説明

粉粒物用容器

【課題】煩雑な操作を伴わずに計量具を収納でき、内容物への計量具の埋没と、内容物による計量具の把持部の汚染とを防止できる粉粒物用容器を提供する。
【解決手段】第一の底壁部32とその周縁に立設された第一の側壁部34とを備え、第一の側壁部34の上端35を周縁とする第一の上端開口部31が形成され、内部が内容物収納室30とされた容器本体3と、第一の上端開口部31を塞ぐ蓋体2と、容器本体3内に着脱可能に設けられ、容器本体3に取り付けた際に第一の底壁部32から第一の上端開口部31に向かう筒状の第二の側壁部44を備え、第二の側壁部44の上端45を周縁とする第二の上端開口部41が形成され、内部が計量具収納室40とされ、計量具収納体4の底部には、計量具収納室40の内外を連通する連通口が形成され、第一の底壁部32の内側には、連通口と嵌合する突起部36が立設されていることよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒物用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料用洗濯洗剤や自動食器洗浄機用洗剤等の粉粒物を内容物として収納する粉粒物用容器としては、計量スプーンを付属させた箱状の容器が知られている。
この容器の使用方法は、まず蓋を開け、付属の計量スプーンで内容物を掬い取って計量し、計量した内容物を洗濯機や自動食器洗浄機等に投入するものである。箱型の容器では、計量スプーンを容器内に入れて保管するため、内容物に埋没したり、繰り返し使用しているうちに計量スプーンの把持部部分に内容物が付着し、この付着した内容物により手指が汚染されるという問題がある。
【0003】
従来、こうした問題に対し、スプーン入れを容器本体の内側に着脱可能に掛設した台所用の粉状食べ物入れ容器が提案されている(例えば、特許文献1)。また、洗剤収納箱(容器本体)の側面で上縁に吊り下げた粉末洗剤用スプーンの収納具が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献1〜2の発明によれば、スプーンは、内容物を収納する空間から隔離して収納されるため、内容物に埋没したり、把持部に内容物が付着しにくくなる。
また、例えば、前端部に粉末洗剤を注出するための案内底付注出部を設け、上端に蓋部を設けて容器本体とし、容器本体の後部に所定高さの隔壁を設け、該隔壁と容器本体との間に計量スプーンを収納する収納部を形成し、収納部の下端に、計量スプーンが落下せず、かつ計量スプーンに残存した粉末洗剤が容器本体に戻ることができる大きさの下端開口部を形成した粉末洗剤容器が提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3の発明によれば、計量スプーンを内容物と隔離して収納すると共に、計量スプーンに付着した内容物が収納部に体積するのを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−73333号公報
【特許文献2】登録実用新案第3016931号公報
【特許文献3】登録実用新案第3126817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜2の発明では、スプーンの収納具が容器本体と別体で構成されているため、容器に対する振動や落下等の外部からの衝撃によりスプーンの収納具が容器本体から脱落するおそれがある。加えて、スプーンの収納部に持ち込まれた内容部を排出するためには、スプーンの収納部を容器本体から取り外し、開口部を下方に向ける必要があり、この際、スプーンの収納部から内容物をこぼしてしまう等の問題がある。
特許文献3の発明では、把持部が内容物に埋没することを防止すると共に、スプーンの収納部に持ち込まれた内容物の堆積を防止できるものの、計量の際に、案内底付注出部から内容物を注出するため、計量スプーンでの計量操作が煩雑である。加えて、この計量操作時に、内容物をこぼしやすいという問題がある。
そこで、本発明は、煩雑な操作を伴わずに計量具を収納でき、内容物への計量具の埋没と、内容物による計量具の把持部の汚染とを防止できる粉粒物用容器を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の粉粒物用容器は、第一の底壁部と該第一の底壁部の周縁に立設された第一の側壁部とを備え、第一の側壁部の上端を周縁とする第一の上端開口部が形成され、内部が内容物収納室とされた容器本体と、前記第一の上端開口部を塞ぐ蓋体と、前記容器本体内に着脱可能に設けられ、前記容器本体に取り付けた際に前記第一の底壁部から前記第一の上端開口部に向かう筒状の第二の側壁部を備え、該第二の側壁部の上端を周縁とする第二の上端開口部が形成され、内部が計量具収納室とされた計量具収納体とを備えた粉粒物用容器において、前記計量具収納体の底部には、前記計量具収納室の内外を連通する連通口が形成され、前記第一の底壁部の内側には、前記連通口と嵌合する突起部が立設されていることを特徴とする。
前記連通口は、前記計量具が通過できない大きさであることが好ましく、前記計量具収納体の底部には、前記第二の側壁部の下端に連設された第二の底壁部を備え、該第二の底壁部は、前記第二の側壁部の下端から前記連通口に向かうに従い下方に傾斜することが好ましく、前記突起部は、前記連通口と嵌合した際に、前記連通口の周縁部との間に内容物が通流する空隙を形成する形状であることが好ましく、前記突起部には、前記連通口と嵌合した際、前記計量具収納体と前記第一の底壁部との間に空隙を形成する段部が設けられていることが好ましく、前記計量具収納体には、前記連通口の周縁から下方に向かい連設された筒部が形成され、該筒部には、切欠が形成されていることが好ましく、前記第二の側壁部には、第二の上端開口部の下方近傍に、前記計量具収納室の外方に延設された段差壁部が形成されていることが好ましく、前記蓋体には、前記蓋体を閉じた際に、前記第二の上端開口部の周縁に当接又は嵌合する閉止部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第一の底壁部とその周縁に立設された第一の側壁部とを備え、第一の側壁部の上端を周縁とする第一の上端開口部が形成され、内部が内容物収納室とされた容器本体と、第一の上端開口部を塞ぐ蓋体と、容器本体内に着脱可能に設けられ、容器本体に取り付けた際に第一の底壁部から第一の上端開口部に向かう筒状の第二の側壁部を備え、該第二の側壁部の上端を周縁とする第二の上端開口部が形成され、内部が計量具収納室とされた計量具収納体とを備えた粉粒物用容器において、計量具収納体の底部には、計量具収納室の内外を連通する連通口が形成され、第一の底壁部の内側には、連通口と嵌合する突起部が立設されているため、煩雑な操作を伴わずに計量具を収納でき、内容物への計量具の埋没と、内容物による計量具の把持部の汚染とを防止できる。
本発明によれば、連通口は、計量具が通過できない大きさであるため、計量具収納体を容器本体から取り外す際、計量具が落下しない。
本発明によれば、計量具収納体の底部には、第二の側壁部の下端に連設された第二の底壁部を備え、該第二の底壁部は、第二の側壁部の下端から連通口に向かうに従い下方に傾斜しているため、計量具収納室内に持ち込まれた内容物を容易に排出できる。
本発明によれば、突起部は、連通口と嵌合した際に、連通口の周縁部との間に内容物が通流する空隙を形成する形状であるため、計量具収納室内に持ち込まれた内容物を容易に排出できる。
本発明によれば、突起部には、連通口と嵌合した際、計量具収納体と第一の底壁部との間に空隙を形成する段部が設けられているため、計量具収納体を容器本体に取り付けた状態でも、計量具収納室から内容物を排出できる。
本発明によれば、計量具収納体には、連通口の周縁から下方に向かい連設された筒部が形成され、該筒部には、切欠が形成されているため、計量具収納体を容器本体に取り付けた状態でも、計量具収納室から内容物を排出できる。
本発明によれば、第二の側壁部には、第二の上端開口部の下方近傍に、計量具収納室の外方に延設された段差壁部が形成されているため、計量具の取り出しが容易である。
本発明によれば、蓋体には、蓋体を閉じた際に、第二の上端開口部の周縁に当接又は嵌合する閉止部が設けられているため、内容物による計量具の把持部の汚染をより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる計量具収納体の斜視図である。
【図5】図2のV−V断面図である。
【図6】図2のVI−VI断面図である。
【図7】(a)本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器の正面斜視図である。(b)本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器の背面斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器の断面図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器の断面図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器の断面図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかる容器本体の斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態にかかる容器本体の斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器の平面図である。
【図14】(a)図13のA−A断面図である。(b)図13のB−B断面図である。
【図15】本発明の一実施形態にかかる計量具収納体の斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態にかかる粉粒物用容器について、以下に図面を参照して説明する。図1は、容器本体と、計量具収納体とを分離した状態を示し、図2〜3は、容器本体に計量具収納体を取り付けた状態を示すものである。図4は、計量具収納体の底面側から見た斜視図である。図5は、図2のV−V断面図であり、図6は、図2のVI−VI断面図である。なお、図5〜6は、蓋体の図示が省略されている。
図1〜3に示すように、粉粒物用容器1は、容器本体3と、容器本体3の第一の上端開口部31を塞ぐ蓋体2と、容器本体1内に着脱可能に取り付けられる計量具収納体4とを備えるものであり、蓋体2は、ヒンジ5により開閉可能に容器本体3と蝶着されている。
【0010】
図1、5、6に示すように容器本体3は、平面視略長方形の第一の底壁部32と、第一の底壁部32の周縁に立設された略四角筒状の第一の側壁部34とからなり、内部が粉粒物を内容物として収納する内容物収納室30とされたものである。容器本体3は、第一の側壁部34の上端35を周縁とする第一の上端開口部31が形成され、第一の上端開口部31の輪郭形状は、第一の底壁部32の形状に対応する略長方形とされている。即ち、容器本体3は、有底略四角筒状のものである。
対向する第一の側壁部34同士は、第一の底壁部32から第一の上端開口部31に向かい漸次離れるものとされ、第一の底壁部32には、内容物収納室30内に突出する突起部36が設けられている。
【0011】
本実施形態において突起部36は、平面視略Y字状とされ(図1)、第一の底壁部32から第二の上端開口部31に向かい漸次先細りする形状とされている。先細りするとは、突起部36の平面形状に外接する円の直径が徐々に、又は段階的に小さくなることをいう。本実施形態の突起部36の縦断面の輪郭形状は、対向する側辺が第一の底壁部32から略垂直に立ち上がった後、漸次互いに近づくものとされ、略垂直に立ち上がる側辺36aの長さは、筒部60の長さと略一致するものとされている(図5〜6)。
図5に示すように、第一の側壁部34には、第一の上端開口部31の近傍に、計量具収納体4を係合する第一の係合片38が設けられている。
【0012】
図4は、計量具収納体4の底面側の斜視図である。図1、4〜6に示すように、計量具収納体4は、容器本体3に取り付けた状態において、第一の底壁部32から第一の上端開口部31に向かう略四角筒状の第二の側壁部44と、第二の側壁部44の下端に連接された平面視略長方形の第二の底壁部42とを備え、内部が計量具10を収納する計量具収納室40とされたものである。計量具収納体4は、第二の側壁部44の上端45を周縁とする第二の上端開口部41が形成され、第二の上端開口部41の輪郭形状は、略長方形とされている。対向する第二の側壁部44同士は、第二の底壁部42から第二の上端開口部41に向かい漸次離れるものとされている。
第二の底壁部42の略中央には、計量具収納室40内外を連通する平面視略真円形の連通口50が形成されると共に、連通口50の周縁から下方に向かい連接された筒部60が設けられている。第二の底壁部42は、第二の側壁部44の下端から連通口50に向かい漸次下方に傾斜するものとされている。なお、本実施形態において、連通口50の大きさは、計量具10が通過できない大きさとされている。連通口50をこのような大きさとすることで、計量具収納体4を容器本体3から取り外した際、計量具収納体4から計量具10が落下するのを防止できる。
【0013】
図5に示すように、第二の側壁部44には、第二の上端開口部41の下方近傍で、かつ計量具収納室40に計量具10を収納した際、後述する計量具10の上部先端16(本実施形態では把持部12の先端)よりも低い位置に、計量具収納室40の外方かつ内容物収納室30の内方に延びる段差壁部46が形成されている。即ち、第二の側壁部44の第二の上端開口部41の下方には、第二の上端開口部41の輪郭形状を構成する一辺が計量具収納室40の外方に迫り出すように、段差壁部46が形成されている。この段差壁部46が形成されていることで、第二の上端開口部41の開口面積は、段差壁部46の下方の開口面積よりも大きなものとされている。また、第二の側壁部44には、第二の上端開口部41の外方に、第一の係合片38に係合する第二の係合片48が設けられている。
【0014】
図5〜6に示すように、計量具収納体4は、連通口50に突起部36が嵌合することで、容器本体3に取り付けられている。以降、計量具収納体4が容器本体3に取り付けられた状態を常態という。本実施形態において、突起部36が平面視略Y字状とされているため、常態の粉粒物用容器1には、連通口50の周縁と突起部36との間に、内容物が通流できる空隙が形成されている。
【0015】
蓋体2は、略長方形の主壁部20と、主壁部20の周縁に設けられたフランジ22とを備え、蓋体2を閉じた際に、主壁部20が、第一の側壁部34の上端35及び第二の側壁部44の上端45に当接するものとされている。本実施形態において、主壁部20の内面は、略面一とされている。
【0016】
本実施形態において、計量具収納体4に収納される計量具10は、平面視略八角形の器状の計量部14と、計量部14から延設された長尺状の把持部12とを備えるものである(図3、5、6)。
図5〜6に示すように、計量具10は、把持部12の先端を上方、即ち上部先端16とし、計量具収納体4内に収納される。
【0017】
容器本体3の大きさは特に限定されず、収納する内容物の種類、用途等を勘案して決定でき、粉粒物用容器2を一般家庭用の粉粒状洗剤の容器として用いる場合、容器本体3の大きさは、例えば、400〜800cm容量とされる。
例えば、容器本体3を400〜800cm容量とする場合、容器本体3における第一の上端開口部31の長手方向の長さL(図6)は、10〜15cmとされる。また、容器本体3における第一の上端開口部31の短手方向の長さW(図5)は、7〜12cmとされ、容器本体3の高さH(図5)は、10〜13cmとされる。
【0018】
突起部36における第一の底壁部32の内面からその突端までの長さ、即ち突起部36の高さh1は、粉粒物用容器1の流通中、あるいは取り扱い中に、計量具収納体4が容器本体3から容易に脱離しないものとされる。加えて、突起部36の高さh1は、計量具収納体4における連通口50から第二の上端開口部41までの距離や、計量具10の大きさ等を勘案して決定でき、容器本体3の容量を400〜800cmとした場合、例えば、5〜10mmとされる。
【0019】
本実施形態の容器本体3の材質は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックが挙げられる。
計量具収納体4の材質は、容器本体3の材質と同様である。蓋体2の材質は、容器本体2の材質と同様である。
【0020】
次に、本実施形態の粉粒物用容器の使用方法を説明する。
まず、図1に示すように、計量具収納体4に計量具10を収納する。この際、把持部12の先端を上方、即ち第二の上端開口部41側になるように、計量具10を収納する。次いで、図2に示すように、計量具10を収納した計量具収納体4を容器本体3に取り付ける。この際、図5〜6に示すように、連通口50に突起部36を嵌入させ、かつ第二の係合片48を第一の係合片38に係合させる。その後、内容物収納室30に内容物を充填し、図7に示すように蓋体2を閉じ、容器入り粉粒物製品とする。
【0021】
この容器入り粉粒物製品は、主壁部20が第二の側壁部44の上端45と当接しているため、計量具収納室40は、内容物収納室30から隔離される。このため、粉粒物用容器1が落下したり、外部から振動を受けた際にも、内容物収納室30の内容物が計量具収納室40内に入り込みにくい。加えて、連通口50と突起部36とが嵌合することで、粉粒物用容器1は、落下したり、外部から振動を受けた際に、計量具収納体4の下方に形成された連通口50が、第一の底壁部32の面方向にずれたりしないため、連通口50から内容物が計量具収納室40に入り込むのを防止できる。
【0022】
充填する内容物は、粉粒物であれば特に限定されず、例えば、粉粒状の衣料用洗濯洗剤や粉粒状の自動食器洗浄機用洗剤等の粉粒状洗剤、粉粒状の調味料、粉粒状の食品等が挙げられる。中でも、濡れた手で計量具10を操作する機会の多い、粉粒状洗剤において、本発明の効果が顕著である。
【0023】
内容物を計量する際は、蓋体2を開き、図3のように計量具10を取り出し、取り出した計量具10で内容物収納室30内の内容物を掬い取り、任意の量に調整する(計量操作)。この際、計量具10の把持部12には、内容物が付着していないため、使用者は、手指を汚すことがない。
内容物を計量した後、計量具10を計量具収納体4に収納し、蓋体2を閉じることで、計量具収納室40を内容物収納室30から隔離した状態で、容器入り粉粒物製品を保管できる。
【0024】
上述の計量操作の際に、計量具10の把持部12以外の部分、即ち計量部14に付着した内容物が、計量具収納室40内に持ち込まれ、計量操作を繰り返すと、計量具収納室40内での内容物の堆積量が増加する。この内容物の堆積量が増加すると、計量具収納室40内に計量具10を収納しにくくなったり、あるいは粉粒物用容器1に振動を与えた場合に、堆積した内容物が舞い上がって把持部12に付着する。
そこで、計量具収納室40内に持ち込まれた内容物を以下の操作により内容物収納室30内に戻すことができる。
連通口50と突起部36との嵌合が解除されるように、計量具収納体4を上方に引き上げる。計量具収納体4を引き上げると、計量具収納室40内の内容物は、第二の底壁部42に沿って連通口50に流入し、筒部60内を通流して内容物収納室30内に排出される。この際、筒部60の下端が第一の底壁部32から離間する程度に計量具収納体4を引き上げることで、連通口50の周縁と、突起部36との間に形成されている空隙を通じて、計量具収納室40内の内容物は、内容物収納室30へ排出される。
【0025】
本実施形態によれば、容器本体内に、容器本体に取り付けた際に第一の底壁部から第一の上端開口部に向かう筒状の側壁部を備える計量具収納体を備えるため、煩雑な操作を伴わずに計量具を容器本体内に収納できる。加えて、計量具収納体を備えることで、内容物を収納する内容物収納室と、計量具を収納する計量具収納室とを隔離できるため、計量具が内容物に埋没せず、かつ計量具の把持部に内容物が付着するのを防止できる。
【0026】
本実施形態によれば、計量具収納体の第二の底壁部に連通口が形成されているため、計量具収納体を上方に引き上げるという簡単な操作で、計量具収納室内に持ち込まれた内容物を内容物収納室に排出できる。加えて、第二の底壁部が連通口に向かって傾斜しているため、計量具収納室内に持ち込まれた内容物を容易に連通口から排出できる。さらに、突起部が連通口と嵌合した状態で、連通口の周縁との間に空隙を形成する形状であるため、筒部の下端を容器本体の第一の底壁部から離間させるだけで、計量具収納室内の内容物を容易に排出できる。
【0027】
本実施形態によれば、計量具収納体は、第二の側壁部に段差壁部が形成されて、第二の上端開口部の開口面積が段差壁部より下方の開口面積より大きいものとされている。このような計量具収納体に収納された計量具は、上部先端が第二の側壁部の内面と離間しているため、使用者は、把持部を手指で容易に摘み、容易に計量具を取り出せる。
【0028】
本発明の粉粒物用容器は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、容器本体3が有底略四角筒状とされているが、本発明はこれに限定されず、容器本体は、有底略円筒状や、有底略三角筒状、有底略五角筒状等の有底四角筒状以外の有底多角筒状であってもよい。
【0029】
上述の実施形態では、計量具収納体4の第二の側壁部44に段差壁部46が形成されているが、本発明はこれに限定されず、第二の側壁部に段差壁部が形成されていなくてもよい。ただし、計量具を取り出しやすくする観点から、第二の側壁部には段差壁部が形成されていることが好ましい。
この点について、図5、8を用いて説明する。図8は、段差壁部が形成されていない第二の側壁部を備えた計量具収納体204を取り付けた粉粒物用容器における、図5と同じ方向から見た断面図であり、粉粒物用容器1と同じ構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、図8において、蓋体の図示は省略されている。
【0030】
図8に示す計量具収納体204は、第二の底壁部42の周縁から立設された略四角筒状の第二の側壁部244を備え、第二の側壁部244は、第二の底壁部42から第二の上端開口部241に至り、略面一とされている。この計量具収納体204は、第二の側壁部244の上端245を周縁とする第二の開口部241が形成され、内部が計量具10を収納する計量具収納室240とされたものである。
【0031】
図8に示すように、計量具10を計量具収納体204に収納すると、計量具10の上部先端16が第二の側壁部244の内面と近接するか、あるいは第二の側壁部244の内面に当接する。このため、計量具10を取り出す際に、把持部12を手指で摘みにくい。
一方、図5に示すように、第二の側壁部44に段差壁部46を形成すると、段差壁部46の上方において、計量具10の上部先端16と第二の側壁部44との間に空間が形成される。このため、計量具10を取り出す際に、把持部12を容易に手指で摘み把持することができる。
【0032】
上述の実施形態では、計量具収納体4には、第二の底壁部42が設けられているが、本発明はこれに限定されず、例えば、計量具収納体は、略筒状の第二の側壁部のみで構成され、連通口が第二の側壁部の下端を周縁とする開口部により形成されるものであってもよい。
【0033】
上述の実施形態では、計量具収納体4の第二の側壁部44が、略四角筒状とされているが、本発明はこれに限定されず、第二の側壁部が、略円筒状や、略三角筒状、略五角筒状等の四角筒状以外の多角筒状であってもよい。
【0034】
上述の実施形態では、第二の底壁部42が、連通口50に向かい漸次下方に傾斜するものとされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第二の底壁部は、第一の底壁部32と略平行なものであってもよい。
また、上述の実施形態では、第二の底壁部42に筒部60が設けられているが、本発明はこれに限定されず、筒部60が設けられていなくてもよい。
【0035】
このような計量具収納体を備えた粉粒物用容器について、図9を用いて説明する。図9は、計量具収納体304を取り付けた粉粒物用容器における、図6と同じ方向から見た断面図であり、粉粒物用容器1と同じ構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、図9において、蓋体の図示は省略されている。
【0036】
図9に示すように、計量具収納体304は、容器本体3に取り付けた際、第二の側壁部44と、第二の側壁部44の下端に連接され、第一の底壁部32と略平行な第二の底壁部342とを備え、内部が計量具10を収納する計量具収納室340とされたものである。第二の底壁部342の略中央には、平面視略真円形の連通口350が形成され、第二の底壁部342の下方には、筒部が設けられていない。連通口350と突起部36とが嵌合した状態において、第二の底壁部342の外面は、第一の底壁部32の内面と当接している。
このように、第二の底壁部342の外面と、第一の底壁部32の内面とが当接することで、容器本体3への計量具収納体304への取り付け状態がより安定し、落下したり、外部から振動を受けた際に、計量具収納体304が傾いて、内容物が連通口350から計量具収納室340内へ進入するのをより確実に防止できる。
ただし、計量具収納室内の内容物を容易に排出できる観点からは、第二の底壁部が連通口に向かい漸次下方に傾斜していることが好ましい。
【0037】
上述の実施形態では、連通口50が平面視略真円形とされているが、本発明はこれに限定されず、連通口の平面視形状は、楕円形等、真円形以外の円形であってもよいし、三角形、四角形等の多角形であってもよい。
【0038】
上述の実施形態では、連通口50が第二の底壁部42の略中央に形成されているが、本発明はこれに限定されず、連通口が第二の底壁部のいずれの場所に形成されていてもよい。
【0039】
上述の実施形態では、第二の底壁部42に1つの連通口50が形成されているが、本発明はこれに限定されず、連通口の数は2つ以上であってもよい。
【0040】
上述の実施形態では、突起部36の縦断面の輪郭形状において、略垂直に立ち上がる側辺36aの長さが、筒部60の長さと略一致するものとされているが、本発明はこれに限定されず、突起部の縦断面の輪郭形状における略垂直に立ち上がる側辺の長さが、筒部60の長さよりも長くてもよい。このような、粉粒物用容器について、図10を用いて説明する。図10(a)は、図6と同じ方向から見た断面図であり、常態を示すものである。図10(b)は、計量具収納体4内の内容物を排出する際の様子を示すものである。
図10に示す容器本体403は、第一の底壁部32に、平面視略Y字状の突起部436が突設されたものである。計量具収納体4は、連通口50が突起部436と嵌合されて、容器本体403内に取り付けられている。
突起部436の縦断面の輪郭形状は、第二の底壁部32から略垂直に立ち上がる側辺436aに続き、第一の上端開口部31に向かい漸次互いに近づく形状とされている。
側辺436aの長さは、筒部60の長さよりも長いものとされている。即ち、図10(a)に示す常態において、突起部436における側辺436aを形成する部分が、計量具収納室40内に位置している。
本実施形態において、突起部436の高さh2は、長すぎると計量具10の大きさが過度に制限され、短すぎると本実施形態の効果が発揮できない。従って、高さh2は、計量具10の大きさ等を勘案して決定でき、例えば、10〜20mmとされる。
【0041】
計量具収納室40内に持ち込まれた内容物を排出する際は、図10(b)に示すように、計量具収納体4を上方に引き上げる。この際、突起部436が平面視略Y字状とされているため、連通口50の周縁と、突起部436との間に形成されている空隙を通じて、計量具収納室40内の内容物は、内容物収納室30へ排出される。加えて、側辺側辺436aの長さが筒部60の長さよりも長いため、筒部60の下端が側辺436aの上方になるように計量具収納体4を引き上げなくても、計量具収納室40内の内容物を排出できる。そして、計量具収納室40内の内容物を排出した後、筒部60を側辺436aに沿って下方に押し下げることで、粉粒物用容器を容易に常態とすることができる。
【0042】
上述の実施形態では、突起部36が第一の底壁部32から第二の上端開口部31に向かい漸次先細りする形状とされているが、本発明はこれに限定されず、突起部は、第一の底壁部から第二の上端開口部に向かい略同等の径であってもよい。
【0043】
上述の実施形態では、突起部36が平面視略Y字状とされているが、本発明はこれに限定されず、突起部は、円柱状であってもよいし、多角柱状又は平面視十字状、平面視I字状等、連通口50と嵌合した際に、連通口50の周縁と空隙を形成できる他の形状であってもよい。計量具収納室40内の内容物を容易に排出できる観点から、連通口50と嵌合した際に、連通口50の周縁と空隙を形成できる形状が好ましく、計量具収納体4を安定して取り付けられる観点から、平面視Y字状、平面視十字状がより好ましい。
【0044】
突起部を平面視略十字とした容器本体の一例を図11に示す。
図11に示す容器本体503は、第一の底壁部32に、内容物収納室30内に突出する平面視略十字状の突起部536が設けられたものである。
突起部を平面視略十字状とすることで、計量具収納体をより安定して容器本体503に取り付けることができる。
【0045】
さらに、突起部は、計量具収納体と第一の底壁部との間に空隙を形成する形状であることが好ましい。このような突起部としては、縦断面の輪郭形状が、突端から第一の底壁部に向かい漸次拡幅し、連通口の口径より大きな幅となるものや、段部が設けられているものが挙げられる。このような突起部を備えた容器本体の一例を以下に説明する。
図12に示す容器本体603は、第一の底壁部32の内面に突設された平面視略十字状の突出部637と、第一の底壁部32の内面上に設けられ、突出部637の平面視形状における十字の各先端方向に延設された段部638とを備える突起部636を備えるものである。
【0046】
段部638を備えることの優位性について、図13〜14を用いて説明する。図13〜14は、常態の粉粒物用容器を示すものであり、いずれも蓋体の図示が省略されている。
図14(a)に示すように、図13のA−A断面、即ち段部638を通り、かつ段部638の延設方向を含む断面においては、筒部60の下端が段部638の上端と当接した状態で、計量具収納体4が容器本体603に取り付けられている(常態)。図14(b)に示すように、図13のB−B断面においては、筒部60の下端が第一の底壁部32と離間している。
このように、段部638を設けることで、常態においても筒部60の下端と第一の底壁部32との間に空隙が形成され、計量具収納室40内の内容物を内容物収納室30に排出できる。
【0047】
上述の実施形態では、筒部60が、略円筒状のものとされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、三角筒、四角筒等の多角筒状とされていてもよい。
また、例えば、図15に示す計量具収納体704のように、筒部760に略矩形の切欠762が形成されていてもよい。筒部に切欠が形成されていることで、常態において、計量具収納室内の内容物が連通口50と切欠762とを通流し、内容物収納室に排出される。なお、切欠762の形状は、粉粒物が通流できるものであれば略矩形に限定されず、例えば、半円形、三角形等であってもよい。
【0048】
上述の実施形態では、第一の底壁部32に突起部36が1つ設けられているが、本発明はこれに限定されず、突起部36が2つ以上設けられていてもよい。突起部36を2つ以上設けることで、例えば、使用者が、利き腕に応じて、計量具収納体4を配置できる。
【0049】
上述の実施形態では、蓋体2の主壁部20の内面が略面一とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、図16に示す粉粒物用容器800のように、蓋体802の主壁部820の内面に、長方形に囲う形状の凸条である閉止部824が形成されていてもよい。この閉止部824は、蓋体802を閉じた際に、容器本体3内に取り付けられた計量具収納体4の第二の側壁部44の上端45の外周を覆うものである。即ち、閉止部824は、第二の上端開口部41の周縁と嵌合するものである。閉止部824が形成されていることで、計量具収納室40を内容物収納室30からより確実に隔離でき、容器入り粉粒物製品の流通中に、内容物の計量具収納室4への進入をより確実に防止できる。
なお、閉止部824は、第二の上端開口部41の周縁と嵌合するもののみならず、第二の上端開口部41の周縁、即ち第二の側壁部4の上端45と当接するものであってもよい。
【0050】
上述の実施形態では、第一の係合片38と第二の係合片48とが設けられているが、本発明はこれに限定されず、第一の係合片38及び/又は第二の係合片48が設けられていなくてもよい。
【0051】
上述の実施形態では、計量具10が平面視略八角形の器状の計量部14を備える計量スプーンとされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、計量部の平面視形状は平面視略円形であってもよいし、八角形以外の多角形であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 粉粒物用容器
2、802 蓋体
3、403、503、603 容器本体
4、204、304、704 計量具収納体
10 計量具
30 内容物収納室
31 第一の上端開口部
32 第一の底壁部
34 第一の側壁部
35 第一の側壁部の上端
36、436、536、636 突起部
40、240、340 計量具収納室
41、241 第二の上端開口部
42、342 第二の底壁部
44、244 第二の側壁部
45、245、345 第二の側壁部の上端
46 段差壁部
50、350 連通口
60、760 筒部
637 段部
762 切欠
824 閉止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の底壁部と該第一の底壁部の周縁に立設された第一の側壁部とを備え、第一の側壁部の上端を周縁とする第一の上端開口部が形成され、内部が内容物収納室とされた容器本体と、前記第一の上端開口部を塞ぐ蓋体と、前記容器本体内に着脱可能に設けられ、前記容器本体に取り付けた際に前記第一の底壁部から前記第一の上端開口部に向かう筒状の第二の側壁部を備え、該第二の側壁部の上端を周縁とする第二の上端開口部が形成され、内部が計量具収納室とされた計量具収納体とを備えた粉粒物用容器において、
前記計量具収納体の底部には、前記計量具収納室の内外を連通する連通口が形成され、
前記第一の底壁部の内側には、前記連通口と嵌合する突起部が立設されていることを特徴とする粉粒物用容器。
【請求項2】
前記連通口は、前記計量具が通過できない大きさであることを特徴とする請求項1に記載の粉粒物用容器。
【請求項3】
前記計量具収納体の底部には、前記第二の側壁部の下端に連設された第二の底壁部を備え、該第二の底壁部は、前記第二の側壁部の下端から前記連通口に向かうに従い下方に傾斜することを特徴とする請求項1又は2に記載の粉粒物用容器。
【請求項4】
前記突起部は、前記連通口と嵌合した際に、前記連通口の周縁部との間に内容物が通流する空隙を形成する形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉粒物用容器。
【請求項5】
前記突起部には、前記連通口と嵌合した際、前記計量具収納体と前記第一の底壁部との間に空隙を形成する段部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の粉粒物用容器。
【請求項6】
前記計量具収納体には、前記連通口の周縁から下方に向かい連設された筒部が形成され、該筒部には、切欠が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉粒物用容器。
【請求項7】
前記第二の側壁部には、第二の上端開口部の下方近傍に、前記計量具収納室の外方に延設された段差壁部が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉粒物用容器。
【請求項8】
前記蓋体には、前記蓋体を閉じた際に、前記第二の上端開口部の周縁に当接又は嵌合する閉止部が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の粉粒物用容器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−82000(P2012−82000A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231568(P2010−231568)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】