説明

粉砕処理装置

【課題】簡単な構造で粒状の被粉砕物を良質な粉状の粉砕産物に粉砕することができる粉砕処理装置を提供する。
【解決手段】粉砕ケーシング120の粉砕空間121で気流により旋回する粉砕産物および被粉砕物が、分級ケーシング140の分級空間141まで循環ダクト150により移送される。このため、循環ダクト150の内径や本数や旋回気流との相対角度などを選択することにより、循環ダクト150での気流による粉砕産物および被粉砕物の管内流速などを調節することができる。従って、循環ダクト150の管内流速を高速として、粉砕空間121から分級空間141への粒子循環を促進することができ、粉砕空間121内での粉砕産物と被粉砕物の滞留・閉塞を起こすことなく、粉砕処理装置100を安定に動作させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状の被粉砕物を粉状の粉砕産物に粉砕するための粉砕処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子部品や電池の高機能化に伴い、高機能の粉砕産物を高性能に製造できる、低価格な粉砕処理装置の需要が増大している。例えば、対象とする原料が、各種工業分野で用いられるセラミック、非鉄・金属、鉱物などの場合、比重2〜7程度である。
【0003】
所望する粉砕産物を得るための粉砕処理装置には様々な種類がある。公知の技術としては、高速回転するハンマーやピンなどとの衝突による機械的な衝撃エネルギーや、ジェット気流による被粉砕物同士の衝突エネルギーを利用する粉砕処理装置がある。
【0004】
そして得られた粉砕産物を用途に応じて適切な大きさに分離する分級機などがある。これらの技術のうち、高機能、高性能、低価格の要求にこたえるものの一つとして、粉砕と分級の機構が一つの装置に組み込まれた一体型の装置が公知である。
【0005】
たとえば、ある粉砕処理装置では、被粉砕物は、高速回転する粉砕ハンマで粉砕され、ケーシングとガイドリングで形成される空間を上昇して、ガイドリングの上部空間を通り分級セパレータに気流により送られる。
【0006】
被粉砕物は回転する分級セパレータによって与えられる遠心力と吸込まれる気流による抗力の相互作用によって分級され、細かい粉砕産物は分級セパレータに引きこまれ機外に排出され、粗い被粉砕物は分級セパレータとガイドリングの間の空間を下降し再び粉砕ハンマに送られる。
【0007】
なお、ここでは粉砕される以前のもの、および、粉砕されたが所望の粒径まで粉砕されておらず、再度粉砕されるもの、を被粉砕物、所望の粒径まで粉砕されたものを粉砕産物、と呼称する。
【0008】
上述のように粉砕処理装置と分級機を一体化することによって、それぞれを別々に設備することに比べ、高性能化、設備の簡素化、装置の低価格化を得ている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−277414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、粉砕産物は分級セパレータによる分級工程を通過したものであって、粉砕産物の粒度分布などの品質調整には、分級セパレータ部で被粉砕物が受ける遠心力と向心力を効果的に調整することが重要な要素となる。
【0011】
具体的には、粉砕産物を粗粒化したい場合には、抗力の効果を高めるため、分級セパレータの回転数を減らし、被粉砕物の旋回気流速を低くする必要がある。一方、微粒化したい場合には、遠心力の効果を高めるため、分級セパレータの回転数を増し、被粉砕物の旋回気流速を高める必要がある。
【0012】
しかし、従来の技術では旋回気流の生成を分級セパレータのみで行っているため、被粉砕物に十分な旋回気流速を与えるには分級セパレータを高速でまわす必要があり、被粉砕物を加速するために大きな動力が必要となる。また、被粉砕物の比重が大きくなるほど、被粉砕物の慣性が大きくなり十分に加速・減速される前に分級されるので、分級精度が悪くなる課題があった。
【0013】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で粒状の被粉砕物を良質な粉状の粉砕産物に粉砕することができる粉砕処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の粉砕処理装置は、粒状の被粉砕物を粉状の粉砕産物に粉砕する粉砕処理装置であって、略鉛直な軸心方向の駆動軸で回転自在に軸支されていて被粉砕物を旋回させて粉砕する気流を発生させる粉砕ロータと、軸心方向が略鉛直な回転体状の粉砕空間に粉砕ロータが配置されていて底部の貫通孔に外気が導入される間隙を介して駆動軸が挿通されている粉砕ケーシングと、粉砕ロータの上方に同軸状の駆動軸で回転自在に軸支されていて被粉砕物と粉砕産物とを分級する気流を発生させる分級ロータと、軸心方向が略鉛直な回転体状の分級空間の上部に分級ロータが配置されていて粉砕ケーシングに上方から連結されている分級ケーシングと、粉砕ケーシングの外周部と分級ケーシングの外周部とを配管していて被粉砕物と粉砕産物とを粉砕空間から分級空間まで移送する循環ダクトと、を有する。
【0015】
従って、本発明の粉砕処理装置では、粉砕ケーシングの軸心方向が略鉛直な回転体状の粉砕空間に粉砕ロータが配置されており、略鉛直な軸心方向の駆動軸で回転自在に軸支されている粉砕ロータが被粉砕物を旋回させて粉砕する気流を発生させる。粉砕ケーシングの底部の貫通孔には外気が導入される間隙を介して駆動軸が挿通されているので、この導入される外気が粉砕ロータで旋回される気流となる。粉砕ケーシングで気流とともに旋回する被粉砕物は、相互の衝突により粉状の粉砕産物に粉砕される。この粉砕ケーシングの粉砕空間で気流により旋回する粉砕産物および被粉砕物は、分級ケーシングの分級空間まで循環ダクトにより移動する。分級ケーシングの分級空間に移動した粉砕産物および被粉砕物は、粉砕ロータの上方に同軸状の駆動軸で回転自在に軸支されている分級ロータが発生させる気流により被粉砕物と粉砕産物とに分級される。分級ケーシングは粉砕ケーシングに上方から連結されているので、分級された分級空間の被粉砕物は粉砕空間に再度落下する。上述の動作が繰り返されることにより、粒状の被粉砕物から所定の粉状に破砕された粉砕産物が適切に分級されて排出される。ただし、本発明の粉砕処理装置では、上述のように粉砕ケーシングの粉砕空間で気流により旋回する粉砕産物および被粉砕物が、分級ケーシングの分級空間まで循環ダクトにより移送される。このため、循環ダクトの内径や本数や旋回気流との相対角度などを選択することにより、循環ダクトでの気流による粉砕産物および被粉砕物の管内流速などを調節することができる。
【0016】
また、上述のような粉砕処理装置において、循環ダクトが粉砕ケーシングの外周面に配管されていてもよい。
【0017】
また、上述のような粉砕処理装置において、循環ダクトが粉砕ケーシングの上面外周に配管されていてもよい。
【0018】
また、上述のような粉砕処理装置において、粉砕ロータにより発生される気流の旋回方向と、粉砕ケーシングから循環ダクトに流出する気流の方向と、が相互に逆行しない方向で循環ダクトが粉砕ケーシングに配管されていてもよい。
【0019】
また、上述のような粉砕処理装置において、分級ロータにより発生される気流の旋回方向と、循環ダクトから分級ケーシングに流入する気流の方向と、が相互に逆行しない方向で循環ダクトが分級ケーシングに配管されていてもよい。
【0020】
また、上述のような粉砕処理装置において、粉砕ケーシングと分級ケーシングとが複数の循環ダクトで配管されていてもよい。
【0021】
なお、本発明で云う粉砕ケーシングの外周部とは、粉砕ケーシングの外周近傍の部分を意味しており、具体的には、粉砕ケーシングの外周面、粉砕ケーシングの上面外周、粉砕ケーシングの下面外周、を意味している。
【発明の効果】
【0022】
本発明の粉砕処理装置では、上述のように粉砕ケーシングの粉砕空間で気流により旋回する粉砕産物および被粉砕物が、分級ケーシングの分級空間まで循環ダクトにより移送される。このため、循環ダクトの内径や本数や旋回気流との相対角度などを選択することにより、循環ダクトでの気流による粉砕産物および被粉砕物の管内流速などを調節することができる。従って、循環ダクトの管内流速を高速として、粉砕空間から分級空間への粒子循環を促進することができ、粉砕空間内での粉砕産物と被粉砕物の滞留・閉塞を起こすことなく、粉砕処理装置を安定に動作させることができる。しかも、回転する分級ロータに循環ダクトから供給される粉砕産物および被粉砕物の速度や角度も調節できるので、粉砕処理装置の分級性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態の粉砕処理装置の内部構造を示す模式的な縦断正面図である。
【図2】図1のA−A断面を示す横断平面図である。
【図3】図1のB−B断面を示す横断平面図である。
【図4】図1のC−C断面を示す横断平面図である。
【図5】一の変形例の粉砕処理装置の内部構造を示す模式的な縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の一形態を図1ないし図4を参照して以下に説明する。本実施の形態の粉砕処理装置100は、粒状の被粉砕物を粉状の粉砕産物に粉砕する。このため、本実施の形態の粉砕処理装置100は、図1に示すように、略鉛直な軸心方向の駆動軸111で回転自在に軸支されていて被粉砕物を旋回させて粉砕する気流を発生させる粉砕ロータ110と、軸心方向が略鉛直な回転体状の粉砕空間121に粉砕ロータ110が配置されていて底部の貫通孔122に外気が導入される間隙を介して駆動軸111が挿通されている粉砕ケーシング120と、粉砕ロータ110の上方に同軸状の駆動軸131で回転自在に軸支されていて被粉砕物と粉砕産物とを分級する気流を発生させる分級ロータ130と、軸心方向が略鉛直な回転体状の分級空間141の上部に分級ロータ130が配置されていて粉砕ケーシング120に上方から連結されている分級ケーシング140と、粉砕ケーシング120の外周部と分級ケーシング140の外周部とを配管していて被粉砕物と粉砕産物とを粉砕空間121から分級空間141まで移送する循環ダクト150と、を有する。
【0025】
より詳細には、本実施の形態の粉砕処理装置100では、縦断面形状がコ字状に強制されている循環ダクト150が、粉砕ケーシング120の外周面と分級ケーシング140の外周面とに配管されている。
【0026】
本実施の形態の粉砕処理装置100では、粉砕ケーシング120と分級ケーシング140とが複数である六本の循環ダクト150で配管されている。これら六本の循環ダクト150は、図2および図4に示すように、水平方向で60度ずつ回転した位置ごとに粉砕ケーシング120と分級ケーシング140とに配管されている。
【0027】
ただし、本実施の形態の粉砕処理装置100では、図2に示すように、循環ダクト150が粉砕ケーシング120に放射状に配管されておらず、粉砕ロータ110により発生される気流の旋回方向に水平面上で所定角度まで傾斜して粉砕ケーシング120に配管されている。
【0028】
より具体的には、粉砕ロータ110により発生される気流の旋回方向と、粉砕ケーシング120から循環ダクト150に流出する気流の方向と、が相互に逆行しない方向で循環ダクト150が粉砕ケーシング120に配管されている。
【0029】
本実施の形態の粉砕処理装置100では、粉砕ケーシング120に原料導入ダクト123も配管されており、この原料導入ダクト123から粉砕空間121に粒状の被粉砕物が導入される。
【0030】
本実施の形態の粉砕処理装置100では、粉砕ロータ110より下方の装置底部160がボックス状に形成されており、この装置底部160に外気を導入する外気導入口161が形成されている。この外気導入口161から導入された外気は、粉砕ロータ110の駆動軸111と粉砕ケーシング120の貫通孔122との間隙から粉砕空間121に流入する。
【0031】
本実施の形態の粉砕処理装置100では、分級ロータ130より上方の装置上部170もボックス状に形成されており、この装置上部170に分級された被粉砕物の搬出口171が形成されている。なお、この搬出口171には、いわゆるバグフィルタ(図示せず)が装着されている。
【0032】
なお、粉砕ロータ110は、図1および図2に示すように、例えば、円盤状のロータ本体112の上面に複数の遠心ブロック113が配置された形状に形成されている。分級ロータ130は、図3に示すように、例えば、円筒状のロータ本体132の外周面に平板状の多数の分級羽根133が放射状に配置された形状に形成されている。
【0033】
上述のような構成において、本実施の形態の粉砕処理装置100では、粉砕ケーシング120の軸心方向が略鉛直な回転体状の粉砕空間121に粉砕ロータ110が配置されており、略鉛直な軸心方向の駆動軸111で回転自在に軸支されている粉砕ロータ110が被粉砕物を旋回させて粉砕する気流を発生させる。
【0034】
粉砕ケーシング120の底部の貫通孔122には外気が導入される間隙を介して駆動軸111が挿通されているので、この導入される外気が粉砕ロータ110で旋回される気流となる。
【0035】
粉砕ケーシング120で気流とともに旋回する被粉砕物は、相互の衝突により粉状の粉砕産物に粉砕される。この粉砕ケーシング120の粉砕空間121で気流により旋回する粉砕産物および被粉砕物は、分級ケーシング140の分級空間141まで循環ダクト150により移動する。
【0036】
分級ケーシング140の分級空間141に移動した粉砕産物および被粉砕物は、粉砕ロータ110の上方に同軸状の駆動軸131で回転自在に軸支されている分級ロータ130が発生させる気流により被粉砕物と粉砕産物とに分級される。
【0037】
分級ケーシング140は粉砕ケーシング120に上方から連結されているので、分級された分級空間141の被粉砕物は粉砕空間121に再度落下する。上述の動作が繰り返されることにより、粒状の被粉砕物から所定の粉状に破砕された粉砕産物が適切に分級されて排出される。
【0038】
ただし、本実施の形態の粉砕処理装置100では、上述のように粉砕ケーシング120の粉砕空間121で気流により旋回する粉砕産物および被粉砕物が、分級ケーシング140の分級空間141まで循環ダクト150により移送される。
【0039】
このため、循環ダクト150の内径や本数や旋回気流との相対角度などを選択することにより、循環ダクト150での気流による粉砕産物および被粉砕物の管内流速などを調節することができる。
【0040】
このため、本実施の形態の粉砕処理装置100では、管内流速を高速として循環ダクト150に粉砕産物や被粉砕物が閉塞することを防止することができ、粉砕処理装置100を安定に動作させることができる。
【0041】
しかも、回転する分級ロータ130に循環ダクト150から供給される粉砕産物および被粉砕物の速度や角度も調節できるので、粉砕処理装置100の分級性能を向上させることができる。
【0042】
また、被粉砕物が重比重物質の場合も、循環ダクト150の内部で十分な加速を経た被粉砕物を分級ケーシング140に流入させることができるので、分級時の旋回速度を充分として分級精度を高めることができる。
【0043】
なお、例えば、被粉砕物の比重・搬送被粉砕物の大きさなどの運転条件によって定まる終末速度よりも管内流速が速くなるように、循環ダクト150の内径や本数を選択することが望ましい。
【0044】
しかも、本実施の形態の粉砕処理装置100では、図1に示すように、循環ダクト150が粉砕ケーシング120の外周面に配管されている。このため、粉砕ロータ110により発生される気流により旋回する粉砕空間121の被粉砕物および粉砕産物が、極めて円滑に循環ダクト150に導入される。
【0045】
特に、本実施の形態の粉砕処理装置100では、図2に示すように、循環ダクト150が粉砕ロータ110により発生される気流の旋回方向に傾斜して粉砕ケーシング120に配管されている。
【0046】
このため、粉砕ロータ110により発生される気流により粉砕空間121の被粉砕物および粉砕産物が良好に循環ダクト150に導入され、その管内流速も良好に維持される。
【0047】
さらに、本実施の形態の粉砕処理装置100では、図3および図4に示すように、循環ダクト150が分級ロータ130により発生される気流の旋回方向に傾斜して分級ケーシング140に配管されている。
【0048】
より具体的には、分級ロータ130により発生される気流の旋回方向と、循環ダクト150から分級ケーシング140に流入する気流の方向と、が相互に逆行しない方向で循環ダクト150が分級ケーシング140に配管されている。
【0049】
このため、循環ダクト150から分級空間141に被粉砕物および粉砕産物が、分級ロータ130の気流方向に吐出されることになる。従って、分級ロータ130の負担を軽減することができ、その分級性能を向上させることができる。
【0050】
もちろん、分級ロータ130の速度の変更によっても粉砕産物粒度や分級精度を変えることができるが、分級ロータ130のみの場合に比べ循環ダクト150で旋回気流を補助することにより分級ロータ130の負担を軽減することができる。
【0051】
しかも、本実施の形態の粉砕処理装置100では、図2および図4に示すように、粉砕ケーシング120と分級ケーシング140とが複数である六本の循環ダクト150で等間隔に配管されている。
【0052】
このため、粉砕空間121および分級空間141を気流により旋回する被粉砕物および粉砕産物の空間密度を均等とすることができるので、その粉砕性能および分級性能を安定させることができる。
【0053】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では、縦断面形状がコ字状に強制されている循環ダクト150が、粉砕ケーシング120の外周面と分級ケーシング140の外周面とに配管されていることを例示した。
【0054】
しかし、図5に例示する粉砕処理装置200のように、循環ダクト150が粉砕ケーシング120の上面外周に配管されていてもよい。この場合、循環ダクト150が粉砕ケーシング120の外周面に配管されている場合に比較して、粉砕ロータ110の気流により旋回する被粉砕物および粉砕産物が循環ダクト150に導入されにくい。
【0055】
このため、充分に粉砕されていない被粉砕物が粉砕空間121から分級空間141に導入される割合を低下させることができ、分級ロータ130による分級の負担を軽減して精度を向上させることができる。
【0056】
なお、上記形態では、図3に示すように、例えば、円筒状のロータ本体132の外周面に平板状の多数の分級羽根133が放射状に配置された分級ロータ130を例示した。しかし、分級ロータの形状は各種に変形することができる。同様に、粉砕ロータ110の形状も各種に変形することができる(ともに図示せず)。
【0057】
また、上記形態では内径が均一な複数の循環ダクト150を水平方向で均等に配置して粉砕ケーシング120と分級ケーシング140とを配管することを例示した。しかし、循環ダクト150の本数は様々に変更することができる。
【0058】
さらに、複数の循環ダクト150を不均等に配置してもよく、循環ダクト150の内径を不均一としてもよく、オリフィスを形成してもよい(何れも図示せず)。循環ダクト150の内径を不均一やオリフィスとした場合、そこで流速を調節することができるので、分級特性を調整するようなことができる。特に、循環ダクト150の内径を連続的に変化させた場合、被粉砕物および粉砕産物の滞積を良好に防止しながら流速を調節することができる。
【0059】
また、上記形態では、図2に示すように、循環ダクト150が粉砕ロータ110により発生される気流の旋回方向に傾斜して粉砕ケーシング120に配管されていることを例示した。
【0060】
しかし、循環ダクト150が粉砕ケーシング120の外周面に傾斜されることなく直角に配管されていてもよい。この場合、粉砕ロータ110により発生される気流により粉砕空間121の被粉砕物および粉砕産物が循環ダクト150に導入される速度および流量が低下するので、分級特性を調整するようなことができる。
【0061】
同様に、上記形態では、図3および図4に示すように、循環ダクト150が分級ロータ130により発生される気流の旋回方向に傾斜して分級ケーシング140に配管されていることを例示した。
【0062】
しかし、循環ダクト150が分級ケーシング140の外周面に傾斜されることなく直角に配管されていてもよい(図示せず)。これらの場合も、循環ダクト150から分級ケーシング140に流入する被粉砕物および粉砕産物の速度を低減することができるので、粗い粉砕産物を得たい場合に有効である。
【0063】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【符号の説明】
【0064】
100 粉砕処理装置
110 粉砕ロータ
111 駆動軸
112 ロータ本体
113 遠心ブロック
120 粉砕ケーシング
121 粉砕空間
122 貫通孔
123 原料導入ダクト
130 分級ロータ
131 駆動軸
132 ロータ本体
133 分級羽根
140 分級ケーシング
141 分級空間
150 循環ダクト
160 装置底部
161 外気導入口
170 装置上部
171 搬出口
200 粉砕処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状の被粉砕物を粉状の粉砕産物に粉砕する粉砕処理装置であって、
略鉛直な軸心方向の駆動軸で回転自在に軸支されていて前記被粉砕物を旋回させて粉砕する気流を発生させる粉砕ロータと、
軸心方向が略鉛直な回転体状の粉砕空間に前記粉砕ロータが配置されていて底部の貫通孔に外気が導入される間隙を介して前記駆動軸が挿通されている粉砕ケーシングと、
前記粉砕ロータの上方に同軸状の駆動軸で回転自在に軸支されていて前記被粉砕物と前記粉砕産物とを分級する気流を発生させる分級ロータと、
軸心方向が略鉛直な回転体状の分級空間の上部に前記分級ロータが配置されていて前記粉砕ケーシングに上方から連結されている分級ケーシングと、
前記粉砕ケーシングの外周部と前記分級ケーシングの外周部とを配管していて前記被粉砕物と前記粉砕産物とを前記粉砕空間から前記分級空間まで移送する循環ダクトと、
を有する粉砕処理装置。
【請求項2】
前記粉砕ロータにより発生される前記気流の旋回方向と、前記粉砕ケーシングから前記循環ダクトに流出する気流の方向と、が相互に逆行しない方向で前記循環ダクトが前記粉砕ケーシングに配管されている請求項1に記載の粉砕処理装置。
【請求項3】
前記分級ロータにより発生される前記気流の旋回方向と、前記循環ダクトから前記分級ケーシングに流入する気流の方向と、が相互に逆行しない方向で前記循環ダクトが前記分級ケーシングに配管されている請求項1または2に記載の粉砕処理装置。
【請求項4】
前記循環ダクトが前記粉砕ケーシングの外周面に配管されている請求項1ないし3の何れか一項に記載の粉砕処理装置。
【請求項5】
前記循環ダクトが前記粉砕ケーシングの上面外周に配管されている請求項1ないし3の何れか一項に記載の粉砕処理装置。
【請求項6】
前記粉砕ケーシングと前記分級ケーシングとが複数の前記循環ダクトで配管されている請求項1ないし5の何れか一項に記載の粉砕処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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