説明

粒子解析方法及び装置

【課題】本発明は粒子解析及び装置に関し、分類ミスが起こらず、スループットを上げることができる粒子解析方法及び装置を提供することを目的としている。
【解決手段】調整されたビーム電流のもとで、元素分析に必要な第1の計数時間を決定し、このビーム条件で輝度調整視野の画像信号を取得して制御装置にて基準となる第1のヒストグラムを作成すると共に基準X線強度を得、該第1のヒストグラムより粒子検出に適した第1の閾値を決定し、試料ステージにて目的視野を順次移動して信号を取り込み、制御装置により前記第1の閾値で2値化を行ない、粒子解析を実行し、検出粒子に順次ビームを前記第1の計数時間照射し、X線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なうように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子解析方法及び装置に関し、SEM(走査型電子顕微鏡)、EPMA(X線マイクロアナライザ)、TEM(透過電子顕微鏡)、AUGER(オージェ)、EDS(エネルギー分散型X線分光装置)等の装置に適用される粒子解析方法及び装置に関する。更に詳しくは、電子顕微鏡の画像を2値化又は多値化することにより得られた粒子に、順次電子ビームを照射し、EDS(エネルギー分散型X線分光装置)等の元素分析による粒子の自動分類を長時間実施する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走査電子顕微鏡の画像による試料の粒子抽出においては、高真空に保たれた試料室に挿入された試料を電子ビームで試料上の微小領域を走査することによって発生する反射電子画像の輝度レベルを用いて固定の閾値を設定し、その2値化処理により目的とする粒子を抽出することが行われている。
【0003】
この種の装置としては、2値化処理のための閾値を、反射電子画像の輝度レベルの変動に合わせて連動させて設定することで、輝度レベルと閾値の関係を一定に保つ技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−233058号公報(段落0006〜0014、図1、図2)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の技術では、電子ビームの変動により十分な計数量が得られず、分類ミスが起こるという問題があった。また、スループット(単位時間当たりに分類できる粒子数)を上げられないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、分類ミスが起こらず、スループットを上げることができる粒子解析方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1記載の発明は、試料に電子線を照射し、その電子線照射により試料から放出された電子を検出して視覚画像を得る走査型電子顕微鏡において、調整されたビーム電流のもとで、元素分析に必要な第1の計数時間を決定し、このビーム条件で輝度調整視野の画像信号を取得して制御装置にて基準となる第1のヒストグラムを作成すると共に基準X線強度を得、該第1のヒストグラムより粒子検出に適した第1の閾値を決定し、試料ステージにて目的視野を順次移動して信号を取り込み、制御装置により前記第1の閾値で2値化を行ない、粒子解析を実行し、検出粒子に順次ビームを前記第1の計数時間照射し、X線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なう、ことを特徴とする。
【0007】
(2)請求項2記載の発明は、定期的に試料ステージにて輝度調整視野に移動し、得られた信号から第2のヒストグラムを作成し、制御装置にて基準となる前記第1のヒストグラムと、第2のヒストグラムとを比較して輝度変動量を計算し、計算した輝度変動量から第2の閾値を算出し、制御装置により、前記基準X線強度と得られた第2のX線強度とを比較してビーム変動量に応じた第2の計数時間を算出し、算出された第2の計数時間ビームを照射してX線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なう、ことを特徴とする。
【0008】
(3)請求項3記載の発明は、前記輝度調整視野でのヒストグラム作成及びX線強度測定の代わりに直接ビーム電流を測定してビーム変動量を得るようにしたことを特徴とする。
【0009】
(4)請求項4記載の発明は、試料に電子線を照射し、その電子線照射により試料から放出された電子を検出して視覚画像を得る走査型電子顕微鏡において、調整されたビーム電流のもとで、元素分析に必要な第1の計数時間を決定し、このビーム条件で輝度調整視野の画像信号を取得して制御装置にて基準となる第1のヒストグラムを作成し、該第1のヒストグラムより粒子検出に適した第1の閾値を決定し、試料ステージにて目的視野を順次移動して信号を取り込み、制御装置により前記第1の閾値で2値化を行ない、粒子解析を実行し、粒子検出に順次ビームを前記第1の計数時間照射し、X線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なう、ことを特徴とする粒子解析方法であって、定期的に試料ステージにて輝度調整視野に移動し、得られた信号から第2のヒストグラムを作成し、制御装置にて基準となる前記第1のヒストグラムと、第2のヒストグラムとを比較して輝度変動量を計算し、計算した輝度変動量から第2の閾値を算出し、制御装置により、第1のヒストグラムと第2のヒストグラムとを比較してビーム変動量に応じた第2の計数時間を算出し、算出された第2の計数時間ビームを照射してX線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なう、ことを特徴とする。
【0010】
(5)請求項5記載の発明は、定期的にビーム変動をモニタして変動許容値以内かどうかチェックし、変動許容値を外れていたらアラームを出力することを特徴とする。
(6)請求項6記載の発明は、前記アラームとして、表示装置への表示、ブザーの鳴動、電話による通知の何れかを用いることを特徴とする。
【0011】
(7)請求項7記載の発明は、試料に電子線を照射し、その電子線照射により試料から放出された電子を検出して視覚画像を得る走査型電子顕微鏡において、調整されたビーム電流のもとで、元素分析に必要な第1の計数時間を決定する手段と、このビーム条件で輝度調整視野の画像信号を取得して制御装置にて基準となる第1のヒストグラムを作成すると共に基準X線強度を得る手段と、該第1のヒストグラムより粒子検出に適した第1の閾値を決定する手段と、試料ステージにて目的視野を順次移動して信号を取り込む手段と、
制御装置により前記第1の閾値で2値化を行ない、粒子解析を実行する手段と、検出粒子に順次ビームを前記第1の計数時間照射し、X線検出器にて特性X線を取得し、制御装置にて粒子分類を行なう手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
(8)請求項8記載の発明は、試料に電子線を照射し、その電子線照射により試料から放出された電子を検出して視覚画像を得る走査型電子顕微鏡において、調整されたビーム電流のもとで、元素分析に必要な第1の計数時間を決定し、このビーム条件で輝度調整視野の画像信号を取得して制御装置にて基準となる第1のヒストグラムを作成し、該第1のヒストグラムより粒子検出に適した第1の閾値を決定し、試料ステージにて目的視野を順次移動して信号を取り込み、制御装置により前記第1の閾値で2値化を行ない、粒子解析を実行し、粒子検出に順次ビームを前記第1の計数時間照射し、X線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なう、ことを特徴とする粒子解析装置であって、定期的に試料ステージにて輝度調整視野に移動し、得られた信号から第2のヒストグラムを作成する手段と、制御装置にて基準となる前記第1のヒストグラムと、第2のヒストグラムとを比較して輝度変動量を計算する手段と、計算した輝度変動量から第2の閾値を算出する手段と、制御装置により、第1のヒストグラムと第2のヒストグラムとを比較してビーム変動量に応じた第2の計数時間を算出する手段と、算出された第2の計数時間ビームを照射してX線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なう手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(1)請求項1記載の発明によれば、第1のヒストグラムで粒子検出に適した第1の閾値を決定し、該第1の閾値で取り込んだ画像の2値化を行ない、粒子解析を実行し、特性X線を取得して粒子分類を行なうことができる。
【0014】
(2)請求項2記載の発明によれば、定期的に試料ステージにて輝度調整視野に移動し、得られた信号から第2のヒストグラムを得、前記第1のヒストグラムと該第2のヒストグラムとを比較して輝度変動量を計算し、該輝度変動量に応じた第2の計数時間を算出して算出された第2の計数時間ビームを照射して得られた特性X線から粒子分類を行なうことができる。
【0015】
(3)請求項3記載の発明によれば、ヒストグラムを得ることなく、粒子解析、粒子分類を行なうことができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、得られた第1のヒストグラムと該第2のヒストグラムとを比較して輝度変動量を計算し、該輝度変動量に応じた第2の計数時間を算出して算出された第2の計数時間ビームを照射して得られた特性X線から粒子分類を行なうことができる。
【0016】
(5)請求項5記載の発明によれば、ビーム変動量が許容値を越えた場合にアラームを出力することができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、アラームを表示装置への表示、ブザーの鳴動、電話による通知の何れかで知らせることができる。
【0017】
(7)請求項7記載の発明によれば、第1のヒストグラムで粒子検出に適した第1の閾値を決定し、該第1の閾値で取り込んだ画像の2値化を行ない、粒子解析を実行し、特性X線を取得して粒子分類を行なうことができる。
【0018】
(8)請求項8記載の発明によれば、得られた第1のヒストグラムと該第2のヒストグラムとを比較して輝度変動量を計算し、該輝度変動量に応じた第2の計数時間を算出して算出された第2の計数時間ビームを照射して得られた特性X線から粒子分類を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態例を示す構成図で、走査電子顕微鏡の構成例を示している。走査電子顕微鏡は、鏡筒部10と、試料室20と、操作観察部30とから構成されている。鏡筒部10において、1は電子銃、1aは電子銃1を構成するフィラメント、2は電子ビームを2次元方向にスキャンする偏向器、3は電子ビームを集束する集束レンズ、4はビーム電流を検出するファラデーカップ、11は該ファラデーカップ4で検出した電流を測定する電流計、5は試料上に電子ビームの焦点を合わせる対物レンズである。eは1次電子ビームである。
【0020】
試料室20において、12は試料ステージ13上に載置された試料である。電子ビームeが試料12に照射されると、該試料12の表面からX線と2次電子、反射電子が放出される。AがX線、Bが2次電子、反射電子である。15は試料12から放出されたX線を検出するX線検出器、14は2次電子又は反射電子を検出する電子検出器である。
【0021】
操作観察部30において、21はフィラメント1aを加熱するフィラメント電源、22は偏向コイル2を駆動する偏向コイル電源、23は集束レンズ3を駆動する集束レンズ電源、24は対物レンズ5を駆動する対物レンズ電源である。
【0022】
40は制御装置であり、フィラメント電源21,偏向コイル電源22,集束レンズ電源23及び対物レンズ電源24を制御する。該制御装置40としては、例えばコンピュータが用いられる。25はステージコントローラで、制御装置40の制御出力を受けて、試料ステージ13の移動を制御する。以下、この構成図を用いて、複数の実施の形態例について説明する。
(実施の形態例1)
1.粒子解析画像の取得に適しており、かつ元素分析効率の高いビーム電流(ビーム強度)が得られるように、集束レンズ3を調整し、そのビーム電流の下で元素分析(元素分類)に必要な計数時間Toを決定する。
【0023】
2.1.項のビーム条件で、輝度調整視野の画像信号を電子検出器14にて取得し、基準となるヒストグラムHoを制御装置40で作成する。図2はヒストグラムHoを示す図である。図2において、Qは輝度調整視野から電子検出器14で得られた画像である。白い部分Q3と、グレーの部分Q2と黒い部分Q1から構成されている。この画像から明るさ(輝度)を横軸にとって明るさのヒストグラムをとると、図2に示すようなヒストグラムが得られる。P1は黒い部分Q1の画像に対応するヒストグラム、P2はグレーの部分Q2の画像に対応するヒストグラム、Poは白い部分Q3の画像に対応するヒストグラムである。同時に、X線信号をX線検出器15で検出し、基準X線強度Xoを得る。
【0024】
3.制御装置40にて、ヒストグラムHoより粒子検出に適した閾値Soを決定する。図2の明るさの境目Soが閾値となる。
4.試料ステージ13をステージコントローラ25で制御し、目的視野を順次移動し、電子検出器14で試料12から放出された信号を読み込み、制御装置40で閾値So(以下、6.〜8.よるキャリブレーション後は閾値Si)で2値化(多値化)を行ない、粒子解析(粒子検出)を実行する。
【0025】
5.検出粒子に順次ビームをTo時間(以下、6.〜8.によるキャリブレーション後はTi時間)照射し、X線検出器15で特性X線を取得し、制御装置40で元素分析による粒子分類を行なう。
【0026】
この実施の形態例によれば、第1のヒストグラムで粒子検出に適した第1の閾値を決定し、該第1の閾値で取り込んだ画像の2値化を行ない、粒子解析を実行し、特性X線を取得して粒子分類を行なうことができる。
【0027】
6.定期的に試料ステージ13にて輝度調整視野に移動し、2.項の場合と同様に信号を取得し、ヒストグラムHiを作成する。図3はヒストグラムHiを示す図である。図2と同一のものは、同一の符号を付して示す。電子ビームの変動により、ヒストグラムが図2の場合に比較して狭くなっていることが分かる。ここで、境目をSiとする。
【0028】
7.制御装置40にて、基準のヒストグラムHoとヒストグラムHiとを比較し、輝度変動量を計算する。輝度変動量は、ヒストグラムのピーク位置のシフト量、ヒストグラムの重心位置のシフト量等から計算され、例えば、基準ヒストグラムのピーク位置PoがPiにシフトしていたら、So・Pi/Po等の式で輝度変動量に応じた閾値Siを算出する。
【0029】
8.制御装置40にて、基準X線強度XoとX線強度Xiを比較し、ビーム変動量に応じた計数時間Ti=To・Xo/Xiを算出する。ここで、同一視野から発生されるX線強度はビーム強度に比例する。一般的に、7.項で計算された輝度変動量もビーム変動量に比例しており、Ti=To・Po/Piとしてもよい。以後、同様に補正された閾値、計数時間にて4.項に戻り処理を繰り返す。
【0030】
このように、この実施の形態例によれば、定期的に試料ステージにて輝度調整視野に移動し、得られた信号から第2のヒストグラムを得、前記第1のヒストグラムと該第2のヒストグラムとを比較して輝度変動量を計算し、該輝度変動量に応じた第2の計数時間を算出して算出された第2の計数時間ビームを照射して得られた特性X線から粒子分類を行なうことができる。
(実施の形態例2)
1.実施の形態例2は、粒子解析画像の取得に適しており、かつ元素分析効率の高いビーム電流(ビーム強度)が得られるように、集束レンズ3を調整し、そのビーム電流のもとで元素分析に必要な計数時間Toと、粒子検出に適した輝度閾値Soを決定する。
【0031】
2.1.項のビーム条件で、測定開始時の照射電流を照射電流計11で取得し、基準電流Ioとして記憶する。
3.試料ステージ13にて目的視野を順次移動し、制御装置40で閾値So(以下、5.〜6.によるキャリブレーション後は閾値Si)で粒子解析を実行する。
【0032】
4.検出粒子に順次ビームをTo時間(以下、5.6.によるキャリブレーション後はTi時間)照射し、X線検出器15にて特性X線を取得し、制御装置40にて元素分析による粒子分類を行なう。
【0033】
5.定期的に照射電流計11にて照射電流Iiを取り込み、基準電流Ioと比較する。
6.Si=So・Ii/Io,Ti=To・Io/Iiにて、閾値So及び測定時間Toを補正してSi,Tiとする。
【0034】
7.以後、同様に3.項に戻り、処理を繰り返す。
以上、説明したように、この実施の形態例は、ヒストグラム測定の代わりに直接ビーム電流を測定し、ビーム変動を得るものである。この実施の形態例によれば、ヒストグラムを得ることなく、粒子解析、粒子分類を行なうことができる。
(実施の形態例3)
1.実施の形態例3は、粒子解析画像の取得に適しており、かつ元素分析効率の高いビーム電流(ビーム強度)が得られるように集束レンズ3を調整し、そのビーム電流のもとで、元素分析(粒子分類)に必要な計数時間Toを決定する。
【0035】
2.ビーム変動許容値d(I/Io)を決定し、Ti=To/dを計数時間とする。
3.1.項のビーム条件で輝度調整視野の画像信号を電子検出器14で取得し、基準となるヒストグラムHoを制御装置40にて作成する。
【0036】
4.制御装置40により、ヒストグラムHoより粒子検出に適した閾値Soを決定する。
5.試料ステージ13にて目的視野を順次移動させ、電子検出器14で信号を取り込み、制御装置40で閾値So(以下、6.〜8.によるキャリブレーション後は閾値Si)で2値化(多値化)を行ない、粒子解析(粒子検出)を実行する。
【0037】
6.粒子検出に順次ビームをTi時間照射し、X線検出器15にて特性X線を取得し、制御装置40にて元素分析による粒子分類を行なう。
7.定期的に試料ステージ13にて輝度調整視野に移動し、3.項と同様に信号を取得し、ヒストグラムHiを作成する。
【0038】
8.基準のヒストグラムHoとヒストグラムHiとを比較し、近似値(同じである必要はない)となるように偏向コイル2にて電子ビームを偏向させ(ガンアライメントを調整)、ヒストグラムHiiを得る。
【0039】
9.制御装置40にて、基準のヒストグラムHoとヒストグラムHiiとを比較し、輝度変動量を計算する。輝度変動量は、ヒストグラムのピーク位置のシフト量やヒストグラムの重心位置のシフト量等から計算され、例えば、基準ヒストグラムのピーク位置PoがPiにシフトしていたらSo・Pi/Po等の式で輝度変動量に応じた閾値Siを算出する。
【0040】
10.この時、Pi/Poがビーム変動許容値dより小さければ、ビーム変動量が許容値を越えた旨オペレータにアラームを知らせ、測定を中断する。ここで、アラームの手段としては、例えば表示装置への表示、ブザーの鳴動、電話による通知の何れかを用いることとができる。
【0041】
11.Pi/Poがビーム変動許容値d以上であれば、以後同様に補正された閾値にて5.項に戻り処理を繰り返す。
この実施の形態例は、定期的にビーム変動をモニタし、変動許容値内かどうか確認することで、分類精度確保という目的を達成している。
【0042】
以上、実施の形態例3種類について説明したが、これらを組み合わせて用いることも可能である。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、定期的に輝度変動量とビーム変動量のどちらか、又は両方を測定し、輝度閾値及び元素分析測定時間を補正することにより、長時間、最適な条件の下で効率よく粒子検出と分類を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態例を示す構成図である。
【図2】ヒストグラムHoを示す図である。
【図3】ヒストグラムHiを示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 電子銃
1a フィラメント
2 偏向コイル
3 集束レンズ
4 ファラデーカップ
5 対物レンズ
10 鏡筒部
11 電流計
12 試料
13 試料ステージ
14 電子検出器
15 X線検出器
21 フィラメント電源
22 偏向コイル電源
23 集束レンズ電源
24 対物レンズ電源
25 ステージコントローラ
30 操作観察部
40 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に電子線を照射し、その電子線照射により試料から放出された電子を検出して視覚画像を得る走査型電子顕微鏡において、
調整されたビーム電流のもとで、元素分析に必要な第1の計数時間を決定し、
このビーム条件で輝度調整視野の画像信号を取得して制御装置にて基準となる第1のヒストグラムを作成すると共に基準X線強度を得、
該第1のヒストグラムより粒子検出に適した第1の閾値を決定し、
試料ステージにて目的視野を順次移動して信号を取り込み、
制御装置により前記第1の閾値で2値化を行ない、粒子解析を実行し、
検出粒子に順次ビームを前記第1の計数時間照射し、X線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なう、
ことを特徴とする粒子解析方法。
【請求項2】
定期的に試料ステージにて輝度調整視野に移動し、得られた信号から第2のヒストグラムを作成し、
制御装置にて基準となる前記第1のヒストグラムと、第2のヒストグラムとを比較して輝度変動量を計算し、
計算した輝度変動量から第2の閾値を算出し、
制御装置により、前記基準X線強度と得られた第2のX線強度とを比較してビーム変動量に応じた第2の計数時間を算出し、
算出された第2の計数時間ビームを照射してX線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なう、
ことを特徴とする請求項1記載の粒子解析方法。
【請求項3】
前記輝度調整視野でのヒストグラム作成及びX線強度測定の代わりに直接ビーム電流を測定してビーム変動量を得るようにしたことを特徴とする請求項1記載の粒子解析方法。
【請求項4】
試料に電子線を照射し、その電子線照射により試料から放出された電子を検出して視覚画像を得る走査型電子顕微鏡において、
調整されたビーム電流のもとで、元素分析に必要な第1の計数時間を決定し、
このビーム条件で輝度調整視野の画像信号を取得して制御装置にて基準となる第1のヒストグラムを作成し、
該第1のヒストグラムより粒子検出に適した第1の閾値を決定し、
試料ステージにて目的視野を順次移動して信号を取り込み、
制御装置により前記第1の閾値で2値化を行ない、粒子解析を実行し、
粒子検出に順次ビームを前記第1の計数時間照射し、X線検出器にて特性X線を取得し、
制御装置による粒子分類を行なう、
ことを特徴とする粒子解析方法であって、
定期的に試料ステージにて輝度調整視野に移動し、得られた信号から第2のヒストグラムを作成し、
制御装置にて基準となる前記第1のヒストグラムと、第2のヒストグラムとを比較して輝度変動量を計算し、
計算した輝度変動量から第2の閾値を算出し、
制御装置により、第1のヒストグラムと第2のヒストグラムとを比較してビーム変動量に応じた第2の計数時間を算出し、
算出された第2の計数時間ビームを照射してX線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なう、
ことを特徴とする粒子解析方法。
【請求項5】
定期的にビーム変動をモニタして変動許容値以内かどうかチェックし、変動許容値を外れていたらアラームを出力することを特徴とする請求項2又は4記載の粒子解析方法。
【請求項6】
前記アラームとして、表示装置への表示、ブザーの鳴動、電話による通知の何れかを用いることを特徴とする請求項5記載の粒子解析方法。
【請求項7】
試料に電子線を照射し、その電子線照射により試料から放出された電子を検出して視覚画像を得る走査型電子顕微鏡において、
調整されたビーム電流のもとで、元素分析に必要な第1の計数時間を決定する手段と、
このビーム条件で輝度調整視野の画像信号を取得して制御装置にて基準となる第1のヒストグラムを作成すると共に基準X線強度を得る手段と、
該第1のヒストグラムより粒子検出に適した第1の閾値を決定する手段と、
試料ステージにて目的視野を順次移動して信号を取り込む手段と、
制御装置により前記第1の閾値で2値化を行ない、粒子解析を実行する手段と、
検出粒子に順次ビームを前記第1の計数時間照射し、X線検出器にて特性X線を取得し、制御装置にて粒子分類を行なう手段と、
を有することを特徴とする粒子解析装置。
【請求項8】
試料に電子線を照射し、その電子線照射により試料から放出された電子を検出して視覚画像を得る走査型電子顕微鏡において、
調整されたビーム電流のもとで、元素分析に必要な第1の計数時間を決定し、
このビーム条件で輝度調整視野の画像信号を取得して制御装置にて基準となる第1のヒストグラムを作成し、
該第1のヒストグラムより粒子検出に適した第1の閾値を決定し、
試料ステージにて目的視野を順次移動して信号を取り込み、
制御装置により前記第1の閾値で2値化を行ない、粒子解析を実行し、
粒子検出に順次ビームを前記第1の計数時間照射し、X線検出器にて特性X線を取得し、
制御装置による粒子分類を行なう、
ことを特徴とする粒子解析装置であって、
定期的に試料ステージにて輝度調整視野に移動し、得られた信号から第2のヒストグラムを作成する手段と、
制御装置にて基準となる前記第1のヒストグラムと、第2のヒストグラムとを比較して輝度変動量を計算する手段と、
計算した輝度変動量から第2の閾値を算出する手段と、
制御装置により、第1のヒストグラムと第2のヒストグラムとを比較してビーム変動量に応じた第2の計数時間を算出する手段と、
算出された第2の計数時間ビームを照射してX線検出器にて特性X線を取得し、制御装置による粒子分類を行なう手段と、
を備えることを特徴とする粒子解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−155515(P2007−155515A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351606(P2005−351606)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】