説明

粒子凝縮方法

本発明は、粒子(100)を凝縮する方法であって:支持体(104)の少なくとも1個の導波路(108)に近接して、及び/又は、該導波路(108)上に前記粒子(100)を配置する段階と、前記導波路(108)に光照射Rを入射して、導波路上で粒子を1個又は数個のクラスター(106)にグループ化を引き起こす段階、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小粒子の処理方法特に、凝縮(集結)方法の分野に関するものである。この粒子とは、リポゾーム、動物若しくは植物の細胞、ウィルス若しくは微生物等の生物学的粒子、DNA、RNA若しくはタンパク質等のマクロ分子、マイクロボール等の無機物粒子であってもよい。応用分野としては化学的若しくは生物学的分析、又は、品質コントロール(微粒子の較正)がある。
【背景技術】
【0002】
フロー・サイトメトリーのような粒子細胞選別による公知の手法は、特に希少な若しくは非常に小数の細胞数の分析については限界に達している。
【0003】
光学的クランプの技法は、連続的なレーザービームのウェストに形成されている強度勾配によって粒子(マイクロボール、細胞若しくはマクロ分子)の閉じ込めを基礎にしている。例えば、これについては、アシュキン(Ashkin)及びジーディック(Dziedic)によって“Observation of radiation-pressure trapping of particles by altering light beams”とのタイトルでPhysics Review Letters, 54(12), 1985に掲載された論文に記載されている。この操作は放射線圧力のバランスによって可能となっている。この操作を一旦行うと、粒子はビームを変位することによって変位する。
【0004】
このタイプの装置における変位の距離は通常、数100ミクロンに制限される。
【0005】
従って、処理特に粒子の凝縮はできない。
【0006】
図1は、このような装置の原理を示すものである。
【0007】
粒子2は液体媒体6中にビーム4によって閉じ込められている。
【0008】
図2は、レーザービーム4の両側において、装置によって生成された力場を示すグラフである;粒子は、それを捕捉し得る(レーザーの電場によって生じた放射線圧力によって誘起された)力学的な力の場に閉じ込められる。
【0009】
このタイプの装置は欠点がある:粒子の変位が、セットアップが難しく、高価な専用の機械システムの使用に基づいてなされることである。
【0010】
例えば、タナカ(Tanaka)らによってApplied Physics Letters, 77, p3131, 2000に掲載された論文に記載されているような最近の仕事では、誘導光学装置を利用しており、光学的な力による細胞の変位のために装置を設計する可能性を示唆している;この手法は生物学的細胞よりもはるかに小さい対象物(数ミクロンオーダーのサイズのボールやコロイド)に限定されている。
【0011】
図3に示しているのは、この装置は基板12上に形成されたストリップを有する導波路10を用いたものである。粒子は、粒子における光強度に比例する光圧力を伴う力によって変位する。粒子は強度の勾配に比例する力によって導波路において適所に保持される。
【0012】
導波路が単一モードであるならば、粒子が捕捉される場所で最大の光強度がある。
【0013】
さらに、このような生物学的細胞等の対象物を凝縮することが望まれるならば、それらに損傷を与えないために特別な注意をとる必要はない。液体の流れを含む凝縮方法(例えば、例えばメンブレン上の残留による凝縮)によって、細胞を大きく損傷させ、導波路回路におけるブロッキングに続いて起こりえる過圧力が生じ得る問題を引き起こす。
【0014】
細胞についての損傷は少ない、光学的クランプの使用は実現性が低い。各クランプは単一の対象物を扱うことができるだけであり、この場合に全ての粒子について一の操作で変位させることができることが必要である。この方法はかなり大変であり、熟練者及び/又は非常に繊細なコンピュータ制御を必要とする。
【0015】
粒子を簡単にかつ効率的に凝縮する方法及び装置を見つけるのに問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、例えば生物学的興味をもって、粒子又は対象物を凝縮するシステムに関するものである。
【0017】
本発明は、例えば、数ミクロンから数センチメートルの間の長さを有する少なくとも一の導波路を用いる。
【0018】
粒子は一個又は数個のクラスターに凝縮されてもよい:凝縮される粒子はまず、導波路の一部に近接して配置される。次いで、光照射が、全粒子を引きつけ、これらの粒子を1個のクラスターに凝縮する力を生成する導波路に注入される。
【0019】
特に、これらの力は(数ミクロンオーダーの)短距離範囲の光学的力、及び/又は、より長距離の範囲(数10ミクロン)を有する導波路の上の流体の対流に関する力であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、粒子が1個又は数個のクラスターに凝縮され得るように数個の導波路を用いてもよい。これらのクラスターは1個又は数個の導波路上に分散していてもよく、又は、導波路のそれぞれ上に分布していてもよい。一の変形例では、これは光照射が挿入される段階において導波路のそれぞれに光照射を追加することによって達成され得る。
【0021】
前記導波路は交差なしで支持体上に隣接して配置されもよい。これらは少なくとも一の凝縮点で一緒に混合され、集結されてもよい。この場合、この凝縮点で粒子を単一のクラスターに凝縮するために注入段階を用いることができる。
【0022】
一旦、1個又は数個の導波路に凝縮されると、粒子は変位しやすくてもよい;ついで、形成された粒子クラスターは位置を変えやすくてもよい。
【0023】
本発明の位置の特徴では、この変位を防止するために定在波を用いてもよい。このような定在波は例えば、回折グレーティング又は導波路によって形成された光学的ループを使用される光照射から形成されてもよい。
【0024】
定在波の利用によって、同じ導波路上に固定された数個のクラスターに凝縮された粒子を保持するのが容易になりえる。
【0025】
前記の注入された光照射は紫外線と赤外線との間であってもよい。これは、特に凝縮される粒子の性質やこの凝縮が行われなければならない速度のような基準に従って選択される。
【0026】
凝縮される粒子は、例えば、数ナノメートルから100ミクロンとの間のサイズを有するマイクロボールについてのマイクロ製造方法で形成された対象物であってもよい。これらの粒子は例えば、細胞等の生物学的要素、タンパク質、DNA、RNA等のマクロ分子であってもよい。
【0027】
本発明による方法の一の特徴に従って、凝縮される粒子は使用される前記支持体上に配置される前にマーク(標識付け)されてもよい。これは、粒子の屈折率のそれの環境に対する差を増大する手段を提供するものであり、光照射が注入されるときにそれらの凝縮を改善し得るものである。
【0028】
例えば、凝縮される粒子が細胞であるときに、マーキングは例えば、金若しくはポリマー等の金属に基づいて他のマーキング粒子によって実行されてもよい。これらのマーキング粒子は例えばマイクロボールであってもよい。
【0029】
本発明による方法は、水、バッファー溶液等の液体媒体、又は、細胞懸濁媒体において行われてもよい。
【0030】
この方法は、特に選別される粒子が生物学的要素であるときにはこのような媒体において実行されてもよい。
【0031】
本発明は、1個又は数個の導波路であって、少なくとも2個の回折格子によって両側において囲んでいるものである導波路を含む粒子凝縮装置にも関連する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、添付図面を参照して、以下に記載する単に情報提供を目的する非限定的な実施例についての記載を読むことによってより理解が深まるであろう。
【0033】
理想的には、異なる図面の同じ若しくは等価な部材は、一の図面と他の図面との比較を容易にするために同じ符号が用いられている。
【0034】
図面に示された異なる部分は図面をより容易に理解するために同じスケールで描かれているわけではない。
【0035】
本発明による方法の概略的な例を図4A及び図4Bを参照して記載する。
【0036】
本発明の方法は粒子100を凝縮するため、又は、粒子100の組にグループ化するために用いられる。
【0037】
粒子とは、5ナノメートルから100ミクロンの範囲のサイズを有する有機若しくは無機物要素、又は対象物を意味する。これらの粒子は例えば、リポゾーム、ウィルス、微生物、動物若しくは植物の細胞等の生物学的粒子、タンパク質、DNA、RNA等のマクロ分子、例えば金属若しくは誘電材料をベースにしたマイクロボール等の無機物粒子であってもよい。
【0038】
本発明による凝縮方法は、グループ化される粒子の屈折率と好適には異なる、又は、非常に異なる屈折率を有する、例えば、ガラス製若しくはシリコン製の支持体104上で実施される。この支持体104は、例えば数ミクロンから数センチメートルの長さの少なくとも一の集積型の多重モード若しくは単一モードの導波路108を備える。
【0039】
本発明の第1の段階に従って、粒子100をまず、マニュアル若しくは自動の方法を用いて導波路108に近接した及び/又は導波路108上の領域102に配置する。
【0040】
次いで、支持体104に集積されてもよく、されなくてもよい光学装置112を用いて、光照射Rを光学的ガイドに注入される。注入された照射は近紫外線と赤外線との間例えば、300nmと1200nmとの間の波長を有する(図4A)。
【0041】
光照射Rは、特に凝縮される粒子の種類に依存し、これらの粒子がグループ化される速度に依存しえて選択されてもよい。
【0042】
例えば、粒子が細胞等の生物学的要素である場合に例えば、1064nmの波長を有するYAGレーザーを用いて、赤と赤外との間の波長を用いてもよい。照射パワーは数10ミリワットから数100ミリワットのオーダー、例えば、150mWに近い、50mWと1Wとの間のオーダーであり得る。
【0043】
導波路108を介した光照射Rは導波路に対する力
【数1】

を形成する。このような力は粒子100を引きつけ、導波路108上で凝縮してもよい。次いで、このような粒子100はクラスター106を形成する(図4B)。
【0044】
粒子はグループ化される速度は、粒子の質量、体積、屈折率、及び、使用される光照射の波長に依存して変化し得る。
【0045】
光照射注入段階が延長されるならば、クラスター106は変位しやすくなってもよい。粒子は光照射の伝搬の方向に沿って導波路108に沿って変位し得る。
【0046】
この現象を防止することが必要ならば、一の変形例によれば、粒子100のクラスター106を形成するや否や、光照射の入力を停止することができる。
【0047】
他の変形例では、粒子100は、それらが一旦導波路上に配置すると、例えば定在波を用いてブロックされ得る。これらの定在波は例えば、一又は複数の回折格子を用いて、又は、光ループシステムを形成することによって導波路内で光照射Rを変形することによって形成してもよい。
【0048】
図5Aは、図4A及び図4Bに示したものと同様な装置に関する。導波路108も、光学装置112によって生成された光照射を定在波に変換するのに用いる集積型回折格子200を備える。
【0049】
導波路108を介した定在波の使用も、粒子を同じ導波路108に沿って形成された複数のクラスター202,204,206に凝縮し、保持することができる。
【0050】
これらのクラスター202,204,206を、光強度が最大になる導波路の位置に配置する。
【0051】
図5Cに描いた曲線Cは、導波路を横切る方向に沿って、かつ、照射Rの進行方向に沿った、照射Rから導出された定在波の振幅の変動を表すものである。曲線Cの最大値は、粒子クラスターがグループ化される導波路108上の位置に対応する。
【0052】
一変形例では、定在波は、図5Bに示したような少なくとも一ループ210に形成されたガイドを用いて導波路内に形成され得る。この種のループは、光照射が導波路に沿って通るときに1個又は2個の異なる軌道を採り得るようにできる。異なる方向に同じ長さ及び同じ振幅を有する2個の光波は接触して干渉し得る。
【0053】
本発明による粒子の凝縮方法は、複数の導波路を備えた装置を用いて使用してもよい。このような装置を用いて、異なる導波路に近い領域に位置する粒子群を一又は二以上のクラスターに凝縮することが必要である。
【0054】
例えば、この変形例は、所定の間隔で隣接する導波路を備えた支持体を用いて形成してもよい。これらの導波路は異なる長さ及び/又は異なる幅を有し、異なる材料から成ってもよい。
【0055】
粒子をグループ化する第1の方法は光照射を一の導波路に注入することから成る。異なる隣接する導波路間の距離が十分に小さければ、導波路間のカップリングが生じ得て、次いで、光照射は他の一又は二以上の導波路に進行する。カップリングが生ずるときは、粒子は異なる導波路からの力によって引きつけられ、これらの異なる導波路上に分布した異なるクラスター内に凝縮されてもよい。
【0056】
しかしながら、カップリングが複数の導波路間に生ずるときは、粒子振動現象が一の導波路から他の導波路に生じ得る。2つの導波路間に粒子がブロックされたままという他の現象も起こりえる。
【0057】
凝縮方法を最適化し、これらの2つの現象を防止するために、導波路間の距離を、異なる導波路間がカップリングを生じ得る最小の距離より大きな値に固定してもよい。しかしながら、この最小の距離は特に導波路のジオメトリ特性、構成材料の屈折率、及び、使用される光の波長に依存する。これは例えば、数ミクロン(例えば、5μm以上)から数10ミクロン(例えば、5μmから50μmの間)のオーダーであってもよい。
【0058】
距離eの間隔で数個の隣接導波路211、212、213を備えた装置の例を図6Aに示す。例えば、10若しくは数10ミクロン例えば、10若しくは20μmの値での、異なる導波路間でのカップリングを回避するように距離eは固定される。異なる光照射R1、R2、R3は導波路211、212、213のそれぞれに入射されて導波路211、212、213に近接して配置した粒子100を凝縮し得る(図6A)。これは、粒子100を異なる導波路上に分布した異なるクラスター214、215、216に凝縮する手段を提供する(図6B)。
【0059】
この方法が完了すると、複数の導波路上に分布した粒子クラスターを単一のクラスターにグループ化することができる。
【0060】
これを達成するために、支持体104は複数の隣接する多重化導波路を含むように用いることができる。これらの導波路は凝縮点220で合体される(図7)。各導波路を介した光照射の入射によって、粒子が異なる導波路上に分布した複数のクラスターへの凝縮を引き起こす。光の発生が長くなると、粒子100は光の伝搬方向に沿って移動する傾向がある(図4で矢印で示す)。従って、粒子100は凝縮点に移動する。粒子100は単一のクラスターに凝縮する。
【0061】
粒子の凝縮を改良する一方法は、導波路で形成された力に付加されて、粒子100上に付加的な照射力
【数2】

を発生させることを含む。このような付加的な照射力
【数3】

は例えば、導波路の両側上に配置した回折格子232によって生成されてもよい。付加的な光照射R’はこれを介して入射される(図8)。
【0062】
本発明による方法は、動物細胞若しくは植物細胞等の生物粒子の凝縮にも適用できる。少なくとも一の導波路を備えた支持体例えばガラスから成るものが生物粒子を凝縮するのに用いられるだろう。
【0063】
支持体は細胞を保存するために、液体溶液好適には生体適合性のものに浸漬してもよい。
【0064】
異種の細胞サンプルにおいて、特定の表現型例えば、タンパク質等のある種の表面マクロ分子の存在によって特徴づけられる所定の亜集団を孤立さえる試みが行われる。さらに、抗体等のプローブ分子は、非常に強い親和性を有するこれらの表現型マーカーを識別でき、これに結合され得る。抗体タイプのプローブ分子の場合には、表現型マーカーは抗原と称される。抗体は当業者に周知の手法よって、例えば金ボールのような特別な特徴用に選択されたボールに固定される。次いで、このような機能化された金ボールは細胞の表面上にグラフトされ、例えばこれらの細胞は血液から分離されかつ凝縮されるリンパ球であってもよい。
【0065】
マークされた(標識を付けた)細胞は例えばピペットを用いて最初にサンプリングされる。次の段階は、該サンプルを支持体レセプタクルに配置することである。このレセプタクルは例えば、ジーン・フレーム(Gene Frame(登録商標)型チャンバのようなチャンバであってもよい。この自己付着チャンバは非常に簡単で気体に対して不浸透性のジョイントシステムであり、高温で抵抗を提供する。レセプタクルはこのタイプのチャンバに限定されない。
【0066】
細胞グループはレセプタクルから導波路近傍に位置するゾーン例えば、一又は二以上の毛細血管(キャピラリ)に移動する。
【0067】
次の段階は、前記導波路を介して光照射を入射することである。細胞選別中に使用される照射は細胞に対して無害であるのが好ましい。従って、使用される光照射は遠赤外及び近赤外の間の波長例えば、1000nmから1200nmの間の波長例えば、1064nmに近い波長で発生するレーザー照射であってもよい。
【0068】
レーザー照射の導波路の通過によって、細胞にアタックするように導波路に向いた力が形成される。次いで細胞はクラスターに凝縮される。
【0069】
通常、導波路の上方に配置したCCDカメラ等の観察手段を備える。このような手段は上述のような選別をモニターすることができる。、
【0070】
図9は、本発明による導波路システムを組み込んだ支持体104上の粒子凝縮システム100を示す。対物レンズ300はレーザービームR(例えば、1064nmのYAGビーム)を導波路108に合焦する。選別される粒子はスライド320上に配置したチャンバ310内に含まれる。カメラ330は例えば、焦点調製装置又はズーム340を用いて凝縮の画像を作成するのに用いられる。通過した照射の画像を形成する手段350,360(対物レンズ、カメラ)も装置からの出力部に配置してもよい。
【0071】
上述のような本発明の凝縮方法を実施する装置特に、例えば支持体、一又は二以上の導波路を含む装置は、MEM(マイクロ・エレクトロメカニカルシステム)又はチップ上のラボに集積してもよい。
【0072】
本発明による方法で使用される導波路は例えば、薄層作製法によって又は例えばイオン交換法によって作製できる。
【0073】
上にこのような導波路が形成された支持体は例えば、ガラスをベースにしてもよい。
【0074】
導波路を形成するために、第1の段階は、蒸発若しくは散水等の方法によって、例えばアルミニウムをベースとする金属薄層142で支持体140を被覆することである。次いで、このアルミニウム層は例えば、フォトレジスト樹脂層等の樹脂層144によって被覆する。
【0075】
支持体に導波路パターンを形成するために、第1段階は、例えばクロムから成るマスク146を介して例えば紫外線ビーム148を用いてフォトレジスト樹脂層を露光することである。マスク146は導波路パターンのコピー又は導波路パターンのネガを含む(図10A)。マスクによって隠されていない樹脂層144の領域は変性された化学構造を有する。
【0076】
露光段階の次の段階はフォトレジスト樹脂層144を現像することである。次いで、化学構造が照射によって変性された領域をエッチングする(図10B)。
【0077】
次の段階は、例えば、アルミニウムエッチング溶液(AluEtch)に支持体をちょっと浸すことによって樹脂層を介してアルミニウム層をエッチングすることである(図10C)。この溶液は樹脂をエッチングしない。これにより、既に現像された部分だけがエッチングされる。
【0078】
次いで、例えば、アセトンを用いて樹脂層144を除去する(図10D)。
【0079】
次いで、イオン交換段階を実行して導波路を形成する。次いで、支持体を硝酸銀及び硝酸ナトリウムを含む塩浴に浸漬する。通常、浴は応用例に依存して10%から50%の銀を含む。塩の融点は約310℃なので、交換段階を320℃から350℃で実施する(図11)。
【0080】
次いで、アルミニウム層をエッチングによって除去する。アニーリングを行ってもよい;ガラスプレートは浴に接触することなく加熱する。この段階によって、銀イオンが支持体の内側より深くに侵入し得る。
【0081】
図1Aに示したような導波路104はこのように形成することができる。
【0082】
例えば、シリコン基板上に導波路を形成するために、他の方法を用いることができる。
【0083】
導波路の上面との摩擦に起因した粒子上のブレーキ力は、特別なコーティング例えば薄いテフロン(登録商標)をベースにした層で導波路を被覆することによって低減し得る。
【0084】
他の実施例について述べる。この例では、使用される導波路はカリウムイオン交換によって作製された表面導波路である(ガラススライド基板)。このイオンは2時間15分の交換時間で280℃の温度で生成される。このような導波路の損失は1064nmの波長で0.2から0.5dB/cmのオーダーである。
【0085】
凝縮される変位する粒子は屈折率1.55及び直径2μmのガラスボール又は直径1μmの金ボールである。
【0086】
使用される装置は図9で示したタイプである。光は1064nmの連続YAGレーザー(P=10W)を用いてエッジを介して結合され、ボールは、それらの変位をモニターするためにビデオカメラ330に結合されたズームシステム340を用いた頂部上で観察される。
【0087】
1μm径の金ボール上で行う実験は、導波路上でボールが自発的にグループ化し、次いで導波路に沿って4μm/sのオーダーの速度での変位が続くことを立証した。同様に、ガラスボールのグループ化と変位の可能性が立証されている。図12Aから図14Cは以下の内容を図示するものである。
−図12Aから図12Dは、t=0s、t=2s、t=3sでの距離70μmでの金属粒子の変位を示す。
−図13は、金属粒子凝縮効果を効果を示す。
−図14Aから図14Cは、t=0s、t=4s、t=8sでの導波路の距離70μmに沿ってのガラスボールのグループ化の進行を示す。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】従来技術を示す図である。
【図2】従来技術を示す図である。
【図3】従来技術を示す図である。
【図4A】本発明による粒子の凝縮方法の一般的な例を示すものである。
【図4B】本発明による粒子の凝縮方法の一般的な例を示すものである。
【図5A】粒子を同じ導波路上に一又は数個の静止したクラスターに凝縮する装置の例を示すものである。
【図5B】粒子を同じ導波路上に一又は数個の静止したクラスターに凝縮する装置の例を示すものである。
【図6A】数個の隣接する導波路が使用される、本発明による粒子凝縮法の例を示すものである。
【図6B】数個の隣接する導波路が使用される、本発明による粒子凝縮法の例を示すものである。
【図7】異なる導波路に分散した粒子の数個のクラスターを1個のクラスターにグループ化する装置の例を示すものである。
【図8】導波路上での粒子の凝縮を促進するのに用いられる装置の例を示すものである。
【図9】導波路上での粒子の凝縮を観察するのに用いられる装置の例を示すものである。
【図10A】本発明による方法において使用できる導波路の作製方法の例を示すものである。
【図10B】本発明による方法において使用できる導波路の作製方法の例を示すものである。
【図10C】本発明による方法において使用できる導波路の作製方法の例を示すものである。
【図10D】本発明による方法において使用できる導波路の作製方法の例を示すものである。
【図11】本発明による方法において使用できる導波路の作製方法の例を示すものである。
【図12A】本発明による方法及び装置を用いて得られた実験を示すものである。
【図12B】本発明による方法及び装置を用いて得られた実験を示すものである。
【図12C】本発明による方法及び装置を用いて得られた実験を示すものである。
【図12D】本発明による方法及び装置を用いて得られた実験を示すものである。
【図13】本発明による方法及び装置を用いて得られた実験を示すものである。
【図14A】本発明による方法及び装置を用いて得られた実験を示すものである。
【図14B】本発明による方法及び装置を用いて得られた実験を示すものである。
【図14C】本発明による方法及び装置を用いて得られた実験を示すものである。
【符号の説明】
【0089】
100 粒子
104 支持体
108 導波路
200 回折格子
202,204,206 クラスター
光ループ 210
凝縮点 220


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子(100)を凝縮する方法であって:
a)支持体(104)の少なくとも1個の導波路(108)に近接して、及び/又は、該導波路(108)上に前記粒子を配置する段階と、
b)前記導波路に光照射Rを入射して、導波路上で粒子を1個又は数個のクラスターにグループ化を引き起こす段階と、
c)粒子を1個又は数個の静止したクラスターに凝縮させる又は粒子をブロッキングさせる段階と、を備えた粒子の凝縮方法。
【請求項2】
前記支持体は数個の導波路を備え、段階b)は前記の1個又は数個の導波路上に分散した数個のクラスターの形成に続く請求項1に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項3】
前記光照射は1個又は数個の定在波を形成して、同じ導波路(108)上に数個の静止したクラスター(202,204,206)に粒子を凝縮する請求項1又は2のいずれかに記載の粒子の凝縮方法。
【請求項4】
定在波は少なくとも1個の異なる回折格子(200)を介して生成される請求項3に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項5】
導波路は少なくとも1個の光ループ(210)を形成し、定在波は照射がこの光ループを通過するときに生成される請求項3に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項6】
導波路は少なくとも1個の凝縮点(220)で結合して、段階b)は凝縮点に配置した単一のクラスターの形成が続く請求項5に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項7】
屈折率を変更するために、段階a)の前に粒子を作製する段階を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項8】
粒子が細胞、マクロ分子又はミクロボールのいずれかである請求項1から7のいずれか一項に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項9】
粒子がガラスボール及び/又は金ボールである請求項1から8のいずれか一項に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項10】
入射される照射は近紫外線から赤外線の間のスペクトル範囲である請求項1から9のいずれか一項に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項11】
照射が可視光から赤外線の間のスペクトル範囲である請求項10に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項12】
粒子が液体に浸漬される請求項1から11のいずれか一項に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項13】
液体は水である請求項12に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項14】
クラスターが形成されると直ちに光照射が停止することを含む請求項1から13のいずれか一項に記載の粒子の凝縮方法。
【請求項15】
1個又は数個の導波路(108)を含み、該導波路は少なくとも2個の回折格子(212)によって両側を囲繞されている粒子凝縮装置。
【請求項16】
粒子及び導波路(108)の一部を観察する手段(340,330)を含む請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【公表番号】特表2007−512951(P2007−512951A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541951(P2006−541951)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053262
【国際公開番号】WO2005/054819
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】