説明

粉粒体混合システム

【課題】粉粒体の連続搬送中に、予め定められた混合割合で混合を精度良く行う混合システムを提供する。
【解決手段】特定種別の石炭Aの質量を計測し、搬送する第1石炭搬送経路22と、前記石炭Aと異なる種別の石炭Bの質量を計測し搬送する第2石炭搬送経路32と、前記石炭Aと前記石炭Bとを搬送中に混合した混炭を搬送する混炭搬送経路12とからなる。前記石炭Aと前記石炭Bの混合比率を予め定め、前記混炭の混合比率がその値となるように、前記石炭Bの単位時間当たりの搬送量を調整する制御手段を備え、前記制御手段は、前記石炭Aの質量が計測されてから、前記石炭Aが前記混合位置に至るまでの時間t1から前記石炭Bの質量が計測されてから、前記石炭Bが前記混合位置に至るまでの時間t2を減算して得られる時間差t3に基づいて前記石炭Bの単位時間当たりの搬送量を調整する信号を前記第2石炭搬送経路へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種類の異なる石炭や木材チップ、小麦、米等のいわゆる粉粒体を所定の割合で混合するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
混合対象の粉粒体の一例として、石炭を挙げることができる。一口に石炭と言っても、採掘地などによって定められた種類によって種々の燃焼特性がある。このため、石炭を製品として安定供給するためには、商品としての石炭の燃焼特性のバラツキを抑える必要がある。
【0003】
例えば、燃焼効率が高く燃焼時間の短い石炭Aと、燃焼効率が低く燃焼時間の長い石炭Bとを貯蔵している場合、石炭Aと石炭Bを所定の割合で混合することで、燃焼効率と燃焼時間が安定した石炭を供給することが可能となる。しかし従来、石炭の混合(混炭)には比率制御による混合が行われておらず、結果として供給された石炭の燃焼が不安定なものとなることが多いという実状があった。
【0004】
石炭の混合に関連する技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているようなものが知られている。特許文献1に開示されている技術は、石炭に対してバイオマスの炭化物を混合するというものである。特許文献1によれば、コンベアにより貯炭場から搬送される石炭に対し、軽量ホッパにより質量計測された炭化物を混合するというものである。
【0005】
また、特許文献2に開示されている技術は、石炭に対して廃プラスチックや古紙などのサーマルリサイクル用燃料を混合するというものである。特許文献2では、コールセンタなどに貯蔵された石炭と、他の場所に貯蔵されたサーマルリサイクル用燃料とをトラックなどの荷台に合い積みし、これを搬送経路に接続された受入ホッパに供給し、ホッパや搬送経路を経た搬送工程において、石炭とサーマルリサイクル用燃料を混合するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−209080号公報
【特許文献2】特開2002−356689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
確かに、上記文献に開示されているような技術を応用すれば、種類の異なる石炭(粉粒体)同士を混合し、安定した品質の石炭を供給することが可能となると考えられる。しかし、引用文献1に開示されている混合方法では単純に、質量を計量した炭化物を、コンベアにより搬送されてくる石炭に混合するというものであるため、石炭と炭化物の混合割合にバラツキが大きいといった問題がある。また、特許文献2に開示されている混合方法では、トラック等に積載する際に、重量比率により石炭とサーマルリサイクル用燃料の混合割合を定めておくことは可能であるが、搬送の都度両者の重量計測を行う必要があり、搬送と混合を連続して行うことはできないという問題がある。
【0008】
そこで本発明では、石炭等の粉粒体を連続搬送する中で、予め定められた混合割合での混合を精度良く行うことのできる粉粒体混合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る粉粒体混合システムは、特定種別の粉粒体Aの質量を計測すると共に質量を計測された前記粉粒体Aを搬送する第1粉粒体搬送経路と、前記粉粒体Aと異なる種別の粉粒体Bの質量を計測すると共に質量を計測された前記粉粒体Bを搬送する第2粉粒体搬送経路と、前記粉粒体Aと前記粉粒体Bを混合して精製される混合物を搬送する混合物搬送経路と、前記混合物搬送経路上の混合位置において精製される混合物における前記粉粒体Aと前記粉粒体Bの混合比率を定め、前記混合物の混合比率が定めた値となるように、前記粉粒体Bの単位時間当たりの搬送量を調整する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記粉粒体Aの質量が計測されてから、前記粉粒体Aが前記混合位置に至るまでの時間t1から前記粉粒体Bの質量が計測されてから、前記粉粒体Bが前記混合位置に至るまでの時間t2を減算して得られる時間差t3に基づいて前記粉粒体Bの単位時間当たりの搬送量を調整する信号を前記第2粉粒体搬送経路へ出力することを特徴とする。
【0010】
また、上記のような特徴を有する粉粒体混合システムにおいて前記制御手段は、計測された粉粒体Aの質量と前記粉粒体Aと前記粉粒体Bの混合比率とより算出される粉粒体Bの質量を単位時間毎に記憶する記憶手段を有し、前記粉粒体Aの質量計測時から前記時間差t3だけ前に記憶された粉粒体Bの質量を単位時間当たりの搬送量として前記信号を出力すると良い。
【0011】
このような構成とすることによれば、粉粒体Bの質量の計測位置から混合位置に至るまでにタイムラグがある場合であっても、粉粒体の混合を精度良く行うことができる。
【0012】
また、上記課題を解決するための本発明に係る粉粒体混合システムは、特定種別の粉粒体Aの質量を計測すると共に質量を計測された前記粉粒体Aを搬送する第1粉粒体搬送経路と、前記粉粒体Aと異なる種別の粉粒体Bを搬送する第2粉粒体搬送経路と、前記粉粒体Aと前記粉粒体Bを混合して精製される混合物の質量を計測すると共に前記混合物を搬送する混合物搬送経路と、前記混合物搬送経路上の混合位置において精製される混合物における前記粉粒体Aと前記粉粒体Bの混合比率を定め、前記混合物の混合比率が定めた値となるように、前記粉粒体Bの単位時間当たりの搬送量を調整する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記粉粒体Aの質量が計測されてから、前記粉粒体Bと混合されて前記混合物搬送経路における質量計測位置に至るまでの時間t4だけ以前に記憶された混合物の質量と前記混合物搬送経路において計測された実際の混合物の質量とを比較し、前記粉粒体Bの単位時間当たりの搬送量を調整する信号を前記第2粉粒体搬送経路へ出力することを特徴とするものであっても良い。
【0013】
さらに、上記のような特徴を有する粉粒体混合システムにおいて前記制御手段から前記第2粉粒体搬送経路へ出力される信号は、前記第2粉粒体搬送経路を駆動するモータに対する指令回転数を指示するための指令信号であり、前記第2粉粒体搬送経路には、第2粉粒体搬送経路を構成するプーリの回転数を検出する実回転数検出手段が備えられ、前記モータに対する指令回転数と前記実回転数とを表示する指令手段を設けるようにすると良い。
このような構成とすることにより、第2粉粒体搬送経路におけるベルトスリップを検知することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
上記のような特徴を有する粉粒体混合システムによれば、粉粒体を連続搬送する中で、予め定められた混合割合で、精度良く、粉粒体Aと粉流体Bを混合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る粉粒体混合システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る粉粒体混合システムにおけるPLCの記憶手段と、記憶データの選出の様子を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る粉粒体混合システムの搬送系統が複数ある場合の例を示すブロック図である。
【図4】指令手段における表示画面の一例を示す図である。
【図5】(A)は第1石炭搬送経路における単位時間当たりの搬送量と経過時間を示すグラフであり、(B)は第2石炭搬送経路における単位時間当たりの搬送量と経過時間を示すグラフであり、(C)は混炭搬送経路における単位時間当たりの搬送量と搬送距離を示すグラフである。
【図6】実施形態に係る粉粒体混合システムの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の粉粒体混合システムに係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態では、混合対象とする粉粒体を石炭として、その具体例を挙げて説明する。よって、以下の説明において、石炭は粉粒体、混炭は混合物としてそれぞれ読み替えた場合であっても、その意味は変わらない。まず、図1を参照して本発明の粉粒体混合システム(以下、混炭システム10と称す)に係る基本形態について説明する。
【0017】
本実施形態に係る混炭システム10は、混炭搬送経路(混合物搬送経路)12と第1石炭搬送経路(第1粉粒体搬送経路)22、第2石炭搬送経路(第2粉粒体搬送経路)32、制御手段42、および指令手段50を基本として構成される。
【0018】
混炭搬送経路12は、詳細を後述する第1石炭搬送経路22によって搬送される特定種別の石炭(以下、石炭A(粉粒体A)と称す)と第2石炭搬送経路32によって搬送される石炭Aと異なる種別の石炭(以下、石炭B(粉粒体B)と称す)の混合物(以下、混炭と称す)を貯蔵場所まで搬送するための搬送経路である。混炭搬送経路12は、少なくとも上流混炭搬送手段14と混炭計量手段16、および下流混炭搬送手段20とを備える。上流混炭搬送手段14は、石炭Aと、石炭Bとを混合するための搬送手段である。上流混炭搬送手段14の具体的な構成の一例としては、モータ14aを介して駆動されるベルトコンベアを挙げることができる。上流混炭搬送手段14を介した混合は、まず、石炭Aを上流混炭搬送手段14に移載する(以下、上流混炭搬送手段14に対する石炭Aの移載位置を移載位置と称す)。上流混炭搬送手段14に移載された石炭Aが、石炭Bの移載場所(以下、混合位置と称す)まで搬送されることで、石炭Aと石炭Bが混合され、混炭が精製される。
【0019】
混炭計量手段16は、上流混炭搬送手段14を介して精製された混炭の質量を計測する役割を担う。石炭Aと石炭Bが所望する比率で混合されたか否かを、実際の混炭質量に基づいてフィードバックするためである。本実施形態の混炭計量手段16は、ベルトスケールを採用する。ベルトスケールを採用することで、単位時間あたりに搬送されて来る混炭の質量を連続して計測することが可能となるからである。つまり、計量に際して上流混炭搬送手段14を停止させる必要は無いのである。ベルトスケールである混炭計量手段16は、モータ16aを介して駆動するベルトコンベアと、計量器18を有する。
【0020】
下流混炭搬送手段20は、混炭計量手段16を介して計測された混炭を貯蔵場所まで搬送する搬送手段である。下流混炭搬送手段20の構成は、上述した上流混炭搬送手段14と同様であれば良く、例えばモータ20aを介して駆動されるベルトコンベアであれば良い。
このような構成の混炭搬送経路12によれば、石炭Aと石炭Bを混合して生成した混炭を計量し、その後貯蔵場所まで搬送することができる。
【0021】
第1石炭搬送経路22は、石炭Aの貯蔵場所である1次出荷元と上述した混炭搬送経路12における移載位置とを結ぶ搬送経路である。第1石炭搬送経路22は、上述した混炭搬送経路12と同様に、上流石炭搬送手段24と石炭A計量手段26、及び下流石炭搬送手段30とを有する。上流石炭搬送手段24は、1次出荷元に貯蔵された石炭Aを石炭A計量手段26まで搬送する手段であり、例えばベルトコンベア等であれば良い。ベルトコンベアである上流石炭搬送手段24には、駆動源としてのモータ24aが設けられている。
【0022】
石炭A計量手段26は、上流石炭搬送手段24を介して搬送された石炭Aの単位時間当たりの質量(t/s)を計測する役割を担う。この石炭A計量手段26によって計測される石炭Aの質量と、詳細を後述する指令手段によって予め定められた混合比率に基づいて、石炭Bの搬送量(質量(t/s))を定めるためである。石炭A計量手段26としては、上記混炭搬送経路12における混炭計量手段16と同様に、モータ26aによって駆動されるベルトスケール等で良く、計量器18を有する。ベルトスケールを採用することで、単位時間あたりに搬送されて来る混炭の質量を連続して計測することが可能となるからである。
【0023】
下流石炭搬送手段30は、石炭A計量手段26によって計測された後の石炭Aを混炭搬送経路12における移載位置まで搬送するための手段である。下流石炭搬送手段30の具体的な構成としては、モータ30aを介して駆動されるベルトコンベアであれば良い。なお、第1石炭搬送経路22における下流石炭搬送手段30は必ずしも必要では無く、例えば石炭A計量手段26による石炭Aの排出場所を混炭搬送経路12上の移載位置とした場合には、下流石炭搬送手段30は不要となる。
【0024】
第2石炭搬送経路32は、少なくとも海上ホッパ34と石炭B計量手段36を備え、海上ホッパ34に充填された石炭Bを混炭搬送経路12における混合位置に移載する役割を担う。海上ホッパ34には、船舶等から荷揚げされた石炭Bが充填され、海上ホッパ34は、充填された石炭Bを石炭B計量手段36に切り出す。
【0025】
石炭B計量手段36は、海上ホッパ34によって単位時間当たりに切り出された石炭Bの質量を計測しつつ、石炭Bを混炭搬送経路12における混合位置に移載する。石炭B計量手段36の具体的構成としては、ベルトスケールで良い。石炭B計量手段36には、その駆動を制御するモータ36aと、計量器38、及び駆動時における実回転数を計測するタコメータ40が設けられている。石炭B計量手段36を駆動するモータ36aは、詳細を後述する制御手段42により回転数が制御される。また、タコメータ40による実回転数のカウント値は、フィードバック値として制御手段42に入力される。
【0026】
制御手段42は、少なくともPLC(Programmable Logic Controller)44、調節計46、およびインバータ48を備える。本実施形態に係る制御手段42は、混炭の生成のための制御を行うことを目的としたものであり、主に第2石炭搬送経路32の駆動制御を行う役割を担う。なお、混炭搬送経路12や第1石炭搬送経路22の駆動制御については、図示しない制御機構を介して成されることとする。
【0027】
PLC44は、第1石炭搬送経路22の石炭A計量手段26によって計測された石炭Aの質量に基づいて、混合される石炭Bの適正質量を算出し、その値を信号として調節計46に出力することを主な役割とする。PLC44には少なくとも、詳細を後述する指令手段50からの指令値(混合比率)と石炭A計量手段26からの計測値が入力される。単位時間当たりにおける石炭Aの質量と、石炭Aと石炭Bの混合比率が解れば、指令値としての混合比率を満たすための石炭Bの質量を算出することができるからである。なお、石炭Aの質量と、混合比率(a:b)に基づく石炭Bの質量は、数式(1)に基づいて算出することができる。
【数1】

【0028】
また、本実施形態に係るPLC44は、内蔵メモリ、あるいは外部記憶装置等の記憶手段(不図示)に、算出した石炭Bの質量を計測時の時刻と共に時系列的に記憶することを可能としている。本実施形態に係る混炭システム10では、石炭A計量手段26から混合位置まで石炭Aが搬送される時間t1(時間単位:例えば秒)と石炭B計量手段36が石炭Bの質量を計測してから石炭Bが混合位置に投入されるまでの時間t2(秒)は予め求められている。このため、時系列的に記憶された石炭B(算出値)の質量のうち、現時点で検出された石炭Aの質量に基づいて算出された石炭Bの質量よりもt1−t2(秒)で求められる時間(時間差t3)だけ前に算出された石炭Bの質量を調節計46に出力することで、現時点で第2石炭搬送経路32に求められる石炭Bの単位時間当たりの質量(搬送量)を提供することができることとなる(図2参照)。
【0029】
このようにt1−t2=t3(秒)前に算出された石炭Bの値に基づいて第2石炭搬送経路32による石炭Bの搬送(搬出)質量を調節すれば、石炭B計量手段36で計測される石炭Bの質量を調整した後、t2(秒)後に混合位置に移載される石炭Bの質量を算出値に合わせることができる。
【0030】
また、本実施形態に係るPLC44には、インバータ48からモータ36aへ出力される指令回転数と、タコメータ40によって検出される石炭B計量手段36(ベルトコンベア)の実回転数、及び混炭計量手段16によって計測される混炭質量が入力される。指令回転数と実回転数は、(指令回転数)−(実回転数)といった計算により回転数差が算出され、この回転数差が一定以上になった場合には石炭B計量手段36による石炭Bの搬送が停止される。ベルトコンベアのベルトスリップが大きいと判断されるためである。なお、指令回転数と実回転数は、詳細を後述する指令手段50に出力される。
【0031】
また、混炭計量手段16によって計測される混炭質量が入力されることで、この計測値をフィードバック値として指令回転数と実回転数のズレによって生ずる石炭Bの単位時間当たりの搬送量の誤差を知ることができる。石炭Bの単位時間当たりの搬送量の誤差を知ることにより、指令回転数の補正による石炭Bの搬送量の補正を行うことができ、石炭混合の精度を向上させることができる。
【0032】
調節計46は、現在、単位時間当たりに搬送されている質量と、PLC44により算出されたt1−t2秒後に必要とされる単位時間当たりの搬送量(質量)とを比較し、石炭B計量手段36による石炭Bの搬送速度を上げる、または下げるといった指令値、あるいは上げ下げする速度を定めた指令値をインバータ48に出力する役割を担う。このため、調節計46には少なくとも、石炭B計量手段36による計測値と、PLC44により算出されたt1−t2秒後に必要とされる単位時間あたりの石炭Bの質量が入力される。
【0033】
インバータ48は、調節計46から出力された指令値に基づいて、モータ36aの回転数を定め、その回転数(指令回転数)に合わせた駆動信号を出力する役割を担う。また、インバータ48は、PLC44に対し、フィードバック値として指令回転数を出力する。これによりPLC44では、タコメータ40により計測される実回転数との回転差を算出することが可能となる。
【0034】
指令手段50は、PLC44に対して、石炭Aと石炭Bの混合比率を出力するための入力手段及び種々のフィードバック値を表示するための表示手段としての役割を担う。また、指令手段50は、図3に示すように石炭Aや石炭Bの搬送経路が複数あるような場合に、搬送経路の選択を行う機能も有する。
【0035】
例えば図3に示す例の場合、第1石炭搬送経路22が2系統(S21R,S11R)と、混炭搬送経路12が2系統(SS1,SB1)あり、選択される経路としては4つの経路が存在することとなる。
搬送経路がこのような構成である場合には、指令手段の表示画面として、図4に示すような入出力画面が表示される。
【0036】
入出力画面52は少なくとも、混炭搬送経路12の選択を入力する領域と、混炭比率を入力する領域、および実機のフィードバックデータを表示する領域を有する。混炭搬送経路の入力領域は、1次出荷元経路の選択と、搬送経路の選択を行うための領域である。1次出荷元経路の選択は、石炭Aの種別を選択するための経路選択であり、図3に示す例では、2種類の経路が選択できる(S21RとS11R)。また、搬送経路の選択は、石炭Aと石炭Bとを混合し、精製した混炭を搬送するための経路(混炭搬送経路12)を選択するための経路選択であり、図3に示す例では、2種類の経路が選択できる(SS1とSB1)。なお、経路の選択は、直接入力によっても良いし、図示しない選択画面(例えばポップアップ画面)からの選択等であっても良い。
【0037】
混炭比率の入力領域は、1次出荷元からの石炭Aの重量比率と、海上ホッパ34から供給される石炭Bの重量比率を定めるための入力領域である。この混炭比率の入力領域への入力値により、精製される混炭の特性が定まる。比率の入力は、a:bとなるように入力する。
【0038】
実機フィードバックデータの表示領域は、実施形態に係る混炭システム10の駆動状態を知るためのデータを表示する領域であり、この領域に表示されるデータに基づいて、手動または自動でシステムの停止または指令値の変更が行われる。表示される実機データとしては、例えば海上ホッパ34からの払い出し量や、石炭B計量手段36を駆動するモータ36aに対する指令回転数、および石炭B計量手段36のプーリが回転することから検出される実際の回転数などを挙げることができる。
【0039】
このような基本構成を有する混炭システム10では、第1石炭搬送経路22、第2石炭搬送経路32、および混炭搬送経路12における単位時間あたりの搬送量は、図5に示すような変化を示す。なお、図5において、図5(A)は、第1石炭搬送経路22の単位時間当たりにおける石炭Aの搬送量を示すもので、横軸が経過時間、縦軸が単位時間当たりの石炭Aの搬送量を示す。また、図5(B)は、第2石炭搬送経路32の単位時間当たりにおける石炭Bの搬送量を示すもので、横軸が経過時間、縦軸が単位時間当たりの石炭Bの搬送量を示す。さらに、図5(C)は、混炭搬送経路12の単位時間当たりにおける石炭A、および石炭Bの搬送量を示すもので、横軸が搬送距離、縦軸が単位時間当たりの搬送量を示す。
【0040】
図5から読み取れるように、図5(A)に示す第1石炭搬送経路22における石炭Aの搬送は、搬送開始直後から略定量となるように開始されている。一方、図5(B)に示す第2石炭搬送経路32における石炭Bの搬送は、第1石炭搬送経路22による石炭Aの搬送が開始されてから所定時間経過した後に開始されている。この時間差は、石炭A計量手段26と石炭B計量手段36との間における混合位置までの搬送距離の違いを示すものである。なお、図5に示す例では、説明を簡単化するために、石炭B計量手段36から混合位置までの距離は0としている。
【0041】
また、図5(C)で示すグラフは、混炭搬送経路12における移載位置(石炭Aが投入される位置)からの石炭の移動距離と、単位時間当たりの搬送量の変化を示すものであるため、混合位置において石炭Bが投入され、搬送量が増えていることを読み取ることができる。また、図5に示す例では、石炭Aと石炭Bとを1:1で混合するようにしていることも読み取ることができる。
【0042】
上記実施形態に係る混炭システム10では、計量手段として、石炭A計量手段26、石炭B計量手段36、および混炭計量手段16を備える構成としていた。しかしながら本実施形態に係る混炭システム10aは図6に示すように、石炭B計量手段を省いた状態でも成り立たせることができる。
【0043】
この場合には、制御手段42におけるPLC44の記憶手段に、石炭A計量手段26により計測された石炭Aの単位時間当たりの搬送量(質量)と石炭Aと石炭Bの混合比率より算出される石炭Bの質量と、計測された石炭Aの質量と算出された石炭Bの質量とを加算して得られる混炭の質量とをそれぞれ、単位時間毎に記憶させる。そして、調節計46では、混炭計量手段16によって実際に検出された混炭の質量と、現時点を基準として石炭A計量手段26から混炭計量手段16までの石炭Aの搬送に要する時間(t4)だけ以前に記憶された混炭の質量とを比較して質量の差分を求め、差分を減らすように、石炭B搬送手段36の回転数を上げ下げするための制御信号をインバータ48へ出力する。
このような構成とした場合であっても、本実施形態に係る混炭システムとすることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、混合対象とする粉粒体の具体例として石炭を挙げ、混合システムとしては混炭システムとして説明した。しかしながら本発明に係る混合システムは、混合対象を木材チップや小麦、あるいは米等の粉粒体とした場合であっても、適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10………混炭システム、12………混炭搬送経路、14………上流混炭搬送手段、16………混炭計量手段、18………計量器、20………下流混炭搬送手段、22………第1石炭搬送経路、24………上流石炭搬送手段、26………石炭A計量手段、28………計量器、30………下流石炭搬送手段、32………第2石炭搬送経路、34………海上ホッパ、36………石炭B計量手段、38………計量器、40………タコメータ、42………制御手段、44………PLC、46………調節計、48………インバータ、50………指令手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定種別の粉粒体Aの質量を計測すると共に質量を計測された前記粉粒体Aを搬送する第1粉粒体搬送経路と、
前記粉粒体Aと異なる種別の粉粒体Bの質量を計測すると共に質量を計測された前記粉粒体Bを搬送する第2粉粒体搬送経路と、
前記粉粒体Aと前記粉粒体Bを混合して精製される混合物を搬送する混合物搬送経路と、
前記混合物搬送経路上の混合位置において精製される混合物における前記粉粒体Aと前記粉粒体Bの混合比率を定め、前記混合物の混合比率が定めた値となるように、前記粉粒体Bの単位時間当たりの搬送量を調整する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記粉粒体Aの質量が計測されてから、前記粉粒体Aが前記混合位置に至るまでの時間t1から前記粉粒体Bの質量が計測されてから、前記粉粒体Bが前記混合位置に至るまでの時間t2を減算して得られる時間差t3に基づいて前記粉粒体Bの単位時間当たりの搬送量を調整する信号を前記第2粉粒体搬送経路へ出力することを特徴とする粉粒体混合システム。
【請求項2】
前記制御手段は、計測された粉粒体Aの質量と前記粉粒体Aと前記粉粒体Bの混合比率とより算出される粉粒体Bの質量を単位時間毎に記憶する記憶手段を有し、
前記粉粒体Aの質量計測時から前記時間差t3だけ前に記憶された粉粒体Bの質量を単位時間当たりの搬送量として前記信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の粉粒体混合システム。
【請求項3】
特定種別の粉粒体Aの質量を計測すると共に質量を計測された前記粉粒体Aを搬送する第1粉粒体搬送経路と、
前記粉粒体Aと異なる種別の粉粒体Bを搬送する第2粉粒体搬送経路と、
前記粉粒体Aと前記粉粒体Bを混合して精製される混合物の質量を計測すると共に前記混合物を搬送する混合物搬送経路と、
前記混合物搬送経路上の混合位置において精製される混合物における前記粉粒体Aと前記粉粒体Bの混合比率を定め、前記混合物の混合比率が定めた値となるように、前記粉粒体Bの単位時間当たりの搬送量を調整する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記粉粒体Aの質量が計測されてから、前記粉粒体Bと混合されて前記混合物搬送経路における質量計測位置に至るまでの時間t4だけ以前に記憶された混合物の質量と前記混合物搬送経路において計測された実際の混合物の質量とを比較し、前記粉粒体Bの単位時間当たりの搬送量を調整する信号を前記第2粉粒体搬送経路へ出力することを特徴とする粉粒体混合システム。
【請求項4】
前記制御手段から前記第2粉粒体搬送経路へ出力される信号は、前記第2粉粒体搬送経路を駆動するモータに対する指令回転数を指示するための指令信号であり、
前記第2粉粒体搬送経路には、第2粉粒体搬送経路を構成するプーリの回転数を検出する実回転数検出手段が備えられ、
前記モータに対する指令回転数と前記実回転数とを表示する指令手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の粉粒体混合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−170941(P2012−170941A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38272(P2011−38272)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(394010193)宇部テクノエンジ株式会社 (37)
【Fターム(参考)】