の底板上に前記粉末材料の薄層を形成し、さらに該粉末材料の薄層を形成した後の残余の前記粉末材料を前記第1の粉末材料容器内に運び入れるという一連の動作を行わせる制御手段を備えたことを特徴とし、
本発明は、上記粉末焼結積層造形装置に係り、前記制御手段は、前記(ii)の動作を行わせた後、さらに前記(i)乃至(ii)の動作を繰り返させることを特徴とし、
本発明は、上記粉末焼結積層造形装置に係り、前記制御手段は、前記残余の粉末材料の量に基づいて、次に前記粉末材料を運び出す側となる粉末材料容器の底板の上昇量、又は次に前記粉末材料を運び入れる側となる粉末材料容器の底板の降下量のうちの少なくとも何れか一を調整することを特徴とし、
本発明は、粉末焼結積層造形方法に係り、上記粉末焼結積層造形装置を用いた粉末焼結積層造形方法であって、前記第1の粉末材料容器を交互に前記粉末材料を運び出す側及び運び入れる側とし、それに対応させて前記第2の粉末材料容器を交互に前記粉末材料を運び入れる側及び運び出す側とし、前記粉末材料運搬手段を移動させて前記粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、前記第2又は第1の粉末材料容器に表面を均しながら運び入れ、かつ前記残余の粉末材料の量を検出し、前記残余の粉末材料の量に基づき、次に前記粉末材料を運び出す側となる粉末材料容器の底板の上昇量、又は次に前記粉末材料を運び入れる側となる粉末材料容器の底板の降下量のうち少なくとも何れか一を調整することを特徴とし、
本発明は、粉末焼結積層造形方法に係り、上記粉末焼結積層造形装置を用いた粉末焼結積層造形方法であって、前記第1の粉末材料容器を交互に前記粉末材料を運び出す側及び運び入れる側とし、それに対応させて前記第2の粉末材料容器を交互に前記粉末材料を運び入れる側及び運び出す側とし、 前記粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内において、前記粉末材料運搬手段の移動方向に沿って、前記造形用容器側から順に不足領域、適量領域及び過剰領域に予め区分し、前記粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、前記粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内に表面を均しながら運び入れている間に、運搬中の前記残余の粉末材料の量が前記規定量より少なくなった時点の前記粉末材料運搬手段の位置又は移動距離を検出し、前記粉末材料運搬手段の位置又は移動距離が前記不足領域、適量領域及び過剰領域のうちどの領域に入るかにより、次に前記粉末材料を運び出す側となる粉末材料容器の底板の上昇量、又は次に前記粉末材料を運び入れる側となる粉末材料容器の底板の降下量のうち少なくとも何れか一を調整することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の粉末焼結積層造形装置においては、第1又は第2の粉末材料容器から粉末材料を運び出し、造形用容器に粉末材料を運び入れ、造形用容器の底板上に粉末材料の薄層を形成し、さらに粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、第2又は第1の粉末材料容器に表面を均しながら運び入れる粉末材料運搬手段と、残余の粉末材料の量を検出する手段とを備えている。
【0017】
粉末焼結積層造形装置においては、粉末材料の薄層を選択的に焼結して形成した焼結薄層を順次積層しているが、通常、連続する焼結薄層間で焼結領域の面積が大きく変化しない。このため、一の焼結薄層を形成した後、すぐ次の粉末材料の薄層を作製するための粉末材料の供給量は、一の焼結薄層を形成した時の粉末材料の供給量とほぼ同じとなり、次の供給量の調整が必要な場合、前の供給量が参考になる。特に、残余の粉末材料の量が問題になるような場合、焼結薄層の形成に必要な量はほぼ前と同じと考えられるため、一の焼結薄層を形成した時の残余の粉末材料の量に基づき、次の供給量(粉末材料を運び出す側の粉末材料容器の底板の上昇量に相当)の増減量を決めればよい。
【0018】
以上のような観点から、本発明では、残余の粉末材料の量を検出する手段、一例として、第2又は第1の粉末材料容器内で運搬中の残余の粉末材料の量が規定量より少なくなった時点の粉末材料運搬手段の位置又は移動距離を検出する手段を備えている。この場合、大よそ、第2又は第1の粉末材料容器内で運搬中の残余の粉末材料の量が規定量より少なくなった時点の粉末材料運搬手段の位置で粉末材料の供給が途絶え、表面の凹凸が生じると考えてもよい。また、残余の粉末材料を運び入れた側の粉末材料容器内での粉末材料運搬手段の移動距離と、同じ粉末材料容器の底板の降下量とを掛け合わせれば、ほぼ残余の粉末材料の量となる。即ち、残余の粉末材料の量と、底板の降下量と、粉末材料運搬手段の移動距離とのうち何れか2つが決まれば、他の一つを算出することができる。
【0019】
したがって、上記装置構成で、以下のような粉末材料の供給量の調整方法を採ることができる。即ち、残余の粉末材料によって第2又は第1の粉末材料容器内で十分に広い範囲が埋め尽くされた後に凹凸が生じたのであれば、粉末材料の供給量は適量であり、前の粉末材料の供給量、及び残余の粉末材料を運び入れた側の粉末材料容器の底板の降下量と同じでよい。一方、その範囲が狭いときには、粉末材料の供給量は不足しており、残余の粉末材料の量を基にして次にどれ位粉末材料の供給量を増やせばよいか、或いは残余の粉末材料を運び入れた側の粉末材料容器の底板の降下量を基にして次にどれ位降下量を減らせばよいかを検討することになるが、それらは容易に見当がつく。また、粉末材料の供給量が過剰な場合には、逆に、次にどれ位その供給量を減らせばよいか、或いは次にどれ位底板の降下量を増やせばよいかを検討することになるが、同じくそれらも容易に見当がつく。
【0020】
また、上記装置構成で、以下のように、より簡便な方法を採ることもできる。即ち、粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内において、粉末材料運搬手段の移動方向に沿って、造形用容器側から順に不足領域、適量領域及び過剰領域に予め区分し、かつこの領域にそれぞれ対応させて次の粉末材料の供給量に関し、前の供給量に対して増減すべき量、或いは次に粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器の底板の降下量に関し、前の底板の降下量に対して増減すべき量を予め決めておけば、その粉末材料容器内で、残余の粉末材料の運搬量が規定量より少なくなった時点の粉末材料運搬手段の位置又は移動距離がどの領域に入るかを検出することにより、容易に次の粉末材料の供給量(次に粉末材料を運び出す側の粉末材料容器の底板の上昇量に相当)、或いは次に粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器の底板の降下量のうち少なくとも何れか一を決めることができる。
【0021】
以上のように、本発明によれば、粉末材料の薄層を形成するのに常に十分な量の粉末材料を造形用容器に供給することができるようにするとともに、粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料によりその残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内が十分に広い範囲にわたり粉末材料で埋められるようにすることができる。
【0022】
これにより、粉末材料容器内の粉末材料を均一に予備加熱することができ、これにより造形領域において粉末材料の薄層の温度を均一に保ち、ひいては粉末材料の薄層を均一に焼結することができる。これにより、熱応力の発生を抑制することができるため、精度のよい造形物を作製することができる。
【0023】
さらに、制御手段に、粉末材料運搬手段の制御、粉末材料運搬手段の位置情報に基づく各粉末材料容器の底板の上昇量又は降下量の制御、レーザ光源の照射制御などを行わせるようにすることで、本発明の粉末焼結積層造形方法に必要な動作を自動的に行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
(粉末焼結積層造形装置の説明)
本発明の実施の形態に係る粉末焼結積層造形装置は、レーザ光出射部と、造形部111と、制御装置112とから構成されている。
【0026】
図1(a)は、本発明の実施の形態に係る粉末焼結積層造形装置のうち造形部111の構成を示す上面図である。図1(b)は、同じく図1(a)のI−I線に沿う断面図である。
【0027】
図2(a)は、本発明の実施の形態に係る粉末焼結積層造形装置を横方向から見た造形部111の構成を示す側面図である。図2(b)は、同じく前から見た正面図である。
【0028】
発明の実施の形態に係る粉末焼結積層造形装置において、図1(a)、(b)には示していないが、レーザ光出射部はその造形部111の造形用容器11の上方に配置され、下記のような機能を有する。以下に、各部の詳細について説明する。
【0029】
(a)レーザ光出射部の構成
まず、レーザ光出射部の構成について説明する。
【0030】
レーザ光出射部においては、レーザ光の光源とレーザ光の照射方向を制御するミラーとが設けられている。光源から出射したレーザ光はコンピュータによるミラー制御により、造形部111のパートテーブル13a上の粉末材料の薄層16aに選択的に照射されるようになっている。例えば、作製すべき3次元造形物のスライスデータ(描画パターン)に基づき、コンピュータによるミラー制御が行われる。
【0031】
(b)造形部111の構成
次に、造形部111の構成について説明する。
【0032】
造形部111においては、図1(a)、(b)に示すように、3次元造形物が作製される四角い筒状の造形用容器11と、その両側に設置された四角い筒状の第1及び第2の粉末材料容器12a、12bとを備えている。
【0033】
造形用容器11では、パートテーブル(底板)13a上で、粉末材料の薄層16aが形成され、粉末材料の薄層16aをレーザ光の照射により焼結させて焼結薄層7bが形成される。そして、パートテーブル13を下方に移動させて焼結薄層16bを順次積層し、3次元造形物が作製される。第1及び第2の粉末材料容器12a、12bでは、フィードテーブル(底板)13b又は13c上に粉末材料16が収納され、フィードテーブル(底板)13b、13cを上方に移動させて粉末材料7が供給され、かつフィードテーブル13c、13bを下方に移動させて粉末材料の薄層16aを形成した後の残余の粉末材料16が運び入れられる。造形用容器11の内壁に囲まれた上部開口面を造形領域と称し、第1及び第2の粉末材料容器12a、12bの内壁に囲まれた上部開口面を第1及び第2の粉末材料収納領域と称する。
【0034】
また、第1の粉末材料容器12aと造形用容器11の間は連結部17aによって連結され、造形用容器11と第2の粉末材料容器12bの間は連結部17bによって連結されている。連結部17a、17bの上面を連結領域と称する。第1の粉末材料容器12aの左側、及び第2の粉末材料容器12bの右側にそれぞれフランジ部17を有し、第1の粉末材料容器12a、連結部17a、造形用容器11、連結部17b及び第2の粉末材料容器12bの全領域に渡って、手前及び奥にフランジ部17を有する。
【0035】
造形用容器11内には、内壁に沿って昇降可能なパートテーブル13aが設置されている。パートテーブル13a上で、順次粉末材料の薄層16aが形成され、粉末材料の薄層16aごとに加熱され、焼結される。また、第1及び第2の粉末材料容器12a、12b内には、容器12a、12b内壁に沿って昇降し、粉末材料16を供給する第1及び第2のフィードテーブル13b、13cがそれぞれ設置されている。
【0036】
なお、図示してはいないが、パートテーブル13aを造形用容器11内にセットしたときに、パートテーブル13aと容器11内壁との間で隙間が生じて粉末材料16aが漏れることがないように、パートテーブル13aと容器11内壁との間の密着性を保つためパートテーブル13aの側面全体にわたってパッキング用のゴムなどが取り付けられている。
【0037】
また、第1及び第2のフィードテーブル13b、13cに関しても、パートテーブル13aと同様に、図示してはいないが、テーブル13b、13cを粉末材料容器12a、12b内にセットしたときに、テーブル13b、13cと収納容器12a、12b内壁との間で隙間が生じて粉末材料16が漏れることがないように、テーブル13b、13cと収納容器12a、12b内壁との間の密着性を保つためテーブル13b、13cの側面全体にわたってパッキング用のゴムなどが取り付けられている。
【0038】
パートテーブル13a、及び、第1及び第2のフィードテーブル13b、13cには、該テーブルを上下移動させる図示しない駆動装置が接続されている。
【0039】
パートテーブル13aは、造形用容器11への取り付け、取り外しが自在になっている。また、第1及び第2のフィードテーブル13b、13cは、第1及び第2の粉末材料容器12a、12bへの取り付け、取り外しが自在になっている。
【0040】
更に、第1の粉末材料収納領域、連結領域、造形領域、連結領域及び第2の粉末材料収納領域の全領域に渡って領域表面に沿って移動するリコータ(粉末材料運搬手段)15が設けられている。
【0041】
リコータ15は粉末材料容器12a又は12b表面に突出させた粉末材料16を掻き取り運搬する運搬機構15aを備えている。図1(a)、(b)に示すように、リコータ15は、粉末材料容器12a又は12b表面に沿い、かつ粉末材料容器12a又は12b表面に接触して移動することにより、第1又は第2のフィードテーブル13b又は13c上に収納された粉末材料16を運び出してパートテーブル13a上に供給し、かつ粉末材料16の表面を均してパートテーブル13a上に粉末材料の薄層16aを形成する。さらに、粉末材料の薄層16aを形成した後の残余の粉末材料16を、第2又は第1の粉末材料容器12b又は12a内に表面を均しながら運び入れる。粉末材料16の供給量は第1又は第2のフィードテーブル13b又は13cの上昇量で決まり、粉末材料の薄層16aの厚さはパートテーブル13aの降下量で決まる。
【0042】
粉末材料16として、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、アクリルにトリル・ブタジエン・スチレンコポリマ(ABS)、エチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA)、スチレン・アクリロニトリルコポリマー(SAN)、及びポリカプロラクトンよりなる群から選ばれた少なくとも1種、または、金属粉末などを用いることができる。
【0043】
(c)リコータ15の詳細な構成及び機能
リコータ15は、図1(a)、(b)に示すように、垂直な運搬板15aの前後2箇所に、かつ下端から適当な間隔を置いて水平に保持された検知板15dを備えている。検知板15dは、運搬板15aの上端に取り付けられて前後に水平に張り出した第1の支持板15bの前後端2箇所において垂直に取り付けられた第2の支持板15cの下端に水平に保持されており、保持箇所が支点となって水平の位置から支点を中心に上側に回動する。リコータ15は、さらに、図示しないセンサスイッチを備え、検知板15dが水平の位置から少しでも持ち上げられると、センサスイッチがオンするようになっている。センサスイッチは、例えば、第1の支持板15b又は第2の支持板15cに取り付けられ、検知板15d又は検知板15dに取り付けられた部品の動きを検知して動作するようになっている。
【0044】
また、リコータ15は、粉末材料16が運び入れられる側の粉末材料容器12a又は12b内で、造形用容器11側からリコータ15の移動方向に沿ってリコータ15の位置或いは移動距離を検出する図示しないセンサを備えている。センサとして、リコータ15の移動に同期して発生させたパルスを検出する手段などが用いられる。例えば、リコータ15を移動制御するサーボモータの回転に応じてパルス列を発生させ、パルス数を検出することにより、リコータ15の位置或いは移動距離を検出する。
【0045】
以上のような構成のリコータ15により、第1又は第2の粉末材料容器12a又は12b内に残余の粉末材料を運び入れているときに運搬中の粉末材料の量が規定量より少なくなった時点のリコータ15の位置又は移動距離を検出することができる。さらに、第1又は第2の粉末材料容器12a又は12b内で第1又は第2のフィードテーブル13b又は13cの降下量がわかれば、その降下量に上記リコータ15の移動距離を掛ければ、粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料の大よその量を算出することができる。
【0046】
(i)リコータ15を用いた残余の粉末材料の一の検出方法
次に、図3(a)〜(c)を参照して、上記リコータ15を用いた残余の粉末材料の一の検出方法について説明する。図3(a)〜(c)は、図1の粉末焼結積層造形装置において、それぞれ残余の粉末材料の量が異なっている場合に、リコータ15を移動させて粉末材料容器12bに残余の粉末材料を運び入れている様子を示す側面図である。
【0047】
粉末材料の薄層が形成された直後には運搬板15aの進行方向前側に十分な粉末材料16が残り、センサスイッチがオンしているとする。また、残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器12b内で、フィードテーブル13cを所定の降下量だけ下方に移動させて、粉末材料容器12b内の上部に残余の粉末材料16を運び入れるための収納部12cが空けられている。
【0048】
このような状態で、リコータ15が粉末材料容器12b表面を移動して粉末材料16表面を均しながら粉末材料容器12b内に粉末材料16を運び入れていく。そして、リコータ15の移動につれて運搬中の粉末材料16が次第に少なくなり、検知板15dが次第に水平に近づいてくる。そして、検知板15dが完全に水平になるとセンサスイッチがオフする。このときのリコータ15の位置又は移動距離が検出される。
【0049】
検出されたリコータ15の位置又は移動距離に基づき、粉末材料16が十分に広い範囲を埋めていないと判断され、したがってリコータ15の移動距離(図3の(a)のP1位置で示される。)が不足していると判断されると、次に残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器12a内で残余の粉末材料16が十分に広い範囲を埋めることができるように、次の粉末材料の供給量(次に粉末材料を運び出す側の粉末材料容器12bのフィードテーブル13cの上昇量に相当)の増加量、或いは次に残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器12aのフィードテーブル13bの降下量の低減量の何れか一が、又は両方が計算される。計算方法は以下の通り。
【0050】
すなわち、残余の粉末材料を運び入れた側の粉末材料容器のフィードテーブルの降下量と、同じ粉末材料容器内でのリコータ15の移動距離とを掛け合わせたものが大よそ残余の粉末材料16の量であるという関係にある。また、次の粉末材料の薄層の形成に必要な粉末材料の量は前の粉末材料の薄層の形成に必要な粉末材料の量とほぼ同じである。これにより、次の粉末材料の供給量の増加量は残余の粉末材料の増加量と同じになり、したがって、必要なリコータ15の移動距離の増加量を設定すれば、フィードテーブル13bの降下量を前と同じとすると、対応する次の粉末材料の供給量の増加量を計算できる。また、次の粉末材料の供給量が前の粉末材料の供給量と同じとすると、次の残余の粉末材料の量は前の残余の粉末材料の量とほぼ同じになり、従って、必要なリコータ15の移動距離の増加量を設定すれば、フィードテーブル13bの降下量の低減量を計算できる。また、必要なリコータ15の移動距離の増加量を設定すれば、粉末材料の供給量の増加量と、フィードテーブル13bの降下量の低減量との両方を考慮して、それらが適当な割合になるように計算できる。
【0051】
また、粉末材料16が十分に広い範囲を埋めていると判断され、したがってリコータ15の移動距離(図3の(b)のP2位置で示される。)が適当であると判断されると、次も前と同じ量の粉末材料を供給するよう、及び次に粉末材料を運び入れる側のテーブル13bの降下量が前と同じになるよう指示される。
【0052】
また、粉末材料16が過剰と判断され、したがってリコータ15の移動距離(図3の(c)のP3位置で示される。)が行き過ぎていると判断されると、次の供給量の低減量或いは次に粉末材料を運び入れる側のテーブル13bの降下量の増加量の何れか一が、又はそれらの両方が計算される。
【0053】
即ち、上記リコータ15の移動距離が不足している場合と同じようにして、適切な量だけリコータ15の移動距離を短くするための、粉末材料の供給量の低減量、或いはフィードテーブル13bの降下量の増加量のいずれか一を計算でき、又は粉末材料の供給量の低減量及びフィードテーブル13bの降下量の増加量の両方を考慮して、それらが適当な割合になるように計算できる。
【0054】
このように、上記方法では現在のリコータ15の移動距離から、比較的精密に、次のリコータ15の移動距離を調整できる。
【0055】
(ii)リコータ15を用いた残余の粉末材料の他の検出方法
次に、図4(a)乃至(c)、図5(a)乃至(c)、図6(a)乃至(c)を参照して、リコータ15を用いた残余の粉末材料の他の検出方法について説明する。図4(a)乃至(c)、図5(a)乃至(c)、図6(a)乃至(c)は、図1の粉末焼結積層造形装置において、それぞれ残余の粉末材料の量が異なっている場合に、リコータ15を移動させて残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器12bに粉末材料を運び入れている様子を示す側面図である。
【0056】
まず、残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器12b内において、リコータ15の移動方向に沿って、造形用容器11側から順に不足領域(左端〜Aまで)、適量領域(A〜Bまで)及び過剰領域(B〜右端まで)に予め区分する。この場合、リコータ15の位置或いは移動距離を検出する上述のセンサを用いてもよいが、リコータ15の位置或いは移動距離を直接検出せずに、リコータ15がどの領域にあるのかを特定するためのセンサを各領域ごとに設置してもよい。例えば、各領域の境界に信号源を設置し、リコータ15が移動する間にリコータ15が信号源からの信号を幾つ検出したかでリコータ15がどの領域にあるのかを特定することができる。
【0057】
そして、これらの領域に対応させて次の粉末材料の供給量に関し、前の供給量に対して増加すべき量、同じ量、低減すべき量を予め決めておく。或いは、これらの領域に対応させて次に残余の粉末材料を運び入れる側のテーブル13bの降下量に関し、前のテーブル13cの降下量に対して増加すべき量、同じ量、低減すべき量を予め決めておく。
【0058】
また、粉末材料の薄層が形成された直後にはリコータ15の運搬板15aの進行方向前側に十分な量の粉末材料16が残り、センサスイッチがオンしているとする。さらに、残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器12b内で、フィードテーブル13cを所定の降下量だけ下方に移動させて、粉末材料容器12b上部に収納部12cを空けている。
【0059】
このような状態で、リコータ15が粉末材料容器12b表面を移動して粉末材料16表面を均しながら粉末材料容器12b内に粉末材料16を運び入れていく。
【0060】
図4(a)〜(c)に示す場合、位置Aではリコータ15のセンサスイッチがオンし、位置Bでオフしているので、検出されたリコータ15の位置は適量領域に該当し、粉末材料16が十分に広い範囲を埋めていると判断される。この場合、次の粉末材料の供給量に関しては現供給量と前と同じ量とし、かつ次に残余の粉末材料を運び入れる側のテーブル13bの降下量を前と同じとする。
【0061】
図5(a)〜(c)に示す場合、位置Aでも位置Bでもリコータ15のセンサスイッチがオンしているので、検出されたリコータ15の位置は過剰領域に該当し、粉末材料16の量が過剰と判断される。したがって、次には、粉末材料16を現供給量に対して予め決められた量だけ低減させるか、或いは次に粉末材料を運び入れる側のテーブル13bの降下量を予め決められた量だけ増加させるかの少なくともいずれか一を採る。
【0062】
図6(a)〜(c)に示す場合、位置Aで、すでにリコータ15のセンサスイッチがオフしているので、検出されたリコータ15の位置は不足領域に該当し、粉末材料16が十分に広い範囲を埋めていないと判断される。したがって、次には、粉末材料16を現供給量に対して予め決められた量だけ増加させるか、或いは次に残余の粉末材料を運び入れる側のテーブル13bの降下量を現降下量に対して予め決められた量だけ低減させるかの少なくともいずれか一を採る。
【0063】
このように、上記方法では、その粉末材料容器12b内で、残余の粉末材料の運搬量が規定量より少なくなった時点のリコータ15の位置又は移動距離がどの領域に入るかを検出することにより、簡単に次の粉末材料の供給量、或いは次に粉末材料16を運び入れる側のテーブル13bの降下量の少なくともいずれか一を決めることができる。
【0064】
なお、上記(i)(ii)において、次の粉末材料16の供給量と次に粉末材料16を運び入れる側のフィードテーブル13b又は13cの降下量とがともに調整される場合、両方の量の調整を合わせて、次に残余の粉末材料16を運び入れる側の粉末材料容器12a又は12b内で十分に広い範囲が粉末材料16で埋め尽くされるようにする。
【0065】
(d)造形部111のその他の構成
造形部111では、さらに、図1(a)、図2(a)、(b)に示すように、第1の粉末材料収納領域、連結領域、造形領域、連結領域及び第2の粉末材料収納領域の全領域に渡って、前及び後のフランジ部17上に、リコータ15の移動領域を挟み、粉末材料16の流出防護壁18を備えている。粉末材料16は流動性を有するため、移動するリコータ15に掻きとられてリコータ15の進行方向前側で造形エリア等の表面に盛り上がった粉末材料16は造形領域等の周囲に流出しようとするが、流出防護壁18のため粉末材料16が周囲に流出するのを防止することができる。これにより、より一層、粉末材料16のリサイクル率を向上させることができる。
【0066】
(e)制御装置112の構成及び機能
次に、制御装置112の構成及び機能について説明する。
【0067】
制御装置112は以下のような構成及び機能を有する。即ち、粉末材料を載せた第1のフィードテーブル13bを上昇させるとともに、パートテーブル13aを薄層一層分だけ下降させ、リコータ15を移動させて第1の粉末材料容器12aから造形用容器11に粉末材料16を供給し、パートテーブル13a上に粉末材料の薄層16aを形成させ、第2の粉末材料容器12b内の第2のフィードテーブル13cを下降させ、第2の粉末材料容器12bの表面を均しながらリコータ15を移動させて粉末材料の薄層16aを形成した後の残余の粉末材料16を第2のフィードテーブル13c上に収納させる。次いで、レーザ光及び制御ミラー(加熱焼結手段)によって作製すべき3次元造形物のスライスデータ(描画パターン)に基づき粉末材料の薄層16aを選択的に加熱して焼結させる。
【0068】
また、上記と逆に、粉末材料16を載せた第2のフィードテーブル13cを上昇させるとともに、パートテーブル13aを薄層一層分だけ下降させ、リコータ15を移動させて第2の粉末材料容器12bから造形用容器11に粉末材料16を供給し、パートテーブル13a上の粉末材料の薄層16aの上に新たな粉末材料の薄層16aを形成させ、第1の粉末材料容器12a内の第1のフィードテーブル13bを下降させ、第1の粉末材料容器12aの表面を均しながらリコータ15を移動させて新たな粉末材料の薄層16aを形成した後の残余の粉末材料16を第1のフィードテーブル13b上に収納させる。次いで、レーザ光及び制御ミラー(加熱焼結手段)によって作製すべき3次元造形物のスライスデータ(描画パターン)に基づき粉末材料の薄層16aを選択的に加熱して焼結させる。
【0069】
そして、これらの動作を繰り返して、複数の焼結薄層16bを積層させ、3次元造形物を作成させる。
【0070】
さらに、制御装置は、リコータ15に備えられたセンサにより、粉末材料が運び入れられた側の粉末材料容器12b又は12a内で、造形用容器11側からリコータ15の移動方向に沿って検出されたリコータ15の位置或いは移動距離に基づき、次に粉末材料16を運び出す側の粉末材料容器12b又は12a内のフィードテーブル13c又は13bの上昇量(粉末材料の供給量に相当)、及び次に粉末材料16を運び入れる側の粉末材料容器12a又は12b内のフィードテーブル13b又は13cの降下量のうち、少なくとも何れか一を調整する。これにより、粉末材料の薄層を形成するために十分な量の供給量で粉末材料を供給し、かつ粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内で十分広い範囲にわたり粉末材料を運び入れることができる。
【0071】
以上のように、本発明によれば、粉末材料の薄層を形成するのに常に十分な量の粉末材料を造形用容器11に供給することができるとともに、残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内を十分に広い範囲にわたり残余の粉末材料で埋めることができる。
【0072】
これにより、粉末材料容器内の粉末材料を均一に予備加熱することができ、このため、造形領域において粉末材料の薄層の温度を融点近くで均一に保ち、レーザ光による選択加熱により粉末材料の薄層を素早く昇温して粉末材料の薄層を均一に焼結することができる。これにより、熱応力の発生を抑制することができるため、精度のよい造形物を作成することができる。
【0073】
さらに、制御装置112に、リコータ15の制御、リコータ15の位置情報に基づく各粉末材料容器12a、12bのテーブル13b、13cの上昇量又は降下量の制御、レーザ光源の照射制御などを行わせるようにすることで、本発明の粉末焼結積層造形方法に必要な動作を自動的に行わせることができる。
【0074】
(粉末焼結積層造形方法の説明)
次に、図7乃至図10を参照しながら上記粉末焼結積層造形装置を用いた粉末焼結積層造形方法について説明する。図7乃至図10は断面図である。
【0075】
まず、テーブル13a、13b、13cを、造形用容器11、第1及び第2の粉末材料容器12a、12bの内壁に沿って上下移動可能なように、造形用容器11、第1及び第2の粉末材料容器12a、12bに取り付ける。
【0076】
次に、造形部111において、左右のフィードテーブル13b、13cを降下させ、フィードテーブル13b、13c上に十分な量の粉末材料16を収納する。
【0077】
図7(a)は、このような準備をした後、一層分の焼結層16bが形成された後であって、次の粉末材料の薄層16aを形成する前の状態を示す。
【0078】
次いで、図7(b)に示すように、パートテーブル13aを薄層一層分に相当する量だけ降下させる。次いで、左側のフィードテーブル13bを上昇させて粉末材料16が第1の粉末材料容器12aの表面から上に出てくるようにする。このとき、右側のフィードテーブル13cを降下させて、粉末材料の薄層16aを形成した後の残余の粉末材料16が収納できるように収納部12cを空けておく。
【0079】
次いで、図8(a)に示すように、リコータ15を移動させて左側のフィードテーブル13b上、第1の粉末材料容器12aの表面から上に出ている粉末材料16を掻きとりつつ造形用容器11内のパートテーブル13a上に移動させる。このとき、リコータ15に設置された、粉末材料16を検知するセンサにより、十分な量の粉末材料16が供給されることを確認する。
【0080】
次に、図8(b)に示すように、造形用容器11の表面を均しつつパートテーブル13a上に粉末材料を運び入れる。これにより、パートテーブル13a上の第一層目の焼結薄層16bの上に新たな一層分の粉末材料の薄層16aが形成される。このとき、造形用容器11内壁に設置されたヒータ(図示しない)、或いは造形用容器11の斜め上に設けられた赤外線加熱装置(図示しない)などにより粉末材料の薄層16aの表面を、粉末材料の融点よりも5〜15℃程度低い温度に予備加熱する。
【0081】
さらに図9(a)、(b)に示すように、リコータ15を移動させて残余の粉末材料16を第2の粉末材料容器12b内に表面を均しつつ運び入れ、第2の粉末材料容器12b内の第2のフィードテーブル13c上に収納させる。このとき、運搬中の粉末材料の量が規定量より少なくなった時点のリコータ15の位置又は移動距離を検出する。
【0082】
次に、レーザ光出射部の光源からレーザ光を出射させるとともに、作製すべき3次元造形物のスライスデータに基づき、コンピュータによりミラーを制御して、粉末材料の薄層16aに選択的にレーザ光を照射する。これにより、図9(b)に示すように、粉末材料の薄層16bが加熱されて焼結する。
【0083】
次に、上記検出された第2の粉末材料容器12b内でのリコータ15の位置情報に基づき、次に、残余の粉末材料を運び入れる側の第1の粉末材料容器12a内を十分広い範囲にわたり粉末材料で埋めることができるように次の粉末材料の供給量(第2のフィードテーブル13cの上昇量に相当)、又は次に第1のフィードテーブル13bの降下量のうち少なくとも何れか一を算出する。
【0084】
次いで、図10(a)に示すように、パートテーブル13aを薄層一層分降下させるとともに、算出された上昇量及び降下量に基づき、第2のフィードテーブル13cを上昇させ、さらに、第1のフィードテーブル13bを降下させる。
【0085】
次いで、図10(b)に示すように、上記説明した場合とは逆にリコータ15を右側から左側に移動させる。そして、第2の粉末材料容器12bから新たな粉末材料16をパートテーブル13a上に供給し、焼結薄層16b上に新たな粉末材料の薄層16aを形成する。
【0086】
さらに、リコータ15を移動させて残余の粉末材料16を第1の粉末材料容器12a内に表面を均しつつ運び入れ、第1の粉末材料容器12a内の第1のフィードテーブル13b上に収納させる。このとき、第1の粉末材料容器12a内で残余の粉末材料16を運搬中に、粉末材料の量が規定量より少なくなった時点のリコータ15の位置又は移動距離を検出する。
【0087】
次いで、新たな粉末材料の薄層16aを加熱焼結し、焼結薄層16b上に新たな焼結薄層16bを形成する。
【0088】
次に、上記検出された第1の粉末材料容器12a内でのリコータ15の位置情報に基づき、次に残余の粉末材料を運び入れる側の第2の粉末材料容器12b内を十分広い範囲にわたり粉末材料で埋めることができるように次の供給量(第1のフィードテーブル13bの上昇量に相当)、又は次に第2のフィードテーブル13cの降下量のうち少なくとも何れか一を算出する。
【0089】
次いで、図7(b)に示した方法と同じように、パートテーブル13aを薄層一層分降下させるとともに、算出された上昇量及び降下量に基づき、第1のフィードテーブル13bを上昇させ、さらに、第2のフィードテーブル13cを降下させる。
【0090】
次いで、上記したような方法で、粉末材料の薄層16aの形成→加熱焼結→粉末材料の薄層16aの形成→加熱焼結・・を繰り返す。
【0091】
このようにして、順次焼結薄層16bが積層されて3次元造形物が完成する。そして、最後に予備加熱を止めて自然冷却を行い、常温付近になったら、造形用容器11から粉末材料16に埋もれた3次元造形物を取り出す。
【0092】
以上のように、本発明の粉末焼結積層造形方法によれば、第2の粉末材料容器12b内の第2のフィードテーブル13cを下降させ、リコータ15を移動させて粉末材料の薄層16aを形成した後の残余の粉末材料16を第2のフィードテーブル13c上に収納させている。さらに、その後に、第2の粉末材料容器12b内の第2のフィードテーブル13cを上昇させ、リコータ15により第2の粉末材料容器12bから造形用容器11に粉末材料16を供給している。
【0093】
これにより、過剰な粉末材料をすぐに再使用することが可能となるので、粉末材料のリサイクル率を向上させることができる。
【0094】
また、次の粉末材料の供給量、又は、第1の粉末材料容器12a内の第1のフィードテーブル13bの降下量のうち少なくとも何れか一を調整して、どんな場合でも、粉末材料の薄層を形成するのに常に十分な量の粉末材料を供給し、かつ残余の粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内を十分に広い範囲にわたり残余の粉末材料で埋めるようにしている。
【0095】
これにより、粉末材料容器12a、12b内の粉末材料を均一に予備加熱することができ、このため、造形領域において粉末材料の薄層の温度を融点近くで均一に保ち、レーザ光による選択加熱により粉末材料の薄層を素早く昇温して粉末材料の薄層を均一に焼結することができる。これにより、熱応力の発生を抑制することができるため、精度のよい造形物を作成することができる。
【0096】
(本発明の他の実施の形態の説明)
以上、実施の形態によりこの発明の粉末焼結積層造形装置及び粉末焼結積層造形方法を詳細に説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の上記実施の形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【0097】
例えば、この実施の形態の粉末焼結造形装置においては、リコータ15に設置された、粉末材料の供給量を検知するセンサ15dは、検知板15dが支点を中心に回転し、センサスイッチオンさせる構成であるが、検知板15dがエレベータ式に上下し、センサスイッチをオンさせるような構成としてもよい。
【0098】
また、粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料の量が検出できるようなものであれば、上記実施の形態のセンサの構成に限定されるものではない。粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料の量が検出できれば、次に粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内において、フィードテーブルの降下量との関係で十分に広い範囲を粉末材料で埋めるための、次の粉末材料の供給量を設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態である粉末焼結積層造形装置のうち造形部の構成を示す上面図であり、(b)は同じく断面図である。
【図2】(a)は、図1の粉末焼結積層造形装置においてリコータを移動させて粉末材料を供給している様子を示す側面図であり、(b)は同じく正面図である。
【図3】(a)〜(c)は、図1の粉末焼結積層造形装置において、残余の粉末材料の量がそれぞれ異なっている場合に、リコータ15を移動させて粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器に粉末材料を運び入れている様子を示す側面図である。
【図4】(a)〜(c)は、図1の粉末焼結積層造形装置において、リコータ15を移動させて粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器に粉末材料を運び入れている様子を示す側面図(その1)である。
【図5】(a)〜(c)は、図1の粉末焼結積層造形装置において、リコータ15を移動させて粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器に粉末材料を運び入れている様子を示す側面図(その2)である。
【図6】(a)〜(c)は、図1の粉末焼結積層造形装置において、リコータ15を移動させて粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器に粉末材料を運び入れている様子を示す側面図(その3)である。
【図7】(a)、(b)は、本発明の実施の形態である粉末焼結積層造形方法を示す断面図(その1)である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の実施の形態である粉末焼結積層造形方法を示す断面図(その2)である。
【図9】(a)、(b)は、本発明の実施の形態である粉末焼結積層造形方法を示す断面図(その3)である。
【図10】(a)、(b)は、本発明の実施の形態である粉末焼結積層造形方法を示す断面図(その4)である。
【図11】(a)、(b)は、従来例の粉末焼結造形装置を示す上面図及び断面図である。
【符号の説明】
【0100】
11 造形用容器
12a 第1の粉末材料容器
12b 第2の粉末材料容器
13a パートテーブル
13b 第1のフィードテーブル
13c 第2のフィードテーブル
15 リコータ
15a 運搬板
15d 検知板
16 粉末材料
16a 粉末材料の薄層
16b 焼結薄層
17 フランジ部
17a、17b 連結部
18 粉末材料の流出防護壁
111 造形部
112 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末材料の薄層を形成し、レーザ光を照射して前記粉末材料の薄層を焼結させ、複数の焼結薄層を積層して3次元造形物を作製する粉末焼結積層造形装置であって、
底板が上下に移動する第1の粉末材料容器と、
前記第1の粉末材料容器と連結部を介して連結された、底板が上下に移動する造形用容器と、
前記造形用容器と連結部を介して連結された、底板が上下に移動する第2の粉末材料容器と、
前記第1又は第2の粉末材料容器から粉末材料を運び出し、前記造形用容器に前記粉末材料を運び入れ、前記造形用容器の底板上に前記粉末材料の薄層を形成し、さらに前記粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、前記第2又は第1の粉末材料容器に表面を均しながら運び入れる粉末材料運搬手段と、
前記残余の粉末材料の量を検出する手段と
を有することを特徴とする粉末焼結積層造形装置。
【請求項2】
前記残余の粉末材料の量を検出する手段は、前記残余の粉末材料を前記第2又は第1の粉末材料容器内に表面を均しながら運び入れている間に、運搬中の前記残余の粉末材料の量が規定量より少なくなった時点の前記粉末材料運搬手段の位置又は移動距離を検出する手段であることを特徴とする請求項1記載の粉末焼結積層造形装置。
【請求項3】
(i)前記第1の粉末材料容器の底板を上昇させて前記第1の粉末材料容器の表面よりも上に前記粉末材料を突出させ、かつ前記第2の粉末材料容器の底板を降下させるとともに、前記造形用容器の底板を降下させ、その状態で、前記粉末材料運搬手段を移動させて、前記第1の粉末材料容器から前記粉末材料を運び出し、前記造形用容器に前記粉末材料を運び入れ、前記造形用容器の底板上に前記粉末材料の薄層を形成し、さらに該粉末材料の薄層を形成した後の残余の前記粉末材料を前記第2の粉末材料容器内に運び入れ、
(ii)次に、前記第2の粉末材料容器の底板を上昇させて前記第2の粉末材料容器の表面よりも上に前記粉末材料を突出させ、かつ前記第1の粉末材料容器の底板を降下させるとともに、前記造形用容器の底板を降下させ、その状態で、前記粉末材料運搬手段を移動させて、前記第2の粉末材料容器から前記粉末材料を運び出し、前記造形用容器に前記粉末材料を運び入れ、前記造形用容器の底板上に前記粉末材料の薄層を形成し、さらに該粉末材料の薄層を形成した後の残余の前記粉末材料を前記第1の粉末材料容器内に運び入れる
という一連の動作を行わせる制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2の何れか一に記載の粉末焼結積層造形装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記(ii)の動作を行わせた後、さらに前記(i)乃至(ii)の動作を繰り返させることを特徴とする請求項3記載の粉末焼結積層造形装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記残余の粉末材料の量に基づいて、次に前記粉末材料を運び出す側となる粉末材料容器の底板の上昇量、又は次に前記粉末材料を運び入れる側となる粉末材料容器の底板の降下量のうちの少なくとも何れか一を調整することを特徴とする請求項3又は4の何れか一に記載の粉末焼結積層造形装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一に記載の粉末焼結積層造形装置を用いた粉末焼結積層造形方法であって、
前記第1の粉末材料容器を交互に前記粉末材料を運び出す側及び運び入れる側とし、それに対応させて前記第2の粉末材料容器を交互に前記粉末材料を運び入れる側及び運び出す側とし、
前記粉末材料運搬手段を移動させて前記粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、前記第2又は第1の粉末材料容器に表面を均しながら運び入れ、かつ前記残余の粉末材料の量を検出し、
前記残余の粉末材料の量に基づき、次に前記粉末材料を運び出す側となる粉末材料容器の底板の上昇量、又は次に前記粉末材料を運び入れる側となる粉末材料容器の底板の降下量のうち少なくとも何れか一を調整する
ことを特徴とする粉末焼結積層造形方法。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか一に記載の粉末焼結積層造形装置を用いた粉末焼結積層造形方法であって、
(1)前記第1の粉末材料容器の底板上に前記粉末材料を載せ、かつ前記第2の粉末材料容器の底板上に前記粉末材料を載せ、
(2)前記第1の粉末材料容器を上昇させて前記第1の粉末材料容器の表面に前記粉末材料を突出させ、
(3)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記第1の粉末材料容器の表面に突出した部分の粉末材料を運び出し、
(4)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記運び出した粉末材料を前記造形用容器に運び入れ、かつ前記造形用容器の底板上に粉末材料の薄層を形成し、
(5)前記第2の粉末材料容器の底板を降下させ、
(6)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、前記降下させた第2の粉末材料容器の底板上に表面を均しながら運び入れ、前記残余の粉末材料の量を検出し、
(7)前記残余の粉末材料の量に基づき、次に前記粉末材料を運び出す側となる前記第2の粉末材料容器の底板の上昇量、又は次に前記粉末材料を運び入れる側となる前記第1の粉末材料容器の底板の降下量のうち少なくとも何れか一を調整することを決め、
(8)前記第2の粉末材料容器を上昇させて前記第2の粉末材料容器の表面に前記粉末材料を突出させ、
(9)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記第2の粉末材料容器の表面に突出した部分の粉末材料を運び出し、
(10)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記運び出した粉末材料を前記造形用容器に運び入れ、かつ前記造形用容器の底板上に粉末材料の薄層を形成し、
(11)前記第1の粉末材料容器の底板を降下させ、
(12)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、前記降下させた第1の粉末材料容器の底板上に表面を均しながら運び入れる
ことを特徴とする粉末焼結積層造形方法。
【請求項8】
前記(12)の動作において、さらに前記残余の粉末材料の量を検出し、
(13)前記残余の粉末材料の量に基づき、次に前記粉末材料を運び出す側となる前記第1の粉末材料容器の底板の上昇量、又は次に前記粉末材料を運び入れる側となる前記第2の粉末材料容器の底板の降下量のうち少なくとも何れか一を調整することを決め、
(14)前記(2)乃至(13)の工程を繰り返す
ことを特徴とする請求項7記載の粉末焼結積層造形方法。
【請求項9】
請求項2乃至5の何れか一に記載の粉末焼結積層造形装置を用いた粉末焼結積層造形方法であって、
前記第1の粉末材料容器を交互に前記粉末材料を運び出す側及び運び入れる側とし、それに対応させて前記第2の粉末材料容器を交互に前記粉末材料を運び入れる側及び運び出す側とし、
前記粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内において、前記粉末材料運搬手段の移動方向に沿って、前記造形用容器側から順に不足領域、適量領域及び過剰領域に予め区分し、
前記粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、前記粉末材料を運び入れる側の粉末材料容器内に表面を均しながら運び入れている間に、運搬中の前記残余の粉末材料の量が前記規定量より少なくなった時点の前記粉末材料運搬手段の位置又は移動距離を検出し、
前記粉末材料運搬手段の位置又は移動距離が前記不足領域、適量領域及び過剰領域のうちどの領域に入るかにより、次に前記粉末材料を運び出す側となる粉末材料容器の底板の上昇量、又は次に前記粉末材料を運び入れる側となる粉末材料容器の底板の降下量のうち少なくとも何れか一を調整する
ことを特徴とする粉末焼結積層造形方法。
【請求項10】
請求項2乃至5の何れか一に記載の粉末焼結積層造形装置を用いた粉末焼結積層造形方法であって、
(1)前記第2の粉末材料容器内において、前記粉末材料運搬手段の移動方向に沿って、前記造形用容器側から順に不足領域、適量領域及び過剰領域に予め区分し、
(2)前記第1の粉末材料容器の底板上に前記粉末材料を載せ、かつ前記第2の粉末材料容器の底板上に前記粉末材料を載せ、
(3)前記第1の粉末材料容器を上昇させて前記第1の粉末材料容器の表面に前記粉末材料を突出させ、
(4)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記第1の粉末材料容器の表面に突出した部分の粉末材料を運び出し、
(5)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記運び出した粉末材料を前記造形用容器に運び入れ、かつ前記造形用容器の底板上に粉末材料の薄層を形成し、
(6)前記第2の粉末材料容器の底板を降下させ、
(7)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、前記降下させた第2の粉末材料容器の底板上に表面を均しながら運び入れ、運搬中の前記残余の粉末材料の量が前記規定量より少なくなった時点の前記粉末材料運搬手段の位置又は移動距離を検出し、
(8)前記粉末材料運搬手段の位置又は移動距離が前記不足領域、適量領域及び過剰領域のうちどの領域に入るかにより、次に前記粉末材料を運び出す側となる前記第2の粉末材料容器の底板の上昇量、又は次に前記粉末材料を運び入れる側となる前記第1の粉末材料容器の底板の降下量のうち少なくとも何れか一を調整することを決め、
(9)前記第2の粉末材料容器を上昇させて前記第2の粉末材料容器の表面に前記粉末材料を突出させ、
(10)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記第2の粉末材料容器の表面に突出した部分の粉末材料を運び出し、
(11)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記運び出した粉末材料を前記造形用容器に運び入れ、かつ前記造形用容器の底板上に粉末材料の薄層を形成し、
(12)前記第1の粉末材料容器の底板を降下させ、
(13)前記粉末材料運搬手段を移動させて前記粉末材料の薄層を形成した後の残余の粉末材料を、前記降下させた第1の粉末材料容器の底板上に表面を均しながら運び入れる
ことを特徴とする粉末焼結積層造形方法。
【請求項11】
前記(1)の動作に加えて、さらに前記第1の粉末材料容器内において、前記粉末材料運搬手段の移動方向に沿って、前記造形用容器側から順に不足領域、適量領域及び過剰領域に予め区分し、前記(13)の動作に加えて、さらに前記運搬中の残余の粉末材料が前記規定量より少なくなった時点の前記第1の粉末材料容器内での前記粉末材料運搬手段の位置又は移動距離を検出し、
(14)前記粉末材料運搬手段の位置又は移動距離が前記不足領域、適量領域及び過剰領域のうちどの領域に入るかにより、次に前記粉末材料を運び出す側となる前記第1の粉末材料容器の底板の上昇量、又は次に前記粉末材料を運び入れる側となる前記第2の粉末材料容器の底板の降下量のうち少なくとも何れか一を調整することを決め、
(15)前記(3)乃至(14)の工程を繰り返す
ことを特徴とする請求項10記載の粉末焼結積層造形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−68439(P2008−68439A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246809(P2006−246809)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(398018962)株式会社アスペクト (12)
【Fターム(参考)】