説明

粒子

【課題】基材と、アニオン結合層とを含んでなり、アニオン結合層が1以上のアニオンを形成する有機活性化合物または活性化合物/着色剤混合物を含む粒子を提供する。
【解決手段】粒子の製造方法は、基材、金属カチオン塩、活性化合物塩および所望により着色剤塩、ならびに溶媒または溶媒混合物中の苛性アルカリおよび/または尿素の懸濁液を、50〜120℃の温度で攪拌してアニオン結合層を基材上に形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材およびアニオン結合層を含み、該アニオン結合層が1以上のアニオンを形成する有機活性化合物を含んでいる、粒子に関する。本発明は、さらに、本発明による粒子の製造方法、ならびに、化粧品、薬剤、処方、塗料、コーティング、プラスチック、フィルムにおいて、証券印刷において、文書および身分証明書における安全対策において、種子の着色のために、食品または薬剤のコーティングの着色のために、および顔料組成物および乾式調合品の製造にそれら粒子を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
活性化合物は化粧品および医薬品において優れた役割を果たしている。化粧品の活性化合物の例としては、UVフィルター、炎症抑制物質などが挙げられる。一般に、前記活性化合物は有機機能性活性化合物である。これらの有機機能性活性化合物は通常処方された形態で適用または投与される。化粧品におけるこのような処方の例としては、例えば、クリーム、軟膏またはジェルが挙げられ、薬剤用活性化合物としては例えば錠剤、糖衣錠、液剤だけでなく軟膏も挙げられる。
【0003】
しかしながら、前記活性化合物はしばしば処方品中において十分に安定ではなく、あるいは処方品中の他の成分と反応するおそれがある。さらに、処方品中の使用における活性化合物の用量を制御するのはしばしば困難である。例えば、軟膏を適用する場合はたとえ当初は望ましくなくても、活性化合物の全濃度のものと皮膚が接触することになる。活性化合物の放出の改善または制御あるいは安定化についての試みが多数行われている。多くの場合、活性化合物を担体中に封入し、活性化合物が特定の方法で放出されるように実施されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、したがって、活性化合物を安定化させ、および/または制御された方法で放出させるような粒子を提供することにある。本発明の目的は、さらに、基材とアニオン結合層を適切に選択することで相乗的な作用特性を実現することである。
【0005】
驚くべきことに本発明の粒子ではこれらの目的が達成されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、基材と、1以上のアニオンを形成する有機活性化合物を含むアニオン結合層とを含んでいる粒子に関する。
【0007】
本発明の粒子は、結合しているアニオン性活性化合物との関係において2つの根本的に異なった機能を達成することができる:低いpH(6未満)においては、連続的に固定層が溶解することにより、粒子の制御放出機能が生じる。高いpH(6より大)においては、対照的に、固定層は安定であり、したがって結合したアニオン性活性化合物に対して保護的かつ安定化する作用が働く。本発明による粒子は、したがって特に、多機能ハイブリッド粒子である。
【0008】
この有利な特性のため、本発明による粒子は、非常に異なった多くの用途に広く適している。したがって本発明は、さらに、化粧品、薬剤、処方、塗料、コーティング、プラスチック、フィルムにおいて、証券印刷において、文書および身分証明書における安全対策において、種子の着色のために、食品または薬剤のコーティングの着色のために、および顔料組成物および乾式調合品の製造のためにこれらの粒子を使用することに関する。
【0009】
本発明の粒子は、基本的にいかなる形状の基材をベースにしてもよい。適切な形状の基材は、薄片状、球状または針状の基材であるが、不規則な形状の基材を用いることも可能である。本発明の目的のためには、球状とはボール状を意味するが、非対称のボール形状、例えば楕円体状をも意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
適切な薄片状基材としては、例えばガラス薄片、SiO2薄片、Al23薄片、BiOCl薄片、グラファイト薄片、合成または天然の薄片状酸化鉄もしくは薄片状金属が挙げられる。適切な金属薄片は、とりわけ、アルミニウム、チタン、青銅、鋼鉄または銀からなり、好ましくはアルミニウムおよび/またはチタンからなる。この金属薄片は適切な処理により不動態化されてもよい。
【0011】
ベースとなる薄片状基材の大きさ自体は重大な影響を及ぼさないので、それぞれの用途に応じて調整することができる。薄片状基材の直径は平均して通常1〜500μm、好ましくは5〜200μm、特に10〜200μmである。好ましいより小さな粒子のサイズは、さらに、1〜100μmの範囲、特に5〜60μm、さらに1〜15μmである。平均的な厚さは0.1〜5μmであり、好ましくは0.1〜1μmである。薄片状基材の平均アスペクト比、すなわちここで直径の平均に対応する長さの測定値の平均の、厚さの測定値の平均に対する比は、通常5〜750、好ましくは10〜500、特に好ましくは20〜200である。
【0012】
薄片状基材は好ましくはガラス薄片、SiO2薄片またはAl23薄片であり、とりわけ滑らかな表面と、非常に高い反射能力のためガラス薄片が特に好ましい。
【0013】
ここで使用するのに相応しいSiO2薄片は、均一な層の厚さを有する合成のSiO2薄片であり、好ましくは国際特許公開WO93/08237に記載の方法に従って、水ガラス溶液を固化し加水分解して得られた連続した帯状のものから製造される。ここで均一な層の厚さとは、粒子の乾燥した層の厚さ全体に対する層の厚さの許容誤差が3〜10%、好ましくは3〜5%であることを指す。薄片状二酸化珪素粒子は一般にアモルファス状である。このタイプの人工的な薄片は、例えば雲母のような天然の材料に対して、層の厚さを所望の効果が得られかつ誤差を小さくするように調節できる点で有利である。
【0014】
原則として、当業者に周知のすべてのガラスのタイプと形状(例えば、薄片、ビーズ、繊維状など)のものを本発明の粒子に使用可能である。とりわけ非常に好ましいガラス薄片には、当業者に公知であるすべてのタイプのガラスが含まれるが、特に例えば窓用ガラス、Cガラス、Eガラス、ECRガラス、デュラン(登録商標)ガラス、実験器具用ガラスまたは光学ガラスのようなカルシウム−アルミニウム−ホウケイ酸ガラスが挙げられる。特に好ましいのはEガラスまたはECRガラスであるが、鉄、ビスマス、ニオブ、スズおよび/またはチタンを含むガラスも同様に好ましい。ガラス薄片の屈折率は好ましくは1.20〜2.20、特に1.50〜1.70である。
【0015】
適切な基材は、カルシウム−アルミニウム−ホウケイ酸(例えばロナスター(登録商標)、メルク社製)、SiO2(例えばカラーストリーム(登録商標)メルク社製)、Al23(例えばシラリック(登録商標)、メルク社製)、天然葉状酸化鉄(例えばミオックス(登録商標)、ケルントナー・モンタン社製)、天然または合成のグラファイト、合成の薄片状酸化鉄(例えばタロックス(登録商標)、チタン工業社製)、あるいは金属アルミニウム、に基づく薄片状基材である。
【0016】
球状基材は、特に、カルシウム−アルミニウム−ホウケイ酸ガラス、SiO2、TiO2、Al23、GeO2、ZrO2、ZnO、B23、Ga23、In23、SnO2だけでなく、(Ca/Mg)2(OH)(PO4)、カオリン、BaSO4、チョーク(白亜)、MgCO3、BiOCl(例えばビロン(登録商標)ESQ)もベースとして用いられる。適切な基材としては、さらに、球状の有色顔料、例えば天然または合成の酸化鉄、ウルトラマリン青、カーボンブラック、酸化クロム緑、コバルト青、ベルリン青およびマンガン紫が挙げられる。特に、ZnOまたはTiO2の球状基材はUVフィルターとして作用する。これらの基材をベースにした粒子は、特に多機能粒子の製造に適切である。これらの基材は、ここで機能的作用を示す。これは、アニオン結合層で結合した活性化合物が補われ、さらにその作用を行うものである。
【0017】
上記原料で作られた球状カプセルに有機および/または無機の化合物ならびに物質を封入したものも同様に球状基材として適切である。カプセル封入される化合物は、例えばUVフィルターの群から選択することができる。好ましいカプセルは、例えば国際特許公開WO00/09652号、同WO00/72806号および同WO00/71084号に記載の方法により得られたカプセル壁を有する。カプセル壁は好ましくはSiO2またはTiO2をベースとする覆いである。このタイプのカプセルの一例として、ユーソレックス(登録商標)UV−パールズ(商標)(メルク社、ダルムシュタット)が挙げられる。
【0018】
球状基材ベースの粒子は、特に化粧品や薬品への応用において有利である。材料にもよるが、本発明の球状粒子は良好なしわ隠し効果、良好な肌感触を示し、増量剤としても、また活性作用物質としても使用することができる。そのうえ、肌の光沢を抑えるので、肌の外観がより柔らかくなる。球状粒子の転がりおよびすべり効果は肌感触を顕著に改善する。
【0019】
ベースとなる球状基材の大きさ自体も同様に重大な影響を及ぼさないので、それぞれの用途に応じて調整することができる。球状粒子の直径は平均して通常1nm〜2000μm、好ましくは5nm〜1000μm、特に10nm〜500μmである。球状の金属酸化物、特にUV‐フィルター活性をもつ金属酸化物は、好ましくは平均直径が5〜1000μmであり、特に8〜500μm、特に非常に好ましくは8〜300μmである。
【0020】
加えて、針状基材も本発明の目的にとって適切である。それらの例としては、ガラス繊維、プラスチック繊維および針状結晶構造をもつ顔料、例えば鉄黄(針鉄鋼)などが挙げられる。
【0021】
上記基材は混合物(例えば二成分または三成分混合物)、すなわち、例えば薄片状基材粒子が球状および/または針状の基材粒子と混合したものであってもよい。球状および非球状粒子、例えば薄片状および針状の粒子の混合比は重大な影響を及ぼさないので、それぞれの用途に応じて調整することができる;例えば、1:99〜99:1重量部比、特に10:90〜90:10重量部比、とりわけ1:9〜9:1重量部比から選択することができる。このタイプの混合物は、最終製品のある種の物性、例えばきらめき、隠蔽力または肌感触などを特定の方法で設定することを可能にしている。
【0022】
前記の基材は着色するためにイオンまたは元素でドープされていてもよい。さらに、基材は着色以外に、例えば伝導性、屈折率の増大、蛍光発光、リン光、磁性、NLO特性、赤外線または紫外線の反射/吸収など、基材の物理的特性への効果を目的としてイオンまたは元素でドープされていてもよい。イオンまたは元素でドープすることにより誘導される前記物理的特性の例は本発明を具体的に説明するためのものであり、効果の範囲を制限することを意図したものではない。
【0023】
本発明の別の実施形態では、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシナイトライド、またはそれらの物質の混合物からなる1つ以上の透明な、半透明な、および/または不透明な層を、薄片状基材上でアニオン結合層の下に適用できる。金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシナイトライド、またはそれらの物質の混合物からなる層の屈折率は低くても(屈折率<1.8)、高くても(屈折率≧1.8)よい。適切な金属酸化物および金属酸化物水和物としては、当業者に公知のものであればいかなる金属酸化物または金属酸化物水和物を用いてもよく、例えば、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化珪素、酸化珪素水和物、酸化鉄、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、特に二酸化チタン、酸化チタン水和物が挙げられ、またこれらの混合物、例えばイルメナイトまたは擬板チタン石のようなものが挙げられる。金属亜酸化物としては、例えば亜酸化チタンを用いることができる。適切な金属としては例えばクロム、アルミニウム、ニッケル、銀、金、チタン、銅または合金が挙げられ、また適切な金属フッ化物としては例えばフッ化マグネシウムが挙げられる。金属窒化物または金属オキシナイトライドとして使用可能なものとしては、例えばチタン、ジルコニウムおよび/またはタンタルといった金属の窒化物またはオキシナイトライドが挙げられる。金属酸化物、金属、金属フッ化物および/または金属酸化物水和物の層、そして非常に格別に好ましくは金属酸化物および/または金属酸化物水和物の層は、好ましくは担体上に適用される。さらに、高屈折率および低屈折率の金属酸化物、金属酸化物水和物、金属または金属フッ化物の層を含む多層構造が存在してもよい。ここで高屈折率および低屈折率の層は好ましくは交互に置かれる。高屈折率層と低屈折率層が一括して含まれる層が存在し、1以上の層のまとまりが担体上に適用されるのが特に好ましい。高屈折率および低屈折率の層の並び方は基材を多層構造に組み込むために基材ごとに調整してよい。別の実施形態では、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物または金属オキシナイトライドの層は、着色剤または他の元素によって混合またはドープされる。適切な着色剤または他の元素としては、例えば有機または無機の有色顔料、例えば磁鉄鉱、酸化クロムのような有色金属酸化物、例えばベルリン青、ウルトラマリン、バナジウム酸ビスマス、テナール青のような有色顔料、またはその代わりに例えばインディゴ、アゾ顔料、フタロシアニンまたはカーミンレッドのような有機有色顔料、あるいは例えばイットリウムまたはアンチモンのような元素が挙げられる。好ましい実施形態では、基材上の外側の層は高屈折率金属酸化物である。この外側の層は、さらに、前記で言及した層のまとまりの上にあり、または高屈折率担体の場合は層のまとまりの一部であり、例えばTiO2、亜酸化チタン、Fe23、SnO2、ZnO、ZrO2、Ce23、CoO、Co34、V25、Cr23および/またはそれらの混合物、例えばイルメナイトまたは擬板チタン石のようなものからなる。TiO2が特に好ましい。
【0024】
前記被覆された基材は、1以上の角度依存干渉色を示す。しかしながら、基材の吸収色ただ1色であるものや、1つの吸収色に加え1以上の角度依存干渉色を示すものも製造可能である。
【0025】
金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物または金属オキシナイトライド、あるいはそれらの混合物の層の厚さは通常3〜500nmであり、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属窒化物または金属オキシナイトライド、あるいはそれらの混合物の層の場合、好ましくは5〜600nmである。金属層の厚さは好ましくは4〜100nmである。
【0026】
薄片状基材としてガラス薄片を用いる場合、これらをSiO2層で被覆することが特に非常に好ましい。SiO2被覆は、ガラスの表面を、侵食性の酸性コーティング溶液中での膨張、ガラス成分の浸出または溶解のような化学修飾から保護する。これらの基材の製造における焼成工程の間、ガラス薄片の場合はガラス本体と沈殿したSiO2の間の界面で化学的に関連する物質の間で密接な結合が生じる。軟化温度が高いため、沈殿したSiO2の鞘は700℃を超える温度での焼成中においても基材に必要な機械的安定性をもたらしている。基材へのSiO2層に続くコーティングの密着性も改善される。ガラス薄片上のSiO2層の厚さは、所望とする効果によって広い範囲で変更可能である。この層は5〜350nm、好ましくは5〜150nmの厚さを有する。光沢および色の濃さを調節するためには、30〜100nmの層の厚さが好ましい。SiO2層は、大気中であるいは不活性ガス雰囲気下で700℃以上の焼成温度まで安定であるという条件の下で、カーボンブラック粒子、無機有色顔料および/または金属粒子によってドープされてもよい。SiO2基質中のドーパントの割合は結果として1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、特に5〜20重量%となる。特に好ましい実施形態においては、高屈折率金属酸化物の層、特にTiO2の層がSiO2層に適用される。
【0027】
SiO2をベースとする球状基材(例えば、モノスフィア(登録商標)またはロナスフィア(登録商標)など)の場合、これらは好ましくは金属酸化物、とりわけTiO2(例えばロナスフィア(登録商標)LDPなど)によって被覆されている。
【0028】
前記薄片状、球状または針状の、被覆されまたは被覆されていない基材または基材混合物に加えて、本発明の粒子はアニオン結合層を有する;特に基材はアニオン結合層によって被覆されている。アニオン結合層は好ましくは層状複水酸化物を含む。このタイプの層はLDH層としても知られている。
【0029】
この層状複水酸化物(LDH)は好ましくは下記一般式の複水酸化物を含む:
2+1-x3+x(OH)2(Zn-x/n・mH2
ここで 0.2<x<0.33、M3+はAl3+、Cr3+、Fe3+、Ga3+、In3+、Y3+、La3+および/またはCe3+から選択され、また、M2+はBa2+、Ca2+、Cu2+、Mg2+、Sr2+および/またはZn2+から選択され、Zn-は金属塩の対イオンおよび/またはアニオンあるいはアニオン形成有機機能性活性化合物のアニオン混合物を指し、ここでnはアニオンの価数を意味する。mは化学量論係数であり、LDH中の結晶の含水量を指す。本発明の目的のためには、mは例えば1〜12とすることができるが、他の値をとることも可能であり、整数であっても非整数であってもよい。
【0030】
前記複水酸化物の例としては、Mg0.67Al0.33(OH)2(Zn-0.33/n・mH2O、Mg0.67Fe0.33(OH)2(Zn-0.33/n・mH2O、Zn0.67Al0.33(OH)2(Zn-0.33/n・mH2O、Zn0.67Fe0.33(OH)2(Zn-0.33/n・mH2O、Ca0.67Al0.33(OH)2(Zn-0.33/n・mH2O、Ca0.67Fe0.33(OH)2(Zn-0.33/n・mH2Oが挙げられる。特に、Mg0.67Fe0.33(OH)2(Zn-0.33/n・mH2O、Ca0.67Al0.33(OH)2(Zn-0.33/n、Zn0.67Fe0.33(OH)2(Zn-0.33/n・mH2OおよびCa0.67Fe0.33(OH)2(Zn-0.33/n・mH2Oが特に有利であることが判明している。
【0031】
好ましくは、M3+=Al3+またはFe3であり、M2+=Mg2+、Ca2+またはZn2+である。特に非常に好ましいのはM3+=Al3+である。アニオン結合層の厚さは0.5〜500nmであり、特に1〜300nmである。
【0032】
前記アニオン結合層は、1種以上のアニオン形成有機活性化合物を含む。有機活性化合物は、特に、アニオンあるいはアニオン形成薬剤活性化合物、食品サプリメント、診断物質および化合物および/または美容活性化合物、すなわちこれらの活性化合物が混合した状態で存在してもよい。原則的に、カプセル封入された活性化合物の機能活性については、それらが単にアニオン性であり、もしくはアニオンに転換されるものであれば特に制限はない。この点で、基材上に、薬学的および/または皮膚保護および/または皮膚ケアおよび/または皮膚再生および/または抗菌および/または抗かびおよび/または美容効力における活性化合物として働く有機物質またはその混合物を固定化することが可能である。好ましい実施形態では、これら活性化合物は少なくとも2価以上陰電荷を帯びており、もしくは少なくとも2価以上陰電荷を帯びた分子に転換可能である。このような分子は少なくとも2つ以上の陰イオン官能基、もしくは陰イオンに転換可能な2つ以上の官能基を有する。これらは、例えば、スルホン酸(スルホネート)および/またはカルボン酸(カルボキシレート)および/または硫酸モノエステル(サルフェート)および/またはフェノール(フェノキシド)および/またはリン酸モノもしくはジエステル(モノもしくはジホスフェート)および/またはホスホネートおよび/またはエノール(エノレート)および/またはイミド酸のアニオンおよび/またはジチオール酸のアニオンなどから選択される。したがって、この有機活性化合物は、1つ以上の、とりわけ少なくとも2つの、アニオン形成フェノキシド、エノレート、カルボキシレート、サルフェート、スルホネート、スルフィネート、ジチオレート、ホスフェートおよび/またはホスファイト構造単位を含む。これらの活性化合物の場合、皮膚接触/皮膚浸透(例えばUVフィルターの場合)が望ましくないものは本質的に避けられる。この活性化合物、保存料もしくは染料の固定化効果は、特に少なくとも2価以上にイオン化しうる物質の使用において、pHが6より大で安定化機能を有する場合にアニオン固定の強化をもたらし、この方法で製品の安全性を高めることで望ましくない浸透を抑制している。したがってpHが6より大では、事実上完全な固定化を行うことが可能である。一方で、pH6未満では、活性化合物の調節放出が確立され、よりよい活性化合物の用量をもたらすことも可能である。
【0033】
適切なアニオン形成薬剤活性化合物の例を挙げる:
1) 鎮静剤:例えばバルビツール酸誘導体の例として、アモバルビタールナトリウム(CAS:64−43−7)
2) 抗炎症抗リウマチ剤:例えば酢酸誘導体の例として、インドメタシン(CAS:53−86−1)、アセメタシン(CAS:53164−05−9)、トルメチン(CAS:26171−23−3)、ジクロフェナク(CAS:15307−86−5)、ロノゾラク(CAS:53808−88−1)、および/またはプロピオン酸誘導体の例として、イブプロフェン(CAS:15687−27−1)、フェノプロフェン(CAS:31879−05−7)、ナプロキセンナトリウム(CAS:26159−34−2)、ケトプロフェン(CAS:22071−15−4)
3) 抗動脈硬化ビタミンB群:例えばカルニチン(CAS:461−06−3)、ニコチン酸アルミニウム(CAS:1976−28−9)、ビオチン(CAS:58−85−5)、パントテン酸カルシウム(CAS:137−08−6)、アミノ安息香酸(CAS:150−13−0)
4) 抗不整脈剤、抗けいれん薬、非ステロイド:例えばボルタレン/ジクロフェナク(CAS:15307−86−5)
5) 抗不整脈剤、β−交感神経遮断薬(クラス I、II、IIIおよびIVより):例えば、ボメトロール(CAS:65008−93−7)およびBW−A−575−C(CAS:103221−88−1)
6) β−ラクタム抗生物質:例えばペナム、クラバペネム、オキサペナム、セフェム、オキサセフェムおよび単環β−ラクタム、例えばカルベニシリン(CAS:4697−36−3)、アモキシリン(CAS:26787−78−0)、セフォキシチン(CAS:35607−66−0)およびアンピシリン(CAS:69−53−4)
7) ペニシリン、アミノペニシリン、アシルアミノペニシリン、カルボキシペニシリンの群の抗生物質、およびセファロスポリン、例えばタゾバクタム(CAS:89786−04−9)、クロキサシリンスルホン(CAS:76788−83−5)、スルバクタム(CAS:68373−14−8)
8) テトラサイクリン系抗生物質、例えばグリシンメチルテトラサイクリン(CAS:751−98−4)、ライムサイクリン(CAS:992−21−2)、カルシウムクロロテトラサイクリン(CAS:57122−99−3)、アピサイクリン(CAS:15599−51−6)
9) クマリン誘導体系の抗凝血剤および凝固因子合成阻害剤、例えばワルファリン(CAS:5543−58−8)、アセノクマリン(CAS:152−72−7)、6−ヒドロキシワルファリン(CAS:17834−02−5)、3−ヒドロキシワルファリン(CAS:30992−81−5)、クマクロリン(CAS:81−82−3)、4−ヒドロキシワルファリン(CAS:63740−78−3)
10) ジフェニルアミン誘導体からなる抗炎症・プロスタグランジン抑制因子、例えばクロフェナム酸(CAS:4295−55−0)、アルミニウムルフェナメート(CAS:16449−54−0)、ナトリウムロベンザリット(CAS:64808−48−6)、フルチアジン(CAS:7220−56−6)、アラプロフェン(CAS:15250−13−2)
11) フェニルスルホンアミド系の防腐剤および抗糖尿病薬、例えばアリストプロンブ(CAS:60662−80−8)、アクロチアゾール(CAS:60595−59−7)、BA−32641(CAS:92569−06−7)、アルファゾール(CAS:38114−83−9)、カルボキシトルブタミド(CAS:2224−10−4)
12) 抗炎症剤、鎮痛薬、コラーゲナーゼ阻害剤および角質溶解物質、例えばサリチル酸(CAS:69−72−7)
13) 抗けいれん薬、例えばカルシウムバルプロエート(CAS:33433−82−8)、ナトリウムバルプロエート(CAS:1069−66−5)、セミナトリウムバルプロエート(CAS:76584−70−8)のようなバルプロエート塩
14) 抗ぜんそく薬および抗アナフィラキシー薬、例えば、アセフィリン(CAS:652−37−9)、ナトリウムアブルカスト(CAS:96565−55−8)、アンレキサノクス(CAS:68302−57−8)、AH−7725(CAS:68302−57−8)、ネドクロミルカルシウム(CAS:101626−68−0)などのキサンチン誘導体
15) 細胞増殖抑制剤および免疫抑制剤、例えば、アザチオプリンナトリウム(CAS:55774−33−9)、チアミプリン(CAS:5581−52−2)、メタザチオプリン(CAS:97746−12−8)などのアザチオプリン誘導体
16) 副腎皮質ステロイドおよびプロゲストロゲン、例えば、ナトリウムメチルプレドニゾロンスクシネート(CAS:2375−03−3)、ナトリウム β−メタゾンホスフェート(CAS:151−73−5)のようなプロスタグランジン誘導体
17) 殺ウイルス剤、例えば2’−グアノシンモノホスフェート(CAS:130−50−7)、3’−グアノシンモノホスフェート(CAS:82570−66−9)、アシクロビルホスフェート(CAS:66341−16−0)、2’−シクログアノシンモノホスフェート NOR(CAS:91516−85−7)のようなグアノシン誘導体
18) 甲状腺ホルモンおよび抗動脈硬化薬、例えばデトロサイロニン(CAS:5714−08−9)、ナトリウムレボサイロキシン(CAS:55−03−8)、ナトリウムデキストロサイロキシン(CAS:137−53−1)のようなジフェニルエーテル誘導体
19) 鎮痛薬、炎症阻害剤、解熱剤、例えば、メロキシカム(CAS:71125−38−7)、イソキシカム(CAS:34552−84−6)、ピロキシカムオラミン(CAS:85056−47−9)、ピロキシカムホスフェート(CAS:82801−42−1)のようなオキシカム誘導体、および/または、例えば、マグネシウムメタミゾール(CAS:6150−97−6)、ジブピロン(CAS:1046−17−9)のようなピラゾール誘導体、および/または、例えば、アントラジオン(CAS:19854−90−1)およびスルホデタメジオン(CAS:53039−87−5)のようなピラゾリジン誘導体
20) キレート剤、例えば、HBED(CAS:35998−29−9)、カルテリドール(CAS:132722−73−7)、カジスチン−A(CAS:86220−45−3)、ジチオカルブナトリウム(CAS:148−18−5)、ムギネ酸(CAS:69199−37−7)、CDTA(CAS:13291−61−7)、ペンテト酸カルシウム(CAS:2531−75−1)
21) 殺原生動物剤、例えば、アーテスネート(CAS:88495−63−0)のようなアルテリネート誘導体
22) 潰瘍治療のためのプロスタグランジン、例えば、カルバサイクリン(CAS:69552−46−1)、アタプロスト(CAS:83997−19−7)、アルファプロストール(CAS:74176−31−1)、ベラプロストナトリウム(CAS:88475−69−8)、AY−16809(CAS:21269−28−3)、α−PGF1(CAS:745−62−0)
これらの例は、例示により可能性について説明することを意図したものであり、選択の幅を制限するものではない。
【0034】
好適なアニオン形成食品サプリメントまたは美容活性化合物または診断活性化合物は、例えば下記に示すバイオフラボノイドである。
加えて、すべてのアミノ酸、例えばグルタミン酸およびアスパラギン酸、さらにベタイン構造をもつアミノ酸、例えばエクトイン、ヒドロキシエクトインまたはトリメチルグリシンもまたこの目的にとって適切である。アニオン形成ビタミンおよびビタミン誘導体、とりわけホスフェートも、本発明によって同様に適切である。
ここで例として、ビタミンCとビタミンCホスフェートを挙げることができる。さらに使用可能なものは:リポ酸,飽和もしくは不飽和脂肪酸のアニオン、レチノイン酸、トコフェロール(α、β、γ、δ)、ビタミンB1(例えばチアミンピロホスフェート)、ビタミンB2、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール)、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ヌクレオチドおよびヌクレオシドまたはそれらの誘導体、例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADまたはNADH2)、アデノシントリホスフェート(ATP)、アデノシンモノホスフェート(AMP)、アデノシンジホスフェート(ADP)、5’−イノシンモノホスフェート(IMP)、5’−グアノシンモノホスフェート(GMP)、並びにレアチン、クレアチンホスフェートおよびクレアチニンである。さらに、DNAおよび/またはRNAの基礎単位並びにDNAおよび/またはのRNA断片または部分も適切である。
【0035】
特に抗酸化特性をもつ有機活性化合物としては、とりわけ、ジカルボン酸(シュウ酸、コハク酸)およびヒドロキシカルボン酸(乳酸、リンゴ酸、酒石酸およびクエン酸)が挙げられる。
【0036】
適切なアニオン形成する診断用の物質および化合物の例としては:
X−線造影剤の例としては、例えば、イオセタミン酸(CAS:16034−77−8)、ヨードセチル酸(CAS:54510−20−2)、アセトリゾ酸メグルミン(CAS:22154−43−4)、ヨードヒップリン酸(CAS:147−58−0)、ナトリウムブナミオデート(CAS:1923−76−8)、アセトリゾ酸(CAS:85−36−9)が挙げられるが、他の用途の診断用薬としては、例えば、ジニトロクロロベンゼン(CAS:97−00−7)、グルセプチン酸(CAS:87−74−1)、ナトリウムインジゴチンジスルホネート(CAS:860−22−0)、イオカンリジン酸(CAS:74855−17−7)、ブテドロニン酸(CAS:51395−42−7)、ウォファズリン(CAS:7488−76−8)、ウペナジム(CAS:95268−62−5)、ベルト−スルホ−J(CAS:519−76−6)、銀フルオレセイン(CAS:25931−86−6)、パンケンサン(CAS:38219−60−2)、サクシマー(CAS:304−55−2)が挙げられる。
これらの例は、例示により結合したアニオン性食品サプリメントまたは美容活性化合物または診断物質における可能性について説明することを意図したものであり、選択の幅を制限するものではない。
【0037】
美容活性化合物は、特に、ケアおよび保護活性化合物である。保護活性化合物には、UVフィルター、抗菌もしくは抗かび活性を有する物質または保存料も該当する。
【0038】
機能活性化合物は好ましくはUVフィルターのクラスより選択される。UVフィルターが機能活性化合物である場合、UVフィルターを完全に固定化することが好ましい。
このようにして、しばしば好ましくないとされるUVフィルターの皮膚への接触のおそれを回避することができる。さらに、活性化合物としてのUVフィルターを対応して選択された基材(例えばZnO)に応じて選ぶことで、広帯域のUVフィルターを提供することができる。活性化合物と基材が異なる吸収特性を有するため、広範な吸収スペクトラムとそれによる保護の改善がもたらされるのである。
【0039】
紫外線放射を吸収する適切なアニオン形成またはアニオン性UVフィルターは、p−アミノベンズイミダゾール−5−スルホネート、3−イミダゾール−4−イルアクリレート、サリチレート、p−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル−2−アセトアミドベンゾエート、p−アミノベンゾエート、シンナメート、3,4−ジメトキシフェニルグリオキシレート、(2−オキソボルン−3−イリデン)−p−キシレン−2−スルホネート、(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホネート、シアノ−4−メトキシシンナメートおよび2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホネートから選ばれる。
【0040】
これらのアニオンは、遊離状態では290〜400nmの波長範囲を吸収することが知られている。これらすべてはサンスクリーン物質として適合する材料であると見なされている。
【0041】
LDH層に固定することで、既知のUVフィルターの吸収特性は保持されるか、あるいは特定の方法により移動する。したがって、アニオンのUVフィルター特性を基材のそれとマッチさせることも最終的には可能である。これはとりわけ興味深いことであり、したがって本発明の実施形態においては、本発明の好ましいやり方に従って、安定した方法で単一の製品としてUV−AおよびUV−Bフィルターのそれぞれの特性を互いに結びつけることが可能である。
【0042】
本発明の目的にとって適切な他の有機材料は、フェノール性プロトンまたは他の弱酸性プロトンを分子中に含むことにより弱酸性の機能を有するものである。このプロトンは、層状複水酸化物中に導入されるアニオンの形成により除去されることが本発明の一部として見出されている。このタイプの化合物由来のアニオンは、吸収スペクトルがもとの化合物とは顕著に異なるが、これらのアニオンは層状複水酸化物中に混合すると、290〜400nm(UV−A領域)において特徴ある吸収を示す。本発明の好ましい実施形態においては、これらのアニオンが層状複水酸化物中に混合するとこのようなスペクトルを示すため、UV−A保護が層状複水酸化物のない元の化合物を用いた場合に比べて増大している事実があるためより有利である。この種のフェノール化合物の重要な群は、ヒドロキシル化ベンゾフェノン誘導体を含む。適切なジケトン化合物(例えば、ジベンゾイルメタン、例としてユーソレックス(登録商標)9020)は酸性エノールの形態で、同様にカプセル封入される。本発明における好ましい実施形態で使用されるアニオンを生じる化合物の例は、下記に示される物質を含むが、これらには限定されない。

CTFA名 化学名
ベンゾフェノン−1 2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
ベンゾフェノン−2 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン
ベンゾフェノン−3 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
ベンゾフェノン−4 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸
ベンゾフェノン−5 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸モノナトリウム塩
ベンゾフェノン−6 2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン
ベンゾフェノン−7 5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン
ベンゾフェノン−8 2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
ベンゾフェノン−9 2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジナトリウム塩
ベンゾフェノン−10 2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン
ベンゾフェノン−12 2−ヒドロキシ−4−オクトオキシベンゾフェノン
ホモサレート ホモメンチルサリチレート
オクチルサリチレート 2−エチルヘキシルサリチレート
中間層アニオンを供給しうる他の化合物としては、ジヴォーダン社からPARSOL 1789として市販されているブチルメトキシジベンゾイルメタンがある。
【0043】
同様に本発明によるこの形態でカプセル封入されるものとして、ポンゴモール、即ち置換された1,3−ジケトンで組織名が1−(4−メトキシ−5−ベンゾフラニル)−3−フェニル−1,3−プロパンジオン、に由来するアニオン種がある。この紫外吸収帯は250〜500nmの範囲であり、吸収係数は5000〜70,000である。このジケトンは米国特許5,152,983号により正確に記載されており、その公開内容はここの記載内容に組み込まれる。
【0044】
これらの物質は、ベンゾフェノン−4とベンゾフェノン−9のいずれも、スルホネート基によりもたらされる強酸性機能と、フェノール性プロトンによりもたらされる弱酸性機能を有する。これらの物質(およびベンゾフェノン−5すなわちベンゾフェノン−4のモノナトリウム塩)において、多価陰イオンの形態が調製され水酸化物固定層に導入される。例えば、ベンゾフェノン−4はモノアニオンとして、およびジアニオンとしての双方の形態で基材に固定化することができる。この物質のモノアニオンとジアニオンの双方の形態およびそれらの所望のいかなる組み合わせを層状複水酸化物中に導入した場合も、サンスクリーンとして適切であり、本発明の保護の範囲にあると見なされる。
【0045】
UVフィルターは、特に好ましくは以下から選択される:フェニルベンズイミダゾリウムスルホン酸(CAS27503−81−7;商品名 ユーソレックス232)、ベンゾフェノン−4(CAS4065−45−6;商品名 ユビナール−MS−40(BASF))、ベンジリデンカンファースルホン酸(CAS56039−58−8;商品名 メキソリルSL(カイメックス/ロレアル))、テレフタリデンジカンファースルホン酸(CAS90457−82−2;商品名 メキソリルSX(カイメックス、ロレアル))、ジナトリウムフェニルジベンズイミダゾリウムテトラスルホネート(CAS180898−37−7;商品名 ネオヘリオパンAP(シムライズ))
適切なアニオン形成保存料は、安息香酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル(PHBエステル)、ソルビン酸、プロピオン酸、酢酸、サルファイト、ジエチルジカーボネート、ジメチルジカーボネート、ナイトライト、ナイトレート、アニオン形成抗生物質およびo−フェニルフェノールである。
【0046】
適切なアニオン形成活性化合物は、同様にバイオフラボノイドも該当する。これらは基本構造がカルコン、オーロン、フラバノン、フラバン−3−オール(カテキン)、フラボン、イソフラボン、フラバン−3,4−ジオール(ロイコアントシアニジン)、フラボノール(3−ヒドロキシ−フラベン−4−オン)またはフラバノノールの群に分類されるためである。
【0047】
下記フラボノイドは例として言及すべきものである:5−ヒドロキシ−7,4’−ジメトキシフラボン 8−サルフェート、7,8−ジヒドロキシフラボン、ルテオリン(フラボン);カテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート(EGCG、テアビゴ(登録商標)DSM)(フラバン−3−オールまたはフラバン−3−オール誘導体);ケンフェロール(フラボノール);タクシフォリン(フラバノノール)。
【0048】
好ましいフラボノイドは、フラボノール、フラボノール o−グリコシド、またはフラボノール o−グリコシドを含む抽出物の群に由来する。フラボノイドは通常植物の細胞液中の可溶性グリコシドとして産出する。
【0049】
好ましいフラボノイドにはアグリコン(糖を含まない構造)およびアグリコン複合体も含まれる。可能なアグリコン複合体はヒドロキシル誘導体であって、水酸基の全部または一部がアルキル化、メチル化、グリシル化、硫酸化またはエステル化されたものである。ヒドロキシル誘導体の他に、C誘導体もアグリコン複合体として適切である。
【0050】
フラボノールの群の中でもとりわけ好ましいのはアグリコンケルセチンである。
【0051】
フラボノール o−グリコシドの中でもとりわけ好ましいのは、フラボノール 3−グリコシド、例えばルチン、(−グルコシルルチン、チリロシド、イソケルセチン、ルチンサルフェート、トリスヒドロキシエチルルチン(トロキセルチン)およびそれらのサルフェートおよびホスフェートである。「ルチンサルフェート」という用語には、ルチンのモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−およびポリサルフェートまたはこれらのルチンサルフェートの混合物が包含される。「トロキセルチン」という用語には、ルチンのモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−およびポリエトキシレートまたはこれらのルチンエトキシレートの混合物が包含される。フラボノール 7−および 8−グリコシドも使用することが可能である。
【0052】
記載された物質の分類はとしてのみ見なされるべきものであり、単に本発明の説明を意図したものであって、技術的範囲の制限を意図したものではない。様々な活性化合物は、もちろんそれぞれ組み合わせることが可能である。すなわち、複数の機能活性化合物を基材に固定することが可能である。
【0053】
このようにして固定化する活性化合物の量は、顔料全体ベースで0.001〜50重量%である。好ましくは0.5〜20.0重量%、特に1.0〜10.0重量%が固定化される。
【0054】
本発明の特に好ましい実施形態においては、アニオン結合層、活性化合物に加えてさらにアニオン形成有機、無機および/または有機金属着色剤を含む。これにより多機能粒子は活性化合物の機能作用に加えて、さらに色効果を示すようになる。このように、2つのそれぞれ独立した特性がお互いに組み合わされる。このことは、ユーザーにとっては、機能性作用と色効果とを適用する系に別々に加える要素として導入する必要がなく、ただ1つの要素として加えることで実施可能であるという点で有利である。これにより処方品の調製が単純化され、応用の変化も増大する。複数の機能を1回の作業ステップで同時に加えることにより、調製時間が短縮されることで需要者にとってもさらに節約になる。事実として加えることとして、有機活性化合物/着色剤またはそれらの混合物は、基材に固定されているためすでにあらかじめ分散した状態にある。なぜならば、固定されていない有機活性化合物/着色剤は、よく知られているように、しばしば分散が困難であるからである。これに対して、本発明による粒子は、この時間がかかりエネルギーを費やす分散ステップが不要であり、あるいは非常に短縮された形態でしか起こらない。
【0055】
とりわけ、使用される基材の干渉色が着色剤の吸収色と対応する場合、極めて強い色印象が達成される。もし基材の干渉色が着色剤の吸収色と異なる場合は、魅力的な多色効果が達成され、これが機能活性化合物の作用と結びつくことになる。
【0056】
このタイプの着色剤は次のようなものが可能である:有機染料もしくは顔料由来の、または染料もしくは顔料の前駆体由来のアニオン、あるいは無機もしくは有機アニオンまたはフリーラジカルアニオンまたはヘテロポリアニオン、あるいは上記着色剤の混合物。
【0057】
化粧品以外の用途に用いられる着色剤としては、原則的にすべてのアニオン性もしくはアニオン形成染料が使用できる。適切なものとしては、特にC.I.アシッド染料が挙げられ、例えば以下のようなものである:
C.I.アシッドイエロー13、C.I.アシッドイエロー17、
C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー25、
C.I.アシッドイエロー36、C.I.アシッドイエロー38、
C.I.アシッドイエロー42、C.I.アシッドイエロー44、
C.I.アシッドイエロー56、C.I.アシッドイエロー65、
C.I.アシッドイエロー76、C.I.アシッドイエロー127、
C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドオレンジ10、
C.I.アシッドオレンジ19、C.I.アシッドオレンジ65、
C.I.アシッドオレンジ67、
C.I.アシッドレッド1、C.I.アシッドレッド13、
C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド32、
C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド38、
C.I.アシッドレッド42、C.I.アシッドレッド88、
C.I.アシッドレッド119、C.I.アシッドレッド131、
C.I.アシッドレッド138、C.I.アシッドレッド154、
C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドレッド299、
C.I.アシッドバイオレット14、C.I.アシッドバイオレット42、
C.I.アシッドバイオレット43、
C.I.アシッドブルー25、C.I.アシッドブルー40、
C.I.アシッドブルー43、C.I.アシッドブルー62、
C.I.アシッドブルー92、C.I.アシッドブルー113、
C.I.アシッドブルー117、C.I.アシッドブルー129、
C.I.アシッドグリーン1、C.I.アシッドグリーン25、
C.I.アシッドグリーン41、
C.I.アシッドブラック1、C.I.アシッドブラック24、
C.I.アシッドブラック26、C.I.アシッドブラック48、
C.I.アシッドブラック210、C.I.アシッドブラック234、
C.I.アシッドブラウン14、C.I.アシッドブラウン20。
【0058】
さらに、C.I.リアクティブ染料も適切であり、例えば以下のようなものが挙げられる:
C.I.リアクティブイエロー4、C.I.リアクティブイエロー17、
C.I.リアクティブオレンジ1、
C.I.リアクティブレッド8、C.I.リアクティブレッド12、
C.I.リアクティブレッド23、
C.I.リアクティブブルー15、C.I.リアクティブブルー19、
C.I.リアクティブブルー216、
C.I.リアクティブブラック5、C.I.リアクティブブラック8、
C.I.リアクティブブラック31。
【0059】
C.I.ダイレクト染料もまた適切であり、例えば以下のようなものが挙げられる:
C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトイエロー27、
C.I.ダイレクトイエロー29、C.I.ダイレクトイエロー50、
C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトオレンジ26、
C.I.ダイレクトレッド23、C.I.ダイレクトレッド75、
C.I.ダイレクトレッド76、C.I.ダイレクトレッド79、
C.I.ダイレクトレッド80、C.I.ダイレクトレッド81、
C.I.ダイレクトレッド250、
C.I.ダイレクトブルー78、C.I.ダイレクトブルー86、
C.I.ダイレクトブルー93、C.I.ダイレクトブルー106、
C.I.ダイレクトグリーン26、
C.I.ダイレクトブラック19、C.I.ダイレクトブラック22、
C.I.ダイレクトブラック51、C.I.ダイレクトブラック150、
C.I.ダイレクトブラック151、C.I.ダイレクトブラック166、
C.I.ダイレクトブラック168。
【0060】
最後に、例えば以下に挙げるようなC.I.モーダント染料を使用することも可能である:
C.I.モーダントイエロー1、C.I.モーダントイエロー5、
C.I.モーダントイエロー30、
C.I.モーダントレッド7、C.I.モーダントレッド19、
C.I.モーダントレッド30、
C.I.モーダントブルー7、C.I.モーダントブルー13、
C.I.モーダントブラック3、C.I.モーダントブラック9、
C.I.モーダントブラック11、
C.I.モーダントブラウン33、C.I.モーダントブラウン48、
しかしながら、C.I.ソリュビライズドサルファーレッド11および、例えば次のような蛍光染料も使用可能である:
C.I.ベーシックイエロー40、C.I.ベーシックレッド12、
C.I.ソルベントイエロー94。
【0061】
化粧品への使用を許可された有機染料および顔料または前駆体およびそれらの混合物のアニオンを使用することが好ましい。
例を挙げれば次の通り:
FD&Cイエロー5(タルトラジン)、
FD&Cイエロー6(サンセットイエローFCF)、FD&Cイエロー10、
FD&Cレッド3(エリスロシン)、FD&Cレッド6(リソールルビンB)、
FD&Cレッド7(リソールルビンBN)、FD&Cレッド21、FD&Cレッド27、
FD&Cレッド28(フロキシンB)、FD&Cレッド33、
C.I.ナチュラルレッド33、FD&Cレッド36、FD&Cレッド40、カーミン、
FD&Cブルー1(ブリリアントブルーFCF)、
C.I.ナチュラルグリーン3(E141)、FD&Cブルー、
FD&Cブラック1(ブリリアントブラック)。
【0062】
特に、基材上のアニオン結合層の上に少なくとも2種類の着色剤アニオンの混合物を固定することも可能である。
これにより得られる色の変化は無数に及ぶ。
【0063】
同様に、着色剤の混合物の百分率組成についても何ら制限が設けられるべきではない。
【0064】
ここで記載されている着色剤は実例としてのみ見なされるべきものであり、単に本発明の説明を意図したものであって、技術的範囲の制限を意図したものではない。
様々な基材を、他のアニオン性の/アニオンを形成する有機または無機着色剤と組み合わせることも勿論可能である。
【0065】
アニオン形成有機、無機および/または有機金属着色剤の割合は顔料全体に対して0.01〜30重量%、特に0.5〜10重量%である。
【0066】
本発明のとりわけ好ましい、説明された実施形態においては、アニオン結合層がCa0.67Fe0.33(OH)2(Zn-0.33/n . mH2Oからなり、UVフィルターおよび/または肌活性物質を含む。この混合物は薄片状干渉顔料の上に沈殿している。美容用途における肌補正剤として使用するのにとりわけ適切である多機能粒子はこのようにして得られる。基材の干渉色とアニオン結合層の肌色の吸収色は肌の色の不均質の直接知覚できるような光学補正をもたらし、複合材料に結合した物質はさらなる有利な効果を確実にする。この効果は光学的のみならず、これら皮膚の変色を積極的に抑制するか、少なくともはっきりと減少させるものである。
【0067】
本発明の別の実施形態では、安定化無機および/または有機コーティングがさらに粒子に対して適用される。この「ポスト−コーティング」は、用途分野にもよるが、光、水および天候に対する安定性を高めるものである。製品のにじみ安定性もさらに高められる。このタイプのコーティングは、例えば:DE 2215191、DE 3151354、DE 3334598、EP 0632109、US 5,759,255、DE 4317019、DE 3929423、DE 3235017、EP 0492223、EP 0342533、EP 0268918、EP 0141174、EP 0764191、WO 98/13426、EP 0090259、EP 0634459、WO 99/57204、WO 96/32446、WO 99/57204、US 5,571,851、WO 01/92425または EP 0465805に示されており、これらで公開された内容は参考文献として本願の記載に加えられる。ポスト−コーティングのための無機材料として適切なのは、Al、Si、Zr、Ce、Zn、Feの酸化物および/または酸化物水和物、および/またはそれらの混合物であり、好ましくはAl、Ce、Zn、Zrおよび/またはSiの酸化物および/または酸化物水和物である。前記層はそれぞれの酸化物および/または酸化物水和物の個々の層の形態をとってよいし、混合層の形態をとってもかまわない。さらに、酸化物を単独で堆積させるだけでなく、酸化物と硫酸塩、リン酸塩および/またはホウ酸塩の混合物もまた使用することができる。硫酸塩の例はZnSO4およびCaSO4であり、リン酸塩の例はAlPO4およびCePO4であり、そしてホウ酸塩の例はAlBO4である。
【0068】
これらの材料は高い透明度、無色またはごくわずかの固有色および高い輝きによって特徴づけられ、顔料の色特性になんら影響を与えないことを意味している。概して、追加安定化コーティングのそれぞれの割合は本発明による顔料の光学特性が目立った影響を受けない範囲で選択するべきである。
【0069】
所望により適用される有機コーティングはカップリング剤として働き、下記一般式で表されるオルガノシラン、オルガノアルミネート、オルガノチタネートおよび/またはオルガノジルコネートからなる:
4-n-mZ−Rn(−B−Y)m
ここでX=OH、ハロゲン、アルコキシまたはアリールオキシであり、Z=Si、Al、TiまたはZrであり、R=アルキル、フェニルまたは水素であり、B=有機の少なくとも二価性の基(アルキレンまたはアルキレンオキシアルキレン)であり、Y=アミノ、置換アミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シロキサン、アセトキシ、イソシアネート、ビニル、アクリロイル、エポキシド、エポキシプロピルオキシ、イミダゾールまたはウレイド基であり、nおよびm=0、1、2または3、ここでn+m≦3である。
【0070】
カップリング剤は表面に結合するアンカー基(X4-n-mZ)、少なくとも1つの疎水基(R、B)および1個以上の官能基(Y)からなる。ここでZ=Siである化合物がカップリング剤として好ましい。アンカー基は好ましくはアルコキシシランからなる。このアルコキシシランは加水分解反応条件下で対応するヒドロキシル基に転換できるものである。後者は顔料の表面に結合して酸素の橋を介した固着を達成することができる。さらに、混合状態でも単独でも使用可能な異なったカップリング剤の混合物を使用することも可能である。
【0071】
有機コーティングは適切な官能基を選ぶことによって、使用する媒体に合致するように調整することができる。さらに、カップリング剤をその官能基と使用する媒体中の対応する官能基を反応させることにより、顔料と媒体の間に追加の結合を形成することも可能である。特別な実施形態では、本発明による顔料の表面は使用する媒体に合致した有機官能基の組み合わせによって修飾されている。異なったカップリング剤の混合物を有機コーティングの中で使用することもこの目的には適切である。例えば、アルキルシランのようなアルキル含有カップリング剤との一体化により、顔料表面を疎水性に適応させることができる。オルガノシランに加えて、その加水分解物ならびに均一および不均一なオリゴマーおよび/またはポリマーも、同様に単独で、あるいはシラン、ジルコネート、アルミネート、ジルコンアルミネートおよび/またはカルボキシジルコンアルミネートと組み合わせて有機コーティングとして使用することができ、同様に好ましい。特に好ましいのは、異なったカップリング剤の混合物、特に互いに異なった官能基Yを有する混合物を含む有機コーティングであり、特に広い応用範囲が保証されている。
【0072】
オルガノシランの例としては、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、i−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランが挙げられ、好ましくはn−オクチルトリメトキシシランおよびn−オクチルトリエトキシシランである。アルコールを含まない適切なオリゴマーのオルガノシラン加水分解物は、とりわけ、シベント社からダイナシラン(登録商標)の商品名で発売されている製品であり、例えばダイナシランHS2926、ダイナシランHS2909、ダイナシランHS2907、ダイナシランHS2781、ダイナシランHS2776、ダイナシランHS2627などが挙げられる。さらに、オリゴマーのビニルシランおよびアミノシラン加水分解物は有機コーティングとして適切である。官能基を有するオルガノシランとしては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、1,3−ビス(3−グリシドオキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、好ましくは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。重合性シラン系の例は、国際特許公開WO 98/13426に記載されており、例えばシベント社からハイドロシル(登録商標)の商品名で発売されている。
【0073】
有機コーティングの量は顔料を基準として0.2〜5重量%であり、好ましくは0.5〜2重量%である。
【0074】
本発明はさらに本発明による粒子の製造方法に関する。ここで基材、金属カチオン塩、活性化合物または着色剤塩あるいはこれらの塩の混合物(以下「活性化合物塩」と略す)、ならびに苛性アルカリ溶液および/または苛性アルカリ溶液前駆体(例えば尿素)の懸濁液は、溶媒または溶媒混合物中で50〜120℃の温度で攪拌され、アニオン結合層が基材上に形成される。ここでアニオン結合層はアニオン形成有機活性化合物、を含むものであり、製品は続いて分離され、洗浄され、乾燥され、さらに必要に応じふるいにかけられる。
【0075】
最も単純な場合では、基材、金属カチオン塩および活性化合物塩を最初に苛性アルカリ溶液および/または苛性アルカリ溶液前駆体とともに懸濁液中に導入し、層状複水酸化物の場合、使用するLDHおよび着色剤のタイプにもよるが10〜120℃の温度で2〜48時間にわたって攪拌する。反応懸濁液を冷却した後、製品を吸引濾過し、適切な溶媒で流出する濾液から活性化合物がほとんどなくなるまで洗浄する。続いて濾過ケーキを50〜180℃で乾燥し、必要に応じ所望の細かさにまでふるいにかける。
【0076】
別の変形態様では、金属カチオン塩の溶液を、基材、活性化合物塩ならびに苛性アルカリ溶液および/または苛性アルカリ溶液前駆体の懸濁液に加えることもできる。最も単純な場合では、基材、苛性アルカリ溶液および/または苛性アルカリ溶液前駆体ならびに活性化合物塩が懸濁液中に初めに導入されることを意味する。金属カチオン塩の溶液はその後室温で滴下して加えられる。溶液を加え終えたら、反応混合物を使用するLDHおよび活性化合物のタイプにもよるが50〜100℃にまで加熱し、2〜48時間にわたって攪拌する。反応懸濁液を冷却した後、製品を吸引濾過し、適切な溶媒で流出する濾液から活性化合物がほとんどなくなるまで洗浄する。続いて濾過ケーキを50〜180℃で乾燥し、必要に応じ所望の細かさにまでふるいにかける。
【0077】
適切な苛性アルカリ溶液は、NaOH、KOHまたはNH3の水溶液であるが、苛性アルカリ溶液前駆体、例えば尿素のように、反応媒体中でのみ、例えば加水分解することで苛性アルカリ溶液そのものを遊離するものも利用できる。反応中のpH(これは反応全体を通してのpH挙動を意味する)は、通常2〜13であり、特に3〜11である。
【0078】
LDH層の形成のために適切な金属カチオンは、専門の文献によって知られている。適切な金属カチオン塩は、原則としてはAl3+、Cr3+、Fe3+、Ga3+、In3+、Y3+、La3+、Ce3+、Ba2+、Ca2+、Cu2+、Mg2+、Sr2+および/またはZn2+カチオンとのすべての塩であり、これらから層状複水酸化物からなるアニオン結合層が製造される。
【0079】
特に、前記金属カチオン塩は対応するハロゲン化物であり、とりわけ塩化物、臭化物またはヨウ化物である。しかしながら、硫酸または硝酸アニオンと金属カチオンとの塩もまた適切である。対応する塩化物および硝酸塩は特に非常に適切に用いられる。
【0080】
本発明による多機能粒子の調製における、別の2段階からなる変形態様では、基材/基材混合物、金属カチオン塩ならびに溶媒または溶媒混合物中の苛性アルカリおよび/または尿素の懸濁液を、10〜120℃の温度で攪拌し、層状複水酸化物からなるアニオン結合層を基材上に形成させる。続いて中間体は分離され、洗浄され、50〜300℃で乾燥され、さらに必要に応じふるいにかけられる。このLDH被覆された基材は続いてアニオンを形成する有機機能性活性化合物の溶液に加えられ、攪拌される。この変形プロセスでは、イオン交換が起こり、アニオン結合複水酸化物のアニオンZn-がアニオンを形成する活性化合物で置換される。反応懸濁液を冷却した後、製品を吸引濾過し洗浄する。濾過ケーキを40〜70℃で乾燥する。乾燥したハイブリッド顔料はその後必要に応じ擂り潰し、あるいはふるいにかける。
【0081】
最後に述べた方法では、使用される金属塩は対応する塩化物もしくは硝酸塩が適切に使用されるべきである。その理由はこれら2種のアニオンが後の段階において最も速く交換されるからである。この2段階からなる方法は温度敏感性の活性化合物にとって特に適切でもある。その理由は、他の方法に比較して、活性化合物が合成の間に長時間高温にさらされることがなく、加えて活性化合物を含む最終製品がかなり低い温度で乾燥可能であるからである。
【0082】
さらに、この2段階合成の変形態様は、中間体を基材上に形成された層状複水酸化物からなるアニオン結合層とともに300〜600℃の温度で焼成することを、アニオンを形成する有機活性化合物の溶液を加える前に行うのでこの点でも有利であることが立証されている。この、好ましくはLDHで被覆された基材は、300〜600℃で焼成されることでまずLDO被覆された基材へと変換される。LDO(層状複酸化物)は続いて水性のまたは水を含んだ媒体中でLDH構造を再度形成し、挿入をより容易かつ完全なものにすることを促進する。
【0083】
上述した2段階からなる方法の別の変形態様では、まずLDHまたはLDOで被覆された基材の懸濁液を調製し、次いで活性化合物アニオンの溶液を20〜70℃で攪拌しながら加えることもできる。混合物は通常この温度で2〜48時間にわたって攪拌される。活性化合物の固定を完了した後、製品を吸引濾過し、適切な溶媒で流出する濾液から活性化合物がほとんどなくなるまで洗浄する。続いて濾過ケーキを40〜70℃で乾燥し、必要に応じ所望の細かさにまでふるいにかける。
【0084】
上記の方法は活性化合物を含む粒子の製造と、また活性化合物と着色剤の組み合わせを含む粒子の好ましい製造のいずれにも適切である。ここで着色剤は最初から活性化合物との混合物に存在していても、あるいは後で添加されてもよい。とりわけ、まず着色剤または活性化合物を含む粒子を製造し、次いで後続段階として他の対応する要素を前記記載のイオン交換手段によりアニオン結合層に組み込むことも可能である。
【0085】
さらに、無機および/または有機コーティングを本発明に従って同様の方法で外側の層としてさらに適用することもできる。このタイプのコーティング方法の例は、とりわけEP 0632109、US 5,759,255、DE 4317019、DE 3929423、DE 3235017、EP 0492223、EP 0342533、EP 0268918、EP 0141174、EP 0764191、WO 98/13426またはEP 0465805に示される。本発明による顔料の合成における無機および/または有機コーティングの例および関連する利点については、上に既に示した通りである。有機コーティングを適用する工程段階は、本発明による方法の他の段階の直後に行うことができる。カップリング剤は60℃を超える温度の、好ましくは70℃を超える温度の溶液中で使用される。適切な溶剤は、有機溶剤、水またはこれらの混合物であり、好ましくは水である。有機コーティングの適用に必要な反応時間は少なくとも5分間であり、好ましくは10〜90分の間で行われるが、所望によりさらに延長することもできる。得られた顔料は当業者に良く知られた方法、例えば濾過、乾燥およびふるいわけで仕上げ・分離される。
【0086】
本発明の粒子は様々な用途に用いられる。したがって本発明は、化粧品、薬剤、処方、塗料、コーティング、プラスチック、フィルムにおいて、証券印刷において、文書および身分証明書における安全対策において、種子の着色のために、食品または薬剤のコーティングの着色のために、ならびに顔料組成物および調製品および乾式調合品の製造のために本発明による粒子を使用することにも関する。
【0087】
化粧品の場合では、本発明によるハイブリッド顔料は、例えば、軟膏、クリーム、ペースト、マニキュア液、カラーリングパウダー、リップスティックまたはアイシャドー、石鹸、練り歯磨き、セルフ・タンニングのような、装飾的およびケア用化粧品における製品や処方において特に適切である。本発明によるハイブリッド顔料は、もちろんすべてのタイプの化粧品の原料および助剤と組み合わせて処方することもできる。これらは、とりわけ、油、脂肪、ワックス、塗膜形成要素、保存料、ならびに一般的に適用特性を決める助剤、例えば増粘剤およびレオロジー添加剤、および/または界面活性助剤などであり、その中でレオロジー添加剤としては例えばベントナイト、ヘクトライト、二酸化珪素、珪酸カルシウム、ゼラチン、高分子量炭水化物などが挙げられる。本発明によるハイブリッド顔料を含む処方は、脂溶性、親水性または疎水性のいずれのタイプでもよい。水性および非水性の別個の相を有する不均一な処方の場合では、本発明の粒子は2相のうちの一方のみであっても両方の相に分配されていてもよい。
【0088】
水性の処方のpH値は5〜14でよく、好ましくは5〜11、特に好ましくは6〜9である。すでに概説したように、この処方品におけるpHはLDH固定層の機能を決定づける:pH6未満では、LDHは徐々に溶解し、制御された放出機能を生じる。対照的に、6を上回るpHが処方品中で優勢であれば、LDHは安定し、結合したアニオンにとって固い「容器」を提供することになる。使用される範囲や制御された放出機能は、もちろんのことであるがすでに言及した追加後被覆に顕著に影響される。したがって、後被覆による、より広いpH領域での安定性は制御された放出機能の部分的もしくは完全な損失を伴うこともある。後者は、例えば好ましくはUVフィルターの固定の間になされる。
【0089】
有機UVフィルターは一般的に重量基準で0.5〜10%の量で、好ましくは1〜8%の量で、また無機フィルターは0.1〜30%の量で化粧調合品に組み込まれる。処方される本発明によるハイブリッド顔料の濃度についての制限はない。用途にもよるが0.001%(水で洗い流せる製品、例えばシャワー用ジェル)〜99%(例えば特別な用途のための光沢効果用品)とすることが可能である。本発明によるハイブリッド顔料は、さらに化粧品の有効成分と組み合わせても用いられる。適切な有効成分としては、例えば、虫除け剤、UVA/BC保護フィルター(例えばOMC、B3、MBC)、老化防止の有効活性化合物、ビタミン類およびそれらの誘導体(例えばビタミンA、C、E、など)、セルフ・タンニング剤(例えばDHA、とりわけエリスルロース)、そしてさらに例えば、ビサボロール、LPO、エクトイン、エンブリカ、アラントイン、バイオフラボノイドおよびそれらの誘導体のような化粧品有効活性化合物が挙げられる。一般的に、本発明の粒子は、これもアニオン結合層を介して基材と結合している他の材料/材料混合物と結合させてもよい。これにより、例えば、処方品の適用後すぐの作用(結合していない活性化合物による)の後、さらに遅れた作用(LDHに結合した活性化合物の制御放出)が長時間伴うような処方が可能になある。
【0090】
本発明による製品ではさらに、従来の皮膚保護またはスキンケア有効成分を含んでもよい。これらは原則としては当業者に公知の有効活性化合物である。
【0091】
特に好ましい有効活性化合物はピリミジンカルボン酸および/またはアリールオキシムである。
【0092】
化粧品に使用する場合、エクトインおよびエクトイン誘導体を老化した、乾燥したあるいは炎症を起こした皮膚のケアに使用することについて特に言及すべきである。そこで、欧州特許出願EP−A−0671161では、特に、エクトインおよびヒドロキシエクトインが、パウダー、石鹸、界面活性剤を含んだクレンジング製品、リップスティック、ルージュ、メイク、ケアクリームおよび日焼け止め組成物のような化粧品の調製に用いられることが記載されている。
【0093】
言及されている化粧品処方の使用形態としては、例えば:溶液、懸濁液、乳液、PIT乳液、ペースト、軟膏、ジェル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤を含んだクレンジング組成物、油、エアロゾルおよびスプレーが挙げられる。他の使用形態の例としてはスティック、シャンプーおよびシャワー調製品が挙げられる。所望とする通例の担体、助剤であればいかなるものでも、また、所望により、さらなる有効成分を調製品に加えてもよい。
【0094】
軟膏、ペースト、クリームおよびジェルは、通例の物質、例えば動物性および植物性の脂肪、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの物質の混合物を含む。
【0095】
パウダーおよびスプレーは、通例の物質、例えば乳糖、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含む。スプレーはこれに加えて通例の高圧ガス、例えばクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルを含む。
【0096】
溶液および乳濁液は、溶剤、可溶化剤および乳化剤、例えば水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、油、特に綿実油、落花生油、とうもろこし胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびゴマ油、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物のような通例の物質を含む。
【0097】
懸濁液は、液体の希釈剤、例えば水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁液媒体、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、またはこれらの物質の混合物のような通例の物質を含む。
【0098】
石鹸は、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物抽出物、グリセリン,糖類、またはこれらの物質の混合物のような通例の物質を含む。
【0099】
界面活性剤を含んだクレンジング製品は、脂肪アルコールサルフェートの塩、脂肪アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性および合成の油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセリン脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物のような通例の物質を含む。
【0100】
顔用および身体用油は、例えば、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーン油のような合成の油、植物油および油性植物抽出物、パラフィン油、ラノリン油のような天然の油、またはこれらの物質の混合物のような通例の担体を含む。
【0101】
化粧品の調製品には様々な形態が存在する。したがって、例えば、溶液、水を含まない調製(品)、油中水(W/O)または水中油(O/W)型の乳濁液またはマイクロエマルジョン、多重エマルジョン例えば水中油中水(W/O/W)型のもの、ジェル、固体スティック、軟膏またはエアロゾルが挙げられる。エクトインを投与するには、カプセルに入れられた形態、例えばコラーゲン基質中および他の従来のカプセル封入材料、例えばセルロースカプセル封入として、ゼラチン、ワックス基質中またはリポソームのカプセルに入れられたものなども有利である。特に、ドイツ特許出願DE−A4308282に記載されたワックス基質が好ましいことが立証されている。好ましいのは乳濁液である。O/W乳濁液が特に好ましい。乳濁液、W/O乳濁液およびO/W乳濁液は従来の方法で得られる。
【0102】
別の実施形態は天然または合成の油およびワックス、ラノリン、脂肪酸エステル特に脂肪酸トリグリセリドをベースにした油性のローション、あるいは、エタノールのような低級アルコール、プロピレングリコールのようなグリコール、および/またはグリセリンのようなポリオール、ならびに油、ワックスおよび脂肪酸トリグリセリドのような脂肪酸エステルをベースにした油性のローションである。
【0103】
固体スティックは、天然若しくは合成のワックスおよび油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリンおよび他の脂肪質の物質からなる。
【0104】
エアロゾル製品を調製する場合、アルカン、フルオロアルカンおよびクロロフルオロアルカンのような通例の高圧ガスが使用される。
【0105】
化粧品調製品は、変色、脱色または機械的な性質のダメージを防ぐことで、毛髪を光化学作用によるダメージから保護するのにも用いられる。この場合、適切な処方は洗い流しのシャンプー、ローション、ジェルまたは乳濁液の形態でなされ、問題の調製品は洗髪の前または後、着色または脱色の前または後、あるいはパーマの前または後に使用される。毛髪のスタイリングまたはトリートメントのためのローションまたはジェルの形態の調製品、ブラッシングまたはブローウェーブ整髪のためのローションまたはジェルの形態の調製品、毛髪用のヘアマニキュア、パーマ組成物、着色剤または毛髪用の脱色剤の形態の調製品を選択することも可能である。光−保護特性を有する調製品は、界面活性剤、増粘剤、ポリマー、軟化剤、保存料、気泡安定剤、電解液、有機溶剤、シリコーン誘導体、油、ワックス、アンチグリース剤、組成物自体、毛髪または他のヘアケアで通常使用される原料を着色する染料および/または顔料などのような助剤を含んでもよい。
【0106】
この粒子の塗料およびコーティング用としての使用の場合、例えば、パウダーコーティング、自動車塗料、グラビア、オフセット、スクリーンまたはフレキソ印刷のためのインク、および戸外で使用されるコーティングのような、当業者に公知のすべての分野に使用可能である。ここに挙げる塗料およびコーティングは、例えば、放射線硬化、物理的乾燥または化学的硬化を行うことができる。多様なバインダーが印刷用インクや液体による表面コーティングのための調製品として適切であり、例えばアクリレート、メタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリビニルブチレート、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、澱粉またはポリビニルアルコール、アミノ樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニルまたはこれらの混合物、特に水溶性のグレードのものをベースにしたものが挙げられる。表面コーティングはパウダーコーティングまたは水もしくは溶剤ベースのコーティングでよいが、ここでコーティング成分の選択は、当業者の一般知識の一部である。パウダーコーティングのための一般的な重合体のバインダーは、例えば、ポリエステル、エポキシド、ポリウレタン、アクリレートまたはこれらの混合物である。
【0107】
さらに、本発明による粒子は、フィルムおよびプラスチック、例えば農業用のシート、赤外線−反射性のホイルおよびシート、贈答用ホイル、プラスチック容器および成形品において、当業者に公知のすべての用途のために用いられる。本発明による粒子を混和するために適切なプラスチックは、すべての一般的なプラスチック、例えば熱硬化性または熱可塑性のものである。可能な用途および使用可能なプラスチック、製造方法および添加剤についての説明は、例えばRD 472005、または、R.Glausch、M.Kieser、R.Maisch、G.Pfaff、J.Weitzel、「真珠光沢顔料」Curt R.Vincentz Verlag、1996、83頁以降においてなされており、そこで開示されている内容もここに組み込む。
【0108】
さらに、本発明による粒子は、証券印刷において、および、例えば、偽造が防止されたカードおよび、例えば入場券、個人身分証明書のような身分証明書、銀行券、小切手および小切手保証カードのための、また他の偽造が防止された文書のための安全相当対策にも適切である。農業の分野では、この粒子は種子および他の出発原料の着色、さらに食品分野では食品の着色にも用いられる。本発明による粒子は、例えば、錠剤または糖衣錠のような薬剤の着色コーティングにも同様に使用できる。
【0109】
本発明による粒子は前記で言及した用途分野において、有機染料および/または顔料、例えば、透明なおよび不透明な、白色、有色および黒色顔料のような顔料と、また薄片状酸化鉄、有機顔料、ホログラフィー顔料、LCPs(液晶ポリマー)および従来の金属酸化物で被覆された雲母、ガラス、Al23、Fe23、SiO2などをベースにした薄片ベースの透明な、有色および黒色光沢顔料と混合して使用しても同様に適切である。前記で言及した材料および顔料構造の例および実施形態については、例えば研究発表RD471001およびRD472005において与えられ、これらの開示内容も参考文献として組み込まれる。本発明による粒子は市販の顔料または増量剤といかなる比率で混合してもよい。
【0110】
言及される増量剤は、例えば、天然および合成の雲母、ナイロン粉末、純粋なまたは増量されたメラミン樹脂、タルク、ガラス、カオリン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛の酸化物または水酸化物、BiOCl,硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭素、これらの物質のおよび物理的または化学的組み合わせである。増量剤の粒子の形状については制限はない。必要に応じて例えば、薄片状、球形または針状とすることができる。
【0111】
本発明による粒子は、本発明による,1種以上の粒子、バインダー、および任意に1以上の添加剤を含む、流動性の顔料組成物および、乾式調合品にとってもさらに適切である。乾式調合品は、0〜8重量%、好ましくは2〜8重量%、特に3〜6重量%の水および/または溶剤または溶剤混合物を含む調製品をも意味する。乾式調合品は、好ましくは球状、顆粒、小片状、ソーセージ状または豆炭状の形態であり、粒子のサイズは0.2〜80mmである。乾式調合品は、特に、印刷用インクの調製や化粧品処方で用いられる。
【0112】
本発明はさらに、化粧品、薬剤、処方、塗料、コーティング、プラスチック、フィルム、文書および身分証明書、種子、食品または薬剤のコーティングおよび本発明による粒子を含む顔料組成物および乾式調合品にも関する。
【0113】
前記で言及したすべての特許出願、特許ならびに刊行物の開示内容のすべてを、参考文献として本願に組み込む。
【0114】
下記実施例は本発明をより詳細に説明することを意図したものであり、技術的範囲を制限することを意図したものではない。
【実施例】
【0115】
実施例1
ガラス薄片50g(ECRガラス;分画:10〜100μm、基材厚さ:870nm)を水300mlおよびNaOH溶液(0.5M)150mlに加える。30分の撹拌後、C.I.FD&Cレッド6”ユニピュアレッドLC303”2.9gを着色剤前駆体として、また、ネオヘリオパンAP 2.9gをUV‐Aフィルターとして加える。MgCl2×6H2O 10.15g、AlCl3×6H2O 6.05g、および尿素20.95gをそれぞれ約100mlの水に溶解し、同様に加える。混合物を24時間還流させながら攪拌する。懸濁液を冷まし、残留物を吸引濾過し、水で洗浄する。残留物を50℃で乾燥すると、有機UVフィルターが含まれるためにUV‐A領域にさらなる吸収帯を持つ、明るい赤色の光沢のある粒子が得られる。
【0116】
実施例2
赤色干渉顔料50g(約4重量%のSiO2、約1重量%のSnO2、および約25重量%のTiO2で被覆されたECRガラス;分画:10〜100μm、基材厚さ:850nm)を水190mlおよびNaOH溶液(0.5M)310mlに加える。30分の撹拌後、ルチンサルフェート(特定のバイオフラボノイド)4gを活性化合物として加える。MgCl2×6H2O10.15gを約150mlの水に溶解し、Feを15重量%含むFeCl3溶液9.3gを1時間にわたって攪拌しながら加え混合する。続いて混合物に水を加えて全量を750mlにする。混合物を12時間還流させながら攪拌する。懸濁液を冷まし、残留物を吸引濾過し、流出する濾液がほとんど活性化合物を含まなくなるまで水で洗浄する。残留物を60℃で乾燥することで、処方されたルチンサルフェートがpH6未満で抗酸化作用のために放出される、赤色の干渉色を有する光沢のある顔料が得られる。
【0117】
実施例3
a)ティミロン(登録商標)スプレンディッド・レッド(分画:10〜60μmの雲母をベースとした多層赤色干渉顔料)50gを水190mlおよびNaOH溶液(0.5M)310mlに加え、30分間撹拌する。CaCl2×2H2O7.34gおよびAlCl3×6H2O6.05gを200mlの水に溶解して、1時間にわたって攪拌しながら加える。続いて混合物に水を加えて全量を750mlにする。混合物を12時間還流させながら攪拌する。懸濁液を冷まし、残留物を吸引濾過し、約2Lの水で洗浄する。残留物をまず110℃で乾燥し、続いて300〜600℃で焼成する。
【0118】
b)フェニルベンズイミダゾリウムスルホン酸(ユーソレックス(登録商標)232、UV‐Bフィルター)2.9gをpH=7.5‐8.0で500mlの水に溶かす。
次いでステップa)で得られた中間体25gを加える。懸濁液を12時間攪拌し、製品を吸引濾過し、流出する濾液からUVフィルターがほとんど検出されなくなるまで続いて製品を50℃で乾燥する。これにより有機UVフィルターが含まれるためにUV‐B領域にさらなる吸収帯を持つ、弱い赤い干渉色を有する顔料が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、1以上のアニオン形成有機活性化合物を含むアニオン結合層とを含んでなる粒子。
【請求項2】
基材がアニオン結合層で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
アニオン結合層が層状の複水酸化物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の粒子。
【請求項4】
基材が薄片状、球状、針状または不規則な形状であることを特徴とする請求項1〜3の1項以上に記載の粒子。
【請求項5】
有機活性化合物が薬用活性化合物、食品サプリメント、診断用物質および化合物および/または美容活性化合物の群から選択されることを特徴とする請求項1〜4の1項以上に記載の粒子。
【請求項6】
有機活性化合物が1種以上のアニオン形成フェノキシド、エノレート、カルボキシレート、サルフェート、スルホネート、スルフィネート、ジチオレート、ホスフェートおよび/またはホスファイト構造単位を含有することを特徴とする請求項1〜5の1項以上に記載の粒子。
【請求項7】
有機活性化合物が少なくとも2種以上のアニオン形成フェノキシド、エノレート、カルボキシレート、サルフェート、スルホネート、スルフィネート、ジチオレート、ホスフェートおよび/またはホスファイト構造単位を含有することを特徴とする請求項1〜6の1項以上に記載の粒子。
【請求項8】
金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシナイトライド、またはそれらの物質の混合物からなる1つ以上の透明な、半透明な、および/または不透明な層が、基材上でアニオン結合層の下に適用されていることを特徴とする請求項1〜7の1項以上に記載の粒子。
【請求項9】
前記基材が、イオンまたは元素によりドープされていることを特徴とする請求項1〜8の1項以上に記載の粒子。
【請求項10】
前記アニオン結合層が下記一般式で表される複水酸化物層を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の粒子:

2+1-x3+x(OH)2(Zn-x/n・mH2

ここで 0.2<x<0.33、
ここでM3+はAl3+、Cr3+、Fe3+、Ga3+、In3+、Y3+、La3+および/またはCe3+から選択され、また、M2+はBa2+、Ca2+、Cu2+、Mg2+、Sr2+および/またはZn2+から選択され、Zn-は金属塩の対イオンおよび/またはアニオンあるいはアニオン形成有機活性化合物のアニオン混合物を指し、ここでnはアニオンの価数を意味する。
【請求項11】
前記M3+がAl3+またはFe3+であり、前記M2+がMg2+、Ca2+またはZn2+であることを特徴とする請求項10に記載の粒子。
【請求項12】
前記アニオン結合層の厚さが0.5〜500nmであることを特徴とする請求項1〜11の1項以上に記載の粒子。
【請求項13】
前記アニオン形成活性化合物または活性化合物混合物の割合が顔料全体に対して0.001〜50重量%、とりわけ、0.5〜20重量%であることを特徴とする請求項1〜12の1項以上に記載の粒子。
【請求項14】
アニオン結合層、活性化合物に加えてさらにアニオン形成有機、無機および/または有機金属着色剤を含むことを特徴とする請求項1〜13の1項以上に記載の粒子。
【請求項15】
アニオン形成有機、無機および/または有機金属着色剤の割合が顔料全体に対して0.01〜30重量%、特に0.5〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜14の1項以上に記載の粒子。
【請求項16】
安定化無機および/または有機コーティングがさらに粒子に対して適用されることを特徴とする請求項1〜15の1項以上に記載の粒子。
【請求項17】
請求項1記載の粒子を製造する方法であって、基材、金属カチオン塩、活性化合物塩および所望により着色剤塩、ならびに溶媒または溶媒混合物中の苛性アルカリおよび/または尿素の懸濁液を、50〜120℃の温度で攪拌してアニオン結合層を基材上に形成し、ここでアニオン結合層はアニオン形成有機活性化合物および任意に着色剤を含むものであり、次いで得られた製品を分離し、洗浄し、乾燥し、さらに必要に応じふるいにかける、粒子の製造方法。
【請求項18】
金属カチオン塩の溶液を、基材、活性化合物塩および所望により着色剤塩ならびに苛性アルカリおよび/または尿素の懸濁液に加えることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
請求項1記載の粒子を製造する方法であって、基材、金属カチオン塩ならびに溶媒または溶媒混合物中の苛性アルカリおよび/または尿素の懸濁液を、50〜120℃の温度で攪拌して、アニオン結合層を基材上に形成させ、次いで生成物を分離し、洗浄し,乾燥し、さらに必要に応じふるいにかけ、該生成物をアニオン形成有機活性化合物および任意に着色剤の溶液に攪拌しながら加える、粒子の製造方法。
【請求項20】
前記生成物が、アニオン形成有機活性化合物および所望により着色剤の溶液に加えられる前に、基材上に形成されたアニオン結合層とともに300〜600℃の温度で焼成されることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
請求項1記載の粒子の、化粧品、薬剤、処方、塗料、コーティング、プラスチック、フィルムにおける、証券印刷における、文書および身分証明書における安全対策における、種子の着色のための、食品の着色のための、薬剤コーティングのための、ならびに顔料組成物および乾式調合品の製造のための使用。
【請求項22】
請求項1記載の粒子を含む、化粧品、薬剤、処方、塗料、コーティング、プラスチック、フィルム、文書および身分証明書、種子、食品若しくは薬剤のコーティング、顔料組成物または乾式調合品。

【公開番号】特開2008−24916(P2008−24916A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−135024(P2007−135024)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】