説明

粒状植物育成用資材の製造方法

【課題】、廃棄物を有効利用しながら、効率よく植物を育成することのできる植物育成用資材を提供する。
【解決手段】樹脂と、植物性材料とを300℃以上の温度雰囲気中で混練し、混練物を粉砕して粒状植物育成用資材を製造する。300℃以上の高温化の混練により、植物性材料が炭化し、その部分に保水性を持たせることができるなどの利点がある。混練物を粉砕することで、植物の生育環境に好ましい資材となり、混練物を0.1mm以上10mm以下に粉砕することができる。樹脂には、ポリプロピレン、ポリエチレン等、植物性材料には、稲藁、籾殻、チップ、木粉、木炭、炭、硅素土又は飛び粉等を用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン等の樹脂と、籾殻等の植物性材料とを利用して粒状の植物育成用資材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭や事業所等から排出される樹脂廃棄物は、ペットボトル等その一部をリサイクルしているが、そのほとんどが埋立処分場にて廃棄処理されている。また、稲作に伴って発生する稲藁、籾殻についても、近年バイオマス燃料として利用する試みがなされているものの、現状ではそのほとんどを廃棄処理している。
【0003】
一方、近年、都市部の高層住居のベランダ等で鉢植え植物を育成することが流行しているが、ベランダ等で地上と同様に植物の育成を行うことは容易ではない。そのため、ベランダ等にて植物の育成を効率よく行うための植物育成容器や、植物育成用土壌等の開発がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−124989号公報
【特許文献2】特開2005−137363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、樹脂廃棄物や、植物性廃棄物を有効利用しながら、効率よく植物を育成することのできる植物育成用資材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、粒状植物育成用資材の製造方法であって、樹脂と、植物性材料とを300℃以上の温度雰囲気中で混練し、混練物を粉砕することを特徴とする。
【0007】
そして、本発明によれば、樹脂と、植物性材料とを300℃以上の温度雰囲気中で混練するため、植物性材料が炭化し、その部分に保水性を持たせることができ、混練物の保水性が向上する。また、混練物を粉砕することで、植物の生育環境に好ましい寸法に調節することができる。
【0008】
上記粒状植物育成用資材の製造方法において、前記樹脂と、前記植物性材料との混練物を0.1mm以上10mm以下に粉砕することができる。これによって、水耕栽培に適した植物育成用資材とすることができる。
【0009】
上記粒状植物育成用資の製造方法において、前記樹脂を、ポリプロピレン又はポリエチレンとすることができる。また、前記植物性材料を、稲藁、籾殻、チップ、木粉、木炭、炭、硅素土又は飛び粉とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、廃棄物を有効利用しながら、効率よく植物を育成することのできる植物育成用資材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる粒状植物育成用資材の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図2】本発明にかかる粒状植物育成用資材を用いた植物の育成方法を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、まず、本発明にかかる粒状植物育成用資材の製造方法について説明し、その後、製造した粒状植物育成用資材の利用方法について説明する。
【0013】
図1に示すように、まず、本発明にかかる粒状植物育成用資材の材料として、樹脂廃棄物Rと、植物性材料Pとを用意する。樹脂廃棄物Rは、ポリプロピレン、ポリエチレン等である。また、植物性材料Pは、稲作に伴って発生する稲藁、籾殻、製材に伴って発生するチップ、木粉、木炭、炭、硅素土又は飛び粉(こんにゃくを製造する際の副産物)等である。
【0014】
次に、受け入れた樹脂廃棄物R及び植物性材料Pに水Wを加えて混練機1に投入し、圧力約50kg/cm2、300℃以上の高圧高温下で混練する。これによって、植物性材料Pが炭化するとともに、樹脂廃棄物と炭化物とが均一に混合されて塊状となった混練物Mが生成される。尚、混練機1内の圧力は、混練機1から粘性を有する樹脂混練物Mが押し出し排出可能であれば50kg/cm2程度に限定されない。また、混練機1内の温度は、300℃以上に設定するが、この温度が高すぎるとエネルギ損失が大きくなるので、300℃を僅かに超えた値に維持することが好ましい。
【0015】
次に、上記混練物Mを、徐冷した後、粉砕機2で0.1mm以上10mm以下に粉砕して粒状植物育成用資材Sを得ることができる。
【0016】
尚、上記実施の形態においては、ポリプロピレン等の樹脂廃棄物Rを用いる場合について説明したが、廃棄物ではない樹脂を用いることができ、植物性材料Pについても、稲藁、籾殻、チップ、木粉、飛び粉等通常廃棄される物を用いたが、木炭、炭等廃棄物ではない植物性材料を用いることができることは勿論である。
【0017】
上述のようにして得られた粒状植物育成用資材Sは、保水性が少なくとも30%以上と高く、0.1mm以上10mm以下に粉砕しているため、水耕栽培に適した植物育成用資材とすることができる。
【0018】
次に、上記粒状植物育成用資材Sの利用方法について、図2を参照しながら説明する。
【0019】
図1(a)に示すように、水盤3に水Wを張り、その上方の網目状の底を有する有底枠体4に上記粒状植物育成用資材Sを100〜130mm程度の厚さに敷き詰め、その中に植物の種子Seを蒔く。粒状植物育成用資材Sそのものには肥料分がないため、肥料を粒状植物育成用資材Sの重量に対して10%程度混ぜる。
【0020】
上記状態で水耕栽培を行うと、粒状植物育成用資材Sは保水率が高いため、種子Seの発芽に要する水分と、上記肥料による養分を種子Seに与えることができ、種子Seの発芽を促し、発芽後の生育に寄与する。そして、図2(b)に示すように、植物Plが生育して根が水Wに達すると、水Wから直接水分を補給することができ、順調に生育する。
【0021】
上記種子Seの発芽及び植物Plが生育の際には、粒状植物育成用資材Sが炭化物を含むため、水の浄化作用があり、上記粒状植物育成用資材Sを浸した水のサンプルを採取して化学分析を行ったところ特性の元素は検出されず、21.4℃でpHが6.94であった。
【符号の説明】
【0022】
1 混練機
2 粉砕機
3 水盤
4 有底枠体
M 混練物
S 粒状植物育成用資材
Se 種子
P 植物性材料
Pl 植物
R 樹脂廃棄物
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と、植物性材料とを300℃以上の温度雰囲気中で混練し、混練物を粉砕することを特徴とする粒状植物育成用資材の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂と、前記植物性材料との混練物を0.1mm以上10mm以下に粉砕することを特徴とする請求項1に記載の粒状植物育成用資材の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂は、ポリプロピレン又はポリエチレンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒状植物育成用資材の製造方法。
【請求項4】
前記植物性材料は、稲藁、籾殻、チップ、木粉、木炭、炭、硅素土又は飛び粉であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の粒状植物育成用資材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−5446(P2012−5446A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145725(P2010−145725)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(592151085)有限会社ポリマ−商工 (3)
【Fターム(参考)】