説明

粉粒体検査装置

【課題】 異物吸引動作時に他の吸引ノズルから圧縮空気が逆流して正常な部分の粉粒体を吹き飛ばすようなことがなく、しかも小さな吸引力で確実に異物を吸引することができる吸引効率に優れた粉粒体検査装置を提供すること。
【解決手段】 ベルトコンベア4に載せて送られてくる粉粒体p中の異物mを吸引するための吸込穴703を備えたノズル部701と、ジェットノズル706から圧縮空気を噴出することにより前記吸込穴703から異物を吸引するための負圧を発生するエジェクタ部702とからなるエジェクタ式異物吸引機構7〜7を用い、該吸引機構をベルトコンベア4の回転方向終端に位置してベルトコンベアの幅方向に複数個並設するとともに、これら複数個の吸引機構の圧縮空気排出口708側に位置して異物回収部8を設置し、各吸引機構の圧縮空気排出口の端面には異物回収部内からの空気の逆流を阻止するリード弁709を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体や粒体(これらを総称して「粉粒体」という)中に混入している異物を検出して自動的に除去するための粉粒体検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の粉粒体検査装置の一つとして、異物除去手段にエジェクタ式の異物吸引機構を用いたものが知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の装置は、粉粒体中に混入した微小磁性物(異物)を検出して除去することを目的とするものであって、ベルトコンベアの上方に位置して複数個の磁気センサをベルトコンベアの幅方向に並設するとともに、その下流側に位置して複数個のエジェクタ式吸引ノズルを前記複数個の磁気センサと1対1に対応させて併設したもので、ベルトコンベアに載せて送られてくる粉粒体を磁気センサで監視し、粉粒体中に混入している微小磁性物をいずれかの磁気センサが検出したら、当該微小磁性物を検出した磁気センサに対応する吸引ノズルを所定のタイミングで作動させ、検出された微小磁性物を吸引ノズルから吸引して異物回収部へ送るようにしたものである。
【0003】
【特許文献1】特開2005−28285号公報(全頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6は、上記従来装置で用いられているエジェクタ式異物吸引機構部分の構造(特許文献1の図4に該当)を示すもので、101は検査対象とする粉粒体を載せて移送するベルトコンベア、102,102,…はベルトコンベア101上に位置してベルトコンベアの幅方向に並設された複数個の吸引ノズル、103,103,…は各吸引ノズル102,102,…につながれたエジェクタ、104,104,…は各エジェクタ103,103,…へ送給する圧縮空気をオン・オフ制御する電磁弁、105は吸引ノズル102,102,…によって吸引された微小磁性物を収容するための異物回収部、106はコントローラである。
【0005】
図において、例えば第1の吸引ノズル102に対応する第1の磁気センサ(図示せず)が微小磁性物(異物)を検出すると、コントローラ106は該検出された微小磁性物が第1の吸引ノズル102の直下に達した時点で第1の電磁弁104を作動し、第1のエジェクタ103に圧縮空気を送給する。第1のエジェクタ103は、この圧縮空気を内部のジェットノズルから異物回収部105側に向けて噴出する。この噴出する空気流によってエジェクタ内に吸引力(負圧)が発生し、この負圧によって第1の吸引ノズル102から微小磁性物が吸引される。そして、この吸引された微小磁性物は異物回収部105に送られ、微小磁性物の除去が行なわれるものである。
【0006】
しかしながら、上記従来装置の場合、次のような問題があった。第1の吸引ノズル102から微小磁性物(異物)を吸引する場合を例に採って説明する。電磁弁104を作動して第1のエジェクタ103に圧縮空気を送給し、この圧縮空気をエジェクタ内部のジェットノズルから異物回収部105側に向けて噴出すると、この圧縮空気によって異物回収部105内の空気量が急激に増大し、その内部圧が上昇する。圧力上昇した空気は、異物取り出し用の配管以外に充分な逃げ場がないため、異物吸引動作を行なっている第1の吸引ノズル102以外の他の吸引ノズル102,…に向かって流れ込み、他の吸引ノズルからベルトコンベア面に向けて吹き出されてしまう。この結果、異物の存在しない正常な部分の粉粒体が吹き飛ばされて舞い上がり、周囲に飛散してしまうおそれがあった。
【0007】
また、上記従来装置の場合、各吸引ノズル102,102,…は、水平に配置されたベルトコンベア面の上方に位置して垂直下向きに配置されている。このため、吸引ノズルによってベルトコンベア上の異物を吸引する際には、重力に逆らって異物を垂直上方へ持ち上げて吸い込まねばならず、吸引効率が悪いという問題があった。このため、確実な異物吸引を行なわせるには大きな吸引力を必要とし、各エジェクタ103,103,…に供給する圧縮空気の圧力もそれだけ高くしなければならず、コンプレッサなどの圧縮空気供給手段も高価なものにならざるを得ないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、異物吸引動作時に他の吸引ノズルから空気が逆流して正常な部分の粉粒体を吹き飛ばすようなことがなく、しかも小さな吸引力でも確実に異物を吸引することができる吸引効率に優れた粉粒体検査装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では次のような手段を採用した。
すなわち、請求項1記載の発明は、検査対象とする粉粒体を搬送手段に載せて移送しながら粉粒体中に混入している異物を異物検出手段によって検出し、該検出結果に基づいて異物除去手段によって搬送手段上の異物を除去するようにした粉粒体検査装置において、前記異物除去手段として、搬送手段に載せて送られてくる粉粒体中の異物を吸引するための吸込穴を備えたノズル部と、ジェットノズルから圧縮空気を噴出することにより前記吸込穴から異物を吸引するための負圧を発生するエジェクタ部とからなるエジェクタ式異物吸引機構を用い、該エジェクタ式異物吸引機構を前記異物検出手段よりも下流側に位置して搬送手段の幅方向に複数個並設するとともに、これらエジェクタ式異物吸引機構の圧縮空気排出口側に位置して、各圧縮空気排出口から排出されてくる異物を一堂に集めて収容する異物回収部を設置し、該異物回収部内に開口する各圧縮空気排出口の端面に、異物吸引時には圧縮空気排出口から噴出される圧縮空気の空気流によって押し開かれ、かつ、該空気流がないときには圧縮空気排出口を覆うように閉じる逆流阻止用のリード弁を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、前記請求項1に係る粉粒体検査装置において、前記搬送手段が無端式のベルトコンベアからなり、異物吸引機構のノズル部の吸込穴は、前記ベルトコンベアの終端位置においてベルトコンベアの送り方向と同じ方向に向かって伸びる水平穴とされているともに、該吸込穴の先端面は、回転するローラに沿って円弧状に曲がるベルトコンベアの外周面と相似な円弧状曲面とされ、該吸込穴先端の円弧状曲面を、ベルトコンベアとの間に僅かなすき間をおいて、ベルトコンベアの円弧状外周面と向き合うように対向配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、異物回収部内に開口する各エジェクタ式異物吸引機構の圧縮空気排出口の端面に、異物吸引時には圧縮空気排出口から噴出される圧縮空気の空気流によって押し開かれ、かつ、該空気流がないときには圧縮空気排出口を覆うように閉じる逆流阻止用のリード弁を取り付けたので、いずれかのエジェクタ式異物吸引機構が異物吸引動作を行なって異物回収部内の空気圧が急激に高くなっても、他のエジェクタ式異物吸引機構のリード弁がそれぞれの圧縮空気排出口を塞ぎ、異物回収部内の空気の逆流を阻止する。このため、異物回収部内の空気が吸込穴から逆流して搬送手段上の粉粒体を吹き飛ばしてしまうというようなことがなくなる。また、逆流阻止手段としてリード弁を用いたので、弁開閉のための駆動装置や制御装置などが不要であり、極めて簡単な構造でありながら確実な逆流阻止効果を発揮することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、吸込穴先端の円弧状曲面を、ベルトコンベアとの間に僅かなすき間をおいて、ベルトコンベアの円弧状外周面と向き合うように対向配置したので、異物の吸引動作時、円弧状曲面に沿って吸込穴へ向かう空気流が発生する。このため、異物とその周辺の粉粒体をこの空気流に乗せて確実に吸込穴まで誘導することができ、極めて優れた吸引作用を発揮することができる。また、ノズル部の吸込穴を、ベルトコンベアの終端位置においてベルトコンベアの送り方向と同じ方向に向かって伸びる水平穴としたので、ベルトコンベアに載せて送られてくる異物をベルトコンベアの移動方向に沿って効率的に吸い込むことができ、従来のように重力に逆らって垂直上方へ吸い上げる必要がなくなる。このため、重さの軽い異物から重さの重い異物まで、小さな吸引力で吸い込むことが可能となる。この結果、吸引用の負圧を発生するための圧縮空気供給手段も小型廉価なもので済み、装置の小型化とコスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図5は本発明に係る粉粒体検査装置の一実施の形態を示すもので、図1は装置全体の構造を示す略示正面図、図2は図1中のエジェクタ式異物吸引機構周辺の拡大断面図、図3はその平面図、図4はその側面図、図5はエジェクタ式異物吸引機構の拡大断面図である。なお、この実施の形態は、1つのベルトコンベア4に対して6個のエジェクタ式異物吸引機構7〜7をその幅方向に沿って並設した場合の例を示すものである。
【0014】
ホッパー1は、検査対象とする粉粒体を無端式のベルトコンベア4へ供給するもので、例えば中空円錐状に形成されている。検査対象とする粉粒体としては、例えば粉末洗剤、顆粒状薬剤、料理用粉末調味料などを挙げることができる。ホッパー1の下端側には、粉粒体を一定量で送り出すための定量供給装置2が取り付けられており、この定量供給装置2の下側に位置して、粉粒体を均等に均してベルトコンベア4へ送るための振動板3が配置されている。この振動板3は、振動装置3aによって高速微振動されており、定量供給装置2から粉粒体pが落下供給されると、その高速微振動によって粉粒体を均等な厚さに均し、ベルトコンベア4へと送り出すものである。通常、この振動板3は水平に配置されるが、ベルトコンベア4に向けて僅かに傾斜して配置してもよい。
【0015】
ベルトコンベア4は、モータ(図示略)などの駆動手段によって回転駆動されるローラ4a,4bに架け渡された所定幅の無端ベルトであって、矢印方向へ一定速度で回転され、振動板3から送り出されてくる粉粒体pをその上に載せて図中右方へ向けて一定速度で移送していくものである。このベルトコンベア4の中間位置には、ベルトコンベア4の上方に位置して、撮像手段を構成する例えば6台のCCDカメラ5〜5がベルトコンベア4の幅方向に並設されており、ベルトコンベア4に載せて送られてくる粉粒体pをベルトコンベアの幅方向全幅にわたって上方から撮影し、その撮影画像を画像処理装置6に送り、画像処理装置6において画像処理することにより、ベルトコンベア4上のどの位置に異物mが存在しているかを検出するものである。これらCCDカメラ5〜5と画像処理装置6が異物検出手段を構成している。
【0016】
ベルトコンベア4の回転方向終端位置には、6個のエジェクタ式異物吸引機構(以下、「吸引機構」と略称)7〜7が前記6台のCCDカメラ5〜5と1対1に対応させてベルトコンベア4の幅方向に並設されているとともに、その背部側にはこれら吸引機構7〜7によって吸引された異物mを収容するための異物回収部8が設けられている。また、吸引機構7〜7の下方側には粉粒体回収シュート9が配置され、吸引機構7〜7によって異物mを吸引除去された後の正常な粉粒体pのみを回収するように構成されている。
【0017】
上記各吸引機構7〜7は、図5にその詳細を示すように、ノズル部701と、エジェクタ部702とを備えている。ノズル部701は、異物mを吸い込むための吸い込み機構を構成するもので、ベルトコンベア4の終端位置においてベルトコンベア4の送り方向と同じ方向に向かって水平に伸びる吸込穴703を備え、この吸込穴703の先端面704の形状をローラ4bに沿って円弧状に曲がるベルトコンベア4の外周面と相似な円弧状曲面とし、この円弧状曲面からなる先端面704を、円弧状に曲がるベルトコンベア4の外周面との間に僅かなすき間をおいて、ベルトコンベア4と対向配置させたものである。
【0018】
エジェクタ部702は、異物mを吸い込むための吸引力発生機構であって、前記吸込穴703に連なる連通穴705を備え、この連通穴705の先端周囲には、異物回収部8側へ向かって傾斜配置されたジェットノズル706が形成され、このジェットノズル706に圧縮空気供給口707が連通されている。圧縮空気供給口707から圧縮空気が供給されると、圧縮空気はジェットノズル706から異物回収部8側へ向けて噴出される。この噴出された空気流によって連通穴705の先端部付近に大きな負圧が発生し、この負圧によって吸込穴703先端から空気とともに異物mが吸い込まれ、異物回収部8へと送られるものである。
【0019】
さらに、本発明の場合、エジェクタ部702の圧縮空気排出口708の端面に位置して、逆流阻止用の開閉自在なリード弁709が圧縮空気排出口708を覆うように取り付けられている。このリード弁709は、例えば弾性プラスチックシート、弾性金属板などの復元性を有する弾性薄板から作られており、ジェットノズル706から圧縮空気が噴出されていない場合には、圧縮空気排出口708を覆う蓋の役目をし、ジェットノズル706から圧縮空気が噴出された場合には、その空気流によって押し上げられ、図5中に二点鎖線で示すように、圧縮空気排出口708を開くものである。このリード弁709を設けることにより、後述の動作説明から明らかとなるように、異物吸引動作時における異物回収部8内の空気の逆流を阻止するものである。
【0020】
なお、図1中、符号10は各吸引機構へ圧縮空気を送給するためのコンプレッサなどの圧縮空気供給手段、11〜11は圧縮空気供給手段10と各吸引機構7〜7との間を結ぶ圧縮空気配管、12〜12は各吸引機構への圧縮空気の送給をオン・オフ制御する電磁弁、13は装置全体の動作を制御するコントローラである。
【0021】
次に、上記装置の動作を説明する。
まず最初に、異物mが混入していない場合の動作について述べる。
処理が開始されると、ホッパー1内の粉粒体pは定量供給装置2によって振動板3上に一定量で送り出されていく。振動板3は振動装置3aによって高速微振動されており、振動板3上に落下供給された粉粒体pはこの高速微振動によって薄く均等な厚さに均され、ベルトコンベア4へと送り出される。
【0022】
ベルトコンベア4上に送り出された粉粒体pは、ベルトコンベア終端側へ向けて移送されていくが、その途中においてベルトコンベア4の幅方向全幅にわたって並設された6台のCCDカメラ5〜5によって上方から撮影され、各カメラの撮像画像が画像処理装置6に送られる。画像処理装置6は、各CCDカメラ5〜5から送られてくる撮影画像を基に画像処理によって異物mの有無を監視する。今の場合、異物mは存在しないと仮定しているので、画像処理装置6からは異物mの検出信号は何ら発生しない。このため、吸引機構7〜7のいずれも作動しない。
【0023】
画像処理によって異物mの有無を検査された後の粉粒体pは、さらにベルトコンベア終端側に向けて移送されていき、ベルトコンベア終端に達すると、自重によって粉粒体回収シュート9内に落下していき、図示を略した粉粒体回収箱に収容される。以上のように、異物mが存在しない場合にはいずれの吸引機構7〜7も作動しない。
【0024】
次に、粉粒体p中に異物mが混入している場合の動作を説明する。
粉粒体p中に異物mが混入していると、前記画像処理装置6によってその存在が検出される。そして、画像処理装置6は、どのCCDカメラにおいて異物mが検出されたかの位置情報とともに、異物検出信号をコントローラ13に向けて送出する。
【0025】
異物mは粉粒体pと一緒になってベルトコンベア終端に向けて移送されていく。そして、検出された異物mが並設された吸引機構7〜7の吸込穴703の位置まで達すると、コントローラ13は、前記画像処理装置6から送られてきた検出情報に基づいて、異物mを検出したCCDカメラに対応する位置の吸引機構の電磁弁をオンし、その弁口を開く。
【0026】
以下、説明を分かりやすくするため、第1のCCDカメラ5において異物mが検出されたものと仮定して説明する。第1のCCDカメラ5において異物mが検出されると、この第1のCCDカメラ5に対応する第1の吸引機構7につながれた電磁弁12がオンされ、その弁口が開かれる。
【0027】
電磁弁12がオンされてその弁口が開かれると、圧縮空気配管11を通じて圧縮空気供給手段10から圧縮空気が第1の吸引機構7に送給される。第1の吸引機構7に送給された圧縮空気は、エジェクタ部702のジェットノズル706から異物回収部8側へ向けて噴出される。
【0028】
圧縮空気がジェットノズル706から噴出されると、この空気流によってジェットノズル706と連通穴705の交差部付近に大きな負圧が発生し、この負圧によって吸込穴703の先端から空気とともに異物mが吸い込まれ、異物回収部8に収容される。このとき、圧縮空気排出口708の端面に取り付けられているリード弁709は噴出された空気流によって、図5中に二点鎖線で示すように押し上げられて開かれるので、リード弁709が異物mの吸引動作の邪魔となることはない。
【0029】
一方、異物吸引動作を行なっていない他の吸引機構7〜7には、圧縮空気供給手段10から圧縮空気が送給されない。したがって、第1の吸引機構7が異物mを吸引し、これによって異物回収部8内の空気圧が急激に高くなると、リード弁709を備えていない従来装置の場合には、異物回収部8内の空気が異物吸引動作を行なっていない他の吸引機構7〜7の圧縮空気排出口708に向かって逆流し、吸込穴703から逆噴射してベルトコンベア上の粉粒体を舞い上げていた。
【0030】
これに対し、本発明装置の場合、異物回収部8内の空気圧が上昇しても、異物吸引動作を行なっていない他の吸引機構7〜7のリード弁709が、上昇した空気圧によって圧縮空気排出口708に向けて押し付けられ、圧縮空気排出口708を自動的に閉鎖する。このため、異物回収部8内の空気が異物吸引動作を行なっていない他の吸引機構7〜7から逆流するというようなことがなくなり、ベルトコンベア4上の粉粒体を舞い上げてその周囲にまき散らしてしまうというようなこともなくなる。
【0031】
また、異物mの吸引時には、確実な異物除去動作を行なうために異物周辺の粉粒体も異物と一緒になって吸い込む必要があるが、本発明装置の場合、異物mとその周辺の粉粒体を確実かつ効率的に吸い込むことができる。すなわち、本発明装置の場合、吸込穴703の先端面704を、ローラ4bに沿って円弧状に曲がるベルトコンベア4の外周面と相似な円弧状曲面とし、この円弧状曲面からなる先端面704をベルトコンベア4の円弧状の外周面と僅かなすき間をおいて向き合うように対向配置している。このため、異物mの吸引時、吸込穴703から吸い込まれる空気は円弧状をした先端面704とコンベア4との間に形成されたすき間を通って吸い込まれ、吸込穴703の周辺にはこのすき間に沿って吸込穴703に向かう空気流が発生する。したがって、粉粒体はこの空気流に乗ってすべて吸込穴703内へ吸い込まれるようになり、異物とその周辺の粉粒体を確実に吸引することができ、確実な異物除去動作を実現することができる。
【0032】
さらに、前記吸込穴703は、ベルトコンベア終端位置においてベルトコンベア4の送り方向と同じ方向に向かって水平に伸びる穴とされているので、吸込穴703による異物mの吸い込み方向とベルトコンベア4の送り方向とが一致し、ベルトコンベア4による搬送力も異物mの吸い込み力として利用することができる。このため、従来装置のように重力に逆らって垂直上方へ吸い上げる必要がなくなり、小さな吸引力を作用させるだけで異物mを吸込穴703内へ吸い込むことが可能となる。この結果、吸引力を発生させるための圧縮空気供給手段10も廉価で小容量のもので済み、装置の小型化とコスト低減を図ることができる。
【0033】
なお、上記実施の形態は、6台のCCDカメラと6個の吸引機構を用いた場合の例を示したが、CCDカメラと吸引機構の数はこれに限定されるものではなく、装置の仕様によって決定すればよい。また、上記実施の形態は、1台のCCDカメラと1個の吸引機構とを1対1に対応させた場合について例示したが、CCDカメラと吸引機構の対応関係もこれに限定されるものではなく、例えば、CCDカメラ1台に対して複数個の吸引機構を対応させ、あるいは逆に、複数台のCCDカメラに対して1個の吸引機構を対応させてもよく、装置の仕様によって決定すればよい。さらに、撮影手段としてCCDカメラを用いたが、例えばラインセンサー、赤外線カメラなど、他の撮影手段を用いてもよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る粉粒体検査装置の一実施の形態を示すもので、装置全体の構造を示す略示正面図である。
【図2】図1中のエジェクタ式異物吸引機構周辺の拡大断面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2の側面図である。
【図5】エジェクタ式異物吸引機構の構造を示す拡大断面図である。
【図6】従来装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ホッパー
2 定量供給装置
3 振動板
3a 振動装置
4 ベルトコンベア
4a,4b ローラ
〜5 CCDカメラ(撮像手段)
6 画像処理装置
〜7 エジェクタ式異物吸引機構
8 異物回収部
9 粉粒体回収シュート
10 圧縮空気供給手段
11〜11 圧縮空気配管
12〜12 電磁弁
13 コントローラ
701 ノズル部
702 エジェクタ部
703 吸込穴
704 吸込穴の先端面
705 連通穴
706 ジェットノズル
707 圧縮空気供給口
708 圧縮空気排出口
709 リード弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象とする粉粒体を搬送手段に載せて移送しながら粉粒体中に混入している異物を異物検出手段によって検出し、該検出結果に基づいて異物除去手段によって搬送手段上の異物を除去するようにした粉粒体検査装置において、
前記異物除去手段として、搬送手段に載せて送られてくる粉粒体中の異物を吸引するための吸込穴を備えたノズル部と、ジェットノズルから圧縮空気を噴出することにより前記吸込穴から異物を吸引するための負圧を発生するエジェクタ部とからなるエジェクタ式異物吸引機構を用い、
該エジェクタ式異物吸引機構を前記異物検出手段よりも下流側に位置して搬送手段の幅方向に複数個並設するとともに、これらエジェクタ式異物吸引機構の圧縮空気排出口側に位置して、各圧縮空気排出口から排出されてくる異物を一堂に集めて収容する異物回収部を設置し、
該異物回収部内に開口する各圧縮空気排出口の端面に、異物吸引時には圧縮空気排出口から噴出される圧縮空気の空気流によって押し開かれ、かつ、該空気流がないときには圧縮空気排出口を覆うように閉じる逆流阻止用のリード弁を設けたことを特徴とする粉粒体検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の粉粒体検査装置において、
前記搬送手段が無端式のベルトコンベアからなり、
異物吸引機構のノズル部の吸込穴は、前記ベルトコンベアの終端位置においてベルトコンベアの送り方向と同じ方向に向かって伸びる水平穴とされているともに、該吸込穴の先端面は、回転するローラに沿って円弧状に曲がるベルトコンベアの外周面と相似な円弧状曲面とされ、
該吸込穴先端の円弧状曲面を、ベルトコンベアとの間に僅かなすき間をおいて、ベルトコンベアの円弧状外周面と向き合うように対向配置したことを特徴とする粉粒体検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−40818(P2007−40818A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224971(P2005−224971)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000115418)ライオンエンジニアリング株式会社 (9)
【Fターム(参考)】