説明

粒子組成物の製造法及びその製品

研磨組成物の製造法、更に詳しくは、優れた清掃性能と低研磨性を有する沈降シリカ研磨組成物の製造法を提供する。該製造法は、研磨粒子の反応器後サイジングを直接湿式粉砕及び遠心分離によって実施し、所望によりその後、真空脱水及び解凝集と組み合わせた水圧チャンバプレスフィルタリングを行う。特定の粒径範囲を標的にすることにより、高い被膜清掃レベルが、シリカ製品自体の象牙質研磨性まで増大することなく達成できることが分かった。その結果、特に望ましい清掃利益を示すそのような分級研磨シリカ製品を含む歯磨剤が、歯の硬質表面に悪影響を及ぼすことなく改良された歯磨き、ホワイトニングなどのために提供できる。本発明はまた、この選択的プロセススキームによる製品及びそのような特製及び分級シリカ製品を含有する歯磨剤も包含する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は研磨組成物の製造法に関し、更に詳しくは、優れた清掃性能と低研磨性を有する沈降シリカ研磨組成物の製造法に関する。本製造法では研磨粒子の反応器後(post-reacor)サイジングは直接湿式粉砕及び遠心分離によってなされ、所望によりその後、真空脱水及び解凝集(デアグロメレーション)と組み合わせた水圧チャンバプレスフィルタリング(hydraulic chamber press filtering)が行われる。特定の粒径範囲を標的にすることにより、高い被膜(ペリクル)清掃レベルが、シリカ製品自体の象牙質研磨性まで増大することなく達成できることが分かった。その結果、特に望ましい清掃利益を示すそのような分級研磨シリカ製品を含む歯磨剤が、歯の硬質表面に悪影響を及ぼすことなく改良された歯磨き、ホワイトニングなどのために提供できる。本発明はまた、この選択的プロセススキームによる製品及びそのような特製及び分級シリカ製品を含有する歯磨剤も包含する。
発明の背景
歯磨剤製造業者は高清掃性及び低研磨性を有する歯磨剤の製造に努力を傾けている。そのような製造業者は研磨物質を歯磨剤に配合することによってこの目標を達成している。研磨物質は、被膜を含む様々な付着物を歯の表面から除去するために従来の歯磨剤組成物にも含まれている。被膜は固く付着し、褐色又は黄色の色素を含むことも多いため歯の見た目を悪くする。清掃は重要であるが、研磨剤は歯を損傷しないようにあまり攻撃的でないほうがよい。理想的には、効果的な歯磨剤の研磨材料は、被膜は最大限除去するが、歯の硬質表面に対する研磨及び損傷は最小限にとどめるものである。結果的に、とりわけ、歯磨剤の性能は研磨剤成分に非常に左右されやすい。
【0002】
いくつかの水不溶性研磨剤が歯磨剤組成物に使用又は記載されている。これらの研磨剤は、天然及び合成の研磨粒子材料を含む。一般に知られている合成研磨剤は、アモルファス沈降シリカ、シリカゲル、リン酸二カルシウム及びその二水和物形、ピロリン酸カルシウム及び沈降炭酸カルシウム(PCC)などである。歯磨剤用のその他の研磨剤は、チョーク、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、メタリン酸カリウム、オルトリン酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなどである。
【0003】
特に、合成的に製造されたアモルファス沈降シリカは、それらの清掃能、相対的安全性、及び湿潤剤、増粘剤、フレーバー、虫歯予防剤などの典型的な歯磨剤成分との適合性のために、歯磨剤の研磨成分として使用されている。合成沈降シリカは一般的に、可溶性アルカリケイ酸塩から、鉱酸及び/又は酸性ガスの添加によるアモルファスシリカの不安定化及び沈降によって製造される。そのときの製造条件は、最初に形成される一次粒子は互いに会合して複数のアグリゲート(すなわち一次粒子の離散クラスター)を形成しがちであるが、三次元ゲル構造に凝集(アグロメレーション)しない条件下で行われる。得られた沈降物は、反応混合物の水性フラクションから、ろ過、洗浄、及び乾燥工程によって分離される。次いで該乾燥生成物は、適切な粒径を提供するために機械的に粉砕される。
【0004】
そのような従来製造され利用されている沈降シリカ研磨剤が、総体的な清掃及び研磨の質という点から一般的に歯磨剤のために製造され提供されてきた。そのような従来製品はこれらの分野で優れた利益を提供してきたが、製造コスト及び廃棄物の発生の観点から一定の限界が結果的に見られることも指摘されている。例えば、特定の低研磨レベルを標的にするには、粉砕粒子は必要範囲から外れる粒径を示す材料も含むので、そのような望ましくない材料の選別と廃棄が必要になる。同じ種類の製造課題及び問題が被膜清掃を犠牲にせずに粒子材料に一定の低研磨レベルを標的にする場合にも生じてくる。このことは、歯と歯茎の境目で望まざる象牙質研磨を受けやすいユーザーにそのような効果的な低研磨高被膜清掃材料を提供すると同時に、さらに効果的な研磨及び/又は歯のホワイトニング用途のための有望な補助的研磨/清掃シリカ製品も提供するための低コストの製造法を提供する能力に関係するため、業界は旧式の製造、分離及び不要粒子の廃棄の方法に依存してきた。結果として、歯科用シリカ材料の業界内にはそうした目標に向けての改良が望まれる分野がある。
【0005】
以上のことを考慮すると、優れた清掃性能を提供しながらも研磨値の低い、歯磨剤組成物に配合できる沈降シリカ材料の製造法に対する継続的なニーズがある。その目標に向け、以下の発明はそのような切望される結果に合致することが証明された。
発明の簡単な要旨
そこで、製造が完了し粒子が回収された時点で効果的な被膜清掃と穏やかな象牙質研磨特性のために適正な粒径範囲を示す歯科用研磨粒子を製造する包括的方法を提供するというのが本発明の一つの利点である。従って、乾式の反応器後粉砕又はその他のタイプの粒子改質の必要なしに、製造された歯科用研磨剤が効果的な高清掃性及び穏やかな象牙質研磨性を示すのに適切な所望の粒径範囲が提供される。
【0006】
上記及びその他の利点及び利益は、水分含有量を低減したシリカ組成物の製造法及び反応器後の加工中、湿潤条件下で行われるシリカ粒子の粉砕に向けられた本発明によって達成される。
【0007】
基本的な発明の方法は、水性媒体中に懸濁させた水不溶性の研磨剤を含む研磨組成物の製造を伴い、所望の粒径範囲への粉砕は実際の研磨製品製造中に湿式法によって行われる。従って、そのような方法は、研磨粒子内容物及びその製品の乾式粉砕の必要性及び随伴コストを不要にする。そのような湿式粉砕法によって、歯磨剤又はその他の口腔清掃用組成物への配合といった最終用途に至る前の輸送及び/又は貯蔵中及び後にもレオロジー的に安定で沈降傾向のない、そして感知できるレベルの再凝集を何ら示さない、適当にサイジングされた研磨粒子及びその組成物の製造が可能になることも分かってきた。
【0008】
本発明の中では歯磨剤用のあらゆる公知の粒子研磨剤が利用できるが、特に好適なのはアモルファス沈降シリカ研磨剤である。そのような個別粒子を含む研磨組成物は、約5〜約15ミクロン、好ましくは約6〜約10ミクロン、更に好ましくは約7〜約9ミクロンのメジアン粒径、2以下、好ましくは約1.25〜約2.0、更に好ましくは約1.25〜約1.95の粒径スパンを示す複数のシリカ粒子を含むべきである。
【0009】
本発明は、約5wt%〜約35wt%の上記及びそのような発明的方法に従って製造されたアモルファス沈降シリカ組成物を含み、約130〜200(好ましくは約130〜約195)の放射性象牙質研磨(radioactive dentin abrasion,RDA)レベル及び約70〜140(好ましくは約80〜約140)の被膜清掃比(pellicle film cleaning ratio,PCR)を示す歯磨剤も含む。
【0010】
基本的に、本発明の方法は、集中した範囲内に特定粒径を有する低構造性研磨シリカ材料(そのような材料を含有する歯磨剤で歯を清掃する際の性能により大きな均一性をもたらす)を最小限のプロセス工程で、従って同時に随伴コストも低く抑えて、容易に製造する可能性を提供するということが分かっている。同様に、特定範囲内に粒径を有するそのような材料を提供することは、歯表面の特定領域を標的にして、適切な清掃を同時に過剰の研磨レベルを示すことなく行うことも可能にする。
発明の詳細な説明
本明細書中で使用しているすべての部、パーセンテージ及び比率は特に明記しない限り重量による。本明細書中に引用したすべての文献は参照によって本明細書に援用する。以下に、練り歯磨きなどの歯磨剤に使用するためのシリカを提供する本発明の好適な態様を記載する。当該シリカの最適な使用は歯磨剤における使用であるが、本シリカは化粧品及びコーティングのような様々なその他の消費者製品及び工業製品にも使用できる。これらのその他の製品にも同一のプロセスが使用されるが、最終用途の要件に応じて、異なる粒径フラクションの粒子(例えばより小さい粒子)が単離される。
【0011】
“混合物”とは、二つ以上の物質の何らかの組合せを意味し、その形態は、例えば、限定するつもりはないが、不均一混合物、懸濁液(物)、溶液、ゾル、ゲル、分散液(物)、又はエマルジョンなどである。
【0012】
“歯磨剤”とは、限定するつもりはないが、練り歯磨き、歯磨き粉及び義歯用クリームなどの口腔ケア製品を意味する。
本発明を定義するために、“粒径スパン”という用語は、10体積パーセンタイルの粒子の累積直径(D10)マイナス90パーセンタイルの累積体積(D90)を50体積パーセンタイルの粒子の直径(D50)で割ったもの、すなわち(D10−D90)/D50を意味する。スパン値が低いほど粒径分布が狭いことを示す。
【0013】
本発明は特にアモルファス沈降シリカ組成物に関する。これは、二酸化ケイ素又はSiOとしても知られ、練り歯磨き又は歯磨剤に入れると改良された清掃及び研磨特性を付与する。これらの研磨シリカは、食べカスや残留した着色シミを除去することによって歯を清掃するだけでなく、歯の表面を磨くためにも機能する。本発明のシリカは、清掃利益が少ないと考えられる微粒子及び研磨の増大に寄与すると考えられる粗大粒子が選別除去されているので、より狭い粒径分布を有しており、研磨力を抑えた優れた清掃性を有する歯磨剤の調剤に特に有用である。本発明の方法によって製造できるその他の可能な研磨製品は、沈降炭酸カルシウム(PCC)、シリカゲル、リン酸二カルシウム及びその二水和物形、及びピロリン酸カルシウムなどであるが、これらに限定されない。そのような粒子は、歯科用途のために優れた清掃利益を提供するように設計される。そのような清掃特性は一般的に被膜清掃比(PCR)として測定される。これについては、特にその他の研磨測定法と併せて以下で詳細に説明する。
【0014】
十分量の研磨シリカを歯磨剤組成物に加えて、歯磨剤の放射性象牙質研磨(“RDA”)値が約50〜約250になるようにすべきである。50未満のRDAでは歯磨剤の清掃利益は最小限となるが、RDAが250を超えると歯磨剤は研磨力が大きすぎて歯と歯茎の境目の歯象牙質を損傷しかねない。好ましくは歯磨剤は少なくとも約50、例えば約70〜200のRDA値を有するべきである。
【0015】
歯磨剤のRDAは、研磨剤の硬度、研磨剤の粒径及び歯磨剤中の研磨剤の濃度に依存する。RDAは、John J.Hefferrenの論文“A Laboratory Method for Assessment of Dentifrice Abrasivity”,Journal of Dental Research,Vol.55,no.4(1976),pp.563−573に記載の方法によって測定される。シリカの研磨性又は硬度はEinlehner法によって測定することもできる。これについては以下で詳細に説明する。
【0016】
本発明によって、優れた清掃性能(PCR測定の観点から)を有するだけでなく一般的に製造された製品より低研磨性の研磨アモルファスシリカが開発された。発明的な湿式粉砕による包括的な研磨粒子組成物の製造法を用いることにより、所定のPCR範囲にわたって比較的低いRDA及びEinlehner研磨値を有する研磨材料(例えば、必ずしもということではないが、好ましくはアモルファス沈降シリカ製品)が製造できる。
【0017】
そこで、本発明の粒子組成物(及び好適な研磨粒子、更に好適な研磨アモルファス沈降シリカ組成物)は以下の第一の方法に従って製造される。該方法は次の順次工程を含む。すなわち、
a)沈降シリカ粒子、シリカゲル粒子、沈降炭酸カルシウム粒子、ピロリン酸カルシウム粒子、リン酸二カルシウム、及びそれらの任意の混合物からなる群から選ばれる複数の粒子を用意し;
b)前記複数の粒子を湿潤環境中で粉砕工程にかけ;
c)前記湿式粉砕粒子を粒度選別工程にかけ、約5〜約30ミクロンの範囲のメジアン粒径を示す粒子を回収し;
d)前記工程“c”の回収粒子を次の粒度選別工程にかけ、約5〜約15ミクロンの範囲のメジアン粒径を示す粒子を回収し;所望により
e)前記工程“d”の回収分級粒子を脱水工程にかけ、前記脱水粒子は最大60wt%の水分含有量を示し;そして、所望により
f)前記脱水研磨粒子を解凝集工程にかける
工程である。これらのプロセス工程については以下でさらに詳細に説明する。
【0018】
あるいは、第二の発明的方法は次の順次工程を含みうる。すなわち、
a)工程“b”の開始前に予め乾燥されていない複数の沈降シリカ粒子を用意し;
b)前記複数の粒子を湿潤環境中で粉砕工程にかけ;
c)前記湿式粉砕粒子を粒度選別工程にかけ、約0.1〜約15ミクロンの範囲のメジアン粒径を示す粒子を回収し;
d)前記工程“c”の回収分級粒子を脱水工程にかけ、前記脱水粒子は最大60wt%の水分含有量を示し;そして、所望により
e)前記脱水研磨粒子を解凝集工程にかける
工程である。これらのプロセス工程についても以下でさらに詳細に説明する。
【0019】
上で概説した第一の方法の第一の工程では(第二の方法でもそれに従うことができる)、少なくとも沈降シリカ研磨剤の製造のために、酸性化反応を実施してシリカを沈降させる。最初の酸性化反応は、適切な加熱装置を備えた反応系で実施される。一般に、工程“a”で製造される沈降シリカは、新鮮水(又は電解質溶液)酸性化プロセスによって製造できる。その場合、シリカは、アルカリ金属ケイ酸塩と水溶液中の鉱酸との反応によって沈降する。新鮮水プロセスではミョウバン、NaSO、又はNaClのような電解質は酸性化反応中には存在しない。
【0020】
ケイ酸ナトリウム溶液の一部を反応容器又はチャンバに入れる。前記容器又はチャンバは容器内容物を撹拌するための撹拌手段を備えている。好ましくは全化学量論量のケイ酸ナトリウム溶液の約0%〜30%を反応容器に入れ、シリカのための開始核とする。次に、容器内のケイ酸ナトリウム水溶液を約60〜100℃、好ましくは約80〜95℃の範囲の温度に予熱する。残りのケイ酸ナトリウムも、反応容器に導入する前に好ましくは約70〜95℃に予熱する。酸溶液の温度は好ましくは周囲温度である。
【0021】
ケイ酸ナトリウムを例示したが、任意の適切なアルカリ金属ケイ酸塩が使用できることは理解されるであろう。“アルカリ金属ケイ酸塩”という用語は、全ての従来形のアルカリケイ酸塩、例えば金属ケイ酸塩、二ケイ酸塩などを含む。水溶性のケイ酸カリウム及びケイ酸ナトリウムは特に好都合であるが、後者のほうが好適である。アルカリケイ酸塩のモル比、すなわちシリカ対アルカリ金属酸化物の比は、その他の反応パラメータに応じてシリカ製品の平均孔径に寄与することは考慮に入れるべきである。一般に、本発明の許容可能なシリカ製品は、約1.0〜3.5、好ましくは約2.4〜約3.4の範囲のケイ酸塩モル比(SiO:NaO)を用いて製造できる。発明的方法の様々な加工工程中に反応容器に供給されるアルカリケイ酸塩溶液は、本明細書の各所に記載のように、一般的にアルカリ金属ケイ酸塩溶液の総重量を基にして約8〜35%、さらに好ましくは約8.0%〜25.0重量%のアルカリ金属ケイ酸塩を含有しうる。アルカリケイ酸塩源溶液のアルカリケイ酸塩濃度を上記所望範囲に引き下げるために、ケイ酸塩溶液を反応器に供給する前に希釈水をアルカリケイ酸塩源溶液に加えることができる。あるいは、酸性化反応工程“a”に使用される反応器中で希釈水をアルカリケイ酸塩源溶液とその場で撹拌混合しながら合わせ、アルカリ金属ケイ酸塩溶液中の所望のケイ酸塩濃度を作り出してもよい。
【0022】
酸、又は酸性化剤は、ルイス酸又はブレンステッド酸であり得る。好ましくは、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの強鉱酸、さらに好ましくは硫酸であり、その希薄溶液として添加される(例えば約6〜35wt%、さらに典型的には約9.0〜20.0wt%)。
【0023】
反応器の溶液と残りの反応物が所望温度に達したら、反応器への残りのケイ酸ナトリウム溶液と酸の同時添加を開始する。ケイ酸ナトリウム溶液と酸は、約30〜90分の添加時間にわたって反応器に計量投入される。反応物の添加速度は、ケイ酸塩のモル比、添加時間及び濃度並びに酸濃度に依存する。
【0024】
この同時添加時間の終了時点でほとんどのシリカは沈降するので、ケイ酸ナトリウムの添加を停止する。酸の添加は反応器のスラリーが所望のpHに到達するまで続ける。スラリーのpHが約7.0に到達したら、スラリーのpHが標的pHに近づくまで酸の流量を低減するのが好ましい。その時点で酸流を停止し、手動調整を用いて標的のスラリーpHに到達させればよい。好適なスラリーのpHはおよそ4.0〜7.0、さらに好ましくは5.0〜6.0である。この節目でシリカは沈降して沈降シリカと反応液の混合物となる。所望のスラリーpHに到達すると、熟成(digestion)が始まるので、反応温度を約85〜99℃、好ましくは91〜97℃に上げる。熟成は高められた温度で約5〜60分間、好ましくは約10〜20分間継続される。熟成工程中、一定のpHを維持するのに必要な範囲で酸が添加される。
【0025】
反応器中で熟成工程が終了し、何らかのその後のpH調整が実施された後、反応のバッチを反応器から取り出す。上記の一般的プロトコルは本発明に従って条件付けされた沈降シリカを合成するのに好適であるが、他の等級の沈降シリカ、例えばJ.Soc.Cosmet.Chem.,29,497−521(1978年8月)、及びPigment Handbook:第1巻,Properties and Economics、第2版,John Wiley & Sons,1988,p.139−159に示された定義による非常に低〜高構造合成シリカも一般的に本発明の実施に使用できることは理解されるであろう。
【0026】
第二の方法では、少なくとも、工程“b”の開始前に標記シリカ粒子を何らかの乾燥にかけないということが必須である。基本的に、もし粒子を予め乾燥させてしまうと、粉砕(湿式又はそれ以外の方法)前の構造が、記載した最終用途のために適切な沈降シリカ粒子を最終的に提供する発明的方法に必要とされる構造とは著しく異なることになろう。このような制限は、解説した第一の方法の範囲内では必要ではないが、それでもなお第一の方法においてもおそらくは好適な要件である。
【0027】
第一又は第二の方法いずれかの工程“b”で反応塊の湿式粉砕が実施される。粉砕が必要な理由は、工程“a”の反応器から取り出されたシリカ粒子懸濁液が一般に約50μm超〜約100μm、より典型的には約65μm〜約85μmのメジアン粒径(MPS)を有しているからである。このような粒径は、化粧品、コーティング及び口腔清掃用組成物のような用途には許容不能である。すなわち、粒子がユーザーに対してザラザラした質感を与えないようにより小さいシリカ粒子が必要とされる。それでもなお、口腔ケア用途の場合、粒子は歯に対して必要な研磨作用を提供できるほど大きくなければならない。口腔清掃用組成物の場合、約1〜約30μmのシリカ粒径が一般に必要とされ、約3〜15μmのメジアン粒径が本発明では好適である。化粧品及びコーティング用の場合、メジアン粒径の範囲はもっと小さくなり、例えば0.1〜約3ミクロンである。従って、0.1〜15の範囲が本発明の製品には適切である(さらに詳しくは0.3〜10;好適な口腔ケア用の最終用途の場合、範囲は好ましくは7〜9ミクロンである)。
【0028】
第一又は第二の方法いずれかの湿式粉砕(すなわち湿式ミリング)工程の前に、シリカ粒子を何らかの事前制御粉砕操作(そのような制御粉砕には反応器内での粒子製造時の剪断は含まれない)にかけないことが重要である。湿潤環境中でのシリカ粒子の制御粉砕が、所望の粒径範囲の製造における信頼性だけでなく、同一様式及び同一条件下での各粒子の改質に関する信頼性も増大させることになる。
【0029】
そのような粉砕は、上記のように、粒子製造とは別のステーションでの湿式粉砕(グラインディング)工程を通じて、又は代替としてシリカ粒子製造中及び/又は後の高剪断反応器混合を通じて実施される。好ましくは、工程“b”で研磨粒子(典型的には凝集体、アグロメレート)を粉砕するために、工程“a”の粒子(必ずしもということではないが、好ましくは沈降シリカ粒子)を湿式媒体(メディア)粉砕ステーションに供給する。工程“b”では一段階湿式媒体ミル又は多段階湿式粉砕操作のいずれかが使用できる。例えば、多段階湿式媒体粉砕ステーションは、一態様においては、二つ以上の別のミルを含むことができ、スラリーはそれを通って逐次進行する。あるいは、多段階湿式媒体粉砕ステーションは単一のミルを含み、スラリーはその一つのミルを再循環を用いて数回通過するようにしてもよい。各ミル段階で、又はマルチパス方式の多段階粉砕で単一のミルを通過する各パスにおいて、供給スラリー中に浪費されるエネルギーの量は一般的にほぼ同一に保たれる(このことは必ずしも必要ではないが)。多段階湿式媒体粉砕の方が適用されるレジデンスタイムを長くすることができる。
【0030】
ミル又は多段階粉砕ステーションで上記した複数のミルとして使用される湿式媒体ミルのタイプは、独立して、ボールミル、湿式縦型媒体ミル(wet vertical media mill)、湿式横型媒体ミルなどであり得る。本発明の実施に使用される一つの好適なタイプの湿式粉砕ミルは、ペンシルバニア州レディングのLightnin,Inc.製造のModel HML 1.5 Premier Millである。該Premiere Millは横型の媒体ミルである。使用される粉砕媒体は好ましくはセラミックビーズ、例えばサイズ約1〜3mmの酸化ジルコニウムビーズである。これをミルに約20〜80vol%で装填する。
【0031】
一つの好適な非制限的例示において、工程“b”の実施に使用される湿式ビーズミルは一般的に下記条件下で運転される。すなわち、
ビーズ装填:20〜60%;及び
ビーズミルロータ速度:500〜3500FPM(フィート毎分)(152〜1067m/分)。
【0032】
乾燥及び乾式粉砕操作の必要なくシリカ粒子を小さくするという本発明の目的に沿って、湿式粉砕中にスラリー又は流動プレスケーキに印加される剪断力の総量は、メジアン粒径(MPS)を約0.1〜約30ミクロン(μm)、好ましくは約1〜約25ミクロン、さらに好ましくは約3〜約15ミクロンに縮小するに足るものであるべきである。湿式粉砕された研磨組成物中の研磨粒子は、45μmを超える粒子(+325メッシュ)のフラクションが1.5wt%未満である。当然のことながら、粉砕条件は特定の用途に所望される粒径を達成するために調整することができる。
【0033】
あるいは、工程“a”のシリカ粒子をまずろ過し洗浄してから工程“b”の粉砕ステーション(そのような粉砕ステーションが使用される場合)に供給してもよい。工程“a”で製造されたシリカ反応スラリーは、典型的には約6〜12wt%のシリカ粒子を含有する。これをろ過によって約12〜50wt%のシリカ粒子に増大することができる。粒子は、回収及び洗浄して、いずれかのバッチ又は当業者に公知の連続ろ過装置上で反応副産物(例えば硫酸ナトリウム)を除去することができる。前記ろ過装置とは、例えば、真空及び加圧フィルタ、例えばロータリーフィルタ、Laroxフィルタ、プレート及びフレームフィルタ、又はフィルタプレスなどである。
【0034】
上で概説した第一又は第二の方法いずれかの工程“c”で、工程“b”の粉砕粒子(好ましくは粉砕沈降シリカ粒子)は、その後約0.5〜10LPMの速度でデカンタ型遠心分離機、例えばマサチューセッツ州サウスウォルポールのBird Machine Company,Inc.より入手できる6インチのソリッドボウル連続フローBirdデカンタ/遠心分離機に供給されて所望サイズの粒子フラクションが分離された。20〜70HZで運転されるデカンタ型遠心分離機は、アンダーフロー(粗大粒子)とオーバーフロー(小粒子)ストリームの両方を遠心分離機/デカンタ又はミルに再循環させるようにも、又は一つのフローだけを再循環させるようにも構成できる。粉砕−遠心分離機/デカンタの組合せは単段階組合せ又は多段階組合せのいずれでもよい。発明的方法は、小粒子フラクション、粗大粒径フラクションの分離及び“ダブルカット” された粒子(すなわち所望粒径範囲を上回る粒子と所望粒径範囲を下回る粒子が除去されて狭い所望粒径範囲の粒子だけを残す)の分離を考えている。
【0035】
一態様において、遠心分離機/デカンタのアンダーフローストリーム由来の粗大粒子は更なる粒径縮小のためにミルに供給され、その後遠心分離機デカンタに戻される。この“閉ループ”系は、大きくて望ましくない粒子の粒径を連続的に縮小する効果を有し、リサイクリングは所望粒径範囲が得られるまで続けられる。所望粒径範囲を達成するのに必要な時間は、多数の要因、例えば供給速度、ミルのエネルギー、ビーズの装填、シリカ粒子の構造などに左右される。本態様では、アンダーフローストリーム(粗大)はミルにリサイクルされるが、オーバーフロー(微細)は使用又は更なる加工のために回収される。
【0036】
別の態様において、シリカ粒子は“ダブルカット”される。すなわち望ましくない大(粗)粒子のフラクションはもとより望ましくない小(微細)粒子のフラクションも所望サイズの粒子から除去又は“カット”される。この場合、アンダーフローの(粗)粒子は更なる粒径縮小のためにビーズミルに戻され、オーバーフローの(微細)粒子は更なる分級のために回収される。遠心分離機/デカンタからミルへのアンダーフローストリームのリサイクリングは所望粒径の材料が得られるまで続けられる。最終的に、粒子分布が所望粒径に到達したらオーバーフロー(微細)ストリームは廃棄され、アンダーフロー(粗)粒子が回収される。供給速度、濃度、及び遠心分離機の速度といった遠心分離機/デカンタの条件は、最小限の時間で所望サイズの粒子が得られるように調整できる。供給速度は一般的に約0.5LPM〜約10LPMである。供給原料の濃度は一般的に約6wt.%〜約50wt.%、好ましくは約10wt.%〜約40wt.%である。遠心分離機の速度は使用される装置、所望の粒径、粒径分布及び粒径範囲に応じて設定される。
【0037】
アンダーフロー又はオーバーフローのいずれか由来のストリームは、そのまま使用するため又は更なる所望の加工用供給原料として使用するために回収できる。得られたスラリーは固形分約6wt%〜約50wt%、好ましくは固形分約30wt.%〜約50wt.%であった。
【0038】
分級機は任意の粒径範囲用に構成することができる。好ましくは、歯科用研磨剤として利用される粒子の場合、この構成によって5〜15、好ましくは6〜10、最も好ましくは7〜9ミクロンの粒径範囲を示す粒子の回収が可能になる。化粧品及び粒径がずっと小さくあるべきその他のタイプの最終用途の場合、分級機は0.1〜10、好ましくは0.3〜5、最も好ましくは0.5〜2.5ミクロンの粒径範囲を示す粒子を回収するように構成されるべきである。
【0039】
さらに、工程“c”(上で概説した第一又は第二の方法いずれかの)の分級シリカスラリーは、そのまま使用、歯磨剤に使用される湿潤剤(例えばグリセリン又はソルビトール)、保存剤、フッ化物源などの他の成分と混合又は脱水及び洗浄することができる。
【0040】
発明的方法の工程“d”において(上記の通り第一の概説した方法では任意、第二の方法では必要)、工程“c”の分級シリカスラリーは次に脱水される。一つの好適な側面では、いわゆる“J−Vap”処理、又は類似のチャンバフィルタプレス処理が本発明の好適な態様の工程“d”の実施に好適である。
【0041】
本発明のろ過/脱水工程の実施に使用するのに適応可能なそのようなJ−Vap処理を行うための方法及び設備配置の非制限的例示は、例えば米国特許第5,558,773号及びEP0978304 A2に見つけることができる(これらの記載内容は引用によって本明細書に援用する)。J−Vap処理装置のその他の例は、以下の実施例に例示されているような、この目的のための市販装置などである。使用されるJ−Vap処理装置は、除去される水のレベルに対し、そのパラメータに関して本明細書中に示した基準を満たすために信頼できる正確な制御が可能でなければならない。
【0042】
J−Vap処理の設備配置は、シリカスラリーの洗浄及び脱水が実施される一連のリダクションチャンバ(reduction chamber)を含む。リダクションチャンバはフィルタプレスモジュール内で互いに堅く固定されている。リダクションチャンバの与圧のために熱水を供給するエネルギー変換モジュールも含む。また最初の加圧ろ過ステージ後に実施される脱水時に使用される真空システムも含む。
【0043】
一つの適切な配置例において、J−Vap処理システムのチャンバフィルタプレスは以下を含むように選択される。すなわち、複数の交互配列されたダイヤフラム式圧搾プレートとフィルタプレートはそれぞれに液体透過性のろ過膜で覆われている。圧搾プレートとフィルタプレートはそれらの間に研磨剤懸濁液の導入路と流路を規定する。圧搾プレートは、研磨剤懸濁液中の固体/液体分離を増大するのに効果的な、隣接するフィルタプレートの方に膨張可能なダイヤフラムを含んでいる。そこで液体は隣接する液体透過膜を透過する。フィルタプレートは研磨剤懸濁液からろ過された液体を排水するための内部ろ液排水チャンバをそれぞれに含む。
【0044】
分級機から供給された研磨剤スラリーに対して実施される最初のろ過ステージの中で、スラリーのウェットケーキを水で洗浄し、次いで空気の吹き付けを開始してケーキ表面の水を除去する。最初又は“コア”の吹きつけは、一段階又はパルス方式で実施されうる。パルス方式では、空気を設定時間のあいだ吹き付け、停止し、そして設定回数繰り返す。その後、ダイヤフラムを膨張させるのに有効な加熱流体の導入によってダイヤフラムを膨張させ、研磨剤懸濁液を加熱してフィルタ材料からの水分除去を効果的に促進する。すなわち、分級機からのスラリーをリダクションチャンバに汲み入れ、そこで最初のろ過を行い、遊離液体を排水する。最初のろ過ステージの後、真空式脱水を実施する。例えば、リダクションチャンバを熱水で加圧し、真空を導入する。例えば、J−Vap処理システムで実施される脱水プロセスの第二ステージでは、排水チャンバを真空源に接続して、研磨剤懸濁液の気化した部分を効果的に除去する。
【0045】
脱水時間は所望の水分減少が達成されるように設定する。脱水ステージが完了したら、リダクションチャンバを互いに分離して脱水されたフィルタケーキを取り出し、解凝集工程に進む。
【0046】
本発明の好適な態様に従って脱水工程“d”を実施するために使用する場合のそのようなJ−Vap脱水を行うための例示的非制限的条件は以下の一般的条件を含む。
脱水時間:0〜6時間;
供給圧力:20〜80psi(138〜552kPa);
供給温度:21〜85℃;
熱水温度:49〜85℃(120〜185°F);
吹き付け空気圧:20〜80psi(138〜552kPa);
系の真空:20〜29 in.Hg(68〜98kPa);
圧搾空気圧:20〜100psi(138〜552kPa);及び
J−Vapを出た後の固体含有量:40〜95%。
【0047】
反応塊をろ過し、水で洗浄してNaSO濃度を重量で5%未満、好ましくは2%未満(例えば0.5〜1.5%)に引き下げる。得られた脱水塊は一般的に約70〜約95重量パーセントのシリカ粒子と、約5〜約30重量パーセントの水(好ましくは5〜10wt.%の水)を含む。洗浄したフィルタケーキのpHは必要であれば調整できる。
【0048】
あるいは、工程“c”の分級シリカを洗浄し、真空又は加圧フィルタを利用して脱水してもよい。
工程“d”から得られた脱水シリカ粒子は、脱水プロセス中に印加された圧力のために一般に凝集している。これは典型的には弱い粒子凝集なので、歯磨剤又は化粧品剤のような製剤中に配合する場合、分離できる。解凝集は、所望による工程“e”で、粒子を穏やかな乾式混合に曝す、例えば粒子を空気コンベヤに乗せる、粒子をハンマー又はウィザード(whizzard)、高剪断混合を設備せずに構成されたミルに供給するなどによって達成できる。
【0049】
工程“e”(第一又は第二の方法いずれかの)で仕上げられた研磨剤は、水分含有量が約10%未満に低減されており、後の使用、例えば歯磨剤又はその他の化粧品、パーソナルケア又はコーティング組成物の調製に使用するのに必要となるまで貯蔵できる。
【0050】
本発明の重要な側面は、工程“e”で提供された粉砕分級粒子(好ましくは研磨シリカ粒子)は、前記研磨粒子を歯磨剤又はその他の化粧品、パーソナルケア又はコーティング組成物に配合する追加的工程まで、シリカの乾燥又は乾式粉砕を行う必要なしに少なくとも5wt%の総液体含有量を継続的に維持できるということである。沈降シリカの乾燥又は乾式粉砕の不必要は、シリカが合成された時点からそれを口腔清掃用組成物に配合するまで存続する。現時点で何らかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、乾燥及び乾式粉砕プロセスは、シリカ粒子の表面及び化学的性質に予測不能な又はさらには有害な様式で影響を与える(例えば乾式粉砕による変色)と考えられている。本発明はこうした乾燥及び乾式粉砕の影響を回避できる。
【0051】
上で示した研磨組成物中に提供される好適なシリカ粒子は、好ましくは合成水和アモルファスシリカ(二酸化ケイ素又はSiOとして知られる)として特徴づけられる。これらの沈降シリカは極低〜高構造合成シリカと特徴づけることができる。
【0052】
反応器中で生の合成アモルファスシリカを沈降させる上記工程“a”の方法論のほかに、生シリカの製造は必ずしもそれに限定されず、例えば先行米国特許第3,893,840号、3,988,162号、4,067,746号、4,340,583号、5,225,177号、5,891,421号、及び6,419,174号に記載の方法論に従って一般的に達成することもできる。前記特許はいずれも、それらの方法が前述の好適な発明的方法の少なくとも工程“b”及び“c”に使用される加工後処理を追加するために適当に変更される限り、引用によって本明細書に援用する。当業者には分かるとおり、得られる沈降シリカの特徴に影響を及ぼす反応パラメータは、各種反応物が添加される速度とタイミング;各種反応物の濃度のレベル;反応pH;反応温度;及び/又は何らかの電解質が添加される速度などである。
【0053】
本明細書中でシリカは、本発明によって製造される研磨組成物中に提供される研磨剤成分として示されているが、当然のことながら、本発明の原理は、反応器中で何らかの乾燥又は乾式粉砕工程の介在の必要なしに合成できる他の水不溶性研磨粒子の懸濁液又はスラリーにも適用可能であるとみなされる。その他のそのような水不溶性粒子は、例えば、シリカゲル、リン酸二カルシウム又はその二水和物形、ピロリン酸カルシウム及び沈降炭酸カルシウム(PCC)などである。
【0054】
これらの所望による歯磨剤成分の使用例は、本明細書中及び/又は例えば再発行特許第29,634号、及び米国特許第5,676,932号、6,074,629号、及び5,658,553号、並びにそれらの中で引用されている特許に記載されている(いずれも引用によって本明細書に援用する)。これらの所望による成分は、使用する場合、歯磨剤に慣例的に見られる濃度で使用できる。
【0055】
前述のように、本発明的方法によって製造される研磨粒子(必須ではないが、特に前記アモルファス沈降シリカ研磨剤)は次に歯磨剤組成物、例えば練り歯磨きに配合できる。
研磨成分のほかに、そのような歯磨剤は歯磨剤製造に通常使用されるいくつかその他の成分、例えば湿潤剤、増粘剤(時にバインダ、ガム、又は安定剤としても知られる)、抗菌剤、フッ化物、甘味剤、及び共界面活性剤を含有してもよい。
【0056】
湿潤剤は、歯磨剤に質感又は“口当たり”を加えると共に歯磨剤の乾燥を防止する役割を果たしている。適切な湿潤剤は、ポリエチレングリコール(様々に異なる分子量の)、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、及び加水分解水添デンプン、並びにこれらの化合物の混合物などである。
【0057】
増粘剤は、練り歯磨きを相分離に対して安定化させるゼラチン構造を提供するため、本発明の歯磨剤組成物に有用である。適切な増粘剤は、シリカ増粘剤、デンプン、グリセリンデンプン、カラヤガム(ステルクリアガム)、トラガカントガム、アラビアガム、ガティガム、アカシアガム、キサンタンガム、グアガム、ヴィーガム(Veegum)、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、寒天、ペクチン、ゼラチン、セルロース、セルロースガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチル、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、硫酸化セルロース、並びにこれらの化合物の混合物などである。バインダの典型的な量は練り歯磨き組成物の約0wt%〜約15wt%である。
【0058】
抗菌剤は、微生物の存在を公知有害レベル未満に削減するために入れることができる。適切な抗菌剤は、ピロリン酸四ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、ホウ酸、フェノール系化合物、例えば、ベータナフトール、クロロチモール、チモール、アネトール、ユーカリプトール、カルバクロール、メントール、フェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ヘキシルレゾルシノール、ラウリルピリジニウムクロリド、ミリスチルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムフルオリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミドなどである。存在する場合、抗菌剤の量は好ましくは練り歯磨き組成物の約0.1wt%〜約5wt%である。
【0059】
甘味剤は、製品に良味を与えるために練り歯磨き組成物に加えられる。適切な甘味剤は、サッカリン(ナトリウム、カリウム又はカルシウムサッカリンとして)、シクラメート(ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩として)、アセスルファム−K、タウマチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、アンモニア化グリチルリチン、デキストロース、レブロース、スクロース、マンノース、及びグルコースなどである。
【0060】
練り歯磨きは、虫歯の発生及び進行を防止するためにフッ化物塩も含有するのが好ましい。適切なフッ化物塩は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化亜鉛、フッ化スズ、フッ化亜鉛アンモニウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、ラウリルアミンヒドロフルオリド、ジエチルアミノエチルオクトイルアミドヒドロフルオリド、ジデシルジメチルアンモニウムフルオリド、セチルピリジニウムフルオリド、ジラウリルモルホリニウムフルオリド、サルコシンフッ化スズ(sarcosine stannous fluoride)、グリシンフッ化カリウム(glycine potassium fluoride)、グリシンヒドロフルオリド、及びモノフルオロリン酸ナトリウムなどである。フッ化物塩の典型的な量は約0.1wt%〜約5wt%である。
【0061】
界面活性剤も、追加の洗浄剤及び発泡剤として入れることができ、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤から選ばれうる。ラウリル硫酸ナトリウムなどの金属硫酸塩のようなアニオン性界面活性剤が好適である。
【0062】
本明細書中に開示された歯磨剤は、様々な追加成分、例えば脱感作薬、治療薬、その他の虫歯予防剤、キレート剤/金属イオン封鎖剤、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、その他の歯垢防止/歯石防止剤、乳白剤、抗生物質、抗酵素、酵素、pH調整剤、酸化剤、抗酸化剤、ホワイトニング剤、着色剤、フレーバー、及び保存剤なども含有できる。
【0063】
最後に、言及した添加剤のほかに組成物の残り部分には水が供給される。水は好ましくは脱イオン化され、不純物が除去されたものである。歯磨剤は、約10wt%〜約40wt%、好ましくは20〜35wt%の水を含む。
【0064】
さらに小粒径粒子は、第二の概説した方法を通じて、又は第一の概説した方法の副産物としてのいずれかで製造されうる。そのような小粒子、やはり好ましくはシリカ粒子は、様々な組成物及び製剤、例えば化粧品及び同様の最終製品の中に配合できる。その場合、そのような小粒子は、色素、粘着防止剤、担体などとして存在しうる。
好適な態様の詳細な説明
本発明の方法によって製造される研磨組成物は貯蔵可能なすぐに使える(ready-to-use)研磨粒子及びスラリーであり、オンデマンドで他の成分とすぐに配合されて、歯組織に過度の研磨をもたらすことなく高い清掃効能を有する口腔清掃用組成物を製造することができる。発明的方法の必須工程及び所望による工程について以下でさらに詳細に説明する。
粒子組成物の製造
以下の実施例は本発明を説明するために提示されるが、本発明がそれに限定されるとみなされるべきではない。以下の実施例において、部は別途記載のない限り重量による。
【0065】
本明細書中に記載のシリカの性質は以下のようにして測定された。メジアン粒径は、ペンシルバニア州BoothwynのHoriba Instrumentsから入手できるModel LA−910のレーザ光散乱装置を用いて測定した。レーザ光線を、液体中に浮遊した可動粒子流を含有する透明セルに投射する。粒子に当たった光線は粒子の大きさに反比例する角度で散乱する。光検出器のアレイが、予め決められたいくつかの角度で光の量を測定する。次に、測定された光束値に比例する電気信号がマイクロコンピュータシステムによって処理され、粒径分布のマルチチャンネルヒストグラムが形成される。サンプルは分析の前にHoriba装置上で2分間超音波に当てる。
【0066】
所定の組成物中のシリカ粒子の粒径分布は、粒径の関数としての累積体積パーセントとしてプロットされる。累積体積パーセントは、所定値以下の粒径を有する分布の体積パーセントであり、粒径(粒度)は等価の球状粒子の直径である。分布における平均粒径は、その分布の50%地点におけるシリカ粒子のミクロンで表したサイズである。所定の組成物の粒径分布の幅はスパン比を用いて特徴付けできる。本明細書中で使用しているスパン比は、10体積パーセンタイルの粒子の累積直径マイナス90パーセンタイルの累積体積を50体積パーセンタイルの粒子の直径で割ったもの、すなわち(D10−D90)/D50と定義される。
【0067】
アマニ油を用いた吸油値は練り合せ(rubout)法によって測定した。この方法は、平滑面上で油をシリカと、堅いパテ様ペーストが形成されるまでスパチュラで練り合わせることによって混合するという原理に基づく。広げるとカールするようなペースト混合物を得るのに要した油の量を測定することにより、シリカの吸油値を計算することができる。これは、シリカの吸収能を飽和するためにシリカの単位重量あたりに要したの油の体積を表す値である。吸油値測定のために、試験したシリカサンプルはJ−Vap操作のシリカ生成物から直接得、試験前に105℃で約12時間乾燥させた。吸油値の計算は以下のように実施した。
【0068】
吸油値 =(吸油量、ml)/(シリカの重量、グラム)×100
= ml油/100gシリカ
5%pHは、5.0gのシリカを250mLのビーカーに量り入れ、95mlの脱イオン水又は蒸留水を加え、磁気撹拌プレート上で7分間混合し、そしてpHをpHメーターで測定することによって決定した。該pHメーターは想定されるpH範囲を夾叉する2種類の緩衝液を用いて標準化されている。
【0069】
硫酸ナトリウム含量は、サンプルの導電率を、公知の硫酸ナトリウム/シリカ組成物スラリーから作成した標準曲線と比較することによって測定した。Hamilton Beach Mixer、モデル番号30の1クオートミキサカップに、38gのシリカウェットケーキサンプルを量り入れ、140mlの脱イオン水を加え、スラリーを5〜7分間混合した。該スラリーを250mlのメスシリンダに移し、ミキサカップを濯いだ水を用いて脱イオン水で250mlの体積にした。サンプルはメスシリンダを数回反転させることによって混合した。スラリーの導電率を導電率メータ、例えばCole Palmer CON 500 Model #19950−00を用いて決定した。
【0070】
%325ふるい残分を測定するために、50gのシリカを500〜600mlの水の入った1リットルビーカーに量り入れた。シリカ粒子を水中に沈降させてから、全材料が分散するまでよく混合した。スプレーノズル(Fulljet 9.5,3/8G,316ステンレススチール,Spraying Systems Co.)からの水圧を20〜25psiに調整した。ふるいのスクリーンクロス(325メッシュスクリーン、直径8”)をノズルの下4〜6インチに保持し、スプレーしながら、ビーカーの内容物を325メッシュスクリーンの上に徐々に注いだ。残った材料もビーカー壁から洗い流してスクリーンに注いだ。スプレーをスクリーンの端から端へ掃引(スイーピング)動作を用いて動かしながらスクリーンを2分間洗浄した。2分間のスプレー後(スクリーン開口部より小さいすべての粒子はスクリーンを通過したはず)、スクリーン上に残った残分を洗浄してスクリーンの片側に寄せ、噴射ボトルからの水で洗浄することによって予め秤量したアルミニウム秤量皿に移した。すべての残分を秤量皿に確実に移すのに必要な最小量の水を使用した。皿を2〜3分間放置した後(残分の沈降)、透明水を上からデカントした。皿をオーブンに入れ(“Easy−Bake”赤外オーブン又は105℃のオーブン)、残分サンプルが乾燥して恒量になるまで乾燥させた。
【0071】
%325残分 = (残分重量、g)/(サンプル重量、g)×100
= >45μmの粒子%
ばらの嵩密度(loose bulk density)を測定するために、100gのシリカを100mmポリプロピレン製粉末漏斗に静かに注ぎ入れた。該漏斗は開口部が250mlポリメチルペンテン製メスシリンダ頂部より1.5インチ上になるようにクランプで固定されていた。該メスシリンダは100mlの印のところで切り落とされ、予め秤量されていた。シリカの流し込みはシリンダがあふれたら止める。メスシリンダの粉末はシリンダの頂部をスパチュラで掻き取って直ちに平らにした(すり切り)。この工程は粉末床が沈降しないようになるべく迅速に行うべきである。沈降すると人為的に高い値が出てしまうからである。溢れた粉末をメスシリンダ基部から払い落とし、粉末で満たされたシリンダを0.01gの精度で秤量した。ハンドリングによるシリンダの体積変化は無視する。
【0072】
ばらの嵩密度(g/ml) = (全重量−初期重量)/100
パック密度又はタップ密度は、20.0gの生成物を250mLプラスチック製平底メスシリンダに量り入れることによって測定した。シリンダをゴム栓で閉じてタップ密度マシンに乗せ、15分間運転した。タップ密度マシンは、カムを60rpmで運転する従来のモーターギアリデューサドライブ(motor-gear reducer drive)である。カムは、シリンダを毎秒2.25インチ(5.715cm)の距離上下(昇降)させるようにカット又は設計されている。タップ密度は公知重量の生成物が占める体積として計算され、g/mlで表された。
【0073】
水銀細孔容積は、Autopore II 9220 ポロシメータ(Micromeritics Corporation)を用いて測定した。この装置は、様々な材料のボイド容積(空隙率)及び孔径分布を測定する。水銀を圧力の関数としてボイドに圧入し、サンプル1グラムあたり侵入した水銀の体積を各圧力設定で計算する。本明細書中で表されている全細孔容積は、真空〜60,000psiの圧力で侵入させた水銀の累積体積を表す。
【0074】
白色度を測定するために、平滑表面を持つペレットにプレス成形した微粉末材料を、インジアナ州ニューオルバニーのTechnidyne Corporationから入手できるTechnidyne Brightmeter S−5/BCを用いて評価した。この装置はデュアルビーム光学系を有し、サンプルを45°の角度で照射し、反射光を0°で見る。これは、TAPPI試験法T452及びT646、並びにASTM標準D985に準拠している。粉末材料は十分な圧力を用いて約1cm厚のペレットにプレスして、滑らかで平坦な、ばら粒子又は光沢のないペレット表面にする。
【0075】
Brass Einlehner(BE)摩耗値は、Einlehner AT−1000摩耗試験機を使用して測定した。この試験では、Fourdrinier真鍮ワイヤスクリーンを秤量し、10%水性シリカ懸濁液の作用に一定の回転数の間さらし、次に摩耗量をFourdrinierワイヤスクリーンから100,000回転あたり失われた真鍮のミリグラムとして決定する。この試験に必要な消耗品(真鍮スクリーン、摩耗プレート及びPVC管)は、バーモント州ラトランドのDuncan Associatesから入手でき、“Einlehner試験キット”として販売されている。具体的には、真鍮スクリーン(Phosphos Bronze P.M.)を、超音波浴の熱石鹸水(0.5% Alconox)中で5分間洗浄し、次いで水道水で濯ぎ、再度超音波浴中にセットした150mlの水入りビーカー中で濯いだ。スクリーンを再度水道水で濯ぎ、105℃にセットしたオーブンで20分間乾燥させ、デシケータ中で冷却して秤量した。スクリーンは皮脂によるスクリーン汚染を防止するためピンセットで扱う。Einlehner試験シリンダを摩耗プレートと秤量したスクリーンを用いて組み立て(赤線側を下−摩耗側でない)、所定の位置にクランプで留めた。摩耗プレートは約25回の試験の間又はひどく摩耗するまで使用したが、秤量したスクリーンは1回きりの使用であった。
【0076】
100gのシリカを900gの脱イオン水と混合して調製した10%シリカスラリー(又はシリカスラリーの場合、45%固形分のシリカスラリー227gを773gの水と混合した)をEinlehner試験シリンダに注入した。Einlehner PVC管を撹拌軸上に置いた。PVC管は番号付けされた5つの位置を有している。各試験でPVC管の位置を一つずつ上げて5回使用したら廃棄した。Einlehner摩耗装置を組立て直し、装置を87,000回転運転するようにセットした。各試験に約49分かかる。サイクル完了後、スクリーンを取り出して水道水で濯ぎ、水を入れたビーカーに入れ、超音波浴に2分間セットし、脱イオン水で濯ぎ、105℃にセットしたオーブン中で20分間乾燥させた。乾燥スクリーンをデシケータ中で冷却し、再秤量した。各サンプルについて2回試験を実施し、結果を平均して100,000回転あたりのmg損失で表した。10%シリカスラリーについての100,000回転あたりのmg損失の単位で測定された結果は、10%Brass Einlehner(BE)摩耗値と特徴付けることができる。
【0077】
本明細書中で使用されるシリカの構造は、S.K.Wasonの論文“Cosmetic Properties and Structure of Fine−particle Synthetic Precipitated Silicas”,Journal of Soc.Cosmet.Chem.,Vol.29,(1978),pp.497−521に記載されており、該論文は引用によって本明細書に援用する。そのような発明的組成物は、アマニ油吸収値約50ml/100g〜約90ml/100gを示すシリカ粒子を含む。
実施例1
アモルファス沈降シリカのバッチを反応器中で以下のように製造した。その後これを下記の特定の脱水、湿式粉砕及び粒子選別に、何らかの乾燥又は乾式粉砕を行うことなくかけ、適用した後処理操作の効果を観察した。
【0078】
バッチは、502ガロン(1900L)のケイ酸ナトリウム(13.0%、SiO:NaOのモル比2.50)を反応器に加え、85℃に加熱した。次に、ケイ酸ナトリウム(13.0%、SiO:NaOのモル比2.50、85℃に予熱)と硫酸(11.4%)を反応器に102.4gpm(387.6L/分)及び45.0gpm(170.3L/分)の速度で同時に加えた。ケイ酸ナトリウムと硫酸の同時添加は48分間続き、その後ケイ酸ナトリウムの添加を止める。酸流はバッチのpHが5.2に降下するまで続け、その時点で酸流を停止した。次にバッチを93℃で10分間熟成した。熟成の間中必要に応じてpHを5.2に戻すように調整した。熟成後、pHを5.1±0.1に手動調整し、バッチを反応器からフィルタ供給タンクに移した。
【0079】
バッチを加圧フィルタプレス(ミシガン州ホランドのUS Filter Corporationから入手できるモデルJVAP 470/100)でろ過して固形分33〜34%にし、次いでプレスケーキをPremierビーズミル(ペンシルバニア州レディングのLightnin,Inc.から入手できるモデルHML−1.5)に0.43リットル毎分(LPM)の速度で供給した。Premierミルは横型媒体ミルで、1.5リットルの粉砕室を有し、その中に1.06リットルの0.8〜1.0mmサイズのジルコニア媒体ビーズ(比重3.7)を装填していた。シリカはミルに3回通したが、各パスごとに一部を回収して粒径特性を測定した。出発材料と上記の方法に従って測定されたビーズ粉砕材料の粒径特性を以下の表1にまとめた。
【0080】
【表1】

【0081】
表1からビーズ粉砕は実施例1のシリカの粒径を約15μmから約0.5μmに縮小するのに有効であったことが分かる。
次に、粉砕された第3パスからのプレスケーキを2つに分け、これらを別個にSharples BM−PF743/54893C3デカンタ/遠心分離機に、以下の表2にまとめた条件下で供給した。
【0082】
第一の試行(トライアル)で、上で製造された5ガロンのビーズ粉砕シリカを供給タンクで15リットルの水で希釈し(固形分20%)、混合した。表2に示した遠心分離機/デカンタの条件下で4つの別の試行(試行1A〜1D)を実施した。遠心分離機/デカンタは、オーバーフロー及びアンダーフローストリームの両方が再循環するように構成された。再循環は試行1A〜1Dの間続けた。
【0083】
第二の試行では、上で製造された5ガロンのビーズ粉砕シリカを50リットルの水で希釈して固形分9.8%にし、混合した。遠心分離機/デカンタは、別個の試行2A〜2Dの間、オーバーフロー及びアンダーフローストリームの両方が再循環するように構成された。試行2Dの終了時、再循環を止めて試行3のためにオーバーフローストリームが回収できるようにした。
【0084】
試行3では、試行2Dからの10ガロンのオーバーブロー材料(固形分9.8%)を、オーバーフローは再循環、アンダーフローは廃棄されるように構成された遠心分離機/デカンタに供給した。遠心分離は60Hzで運転し、サンプルを粒径分析のために2〜4時間の間0.5時間おきに回収した。
【0085】
【表2】

【0086】
上記方法に従って測定した試行1、2及び3の材料の粒径特性を表3にまとめた。
【0087】
【表3】

【0088】
このビーズ粉砕シリカの遠心分離は、より小さい粒径材料のフラクションを分離するのに有効であったことが分かる。その粒径は0.15μmもの小ささであり、小さいスパン値によって示されているように非常に狭い粒径分布も有している。
実施例2
実施例1で製造されたシリカの一部を反応器後に回収し、ろ過し、洗浄して硫酸塩を除去した。次いで、ろ過ケーキを0.8LPMの速度で1.5リットルの横型媒体ミル(ペンシルバニア州レディングのLightnin,Inc.製のモデルHML−1.5 Premier Mill)に供給して粒径を縮小した。ミルには比重3.7の1.6mmジルコニアビーズ1080mlが装填されており、速度は2500FPM(フィート毎分)に設定された。ミルに供給したシリカ原料(実施例2A)はMPSが10.8μm、分布スパンが4.8であった。粉砕後のシリカ(実施例2Bと表示)は、MPSが5.79μm、スパンが2.3、及び固形分が34.9%であった。次に約6μmのMPSを有する粒子フラクションを収集するために、粉砕スラリーを6インチのソリッドボウル連続フロー6,000rpmのBird遠心分離機(BIRD Machine Company,Inc.,マサチューセッツ州サウスウォルポール)に供給した。シリカスラリーは遠心分離機に8.9LPMの速度で供給され、遠心分離機は40HZに設定された。オーバーフローを回収し、遠心分離機(60HZ)に3LPMの速度でフィードバックした。この分級から、アンダーフローを実施例2Cとして回収し、J−Vap脱水システム(ミシガン州ホランドのUS Filter Corporationから入手できるモデルJVAP 470/100)にシリカスラリーの脱水のために供給した。スラリー原料は脱水前は固形分45%で、脱水後は固形分90%となった。J−Vap脱水システムからの脱水シリカを実施例2Dと表す。J−Vap脱水条件を表4にまとめた。
【0089】
【表4】

【0090】
最後に、J−Vap脱水システムから材料を取り出し、ハンマー又はウィザード抜きで構成されたRaymondミルに供給し、優しく粒子を解凝集した。この解凝集粒子を実施例3Eと表す。
【0091】
実施例1の別の部分を反応器後に回収し、従来式に製造された沈降シリカを示す乾燥シリカ対照として使用するために、ろ過、洗浄、スプレー乾燥及び粉砕した(対照2)。
実施例2の全ステージのシリカ及び従来式に製造されたシリカ“対照2”の性質を上記手順に従って測定し、以下の表5にまとめた。
【0092】
【表5】

【0093】
上記表5にまとめたデータは、発明的方法が、シリカスラリーのビーズ粉砕、得られたスラリーの分級、そして得られたシリカ生成物の脱水及び穏やかな解凝集によって、何らかの高価な乾燥(スプレー又はノズル乾燥)工程の介在なしに、順次縮小されたシリカのメジアン粒径と狭い粒径分布(スパン)を有するシリカ生成物を提供するのに有効であったことを示している。驚くべきことに、発明的方法によって製造された実施例2Eは、従来式に製造されたシリカ(対照2)より低い吸油値、高いBrass Einlehner値及び高い密度を有し、発明的方法がより低構造性でより高研磨性のシリカを製造していることが分かる。また驚くべきことに、発明的シリカの実施例2C〜2Eは従来式に製造された対照2のシリカより高い白色度を有しており、発明的シリカは、対照2のシリカより低構造性(硬い)でありながら、湿式ビーズ粉砕、分級、脱水及び解凝集によって、白色度の喪失をもたらす激しい乾式粉砕をせずに従来のシリカと本質的に同じサイズにすることができることを示している。シリカ生成物は工程2Cからのスラリー形で使用することも、工程2Eからの約5%ほどの少なさの水分しか含有していない脱水及び解凝集シリカとして使用することもできる。
実施例3
このアモルファス沈降シリカのバッチは、474ガロン(1794L)のケイ酸ナトリウム(13.30%、SiO:NaOのモル比2.65)を反応器に加え、85℃に加熱することによって製造した。次に、ケイ酸ナトリウム(13.3%、SiO:NaOのモル比2.65、85℃に予熱)を92.7gpm(351L/分)の速度、及び硫酸(11.4%)を41.5gpm(157L/分)の速度での同時添加を47分間続け、その後ケイ酸ナトリウムの添加を止めた。酸流はバッチのpHが5.9±0.1に降下するまで続け、その時点で酸流を停止した。次にバッチを93℃で10分間熟成した。熟成の間中必要に応じてpHを5.9に戻すように調整した。熟成後、pHを5.9±0.1に手動調整し、バッチを反応器から取り出した。
【0094】
実施例3のシリカは7.75の5%pH、0.9%の硫酸ナトリウム含量、73ml/100gの吸油値及び27μmのメジアン粒径を有していた。
上記のようにして製造した実施例3のシリカを水で希釈して固形分40%にし、いくつかの部分に分けて、Denverミル(Denver Equipment,コロラド州コロラド・スプリングズ)での反応後粒径縮小及びBirdソリッドボウル遠心分離機(Bird Machine Company,マサチューセッツ州サウスウォルポール)での粒子分級に供した。
【0095】
実施例3のシリカは何らかの粉砕を開始する前27μmのメジアン粒径を有していた。それが実施例3A〜3Fでミルに供給された出発シリカであった。実施例3Aは、粉砕後、何らかの分級を行う前に10.9μmのメジアン粒径を有していたが、表6に示された条件下で粉砕され、次いで実施例3B及び3Cで示された条件下で遠心分離機に供給された。実施例3D〜3Fは表6に示された条件下で粉砕及び分級された。各試行で使用されたDenverミル及びBird遠心分離機分級の条件を表6にまとめた。
【0096】
【表6】

【0097】
各粉砕及び分級試行の結果のシリカのいくつかの性質を上記の方法に従って測定し、以下の表7にまとめた。
【0098】
【表7】

【0099】
粉砕はメジアン粒径を27μmから約5μmに縮小するのに有効であった。分級は粗大粒子の除去により狭い粒径分布を有する粒子のフラクションを分離するのに有効であった。遠心分離機への供給原料は約450μmの最大サイズを有していた。
歯磨剤
発明的研磨粒子組成物の、すぐに使えるオンデマンド能力を実証するために練り歯磨剤を製造した。歯磨剤は、上記発明的方法によって製造されたシリカ及びその他の成分を配合して製造した。配合量は以下の表8にグラムで示す。比較のため、実施例2で製造された対照2の乾燥シリカ及び実施例2Bのシリカを別に練り歯磨剤に配合した。これらの歯磨剤の性質を以下の表9に示す。
【0100】
歯磨剤を製造するために以下の手順に従った。グリセリン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(オランダ・ナイメーヘンのNoviant B.V.製 Cekol 2000)及びソルビトールを一緒に混合し、成分が溶解するまで撹拌し、第一の混合物を形成させた。脱イオン水、フッ化ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム及びナトリウムサッカリンも一緒に混合して、これらの成分が溶解するまで撹拌し、第二の混合物を形成させた。次にこれら二つの混合物を撹拌しながら合わせて“プレミックス”を得た。
【0101】
プレミックスをRossミキサー(Model 130 LDM)に入れ、研磨シリカ及び二酸化チタンを減圧なしに混合した。30インチの真空に引き、得られた混合物を約15分間撹拌した。最後にラウリル硫酸ナトリウムとフレーバーを加え、混合物を減速した混合速度で約5分間撹拌した。得られた歯磨剤組成物を練り歯磨き用チューブに密封し、今後の試験のために適当な条件下に保持した。
【0102】
【表8】

【0103】
本明細書中に記載の練り歯磨きの性質は、特に明記しない限り以下のようにして測定した。
練り歯磨きの粘度は、Helipath T−Fスピンドルを備え、5rpmにセットされたBrookfield粘度計Model RVTを利用して測定する。練り歯磨きの粘度は、25℃で、スピンドルが練り歯磨き試験サンプルを通って降下するときの3つの異なる高さで測定し、結果を平均する。Brookfield粘度はセンチポアズ(cP)で表される。
【0104】
本発明で遭遇する練り歯磨き混合物(25重量%)のpH値は、いずれかの従来式pH感受性電極でモニタできる。
練り歯磨きの美的性質(立ち上がり、分離)は視覚的に測定した。約1インチの練り歯磨きのリボンを1枚の通常の白色ノート紙上にチューブから絞り出した。3〜5分間待って、美的性質の観察を記録した。
【0105】
立ち上がりは練り歯磨きのリボンの形状のことで、練り歯磨きが歯ブラシの上に留まって毛の中に沈まない能力に関する。1〜10の尺度を用い、10の立ち上がりの評価は良好でリボンがその形状を保持していることを意味し、立ち上がりの1の評価は不良でリボンが平坦化してその形状を失うことを意味する。
【0106】
分離は歯磨剤の統合性のことをいう。練り歯磨きの固相及び液相は分離しうる。通常はバインダ又は増粘剤が少なすぎるためである。分離があると、絞り出した練り歯磨きのリボンの周囲に液体が見える。分離の評価は1〜10の尺度で実施し、10の評価は分離がないことを意味し、1の評価は大きな相分離を意味し、中間的評価はリボンの周囲に一定量の液体が現れることを意味する。
【0107】
本発明で使用された沈降シリカ組成物の放射性象牙質研磨(RDA)値は、HefferenのJournal of Dental Res.,July−August 1976,55(4),pp.563−573に示され、またWasonの米国特許第4,340,583号、4,420,312号及び4,421,527号に記載の方法に従って決定される。前記文献及び特許は引用によって本明細書に援用する。
【0108】
PCR試験は“In Vitro Removal of Stain With Dentifrice” G.K.Stookeyら、J.Dental Res.,61,1236−9,1982に記載されている。
【0109】
【表9】

【0110】
発明的シリカスラリー組成物を用いて製剤化された練り歯磨きは、良好な粘度及び美的性質を有していた。穏やかなRDAレベルと同時に高いPCR測定値を提供する能力は、それ故にそのような研磨粒子組成物が歯磨剤においても利益があることを示す。従って、湿式粉砕とそれに続く得られた粒子の分級は、現在歯磨剤業界内で利用されているのと実質的に類似の製品を提供するのに少なくとも製造の複雑性及び総体的製造コストの低減という点からこれまでに満たされていない利益を提供する。
【0111】
本発明の性質を説明するために本明細書中に記載し例示してきた詳細、材料、及び部品の配列における様々な変更が、以下の特許請求の範囲に示されている本発明の原理及び範囲から離れることなく当業者によって可能であることは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子組成物を提供する方法であって、前記方法は、
a)沈降シリカ粒子、シリカゲル粒子、沈降炭酸カルシウム粒子、ピロリン酸カルシウム粒子、リン酸二カルシウム、及びそれらの任意の混合物からなる群から選ばれる複数の粒子を用意し;
b)前記複数の粒子を湿潤環境中で粉砕工程にかけ;
c)前記工程“b”の湿式粉砕粒子を粒度選別工程にかけ、約5〜約30ミクロンの範囲のメジアン粒径を示す粒子を回収し;
d)前記工程“c”の回収粒子を次の粒度選別工程にかけ、約5〜約15ミクロンの範囲のメジアン粒径を示す粒子を回収し;所望により
e)前記工程“d”の回収分級粒子を脱水工程にかけ、前記脱水粒子は最大60wt%の水分含有量を示し;そして、所望により
f)前記脱水研磨粒子を解凝集工程にかける
順次工程を含む方法。
【請求項2】
前記工程“d”の回収分級粒子が2以下の粒径スパンを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程“d”の回収分級粒子が、約6〜約10ミクロンのメジアン粒径と約1.25〜約2.0の粒径スパンを示す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程“d”の回収分級粒子が、約7〜約9ミクロンのメジアン粒径と約1.25〜約1.95の粒径スパンを示す、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程“e”が存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程“e”が存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
工程“e”が存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
工程“e”が存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
工程“f”が存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
工程“f”が存在する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
工程“f”が存在する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
工程“f”が存在する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法によって製造される研磨粒子組成物。
【請求項14】
請求項2に記載の方法によって製造される研磨粒子組成物。
【請求項15】
請求項3に記載の方法によって製造される研磨粒子組成物。
【請求項16】
請求項4に記載の方法によって製造される研磨粒子組成物。
【請求項17】
請求項5に記載の方法によって製造される研磨粒子組成物。
【請求項18】
請求項9に記載の方法によって製造される研磨粒子組成物。
【請求項19】
前記粒子がアモルファス沈降シリカ粒子であり、工程“a”が十分量のアルカリケイ酸塩と酸性化剤を混合して沈降シリカ粒子を形成させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記粒子がアモルファス沈降シリカ粒子であり、工程“a”が十分量のアルカリケイ酸塩と酸性化剤を混合して沈降シリカ粒子を形成させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記粒子がアモルファス沈降シリカ粒子であり、工程“a”が十分量のアルカリケイ酸塩と酸性化剤を混合して沈降シリカ粒子を形成させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項22】
前記粒子がアモルファス沈降シリカ粒子であり、工程“a”が十分量のアルカリケイ酸塩と酸性化剤を混合して沈降シリカ粒子を形成させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項23】
前記粒子がアモルファス沈降シリカ粒子であり、工程“a”が十分量のアルカリケイ酸塩と酸性化剤を混合して沈降シリカ粒子を形成させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項24】
前記粒子がアモルファス沈降シリカ粒子であり、工程“a”が十分量のアルカリケイ酸塩と酸性化剤を混合して沈降シリカ粒子を形成させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項25】
請求項19に記載の方法によって製造される沈降シリカ粒子。
【請求項26】
請求項20に記載の方法によって製造される沈降シリカ粒子。
【請求項27】
請求項21に記載の方法によって製造される沈降シリカ粒子。
【請求項28】
請求項22に記載の方法によって製造される沈降シリカ粒子。
【請求項29】
請求項23に記載の方法によって製造される沈降シリカ粒子。
【請求項30】
請求項24に記載の方法によって製造される沈降シリカ粒子。

【公表番号】特表2009−500469(P2009−500469A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519349(P2008−519349)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/023375
【国際公開番号】WO2007/005231
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(596129189)ジェイ・エム・ヒューバー・コーポレーション (22)
【出願人】(507411372)
【Fターム(参考)】