説明

粉粒体袋封止機

【課題】ヒートシール部を均一確実に貼着してシール強度を向上させ、且つ、粉粒体袋封止作業の自動化を可能にする。
【解決手段】コンベア32に加熱ステーションST1、加圧ステーションST2及び冷却ステーションST3を順次設け、加熱ステーションST1には、粉粒体袋31のヒートシール部28を受け止めてヒートシール部28を加熱する可動式熱板41を配設する。又、加圧ステーションST2には、ヒートシール部28を受け止めてヒートシール部28を加圧する可動式押付けブラシ66を配設し、冷却ステーションST3には、ヒートシール部28を受け止めてヒートシール部28を冷却する可動式冷却板73を配設する。熱板41、押付けブラシ66及び冷却板73と対峙するコンベア32の他側部には、粉粒体袋31の他側部を受け止めるための可動式のストッパ42、67及び74を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体袋封止機に関するものであり、特に、セメント、穀物等の粉粒体が袋詰めされた粉粒体袋の開口縁部のヒートシール部をコンベア上で粘着密封するようにした粉粒体袋封止機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体充填用の袋の一角部には、粉粒体を充填するために二重弁方式の開口部が形成されて、該袋内に粉粒体を袋詰めする際は、該袋の開口部に粉粒体充填ノズルを差し込んで、空気と共に粉粒体を圧送して充填している。しかし、粉粒体が充填された袋(粉粒体袋)をそのまま製品として出荷した場合は、粉粒体袋の開口部が粘着状態で密閉されていないため、下記のような欠点があった。
【0003】
即ち、例えば、袋の落下等により袋に衝撃力が作用した場合、該開口部から粉粒体が外部に多少漏出することがあった。又、前記開口部から袋内に湿気が進入して、袋内の粉粒体に悪影響を与える恐れがあった。更に、製品としの粉粒体袋を輸出する際、不法者が粉粒体袋の開口部にパイプを差し込んで、粉粒体を抜き取るという被害も発生していた。
【0004】
そこで、粉粒体袋の開口部を完全に密閉すべく、人手作業により粉粒体袋を図11の装置にセットして開口部を封止することがある。即ち、図11の封止装置は、架台1の上に平面視コ字型のセット用ガイド2が設置されて、該セット用ガイド2の設置面には、通電により熱を発生するヒータブロック3が設けられている。従って、粉粒体袋の開口部を封止する際は、該粉粒体袋4を人手作業によりセット用ガイド2内に投入セットして、粉粒体袋4の開口部5をヒータブロック3上に配置すると、粉粒体袋4の自重により、開口部5のヒートシール部がヒータブロック3に圧接して加熱加圧される。
【0005】
そして、加熱加圧後に所定時間だけ放置冷却すると、前記ヒートシール部に塗布されたホットメルト接着剤が熱溶着されることにより、粉粒体袋4の開口部5が封止される。このあと、重い粉粒体袋4を再び人手作業によりセット用ガイド2から取り出して搬送している(例えば、特許文献1参照)。なお、図11の符号6はコードである。
【特許文献1】特開平7−2777307号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術は、粉粒体袋の内容物は粉粒体であるので、加圧時にヒートシール部が加圧方向に逃げる。従って、ヒートシール部に所要の加圧を均一に付与することができないために、ヒートシール部を確実に封止することが困難であった。その結果、粉粒体袋の開口部を完全に密閉できない場合は、前述した欠点が解消されないという問題があった。
【0007】
又、粉粒体袋の自重を利用して行うことは、粉粒体袋の形状制御の観点からも効果的な手法であったが、この場合、封止装置へ粉粒体袋のセット及び取出し作業は、人手で行わなければならないので、袋詰めの自動化が困難であり、袋詰めの生産性向上が図れなかった。
【0008】
更に、ヒートシール部を加熱加圧してから冷却するまでは、相応の一定時間を必要とする上に、所要のヒート強度が確保され難く、品質低下の原因になることがあった。
【0009】
そこで、ヒートシール部を均一・確実に貼着し、高いシール強度を確保して粉粒体袋の開口部を完全に粘着密閉でき、且つ、粉粒体袋の封止工程を自動化するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、セメント等の粉粒体が充填された粉粒体袋をコンベアにて搬送しながら、該粉粒体袋の一側角部に形成した開口縁部のヒートシール部を封止する粉粒体袋封止機であって、前記コンベアには加熱ステーション、加圧ステーション及び冷却ステーションが順次設けられ、前記加熱ステーションには、前記粉粒体袋のヒートシール部を受け止めて該ヒートシール部を加熱する可動式の熱板が配設され、前記加圧ステーションには、該加熱後のヒートシール部を受け止めて該ヒートシール部を加圧する可動式の押付けブラシが配設され、更に、冷却ステーションには、該加圧後のヒートシール部を受け止めて該ヒートシール部を冷却する可動式の冷却板が配設され、前記粉粒体袋の搬送中に前記ヒートシール部の加熱、加圧及び冷却を連続的に行うように構成して成る粉粒体袋封止機を提供する。
【0011】
この構成によれば、前記コンベア上の粉粒体袋が加熱ステーションに搬送されると、該粉粒体袋のヒートシール部は熱板で受け止められ、そのときヒートシール部が熱板に圧接して熱溶着される。次に、加圧ステーションでは、粉粒体袋のヒートシール部は押付けブラシで受け止められ、そのときヒートシール部が押付けブラシに圧接して加圧貼着される。この押付けの際、ヒートシール部の表面が非平坦状に変形しても、非平坦状の表面に追従すべく押付けブラシが柔軟に変形して対応するため、該押付けブラシによりヒートシール部の全域が均一に満遍なく加圧貼着される。
【0012】
このあと、冷却ステーションでは、粉粒体袋のヒートシール部は冷却板で受け止められて、そのときヒートシール部が冷却板に圧接して冷却される。このように、粉粒体袋のヒートシール部はコンベア上で加熱、加圧及び冷却されることにより、粉粒体袋の開口部が自動的に封止される。
【0013】
請求項2記載の発明は、上記熱板には、コンプレッサーから圧縮エアが供給されるエア室を形成すると共に、該エア室で加熱された圧縮エアを上記ヒートシール部に吹き付けるための噴出ノズルを設けた請求項1記載の粉粒体袋封止機を提供する。
【0014】
この構成によれば、前記熱板に形成したエア室には、コンプレッサーから圧縮エアが供給され、このエア室内の圧縮エアは熱板により所定温度に加熱される。そして、該加熱された圧縮エアは、吐出孔から上記ヒートシール部に吹き付けられる。従って、ヒートシール部の全域は、前記加熱エアにより均一、且つ、満遍なく加熱される。
【0015】
請求項3記載の発明は、上記熱板、押付けブラシ及び冷却板は、上記コンベアの搬送路を挟む一側部に配置され、且つ、該コンベアの他側部における前記熱板、押付けブラシ及び冷却板と対峙する各箇所には、前記粉粒体袋の他側部を受け止める可動式のストッパが夫々設けられて成る請求項1記載の粉粒体袋封止機を提供する。
【0016】
この構成によれば、粉粒体袋が加熱ステーション、加圧ステーション又は冷却ステーションに搬送されると、該粉粒体袋の一側部は熱板、押付けブラシ又は冷却板により受け止められ、且つ、該粉粒体袋の他側部は、前記熱板、押付けブラシ又は冷却板と対峙する各可動式のストッパにより受け止められる。従って、粉粒体袋の両側部が略同等の押圧力により受け止められるので、該粉粒体袋は搬送方向に対して傾くことなく停止する。
【0017】
請求項4記載の発明は、上記熱板及び冷却板は自動調心可能に支持され、上記前記粉粒体袋のヒートシール部を上記コンベア上にて正面方向から受け止める所定位置に自動復帰するように設けられて成る請求項1又は3記載の粉粒体袋封止機を提供する。
【0018】
この構成によれば、上記粉粒体袋のヒートシール部が上記熱板及び冷却板により受け止められるとき、該熱板及び冷却板は、所定位置に自動復帰しているので、ヒートシール部は熱板及び冷却板により常に受け止められる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明は、コンベアによる粉粒体袋の搬送中に、粉粒体袋のヒートシール部を加熱、加圧及び冷却して貼着するので、粉粒体袋の封止作業を自動化して生産性が著しく向上する。
【0020】
特に、冷却ステーションでは、ヒートシール部の全域を押付けブラシにより均一に満遍なく加圧できるので、ヒートシール部を均一かつ確実に貼着して、高いシール強度を確保することができる。これに伴い、粉粒体袋の開口部を完全に密閉できるので、従来のように該開口部から粉粒体が漏出したり、或いは、湿気が進入することがなく、更に、開口部にパイプを差し込んで粉粒体が抜き取られる恐れも無くなる。
【0021】
請求項2記載の発明は、前記ヒートシール部は、加熱エアにより均一、且つ、満遍なく加熱できるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ヒートシール部の全域を均等かつ確実に熱溶着でき、所要のシール強度を安定して確保することができる。
【0022】
請求項3記載の発明は、該粉粒体袋は搬送方向に対して傾くことなく一時停止するので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、熱板、押付けブラシ又は冷却板による加熱、加圧又は冷却の各処理を常に確実かつ適正に行うことができる。
【0023】
請求項4記載の発明は、前記熱板及び冷却板は、粉粒体袋のヒートシール部を常に正面方向から受け止めるので、請求項1又は3記載の発明の効果に加えて、熱板及び冷却板による加熱及び加圧を常により効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、ヒートシール部を均一確実に貼着し、シール強度を向上させ、且つ、粉粒体袋封止作業を自動化して生産性向上を図らるという目的を、粉粒体が充填された粉粒体袋をコンベアにて搬送しながら、該粉粒体袋の一側角部に形成した開口縁部のヒートシール部を封止する粉粒体袋封止機であって、前記粉粒体袋は前記ヒートシール部が搬送方向側に位置するように前記コンベア上に載置され、該コンベアには、前記粉粒体袋のヒートシール部を受け止めて該粉粒体袋をコンベア上に停止させた状態で該ヒートシール部を加熱する熱板が搬送路に対して退避可能に配設された加熱ステーションと、該加熱後のヒートシール部を受け止めて該粉粒体袋を停止させた状態で該ヒートシール部を加圧する押付けブラシが搬送路に対して退避可能に配設された加圧ステーションと、該加圧後のヒートシール部を受け止めて該粉粒体袋を停止させた状態で該ヒートシール部を冷却する冷却板が搬送路に対して退避可能に配設された冷却ステーションとが順次設けられ、前記粉粒体袋の搬送中に前記ヒートシール部の加熱、加圧及び冷却を連続的に行うことにより実現した。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の好適な一実施例を図面に従って説明する。本実施例は、袋内に粉粒体を機械で充填して袋詰めしたのち、該袋詰めされた粉粒体袋を自動的にベルト式のコンベア上に載置し、コンベアによる搬送中に粉粒体袋の開口縁部を熱シールして封止することにより、粉粒体の充填から熱シールまでの一連の工程を完全自動化したものである。
【0026】
図1は粉粒体充填機11を示し、粉粒体充填機11の上部側には粉粒体ホッパー12が設置され、且つ、粉粒体充填機11の前部側には粉粒体充填ノズル13及び袋押えシリンダ14が設けられている。この粉粒体充填機11の近傍に配置したマガジン(図示せず)内には、方形筒状に形成された通気性の粉粒体充填用の袋15が所定枚積み上げて収納され、袋15の一側角部に形成した開口縁部には、後述のホットメルト接着剤を内面に塗布してなる紙製のヒートシール部が設けられている。この袋15は下方より1枚ずつ取り出されて、図1に示す搬送ヘッド16を備えた袋保持機17により、粉粒体充填機11の粉粒体充填ノズル13に差し込まれる。
【0027】
前記搬送ヘッド16は、袋15の開口部(粉粒体供給口26)下側を挟む一対のL型クランプ18と、該袋15の開口部26上面を押し付けて該開口部26を押し広げるための吸盤19と、該吸盤19を昇降させる吸盤上下シリンダ20と、該吸盤上下シリンダ20及びL型クランプ18をそれぞれ支持する各支持部材21,22と、該各支持部材21,22の基端部が固定されたコ字型フレーム23とを備える。
【0028】
この搬送ヘッド16は後述の制御盤25により、粉粒体充填機11の粉粒体充填ノズル13に対して任意の方向に動作制御される。従って、袋15を一対のL型クランプ18で挟着すると共に、該袋15の開口部26上面に吸盤19を押圧して該開口部26を押し広げた後に、搬送ヘッド16を粉粒体充填ノズル13側に正面方向から前進移動させることで、該粉粒体充填ノズル13に袋15の開口部が差し込まれる。
【0029】
図3に示すように、袋15の一側角部には、前記開口部である粉粒体供給口26が斜めに開穿されていると共に、該粉粒体供給口26の外側周縁には、バージンシール用の紙片内側面にホットメルト接着剤27を塗布して成るヒートシール部28が形成されている。該ヒートシール部28は粉粒体供給口26の上側周縁より所定寸法だけ突出し、粉粒体充填ノズル13の上面側にホットメルト接着剤27が位置する。又、粉粒体充填ノズル13の下面側には、粉粒体供給口26の下側周縁に形成した二重弁体部29が密着し、該二重弁体部29は袋15の内圧により自動閉鎖する。
【0030】
この後、図4に示すように、粉粒体充填ノズル13の上方に配置された袋押えシリンダ14が下降し、この袋押えシリンダ14の当て部24により、袋15の粉粒体供給口26上面が粉粒体充填ノズル13上面に押圧固定される。次いで、粉粒体充填ノズル13からエアAとともに粉粒体30が袋15内に圧送供給される。このとき、通気性の袋15は一種のフィルタ作用をなすため、前記圧送されたエアAのみが袋15を通過して外側へ排除され、袋15内には粉粒体30が残留して貯蔵される。
【0031】
このように、前記袋15内に所定量の粉粒体30が充填(袋詰め)されると、図5に湿すように、充填後の粉粒体袋31は自重により落下して、粉粒体充填機11の前側下方に配設されたベルト式のコンベア32上に載置され、粉粒体供給口26の周縁に形成した二重弁体部29は内圧により自動閉鎖する。この場合、コンベア32の上に落下した粉粒体袋31は、粉粒体供給口26側の端部が搬送方向下流側を向くように載置される。
【0032】
この後、粉粒体袋31は搬送の途中で、ヒートシール部28の加熱、加圧及び冷却が順次行われて貼着密封される。図6、図7及び図8はそれぞれコンベア32の平面図、正面図及び側面図であって、このコンベア32は搬送用モータ33の駆動によりチェーン34を介して回転駆動される。該コンベア32には、加熱ステーションST1、加圧ステーションST2及び冷却ステーションST3が搬送方向下流側にこの順番で配置されている。これら各ステーションST1,ST2,ST3におけるコンベア32の搬送路(図6中の斜線で図示する部分40)を挟む両側には、粉粒体袋31の搬送を円滑に案内するための一対の側面ガイドレール35,36,37がそれぞれ設置され、これら一対の側面ガイドレール35,36,37間の距離は、粉粒体袋31の幅寸法に応じて任意に調整可能とされている。
【0033】
図7及び図8に示すように、前記コンベア32の一側には架台38が設けられ、該架台38には操作盤39が配置されている。この操作盤39上にて画面操作することにより、コンベア32及び前記各ステーションST1,ST2,ST3に設けた各可動部材の運転条件を任意に設定変更できる。
【0034】
加熱ステーションST1には、可動式の自動調心型の熱板41及びストッパ42が搬送路40の外側に退避可能に配設されている。又、熱板41、ストッパ42はそれぞれ受止位置と退避位置との間を動作できるように構成され、ここでは、モータ43,44の駆動により軸45,46を中心として回動できるように設けられている。
【0035】
前記熱板41及びストッパ42は受止位置にあるときは、コンベア32上にて搬送方向上流側を向くように配置され、これにより、前記粉粒体袋31の一側部(ヒートシール部28側部)、他側部をそれぞれ熱板41、ストッパ42で受け止めて、粉粒体袋31をコンベア32上に一時停止させる。そして、熱板41及びストッパ42が搬送路40の外側に回動退避すると、粉粒体袋31がコンベア32により搬送されて加熱ステーションST1を通過し、その後、熱板41及びストッパ42は受止位置に戻る。
【0036】
熱板41の取付け部分の具体的な構成例を図9に示す。図示の如く、熱板41には温度設定可能なカートリッジ型ヒータ48が取り付けられ、カートリッジ型ヒータ48は電線コード49を介して電源に接続されている。又、熱板41のカートリッジ型ヒータ48近傍には温度センサ50が取り付けられ、そのセンサ信号は制御盤25に送出される。そして、このセンサ信号に基づき、カートリッジ型ヒータ48の設定温度を変更することにより、熱板41の温度調整を行われる。
【0037】
また、モータ43の出力部側にはアーム51の基端部が連結され、該アーム51の先端部内側面には半球面状凹部52が形成されている。該半球面状凹部52には、自動調心用の球面体53の一側部が回動可能に嵌合装着され、該球面体53の嵌合部外側は保持プレート54により回動可能に保持されている。又、該保持プレート54は一対のボルト56,57によりアーム51の先端部に締結されている。更に、球面体53の他側部には円柱状の連結部58が一体に連設され、該連結部58は、熱板41の外側面の中央部に連結されている。
【0038】
前記アーム51の球面体53を挟む両側にはそれぞれ上下2本、つまり合計4本の中空状のネジ60が締付ナット59により取り付けられ、各ネジ60の内部にはプランジャ61が移動可能に嵌挿されている。このプランジャ61は、バネ62によりネジ60の先端方向へ常に弾発付勢され、熱板41の外面部に弾接した状態で熱板41を自動調心可能に保持している。これにより、熱板41に外力が作用して位置移動しても、該熱板41はアーム51と平行な元の中心位置、即ち、コンベア32上にてヒートシール部28を正面方向から受け止めることができる所定位置に自動復帰する。
【0039】
又、熱板41の内部にはエア室64が形成され、該エア室64は図示しないコンプレッサーからホース63を介して圧縮エアBが供給される。又、該エア室64には、加熱状態の圧縮エアBを上記ヒートシール部28に吹き付けるための小型の噴出ノズル(吐出孔)65が所要数個設けられている。これにより、コンプレッサーからエア室64に供給された圧縮エアBは、熱板41により所定温度に加熱されたのち、噴出ノズル65からヒートシール部28に噴出される。
【0040】
一方、加圧ステーションST2には可動式の押付けブラシ66及びストッパ67が搬送路の外側に退避可能に配設されている。又、押付けブラシ66、ストッパ67はそれぞれ受止位置と退避位置との間を動作できるように構成され、ここでは、モータ68,69の駆動により軸70,71を中心として回動できるように設けられている。
【0041】
押付けブラシ66、ストッパ67は受止位置にあるときは、コンベア32上にて搬送方向上流側を向くように配置され、これにより、前記粉粒体袋31の一側部、他側部をそれぞれ押付けブラシ66、ストッパ67で受け止めて、粉粒体袋31をコンベア32上で一時停止させる。そして、押付けブラシ66、ストッパ67が搬送路40の外側に退避すると、粉粒体袋31がコンベア32により搬送されて加圧ステーションST2を通過し、その後、押付けブラシ66、ストッパ67は受止位置に戻る。
【0042】
前記冷却ステーションST3には、可動式の自動調心型の冷却板73及びストッパ74が搬送路40の外側に退避可能に配設されている。又、冷却板73、ストッパ74はそれぞれ受止位置と退避位置との間を動作できるように構成され、ここでは、モータ75,76の駆動により軸77,78を中心として回動できるように設けられている。
【0043】
冷却板73、ストッパ74は受止位置にあるときは、コンベア32上にて搬送方向上流側を向くように配置される。これにより、前記粉粒体袋31の一側部、他側部をそれぞれ冷却板73、ストッパ74で受け止めて、粉粒体袋31をコンベア32上で一時停止させる。そして、冷却板73、ストッパ74が搬送路40の外側に退避すると、粉粒体袋31がコンベア32により搬送されて冷却ステーションST3を通過し、その後、冷却板73、ストッパ74は受止位置に戻る。
【0044】
図10に示すように、前記冷却板73の内部には冷風室79が形成され、該冷風室79は図示しない冷却用コンプレッサーから冷風Cが供給される。又、該冷風室79には冷風Cを上記ヒートシール部28に吹き付けるための小型の噴出ノズル80が所要数個設けられている。これにより、冷風室79内の冷風Cは、噴出ノズル80からヒートシール部28に向かって噴出される。なお、図10において図9と同一の部材にはそれと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
冷却板73は前記熱板41の構造と同じく、モータ75の出力部側に連結されたアーム82に球面体83及び4本のプランジャ84を介して、自動的に中心位置に復帰できるように取り付けられている。これにより、冷却板73に外力が作用しても、該冷却板73はアーム62と平行な元の中心位置、即ち、ヒートシール部28を正面方向から受け止めることがでる所定の中心位置に自動復帰する。
【0046】
上記構成の本実施例では、粉粒体袋31は加熱ステーションST1に搬送されると、該粉粒体袋31の両側部が熱板41及びストッパ42により受け止められて、粉粒体袋31が一時的に停止する。そして、この状態で熱板41によりヒートシール部28のホットメルト接着剤27が加熱される。その際、コンベア32上の粉粒体袋31は、熱板41により堰止めされる如く押し付けられるために、粉粒体袋31の内圧が急激に増大して、その反力で熱板41がヒートシール部28に圧接し、ホットメルト接着剤27を効果的に直接加熱する。
【0047】
又、前記圧接後に、熱板41により所定温度に加熱された圧縮エアBが、噴出ノズル65から噴出してヒートシール部28に吹き付けられる。そのため、ヒートシール部28のホットメルト接着剤27の全域は、加熱後の前記エアBにより均一、且つ、満遍なく加熱される。
【0048】
この後、熱板41及びストッパ42が搬送路40の外側へ回動退避し、粉粒体袋31は加圧ステーションST2に搬送される。加圧ステーションST2では、粉粒体袋31の両側部が押付けブラシ66及びストッパ67で受け止められて、粉粒体袋31が一時的に停止する。そして、この状態で押付けブラシ66によりヒートシール部28のホットメルト接着剤27が加圧される。
【0049】
その際、粉粒体袋31は、押付けブラシ66により堰止めされる如く押し付けられるために、その反力で押付けブラシ66がヒートシール部28を圧接する。この場合、ヒートシール部28の表面が内側に非平坦状に形態変化しても、これに追従すべく押付けブラシ66も柔軟に形態変化するため、ヒートシール部28のホットメルト接着剤27の全域が均一に満遍なく加圧される。
【0050】
加圧後、押付けブラシ66及びストッパ67が搬送路40の外側へ回動退避し、粉粒体袋31は冷却ステーションST3に搬送される。この冷却ステーションST3では、粉粒体袋31の両側部が冷却板73及びストッパ74により受け止められて、粉粒体袋31が一時的に停止する。そして、この状態で冷却板73によりヒートシール部28のホットメルト接着剤27が速やかに冷却硬化される。
【0051】
その際、コンベア32上の粉粒体袋31は、冷却板73により堰止めされる如く押し付けられるために、その反力で冷却板73がヒートシール部28を圧接して、ホットメルト接着剤27を効果的に直接冷却する。圧接後、冷風Bが噴出ノズル80から噴出して、ヒートシール部28に吹き付けられる。このため、ヒートシール部28のホットメルト接着剤27の全域は、均一かつ満遍なく冷却される。この後、冷却板73及びストッパ74は搬送路40の外側へ回動退避し、粉粒体袋31は製品取り出し部側に搬送される。尚、上述した各ステーションST1、ST2及びST3における一連の動作は、制御盤25に組み込まれた動作プログラムに従って制御されている。
【0052】
斯くして、コンベア32による粉粒体袋31の搬送中に、粉粒体袋31のヒートシール部28は、前記各ステーションST1、ST2及びST3にて加熱、加圧及び冷却の各処理がなされて貼着密封される。従って、粉粒体袋31の封止工程における自動化が実現し、従来の如き人手作業が不要になり、大幅な生産性向上が図られる。
【0053】
特に、ヒートシール部28の加圧時、ヒートシール部28の全域が押付けブラシ66により均一に満遍なく加圧されるので、ヒートシール部28を均等かつ確実に貼着して、高いシール強度を安定して確保できる。これに伴い、粉粒体袋31の開口部を完全に粘着密閉できるので、該開口部における粉粒体30の漏出、或いは、湿気の進入を確実の防止でき、更に、パイプを用いた粉粒体30の盗み取りも未然防止できる。
【0054】
更に、前記各ステーションST1、ST2又はST3において、粉粒体袋31の一側部(ヒートシール部28)が熱板41、押付けブラシ66又は冷却板73が受け止められ、これと略同時に、該粉粒体袋31の他側部もストッパ42,67又は74により受け止められる。従って、該粉粒体袋31は搬送方向に対して傾くことなく停止するので、熱板41、押付けブラシ66又は冷却板73による加熱処理、加圧処理又は冷却処理を常に確実かつ適正に行うことができる。
【0055】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施例を示し、粉粒体充填機の粉粒体充填ノズルに粉粒体袋を装着したときの状態を説明する斜視図。
【図2】一実施例に係る粉粒体充填ノズルに粉粒体袋を前進移動させるときの状態を説明する斜視図。
【図3】一実施例に係る粉粒体袋のヒートシール部を示す詳細断面図。
【図4】一実施例に係る粉粒体充填ノズルから粉粒体を粉粒体袋に充填するときの状態を説明する断面図。
【図5】一実施例に係る粉粒体袋をコンベアに落下させたときの状態を説明する斜視図。
【図6】一実施例に係るコンベアを示す平面図。
【図7】図6の正面図。
【図8】図7の側面図。
【図9】一実施例に係る熱板の取付け構造を示す一部断面図。
【図10】一実施例に係る冷却板の取付け構造を示す一部断面図。
【図11】従来技術による粉粒体袋の封止方式を説明する斜視図。
【符号の説明】
【0057】
11 粉粒体充填機
12 粉粒体ホッパー
13 粉粒体充填ノズル
14 袋押えシリンダ
15 袋
16 搬送ヘッド
17 袋保持機
18 L型クランプ
19 吸盤
20 吸盤上下シリンダ
23 コ字型フレーム
25 制御盤
26 粉粒体供給口(開口部)
27 ホットメルト接着剤
28 ヒートシール部
30 粉粒体
31 粉粒体袋
32 コンベア
39 操作盤
41 可動式の熱板
42 可動式のストッパ
48 カートリッジ型ヒータ
50 温度センサ
53 球面体
54 保持プレート
58 連結部
61 プランジャ
64 エア室
65 噴出ノズル(吐出孔)
66 可動式の押付けブラシ
67 可動式のストッパ
73 可動式の冷却板
74 可動式のストッパ
79 冷風室
80 噴出ノズル(吐出孔)
83 球面体
84 プランジャ
ST1 加熱ステーション
ST2 加圧ステーション
ST3 冷却ステーション


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント等の粉粒体が充填された粉粒体袋をコンベアにて搬送しながら、該粉粒体袋の一側角部に形成した開口縁部のヒートシール部を封止する粉粒体袋封止機であって、
前記コンベアには加熱ステーション、加圧ステーション及び冷却ステーションが順次設けられ、
前記加熱ステーションには、前記粉粒体袋のヒートシール部を受け止めて該ヒートシール部を加熱する可動式の熱板が配設され、
前記加圧ステーションには、該加熱後のヒートシール部を受け止めて該ヒートシール部を加圧する可動式の押付けブラシが配設され、
更に、冷却ステーションには、該加圧後のヒートシール部を受け止めて該ヒートシール部を冷却する可動式の冷却板が配設され、
前記粉粒体袋の搬送中に前記ヒートシール部の加熱、加圧及び冷却を連続的に行うように構成したことを特徴とする粉粒体袋封止機。
【請求項2】
上記熱板には、コンプレッサーから圧縮エアが供給されるエア室を形成すると共に、該エア室で加熱された圧縮エアを上記ヒートシール部に吹き付けるための噴出ノズルを設けたことを特徴とする請求項1記載の粉粒体袋封止機。
【請求項3】
上記熱板、押付けブラシ及び冷却板は、上記コンベアの搬送路を挟む一側部に配置され、且つ、該コンベアの他側部における前記熱板、押付けブラシ及び冷却板と対峙する各箇所には、前記粉粒体袋の他側部を受け止める可動式のストッパが夫々設けられていることを特徴とする請求項1記載の粉粒体袋封止機。
【請求項4】
上記熱板及び冷却板は自動調心可能に支持され、上記前記粉粒体袋のヒートシール部を上記コンベア上にて正面方向から受け止める所定位置に自動復帰するように設けられていることを特徴とする請求項1又は3記載の粉粒体袋封止機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−44637(P2008−44637A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220439(P2006−220439)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(390026055)ワイエル工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】