説明

粒子間架橋高分子微小粒子

粒子間架橋高分子微小粒子含有接着剤について記載されている。前記高分子微小粒子は、アクリルポリマーを含む。本開示はまた、高分子微小粒子及び好適な粒子間架橋剤を含有する水系エマルションだけでなく、このような水系エマルションから接着剤を製造する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水分散性、感圧性接着剤を包含する、粒子間架橋(inter-crosslinked)高分子微小粒子含有接着剤に関する。高分子微小粒子としては、粒子内架橋(intra-crosslinked)し得るアクリルポリマーが挙げられる。本開示はまた、高分子微小粒子及び好適な粒子間架橋剤(inter-crosslinking agent)を含有する水系エマルション、更にこのようなエマルションから接着剤を製造する方法並びにこのような接着剤を介在させる接着剤物品に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
要約すると、一態様では、本開示は、高分子微小粒子、多アミン粒子間架橋剤、及び水中に分散させた中和剤を含む水性エマルションを提供する。高分子微小粒子は、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカルボン酸、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート官能性オリゴマー、及び多官能性架橋モノマーの混合物の反応生成物を含む。幾つかの実施形態では、反応生成物は、共重合イオン性モノマー、例えば、スチレンスルホネートを含むイオン性モノマーを更に含む。幾つかの実施形態では、水性エマルションは、追加の粒子間架橋剤、例えば、ポリアミド−エピクロロヒドリンコポリマーを更に含む。
【0003】
幾つかの実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、4〜8個の炭素原子、例えば、アクリル酸イソオクチル又は2−エチル−ヘキシルアクリレートを含む。幾つかの実施形態では、ビニルカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びβ−カルボキシエチルアクリレートからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、反応生成物は、(vi)1種以上の追加の共重合アルキル(メタ)アクリレート、及び(vii)1種以上の追加の共重合ビニルカルボン酸類の中の少なくとも1つを更に含む。幾つかの実施形態では、反応生成物は、1種以上の追加の共重合モノマー、例えば、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及び(メタ)アクリル酸とアルコールとのモノエステルを更に含む。
【0004】
幾つかの実施形態では、(メタ)アクリレート官能性オリゴマーは、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシポリアルキレングリコール又はアルコキシポリアルキレングリコールを含む。
【0005】
幾つかの実施形態では、多官能性架橋モノマーは、アルキルポリオールポリアクリレートである。幾つかの実施形態では、多官能性架橋モノマーは、多アミン、例えば、ジアミン又はトリアミンである。幾つかの実施形態では、多アミン粒子間架橋剤は、ポリオキシアルキレンアミンを含む。
【0006】
幾つかの実施形態では、水性エマルションは、重合界面活性剤、例えば、エトキシレートを更に含む。幾つかの実施形態では、中和剤は、水酸化カリウムを含む。
【0007】
幾つかの実施形態では、混合物は、独立して、60%〜80%のアルキル(メタ)アクリレート、8%〜12%のビニルカルボン酸、15%〜22%のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート官能性オリゴマー、0.01%〜0.05%の多官能性架橋モノマーを含む。幾つかの実施形態では、エマルションは、100部の高分子微小粒子当たり、5〜20重量部の多アミン粒子間架橋剤を含む。
【0008】
別の態様では、本開示は、多アミン粒子間架橋剤によって粒子間架橋された高分子微小粒子を含む接着剤を提供する。高分子微小粒子は、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカルボン酸、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート官能性オリゴマー、多官能性架橋モノマー、及び所望により共重合イオン性モノマーの混合物の反応生成物を含む。幾つかの実施形態では、混合物は、60%〜80%のアルキル(メタ)アクリレート、8%〜12%のビニルカルボン酸、15%〜22%のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート官能性オリゴマー、0.01%〜0.05%の多官能性架橋モノマーを含む。
【0009】
幾つかの実施形態では、接着剤は、100部の高分子微小粒子当たり、5〜20重量部の多アミン粒子間架橋剤を含む。幾つかの実施形態では、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、4〜8個の炭素原子を含有し、ビニルカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びβ−カルボキシエチルアクリレートからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、反応生成物は、1種以上の追加の共重合アルキル(メタ)アクリレート;1種以上の追加の共重合ビニルカルボン酸;アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリル酸とアルコールとのモノエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上の追加の共重合モノマーを更に含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、(メタ)アクリレート官能性オリゴマーは、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを含む。幾つかの実施形態では、多官能性架橋モノマーは、アルキルポリオールポリアクリレートである。幾つかの実施形態では、多アミン粒子間架橋剤は、ジアミン又はトリアミンを含む。幾つかの実施形態では、多アミン粒子間架橋剤は、ポリオキシアルキレンアミンを含む。
【0011】
幾つかの実施形態では、接着剤は水分散性である。
【0012】
別の態様では、本開示は、本開示の各種実施形態のいずれかにしたがって、基材上に水性エマルションをコーティングする工程;エマルションを乾燥させる工程;及び多アミン粒子間架橋剤にて高分子微小粒子を粒子間架橋させる工程を含む接着剤物品の形成方法を提供する。
【0013】
更に別の態様では、本開示は、基材及び本開示の各種実施形態のいずれか一つにしたがって基材に接着された接着剤を含む接着剤物品を提供する。幾つかの実施形態では、基材は、水分散性繊維を含む。
【0014】
本開示の上記概要は、本発明の各実施形態を記載することを目的としない。また、本発明の1つ以上の実施形態の詳細を以下の説明に示す。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明で使用する場合、「高分子微小粒子」とは、1つ以上のポリマー鎖を含む微小粒子を意味する。幾つかの実施形態では、特定の微小粒子中のポリマー鎖は、「粒子内架橋」、即ち、単一微小粒子内のポリマー鎖間で架橋していてよい。
【0016】
本発明で使用する場合、「粒子間架橋高分子微小粒子」とは、1種以上のその他の高分子微小粒子と架橋した高分子微小粒子を意味する。所与の高分子微小粒子は、粒子内架橋(intra-crosslinked)し、かつ、粒子間架橋していてもよい。
【0017】
本発明で使用する場合、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。例えば、ブチル(メタ)アクリレートとは、ブチルアクリレート及び/又はブチルメタクリレートを意味する。
【0018】
本発明で使用する場合、用語「水分散性」は、以下に記載する「水分散性試験」において、それぞれの組成物が2以下の等級を有することを意味する。
【0019】
本発明で使用する場合、特に指示しない限り、全ての百分率及び部は、重量による。
【0020】
一般に、本開示の水性エマルションは、高分子微小粒子を含む。高分子微小粒子は、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカルボン酸、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート官能性オリゴマー、及び多官能性架橋モノマーの反応生成物を含む粒子内架橋アクリルポリマーを含む。得られた微小粒子は、例えば、多アミン粒子間架橋剤によって粒子間架橋している。
【0021】
一般に、任意の既知のアルキル(メタ)アクリレート又はアルキル(メタ)アクリレート類の組み合わせを使用してもよい。幾つかの実施形態では、少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、1〜8個の炭素原子を含有する。一般に、アクリルポリマーの水分散性は、高分子量のアルキル(メタ)アクリレート(即ち、9個以上の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート)が多量に存在することによって阻害される場合がある。幾つかの実施形態において、9個以上の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルキルアクリレートを、80重量%を超えて含むアクリルポリマーは、十分に水分散性でない場合がある。幾つかの実施形態において、9個以上の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルキルアクリレートを、70重量%を超えて含むアクリルポリマーは、十分に水分散性でない場合がある。
【0022】
幾つかの実施形態では、少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、8個の炭素原子を有し、例えば、イソオクチル(メタ)アクリレート及び/又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。幾つかの実施形態では、少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は4〜7個の炭素原子を含有し、ならびに幾つかの実施形態では、4又は5個の炭素原子を含有し、例えば、ブチルアクリレートである。幾つかの実施形態では、少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は1〜2個の炭素原子を含有し、例えば、メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレートである。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、8個の炭素原子からなるアルキル基を有する少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレート及び1〜7個の炭素原子からなるアルキル基を有する少なくとも1種の追加のアルキル(メタ)アクリレートを含む。
【0023】
幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、少なくとも50重量%の少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートを含み、ならびに幾つかの実施形態では、少なくとも60%の少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートを含む。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、90%以下のアルキル(メタ)アクリレートを含み、幾つかの実施形態では、85%以下、あるいは80%以下でさえのアルキル(メタ)アクリレートを含む。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、65%〜75%のアルキル(メタ)アクリレートを含む。
【0024】
本開示の幾つかの実施形態で有用であり得る代表的なビニルカルボン酸には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びβ−カルボキシエチルアクリレートが挙げられる。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、15重量%以下のビニルカルボン酸を含み、幾つかの実施形態では、12%以下のビニルカルボン酸を含む。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、少なくとも5%のビニルカルボン酸を含み、幾つかの実施形態では、少なくとも8%のビニルカルボン酸を含む。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、9〜12%のビニルカルボン酸を含む。
【0025】
本開示の幾つかの実施形態で有用であり得る代表的ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートには、ヒドロキシ及びアルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ)ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。幾つかの実施形態では、ポリアルキレンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合したエチレン及びプロピレン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。本開示の幾つかの実施形態にて有用であり得る特定のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0026】
幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、25重量%未満、例えば、22%未満のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを含む。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、少なくとも5%のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを含み、幾つかの実施形態では、少なくとも10%、あるいは少なくとも15%でさえのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを含む。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、18〜22%のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを含む。
【0027】
アクリルポリマーは、その他のモノマーと共反応した多官能性架橋モノマーを更に含む。一般に、多官能性架橋モノマーは、少なくとも2種の官能基(その各々は、独立して選択されてよい)を含む。幾つかの実施形態では、多官能性架橋モノマーは、二官能性であってよい。幾つかの実施形態では、両官能基は、同一官能基であり得る。幾つかの実施形態では、2種の異なった官能基が存在してよい。
【0028】
代表的多官能性架橋モノマーとしては、アルキルジオールジアクリレート及びアルキルトリオールトリアクリレートなどのアルキルポリオールポリアクリレートを含むポリアクリレートが挙げられる。本開示の幾つかの実施形態に好適な代表的アルキルジオールジアクリレートとしては、1,4−ブタンジオールジアクリレート(BDDA)及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)が挙げられる。本開示の幾つかの実施形態に好適な代表的アルキルトリオールトリアクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTM)が挙げられる。その他の代表的多官能性架橋モノマーとしては、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物が挙げられる。
【0029】
幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、0.05重量%以下の多官能性架橋モノマーを含み、幾つかの実施形態では、0.04%以下、あるいは0.03%以下でさえの多官能性架橋モノマーを含む。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、少なくとも0.01%、あるいは少なくとも0.02%でさえの多官能性架橋ポリマーを含む。
【0030】
幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、共重合イオン性モノマーを更に含む。幾つかの実施形態では、イオン性モノマーは、無機カチオン及び有機アニオンを含む。代表的無機カチオンとしては、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、及びアンモニウム(NH)が挙げられる。代表的有機アニオンとしては、スチレンスルホネートが挙げられる。
【0031】
幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、少なくとも1重量%の共重合イオン性モノマーを含み、ならびに幾つかの実施形態では、少なくとも1.3%の共重合イオン性モノマーを含む。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、3%以下の共重合イオン性モノマーを含み、ならびに幾つかの実施形態では、2%以下の共重合イオン性モノマーを含む。
【0032】
幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、1種以上の追加の共重合モノマーを含んでよい。代表的な追加のモノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸のいずれかと、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3−ヘプタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、等などのアルコールとのモノエステルが挙げられる。その他の代表的モノマーとしては、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシエチルアクリレートが挙げられる。
【0033】
幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、1種以上の追加の共重合したモノマーを25重量%以下で含む。幾つかの実施形態では、アクリルポリマーは、1種以上の追加の共重合モノマーを、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下で含み、ならびに幾つかの実施形態では、2重量%以下、あるいは1重量%以下でさえある。
【0034】
一般に、重合界面活性剤は、高分子微小粒子の形成の間に存在してよい。幾つかの実施形態では、重合界面活性剤は、エトキシレートである。代表的重合界面活性剤としては、ノニルフェノールエトキシレート、C12〜C14二級アルコールエトキシレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
使用する界面活性剤の量は、種々の要因に依存し得る。一般に、モノマーの総重量を基準にして、少なくとも0.5重量%の界面活性剤が加えられる。幾つかの実施形態では、0.5〜5%、あるいは0.5%〜2%でさえ(例えば、約1%)の界面活性剤を使用してもよい。
【0036】
通常は、得られた微小粒子は、各種モノマー(即ち、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカルボン酸、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、多官能性架橋モノマー、及び例えば、イオン性モノマーを含む任意の追加のモノマー)の反応生成物を含むポリマー鎖を含む。これらのポリマー鎖は、共反応多官能性架橋モノマーが関与する反応を介して、各微小粒子中で粒子内架橋している。
【0037】
一般に、微小粒子は、少なくとも1マイクロメートル、幾つかの実施形態では、少なくとも4マイクロメートル、あるいは少なくとも5マイクロメートルでさえの容積平均粒径(例えば、堀場(Horiba)LA−910粒径分析器を使用して決定)を有する。幾つかの実施形態では、微小粒子は、15マイクロメートル以下(例えば、10マイクロメートル以下、9マイクロメートル以下、7マイクロメートル以下、あるいは6マイクロメートル以下でさえの)の容積平均粒径を有する。幾つかの実施形態では、微小粒子は、4〜10マイクロメートル(例えば、4〜7マイクロメートル、5〜7マイクロメートル、あるいは5〜6マイクロメートル)の容積平均粒径を有する。
【0038】
幾つかの実施形態では、高分子微小粒子は、粒子間架橋剤と共に水中に分散される。幾つかの実施形態では、粒子間架橋剤は、多アミン粒子間架橋剤である。代表的な多アミン粒子間架橋剤としては、ジアミン(例えば、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン)、トリアミン、及びテトラアミンが挙げられる。幾つかの実施形態では、ポリエーテルアミン、例えば、ポリオキシアルキレンアミン(例えば、ハンツマン(Huntsman Corporation)(テキサス州ウッドランド)から商標名ジェファミン(JEFFAMINE)にて入手可能なジアミン及びトリアミンを含む)を使用してもよい。
【0039】
幾つかの実施形態では、分散体は、高分子微小粒子100部当たり、少なくとも5重量部の粒子間架橋剤を含む。幾つかの実施形態では、分散体は、高分子微小粒子100部当たり、少なくとも8重量部の粒子間架橋剤を含む。幾つかの実施形態では、分散体は、高分子微小粒子100部当たり、20重量部以下の粒子間架橋剤を含み、ならびに幾つかの実施形態では、約17重量部以下の粒子間架橋剤を含む。
【0040】
幾つかの実施形態では、水性分散体は、アクリルポリマーの酸性基の少なくとも幾つかを中和するためのアミン及び/又はアルカリ金属水酸化物などの中和剤をも含む。幾つかの実施形態では、中和は、接着剤の水分散性を向上させるだけでなく、接着剤組成物の凝集力も高める。幾つかの実施形態では、金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウム)を中和剤として使用してもよい。幾つかの実施形態では、中和剤として、アンモニウム化合物を使用してよい。
【0041】
一般に、追加される中和剤の量は、微小粒子のカルボン酸基の所望の部分を中和するように選択される。幾つかの実施形態では、酸基の少なくとも30%、幾つかの実施形態では、酸基の少なくとも40%を中和するために、十分量の中和剤を加えてよい。
【0042】
幾つかの実施形態では、接着剤の凝集力は、追加の粒子間架橋剤(例えば、多アミン粒子間架橋剤に加えて第2粒子間架橋剤)を使用することによって調整することもできる。ビスアミド、ポリアミド−エピクロロヒドリン化合物、及び金属キレート(例えば、アルミニウムアセチルアセトネート)を含む、幾つかの周知の粒子間架橋剤の中のいずれかを使用してもよい。追加の代表的粒子間架橋剤には、米国特許第4,418,120号(キーリー(Kealy)ら)及び同第4,569,960号(ブレーク(Blake))に記載のものが挙げられる。一般に、追加の架橋剤の量及び種別は、接着剤の水分散性が悪影響を受けない程度まで凝集性を付与するように選択される。追加される架橋剤の量は更に、所定の実験によって決定されるように、アクリル接着剤の組成物及び選択される特定の追加の架橋剤(類)にもある程度は依存する。
【0043】
本開示の接着剤組成物を含むテープは、裏材を有さずに(例えば、転写テープ)提供されてもよく、又は裏材を有して提供されてもよい。裏材を用いる場合は、裏材の片面を接着剤で覆ってもよく(即ち、片面テープ)、裏材の両面を接着剤で覆ってもよい(即ち、両面テープ)。
【0044】
幾つかの実施形態では、接着層の一方又は両方は、裏材に直接接着されてもよい。幾つかの実施形態では、接着層の一方又は両方は、裏材に間接的に接着されてもよく、例えば、1つ以上の層を裏材と接着層との間に介在させてもよい。幾つかの実施形態では、裏材と接着層との間に接着促進層を介在させてもよい。一般に、任意の既知の接着促進層(例えば、プライマー)を用いることができる。幾つかの実施形態では、接着剤と同一条件下で接着促進層は水分散性である。
【0045】
幾つかの実施形態では、接着剤層は、繊維を含んでよい。幾つかの実施形態では、接着剤組成物と同一条件下で繊維は水分散性であってよく、例えば、セルロース繊維及び/又はレーヨン繊維であってもよい。幾つかの実施形態では、接着剤転写テープ(例えば、裏材無しの接着剤層)は繊維を含む。
【実施例】
【0046】
以下の試験方法を使用して、各種接着剤を評価した。
【0047】
イメージング.イメージング(「IM」)試験を使用して、リパルパブルテープが目に見える欠陥を引き起こす可能性及びペーパージャンボ内で破れる可能性を評価した。2.5センチメートル(cm)(1.0インチ)四方のテープサンプル3個を、試験紙(62グラム/平方メートル(gsm)の光沢のある「アドヴォケート・ペーパー(ADVOCATE PAPER)」(ヴァーソ・ペーパー(Verso Paper Company)(メイン州ジェイ(Jay)))から入手可能)(10.2cm×5.1cm(4インチ×2インチ)であり、サンプル上方に7層、サンプル下方に7層とする)の14層の間に置いた。テープサンプルのそれぞれの面に紙の第1層を配置した後、気泡が生じないように注意しながら、3M PA−1テープワイパー(3M PA-1 Tape Wiper)(スリーエム(3M)(ミネソタ州セントポール)から入手可能)にて積層体を上から下へこすった。次に、紙の層の残りを加えた。紙の層は全てが同一方向を向くように配置し(即ち、全ての紙の層がワイヤ面を下にして配置された)、全ての層が試験品正方形を被うように位置合わせした。テープサンプルが埋め込まれた紙の層の積層体を、12.7cm(5インチ)四方の2枚の吸取紙ストック(オルストーム等級(Ahlstrom Grade)2400002、ホワイト・パルプ試験(White Pulp Test)、141gsm;オルストーム・マウント・ホーリー・スプリングス(Ahlstrom Mount Holly Springs)(ペンシルバニア州マウント・ホーリー・スプリングス(Mount Holly Springs))から入手可能)からなる2セットの間に置いた。2つのシリコーンゴムパッド(プレイン・バック・シリコーンゴムシート(Plain Back Silicone Rubber Sheet)(マクマスター・カー(McMaster-Carr)、イリノイ州シカゴ)として入手可能)の間に吸取紙ストックを含むサンプル積層体を置き、各々が約0.32cm(1/8インチ)の厚み及び60Aのジュロメータ硬度を有するようにした。この積層材を予熱したプレス(自動液圧プレス、型式2824−1;フレッド・S.カーヴァー(Fred S. Carver, Incorporated)(ウィスコンシン州メノモニーフォールズ(Menomonee Falls))から入手可能、温度71℃(160°F)及び圧力618kPa(90psi)に設定)内に4時間置いた。
【0048】
プレス機から取り外し、シリコーンパッド及び吸取紙ストックから取り外してから、積層体を室温まで冷却し、その後、試験紙の各層を1つずつ慎重に取り外し(サンプル積層体の両面の最外層から開始)、照明を当てたライトテーブル上に順番に置いた。画像検査のために、表面変色について、各テープサンプルの上から紙の層の外側エッジへと直接配置された正方形領域の中心部を目視評価することにより層を評価した。加えて、接着剤表面と(片面テープの場合はテープ裏材とも)直接接触している紙の層もまた評価した。表面変色を示した総層数を2つに分け、結果を「イメージング」の表題をつけて報告した。
【0049】
ブロッキング.「イメージング」の評価に加えて、以下のブロッキング(「BL」)試験を使用して、同一の紙の層についてブロッキングを評価した。積層体の各面の表面には0から開始する連番をつけた。即ち、接着剤と直接接触している紙の層には「0」の番号をつけた。片面テープの場合、片面へのナンバリングは、第1の紙の層が接触し、接着剤層から分離されたテープ裏材が「1」とナンバリングされるようにテープ裏材から開始した。最外層から開始して、各々の紙の層を剥離した。次に最も内側の層に対して任意の付着度を示す第1の紙の層を決定し、この最も内側の層の番号を記録した。即ち、接着剤層から取り外した第5の紙の層(即ち、第4層)は、次の(内側の)紙の層(即ち、第3層)に対して任意の付着度を示したが、これに値3を割り当てた。これを積層体の両側について行った。積層体について記録された最大数に「ブロッキング」の表題をつけて報告した。
【0050】
接合部接着強度.ウェブ接合を作製するために用いられるテープサンプルの性能は、感圧テープ評議会(Pressure Sensitive Tape Council)PSTC−131(10/03改訂)の「感圧テープの引張り強度及び伸長(Tensile Strength and Elongation of Pressure Sensitive Tapes)」に記載の試験方法に概ね従う、次の接合部接着強度試験法を使用して測定した。21℃(70°F)及び相対湿度(RH)50%にて、試験を実施した。各試験で使用するテープサンプル及び紙の細片は、少なくとも30分間(for least thirty minutes)、使用前に試験条件にて平衡化させた。
【0051】
5センチメートル(cm)長×2.5cm幅の片面感圧テープのサンプルを使用して、20.3cm長×2.5cm幅の2つの紙の細片の間に長手方向に突き合わせ接合部(各紙片上のテープ部分が等しい)を作製した。2種の異なった用紙、即ち、S20ホワイト・コピー・ボンド(White Copy Bond)(79gsm、ジョージア・パシフィック(Georgia Pacific)(ワシントン州カマス(Camas))から入手可能、「紙1」)、及びMAC1デンブンコーティング上質紙(113gsm、ボイス社(Boise Incorporated)(ミネソタ州インターナショナルフォールズ(International Falls))から入手可能、「紙2」)を試験した。
【0052】
両面感圧テープについては、テープ及び紙の細片は、上記と同じ方法でコンディショニングした。次に、2.5cm四方のテープサンプルを使用して、各々が20.2cm長×2.5cm幅の2つの紙の細片の間に長手方向に重ね合わせ接合部(テープサンプルの反対面に紙の同等部分を持つ)を作製した。
【0053】
片面及び両面テープで接合したサンプルの両方において、各々の紙の細片は、一片のスコッチ・フィラメントテープ(SCOTCH Filament Tape)893(片面の感圧性接着剤フィラメントテープ;スリーエム(3M)(ミネソタ州セントポール)から入手可能)にてその裏面全体を被うことによって別個に強化して、接合物品を得た。接合物品は、6.8キログラムのゴムローラーを有する機械的ロールダウン装置(パワーオール(Poweroll)PR−100;インスツルメンターズ(Instrumentors)社(オハイオ州ストロングスビル(Strongsville))から入手)を使用して、30.5センチメートル/分の速度でローラ押圧して、緊密で安定した接触を確実にするようにした。
【0054】
次に、接合物品を、引張試験機(マサチューセッツ州ノーウッド(Norwood, Massachusetts)のインストロン社(Instron Corporation)のインストロン・ユニバーサル・マテリアルズ(Instron Universal Materials)試験機、モデル4465)のつかみ具に迅速に定置し、次のパラメータを用いて接合部接着力を測定した。つかみ具間の初期距離は12.7cmであり試料に緩みはなく、つかみ具の離間速度は1.25cm/分であり、ロードセル容量は91kg(200ポンド)であった。破断荷重を記録した。3つの試料を評価し、平均接合部接着強度を、1メートル当たりのキロニュートン(kN/m)単位で記録した。
【0055】
90°剥離接着強度.幾つかのテープサンプルの性能は、以下の90°剥離接着強度(「90°PAS」)試験(感圧テープ評議会(Pressure Sensitive Tape Council)PSTC−101法F(10/03改訂)「感圧テープの剥離接着力(Peel Adhesion of Pressure Sensitive Tape)」に記載の試験方法に概ね従う)を使用して測定した。21℃(70°F)及び相対湿度(RH)50%にて、試験を実施した。
【0056】
長さ12.5cm、幅5cmのステンレス鋼テストパネルの表面を、同じ寸法に切り取った3Mフレックスマウント・プレートマウンティングテープ(3M FLEXMOUNT Plate Mounting Tape)411DL(ミネソタ州セントポール(St. Paul, Minnesota)の3M社(3M Company)から入手可能な両面塗布型(double coated)感圧接着テープ)の一片で覆った。次に、用紙(S20ホワイトコピーボンド(White Copy Bond))の一片を、取り付け用テープにその全表面を被って適用し、続いて同一寸法にトリミングした。3M PA−1テープワイパー(Tape Wiper)を使用して、強いハンド圧力を用いながら、紙をテープに、及びテープをパネルに同時に押しつけた。試験用パネル及び片面感圧性接着剤テープの両方を少なくとも(least)30分間試験条件にて平衡化させた後、30cm長×2.5cm幅の実験用テープのサンプルそれ自体を片端で折り畳んで(接着剤と接着剤)、1.2cm長のタブを形成した。テープサンプルの他端は、試験用パネルの露出した紙表面に長手方向で接触するように置き、接着剤が紙と接触し、パネルの一端と端を揃えるようにした。次に、テープサンプルを、100グラムのゴムローラーを有するように適合させた機械的ロールダウン装置を使用して、速度61cm/分でローラ押圧した。得られた試験用パネルを、次に、剥離接着試験機(peel adhesion tester)(オハイオ州ストロングスビル(Strongsville, Ohio)のインストラメンターズ社(Instrumentors, Incorporated)から入手した、すべり/剥離試験機(Slip/Peel Tester))の上の90°角度試験装置に定置した。テープ試料のタブ端部を接着試験機のクランプに固定し、剥離接着力を剥離速度30.5cm/分で測定した。3つの試験用パネルを評価し、平均剥離力を1メートル当たりのニュートン(N/m)で記録した。
【0057】
保護用剥離ライナーを接着剤表面の1つの上に有する両面感圧性接着テープの場合、露出した接着面をクラフト(Kraft)袋用紙(ウォーソー・モシニーペーパー(Wausau Mosinee Paper)696−C、100gsm(61 lb);ウォーソー・モシニー(Wausau Mosinee)(ウィスコンシン州モシニー(Mosinee)から入手可能)で覆い、3M PA−1テープワイパー(3M PA-1 Tape Wiper)を使用し、強いハンド圧力を用いながら、紙をテープに押しつけた。次に、剥離ライナーを取り除き、得られたテープ物品を上記のような片面テープサンプルとして使用した。
【0058】
剪断時間.一定荷重をテープ及び基材の表面と平行方向に印加させた状態で感圧性接着テープが基材に接着し続ける能力は、感圧テープ評議会(Pressure Sensitive Tape Council)PSTC−107(10/03改訂)の「感圧テープの剪断接着力(Shear Adhesion of Pressure Sensitive Tape)」手順Bに記載の試験方法に概ね従う剪断時間試験法を使用して評価した。10.2cm長×7.6cm幅のステンレス鋼試験用パネルの表面を、同じ寸法に切り取った3Mフレックスマウント・プレートマウンティングテープ(3M FLEXMOUNT Plate Mounting Tape)411DLの一片で覆った。次に、用紙(S20ホワイトコピーボンド(White Copy Bond))の一片を、露出したテープにその全表面を被って適用し、続いて同一寸法に切り取った。3M PA−1テープワイパー(Tape Wiper)を使用して、強いハンド圧力を用いながら、紙をテープに、及びテープをパネルに同時に押しつけた。試験用パネル及び片面感圧性接着剤テープのサンプルは、両方とも21℃(70°F)及び相対湿度(RH)50%にて平衡化させた。
【0059】
次に、15.2cm長×2.54cm幅の実験用テープのサンプルを試験用パネルの露出した紙表面と長手方向に接触するように配置し、接着剤と紙とを接触させて、パネル上のテープ長が2.54cm超となり、パネル端を越えて十分に過剰なテープが拡がって、ループを形成するようにした。次に、テープ試料を、2kgのゴムローラーを有する機械的ロールダウン装置を使用して、それぞれの方向に速度61cm/分で2回ローラ押圧し、緊密で安定した接触を確実にするようにした。次に、パネルのテープ部分を、正確に長さ2.54cmに切り取った。パネルの端部を超えて延在する余剰テープは、メタルフックの周囲に巻き付けて、テープ自体の上で接着剤どうしを重ね、かつ、フックをホッチキスで固定し、試験用サンプルを得た。試験用サンプルを直ちに固定治具に移し、テープの自由端が試験用パネルに対して178°の角度で下方に延びる状態で、パネルが、垂直に対して2°で配置されるように、試験用サンプルを定置した。金属フックに1kgの重りを設置した。サンプルが試験用パネルの上にとどまっている時間を分単位で記録した。21℃(70°F)及び相対湿度(RH)50%にて、試験を実施した。3つのサンプルを評価し、平均剪断時間を分単位で記録した。場合によっては、2800分後に試験を終了させた。
【0060】
保護用剥離ライナーを接着剤表面の1つの上に有する両面感圧性接着テープの場合、露出した接着面をクラフト(Kraft)袋用紙(ウォーソー・モシニーペーパー(Wausau Mosinee Paper)696−C、100gsm(61 lb);ウォーソー・モシニー(Wausau Mosinee)(ウィスコンシン州モシニー(Mosinee)から入手可能)で覆い、3M PA−1テープワイパー(3M PA-1 Tape Wiper)を使用し、強いハンド圧力を用いながら、紙をテープに押しつけた。次に、剥離ライナーを取り除き、得られたテープ物品を上記のような片面テープサンプルとして使用した。
【0061】
149℃(300°F)剪断時間及びすべり量本試験では、149℃(300°F)にて一定荷重をテープ及び基材の表面と平行方向に印加しつつ、感圧性接着テープが基材に接着し続ける能力を測定する。
【0062】
5cm長×2.5cm幅の片面感圧性接着剤テープを使用して、各々20.3cm長×2.5cm幅の2つの紙の細片の間に長手方向に突き合わせ接合部(モシニー(Mosinee)等級・GX532012、89gsm;ウォーソー・モシニー(Wausau Mosinee)(ウィスコンシン州ラインランダー(Rhinelander))から入手可能)を作製し、各紙の上のテープ部分が同じになるようにした。接合物品は、6.8キログラムゴムローラーを有する機械的ロールダウン装置を使用し、30.5cm/分の速度でロールダウンし、緊密で安定した接触を確実なものとした。接合物品は、テープサンプルの各端部の紙の細片上に鉛筆で印をつけた。次に、接合物品の各端部を折り重ねて、2回ホチキスで留めて、各端部にオープンループを得た。
【0063】
両面感圧テープの場合、2.5cm四方のテープサンプルを使用して、各々が20.3cm長×2.5cm幅の2つの紙の細片(モシニー(Mosinee)等級GX532012)の間に長手方向に重ね合わせ接合部(テープサンプルの反対側に紙の同等部分を持つ)を作製して、接合物品を得た。次に、得られた接合物品をローラ押圧し、鉛筆で印をつけて、片面テープサンプルに上記のようなループを設けた。
【0064】
タイミングスタンド及び1000グラムの重りを強制空気オーブン内で149℃(300°F)まで予熱した。タイミングスタンドには、ハンギングラック及びタイマーに連結された停止ボタンが含まれていた。次に、接合物品を、片端にあるループを通して置かれた黄銅フックを用いてタイミングスタンドから吊し、反対端にあるループを用いて1000グラムの重りを物品からつり下げ、オーブン扉を閉め、タイマーをゼロに設定した。この手順をできるだけ素早く行って、オーブンが開いている時間を最短とした。重りをつけた接合物品をオーブン内に5分間置いた。接合物品が完全に壊れると、停止ボタン上に重りが落下して、サンプルの破壊時間が記録された。5分後、破壊されなかった任意のサンプルをオーブンから取り出し、鉛筆で基準点に印をつけ、2つの紙片の間のすべり量を高倍率レンズで観察し、0.01ミリメートル(mm)単位まで測定した。
【0065】
水分散性.テープサンプルの水分散性は、以下にまとめた試験を使用して評価したが、これは、PTS−RH:013/90−14「接合テープ試験:水中での再分散性の確認(Testing of Splice Tape: Identification of Redispersibility in Water)」(1990年10月、PTS(The Paper Technology Specialists)(ドイツ、ミュンヘン)から入手した)に記載された試験方法に概ね従う。
【0066】
重さ0.3グラムの感圧接着テープのサンプルを、49.7グラムの吸取紙(blotter paper)と組み合わせた(オルストーム等級(Ahlstrom Grade)2400002ホワイト・パルプ試験)。ペーパー/テープの組み合わせを、おおよそ1cm×1cmの正方形の片に切断し、離解機(英国ロンドン(London, England)のメイビス・エンジニアリング有限社(Mavis Engineering Limited)より入手したブリティッシュパルプ評価装置(British Pulp Evaluation Apparatus))に移した。次に、離解機に、全容積2000ミリリットル(mL)まで室温の水道水を充填し、毎分3000旋回(rpm)の回転子速度で10分間作動させた。離解機のサイクルの完了後、パルプストックを撹拌して確実に均一にしてから200mm×200mm(8インチ×8インチ)のシート成形型(ニューヨーク州ウォータータウン(Watertown, New York)のウィリアム・アパラタス・カンパニー(Williams Apparatus Company)から入手)に注ぎ、それから水道水で充填させた。シート成形型には予め、底部に100メッシュスクリーンを取り付けてあった。均一に分散するようにストックを撹拌した後、水をシート成形型から排出し、シート成形型のフレームを開いて沈積した繊維マットを露出させた。2枚の吸取紙をマットの上部を覆うように定置し、のし棒で数回ローラ押圧して水分を吸収した。次に、吸取紙/繊維マットのレイアップ(layup)を反転し、3枚目の乾燥した吸取紙を、露出した底部のマットの上に定置し、レイアップから更に水分を吸収するためにローラ押圧した。続いて、レイアップを分離して上部のマットの表面を露出させ、次にこれを4枚目の乾燥した吸取紙で覆った。次に、この物品を水圧プレスの中に定置し、物品に、5.5キログラム/平方センチメートルの圧力を30秒間印加した。圧縮された物品を取り外し、乾燥するまで(約5分)シート乾燥機(ニューヨーク州アミティービル(Amityville, New York)のテスティング・マシーン社(Testing Machines Incorporated)から入手したシート乾燥機(Sheet Drier))の中に定置した。
【0067】
乾燥物品を吸取紙シート(blotter sheets)から分離し、手抄き紙を得た。手抄き紙の、接着剤が分散していないことを示す透明スポットを、ブラックライトの下で観察した。4枚の手抄き紙を作製し、評価した。シート当たりのスポット数及び4枚のシートのスポット総数を記録し、下表を用いて等級を決定するために使用した。任意の所与の等級について、表1の両カラム(シート当たりの総スポット及び4枚のシート当たりの総スポット)の必要条件は一致しなければならない。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
微小粒子A:JPM−8495と識別された微小粒子は住友3M(Sumitomo 3M)から入手した。微小粒子の組成は、IOA/M−90G/AA/NaSS/BDDA(68.5/20/10/1.5/0.025)(重量部にて報告された組成)であった。重合界面活性剤として、エマルゲン(EMULGEN)985を使用した。
【0071】
各種微小粒子は、表2にまとめた材料を使用して調製した。微小粒子BについてモノマーM−90GをAM−90Gで置き換えた以外は、同一モノマー組成:IOA/M−90G/AA/NaSS/BDDA(68.5/20/10/1.5/0.025)(重量部にて報告された組成)を使用して微小粒子B〜Jを調製した。
【0072】
微小粒子B:イゲパル(Igepal)CO987(4.6グラム(g))、NaSS(4.5g)、IOA(206g)、AM−90G(60g)、AA(30g)、BDDA(0.075g)、及びルペロクス(LUPEROX)A−75(1.3g)を、毎分500回転(rpm)にて3分間機械的撹拌機で、2000ミリリットルプラスチック製ビーカー中の脱イオン水660gと混合した。次いで、混合物を、3000rpmで11分間、ジフォード−ウッドホモミキサー(GIFFORD-WOOD HOMOMIXER)を用いてホモジナイズした。次いで、ホモジナイズされた分散体を、温度計、機械的攪拌器、及び窒素注入チューブを装備した、2リットルの樹脂製フラスコに注いだ。反応混合物を300〜400rpmにて窒素雰囲気で攪拌し、66℃に加熱し14時間保持した。得られた組成物を冷却し、チーズクロスを通して濾過して、約32.0%固形分及びブルックフィールド(Brookfield)粘度が0.34パスカル秒(Pa・s)の分散体を得た。
【0073】
微小粒子C:イゲパルCO987(6.0g)、NaSS(5.9g)、IOA(268g)、M−90G(78g)、AA(39g)、BDDA(0.1g)、及びルペロクスA−75(1.7g)を、脱イオン水840gと、2000mLプラスチック製ビーカー内で、機械的撹拌機にて500rpmで3分間混合し、次に、ジフォード−ウッドホモミキサーにて3000rpmで10分間ホモジナイズした。次いで、ホモジナイズされた分散体を、温度計、機械的攪拌器、及び窒素注入チューブを装備した、2リットルの樹脂製フラスコに注いだ。反応混合物を300〜400rpmにて窒素雰囲気で攪拌し、66℃に加熱し14時間保持した。得られた組成物を冷却し、チーズクロスを通して濾過した。更なる3つの同一バッチを調製し、混ぜ合わせて、約33.4%固形分及びブルックフィールド粘度が0.50Pa・sの分散体を得た。容積平均粒径は、堀場(Horiba)LA−910粒径分析器により、7.9マイクロメートル(μm)と決定した。
【0074】
微小粒子D:イゲパルCO987(4.8g)、NaSS(4.7g)、IOA(214g)、M−90G(62g)、AA(31g)、及びBDDA(0.08g)を、脱イオン水712gと、2000mLプラスチック製ビーカー内で、機械的撹拌機にて500rpmで3分間混合し、次に、ジフォード−ウッドホモミキサーにて4000rpmで10分間ホモジナイズした。次いで、ホモジナイズされた分散体を、温度計、機械的攪拌器、及び窒素注入チューブを装備した、2リットルの樹脂製フラスコに注いだ。ルペロクスA−75(0.7g)を分散体に加え、300〜400rpmにて窒素雰囲気下にて30分間攪拌した。次に、反応混合物を70℃で1時間加熱し、続いて75℃で4時間加熱した。得られた組成物を冷却し、チーズクロスを通して濾過して、約30.3%固形分及びブルックフィールド粘度0.30Pa・sの分散体を得た。容積平均粒径は、堀場(Horiba)LA−910粒径分析器により、5.4μmと決定した。
【0075】
【表3】

【0076】
微小粒子E〜J:微小粒子E〜Jは、表3に示すように、異なったタイプの界面活性剤(同一の固形分で)及び異なるホモジナイズ速度(ホモミキサー速度)を使用した以外は、微小粒子Dと同様にして調製した。また、微小粒子Jについては、材料をホモミキサー内にて10分間4000rpmで、続いて1分間5000rpmでホモジナイズした。表3に示すように、ホモミキサー速度を上げることで、平均微小粒子径が減少した(微小粒子C〜Fを参照のこと)。微小粒子D,H,及びIを比較すると、界面活性剤の選択は微小粒子径に影響を与えなかった。
【0077】
微小粒粒子径の影響は、表3に示すように、微小粒子A及びC〜Iを用いて作製した接着テープを使用して評価した。接着剤は、機械的撹拌システムを使用し、500rpmにて各工程にて十分な時間、微小粒子分散体を微小粒子30グラム当たり2.5グラムのTEA粒子間架橋剤、0.93gのKOH、及び0.1重量%の追加の粒子間架橋剤(即ち、ポリカップ)と混合して調製し、十分に混合したエマルションを製造した。
【0078】
各接着剤エマルションを剥離面上にコーティングし、100℃オーブン内で5分間乾燥した。次に、厚さ0.038mm(1.5ミル)の乾燥した接着剤コーティングを紙の裏材へと積層して、片面構造物を得た。剥離ライナー除去後、その片面構造物について試験を実施した。
【0079】
テープサンプルについて、紙1を使用した接合部引張強度(Splice Tensile)で、149℃(300°F)剪断力(分)及びすべり量(mm)、及び90°剥離接着強度(90°PAS)を試験した。結果を表4に報告する。
【0080】
【表4】

【0081】
接着テープサンプルは、表5でまとめたように、微小粒子D及び各種濃度のモノアミン粒子間架橋剤(TEA)又はポリアミン粒子間架橋剤(クアドロール)を使用して調製した。接着剤は、機械的撹拌システムを使用し500rpmにて各工程にて十分な時間、微小粒子分散体を、アミン粒子間架橋剤、KOH、IPA及びポリカップ(POLYCUP)(追加の粒子間架橋剤)と共に混合することによって調製し、十分に混合したエマルションを製造した。表5に示した全ての接着剤組成物は、30グラムの乾燥高分子微小粒子をベースとした。
【0082】
【表5】

【0083】
実施例9〜12及び比較実施例CE1〜CE4について、紙1及び紙2に対する接合部引張強度に関して、149℃(300°F)剪断力(破壊するまでの時間(分))及びすべり量(mm)、イメージング(「IM」)、ブロッキング(「BL」)、90°剥離接着強度(「90°PAS」)及び「水分散性」(「WD」)を評価した。結果を表6に列挙する。
【0084】
【表6】

【0085】
表7は、実施例11の性能を市販のテープ(それらの商業的供給源及び製品番号で特定された)と比較してまとめている。実施例3は、片面テープであるが、これに対して各市販製品は両面テープであった。試験方法にて記載されているように、片面テープの接合部引張強度の試験は、突き合わせ接合(butt-splice)を使用して行ったが、これに対して、両面テープは重ね合わせ接合(overlap splice)を使用して試験した。同様に、試験方法にて記載されているように、イメージング及びブロッキング試験は、片面テープと両面テープとを比べるとわずかに異なっていた。試験方法にて更に記載されているように、両面テープを変更し、片面テープとして、149℃(300°F)剪断力試験及び90°剥離接着強度試験を実施した。
【0086】
【表7】

【0087】
更なる代表的高分子微小粒子は、微小粒子Dについて記載された手順にしたがって調製した。以下のサンプル各々について、テルギトール15−S−40を重合界面活性剤として使用した。得られた微小粒子の組成及び性質は、表8にまとめられている。
【0088】
【表8】

【0089】
追加の粒子間架橋剤(ポリカップ172)が含まれなかった以外は、上記手順にしたがって、接着テープの調製及び試験を行った。各サンプルにおいて、3.75グラムの多アミン粒子間架橋剤を使用した。高分子微小粒子含有接着剤は、表9にまとめられている。表9に示した全ての接着剤組成物は、30グラムの乾燥高分子微小粒子をベースとした。
【0090】
【表9】

【0091】
各サンプルの剪断時間、接合部引張強度(紙1及び紙2)、149℃(300°F)剪断力、イメージング(IM)、ブロッキング(BL)、90°剥離接着強度(90°PAS)、及び水分散性(WD)を試験した。結果を表10にまとめる。
【0092】
2種の接着テープは、微小粒子Jを使用して調製した。30グラムの微小粒子をベースにし、各接着剤に3.75グラムのTEA及び0.93グラムのKOHを含有させた。比較実施例14は、任意の追加の架橋剤を含まなかったが、これに対して、実施例25は0.10重量%のポリカップを含んでいた。これらのサンプルについて、紙1及び紙2に対する接合部引張強度、剪断時間(破壊までの時間(分))、149℃(300°F)剪断力(破壊するまでの時間(分))及びすべり量(mm)、イメージング(「IM」)、ブロッキング(「BL」)、並びに90°剥離接着強度(「90°PAS」)を試験した。結果を、表11に要約する。
【0093】
【表10】

【0094】
【表11】

【0095】
本発明の様々な改良及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに実施できることは、当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(i)アルキル(メタ)アクリレート;
(ii)ビニルカルボン酸;
(iii)ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート官能性オリゴマー;
(iv)イオン性モノマー;及び
(v)多官能性架橋モノマーの混合物の反応生成物を含む高分子微小粒子と、
(b)多アミン粒子間架橋剤と、
(c)中和剤とを含む水性エマルションであって、
水中に分散させた、前記水性エマルション。
【請求項2】
前記高分子微小粒子が1〜10ミクロンの容積平均粒径を有する、請求項1に記載の水性エマルション。
【請求項3】
(d)追加の粒子間架橋剤を更に含む、請求項1又は2に記載の水性エマルションであって、当該追加の粒子間架橋剤がポリアミド−エピクロロヒドリンコポリマーを含む、前記水性エマルション。
【請求項4】
前記アルキル(メタ)アクリレートが、イソオクチルアクリレート及び2−エチル−ヘキシルアクリレートのうちの少なくとも1つを含み、かつ前記ビニルカルボン酸が、アクリル酸及びメタクリル酸のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性エマルション。
【請求項5】
前記反応生成物が1種以上の追加の共重合モノマーを更に含み、少なくとも1種の当該追加の共重合モノマーが、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及び(メタ)アクリル酸とアルコールとのモノエステルからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性エマルション。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレート官能性オリゴマーが、ヒドロキシポリアルキレングリコール又はアルコキシポリアルキレングリコールを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性エマルション。
【請求項7】
前記多官能性架橋モノマーがアルキルポリオールポリアクリレートである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性エマルション。
【請求項8】
前記多官能性架橋モノマーが1,4−ブタンジオールジアクリレートである、請求項7に記載の水性エマルション。
【請求項9】
前記多アミン粒子間架橋剤がN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性エマルション。
【請求項10】
前記多アミン粒子間架橋剤がポリオキシアルキレンアミンを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性エマルション。
【請求項11】
前記混合物が、60重量%〜80重量%のアルキル(メタ)アクリレート及び0.01重量%〜0.05重量%の多官能性架橋モノマーを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の水性エマルション。
【請求項12】
前記混合物が、8重量%〜12重量%のビニルカルボン酸を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の水性エマルション。
【請求項13】
前記混合物が、10重量%〜22重量%のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート官能性オリゴマーを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の水性エマルション。
【請求項14】
前記エマルションが、100部の高分子微小粒子当たり、5〜20重量部の多アミン粒子間架橋剤を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の水性エマルション。
【請求項15】
多アミン粒子間架橋剤によって粒子間架橋された高分子微小粒子を含む接着剤であって、当該高分子微小粒子が、
(i)アルキル(メタ)アクリレート;
(ii)ビニルカルボン酸;
(iii)ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート官能性オリゴマー;
(iv)イオン性モノマー;及び
(iv)多官能性架橋モノマーの混合物の反応生成物を含む、前記接着剤。
【請求項16】
前記混合物が、60重量%〜80重量%のアルキル(メタ)アクリレート、8重量%〜12重量%のビニルカルボン酸、10重量%〜22重量%のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート官能性オリゴマー、及び0.01重量%〜0.05重量%の多官能性架橋モノマー、及び100部の高分子微小粒子当たり5〜20重量部の多アミン粒子間架橋剤を含む、請求項15に記載の接着剤。
【請求項17】
前記アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基が4〜8個の炭素原子を含有し、かつ前記ビニルカルボン酸がアクリル酸及びメタクリル酸のうちの少なくとも1種を含む、請求項15又は16に記載の接着剤。
【請求項18】
前記(メタ)アクリレート官能性オリゴマーがポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを含み、前記多官能性架橋モノマーがアルキルポリオールポリアクリレートであり、かつ、前記多アミン粒子間架橋剤がポリオキシアルキレンアミンを含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項19】
前記接着剤が水分散性である、請求項15〜18のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項20】
(i)請求項1〜14のいずれか一項に記載の水性エマルションを基材上にコーティングする工程と、
(ii)エマルションを乾燥させる工程と、
(iii)多アミン粒子間架橋剤を用いて高分子微小粒子を粒子間架橋させる工程とを含む、接着剤物品の形成方法。
【請求項21】
基材と、該基材に接着された請求項15〜19のいずれか一項に記載の接着剤とを含む、接着剤物品。
【請求項22】
前記基材が水分散性繊維を含む、請求項21に記載の接着剤物品。

【公表番号】特表2011−519387(P2011−519387A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505066(P2011−505066)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/038154
【国際公開番号】WO2009/129033
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】