説明

粒子状物質検出センサ、及び粒子状物質検出センサユニット

【課題】ガス中の導電性粒子状物質の量の検出と温度検出との両者を実施し、しかもその双方の検出を最小限の構成で実現する。
【解決手段】PMセンサ10は、基板上に対向配置された一対の検出電極16,17を有するセンサ素子13を備え、ガス中の導電性粒子状物質(PM)の付着による検出電極16,17間の抵抗値の変化によりPM量を検出するものである。特に、PMセンサ10は、一対の検出電極16,17間を導通する導通経路に設けられセンサ素子13の温度を検出する温度検出抵抗34と、温度検出抵抗34が通電されない第1状態と通電される第2状態とを切り替える切替手段としてのコンデンサ35とを備え、PM量の検出時には第1状態とされ、素子温度の検出時には第2状態とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質検出センサ及び粒子状物質検出センサユニットに関し、詳しくは、ガス中の導電性粒子状物質の量を検出する粒子状物質検出センサ及び粒子状物質検出センサユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンにおいては、排気中に含まれる導電性粒子状物質(PM)を処理するための装置として、排気系にDPF(Diesel Particulate Filter)が設けられている。DPFでは、排気中のPMが捕集されるとともに、その捕集されたPMが、排気温度が上昇されることで高温酸化される、いわゆる再生処理が実施される。この再生処理は、例えばDPFのPM堆積量を算出し、その算出したPM堆積量が所定量を超えたタイミングで実施される。
【0003】
DPFのPM堆積量を算出する方法は種々提案されており、その一つとして、排気中のPM量を検出するPMセンサ(スモークセンサ)を用いることが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、基板上に一対の櫛歯状の検出用電極が対向配置され、その電極が2つの検出用端子に接続されるPMセンサが開示されている。この特許文献1のセンサによれば、一対の電極間にPMが堆積することによって生じる抵抗値の変化により排気中のPM量が検出される。
【0004】
また、特許文献1のセンサには、検出用電極とは別に、検出用電極と同一基板の表裏面に同一形状に形成された一対の温度補償用電極が設けられており、この電極が1つの温度補償用端子に接続されている。これにより、電極間の抵抗の温度依存性に影響されない正確なPM濃度が検出されるようになっている。
【0005】
なお、PMセンサについては、DPFのPM堆積量の算出以外に、DPFの故障診断においても用いられる。すなわち、DPFの破損等が発生した場合、DPF下流側には過剰量のPMが排出される。これに鑑み、DPFの下流側にPMセンサを配置し、同センサによりDPF下流側のPM量を検出することによりDPFの故障診断を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−1546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1のセンサでは、温度補償用電極を備えることにより、ガス中のPM量の検出に際して抵抗温度依存性の影響を少なくできるものの、ガス温度(センサ温度)を検出することができない。また、上記センサには、PM量検出用の配線と温度補償用の配線とが設けられており、配線数や制御装置の端子数が増加する等の問題が生じることが考えられる。加えて、このセンサに温度検出機能を持たせた場合には、温度検出用の配線や端子が更に必要になり、上記の問題がより大きく現れるものと考えられる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ガス中の導電性粒子状物質の量の検出と温度検出との両者を実施することができ、しかもその双方の検出を最小限の構成で実現することができる粒子状物質検出センサ及び粒子状物質検出センサユニットを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0010】
本発明は、基板上に対向配置された一対の検出電極を有するセンサ素子を備え、ガス中の導電性粒子状物質の付着による検出電極間の抵抗値の変化により前記導電性粒子状物質の量である粒子状物質量を検出する粒子状物質検出センサに関するものである。そして、請求項1に記載の発明は、前記一対の検出電極間を導通する導通経路に設けられ前記センサ素子の温度を検出する温度検出抵抗と、前記温度検出抵抗が通電されない第1状態と通電される第2状態とを切り替える切替手段と、を備え、前記粒子状物質量の検出時には前記第1状態とされ、前記温度の検出時には前記第2状態とされることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に記載の発明は、基板上に対向配置された一対の検出電極を有するセンサ素子を備え、ガス中の導電性粒子状物質の付着による検出電極間の抵抗値の変化により前記導電性粒子状物質の量である粒子状物質量を検出する粒子状物質検出センサと、前記粒子状物質検出センサにハーネスを介して接続されているコネクタとを備える粒子状物質検出センサユニットにおいて、前記一対の検出電極間を導通する導通経路に設けられ前記センサ素子の温度を検出する温度検出抵抗と、前記温度検出抵抗が通電されない第1状態と通電される第2状態とを切り替える切替手段と、を備え、前記粒子状物質量の検出時には前記第1状態とされ、前記温度の検出時には前記第2状態とされることを特徴とする。
【0012】
上記構成では、一対の検出電極に加え温度検出抵抗を備えるとともに、温度検出抵抗が通電されない第1状態と通電される第2状態との切り替えが可能である。この場合、第1状態とすることで、検出電極間の抵抗値によりガス中の導電性粒子状物質の量を検出することができる。また、第2状態とすることで、検出電極間の抵抗値と温度検出抵抗の抵抗値との合成抵抗によりセンサ素子の温度を検出することができる。例えば、第1状態での抵抗値と第2状態での抵抗値との差が素子温度に相当するものとなっている。したがって、その検出温度に基づいて、センサ素子温度を粒子状物質量検出に好適な温度に制御可能である。
【0013】
しかも、一対の検出電極間を導通する導通経路に温度検出抵抗を設けた上で上記の状態切替が実施される構成としたため、温度検出用の配線を粒子状物質量検出用の配線にて兼用できる。つまり、当該センサとその出力信号を取り込む制御装置との間の配線を少なくすることができる。したがって、本発明によれば、粒子状物質量の検出機能に加え温度検出機能を有するセンサを提供でき、またその提供に際し、システムの複雑化や部品数の増加に伴うコスト増加等といった不都合が生じるのを抑制できる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記切替手段が、前記導通経路において前記温度検出抵抗に直列に配置されたコンデンサと、前記一対の検出電極に直流信号及び交流信号のいずれかを印加する電源部とを含んで構成されており、更に、前記検出電極に直流信号を印加することで前記第1状態とし、前記検出電極に交流信号を印加することで前記第2状態とする切替制御手段を備える。この構成では、コンデンサが、直流の通過を阻止し、交流の通過を許容する性質を利用して、温度検出抵抗の通電/非通電を切り替える。これにより、温度検出抵抗の通電/非通電の切り替えを比較的簡単に実施することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、前記コンデンサが、ガス雰囲気の外であって該ガス雰囲気の熱の影響が小さい位置に配置されている。一般に、コンデンサの耐熱性はさほど高くなく、高温の排気に曝されることにより劣化や故障が生じることが考えられる。したがって、上記構成のように、熱の影響が小さい位置にコンデンサを配置することにより、第1状態と第2状態との切り替えを好適に実施することができる。
【0016】
前記検出電極間の抵抗値は温度依存性を有しており、素子温度が異なると粒子状物質量が同一であっても抵抗値が相違したものとなる。この点、請求項4に記載の発明は、前記センサ素子を加熱するヒータを備えており、前記第2状態で検出した前記温度に基づいて前記ヒータの通電を制御する。この構成によれば、センサ素子の実温度を監視しつつセンサ素子温度を所望の温度に好適に制御することができ、ひいては粒子状物質量を精度良く検出することができる。
【0017】
上述したとおり前記検出電極間の抵抗値は温度依存性を有している。また、センサ素子は、設置環境等に応じて素子温度が変動する。仮に、センサ素子の検出温度に基づいてヒータ制御を実施したとしても、やはりガス温度の変化(例えばエンジンの排気温度の変化等)に起因してセンサ素子の温度変動は生じると考えられる。その点に鑑み、請求項5に記載の発明では、前記第2状態で検出した前記温度に基づいて、前記第1状態で検出した前記粒子状物質量を補正する。この構成によれば、検出電極間の抵抗値に基づき検出した粒子状物質量に対して温度補正が行われることにより、粒子状物質量の検出精度を一層向上させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、前記第2状態の検出結果に基づいてセンサ断線異常を検出する。センサの断線異常が発生した場合、前記検出電極間の抵抗値の検出が不能となる。また、基板上に導電性粒子状物質が堆積していない場合、温度検出抵抗が通電されない第1状態では検出電極間が導通されず、検出電極間の抵抗値は無限大となる。したがって、第1状態では、導電性粒子状物質が堆積していない場合とセンサ断線異常が発生した場合とにおいて抵抗値の変化が同じになり、断線異常の有無を抵抗値から特定することができない。これに対し、温度検出抵抗が通電される第2状態では、基板上に導電性粒子状物質が堆積していない場合であっても、温度検出抵抗に通電されることによりセンサ素子温度に応じた抵抗が発生する。したがって、上記構成によれば、センサ断線異常が発生したことを特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】センサ素子の概略構成を示す分解斜視図。
【図2】PMセンサの全体概略を示す概略構成図。
【図3】本システムの全体概略を示す電気的構成図。
【図4】センサ制御回路の具体的な構成を示す構成図。
【図5】PM量補正量マップの一例を示す図。
【図6】PM量検出と温度検出とを実行するための処理手順を示すフローチャート。
【図7】ヒータ通電処理の処理手順を示すフローチャート。
【図8】他の実施形態のシステム全体概略を示す電気的構成図。
【図9】他の実施形態のシステム全体概略を示す電気的構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、車載エンジンの排気管に設けられた粒子状物質検出センサとしてのPMセンサを用い、そのPMセンサの出力に基づいて導電性粒子状物質の量(PM量)を検出するPM量検出システムについて説明する。
【0021】
なお、車載エンジンは例えばディーゼルエンジンであり、同エンジンの排気管に設けられる排気浄化装置としてのDPF(Diesel Particulate Filter)について、このDPFに捕集された導電性粒子状物質(PM)を高温酸化するDPF再生処理等が、PMセンサの出力に基づいて実施されるようになっている。例えば、DPFの下流側にPMセンサが設けられ、このPMセンサの出力から算出されるPM量に基づいてDPFのPM堆積量を算出する。そして、その算出したPM堆積量が判定値を上回る場合にDPFの再生処理を実施する。また、このPMセンサによりDPF下流側において排気中のPM量を検出し、その検出値に基づいてDPFの故障診断を行うことも可能である。
【0022】
PMセンサの構成を、図1及び図2を用いて説明する。ここではまず、図2を用いてPMセンサ10の全体構成を説明する。
【0023】
図2に示すように、PMセンサ10は、ハウジング11の内部に略筒状のインシュレータ12を備えており、そのインシュレータ12に挿入された状態で長尺板状のセンサ素子13が支持されている。センサ素子13は、PM量を検出するためのPM検出部14と、当該センサ素子13を加熱するための加熱部15とを有しており、PM検出部14として一対の検出電極16,17が設けられ、加熱部15としてヒータ18が設けられている。センサ素子13は、センサ先端部側がインシュレータ12から突出した状態で設けられており、その突出部分にPM検出部14(検出電極16,17)が設けられている。そして、センサ素子13の突出部分を覆うようにしてカバー体19が設けられている。この場合、カバー体19は、ハウジング11の一端に取り付けられており、そのカバー体19の内部にセンサ素子13が収容されている。
【0024】
センサ素子13においてその基端部側(PM検出部14に対して長手方向反対側)には、一対の検出電極16,17に接続された端子部21と、ヒータ18に接続された端子部22とが設けられている。これらの端子部21,22には、接続金具23,24を介してセンサ配線(信号配線25、ヒータ配線26)がそれぞれ接続されており、それらセンサ配線25,26が、ケーシング27の外側において図示しない制御装置に車両配線を介して接続されている。
【0025】
PMセンサ10は、ハウジング11にて排気管EPの管壁部に取り付けられるようになっており、その取り付けられた状態では、センサ素子13の先端部分が排気管EP内に配されるようになっている。この場合、センサ素子13は、PM検出部14(検出電極16,17)が排気管内の略中央部であって、かつ排気流の上流側を向く状態で取り付けられている。カバー体19には複数の小孔(通気孔)19aが設けられており、この小孔19aを通じて排気がセンサ素子13に供給される。
【0026】
次に、センサ素子13の構成を、図1を用いて説明する。図1は、センサ素子13の概略構成示す分解斜視図である。
【0027】
センサ素子13は、電気絶縁性耐熱材よりなる3つの基板31〜33を備えており、それら基板31〜33が積層された構造になっている。このうち、第1基板31上には、素子先端部となる位置に、PM検出部14を構成する検出電極16,17が設けられている。検出電極16,17は、各々複数の櫛歯を有する櫛歯形状をなしており、各検出電極16,17の櫛歯同士が互い違いとなるようして所定間隔をあけて対向配置されている。各検出電極16,17では櫛歯が素子長手方向に並ぶようにして配置されている。また、第1基板31上には、検出電極16,17とは逆側の端部位置に端子部21が設けられている。
【0028】
なお、一対の検出電極16,17の形状は上記に限定されず、例えば各検出電極16,17の櫛歯が素子長手方向に直交する方向に並ぶようにして配置されていてもよいし、各検出電極16,17が略渦巻形状をなすものであってもよい。
【0029】
また、第2基板32上にはヒータ18が設けられている。ヒータ18は例えば電熱線よりなり、検出電極16,17と同様、素子先端部に設けられている。なお、第2基板32には、ヒータ配設面とは逆側に端子部22が設けられており、同第2基板32に設けられたスルーホール電極(図示略)を介してヒータ18と端子部22とが電気的に接続されている。
【0030】
センサ素子13において第1基板31は表側基板、第2基板32は裏側基板となっており、センサ素子13は、第1基板31が排気上流側、第2基板32が排気下流側となる向きで排気管EP内に設けられる。これにより、PMを含む排気が排気管EP内を流れる際、そのPMが第1基板31において検出電極16,17及びその周辺に付着し堆積するようになっている。
【0031】
第1基板31と第2基板32との間には第3基板33が配置されており、第3基板33上に温度検出抵抗34が設けられている。温度検出抵抗34は、センサ素子13の温度を検出する温度検出素子であり、検出電極16,17やヒータ18と同様、センサ素子13の長手方向の先端側に配置されており、これにより、排気管EP内に配置されるようになっている。この場合、温度検出抵抗34は、一対の検出電極16,17とヒータ18とに挟まれた位置に設けられている。
【0032】
また、第1基板31上にはコンデンサ35が設けられており、このコンデンサ35と温度検出抵抗34とは、第1基板31に設けられたスルーホール電極(図示略)を介して直列に接続されている。この場合、第1基板31上においては、素子長手方向の一端側に検出電極16,17が設けられる一方、他端側にコンデンサ35が設けられており、これにより、排気管EPの外であって排気の熱の影響を受けにくい位置にコンデンサ35が配置される構成となっている(図2参照)。
【0033】
温度検出抵抗34とコンデンサ35との直列回路は、PM検出部14に並列に接続されている。つまり、温度検出抵抗34とコンデンサ35との直列回路は、その一端がPM検出部14の一方の検出電極16に接続され、他端が他方の検出電極17に接続されている。この場合特に、検出電極16,17の先端側(素子長手方向に延びる一対のプリント配線の先端部)に温度検出抵抗34とコンデンサ35との直列回路が接続されている。なお、上記直列回路と検出電極16,17とは、第1基板31に設けられたスルーホール電極を介して接続されている。
【0034】
上記構成では、一対の検出電極16,17間を導通する導通経路に、温度検出抵抗34とコンデンサ35との直列回路が設けられている。換言すれば、センサ素子13において、PM検出部14に並列に、温度検出抵抗34を有してなる温度検出部が設けられる構成となっている。
【0035】
コンデンサ35は直流信号の通過を阻止し、かつ交流信号の通過を許可するものである。そのため、センサ素子13(具体的には端子部21)に直流信号が印加された状態では、PM検出部14を含みかつ温度検出部(温度検出抵抗34及びコンデンサ35)を含まない通電経路が形成される。また、センサ素子13に交流信号が印加された状態では、PM検出部14及び温度検出部(温度検出抵抗34及びコンデンサ35)の両方を含む通電経路が形成される。なお、センサ素子13に直流信号を印加した状態が、温度検出抵抗34が通電されない第1状態に相当し、センサ素子13に交流信号を印加した状態が、温度検出抵抗34が通電される第2状態に相当する。
【0036】
上記構成のPMセンサ10は、排気中のPMがセンサ素子13の第1基板31に堆積しそれによりPM検出部14の抵抗値(すなわち一対の検出電極16,17間の抵抗値)が変化すること、及びその抵抗値の変化がPM堆積量に対応していることに着目し、その抵抗値の変化を利用してPM量を検出するものである。本実施形態のPM量検出システムでは、電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢として排気中のPM量の検出を実施する。本システムの全体構成を示す電気的構成図を図3に示す。
【0037】
図3に示すように、PMセンサ10のセンサ配線25,26は、車両配線28,29を介してECU50の各端子に接続されている。この場合、センサ配線25,26においてセンサ接続側とは反対側にはセンサコネクタ40が設けられており、そのセンサコネクタ40によりセンサ配線25,26と車両配線28,29との電気的な接続がなされている。なお、センサ配線25,26は車両配線28,29に比べて短く、例えば前者は0.5m程度、後者は5m程度となっている。
【0038】
ECU50は、例えば車載のエンジンECUであり、それらの制御の主体となるマイコン51を有している。マイコン51は、都度の運転状態に基づいて燃料噴射弁の燃料噴射量などを制御する。また、ECU50は、センサ制御回路52とヒータ制御回路53とを有しており、PMセンサ10の検出信号はセンサ制御回路52を介してマイコン51に入力される。この場合、マイコン51は、PMセンサ10の検出結果に基づいてDPFのPM堆積量を算出し、該算出したPM堆積量が所定の判定値を超えていればDPFの再生制御を実施する。また、PMセンサ10の検出結果に基づいてDPF下流側における排気中のPM量を算出し、該算出したPM量が所定の判定値を超えていればDPF故障ありと診断する。
【0039】
図4は、センサ制御回路52の具体的な構成を示す構成図である。図4に示すように、センサ制御回路52は、PMセンサ10のセンサ素子13に電源電圧を印加する電源装置55と、該電源装置55により電源電圧が印加された状態で、センサ素子13のPM検出部14の抵抗値(検出電極16,17の電極間抵抗値)を検出する検出抵抗56とを有している。この場合、PM検出部14ではPM堆積量に応じて抵抗値Rpmが変化し、その抵抗値Rpmの変化が、PM検出部14と検出抵抗56とからなる分圧回路の分圧電圧として検出される。つまり、PM検出部14と検出抵抗56との中間点Aの電圧RsがPM検出電圧としてマイコン51に入力される。
【0040】
例えば、PM検出部14の抵抗値Rpmが無限大(PM堆積量=0)から1kΩの範囲で変化する場合を想定し、検出抵抗56の抵抗値Rsが100kΩであり、電源装置55により直流5Vが印加されるとする。この場合、PM検出部14のPM堆積量が0であれば、
PM検出電圧=5V×100kΩ/(100kΩ+∞)
=0V
となる。
【0041】
また、PM検出部14でのPM堆積によりRpm=1kΩになると、
PM検出電圧=5V×100kΩ/(100kΩ+1kΩ)
=4.95V
となる。
【0042】
こうしてPM検出部14でのPM堆積量に応じてPM検出電圧が変化することから、マイコン51では、PM検出電圧に応じてPM堆積量の監視等を行う。
【0043】
また、上述したとおりセンサ素子13は、PM検出部14に並列に設けられた温度検出部(温度検出抵抗34及びコンデンサ35)を有しており、センサ素子13に直流信号/交流信号のいずれを印加するかにより、温度検出抵抗34が通電されない状態(第1状態)と同温度検出抵抗34が通電される状態(第2状態)との切替が可能となっている。次に、その状態切替のための構成について説明する。
【0044】
電源装置55は、直流電圧を発生する直流電源部55aと、交流電圧を発生する交流電源部55bと、センサ素子13に対して直流電圧及び交流電圧のいずれを印加するかを切り替えるスイッチ部55cとを備えている。直流電源部55aは、例えば5Vの直流電圧を生成し出力する直流電圧出力回路であり、交流電源部55bは、例えば±5Vの交流電圧を生成し出力する交流電圧出力回路である。
【0045】
ここで、電源装置55の直流電源部55aによりセンサ素子13に直流電圧が印加された状態では、温度検出抵抗34に電流が流れないことから、センサ素子13の抵抗値、すなわち両端子部21の間の抵抗値は、PM検出部14の抵抗値Rpmとなる。この場合、PM検出部14の抵抗値Rpmと検出抵抗56の抵抗値Rsとから決まるPM検出電圧がマイコン51に対して出力される。
【0046】
これに対し、電源装置55の交流電源部55bによりセンサ素子13に交流電圧が印加された状態では、温度検出抵抗34に電流が流れることから、センサ素子13の抵抗値、すなわち両端子部21の間の抵抗値は、PM検出部14の抵抗値Rpmと温度検出抵抗34の抵抗値Rtとの合成抵抗の値となる。この場合、PM検出部14及び温度検出抵抗34の合成抵抗の値と検出抵抗56の抵抗値Rsとから決まるPM検出電圧がマイコン51に対して出力される。
【0047】
直流印加時のPM検出電圧は、可変抵抗成分としてPM検出部14の抵抗値Rpmから決まる電圧信号となるのに対し、交流印加時のPM検出電圧は、可変抵抗成分としてPM検出部14の抵抗値Rpmと温度検出抵抗34の抵抗値Rtとから決まる電圧信号となる。この場合、直流印加時のPM検出電圧と交流印加時のPM検出電圧とによれば、PM堆積量だけでなく、センサ素子13の実温度(センサ素子温度)を算出することができる。
【0048】
なお、交流印加時には、PM検出電圧も交流信号として検出されるため、例えばローパスフィルタを通過させて交流分を除去した後のPM検出電圧をマイコン51に入力し、その入力値に基づいてPM堆積量を算出するとよい。
【0049】
スイッチ部55cは、マイコン51の切替制御信号により切替制御される。この場合、基本的にはセンサ素子13に対して直流電源部55aにより直流電圧を印加し、温度制御に必要なタイミングで(例えば128msec毎に)交流電源部55bにより交流電圧を印加するよう、スイッチ部55cが切り替えられる。
【0050】
マイコン51は、センサ素子13の温度を一定に保持し、かつ過加熱を抑制するようヒータ18の通電を制御する。これにより、センサ素子13を、PM捕集に好適であって、かつ検出精度を高めるのに好適な温度で保持するようにしている。具体的には、マイコン51は、センサ素子温度Tsが所定の目標温度(例えば200℃)になるようにフィードバック制御を実施する。フィードバック制御について本実施形態では、温度検出抵抗34を用いて検出したセンサ素子温度Ts(実温度)と目標温度Ttgとの偏差に基づいてヒータ通電のデューティ比を算出し、算出したデューティ比によりヒータ通電制御を実施する。つまり、マイコン51は、温度検出抵抗34を用いて検出したセンサ素子温度Tsを用いて、センサ素子13の温度管理を行う。
【0051】
ところで、PM検出部14の抵抗値Rpmには温度依存性があり、センサ素子13に堆積するPM量が一定であっても、センサ素子温度によってその抵抗値Rpmが相違する。つまり、抵抗値Rpmが一定であっても、温度によってPM堆積量が相違する。一方で、センサ素子13は排気管EP内に配置されており、そのため、エンジンの排気温度の変化等に起因してセンサ素子13の温度変動が生じると考えられる。また、温度変化の過渡時では、温度フィードバック制御中であっても目標温度からの温度ずれが生じやすく、この場合、センサ素子13上のPM量を精度良く検出できないことが懸念される。
【0052】
そこで、本実施形態では、PMセンサ10の検出信号(PM検出電圧)により算出されたPM量を、センサ素子温度に応じて補正し、その補正後の値に基づいてDPF再生制御やDPF故障診断等を実施することとしている。
【0053】
具体的には、マイコン51は、センサ素子13が所定温度である場合の基本特性、すなわち抵抗値RpmとPM堆積量との関係を用いて、都度のRpm検出値(PM検出電圧)に基づいて基本堆積量を算出するとともに、その基本堆積量を、センサ素子温度に基づいて算出した補正係数により補正することでPM堆積量を算出する(PM堆積量=基本堆積量×補正係数)。
【0054】
補正係数は、例えば素子温度が高くなるほど、堆積PMの抵抗値が小さくなる傾向にあり、実際のPM堆積量が同じであっても、素子温度が高いほどPM検出部14の抵抗値Rpmが小さい値となることに基づいて定められている。図5は、補正係数を算出するために用いるPM量補正量マップの一例である。図5では、基準素子温度Trefで補正係数=1となり、Trefよりも高温側で「1」よりも大きい補正係数が、Trefよりも低温側で「1」よりも小さい補正係数が設定されるものとなっている。なお、基準素子温度Trefは、例えばヒータ通電制御の目標温度である。
【0055】
図5のマップによれば、センサ素子温度が基準素子温度Trefよりも高温であれば基本堆積量が増補正され、センサ素子温度が基準素子温度Trefよりも低温であれば基本堆積量が減補正される。
【0056】
実際のPM堆積量が異なると、素子温度の変化に対するRpm検出値(PM検出電圧)のずれ量にも差異が生じると考えられる。そこで、PM堆積量の検出精度を一層高めるには、Rpm検出値(PM検出電圧)ごとにPM量補正マップを用意しておき、都度のRpm検出値(PM検出電圧)に応じてPM量補正マップの切替を行うことが望ましい。
【0057】
センサ素子13における実際のPM堆積量が増加していき、同PM堆積量の算出値が所定量に達すると、DPF再生処理が実施されるが、その際、PMセンサ10におけるPM再生処理が実施される。つまり、本実施形態では、PM堆積量(算出値)が所定量を超えた場合、センサ素子13上のPMを高温酸化して焼失させるPM焼失制御を実施する。具体的には、マイコン51は、PM堆積量(算出値)が所定量に達した時に、目標温度Ttgを一時的にPM焼失温度(例えば800℃)に設定し、ヒータ18の通電制御を実施する。こうして、ヒータ18の加熱によってセンサ素子温度Tsを昇温させ、センサ素子13の堆積PMを焼失除去させる。
【0058】
次に、マイコン51において実行されるPM量検出処理、温度検出処理及びヒータ通電処理の各処理について説明する。
【0059】
図6は、PM量検出と温度検出とを実行するための処理手順を示すフローチャートである。この処理は、マイコン51により所定周期(例えば4msec周期)で実行される。
【0060】
図6において、まずステップS101では、今現在、PMセンサ10の温度検出タイミングであるか否かを判定する。温度検出タイミングは、例えば128msec周期で定められている。ステップS101がNOの場合、ステップS102に進み、電源装置55を、センサ素子13に直流電圧が印加される状態に制御する。このとき、交流電圧の印加状態になっているのであれば、スイッチ部55cに対して切替制御信号を出力して直流電圧の印加状態への切替を実施する。
【0061】
その後、ステップS103では、直流印加状態でのPM検出電圧(Rpm検出値)を読み込み、続くステップS104では、そのPM検出電圧に基づいて基本堆積量を算出する。さらに、ステップS105では、基本堆積量を、その時のセンサ素子温度に基づいて算出した補正係数により補正することでPM堆積量を算出する(PM堆積量=基本堆積量×補正係数)。このとき、センサ素子温度として、前回の温度検出処理(後述するステップS108)で算出した値が読み出される。また、補正係数は図5のマップにより算出される。
【0062】
また、ステップS101がYESの場合、ステップS106に進み、電源装置55を、センサ素子13に交流電圧が印加される状態に制御する。このとき、直流電圧の印加状態になっているのであれば、スイッチ部55cに対して切替制御信号を出力して交流電圧の印加状態への切替を実施する。
【0063】
その後、ステップS107では、交流印加状態でのPM検出電圧(Rpm検出値)を読み込み、続くステップS108では、そのPM検出電圧に基づいてセンサ素子温度を算出する。このとき、交流印加状態では、PM検出電圧が素子温度の検出分を含んだもの、すなわちPM検出部14の抵抗値Rpmと温度検出抵抗34の抵抗値Rtとの合成抵抗に相当するものとなっており、直流印加時のPM検出電圧(ステップS103の読み込み値)と、交流印加時のPM検出電圧(ステップS107の読み込み値)とにより、センサ素子温度を算出する。
【0064】
次に、ヒータ通電処理について図7のフローチャートを用いて説明する。この処理は、マイコン51により所定周期毎に実行される。
【0065】
図7において、まずステップS201では、上記図6で算出したPM堆積量(ステップS105の算出値)が所定量Kよりも少ないか否かを判定する。そして、PM堆積量<所定量KであればステップS202に進み、PM堆積量≧所定量KであればステップS203に進む。ここで、所定量Kは、PM焼失除去のためのセンサ高温化処理の実行要否を判断する判定値である。
【0066】
ステップS202では、センサ素子13の目標温度Ttgを通常目標温度T1(例えば200℃)に設定する。一方、ステップS203では、目標温度Ttgを通常目標温度T1より高い温度であって、センサ素子13での堆積PMを焼失除去可能な高温目標温度T2(例えば800℃)に設定する。
【0067】
その後、ステップS204では、目標温度Ttgと実温度(センサ素子温度)との偏差に基づいてヒータ通電のデューティ比Dutyを算出し、続くステップS205では、算出したデューティ比Dutyによりヒータ通電を実施する。
【0068】
所定量Kとして、DPF再生処理の実施の要否を判断するための判定値を設定する構成であってもよい。この場合、PM堆積量が所定量Kに達していれば、DPFにおけるPM再生処理が行われることに加え、センサ素子13においてもPM除去処理が実施されることとなる。
【0069】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0070】
一対の検出電極16,17に加え、温度検出抵抗34を備える構成とし、更に、温度検出抵抗34が通電されない第1状態と通電される第2状態との切り替え可能に構成したため、第1状態とすることで、検出電極16,17間の抵抗値Rpmにより、排気中のPM量を検出することができる。また、第2状態とすることで、検出電極16,17間の抵抗値Rpmと温度検出抵抗34の抵抗値Rtとの合成抵抗により、センサ素子13の温度を検出することができる。すなわち、第1状態での抵抗値(検出電極16,17間の抵抗値Rpm)と第2状態での抵抗値(合成抵抗の値)との差により、素子温度を求めることができる。したがって、検出温度に基づいてセンサ素子温度をPM量検出に好適な温度に制御することができる。
【0071】
また、一対の検出電極16,17間を導通する導通経路に温度検出抵抗34を設けた上で上記の状態切替が実施される構成としたため、温度検出用の配線をPM量検出用の配線にて兼用でき、PMセンサ10とその出力信号を取り込む制御装置であるECU50との間の配線を少なくすることができる。したがって、本システムによれば、PM量検出機能に加え温度検出機能を有するセンサを提供でき、またその提供に際し、システムの複雑化や部品数の増加に伴うコスト増加等といった不都合が生じるのを抑制できる。
【0072】
上記の状態切替を、一対の検出電極16,17間を導通する導通経路において温度検出抵抗34に直列に配置されたコンデンサ35と、一対の検出電極16,17に直流信号及び交流信号のいずれかを印加する電源装置55とを用いて行う構成としたため、具体的には、コンデンサ35が直流の通過を阻止し、交流の通過を許容する性質を利用して、検出電極16,17に直流信号を印加することによって温度検出抵抗34が通電されない第1状態とし、検出電極16,17に交流信号を印加することによって温度検出抵抗34に通電される第2状態とする構成としたため、温度検出抵抗34の通電/非通電の切り替えを比較的簡単に実施することができる。
【0073】
コンデンサ35を、排気管EPの外であって排気の熱の影響が小さい位置に配置する構成としたため、コンデンサ35が排気熱によって劣化や故障するのを抑制することができ、ひいては、第1状態と第2状態との切り替えを好適に実施することができる。
【0074】
検出電極16,17間の抵抗値Rpmは温度依存性を有しており、素子温度が異なるとPM量が同一であっても抵抗値Rpmが相違したものとなるところ、温度検出抵抗34に通電される第2状態で検出した素子温度に基づいてヒータ18の通電を制御する構成としたため、センサ素子13の実温度を監視しつつセンサ素子温度を所望の温度に好適に制御することができる。これにより、PM量を精度良く検出することができる。
【0075】
上記第2状態で検出した素子温度に基づいて、上記第1状態で検出したPM量、すなわち検出電極16,17間の抵抗値Rpmに基づき検出したPM量を補正する構成としたため、検出PM量に対し、抵抗値Rpmの温度依存性を考慮した温度補正を行うことができ、その結果、PM量の検出精度を一層向上させることができる。
【0076】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0077】
・切替手段として、温度検出抵抗34に直列に配置されたコンデンサ35を用い、センサ素子13に直流信号を印加するか又は交流信号を印加するかを切り替えることにより、温度検出抵抗34が通電される第1状態と通電されない第2状態とを切り替える構成としたが、これを変更する。例えば、切替手段として、温度検出抵抗34に直列に接続されたスイッチ手段を用い、第1状態ではスイッチ手段を開放し、第2状態ではスイッチ手段を閉鎖することにより、第1状態と第2状態とを切り替える構成とする。
【0078】
・第2状態で読み込んだPM検出電圧(Rpm検出値)に基づいて、PMセンサ10の断線異常を検出する。PMセンサ10の断線異常が発生した場合、PM検出部14の抵抗値Rpmの検出が不能となり、PM検出電圧=0となる。ここで、第1状態では、PMが堆積していない場合において、電極間の抵抗値Rpmが無限大(∞)となりPM検出電圧=0となる。そのため、第1状態では、PM検出電圧=0である場合に、それが、PMが堆積していないことに基づくものか、又はセンサ断線異常が発生していることに基づくものであるかを特定することができない。これに対し、第2状態では、PMが堆積していない場合、抵抗値Rpmは無限大となるが、温度検出抵抗34の抵抗分が検出されるため、PM検出電圧≠0となる。したがって、第2状態でのPM検出電圧を異常診断パラメータとすることにより、センサ10に断線異常が発生しているか否かを特定することができる。
【0079】
・センサ素子温度を検出する周期を可変にする。例えば、通常時では所定周期で(例えば128msec毎に)温度検出を実施し、温度変化の過渡時やPM焼失制御の実行時において、通常時よりも短い周期で(例えば64msec毎に)温度検出を実施する。こうすることにより、ヒータ通電制御によるセンサ素子13の温度管理をより一層適正に実施できる。
【0080】
・温度検出抵抗34が通電されない第1状態と通電される第2状態とを切り替える切替手段としてのコンデンサ35をPMセンサ10に配置したが、排気管EPの外であって排気の熱の影響を受けにくい位置であれば、コンデンサ35の位置はこれに限定しない。例えば、切替手段としてのコンデンサ35をPMセンサ10以外の装置に配置する。具体的には、例えば図8に示すように、コンデンサ35をセンサコネクタ40内に配置する。この場合、PMセンサ10及びセンサコネクタ40を含むセンサユニットにより、上記切替手段と温度検出抵抗とを備える本発明のセンサユニットが構成される。
【0081】
・上記実施形態では、検出電極16,17に対して素子先端側で温度検出抵抗34とコンデンサ35との直列回路を接続したが、これを変更し、図9に示すように、検出電極16,17に対して素子基端側(端子部21側)に温度検出抵抗34とコンデンサ35との直列回路を接続する構成でもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…PMセンサ、13…センサ素子、14…PM検出部、15…加熱部、16,17…検出電極、18…ヒータ、21,22…端子部、25…信号配線、26…ヒータ配線、28,29…車両配線、31…第1基板、32…第2基板、33…第3基板、34…温度検出抵抗、35…コンデンサ(切替手段)、40…センサコネクタ、50…ECU、51…マイコン(切替制御手段、ヒータ制御手段、補正手段、異常検出手段)、52…センサ制御回路、55…電源装置(電源部)、55a…直流電源部、55b…交流電源部、55c…スイッチ部、56…検出抵抗、EP…排気管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に対向配置された一対の検出電極を有するセンサ素子を備え、ガス中の導電性粒子状物質の付着による検出電極間の抵抗値の変化により前記導電性粒子状物質の量である粒子状物質量を検出する粒子状物質検出センサにおいて、
前記一対の検出電極間を導通する導通経路に設けられ前記センサ素子の温度を検出する温度検出抵抗と、
前記温度検出抵抗が通電されない第1状態と通電される第2状態とを切り替える切替手段と、
を備え、前記粒子状物質量の検出時には前記第1状態とされ、前記温度の検出時には前記第2状態とされることを特徴とする粒子状物質検出センサ。
【請求項2】
前記切替手段は、前記導通経路において前記温度検出抵抗に直列に配置されたコンデンサと、前記一対の検出電極に直流信号及び交流信号のいずれかを印加する電源部とを含んで構成されており、
前記検出電極に直流信号を印加することで前記第1状態とし、前記検出電極に交流信号を印加することで前記第2状態とする切替制御手段を備える請求項1に記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項3】
前記コンデンサが、ガス雰囲気の外であって該ガス雰囲気の熱の影響が小さい位置に配置されている請求項2に記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項4】
前記センサ素子を加熱するヒータを備えており、
前記第2状態で検出した前記温度に基づいて前記ヒータの通電を制御するヒータ制御手段を備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項5】
前記第2状態で検出した前記温度に基づいて、前記第1状態で検出した前記粒子状物質量を補正する補正手段を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項6】
前記第2状態の検出結果に基づいてセンサ断線異常を検出する異常検出手段を備える請求項1乃至5のいずれか一項に記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項7】
基板上に対向配置された一対の検出電極を有するセンサ素子を備え、ガス中の導電性粒子状物質の付着による検出電極間の抵抗値の変化により前記導電性粒子状物質の量である粒子状物質量を検出する粒子状物質検出センサと、前記粒子状物質検出センサにハーネスを介して接続されているコネクタとを備える粒子状物質検出センサユニットにおいて、
前記一対の検出電極間を導通する導通経路に設けられ前記センサ素子の温度を検出する温度検出抵抗と、
前記温度検出抵抗が通電されない第1状態と通電される第2状態とを切り替える切替手段と、
を備え、前記粒子状物質量の検出時には前記第1状態とされ、前記温度の検出時には前記第2状態とされることを特徴とする粒子状物質検出センサユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−247650(P2011−247650A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118837(P2010−118837)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】