説明

粉砕媒体洗浄装置

【課題】粒子の径が小さい粉砕用の微粒の媒体ビーズを容易に洗浄し、且つ媒体ビーズを流失させずに再利用することができる粉砕用媒体洗浄装置を提供する。
【解決手段】粉砕用媒体洗浄装置1は、洗浄ビーズ34及び該洗浄ビーズ34を洗浄する洗浄液を収容する洗浄室2を備えた円筒容器3と、上記洗浄液を上記洗浄室2に連続的に供給する洗浄液供給口7,8と、上記洗浄液を上記洗浄室2から連続的に排出する洗浄廃液排出口9と、上記洗浄室2に収容され、上記洗浄ビーズ34及び上記洗浄液を上記洗浄室2の上方に移動させる複数の撹拌部材4と、回転駆動軸を中心として上記洗浄室2の外縁部まで延在して形成された複数の洗浄液排出用流路を備え、上記複数の撹拌部材4で上方に移動した上記洗浄ビーズ34と上記洗浄液とを分離させる遠心分離羽根5と、上記撹拌部材4及び上記遠心分離羽根5を回転駆動する回転駆動軸6とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕用媒体洗浄装置に関し、更に詳しくは粒径100μm以下の粉砕用の媒体ビーズを、自動的且つ確実に洗浄することができる粉砕用媒体洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペイント(ペンキ)などの塗料を生産するための前段の処理作業としては、塗料の原料である顔料を微細に粉砕する粉砕装置を用いて行う処理作業がある。
この粉砕装置で粉砕された原料は、他の処理作業において合成樹脂などの溶剤と均一に混合し、コロイド状にすることでペイントなどの塗料が生産される。また、この粉砕装置は、上記のペイントの他には、接着剤などの増量剤、用紙表面の塗工(コーティング)剤、電子部品用ファインセラミック材などの生産にも使用されている。
【0003】
そして、この粉砕装置には、湿式媒体撹拌ミル、高圧流体衝突ミル及び高速回転スリットミルなどがあり、これらは、粗粒子化された原料から粒径1μm以下の粒子を生成することが可能である。中でも湿式媒体撹拌ミルは粒径nm(ナノメータ)の粒子を容易に生成することが可能である。
【0004】
この湿式媒体撹拌ミルには、ビーズミル、ボールミル、タワーミルなどがあるが、これらの内で粉砕用の媒体ビーズが小さいビーズミルは、媒体ビーズが遠心力によって強いエネルギーを付与されていることから、他の機種に比べて粉砕効率が優れている。
【0005】
上記のビーズミルは、砕料粒子が微粒子化すると、媒体ビーズが持つエネルギーの大きさよりも、微粒子化した砕料粒子と媒体ビーズとの接触頻度を多くすることのほうが粉砕効果を高めることが知られている。
【0006】
また、このように砕料粒子と媒体ビーズの接触頻度(補足確立)を多くする目的で、砕料粒子の微粒子化に合わせて粉砕用の媒体ビーズも小径化されている。
ところで、砕料粒子の粉砕分散操作で、サブミクロン以下の超微粒子は強い破壊エネルギーを与えると粉砕破断面の活性化エネルギーが大きくなり、このエネルギーによって凝集が顕著になる。
【0007】
近年、この凝集現象を防止するために、砕料粒子の大きさに合わせて粉砕エネルギーを小さくする目的で媒体ビーズを小さくしている。
砕料粒子がサブミクロン以下の超微粒子になると、特に分散操作で粒径100μm以下の媒体ビーズが積極的に用いられるようになり、現在では実験段階ではあるが、粒径50μm〜15μmなどの媒体ビーズも採用されている。
【0008】
この媒体ビーズの材質としてはジルコニアが大半を占めている。しかし、ジルコニアは高価なものであるため、洗浄して再利用することが一般的である。ところが、現在、この媒体ビーズの効率的な洗浄方法が確立されていない。
【0009】
従来、実際に媒体ビーズを洗浄する方法としては手洗いか、若しくはバッチ式サンドグラインダーや撹拌槽などに洗浄液と媒体ビーズを入れて撹拌し、洗浄液が汚れると洗浄液を新しいものに交換して再び撹拌洗浄を行うという操作を手作業で、繰り返し行っていた。
【0010】
上記の手洗いでは、媒体ビーズが指の指紋に入り込んでしまって回収ができず、そのような媒体ビーズは洗浄ロスとなってしまう。また、媒体ビーズの表面には砕料粒子原料が強固に付着する場合があり、このような場合には、手洗いでは、汚れが十分に落とせなかった。
【0011】
また、例えば15nmの酸化チタン(ルチル型)の分散をバッチ式サンドグラインダーで行なった後、分散に用いた容器を使用して媒体ビーズを洗浄するときは、洗浄溶剤で洗浄した後に、洗浄水で洗浄する。このとき、媒体ビーズの汚れ状態によっても異なるが、場合によっては洗浄液の交換を40回以上も行なわないと汚れが落ちなかった。
【0012】
そしてこの洗浄液の交換時に、洗浄液の僅かの振動や傾きや流動で上方に舞い上がり易い媒体ビーズが、上澄みの洗浄液と共に流出して、媒体ビーズの流出ロスが発生した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、上記従来の実状に鑑み、粒子の径が小さい粉砕用媒体の媒体ビーズを容易に洗浄し且つ洗浄ロスを生じることなく、使用後の媒体ビーズを有効に再利用することができる粉砕用媒体洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の粉砕用媒体洗浄装置は、媒体ビーズ及びこの媒体ビーズを洗浄する洗浄液を収容する洗浄室を備えた円筒容器と、上記円筒容器に設けられ、上記洗浄液を上記洗浄室に連続的に供給する洗浄液供給口と、上記円筒容器に設けられ、上記洗浄液を上記洗浄室から連続的に排出する洗浄廃液排出口と、上記洗浄室に収容され、上記媒体ビーズ及び上記洗浄液を上記洗浄室の上方に移動させる複数の撹拌部材と、回転駆動軸を中心として上記洗浄室の外縁部まで延在して形成された複数の洗浄液排出用流路を備え、上記複数の撹拌部材で上方に移動した上記媒体ビーズと上記洗浄液とを分離させる遠心分離羽根と、上記撹拌部材及び上記遠心分離羽根を回転駆動する回転駆動軸とを有して構成される。
【0015】
また、上記複数の溝洗浄液排出用流路は、例えば、円弧状に形成してもよく、また、例えば、上記回転駆動軸からの輻射方向に対し上記回転駆動軸の回転方向とは反対方向に所定の傾斜角を有して形成されるように構成してもよい。
【0016】
上記撹拌部材は、例えば、円板状に形成され、円板の一部に孔及び突起を設けて形成されるように構成してもよく、また、例えば、円板の外周の一部に切り欠きを設けて形成されるようにしてもよく、更に例えば、円板状ではなく、上記回転駆動軸を中心として放射状に突出する複数の羽根を設けるように構成してもよい。
【0017】
また、この粉砕用媒体洗浄装置において、上記の洗浄液供給口は、洗浄前の上記媒体ビーズを上記洗浄液とともに注入するように構成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、円筒容器の洗浄室内に洗浄液を連続的に供給し且つ排出しながら媒体ビーズを洗浄して、媒体ビーズと洗浄液とを自動的且つ容易に分離するので、媒体ビーズを洗浄ロスとして失うことなく有効に再利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施例1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、実施例1における粉砕用媒体洗浄装置の側断面図である。
【0020】
図2(a)は、図1におけるA−A´断面矢視図である。
図2(b)は、図1におけるB−B´断面矢視図である。
図3は、粉砕用媒体洗浄装置の遠心分離羽根の近傍の拡大側断面図である。
【0021】
図1に示すように、粉砕用媒体洗浄装置1は、洗浄室2を備えた筒状容器3と、複数の撹拌部材4及び遠心分離羽根5を備えた回転駆動軸6とで構成される。
また、筒状容器3の上面及び側面下部には、洗浄室2に洗浄液を供給するための洗浄液供給口7,8がそれぞれ設けられ、筒状容器3の側面上部には洗浄後の洗浄液(洗浄廃液)を排出するための洗浄廃液排出口9が設けられる。
【0022】
洗浄室2には粉砕用の媒体ビーズ(以下、洗浄ビーズ34という)及び洗浄液が収容され、更に、回転駆動軸6が洗浄室2の底部近傍に設けられた固定部10に回転自在に位置固定されて支持される。尚、本実施の形態に用いる洗浄ビーズ34は、例えば、ビーズミル用の極小ビーズなどである。
【0023】
また、回転駆動軸6は不図示の駆動用モータに連結しており、駆動用モータは回転駆動軸6を介して複数の撹拌部材4、遠心分離羽根5を高速に回転させる。
尚、複数の撹拌部材4は回転駆動軸6の軸方向に対して等間隔で配置されることが好ましい。よって、本実施の形態では、回転駆動軸6の外周にカラー部材11を設けて複数の撹拌部材4を取り付けるようにしている。
【0024】
このように撹拌部材4を回転させることで、洗浄室2では洗浄ビーズ34に運動エネルギーを与えることができ、洗浄ビーズ34同士の摩擦などによって、洗浄ビーズ34表面に付着した原料を除去することができる。つまり、複数の撹拌部材4は洗浄ビーズ34及び洗浄液を撹拌させて洗浄ビーズ34の洗浄を行う。
【0025】
尚、このときに洗浄ビーズ34同士の摩擦により熱が発生するが、円筒容器の外周には冷却ジャケット12が円筒容器の外周を覆うように設けられるので熱を抑えることができる。
【0026】
また、図1に示すように(以下、図2(a)、図2(b)及び図3も参照)、この冷却ジャケット12の上部には撹拌部材4や遠心分離羽根5の点検が容易に行うことができるように、クランプ13を設けて、洗浄室2と、撹拌部材4、遠心分離羽根5及びその駆動部とを、分離できる構成となっている。
【0027】
そして、複数の撹拌部材4は洗浄ビーズ34の表面に付着した原料等を除去しながら、洗浄ビーズ34及び洗浄液を洗浄室2の上部側に上昇させる。そして、遠心分離羽根5は上昇した洗浄ビーズ34と洗浄液とを分離させる。
【0028】
この遠心分離羽根5の上面側にはスリーブ管14が設けられている。スリーブ管14は下端にフランジ部が形成されている。このスリーブ管14は、回転駆動軸6の一部、すなわち遠心分離羽根5より上方の回転駆動軸6を覆うように、回転駆動軸6との間に間隙を設けて配置さている。
【0029】
これにより、スリーブ管14と回転駆動軸6との間に、上記間隙による、洗浄液を排出させるための縦流路15が形成されている。
また、遠心分離羽根5には溝が形成されており、その溝が形成されている面をスリーブ管14の下端のフランジ部が覆っている。これにより、スリーブ管14のフランジ部が覆われた遠心分離羽根5の溝が洗浄廃液流出溝16を形成する。そして、この洗浄廃液流出溝16と上記の縦流路15とが連通している。
【0030】
また、スリーブ管14には、洗浄液を流出させるための洗浄液排出穴17が形成される。この洗浄液排出穴17は上記の縦流路15に連通している。また、スリーブ管14には洗浄液の漏洩を防ぐための軸シール18が設けられている。
【0031】
遠心分離羽根5の高速回転により発生する遠心力により、洗浄廃液流出溝16の流入口近傍で、洗浄液より比重の重たい洗浄ビーズ34を分離された洗浄液は、洗浄廃液流出溝16及び縦流路15を介して洗浄液排出穴17を通過し、洗浄液廃排出口9から外部に排出される。
【0032】
このように、本例の粉砕用媒体洗浄装置1は粒径100μm以下という粒子の径が小さい洗浄ビーズ34を容易に洗浄し、且つ洗浄ビーズ34を流失させずに再利用することができる。
【0033】
図4(a)は、図3におけるC−C´断面矢視図である。
図4(b)は、図3及び図4(a)に示す遠心分離羽根の変形例を示す断面図である。尚、図4(a)及び図4(b)のいずれも図の時計回り方向に回転駆動される遠心分離羽根5を示したものである。
【0034】
図4(a)及び図4(b)に示すように、遠心分離羽根5は、回転駆動軸6の周囲に形成される縦流路15の下端部と、スリーブ管14のフランジ部と協働して形成される横流路16と、スリーブ管14のフランジ部と連結するためのボルト用メネジ孔21とを備えている。
【0035】
上記の洗浄廃液流出溝16の形状は、回転駆動軸6を中心として遠心分離羽根5の外縁部まで延在して形成され外端部は洗浄液流入口を形成している。
この横流路16の形状は、例えば図4(a)に示すように円弧状に形成してもよく、また、例えば図4(b)に示すように、回転駆動軸6からの輻射方向に対し回転駆動軸6の回転方向(図の時計回り方向)とは反対方向に所定の傾斜角θを有するように形成してもよい。
【0036】
尚、洗浄廃液流出溝16の数は、特に限定されないが、洗浄廃液流出溝16の幅については、洗浄廃液流出溝16の数の多いときは狭く、少ないときは広くするように形成する。また、複数の洗浄廃液流出溝16は等間隔で形成されることが良いのは言うまでもない。
【0037】
(実施例2)
図5(a)は実施例2における粉砕用媒体洗浄装置の撹拌部材の平面図である。
図5(b)は図5(a)におけるD−D´断面矢視図である。尚、本例おける粉砕用媒体洗浄装置の全体的な構成は、図1から図4に示した構成と同一である。
【0038】
図5(a)及び図5(b)に示す撹拌部材4は、円板状に形成され、中心部には、回転駆動軸6の下部延長部と係合する軸係合孔22が形成されている。
回転駆動軸6の下部延長部は、特には図示しないが、略四角形に形成されており、丸棒を四面取りして形成されている。
【0039】
その回転駆動軸6の下部延長部の四角形に合わせて軸係合孔22は四角形に形成されており、また、回転駆動軸6の四角形の面取りに合わせて、軸係合孔22の四角形の各角にR22´が形成されている。
【0040】
また、撹拌部材4は、その円板状の円周に沿って、それぞれ複数(本例では3個)の円弧状孔23と突起ピン24とが形成されている。
(実施例2の変形例1)
図6(a)は、実施例2の撹拌部材の変形例1を示す図である。
【0041】
図6(b)は、図6(a)におけるE−E´断面矢視図である。
図6(a)及び図6(b)に示す撹拌部材4も、円板状に形成され、中心部には、回転駆動軸6の下部延長部と係合する軸係合孔22が形成されている。そして、軸係合孔22の四角形の各角にはR22´が形成されている。
【0042】
本変形例1における撹拌部材4は、その円板状の円周に沿って、複数(本例では3個)の円弧状孔23が形成されているのみであり、実施例2にしめしたような突起部24は形成されていない。
【0043】
(実施例2の変形例2)
図7(a)は、実施例2の撹拌部材の変形例2を示す図である。
図7(b)は、図7(a)におけるF−F´断面矢視図である。尚、本例おける粉砕用媒体洗浄装置の全体的な構成は、図1から図4に示した構成と同一である。
【0044】
図7(a)及び図7(b)に示す撹拌部材4は、円板状に形成され、中心部には、回転駆動軸6の下部延長部と係合する軸係合孔22が形成されている。そして、軸係合孔22の四角形の各角にはR22´が形成されている。
【0045】
また、本変形例における撹拌部材4は、円板状の外周部から中心部に向かって円弧状に伸びる切り欠き部25が形成されている。
このように、実施例2並びにその変形例1及び2に示すように、撹拌部材4は、何れも円板状で形成されている。これらのそれぞれ異なる形状の3種類の撹拌部材4は、使用する洗浄ビーズ34の粒子径に応じて適宜に使用される。
【0046】
尚、これら3種類の撹拌部材4は、いずれも後述する攪拌部材と組み合わせて図1に示すように使用するときは、後述する攪拌部材よりも上方に取り付けるようにするのが好ましい。
【0047】
(実施例3)
図8(a)は、実施例3おける粉砕用媒体洗浄装置の撹拌部材の平面図である。
図8(b)は、図8(a)におけるG−G´断面矢視図である。尚、本例おける粉砕用媒体洗浄装置の全体的な構成は、図1から図4に示した構成と同一である。
【0048】
図8(a)及び図8(b)に示す撹拌部材4は、回転駆動軸6と係合する軸係合孔22と、この軸係合孔22を有する中央部から放射状に突出して設けられ、やや平らで棒状体で、その平らな面に棒状体の軸に沿って突設された凸条部を有する複数(本例では3個)の四角状棒体羽根26とで形成されている。
【0049】
(実施例3変形例1)
図9(a)は、実施例3の撹拌部材の変形例1示す図である。
図9(b)は、図9(a)におけるH−H´断面矢視図である。
【0050】
図9(a)及び図9(b)に示す撹拌部材4は、回転駆動軸6と係合する軸係合孔22と、この軸係合孔22を有する中央部から放射状に突出して設けられた複数(本変形例では4個)の板状棒体羽根27とで形成されている。
【0051】
(実施例3変形例2)
図10(a)は、実施例3の撹拌部材の変形例2示す図である。
図10(b)は、図10(a)におけるI−I´断面矢視図である。
【0052】
図10(a)及び図10(b)に示す撹拌部材4は、回転駆動軸6と係合する軸係合孔22と、この軸係合孔22を有する中央部から放射状に突出して設けられた複数(本変形例では4個)の断面丸形の棒体羽根28で形成されている。
【0053】
このように、実施例3並びにその変形例1及び2に示すように、撹拌部材4は、何れも棒体で形成されている。これらのそれぞれ異なる形状の3種類の撹拌部材4は、使用する洗浄ビーズ34の粒子径に応じて適宜に使用される。
【0054】
尚、これら3種類の撹拌部材4は、いずれも上述した実施例2並びにその変形例1及び2に示した攪拌部材と組み合わせて図1に示すように使用するときは、それら実施例2並びにその変形例1及び2の攪拌部材よりも下方に取り付けるようにするのが好ましい。
【0055】
図11は、図1に示した粉砕用媒体洗浄装置1の洗浄液配管系統図である。図11に示すように、洗浄液は洗浄液タンク29に貯蔵され、ポンプ30によって連続的に洗浄液供給口7、8を介して洗浄室2に供給される。
【0056】
洗浄液供給口7及び8から供給される洗浄液は、使用用途に応じてそれぞれ弁31の開閉により供給量を調節することができる。上部洗浄液供給口7には、洗浄前の洗浄ビーズ34が洗浄前ビーズ貯留タンク32から供給される。
【0057】
図12は、既存の粉砕装置の容器に本実施の形態に係る洗浄装置を適用した状態を示す側断面図である。つまり、同図12に示す粉砕媒体洗浄装置35はこれまでに説明した粉砕用媒体洗浄装置1の上部の搭載部分(遠心分離羽根5など)を既存の粉砕装置に合体させて構成されている。尚、これらの構成及び図示した他の構成については、図1に示す粉砕用媒体洗浄装置1と同様であるため説明を省略する。
【0058】
このように既存の粉砕装置に本実施の形態に係る洗浄機能を備えることができるので、既存の粉砕装置を所持している使用者にも洗浄機能を提供することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、洗浄室内に連続的に洗浄液を供給しながら洗浄ビーズ34を洗浄し、且つ洗浄した洗浄ビーズ34と洗浄液とを分離させることができるので、粒子の径が小さい洗浄ビーズ34を容易に洗浄し、且つ、洗浄ビーズ34を流失させずに再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施例1における粉砕用媒体洗浄装置の側断面図である。
【図2】(a)は図1におけるA−A´断面矢視図である。(b)は図1におけるB−B´断面矢視図である。
【図3】実施例1における粉砕用媒体洗浄装置の遠心分離羽根の近傍を拡大して示す側断面図である。
【図4】(a)は図3におけるC−C´断面矢視図である。(b)は実施例1における粉砕用媒体洗浄装置の遠心分離羽根の変形例を示す断面図である。
【図5】(a)は実施例2における粉砕用媒体洗浄装置の撹拌部材の平面図である。(b)は同図5(a)におけるD−D´断面矢視図である。
【図6】(a)は実施例2の撹拌部材の変形例1を示す図である。(b)は同図6(a)におけるE−E´断面矢視図である。
【図7】(a)は実施例2の撹拌部材の変形例2を示す図である。(b)は同図7(a)におけるF−F´断面矢視図である。
【図8】(a)は実施例3おける粉砕用媒体洗浄装置の撹拌部材の平面図である。(b)は同図8(a)におけるG−G´断面矢視図である。
【図9】(a)は実施例3の撹拌部材の変形例1示す図である。(b)は同図9(a)におけるH−H´断面矢視図である。
【図10】(a)は実施例3の撹拌部材の変形例2示す図である。(b)は同図10(a)におけるI−I´断面矢視図である。
【図11】図1に示した粉砕媒体洗浄装置の洗浄液配管系統図である。
【図12】既存の粉砕装置の容器に本実施の形態に係る洗浄装置を適用した状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 粉砕用媒体洗浄装置
2 洗浄室
3 筒状容器
4 撹拌部品
5 遠心分離羽根
6 回転駆動軸
7 洗浄液供給口
8 洗浄液供給口
9 洗浄廃液排出口
10 固定部
11 カラー部材
12 冷却ジャケット
13 クランプ
14 スリーブ管
15 縦流路
16 洗浄廃液流出溝
17 洗浄液排出穴
18 軸シールカバー
19 軸受け部
20 スリーブ管受け部
21 ボルト用メネジ孔
22 軸係合孔
23 円弧状孔
24 突起ピン
25 切り欠き部
26 四角状棒体羽根
27 板状棒体羽根
28 断面丸形の棒体羽根
29 洗浄液タンク
30 ポンプ
31 弁
32 洗浄前ビーズ貯留タンク
33 ビーズ排出口
34 洗浄ビーズ
35 粉砕用媒体洗浄装置
36 洗浄室/粉砕室
37 円筒容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕用媒体及び該粉砕用媒体を洗浄する洗浄液を収容する円筒洗浄室を備えた円筒容器と、
前記円筒容器に設けられ、前記洗浄液を前記洗浄室に連続的に供給する洗浄液供給口と、
前記円筒容器に設けられ、前記洗浄液を前記洗浄室から連続的に排出する洗浄廃液排出口と、
前記洗浄室に収容され、前記粉砕用媒体及び前記洗浄液を前記洗浄室の上方に移動させる複数の撹拌部材と、
回転駆動軸を中心として前記洗浄室の外縁部まで延在して形成された複数の洗浄液排出用流路を備え、前記複数の撹拌部材で上方に移動した前記粉砕用媒体と前記洗浄液とを分離させる遠心分離羽根と、
前記撹拌部材及び前記遠心分離羽根を回転駆動する回転駆動軸と、
を有することを特徴とする粉砕用媒体洗浄装置。
【請求項2】
前記複数の洗浄液排出用流路は、円弧状に形成される、ことを特徴とする請求項1記載の粉砕用媒体洗浄装置。
【請求項3】
前記複数の洗浄液排出用流路は、前記回転駆動軸からの輻射方向に対し前記回転駆動軸の回転方向とは反対方向に所定の傾斜角を有して形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の粉砕用媒体洗浄装置。
【請求項4】
前記撹拌部材は、円板状に形成され、円板の一部に孔及び突起を形成され、又は円板の外周の一部に切り欠きを設けて形成される、ことを特徴とする請求項1記載の粉砕用媒体洗浄装置。
【請求項5】
前記撹拌部材は、前記回転駆動軸を中心として放射状に突出する複数の羽根を設けて成る、ことを特徴とする請求項1記載の粉砕用媒体洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄液供給口は、洗浄前の前記粉砕用媒体を前記洗浄液とともに注入する、ことを特徴とする請求項1記載の粉砕用媒体洗浄装置。

【図1】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−119353(P2009−119353A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295375(P2007−295375)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000166557)アイメックス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】